JP2003266247A - ワイヤ放電加工機のワイヤ張力制御装置 - Google Patents

ワイヤ放電加工機のワイヤ張力制御装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワイヤ放電加工機にあってオーバーシュート
や張力制御の追従遅れによる断線、軸移動に伴う断線や
加工面の筋つき、電磁ノイズ等による誤動作の発生、デ
ータを得るための試運転による断線を防止して、張力制
御を高性能化すること。 【解決手段】 張力検出信号と張力設定値および張力制
御開始信号に基づいて生成される張力指令信号とを差動
・増幅演算して得た張力制御信号にワイヤ速度指令信号
と速度検出信号とを増幅・差動演算して得た信号を加算
処理し、この結果をブレーキモータのサーボドライバへ
の電流指令として与え、張力指令信号を張力制御開始時
のワイヤ電極の初期値として、予め設定しておいた張力
制御開始からの時間幅および増加パターンで張力設定値
まで到達するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、従来よりも張力
制御を高性能化させたワイヤ放電加工機のワイヤ張力制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工機は、ブレーキ部から回
収部に向かって常に新たなワイヤ電極を繰り出しつつワ
イヤ電極と被加工体との放電により被加工体を加工する
ものであり、加工品質や加工精度を上げるためにはきめ
細かなワイヤ電極の張力制御が必要となる。従来のワイ
ヤ放電加工機にあっては、例えば特開平10−3096
31号公報に示されるように、ワイヤ走行時の張力変動
を低減させるべく、ワイヤ張力を検出してブレーキモー
タであるサーボモータで張力を一定にするような制御を
施している。
【0003】図20及び図21は、典型的な従来例であ
る特開平10−309631号公報に記載するワイヤ放
電加工機及び張力制御装置を示し、この張力制御はNC
装置P10に設定されたワイヤ張力設定信号TSに張力
検出器P11の出力信号が追従するように行われてい
る。図20にあって、ワイヤ電極P1はブレーキプーリ
P4A及びサーボモータP4Bからなるブレーキ部P4
より、引き取りプーリP6A及び引き取りモータP6B
からなる回収部P6に至る経路を辿る。途中経路のブレ
ーキプーリP4AとガイドプーリP3Bとの間には張力
検出器P11及び被加工体P8を挟むように放電加工部
分P5を形成する一対の位置決めガイドP7が存在す
る。ここで、ブレーキプーリP4Aへは、ワイヤボビン
P2からプーリP3Aを介してワイヤ電極P1が送給さ
れる。また、張力制御系として、引取りモータP6Bの
サーボドライバP6Cに速度指令が出されるNC装置P
10からは、ワイヤ走行開始信号、ワイヤ速度設定値S
S、張力設定信号TSが張力制御装置P13に送られ
る。張力制御装置P13では、上記ワイヤ走行開始信
号、ワイヤ速度設定値SS、張力設定信号TSの他、張
力検出器P11によって検出され増幅回路P12にて増
幅された張力検出信号TMが入力され、サーボドライバ
P4Cに速度指令SCが出力される。サーボドライバP
4Cでは、張力制御装置P13からの速度指令SCとサ
ーボモータP4Bの速度検出器からのフィードバック速
度検出信号とによって、サーボモータP4Bに電流指令
を送る。この結果、引き取りモータP6Bのモータ速度
に基づくワイヤ電極P1の走行スピードに対して、ブレ
ーキモータであるサーボモータP4Bが速度制御を行い
ワイヤ電極P1に一定の張力を与えている。
【0004】図21は、図20の張力制御装置の回路ブ
ロックを示しており、前述のNC装置P10からの張力
設定信号TSと張力検出器P11からの張力検出信号T
Mとの偏差をとり張力補償信号TCを出力する加算回路
P15、例えばノッチフィルタ等からなり張力補償信号
TCの位相遅れ補償のためのフィルタ装置P18、フィ
ルタ装置P18による出力とこのフィルタ装置P18を
経ない加算回路P15の出力TCとを切り替える切り替
え回路P20、制御ゲインを得る増幅回路P16を有
し、更に、ワイヤ走行信号を前提として張力検出信号T
Mが入力され、この張力検出信号TMを高速フーリエ変
換(FFTという)して周波数成分を取り出し共振周波
数を得てフィルタ選定・調整指令を前述のフィルタ装置
P18に出力し、及び前述の切り替え回路P20に切り
替え信号を出力するフィルタ決定演算指令装置P19を
有し、また、NC装置P10から得られあるいはプログ
ラム等の読み出しにより得られたワイヤ速度設定値SS
と張力設定信号TSとが入力され、ワイヤ電極P1の基
準速度指令信号を得る基準速度設定回路P14を有す
る。そして、この基準速度設定回路P14の基準速度指
令信号と増幅回路P16で増幅された張力補償信号との
偏差をとり、張力を加味した速度指令SCを出力する加
算回路P17を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図20
及び図21にて示すワイヤ放電加工機及び張力制御装置
にあっては、ワイヤ放電加工機の電源を入れワイヤ電極
P1を指し回し自動結線を行った後引き取りモータP6
B及びサーボモータP4Bを駆動し張力制御を開始した
時、ワイヤ電極P1の初期張力に関わらず、ワイヤ張力
設定値すなわち張力設定信号TSが一定値で与えられる
ことになる。このとき、ワイヤ電極P1の初期張力とワ
イヤ張力設定値との誤差が大きいと、加算回路P15へ
の入力偏差大きくなり、加算回路P17の出力速度指令
SCが過小となってブレーキ部P4のサーボモータP4
Bへの電流指令がステップ状に落ち込み、ワイヤ張力設
定値に対して張力検出器P11による張力検出値はオー
バーシュート(図4(a)参照)を生じてしまう。例え
ば、φ0.1mm以下のワイヤ電極P1のように破断張
力の小さいものを用いて張力制御をした場合には、張力
制御の起動に伴いワイヤ電極P1の断線が生じやすいと
いう問題があった。
【0006】また、図21に示す張力制御装置において
は、図20に示す引き取りモータP6Bとサーボモータ
P4Bとを駆動し加工工程に入るまでの時間を短縮する
ためにワイヤ回収動作と張力制御の起動とを同時に行お
うとした場合、すなわち図20に示すNC装置P10か
らのサーボドライバP6Cへの速度指令による引取りモ
ータP6Bの駆動と、図21に示す張力設定値TS、ワ
イヤ速度設定値SS及びワイヤ走行開始信号、更には張
力検出信号TMに基づく張力制御装置P13からのサー
ボドライバP4Cへの速度指令SCと速度検出信号とに
基づくサーボモータP4Bの駆動とを同時に行おうとし
た場合、前述の張力制御のオーバーシュートの発生に加
えてワイヤ回収動作に対する張力制御の追従遅れが重な
り過剰な張力が発生する程度が極めて高くなり、φ0.
1mm以下のワイヤ電極を用いた場合に起動時の断線を
生じてしまうという問題もあった。
【0007】また、図20及び図21に示す従来のワイ
ヤ放電加工機及び張力制御装置においては、回収ローラ
P6AとブレーキプーリP4Aとの間の相対距離が被加
工体P8とワイヤ電極P1との間の相対位置によって変
化するような機械構造(例えばY軸駆動系)に対して
も、引き取りモータP6Bへは常に一定の速度指令信号
が与えられているため、回収ローラP6Aとブレーキプ
ーリP4Aとの間の相対距離変化に基づく軸移動に伴い
ワイヤ電極P1のたるみや引っ張りが発生し、これによ
ってワイヤ電極P1の断線あるいは被加工体P8の加工
面の筋つきが発生してしまうという問題もあった。
【0008】また、図21に示す従来の張力制御装置に
おいては、すべてのワイヤ電極P1に対して増幅回路P
16の制御ゲインを固定にしているので、ワイヤ電極P
1の変化によって固有振動数が低下すると振動が発生し
やすくなるという問題点があった。この固有振動数の低
下よって生じる振動を抑える方策として、張力フィード
バックループ内のフィルタ装置P18に設けたノッチフ
ィルタのノッチ周波数を張力検出値TMのFFTによる
周波数分析で推定するようにもできる。しかしながら、
このような方法は、工場内の環境が非常に悪い場合、電
磁ノイズや電源の基本高調波などによる誤動作が発生す
る。また、FFTによる周波数分析のためのデータを得
るべく、不適当なノッチ周波数で制御される張力制御装
置によってワイヤ電極を走行させる必要が生じることか
ら、例えばφ0.03mmのワイヤ電極のような二百グ
ラム程度の張力で破断してしまうようなワイヤ電極P1
では、周波数分析のためのデータを得るためにワイヤを
走行させた時点で破断が生じるという問題点があった。
【0009】最近では、電源や駆動系の位置決め性能の
向上、φ0.1mm以下のワイヤ電極を用いた加工の精
度向上、加工時間短縮についての要求が高まっており、
張力制御装置の高性能化はワイヤ放電加工機の重要な課
題となっている。
【0010】この発明は上記に鑑みてなされたもので、
前述のオーバーシュートや張力制御の追従遅れによる断
線、軸移動に伴う断線や加工面の筋つき、電磁ノイズ等
による誤動作の発生、データを得るための試運転による
断線を防止して、張力制御を高性能化したワイヤ放電加
工機のワイヤ張力制御装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明にかかるワイヤ張力制御装置は、ブレーキ
部のブレーキモータの速度検出信号とワイヤ電極から検
出した張力検出信号、NC装置からの張力設定値及び張
力制御開始信号とに基づいて生成されるブレーキ部のブ
レーキモータの電流指令により回収部の回収モータの速
度指令に対して張力制御を行いつつブレーキ部と回収部
間で張力を付与した状態で一対の位置決めガイド間にワ
イヤ電極を走行させるワイヤ放電加工機のワイヤ張力制
御装置において、張力検出信号と張力検出信号、張力設
定値および張力制御開始信号に基づいて生成される張力
指令信号とを差動・増幅演算して得た張力制御信号にワ
イヤ速度指令信号と速度検出信号とを増幅・差動演算し
て得た信号を加算処理し、この結果をブレーキモータの
サーボドライバへの電流指令として与え、張力検出信号
を張力制御開始時のワイヤ電極の初期値として、予め設
定しておいた張力制御開始からの時間幅および増加パタ
ーンで張力設定値まで到達するようにしたことを特徴と
する。
【0012】この発明によれば、張力指令信号をワイヤ
電極の張力制御開始時の張力から張力制御帯域幅よりも
遅い時定数で張力設定値に到達する張力指令値とするこ
とによって、張力制御起動時のワイヤ電極の張力のオー
バーシュートの発生を防止できる。制御開始時の過剰な
張力が生じないので、φ0.1mm以下の極細線ワイヤ
電極を用いた場合において特に顕著に張力制御起動時の
断線を防止できる。
【0013】つぎの発明にかかるワイヤ張力制御装置
は、上記の発明において、回収モータの回収動作をブレ
ーキ部でのブレーキモータの張力制御が張力設定値に到
達するまでに開始させるようにしたことを特徴とする。
【0014】この発明によれば、張力制御の起動と回収
モータの起動とをほぼ同時に開始することで、張力制御
開始から加工開始までの時間が短縮でき、全体の加工時
間を短縮できる効果がある。
【0015】つぎの発明にかかるワイヤ張力制御装置
は、上記の発明において、張力指令信号を、張力検出信
号とNC装置からの張力設定値とを張力制御開始信号に
よって切り換える信号切り換え手段と、この信号切り換
え手段からの出力信号を波形処理するフィルタ手段と、
を用いて生成するようにしたことを特徴とする。
【0016】この発明によれば、ブレーキ装置への張力
指令信号を、張力制御応答時定数以下の時定数を持つロ
ーパスフィルタによって生成することで、張力制御開始
時のワイヤ電極の張力のオーバーシュートの発生を防止
できる。また、ハードウェア、ソフトウェアの両方で構
成可能であり、例えば、NC装置から張力制御装置への
指令信号がアナログ回路で構成されている場合、1個の
アナログスイッチと1個の抵抗と1個のコンデンサの追
加のみというような簡単かつ低コストの構成で実現でき
る利点がある。
【0017】つぎの発明にかかるワイヤ張力制御装置
は、上記の発明において、張力制御開始信号に基づいて
張力制御開始時の張力検出信号である初期張力とNC装
置からの張力設定値とを切り替える信号切り換え手段を
有し、この信号切り替え手段の出力信号から電流指令値
までの伝達関数が、張力検出信号からブレーキモータへ
の電流指令値までの伝達関数と張力フィードバックルー
プの交差周波数よりも低い遮断周波数を有する波形処理
用のフィルタの伝達関数との積になるように構成したこ
とを特徴とする。
【0018】この発明によれば、ブレーキ装置への張力
指令信号を、張力制御応答時定数以下の時定数を持つロ
ーパスフィルタによって生成することで、張力制御開始
時のワイヤ電極の張力のオーバーシュートの発生を防止
できる。また、ハードウェア、ソフトウェアの両方で構
成可能であり、例えば、NC装置から張力制御装置への
指令信号がアナログ回路で構成されている場合、1個の
アナログスイッチと1個の抵抗と1個のコンデンサの追
加のみというような簡単かつ低コストの構成で実現でき
る利点がある。
【0019】つぎの発明にかかるワイヤ張力制御装置
は、上記の発明において、被加工体とワイヤ電極との間
の相対位置の変化を検出し、この検出した情報に基づい
て回収モータへの速度指令を生成するようにしたことを
特徴とする。
【0020】この発明によれば、回収部とブレーキ部の
相対距離が被加工体及びワイヤ電極間の位置決めによっ
て変化するようなワイヤ放電加工機においては、位置決
め時の回収部とブレーキ部の相対距離の急峻な変化があ
ったとしても、回収部の動きを上記相対距離の変化に応
じて速度を変化させることで、ワイヤ電極の引っ張りや
たるみを低減できるので、断線、加工時の筋つきを防止
できる利点がある。
【0021】つぎの発明にかかるワイヤ張力制御装置
は、上記の発明において、NC装置から与えられるワイ
ヤ電極の諸元に基づいて、張力制御信号を生成する張力
制御ゲインを決定するようにしたことを特徴とする。
【0022】この発明によれば、ユーザがNC装置に与
えたワイヤ電極の線径や材質などの情報から張力制御ゲ
インを決定するようにしているので、常に適正な制御ゲ
インによる運転が可能であり、工場内の電気ノイズによ
るFFTの誤動作も無くなり、従来より安定したワイヤ
張力制御装置が構成できる利点がある。
【0023】つぎの発明にかかるワイヤ張力制御装置
は、上記の発明において、張力制御ゲインを、張力制御
系の開ループ伝達特性の交差周波数がワイヤ走行系の固
有振動数の1/5以下になるように与えたことを特徴と
する。
【0024】この発明によれば、張力制御系の開ループ
伝達特性における交差周波数がワイヤ電極の固有振動数
の1/5以下に設定するように張力制御ゲインを与えて
いるので、十分な位相余裕とゲイン余裕が確保でき、従
来の装置に比べて固有振動数推定誤差による性能劣化が
なく、固有振動数の数Hzの変動に対しても従来装置よ
りは性能劣化の程度を少なくできる利点がある。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に図1〜図19を参照して、
この発明にかかる好適な実施の形態を詳細に説明する。
なお、この発明にかかる図1〜図19では、既に図2
0、図21にて説明した部分は、説明を簡略化する。
【0026】実施の形態1.図1は、この発明の実施の
形態1の前提となるワイヤ放電加工機の全体構成であ
る。ワイヤ電極1は、ワイヤボビン2からガイドプーリ
3A、ブレーキ部4のブレーキプーリ4Aなどの複数の
プーリを経由して、一対の位置決めガイド7が所望間隔
を置いて配置された加工部分5に供給され、更に下部ロ
ーラ3Bを経由して回収部6の回収ローラ6Aを経て回
収されるようになっている。ブレーキプーリ4Aと下部
ローラ3Bとの間は、一対の位置決めガイド7間の被加
工体8による加工部分5にてワイヤ電極1が所定の直線
状態を維持して走行するように、張力がワイヤ電極1に
付与されるようになっている。
【0027】一方、回収部6には回収モータ6Bとサー
ボドライバ6Cが備えられ、ブレーキ部4にはブレーキ
モータ4Bとサーボドライバ4Cが備えられ、張力制御
装置12からサーボドライバ6Cには速度指令信号、サ
ーボドライバ4Cには電流指令信号がそれぞれ送られ
る。張力制御装置12には、コンピュータ制御のNC装
置9からワイヤ走行開始信号、ワイヤ速度設定値、張力
設定値、張力制御開始信号、自動結線識別信号が入力さ
れ、また張力変動検出のための張力検出器10及び増幅
回路11からの張力検出信号が入力され、更にはブレー
キモータ4Bの速度検出器からの速度検出信号が入力さ
れる。このワイヤ放電加工機は、回転速度が制御された
回収モータ6Bを有する回収部6によって走行移動する
ワイヤ電極1に対し、ブレーキプーリ4Aを介してブレ
ーキモータ4Bによる制動力を付与するようになってい
る。ブレーキプーリ4Aから引き出されるワイヤ電極1
は、一対の位置決めガイド7、7間の加工部分5におい
て、ブレーキプーリ4Aの偏心やブレーキモータ4Bに
よる制動力の変動などの外乱などによってワイヤ電極1
に張力変動を生じる。このため、ブレーキモータ4Bの
サーボドライバ4Cに電流指令値を回収モータ6Bのサ
ーボドライバ6Cに速度指令値をそれぞれ出力する張力
制御装置12にてブレーキモータ4Bを制御して、ワイ
ヤ電極1の張力検出器10からの張力検出値とNC装置
9からの張力設定値との偏差を減少させている。
【0028】図2は、張力制御装置12の詳細ブロック
図を示す。図2において、図1にも示すNC装置からの
ワイヤ走行開始信号、ワイヤ速度設定値、張力設定値、
張力制御開始信号は、指令値生成処理部13に入力さ
れ、自動結線識別信号は、PI制御器14に入力され
る。ここで、指令値生成処理部13はNC装置9の設定
入力またはプログラムなどの読み出しによって得られる
ワイヤ電極1のワイヤ速度設定値、張力設定値、ワイヤ
走行開始信号、張力制御開始信号、及び張力検出器10
からの張力検出信号に基づきブレーキモータ速度指令、
回収モータ速度指令、及び張力指令信号を生成する。P
I制御器14は、指令値生成処理部13からの張力指令
信号と張力検出器10からの張力検出信号とを差動演算
した偏差信号を比例倍および積分して比例倍して張力制
御信号を得る演算器で、自動結線識別信号にて制御され
る。PI制御器14で算出した張力制御信号は、指令値
生成処理部13の出力であるブレーキモータの速度指令
を増幅部15で増幅した信号と、フィードバックされた
ブレーキモータ速度検出信号を増幅部16で増幅した信
号とを加算(あるいは減算)することで得られた信号に
加算(あるいは減算)することで、ブレーキモータ4B
への電流指令としてサーボドライバ4Cに出力するよう
になっている。なお、PI制御器14は、自動結線識別
信号によってワイヤ電極1の自動結線作業中かどうかを
判別し、自動結線作業中であればPI制御器14の出力
は零、自動結線作業中でなければ(張力制御中であれ
ば)PI制御器14は入力偏差信号を比例倍および積分
して比例倍して出力するようになっている。
【0029】次に、図2の指令値生成処理部13の詳細
な動作について説明する。指令値生成処理部13は張力
指令信号、ブレーキモータ速度指令、回収モータ速度指
令の3つの信号を生成するので、これらの信号を生成す
る3つのプログラムの内容を以下に順次示す。
【0030】図3は、指令値生成処理部13の張力指令
信号を生成するためのプログラムのフローチャートであ
る。まず、プログラムを開始し(ステップSt1(以下
「ステップ」を省略する))、NC装置9からの張力制
御開始信号と張力設定値Tcと張力検出器10からの張
力検出信号Twとを読み取る(St2)。次に、St3
にて張力制御開始信号がONを示していればSt5へ進
み、張力制御開始信号がOFFを示していればSt4へ
進む。ここで、張力制御開始信号がOFFのときは、ブ
レーキモータ4Bへ電圧をかけないようにつまりブレー
キモータ4Bがフリーとなるようにサーボドライバ4C
をハード制御している。そして、St4では、計数を開
始している時間カウンタのカウント値tcntを零に初期化
し、張力指令値T*に張力検出値Twを設定し、張力検
出値の初期値Tw0に張力検出値Twを保存して、St
2へ戻る。またSt3にて、張力制御開始信号がONの
ときは、St5にて制御周期tsと時間カウンタtcntとの
積から現在の時間ts・tcntを計算し、この値ts・tcntが
あらかじめ設定しておいた起動時間Tsよりも大きけれ
ば前述したオーバーシュートや開始時での張力制御の追
従遅れの危険性はなくなるのでSt7へ進み、張力指令
値T*を張力設定値Tcとする。このとき、ワイヤ放電
加工機の張力制御は通常の制御となり、PI制御器14
の次段に位置する加算装置から出力される電流指令値C
Cに基づいて、サーボドライバ4Cでブレーキモータ4
Bが制御される。また、St5にて現在時間ts・tcntが
起動時間Tsを経過していないときはSt6へ進む。S
t6では、制御周期tsと時間カウンタtcntとの積から
得られた現在の時間tを用いて、次式(1)によって張
力指令値T*を算出する。
【0031】 T*=(Tc−Tw0)・f(t)+Tw0・・・(1) すなわち、張力検出値の初期値Tw0に、張力設定値T
cと張力検出値の初期値Tw0との差分をf(t)にて
変化させた値を加えたものを、張力指令値T*とするも
のである。そしてこの関数f(t)がステップ状ではな
く時定数の遅い徐々に変化するものであれば前述のオー
バーシュートや開始時での張力制御の追従遅れの危険性
は回避できる。例えば関数f(t)としては、張力制御
開始時の張力検出値Tw0からNC装置9からの張力設
定値Tcまで少なくとも2サンプリング周期以上で到達
するように与えた関数またはデータテーブルの数値列が
あげられる。また、St6では、時間カウンタのカウン
ト値tcntに+1加算してカウント値を更新する。St7
では、張力指令信号T*を出力し、St2へ戻る。
【0032】例えばf(t)が張力設定値Tcまで少な
くとも2サンプリング周期となるような場合、初期張力
をTw0を零、張力設定値をTc、1サンプリング時間
後の張力指令値をTc/2、2サンプリング時間後の張
力指令値をTcとすれば、張力制御開始後の誤差は、次
のようになる。
【0033】 1サンプリング時間後 Δe=Tc/2 2サンプリング時間後 Δe≒Tc ここでは、張力制御系の応答がサンプリング時間に対し
て十分遅いものとしている。またこのとき、図2のPI
制御器14の2サンプリング時間後の張力制御信号は次
式(2)のようになる。
【0034】 2サンプリング時間後のPi制御器14の張力制御信号 =Kp・Δe+Ki・∫Δedt =Kp・Tc+Ki・Tc/2・ts+Ki・Tc・ts ・・・(2) なおここで、Kp、Kiは張力制御ゲインである。
【0035】比較のためにf(t)がステップ状に変化
することとした場合には、次のようになる。 1サンプリング時間後 Δe=Tc 2サンプリング時間後 Δe=Tc このときの2サンプリング時間後のPI制御器14の出
力である張力制御信号は次式(3)で得られる。
【0036】 2サンプリング時間後のPI制御器14の張力制御信号 =Kp・Δe+Ki・∫Δedt =Kp・Tc+Ki・Tc・ts+Ki・Tc・ts ・・・(3) 式(2)は式(3)よりもKi・Tc/2・tsだけ張力
制御信号が小さくできている。
【0037】具体的に、張力制御開始初期では、ブレー
キモータ4B、回収モータ6Bとも停止しているとする
と、ブレーキモータ4Bの速度指令およびブレーキモー
タ速度検出信号は零となるので、式(2)、式(3)の
張力制御信号は張力制御開始直後の電流指令になる。こ
こで、2サンプリング時間にて二段階で張力指令値が張
力設定値に到達する場合の張力制御信号については、張
力制御系が十分追従できる時間でゆるやかに張力指令値
*を張力制御開始時の初期張力から増加させれば、P
I制御器14の張力制御信号の発生も緩やかになるの
で、ブレーキモータ4Bへの急峻なモータ電流の通電に
よるワイヤ電極1の張力のオーバーシュートが防止でき
ることは明らかである。
【0038】次に、f(t)を時定数の遅い緩やかな関
数、ここでは、張力フィードバックループの交差周波数
以下の遅い時定数で増加する関数を例示する。例えばf
(t)=0.5・(1−cosωt) ・・・(4)とする。
ここで、ωは張力制御の起動速度を決める定数、tは張
力制御開始後の時間である。起動時間をTsとすると、
Ts=π/ω ・・・(5)の関係がある。
【0039】式(4)のωをワイヤ走行系の張力フィー
ドバックループの交差周波数よりも小さくして、ワイヤ
張力の初期値Tw0からワイヤ張力設定値Tcへと張力
指令値T*が増加する時間を長くした場合、張力制御開
始時の張力検出値Twの時間波形を図4(b)に示す。
図4(b)では、式(4)に示すf(t)と図3のフロ
ーチャートを用いてワイヤ初期張力からゆるやかに張力
設定値に漸近するように張力指令信号を与えた場合であ
る。図4(b)では、張力検出値Twの過剰なオーバー
シュートをほとんど生じることなく、張力設定値Tcに
追従していることがわかる。このように、ワイヤ初期張
力からゆるやかに張力設定値Tcに漸近するように張力
指令信号を与えることによって、張力制御開始直後のワ
イヤ張力の過剰な増加を防止できるので、ワイヤ電極の
断線を防止できることは明らかである。因みに、図4
(a)は従来の方法に用いて張力制御開始信号とともに
張力指令値を張力設定値になるようにした場合であり、
かなり大きい張力検出値Twのオーバーシュートが生じ
ている。例えばφ0.1mm以下の破断張力の余裕の少
ないワイヤ電極1においては、ワイヤ電極1の断線が容
易に生じうる。
【0040】次に、図2の指令値生成処理部13におけ
る回収モータ6Bへの速度指令とブレーキモータ4Bへ
の速度指令とを生成するプログラムのフローチャートの
一例を図5に示す。なお、本例では、指令値生成処理部
13の出力として回収モータ6Bへの速度指令とブレー
キモータ4Bへの速度指令とについて、同じ速度指令値
を用いているため、図5では一つのプログラムで構成し
ているが、これらの指令値は独立したプログラムによっ
て生成するようにしてもよい。
【0041】図5のフローチャートにおいて、まず、プ
ログラムを開始し(St10)、NC装置9からのワイ
ヤ速度設定値Vcとワイヤ走行開始信号とを読み込む
(St11)。次に、St12にてNC装置9からのワ
イヤ走行開始信号がOFFであればSt13へ進む(S
t12)。St13では、時間カウンタのカウント値tc
ntを零に初期化し、速度指令値V*に零を保存して、S
t11に戻る。St12にてワイヤ走行開始信号がON
であればSt14へ進む。St14では、時間カウンタ
のカウント値と制御周期との積である現在の時間tcnt・
tsがあらかじめ設定しておいた起動時間Tsより大きけれ
ば速度指令値V*としてワイヤ速度設定値Vcを出力す
るようにSt16へ進み、それ以外はSt15へ進む。
St15では、制御周期tsと時間カウンタtcntとの積か
ら現在の時間tを用いて、次式によって速度指令値V*
を算出する。
【0042】V*=Vc・f(t)・・・(6) そして、時間カウンタのカウント値tcntに1を加算して
更新する。St16では、回収モータ6Bへの速度指令
とブレーキモータ4Bへの速度指令としてV*を出力
し、St11へ戻る。なお、f(t)は図3の例と同様
の関数またはデータテーブルの数値列があげられ、式
(4)の具体例を適用できる。
【0043】図6は、張力制御開始信号とワイヤ走行開
始信号を同時にONしたときの張力検出信号Twと回収
モータ速度検出信号それぞれの時間波形である。張力制
御とワイヤ回収を同時に開始することで、張力検出値と
回収モータ速度検出値ほぼ同時に立ち上がり同様の波形
になっている。そして、張力制御の起動と回収モータの
起動を同時に行っている分だけ制御立ち上げ時間が短縮
される。
【0044】従来のNC装置の張力設定値をそのまま張
力指令値として用いる方法では、張力制御開始時のオー
バーシュートのために張力が大きくなり、細いワイヤ電
極では断線してしまうことは前述したとおりである。そ
して、張力検出値と回収モータ速度検出値とを同時に開
始した場合、張力制御の応答遅れによる張力変動が張力
制御系のオーバーシュートに重畳し、さらにワイヤ電極
に生じる張力が大きくなっていたことも前述したとおり
である。このため、細いワイヤ電極1を走行させようと
した場合には、張力制御が張力設定値Tcに整定した後
にワイヤ送りを開始しなければならなくなり、加工を開
始するまでの時間が多くかかることになる。本実施の形
態では、図3、図5のように、回収モータと張力制御そ
れぞれの指令値を緩やかに変化となるように与えるとと
もに、両者の起動を同時に行っているので、張力制御系
のオーバーシュートによる断線を防止できるとともに、
加工を開始するまでの時間を大幅に短縮できる。
【0045】実施の形態2.つぎに、この発明の実施の
形態2について説明する。上述した実施の形態1では、
図3、図5にて図2に示す指令値生成処理部13を構成
した。これに対し、図7は、指令値生成処理部13の張
力指令信号を生成する部分と速度指令を生成する部分の
別の構成例を示す。図7(a)は張力指令信号を生成す
る部分であり、17は張力設定値Tcと張力検出値Tw
とを入力としてフィルタ18へ一つの信号を出力するス
イッチである。フィルタ18はスイッチ17から出力さ
れた信号を波形処理して張力指令信号T*を出力するも
のである。ここでは、制御入力である張力制御開始信号
がOFFのときに張力検出値Twをフィルタ18へ出力
し、張力制御開始信号がONのときに張力設定値Tcを
フィルタ18へ出力するようにしており、スイッチ17
から出力される信号は、図中にて示すようなステップ状
に変化する信号になる。フィルタ18を、張力フィード
バックループの交差周波数よりも低い遮断周波数を有す
るローパスフィルタとすることにより、出力波形である
張力指令信号T*は図7(a)のフィルタ18の出力に
示すような張力制御開始時の張力から張力設定値へと緩
やかに増加する信号となる。このように、張力制御開始
時の張力から張力設定値へ緩やかに増加する信号が得ら
れるので前述の実施の形態1の図3の場合と同様の効果
が得られる。
【0046】図7(b)は指令値生成処理部13の回収
モータ速度指令とブレーキモータ速度指令とを生成する
部分の別の構成例である。図7(b)の装置において、
19はワイヤ速度設定値Vcおよび速度零とを入力とし
てフィルタ20へ一つの信号を出力するスイッチであ
る。フィルタ20はスイッチ19から出力された信号を
波形処理して速度指令V*を出力するものである。この
装置において、制御入力であるワイヤ走行開始信号がO
FFのときに零をフィルタ20へ出力し、ワイヤ走行開
始信号がONのときに張力設定値Vcをフィルタ20へ
出力するようにしており、スイッチ19から出力される
信号は、図中にて示すようにステップ状に変化する信号
になる。フィルタ20を、張力フィードバックループの
交差周波数よりも低い遮断周波数を有するローパスフィ
ルタとすることにより、出力波形である速度指令信号は
フィルタ20の出力に示すような速度零からワイヤ速度
設定値へ緩やかに増加する信号となる。図7(a)と図
7(b)のローパスフィルタは立ち上がり時定数を任意
に設定可能であり、例えば図6に示した場合とほぼ同様
の時定数で立ち上がるようにローパスフィルタを設定す
れば、実施の形態1の図6の結果とほぼ同様の結果が得
られる。
【0047】実施の形態3.実施の形態3は、図8に示
すように実施の形態2を変形させたもので図2に対応す
る張力制御装置の別の構成例である。図8において、図
2、図7と同一部分には同符号を付す。図8(a)にお
いて、スイッチ17、フィルタ21、PI制御器14の
電流指令系及びスイッチ19、フィルタ20増幅器1
5、16の速度指令系からなり、ここでは、図2のPI
制御器14の伝達関数をK(s)、図7のフィルタ20
の伝達関数をF(s)と表記する。そして、フィルタ
21は、スイッチ17とPI制御器14の次段の加算回
路との間に備えられ、実施の形態2にて述べた図7のフ
ィルタ18の伝達関数F(s)を用いて、次の伝達関
数が与えられる。 K(s)・{F(s)−1} ここで、図8(a)において、自動結線識別信号が自動
結線ONを示しているときはK(s)=0、自動結線O
FFを示しているときはK(s)がPI制御器として動
作する。
【0048】図8(b)は、図8(a)と等価の構成例
であり、図8(a)の動作を説明するために示した張力
制御装置である。そして、図8(b)では、図7のスイ
ッチ17とフィルタ18、及びPI制御器14にて図2
に示す張力指令に基づく電流指令Icを得ることにな
り、図7のスイッチ19とフィルタ20及び増幅器1
5、16にて図2に示すブレーキモータ及び回収モータ
それぞれの速度指令を得る。
【0049】図8(a)、(b)において、スイッチ1
7の出力Tswから電流指令値Icまでの伝達関数を求
めると、図8(a)では、次のようになる。 Ic/Tsw=K(s)・{F(s)−1}+K
(s)=K(s)・F(s) 一方、図8(b)では、次のようになる。 Ic/Tsw=K(s)・F(s) このように、両者の伝達関数は同じで張力検出値Twか
らブレーキモータ電流指令値Icまでの伝達関数は両者
ともK(s)・F(s)、ブレーキモータの速度誤差
信号ΔVbの入力点は同じ位置であり、図8(a)のよ
うな構成でも図8(b)の構成と同じ張力制御系の特性
が得られることになる。
【0050】なお、本実施の形態における張力制御装置
の構成は図8(a)、(b)の構成に限るものではな
く、張力制御開始時の張力検出値Twと張力設定値Tc
とによって決めた信号Tswから電流指令値Icまでの
伝達関数が、張力検出値Twからブレーキモータ電流指
令値Icまでの伝達関数K(s)と張力フィードバック
ループの交差周波数よりも低い遮断周波数を有するフィ
ルタF(s)との積になるように制御系を構成するこ
とで、実施の形態1、2と同様の特性と効果が得られる
ことになる。
【0051】実施の形態4.実施の形態4におけるワイ
ヤ放電加工機と張力制御装置の全体構成の別の例を図
9、図10に示す。図9、図10において、図1、図2
と同一部分には同符号を付し、相違点を説明する。ワイ
ヤ放電加工機は、被加工体8の加工上X軸及びY軸の移
動が可能となっており、このうちワイヤ電極1の搬送系
はY軸駆動系の可動部と連動する。その構成は図11に
て示し、説明は後述する。
【0052】図9においてリニアエンコーダ22は、ワ
イヤ放電加工機のY軸駆動系に取り付けられ、カウンタ
アンプ23に接続される。このリニアエンコーダ22は
ワイヤ放電加工機のY軸駆動系の移動速度に応じた周期
のパルスを発生し、カウンタアンプ23へ出力する。カ
ウンタアンプ23はリニアエンコーダ22から出力され
るパルスをカウントし、機械移動速度信号に変換して、
張力制御装置12へ機械移動速度信号として出力するよ
うになっている。
【0053】図9における張力制御装置12の詳細ブロ
ック図である図10においては、指令値生成処理部13
の出力である回収モータ速度指令信号から機械移動速度
検出信号を加算回路にて差し引いて回収モータ6Bのサ
ーボアンプ6Cに速度指令を与えている。
【0054】図11は図9、10の動作の基礎となるワ
イヤ放電加工機のY軸駆動系の一例である。図9におけ
る回収部6とNC装置9と被加工物8を除き、サドルS
上に搭載されたワイヤ電極1の搬送系がY軸駆動系可動
部とともにY軸駆動用モータYMとボールねじBTによ
ってY軸方向に位置決めされる。なお、回収部6はサド
ルSに固定されており、Y軸方向に固定されている。こ
のような構成のワイヤ放電加工機のワイヤ張力制御装置
においては、図12にて概略を示すように、Y軸送り時
には、ブレーキプーリ4Aと回収ローラ6Aの相対距離
が変化し、Y軸駆動時の相対距離の時間変化(相対速
度)によって生じるワイヤのたるみや引っ張りによっ
て、張力変動が過渡的に生じる。この張力変動は、加工
時の筋付きや破断張力の小さい細いワイヤ電極を用いた
ときに速いY軸送りを与えた場合に断線を引き起こす要
因になることは前述したとおりである。このような問題
は、Y軸送り時停止時に関わらず、回収モータの回転速
度を一定としているために生じており、本実施の形態で
は、Y軸送り速度に合わせて回収モータ6Bの回転速度
を変化させるようにして、張力制御の追従遅れによる過
渡的なワイヤ電極のたるみや引っ張りの発生を防止する
ようにしている。すなわち、図9のリニアエンコーダ2
2の移動を図10に示す回収モータの速度指令に加味す
ることでY軸送りによる過渡状態を補償している。
【0055】図13(a)、(b)は、図9、図10の
構成において張力制御を行ったときの定常走行状態にお
ける張力検出値の時間波形とY軸駆動速度検出値の時間
波形である。図13(a)は図1、図2に示す張力制御
系を用いた場合、図13(b)は本実施の形態である図
9、図10の張力制御系を用いた場合である。図13
(a)では、Y軸駆動速度の時間変化の大きいところで
張力変動が大きくなっている。図13(b)ではY軸送
りを与えた場合でも張力変動はほとんど変化していな
い。
【0056】このように、機械移動速度を回収モータ速
度指令値から差し引いて、回収ローラ6AのY軸可動部
に対する接線方向の相対速度が一定になるように回収モ
ータ6Bの速度を変化させることによって、Y軸送り時
の張力変動の過渡的変化を小さくできるので、Y軸送り
時の張力変動に起因する加工時の筋付き、ワイヤ電極の
断線を防止できる。
【0057】実施の形態5.実施の形態5におけるワイ
ヤ放電加工機と張力制御装置の全体構成の別の例を図1
4、図15に示す。図14、図15において、図1、図
2と同一部分には同符号を付し、相違点を説明する。図
14では、ワイヤ放電加工機の構成を示し、ここではN
C装置9から張力制御装置12へ送られる信号としてワ
イヤ電極諸元データを追加している。このワイヤ電極諸
元データは、例えば使用するワイヤ電極1の線径及び種
類、加工の種類や目的等である。そしてこのワイヤ電極
諸元データに応じた張力がワイヤ電極1に付与されるよ
うになっている。
【0058】図15は、張力制御装置12の詳細ブロッ
ク図の構成例である。図15において、ブロック24は
NC装置9からのワイヤ電極諸元データ(例えば線種や
線径)に基づいて、PI制御器14へPI制御ゲインを
出力する張力制御ゲイン決定処理部である。
【0059】NC装置9からのワイヤ電極情報は、通
常、NC画面からの入力や外部設定スイッチ、プログラ
ムなどによってユーザからNC装置へ与えるようにして
いる。また、その他の手段として、外部のセンサによっ
て測定されるワイヤの色、反射率、ワイヤの曲げ剛性、
ワイヤの形状などの情報からワイヤ電極の種別を識別す
るようにしてもよい。張力制御ゲイン決定処理部24に
おけるPI制御ゲインの出力は、予め記憶させておいた
関数あるいはデータベースによって決定し、出力するよ
うにしている。PI制御器14は、張力制御ゲイン決定
処理部24から出されたPI制御ゲインを用いて張力制
御信号を演算し、出力するようにしている。このように
すれば、図20の従来の装置にあるような、例えばノッ
チフィルタの遮断周波数を決定するためのFFT周波数
分析処理が不要となる。
【0060】FFT動作が不要になる利点は次のとおり
である。従来の張力制御装置のように、ノッチフィルタ
の周波数の決定をワイヤの固有振動数をFFTなどの周
波数分析を用いて決定するような場合、工場の環境が悪
い場合には、電磁ノイズや電源の基本高調波などによる
誤動作を発生することは前述したとおりである。本実施
の形態では、NC装置9からの諸元データ(情報)に基
づいてPI制御ゲインを変更するようにしているのでこ
のような誤動作は防止できる。また、従来の張力制御装
置では、FFT周波数分析のためのデータを得るために
ワイヤ電極1を走行させる必要があり、例えばφ0.0
3mmのワイヤ電極のような二百グラム程度の張力で破
断してしまうような電極では、周波数分析のためのデー
タを得るためにワイヤを走行させた時点で破断してしま
うことも前述したとおりである。本実施の形態では、制
御パラメータを決定するためのワイヤ電極の走行動作は
不要であるので、このような問題は生じない。
【0061】なお、本実施の形態においては、張力制御
ゲイン決定処理部24におけるPI制御ゲインは、ワイ
ヤ線種、ワイヤ線径の変化に対して張力制御系の開ルー
プ伝達特性における交差周波数がワイヤ固有振動数の1
/5以下になるように決定しており、共振ピークが張力
フィードバック制御によって増大するのを防止してい
る。
【0062】ワイヤ電極1の線径およびその線種によっ
て変化する固有振動数に応じて、制御ゲインの変更につ
いて説明する。図14、図15の張力制御装置12にφ
0.25mm、BS(黄銅)のワイヤ電極1を走行させ
たときの張力検出器10の出力を測定した結果を図16
に示す。図16(a)は、PI制御器14の制御ゲイン
を零にした状態で回収モータ6Bのみを速度制御し、ワ
イヤ電極1を走行させたときの張力検出器10の出力波
形である。図示のようにブレーキモータ4Bの回転に同
期した張力変動131gが生じている。この張力変動は
ブレーキモータ4Bのモータ軸の偏芯によって生じる回
転速度変動によって生じているものと思われる。図16
(b)は、固有振動数30Hz以上に対して図17に示
すような制御帯域幅5Hzの張力フィードバックループ
の周波数応答特性を持つようにPI制御器14の制御ゲ
インを設定した場合である。ここでは、図16(a)に
対して、約1/20に張力変動を低減できている。
【0063】次に、φ0.03mm、SP(高張力鋼)
のワイヤ電極1を走行させたときの、張力制御系の張力
指令値から張力検出器出力までの周波数伝達特性を測定
した結果を図18に示す。φ0.03mm、SPのワイ
ヤ電極を用いた場合、共振周波数が12Hz程度にある
が、張力フィードバックループの交差周波数を固有振動
数の1/5以下になるようにPI制御ゲインをあらかじ
め設定することで、共振ピークは−20dB以下に小さ
く抑えられる。逆に、張力フィードバックループの交差
周波数を固有振動数に接近させた場合には、12Hzの
共振ピークが大きくなり、張力変動が大きくなる。
【0064】図19はφ0.03mm、SPのワイヤ電
極に対して、PI制御器14に図16の場合と同じPI
制御ゲインを与え、実際にワイヤ電極を走行させたとき
の張力検出値Twと回収モータ速度指令V*の実測結果
である。図16のφ0.25mm、BSのワイヤ電極の
ときよりも張力フィードバックループの制御帯域幅を小
さくしたにも拘らず、振動を生じることなくワイヤ電極
の張力をほぼ一定に制御できている。
【0065】以上のように、φ0.03mm、SPのワ
イヤ電極を用いた場合の共振周波数12Hzの共振ピー
クを大きくしないように張力フィードバックループの制
御帯域幅を小さくした場合においても、図16(b)の
場合と同等以上に張力変動を低減できる理由は次のとお
りである。
【0066】上述のように、ワイヤ張力変動は、ブレー
キモータ4Bの回転速度が変動することによってブレー
キプーリ4Aと回収プーリ6Aとの間のワイヤ送り量の
差Δθが発生することで生じる。このときのワイヤ張力
変動量ΔTwはワイヤ送り量の差Δθとワイヤ電極のば
ね定数kwとの積で与えられる。ブレーキモータ4Bの
回転速度変動は、ブレーキモータ4Bの速度をフィード
バックしているので、ワイヤ電極の線径が変化しても速
度変動幅はあまり変わらない。また、ワイヤ電極のばね
定数kwはワイヤ電極の線径の2乗に比例して小さくな
ることから、ワイヤ電極の線径が細くなるほどブレーキ
モータ4Bの回転速度変動の影響が張力変動に生じにく
くなる。張力制御系の張力変動の大きさは張力検出値の
フィードバック制御を用いているので、PI制御器14
のゲインの大きさに反比例することから、ワイヤ電極の
線径を細くする影響の方が制御ゲインを小さくする影響
よりも大きい。
【0067】例えば、図17、18に示すようなφ0.
03mmのワイヤ電極を走行させた場合において、PI
制御器14のゲインをφ0.25mmのときの1/5に
小さくしても、ワイヤ電極のばね定数が約1/70に小
さくなるので、φ0.03mmのワイヤ電極の走行時に
生じる張力変動量は図16(b)に示したよりも同等以
上に低減できる。
【0068】以上のように、張力制御系の開ループ伝達
特性における交差周波数がワイヤ電極の固有振動数の1
/5以下に設定するように張力制御ゲインを与えること
によって、固有振動数と張力制御応答周波数の接近によ
るワイヤ走行系の固有振動数における共振ピークの増大
を防止できるので、ワイヤ電極の線径に関わらず張力変
動の小さいワイヤ電極の走行が実現できる。これによっ
て、信頼性の高いワイヤ張力制御装置が得られるという
効果がある。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、張力検出信号と張力検出信号、張力設定値および張
力制御開始信号に基づいて生成される張力指令信号とを
差動・増幅演算して得た張力制御信号にワイヤ速度指令
信号と速度検出信号とを増幅・差動演算して得た信号を
加算処理し、この結果をブレーキモータのサーボドライ
バへの電流指令として与え、張力指令信号を張力制御開
始時のワイヤ電極の初期値として、予め設定しておいた
張力制御開始からの時間幅および増加パターンで張力設
定値まで到達するようにしたことにより、張力指令信号
をワイヤ電極の張力制御開始時の張力から張力制御帯域
幅よりも遅い時定数で張力設定値に到達する張力指令値
とすることによって、張力制御起動時のワイヤ電極の張
力のオーバーシュートの発生を防止できる。制御開始時
の過剰な張力が生じないので、φ0.1mm以下の極細
線ワイヤ電極を用いた場合において特に顕著に張力制御
起動時の断線を防止できる。
【0070】つぎの発明によれば、回収モータの回収動
作をブレーキ部でのブレーキモータの張力制御が張力設
定値に到達するまでに開始させるようにしたことによ
り、張力制御の起動と回収モータの起動とをほぼ同時に
開始することで、張力制御開始から加工開始までの時間
が短縮でき、全体の加工時間を短縮できる効果がある。
【0071】つぎの発明によれば、張力指令信号を、張
力検出信号とNC装置からの張力設定値とを張力制御開
始信号によって切り換える信号切り換え手段と、この信
号切り換え手段からの出力信号を波形処理するフィルタ
手段と、を用いて生成するようにしたことにより、ブレ
ーキ装置への張力指令信号を、張力制御応答時定数以下
の時定数を持つローパスフィルタによって生成すること
で、張力制御開始時のワイヤ電極の張力のオーバーシュ
ートの発生を防止できる。また、ハードウェア、ソフト
ウェアの両方で構成可能であり、例えば、NC装置から
張力制御装置への指令信号がアナログ回路で構成されて
いる場合、1個のアナログスイッチと1個の抵抗と1個
のコンデンサの追加のみというような簡単かつ低コスト
の構成で実現できる利点がある。
【0072】つぎの発明によれば、張力制御開始信号に
基づいて張力制御開始時の張力検出信号である初期張力
とNC装置からの張力設定値とを切り替える信号切り換
え手段を有し、この信号切り替え手段の出力信号から電
流指令値までの伝達関数が、張力検出信号からブレーキ
モータへの電流指令値までの伝達関数と張力フィードバ
ックループの交差周波数よりも低い遮断周波数を有する
波形処理用のフィルタの伝達関数との積になるように構
成したことにより、ブレーキ装置への張力指令信号を、
張力制御応答時定数以下の時定数を持つローパスフィル
タによって生成することで、張力制御開始時のワイヤ電
極の張力のオーバーシュートの発生を防止できる。ま
た、ハードウェア、ソフトウェアの両方で構成可能であ
り、例えば、NC装置から張力制御装置への指令信号が
アナログ回路で構成されている場合、1個のアナログス
イッチと1個の抵抗と1個のコンデンサの追加のみとい
うような簡単かつ低コストの構成で実現できる利点があ
る。
【0073】つぎの発明によれば、被加工体とワイヤ電
極との間の相対位置の変化を検出し、この検出した情報
に基づいて回収モータへの速度指令を生成するようにし
たことにより、回収部とブレーキ部の相対距離が被加工
体及びワイヤ電極間の位置決めによって変化するような
ワイヤ放電加工機においては、位置決め時の回収部とブ
レーキ部の相対距離の急峻な変化があったとしても、回
収部の動きを上記相対距離の変化に応じて速度を変化さ
せることで、ワイヤ電極の引っ張りやたるみを低減でき
るので、断線、加工時の筋つきを防止できる利点があ
る。
【0074】つぎの発明によれば、NC装置から与えら
れるワイヤ電極の諸元に基づいて、張力制御信号を生成
する張力制御ゲインを決定するようにしたことにより、
ユーザがNC装置に与えたワイヤ電極の線径や材質など
の情報から張力制御ゲインを決定するようにしているの
で、常に適正な制御ゲインによる運転が可能であり、工
場内の電気ノイズによるFFTの誤動作も無くなり、従
来より安定したワイヤ張力制御装置が構成できる利点が
ある。
【0075】つぎの発明によれば、張力制御ゲインを、
張力制御系の開ループ伝達特性の交差周波数がワイヤ走
行系の固有振動数の1/5以下になるように与えたこと
により、張力制御系の開ループ伝達特性における交差周
波数がワイヤ電極の固有振動数の1/5以下に設定する
ように張力制御ゲインを与えているので、十分な位相余
裕とゲイン余裕が確保でき、従来の装置に比べて固有振
動数推定誤差による性能劣化がなく、固有振動数の数H
zの変動に対しても従来装置よりは性能劣化の程度を少
なくできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1にかかるワイヤ放電
加工機を示す構成図である。
【図2】 図1に示した張力制御装置を示すブロック図
である。
【図3】 図2に示した指令値生成処理部での張力指令
信号のフローチャートである。
【図4】 張力検出特性図である。
【図5】 図2に示した指令値生成処理部での速度指令
値のフローチャートである。
【図6】 張力及びモータ速度の各特性図である。
【図7】 この発明の実施の形態2にかかる指令値生成
処理部を示す構成図である。
【図8】 この発明の実施の形態3にかかる張力制御装
置示す構成図である。
【図9】 この発明の実施の形態4にかかるワイヤ放電
加工機を示す構成図である。
【図10】 図10に示した張力制御装置を示すブロッ
ク図である。
【図11】 Y軸駆動を説明する構成図である。
【図12】 Y軸送り方向の説明図である。
【図13】 Y軸駆動に対する張力検出波形図である。
【図14】 この発明の実施の形態5にかかるワイヤ放
電加工機を示す構成図である。
【図15】 図14に示した張力制御装置を示すブロッ
ク図である。
【図16】 張力変動を表す波形図である。
【図17】 PI制御器のゲイン及び位相特性図であ
る。
【図18】 PI制御器のゲイン及び位相特性図であ
る。
【図19】 張力及びモータ速度の各特性図である。
【図20】 従来例にかかるワイヤ放電加工機を示す構
成図である。
【図21】 従来例の張力制御装置を示すブロック図で
ある。
【符号の説明】
4 ブレーキ部、6 回収部、9 NC装置、10 張
力検出器、12 張力制御装置、13 指令値生成処理
部、14 PI制御器、15、16 増幅器、17、1
9 スイッチ、18、20、21 フィルタ、22 リ
ニアエンコーダ、24 張力ゲイン決定処理部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 久 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 種田 淳 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 3C059 AA01 AB05 CB18 CF03 CH09 DA06 FB05

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキ部のブレーキモータの速度検出
    信号とワイヤ電極から検出した張力検出信号、NC装置
    からの張力設定値及び張力制御開始信号とに基づいて生
    成されるブレーキ部のブレーキモータの電流指令により
    回収部の回収モータの速度指令に対して張力制御を行い
    つつブレーキ部と回収部間で張力を付与した状態で一対
    の位置決めガイド間にワイヤ電極を走行させるワイヤ放
    電加工機のワイヤ張力制御装置において、 張力検出信号と張力検出信号、張力設定値および張力制
    御開始信号に基づいて生成される張力指令信号とを差動
    ・増幅演算して得た張力制御信号にワイヤ速度指令信号
    と速度検出信号とを増幅・差動演算して得た信号を加算
    処理し、この結果をブレーキモータのサーボドライバへ
    の電流指令として与え、張力検出信号を張力制御開始時
    のワイヤ電極の初期値として、予め設定しておいた張力
    制御開始からの時間幅および増加パターンで張力設定値
    まで到達するようにしたことを特徴とするワイヤ張力制
    御装置。
  2. 【請求項2】 回収モータの回収動作をブレーキ部での
    ブレーキモータの張力制御が張力設定値に到達するまで
    に開始させるようにしたことを特徴とする、請求項1に
    記載のワイヤ張力制御装置。
  3. 【請求項3】 張力指令信号を、張力検出信号とNC装
    置からの張力設定値とを張力制御開始信号によって切り
    換える信号切り換え手段と、この信号切り換え手段から
    の出力信号を波形処理するフィルタ手段と、を用いて生
    成するようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の
    ワイヤ張力制御装置。
  4. 【請求項4】 張力制御開始信号に基づいて張力制御開
    始時の張力検出信号である初期張力とNC装置からの張
    力設定値とを切り替える信号切り換え手段を有し、この
    信号切り替え手段の出力信号から電流指令値までの伝達
    関数が、張力検出信号からブレーキモータへの電流指令
    値までの伝達関数と張力フィードバックループの交差周
    波数よりも低い遮断周波数を有する波形処理用のフィル
    タの伝達関数との積になるように構成したことを特徴と
    する、請求項1に記載のワイヤ張力制御装置。
  5. 【請求項5】 被加工体とワイヤ電極との間の相対位置
    の変化を検出し、この検出した情報に基づいて回収モー
    タへの速度指令を生成するようにしたことを特徴とす
    る、請求項1に記載のワイヤ張力制御装置。
  6. 【請求項6】 NC装置から与えられるワイヤ電極の諸
    元に基づいて、張力制御信号を生成する張力制御ゲイン
    を決定するようにしたことを特徴とする、請求項1に記
    載のワイヤ張力制御装置。
  7. 【請求項7】 張力制御ゲインを、張力制御系の開ルー
    プ伝達特性の交差周波数がワイヤ走行系の固有振動数の
    1/5以下になるように与えたことを特徴とする、請求
    項6に記載のワイヤ張力制御装置。
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