JP2003181467A - セレン含有廃水の処理方法 - Google Patents

セレン含有廃水の処理方法

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JP2003181467A
JP2003181467A JP2001380368A JP2001380368A JP2003181467A JP 2003181467 A JP2003181467 A JP 2003181467A JP 2001380368 A JP2001380368 A JP 2001380368A JP 2001380368 A JP2001380368 A JP 2001380368A JP 2003181467 A JP2003181467 A JP 2003181467A
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JP2001380368A
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Hajime Negishi
一 根岸
Naoki Yamaguchi
直樹 山口
Kazuya Koyama
和也 小山
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SeO3 2- とSeO4 2- とを溶存する廃水を
高い効率で処理することができ、しかも薬剤についても
比較的取り扱い性の良好なのを用いて行うことのでき
る、セレン含有廃水の処理方法を提供する。 【解決手段】 SeO3 2- とSeO4 2- とが溶存する処
理廃水に、SO4 2- と反応して難溶性塩を生成する金属
イオンを添加して、処理廃水中のSO4 2- を難溶性塩と
して沈殿させる硫酸イオン除去工程(第一工程)と、硫
酸イオン除去工程後、難溶性塩を除去した後の処理廃水
にFe粉を添加して各Se酸塩を還元し、Seを難溶物
として処理廃水から分離するSe還元工程(第五工程)
とを有したセレン含有廃水の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セレン含有廃水の
処理方法に係わり、特に従来法による除去が困難なSe
4 2- を含有する廃水の処理に有効な、セレン含有廃水
の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】銅等の金属の電解沈殿物の処理工程など
では、排出される廃水中にセレン(Se)が比較的高濃
度で溶存していることがある。このような場合、これを
一般廃水として流すためには、当然排水基準を満たすた
めの処理を行い、廃水中のセレンを除去する必要があ
る。
【0003】セレンは、一般にSeO3 2- (4価セレ
ン)の形態で廃水中に溶存しており、このような4価セ
レンの形態の処理方法としては、従来、例えば特公昭4
8−30558号公報に開示されている方法がある。と
ころが、廃水中にSeO4 2- (6価セレン)が共存する
場合には、前記の方法による処理では効果が低いことが
分かっている。
【0004】したがって、このようにSeO4 2- (6価
セレン)が共存する場合には、例えば弱酸性領域におい
て、SeO4 2- をSO2 や有機酸塩等の強力な還元剤で
処理し、金属セレンとして固定する方法が採られてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなSO2 や有機酸塩等の強力な還元剤で処理する方法
では、SeO4 2- の還元が不十分なため処理効率が低
く、セレンの回収率も低水準であるといった不満があっ
た。また、SO2 や有機酸塩等の取り扱い性の悪い薬剤
(還元剤)を使用するため、処理に十分な注意を要する
といった不満もあった。
【0006】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、SeO3 2- とSeO4 2-
とを溶存する廃水を高い効率で処理することができ、し
かも薬剤についても比較的取り扱い性の良好なのを用い
て行うことのできる、セレン含有廃水の処理方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
SeO3 2- (4価セレン)とSeO4 2- (6価セレン)
とが溶存する廃水に対する、前記各Se酸塩の除去処理
方法としては、FeCl3 の中和反応生成沈殿物(Fe
(OH)3 )による吸着反応と、弱酸性領域での鉄粉に
よる還元反応などが有効な手段として知られている。し
かしながら、これらの方法では、Se濃度の低減には効
果はあるものの、廃水を例えば環境基準値である0.0
1mg/l(0.01ppm)にまで低減するには不十
分であった。そこで、前記の処理方法を行ううえで、よ
り良い処理条件を確立すべく検討を行った結果、廃水中
に存在するSO4 2- が前記のSe酸塩の除去処理を妨げ
ていることが分かった。そして、このような知見に基づ
き、さらに研究を進めた結果、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明のセレン含有廃水の処理
方法では、SeO3 2- とSeO4 2-とが溶存する処理廃
水に、SO4 2- と反応して難溶性塩を生成する金属イオ
ンを添加して、該処理廃水中のSO4 2- を難溶性塩とし
て沈殿除去する硫酸イオン除去工程と、硫酸イオン除去
工程後、難溶性塩を除去した後の処理廃水にFe粉を添
加して前記各Se酸塩を還元し、Seを難溶物として処
理廃水から分離するSe還元工程とを有してなることを
前記課題の解決手段とした。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のセレン含有廃水の処理方法では、まず、本発明
における硫酸イオン除去工程となる第一工程として、図
1に示すようにSeO3 2- とSeO4 2- とが溶存する原
水(処理廃水)に、SO4 2- と反応して難溶性塩を生成
し、SO4 2- を固定する金属イオンを添加する。
【0010】このような金属塩としては、Ba塩やCa
塩などが用いられるが、特にBaCl2 が好適に用いら
れ、その場合に2水塩(BaCl2 ・2H2 O)がより
好適に用いられる。また、このような金属塩は、原水中
に存在するSO4 2- の全量に対して、モル比で1.5〜
2倍程度となる量、すなわち過剰量を添加する。また、
この工程においては、前記難溶性塩、例えばBaSO4
を生成させるべく、廃水のpHを予め4〜5程度に調整
する必要があり、そのため、酸として例えば適宜濃度の
HClを添加しておく。このようにして図1中に示すよ
うに第一工程を行うと、SO4 2- は前記金属塩によって
難溶性塩となり、結果としてこれに固定されて沈殿す
る。
【0011】次に、本発明におけるSe還元工程に先立
ち、本発明におけるSe酸塩吸着工程となる第二工程と
して、第二鉄イオンを添加するととともに、アルカリを
添加して弱酸性領域にまで中和処理する。第二鉄イオン
としては、特に限定されないもののFeCl3 が好適に
用いられ、その場合に、0.5g/l〜1g/l程度の
濃度となるようにして処理廃水(原水)中に添加され
る。また、アルカリとしては、NaOHやCa(OH)
2 などが用いられ、特にNaOHが、反応が速くpH調
整が容易であることからなどから好適とされる。このア
ルカリ添加による中和処理については、pHを4〜6、
好ましくは4.5〜5.5程度に調整するのが、前記第
二鉄イオンを沈殿させるうえで好ましい。
【0012】このようにして第二鉄イオンを添加すると
ともに中和処理を行うと、第二鉄イオンは弱酸性領域に
おかれることにより、中和反応生成沈殿物であるFe
(OH)3 となる。このとき、原水(処理廃水)中に溶
存している各Se酸塩(SeO 3 2- 、SeO4 2- )のう
ち、大部分のSeO3 2- と一部のSeO4 2- が前記のF
e(OH)3 に吸着される。
【0013】そこで、第三工程として、Fe(OH)3
を生成させた処理廃水(原水)中に高分子凝集剤を添加
し、Se酸塩を吸着したFe(OH)3 、さらには先に
沈殿させたBaSO4 等の難溶性塩を凝集、沈降させ
る。そして、所定時間おき、凝集、沈降が十分になされ
たら、濃縮された沈殿物と清澄な溢流水とに分離する。
なお、高分子凝集剤については、特に限定されることな
く、従来公知のものが適宜に使用される。
【0014】この第三工程で得られた沈殿物について
は、第四工程としてさらに固液分離を行い、固形分であ
るケーキと濾水とに固液分離する。固液分離については
公知の固液分離装置が使用可能である。このようにして
得られたケーキにはSe酸塩が含まれていることから、
一般の廃棄物とすることなく、規制に基づく適切な処理
方法によって処理する。一方、濾水については、先の第
三工程に返送して再使用する。
【0015】また、第三工程で得られた溢流水について
は、本発明におけるSe還元工程となる第五工程とし
て、この溢流水(処理廃水)にFe粉(鉄粉)を添加
し、適宜に攪拌することにより、前記各Se酸塩を還元
する。このとき、還元反応を円滑に進めるべく、予め溢
流水(処理廃水)に適宜濃度のHClを添加しておき、
pHを3.5〜4.5程度に調整しておく。添加するF
e粉としては、特に限定されることはないものの、平均
粒径が5〜300μm程度であり、粒径の範囲が10〜
100μm程度のものが好適に用いられる。Fe粉の添
加については、溶存するSe濃度に対して過剰量となる
モル量を添加するようにする。また、このFe粉の添加
に際しては、一回で全量を添加することなく、複数回に
分けて添加するのが好ましい。これは、還元処理中にF
e粉の表面が変化し、還元剤としての能力が劣化してし
まうことから、複数回に分けて添加することにより、処
理廃水中にフレッシュなFe粉を常に存在させるためで
ある。
【0016】このようにしてFe粉を添加し、攪拌して
還元処理を行うと、前記各Se酸塩は還元されて金属S
e、あるいはFeSeといった複合体となり、難溶化し
て処理廃水中に懸濁あるいは凝集、沈降する。
【0017】次いで、第六工程として、未反応のFe粉
を分離回収するべく、磁石によりこれを吸着分離する磁
選処理を行う。そして、処理廃水から分離した未反応F
e粉を稀HClで洗浄し、続いて第七工程として、沈降
処理を行ってFe粉と洗浄水とに分離する。このように
して得られたFe粉については、先の第五工程に返送し
て再使用する。また、洗浄水については、過酸化水素水
(H2 2 )を添加して混入しているFeイオン(Fe
2+)を酸化した後、先の第一工程に返送して再使用す
る。
【0018】一方、磁選処理後に残った処理廃水につい
ては、本発明におけるイオン除去工程となる第八工程と
して、前記Se還元工程(第五工程)において生成した
Feイオンを酸化して難溶物とするとともに、硫酸イオ
ン除去工程(第一工程)で添加した金属イオン(例えば
Ba2+)の残留分を難溶化して難溶物とする。すなわ
ち、Feイオンを酸化するべく、H2 2 をFeイオン
に対し、(H2 2 /2Fe)=0.6〜1倍モルとな
るようにして添加し、また金属イオン(例えばBa2+
の残留分を難溶化して難溶物とするべく、例えばBa2+
である場合に(SO4 2- /Ba2+)=1.2〜1.5倍
モルとなるようにして、Na2 SO4 を添加する。
【0019】続いて、NaOHを添加して処理廃水をp
H5.5〜5.8程度の弱酸性領域にまで中和処理する
とともに、この処理廃水中に高分子凝集剤を添加し、生
成した難溶物、すなわちFe(OH)3 と硫酸塩(例え
ばBaSO4 )とをさらに凝集、沈降させる。そして、
所定時間おき、凝集、沈降が十分になされたら、濃縮さ
れた沈殿物と清澄な溢流水とに分離する。なお、高分子
凝集剤については、先の第三工程と同様に、特に限定さ
れることなく、従来公知のものが適宜に使用される。
【0020】この第八工程(イオン除去工程)で得られ
た沈殿物については、第九工程としてさらに固液分離を
行い、固形分であるケーキと濾水とに固液分離する。固
液分離については公知の固液分離装置が使用可能であ
る。このようにして得られたケーキには先の第四工程の
ときと同様にSeが含まれていることから、一般の廃棄
物とすることなく、規制に基づく適切な処理方法によっ
て処理する。一方、濾水については、先の第八工程に返
送して再使用する。
【0021】また、第八工程で得られた溢流水について
は、NaOHを添加してpHを5.8〜8.6の範囲に
なるように中和処理し、これによりSeを環境基準値以
下に除去処理した廃水として、一般の廃水と同様にして
排水する。
【0022】このようなセレン含有廃水の処理方法にあ
っては、予め硫酸イオン除去工程において処理廃水中の
SO4 2- を難溶性塩として沈殿除去しておくので、この
後に行う第二鉄イオン添加によるSe酸塩吸着工程や、
Fe粉添加によるSe還元工程でのSe酸塩の除去を効
率良く行うことができ、したがって従来法では除去が困
難であったSeO4 2- を含有する廃水について、そのS
e濃度が環境基準値以下になるように処理することがで
きる。また、使用する薬剤も塩化バリウム(BaC
2 )や塩化鉄(FeCl3 )、Fe粉などであるの
で、その取り扱いが容易であり、したがって作業性等に
ついても良好な処理方法となる。
【0023】また、Se還元工程の後に、イオン除去工
程によってFeイオンやBa等の金属イオンを難溶物と
して分離するので、得られた溢流水は単にpH調整等の
極めて一般的な処理のみを行うだけで一般廃水として流
すことができ、したがってセレン含有廃水を効率良くし
かも容易に排出可能に処理することができる。
【0024】なお、前記実施形態例では、硫酸イオン除
去工程の後、Se酸塩吸着工程、Se還元工程、さらに
イオン除去工程を行ったが、本発明はこれに限定される
ことなく、硫酸イオン除去工程の後、Se還元工程を行
うだけでも良く、その場合にもSe酸塩の除去について
十分に高い効果を得ることができる。
【0025】
【実施例】本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。 (実施例1)Se酸塩を含む廃水として、表1に示すよ
うに試料1−1〜1−4までを用意した。ただし、試料
1−2と試料1−4とは同じ原水(廃水)とした。これ
ら試料1−1〜1−4は、試料1−3についてそのSe
4+(4価セレン)を調べたところ、Seの全の濃度より
少ないことから、Se6+(6価セレン)を溶存している
ことが分かる。また、これら試料中のSO4 2- 濃度を調
べ、得られた結果を表1に示した。
【0026】
【表1】
【0027】まず、これら試料1−1〜1−4に対して
それぞれ、BaCl2 ・2H2 Oを表1に示す量添加す
るとともに、塩酸を適宜量添加してそのpHを表1に示
す値に調整した。なお、表1中の「BaCl2 ・2H2
O」の欄において数値の右肩に記した( )内の数値
は、(SO4 2- )に対する添加モル倍数、すなわち(B
2+/SO4 2- )に相当するモル比を示している。この
ようにしてSO4 2- をBaSO4 とし、難溶化した後、
沈降処理を行った。続くSe還元工程への供試品とし
て、試料1−1、試料1−3、試料1−4では得られた
懸濁液を、試料1−2では得られた濾過水を用いるよう
にした。
【0028】次いで、Se還元工程として、前記の供試
品にそれぞれ表1に示す量のHClを添加し、pHを表
1の下段側に示す範囲に調整した後、Fe粉を添加し
た。添加したFe粉は、平均粒径が42μmであり、粒
径の範囲が10〜100μm、45μm以下が87重量
%のものであった。また、Fe粉の添加については、試
料1−1、試料1−2では1.0gずつ2回添加し、計
2.0gを添加した。一方、試料1−3、試料1−4で
は0.5gずつ4回添加し、計2.0gを添加した。ま
た、このときの反応時間ついては、試料1−1、試料1
−2ではFe粉添加後それぞれ60分間攪拌して反応さ
せ、試料1−3、試料1−4ではFe粉添加後それぞれ
30分間攪拌して反応させた。このようにして得られた
処理水の上澄み液中のSe濃度を調べ、得られた結果を
表1に示した。表1に示した結果より、処理前の廃水に
比べ、そのSe濃度が低下していることが確認された。
【0029】(実施例2)Se酸塩を含む廃水として、
表2に示すように試料2−1〜2−4までを用意した。
ただし、試料2−1は先の試料1−3と同じ原水(廃
水)とし、試料2−2、試料2−3、試料2−4は先の
試料1−2、試料1−4と同じ原水(廃水)とした。
【0030】
【表2】
【0031】まず、これら試料2−1〜2−4に対して
それぞれ、先の実施例1の場合と同様にBaCl2 ・2
2 Oを表2に示す量添加するとともに、塩酸を適宜量
添加してそのpHを表2に示す値に調整し、SO4 2-
BaSO4 としてこれを難溶化した。
【0032】次に、これら試料中にそれぞれFeCl3
とNaOHとをそれぞれ表2に示す量添加し、弱酸性領
域に調整してFeCl3 の中和反応生成沈殿物であるF
e(OH)3 を生成させ、これにSeを吸着させた。そ
して、反応後の各試料を沈降処理した。続くSe還元工
程への供試品として、試料2−1、試料2−2、試料2
−4では得られた濾過水を、試料2−3では得られた懸
濁液を用いるようにした。なお、ここで試料2−1の濾
過水、試料2−4の濾過水についてその溶存Se濃度を
調べたところ、表2に示したようにいずれも処理前の試
料のSe濃度に比べ大幅に低下していた。
【0033】次いで、Se還元工程として、前記の供試
品にそれぞれ表2に示す量のHClを添加し、pHを表
2の下段側に示す範囲に調整した後、実施例1と同様の
Fe粉を添加した。Fe粉の添加については、全ての試
料に対し0.5gずつ4回添加し、計2.0gを添加し
た。また、このときの反応時間ついては、試料2−1、
試料2−2、試料2−3ではFe粉添加後それぞれ30
分間攪拌して反応させ、試料2−4ではFe粉添加後そ
れぞれ15分間攪拌して反応させた。
【0034】このようにして反応させた後、未反応のF
e粉を磁選分離処理し、分離処理後の試料(処理水)の
Se濃度(処理水Se)を調べ、得られた結果を表2に
示した。また、分離処理後の試料(処理水)のBa濃度
(処理水Ba)についても調べ、得られた結果を表2に
示した。表2に示した結果より、処理前の廃水に比べ、
そのSe濃度が低下していることが分かった。また、試
料2−1、試料2−4については、先のFeCl3 によ
る処理後に調べたときに比べ、さらにSe濃度が低下し
ていることが分かった。
【0035】その後、得られた試料(処理水)を一般排
水として流すための処理として、各試料にH2 2 を添
加し先のSe還元工程で生成したFeイオンを酸化して
難溶物とするとともに、Na2 SO4 を添加し先の硫酸
イオン除去工程で添加したBa2+の残留分を難溶物とし
た。続いて、各試料にNaOHを添加して中和処理し、
さらに固液分離を行った。固液分離後の処理水(溢流
水)のSe濃度(処理水Se)とBa濃度(処理水B
a)について再度調べ、得られた結果を表2に示した。
【0036】表2に示した結果より、ここでの処理では
Se濃度については大きな変化がなく、一方、Ba濃度
については大幅に低下していることが分かった。なお、
試料2−3についてのSe濃度がここでの処理によって
上昇しているのは、Na2 SO4 の添加によって二次反
応を起こし、難溶物(沈殿物)に吸着されていたSe酸
塩の一部が溶出したためと考えられる。
【0037】(実施例3)Se酸塩を含む廃水として、
表3に示すように試料3−1〜3−4までを用意した。
これら試料は、先の実施例1、実施例2に用いた試料に
比べ、そのSe濃度が大幅に低いものとした。
【0038】
【表3】
【0039】試料3−1〜3−4に対し、実施例2と同
じにして処理を行った。表3に示した結果より、Fe粉
によるSe還元工程で得られた処理液のSe濃度(処理
水Se)は、環境基準値である0.01mg/lを大幅
に下回っており、本発明の方法による効果が確認され
た。また、H2 2 、Na2 SO4 を添加した後の分離
処理後の試料(処理水)のBa濃度(処理水Ba)につ
いても、大幅に低下していることが確認された。
【0040】(比較例1)比較のため、硫酸イオン除去
を行わずに直接Se酸塩吸着工程を行った。Se酸塩を
含む試料として、表4に示すように試料4−1〜4−6
までを用意した。ただし、試料4−1〜4−4は硫酸イ
オン(SO4 2- )を含むものとし、試料4−5、4−6
は硫酸イオンを含まないよう純水を用いて調製したもの
とした。また、試料4−2は先の試料1−3と同じ原水
(廃水)とし、試料4−4は先の試料3−1、3−2と
同じ原水(廃水)とした。
【0041】
【表4】
【0042】これら試料に対し、先の実施例1〜3で行
った硫酸イオン除去を行うことなく、実施例2、3で行
ったFeCl3 とNaOHとを添加することによる、S
e酸塩吸着工程を行った。このようにして得られた処理
水の上澄み液中のSe濃度を調べ、得られた結果を表4
に示した。表4に示した結果より、試料4−1〜4−4
ではSeの除去率は50〜75%程度であり、処理水中
の残留Se濃度は0.2〜0.38mg/lであった。
また、試料4−5、4−6では、試料4−1〜4−4の
場合に比べてSeの除去率が高くなっており、したがっ
て、硫酸イオンが無いことがSeの除去に有効であるこ
とが確認された。
【0043】(比較例2)比較のため、硫酸イオン除去
を行わずに直接Se還元工程を行った。Se酸塩を含む
試料として、表5に示すように試料5−1〜5−6まで
を用意した。ただし、試料5−1〜5−4は硫酸イオン
(SO4 2- )を含むものとし、試料5−5、5−6は硫
酸イオンを含まないよう純水を用いて調製したものとし
た。また、試料5−1、5−2は先の試料1−1と同じ
原水(廃水)とし、試料5−3は先の試料4−3と同じ
原水(廃水)とし、試料5−5は先の試料4−5と同じ
原水(廃水)とし、試料5−6は先の試料5−6と同じ
原水(廃水)とした。
【0044】
【表5】
【0045】これら試料に対し、先の実施例1〜3で行
った硫酸イオン除去を行うことなく、実施例1、2、3
で行ったFe粉(実施例1と同様のもの)を添加するこ
とによる、Se還元工程を行った。このようにして得ら
れた処理水の上澄み液中のSe濃度を調べ、得られた結
果を表5に示した。表5に示した結果より、試料5−1
〜5−3ではSeの除去率は40〜65%程度であり、
処理水中の残留Se濃度は0.4〜0.5mg/lであ
った。また、試料5−5、5−6では、試料5−1〜5
−4の場合に比べてSeの除去率が高くなっており、し
たがってこの例によっても、硫酸イオンが無いことがS
eの除去に有効であることが確認された。
【0046】(比較例3)比較のため、硫酸イオン除去
を行った後、Se酸塩吸着工程のみを行った。Se酸塩
を含む試料として、表6に示すように試料6−1〜6−
5までを用意した。ただし、試料6−1は先の試料1−
3と同じ原水(廃水)とし、試料6−2は先の試料1−
2と同じ原水(廃水)とし、試料6−3、6−4、6−
5は先の試料3−1、3−2と同じ原水(廃水)とし
た。
【0047】
【表6】
【0048】これら試料に対し、先の実施例1〜3と同
様にして硫酸イオン除去を行い、続いて実施例2、3で
行ったFeCl3 とNaOHとを添加することによる、
Se酸塩吸着工程を行った。このようにして得られた処
理水の上澄み液中のSe濃度を調べ、得られた結果を表
6に示した。表6に示した結果より、処理前の廃水に比
べ、そのSe濃度が低下していることが確認された。ま
た、硫酸イオン除去を行わない比較例1に比べても、S
e濃度が低下していることが分かり、これからも、硫酸
イオンが無いことがSeの除去に有効であることが確認
された
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明のセレン含有
廃水の処理方法は、予め硫酸イオン除去工程において処
理廃水中のSO4 2- を難溶性塩として沈殿除去しておく
処理方法であるから、この後にFe粉添加によるSe還
元工程を行うことによりSe酸塩の除去を効率良く行う
ことができ、したがって従来法では除去が困難であった
SeO4 2- を含有する廃水について、そのSe濃度を十
分に低減することができる。また、使用する薬剤も塩化
バリウム(BaCl2 )やFe粉などであるので、その
取り扱いが容易であり、したがって作業性等についても
良好な処理方法となる。
【0050】また、硫酸イオン除去工程とSe還元工程
との間に、Se酸塩吸着工程を備えるようにすれば、S
e濃度をさらに低減して、例えば処理廃水のSe濃度を
環境基準値以下にまで処理することができる。
【0051】また、Se還元工程の後に、イオン除去工
程を備えるようにすれば、FeイオンやBa等の金属イ
オンを難溶物として分離することにより、得られた処理
廃水は単にpH調整等の極めて一般的な処理のみを行う
だけで一般廃水として流すことができ、したがってセレ
ン含有廃水を効率良くしかも容易に排出可能に処理する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のセレン含有廃水の処理方法の一実施
形態例を説明するための処理フロー図である
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 直樹 埼玉県さいたま市北袋町1−297 三菱マ テリアル株式会社総合研究所内 (72)発明者 小山 和也 茨城県つくば市東1−1−1 独立行政法 人産業技術総合研究所 つくばセンター内 Fターム(参考) 4D038 AA08 AB36 AB70 AB81 BB06 BB11 BB13 BB15 BB16 BB18 4D050 AA13 AB41 AB59 BA02 BB09 CA06 CA11 CA13 CA16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SeO3 2- とSeO4 2- とが溶存する処
    理廃水に、SO4 2-と反応して難溶性塩を生成する金属
    イオンを添加して、該処理廃水中のSO4 2-を難溶性塩
    として沈殿させる硫酸イオン除去工程と、 硫酸イオン除去工程後、前記難溶性塩を除去した後の処
    理廃水にFe粉を添加して前記各Se酸塩を還元し、S
    eを難溶物として処理廃水から分離するSe還元工程と
    を有してなることを特徴とするセレン含有廃水の処理方
    法。
  2. 【請求項2】 硫酸イオン除去工程とSe還元工程との
    間に、SO4 2- を難溶性塩として沈殿させた後の処理廃
    水に第二鉄イオンを添加するととともにアルカリを添加
    して弱酸性領域にまで中和処理し、前記各Se酸塩を鉄
    塩中和反応生成沈殿物に吸着させ、さらにこのSe酸塩
    を吸着した鉄塩中和反応生成沈殿物を処理廃水から分離
    するSe酸塩吸着工程を有してなることを特徴とする請
    求項1記載のセレン含有廃水の処理方法。
  3. 【請求項3】 Se還元工程の後に、該Se還元工程に
    おいて生成したFeイオンを酸化して難溶物とするとと
    もに、廃水中に残留する、SO4 2- を難溶性塩とするた
    めに添加した金属イオンを難溶化して難溶物とし、これ
    ら難溶物を処理廃水中から分離するイオン除去工程とを
    有してなることを特徴とする請求項1又は2記載のセレ
    ン含有廃水の処理方法。
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