JP2003144050A - 焙煎コーヒー豆の製造方法 - Google Patents
焙煎コーヒー豆の製造方法Info
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Abstract
の不快な香りを除去するとともに、酸味のバランスもと
れた焙煎コーヒー豆を一段階で製造する方法を提供する
こと。 【解決手段】 下記工程:ボイラーで水蒸気を発生させ
る工程、前記水蒸気を加熱器に導入し、飽和蒸気を20
0〜400℃に加熱して乾き度の高い高温加熱蒸気を得
る工程、および前記乾き度の高い高温加熱蒸気を密閉さ
れていない焙煎機に導入し、当該焙煎機中で、コーヒー
生豆と前記乾き度の高い高温加熱蒸気とを接触させて焙
煎する工程(これにより、前記乾き度の高い高温加熱蒸
気は、前記コーヒー生豆と接触後、前記焙煎機外に排気
される)を含む焙煎コーヒー豆の製造方法。
Description
製造方法に関する。詳しくは、高温加熱蒸気による焙煎
コーヒー豆の製造方法に関する。
学的な種類があり、それはアラビカ種とロブスタ種であ
る。コーヒーの醸し出す香りや風味等の官能特性は、コ
ーヒー生豆を焙煎することによって形成される。ロブス
タ種の浅炒り豆は、土臭いいわゆるロブ臭の香りが多
く、その独特な風味によって多くの消費者に受入れられ
ていない。そこで、ロブスタ種のコーヒー豆は、ロブ臭
を除くため、比較的深炒りに焙煎している。一方、アラ
ビカ種のコーヒー豆は、浅炒りから深炒りと多段階で、
香り、風味等の官能特性が消費者に好意的に受け入れら
れている。しかし、アラビカ種においても、産地の事情
で、異味・異臭を有するコーヒー生豆が混入することが
あり、この問題が大きな課題となっている。したがっ
て、コーヒー生豆由来の不快な香りのない、良好な風味
を有する焙煎コーヒー豆が求められている。
コーヒー生豆由来の不快な香りを完全に除去するには深
炒り焙煎等の限られた方法でしか対応できなかった。そ
のために、そのコーヒー生豆の特性が十分に生かせない
ことがあった。
ル抽出によるものと蒸気焙煎によるものとの大きく二つ
に分類される。
ブスタコーヒー生豆を通常の熱風式焙煎し、得られた焙
煎コーヒー豆を粉砕したものに、エタノール等の低分子
量のアルコールを等量混合し、過剰なアルコールを除去
し、ロブスタの焙煎・粉砕コーヒーの精製を行ってい
る。この方法の最大の難点は、アルコール側にコーヒー
固形分が溶出してしまう事である。
合と過熱(スーパーヒート)蒸気を用いる場合がある。
飽和蒸気を用いる方法としては、米国特許第2,71
2,501号、米国特許第3,088,825号および
米国特許第3,106,470等に記載されている。し
かし、飽和蒸気を使用する場合は、コーヒー豆に水分が
吸着され、それを乾燥させるために熱風焙煎等をする必
要があった。また、密閉系の圧力容器内での蒸気焙煎な
ので、飽和蒸気を使用する場合は豆に不快な香りが残留
する恐れがあった。
しては、例えば、特開平1−256347号公報および
特開平6−46755号公報に記載されている。しか
し、これらの方法は、過熱蒸気を再度循環使用してお
り、コーヒー生豆の焙煎反応が進むにつれて、蒸気スト
リッピングされた不快な香り、風味が系内を循環し、最
終的には焙煎コーヒー豆に移行する恐れがある。また、
密閉系の圧力容器内での過熱蒸気焙煎は、焙煎コーヒー
の酸味が強くなる傾向がある。
の焙煎によっては除去できない生豆由来の不快な香りを
除去するとともに、酸味のバランスもとれた焙煎コーヒ
ー豆を一段階で製造する方法を提供することにある。
を達成すべく、蒸気焙煎について鋭意研究したところ、
下記要件を充足することで所期の目的を達成できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
は、下記工程:ボイラーで水蒸気を発生させる工程、前
記水蒸気を加熱器に導入し、飽和蒸気を200〜400
℃に加熱して乾き度の高い高温加熱蒸気を得る工程、お
よび前記乾き度の高い高温加熱蒸気を密閉されていない
焙煎機に導入し、当該焙煎機中で、コーヒー生豆と前記
乾き度の高い高温加熱蒸気とを接触させて焙煎する工
程、これにより、前記乾き度の高い高温加熱蒸気は、前
記コーヒー生豆と接触後、前記焙煎機外に排気される、
を含むことを特徴とする。
で前記加熱器に導入され、かつ前記乾き度の高い高温加
熱蒸気は加圧力0〜50kPaゲージで前記焙煎機に導
入されることが好ましくい。
は、前記加熱器と前記焙煎機が一体化された装置を用い
ることが好ましい。
分率は、1〜4重量%であることが好ましい。
造方法によると、所定の乾き度の高い高温加熱蒸気を用
いて密閉されていない焙煎機でコーヒー生豆を焙煎する
ことにより、蒸気が再循環せずに焙煎機外に排気され、
蒸気ストリッピングされた不快な香りがコーヒー豆に移
行するのを抑制し、その結果、良好な香りと酸味のバラ
ンスのとれた焙煎コーヒー豆を製造することができる。
本発明の焙煎コーヒー豆の製造方法によると、前記高温
加熱蒸気を微加圧で導入することにより、むらなく焙煎
することができるとともに風味のよい焙煎コーヒー豆を
製造することができる。
によると、加熱器と焙煎機が一体化された装置を用いた
場合、熱の損失が少なく効率良く焙煎することができ
る。さらに、本発明の焙煎コーヒー豆の製造方法による
と、乾き度の高い高温加熱蒸気を用いて密閉されていな
い条件下で焙煎することにより、熱風焙煎と同程度の水
分率を有する焙煎コーヒー豆を製造することができ、一
段階で焙煎を終了することができる。
種類は、特に制限されるものではなく、アラビカ種、ロ
ブスタ種、リベリカ種等のものが挙げられる。複数の種
類をブレンドした豆を用いてもよい。
を参照しながら説明する。
トを示し、本発明における水の挙動を表したものであ
る。図2において、水がボイラーに供給され、水蒸気が
ボイラーから加熱器に導入され、次いで、乾き度の高い
高温加熱蒸気が加熱器から焙煎機に導入され、焙煎機中
でコーヒー生豆と接触した後、大気中に排出される。
法に用いられる装置を示す一例である。図1の装置は、
ボイラー1と加熱器2と焙煎機3とから構成されてお
り、ボイラー1と加熱器2は、導入管4で連結してい
る。焙煎機3の上部には、排気口5が設けられている。
ボイラー1に供給水を導入し、ボイラー1で水蒸気を発
生させる。発生した水蒸気は、導入管4を通じて、焙煎
機3と一体となった加熱器2に送り込まれる。加熱器2
で水蒸気を加熱して乾き度の高い高温加熱蒸気を生成
し、焙煎機3中でコーヒー生豆と乾き度の高い高温加熱
蒸気とを接触させる。その結果、コーヒー生豆は焙煎さ
れ、前記乾き度の高い高温加熱蒸気は、排気口5から排
出される。図1では加熱器2と焙煎機3とが一体となっ
ており、水蒸気の加熱と乾き度の高い高温加熱蒸気によ
る焙煎とが同一容器内で行われるが、本発明はこれに限
定されるものではない。
ず、ボイラーで水蒸気を発生させる工程を行う。本工程
においてボイラーは、特に制限されるものではなく、公
知の装置を用いることができ、水蒸気の発生方法も公知
の方法により行うことができる。図1において、ボイラ
ー1に供給水を導入し、ボイラー1で水蒸気を発生させ
る。このときの水蒸気の温度は100℃である。
和蒸気を200〜400℃に加熱して乾き度の高い高温
加熱蒸気を得る工程を行う。本工程において加熱器は、
特に制限されるものではなく公知の装置を用いることが
できるが、200〜400℃の高温まで効率良く加熱す
るという観点から、電熱チューブヒーター方式(コイル
状のSUS304ステンレスチューブに電流を流し、そ
の抵抗により発熱させる方式)が好ましい。
は、露点を低くするという観点から、0〜50kPaゲ
ージが好ましく、0〜20kPaゲージがより好まし
い。
気」とは、飽和蒸気を加熱して得られる加熱蒸気の温度
をT1とし、飽和蒸気の露点をT2とした場合、その温
度差△T=T1−T2が大きいことをいう。故に、「乾
き度が高い」とは加熱蒸気が露点に達するまでの温度差
が大きいことを意味し、前記T1が高い程、また前記T
2が低い程、乾き度が高いことになる。本発明において
は、T1は200℃〜400℃であることからT1をこ
の範囲で高く設定し、T2を低くすることが好ましい。
T2を低くするためには、前記加圧力を低くすればよ
い。以下、「乾き度の高い高温加熱蒸気」を単に高温加
熱蒸気と略す場合がある。
が、飽和蒸気を焙煎に適する温度および乾き度にすると
いう観点から、好ましくは250〜350℃、より好ま
しくは280〜320℃である。
機に導入される。本発明においては、加熱器と焙煎機と
は離れていてもよく、図1に示すように一体となってい
てもよいが、熱の損失が少ないことから、一体となって
いることが好ましい。加熱器と焙煎機とが離れている場
合は、両者を導入管で連結する。
る場合の加圧力は、乾き度を高く保つという観点から0
〜50kPaゲージが好ましく、0〜20kPaゲージ
がより好ましい。
とを接触させる。接触方法は、特に制限されるものでは
ないが、均一に焙煎反応が行われるようにコーヒー生豆
を撹拌させながら行うことが好ましい。接触時間は、所
望の焙煎度に達するまでの時間であり、高温加熱蒸気の
温度および量と生豆の量にも依存するが、通常、5〜1
5分程度である。この間に焙煎反応が進行し、同時に高
温加熱蒸気によって生豆中の不快な香りをストリッピン
グさせる水蒸気蒸留も行われる。前記高温加熱蒸気は、
コーヒー生豆と接触後、焙煎機中を再循環しないで焙煎
機外に排気される。焙煎機内でストリッピングされた香
りも、焙煎機中に留まらず、前記高温加熱蒸気とともに
焙煎機外に排出される。
は、焙煎機の形状、容積、コーヒー生豆の量および/ま
たは熱移動速度等によって規定される。ただし、一義的
には焙煎コーヒー豆の焙煎度、L値または炒り上がり温
度(焙煎最終時の豆の表面温度)によって制御される。
最近の焙煎機では炒り上がり温度の指標の代わりに、焙
煎カラーメーターにてモニターすることも行われてい
る。
れる。
と同程度であり、焙煎工程後の乾燥工程またはさらなる
焙煎工程等を必要としない。前記水分率は、具体的には
1〜4重量%が好ましく、1〜3重量%がより好まし
い。
測定した値である。
ブスタ種のコーヒー生豆由来のいわゆるロブ臭の除去に
大変有効である。また、本発明の方法は、アラビカ種や
ロブスタ種等の低グレードなコーヒー生豆に含まれてい
る不快な香りの除去にも大変有効である。さらに、本発
明は、通常のアラビカ種のコーヒー生豆の焙煎に使用し
て、焙煎ガスアロマの捕集システムの一環にもなる有効
な方法である。最後に、本発明の方法で製造された焙煎
コーヒー豆を使用すると、従来のブレンド比率の変更に
も効果がある。
施例等について説明する。下記実施例においては、図1
に示すタイプの焙煎装置を使用した。蒸気焙煎機(ボイ
ラーと焙煎機)はノナック株式会社製であり、加熱器
(ヒーター部)はトクデン株式会社製である。
飽和蒸気を加熱器で300℃に加熱し、高温加熱蒸気と
した。前記高温加熱蒸気により、ロブスタ種とアラビカ
種のコーヒー生豆を焙煎した。焙煎度を示すL値は、日
本電色工業(株)色差計モデルZE−2000により測
定した。焙煎コーヒー豆の水分率は、ISO 6673
に準じて、105℃での乾燥減量を測定することにより
求めた。結果を表1に示す。
焙煎コーヒー豆の水分率は、従来の熱風焙煎と同等(1
〜3重量%)であることがわかる。
たアラビカ種の焙煎コーヒー豆と、従来の熱風焙煎で得
られたアラビカ種の焙煎コーヒー豆を粉砕し、コーヒー
メーカーにて15倍加水で抽出し、その抽出液の特性を
比較した。結果を表2に示す。
した。抽出液の収量は、抽出液に含まれるコーヒー固形
分の濃度をデジタル屈折計(ATAGO製、RX−50
00)で測定して、抽出液量のコーヒー固形分をコーヒ
ー豆量で除して算出することにより求めた。抽出液の香
気面積は、下記に示すガスクロマトグラフィーにより求
めた。
測定)前記抽出液10mlを、22mlのバイアル瓶に
採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、Tekma
r社製ガスクロマトグラフィー用オートサンプラにて8
0℃で20分間加温した後サンプリングし、ガスクロマ
トグラフィーで分析した。
0.53mm×30m キャリヤーガス:ヘリウム キャリヤーガス流量:1ml/分 カラム温度:40℃(5分)→220℃(5℃/分で昇
温) 検出器:FID。
の総面積を、香気面積として算出した。
られた抽出液と熱風焙煎したコーヒー豆から得られた抽
出液とでは、pHや香気面積がほぼ同等であり、収量も
変わりはなかった。
たロブスタ種の焙煎コーヒー豆と、従来の熱風焙煎で得
られたロブスタ種の焙煎コーヒー豆を粉砕し、コーヒー
メーカーにて15倍加水で抽出し、その抽出液の特性を
比較した。結果を表3に示す。各特性値は、実施例2に
記載された方法と同じ方法で求めた値である。
られた抽出液と熱風焙煎したコーヒー豆から得られた抽
出液とでは、pHや香気面積がほぼ同等であり、収量も
変わりはなかった。
種の高温加熱蒸気焙煎品と、熱風焙煎品とについて、ブ
ラジル国サンパウロ州サントス商工会議所認定のクラシ
フィカドールにより、官能評価を行った。
に粉砕コーヒーを9g計量し、沸騰したお湯を140m
l注ぎ、サンプル毎に3カップ準備した。まず、テスト
グラスのコーヒーを良く攪拌しながら異臭を確認し、次
いで、適温(約65℃)で試飲を行った。7人の品質専
門パネラーによって実施した。
が強い、小さい数字が弱いことを示す5段階評価で実施
した。評価内容は、香り、酸味、後味、ボディーおよび
異臭の5種類であり、評価点を平均値で表した。なお、
異臭については異臭の有無で表した。結果を表4に示
す。
体的に柔らかい味であった。浅炒り焙煎品では、コーヒ
ーから欠点豆を除去したような風味を有することがわか
った。
種の高温加熱蒸気焙煎品と熱風焙煎品の官能評価を、実
施例4と同様にして、ブラジル国サンパウロ州サントス
商工会議所認定のクラシフィカドールにより実施した。
ただし、ロブスタ種については、評価内容を力強さ、後
味、清澄さおよび異臭の4種類とした。結果を表5に示
す。
スタ種の味が軽減され、後味に特徴があり、ボディーも
角が取れて、飲み易いものであった。
示す概略図
ローチャート図
Claims (4)
- 【請求項1】 下記工程:ボイラーで水蒸気を発生させ
る工程、前記水蒸気を加熱器に導入し、飽和蒸気を20
0〜400℃に加熱して乾き度の高い高温加熱蒸気を得
る工程、および前記乾き度の高い高温加熱蒸気を密閉さ
れていない焙煎機に導入し、当該焙煎機中で、コーヒー
生豆と前記乾き度の高い高温加熱蒸気とを接触させて焙
煎する工程、これにより、前記乾き度の高い高温加熱蒸
気は、前記コーヒー生豆と接触後、前記焙煎機外に排気
される、を含む焙煎コーヒー豆の製造方法。 - 【請求項2】 前記水蒸気が加圧力0〜50kPaゲー
ジで前記加熱器に導入され、かつ前記乾き度の高い高温
加熱蒸気が加圧力0〜50kPaゲージで前記焙煎機に
導入される請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 前記加熱器と前記焙煎機が一体化された
装置を用いる請求項1または2に記載の方法。 - 【請求項4】 前記焙煎工程終了後の焙煎コーヒー豆の
水分率が1〜4重量%である請求項1〜3いずれかに記
載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001349792A JP3665286B2 (ja) | 2001-11-15 | 2001-11-15 | 焙煎コーヒー豆の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP3665286B2 JP3665286B2 (ja) | 2005-06-29 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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