JP2000279880A - 耐摩耗性、耐指紋性および意匠性に優れた透明フッ素樹脂被覆ステンレス鋼板 - Google Patents
耐摩耗性、耐指紋性および意匠性に優れた透明フッ素樹脂被覆ステンレス鋼板Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 表面仕上げが研磨仕上げであるステンレス鋼
板の表面にクロメ−ト皮膜を形成し、その上にポリ四フ
ッ化エチレン粉末を含有する透明フッ素樹脂塗膜を形成
したステンレス鋼板において、耐摩耗性、耐指紋性およ
び意匠性に優れたものを提供する。 【解決手段】 クロメ−ト皮膜の全Ｃｒ量を５〜４０ｍ
ｇ／ｍ2、透明フッ素樹脂塗膜を重量比で熱可塑性アク
リル樹脂／ポリフッ化ビニリデン樹脂＝２０／８０〜５
０／５０である樹脂塗膜で、その塗膜中に含有するポリ
四フッ化エチレン粉末を粒径３〜４０μｍ、含有量を塗
膜の１〜２０重量％にして、２０度鏡面光沢が２０〜４
０、６０度鏡面光沢が５０〜８０、８５度鏡面光沢が７
０〜８５の各範囲になるようにした。研磨仕上げはヘア
−ラインまたは＃１５０〜＃３２０番手による研磨仕上
げにするのが好ましく、また、透明フッ素樹脂塗膜の塗
膜厚は１５〜３０μｍにするのが好ましい。
板の表面にクロメ−ト皮膜を形成し、その上にポリ四フ
ッ化エチレン粉末を含有する透明フッ素樹脂塗膜を形成
したステンレス鋼板において、耐摩耗性、耐指紋性およ
び意匠性に優れたものを提供する。 【解決手段】 クロメ−ト皮膜の全Ｃｒ量を５〜４０ｍ
ｇ／ｍ2、透明フッ素樹脂塗膜を重量比で熱可塑性アク
リル樹脂／ポリフッ化ビニリデン樹脂＝２０／８０〜５
０／５０である樹脂塗膜で、その塗膜中に含有するポリ
四フッ化エチレン粉末を粒径３〜４０μｍ、含有量を塗
膜の１〜２０重量％にして、２０度鏡面光沢が２０〜４
０、６０度鏡面光沢が５０〜８０、８５度鏡面光沢が７
０〜８５の各範囲になるようにした。研磨仕上げはヘア
−ラインまたは＃１５０〜＃３２０番手による研磨仕上
げにするのが好ましく、また、透明フッ素樹脂塗膜の塗
膜厚は１５〜３０μｍにするのが好ましい。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性、耐指紋性の
ほか、意匠性にも優れた透明フッ素樹脂被覆ステンレス
鋼板に関する。
ほか、意匠性にも優れた透明フッ素樹脂被覆ステンレス
鋼板に関する。
【０００２】
【従来技術】業務用の冷蔵庫や冷凍庫の大部分は、外板
にステンレス鋼板を使用しているが、使用ステンレス鋼
板としては研磨仕上げのものが多い。このような用途に
使用するステンレス鋼板は素手で触れたりすると、指紋
が容易に付着し、不衛生な外観を呈する。そこで、この
ような問題を防止するため、クロメ−ト皮膜を形成した
後、ポリフッ化ビニリデン樹脂塗膜を形成していた。し
かし、ポリフッ化ビニリデン樹脂塗膜は耐指紋性の向上
は認められるものの、塗膜が柔らかいため、表面に調理
器具等が衝突して当り傷を作ると、傷が非常に目立ち易
い。そこで、ポリフッ化ビニリデン樹脂塗膜にポリ四フ
ッ化エチレン粉末を添加したり（特願平６−６２０５４
号）、塗膜をアクリル樹脂含有ポリフッ化ビニリデン樹
脂に変更して、同様にポリ四フッ化エチレン粉末を添加
したりしていた（特開平９−２２１６２１号）。
にステンレス鋼板を使用しているが、使用ステンレス鋼
板としては研磨仕上げのものが多い。このような用途に
使用するステンレス鋼板は素手で触れたりすると、指紋
が容易に付着し、不衛生な外観を呈する。そこで、この
ような問題を防止するため、クロメ−ト皮膜を形成した
後、ポリフッ化ビニリデン樹脂塗膜を形成していた。し
かし、ポリフッ化ビニリデン樹脂塗膜は耐指紋性の向上
は認められるものの、塗膜が柔らかいため、表面に調理
器具等が衝突して当り傷を作ると、傷が非常に目立ち易
い。そこで、ポリフッ化ビニリデン樹脂塗膜にポリ四フ
ッ化エチレン粉末を添加したり（特願平６−６２０５４
号）、塗膜をアクリル樹脂含有ポリフッ化ビニリデン樹
脂に変更して、同様にポリ四フッ化エチレン粉末を添加
したりしていた（特開平９−２２１６２１号）。
【０００３】しかしながら、業務用冷蔵庫や冷凍庫は、
大腸菌Ｏ−１５７のような感染症による恐ろしい食中毒
発生に伴い、表面の清掃が入念に行われるようになり、
表面を擦る回数や強さが増加してきている。このため、
ステンレス鋼板の塗膜も一層耐摩耗性を有するものが望
まれるようになってきている。しかし、塗膜硬度を大き
くして、耐摩耗性を向上させると、光沢が高くなり、冷
蔵庫や冷凍庫に周囲の状況が映り、調理人の落ち着きが
心理的になくなり、逆にポリ四フッ化エチレン粉末量を
増加させると、清潔感が失われるという問題があった。
大腸菌Ｏ−１５７のような感染症による恐ろしい食中毒
発生に伴い、表面の清掃が入念に行われるようになり、
表面を擦る回数や強さが増加してきている。このため、
ステンレス鋼板の塗膜も一層耐摩耗性を有するものが望
まれるようになってきている。しかし、塗膜硬度を大き
くして、耐摩耗性を向上させると、光沢が高くなり、冷
蔵庫や冷凍庫に周囲の状況が映り、調理人の落ち着きが
心理的になくなり、逆にポリ四フッ化エチレン粉末量を
増加させると、清潔感が失われるという問題があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐摩耗性、
耐指紋性に優れ、適度の光沢を有する透明フッ素樹脂被
覆ステンレス鋼板を提供するものである。
耐指紋性に優れ、適度の光沢を有する透明フッ素樹脂被
覆ステンレス鋼板を提供するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、表面仕上げが
研磨仕上げであるステンレス鋼板の表面にクロメ−ト皮
膜を形成し、その上にポリ四フッ化エチレン粉末を含有
する透明フッ素樹脂塗膜を形成したステンレス鋼板にお
いて、クロメ−ト皮膜の全Ｃｒ量を５〜４０ｍｇ／
ｍ2、透明フッ素樹脂塗膜を重量比で熱可塑性アクリル
樹脂／ポリフッ化ビニリデン樹脂＝２０／８０〜５０／
５０である樹脂塗膜で、その塗膜中に含有するポリ四フ
ッ化エチレン粉末を粒径３〜４０μｍ、含有量を塗膜の
１〜２０重量％にして、２０度鏡面光沢が２０〜４０、
６０度鏡面光沢が５０〜８０、８５度鏡面光沢が７０〜
８５の各範囲になるようにした。研磨仕上げはヘア−ラ
インまたは＃１５０〜＃３２０番手による研磨仕上げに
するのが好ましく、また、透明フッ素樹脂塗膜の塗膜厚
は１５〜３０μｍにするのが好ましい。
研磨仕上げであるステンレス鋼板の表面にクロメ−ト皮
膜を形成し、その上にポリ四フッ化エチレン粉末を含有
する透明フッ素樹脂塗膜を形成したステンレス鋼板にお
いて、クロメ−ト皮膜の全Ｃｒ量を５〜４０ｍｇ／
ｍ2、透明フッ素樹脂塗膜を重量比で熱可塑性アクリル
樹脂／ポリフッ化ビニリデン樹脂＝２０／８０〜５０／
５０である樹脂塗膜で、その塗膜中に含有するポリ四フ
ッ化エチレン粉末を粒径３〜４０μｍ、含有量を塗膜の
１〜２０重量％にして、２０度鏡面光沢が２０〜４０、
６０度鏡面光沢が５０〜８０、８５度鏡面光沢が７０〜
８５の各範囲になるようにした。研磨仕上げはヘア−ラ
インまたは＃１５０〜＃３２０番手による研磨仕上げに
するのが好ましく、また、透明フッ素樹脂塗膜の塗膜厚
は１５〜３０μｍにするのが好ましい。
【０００６】
【作用】本発明では、従来のように、ステンレス鋼板の
表面にクロメ−ト皮膜を形成して、その上に透明フッ素
樹脂塗膜を形成するのであるが、ステンレス鋼板として
は研磨仕上げがヘア−ラインまたは＃１５０〜＃３２０
番手による研磨仕上げのものにするのが好ましい。ま
た、クロメ−ト皮膜のＣｒ付着量は全Ｃｒ量で５〜４０
ｍｇ／ｍ2にする。全Ｃｒ量が５ｍｇ／ｍ2より少ない
と、塗膜密着性、耐食性が低下し、４０ｍｇ／ｍ2より
を多くすると、クロメ−ト皮膜が６価クロムにより黄色
に着色し、それが透明な塗膜を通して見えるため、外観
が損なわれる。
表面にクロメ−ト皮膜を形成して、その上に透明フッ素
樹脂塗膜を形成するのであるが、ステンレス鋼板として
は研磨仕上げがヘア−ラインまたは＃１５０〜＃３２０
番手による研磨仕上げのものにするのが好ましい。ま
た、クロメ−ト皮膜のＣｒ付着量は全Ｃｒ量で５〜４０
ｍｇ／ｍ2にする。全Ｃｒ量が５ｍｇ／ｍ2より少ない
と、塗膜密着性、耐食性が低下し、４０ｍｇ／ｍ2より
を多くすると、クロメ−ト皮膜が６価クロムにより黄色
に着色し、それが透明な塗膜を通して見えるため、外観
が損なわれる。
【０００７】透明フッ素樹脂塗膜は、熱可塑性アクリル
樹脂（Ａ）とポリフッ化ビニリデン樹脂（Ｂ）とを重量
比でＡ／Ｂ＝２０／８０〜５０／５０の範囲に混合した
ものを用いる。Ａ／Ｂが２０／８０より小さいと、塗膜
密着性が低下し、５０／５０より大きくなると、ポリ四
フッ化エチレン粉末を２０重量％添加した場合、塗膜中
に均一に分散させることが困難になる。
樹脂（Ａ）とポリフッ化ビニリデン樹脂（Ｂ）とを重量
比でＡ／Ｂ＝２０／８０〜５０／５０の範囲に混合した
ものを用いる。Ａ／Ｂが２０／８０より小さいと、塗膜
密着性が低下し、５０／５０より大きくなると、ポリ四
フッ化エチレン粉末を２０重量％添加した場合、塗膜中
に均一に分散させることが困難になる。
【０００８】透明フッ素樹脂塗膜には、従来のようにポ
リ四フッ化エチレン粉末（以下ＰＴＦＥ粉末という）を
添加して、耐摩耗性を向上させるのであるが、ＰＴＦＥ
粉末としては粒径３〜４０μｍのものを使用し、含有量
を透明フッ素樹脂塗膜の１〜２０重量％にする。粒径が
３μｍより小さいと、潤滑作用が小さいため、耐摩耗性
が劣り、塗膜の表面粗度も小さくなるため、耐指紋付着
性が劣る。また、このように粒径が小さいと、塗膜表面
が粗くならないため、含有量を増大させても、光沢度が
高く、冷蔵庫や冷凍庫に使用した場合、周囲の状況が鮮
明に映ってしまう。一方、４０μｍより大きくなると、
ＰＴＦＥ粉末が塗膜表面より突出して、表面粗度が著し
く大きくなるため、表面外観が低下する。含有量は１重
量％より少ないと、耐摩耗性、耐指紋付着性が劣るとと
もに、光沢度が高いため、冷蔵庫や冷凍庫の外板に使用
困難になり、２０重量％より多くすると、塗膜密着性が
低下してしまう。
リ四フッ化エチレン粉末（以下ＰＴＦＥ粉末という）を
添加して、耐摩耗性を向上させるのであるが、ＰＴＦＥ
粉末としては粒径３〜４０μｍのものを使用し、含有量
を透明フッ素樹脂塗膜の１〜２０重量％にする。粒径が
３μｍより小さいと、潤滑作用が小さいため、耐摩耗性
が劣り、塗膜の表面粗度も小さくなるため、耐指紋付着
性が劣る。また、このように粒径が小さいと、塗膜表面
が粗くならないため、含有量を増大させても、光沢度が
高く、冷蔵庫や冷凍庫に使用した場合、周囲の状況が鮮
明に映ってしまう。一方、４０μｍより大きくなると、
ＰＴＦＥ粉末が塗膜表面より突出して、表面粗度が著し
く大きくなるため、表面外観が低下する。含有量は１重
量％より少ないと、耐摩耗性、耐指紋付着性が劣るとと
もに、光沢度が高いため、冷蔵庫や冷凍庫の外板に使用
困難になり、２０重量％より多くすると、塗膜密着性が
低下してしまう。
【０００９】透明フッ素樹脂塗膜は、１５〜３０μｍに
するのが好ましい。１５μｍより薄いと、入念な清掃に
よる擦りを繰り返した場合、摩耗し、耐久性が劣る。一
方、３０μｍより厚くすると、塗膜表面がユズ肌状態に
なり、外観が低下する。
するのが好ましい。１５μｍより薄いと、入念な清掃に
よる擦りを繰り返した場合、摩耗し、耐久性が劣る。一
方、３０μｍより厚くすると、塗膜表面がユズ肌状態に
なり、外観が低下する。
【００１０】表面仕上げ、クロメ−ト皮膜、透明フッ素
樹脂塗膜を調整したステンレス鋼板は、光沢度がＪＩＳ
Ｚ ８７４１に規定する鏡面光沢度測定法で２０度鏡
面光沢で２０〜４０、６０度鏡面光沢で５０〜８０、８
５度鏡面光沢で７０〜８５になるようにする。光沢度を
このように３種の入射角により規定したのは、ステンレ
ス鋼板をいずれの方向から見てもあまり高くもなく、ま
た、低くもない抑えられた光沢度を有するようにするた
めである。２０度鏡面光沢は基板のステンレス鋼板表面
の影響を大きく受け、表面仕上げをヘア−ラインまたは
＃１５０〜＃３２０番手による研磨仕上げにすれば、光
沢度を２０〜４０にすることができる。光沢度が２０よ
り小さいと、光沢が低く過ぎるため、清潔感がなくな
り、４０より大きくなると、鏡面性が大きくなる。
樹脂塗膜を調整したステンレス鋼板は、光沢度がＪＩＳ
Ｚ ８７４１に規定する鏡面光沢度測定法で２０度鏡
面光沢で２０〜４０、６０度鏡面光沢で５０〜８０、８
５度鏡面光沢で７０〜８５になるようにする。光沢度を
このように３種の入射角により規定したのは、ステンレ
ス鋼板をいずれの方向から見てもあまり高くもなく、ま
た、低くもない抑えられた光沢度を有するようにするた
めである。２０度鏡面光沢は基板のステンレス鋼板表面
の影響を大きく受け、表面仕上げをヘア−ラインまたは
＃１５０〜＃３２０番手による研磨仕上げにすれば、光
沢度を２０〜４０にすることができる。光沢度が２０よ
り小さいと、光沢が低く過ぎるため、清潔感がなくな
り、４０より大きくなると、鏡面性が大きくなる。
【００１１】また、６０度鏡面光沢は、表面仕上げ、ク
ロメ−トのＣｒ付着量、ＰＴＦＥ粉末の粒径と含有量、
透明フッ素樹脂塗膜の厚さなどのすべての影響を受け、
それらを最適化することにより光沢度を５０〜８０にす
ることができる。光沢度が５０より小さいと、透明フッ
素樹脂塗膜の透明性が低下して、外観が劣るようにな
る。一方、８０より大きくなると、光沢が高すぎるとの
印象を与える。さらに、８５度鏡面光沢は透明フッ素樹
脂塗膜の表面状態の影響を大きく受け、７０〜８５にす
るにはＰＴＦＥ粉末の粒径と含有量とにより調整する。
この光沢度が７０より小さいと、塗膜表面の凹凸が目立
ち易く、８５より大きくなると、光沢が高すぎるように
なる。
ロメ−トのＣｒ付着量、ＰＴＦＥ粉末の粒径と含有量、
透明フッ素樹脂塗膜の厚さなどのすべての影響を受け、
それらを最適化することにより光沢度を５０〜８０にす
ることができる。光沢度が５０より小さいと、透明フッ
素樹脂塗膜の透明性が低下して、外観が劣るようにな
る。一方、８０より大きくなると、光沢が高すぎるとの
印象を与える。さらに、８５度鏡面光沢は透明フッ素樹
脂塗膜の表面状態の影響を大きく受け、７０〜８５にす
るにはＰＴＦＥ粉末の粒径と含有量とにより調整する。
この光沢度が７０より小さいと、塗膜表面の凹凸が目立
ち易く、８５より大きくなると、光沢が高すぎるように
なる。
【００１２】本発明のステンレス鋼板は、研磨仕上げス
テンレス鋼板に通常のアルカリ脱脂、酸洗を施して、表
面を清浄にした後、好ましくはリン酸塩処理を施すこと
により表面の濡れ性を高めて、クロメ−ト処理を施す。
そして、クロメ−ト処理後にＰＴＦＥ粉末を含有するポ
リフッ化ビニリデン樹脂−熱可塑性アクリル樹脂の透明
フッ素樹脂塗料を塗装して、２３０〜２８０℃で焼き付
け、冷却すれば得られる。リン酸塩処理を施す場合の処
理剤は塗装前処理に使用されるリン酸亜鉛系のもので十
分である。
テンレス鋼板に通常のアルカリ脱脂、酸洗を施して、表
面を清浄にした後、好ましくはリン酸塩処理を施すこと
により表面の濡れ性を高めて、クロメ−ト処理を施す。
そして、クロメ−ト処理後にＰＴＦＥ粉末を含有するポ
リフッ化ビニリデン樹脂−熱可塑性アクリル樹脂の透明
フッ素樹脂塗料を塗装して、２３０〜２８０℃で焼き付
け、冷却すれば得られる。リン酸塩処理を施す場合の処
理剤は塗装前処理に使用されるリン酸亜鉛系のもので十
分である。
【００１３】クロメ−ト処理は、クロメ−ト皮膜の全Ｃ
ｒ量を４０ｍｇ／ｍ2にしても着色の少ないリン酸−ク
ロム酸系処理液、特に、特開平５−１０６０５７号公報
に開示されているようなシリカを配合したものが好まし
い。この処理液による処理は処理液をステンレス鋼板に
ロ−ルコ−タ−、カ−テンフロ−コ−タ−、浸漬引き上
げなどにより塗布して、ロ−ル等で絞り、その後、水洗
することなく８０〜２００℃で乾燥すればよい。
ｒ量を４０ｍｇ／ｍ2にしても着色の少ないリン酸−ク
ロム酸系処理液、特に、特開平５−１０６０５７号公報
に開示されているようなシリカを配合したものが好まし
い。この処理液による処理は処理液をステンレス鋼板に
ロ−ルコ−タ−、カ−テンフロ−コ−タ−、浸漬引き上
げなどにより塗布して、ロ−ル等で絞り、その後、水洗
することなく８０〜２００℃で乾燥すればよい。
【００１４】透明フッ素樹脂塗料の塗装は、ステンレス
鋼板にロ−ルコ−タ−、カ−テンフロ−コ−タ−などの
公知方法によればよいが、焼き付け温度を２３０〜２８
０℃にするのは、ポリフッ化ビニリデン樹脂や熱可塑性
アクリル樹脂の融点より高く、ＰＴＦＥ粉末の融点より
低い温度で行って、焼き付け後も塗膜中にＰＴＦＥ粉末
として残存させるためである。焼き付け後は塗膜の結晶
化を抑制するために冷却する。この冷却を行わないと、
ポリフッ化ビニリデン樹脂と熱可塑性アクリル樹脂の混
合組成での結晶化が進み、塗膜の加工性が損なわれてし
まう。
鋼板にロ−ルコ−タ−、カ−テンフロ−コ−タ−などの
公知方法によればよいが、焼き付け温度を２３０〜２８
０℃にするのは、ポリフッ化ビニリデン樹脂や熱可塑性
アクリル樹脂の融点より高く、ＰＴＦＥ粉末の融点より
低い温度で行って、焼き付け後も塗膜中にＰＴＦＥ粉末
として残存させるためである。焼き付け後は塗膜の結晶
化を抑制するために冷却する。この冷却を行わないと、
ポリフッ化ビニリデン樹脂と熱可塑性アクリル樹脂の混
合組成での結晶化が進み、塗膜の加工性が損なわれてし
まう。
【００１５】
【実施例】ＳＵＳ４３０またはＳＵＳ３０４ステンレス
鋼板（板厚０.５ｍｍ、＃１５０番手による研磨仕上
げ）にアルカリ脱脂を施して、水洗した後、リン酸亜鉛
処理剤で処理して、水洗、乾燥した。その後、リン酸−
クロム酸系のクロメ−ト処理液をロ−ルコ−タ−で塗布
して、１００℃で乾燥し、全Ｃｒ量が２０ｍｇ／ｍ2の
クロメ−ト皮膜を形成した。次に、このクロメ−ト皮膜
の上にＰＴＦＥ粉末を含有するポリフッ化ビニリデン樹
脂−熱可塑性アクリル樹脂の透明フッ素樹脂塗料を塗装
して、２５０℃で焼き付け、冷却した。
鋼板（板厚０.５ｍｍ、＃１５０番手による研磨仕上
げ）にアルカリ脱脂を施して、水洗した後、リン酸亜鉛
処理剤で処理して、水洗、乾燥した。その後、リン酸−
クロム酸系のクロメ−ト処理液をロ−ルコ−タ−で塗布
して、１００℃で乾燥し、全Ｃｒ量が２０ｍｇ／ｍ2の
クロメ−ト皮膜を形成した。次に、このクロメ−ト皮膜
の上にＰＴＦＥ粉末を含有するポリフッ化ビニリデン樹
脂−熱可塑性アクリル樹脂の透明フッ素樹脂塗料を塗装
して、２５０℃で焼き付け、冷却した。
【００１６】
【比較例】実施例において、クロメ−ト皮膜の全Ｃｒ
量、塗膜組成が本発明外のものを作成した。また、比較
例の１０〜１３はＰＴＦＥ粉末の代わりにポリエチレン
粉末を塗膜に添加した。
量、塗膜組成が本発明外のものを作成した。また、比較
例の１０〜１３はＰＴＦＥ粉末の代わりにポリエチレン
粉末を塗膜に添加した。
【００１７】以上のようにして得られた透明フッ素樹脂
被覆ステンレス鋼板を表１に、また、その塗膜密着性、
耐摩耗性、光沢度測定および耐指紋付着性を次の要領で
評価した結果を表２に示す。
被覆ステンレス鋼板を表１に、また、その塗膜密着性、
耐摩耗性、光沢度測定および耐指紋付着性を次の要領で
評価した結果を表２に示す。
【００１８】（１）塗膜密着性試験 試験片を沸騰水に２時間浸漬して、冷却した後、ゴバン
目エリクセンで６ｍｍ押し出して、ゴバン目部をセロテ
−プで剥離し、塗膜剥離の認められなかったものを記号
○で、ゴバン目が１個でも剥離したものを記号×で評価
した。 （２）耐摩耗性試験 「ＪＩＳＫ５４００８．９耐摩耗性」試験に準拠し、テ
ーバー摩耗試験機を用いて耐摩耗性を調査した。摩耗条
件としては、ＣＳ１０を摩耗輪とし、荷重１ｋｇ、回転
数２０００を採用した。摩耗試験後の塗膜を観察し、塗
膜に剥離が観察されなかったものを記号○で、剥離が発
生したものを×で評価した。
目エリクセンで６ｍｍ押し出して、ゴバン目部をセロテ
−プで剥離し、塗膜剥離の認められなかったものを記号
○で、ゴバン目が１個でも剥離したものを記号×で評価
した。 （２）耐摩耗性試験 「ＪＩＳＫ５４００８．９耐摩耗性」試験に準拠し、テ
ーバー摩耗試験機を用いて耐摩耗性を調査した。摩耗条
件としては、ＣＳ１０を摩耗輪とし、荷重１ｋｇ、回転
数２０００を採用した。摩耗試験後の塗膜を観察し、塗
膜に剥離が観察されなかったものを記号○で、剥離が発
生したものを×で評価した。
【００１９】（３）光沢度の測定試験 ＪＩＳ Ｚ ８７４１に規定する鏡面光沢度測定法で２
０度、６０度、８５度の各鏡面光沢を測定した。 （４）耐指紋付着性試験 試験片の表面に指を接触させることにより指紋を付着さ
せた後、乾燥雑巾で軽く拭き取って、残存指紋による汚
れ状況を目視観察し、指紋が残っていないものを記号○
で、指紋がわずかに残っているものを記号△で、汚れが
はっきり見えるものを記号×で評価した。
０度、６０度、８５度の各鏡面光沢を測定した。 （４）耐指紋付着性試験 試験片の表面に指を接触させることにより指紋を付着さ
せた後、乾燥雑巾で軽く拭き取って、残存指紋による汚
れ状況を目視観察し、指紋が残っていないものを記号○
で、指紋がわずかに残っているものを記号△で、汚れが
はっきり見えるものを記号×で評価した。
【００２０】
【表１】
【００２１】
【表２】
【００２２】
【発明の効果】以上のように、本発明のステンレス鋼板
は、透明フッ素樹脂塗膜を重量比で熱可塑性アクリル樹
脂／ポリフッ化ビニリデン樹脂＝２０／８０〜５０／５
０にして、その塗膜中に粒径３〜４０μｍのポリ四フッ
化エチレン粉末を塗膜の１〜２０重量％含有させてある
ので、耐摩耗性、耐指紋付着性に優れている。また、ス
テンレス鋼板の表面仕上げを研磨仕上げにして、塗膜に
含有させるポリ四フッ化エチレン粉末の粒径、含有量を
調整して、２０度、６０度、８５度での鏡面光沢が抑え
られた光沢になるようにしてあるので、いずれの方向か
ら見ても落ち着いた外観を与える。
は、透明フッ素樹脂塗膜を重量比で熱可塑性アクリル樹
脂／ポリフッ化ビニリデン樹脂＝２０／８０〜５０／５
０にして、その塗膜中に粒径３〜４０μｍのポリ四フッ
化エチレン粉末を塗膜の１〜２０重量％含有させてある
ので、耐摩耗性、耐指紋付着性に優れている。また、ス
テンレス鋼板の表面仕上げを研磨仕上げにして、塗膜に
含有させるポリ四フッ化エチレン粉末の粒径、含有量を
調整して、２０度、６０度、８５度での鏡面光沢が抑え
られた光沢になるようにしてあるので、いずれの方向か
ら見ても落ち着いた外観を与える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｂ３２Ｂ 15/08 １０２ Ｂ３２Ｂ 15/08 １０２Ｂ 15/18 15/18 27/18 27/18 Ｚ 27/30 27/30 Ｄ Ｃ２３Ｃ 22/24 Ｃ２３Ｃ 22/24 (72)発明者 圓谷 浩 千葉県市川市高谷新町７番地の１ 日新製 鋼株式会社技術研究所塗装・複合材料研究 部内 (72)発明者 福本 博光 千葉県市川市高谷新町７番地の１ 日新製 鋼株式会社技術研究所塗装・複合材料研究 部内 (72)発明者 公文 史城 千葉県市川市高谷新町７番地の１ 日新製 鋼株式会社技術研究所塗装・複合材料研究 部内 Ｆターム(参考） 4D075 BB02X BB74X CA02 CA50 DA06 DB04 DC10 DC18 EA43 EB16 EB22 EB56 EB57 4F100 AA22B AB04A AK18C AK18H AK19C AK25C AL05C BA03 BA07 BA10A BA10C CA23C CC01C DE01C DE01H EJ27A EJ69B GB48 HB09A JA13B JB16C JK09 JL06 JN01C JN21C YY00B YY00C YY00H 4K026 AA04 AA22 BA04 BA07 BA12 BB01 BB03 BB10 CA16 CA21 CA26 EA02 EB08 EB11
Claims (3)
- 【請求項１】 表面仕上げが研磨仕上げであるステン
レス鋼板の表面にクロメ−ト皮膜を形成し、その上にポ
リ四フッ化エチレン粉末を含有する透明フッ素樹脂塗膜
を形成したステンレス鋼板において、クロメ−ト皮膜の
全Ｃｒ量を５〜４０ｍｇ／ｍ2、透明フッ素樹脂塗膜を
重量比で熱可塑性アクリル樹脂／ポリフッ化ビニリデン
樹脂＝２０／８０〜５０／５０である樹脂塗膜で、その
塗膜中に含有するポリ四フッ化エチレン粉末を粒径３〜
４０μｍ、含有量を塗膜の１〜２０重量％にして、２０
度鏡面光沢が２０〜４０、６０度鏡面光沢が５０〜８
０、８５度鏡面光沢が７０〜８５の各範囲になるように
したことを特徴とする耐摩耗性、耐指紋性および意匠性
に優れた透明フッ素樹脂被覆ステンレス鋼板。 - 【請求項２】 研磨仕上げがヘア−ラインまたは＃１
５０〜＃３２０番手による研磨仕上げであることを特徴
とする請求項１に記載の耐摩耗性、耐指紋性および意匠
性に優れた透明フッ素樹脂被覆ステンレス鋼板。 - 【請求項３】 透明フッ素樹脂塗膜の塗膜厚が１５〜
３０μｍであることを特徴とする請求項１または２に記
載の耐摩耗性、耐指紋性および意匠性に優れた透明フッ
素樹脂被覆ステンレス鋼板。
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