JP2003191638A - 光学記録媒体 - Google Patents

光学記録媒体

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JP2003191638A JP2001395793A JP2001395793A JP2003191638A JP 2003191638 A JP2003191638 A JP 2003191638A JP 2001395793 A JP2001395793 A JP 2001395793A JP 2001395793 A JP2001395793 A JP 2001395793A JP 2003191638 A JP2003191638 A JP 2003191638A
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Hajime Yuzurihara
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短波長例えば青色波長を記録波長とし、高密
度記録が可能であるとともに記録再生とROM互換性を
両立できる相変化型光情報記録媒体を提供すること。 【解決手段】 基板2上に、少なくとも第1の保護層
3、相変化記録層4、第2の保護層5、および反射放熱
層6が形成されてなり、第1の保護層3形成面側から波
長λのレーザ光を照射して、相変化記録層4の非晶質相
と結晶相との可逆的な相変化を利用して信号の記録再生
を行う光学記録媒体であって、相変化記録層4の組成
は、下記式で表されるものに特定する。 XαβDyγ(SbδTe1-δ1−α−β−γ (但し、XはIn又はGa、あるいはInとGaの混合
物であり、Yは(Sb δTe1-δ)の結晶化温度を高く
する1種類以上の元素であり、α、β、γは原子比率を
表し、以下の範囲にあるものとする。 0.01≦α≦0.07 0.02≦β≦0.1 0.01≦γ≦0.07 0.65≦δ≦0.85)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化型の光学記
録媒体に係わる。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザ光を照射することにより、
信号の記録、再生および消去をすることが可能な光学記
録媒体には、磁化の反転を行うことにより記録信号の消
去を行う光磁気記録方式と、結晶と非晶質の可逆的相変
化を利用して記録信号の消去を行う相変化記録方式があ
る。特に相変化記録方式においては、いわゆる単一ビー
ムオーバーライトが可能であり、ドライブ側の光学系が
単純であることを特徴としていることから、コンピュー
ター関連や映像音響に関する記録媒体として応用されて
いる。
【0003】相変化型光学記録媒体は、基板上に形成さ
れた記録層薄膜にレーザ光を照射することにより加熱
し、記録層構造を結晶とアモルファス間で相変化させる
ことにより反射率を変化させ、信号の記録および消去を
行うものである。通常は信号記録状態がアモルファス
相、消去状態が結晶相になっており、記録層、保護層な
どを成膜して形成された媒体は、さらに、大口径レーザ
光照射等により初期結晶化された状態で使用が開始され
る。
【0004】相変化型光学記録媒体においては、信号を
記録したい領域では、高いパワーのレーザ光を照射して
記録層を形成する材料の融点以上に加熱する。このよう
にして加熱された記録層は、溶融後レーザの通過に伴
い、ある温度プロファイルで冷却される。この冷却速度
を記録層材料の持つ結晶化速度以上に選定することによ
って、記録層をアモルファス化することができ、信号の
記録が行われる。
【0005】一方、信号の消去を行う場合、信号消去し
たい領域では、中間的なパワーのレーザを照射して記録
層を形成する材料が結晶化できる温度以上に一定時間保
持する。この温度で加熱された記録層はアモルファス状
態からより安定な結晶状態へ相変化し、これによって信
号の消去がなされる。
【0006】相変化型光学記録媒体の記録層を形成する
材料としては、アモルファス状態を形成しやすく、ま
た、繰り返し記録によっても組成偏析が起きにくいもの
が好適であり、例えば、カルコゲナイドを中心とした材
料を適用することができる。
【0007】具体的な記録層材料としては、GeTeと
SbTeの混合物、及び、SbとTeのモル比が
7:3であるSbTe近傍の組成にAgやInを添
加した系が挙げられる。特にSbTe近傍の組成に
AgやInを添加した系は結晶成長速度が速く、アモル
ファス部分の輪郭が明確であり、高密度、及び高線速記
録に好適な材料である。
【0008】上述したような相変化型光学記録媒体は、
今後、高密度画像記録への用途が拡大すると予想され、
さらなる高速オーバーライトを実現する必要がある。本
発明者等は、特願平12−289128号において、高
線速記録に適し、また、オーバーライト特性、保存特性
に優れた記録層組成を提示した。この記録層を形成する
相変化材料は、元素の組成比を調整することにより結晶
化速度の調整が可能である。高速オーバーライトによっ
ても消去比を向上させるためには、結晶化速度が速い方
が有利である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような相変化型光学記録媒体の記録層を構成する相変
化材料を、結晶化速度が速くなる組成に調整すると、初
期結晶化がしにくく、初期結晶化後の反射率分布が均一
になりにくいという欠点があった。
【0010】また、結晶化速度の速い相変化材料により
記録層を形成すると、記録した信号のマークが細くなり
やすく、充分な変調度を有する記録を行うことは困難で
あるという問題がある。また、変調度が小さいと一般的
にジッターも悪く、良好な記録が行うことができないと
いう問題がある。
【0011】この理由としては、結晶化速度が速いため
信号記録時に溶融領域の再結晶化領域が大きくなってし
まい、形成されるアモルファス領域が小さくなってしま
うことが挙げられる。このような再結晶化領域を小さく
するためには、相変化記録層上に形成する保護層の膜厚
を薄くして、相変化記録層材料を急冷する構造とするこ
とが考えられるが、単に相変化記録層上の保護層の膜厚
を薄くしただけでは、急冷によって熱が奪われやすく、
さらには相変化記録層の熱吸収率も低下してしまうた
め、相変化記録層を充分に昇温することができなくな
り、溶融領域が小さくなってしまい、再結晶化領域を小
さくできたとしても、結局は形成されるアモルファス領
域は小さくなり、充分な変調度を有する記録を行うこと
ができないという問題がある。
【0012】そこで本発明においては、DVD(Digita
l Versatile Disc)と同等以上の記録密度を有し、D
VDの5倍速(17.5m/s)程度の高線速記録に適
した光学記録媒体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明にお
いては、基板上に少なくとも第1の保護層、相変化記録
層、第2の保護層および反射放熱層が形成されてなり、
上記第1の保護層形成面側から波長λのレーザ光を照射
して、上記相変化記録層の非晶質相と結晶相との可逆的
な相変化を利用して信号の記録再生を行う光学記録媒体
であって、相変化記録層の組成は、下記[化2]で表さ
れることを特徴とする光学記録媒体を提供する。
【0014】
【化2】 XαβDyγ(SbδTe1-δ1−α−β−γ
【0015】(但し、XはIn又はGa、あるいはIn
とGaの混合物であり、Yは(Sb δTe1-δ)の結晶
化温度を高くする1種類以上の元素であり、α、β、γ
は原子比率を表し、以下の範囲にあるものとする。 0.01≦α≦0.07 0.02≦β≦0.1 0.01≦γ≦0.07 0.65≦δ≦0.85
【0016】請求項2に係る発明においては、相変化記
録層は、少なくともGeを含むものとした相変化型の光
学記録媒体を提供する。
【0017】請求項3に係る発明においては、上記反射
放熱層は、波長λにおける屈折率(n+ik)のnが1
以下であり、kが5以下の金属からなるものとした相変
化型の光学記録媒体を提供する。
【0018】請求項4に係る発明においては、上記反射
放熱層は、Ag,Au,Cuの少なくともいずれか一種
類を主成分とするものとした相変化型の光学記録媒体を
提供する。
【0019】請求項5に係る発明においては、上記反射
放熱層は、Agを主成分とするものとした相変化型の光
学記録媒体を提供する。
【0020】請求項6に係る発明においては、上記反射
放熱層の膜厚が90nm以上であるものとした相変化型
の光学記録媒体を提供する。
【0021】請求項7に係る発明においては、第2の保
護層は、ZnSとSiO2との混合物からなるものとし
た相変化型の光学記録媒体を提供する。
【0022】請求項8に係る発明においては、第2の保
護層の膜厚が、3〜20nmであるものとした相変化型
の光学記録媒体を提供する。
【0023】請求項9に係る発明においては、上記反射
放熱層は、Agを主成分とし、上記第2の保護層は、Z
nSとSiO2との混合物からなり、上記反射放熱層
と、上記第2の保護層との間に、硫化防止界面層が、膜
厚3nm以上に形成されてなり、上記硫化防止界面層
は、上記反射放熱層を形成する元素の硫化を防止する機
能を有しているものとした相変化型の光学記録媒体を提
供する。
【0024】請求項10に係る発明においては、上記硫
化防止界面層は、SiC、あるいは、Siを主成分とす
るものとした相変化型の光学記録媒体を提供する。
【0025】請求項11に係る発明においては、上記硫
化防止界面層の主成分が、Siであるものとした相変化
型の光学記録媒体を提供する。
【0026】請求項1に係る発明によれば、相変化記録
層の初期結晶化後の反射率分布の均一性に優れた光学記
録媒体が得られる。請求項2に係る発明によれば、アモ
ルファスマークの保存信頼性に優れた光学記録媒体が得
られる。請求項3に係る発明によれば、結晶化速度の速
い相変化記録層を適用した場合においても、充分な変調
度を有する信号記録を可能にするために、相変化記録層
の光吸収率が高い光学記録媒体が得られる。請求項4に
係る発明によれば、相変化記録層の光吸収率が高く、放
熱特性に優れた光学記録媒体が得られる。
【0027】請求項5に係る発明によれば、酸化に対す
る経時安定性に優れ、しかもコストの低減化を図った光
学記録媒体が得られる。請求項6に係る発明によれば、
レーザ光の利用効率の高い光学記録媒体が得られる。請
求項7に係る発明によれば、記録特性、保存信頼性に優
れた光学記録媒体が得られる。請求項8に係る発明によ
れば、再生光安定性に優れた光学記録媒体が得られる。
【0028】請求項9に係る発明によれば、結晶化速度
の速い相変化記録層を用いた場合でも、充分な変調度を
有する記録が可能で、コストが安く酸化に対する経時安
定性に優れ、反射放熱層の硫化に対する安定性に優れた
光学記録媒体が得られる。請求項10に係る発明によれ
ば、結晶化速度の速い相変化記録層を用いた場合でも、
充分な変調度を有する記録が可能で、反射放熱層の硫化
に対する安定性が特に優れ、記録層の光吸収率を高く保
ったまま冷却速度を速くできる光学記録媒体が得られ
る。請求項11に係る発明によれば、結晶化速度の速い
相変化記録層を使用しても充分な変調度を有する記録が
可能な光学記録媒体が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の光学記録媒体について、
図を参照して以下に説明する。なお、本発明の光学記録
媒体は、以下の例に限定されるものではない。図1に本
発明の相変化型光学記録媒体10の概略構成図を示す。
この光学記録媒体10は、所定の案内溝を有する基板2
上に、第1の保護層3、相変化記録層4、第2の保護層
5、反射放熱層6、および樹脂層7が積層形成されてい
る構成を有している。
【0030】基板2形成用の材料としては、例えばガラ
ス、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹
脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共
重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、
シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、ABS樹
脂等、光学記録媒体の基板用材料として従来公知のもの
をいずれも適用することができる。
【0031】第1の保護層3は、SiO、SiO、Z
nO、SnO、Al、TiO、In
MgO、ZrO等の酸化物、Si、AlN、T
iN、BN、ZrN等の窒化物、ZnS、In
TaS等の硫化物、SiC、TaC、WC、TiC、
ZrC等の炭化物や、ダイヤモンド状炭素、あるいはこ
れらの混合物を用いて形成することができる。第1の保
護層3は、スパッタリング、イオンプレーティング、真
空蒸着、プラズマCVD等によって製膜することができ
る。
【0032】本発明の光学記録媒体において、相変化記
録層4の組成は、下記[化3]で表されるものとする。
【0033】
【化3】 XαβDyγ(SbδTe1-δ1−α−β−γ
【0034】(但し、XはIn又はGa、あるいはIn
とGaの混合物であり、Yは(Sb δTe1-δ)の結晶
化温度を高くする1種類以上の元素であり、α、β、γ
は原子比率を表し、以下の範囲にあるものとする。 0.01≦α≦0.07 0.02≦β≦0.1 0.01≦γ≦0.07 0.65≦δ≦0.85)
【0035】この相変化記録層4の形成材料について以
下に考察する。SbとTeのモル比が、7:3であるS
Te近傍組成の合金は、繰り返し記録特性に優れ
た相変化記録材料である。このSbとTeの配合比を調
整することにより、結晶化速度を調整することが可能で
あり、Sbの比率を高くすると、結晶化速度を速くする
ことができる。
【0036】本発明者らの実験によれば、Sbが65a
tom%以上であれば、少なくともCD(Compact Dis
c)の1Xの線速(1.2m/s)で信号記録を行うこ
とが可能である。Sbが65atom%未満であると、
1.2m/sでもオーバーライトによるジッターの上昇
が大きく、良好な記録を行うことができなかった。Sb
の比率を高くするに従い、結晶化速度も上昇し、より高
線速で良好な記録が可能になった。
【0037】一方、Sbが85atom%を越えると、
結晶化速度の上昇率が急激になり、アモルファスマーク
の形成がほとんどできなくなった。従って、SbとTe
の2元系におけるSbの比率は、65atom%以上8
5atom%以下とすることが好ましい(すなわち上記
式において、0.65≦δ≦0.85)。
【0038】しかし、Sb−Teの2元系だけでは、ア
モルファス相の安定性が悪く、例えば、70〜80℃程
度の高温環境化においては、約50時間以内にはアモル
ファスマークが結晶化してしまうという問題がある。そ
のため、相変化記録層形成用の材料には、結晶化温度を
高くしてアモルファス相の安定性を高められるような第
3元素を1種類以上添加して用いることが好ましい。た
だし、Sbの比率が高い程、第3元素を添加しても保存
信頼性は劣化してしまう傾向があるため、かかる場合に
はSbの含有比率をあまり高くすることはできない。
【0039】従って、高速オーバーライトに有利な結晶
化速度の速い記録を形成するためには、Sbの比率の比
率をあまり高くせずに結晶化速度を速くする必要があっ
た。このようなことに鑑みて、保存信頼性を向上させる
効果が高く、さらには結晶化速度を速くできる元素とし
て、Inを添加することとした。しかしながら、このI
nについても、添加量が多すぎるとオーバーライトによ
るジッター上昇が大きくなってしまう等の弊害を招く。
本発明者等の実験によれば、Inの添加量を材料の10
atom%以下とすると、オーバーライトによるジッタ
ー上昇が低いレベルに抑えられることが確かめられた。
【0040】さらに本発明者等は、先に出願した特開平
12−289128号公報で示したように、GaがIn
よりも少量でも結晶化速度を速くする効果が大きい元素
であることを見出した。また、保存信頼性を向上させる
効果においても、GaはInと同等以上に優れている。
ただし、この場合も添加量は材料の10atom%以下
とした方がオーバーライトによるジッター上昇を低く抑
えることができる。また、これらの添加量が1atom
%よりも少ないと、相変化記録層の結晶化速度を速くし
たり、保存特性を向上させたりする効果が得られなかっ
た。
【0041】上述したことから、SbTe近傍組成
の合金SbTe系にGaやIn、あるいはそれらの混合
物を1〜10%程度添加した系は、結晶化速度が速いと
同時に保存信頼性も高い優れた特性を持つ相変化記録材
料である
【0042】Sbの比率を高くせずに結晶化速度を速く
するためには、GaやInの添加量を増加させることが
効果的である。しかしGaやInは結晶化温度を上げる
効果が非常に高いため、添加量が多いと相変化記録層4
の結晶化温度が高くなってしまい、初期結晶化がしにく
く、初期結晶化後の反射率分布が不均一になるという欠
点がある。このような初期結晶化の点を考慮すると、G
aやInの添加量は、これらの合計で7atom%以下
(すなわち上記式中、0.01≦α≦0.07)、より
好ましくは5atom%以下とすることが好ましい。し
かしながら、5atom%以下とすると、結晶化速度に
限界が生じ、DVDの5倍速(17.5m/s)程度に
おける消去率が高い相変化記録層を形成することが困難
となる。
【0043】また、GaやInの添加量を減らすと保存
信頼性に支障を来す。そこで、GaやInよりも結晶化
温度を上げる効果が低く、Sb−Teに添加した場合に
は結晶化温度を高め、しかも保存信頼性を向上させる効
果のある元素を添加することが望ましい。
【0044】このような効果をもつ元素としては、Ge
が非常に優れており、少量添加したのみでも保存信頼性
の飛躍的な向上を図ることができる。その際の添加量は
2atom%以上であれば、結晶化速度の速い相変化記
録層のアモルファス安定性を向上させる効果が出現し、
Geの添加量が増える程その効果が高くなることが実験
により確認された。
【0045】しかしながらGeの添加量が多すぎると、
記録感度およびオーバーライト特性の低下を招来するの
で、これを10atom%以下とすることが必要である
(上記式中、0.02≦β≦0.1)。しかし、Geに
は結晶化速度を速くする効果はないため、DVDの5倍
速(17.5m/s)程度における消去率が高い相変化
記録層を形成することは困難である。
【0046】そこで本発明者等が種々の元素を添加して
結晶化温度や記録特性を評価したところ、Dyが結晶化
速度を速くする効果があり、GaやInの添加量を増や
して同程度の結晶化速度にした場合よりも結晶化温度が
低いため、初期結晶化後の反射率の均一性にも優れた効
果が得られることがわかった。
【0047】Dyの添加量は1atom%より低いと、
結晶化速度を速くする効果が明確に得られないため、1
atom%以上添加する。一方においてDyの添加量が
多すぎると記録感度やオーバーライト特性が低下してし
まうため、7atom%以下とすることが望ましい(上
記式中、0.01≦γ≦0.07)。
【0048】上述したような材料を用い、さらには各々
の組成比を調整して相変化記録層4を形成することによ
り、オーバーライト特性や保存特性、さらには初期結晶
化の容易性を満足しつつ、高線速記録に好適な結晶化速
度を具備する光学記録媒体10を得ることができる。
【0049】次に、反射放熱層6について説明する。従
来の相変化型の光学記録媒体においては、反射放熱層形
成用材料として、Alを主成分とした合金が使用されて
いる。Alは反射率が高く、熱伝導率も高いことに加
え、ディスク化した場合の経時安定性にも優れている材
料である。Alを反射放熱層6形成用材料として用いた
場合には、基板2上に第1の保護層3、相変化記録層
4、第2の保護層5、反射放熱層6を成膜し、樹脂層7
としてトップコート層として従来公知の樹脂をオーバー
コートした簡単な構成で、記録特性、経時安定性に優れ
た光学記録媒体を形成することができる。
【0050】しかしながら、相変化記録層4を形成した
材料の結晶化速度によっては、反射放熱層6としてAl
を適用した光学記録媒体では、記録マークが細くなりや
すく、充分なモジュレーションを有する記録を行うこと
は困難な場合があった。この理由としては、相変化記録
層4の結晶化速度が速い場合には、信号の記録時に溶融
領域の再結晶化領域が大きくなってしまい、形成される
アモルファス領域が小さくなってしまうことが挙げられ
る。
【0051】溶融領域における再結晶化領域を小さくす
るためには、第2の保護層5の膜厚を充分に薄くし、い
わゆる急冷構造とすればよいが、単純に第2の保護層5
の膜厚のみを薄くしただけでは、相変化記録層4を充分
に昇温することができなくなってしまい、その結果、溶
融領域が小さくなってしまい、たとえ再結晶化領域を小
さくできたとしても、結局、形成されるアモルファス領
域は小さくなってしまう。
【0052】上述した点に鑑みて、本発明においては、
反射放熱層6や後述するように第2の保護層の材料や膜
厚を特定することにより、相変化記録層4の充分な昇温
を確保しつつ、より急冷構造を考慮した構成を実現し
た。これにより、結晶化速度の速い相変化記録層材料を
適用しても、充分なモジュレーションを有する記録を行
うことができる光学記録媒体を作製することが可能にな
った。
【0053】本発明においては、反射放熱層6形成用の
材料として、波長λにおける屈折率(n+ik)のnが
1以下であり、kが5以下の金属を適用する。これによ
り、相変化記録層4の光吸収率の向上が図られる。
【0054】図2は、基板2上に第1の保護層3(76
nm)、相変化記録層4(16nm)、第2の保護層5
(20nm)、反射放熱層6(140nm)を順次積層
形成し、基板側から波長660nmのレーザ光を照射し
た場合の、相変化記録層4(結晶相)の吸収率を、反射
放熱層6の屈折率の値を種々の値に変更した場合の光学
シミュレーションにより求めた結果である。
【0055】従来において、反射放熱層6の形成材料と
して適用されていたAlに、1wt%のTiを添加した
合金のスパッタ膜の屈折率は、n=1.3であり、k=
6.5であり、この場合の相変化記録層6の、吸収率の
計算値は59%となる。
【0056】これに対し、nが1以下kが5以下であれ
ば、いずれも吸収率は60%以上であり、Al合金を用
いた場合よりも吸収率が向上する。なお、相変化記録層
4や第1の保護層3、第2の保護層5として何を用いる
かによりそれらの屈折率も変化するので、ここで示した
吸収率の値も変わってくるが、いずれの相変化記録層や
保護層を用いた場合でも、反射放熱層6として波長λに
おける屈折率(n+ik)のnが1以下、kが5以下の
金属を使用することにより、Al合金を用いた場合より
も相変化記録層の吸収率は向上する。
【0057】上記の条件を満たす金属としては、Au,
Ag,Cuおよびそれらを主要元素とした合金が挙げら
れる。これらの純金属の場合の、λ=660nmにおけ
るスパッタ膜の屈折率の実測値、及び、熱伝導率の文献
値(バルク)の値を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】上記表1に示すように、Au,Ag,Cu
は同時にいずれもAlより熱伝導率が高い。従って、こ
れらを反射放熱層6形成用材料として用いると、相変化
記録層4の光吸収率を向上させ、相変化記録層4の温度
を上昇させて溶融領域を大きくする効果があるのと同時
に、冷却速度も向上させるため、冷却時の再結晶化領域
が小さくなり、Al合金を用いた場合よりも大きなアモ
ルファス領域を形成することが可能になる。
【0060】さらには、相変化記録層4が結晶相の場合
とアモルファス相の場合との反射率の光学シミュレーシ
ョンから変調度を求め、反射放熱層のnと変調度との関
係を、kを0〜7としたそれぞれの場合について、図3
に示した。図3に示すように、反射放熱層6としてnが
1以下、kが5以下の材料を用いると、単純に光学的な
変調度もAl合金を用いた場合よりも大きくなることが
わかる。記録マークの変調度は、光学的な変調度とマー
クの大きさによって決まり、光学的な変調度が大きく、
マークが大きい程大きくなる。従って、相変化記録層4
として、結晶化速度が速い材料を用いて、高線速記録を
行う場合でも、上記反射放熱層を用いると吸収率が大き
く冷却速度が速いことから大きな記録マークが形成で
き、また、結晶とアモルファスの反射率差も大きいこと
から変調度の大きい記録が可能になる。
【0061】上述した3種類の金属、及びそれらを主要
元素とした合金の中でも、特に、Ag及び、Ag合金は
比較的安価であり、また、同様に安価なCuおよび、C
u合金に比べて酸化しにくいため、経時安定性に優れた
光学記録媒体を形成することができ、反射放熱層形成用
材料として好適である。但し、これらは硫化されやすい
ため、特に第2の保護層5の形成用材料としてSを含有
する場合には、反射放熱層6と第2の保護層5との間
に、硫化を防止する機能を有するいわゆる硫化防止界面
層(図示せず)を形成する必要がある。
【0062】図4に反射放熱層6としてAgを用い、そ
の膜厚を変化させた光学記録媒体における反射率と透過
率の計算値を示した。図4から、反射放熱層6の膜厚
は、90nm以上であれば、透過率は1%以下となるた
め、レーザ光を効率的に利用することができることがわ
かる。
【0063】次に、第2の保護層5について詳細に説明
する。第2の保護層4には、溶融凝固を繰り返す相変化
記録層4が流動等により膜厚が変化したり、あるいは何
らかの反応により膜質が変化したりしてしまわないよう
にするという、相変化記録層4を保護する役割の他、相
変化記録層4が吸収した熱を反射放熱層6へ逃がす時間
を遅らせて、相変化記録層4の温度を高める役割を担
う。
【0064】従って第2の保護層5は、耐熱性があり、
熱伝導率が低いという性質が求められる。このような性
質をもつ材料としては種々の酸化膜や窒化膜、硫化膜な
どが提案されており、よく知られている材料としては、
モル比が8:2近傍のZnSとSiOの混合物があ
る。
【0065】本発明者等は、何種類かの保護層を用いて
光学記録媒体を形成し、記録特性や保存特性を確認し
た。その結果、記録特性においては、ZnSとSiO
の混合物より優れている膜がいくつかあったが、保存特
性においては、ZnSとSiO の混合物が最もアモル
ファスマークの安定性に優れていた。ZnSとSiO
の混合物は、結晶性を示さないため、アモルファスマー
クの安定化に有利に作用するためだと考えられる。従っ
て、第2の保護層5としては、ZnSとSiOの混合
物を適用することが望ましい。
【0066】第2の保護層5は、膜厚が薄すぎると、相
変化記録層4の昇温が不充分となり、充分な大きさのマ
ークを形成できなくなる。また、厚すぎても冷却速度が
不充分となって、再結晶化領域が大きくなり、充分な大
きさのマークが形成できない。比較的結晶化速度の遅い
相変化記録層を用いた場合は、第2の保護層5を厚めに
すると、初回記録のジッターは良好であり、変調度も大
きい。しかし、温度が上がりすぎるため、オーバーライ
トによる膜劣化が進みやすい。また、再生光によっても
温度上昇が大きくなってしまうため、再生光安定性も悪
い。
【0067】反射放熱層6として、屈折率(n+ik)
のnが1以下でkが5以下の材料を用いた場合には、相
変化記録層4の光吸収率が大きくなるために、従来のA
l合金を用いた場合と記録パワーや線速が同じ条件で記
録する場合には、第2の保護層5の最適膜厚は、Al合
金を用いた場合よりは薄くなる。第2の保護層5の膜厚
が薄くなると、冷却速度は速くなるので再結晶化領域を
小さくすることができ、結晶化速度の速い相変化記録層
材料を用いた場合には、一層有利となる。第2の保護層
5の最適膜厚は、記録条件や界面層に使用する材料、膜
厚等によりその最適値が異なるが、波長660nm、
N.A.0.6のピックアップヘッドで、0.7mW、
3.5m/sで再生する場合の再生光安定性を考慮する
と、反射放熱層6にAgを用いた場合には20nm以下
とする方が好ましい。
【0068】ただし、反射放熱層6として、Agあるい
はAg合金を用いると、ZnSとSiOの混合物のよ
うに、第2の保護層5にSが含まれていると、Agが硫
化して欠陥を生じてしまう。そこで、反射放熱層6と第
2の保護層5との間に硫化防止機能を持ついわゆる硫化
防止界面層(図示せず)を設けることが好ましい。硫化
防止界面層は、3nm以上の厚さがあれば、スパッタに
より形成された膜はほぼ均一になり、硫化防止機能を発
揮する。3nmより薄いと、部分的に欠陥を生じる確率
が急に高くなってしまう。
【0069】硫化防止界面層の材料に要求される性質と
しては、Sを含まないこと、Sを透過しないこと等が挙
げられる。本発明者等は、種々の酸化膜や窒化膜等を界
面層として形成し、記録特性や保存信頼性の評価を行っ
たところ、SiC及び、Siが硫化防止界面層として優
れた機能を持つことがわかった。
【0070】下記表2に、SiC、SiおよびZnS−
SiOのスパッタ膜の屈折率の実測値と熱伝導率の文
献値(バルク)を示した。SiCおよびSiは、ZnS
−SiOよりも1桁以上熱伝導率が高いことがわか
る。
【0071】
【表2】
【0072】図5に、上述した硫化防止界面層の膜厚を
変えた場合の相変化記録層4(結晶)の吸収率の変化の
光学シミュレーションの結果を示した。比較のために、
ZnS−SiOを硫化防止界面層と同ように第2の保
護層5上へ成膜したと想定した場合の結果を示した。
【0073】基板2上に、第1の保護層3(76n
m)、相変化記録層4(16nm)、第2の保護層5
(10nm)、硫化防止界面層(2〜20nm)、反射
放熱層6(140nm)を順次積層形成し、基板2側か
ら、波長660nmのレーザ光を入射した場合の結果で
あるものとする。図5に示すように、SiCはZnS−
SiOとほぼ同様の結果であり、20nmまでの範囲
では、同じ膜厚であればSiの方が吸収率が高い。硫化
防止界面層にSiCやSiを用いると、熱伝導率が大き
いため、単に第2の保護層5であるZnS−SiO
同程度の厚さに成膜した場合よりも、相変化記録層4の
吸収率を保ちつつ、急冷構造とすることができ、さらに
は、Siの方が膜厚が薄くても吸収率が高いため、相変
化記録層4を充分昇温し、かつ、急冷構造とするには有
利である。
【0074】以下に本発明の光学記録媒体について具体
的な実施例を示して説明する。以下の例においては、い
ずれの場合も、直径12cm、厚さ0.6mm、トラッ
クピッチ0.74μmの案内溝付きのポリカーボネート
ディスク基板2上に、第1の保護層3、相変化記録層
4、第2の保護層5、(硫化防止界面層)、反射放熱層
6を、順次スパッタにより成膜し、さらに、反射放熱層
6上にスピンコートにより形成された有機保護膜を介し
て直径12cm、厚さ0.6mmのポリカーボネートデ
ィスクを接着したものを大口径レーザ光により初期結晶
化して試料として用いた。記録再生は、基板側から波長
660nmのレーザ光を照射して行う。
【0075】〔実施例1〕第1の保護層3として、(Z
nS)80mol%(SiO)20mol%を76n
m、相変化記録層4としてGaGeDySb71
Te18を16nm、第2の保護層5として(ZnS)
80mol%(SiO)20mol%を20nm、反
射放熱層6としてAl−1wt%Ti合金を140nm
を成膜したディスクを初期結晶化した。
【0076】初期結晶化は口径1μm×100μmのレ
ーザを用い、送り36μm、線速3m/sの条件で行っ
た場合に、初期結晶化後の反射率が飽和できるパワーを
調べたところ、780mWであった。この条件で、反射
率分布はほぼ均一であった。この相変化記録層4は、本
発明者等らが結晶化速度の代用特性として評価している
転移線速の値が照射した連続光のパワーが9mWのと
き、約18m/sと、DVD5X相当の記録に適してい
ると考えられる結晶化速度の速い組成である。転移線速
とは、ディスクの回転速度を変えて、記録用のピックア
ップヘッドを用いてディスクにあるパワーの連続光を照
射して反射率をモニターした場合に、線速が低い場合に
は記録層が一端溶融後全て再結晶化するので反射率は高
く、線速が速い場合には冷却速度も速くなるために溶融
した相変化記録層4は全て再結晶化できず一部アモルフ
ァスが残り反射率は低いので、このときの高反射率と低
反射率の境界の線速のことである。転移線速が速い程、
結晶化速度は速いとみなすことができる。
【0077】これに、線速17.5m/s、記録パワー
17mW、バイアスパワー0.2mW、消去パワー8.
5mWで、線密度0.53μm/bitで3Tシングル
パターンの記録を行い、70℃85RHの条件下で10
00時間保存し、ジッターや変調度の変化を調べたが、
ジッターの上昇は1%程度、モジュレーションの変化も
2%程度と良好な保存特性を示した。
【0078】〔比較例1〕相変化記録層4に、Ga
Sb71Te18を用いた以外は、上記〔実施例
1〕と同じ層構成のディスクを用い、初期結晶化及び保
存特性について調べた。この相変化記録層は、転移線速
がほぼ〔実施例1〕と同じになるようにしたものであ
り、Dyを用いずに、Ga量を増やすことによって結晶
化速度を〔実施例1〕と同様に速くしたものである。送
り、線速を〔実施例1〕と同じにし、反射率が飽和する
パワーを調べたところ、860mWであった。このと
き、反射率分布には反射率差にして最大2%程度のばら
つきがあった。これは、レーザの出力が高くなってしま
ったために、ビームプロファイルにばらつきが生じ、こ
れが、反射率分布に反映されてしまったものと考えられ
る。反射率分布にばらつきがあると、ノイズとなり、ジ
ッターが小さくなりにくくなる。従って、反射率分布を
均一にするためには、初期結晶化時のパワーをもっと低
くする必要があり、そのためには線速を遅くするなどの
対策が必要となってくる。線速が遅くなると、初期化に
時間がかかってしまい、製造効率を下げるので好ましく
ない。保存特性については、〔実施例1〕と同様の試験
を行ったが、特に実用上問題はなかった。
【0079】〔比較例2〕相変化記録層にGaGe
Sb79Te13を用いた以外は、上述した〔実施例
1〕と同様の層構成の光ディスクを用い、初期結晶化及
び保存特性について調べた。この相変化記録層は、転移
線速がほぼ〔実施例1〕と同じになるようにしたもので
あり、Dyを用いずにSb量を増やすことによって、結
晶化速度を〔実施例1〕と同様に速くしたものである。
送り、線速を〔実施例1〕と同じにし、反射率が飽和す
るパワーを調べたところ、740mWであり、このとき
の反射率の均一性はほぼ均一で初期化には問題がなかっ
た。しかし、保存特性について、〔実施例1〕と同様の
試験をしたところ、1000時間保存後には、ジッター
が測定できないほどアモルファス部の結晶化が進んでお
り、実用には問題があることがわかった。
【0080】〔実施例2〜5〕、〔比較例3〜6〕 下記表3に、層構成を変えた〔実施例2〜5〕、〔比較
例3〜6〕の光学記録媒体の条件を示した。これらの例
の全ての場合において、第1の保護層3は、(ZnS)
80mol%(SiO)20mol%を76nm、相
変化記録層はGaGeDySb71Te18を1
6nmであり、第2の保護層材料としては、(ZnS)
80mol%(SiO)20mol%を用い、反射放
熱層6の膜厚は140nmとした。また、これらは反射
率が飽和するような条件で初期結晶化されている。下記
表3に示した項目をパラメータとして記録特性、及び、
保存特性について評価した。記録特性の評価は、波長6
60nm、N.A.0.65のピックアップヘッドを用
い、線密度0.267μm/bit、EFM+変調方式
にてランダムパターンの記録を行った。記録は線速1
7.5m/s、記録パワー18mW、バイアスパワー
0.2mW、消去パワー8.5mWで、記録ストラテジ
は各ディスクに合わせて最適化して行なった。再生は全
て線速3.5m/s、パワー0.7mWで実施した。
【0081】
【表3】
【0082】図6、図7に上述した〔実施例2〜5〕お
よび〔比較例3〜4〕のオーバーライトによるジッタ
ー、及び、変調度の変化を示した。実施例2〜5につい
てはいずれの場合もオーバーライト1000回目までの
ジッターは11%以下、変調度は60%以上と、良好な
記録特性を示していることがわかる。
【0083】比較例3は、第2の保護層5にAlを用
い、第2の保護層も20nmと比較的厚い場合の例であ
るが、変調度が小さく、ジッターも11%以下にするこ
とはできなかった。これは、相変化記録層4に結晶化速
度の速い材料を用いているため、再結晶化領域が大きい
ためである。
【0084】比較例4は、反射放熱層6にAlを用いた
場合に、再結晶化領域を小さくする目的で第2の保護層
5を薄くして急冷構造とした場合である。比較例3より
もさらに変調度が小さく、ジッターも悪くなってしまっ
た。単純に第2の保護層5を薄くして急冷構造とする
と、相変化記録層4の昇温が不充分で溶融領域が小さい
ため、大きなマークを形成することができなかった。
【0085】保存特性は、70℃85%RH環境下に1
000時間保存した後のジッターと変調度の変化を調べ
た。実施例2〜5及び、比較例3〜4、いずれの場合も
ジッターの上昇は、保存前に比べて初回記録で1%以
内、オーバーライト1000回でも2%以内であった。
変調度の変化はいずれの場合も2%以内であり、良好な
保存特性を示した。また、いずれの場合もディスク欠陥
は発生しなかった。
【0086】比較例5〜6については、硫化防止界面層
の厚さが薄い場合であるが、初期結晶化したディスクの
保存による欠陥の発生状況のみを調べた。どちらの場合
も、70℃85%RH環境下に1000時間保存後に
は、目視でもわかるような点状の欠陥がディスクの一部
にまとまって現れた。これは、ディスク内の膜厚分布に
より部分的に硫化防止界面層の膜厚が薄いところができ
てしまい、薄くなった部分のAg反射放熱層が硫化して
欠陥となって見えているものと考えられる。
【0087】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、結晶化速
度が速く、初期結晶化後の反射率の均一性に優れた光学
記録媒体が得られた。請求項2に係る発明によれば、結
晶化速度が速く、初期結晶化後の反射率の均一性に優
れ、かつ、アモルファスマークの保存信頼性に優れた光
学記録媒体が得られた。請求項3に係る発明によれば、
相変化記録層の光吸収率が高い光学記録媒体が得られ
た。請求項4に係る発明によれば、放熱特性にも優れる
光学記録媒体が得られた。請求項5に係る発明によれ
ば、光吸収率、放熱特性が高く、コストが安く酸化に対
する経時安定性にも優れた光学記録媒体が得られた。請
求項6に係る発明によれば、光の利用効率の高い光学記
録媒体が得られた。請求項7に係る発明によれば、記録
特性、保存信頼性に優れた光学記録媒体が得られた。請
求項8に係る発明によれば、再生光安定性に優れた光学
記録媒体が得られた。請求項9に係る発明によれば、結
晶化速度の速い相変化記録層を用いた場合でも、充分な
変調度を有する記録が可能で、コストが安く酸化に対す
る経時安定性に優れた光学記録媒体であって、反射放熱
層の硫化に対する安定性に優れた光学記録媒体が得られ
た。請求項10に係る発明によれば、結晶化速度の速い
相変化記録層を用いた場合でも、充分な変調度を有する
記録が可能で、反射放熱層の硫化に対する安定性が特に
優れ、記録層の光吸収率を高く保ったまま冷却速度を速
くできる光学記録媒体が得られた。請求項11に係る発
明によれば、相変化記録層の光吸収率を高く保ったまま
冷却速度を速くするにはより一層有利なため、より結晶
化速度の速い相変化記録層を使用しても充分な変調度を
有する記録が可能な光学記録媒体が得られた。提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学記録媒体の一例の概略構成図を示
す。
【図2】反射放熱層の屈折率と相変化記録層の光吸収率
との関係を示す。
【図3】反射放熱層の屈折率と変調度との関係を示す。
【図4】反射放熱層の膜厚と反射率(透過率)との関係
を示す。
【図5】硫化防止界面層の膜厚と相変化記録層の光吸収
率との関係を示す。
【図6】記録回数とジッターとの関係を示す。
【図7】記録回数と変調度との関係を示す。
【符号の説明】
2 基板 3 第1の保護層 4 相変化記録層 5 第2の保護層 6 反射放熱層 7 樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 譲原 肇 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田代 浩子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 三浦 裕司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 水谷 未来 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 安部 美樹子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 FA12 FA14 FA23 FA25 FA27 FA29 FB05 FB09 FB12 FB16 FB21 FB30 5D029 JA01 LA14 LA15 LA17 LB07 MA27 NA13

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、少なくとも第1の保護層、相
    変化記録層、第2の保護層、および反射放熱層が形成さ
    れてなり、 上記第1の保護層形成面側から波長λのレーザ光を照射
    して、上記相変化記録層の非晶質相と結晶相との可逆的
    な相変化を利用して信号の記録再生を行う光学記録媒体
    であって、 上記相変化記録層の組成は、下記[化1]で表されるこ
    とを特徴とする光学記録媒体。 【化1】 XαβDyγ(SbδTe1-δ1−α−β−γ (但し、XはIn又はGa、あるいはInとGaの混合
    物であり、Yは(Sb δTe1-δ)の結晶化温度を高く
    する1種類以上の元素であり、α、β、γは原子比率を
    表し、以下の範囲にあるものとする。 0.01≦α≦0.07 0.02≦β≦0.1 0.01≦γ≦0.07 0.65≦δ≦0.85)
  2. 【請求項2】 上記相変化記録層は、少なくともGeを
    含むことを特徴とする請求項1に記載の光学記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記反射放熱層は、波長λにおける屈折
    率(n+ik)のnが1以下であり、kが5以下の金属
    からなることを特徴とする請求項1に記載の光学記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 上記反射放熱層は、Ag,Au,Cuの
    少なくともいずれか一種類を主成分とすることを特徴と
    する請求項3に記載の光学記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記反射放熱層は、Agを主成分とする
    ことを特徴とする請求項3に記載の光学記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記反射放熱層の膜厚が、90nm以上
    であることを特徴とする請求項3に記載の光学記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 上記第2の保護層は、ZnSとSiO
    との混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の
    光学記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記第2の保護層の膜厚が、3〜20n
    mであることを特徴とする請求項3に記載の光学記録媒
    体。
  9. 【請求項9】 上記反射放熱層は、Agを主成分とし、
    上記第2の保護層は、 ZnSとSiOとの混合物からなり、上記反射放熱層
    と、上記第2の保護層との間に硫化防止界面層が膜厚3
    nm以上に形成されてなり、 上記硫化防止界面層は、上記反射放熱層を形成する元素
    の硫化を防止する機能を有していることを特徴とする請
    求項3に記載の光学記録媒体。
  10. 【請求項10】 上記硫化防止界面層は、SiCあるい
    はSiを主成分とするものであることを特徴とする請求
    項9に記載の光学記録媒体。
  11. 【請求項11】 上記硫化防止界面層の主成分が、Si
    であることを特徴とする光学記録媒体。
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