JP2003252836A - 光学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノール又はその塩の製造方法 - Google Patents

光学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノール又はその塩の製造方法

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JP2003252836A
JP2003252836A JP2002054768A JP2002054768A JP2003252836A JP 2003252836 A JP2003252836 A JP 2003252836A JP 2002054768 A JP2002054768 A JP 2002054768A JP 2002054768 A JP2002054768 A JP 2002054768A JP 2003252836 A JP2003252836 A JP 2003252836A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学活性なトランス−2−アミノシクロアル
カノール又はその誘導体を取扱いやすい原料を用いて工
業的に効率よく製造する。 【解決手段】 本発明の光学活性なトランス−2−アミ
ノシクロアルカノール又はその塩の製造方法は、下記式
(1) 【化1】 (式中、環Zは炭素数3〜8のシクロアルカン環を示
す)で表されるシクロアルケンオキシドと、下記式
(2) 【化2】 (式中、Arはアリール基を示し、R1は水素原子又は
炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるアミンと
を、ルイス酸及び光学活性な配位子の存在下で反応させ
て、下記式(3a)又は(3b) 【化3】 (式中、環Z、Ar及びR1は前記に同じ)で表される
光学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノール誘
導体又はその塩を得、次いでこれを還元反応に付して、
下記式(4a)又は(4b) 【化4】 (式中、環Zは前記に同じ)で表される化合物又はその
塩を得ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬などの
ファインケミカルの中間体などとして有用な光学活性な
トランス−2−アミノシクロペンタノール等のトランス
−2−アミノシクロアルカノール又はその塩の製造方
法、ならびに光学活性なトランス−2−アミノシクロア
ルカノール誘導体の精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トランス−2−アミノシクロアルカノー
ル類の製造法として、例えばSynth. Commun., 1992年、
第3003-3012頁や、J. Org. Chem., 1985年、第4154-415
5頁には、シクロペンテンオキシドをトリメチルアルミ
ニウム存在下で(R)−α−メチルベンジルアミンと反
応させることによりトランス−2−アミノシクロペンタ
ノールを得る方法が開示されている。しかし、この方法
では、反応における立体選択性が低く、高い光学純度を
有する目的化合物を得るには精製工程に問題があること
から、工業的に有利な方法とはいえない。
【0003】Biosci. Biotechnol. Biochem. 1999年、
第2150-2156頁には、シクロペンテンオキシドをアジ化
ナトリムによりアジド化した後、リパーゼにより光学活
性なアジド化合物を得る方法が開示されている。また、
J. Org. Chem., 1997年、第4197-4199頁には、シクロペ
ンテンオキシドを光学活性な配位子の存在下でアジ化ト
リメチルシリルと反応させて光学活性なアジド化合物を
得る方法が開示されている。このアジド化合物はアミノ
化合物に変換可能である。しかし、これらの方法は、取
扱いに注意を要するアジド化合物を製造する必要がある
ので、工業的に有利な方法とはいえない。
【0004】さらに、Tetrahedron : Asymmetry, 1999
年、第473-486頁、Tetrahedron, 1991年、第4941-4958
頁には、β−ケトアミドやβ−ケトエステルをMortiere
lla isabellinaやBaker's yeastを用いてバイオ還元
し、光学活性なヒドロキシアミド、ヒドロキシ酸を得た
後、転位反応を行い光学活性なトランス−2−アミノシ
クロペンタノールを得る方法が報告されている。しか
し、この方法は、転位反応においてアジド化合物や水銀
系の試薬を使用するため、やはり工業的に有利な方法と
はいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、光学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノー
ル又はその誘導体を取扱いやすい原料を用いて工業的に
効率よく製造できる方法を提供することにある。本発明
の他の目的は、光学純度の高いトランス−2−アミノシ
クロアルカノールやその誘導体を簡易に製造できる方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意検討の結果、シクロアルケンオキ
シド(1,2−エポキシシクロアルカン)と特定のアミ
ンとを特定の化合物の存在下で反応させた後、還元反応
に付すと、光学活性なトランス−2−アミノシクロアル
カノール又はその塩を簡易に効率よく製造できることを
見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、下記式(1)
【化9】 (式中、環Zは炭素数3〜8のシクロアルカン環を示
す)で表されるシクロアルケンオキシドと、下記式
(2)
【化10】 (式中、Arはアリール基を示し、R1は水素原子又は
炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるアミンと
を、ルイス酸及び光学活性な配位子の存在下で反応させ
て、下記式(3a)又は(3b)
【化11】 (式中、環Z、Ar及びR1は前記に同じ)で表される
光学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノール誘
導体又はその塩を得、次いでこれを還元反応に付して、
下記式(4a)又は(4b)
【化12】 (式中、環Zは前記に同じ)で表される化合物又はその
塩を得ることを特徴とする光学活性なトランス−2−ア
ミノシクロアルカノール又はその塩の製造方法を提供す
る。
【0008】前記式(2)で表されるアミンとして、ベ
ンジルアミン、α−フェネチルアミンなどが挙げられ
る。ルイス酸にはチタニウムテトラアルコキシドなどが
含まれる。光学活性な配位子として1,1′−ビ−2−
ナフトールなどが挙げられる。
【0009】本発明は、また、前記式(3a)又は(3b)
で表される光学活性なトランス−2−アミノシクロアル
カノール誘導体を下記式(5) HX (5) (式中、Hは水素原子、HXはプロトン酸を示す)で表
される酸と反応させて、下記式(6a)又は(6b)
【化13】 (式中、環Z、Ar、R1及びHXは前記に同じ)で表
される光学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノ
ール誘導体の塩とし、次いでこの塩を再結晶することに
より光学純度を向上させることを特徴とする光学活性な
トランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体の精製
方法を提供する。
【0010】本発明は、さらに、前記式(3a)又は(3
b)で表される光学活性なトランス−2−アミノシクロ
アルカノール誘導体又はその塩を還元反応に付して、前
記式(4a)又は(4b)で表される化合物又はその塩を得
ることを特徴とする光学活性なトランス−2−アミノシ
クロアルカノール又はその塩の製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の方法において、式(1)
中、環Zは炭素数3〜8のシクロアルカン環を示す。具
体的には、環Zはシクロプロパン環、シクロブタン環、
シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン
環又はシクロオクタン環を示す。これらの中でも、シク
ロペンタン環又はシクロヘキサン環、特にシクロペンタ
ン環が好ましい。
【0012】式(2)中、Arで表されるアリール基と
しては、例えば、フェニル基、ナフチル基などの芳香族
炭化水素基;ピリジル基などの芳香族複素環式基が挙げ
られる。アリール基における芳香族性環は置換基を有し
ていてもよい。該置換基としては、反応を損なわないも
のであれば特に限定されず、例えば、ハロゲン原子(フ
ッ素、塩素、臭素原子など)、アルキル基(例えば、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−
ブチル、ペンチル、ヘキシル基などのC1-6アルキル基
など)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基な
ど)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プ
ロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、
ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などのC1-6アルコ
キシ基など)、ニトロ基、シアノ基、保護基で保護され
ていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていて
もよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボ
キシル基(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニ
ル基など)、複素環式基などが挙げられる。前記保護基
としては有機合成の分野で慣用の保護基が挙げられる。
【0013】R1における炭素数1〜3のアルキル基と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基が挙げられる。
【0014】式(2)で表されるアミンの代表的な例と
して、例えば、ベンジルアミン、α−フェネチルアミン
(=α−メチルベンジルアミン)、(R)−α−フェネ
チルアミン、(S)−α−フェネチルアミン、1−(1
−ナフチル)エチルアミン、(R)−1−(1−ナフチ
ル)エチルアミン、(S)−(1−ナフチル)エチルア
ミンなどが挙げられる。これらの中でも、(R)−α−
フェネチルアミン、(S)−α−フェネチルアミンなど
の光学活性なアミンが好ましい。光学活性なアミンを用
いると、式(3a)で表される化合物と式(3b)で表され
る化合物とがジアステレオマーの関係となるので、式
(3a)又は(3b)で表される光学活性なトランス−2−
アミノシクロアルカノール誘導体又はその塩の光学純度
を再結晶などにより容易に高めることができるという利
点がある。
【0015】前記ルイス酸とは、電子対を持つ原子(本
発明においては、式(1)のエポキシ酸素)の該電子対
を受け入れることが可能な原子、イオン、原子団を有す
る化合物を言い、反応原料の種類などに応じて適宜選択
使用できる。ルイス酸の代表的な例として、塩化マグネ
シウムなどのマグネシウム化合物;テトライソプロポキ
シチタン等のチタニウムテトラアルコキシド、四塩化チ
タンなどのチタン化合物;テトラプロポキシジルコニウ
ム等のジルコニウムテトラアルコキシド、塩化ジルコニ
ウム、フッ化ジルコニウム、硫化ジルコニウムなどのジ
ルコニウム化合物;塩化鉄などの鉄化合物;塩化銅など
の銅化合物;塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛などの亜
鉛化合物;臭化ホウ素、塩化ホウ素、フッ化ホウ素など
のホウ素化合物;塩化アルミニウム、臭化アルミニウ
ム、アルキルアルミニウム、塩化アルキルアルミニウ
ム、アルコキシアルミニウムなどのアルミニウム化合
物;塩化スズなどのスズ化合物などが挙げられる。これ
らの中でも、テトライソプロポキシチタン等のチタニウ
ムテトラアルコキシドなどのチタン化合物が好ましい。
【0016】式(3a)又は(3b)で表される光学活性な
トランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体又はそ
の塩の生成反応においては、ルイス酸の使用量は、その
種類、反応様式、反応速度などに応じて、例えば、式
(1)で表されるシクロアルケンオキシド1モルに対し
て、0.01〜1.0モル程度の広い範囲から選択で
き、通常、0.01〜0.1モル程度、好ましくは0.
025〜0.1モル程度である。
【0017】光学活性な配位子としては、前記ルイス酸
の中心原子(錯体の中心原子となる)に単座配位又は多
座配位結合可能な原子団を含むキラルな化合物であれば
よく、前記ルイス酸の種類等に応じて適宜選択使用でき
る。好ましい配位子には二座配位子が含まれる。光学活
性な二座配位子としては、例えば、1,1′−ビ−2−
ナフトール、酒石酸、酒石酸エステル(酒石酸ジメチル
エステル、酒石酸ジエチルエステル、酒石酸ジプロピル
エステルなど)、トランス−(2,2−ジメチル−1,
3−ジオキソラン−4,5−ジイル)−ビス(ジフェニ
ルエタノール)、1,6−ビス(2−クロロフェニル)
−1,6−ジフェニル−2,4−ヘキサジイン−1,6
−ジオールなどの光学活性体が挙げられる。これらの中
でも、1,1′−ビ−2−ナフトールの光学活性体が特
に好ましい。
【0018】式(3a)又は(3b)で表される光学活性な
トランス−2−アミノシクロペンタノール誘導体又はそ
の塩の生成反応においては、光学活性な配位子の割合
は、配位子の種類、反応様式、反応速度などに応じて、
例えば、式(1)で表されるシクロアルケンオキシド1
モルに対して、0.01〜1.0モル程度の広い範囲か
ら選択でき、通常、0.01〜0.1モル程度、好まし
くは0.025〜0.1モル程度である。
【0019】前記ルイス酸と光学活性な配位子とは、そ
れぞれ別個に反応系に添加してもよく、ルイス酸と光学
活性な配位子との混合物を反応系に添加してもよい。ま
た、ルイス酸と光学活性な配位子とが反応する場合に
は、予め両者を反応させた反応生成物を反応系に加えて
もよい。
【0020】式(1)で表されるシクロアルケンオキシ
ドと式(2)で表されるアミンとの反応は、溶媒の存在
下又は非存在下で行われる。溶媒は、反応の進行を阻害
せず、かつ反応成分を溶解するものであれば特に制限は
なく、例えばエーテル類(1,4−ジオキサン、テトラ
ヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、t−ブチルメチルエーテル、ジブチルエーテルな
どの環状又は鎖状エーテル)、ニトリル類(アセトニト
リル、ベンゾニトリルなど)、スルホキシド類(ジメチ
ルスルホキシドなど)やスルホラン等のイオウ原子含有
溶媒、脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘキサン、オクタン
など)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエンなど)、
脂環式炭化水素(シクロヘキサンなど)、ハロゲン含有
化合物(塩化メチレン、クロロホルム、ブロモホルム、
クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化
水素など)、これらの混合溶媒等が使用できる。溶媒の
量は特に限定されず、反応に用いる成分(例えば、光学
活性な配位子など)が溶解できればよく、式(1)で表
されるシクロアルケンオキシド1重量部に対して、例え
ば、1〜1000重量部程度の範囲から選択できる。
【0021】反応は、通常、常圧〜500気圧(0.1
〜50MPa)、好ましくは常圧〜100気圧(0.1
〜10MPa)、さらに好ましくは常圧〜10気圧
(0.1〜1MPa)程度で行われる。また、必要であ
れば、装置又は操作の点から、減圧下で反応を行っても
よい。反応温度は、反応条件において系の融点以上沸点
以下であれば、特に制限されず、例えば、−30℃〜2
00℃、好ましくは−10℃〜100℃であり、さらに
好ましくは0〜50℃程度である。反応は、バッチ式、
セミバッチ式、連続式などの慣用の方式で行うことがで
きる。
【0022】上記方法によれば、シス−2−アミノシク
ロアルカノール誘導体の副生が顕著に抑制され、トラン
ス−2−アミノシクロアルカノール誘導体が優先的に生
成するだけでなく、ルイス酸と光学活性な配位子の作用
により、トランス−2−アミノシクロアルカノール誘導
体の2種の立体異性体[式(3a)で表される化合物及び
式(3b)で表される化合物]のうち一方の立体異性体が
優先的に生成する。また、前記配位子の立体配置に応じ
て、望む立体配置のトランス−2−アミノシクロアルカ
ノール誘導体を作りわけることができる。
【0023】生成した式(3a)又は(3b)で表される光
学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノール誘導
体は、必要に応じて酸と反応させて塩とした後、例え
ば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、イオン交換、電気透析、
晶析、再結晶、吸着、膜分離、遠心分離、クロマトグラ
フィー(カラムクロマトグラフィー等)などの分離精製
手段やこれらの組み合わせにより分離精製できる。ま
た、遊離のトランス−2−アミノシクロアルカノール誘
導体を精製した後、酸と反応させて塩とし、さらに精製
することもできる。これらの精製操作により、化学純度
や光学純度をさらに向上できる。
【0024】トランス−2−アミノシクロアルカノール
誘導体の塩の形成に用いる酸としては、鉱酸、有機酸な
どのプロトン酸が使用できる。鉱酸としては、例えば、
塩酸、硫酸、リン酸などが挙げられる。有機酸として
は、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマ
ル酸、酒石酸、クエン酸などのカルボン酸;メタンスル
ホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸など
が例示される。酸は光学活性体であってもよい。好まし
い酸には、塩酸等の鉱酸が含まれる。遊離のトランス−
アミノシクロアルカノール誘導体と酸との反応は、通
常、エタノール等の適宜な溶媒中、例えば0〜50℃程
度の温度で行われる。
【0025】本発明の好ましい態様では、前記式(3a)
又は(3b)で表される光学活性なトランス−2−アミノ
シクロアルカノール誘導体を式(5)で表される酸と反
応させて、式(6a)又は(6b)で表される光学活性なト
ランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体の塩と
し、次いでこの塩を再結晶する。この方法により、光学
純度の高い塩[式(6a)又は(6b)で表される光学活性
なトランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体の
塩]が得られる。また、この塩を塩基性化合物を用いて
遊離化することにより、光学純度の高い式(3a)又は
(3b)で表される光学活性なトランス−2−アミノシク
ロアルカノール誘導体を得ることができる。このような
光学純度の高い光学活性なトランス−2−アミノシクロ
アルカノール誘導体又はその塩を次の還元反応に供する
ことにより、光学純度の高い光学活性なトランス−2−
アミノシクロアルカノール又はその塩を得ることができ
る。
【0026】前記式(5)で表されるプロトン酸として
は前記例示の酸を使用できる。生成した塩を再結晶する
際の溶媒としては、前記塩の種類等に応じて、例えば、
前記例示の溶媒、アルコール(メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノー
ルなど)、エステル(酢酸エチルなど)、水、及びこれ
らの混合溶媒などの中から適宜選択使用できる。好まし
い再結晶溶媒として、メタノール等のアルコールと、t
−ブチルメチルエーテル等のエーテル(特に鎖状エーテ
ル)との混合溶媒などが挙げられる。再結晶操作は慣用
の方法に従って行うことができる。
【0027】式(3a)又は(3b)で表される光学活性な
トランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体又はそ
の塩の還元(水素化分解)は、溶媒の存在下又は非存在
下で行われる。還元に供する反応原料としては、光学活
性なトランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体の
塩が好ましい。溶媒としては、反応成分の種類や還元剤
の種類等に応じて適宜選択でき、式(1)で表されるシ
クロアルケンオキシドと式(2)で表されるアミンとの
反応における溶媒として例示したもののほか、アルコー
ル(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、プロパノール、ブタノールなど)、エステル(酢酸
エチルなど)、水及びこれらの混合溶媒などが挙げられ
る。
【0028】還元剤としては、窒素原子に結合したいわ
ゆるベンジル基を還元的に分解可能な還元剤であればよ
いが、一般に水素が用いられる。水素を用いた接触水素
化反応は遷移金属触媒存在下で行われる。
【0029】遷移金属触媒の金属種としては、例えば、
ロジウム、ルテニウム、白金、パラジウム、ニッケル、
鉄等が使用できる。遷移金属触媒は、通常、前記金属単
体又は金属元素で構成された金属化合物又は錯体(錯塩
を含む)として使用する。
【0030】金属化合物としては、金属塩[無機酸塩、
例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸との塩(炭酸
塩、炭酸水素塩など)、リン酸との塩(リン酸塩、リン
酸水素塩、リン酸二水素塩など)、ホウ酸塩など;有機
酸塩、例えば、カルボン酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、乳酸
塩、シュウ酸塩、ナフテン酸塩などの脂肪酸塩;チオシ
アン酸塩など)]、ハロゲン化物(塩化物、臭化物な
ど)などが例示できる。
【0031】錯体としては、前記金属元素又は前記金属
化合物などに配位子が配位した錯体などが例示できる。
配位子としては、ホスフィン(例えば、トリn−ブチル
ホスフィンなどのトリアルキルホスフィン;トリフェニ
ルホスフィンなどのトリアリールホスフィン)などのリ
ン化合物、ニトリル、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ
ル基(メトキシ、エトキシ基など)、アシル基(アセチ
ル、プロピオニル基など)、アルコキシカルボニル基
[メトキシカルボニル(アセタト)、エトキシカルボニ
ル基など]、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニ
ル基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子など)、C
O、酸素原子、H2O(アコ)、窒素含有化合物(例え
ば、NH3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO
3(ニトラト)、エチレンジアミン、ピリジン、フェナ
ントロリンなど)などが例示できる。錯体又は錯塩にお
いて、同種又は異種の配位子は一種又は二種以上配位し
ていてもよい。前記金属又は金属化合物と配位子は適当
に組み合わせて錯体を構成できる。
【0032】前記遷移金属触媒は、均一系触媒であって
もよく、不均一系触媒であってもよい。また、担体に触
媒成分が担持された固体触媒であってもよい。担体とし
ては、活性炭、ゼオライト、シリカ(シリカゲルな
ど)、アルミナ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなど
の多孔質担体などが例示できる。
【0033】遷移金属触媒として、特にパラジウム化合
物(パラジウム単体を含む)が好ましい。パラジウム化
合物としては、金属パラジウム(パラジウムブラックな
ど)、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウ
ム、アセチルアセトナトパラジウム(II)、テトラアン
ミンパラジウム(II)塩化物、ビス(エチレンジアミ
ン)パラジウム(II)塩化物、テトラクロロパラジウム
(II)酸カリウム、テトラニトロパラジウム(II)酸カ
リウム、ジクロロビス(トリアルキルホスフィン)パラ
ジウム(II)、ジメチルビス(トリエチルホスフィン)
パラジウム(II)、ビスシクロペンタジエニルパラジウ
ム(II)、トリカルボニルシクロペンタジエニルパラジ
ウム(I)、ジクロロ−μ−ビス[ビス(ジメチルホス
フィノ)メタン]二パラジウム(I)、テトラキス(ト
リフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリ
シクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、テトラ
キス(トリエチルホスフィト)パラジウム(0)、カル
ボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(シクロオクタ−1.5−ジエン)パラジ
ウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラ
ジウム(0)などが挙げられる。好ましくはパラジウム
ブラックなどの金属パラジウム(活性炭などの担体に担
持されたものを含む)が用いられる。触媒を構成するパ
ラジウムの価数は特に制限されず、通常、0〜4価、好
ましくは0〜2価程度である。
【0034】また、例えば、2価のパラジウムと適当な
還元剤を系に添加し、系中で0価のパラジウムを発生さ
せて反応に供することもできる。適当な還元剤として
は、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンな
どのホスフィン類、ヒドラジンなどのヒドラジン類、水
素等を例示することができる。
【0035】式(3a)又は(3b)で表される光学活性な
トランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体又はそ
の塩の還元反応では、好ましくはパラジウム−カーボン
(Pd−C)と水素の組み合わせが用いられる。
【0036】遷移金属触媒の使用量は、通常、式(3a)
又は(3b)で表される光学活性なトランス−2−アミノ
シクロアルカノール誘導体又はその塩1モルに対して、
0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モ
ル、さらに好ましくは0.01〜0.2モル程度であ
る。
【0037】還元反応は、通常、常圧〜500気圧
(0.1〜50MPa)、好ましくは常圧〜100気圧
(0.1〜10MPa)、さらに好ましくは常圧〜10
気圧(0.1〜1MPa)程度で行われる。また、必要
であれば、装置又は操作の点から、減圧下で反応を行っ
てもよい。反応温度は、反応条件において、系の融点以
上沸点以下であれば特に制限されず、例えば、−30℃
〜200℃、好ましくは−10℃〜100℃であり、さ
らに好ましくは50℃〜80℃である。
【0038】還元反応は、バッチ式、セミバッチ式、連
続式などの慣用の方式により行うことができる。
【0039】反応により生成した式(4a)又は式(4b)
で表される光学活性なトランス−2−アミノシクロアル
カノール又はその塩は、濾過、濃縮、蒸留、抽出、イオ
ン交換、電気透析、晶析、再結晶、吸着、膜分離、遠心
分離、クロマトグラフィー(カラムクロマトグラフィー
など)などの分離精製手段やこれらの組み合わせにより
分離精製できる。また、遊離の光学活性なトランス−2
−アミノシクロアルカノールとその塩とは、慣用の方法
により相互に変換できる。
【0040】上記のようにして得られる光学活性なトラ
ンス−2−アミノシクロアルカノール又はその塩は、医
薬、農薬などのファインケミカルの合成中間体などとし
て有用である。
【0041】
【発明の効果】本発明の方法によれば、光学活性なトラ
ンス−2−アミノシクロアルカノール又はその誘導体を
取扱いやすい原料を用いて工業的に効率よく製造でき
る。また、光学純度の高いトランス−2−アミノシクロ
アルカノール又はその誘導体を簡易に製造できる。本発
明の方法は汎用性が高く、工業的にも有利である。
【0042】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。なお、「BINOL」は1,1′−
ビ−2−ナフトールの略号であり、「Pr−i」はイソ
プロピル基の略号である。また、下記分析において、塩
は遊離のアミンの形態で分析を行った。
【0043】NMRスペクトルは、「BRUKER A
M500」(装置名)を用い、500MHz(1H−N
MR)にて、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準
として測定した。
【0044】シクロペンタンオキシドとトランス−2−
(α−メチルベンジルアミノ)シクロペンタノールの定
量はガスクロマトグラフィーにより行った。分析条件は
以下の通りである。 カラム;J&W scientific DB-1 30.0m×0.25mm×0.25μm キャリアガス;He カラム温度;160℃→200℃、Init. 5min、10℃/min Split Ratio;1:100 Flow Rate;1.1ml/min
【0045】(1R,2R)−トランス−2−[(S)
−(α−メチルベンジル)アミノ]シクロペンタノール
と(1S,2S)−トランス−2−[(S)−(α−メ
チルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの生成比の
決定は液体クロマトグラフィーにより行った。分析条件
は以下の通りである。 カラム;Inertsil SIL 4.6×250mm 移動相;ヘキサン/エタノール=95/5、0.1%ジエチルア
ミン カラム温度;40℃ 流速;1.0ml/min
【0046】(1R,2R)−トランス−2−アミノシ
クロペンタノールの化学純度の決定はガスクロクロマト
グラフィーにより行った。分析条件は以下の通りであ
る。 カラム;J&W scientific DB-1 30.0m×0.25mm×0.25μm キャリアガス;He カラム温度;100℃ Split Ratio;1:100 Flow Rate;1ml/min
【0047】(1R,2R)−トランス−2−アミノシ
クロペンタノールの光学純度の決定はガスクロマトグラ
フィーにより行った。分析条件は以下の通りである。 カラム;CHIRALDEXTM G-PN 20m×0.25mm キャリアガス;He カラム温度;135℃ Split Ratio;1:50 Flow Rate;1ml/min
【0048】実施例1 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノール塩酸塩の製造 窒素気流下、500ml三口フラスコに(R)−BIN
OL(2.553g)とTi(OPr−i)4(2.5
35g)を加え、室温(24℃)下で10分間撹拌し
た。この溶液に(S)−(−)−α−フェネチルアミン
(43.22g)、次いで1,2−エポキシシクロペン
タン(=シクロペンテンオキシド)(30g)を加え、
室温下(24℃)24時間撹拌した。得られた混合溶液
にエタノール(30ml)を加え、次いで35重量%塩
酸水溶液(55.73g)を加え、30分間撹拌後、減
圧下溶媒を留去した。残渣にトルエン(70ml)を加
え、還流下30分間撹拌した。これを2時間かけて放冷
し、析出した結晶を濾別した。得られた結晶を乾燥する
ことにより、(1R,2R)−トランス−2−[(S)
−(α−メチルベンジル)アミノ]シクロペンタノール
塩酸塩を41.37g得た(収率48%、86%d
e)。1 H−NMR(CDCl3)δ:1.47−1.57(1
H,m),1.62−1.70(1H,m),1.78
−1.88(1H,m),1.92(3H,d,J=
6.8Hz),1.95−2.12(3H,m),2.
79−2.88(1H,m),4.23(1H,br
s.),4.64−4.73(2H,m),7.40−
7.48(3H,m),7.53−7.56(2H,
m),9.65(1H,brs.),10.16(1
H,brs.)
【0049】実施例2 (1S,2S)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノール塩酸塩の製造 窒素気流下、フラスコに(S)−BINOL(0.17
g)、Ti(OPr−i)4(0.18ml)及びヘキ
サン−トルエン(9/1)混合溶媒(1ml)を加え、室
温(24℃)下10分間撹拌した。この溶液に(S)−
(−)−α−フェネチルアミン(0.77ml)、次い
で1,2−エポキシシクロペンタン(=シクロペンテン
オキシド)(0.5g)を加え、温度40℃で24時間
撹拌した。得られた混合溶液から、実施例1の方法に準
じて、(1S,2S)−トランス−2−[(S)−(α
−メチルベンジル)アミノ]シクロペンタノール塩酸塩
を得た。
【0050】実施例3 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.17
g)、Ti(OPr−i)4(0.18ml)及びヘキ
サン−トルエン(9/1)混合溶媒(2ml)を加え、室
温(24℃)下10分間撹拌した。この溶液に(S)−
(−)−α−フェネチルアミン(0.77ml)、次い
で1,2−エポキシシクロペンタン(=シクロペンテン
オキシド)(0.5g)を加え、温度40℃で24時間
撹拌した。得られた混合溶液をGC(ガスクロマトグラ
フィー)分析したところ、(1R,2R)−トランス−
2−[(S)−(α−メチルベンジル)アミノ]シクロ
ペンタノールが40%deで生成していた。
【0051】実施例4 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.17
g)、Ti(OPr−i)4(0.18ml)及びテト
ラヒドロフラン(1ml)を加え、室温(24℃)下1
0分間撹拌した。この溶液に(S)−(−)−α−フェ
ネチルアミン(0.77ml)、次いで1,2−エポキ
シシクロペンタン(=シクロペンテンオキシド)(0.
5g)を加え、温度24℃で24時間撹拌した。得られ
た混合溶液をGC分析したところ、(1R,2R)−ト
ランス−2−[(S)−(α−メチルベンジル)アミ
ノ]シクロペンタノールが38%deで生成していた。
【0052】実施例5 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.17
g)、Ti(OPr−i)4(0.18ml)及びテト
ラヒドロフラン(1ml)を加え、室温(24℃)下1
0分間撹拌した。この溶液に(S)−(−)−α−フェ
ネチルアミン(0.77ml)、次いで1,2−エポキ
シシクロペンタン(=シクロペンテンオキシド)(0.
5g)を加え、温度40℃で24時間撹拌した。得られ
た混合溶液をGC分析したところ、(1R,2R)−ト
ランス−2−[(S)−(α−メチルベンジル)アミ
ノ]シクロペンタノールが52%deで生成していた。
【0053】実施例6 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.17
g)、Ti(OPr−i)4(0.18ml)及びテト
ラヒドロフラン(1ml)を加え、室温(24℃)下1
0分間撹拌した。この溶液に(S)−(−)−α−フェ
ネチルアミン(1.16ml)、次いで1,2−エポキ
シシクロペンタン(=シクロペンテンオキシド)(0.
5g)を加え、温度15℃で24時間撹拌した。得られ
た混合溶液をGC分析したところ、(1R,2R)−ト
ランス−2−[(S)−(α−メチルベンジル)アミ
ノ]シクロペンタノールが66%deで生成していた。
【0054】実施例7 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.17
g)、Ti(OPr−i)4(0.18ml)及びジイ
ソプロピルエーテル(1ml)を加え、室温(24℃)
下10分間撹拌した。この溶液に(S)−(−)−α−
フェネチルアミン(0.77ml)、次いで1,2−エ
ポキシシクロペンタン(=シクロペンテンオキシド)
(0.5g)を加え、温度21℃で24時間撹拌した。
得られた混合溶液をGC分析したところ、(1R,2
R)−トランス−2−[(S)−(α−メチルベンジ
ル)アミノ]シクロペンタノールが54%deで生成し
ていた。
【0055】実施例8 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.17
g)とTi(OPr−i)4(0.18ml)を加え、
室温(24℃)下10分間撹拌した。この溶液に(S)
−(−)−α−フェネチルアミン(1.16ml)、次
いで1,2−エポキシシクロペンタン(=シクロペンテ
ンオキシド)(0.5g)を加え、温度24℃で24時
間撹拌した。得られた混合溶液をGC分析したところ、
(1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールが64%de
で生成していた。
【0056】実施例9 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.68
g)とTi(OPr−i)4(0.72ml)を加え、
室温(24℃)下10分間撹拌した。この溶液に(S)
−(−)−α−フェネチルアミン(2.45ml)、次
いで1,2−エポキシシクロペンタン(=シクロペンテ
ンオキシド)(2.0g)を加え、温度24℃で24時
間撹拌した。得られた混合溶液をGC分析したところ、
(1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールが60%de
で生成していた。
【0057】実施例10 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.17
g)とTi(OPr−i)4(0.35ml)を加え、
室温(24℃)下10分間撹拌した。この溶液に(S)
−(−)−α−フェネチルアミン(0.77ml)、次
いで1,2−エポキシシクロペンタン(=シクロペンテ
ンオキシド)(0.5g)を加え、温度24℃で24時
間撹拌した。得られた混合溶液をGC分析したところ、
(1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールが38%de
で生成していた。
【0058】実施例11 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.34
g)とTi(OPr−i)4(0.18ml)を加え、
室温(24℃)下10分間撹拌した。この溶液に(S)
−(−)−α−フェネチルアミン(0.77ml)、次
いで1,2−エポキシシクロペンタン(=シクロペンテ
ンオキシド)(0.5g)を加え、温度24℃で24時
間撹拌した。得られた混合溶液をGC分析したところ、
(1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールが50%de
で生成していた。
【0059】実施例12 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに(R)−BINOL(0.04
3g)とTi(OPr−i)4(0.044ml)を加
え、室温(24℃)下10分間撹拌した。この溶液に
(S)−(−)−α−フェネチルアミン(0.77m
l)、次いで1,2−エポキシシクロペンタン(=シク
ロペンテンオキシド)(0.5g)を加え、温度24℃
で24時間撹拌した。得られた混合溶液をGC分析した
ところ、(1R,2R)−トランス−2−[(S)−
(α−メチルベンジル)アミノ]シクロペンタノールが
64%deで生成していた。
【0060】実施例13 (R)−BINOL−Ti(OPr−i)2の調製 (R)−BINOL(1.0g)をジクロロメタン(5
ml)に溶解し、これにTi(OPr−i)4(0.9
9ml)を加えて1時間攪拌した。反応混合液を減圧下
に濃縮して溶媒を留去し、赤褐色アモルファス状の
(R)−BINOL−Ti(OPr−i)2を定量的に
得た。なお、この化合物では、BINOLの2つのヒド
ロキシル基の水素原子が外れて酸素原子がチタン原子に
結合している。
【0061】実施例14 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに予め調製した(R)−BINO
L−Ti(OPr−i)2(0.538g)を入れ、こ
れに1,2−エポキシシクロペンタン(=シクロペンテ
ンオキシド)(1.0g)を加え、次いで(S)−
(−)−α−フェネチルアミン(1.53ml)を滴下
し、温度23℃で24時間撹拌した。得られた混合溶液
をGC分析したところ、(1R,2R)−トランス−2
−[(S)−(α−メチルベンジル)アミノ]シクロペ
ンタノールが44%deで生成していた。
【0062】実施例15 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノールの製造 窒素気流下、フラスコに予め調製した(R)−BINO
L−Ti(OPr−i)2(0.269g)を入れ、こ
れに(S)−(−)−α−フェネチルアミン(0.77
ml)を加え、次いで1,2−エポキシシクロペンタン
(=シクロペンテンオキシド)(0.5g)を滴下し、
温度23℃で24時間撹拌した。得られた混合溶液をG
C分析したところ、(1R,2R)−トランス−2−
[(S)−(α−メチルベンジル)アミノ]シクロペン
タノールが64%deで生成していた。
【0063】実施例16 (1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノール塩酸塩の再結
晶 窒素気流下、300mlの二口フラスコに、94%de
の(1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メ
チルベンジル)アミノ]シクロペンタノール塩酸塩(2
9.11g)と、メタノール(50ml)及びt−ブチ
ルメチルエーテル(100ml)を加え、還流下30分
間攪拌した。反応混合液を1時間かけて放冷し(溶液温
度27℃まで)、析出した結晶を濾別した。この結晶を
乾燥したところ、99.4%deの(1R,2R)−ト
ランス−2−[(S)−(α−メチルベンジル)アミ
ノ]シクロペンタノール塩酸塩が15.96g得られた
(収率55%)。
【0064】実施例17 (1R,2R)−トランス−2−アミノシクロペンタノ
ール塩酸塩の製造 500mlの二口フラスコに、実施例16で得られた
(1R,2R)−トランス−2−[(S)−(α−メチ
ルベンジル)アミノ]シクロペンタノール塩酸塩(1
5.96g、0.066mol)、エタノール(160
ml)及びdry5重量%Pd−C(1.596g)を
加え、水素雰囲気下[1atm(0.1MPa)]60
℃(バス温)で4時間撹拌した。反応混合液をセライト
濾過し、濾液を濃縮した。得られた粗結晶にエタノール
(100ml)を加えて溶解した後、ジエチルエーテル
(50ml)を加えて晶析し、(1R,2R)−トラン
ス−2−アミノシクロペンタノール塩酸塩を6.52g
得た(収率72%、99%ee)。1 H−NMR(MeOD)δ:1.57−1.64(2
H,m),1.73−1.86(2H,m),1.97
−2.05(1H,m),2.12−2.19(1H,
m),3.24−3.32(1H,m),4.07(1
H,q,J=6.4Hz)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07M 7:00 C07M 7:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 (式中、環Zは炭素数3〜8のシクロアルカン環を示
    す)で表されるシクロアルケンオキシドと、下記式
    (2) 【化2】 (式中、Arはアリール基を示し、R1は水素原子又は
    炭素数1〜3のアルキル基を示す)で表されるアミンと
    を、ルイス酸及び光学活性な配位子の存在下で反応させ
    て、下記式(3a)又は(3b) 【化3】 (式中、環Z、Ar及びR1は前記に同じ)で表される
    光学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノール誘
    導体又はその塩を得、次いでこれを還元反応に付して、
    下記式(4a)又は(4b) 【化4】 (式中、環Zは前記に同じ)で表される化合物又はその
    塩を得ることを特徴とする光学活性なトランス−2−ア
    ミノシクロアルカノール又はその塩の製造方法。
  2. 【請求項2】 式(2)で表されるアミンがベンジルア
    ミン又はα−フェネチルアミンである請求項1記載の光
    学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノール又は
    その塩の製造方法。
  3. 【請求項3】 ルイス酸がチタニウムテトラアルコキシ
    ドである請求項1又は2記載の光学活性なトランス−2
    −アミノシクロアルカノール又はその塩の製造方法。
  4. 【請求項4】 光学活性な配位子が1,1′−ビ−2−
    ナフトールである請求項1〜3の何れかの項に記載の光
    学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノール又は
    その塩の製造方法。
  5. 【請求項5】 下記式(3a)又は(3b) 【化5】 (式中、環Zは炭素数3〜8のシクロアルカン環を示
    し、Arはアリール基を示し、R1は水素原子又は炭素
    数1〜3のアルキル基を示す)で表される光学活性なト
    ランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体を下記式
    (5) HX (5) (式中、Hは水素原子、HXはプロトン酸を示す)で表
    される酸と反応させて、下記式(6a)又は(6b) 【化6】 (式中、環Z、Ar、R1及びHXは前記に同じ)で表
    される光学活性なトランス−2−アミノシクロアルカノ
    ール誘導体の塩とし、次いでこの塩を再結晶することに
    より光学純度を向上させることを特徴とする光学活性な
    トランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体の精製
    方法。
  6. 【請求項6】 下記式(3a)又は(3b) 【化7】 (式中、環Zは炭素数3〜8のシクロアルカン環を示
    し、Arはアリール基を示し、R1は水素原子又は炭素
    数1〜3のアルキル基を示す)で表される光学活性なト
    ランス−2−アミノシクロアルカノール誘導体又はその
    塩を還元反応に付して、下記式(4a)又は(4b) 【化8】 (式中、環Zは前記に同じ)で表される化合物又はその
    塩を得ることを特徴とする光学活性なトランス−2−ア
    ミノシクロアルカノール又はその塩の製造方法。
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