JP2004290777A - ヒ素含有水の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃棄する沈澱物の量を減少させて、ヒ素の環境基準値(0.01ppm)の達成が可能な、ヒ素含有水の処理方法を提供する。
【解決手段】ヒ素含有水の処理方法は、ヒ素含有被処理水に、pH3〜6の条件下でポリ硫酸第二鉄を添加する。また、ポリ硫酸第二鉄の添加によって生成する沈澱物と上澄み液とを分離した後、その上澄み液を、空気、酸素ガス又は過酸化水素で酸化処理することもでき、更に、その酸化処理によって生成する沈澱物と上澄み液とを分離した後、その上澄み液を濾過処理することもできる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒ素含有水の処理方法に関する。本発明方法によれば、簡便な手段で、しかも大量の沈殿物を発生させずに、河川水などのヒ素含有量を、環境基準値(0.01ppm以下)を満たす水準に低下させ、浄水場用水としても利用可能な水準にまで浄化することができる。
【0002】
【従来の技術】
河川水が有毒なヒ素やヒ素化合物を含有することがある。例えば、農薬工場、金属製錬工場、又は電子部品製造施設等からの産業排水、あるいは温泉排水や鉱山跡地排水からヒ素やヒ素化合物が混入するためである。これらの排水からヒ素やヒ素化合物を除去する従来技術としては、凝集沈殿法及び吸着法などが知られている。
【0003】
例えば、岡宏樹他著「新版・公害防止管理者・水質関係の基礎知識」(東京教育情報センター,平成13年7月発行)(非特許文献1)には、水酸化物共沈法と吸着剤法とが紹介されており、吸着剤法については、大量の吸着剤を必要とするなどの点から現実的利用は困難であると記載しているのに対し、水酸化物共沈法については、3価鉄の水酸化物〔Fe(OH)〕による吸着がヒ素の処理方法として最も優れているとの記載がある。更に、前記非特許文献1によれば、水酸化物共沈法による処理後の残留ヒ素濃度は添加する3価鉄の濃度によって左右されるとし、残留ヒ素濃度を0.1ppm以下(放流基準値)にするには、鉄/ヒ素モル比(Fe/As)を20以上とし、残留ヒ素濃度を0.01ppm以下(環境基準値)にするには、鉄/ヒ素モル比(Fe/As)を50以上とする必要があることも示している。
【0004】
更に、「公害防止管理者国家試験受験のためのテキスト・水質汚濁防止技術」(産業公害防止協会,昭和46年10月発行)(非特許文献2)には、水酸化物共沈法を利用する具体的な手法として、硫酸第二鉄〔Fe(SO〕を添加して水酸化第二鉄〔Fe(OH)〕のフロックを形成させ、そのフロックにヒ素を吸着させる原理を利用してヒ素含有水を処理した実験データが、具体的に紹介されている。ヒ素1ppm、10ppm、及び100ppmを含有する供試水に関して、鉄/ヒ素モル比(Fe/As)と、残留ヒ素濃度と、至適pH範囲との関係を示すグラフによれば、残留ヒ素濃度を0.1ppmとするには、pH範囲が約6.5〜9において鉄/ヒ素モル比(Fe/As)を約10にすることが必要であり、残留ヒ素濃度を0.01ppm以下とするには、pH範囲が約6.5〜10において鉄/ヒ素モル比(Fe/As)を約50にすることが必要である。
【0005】
水酸化物共沈法によりヒ素を除去する従来公知の処理方法においては、具体的には、塩化第二鉄〔FeCl〕を被処理水に添加して、水中で水酸化物微粒子を形成させ、その水酸化物微粒子の形成に伴って、被処理水中のヒ素を取り込ませながら、更に、こうして形成される微粒子状フロックを有機高分子凝集剤(例えば、ポリアクリルアミド系沈降促進剤)の添加によって沈降させ、その上清を必要によりpH調整してから放流する操作が行われていた。
【0006】
しかしながら、従来公知の処理方法によって、残留ヒ素濃度を環境基準値(0.01ppm以下)のレベルにするためには、鉄/ヒ素モル比(Fe/As)を約50以上とする必要があり、塩化第二鉄と有機高分子凝集剤の添加量が大量になるので、大量の沈澱物が発生する欠点があった。この沈澱物にはヒ素が含まれており、その処置が問題となるため、水酸化物共沈法の単独利用は現実的に困難であった。
【0007】
【非特許文献1】
岡宏樹他著「新版・公害防止管理者・水質関係の基礎知識」(東京教育情報センター,平成13年7月発行)
【非特許文献2】
「公害防止管理者国家試験受験のためのテキスト・水質汚濁防止技術」(産業公害防止協会,昭和46年10月発行)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、環境基準値(0.01ppm以下)レベルを達成し、沈澱物の発生量を減少させることのできる方法の改良を鋭意研究してきたところ、従来法とは異なる至適pH範囲において、鉄/ヒ素モル比(Fe/As)が小さくてもヒ素残留濃度を低下させることができることを見出した。
また、ヒ素を高濃度で含む被処理水の場合には、凝集処理後の上澄み液を酸化することで、残留ヒ素濃度を環境基準値(0.01ppm以下)を満たす水準に低下させることが可能なことも見出した。更に、ヒ素を高濃度で含む被処理水の場合には、前記の酸化処理後に、上澄み液を濾過して浮遊微粒子を除去することにより、残留ヒ素濃度を環境基準値(0.01ppm以下)を満たす水準に低下させることが可能なことも見出した。
本発明はこうした知見に基づくものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、ヒ素含有被処理水に、pH3〜6の条件下でポリ硫酸第二鉄を添加することを特徴とする、ヒ素含有水の処理方法に関する。
本発明の好ましい態様によれば、被処理水に含まれるヒ素1モルに対して、8〜20モル倍量の3価鉄に相当する量のポリ硫酸第二鉄を添加する。
また本発明の好ましい態様によれば、ポリ硫酸第二鉄の添加によって生成する沈澱物と上澄み液とを分離し、その上澄み液をろ過する。
本発明の別の好ましい態様によれば、ポリ硫酸第二鉄の添加によって生成する沈澱物と上澄み液とを分離した後、その上澄み液を、空気、酸素ガス又は過酸化水素で酸化処理する。
本発明の更に別の好ましい態様によれば、前記の酸化処理をpH3〜6の条件下で実施する。
本発明の更に別の好ましい態様によれば、前記の酸化処理によって生成する沈澱物と上澄み液とを分離し、その上澄み液をろ過する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、ヒ素含有被処理水に、pH3〜6の条件下でポリ硫酸第二鉄を添加して、水酸化第二鉄の凝集物を形成させて沈殿させる工程(凝集工程)を含む。
また、本発明方法は、前記の凝集工程によって生成する沈澱物と上澄み液とを分離し、その上澄み液を、空気、酸素ガス又は過酸化水素で酸化処理することによってヒ素及び二価鉄を酸化して、再度水酸化第二鉄の凝集物を形成させて沈殿させる工程(酸化工程)を含むことができる。
更に、本発明方法は、前記の凝集工程の後、あるいは、前記の凝集工程及び酸化工程の後に、沈澱物と上澄み液とを分離し、その上澄み液をろ過する工程(ろ過工程)を含むことができる。
【0011】
本発明方法において処理可能なヒ素含有被処理水は、ヒ素イオン、あるいは不溶性ヒ素化合物を含有する水であれば特に限定されず、例えば、自然環境に存在する各種の水、例えば、河川水や湖沼水、あるいは温泉排水、地熱水、あるいは鉱山跡地からの排水、更には産業排水(例えば、農薬工場、薬品工場、硫酸精錬工場、木材防腐処理施設、ガラス製造工場、金属製錬工場、電子部品製造施設、ゴミ処理施設、あるいは地熱発電所等からの産業排水)、あるいは化学や生物実験室などで生成されるヒ素含有排水などが含まれる。
【0012】
前記の凝集工程は、pH3〜6の酸性条件下で実施する。pH値が3未満になるとヒ素濃度は上昇する傾向になり、pH値が6を越えると沈殿したヒ素化合物が再溶解しやすくなる。
河川水などの自然環境水の場合は、pH値がおおむね中性であるので、凝集工程を実施する前に、室温で攪拌しながら、例えば、無機酸(例えば、希硫酸又は希塩酸)を添加して、pH値を調整することができる。
【0013】
本発明方法においては、凝集剤としてポリ硫酸第二鉄を用いる。前記ポリ硫酸第二鉄は、式:
[Fe(OH)(SO3−n/2]m
〔式中、n<2であり、m>10であり、その塩基度は(n/6)×100%で示される〕で表わされる化合物である(特公昭51−17516号公報参照)。ポリ硫酸第二鉄は、液状にすることができるので取り扱いが容易であり、配管腐食の原因となる塩素を含まない点でも好ましい。
【0014】
本発明方法においては、ポリ硫酸第二鉄を液体状、溶液状若しくは固体状で、又はそれらを組み合わせて添加することができる。ポリ硫酸第二鉄を液体状又は溶液状で加えると、速やかに拡散するので好ましい。
【0015】
本発明方法の凝集工程において添加するポリ硫酸第二鉄の量は、鉄/ヒ素モル比(Fe/As)が、好ましくは1以上、より好ましくは4〜15、最も好ましくは8〜12となる量である。鉄/ヒ素モル比が1未満であると環境基準値レベルへの処理が困難になる。鉄/ヒ素モル比の上限はないが、30以上になると沈澱物の量が多くなるので好ましくない。
ポリ硫酸第二鉄は、攪拌下、室温で添加することができ、また、添加後は1〜5時間攪拌することが好ましい。
【0016】
前記の凝集工程において、被処理水にポリ硫酸第二鉄を添加すると、水酸化第二鉄が析出し、析出した水酸化第二鉄が凝縮して、沈降する。この水酸化第二鉄が析出して凝縮する際に、被処理水中のヒ素イオン及びヒ素化合物を捕捉するものと考えられる。しかしながら、ポリ硫酸第二鉄の添加量が多すぎると生成する沈澱物の量も多くなり、この沈澱物はヒ素を含むので、その廃棄コストが高くなり、好ましくない。従って、被処理水中のヒ素を取り除くための必要最小限の量を添加するのが好ましい。
なお、被処理水のヒ素含有量は、公知の方法で簡単に測定することができ、その測定値に基づいてポリ硫酸第二鉄の添加量を決定することができる。本発明方法によって特定の河川水などを連続的に処理する場合には、被処理水のヒ素含有量の平均値や最高値などを予め測定しておき、その測定値に沿ってポリ硫酸第二鉄の添加量を決定することができる。
【0017】
本発明方法においては、ポリ硫酸第二鉄を攪拌下に添加した後の処理液を、静置して、沈澱物と上澄み液を分離する。静置時間は、沈澱物と上澄み液とが充分に分離する時間であり、河川水などの場合には、一般的に3〜7時間程度である。被処理水が河川水などの場合には、ポリ硫酸第二鉄の添加量が比較的少なくても、前記の凝集処理後に分離された上澄み液の残留ヒ素濃度を、環境基準値(0.01ppm以下)を満たす水準に低下させることができる。
【0018】
前記の凝集工程後の上澄み液に対して酸化工程を実施することにより、ポリ硫酸第二鉄の添加量を更に少量にして、環境基準値(0.01ppm以下)を達成することができる。
この酸化工程において使用することができる酸化剤は、特に限定されるものではなく、任意の酸化剤を用いることができる。例えば、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、次亜塩素酸ナトリウム、若しくは塩素酸カリウム、酸素ガス、又は空気等を挙げることができ、酸化効率の点で過酸化水素が好ましく、コストの点では空気酸化が好ましい。酸化剤を利用する場合には、攪拌下に前記上澄み液に添加することが好ましい。酸化剤として過酸化水素を用いる場合には、例えば、過酸化水素水として添加することができる。酸素ガス又は空気を用いる場合には、バブリングを行うのが好ましい。
【0019】
この酸化工程では、前記凝集工程の後に分離した上澄み液に溶存する二価鉄イオンが、酸化剤によって3価鉄イオンに酸化されるので、再び水酸化第二鉄として析出し、析出した水酸化第二鉄が凝縮して、沈降するものと考えられる。従って、水酸化第二鉄が析出して凝縮する際に、前記の凝集工程と同様にして、被処理水中のヒ素イオン及びヒ素化合物を捕捉するものと考えられ、こうして上澄み液中のヒ素濃度を更に低減させることができる。
【0020】
酸化剤の添加量は、特に制限されるものではないが、被処理上澄み液中での酸化剤量が、好ましくは0.1mmol/L以上、より好ましくは0.3mmol/L以上の濃度になるように添加することができる。被処理上澄み液中での酸化剤量が、0.1mmol/L未満では、充分に酸化をすることができないことがある。添加する酸化剤の添加量の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは30mmol/L以下の濃度になるように添加することができる。
酸化工程における温度は、特に限定されないが、室温で実施することができる。また、酸化工程を実施する際の上澄み液のpHは、特に限定されないが、pH3〜6で実施することが好ましく、必要により、適当な酸を用いて調整することが好ましい。
なお、酸化工程を凝集工程と同時に実施して、同様の効果を得ることができる。すなわち、ヒ素含有被処理水に、pH3〜6の条件下でポリ硫酸第二鉄を添加すると共に、このポリ硫酸第二鉄の添加と同時に、空気、酸素ガス又は過酸化水素による酸化処理を実施することができる。
【0021】
本発明方法においては、酸化剤による処理を実施した後に、その処理液を静置して、更に沈澱物と上澄み液を分離する。静置時間は、沈澱物と上澄み液とが充分に分離する時間であり、河川水などの場合には、一般的に3〜7時間程度である。こうして凝集工程に加えて、酸化工程を実施すると、ポリ硫酸第二鉄の添加量が比較的少なくても、前記の凝集処理及び酸化処理の後に分離された上澄み液の残留ヒ素濃度を、環境基準値(0.01ppm以下)を満たす水準に低下させることができる。
【0022】
前記の凝集工程の後に分離された上澄み液、あるいは前記の凝集工程及び酸化工程の後に分離された上澄み液が、浮遊微粒子(suspended solids)を含有する場合には、その上澄み液を更に濾過処理して、前記の浮遊微粒子を取り除くことにより、濾液の残留ヒ素濃度を、更に容易に環境基準値(0.01ppm以下)を満たす水準に低下させることができる。ろ過工程に用いる濾剤及びフィルターは、浮遊微粒子を取り除くことができる限り特に限定されないが、例えば、孔径が3μm以下のフィルターを用いることができる。
【0023】
なお、前記の凝集工程の後及び前記の酸化工程の後に分離された上澄み液が含有する浮遊微粒子にも、ヒ素が含まれていることが多い。これは、前記浮遊微粒子が、前記の凝集工程及び酸化工程の後に実施する静置時間内で沈降しなかった水酸化第二鉄から主になり、前記浮遊微粒子自体がヒ素を捕捉しているためと考えられる。従って、本発明においては、前記の凝集工程を実施して上澄みを廃棄する前に、濾過工程によって浮遊微粒子を取り除くか、あるいは前記の凝集工程の後及び前記の酸化工程を実施して上澄みを廃棄する前に、濾過工程によって浮遊微粒子を取り除くことが好ましい。前記の各上澄みを廃棄する前には、例えば、浮遊微粒子濃度を0.10ppm以下とすることがより好ましく、0.05ppm以下とすることが最も好ましい。
【0024】
本発明方法によれば、例えば、農薬工場、薬品工場、硫酸精錬工場、木材防腐処理施設、ガラス製造工場、金属製錬工場、電子部品製造施設、ゴミ処理施設、あるいは地熱発電所等からの産業排水、温泉排水、地熱水、あるいは鉱山跡地からの排水からヒ素を有効に除去することができ、簡便な操作及び低コストで、残留ヒ素濃度を0.01ppm以下(環境基準値)のレベルにすることができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
以下の実施例において、河川水のヒ素含有濃度は、非処理水に浮遊微粒子が存在する場合でも、そのまま高周波誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)質量分析装置(HP4500;横河アナリティカルシステムズ株式会社製)によって測定した。従って、測定されたヒ素化合物量は、水溶性ヒ素化合物の量だけでなく、水不溶性ヒ素化合物の量も含む。
【0026】
【実施例1】
河川から採取した水(pH7.3,ヒ素濃度0.53ppm,浮遊微粒子5ppm)を被処理水とした。
前記被処理水1Lを、2Lのフラスコに装入し、1%硫酸を添加して、pH5.0に調整した。続いて、このフラスコにポリ硫酸第二鉄を攪拌下に添加した。その際のポリ硫酸第二鉄の添加量は、最終濃度が50ppmとなる量とした。ポリ硫酸第二鉄の添加が終了してから更に3時間攪拌した後、反応液を1時間静置して、上澄み液と沈澱物とに分離した。分離した沈澱物の乾燥重量(反応液1L当り)は、16mgであった。前記上澄み液中の浮遊微粒子を0.45μmの濾紙でろ過して除いた。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.007ppmであり、用いたポリ硫酸第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、13.8であった。
【0027】
【実施例2】
濾過工程の前に、室温にて空気を流速0.50L/分で20時間バブリングによって添加して、上澄み液を酸化したこと以外は実施例1の手順に従って、実施例1と同様の被処理水を処理した。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.006ppmであり、用いたポリ硫酸第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、13.8であった。また、凝集工程及び酸化工程後に分離した沈澱物の合計乾燥重量(反応液1L当り)は、16mgであった。
【0028】
【実施例3】
pHが7.48であり、ヒ素イオン濃度は0.74ppmであり、浮遊微粒子372ppmを含有している河川水を被処理水として用いたこと以外は実施例1の手順に従って、前記被処理水を処理した。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.007ppmであり、用いたポリ硫酸第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、9.92であった。また、凝集工程後に分離した沈澱物の乾燥重量(反応液1L当り)は、384mgであった。
【0029】
【実施例4】
水酸化ナトリウム水溶液に、三酸化ヒ素を溶解して調製した水溶液(pH10.9,ヒ素濃度1.1ppm,浮遊微粒子0ppm)に1%硫酸を添加してpH5.0に調整して、被処理水とした。前記被処理水1Lを、2Lのフラスコに装入し、攪拌下にポリ硫酸第二鉄を添加した。ポリ硫酸第二鉄の添加量は、最終濃度が135ppmとなる量とした。ポリ硫酸第二鉄の添加が終了してから更に3時間攪拌した後、反応液を1時間静置して、上澄み液と沈澱物とに分離した。その上澄み液に、室温にて空気を流速0.50L/分で20時間バブリングして、添加した。その後、1時間静置して、上澄み液と沈澱物とに分離し、その上澄み液中の浮遊微粒子を0.45μmの濾紙でろ過して除いた。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.008ppmであり、用いたポリ硫酸第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、18.0であった。また、凝集工程及び酸化工程後に分離した沈澱物の合計乾燥重量(反応液1L当り)は、33mgであった。
【0030】
【実施例5】
水酸化ナトリウム水溶液に三酸化ヒ素を溶解した溶液(pH11.5,ヒ素濃度9.16ppm,浮遊微粒子0ppm)に、1%硫酸を添加してpH5.0に調整して、被処理水とし、ポリ硫酸第二鉄を900ppmの最終濃度になるように添加したこと、及び酸化工程を実施しないこと以外は、実施例4の手順に従って、前記被処理水を処理した。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.008ppmであり、用いたポリ硫酸第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、14.5であった。また、凝集工程後に分離した沈澱物の乾燥重量(反応液1L当り)は、207mgであった。
【0031】
【実施例6】
水酸化ナトリウム水溶液に三酸化ヒ素を溶解した溶液(pH11.5,ヒ素濃度1.2ppm,浮遊微粒子0ppm)に、1%硫酸を添加してpH5.0に調整して、被処理水としたこと、及びポリ硫酸第二鉄を120ppmの最終濃度になるように添加したこと以外は、実施例4の手順に従って、前記被処理水を処理した。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.009ppmであり、用いたポリ硫酸第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、14.7であった。また、凝集工程及び酸化工程後に分離した沈澱物の合計乾燥重量(反応液1L当り)は、27mgであった。
【0032】
【比較例1】
実施例1で用いた河川水と同じ河川水(pH7.3)をpH調整なしで被処理水としたこと、及びポリ硫酸第二鉄を最終濃度が80ppmとなる量で添加したこと以外は、実施例1の手順に従って、前記被処理水を処理した。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.008ppmであり、用いたポリ硫酸第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、22であった。また、凝集工程後に分離した沈澱物の乾燥重量(反応液1L当り)は、23mgであった。
【0033】
【比較例2】
実施例1で用いた河川水と同じ河川水をpH調整なしで被処理水としたこと以外は、実施例1の手順に従って、前記被処理水を処理した。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.025ppmであり、用いたポリ硫酸第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、13.8であった。また、凝集工程後に分離した沈澱物の乾燥重量(反応液1L当り)は、16mgであった。
【0034】
【比較例3】
実施例3で用いた河川水と同じ河川水(pH7.48,ヒ素イオン濃度0.74ppm,浮遊微粒子372ppm)をpH調整なしで被処理水としたこと以外は、実施例1の手順に従って、前記被処理水を処理した。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.020ppmであり、用いたポリ硫酸第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、10であった。また、凝集工程後に分離した沈澱物の乾燥重量(反応液1L当り)は、384mgであった。
【0035】
【比較例4】
ポリ硫酸第二鉄の代わりに塩化第二鉄を最終濃度が299ppmとなる量で添加したこと、及び酸化処理を行わないこと以外は、実施例4の手順に従って、実施例4で用いた被処理水と同じ被処理水を処理した。濾過処理後の上澄み液のヒ素濃度は、0.01ppmであり、用いた塩化第二鉄と被処理水含有ヒ素とのモル比は、43.7であった。また、凝集工程後に分離した沈澱物の乾燥重量(反応液1L当り)は、72mgであった。
【0036】
【発明の効果】
本発明方法においては、前記の凝集工程を実施することにより、従来法よりも少量のポリ硫酸第二鉄でヒ素の環境基準値(0.01ppm)を達成することができ、廃棄する沈澱物の量を従来よりも低減することができる。
また、本発明方法においては、前記の凝集工程に加えて、酸化工程及び/又は濾過工程を実施することにより、従来法よりも更に少量のポリ硫酸第二鉄でヒ素の環境基準値(0.01ppm)を達成することができ、廃棄する沈澱物の量を更に低減することができる。

Claims (6)

  1. ヒ素含有被処理水に、pH3〜6の条件下でポリ硫酸第二鉄を添加することを特徴とする、ヒ素含有水の処理方法。
  2. 被処理水に含まれるヒ素1モルに対して、8〜20モル倍量の3価鉄に相当する量のポリ硫酸第二鉄を添加する、請求項1に記載の処理方法。
  3. ポリ硫酸第二鉄の添加によって生成する沈澱物と上澄み液とを分離し、その上澄み液をろ過する、請求項1又は2に記載の処理方法。
  4. ポリ硫酸第二鉄の添加によって生成する沈澱物と上澄み液とを分離した後、その上澄み液を、空気、酸素ガス又は過酸化水素で酸化処理する、請求項1又は2に記載の処理方法。
  5. 前記の酸化処理をpH3〜6の条件下で実施する、請求項4に記載の処理方法。
  6. 前記の酸化処理によって生成する沈澱物と上澄み液とを分離し、その上澄み液をろ過する、請求項4又は5に記載の処理方法。
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