JP2003137895A - 新規ナリンゲニン誘導体及びその用途 - Google Patents

新規ナリンゲニン誘導体及びその用途

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    • C07H17/06Benzopyran radicals
    • C07H17/065Benzo[b]pyrans
    • C07H17/07Benzo[b]pyran-4-ones

Abstract

(57)【要約】 【課題】 食用マメ種子を食害するマメゾウムシ類を有
効に防除することのできる、天然(植物)由来の新規ナ
リンゲニン誘導体と、この新規ナリンゲニン誘導体を有
効成分として含有する殺虫性組成物とを提供すること。 【解決手段】 一般式〔I〕 【化1】 (式中、RとRは、水素原子又はβ−D−グルコシ
ル基を示すが、両者が同一の置換基である場合は除
く。)で表される新規ナリンゲニン誘導体、並びにこの
ナリンゲニン誘導体を有効成分として含有する殺虫性組
成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規ナリンゲニン誘
導体及びその用途に関し、詳しくはマメゾウムシ類によ
る食害からアズキ、ササゲ、リョクトウなどの食用マメ
種子を有効に防除することのできる新規ナリンゲニン誘
導体と、この新規ナリンゲニン誘導体を有効成分として
含有する殺虫性組成物とに関する。
【0002】
【従来の技術】作物を害虫から防除し、収量の安定と収
穫物の品質を確保する方法は古来より行われてきた。こ
のような害虫防除には、20世紀初頭からは、有機塩素
系、有機リン系などの合成殺虫剤が使用されてきてお
り、農業生産に多大な貢献を果たしてきた。
【0003】しかし、近年になると環境保護や安全性へ
の意識が高まり、このような合成殺虫剤の使用が制限さ
れるようになってきている。また、合成殺虫剤の使用量
の増加と共に、薬剤に対して抵抗性を獲得した害虫の出
現が報告され、合成殺虫剤の使用による従来の防除に代
わる新たな技術開発が求められている。
【0004】一般に天然物由来の殺虫剤は、環境への負
荷が少ないと考えられている。特に植物由来の天然化合
物は多種にわたり、ピレスロイドなどをはじめする化合
物が利用されてきた。フラボノイド配糖体は、植物の生
産する化合物のひとつである。フラボノイドの機能につ
いては不明な点も多いが、抗菌活性、酵素阻害、昆虫に
よる食害の防衛、ホルモン作用などに寄与すると考えら
れている。殺虫性を示すフラボノイドとしては、これま
でにオオタバコガの幼虫に殺虫性を示す6−C−β−D−
グルコシル−ルテオリンが報告されているが、マメゾウ
ムシ類に対する殺虫性については全く記載がない。
【0005】マメゾウムシ類は、熱帯地域から亜熱帯地
域にかけて生息する小さな甲虫である。マメゾウムシ類
としては、アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシなど
が知られ、いずれもアズキ、ツルアズキ、ササゲ、リョ
クトウ種子に甚大な食害をもたらす。そのうちヨツモン
マメゾウムシは、アフリカ及び東南アジアを原産とする
が、今後、温暖化と共に日本に侵入し定着する恐れのあ
る貯穀害虫である。
【0006】マメゾウムシ類の成虫は、マメの栽培圃場
に飛来し、若莢に産卵する。孵化した幼虫は種子に侵入
し、食害し、収穫後に羽化する。羽化した成虫は、貯蔵
中のマメに産卵し、世代を繰り返す。このようなマメゾ
ウムシ類は、生育可能な環境条件さえ整えば加速度的に
増殖し、食害による被害が深刻であるため、これまでマ
メの栽培圃場における農薬散布、収穫後における薬剤処
理を中心とした防除方法が展開されてきた。
【0007】しかし、成虫の移動能力が高いこと、マメ
類種子に侵入した幼虫の駆除は難しいこと、食餌となる
植物が野生植物にもあること、などから、マメ類種子に
侵入したマメゾウムシ類の幼虫の駆除は難しく、充分な
防除効果を上げていないのが現状である。従って、新た
な防除方法の確立が世界各国で切望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解消し、登熟中及び貯蔵中の食用マメ種子を食
害するマメゾウムシ類を有効に防除することのできる、
虫害抵抗性を有する、天然(植物)由来の新規ナリンゲ
ニン誘導体と、この新規ナリンゲニン誘導体を有効成分
として含有する殺虫性組成物とを提供することを目的と
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】虫害抵抗性の開発には、
害虫に対して高い殺虫性を有する化学物質の利用が有効
である。本発明者らは、上記従来の問題点を解消するた
め鋭意検討を重ねた結果、農業生物資源研究所が収集し
た500系統のマメ科植物種子の中から、日本在来の食
用ツルアズキ( Vigna umbellata )が、アズキゾウム
シ、ヨツモンマメゾウムシなどのマメゾウムシ類に対し
て高い殺虫性(虫害抵抗性)を有することを見出した。
【0010】このためツルアズキ種子には、マメゾウム
シ類に対して殺虫性(虫害抵抗性)を示す有効成分が含
まれていると考えられた。しかも、ツルアズキ種子は食
用であるため、その種子中に含まれる有効成分も安全性
が高いと考えられた。
【0011】本発明者らは、このようなツルアズキが示
すマメゾウムシ類抵抗性の要因を明らかにするために、
様々な抽出方法と抽出液とを検討し、ツルアズキ種子粉
から殺虫活性物質の分離を進めた結果、これまでの文献
に未記載な化合物である新規ナリンゲニン誘導体を見出
し、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、請求項1に係る本発明は、下記
の一般式〔I〕
【化2】 (式中、RとRは、水素原子又はβ−D−グルコシ
ル基を示すが、両者が同一の置換基である場合は除
く。)で表される新規ナリンゲニン誘導体を提供するも
のである。
【0013】次に、請求項2に係る本発明は、請求項1
記載のナリンゲニン誘導体を有効成分として含有する殺
虫性組成物を提供するものである。
【0014】また、請求項3に係る本発明は、殺虫性組
成物が、貯穀害虫用殺虫性組成物である請求項2記載の
殺虫性組成物を提供するものである。
【0015】さらに、請求項4に係る本発明は、貯穀害
虫が、マメゾウムシ類である請求項3記載の殺虫性組成
物を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示
す。請求項1に係る本発明は、上記一般式〔I〕で表さ
れる新規ナリンゲニン誘導体を提供するものである。式
中、RとRは、水素原子又はβ−D−グルコシル
(β-D-Glc)基を示しているが、両者が同一の置換基で
ある場合は除かれる。
【0017】従って、上記一般式〔I〕で表される新規
ナリンゲニン誘導体としては、次式〔II〕
【化3】 で表される8−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリン
ゲニンが挙げられる。
【0018】上記一般式〔I〕で表される新規ナリンゲ
ニン誘導体としては、さらに次式〔III〕
【化4】 で表される6−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリン
ゲニンが挙げられる。
【0019】上記一般式〔I〕で表されるナリンゲニン
誘導体は、文献未記載の新規化合物であり、勿論、この
新規ナリンゲニン誘導体がマメゾウムシ類に対して殺虫
性(虫害抵抗性)があることは、これまで全く知られて
いない。
【0020】上記一般式〔I〕で表されるナリンゲニン
誘導体は、食用のツルアズキ種子粉をメタノール水溶液
で抽出することにより得ることができる。
【0021】上記一般式〔I〕で表されるナリンゲニン
誘導体のうち、上記式〔II〕で表される8−C−β−D−
グルコシル−(R)−ナリンゲニンは、まずツルアズキ
種子を粉砕し、得られたツルアズキ種子粉を85%メタノ
ール水溶液で抽出する。得られた抽出液を濃縮した後、
水飽和ヘキサン、酢酸エチル、水飽和ブタノールで分配
し、マメゾウムシ類に対する殺虫活性を認めたブタノー
ル層を濃縮しシリカゲルに吸着させた後、ヘキサン/酢
酸エチル、酢酸エチル/メタノールの混合溶媒で溶出す
る。アズキゾウムシに殺虫活性を認めた酢酸エチル:メ
タノール(8:2)の濃縮画分を低圧液体クロマトグラ
フィーで精製する。その後、最も活性の強い濃縮画分を
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製し、ア
ズキゾウムシに殺虫活性を示すピークを得る。このピー
クをさらに精製することにより、文献未記載の新規化合
物8−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリンゲニンが
得られる。構造はMS、NMR、CDから決定された。
【0022】この新規化合物8−C−β−D−グルコシル
−(R)−ナリンゲニンは、アズキゾウムシに対しての
み殺虫活性を示す。しかしながら、ツルアズキ種子はア
ズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシに高い殺虫活性を
示すことから、矛盾が生じる。そこで本発明者らは、新
規化合物8−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリンゲ
ニン以外にマメゾウムシ類へ殺虫活性を有する化合物が
存在すると考え、更なる分離方法の検討を進めた。試行
錯誤の結果、精製過程においてシリカゲルを使用せず、
耐有機溶媒親水性ビニルポリマーに換えることによっ
て、ヨツモンマメゾウムシなどに殺虫活性を示す化合物
が分離されることを見出し、上記式〔III〕で表され
る、文献未記載の新規化合物6−C−β−D−グルコシル
−(R)−ナリンゲニンを得た。
【0023】従って、上記式〔III〕で表される新規化
合物6−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリンゲニン
を得るには、まずツルアズキ種子を粉砕し、85%メタノ
ール水溶液で抽出する。得られた抽出液を濃縮した後、
水飽和ヘキサン、水飽和ブタノールで分配する。マメゾ
ウムシ類に対する殺虫活性を認めたブタノール層を濃縮
し、耐有機溶媒親水性ビニルポリマーを充填させた低圧
液体クロマトグラフィーで精製する。そして最も活性の
強い濃縮画分をHPLCで精製する。アズキゾウムシ、ヨツ
モンマメゾウムシに殺虫活性を示すピーク画分を精製す
ることにより、上記式〔III〕で表される6−C−β−D
−グルコシル−(R)−ナリンゲニンが得られる。構造
はMS、NMR、CDから決定された。
【0024】以上のように、上記一般式〔I〕で表され
るナリンゲニン誘導体は、食用のツルアズキ種子中に含
まれる成分であることから、安全性が高いと考えられ
る。
【0025】請求項1に係る本発明の新規ナリンゲニン
誘導体は、上記した如きものである。次に、請求項2に
係る本発明は、このような請求項1記載のナリンゲニン
誘導体を有効成分として含有する殺虫性組成物を提供す
るものである。ここで請求項1記載のナリンゲニン誘導
体として具体的には、式〔II〕で表される8−C−β−D
−グルコシル−(R)−ナリンゲニンと式〔III〕で表
される6−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリンゲニ
ンとがあるが、請求項2に係る本発明においては、この
ような2種の新規化合物を併用することもできる。
【0026】また、請求項2に係る本発明の殺虫性組成
物は、上記した如き請求項1記載のナリンゲニン誘導体
を有効成分として含有するものであればよく、本発明の
目的を損なわない範囲において、既知の殺虫性物質と併
用することもできる。
【0027】このような請求項2に係る本発明の殺虫性
組成物は、請求項3に記載したように、特に貯穀害虫用
殺虫性組成物として有用である。ここで貯穀害虫として
は、請求項4に記載されているように、マメゾウムシ類
が挙げられる。請求項2に係る本発明の殺虫性組成物
は、これらの貯穀害虫の中でも、アズキゾウムシ、ヨツ
モンマメゾウムシなどのマメゾウムシ類に対して、特異
的、選択的に虫害抵抗性がある。請求項2に係る本発明
の殺虫性組成物は、このようなマメゾウムシ類などの貯
穀害虫による食害から、アズキ、ササゲ、リョクトウと
いった食用マメ種子を有効に防除することができる。
【0028】請求項2に係る本発明の殺虫性組成物は、
害虫体内への薬剤の侵入経路からみると、基本的には殺
虫剤の内の消化中毒剤の範疇に属するものであって、こ
れを食した害虫を中毒に陥らせ死に至らしめて防除する
ものである。請求項2に係る本発明の殺虫性組成物にお
いて、殺虫剤としての使用の態様は特に制限されない
が、害虫によく食せしめるために、これを例えばマメを
模した人工マメの形態に練り上げたものとしておくとよ
い。
【0029】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らによって限定されるものではない。 試験例1〔ツルアズキ種子粉の殺虫活性試験〕 マメゾウムシ類の幼虫は、食用ツルアズキ種子内部を食
することによって死亡することが観察されたことから、
マメゾウムシ類の幼虫にツルアズキ種子粉を含む人工マ
メを食べさせることにより、ツルアズキ種子(子葉)の
マメゾウムシ類に対する殺虫活性を確認すべく、以下の
試験を行った。
【0030】(1)ツルアズキ 材料は、日本在来の栽培ツルアズキ( Vigna umbellata
)を用いた。
【0031】(2)マメゾウムシ類 マメゾウムシ類としては、日本産アズキソウムシ( Cal
losobruchus chinensis )とタイ産ヨツモンマメゾウム
シ( C. maculatus )の2種を使用した。ヨツモンマメ
ゾウムシは、植物防疫所より輸入禁止許可申請を受け、
タイ国カセサート大学より導入し継代飼育した。これら
の2種類のマメゾウムシは同一の方法で飼育した。すな
わち、リョクトウ種子300粒を用意した9cmシャーレに
十数頭のマメゾウムシ成虫を放ち産卵させた。産卵後、
成虫を除去し、30℃、湿度60%の恒温器内で飼育した。
産卵後25-30日を経過すると成虫が羽化する。羽化した
成虫を殺虫活性試験に供試した。
【0032】(3)人工マメ(リョクトウ100%)の作
成 殺虫活性物質の同定を行うためには、人工飼料によるマ
メゾウムシの飼育が必要である。そこで、マメゾウムシ
類に感受性であるリョクトウ子葉粉から、人工マメ(人
工飼料)を作成し、マメゾウムシ類の生育を調査した。
リョクトウ子葉粉1gに少量の蒸留水を添加し、マメ状の
固形物(約0.25g)を作成し、凍結乾燥した。この固形
物を人工マメ(リョクトウ100%)と呼び、実験に供試
した。人工マメ(リョクトウ100%)を9cmシャーレに置
き、羽化後間もない成虫を放ち、産卵をさせた。飼育環
境は30℃、湿度60%に設定した。産卵後25-30日を経過す
ると人工マメ(リョクトウ100%)より成虫が正常に羽
化した。このように、マメゾウムシ類は人工マメを利用
して産卵、羽化を行うことが明らかとなり、人工マメは
マメゾウムシ類の殺虫活性試験に有用であることが確認
された。
【0033】(4)ツルアズキ種子粉を含む人工マメの
作成及び殺虫活性の測定 この試験区の人工マメを一粒ずつ9cmシャーレに置き、
羽化後間もないアズキゾウムシおよびヨツモンマメゾウ
ムシの成虫を放ち、産卵をさせた。産卵後は30度、湿度
60%に設定した恒温器に入れて飼育した。人工マメへの
産卵数を記録し、そして人工マメから羽化する成虫数を
産卵後50日まで記録しつづけ、羽化率をもとめた。産卵
50日目に羽化が認められない人工マメは、ピンセットで
分割し成虫の有無を調査した。なお、人工マメによる殺
虫性試験は4反復した。ツルアズキ種子粉を各割合で混
合した人工マメから羽化した成虫数を図1に示す。な
お、図1中、散点部分はアズキゾウムシの結果、斜線部
分はヨツモンマメゾウムシの結果である。
【0034】図1より、ツルアズキ種子粉の割合が100
%の人工マメ、及びツルアズキ種子粉80%+リョクトウ
種子(子葉)粉20%の人工マメは、いずれも2種類のマ
メゾウムシ類の羽化を完全に阻害したことが明らかであ
る。この結果に基づいて、ツルアズキ種子粉の全活性
(units)と比活性を算出した。すなわち、まず上記人
工マメについて殺虫活性(羽化率0%)を示すのに必要
なツルアズキ種子粉の濃度を検討し、これを最小致死濃
度とした。この最小致死濃度によって、ツルアズキ種子
粉の総重量から作成することのできる人工マメの重量
(g)で表わしたもの(ツルアズキ種子粉の総重量を、
最小致死濃度で割ったもの)を、ツルアズキ種子粉の全
活性とした。さらに、ツルアズキ種子粉1g当たりの全活
性を、比活性(units/g)として算出した。
【0035】本試験例の場合、ツルアズキ種子粉の割合
が100%の人工マメ、及びツルアズキ種子粉80%+リョ
クトウ種子(子葉)粉20%の人工マメが、いずれもマメ
ゾウムシ類の羽化を完全に阻害したことから(図1参
照)、最小致死濃度は80%であることが分かる。この結
果を基準としてツルアズキ種子粉の全活性を求めると、
1000.0gのツルアズキ種子粉から、マメゾウムシ類を殺
虫可能な1250.0gの人工マメを作れることから、全活性
は1250.0unitsであることが明らかである。また、比活
性は、1.3units/gであった。結果を第1表に示す。
【0036】このように、マメゾウムシ類の幼虫はツル
アズキ種子を混合した人工マメを食べることによって死
亡することから、ツルアズキ種子はマメゾウムシ類に対
し殺虫活性を有することが明らかとなった。この結果か
ら、ツルアズキにはマメゾウムシ類に対し殺虫性を示す
有効成分が含まれていると考えられたので、以下の実施
例1及び2により、ツルアズキ種子から殺虫活性物質の
分離を進めることとした。
【0037】実施例1〔8−C−β−D−グルコシル−
(R)−ナリンゲニンの製造〕 ツルアズキ種子から、マメゾウムシ類に対する殺虫活性
を有する物質を、マメゾウムシ類に対する殺虫活性に基
づいて分離精製した。分離精製の手順を図2に示す。な
お、殺虫活性については、各精製段階で得られる抽出物
をツルアズキ種子粉の代わりに用いる他は、試験例1の
条件及び手順と同様にして全活性、比活性を算出するこ
とにより観察した。また、試験例1で得られたツルアズ
キ種子粉の全活性に対する、各精製段階で得られた抽出
物の全活性の比率を百分率で示したものを、収率として
算出した。
【0038】(1)メタノール抽出 ツルアズキ種子粉に85%メタノール(メタノール:水=8
5:15)10Lを加え48時間連続抽出した(4℃)。抽出液
を濾過し、上澄9.5Lを得た。この工程を3回行い、合計
3000gの種子粉から約28Lのメタノール抽出液を得た。
メタノール抽出物について、試験例1と同様にして全活
性、比活性及び収率を算出した。これらの結果を第1表
に示す。第1表から、メタノール抽出により、ツルアズ
キ種子粉100%の場合に比べ、殺虫活性が向上している
ことが明らかとなった。
【0039】(2)各種溶媒への分配 メタノール抽出液を濃縮し、水飽和ヘキサン、酢酸エチ
ル、水飽和ブタノール分配した。得られた水飽和ヘキサ
ン分配層、酢酸エチル分配層、水飽和ブタノール分配層
及び水層残さのそれぞれについて、殺虫活性試験を行っ
た。すなわち、試験例1において、ツルアズキ種子粉の
代わりにヘキサン分配層を3%、酢酸エチル分配層を3
%、ブタノール分配層を1%、2%及び3%、水層残さを3
%の各割合で混合した人工マメを用いた他は同様にし
て、羽化率を確認した。各抽出物を混合した人工マメの
羽化率の結果を図3に示す。図3中、白色部分はアズキ
ゾウムシの結果を、黒色部分はヨツモンマメゾウムシの
結果を示す。
【0040】図3から明らかなとおり、ヘキサン分配
層、酢酸エチル分配層、水層残さを混合した人工マメの
羽化率は高く、リョクトウ種子(子葉)粉100%の人工
マメの場合と同様にマメゾウムシ類殺虫活性は認められ
なかった。一方、ブタノール分配層を混合した人工マメ
の羽化率は2種類のマメゾウムシ類のいずれについても
低かった。ブタノール分配層の抽出物3%を混合した人
工マメでは、羽化率が0%であったので、最小致死濃度
は3%であることが分かった。そこで、ブタノール分配
層を混合した人工マメについて、試験例1と同様に、全
活性及び比活性を算出した。さらに、収率を算出した。
これらの結果を第1表に示す。第1表から明らかなとお
り、全活性及び比活性は、メタノール抽出物と比較して
高いことが分かる。以上の結果から、ブタノール分配層
に2種類のマメゾウムシ類に対する殺虫活性を認め、以
下の精製に供した。
【0041】(3)シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーによる分離 ブタノール分配層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマト
グラフィーで溶出した。溶出液はヘキサン:酢酸エチル
=90:10、ヘキサン:酢酸エチル=60:40、ヘキサン:
酢酸エチル=40:60、酢酸エチル、続いて酢酸エチル:
メタノール=80:20、酢酸エチル:メタノール=60:4
0、酢酸エチル:メタノール=40:60、メタノールとし
た。
【0042】溶出した各溶液を濃縮し、アズキゾウムシ
に対する殺虫活性を確認した。すなわち、試験例1と同
様に殺虫試験を行った。その結果、酢酸エチル:メタノ
ール=80:20により溶出した溶液の濃縮物にアズキゾウ
ムシに対する殺虫活性を認めた。酢酸エチル:メタノー
ル=80:20の濃縮物についてのアズキゾウムシに対する
全活性、比活性及び収率の結果を第1表に示す。
【0043】(4)ゲルクロマトグラフィーによる分離 この酢酸エチル:メタノール=80:20の濃縮物を、少量
の10%メタノール(メタノール:水=10:90)に溶解
し、LH-20で充填させたゲルクロマトグラフィー(2×12
0cm)で分離した。すなわち、10%メタノールを開始溶
媒とし、100%メタノールとの間で、1400分間の直線濃
度勾配によって分離した(流速2ml/min、カラム温度20
℃)。試料添加から10分間ごとに分取した。分取した各
フラクションは減圧濃縮し、凍結乾燥した。
【0044】各フラクションについて、アズキゾウムシ
に対する殺虫活性を確認した。すなわち、上記各フラク
ションを混合した人工マメを作成し、試験例1と同様に
殺虫試験を行い、羽化率、全活性、比活性を算出した。
その結果、アズキゾウムシに対する殺虫活性の認められ
るフラクションが得られた。アズキゾウムシに対する殺
虫活性の認められたフラクションの全活性、比活性及び
収率の結果は、第1表に示す通りである。
【0045】(5)HPLCによる分離 アズキゾウムシに対する殺虫活性の認められたフラクシ
ョンを、HPLC(島津)で精製した。カラムはセンシュー
科学ODS-C18(20×250mmと10×250mm)、資生堂ODS-UC1
8(4.6×250mm)を使用した。検出波長は200-400nmの吸
光度とした。すなわち、まずアズキゾウムシに対する殺
虫活性の認められたフラクションを、ODS-UC18(4.6×2
50mm)、流速0.8ml/min、カラム温度40℃、溶離液20%
アセトニトリル(アセトニトリル:水=20:80)で分析
した。HPLCの結果を図4に示す。図4から明らかなとお
り、7本のピーク(No.1〜7)が検出された。
【0046】各ピークを分取して、殺虫活性を確認し
た。すなわち、各ピークを混合した人工マメを作成した
他は試験例1と同様にして殺虫試験を行い、羽化率、全
活性、比活性を算出した。その結果、アズキゾウムシに
殺虫活性を認めたのは溶出時間17−18分のピークであっ
た(No.6と7)。17−18分のピーク(No.6と7)について
のアズキゾウムシに対する全活性、比活性及び収率の結
果を第1表に示す。
【0047】溶出時間17−18分のピーク(No.6と7)
を、ODS-C18(20×250mmと10×250mm)で集めた。この
ピークは2本のピークからなるため、更に集めたピーク
の凍結乾燥物を資生堂ODS-C18(4.6×250mm)により分
離した。No. 7のピークについて、殺虫活性を確認し
た。すなわち、No. 7のピーク0.05%、0.1%、0.2%を
それぞれ混合した人工マメを作成した他は、試験例1と
同様にして殺虫試験を行い、羽化率を算出した。No. 7
のピークを混合した人工マメの羽化率の結果を図5に示
す。図5中、白色部分はアズキゾウムシの結果を、黒色
部分はヨツモンマメゾウムシの結果を示す。
【0048】図5から明らかなとおり、No. 7のピーク
の抽出物を混合した人工マメの羽化率は、アズキゾウム
シについて低かった。No. 7のピークを0.1%、0.2%の
各割合で混合した人工マメでは、アズキゾウムシに対す
る羽化率が0%であったので、最小致死濃度は0.1%で
あることが分かった。そこで、No. 7のピークの抽出物
を混合した人工マメについて、試験例1と同様に、全活
性及び比活性を算出した。さらに、収率を算出した。結
果を第1表に示す。
【0049】
【表1】第1表〔各精製段階における抽出物の殺虫活
性〕
【0050】第1表から明らかなとおり、No.7のピーク
は、全活性が低く、比活性が高いことが分かる。以上の
結果から、No.7のピークにアズキゾウムシ殺虫活性を認
め、以下の分析に供した。
【0051】フーリエ変換イオンサイクロトン共鳴質量
分析計(FTICR−MS)により、No.7のピークの凍結乾燥
物に含まれる化合物を分析した。質量分析結果(質量ス
ペクトル)を図6に示す。また、精密質量分析結果(精
密質量スペクトル)を図7、図8に示す。図7、図8に
示すように、[M+H]がm/z 435.12859、[M−H]
がm/z 433.11420に観測された。なお、C21
2310としたときの計算値は、[M+H]がm/z
435.12857、[M−H]がm/z 433.11402である。次
に、No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のUV
スペクトルを図9に示す。290nm付近の強い吸収帯と330
nm付近の弱い吸収帯は、フラバノン骨格のπ→π及び
n→π遷移に由来している。また、No.7のピークの凍
結乾燥物に含まれる化合物の円二色性スペクトル(C
D)を図10に示す。290nm付近の強い正のCotton効果
と、230nm付近の弱い負のCotton効果は、それぞれ対応
するUV吸収帯より、π→π及びn→π遷移に由来す
ることが分かる。これらCotton効果の符号を文献(W. G
affield, Tetrahedron, 26, 4093-4108(1970))記載の
符号と比較することにより、フラバノン骨格の2位の絶
対配置が(R)と決定された。さらに、H−NMRと、
H−13C相関二次元NMR(HMBC,HSQC)とにより、
No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物を分析し
た。結果を図11、並びに図12、図13にそれぞれ示
す。すなわち、図11はNo.7のピークの凍結乾燥物に含
まれる化合物のH−NMRスペクトルを示す図であり、
図12は該化合物のH−13C HMBC相関二次元NMR
スペクトルを示す図であり、図13は該化合物のH−
13C HSQC相関二次元NMRスペクトルを示す図であ
る。
【0052】これらの分析結果より、No.7のピークは、
上記式〔II〕で表される、文献未記載の新規化合物8−
C−β−D−グルコシル−(R)−ナリンゲニンであるこ
とが判明した。以上の結果から、ツルアズキ種子に含ま
れる、アズキゾウムシ殺虫性物質は、8−C−β−D−グ
ルコシル−(R)−ナリンゲニンであり、本発明者はそ
の分離精製に成功したことが明らかとなった。
【0053】実施例2〔6−C−β−D−グルコシル−
(R)−ナリンゲニンの製造〕 実施例1において、ツルアズキから、アズキゾウムシ殺
虫性物質8−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリンゲ
ニンを分離した。しかしながら、図1に示すように、ツ
ルアズキ種子はヨツモンマメゾウムシにも抵抗性を示す
ため、8−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリンゲニ
ン以外の殺虫性物質を含むと推定される。実施例1にお
いて、ヨツモンマメゾウムシに対する殺虫活性は、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで溶出すると失活する
ことから、シリカゲルの使用を避け、アズキゾウムシと
ヨツモンマメゾウムシに対して殺虫性を有する物質の分
離を試みた。分離精製の手順を図14に示す。
【0054】(1)メタノール抽出 ツルアズキ種子(1000g)を高速粉砕器で粉砕した。粉
砕した種子粉に85%メタノール(メタノール:水=85:1
5)10Lを加え48時間連続抽出した(4℃)。抽出液を濾
過し、上澄を9.5L得た。この工程を4回行い、合計4000
gの種子粉から約38Lのメタノール抽出液を得た。この
メタノール抽出物について、試験例1と同様にして全活
性、比活性、収率を算出した。これらの結果を第2表に
示す。第2表から、メタノール抽出により殺虫活性が向
上していることが明らかとなった。
【0055】(2)各種溶媒への分配 メタノール抽出液を濃縮し、水飽和ヘキサン、酢酸エチ
ル、水飽和ブタノール分配した。ブタノール層を濃縮
し、凍結乾燥した。各分配層の2種のマメゾウムシ類に
対する殺虫活性を確認した。すなわち、上記各分配層を
それぞれ混合した人工マメを作成し、試験例1と同様に
殺虫試験を行った。その結果、ブタノール分離層に殺虫
活性を認めた。ブタノール分離層の2種のマメゾウムシ
類に対する全活性、比活性及び収率の結果を第2表に示
す。
【0056】(3)ゲルクロマトグラフィーによる分離 ブタノール分配層の凍結乾燥物を、少量の10%メタノー
ル(メタノール:水=10:90)に溶解した。溶解した試
料をLH-20で充填させたゲルクロマトグラフィー(6×10
0cm)で分離した。10%メタノールを開始溶媒とし、100
%メタノールとの間で、48時間の直線濃度勾配により分
離した(流速5ml/min、カラム温度20℃)。試料添加120
分後から10分間ごとに分取した。分取した各フラクショ
ンを減圧濃縮した。アズキゾウムシとヨツモンマメゾウ
ムシに殺虫性を示すフラクションを特定した。
【0057】各フラクションについて、アズキゾウムシ
とヨツモンマメゾウムシとに対する殺虫活性を確認し
た。すなわち、上記各フラクションを混合した人工マメ
を作成し、試験例1と同様に殺虫試験を行い、羽化率、
全活性、比活性を算出した。その結果、2種のマメゾウ
ムシ類に対する殺虫活性の認められるフラクションが得
られた。殺虫活性の認められたフラクションの全活性、
比活性及び収率の結果は、第2表に示す通りである。
【0058】(4)HPLCによる分離 殺虫活性を認めたフラクションをHPLC(島津)で精製し
た。カラムはセンシュー科学ODS-C18(20×250mmと10×
250mm)、資生堂ODS-UC18(4.6×250mm)を使用した。
検出波長は200-400nmの吸光度とした。すなわち、アズ
キゾウムシとヨツモンマメゾウムシとに殺虫活性を認め
たフラクションをODS−UC18(4.6×250mm)、流速0.8ml
/min、カラム温度30℃、溶離液15%アセトニトリル+0.1
%ギ酸(アセトニトリル:水=15:75)で分析した結
果、図15に示すように5本のピーク(No. 1〜5)が検
出された。
【0059】各ピークを分取して、殺虫活性を確認し
た。すなわち、上記各ピークを混合した人工マメを作成
し、試験例1と同様にして殺虫試験を行った結果、アズ
キゾウムシとヨツモンマメゾウムシとに殺虫活性を認め
たのは溶出時間16−17分のピークであった(No.4と
5)。
【0060】この16−17分のピーク(No.4と5)を、ODS
-C18(20×250mmと10×250mm)により分離した。No.5の
ピークについて、殺虫活性を確認した。すなわち、No.
5のピーク0.05%、0.1%、0.2%をそれぞれ混合した人
工マメを作成した他は試験例1と同様にして殺虫試験を
行い、羽化率を算出した。No. 5のピークを混合した人
工マメの羽化率の結果を図16に示す。図16中、白色
部分はアズキゾウムシの結果を、黒色部分はヨツモンマ
メゾウムシの結果を示す。
【0061】図16から明らかなとおり、No. 5のピー
クの抽出物を混合した人工マメの羽化率は、2種類のマ
メゾウムシ類のいずれについても低かった。No. 5のピ
ーク0.1%と0.2%をそれぞれ混合した人工マメでは、2
種類のマメゾウムシ類に対する羽化率が0%であったの
で、最小致死濃度は0.1%であることが分かった。そこ
で、No. 5のピークの抽出物を混合した人工マメについ
て、試験例1と同様に、全活性及び比活性を算出した。
さらに、収率を算出した。結果を第2表に示す。
【0062】
【表2】第2表〔各精製段階における抽出物の殺虫活
性〕
【0063】第2表から明らかなとおり、No.5のピーク
は、全活性が低く、比活性が高いことがわかる。以上の
結果から、No.5のピークにアズキゾウムシ及びヨツモン
マメゾウムシに対する殺虫活性を認め、以下の分析に供
した。
【0064】フーリエ変換イオンサイクロトン共鳴質量
分析計(FTICR−MS)により、No.5のピークの凍結乾燥
物に含まれる化合物を分析した。質量分析結果(質量ス
ペクトル)を図17に示す。また、精密質量分析結果
(精密質量スペクトル)を図18、図19に示す。図1
8、図19に示すように、[M+H]がm/z 435.1285
5、[M−H]がm/z 433.11420に観測された。なお、
212310としたときの計算値は、[M+H]
がm/z 435.12855、[M−H]がm/z 433.11402であ
る。次に、No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物
のUVスペクトルを図20に示す。290nm付近の強い吸
収帯と330nm付近の弱い吸収帯は、フラバノン骨格のπ
→π及びn→π遷移に由来している。また、No.5の
ピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の円二色性スペク
トル(CD)を図21に示す。290nm付近の強い正のCot
ton効果と、230nm付近の弱い負のCotton効果は、それぞ
れ対応するUV吸収帯より、π→π及びn→π遷移に
由来することが分かる。これらCotton効果の符号を文献
(W. Gaffield, Tetrahedron, 26, 4093-4108(1970))
記載の符号と比較することにより、フラバノン骨格の2
位の絶対配置が(R)と決定された。さらに、H−NM
Rと13C−NMR、さらにH−13C相関二次元NMR(H
MBC,HSQC)により、No.5のピークの凍結乾燥物に含ま
れる化合物を分析した。結果を図22と図23、並びに
図24と図25にそれぞれ示す。すなわち、図22はN
o.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のH−NMR
スペクトルを示す図であり、図23は該化合物の13C
−NMRスペクトルを示す図であり、図24は該化合物の
H−13C HMBC相関二次元NMRスペクトルを示す図
であり、図25は該化合物のH−13C HSQC相関二次
元NMRスペクトルを示す図である。
【0065】これらの分析結果より、No.5のピークは、
上記式〔III〕で表される、文献未記載の新規化合物6
−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリンゲニンである
ことが判明した。以上の結果から、ツルアズキ種子に含
まれる、アズキゾウムシ及びヨツモンマメゾウムシ殺虫
性物質は、6−C−β−D−グルコシル−(R)−ナリン
ゲニンであることが明らかとなった。
【0066】
【発明の効果】請求項1に係る本発明のナリンゲニン誘
導体は、文献未記載の新規化合物であって、虫害抵抗性
を有しており、登熟中及び貯蔵中のマメ類種子を食害す
るマメゾウムシ類を有効に防除することができることか
ら、殺虫剤(マメゾウムシ類防除剤)として有用であ
る。次に、上記請求項1記載の新規ナリンゲニン誘導体
を有効成分として含有する、請求項2に係る本発明の殺
虫性組成物は、虫害抵抗性を有しており、登熟中及び貯
蔵中のマメ類種子を食害するマメゾウムシ類を有効に防
除することができるしかも、請求項2に係る本発明の殺
虫性組成物における有効成分は、有機合成を用いて製造
されたものではなく、食用のツルアズキ種子中に含まれ
る成分であることから、天然(植物)由来のものともい
うことができ、安全性が高いと考えられる。請求項2に
係る本発明の殺虫性組成物は、貯穀害虫の中でも、アズ
キゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシなどのマメゾウムシ
類に対して、特異的、選択的に虫害抵抗性がある。請求
項2に係る本発明の殺虫性組成物は、マメゾウムシ類に
よる食害から、アズキ、ササゲ、リョクトウといった食
用マメ種子を有効に防除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ツルアズキ種子粉を混合した人工マメから羽
化した成虫数を示す図である。
【図2】 ツルアズキ種子から8−C−β−D−グルコシ
ル−(R)−ナリンゲニンを分離精製するまでの手順を
示す図である。
【図3】 各溶媒抽出物を混合した人工マメの羽化率を
示す図である。
【図4】 HPLCの結果を示す図である。
【図5】 No. 7のピークを混合した人工マメの羽化率
を示す図である。
【図6】 No. 7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物の質量分析結果(質量スペクトル)を示す図である。
【図7】 No. 7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物の精密質量分析結果(質量スペクトル:[M+H]
を示す図である。
【図8】 No. 7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物の精密質量分析結果(質量スペクトル:[M−H]
を示す図である。
【図9】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物
のUVスペクトルを示す図である。
【図10】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物の円二色性スペクトル(CD)を示す図である。
【図11】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図12】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物のH−13C HMBC相関二次元NMRスペクトルを示
す図である。
【図13】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物のH−13C HSQC相関二次元NMRスペクトルを示
す図である。
【図14】 ツルアズキ種子から6−C−β−D−グルコ
シル−(R)−ナリンゲニンを分離精製するまでの手順
を示す図である。
【図15】 HPLCの結果を示す図である。
【図16】 No. 5のピークを混合した人工マメの羽化
率を示す図である。
【図17】 No. 5のピークの凍結乾燥物に含まれる化
合物の質量分析結果(質量スペクトル)を示す図であ
る。
【図18】 No. 5のピークの凍結乾燥物に含まれる化
合物の精密質量分析結果(質量スペクトル:[M+
H])を示す図である。
【図19】 No. 5のピークの凍結乾燥物に含まれる化
合物の精密質量分析結果(質量スペクトル:[M−
H])を示す図である。
【図20】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物のUVスペクトルを示す図である。
【図21】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物の円二色性スペクトル(CD)を示す図である。
【図22】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図23】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図24】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物のH−13C HMBC相関二次元NMRスペクトルを示
す図である。
【図25】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合
物のH−13C HSQC相関二次元NMRスペクトルを示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏葉 晃一 茨城県稲敷郡阿見町鈴木125−14 シャル マンメゾンA102 (72)発明者 友岡 憲彦 茨城県つくば市吾妻1−405−304 (72)発明者 ダンカン・ヴォーン 茨城県つくば市吾妻1−407−403 (72)発明者 加賀 秋人 茨城県つくば市吾妻2−911−203 (72)発明者 小野 裕嗣 茨城県つくば市吾妻2−1−712−503 (72)発明者 亀山 眞由美 千葉県柏市旭町5−1−18−805 (72)発明者 吉田 充 茨城県つくば市並木4−11−915−303 Fターム(参考) 4C057 BB02 DD01 KK08 4H011 AC01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式〔I〕 【化1】 (式中、RとRは、水素原子又はβ−D−グルコシ
    ル基を示すが、両者が同一の置換基である場合は除
    く。)で表される新規ナリンゲニン誘導体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のナリンゲニン誘導体を有
    効成分として含有する殺虫性組成物。
  3. 【請求項3】 殺虫性組成物が、貯穀害虫用殺虫性組成
    物である請求項2記載の殺虫性組成物。
  4. 【請求項4】 貯穀害虫が、マメゾウムシ類である請求
    項3記載の殺虫性組成物。
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