JP2003203391A - 光ディスク - Google Patents

光ディスク

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JP2003203391A
JP2003203391A JP2003017837A JP2003017837A JP2003203391A JP 2003203391 A JP2003203391 A JP 2003203391A JP 2003017837 A JP2003017837 A JP 2003017837A JP 2003017837 A JP2003017837 A JP 2003017837A JP 2003203391 A JP2003203391 A JP 2003203391A
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master
pits
recording layer
disc
modulator
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JP2003017837A
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Akihiko Shimizu
明彦 清水
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ディスク基板に記録層と反射層とを順次積層
する光ディスクのプリピットをディスク基板に凹形状に
形成しても、これが良好に読み取られるようにする。 【構成】 ディスク基板4の屈折率n1、記録層5の屈
折率n2、ディスク基板4と記録層5との境界面におけ
るプリピット8の深さd1、記録層5と反射層6との境
界面におけるプリピット8の深さd2′、光線の波長λ
が、λ/4≦(n1−n2)d1+n2d2′≦λ/2を
満足するようにする。プリピット8が凹形状であるため
に記録層5の膜厚や反射層6の表面形状が均一とならな
くとも、プリピット8の有無による反射光の強度差が大
きくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ディスク及び原盤露
光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、大容量の情報を迅速に記録再生で
きる記録媒体として光ディスクが実用化されており、例
えば、再生専用のCD(Compact Disk)、追記可能なCD
−R(Compact Disk-Recoderable)、書替自在なMO(Mag
neto Optical Disk)、などがある。再生専用のCDは、
光線の入射方向に対して凹形状のピットにより情報が予
め固定的に記録されており、書替自在なMOは、露光に
より情報が書替自在に記録されるトラックのみ予め形成
されている。追記可能なCD−Rは、再生専用領域と記
録再生領域とを有しており、再生専用領域はプリピット
により情報が予め固定的に記録されているが、記録再生
領域は露光により情報が記録されるトラックのみ予め形
成されている。
【0003】より具体的には、追記型のCD−Rは、再
生専用のCDと同様にスタンパによる射出成形により形
成されたディスク基板に対し、再生専用領域には反射層
が成膜され、記録再生領域には記録層と反射層とが成膜
される。しかし、これでは再生専用領域と記録再生領域
との積層構造が相違するので生産性が良好でなく、再生
専用領域と記録再生領域とを連続的にトラッキングする
ことも困難である。
【0004】このような課題を解決するため、特開平4-
289534号公報に開示された追記型の光ディスクは、再生
専用領域も記録再生領域と同様に記録層と反射層とを有
する。そして、ディスク基板には再生専用領域のプリピ
ットを高い凸形状に形成すると共に記録再生領域のグル
ーブを低い凸形状に形成し、このようなグルーブ上の位
置で記録層にピットを形成する。このような光ディスク
では、再生専用領域と記録再生領域との積層構造が同一
であり、再生専用領域のプリピットと記録再生領域のピ
ットとが略同形状となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のように
ディスク基板に凸形状にプリピットやグルーブを形成す
るには、これらが凹形状に形成されたスタンパにより樹
脂を射出成形する必要がある。この場合、マスタスタン
パから転写複製したマザースタンパを使用する必要があ
るので、工程が増加して歩留りも低下する。また、スタ
ンパの凹形状をディスク基板に凸形状として転写するこ
とは、凸形状を凹形状に転写することより困難であり、
プリピットの高さが不均一となりやすい。
【0006】さらに、プリピットやグルーブが凸形状の
ディスク基板に記録層や反射層を積層する場合、その材
料をスピンコート法などで塗布することになる。しか
し、このように塗布した材料は凸形状の上部からディス
ク基板の表面に流動するので、記録層がプリピットやグ
ルーブ上の位置で薄くなりがちであり、光ディスクの品
質を均一に維持することが困難である。
【0007】例えば、特開平2-42652 号公報に開示され
た光ディスクでは、ディスク基板に凹形状にプリピット
を形成するので、上述のような課題は発生しない。この
場合、光線はディスク基板と記録層とを透過して反射層
により反射されるが、この過程においてディスク基板と
記録層との境界面でプリピットの形状により回折される
ので、その反射光の強度によりプリピットが読み取られ
る。
【0008】しかし、実際にプリピットが凹形状に形成
されたディスク基板の表面に記録層の材料を塗布する
と、この材料はディスク基板の表面から凹形状に流入す
る。このため、ディスク基板のプリピットの位置では、
やはり記録層の膜厚が均一とならず、反射層の表面形状
も一様とならないので、反射層で反射されて記録層を透
過した光線の強度からプリピットを高精度に読み取るこ
とが困難である。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
ディスク基板と記録層と反射層とが順番に積層され、再
生専用領域には光線により再生される情報が予め固定的
に記録され、記録再生領域には光線による情報の記録と
再生とが実行される光ディスクにおいて、前記再生専用
領域に記録される情報を前記ディスク基板に凹形状のプ
リピットで形成し、前記ディスク基板の屈折率をn1、
前記記録層の屈折率をn2、前記ディスク基板と前記記
録層との境界面における前記プリピットの深さをd1、
前記記録層と前記反射層との境界面における前記プリピ
ットの深さをd2′、光線の波長をλとすると、 λ/4≦(n1−n2)d1+n2d2′≦λ/2 を満足させる。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明の光ディスクにおいて、プリピットを長いほど狭い形
状に形成した。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明の光ディスクにおいて、プリピットを長いほど浅い形
状に形成した。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発
明の光ディスクにおいて、プリピットを連続する複数の
丸穴により形成した。
【0013】請求項5記載の発明は、光ディスクの原盤
に光線によりプリピットを露光する原盤露光装置におい
て、露光するプリピットが長いほど光線の強度が低く設
定されている。
【0014】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明の原盤露光装置において、原盤を露光する光路上に印
加電圧に対応して透過光量が変化する光量変調器を配置
し、プリピットの記録信号の周波数を電圧に変換して前
記光量変調器に印加する変調器駆動手段を設けた。
【0015】請求項7記載の発明は、印加電圧に対応し
て透過光量が変化する光量変調器を原盤を露光する光路
上に配置し、プリピットの記録信号の長さを検出して予
め設定された対応する電圧を前記光量変調器に印加する
変調器駆動手段を設けた。
【0016】請求項8記載の発明は、光ディスクの原盤
に光線によりプリピットを露光する原盤露光装置におい
て、原盤を露光する光路上に入力信号に対応して透過光
をオンオフするシャッタ手段を配置し、プリピットの記
録信号と基準クロックとを論理和した信号を前記シャッ
タ手段に出力するシャッタ駆動手段を設けた。
【0017】
【作用】請求項1記載の発明の光ディスクでは、再生専
用領域に記録される情報がディスク基板に凹形状のプリ
ピットで形成されているので、反射層により反射される
光線がディスク基板と記録層との境界面でプリピットの
形状により回折される。このような形状のプリピットの
位置では、記録層の膜厚が均一とならず、反射層の表面
形状も一様とならないが、ディスク基板の屈折率n1、
記録層の屈折率n2、ディスク基板と記録層との境界面
におけるプリピットの深さd1、記録層と反射層との境
界面におけるプリピットの深さd2′、光線の波長λ
が、 λ/4≦(n1−n2)d1+n2d2′≦λ/2 の関係を満足するので、プリピットの有無による反射光
の強度差が大きく、プリピットが良好に読み取られる。
【0018】請求項2記載の発明の光ディスクでは、プ
リピットを長いほど狭い形状に形成したので、記録層の
材料が長いプリピットに多量に流入する度合が軽減され
る。
【0019】請求項3記載の発明の光ディスクでは、プ
リピットを長いほど浅い形状に形成したので、記録層の
材料が長いプリピットに多量に流入する度合が軽減され
る。
【0020】請求項4記載の発明の原盤露光装置では、
プリピットを連続する複数の丸穴により形成したので、
記録層の材料が長いプリピットに多量に流入する度合が
軽減される。
【0021】請求項5記載の発明の原盤露光装置では、
光ディスクの原盤に光線によりプリピットを露光する
際、プリピットが長いほど光線の強度が低いので、プリ
ピットを長いほど狭い形状や浅い形状に形成できる。
【0022】請求項6記載の発明の原盤露光装置では、
プリピットの記録信号を変調器駆動手段が周波数から電
圧に変換して光量変調器に印加すると、この光量変調器
は印加電圧に対応して原盤を露光する透過光を変調する
ので、この光線はプリピットが長いほど強度が低い。
【0023】請求項7記載の発明の原盤露光装置では、
プリピットの記録信号の長さを変調器駆動手段が検出し
て予め設定された対応する電圧を光量変調器に印加する
と、この光量変調器は印加電圧に対応して原盤を露光す
る透過光を変調するので、この光線はプリピットが長い
ほど強度が低い。
【0024】請求項8記載の発明の原盤露光装置では、
光ディスクの原盤に光線によりプリピットを露光する
際、プリピットの記録信号と基準クロックとを論理和し
た信号をシャッタ駆動手段がシャッタ手段に出力する
と、このシャッタ手段は入力信号に対応して原盤を露光
する透過光をオンオフするので、この光線によりプリピ
ットが連続する複数の丸穴として形成される。
【0025】
【実施例】本発明の光ディスクの第一の実施例を図1な
いし図3に基づいて以下に説明する。まず、本実施例の
光ディスク1は、図1に示すように、追記型に形成され
ており、再生専用領域2と記録再生領域3との両方を有
している。これらの領域2,3の積層構造は同一であ
り、PC(Polycarbonate)等の透明な樹脂からなるディ
スク基板4に、シアニン色素等の有機系色素からなる記
録層5と、Au等の金属からなる反射層6と、樹脂から
なる保護層7とが、順番に積層されている。
【0026】前記再生専用領域2には光線により再生さ
れる情報が予め固定的に記録されているが、図1及び図
2に示すように、これは前記ディスク基板4に深い凹形
状のプリピット8で形成されている。前記記録再生領域
3には情報の記録と再生とが実行されるトラックが予め
固定的に形成されているが、これも前記ディスク基板4
に浅い凹形状のグルーブ9として形成されている。
【0027】このようにプリピット8やグルーブ9が凹
形状に形成された前記ディスク基板4の表面に前記各層
5〜7等は積層されているが、これらの各層5〜7はプ
リピット8やグルーブ9の位置で膜厚が増大しており、
その表面にはプリピット8やグルーブ9の形状は正確に
は形成されていない。
【0028】そして、本実施例の光ディスク1は、前記
ディスク基板4の屈折率をn1、前記記録層5の屈折率
をn2、前記ディスク基板4と前記記録層5との境界面
における前記プリピット8の深さをd1、前記記録層5
と前記反射層6との境界面における前記プリピット8の
深さをd2′、光線の波長をλとすると、 λ/4≦(n1−n2)d1+n2d2′≦λ/2 を満足するよう形成されている。
【0029】なお、前記ディスク基板4に形成されたプ
リピット8は、図3(a)に示すように、既存のCDと
同様に、EFM(Eight to Fourteen Modulation)信号に
対応して3T〜11Tの長さに形成されているが、図3
(b)に示すように、その溝幅Wと深さDとは一定であ
る。
【0030】このような構成において、本実施例の光デ
ィスク1は、既存のCD−Rと同様に、記録再生領域3
ではグルーブ9上の位置で情報が光線により記録再生さ
れ、再生専用領域2ではプリピット8により予め記録さ
れた情報が光線により再生される。
【0031】このように再生専用領域2の情報が再生さ
れる場合は、ディスク基板4と記録層5とを透過した光
線が反射層6により反射されて記録層5とディスク基板
4とを透過するが、この過程において光線がディスク基
板4と記録層5との境界面でプリピット8の形状により
回折される。このように反射層6により反射されて記録
層5とディスク基板4とを透過する過程で、プリピット
8で回折された光線と回折されない光線との強度差が大
きければ、光ディスク1のプリピット8は良好に読み取
られることになる。
【0032】このことを以下に検証する。なお、以下で
は説明を簡略化するため、ディスク基板4と記録層5と
の境界面をディスク基板4の表面、記録層5と反射層6
との境界面を記録層5の表面と呼称する。まず、図1に
示すように、プリピット8の頂点から記録層5を透過し
て反射層6に到達する光路長をL1、プリピット8の頂
点と同一高さからディスク基板4と記録層5とを透過し
て反射層6に到達する光路長をL2とすると、その光路
差△Lは“△L=L2−L1”である。
【0033】そこで、ディスク基板4の屈折率をn1、
記録層5の屈折率をn2、ディスク基板4の表面におけ
るプリピット8の深さをd1、プリピット8でない位置
の記録層5の膜厚をd2、記録層5の表面におけるプリ
ピット8の深さをd2′とすると、プリピット8の有無
による光路差△Lは、 △L=L2−L1 =n1d1+n2d2−n2{d1+(d2′)} =(n1−n2)d1+n2d2′ となる。
【0034】そして、このような光路差△Lが、光線の
波長をλに対し、 λ/4≦△L≦λ/2 の関係を満足すれば、プリピット8で回折された光線と
回折されない光線との強度差が最大となる。つまり、本
実施例の光ディスク1は、プリピット8をディスク基板
4の表面に凹形状に形成することにより、記録層5の膜
厚や反射層6の表面形状が均一とならないが、 λ/4≦(n1−n2)d1+n2d2′≦λ/2 の関係を満足するのでプリピット8が良好に読み取られ
る。
【0035】ここで、試作品の光ディスク1による実験
結果を以下に説明する。ディスク基板4として、屈折率
n1=1.59のPCを採用し、その表面に深さd1=3500
(Å)のプリピット8を形成した。記録層5として、屈折
率n2=2.5 のシアニン色素を採用し、これをスピンコ
ート法により膜厚d2=500(Å)に成膜した。そして、
その表面におけるプリピット8を走査型トンネル顕微鏡
により測定したところ、これは深さd2′=2500(Å)で
あった。光源として一般的な半導体レーザを利用したの
で、その光線は波長λ=780(nm)であった。
【0036】上述のような条件で、ディスク基板4の表
面におけるプリピット8の最適な深さd1を前述の演算
式により検証すると“3000(Å)≦d1≦4700(Å)”とな
るので、深さd1=3500(Å)のプリピット8は良好に読
み取られることになる。このように試作した光ディスク
1の11Tのプリピット8の変調度を測定したところ、
これは0.65であった。そこで、この光ディスク1を既存
のCDプレーヤにより再生したところ、変調度の不足に
よるエラーが発生することはなく、プリピット8が良好
に読み取られることが確認された。
【0037】本実施例の光ディスク1は、上述のように
ディスク基板4に凹形状にプリピット8を形成するの
で、その成形にマスタスタンパを使用することができ、
工程を削減して歩留りを低下させることができる。この
ようにスタンパによりディスク基板4を成形する場合、
スタンパの凸形状をディスク基板4に凹形状として転写
することは、凹形状を凸形状に転写することより容易な
ので、プリピット8を高精度に形成することができる。
【0038】そして、このようにプリピット8が凹形状
に形成されたディスク基板4の表面に記録層5を成膜す
ると、その材料がプリピット8に流入するために記録層
5の膜厚や反射層6の表面形状が均一とならないが、前
述した条件式を満足するよう光ディスク1の各部を設計
すれば、プリピット8は良好に読み取られる。
【0039】なお、前述した試作品の光ディスク1のプ
リピット8の深さd1=3500(Å)は、成形時の転写性を
考慮した数値であるので、このようなプリピット8は高
精度に形成されて良好に読み取られることになる。ま
た、上述した試作品の本実施例の光ディスク1では、記
録層5をシアニン色素により製作したが、これをフタロ
シアニン色素により製作する場合でも、前述した条件式
を満足すればプリピット8は良好に読み取られる。
【0040】さらに、本実施例の光ディスク1では、図
3に示すように、プリピット8の溝幅Wと深さDとを均
一に形成することを例示したが、本発明は上記実施例に
限定されるものではなく、図4に示すように、プリピッ
ト10を長いほど狭い形状に形成することや、図5に示
すように、プリピット11を長いほど浅い形状に形成す
ることも可能である。このような形状にプリピット1
0,11を形成すると、記録層5の膜厚の変動が軽減さ
れるので、より良好にプリピット10,11を読み取る
ことができる。このことを以下に説明する。
【0041】まず、前述のように溝幅Wと深さDとが均
一な凹形状のプリピット8における記録層5の膜厚を調
査したところ、短いプリピット8ほど記録層5の膜厚が
変動することが判明した。そこで、これと長いプリピッ
ト8との関係を調査したところ、短いプリピット8にお
ける記録層5の膜厚は、近傍に長いプリピット8が位置
すると厚く、近傍に長いプリピット8が位置しないと薄
いことが判明した。
【0042】つまり、記録層5は硬化する際に収縮する
が、プリピット8は長いほど体積も大きいのでヒケも大
きいので、短いプリピット8の近傍に長いプリピット8
が位置すると、硬化する記録層5の材料が長いプリピッ
ト8に引き寄せられ、短いプリピット8の位置では記録
層5の膜厚が減少する。これを防止するためには、長い
プリピット8の体積を削減すれば良いことになるので、
上述のように長いほど狭い形状や浅い形状にプリピット
10,11を形成すれば、記録層5の膜厚の変動を軽減
して読取精度を改善することができる。
【0043】なお、このように長いほど狭い形状や浅い
形状にプリピット10,11を形成すると読取エラーの
発生が懸念されるが、これは溝幅“W=0.5±0.1(μ
m)”、深さ“d2′=1100±100(Å)”の範囲であれ
ば、信号規格を満足して読取エラーが発生しないことが
確認されている。換言すると、本実施例の光ディスク
は、長いほど狭い形状や浅い形状にプリピット10,1
1を形成する場合でも、上述した許容範囲を逸脱しない
範囲でプリピット10,11を形成する。
【0044】ここで、このような形状のプリピット1
0,11を実現する原盤露光装置12を、本発明の原盤
露光装置の第一の実施例として図6ないし図8に基づい
て以下に説明する。なお、以下では説明を簡略化するた
め、プリピット10のみを例示して説明するが、これは
プリピット11でも同様である。
【0045】本実施例の原盤露光装置12は、図6に示
すように、Arレーザ管13を有しており、その光路上
に、ピンホールプレート14、光量変調器15、反射ミ
ラー16、ピンホールプレート17、ビーム整形器1
8、対物レンズ19、が配置されている。この対物レン
ズ19と対向する位置には、ターンテーブル20が回転
自在に軸支されており、このターンテーブル20上に原
盤21が載置される。前記光量変調器15は、光学音響
素子からなり、印加電圧に対応して透過光量が変化す
る。
【0046】この光量変調器15には、図7に示すよう
に、変調器駆動手段である変調器駆動回路22が接続さ
れており、この変調器駆動回路22は、信号入力部2
3、FV(Frequency Voltage)コンバータ24、ゲイン
調整器25、オフセット調整器26、電力出力部27、
を有している。前記信号入力部23は、プリピット10
の記録信号であるEFM(Eight to Fourteen Modulatio
n)信号を入力し、前記FVコンバータ24は、図8
(a)に示すように、EFM信号の周波数を電圧に変換
する。前記ゲイン調整器25は、電圧のゲインを調整
し、前記オフセット調整器26は、電圧のオフセットを
調整し、前記電力出力部27は、電圧を前記光量変調器
15に出力する。
【0047】つまり、本実施例の原盤露光装置12は、
前記変調器駆動回路22がEFM信号の周波数を電圧に
変換して前記光量変調器15に印加し、この光量変調器
15は印加電圧に対応して透過光量が変化するので、図
8(b)(c)に示すように、プリピット10が長いほ
ど原盤21を露光する光線の強度が低い。なお、この原
盤21は、円形のガラス基板28の表面に、フォトレジ
スト29を均一に塗布したものである。
【0048】このような構成において、本実施例の原盤
露光装置12により原盤21にプリピット10のパター
ンを露光する処理動作を以下に説明する。まず、フォト
レジスト29をガラス基板28に塗布した原盤21を用
意し、これをターンテーブル20に載置してCLV(Con
stant Liner Velocity)方式で回転駆動する。プリピッ
ト10のEFM信号に対応してArレーザ管13を駆動
し、その光線を原盤21に照射してプリピット10を露
光する。
【0049】同時に、FVコンバータ24によりEFM
信号の周波数が電圧に変換され、この電圧のゲインがゲ
イン調整器25により調整される。この電圧のオフセッ
トがオフセット調整器26により調整され、この電圧が
光量変調器15に印加されるので、この光量変調器15
は、プリピット10が長いほど透過光量を低減する。
【0050】このため、原盤21にプリピット10を露
光する光線は、プリピット10が長いほど強度が低いの
で、図4に示すように、このプリピット10は長いほど
狭い形状に形成される。そこで、このように露光された
原盤21からマスタスタンパ(図示せず)を作成し、こ
のマスタスタンパによりディスク基板4を成形すれば、
このディスク基板4には長いほど狭いプリピット10が
凹形状に形成される。このようなプリピット10が形成
されたディスク基板4に記録層5と反射層6と保護層7
とを順次成膜すれば光ディスク1を製作することがで
き、このような光ディスク1は記録層5の膜厚の均一性
が良好なので、品質が良好で安定している。
【0051】また、本実施例の原盤露光装置12では、
光量変調器15による透過光量の変調で露光強度を調節
するので、Arレーザ管13の出力強度を変化させる必
要がなく、簡易かつ正確に露光強度を調節することがで
きる。しかも、変調器駆動回路22は、EFM信号の周
波数を変換した電圧により光量変調器15を駆動するの
で、簡易な構造で光量変調器15を良好に駆動すること
ができる。
【0052】ここで、試作品の原盤露光装置12により
原盤21にプリピット10を露光した実験結果を以下に
説明する。まず、原盤21としては、フォトレジスト2
9に東京応化製のOFPR800を採用し、これをガラ
ス基板28に約4500(Å)の膜厚に塗布した。原盤露光装
置12は、ターンテーブル20を線速が 1.2(m/s)とな
るようCLV方式で回転駆動し、露光強度をPn =−0.
25n+7.75(mW)とした。なお、この“n”はEFM信号
の数値で“3〜11”なので、最短のプリピット10の
露光強度は最大のP3 =7.0(mW)であり、最長のプリピ
ット10の露光強度は最小のP11=5.0(mW)である。
【0053】このような原盤露光装置12により原盤2
1を露光したところ、図4に示すように、最短のプリピ
ット10は従来と同一の溝幅に形成され、長いプリピッ
ト10ほど幅狭に形成されることが確認された。なお、
上述のように原盤露光の線速を 1.2(m/s)とすると、プ
リピット10の露光時間は最短が 714(ns)で最長が2618
(ns)となる。これらの周波数は約1.4(MHz)と0.4(MHz)で
あるので、FVコンバータ24は、 0.1〜1.0(MHz)程度
に対応した製品が望ましい。
【0054】また、本実施例の原盤露光装置12では、
原盤21を露光する光線の強度を変化させることにより
プリピット10の溝幅を調節することを例示したが、こ
のようなことによりプリピット11の深さを調節するこ
とも可能である。光線の強度がプリピット10,11の
溝幅と深さとの何れに反映されるかは、光線の照射方式
やフォトレジスト29の特性などの各種条件により決定
される。
【0055】ここで、試作品の原盤露光装置12により
原盤21にプリピット11を露光した実験結果を以下に
説明する。この場合、原盤21やターンテーブル20の
線速は前述の試作品と同一とし、露光強度を、P3 =7.
0(mW)、Pn =−n/7+4.57(mW)とした。なお、この
場合は、最短のプリピット10のみP3 =7.0(mW)に設
定し、他のプリピット10(n=4〜11)ではPn
−n/7+4.57(mW)を適用する。
【0056】このような原盤露光装置12により原盤2
1を露光したところ、図5に示すように、最短のプリピ
ット10は従来と同一の深さに形成され、長いプリピッ
ト10ほど浅く形成されることが確認された。
【0057】また、本実施例の原盤露光装置12では、
EFM信号の周波数を電圧に変換して光量変調器15を
駆動することを例示したが、本発明は上記実施例に限定
されるものではなく、プリピット10の記録信号の長さ
を検出して予め設定された対応する電圧を光量変調器1
5に印加することも可能である。このような変調器駆動
手段である変調器駆動回路30を一変形例として図9及
び図10に基づいて以下に説明する。
【0058】この変調器駆動回路30は、図9に示すよ
うに、信号入力部23、バイナリカウンタ31、八個の
コンパレータ32、八個のスイッチング回路33、八個
の定電圧電源34、電力出力部27、を有している。前
記バイナリカウンタ31は、図10(a)に示すよう
に、EFM信号に対応して基準クロックをカウントする
ので、八個の前記コンパレータ32は、前記バイナリカ
ウンタ31のカウント値と予め設定された閾値とを各々
比較する。八個の前記定電圧電源34は、その電圧が光
量変調器15の駆動制御に対応して予め設定されてお
り、八個の前記スイッチング回路33は、前記コンパレ
ータ32の比較結果に対応して八個の前記定電圧電源3
4の一個を前記電力出力部27に選択的に接続する。
【0059】このような構成において、変調器駆動回路
30では、バイナリカウンタ31によりEFM信号に対
応して基準クロックがカウントされ、このカウント値が
八個のコンパレータ32の各々により個々の閾値と比較
される。この比較結果に従って一個のスイッチング回路
33が一個の定電圧電源34を電力出力部27に接続す
るので、光量変調器15にはプリピット10の長さに対
応して予め設定された電圧が印加され、図10(b)に
示すように、原盤21はプリピット10が長いほど低い
強度の光線で露光される。
【0060】また、上記実施例では、溝幅や深さにより
長いプリピット10,11の体積を削減することを例示
したが、本発明は上記実施例に限定されるものでもな
く、図11に示すように、連続する複数の丸穴35によ
りプリピット36を形成することも可能である。このよ
うなプリピット36でも、長いプリピット36の体積を
削減して記録層5の膜厚の変動を軽減することができ
る。
【0061】ここで、このようなプリピット36を実現
する原盤露光装置37を、本発明の原盤露光装置の第二
の実施例として図12ないし図14に基づいて以下に説
明する。なお、本実施例の原盤露光装置37に関し、第
一の実施例として前述した原盤露光装置12と同一の部
分は、同一の名称と符号とを利用して詳細な説明は省略
する。
【0062】本実施例の原盤露光装置37では、図12
に示すように、Arレーザ管13からピンホールプレー
ト14に至る光路上にシャッタ手段となるパルス変調器
38が配置されており、光量変調器15は省略されてい
る。前記パルス変調器38には、図13に示すように、
シャッタ駆動手段となるアンドゲート39の出力端子4
0が接続されており、このアンドゲート39は、EFM
信号と基準クロックとの入力端子41,42を有してい
る。
【0063】前記アンドゲート39は、図14に示すよ
うに、プリピットの記録信号であるEFM信号と基準ク
ロックとを論理和した信号を前記パルス変調器38に出
力し、このパルス変調器38は、入力信号に対応して原
盤21を露光する透過光をオンオフする。
【0064】このような構成において、本実施例の原盤
露光装置37では、図14に示すように、アンドゲート
39によりEFM信号と基準クロックとの論理和信号が
パルス変調器38に出力するので、このパルス変調器3
8がArレーザ管13の出射光線をEFM信号に対応し
てオンオフすることになり、原盤21にプリピット36
が露光される。このように露光された原盤21からマス
タスタンパ(図示せず)を作成し、このマスタスタンパ
によりディスク基板4を成形すれば、このディスク基板
4には、図11に示すように、プリピット36が連続す
る複数の丸穴35により形成される。
【0065】なお、本実施例の原盤露光装置37では、
上述のようにArレーザ管13の出射光線がパルス変調
器38によりオンオフされるので、Arレーザ管13を
EFM信号に対応して駆動制御する必要はない。しか
も、EFM信号に基づいてパルス変調器38を駆動する
ので、簡易な構造でパルス変調器38を良好に駆動する
ことができる。
【0066】上述のようにプリピット36を連続する複
数の丸穴35により形成した場合、それらの丸穴35が
広いピッチで連続すると、その間隙が再生光線にノイズ
として読み取られ、丸穴35が狭いピッチで連続する
と、記録層5の膜厚を均一化する効果が低下する。つま
り、上述のようなプリピット36を実際に光ディスク1
に形成する場合は、その丸穴35のピッチを適正に設定
する必要がある。
【0067】このような丸穴35のピッチは、図14に
示すように、基準クロックのオンオフにより設定できる
ので、本実施例の原盤露光装置37では、基準クロック
に 0.8Tのオンと 0.2Tのオフとを設定し、丸穴35間
に直径の四分の一のスペースを形成した。この場合、n
Tのプリピット36を露光する論理和信号は、 (0.1Tオフ+0.8Tオン+0.1Tオフ)n として出力される。
【0068】このようなプリピット36を試作品の原盤
露光装置37により原盤21に露光し、この原盤21か
ら光ディスクを試作したところ、この光ディスクは記録
層5の膜厚が均一に形成され、そのプリピット36は既
存のCDプレーヤで良好に読み取られることが確認され
た。
【0069】
【発明の効果】請求項1記載の発明の光ディスクは、再
生専用領域に記録される情報をディスク基板に凹形状の
プリピットで形成したことにより、ディスク基板の成形
にマスタスタンパを使用して生産性を向上させることが
でき、さらに、ディスク基板の屈折率をn1、記録層の
屈折率をn2、ディスク基板と記録層との境界面におけ
るプリピットの深さをd1、記録層と反射層との境界面
におけるプリピットの深さをd2′、光線の波長をλと
すると、 λ/4≦(n1−n2)d1+n2d2′≦λ/2 を満足することにより、プリピットの有無による反射光
の強度差が大きいので、プリピットが凹形状であるため
に記録層の膜厚や反射層の表面形状が均一とならなくと
も、プリピットが良好に読み取られる。
【0070】請求項2記載の発明の光ディスクは、プリ
ピットを長いほど狭い形状に形成したことにより、ディ
スク基板に成膜する記録層の材料が長いプリピットに流
入することによる、記録層の膜厚の変動が軽減されるの
で、品質が良好で安定している。
【0071】請求項3記載の発明の光ディスクは、プリ
ピットを長いほど浅い形状に形成したことにより、ディ
スク基板に成膜する記録層の材料が長いプリピットに流
入することによる、記録層の膜厚の変動が軽減されるの
で、品質が良好で安定している。
【0072】請求項4記載の発明の光ディスクは、プリ
ピットを連続する複数の丸穴により形成したことによ
り、ディスク基板に成膜する記録層の材料が長いプリピ
ットに流入することによる、記録層の膜厚の変動が軽減
されるので、品質が良好で安定している。
【0073】請求項5記載の発明の原盤露光装置は、露
光するプリピットが長いほど光線の強度が低く設定され
ていることにより、光線により光ディスクの原盤にプリ
ピットを露光する際、そのプリピットを長いほど狭い形
状や浅い形状などに形成することができる。
【0074】請求項6記載の発明の原盤露光装置は、原
盤を露光する光路上に印加電圧に対応して透過光量が変
化する光量変調器を配置し、プリピットの記録信号の周
波数を電圧に変換して光量変調器に印加する変調器駆動
手段を設けたことにより、光線により光ディスクの原盤
にプリピットを露光する際、プリピットが長いほど光線
の強度を低下させることを、簡易な構造で実現すること
ができる。
【0075】請求項7記載の発明の原盤露光装置は、印
加電圧に対応して透過光量が変化する光量変調器を原盤
を露光する光路上に配置し、プリピットの記録信号の長
さを検出して予め設定された対応する電圧を光量変調器
に印加する変調器駆動手段を設けたことにより、光線に
より光ディスクの原盤にプリピットを露光する際、プリ
ピットが長いほど光線の強度を低下させることを、簡易
な構造で実現することができる。
【0076】請求項8記載の発明の原盤露光装置は、原
盤を露光する光路上に入力信号に対応して透過光をオン
オフするシャッタ手段を配置し、プリピットの記録信号
と基準クロックとを論理和した信号をシャッタ手段に出
力するシャッタ駆動手段を設けたことにより、光線によ
り光ディスクの原盤にプリピットを露光する際、そのプ
リピットを連続する複数の丸穴により形成することがで
き、このようなプリピットの露光を簡易な構造で実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスクの第一の実施例を示す縦断
面図である。
【図2】ディスク基板の一部を示す斜視図である。
【図3】プリピットの形状を示し、(a)は平面図、
(b)は縦断正面図である。
【図4】プリピットの第一の変形例を示す平面図であ
る。
【図5】プリピットの第二の変形例を示す縦断正面図で
ある。
【図6】本発明の原盤露光装置の第一の実施例を示す模
式図である。
【図7】変調器駆動手段である変調器駆動回路を示すブ
ロック図である。
【図8】(a)はFVコンバータの周波数−電力の変換
特性を示す特性図、(b)はプリピットの長さと光量変
調器の印加電圧との関係を示す特性図、(c)は光量変
調器の印加電圧と透過光強度との関係を示す特性図であ
る。
【図9】変調器駆動回路の一変形例を示すブロック図で
ある。
【図10】(a)はプリピットの記録信号であるEFM
信号や基準クロックの関係を示すタイムチャート、
(b)はプリピットの長さと光量変調器の透過光強度と
の関係を示す特性図である。
【図11】プリピットの第三の変形例を示す平面図であ
る。
【図12】本発明の原盤露光装置の第二の実施例を示す
模式図である。
【図13】シャッタ駆動手段であるアンドゲートを示す
ブロック図である。
【図14】EFM信号や基準クロックの関係を示すタイ
ムチャートである。
【符号の説明】
1 光ディスク 2 再生専用領域 3 記録再生領域 4 ディスク基板 5 記録層 6 反射層 8,10,11,36 プリピット 12,37 原盤露光装置 15 光量変調器 21 原盤 22,30 変調器駆動手段 35 丸穴 38 シャッタ手段 39 シャッタ駆動手段
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成15年2月14日(2003.2.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 光ディス
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ディスクに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、大容量の情報を迅速に記録再生で
きる記録媒体として光ディスクが実用化されており、例
えば、再生専用のCD(Compact Disk)、追記可能なCD
−R(Compact Disk-Recoderable)、書替自在なMO(Mag
neto Optical Disk)、などがある。再生専用のCDは、
光線の入射方向に対して凹形状のピットにより情報が予
め固定的に記録されており、書替自在なMOは、露光に
より情報が書替自在に記録されるトラックのみ予め形成
されている。追記可能なCD−Rは、再生専用領域と記
録再生領域とを有しており、再生専用領域はプリピット
により情報が予め固定的に記録されているが、記録再生
領域は露光により情報が記録されるトラックのみ予め形
成されている。
【0003】より具体的には、追記型のCD−Rは、再
生専用のCDと同様にスタンパによる射出成形により形
成されたディスク基板に対し、再生専用領域には反射層
が成膜され、記録再生領域には記録層と反射層とが成膜
される。しかし、これでは再生専用領域と記録再生領域
との積層構造が相違するので生産性が良好でなく、再生
専用領域と記録再生領域とを連続的にトラッキングする
ことも困難である。
【0004】このような課題を解決するため、特開平4-
289534号公報に開示された追記型の光ディスクは、再生
専用領域も記録再生領域と同様に記録層と反射層とを有
する。そして、ディスク基板には再生専用領域のプリピ
ットを高い凸形状に形成すると共に記録再生領域のグル
ーブを低い凸形状に形成し、このようなグルーブ上の位
置で記録層にピットを形成する。このような光ディスク
では、再生専用領域と記録再生領域との積層構造が同一
であり、再生専用領域のプリピットと記録再生領域のピ
ットとが略同形状となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のように
ディスク基板に凸形状にプリピットやグルーブを形成す
るには、これらが凹形状に形成されたスタンパにより樹
脂を射出成形する必要がある。この場合、マスタスタン
パから転写複製したマザースタンパを使用する必要があ
るので、工程が増加して歩留りも低下する。また、スタ
ンパの凹形状をディスク基板に凸形状として転写するこ
とは、凸形状を凹形状に転写することより困難であり、
プリピットの高さが不均一となりやすい。
【0006】さらに、プリピットやグルーブが凸形状の
ディスク基板に記録層や反射層を積層する場合、その材
料をスピンコート法などで塗布することになる。しか
し、このように塗布した材料は凸形状の上部からディス
ク基板の表面に流動するので、記録層がプリピットやグ
ルーブ上の位置で薄くなりがちであり、光ディスクの品
質を均一に維持することが困難である。
【0007】例えば、特開平2-42652 号公報に開示され
た光ディスクでは、ディスク基板に凹形状にプリピット
を形成するので、上述のような課題は発生しない。この
場合、光線はディスク基板と記録層とを透過して反射層
により反射されるが、この過程においてディスク基板と
記録層との境界面でプリピットの形状により回折される
ので、その反射光の強度によりプリピットが読み取られ
る。
【0008】しかし、実際にプリピットが凹形状に形成
されたディスク基板の表面に記録層の材料を塗布する
と、この材料はディスク基板の表面から凹形状に流入す
る。このため、ディスク基板のプリピットの位置では、
やはり記録層の膜厚が均一とならず、反射層の表面形状
も一様とならないので、反射層で反射されて記録層を透
過した光線の強度からプリピットを高精度に読み取るこ
とが困難である。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
ディスク基板に記録層と反射層とが順番に積層され、前
記ディスク基板に凹形状のプリピットが形成された光デ
ィスクにおいて、前記プリピットが長いほど狭い形状に
した。
【0010】請求項2記載の発明は、ディスク基板に記
録層と反射層とが順番に積層され、前記ディスク基板に
凹形状のプリピットが形成された光ディスクにおいて、
前記プリピットが長いほど浅い形状にした。
【0011】請求項3記載の発明は、ディスク基板に記
録層と反射層とが順番に積層され、前記ディスク基板に
凹形状のプリピットが形成された光ディスクにおいて、
前記プリピットが長いほど狭くかつ浅い形状にした。
【0012】
発明の実施の形態】本発明の光ディスクの参考例を図
1ないし図3に基づいて以下に説明する。まず、本参考
例の光ディスク1は、図1に示すように、追記型に形成
されており、再生専用領域2と記録再生領域3との両方
を有している。これらの領域2,3の積層構造は同一で
あり、PC(Polycarbonate)等の透明な樹脂からなるデ
ィスク基板4に、シアニン色素等の有機系色素からなる
記録層5と、Au等の金属からなる反射層6と、樹脂か
らなる保護層7とが、順番に積層されている。
【0013】前記再生専用領域2には光線により再生さ
れる情報が予め固定的に記録されているが、図1及び図
2に示すように、これは前記ディスク基板4に深い凹形
状のプリピット8で形成されている。前記記録再生領域
3には情報の記録と再生とが実行されるトラックが予め
固定的に形成されているが、これも前記ディスク基板4
に浅い凹形状のグルーブ9として形成されている。
【0014】このようにプリピット8やグルーブ9が凹
形状に形成された前記ディスク基板4の表面に前記各層
5〜7等は積層されているが、これらの各層5〜7はプ
リピット8やグルーブ9の位置で膜厚が増大しており、
その表面にはプリピット8やグルーブ9の形状は正確に
は形成されていない。
【0015】そして、本参考例の光ディスク1は、前記
ディスク基板4の屈折率をn1、前記記録層5の屈折率
をn2、前記ディスク基板4と前記記録層5との境界面
における前記プリピット8の深さをd1、前記記録層5
と前記反射層6との境界面における前記プリピット8の
深さをd2′、光線の波長をλとすると、λ/4≦(n
1−n2)d1+n2d2′≦λ/2を満足するよう形
成されている。
【0016】なお、前記ディスク基板4に形成されたプ
リピット8は、図3(a)に示すように、既存のCDと
同様に、EFM(Eight to Fourteen Modulation)信号に
対応して3T〜11Tの長さに形成されているが、図3
(b)に示すように、その溝幅Wと深さDとは一定であ
る。
【0017】このような構成において、本参考例の光デ
ィスク1は、既存のCD−Rと同様に、記録再生領域3
ではグルーブ9上の位置で情報が光線により記録再生さ
れ、再生専用領域2ではプリピット8により予め記録さ
れた情報が光線により再生される。
【0018】このように再生専用領域2の情報が再生さ
れる場合は、ディスク基板4と記録層5とを透過した光
線が反射層6により反射されて記録層5とディスク基板
4とを透過するが、この過程において光線がディスク基
板4と記録層5との境界面でプリピット8の形状により
回折される。このように反射層6により反射されて記録
層5とディスク基板4とを透過する過程で、プリピット
8で回折された光線と回折されない光線との強度差が大
きければ、光ディスク1のプリピット8は良好に読み取
られることになる。
【0019】このことを以下に検証する。なお、以下で
は説明を簡略化するため、ディスク基板4と記録層5と
の境界面をディスク基板4の表面、記録層5と反射層6
との境界面を記録層5の表面と呼称する。まず、図1に
示すように、プリピット8の頂点から記録層5を透過し
て反射層6に到達する光路長をL1、プリピット8の頂
点と同一高さからディスク基板4と記録層5とを透過し
て反射層6に到達する光路長をL2とすると、その光路
差△Lは“△L=L2−L1”である。
【0020】そこで、ディスク基板4の屈折率をn1、
記録層5の屈折率をn2、ディスク基板4の表面におけ
るプリピット8の深さをd1、プリピット8でない位置
の記録層5の膜厚をd2、記録層5の表面におけるプリ
ピット8の深さをd2′とすると、プリピット8の有無
による光路差△Lは、 △L=L2−L1 =n1d1+n2d2−n2{d1+(d2′)} =(n1−n2)d1+n2d2′ となる。
【0021】そして、このような光路差△Lが、光線の
波長をλに対し、 λ/4≦△L≦λ/2 の関係を満足すれば、プリピット8で回折された光線と
回折されない光線との強度差が最大となる。つまり、本
実施例の光ディスク1は、プリピット8をディスク基板
4の表面に凹形状に形成することにより、記録層5の膜
厚や反射層6の表面形状が均一とならないが、 λ/4≦(n1−n2)d1+n2d2′≦λ/2 の関係を満足するのでプリピット8が良好に読み取られ
る。
【0022】ここで、試作品の光ディスク1による実験
結果を以下に説明する。ディスク基板4として、屈折率
n1=1.59のPCを採用し、その表面に深さd1=3500
(Å)のプリピット8を形成した。記録層5として、屈折
率n2=2.5 のシアニン色素を採用し、これをスピンコ
ート法により膜厚d2=500(Å)に成膜した。そして、
その表面におけるプリピット8を走査型トンネル顕微鏡
により測定したところ、これは深さd2′=2500(Å)で
あった。光源として一般的な半導体レーザを利用したの
で、その光線は波長λ=780(nm)であった。
【0023】上述のような条件で、ディスク基板4の表
面におけるプリピット8の最適な深さd1を前述の演算
式により検証すると“3000(Å)≦d1≦4700(Å)”とな
るので、深さd1=3500(Å)のプリピット8は良好に読
み取られることになる。このように試作した光ディスク
1の11Tのプリピット8の変調度を測定したところ、
これは0.65であった。そこで、この光ディスク1を既存
のCDプレーヤにより再生したところ、変調度の不足に
よるエラーが発生することはなく、プリピット8が良好
に読み取られることが確認された。
【0024】本参考例の光ディスク1は、上述のように
ディスク基板4に凹形状にプリピット8を形成するの
で、その成形にマスタスタンパを使用することができ、
工程を削減して歩留りを低下させることができる。この
ようにスタンパによりディスク基板4を成形する場合、
スタンパの凸形状をディスク基板4に凹形状として転写
することは、凹形状を凸形状に転写することより容易な
ので、プリピット8を高精度に形成することができる。
【0025】そして、このようにプリピット8が凹形状
に形成されたディスク基板4の表面に記録層5を成膜す
ると、その材料がプリピット8に流入するために記録層
5の膜厚や反射層6の表面形状が均一とならないが、前
述した条件式を満足するよう光ディスク1の各部を設計
すれば、プリピット8は良好に読み取られる。
【0026】なお、前述した試作品の光ディスク1のプ
リピット8の深さd1=3500(Å)は、成形時の転写性を
考慮した数値であるので、このようなプリピット8は高
精度に形成されて良好に読み取られることになる。ま
た、上述した試作品の本実施例の光ディスク1では、記
録層5をシアニン色素により製作したが、これをフタロ
シアニン色素により製作する場合でも、前述した条件式
を満足すればプリピット8は良好に読み取られる。
【0027】本発明の実施の形態を図4及び図5に基づ
いて説明する。前記参考例と同一部分は同一符号で示し
説明も省略する。前記参考例の光ディスク1では、図3
に示すように、プリピット8の溝幅Wと深さDとを均一
に形成することを例示したが、本発明の実施の形態は、
図4に示すように、プリピット10を長いほど狭い形状
に形成する。あるいは、図5に示すように、プリピット
11を長いほど浅い形状に形成する。このような形状に
プリピット10,11を形成すると、記録層5の膜厚の
変動が軽減されるので、より良好にプリピット10,1
1を読み取ることができる。このことを以下に説明す
る。
【0028】まず、前述のように溝幅Wと深さDとが均
一な凹形状のプリピット8における記録層5の膜厚を調
査したところ、短いプリピット8ほど記録層5の膜厚が
変動することが判明した。そこで、これと長いプリピッ
ト8との関係を調査したところ、短いプリピット8にお
ける記録層5の膜厚は、近傍に長いプリピット8が位置
すると厚く、近傍に長いプリピット8が位置しないと薄
いことが判明した。
【0029】つまり、記録層5は硬化する際に収縮する
が、プリピット8は長いほど体積も大きいのでヒケも大
きいので、短いプリピット8の近傍に長いプリピット8
が位置すると、硬化する記録層5の材料が長いプリピッ
ト8に引き寄せられ、短いプリピット8の位置では記録
層5の膜厚が減少する。これを防止するためには、長い
プリピット8の体積を削減すれば良いことになるので、
上述のように長いほど狭い形状や浅い形状にプリピット
10,11を形成すれば、記録層5の膜厚の変動を軽減
して読取精度を改善することができる。
【0030】なお、このように長いほど狭い形状や浅い
形状にプリピット10,11を形成すると読取エラーの
発生が懸念されるが、これは溝幅“W=0.5±0.1(μ
m)”、深さ“d2′=1100±100(Å)”の範囲であれ
ば、信号規格を満足して読取エラーが発生しないことが
確認されている。換言すると、本実施例の光ディスク
は、長いほど狭い形状や浅い形状にプリピット10,1
1を形成する場合でも、上述した許容範囲を逸脱しない
範囲でプリピット10,11を形成する。
【0031】ここで、このような形状のプリピット1
0,11を実現する原盤露光装置12を、盤露光装置
の第一の構成例として図6ないし図8に基づいて以下に
説明する。なお、以下では説明を簡略化するため、プリ
ピット10のみを例示して説明するが、これはプリピッ
ト11でも同様である。
【0032】本構成例の原盤露光装置12は、図6に示
すように、Arレーザ管13を有しており、その光路上
に、ピンホールプレート14、光量変調器15、反射ミ
ラー16、ピンホールプレート17、ビーム整形器1
8、対物レンズ19、が配置されている。この対物レン
ズ19と対向する位置には、ターンテーブル20が回転
自在に軸支されており、このターンテーブル20上に原
盤21が載置される。前記光量変調器15は、光学音響
素子からなり、印加電圧に対応して透過光量が変化す
る。
【0033】この光量変調器15には、図7に示すよう
に、変調器駆動手段である変調器駆動回路22が接続さ
れており、この変調器駆動回路22は、信号入力部2
3、FV(Frequency Voltage)コンバータ24、ゲイン
調整器25、オフセット調整器26、電力出力部27、
を有している。前記信号入力部23は、プリピット10
の記録信号であるEFM(Eight to Fourteen Modulatio
n)信号を入力し、前記FVコンバータ24は、図8
(a)に示すように、EFM信号の周波数を電圧に変換
する。前記ゲイン調整器25は、電圧のゲインを調整
し、前記オフセット調整器26は、電圧のオフセットを
調整し、前記電力出力部27は、電圧を前記光量変調器
15に出力する。
【0034】つまり、本構成例の原盤露光装置12は、
前記変調器駆動回路22がEFM信号の周波数を電圧に
変換して前記光量変調器15に印加し、この光量変調器
15は印加電圧に対応して透過光量が変化するので、図
8(b)(c)に示すように、プリピット10が長いほ
ど原盤21を露光する光線の強度が低い。なお、この原
盤21は、円形のガラス基板28の表面に、フォトレジ
スト29を均一に塗布したものである。
【0035】このような構成において、本構成例の原盤
露光装置12により原盤21にプリピット10のパター
ンを露光する処理動作を以下に説明する。まず、フォト
レジスト29をガラス基板28に塗布した原盤21を用
意し、これをターンテーブル20に載置してCLV(Con
stant Liner Velocity)方式で回転駆動する。プリピッ
ト10のEFM信号に対応してArレーザ管13を駆動
し、その光線を原盤21に照射してプリピット10を露
光する。
【0036】同時に、FVコンバータ24によりEFM
信号の周波数が電圧に変換され、この電圧のゲインがゲ
イン調整器25により調整される。この電圧のオフセッ
トがオフセット調整器26により調整され、この電圧が
光量変調器15に印加されるので、この光量変調器15
は、プリピット10が長いほど透過光量を低減する。
【0037】このため、原盤21にプリピット10を露
光する光線は、プリピット10が長いほど強度が低いの
で、図4に示すように、このプリピット10は長いほど
狭い形状に形成される。そこで、このように露光された
原盤21からマスタスタンパ(図示せず)を作成し、こ
のマスタスタンパによりディスク基板4を成形すれば、
このディスク基板4には長いほど狭いプリピット10が
凹形状に形成される。このようなプリピット10が形成
されたディスク基板4に記録層5と反射層6と保護層7
とを順次成膜すれば光ディスク1を製作することがで
き、このような光ディスク1は記録層5の膜厚の均一性
が良好なので、品質が良好で安定している。
【0038】また、本構成例の原盤露光装置12では、
光量変調器15による透過光量の変調で露光強度を調節
するので、Arレーザ管13の出力強度を変化させる必
要がなく、簡易かつ正確に露光強度を調節することがで
きる。しかも、変調器駆動回路22は、EFM信号の周
波数を変換した電圧により光量変調器15を駆動するの
で、簡易な構造で光量変調器15を良好に駆動すること
ができる。
【0039】ここで、試作品の原盤露光装置12により
原盤21にプリピット10を露光した実験結果を以下に
説明する。まず、原盤21としては、フォトレジスト2
9に東京応化製のOFPR800を採用し、これをガラ
ス基板28に約4500(Å)の膜厚に塗布した。原盤露光装
置12は、ターンテーブル20を線速が 1.2(m/s)とな
るようCLV方式で回転駆動し、露光強度をPn =−0.
25n+7.75(mW)とした。なお、この“n”はEFM信号
の数値で“3〜11”なので、最短のプリピット10の
露光強度は最大のP3 =7.0(mW)であり、最長のプリピ
ット10の露光強度は最小のP11=5.0(mW)である。
【0040】このような原盤露光装置12により原盤2
1を露光したところ、図4に示すように、最短のプリピ
ット10は従来と同一の溝幅に形成され、長いプリピッ
ト10ほど幅狭に形成されることが確認された。なお、
上述のように原盤露光の線速を 1.2(m/s)とすると、プ
リピット10の露光時間は最短が 714(ns)で最長が2618
(ns)となる。これらの周波数は約1.4(MHz)と0.4(MHz)で
あるので、FVコンバータ24は、 0.1〜1.0(MHz)程度
に対応した製品が望ましい。
【0041】また、本構成例の原盤露光装置12では、
原盤21を露光する光線の強度を変化させることにより
プリピット10の溝幅を調節することを例示したが、こ
のようなことによりプリピット11の深さを調節するこ
とも可能である。光線の強度がプリピット10,11の
溝幅と深さとの何れに反映されるかは、光線の照射方式
やフォトレジスト29の特性などの各種条件により決定
される。
【0042】ここで、試作品の原盤露光装置12により
原盤21にプリピット11を露光した実験結果を以下に
説明する。この場合、原盤21やターンテーブル20の
線速は前述の試作品と同一とし、露光強度を、P3 =7.
0(mW)、Pn =−n/7+4.57(mW)とした。なお、この
場合は、最短のプリピット10のみP3 =7.0(mW)に設
定し、他のプリピット10(n=4〜11)ではPn
−n/7+4.57(mW)を適用する。
【0043】このような原盤露光装置12により原盤2
1を露光したところ、図5に示すように、最短のプリピ
ット10は従来と同一の深さに形成され、長いプリピッ
ト10ほど浅く形成されることが確認された。
【0044】また、本構成例の原盤露光装置12では、
EFM信号の周波数を電圧に変換して光量変調器15を
駆動することを例示したが、プリピット10の記録信号
の長さを検出して予め設定された対応する電圧を光量変
調器15に印加することも可能である。このような変調
器駆動手段である変調器駆動回路30を一変形例として
図9及び図10に基づいて以下に説明する。
【0045】この変調器駆動回路30は、図9に示すよ
うに、信号入力部23、バイナリカウンタ31、八個の
コンパレータ32、八個のスイッチング回路33、八個
の定電圧電源34、電力出力部27、を有している。前
記バイナリカウンタ31は、図10(a)に示すよう
に、EFM信号に対応して基準クロックをカウントする
ので、八個の前記コンパレータ32は、前記バイナリカ
ウンタ31のカウント値と予め設定された閾値とを各々
比較する。八個の前記定電圧電源34は、その電圧が光
量変調器15の駆動制御に対応して予め設定されてお
り、八個の前記スイッチング回路33は、前記コンパレ
ータ32の比較結果に対応して八個の前記定電圧電源3
4の一個を前記電力出力部27に選択的に接続する。
【0046】このような構成において、変調器駆動回路
30では、バイナリカウンタ31によりEFM信号に対
応して基準クロックがカウントされ、このカウント値が
八個のコンパレータ32の各々により個々の閾値と比較
される。この比較結果に従って一個のスイッチング回路
33が一個の定電圧電源34を電力出力部27に接続す
るので、光量変調器15にはプリピット10の長さに対
応して予め設定された電圧が印加され、図10(b)に
示すように、原盤21はプリピット10が長いほど低い
強度の光線で露光される。
【0047】また、上記構成例では、溝幅や深さにより
長いプリピット10,11の体積を削減することを例示
したが、図11に示すように、連続する複数の丸穴35
によりプリピット36を形成することも可能である。こ
のようなプリピット36でも、長いプリピット36の体
積を削減して記録層5の膜厚の変動を軽減することがで
きる。
【0048】ここで、このようなプリピット36を実現
する原盤露光装置37を、本発明の原盤露光装置の第二
構成例として図12ないし図14に基づいて以下に説
明する。なお、本構成例の原盤露光装置37に関し、第
一の構成例として前述した原盤露光装置12と同一の部
分は、同一の名称と符号とを利用して詳細な説明は省略
する。
【0049】本構成例の原盤露光装置37では、図12
に示すように、Arレーザ管13からピンホールプレー
ト14に至る光路上にシャッタ手段となるパルス変調器
38が配置されており、光量変調器15は省略されてい
る。前記パルス変調器38には、図13に示すように、
シャッタ駆動手段となるアンドゲート39の出力端子4
0が接続されており、このアンドゲート39は、EFM
信号と基準クロックとの入力端子41,42を有してい
る。
【0050】前記アンドゲート39は、図14に示すよ
うに、プリピットの記録信号であるEFM信号と基準ク
ロックとを論理和した信号を前記パルス変調器38に出
力し、このパルス変調器38は、入力信号に対応して原
盤21を露光する透過光をオンオフする。
【0051】このような構成において、本構成例の原盤
露光装置37では、図14に示すように、アンドゲート
39によりEFM信号と基準クロックとの論理和信号が
パルス変調器38に出力するので、このパルス変調器3
8がArレーザ管13の出射光線をEFM信号に対応し
てオンオフすることになり、原盤21にプリピット36
が露光される。このように露光された原盤21からマス
タスタンパ(図示せず)を作成し、このマスタスタンパ
によりディスク基板4を成形すれば、このディスク基板
4には、図11に示すように、プリピット36が連続す
る複数の丸穴35により形成される。
【0052】なお、本構成例の原盤露光装置37では、
上述のようにArレーザ管13の出射光線がパルス変調
器38によりオンオフされるので、Arレーザ管13を
EFM信号に対応して駆動制御する必要はない。しか
も、EFM信号に基づいてパルス変調器38を駆動する
ので、簡易な構造でパルス変調器38を良好に駆動する
ことができる。
【0053】上述のようにプリピット36を連続する複
数の丸穴35により形成した場合、それらの丸穴35が
広いピッチで連続すると、その間隙が再生光線にノイズ
として読み取られ、丸穴35が狭いピッチで連続する
と、記録層5の膜厚を均一化する効果が低下する。つま
り、上述のようなプリピット36を実際に光ディスク1
に形成する場合は、その丸穴35のピッチを適正に設定
する必要がある。
【0054】このような丸穴35のピッチは、図14に
示すように、基準クロックのオンオフにより設定できる
ので、本構成例の原盤露光装置37では、基準クロック
に 0.8Tのオンと 0.2Tのオフとを設定し、丸穴35間
に直径の四分の一のスペースを形成した。この場合、n
Tのプリピット36を露光する論理和信号は、(0.1T
オフ+0.8Tオン+0.1Tオフ)nとして出力される。
【0055】このようなプリピット36を試作品の原盤
露光装置37により原盤21に露光し、この原盤21か
ら光ディスクを試作したところ、この光ディスクは記録
層5の膜厚が均一に形成され、そのプリピット36は既
存のCDプレーヤで良好に読み取られることが確認され
た。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、記録層の膜厚の変動が
軽減されるので、より良好にプリピットを読み取ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスクの参考例を示す縦断面図で
ある。
【図2】ディスク基板の一部を示す斜視図である。
【図3】プリピットの形状を示し、(a)は平面図、
(b)は縦断正面図である。
【図4】本発明の実施の一形態を示すプリピットの平
図である。
【図5】プリピットの別の一例を示す縦断正面図であ
る。
【図6】盤露光装置の第一の構成例を示す模式図であ
る。
【図7】変調器駆動手段である変調器駆動回路を示すブ
ロック図である。
【図8】(a)はFVコンバータの周波数−電力の変換
特性を示す特性図、(b)はプリピットの長さと光量変
調器の印加電圧との関係を示す特性図、(c)は光量変
調器の印加電圧と透過光強度との関係を示す特性図であ
る。
【図9】変調器駆動回路の一変形例を示すブロック図で
ある。
【図10】(a)はプリピットの記録信号であるEFM
信号や基準クロックの関係を示すタイムチャート、
(b)はプリピットの長さと光量変調器の透過光強度と
の関係を示す特性図である。
【図11】プリピットの参考例を示す平面図である。
【図12】盤露光装置の第二の構成例を示す模式図で
ある。
【図13】シャッタ駆動手段であるアンドゲートを示す
ブロック図である。
【図14】EFM信号や基準クロックの関係を示すタイ
ムチャートである。
【符号の説明】 1 光ディスク 2 再生専用領域 3 記録再生領域 4 ディスク基板 5 記録層 6 反射層 8,10,11,36 プリピット 12,37 原盤露光装置 15 光量変調器 21 原盤 22,30 変調器駆動手段 35 丸穴 38 シャッタ手段 39 シャッタ駆動手段
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/26 501 G11B 7/26 501

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスク基板と記録層と反射層とが順番
    に積層され、再生専用領域には光線により再生される情
    報が予め固定的に記録され、記録再生領域には光線によ
    る情報の記録と再生とが実行される光ディスクにおい
    て、前記再生専用領域に記録される情報を前記ディスク
    基板に凹形状のプリピットで形成し、前記ディスク基板
    の屈折率をn1、前記記録層の屈折率をn2、前記ディ
    スク基板と前記記録層との境界面における前記プリピッ
    トの深さをd1、前記記録層と前記反射層との境界面に
    おける前記プリピットの深さをd2′、光線の波長をλ
    とすると、 λ/4≦(n1−n2)d1+n2d2′≦λ/2 を満足することを特徴とする光ディスク。
  2. 【請求項2】 プリピットを長いほど狭い形状に形成し
    たことを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
  3. 【請求項3】 プリピットを長いほど浅い形状に形成し
    たことを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
  4. 【請求項4】 プリピットを連続する複数の丸穴により
    形成したことを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
  5. 【請求項5】 光ディスクの原盤に光線によりプリピッ
    トを露光する原盤露光装置において、露光するプリピッ
    トが長いほど光線の強度が低く設定されていることを特
    徴とする原盤露光装置。
  6. 【請求項6】 原盤を露光する光路上に印加電圧に対応
    して透過光量が変化する光量変調器を配置し、プリピッ
    トの記録信号の周波数を電圧に変換して前記光量変調器
    に印加する変調器駆動手段を設けたことを特徴とする請
    求項5記載の原盤露光装置。
  7. 【請求項7】 印加電圧に対応して透過光量が変化する
    光量変調器を原盤を露光する光路上に配置し、プリピッ
    トの記録信号の長さを検出して予め設定された対応する
    電圧を前記光量変調器に印加する変調器駆動手段を設け
    たことを特徴とする請求項5記載の原盤露光装置。
  8. 【請求項8】 光ディスクの原盤に光線によりプリピッ
    トを露光する原盤露光装置において、原盤を露光する光
    路上に入力信号に対応して透過光をオンオフするシャッ
    タ手段を配置し、プリピットの記録信号と基準クロック
    とを論理和した信号を前記シャッタ手段に出力するシャ
    ッタ駆動手段を設けたことを特徴とする原盤露光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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