JP2003184787A - 遠心式モータポンプ - Google Patents

遠心式モータポンプ

Info

Publication number
JP2003184787A
JP2003184787A JP2001385147A JP2001385147A JP2003184787A JP 2003184787 A JP2003184787 A JP 2003184787A JP 2001385147 A JP2001385147 A JP 2001385147A JP 2001385147 A JP2001385147 A JP 2001385147A JP 2003184787 A JP2003184787 A JP 2003184787A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pump
motor
impeller
wall surface
motor rotor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001385147A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Toyama
幸雄 外山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ebara Corp
Original Assignee
Ebara Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ebara Corp filed Critical Ebara Corp
Priority to JP2001385147A priority Critical patent/JP2003184787A/ja
Publication of JP2003184787A publication Critical patent/JP2003184787A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)
  • Control Of Non-Positive-Displacement Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速運転する場合でも、高効率および長寿命
を達成することができ、キャビテーションの発生を抑止
することができる遠心式モータポンプを提供する。 【解決手段】 ポンプケーシング1とモータステータケ
ース2とで構成するポンプ室内に、羽根車5と一体にモ
ータロータ6及びモータロータキャン6aを配置した遠
心式モータポンプにおいて、羽根車5のポンプケーシン
グ側壁面及び相対するポンプケーシング壁面を円錐状又
は略円錐状に形成し、羽根車5のポンプケーシング側壁
面に動圧を発生する凹溝5cを設け、モータロータキャ
ン6aのモータステータ側壁面及び相対するモータステ
ータケース壁面を平面状若しくは円錐状若しくは略円錐
状に形成し、モータロータキャン6aのモータステータ
側壁面に動圧を発生する凹溝6bを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遠心式モータポンプ
に係り、特に高速運転する場合に、高効率および長寿命
を達成し、キャビテーションの発生を抑止できる遠心式
モータポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図14乃至図16は、この種の遠心式モ
ータポンプの一般的な構造を示す図であり、図14は断
面図、図15は図14の断面Aを示す図、図16は図1
4のBから見た吸込部の図である。図14に示すよう
に、ポンプケーシング1及びモータステータ3をはめ込
んだモータステータケース2で構成するポンプ室内に
は、主軸4と一体に、羽根車5とモータロータ6を配置
している。ポンプ取扱液による腐食や侵食から保護する
ために、モータロータ6には、モータロータ6における
ステータケース2側の外表面を覆うモータロータキャン
6aを固着している。
【0003】ポンプケーシング1には、軸方向に複数個
の吸込穴1aが形成されており、これら吸込穴1aはポ
ンプの吸込通路を構成している。吸込口1sから流入し
たポンプ取扱液は、吸込穴1a、羽根車5、ポンプケー
シング1のボリュート1bを通過して、吐出し口へ至
る。そして、一連のポンプ作用によって、主軸4、羽根
車5、モータロータ6及びモータロータキャン6aで構
成する回転体に作用する半径方向推力と軸方向推力を、
ポンプケーシング1とモータステータケース2に配設し
た軸受7a,7b、及び主軸4に配設したスラスト板8
a,8bで支持している。
【0004】図14及び図15に示す羽根車5は、吸込
口側に側板がないセミオープン型羽根車で示している
が、羽根車5として、図17に示すように、吸込口側に
側板5aがあるクローズド型羽根車を使用する場合もあ
る。図14乃至図17に示す遠心式モータポンプでは、
モータステータ3が発生する磁界によって、モータロー
タ6に回転トルクを与え、モータロータ6と一体に固着
した主軸4、羽根車5及びモータロータキャン6aが、
モータロータ6と同じ回転速度で回転する。羽根車5の
回転によって、ポンプ取扱液に速度エネルギーを与え、
ポンプケーシング1のボリュート1b内でポンプ取扱液
の速度を減速することによって、圧力エネルギーに変換
している。
【0005】遠心ポンプにおいては、羽根車に作用する
半径方向推力は、ポンプ構成部品の諸寸法が決定し、性
能が判っている特定のポンプについては、計算によって
求めることができる。例えば、A.J.Stepano
ff著「Centrifugal and Axial
Flow PUMPS(1948年)」によると、ポ
ンプケーシング内の減速構造がボリュートの場合、半径
方向推力は次式で計算できる。 Fr=K×H×ρ×D×B×ξ ……… 式1 K=Ko×{1−(Q/Qbep)}……… 式2 ここに、 Fr:羽根車に作用する半径方向推力 K :半径方向推力係数 H :ポンプの全揚程 ρ :ポンプ取扱液の密度 D :羽根車の外径 B :羽根車の出口幅(通路と主板と側板の厚さなどの
総和) ξ :ポンプケーシングのボリュートによる係数で、図
15のような単ボリュートの場合ξ=1 Ko:締切点(Q=0)における半径方向推力係数 Q :ポンプの運転流量 Qbep:ポンプの最高効率点における流量 である。
【0006】全揚程は、ポンプの回転速度の2乗に比例
するので、式1から、半径方向推力は、ポンプの回転速
度の2乗に比例する。遠心式ポンプにおける羽根車に作
用する軸方向推力も同様に、前記の著書から、計算で求
めることができる。それによると、羽根車が、セミオー
プン型とクローズド型では、計算式が異なっている。
【0007】図18に示すセミオープン型の羽根車の場
合、軸方向推力は次式で計算できる。吸込側面に作用す
る軸方向推力Tは、 T=(A−A)×H/2×ρ ……… 式3 反吸込側面に作用する軸方向推力Tは、 T=A×{H−u /(8×2×g)}×ρ ……… 式4 正味の軸方向推力Tは、 T=T−T= A×{H−u /(8×2×g)}×ρ−(A−A)×H/2×ρ ……… 式5 ここに、 H:羽根車出口部における全揚程 u:羽根車出口部における周速度 g :重力加速度 ρ :ポンプ取扱液の密度 A :羽根車側面の面積(図18のA) A :羽根車側面の面積(図18のA
【0008】特定のポンプについて、式5のうち、
,A,g,ρは一定なので、A×ρ=K1、8
×2×g=K2、(A−A)/2×ρ=K3とおけ
ば、式5は、 T=K1×(H−u /K2)−K3×H =K1×H−u ×K1/K2−K3×H =(K1−K3)×H−u ×K1/K2 ……… 式6 更に、式6において、K1−K3=K4、K1/K2=
K5とおけば、式6は、 T=K4×H−K5×u ……… 式7 となる。ここに、K1からK7は、全て一定である。
【0009】仮に、上記の特定のポンプの回転速度が2
倍になったとすれば、Hは4倍、uは2倍になる。
この時の正味の軸方向推力T2は、式7から、 T2=K4×(4×H)−K5×(2×u =4×(K4×H−K5×u ) =4×T =2×T となり、正味の軸方向推力は、回転速度の2乗に比例す
る。
【0010】一方、図19に示すクローズド型の羽根車
の場合、軸方向推力は、次式で計算できる。吸込側面に
作用する軸方向推力Tは、 T=(A−A)×{H−u /(8×2×g)}×ρ ……… 式8 反吸込側面に作用する軸方向推力Tは、 T=A×{H−u /(8×2×g)}×ρ ……… 式9 正味の軸方向推力Tは、 T=T−T=A×{H−u /(8×2×g)}×ρ ……… 式10 ここに、 H:羽根車出口部における全揚程 u:羽根車出口部における周速度 g :重力加速度 ρ :ポンプ取扱液の密度 A :羽根車側面の面積(図19のA) A :羽根車側面の面積(図19のA) セミオープン型の羽根車の場合と同様に、特定のポンプ
について、式10のうち、A,g,ρは一定なので、
×ρ=K6、8×2×g=K7とおけば、式10
は、 T=K6×(H−u /K7) ……… 式11
【0011】仮に、上記の特定のポンプの回転速度が2
倍になったとすれば、Hは4倍、uは2倍になる。
この時の正味の軸方向推力T2は、式11から、 T2=K6×{(4×H)−(2×u K7} =4×{K6×(H−u /K7)} =4×T =2×T であり、正味の軸方向推力は、回転速度の2乗に比例す
る。上述の計算式で示したように、羽根車に作用する半
径方向推力及び軸方向推力は、ポンプの回転速度の2乗
に比例する。
【0012】このように、遠心式モータポンプを高速運
転する場合には、主軸4、羽根車5、モータロータ6及
びモータロータキャン6aで構成する回転体に作用する
半径方向推力と軸方向推力は、その回転速度の2乗に比
例する。高速運転では、増加した両推力によって、軸受
7a,7b、及びスラスト板8a,8bに作用する単位
面積当たりの軸受荷重が増加する。そのために、軸受7
a,7bの内径と外径を大きくし、また、スラスト板8
a,8bの外径も大きくして、受圧面積を大きくするこ
とによって軸受荷重の増加に対応している。
【0013】しかし、軸受やスラスト板の内径や外径を
大きくすると、周速度(直径と回転速度の積)も大きく
なる。軸受7a,7b及びスラスト板8a,8bの材料
によって、許容周速度には、それぞれ限界があるため
に、高速運転する場合には、モータポンプの回転速度に
も限界がある。すなわち、主軸4、羽根車5、モータロ
ータ6及びモータロータキャン6aが、それらの材料の
許容周速度以下である場合には、モータポンプの許容最
高回転速度は、軸受7a,7b及びスラスト板8a,8
bの許容周速度によって決まる。
【0014】次に、軸受7a,7b及びスラスト板8
a,8bの材料の摺動による摩擦損失hは、摺動面の
動摩擦係数、軸受荷重及び周速度に比例するので、次式
で計算できる。 h=μ×F×v ……… 式12 ここに、 μ :摺動面の動摩擦係数 F :軸受やスラスト板の軸受荷重 v :軸受やスラスト板の周速度
【0015】式12において、動摩擦係数μは、軸受や
スラスト板の材料を特定しても、それらの摺動面間に存
在する膜の温度や面圧などの状態によって変化するの
で、特定はできない。しかし、遠心式モータポンプにお
いては、これらの摺動面間には、モータポンプの運転時
は、ポンプ取扱液が、常時循環しているために、摺動面
間に存在する膜の温度は、一定とみなしてよく、実際に
は、動摩擦係数μは一定値と判断する。また、軸受荷重
Fは、モータポンプの回転速度の2乗に比例し、周速度
vは、モータポンプの回転速度に比例する。すなわち、
軸受7a,7b及びスラスト板8a,8bの摺動による
摩擦損失h は、モータポンプの回転速度の3乗に比例
する。
【0016】更に、ポンプケーシング1の吸込穴1aに
おける圧力損失は、ここでの流速の2乗、即ち、流量の
2乗に比例するので、羽根車5の入口で圧力降下を起こ
し、キャビテーションが発生しやすくなる。キャビテー
ションの発生を抑止するためには、羽根車5の入口部
に、吸込穴1aや軸受7aなどの障害物が、存在しない
ほうが良い。
【0017】以上述べたように、この種の遠心式モータ
ポンプでは、高速運転する場合には、以下に列挙するよ
うな問題があった。 (1)軸受材料の許容周速度に限界があるために、モー
タポンプの最高許容回転速度に限界がある。 (2)軸受の摺動による摩擦損失が増加するために、ポ
ンプ効率が低下し、軸受寿命が短期化する。 (3)吸込部に吸込穴や軸受などを配設するために、キ
ャビテーションを発生しやすい。
【0018】これらの問題を解決する手段として、能動
型磁気軸受を装着して、回転体を非接触の状態で運転可
能な、磁気軸受装着型モータポンプがある。このモータ
ポンプでは、高速運転でも回転体を非接触に支持できる
ので、軸受の摺動による摩擦損失は、従来のすべり軸受
の約1/10であるので、ポンプ効率向上及び軸受の長
寿命化が可能である。しかし、軸受作用をする電磁石、
及びその電磁石の電流を調整して、回転体を非接触に保
持するためのコントローラ(制御回路)が必要であり、
それらの消費動力によって、モータポンプ全体で見た効
率が低下していた。
【0019】他の手段として、軸受に動圧軸受を採用し
て、回転体を非接触の状態で運転可能な、動圧軸受型モ
ータポンプがある。このモータポンプでは、高速回転で
も、回転体を非接触に支持できるので、ポンプ効率の向
上及び軸受の長寿命化が可能である。しかし、モータポ
ンプの回転速度の2乗に比例して増大する半径方向推力
や軸方向推力を支持する軸受は、反吸込側に1個所で
は、機能しない。そのため、この型式では、吸込側に吸
込穴や軸受などを設ける必要があり、キャビテーション
の発生を抑止できなかった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した事情
に鑑みてなされたもので、高速運転する場合でも、高効
率および長寿命を達成することができ、キャビテーショ
ンの発生を抑止することができる遠心式モータポンプを
提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明は、ポンプケーシングとモータステータケ
ースとで構成するポンプ室内に、羽根車と一体にモータ
ロータ及びモータロータキャンを配置した遠心式モータ
ポンプにおいて、羽根車のポンプケーシング側壁面及び
相対するポンプケーシング壁面を円錐状又は略円錐状に
形成し、該羽根車のポンプケーシング側壁面に動圧を発
生する凹溝を設け、前記モータロータキャンのモータス
テータ側壁面及び相対するモータステータケース壁面を
平面状若しくは円錐状若しくは略円錐状に形成し、該モ
ータロータキャンのモータステータ側壁面に動圧を発生
する凹溝を設けたことを特徴とするものである。
【0022】本発明によれば、回転体のポンプケーシン
グ側壁面及びモータステータケース側壁面にそれぞれ動
圧を発生して、回転体を非接触の状態で運転可能なの
で、摩擦損失を低減し、高効率および長寿命を達成で
き、吸込側には、吸込穴や軸受などを配設不要であり、
キャビテーションの発生を抑止できる。本発明の好まし
い態様では、前記ポンプケーシングの羽根車に相対した
壁面に永久磁石又は磁性材料を配設している。これによ
り、羽根車を吸込側に吸引し、羽根車を非接触で支持し
易くしている。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1乃至図4は、本発明の第1実施
形態の遠心式モータポンプを示す図であり、図1は断面
図、図2は図1の断面Cを示す図、図3及び図4は図1
における断面Dを示す図である。従来例と同一または相
当部分には、同一の符号を付して、その重複した説明を
省略する。
【0024】図1に示すように、ポンプケーシング1及
びモータステータ3をはめ込んだモータステータケース
2で構成するポンプ室内には、一体に形成された羽根車
5とモータロータ6を配置している。ポンプ取扱液によ
る腐食や侵食から保護するために、モータロータ6に
は、モータロータ6におけるステータケース2側の外表
面を覆うモータロータキャン6aを固着している。図1
に示すモータポンプにおいては、従来例のような軸受や
スラスト板がなく、羽根車5におけるポンプケーシング
1側の壁面及び相対するポンプケーシング壁面が円錐状
又は略円錐状であり、羽根車5は、円錐状の頂点Pが角
度5dで形成されている。一方、モータロータキャン6
aのモータステータ3側の壁面及び相対するモータステ
ータケース2の壁面は、平面状に形成されている。
【0025】図2に示すように、羽根車5の翼5bの表
面には、動圧を発生するための凹溝5cを設けている。
また、図3及び図4に示すように、モータロータキャン
6a表面にも、動圧を発生するための凹溝6bを設けて
いる。図3はモータロータキャン表面の凹溝の1例を示
し、図4はモータロータキャン表面の凹溝の他の例を示
している。ポンプケーシング1と羽根車5間に、軸方向
の隙間δ1及びδ2を形成し、また、モータロータキャ
ン6aとモータステータケース2間に、軸方向の隙間δ
3を形成している。
【0026】羽根車5のポンプケーシング1側壁面及び
モータロータ6側壁面に発生する動圧の大きさは、それ
ぞれ、隙間δ1,δ2及びδ3の大きさに依存する。こ
れらの隙間δ1,δ2及びδ3が小さいほど、動圧は大
きくなる。また、図3では、凹溝6bは一条であるが、
図4では、凹溝6bは二条であり、凹溝数を多くすれ
ば、動圧を発生する面積を大きくできる。
【0027】また、図1及び図2に示す羽根車5は、吸
込口側に側板がないセミオープン型で示しているが、図
5に示すように、吸込口側に側板5aのあるクローズド
型を使用する場合もある。この場合には、図6に示すよ
うに、動圧を発生する凹溝5cは、側板5aの外表面に
設ける。
【0028】図1乃至図6に示すように構成された遠心
式モータポンプでは、起動前は、例えば、吸込口1sが
真上になる設置の場合は、羽根車5、モータロータ6及
びモータロータキャン6aで構成する回転体は、ステー
タケース2上に載っている。そして、モータポンプを起
動し、ポンプ室内の圧力が上昇してくると、羽根車5に
おける圧力分布が、セミオープン型では図7、クローズ
ド型では図8に示す圧力分布になる。そのため、回転体
に作用する正味の軸方向推力は、羽根車5側の壁面より
も、モータロータキャン6a側の壁面の方が大きくな
る。そして、回転体は吸込側へ押されて、隙間δ1及び
δ2が小さくなり、隙間δ3が大きくなるために、羽根
車5側の壁面の動圧が大きくなり、その動圧の変化によ
って、回転体に作用する軸方向推力は逆転し、モータロ
ータキャン6a側の壁面よりも、羽根車5側の壁面の方
が大きくなる。
【0029】一方、半径方向については、羽根車に作用
する半径方向推力Frと動圧によって発生する荷重(羽
根車に加わる)の半径方向の総和が、釣り合う必要があ
る。半径方向推力Frが、回転体に作用すると、Frの
方向と反対方向の隙間δ1若しくはδ2が小さくなるた
めに、図9に示した動圧によって発生する荷重P2の半
径方向分力である、反力R2が大きくなり、半径方向推
力Frと釣り合うまで、隙間δ1若しくはδ2は小さく
なる。規定の回転速度に達して、運転点が一定になり、
半径方向推力Frの方向と大きさが一定になり、回転体
に作用する半径方向推力Frと反力R2が、釣り合った
位置で、モータポンプを非接触で運転可能である。
【0030】次に、吸込口1sが横水平で、吐出し口が
真上になる設置の場合は、起動前は、回転体は、図1に
おいて、δ2=0、δ3=0の状態にある。そして、モ
ータポンプを起動し、ポンプ室内の圧力が上昇してくる
と、羽根車5における圧力分布が、セミオープン型では
図7、クローズド型では図8に示す圧力分布になる。そ
のため、回転体に作用する正味の軸方向推力は、羽根車
5側の壁面よりも、モータロータキャン6a側の壁面の
方が、大きくなる。
【0031】一方、半径方向については、半径方向推力
Frと回転体の質量の合力が、動圧によって発生する荷
重P2の半径方向の反力R2と、釣り合う必要がある。
この合力と釣り合うまで、隙間δ1若しくはδ2が小さ
くなるために、反力R2が大きくなる。規定の回転速度
に達して、運転点が一定になり、半径方向推力Frの方
向と大きさが一定になり、回転体に作用する半径方向推
力Frと質量Wと、反力R2が、釣り合った位置で、モ
ータポンプを非接触で運転可能である。
【0032】以下に、モータポンプを非接触で運転可能
な条件を、式を用いて説明する。モータポンプの運転中
は、回転体には、次の6種類の外力が作用する。 W :回転体の質量(体積相当分の浮力を除く) M :モータロータに作用する磁気吸引力 F1:羽根車側壁面に作用する、動圧による荷重 F2:モータステータ側壁面に作用する、動圧による荷
重 Fr:半径方向推力 T :正味の軸方向推力
【0033】図10(a)及び図10(b)に示すよう
に、回転体の回転の中心点をOとして、点Oから、相互
に90°離して、X,Y,Zの三軸の直交座標軸を仮定
すれば、これらの外力は、点Oや三軸X,Y,Zに対し
て、ある一定の方向と距離を持っている。これらの外力
を、三軸に、それぞれ平行に三つの分力として分解し、
これらの分力が、一軸ごとに三軸それぞれ釣り合って、
かつ、これらの分力と点Oからの距離とのモーメント
が、各三軸に対して釣り合えば、回転体を非接触に支持
できる。
【0034】ここに、三つの分力の添字を
し、また、点Oから三軸までの分力の距離
XLYLZLとする。各三軸に対する分力の釣り
合い式は、X軸では、 W+M+F1+F2+Fr+T=0 ……… 式13 Y軸では、 W+M+F1+F2+Fr+T=0 ……… 式14 Z軸では、 W+M+F1+F2+Fr+T=0 ……… 式15
【0035】モーメントの釣り合い式は、X軸では、 W×WXL+M×MXL+F1×F1XL+F2×F2XL +Fr×FrXL+T×TXL=0 ……… 式16 Y軸では、 W×WYL+M×MYL+F1×F1YL+F2×F2YL +Fr×FrYL+T×TYL=0 ……… 式17 Z軸では、 W×WZL+M×MZL+F1×F1ZL+F2×F2ZL +Fr×FrZL+T×TZL=0 ……… 式18 以上の式13ないし式18が成立するように、モータポ
ンプの諸寸法を決定すれば良い。
【0036】モータロータの材料は、一般には磁性材料
を使用するが、モータ単独の高効率化のために、モータ
ロータキャン6aを極薄板にしたり、永久磁石を採用す
ることがある。このような場合には、図11に示すよう
に、凹溝6bの数を増やし、モータロータキャン6a側
に、動圧を発生する面積を大きくしたり、図12に示す
ように、ポンプケーシング1の羽根車5面に相対した壁
面に、永久磁石若しくは磁性材料1cを配設し、回転体
を吸込側へ吸引すると、回転体を非接触に支持しやすく
なる。また、モータステータケース2やモータロータキ
ャン6aを、静摩擦係数の小さい材料にすれば、モータ
ポンプの起動が容易である。この静摩擦係数の小さい材
料とは、例えば、表面を研磨したセラミックスやポリエ
ーテルエーテルケトンなどである。
【0037】また、図13に示すように、モータロータ
キャン6a側も円錐状又は略円錐状に形成すれば、半径
方向推力などの半径方向の荷重に対して、反力を大きく
できる。モータポンプの起動前には、回転体が、ポンプ
ケーシングやモータステータケースに接触しているの
で、例えば、起動時は、モータを低速で運転できるよう
な回路構成にすると、摺動による摩耗量を低減できる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
回転体を軸方向及び半径方向に非接触の状態で運転可能
なので、摩擦損失を低減し、高効率および長寿命を達成
でき、吸込側には、吸込穴や軸受などを配設不要であ
り、キャビテーションの発生を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の遠心式モータポンプを
示す断面図である。
【図2】図1における断面Cを示す図である。
【図3】図1における断面Dを示す図である。
【図4】図1における断面Dを示す図である。
【図5】クローズド型羽根車を示す図である。
【図6】クローズド型羽根車の側板を示す図である。
【図7】セミオープン型羽根車の圧力分布を示す図であ
る。
【図8】クローズド型羽根車の圧力分布を示す図であ
る。
【図9】動圧による荷重と分力を示す図である。
【図10】モータポンプにおける三方向を示す図であ
る。
【図11】凹溝数を増やしたモータロータキャンを示す
図である。
【図12】ポンプケーシング内に永久磁石若しくは磁性
材料を入れた図である。
【図13】本発明の第2実施形態の遠心式モータポンプ
を示す断面図である。
【図14】従来の遠心式モータポンプを示す断面図であ
る。
【図15】図14における断面Aを示す図である。
【図16】図14におけるBから見た図である。
【図17】クローズド型羽根車を示す図である。
【図18】羽根車側面の面積を説明する図である。
【図19】羽根車側面の面積を説明する図である。
【符号の説明】
1 ポンプケーシング 1a 吸込穴 1b ボリュート 1c 永久磁石若しくは磁性材料 1s 吸込口 2 モータステータケース 3 モータステータ 4 主軸 5 羽根車 5a 側板 5c 凹溝 6 モータロータ 6a モータロータキャン 7a,7b 軸受 8a,8b スラスト板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04D 29/42 F04D 29/42 A E 29/66 29/66 B Fターム(参考) 3H020 BA10 BA26 3H022 AA01 BA02 CA50 DA08 3H033 AA01 BB01 BB06 CC01 CC03 DD06 EE07 EE11 3H034 AA01 BB01 BB06 CC04 DD01 EE07 EE09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプケーシングとモータステータケー
    スとで構成するポンプ室内に、羽根車と一体にモータロ
    ータ及びモータロータキャンを配置した遠心式モータポ
    ンプにおいて、羽根車のポンプケーシング側壁面及び相
    対するポンプケーシング壁面を円錐状又は略円錐状に形
    成し、該羽根車のポンプケーシング側壁面に動圧を発生
    する凹溝を設け、前記モータロータキャンのモータステ
    ータ側壁面及び相対するモータステータケース壁面を平
    面状若しくは円錐状若しくは略円錐状に形成し、該モー
    タロータキャンのモータステータ側壁面に動圧を発生す
    る凹溝を設けたことを特徴とする遠心式モータポンプ。
  2. 【請求項2】 前記ポンプケーシングの羽根車に相対し
    た壁面に永久磁石又は磁性材料を配設したことを特徴と
    する請求項1記載の遠心式モータポンプ。
JP2001385147A 2001-12-18 2001-12-18 遠心式モータポンプ Pending JP2003184787A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001385147A JP2003184787A (ja) 2001-12-18 2001-12-18 遠心式モータポンプ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001385147A JP2003184787A (ja) 2001-12-18 2001-12-18 遠心式モータポンプ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003184787A true JP2003184787A (ja) 2003-07-03

Family

ID=27594683

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001385147A Pending JP2003184787A (ja) 2001-12-18 2001-12-18 遠心式モータポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003184787A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100725645B1 (ko) 2006-02-27 2007-07-06 한국기계연구원 측류방식 엘피지용 외장형 펌프의 로터 구조
JP2007255324A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Shin Meiwa Ind Co Ltd 遠心ポンプ用羽根車および遠心ポンプ用羽根車のバランス調整方法
JP2013047502A (ja) * 2011-08-29 2013-03-07 Panasonic Corp ポンプ
WO2013041161A3 (de) * 2011-09-22 2014-06-19 Eagleburgmann Germany Gmbh & Co. Kg Spalttopf für eine magnetkupplung mit verbesserter fluidströmung

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100725645B1 (ko) 2006-02-27 2007-07-06 한국기계연구원 측류방식 엘피지용 외장형 펌프의 로터 구조
JP2007255324A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Shin Meiwa Ind Co Ltd 遠心ポンプ用羽根車および遠心ポンプ用羽根車のバランス調整方法
JP2013047502A (ja) * 2011-08-29 2013-03-07 Panasonic Corp ポンプ
WO2013041161A3 (de) * 2011-09-22 2014-06-19 Eagleburgmann Germany Gmbh & Co. Kg Spalttopf für eine magnetkupplung mit verbesserter fluidströmung

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6808371B2 (en) Ultra-thin pump and cooling system including the pump
EP1065383B1 (en) Sealless integral-motor pump with regenerative impeller disc
US7699588B2 (en) Centrifugal pump
EP0401761B1 (en) Magnet pump
EP0568069B1 (en) Turbomolecular vacuum pumps
JP2007089972A (ja) 遠心式血液ポンプ装置
AU2010263364A1 (en) An axial gas thrust bearing for rotors in rotating machinery
JP2006052837A (ja) ベアリング及びこれを含むターボ圧縮機
JPH0826877B2 (ja) ターボ分子ポンプ
JP2008069681A (ja) サイドチャンネルポンプおよび燃料電池
JP2003184787A (ja) 遠心式モータポンプ
KR101540403B1 (ko) 외부 블레이드를 가지는 원심펌프 임펠러와 그 임펠러가 적용된 펌프
US5451147A (en) Turbo vacuum pump
WO2021143526A1 (zh) 微型泵
JP2021116806A (ja) 分子真空ポンプ
JP2007231867A (ja) 渦流ポンプ
CN109707638A (zh) 一种轴承和密封一体化的小微型离心压缩机
US20240003357A1 (en) Centrifugal compressor for refrigeration system and refrigeration system
JP4158269B2 (ja) 外部駆動形ラインポンプ
JP4770207B2 (ja) ポンプ及びそれを備えた液体供給装置
JP2009007957A (ja) 遠心ポンプ
JP2672034B2 (ja) 多段型サブマージドポンプの軸受構造
JP2024071328A (ja) ホルベックポンプ段の吸引能力が改善された真空ポンプ
CN117703768A (zh) 一种低功率磁悬浮无轴承离心泵
JP2024035054A (ja) 排気速度が改善された分子真空ポンプ及び改善された排気速度を達成するように分子真空ポンプを運転する方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20031215

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20070309

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20070320

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070731