JP2003123224A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2003123224A
JP2003123224A JP2001317258A JP2001317258A JP2003123224A JP 2003123224 A JP2003123224 A JP 2003123224A JP 2001317258 A JP2001317258 A JP 2001317258A JP 2001317258 A JP2001317258 A JP 2001317258A JP 2003123224 A JP2003123224 A JP 2003123224A
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JP2001317258A
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English (en)
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Yuichiro Murayama
裕一郎 村山
Hiroshi Hashimoto
博司 橋本
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた走行耐久性を有し、かつ塗膜平滑性が高
く優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を提供する
こと。 【解決手段】非磁性支持体上に磁性粉末又は非磁性粉末
及び結合剤を含む下層並びに強磁性粉末及び結合剤を含
む少なくとも一層の上層磁性層をこの順に有する磁気記
録媒体。前記上層磁性層の中の、少なくとも最上層に位
置する磁性層は、ガラス転移温度が100〜200℃の
範囲であるポリウレタン樹脂を含む結合剤を含み、かつ
最上層に位置する磁性層は、その表面に高さ10〜20
nmの表面突起を5〜1000個/100μm2有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、優れた走行耐久性
及び電磁変換特性を有する磁気記録媒体に関する。 【0002】 【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープあるいはフロッピー(登録商標)ディスクなどと
して広く用いられている。磁気記録媒体は、強磁性粉末
が結合剤(バインダ)中に分散された磁性層を非磁性支
持体上に積層している。磁気記録媒体は、電磁変換特
性、走行耐久性および走行性能などの諸特性において高
いレベルにあることが必要とされる。すなわち、音楽録
音再生用のオーディオテープにおいては、より高度の原
音再生能力が要求されている。また、ビデオテープにつ
いては、原画再生能力が優れているなど電磁変換特性が
優れていることが要求されている。このような優れた電
磁変換特性を有すると同時に、磁気記録媒体は良好な走
行耐久性を持つことが要求されている。耐久性および電
磁変換特性を向上させるためには、結合剤も重要な働き
を担っている。従来から用いられている塩化ビニル樹
脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等で
は、磁性層の耐摩耗性が劣り、磁気テープの走行系部材
を汚染するという問題があった。 【0003】また、磁気ヘッド汚れは電磁変換特性の劣
化の原因となっている。特に、高密度記録用の機器で
は、磁気ヘッド回転数が上昇しており、デジタルビデオ
テープレコーダでは、磁気ヘッドの回転数が9600回
転/分と、アナログビデオテープレコーダの民生用の1
800回転/分、業務用の5000回転/分に比べて格
段に高速回転数であり、磁気記録媒体と磁気ヘッドとの
摺動する速度が大きくなっている。また磁気ヘッドも薄
膜ヘッド等のように小型のものが用いられており、磁気
記録媒体から生じる成分による磁気ヘッド汚れの改善が
求められている。 【0004】このような問題を改善する方法として、硬
い結合剤を用いて磁性層の硬度を上げる方法が行われて
いる。例えば、特開平11−96539号公報には、ダ
イマージオールをジオール成分として含むポリウレタン
樹脂を結合剤として用いた磁気記録媒体が記載されてい
る。また、特開2001−134921号公報では、環
状構造及び長鎖アルキル鎖を有するジオール化合物と長
鎖ポリオール成分として所定の極性基を有する重量平均
分子量(Mw)が400〜5000のポリオールを用い
たポリウレタン樹脂を結合剤として使用している。ガラ
ス転移温度(Tg)が高いポリウレタン樹脂を結合剤と
して使用すると、特に高温での塗膜強度が高くなり、良
好な走行耐久性を得ることができる。しかるに、Tgを
高くするには環状構造やウレタン結合成分を増やすこと
が行われているが、環状構造やウレタン結合成分を増や
すと、溶剤溶解性が低下するため十分な分散性が得られ
ず、塗膜平滑性が低下するという問題があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、優れた走行耐久性を有し、かつ塗膜平滑性が高く優
れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を提供すること
である。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を行った。その結果、ガラス転
移温度が100〜200℃の範囲であるポリウレタン樹
脂を結合剤成分として少なくとも最上層の磁性層に含む
ことにより優れた塗膜強度を達成し、かつ最上層の磁性
層表面に存在する微小突起数を規定することにより、優
れた走行耐久性と電磁変換特性とを両立した磁気記録媒
体を得ることができることを見出し、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明の目的は、 (1)非磁性支持体上に磁性粉末又は非磁性粉末及び結
合剤を含む下層並びに強磁性粉末及び結合剤を含む少な
くとも一層の上層磁性層をこの順に有する磁気記録媒体
であって、前記上層磁性層の中の、少なくとも最上層に
位置する磁性層は、ガラス転移温度が100〜200℃
の範囲であるポリウレタン樹脂を含む結合剤を含み、か
つ最上層に位置する磁性層は、その表面に高さ10〜2
0nmの表面突起を5〜1000個/100μm2有す
ることを特徴とする磁気記録媒体によって達成される。 【0007】本発明の磁気記録媒体の好ましい態様は以
下の通りである。 (2)前記ポリウレタン樹脂が環状構造及び長鎖アルキ
ル鎖を有するジオール成分からなるポリウレタン樹脂で
ある(1)の磁気記録媒体。 (3)前記磁性層の厚みが0.05〜1.0μmである
(1)又は(2)の磁気記録媒体。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体につ
いて更に詳細に説明する。本発明の磁気記録媒体は、非
磁性支持体上に重層磁性層又は非磁性層及び磁性層をこ
の順に設けた重層構造を有し、少なくとも最上層に位置
する磁性層に、ガラス転移温度が100〜200℃のポ
リウレタンを含む結合剤を用いる。前記ポリウレタン
は、最上層以外の上層磁性層にも含まれることはある
が、下層(磁性層又は非磁性層)には実質的に含まれな
い。最上層に位置する磁性層に本発明のガラス転移温度
が高いポリウレタンを含む結合剤を使用すると、磁性層
の高温での弾性率を高くすることができ、記録再生ヘッ
ドとの摺動で発生する摩擦熱による磁性層の塑性流動が
抑制され、高い塗膜強度が得られ、優れた走行耐久性を
達成することができる。特に、最上層に位置する磁性層
を薄層化すると磁性層の力学強度が低下するため、本発
明のポリウレタンの効果は、最上層磁性層が薄層である
場合に顕著である。 【0009】一方、記録再生時にヘッドと接触する最上
層の磁性層表面に高さ10〜20nmの微小突起が存在
すると、電磁変換特性が低下することが知られている。
しかし、ガラス転移温度の高いポリウレタンは、環状
構造やウレタン結合などの溶剤溶解性の低い構造を多数
有する。そのため、ガラス転移温度の高いポリウレタン
を用いると、塗布液の分散性が低下し、磁性層表面に微
小突起が発生するという問題がある。そこで、本発明の
磁気記録媒体では、最上層に位置する磁性層表面に存在
する高さ10〜20nmの表面突起を5〜1000個/
100μm2に低減することで、優れた電磁変換特性を
確保している。更に、高さ10〜20nmの表面突起数
を上記範囲とすると、走行時の摩擦係数の低減される。
これにより更に走行耐久性を向上させる効果を得ること
ができる。即ち、本発明では、結合剤として所定のポリ
ウレタン樹脂を用いること及び表面突起数を規定するこ
との両方の効果から、優れた走行耐久性が達成される。 【0010】[ポリウレタン樹脂]本発明の上層磁性層の
中の、少なくとも最上層に位置する磁性層に含まれるポ
リウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、100〜
200℃の範囲であり、好ましくは140〜180℃の
範囲である。Tgが100℃未満であると、高温での塗
膜強度が低下するため、良好な走行耐久性を得ることが
できず、200℃を超えると分散性が低下し、電磁変換
特性及び走行耐久性が低下する。本発明のポリウレタン
樹脂は高いガラス転移温度を有するため、特に高温環境
において劣化や分解を受け難く、耐久性に優れた磁気記
録媒体を得ることができる。 【0011】本発明のポリウレタン樹脂は、ウレタン基
濃度が2.5〜6.0mmol/gの範囲であることが
好ましく、更に好ましくは3.0〜4.5mmol/g
であることが適当である。ウレタン基濃度が2.5mm
ol/g以上であると、塗膜のTgが高く良好な耐久性
を得ることができ、6.0mmol/g以下であると、
溶剤溶解性が高いため分散性が良好である。ウレタン基
濃度が過度に高いと必然的にポリオールを含有すること
ができなくなるため、分子量コントロールが困難になる
等、合成上好ましくない。 【0012】本発明のポリウレタン樹脂の重量平均分子
量(Mw)は、30,000〜200,000の範囲で
あることが好ましく、更に好ましくは50,000〜1
00,000の範囲であることが適当である。分子量が
30,000以上であると、塗膜強度が高く良好な耐久
性を得ることができ、200,000以下であると溶剤
溶解性が高く分散性が良好である。 【0013】本発明のポリウレタン樹脂の極性基として
は、−SO3M、−OSO3M、−PO32、−COOM
が好ましく、更に好ましくは−SO3M、−OSO3Mで
あることが適当である。極性基の含有量は、1×10-5
〜2×10-4eq/gであることが好ましい。1×10
-5eq/g以上であると、磁性体や非磁性体への吸着性
が高く分散性が良好である。一方、2×10-4eq/g
以下であると、溶剤溶解性が高く、分散性が良好であ
る。 【0014】ポリウレタン樹脂中のOH基含有量は、1
分子当たり2〜20個であることが好ましく、更に好ま
しくは1分子当たり3〜15個であることが適当であ
る。1分子当たり2個以上のOH基を含むことにより、
イソシアネート硬化剤と良好に反応するため、塗膜強度
が高く、良好な耐久性を得ることができる。一方、1分
子当たり15個以下のOH基を含むと、溶剤溶解性が高
く分散性が良好である。OH基を付与するために用いる
化合物としては、OH基が3官能以上の化合物、例えば
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、無水
トリメリット酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、
ヘキサントリオール、3官能以上OH基を持つ分岐ポリ
エステル又はポリエーテルエステルを用いることができ
る。これらのなかでも、3官能のものが好ましい。4官
能以上になると硬化剤との反応が速くなりすぎポットラ
イフが短くなる。 【0015】本発明の結合剤に用いるポリウレタン樹脂
のポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、
ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオー
ル、ポリエーテルエステルポリオール、ポリオレフィン
ポリオールやダイマージオール等の環構造及び長鎖アル
キル鎖を有するジオール化合物等の公知のポリオールを
用いることができる。上記ポリオールの分子量は500
〜2000程度が好ましい。分子量が上記範囲内である
と、実質的にジイソシアネートの重量比を増やすことが
できるため、ウレタン結合が増えて分子間の相互作用が
強まり、ガラス転移温度が高く、力学強度の高い塗膜を
得ることができる。 【0016】上記ジオール成分は、環状構造及び長鎖ア
ルキル鎖を有するジオール化合物であることが好まし
い。ここで、長鎖アルキル鎖とは、炭素数2〜18のア
ルキル基をいう。環状構造及び長鎖アルキル鎖を有する
と、屈曲した構造を有するため、溶剤への溶解性に優れ
る。これにより、塗布液中で磁性体又は非磁性体表面に
吸着したウレタン分子鎖の広がりを大きくできるので、
分散安定性を向上させる作用があり、優れた電磁変換特
性を得ることができる。また、環状構造を有することに
より、ガラス転移温度が高いポリウレタンを得ることが
できる。環状構造及び長鎖アルキル鎖を有するジオール
化合物とは、特に好ましくは下式で示されるジオール化
合物である。 【0017】 【化1】 Zは、シクロヘキサン環、ベンゼン環及びナフタレン環
から選ばれる環状構造であり、R1及びR2は炭素数1〜
18のアルキレン基であり、R3及びR4は炭素数2〜1
8のアルキル基である。 【0018】上記ジオール成分は、ポリウレタン樹脂中
に10〜50wt%含まれることが好ましく、更に好ま
しくは15〜40wt%含まれることが適当である。1
0wt%以上であると、溶剤溶解性が高く分散性が良好
であり、50wt%以下であるとTgが高く優れた耐久
性を有する塗膜が得られる。 【0019】本発明のポリウレタン樹脂には、鎖延長剤
として上記ジオール成分以外のジオール成分を併用する
こともできる。ジオール成分の分子量が大きくなると、
必然的にジイソシアネート含有量が少なくなるため、ポ
リウレタン中のウレタン結合が少なくなり、塗膜強度に
劣る。よって、十分な塗膜強度を得るためには、併用さ
れる鎖延長剤は、分子量500未満、好ましくは300
以下である低分子量ジオールであることが好ましい。具
体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール
(NPG)、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オク
タンジオール、1,9−ノナンジオール、2,2−ジメ
チル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブ
チル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−
1,3−プロパンジオール等の脂肪族グリコール、シク
ロヘキサンジメタノール(CHDM)、シクロヘキサン
ジオール(CHD)、水素化ビスフェノールA(H−B
PA)等の脂環族グリコール及びこれらのエチレンオキ
サイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、ビスフェ
ノールA(BPA)、ビスフェノールS、ビスフェノー
ルP、ビスフェノールF等の芳香族グリコール及びこれ
らのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド
付加物を用いることができる。特に好ましいものは水素
化ビスフェノールAである。 【0020】本発明のポリウレタン樹脂に用いるジイソ
シアネートとしては、公知のものを用いることができ
る。具体的には、TDI(トリレンジイソシアネー
ト)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、
p−フェニレンジイソシアネート、o−フェニレンジイ
ソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート等が好ましい。 【0021】本発明のポリウレタン樹脂に塩化ビニル系
の合成樹脂を併用しても良い。併用することができる塩
化ビニル系樹脂の重合度は200〜600が好ましく、
250〜450が特に好ましい。塩化ビニル系樹脂はビ
ニル系モノマー、例えば酢酸ビニル、ビニルアルコー
ル、塩化ビニリデン、アクリロニトリルなどを共重合さ
せたものでもよい。 【0022】本発明のポリウレタン樹脂は、塩化ビニル
系樹脂の他に各種の合成樹脂を用いることができる。例
えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロー
ス樹脂などのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポ
キシ樹脂、フェノキシ樹脂である。これらは、単独でも
組み合わせでも使用することができる。 【0023】他の合成樹脂を併用する場合には、磁性層
に含まれるポリウレタン樹脂は、結合剤中に10〜90
重量%を含有されていることが好ましく、更に好ましく
は20〜80重量%の量である。特に好ましくは25〜
60重量%の量である。また塩化ビニル系樹脂は、結合
剤中に10〜80重量%含有されていることが好まし
く、更に好ましくは20〜70重量%の量である。特に
好ましくは30〜60重量%の量である。 【0024】また、本発明の結合剤とともに、ポリイソ
シアネート化合物等の硬化剤を使用することができる。
ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイ
ソシアネート3モルとトリメチロールプロパン1モルと
の反応性生物(例、デスモジュールL−75(バイエル
社製))、キシリレンジイソシアネートあるいはヘキサ
メチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート3モ
ルとトリメチロールプロパン1モルとの反応生成物、ヘ
キサメチレンジイソシアネート3モルとのビューレット
付加化合物、トリレンジイソシアネート5モルのイソシ
アヌレート化合物、トリレンジイソシアネート3モルと
ヘキサメチレンジイソシアネート2モルのイソシアヌレ
ート付加化合物、イソホロンジイソシアネートおよびジ
フェニルメタンジイソシアネートのポリマーを挙げるこ
とができる。 【0025】磁性層に含まれるポリイソシアネート化合
物は、結合剤中に10〜50重量%の範囲で含有されて
いることが好ましく、更に好ましくは20〜40重量%
の範囲である。また、電子線照射による硬化処理を行う
場合には、ウレタンアクリレート等のような反応性二重
結合を有する化合物を使用することができる。樹脂成分
と硬化剤との合計(すなわち結合剤)の重量は、強磁性
粉末100重量部に対して、通常15〜40重量部の範
囲内にあることが好ましく、更に好ましくは20〜30
重量部である。 【0026】上層には、公知の結合剤を併用することも
できる。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポ
リエーテル、ポリオレフィン等のポリオールを用いた公
知のポリウレタン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルア
ルコール、塩化ビニリデン、アクリロニトリル等を共重
合させたポリビニル系等を併用することができる。 【0027】[表面突起数]本発明の磁気記録媒体の最上
層に位置する磁性層は、その表面に高さ10〜20nm
の表面突起を5〜1000個/100μm2有する。更
に好ましくは高さ10〜20nmの表面突起数は5〜2
00個/μm2である。高さ10〜20nmの表面突起
個数が100μm2当たり5個未満であると、走行時の
摩擦係数が高くなり走行耐久性が低下し、1000個よ
り多いと、電磁変換特性が低下する。尚、高さ20nm
を超える表面突起が多数存在すると、ヘッドとのスペー
シングロスが大きくなるため、電磁変換特性が低下す
る。よって、最上層に位置する磁性層に存在する高さ2
0nmを超える表面突起が少ないことが好ましい。ま
た、更に電磁変換特性を向上させるためには、高さ10
nnm未満の表面突起も少ないことが好ましい。 【0028】最上層に位置する磁性層の表面突起は、最
上層に含有される磁性体、研磨剤、カーボンブラック、
その下層に含有される磁性体又は非磁性体、研磨剤、カ
ーボンブラック等の無機粉体の粒子サイズ、それらを分
散する結合剤や潤滑剤の種類、上層液、下層液を調製す
るときの混練条件、分散条件、塗布層厚み、塗布乾燥条
件、カレンダー条件等によってコントロールすることが
できる。具体的には、混練条件は、上層塗布液調製時の
混練固形分濃度を75〜95重量%とすることが好まし
い。上記範囲内であると分散性が良好であり、最上層の
磁性層には微小表面突起数が少なく高い平滑性が得られ
る。また、下層塗布液調製時の混練固形分濃度は、65
〜85重量%とすることが好ましい。上記範囲内である
と分散性が良好であり、下層と上層との界面に存在する
微小突起が少なく、その結果、最上層に磁性層に存在す
る微小突起数を低減することができる。分散は、ボール
ミル、サンドグラインダー、アトライター等の分散機を
用い、分散可能な範囲で塗布液の粘度(固形分濃度)を
高くして分散シェアーを上げることが好ましい。分散シ
ェアーを上げることで、塗布液の分散性を高めることが
できる。カレンダー処理条件は、ロール温度を60〜1
00℃、好ましくは70〜90℃、線圧を980〜49
00N/cm、好ましくは1960〜4412N/cm
として行うことが好ましい。上記条件でカレンダー処理
を行うことにより、表面平滑性に優れた塗膜を得ること
ができる。尚、処理ロールは、後述するようにエポキ
シ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐
熱性プラスチックロールが用いられ、金属ロールである
ことが好ましい。以上のように、最上層に位置する磁性
層表面の突起数をコントロールするためには様々な方法
があり、本発明の磁気記録媒体で定義する表面状態を得
るために、これらの手法を適宜組み合わせて用いること
ができる。 【0029】本発明の磁気記録媒体の表面突起は、原子
間力顕微鏡(AFM)を用いて測定する。具体的には、Digit
al Instrument社NanoscopeIII(原子間力顕微鏡(AFM))
を用い、稜角70°の四角錐のSiN探針を使って10
μm平方(100μm2)中の微小突起高さ10〜20
nmまで5nm毎に突起数を測定する。 【0030】[強磁性粉末]本発明の磁気記録媒体に使用
される強磁性粉末は、コバルト含有強磁性酸化鉄又は強
磁性合金粉末でSBET比表面積が40〜80m2/g 、
好ましくは50〜70m2/g であることが適当であ
る。結晶子サイズは12〜25nm、好ましくは13〜
22nmであり、特に好ましくは14〜20nmである
ことが適当である。長軸長は0.05〜0.25μmで
あり、好ましくは0.07〜0.2μmであり、特に好
ましくは0.08〜0.15μmであることが適当であ
る。強磁性粉末としては、イットリウムを含むFe、F
e−Co、Fe−Ni、Co−Ni−Feが挙げられ、
強磁性粉末中のイットリウム含有量は、鉄原子に対して
イットリウム原子の比、Y/Feが0.5原子%〜20
原子%が好ましく、更に好ましくは、5〜10原子%で
あることが適当である。0.5原子%以上であると、強
磁性粉末の高σS化が可能となり磁気特性が向上し、良
好な電磁変換特性を得ることができる。20原子%以下
であると、鉄の含有量が適当であり磁気特性が良好であ
り、電磁変換特性が向上する。更に、鉄100原子%に
対して20原子%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ
素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロ
ム、マンガン、銅、亜鉛、モリブデン、ロジウム、パラ
ジウム、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタ
ル、タングステン、レニウム、金、鉛、リン、ランタ
ン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビス
マス等を含むことができる。また、強磁性金属粉末が少
量の水、水酸化物または酸化物を含むものなどであって
もよい。 【0031】本発明の、コバルト、イットリウムを導入
した強磁性粉末の製造方法の一例を示す。第一鉄塩とア
ルカリを混合した水性懸濁液に、酸化性気体を吹き込む
ことによって得られるオキシ水酸化鉄を出発原料とする
例を挙げることができる。このオキシ水酸化鉄の種類と
しては、α−FeOOHが好ましく、その製法として
は、第一鉄塩を水酸化アルカリで中和してFe(OH)
2の水性懸濁液とし、この懸濁液に酸化性ガスを吹き込
んで針状のα−FeOOHとする第一の製法がある。一
方、第一鉄塩を炭酸アルカリで中和してFeCO3の水
性懸濁液とし、この懸濁液に酸化性気体を吹き込んで紡
錘状のα−FeOOHとする第二の製法がある。このよ
うなオキシ水酸化鉄は第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液
とを反応させて水酸化第一鉄を含有する水溶液を得て、
これを空気酸化等により酸化して得られたものであるこ
とが好ましい。この際、第一鉄塩水溶液にNi塩や、C
a塩、Ba塩、Sr塩等のアルカリ土類元素の塩、Cr
塩、Zn塩などを共存させても良く、このような塩を適
宣選択して用いることによって粒子形状(軸比)などを
調製することができる。 【0032】第一鉄塩としては、塩化第一鉄、硫酸第一
鉄等が好ましい。またアルカリとしては水酸化ナトリウ
ム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム
等が好ましい。また、共存させることができる塩として
は、塩化ニッケル、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩
化ストロンチウム、塩化クロム、塩化亜鉛等の塩化物が
好ましい。次いで、鉄にコバルトを導入する場合は、イ
ットリウムを導入する前に、硫酸コバルト、塩化コバル
ト等のコバルト化合物の水溶液を前記のオキシ水酸化鉄
のスラリーに撹拌混合する。コバルトを含有するオキシ
水酸化鉄のスラリーを調製した後、このスラリーにイッ
トリウムの化合物を含有する水溶液を添加し、撹拌混合
することによって導入することができる。 【0033】本発明の強磁性粉末には、イットリウム以
外にもネオジム、サマリウム、プラセオジウム、ランタ
ン等を導入することができる。これらは、塩化イットリ
ウム、塩化ネオジム、塩化サマリウム、塩化プラセオジ
ウム、塩化ランタン等の塩化物、硝酸ネオジム、硝酸ガ
ドリニウム等の硝酸塩などを用いて導入することがで
き、これらは、二種以上を併用しても良い。強磁性粉末
の形状に特に制限はないが、通常は針状、粒状、サイコ
ロ状、米粒状および板状のものなどが使用される。とく
に針状の強磁性粉末を使用することが好ましい。 【0034】上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末
を、通常磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエ
チルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチ
ル等の溶剤と共に混練分散して磁性塗料とする。混練分
散は通常の方法に従って行うことができる。なお、磁性
塗料中には、上記成分以外に、α−Al23、Cr23
等の研磨材、カーボンブラック等の帯電防止剤、脂肪
酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の潤滑剤、分
散材など通常使用されている添加剤あるいは充填剤を含
むものであってもよい。 【0035】[下層]次に、本発明の下層(磁性層又は非
磁性層)について説明する。本発明の下層が非磁性層で
ある場合、下層に含まれる非磁性粉末は、金属酸化物、
金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金
属硫化物等の無機質化合物から選択することができる。
無機化合物としては、例えばα化率90〜100%のα
−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダ
ム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化
珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化タングステン、
酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシ
ウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデ
ンなどを単独または組合せで使用することができる。特
に好ましいものは、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、
硫酸バリウムであり、更に好ましいものは二酸化チタン
である。これら非磁性粉末の平均粒径は0.005〜2
μmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁
性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分
布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とり
わけ好ましくは、非磁性粉末の平均粒径は0.01μm
〜0.2μmである。非磁性粉末のpHは6〜9の間が
特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m2
/g、好ましくは5〜50m2/g、更に好ましくは7
〜40m 2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは
0.01μm〜2μmが好ましい。DBPを用いた吸油
量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80
ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/10
0gであることが適当である。比重は1〜12、好まし
くは3〜6であることが適当である。形状は針状、球
状、多面体状、板状のいずれでも良い。 【0036】これらの非磁性粉末の表面には、表面処理
によってAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、Sn
2、Sb23 、ZnOが存在することが好ましい。特
に分散性に好ましいものは、Al23、SiO2、Ti
2、ZrO2であり、更に好ましいものは、Al23
SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用し
ても良いし、単独で用いることもできる。また、目的に
応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずア
ルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方
法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表
面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、
均質で密である方が一般には好ましい。 【0037】下層にカーボンブラックを混合させて公知
の効果であるRsを下げることができるとともに、所望
のマイクロビッカース硬度を得る事ができる。このため
にはゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラッ
ク、カラー用カーボンブラック、アセチレンブラック等
を用いることができる。カーボンブラックの比表面積は
100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2
/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好
ましくは30〜200ml/100gであることが適当
である。カーボンブラックの平均粒径は5〜80nm
(mμ)、好まし<10〜50nm(mμ)、更に好ま
しくは10〜40nm(mμ)であることが適当であ
る。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.
1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好まし
い。本発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例
としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2
000、1300、1000、900、800、88
0、700、VULCAN XC−72、三菱化成工業
社製#3050B、3150B、3250B、#375
0B、#3950B、#950、#650B,#970
B、#850B、MA−600、コロンビアカーボン社
製CONDUCTEX SC、RAVEN 8800、
8000、7000、5750、5250、3500、
2100、2000、1800、1500、1255、
1250、アクゾー社製ケッチェンブラックEC等が挙
げられる。 【0038】本発明の下層が磁性層である場合、磁性粉
末としては、γ−Fe23、Co変性γ−Fe23、α
−Feを主成分とする合金、CrO2等を用いることが
できる。特に、Co変性γ−Fe23が好ましい。本発
明の下層に用いられる強磁性粉末は、上層磁性層に用い
られる強磁性粉末と同様な組成、性能を有することが好
ましい。ただし、目的に応じて、上下層で性能を変化さ
せることは公知の通りである。例えば、長波長記録特性
を向上させるためには、下層磁性層のHcは上層磁性層
のそれより低く設定することが望ましく、また、下層磁
性層のBrを上層磁性層のそれより高くする事が有効で
ある。それ以外にも、公知の重層構成を採る事による利
点を付与させることができる。 【0039】下層磁性層または下層非磁性層の結合剤、
潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は磁性
層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加
剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公
知技術が適用できる。 【0040】以上の材料により調製した磁性塗料又は非
磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して下層を形成する。
本発明に用いることのできる非磁性支持体としては二軸
延伸を行ったポリエチレンナフタレート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド
イミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール
等の公知のものが使用できる。好ましくはポリエチレン
ナフタレート、芳香族ポリアミドが挙げられる。これら
の非磁性支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処
理、易接着処理、熱処理等を行っても良い。また本発明
に用いることのできる非磁性支持体は、中心線平均表面
粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.1〜20
nm、好ましくは1〜10nmの範囲という優れた平滑
性を有する表面であることが好ましい。また、これらの
非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでな
く、1μ以上の粗大突起がないことが好ましい。 【0041】[層構成]本発明磁気記録媒体は、非磁性支
持体上に下層(非磁性層又は磁性層)及び少なくとも一
層の磁性層を有する重層構成である。最上層磁性層と少
なくともそれに隣接する上層磁性層とを同時重層塗布す
ることにより、最上層磁性層に含まれる本発明の結合剤
がマイグレーション等により上層磁性層に拡散し、実質
的に最上層磁性層以外の上層磁性層にも本発明の結合剤
が含まれることになる。この効果は、特に上層磁性層と
して薄層磁性層を用いた場合に顕著である。上層磁性層
が単層の場合、その厚さは0.05〜1.0μm、好ま
しくは0.05〜0.5μmであることが適当である。
最上層磁性層の厚さが上記範囲内であると、平滑性及び
力学強度の高い磁性層を得ることができる。また、上層
磁性層が複数の磁性層からなる場合、最上層に位置する
磁性層の厚さは0.05〜1.0μm、好ましくは0.
05〜0.5μmであることが適当であり、上層磁性層
全体の厚さは1.0〜2.5μm、好ましくは1.0〜
1.5μmであることが適当である。磁性層の層構成が
前記範囲であることにより、平滑性及び力学強度の高い
磁性層を得ることができる。 【0042】本発明の磁気記録媒体の製造方法は例え
ば、走行下にある非磁性支持体の表面に下層用の塗布液
を塗布した後に、あるいは同時に磁性塗料を塗布し、磁
性層の乾燥後の層厚が上記好ましい磁性層厚になるよう
に塗布し、下層の乾燥後の厚さが1.0〜2.0μmと
なるように、より好ましくは1.0〜1.5μmとなる
ように塗布することが適当である。 【0043】上記磁性塗料を塗布する塗布機としては、
エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコー
ト、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、トランスファ
ーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャス
トコート、スプレイコート、スピンコート等が利用でき
る。これらについては例えば株式会社総合技術センター
発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31
日)を参考にすることができる。 【0044】本発明の磁気記録媒体を塗布する装置、方
法の例として以下のものを提案できる。 (1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、
ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置に
より、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに
特公平1−46186号公報、特開昭60−23817
9号公報、特開平2−265672号公報等に開示され
ているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置
により、上層を塗布する。 (2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17
971号公報、特開平2−265672号公報に開示さ
れているような塗布液通液スリットを2個有する一つの
塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。 (3)特開平2−174965号公報に開示されている
ようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗
布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。 【0045】本発明で用いる非磁性支持体の磁性塗料が
塗布されていない面にバック層(バッキング層)が設け
られていてもよい。通常バック層は、非磁性支持体の磁
性塗料が塗布されていない面に、研磨材、帯電防止剤な
どの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバック層
形成塗料を塗布して設けられた層である。なお、非磁性
支持体の磁性塗料及びバックコート層形成塗料の塗布面
に接着剤層が設けられていてもよい。塗布された磁性塗
料の塗布層は、磁性塗料の塗布層中に含まれる強磁性粉
末を磁場配向処理を施した後に乾燥される。 【0046】このようにして乾燥された後、塗布層に表
面平滑化処理を施すことが好ましい。表面平滑化処理に
は、たとえばスーパーカレンダーロールなどが利用され
る。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の
除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末
の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録
媒体を得ることができる。カレンダー処理ロールとして
はエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミ
ド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属
ロールで処理することもできる。好ましくは金属ロール
で処理することが適当である。 【0047】本発明の磁気記録媒体は、磁性層の表面の
中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて
0.1〜4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極
めて優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。
その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉
末と結合剤を選んで形成した磁性層を上記カレンダー処
理を施すことにより行われる。得られた磁気記録媒体
は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用
することができる。 【0048】 【実施例】以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を
更に詳細に説明する。実施例中の「部」の表示は「重量
部」を示す。 [ポリウレタン合成例]表1に示したジオール成分を還流
式冷却器、撹拌機を具備し、予め窒素置換した容器にシ
クロヘキサノン30%溶液に窒素気流下60℃で溶解し
た。次いで触媒として、ジブチルスズジラウレート60
ppmを加え更に15分間溶解した。更に表1に示した
MDIを加え90℃にて6時間加熱反応し、ポリウレタ
ン樹脂溶液Aを得た。ポリウレタンAと同様の方法で表
1に示した原料及び組成比でポリウレタンB−Hを得
た。得られたポリウレタンの分子量及びTgを表1に示
した。 【0049】〔実施例1〕強磁性合金粉末(組成:Fe
89atm%、Co 5atm%、Y 6atm%、
Hc 159kA/m(2000Oe)、結晶子サイズ
15nm、BET比表面積 59m2/g、長軸径 0.
12μm、針状比 7、σS150A・m2/kg(150
emu/g))100部 をオープンニーダーで10分間
粉砕し、次いでポリウレタン溶液Hを10部(固形分)
加え、更にシクロヘキサノン30部を加えて60分間混
練した。次いで 研磨剤(Al23、粒子サイズ 0.3μm) 2部 カーボンブラック(粒子サイズ 40μm) 2部 メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ポリイソシアネート 5部(固形分) (日本ポリウレタン製コロネート3041) ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、更に20分間撹拌混合したあと、1μmの平均
孔径を有するフィルターを用いて濾過し、上層用磁性塗
料を調製した。 【0050】α−Fe23(平均粒径0.15μm、S
BET52m2/g、表面処理Al23、SiO2、pH
6.5〜8.0)100部 をオープンニーダーで10
分間粉砕し、次いで塩ビ/酢ビ/グリシジルメタクリレ
ート=86/9/5の共重合体にヒドロキシエチルスル
フォネートナトリウム塩を付加した化合物(SO3Na=
6×10-5eq/g、エポキシ=10-3eq/g、MW
30,000)7.5部及びポリウレタンH10部(固
形分)を加え、更にシクロヘキサノン30部を加えて6
0分間混練した。次いで メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 200部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ポリイソシアネート 5部(固形分) (日本ポリウレタン製コロネート3041) ブチルステアレート 2部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 50部 を加え、更に20分間撹拌混合したあと、1μmの平均
孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用塗料を
調製した。次いで接着層としてスルホン酸含有ポリエス
テル樹脂を乾燥後の厚さが0.1μmになるようにコイ
ルバーを用いて厚さ4μmのアラミド支持体の表面に塗
布した。次いで得られた下層用塗料を1.5μmに、更
にその直後に上層磁性塗料を乾燥後の厚さが0.05μ
mになるように、リバースロールを用いて同時重層塗布
した。磁性塗料塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が
未乾燥の状態で0.5T(5000ガウス)のCo磁石
と0.4T(4000ガウス)のソレノイド磁石で磁場
配向を行い、塗布したものを金属ロール−金属ロール−
金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金
属ロールの組み合せによるカレンダー処理を速度100
m/min、線圧2942N/cm、温度90℃で行っ
た後3.8mm幅にスリットした。 【0051】(実施例2−5及び比較例1−4)上層用
ポリウレタン、下層用ポリウレタン、塗膜厚みを表2に
示したように変更して、実施例1と同様の方法で作成し
た。 【0052】(実施例6)下層液のα−Fe23(平均
粒径0.15μm、SBET52m2/g、表面処理Al2
3、SiO2、pH6.5−8.0)を酸化チタン(平
均粒径0.035μm、結晶型ルチル、TiO2含有量
90%以上、表面処理層アルミナ、SBET35−42m2
/g、真比重4.1、pH6.5−8.0)とした以外
は、実施例2と同様に作成した。 【0053】測定方法 (1)ポリウレタンのTg エーアンドディ社製動的粘弾性測定装置レオバイブロン
を用いて周波数110Hz、昇温速度2℃/minで測定
し、損失弾性率のピーク温度をから求めた。 (2)ポリウレタンの重量平均分子量 東ソー製高速GPC HLC8020を用いてTHF溶
媒、流速1cc/min、検出器RIの条件で測定し、
標準ポリスチレン換算で求めた。 (3)微小突起数 Digital Instrument社製NanoscopeIII(AFM:原子
間力顕微鏡)を用い、稜角70#の四角錐のSiN探針
を使って10μm平方(100μm2)中の微小突起高
さ20nmまで5nm毎に突起数を測定した。 (4)電磁変換特性 DDS4ドライブにて4.7MHzの単一周波数信号を
最適記録電流で記録し、その再生出力を測定した。比較
例1の再生出力を0dBとした相対値で示した。 (5)繰り返し摩擦係数上昇 50℃20%RH環境下で磁性層面をDDS4ドライブ
に使用されているガイドポールに接触させて荷重20g
(T1)をかけ、8mm/secになるように張力(T
2)をかけ引っ張りT2/T1よりガイドポールに対す
る磁性面の摩擦係数を測定した。測定は繰り返し100
パスまで行い、1パス目の摩擦係数を1としたときの1
000パス目の摩擦係数を求めた。 (6)塗膜ダメージ (5)の測定後試料の磁性層表面を微分干渉光学顕微鏡
で観察し、以下のランクで評価した。 優秀:キズが全くみられない。 良好:キスが見られるが、キズのない部分の方が多い。 不良:キズのない部分よりもキズがある部分の方が多
い。 【0054】 【表1】 【0055】 【表2】【0056】評価結果 ガラス転移温度が100〜200℃の範囲のポリウレタ
ンを最上層の磁性層に用い、最上層の磁性層に存在する
高さ10〜20nmの表面突起数が5〜1000個/1
00μm2の範囲内である実施例1〜6は、電磁変換特
性が高く、繰り返し摩擦係数の上昇が少なく、塗膜ダメ
ージもなく走行耐久性が良好であった。本発明の範囲を
超えるTgのポリウレタンを最上層の磁性層に用い、か
つ最上層の磁性層に存在する高さ10〜20nmの表面
突起数が本発明の範囲を超える比較例1は、実施例と比
べ電磁変換特性に劣っていた。最上層磁性層に存在する
高さ10〜20nmの表面突起数は本発明の範囲内であ
るが、本発明の範囲より低いTgのポリウレタンを最上
層磁性層に用いた比較例2及び3は、電磁変換特性は良
好であったが、繰り返し走行により摩擦係数が大きく上
昇し、繰り返し走行後の塗膜ダメージも多く、走行耐久
性に劣っていた。最上層の磁性層に含まれるポリウレタ
ンのTgは本発明の範囲内であるが、最上層の磁性層に
存在する高さ10〜20nmの表面突起数が本発明の範
囲を超える比較例4は、実施例と比べ電磁変換特性に劣
り、また繰り返し走行後、塗膜表面にキズが見られた。 【0057】 【発明の効果】本発明により、電磁変換特性が高く、繰
り返し走行後の塗膜ダメージが少なく走行耐久性に優れ
た磁気記録媒体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 DG001 DG111 DG121 DG131 DG261 HA066 HA216 KA08 MA13 MA14 NA11 NA17 PB11 PC08 5D006 BA02 BA04 BA10 BA15 BA19

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】非磁性支持体上に磁性粉末又は非磁性粉末
    及び結合剤を含む下層並びに強磁性粉末及び結合剤を含
    む少なくとも一層の上層磁性層をこの順に有する磁気記
    録媒体であって、 前記上層磁性層の中の、少なくとも最上層に位置する磁
    性層は、ガラス転移温度が100〜200℃の範囲であ
    るポリウレタン樹脂を含む結合剤を含み、かつ最上層に
    位置する磁性層は、その表面に高さ10〜20nmの表
    面突起を5〜1000個/100μm2有することを特
    徴とする磁気記録媒体。
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