JP2003114359A - 光ファイバリボンの加工方法、積層光ファイバリボン、および、光ファイバアレイの製造方法 - Google Patents

光ファイバリボンの加工方法、積層光ファイバリボン、および、光ファイバアレイの製造方法

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JP2003114359A
JP2003114359A JP2001268089A JP2001268089A JP2003114359A JP 2003114359 A JP2003114359 A JP 2003114359A JP 2001268089 A JP2001268089 A JP 2001268089A JP 2001268089 A JP2001268089 A JP 2001268089A JP 2003114359 A JP2003114359 A JP 2003114359A
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fiber ribbon
resin layer
coating resin
ribbon
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Kotaro Hayashi
康太郎 林
Naoaki Fujii
直明 藤井
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Ibiden Co Ltd
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    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B6/00Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings
    • G02B6/44Mechanical structures for providing tensile strength and external protection for fibres, e.g. optical transmission cables
    • G02B6/4401Optical cables
    • G02B6/4403Optical cables with ribbon structure

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  • Optics & Photonics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバが高密度で並列に配置されるとと
もに、隣合う光ファイバ同士の距離が短いため、光ファ
イバの軸方向がバラツキにくく、その取り扱いが容易な
積層光ファイバリボンを提供する。 【解決手段】 一端部の被覆樹脂層が除去され、光ファ
イバの一部が露出した第一の光ファイバリボンと、両端
部以外の一部の被覆樹脂層が除去され、光ファイバの一
部が露出した第二の光ファイバリボンとが積み重ねら
れ、上記第二の光ファイバリボンの露出した光ファイバ
間に、上記第一の光ファイバリボンの露出した光ファイ
バが配置されている積層光ファイバリボン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバリボン
の加工方法、積層光ファイバリボン、および、該積層光
ファイバリボンを用いた光ファイバアレイの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信分野を中心として光ファイバ
に注目が集まっている。特にIT(情報技術)分野にお
いては、高速インターネット網の整備に、光ファイバを
用いた通信技術が必要となる。光ファイバは、低損
失、高帯域、細径・軽量、無誘導、省資源等の
特徴を有しており、この特徴を有する光ファイバを用い
た通信システムでは、従来のメタリックケーブルを用い
た通信システムに比べ、中継器数を大幅に削減すること
ができ、建設、保守が容易になり、通信システムの経済
化、高信頼性化を図ることができる。
【0003】また、光ファイバでは、一つの波長の光だ
けでなく、多くの異なる波長の光を1本の光ファイバで
同時に多重伝送することができるため、多様な用途に対
応可能な大容量の伝送路を実現することができ、映像サ
ービス等にも対応することができるという大きな利点を
有する。
【0004】また、光ファイバを用いた光通信において
は、複数の光ファイバが並列に配置され、その周囲に被
覆樹脂層が形成された光ファイバリボンが用いられてい
る。そして、この光ファイバリボンを、受光素子や発光
素子、各種端末機器(パソコン、モバイル、ゲーム等)
と接続するには、通常、光ファイバリボンの端部の被覆
樹脂層を除去することにより、複数の光ファイバの端部
を露出させ、この露出した光ファイバをV溝を有する基
板の溝に載置、固定することにより複数の光ファイバが
所定の間隔で離間して配置された光ファイバアレイが用
いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、光ファイ
バを基板上に固定し、光ファイバアレイとするには、光
ファイバリボンの端部の被覆樹脂層を除去し、光ファイ
バを露出させなければならなかった。従来、光ファイバ
リボンの被覆樹脂層の一部を除去する方法としては、工
具を用いて機械的に除去する方法や、有機溶剤等を用い
て被覆樹脂層を溶解することにより化学的に除去する方
法等が用いられていた。
【0006】しかしながら、機械的に被覆樹脂層を除去
する方法では、その精度を数μm程度に制御することは
容易なことではなく、また、被覆樹脂層を除去する際に
加わる機械的衝撃により光ファイバに傷を付けてしまう
ことがあった。また、有機溶剤等を用いて被覆樹脂層を
化学的に除去する方法では、その処理にある程度の時間
を要するため、加工の高速化を図ることが難しく、ま
た、光ファイバや、周辺の除去の対象でない被覆樹脂層
に有機溶剤が拡散浸透し、これらの部分を化学的に侵食
することがあった。
【0007】また、光ファイバリボンとしては、例え
ば、図1に部分斜視図で示すような、コア11とクラッ
ド12とからなる5本の光ファイバ10が、それぞれ一
次被覆樹脂層13により被覆され、その周囲に、一次被
覆樹脂層13で被覆された5本の光ファイバ10を一括
して被覆する二次被覆樹脂層14が形成されたものが用
いられている。
【0008】このような光ファイバリボンにおいては、
光ファイバを保護するために、一次被覆樹脂層および二
次被覆樹脂層の二層の被覆樹脂層が形成されており、光
ファイバを確実に保護するためには、被覆樹脂層にある
程度の厚さが必要であった。具体的には、例えば、クラ
ッド径が125μmの一般的な光ファイバリボンでは、
通常、隣合うクラッド同士の外縁部の最短距離(以下、
クラッド間隔という)が250μm程度であり、この場
合、隣合う光ファイバ同士の間に存在する被覆樹脂層の
合計厚さは250μmであった。
【0009】このように、光ファイバリボンにおいて
は、その強度等を考慮した場合、光ファイバ同士の間隔
をあまり近づけることができず、そのため、この光ファ
イバリボンをV溝基板に載置、固定し、光ファイバアレ
イを作製する場合にも、基板に形成するV溝の間隔を余
り狭くすることができず、光ファイバアレイの小型化を
図ることが難しかった。
【0010】また、光ファイバリボンをV溝基板に載
置、固定する際には、上述したように光ファイバリボン
の端部の被覆樹脂層を除去し、光ファイバを露出させる
必要があり、通常、被覆樹脂層の剥離は、被覆樹脂剥離
装置等を用いて機械的に行っているが、このような被覆
樹脂剥離装置を用いて被覆樹脂層を剥離する方法は、剥
離に時間がかかるという点で作業性におとり、また、こ
の方法では作業時に光ファイバの表面に傷が付くことが
あった。
【0011】また、光ファイバの周囲の被覆樹脂層を剥
離した場合、隣合う光ファイバ同士の間には隙間ができ
るため、光ファイバをV溝基板の溝に収納させる際に、
光ファイバの軸方向にバラツキが生じやすく、精度良く
配列させるには時間がかかることとなった。また、光フ
ァイバをV溝基板に収納する場合には、光ファイバを蓋
基板で押えながら収納することがあり、この場合、光フ
ァイバの軸方向にバラツキが生じていると、蓋基板で押
えられた光ファイバに余分な力が加わることがあった。
特に、光ファイバリボンを2段に積み重ねた積層光ファ
イバリボンでは光ファイバの本数が多く、また、高さの
異なる光ファイバを基板の溝(すなわち、同一平面に形
成された溝)に収納するため光ファイバに余分な力が加
わりやすかった。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記した種々の課題を解決するための手段について、そ
れぞれ鋭意検討し、その結果、光ファイバリボンの被覆
樹脂層の一部を除去する場合には、レーザ光を照射する
ことにより、光ファイバを傷付けることなく、被覆樹脂
層のみを迅速かつ正確に除去することができることを見
出し、本発明の光ファイバリボンの加工方法を完成し
た。
【0013】また、本発明者らは、その一端部の被覆樹
脂層が除去され光ファイバが露出した光ファイバリボン
と、その両端部以外の一部の被覆樹脂層が除去され光フ
ァイバが露出した光ファイバリボンとを積み重ね、積み
重ねられた光ファイバリボンの露出した光ファイバを交
互に配置することにより、光ファイバを高密度に配列さ
せることができること、および、この積み重ねられた光
ファイバリボンのうち、両端部以外の一部の被覆樹脂層
が除去された光ファイバリボンでは、隣合う光ファイバ
同士の間に隙間があっても、その端部が固定されている
ため、光ファイバの軸方向のバラツキが発生しにくく、
この端部が固定された光ファイバの間に一端部の被覆樹
脂層が剥離された光ファイバを配置した際には、この光
ファイバ(一端部の剥離された光ファイバ)もその軸方
向にバラツキが発生しにくく、V溝基板に収納する際に
その整列が容易であり、また、光ファイバ収納時に光フ
ァイバに余分な力が加わりにくいことを見出し、本発明
の積層光ファイバリボンを完成した。
【0014】さらに、本発明者らは、光ファイバアレイ
を製造する際に、積層光ファイバリボンを用いることに
より、基板上に狭い間隔で光ファイバを配列させること
ができ、その結果、光ファイバが高密度で並べられ、か
つ、小型の光ファイバアレイを容易に製造することがで
きることに加え、上述した積層光ファイバリボンを用い
て光ファイバアレイを製造する場合には、光ファイバの
軸方向のバラツキが少ないため、光ファイバの位置ズレ
が少なく、また、光ファイバに余分な力が加わることが
なく、さらに、光ファイバの基板への載置、固定が容易
であるため、製造時間を短縮することができることを見
出し、本発明の光ファイバアレイの製造方法を完成し
た。
【0015】すなわち、本発明の光ファイバリボンの加
工方法は、複数の光ファイバが並列に配置されるととも
に上記複数の光ファイバの周囲を覆うように少なくとも
一層の被覆樹脂層が形成された光ファイバリボンの上記
被覆樹脂層の一部を除去する方法であって、上記被覆樹
脂層にレーザ光を照射することにより、上記被覆樹脂層
の一部を除去することを特徴とする。
【0016】上記光ファイバリボンの加工方法において
は、上記光ファイバリボンの主面に垂直な一の方向から
レーザ光を照射した後、上記光ファイバリボンの主面に
垂直な一の方向と反対の方向からレーザ光を照射するこ
とが望ましい。また、上記レーザ光の照射は、CO
ーザを用いて行うことが望ましい。
【0017】また、本発明の積層光ファイバリボンは、
複数の光ファイバが並列に配置されるとともに上記複数
の光ファイバの周囲を覆うように少なくとも一層の被覆
樹脂層が形成された光ファイバリボンであって、上記被
覆樹脂層の一端部が除去され、光ファイバの一部が露出
した第一の光ファイバリボンと、複数の光ファイバが並
列に配置されるとともに上記複数の光ファイバの周囲を
覆うように少なくとも一層の被覆樹脂層が形成された光
ファイバリボンであって、上記被覆樹脂層の両端部以外
の一部が除去され、光ファイバの一部が露出した第二の
光ファイバリボンとが積み重ねられ、上記第二の光ファ
イバリボンの露出した光ファイバ間に、上記第一の光フ
ァイバリボンの露出した光ファイバが配置されているこ
とを特徴とする。
【0018】上記積層光ファイバリボンにおいて、上記
第一の光ファイバリボンおよび/または上記第二の光フ
ァイバリボンは、本発明の光ファイバリボンの加工方法
を用いて被覆樹脂層が除去されたものであることが望ま
しい。
【0019】また、本発明の光ファイバアレイの製造方
法は、基板上の一部に複数の溝が形成され、上記溝に、
光ファイバが収納された光ファイバアレイの製造方法で
あって、少なくとも下記(A)〜(C)の工程を行うこ
とを特徴とする。 (A)基板に複数の溝を形成する溝形成工程、(B)上
記溝に、第一および第二の光ファイバリボンが積み重ね
られた本発明の積層光ファイバリボンの露出した光ファ
イバを収納した後、固定する積層光ファイバリボン収納
工程、ならびに、(C)上記第二の光ファイバリボンの
一端部の被覆樹脂層および上記被覆樹脂層に覆われた光
ファイバを切断除去する光ファイバリボン切断工程。
【0020】
【発明の実施の形態】まず、本発明の光ファイバリボン
の加工方法について説明する。本発明の光ファイバリボ
ンの加工方法は、複数の光ファイバが並列に配置される
とともに上記複数の光ファイバの周囲を覆うように少な
くとも一層の被覆樹脂層が形成された光ファイバリボン
の上記被覆樹脂層の一部を除去する方法であって、上記
被覆樹脂層にレーザ光を照射することにより、上記被覆
樹脂層の一部を除去することを特徴とする。
【0021】本発明の光ファイバリボンの加工方法で
は、レーザ光を照射することにより被覆樹脂層の一部の
除去を行っており、この方法では、工具を用いて機械的
に被覆樹脂層を除去する場合のように光ファイバを傷つ
けてしまうことがなく、また、化学的に被覆樹脂層を除
去する場合のように除去の対象でない被覆樹脂層を侵食
してしまうこともないため、除去の対象となる被覆樹脂
層のみを確実に除去することができる。加えて、本発明
の加工方法では、レーザ光の種類や照射条件等を調整す
ることにより、加工時間を短縮することができるため、
加工の高速化を図ることができる。
【0022】まず、本発明において加工の対象となる光
ファイバリボンについて図面を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の加工方法において加工の対象と
なる光ファイバリボンの一例を模式的に示す部分斜視図
であり、(b)は、本発明の加工方法により被覆樹脂層
の一部を除去し、光ファイバの一部を露出させた光ファ
イバリボンの一例を模式的に示す部分斜視図である。な
お、図1(a)、(b)は、光ファイバリボンの一端部
のみを示している。
【0023】図1(a)に示すように光ファイバリボン
100は、コア11とクラッド12とからなる光ファイ
バ10の周囲に一次被覆樹脂層13が形成されており、
この被覆樹脂層13で被覆された5本の光ファイバ10
が並列に配置された状態で二次被覆樹脂層14により固
定されている。なお、本発明の加工の対象である光ファ
イバリボンにおいて、並列に配置された光ファイバの本
数は、5本に限定されるわけではなく、4本以下であっ
てもよいし、6本以上であってもよい。
【0024】本発明の加工方法において、除去の対象と
なる被覆樹脂層は、一次被覆樹脂層13および二次被覆
樹脂層14の一部であり、本発明の加工方法を用いて上
記被覆樹脂層の一部を除去することにより、図1(b)
に示すように、光ファイバリボン100は、その一部の
光ファイバ10が露出した状態となる。
【0025】このような光ファイバリボンとしては特に
限定されず、従来公知のものを使用することができる。
上記光ファイバリボンを構成する光ファイバとしては、
例えば、石英ガラス(SiO)を主成分とする石英系
光ファイバ、ソーダ石灰、ガラス、ホウ硅ガラス等を主
成分とする多成分系光ファイバ、シリコーン樹脂やアク
リル樹脂等のプラスチックを主成分とするプラスチック
系光ファイバ等が挙げられる。これらのなかでは、石英
系光ファイバが望ましい。COレーザを用いてレーザ
光を照射した際により傷付きにくく、本発明の加工方法
の対象として適しているからである。
【0026】上記一次被覆樹脂層は、光ファイバが傷付
いたりすること等を防止する保護層としての役割を果た
している。また、その材料としては特に限定されず、例
えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、
フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹
脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂や、メタクリル酸やア
クリル酸等を用い、上述した熱硬化性樹脂の熱硬化基を
(メタ)アクリル化反応させた感光性樹脂等が挙げられ
る。なお、上記一次被覆樹脂層の層数は1層に限定され
ず、2層以上であってもよい。
【0027】また、上記二次被覆樹脂層は、一次被覆樹
脂層がその周囲に形成された光ファイバを保護するとと
もに、光ファイバが並列に配置された光ファイバリボン
の形態を保持する役割を果たしている。また、その材料
としては特に限定されず、上記一次被覆樹脂層の材料と
同様の熱硬化性樹脂や感光性樹脂等が挙げられる。な
お、上記二次被覆樹脂層の層数は1層に限定されず、2
層以上であってもよい。
【0028】次に、本発明の加工条件等について詳細に
説明する。本発明の加工方法では、光ファイバリボンの
被覆樹脂層に、レーザ光を照射することにより、被覆樹
脂層の一部を除去する。具体的には、例えば、光ファイ
バリボンを銅張積層板等の支持体上に水平に固定した
後、レーザ光を照射する。
【0029】ここで、レーザ光を照射する際には、ま
ず、光ファイバリボンの主面に垂直な一の方向からレー
ザ光を照射し、その後、上記光ファイバリボンの主面に
垂直な一の方向と反対の方向からレーザ光を照射するこ
とが望ましい。レーザ光を光ファイバリボンの主面に垂
直な一の方向からのみ照射すると、光ファイバの影とな
る部分の被覆樹脂層を充分に除去することができず、こ
の部分の被覆樹脂層を完全に除去するには、高出力のレ
ーザ光を長時間照射しなければならないため、光ファイ
バ表面を傷つけるおそれが高まることとなり、また、経
済的にも不利である。これに対し、上述した方法でレー
ザ光を照射する場合には、被覆樹脂層を、確実にかつ効
率よく除去することができ、さらに、除去後の被覆樹脂
層の形状、特に、被覆樹脂層の非除去部分の端面の形状
を精度よく制御することができる。
【0030】上記レーザ光の照射は、例えば、CO
ーザ、エキシマレーザ等を用いて行うことができる。こ
れらのなかでは、COレーザを用いることが望まし
い。光ファイバ(クラッド)を傷付けるおそれがより少
なく、所望の部分の被覆樹脂層のみを除去することがで
きるからである。なお、エキシマレーザを用いて石英系
光ファイバの被覆樹脂層を剥離する場合にも特に大きな
問題は発生せず、炭酸ガスレーザに比べて、ランニング
コストが安価であるが、被覆樹脂層の剥離後、光ファイ
バの表面に被覆樹脂の炭化物が残るおそれがある。
【0031】上記COレーザを用いてレーザ光を光フ
ァイバリボンに照射する場合、レーザ光は、連続的に照
射してもよいが、間欠的に照射(以下、パルス照射とい
う)することが望ましい。パルス照射する場合、連続的
に照射する場合に比べて、その出力を高くすることがで
きるため、効率よく被覆樹脂層を除去することができ、
また、被覆樹脂層を徐々に除去するため、その除去状態
を確認しながら加工を行うことができ、光ファイバ(ク
ラッド)を傷付けるおそれがさらに少ない。
【0032】このようにCOレーザを用いてレーザ光
をパルス照射する場合、そのパルス幅は、10〜100
μsであることが望ましい。パルス幅が10μs未満で
あると、被覆樹脂層を充分に除去するためにレーザ光の
照射回数を増やす必要があり、あまり効率的でなく、一
方、パルス幅が100μsを超えると、光ファイバ(ク
ラッド)を傷付けるおそれがある。
【0033】また、COレーザを用いてレーザ光を照
射する場合、その照射条件は、被覆樹脂層の材料、厚さ
等を考慮して適宜選択すればよいが、通常、その積算エ
ネルギーは、2.0〜9.0mJ/cmであることが
望ましい。積算エネルギーが2.0mJ/cm未満で
あると、被覆樹脂層を完全に除去することができない場
合があり、一方、積算エネルギーが9.0mJ/cm
を超えると、光ファイバ(クラッド)を傷付けるおそれ
がある。
【0034】また、レーザ光の照射回数は、被覆樹脂層
の材料、厚さ、および、COレーザの出力等に応じて
適宜選択すればよく、例えば、クラッド径が125μm
で、クラッド間隔が250μmの光ファイバリボンに、
上記した範囲のパルス幅および積算エネルギーでレーザ
光を照射する場合には、3〜8回程度であることが望ま
しい。上記照射回数が3回未満であると、被覆樹脂層を
完全に除去することが困難な場合があり、一方、8回を
超えると、光ファイバリボンの一の主面にレーザ光を照
射した際にほとんどの被覆樹脂層が除去され、光ファイ
バリボンの一の主面に反対の面にレーザ光を照射する前
に光ファイバがバラバラになってしまい、上記反対の面
にレーザ光を照射することが困難となることがある。
【0035】図2(a)は、このような本発明の加工方
法の一例を模式的に示す正面図であり、(b)はその側
面図である。図2(a)および(b)に示すように、本
発明の加工方法では、レーザ照射装置20を光ファイバ
リボン100の一の主面の上方に配置し、レーザ照射装
置20から光ファイバリボン100に向かって、光ファ
イバリボン100の一の主面に垂直なレーザ光21を照
射して、このレーザ光21を照射した部分の被覆樹脂層
を除去しながら、光ファイバリボン100をその幅方向
に移動させる。
【0036】また、本発明の加工方法においては、初め
に光ファイバリボン100の厚さの1/2程度の被覆樹
脂層を除去した後、光ファイバリボン100を反転して
レーザ光21を照射し、残りの被覆樹脂層を除去するこ
とが望ましい。初めに除去する被覆樹脂層が多すぎる
と、その時点で、それぞれの光ファイバ10がバラバラ
になってしまい、次に、光ファイバリボン100を反転
した後、再度、レーザ光21を照射する際に、レーザ光
21を正確に照射することが困難となることがあり、ま
た、光ファイバ10に直接照射されるレーザ光の照射量
も多くなり、光ファイバ10を傷付けるおそれがより高
まることとなるからである。
【0037】また、光ファイバリボンの幅方向への移動
は、光ファイバリボン100の厚さの1/4程度の被覆
樹脂層を除去するごとに、レーザ照射エリアの半径分行
うことが望ましい。光ファイバリボンをこのように移動
させることで、初めにレーザ光21を照射した領域と、
次にレーザ光21を照射した領域との重なっている領域
の被覆樹脂層が、光ファイバリボン100の厚さの1/
2程度除去されることとなり、かつ、このような厚さの
被覆樹脂層を、光ファイバリボン100の幅方向の全体
に渡って確実に除去することができるからである。な
お、図2(a)における右端の被覆樹脂層(初めにレー
ザ光を照射する部分)は、レーザ光の照射エリアの半径
分だけ照射し、光ファイバリボンの厚さの1/4程度の
被覆樹脂層を除去しておけばよい。
【0038】また、上述した方法で光ファイバリボンの
厚さの1/2程度の被覆樹脂層を幅方向に除去した後、
光ファイバリボン100をその軸線方向にズラし、その
厚さの1/2程度の被覆樹脂層を幅方向に除去する工程
を繰り返すことで、レーザ光21の照射径よりも広い領
域の被覆樹脂層を除去することができる。その後、光フ
ァイバリボン100を反転した後、同様に残りの被覆樹
脂層を除去することで、レーザ光21の照射径よりも広
い領域の被覆樹脂層を完全に除去することができる。
【0039】なお、この場合、先に除去した被覆樹脂層
領域と、後のレーザ光の照射領域とが重ならないよう
に、レーザ照射領域を制御することが望ましい。先に除
去した被覆樹脂層領域と、後のレーザ照射領域とが重な
ると、この重なった部分の被覆樹脂層が除去されすぎ、
光ファイバがバラバラになってしまうことがあるからで
ある。なお、レーザ照射領域の制御は、光ファイバリボ
ンの位置合わせによって行ってもよいし、マスクやレン
ズ等を介してレーザ光を照射することによって行っても
よく、また、これらを組み合わせて行ってもよい。
【0040】以上、ここでは、光ファイバリボンを移動
させながら被覆樹脂層を除去する方法について説明した
が、レーザ照射装置を移動させながら被覆樹脂層を除去
してもよい。この場合も同様に、光ファイバを傷付ける
ことなく被覆樹脂層のみを確実に除去することができる
とともに、加工の高速化を図ることができるからであ
る。また、被覆樹脂層を除去する領域の大きさや、レー
ザ光の照射径等によっては、被覆樹脂層を除去する全領
域に一度にレーザ光を照射してもよい。
【0041】また、本発明の加工方法により除去するこ
とができる被覆樹脂層の位置は光ファイバリボンの端部
に限定されず、レーザ光の照射位置を適宜選択すること
により、光ファイバリボンの端部以外の部分の被覆樹脂
層も除去することができる。
【0042】また、本発明の加工方法は、周囲に被覆樹
脂層が形成された単心の光ファイバや、周囲に被覆樹脂
層が形成された複数の光ファイバが環状に配設された光
ファイバケーブル等も加工の対象とすることができる。
なお、光ファイバケーブルは、通常、ケーブルの厚さが
厚く、材質の異なる複数の被覆樹脂層で被覆されている
ため、被覆樹脂層を剥離して光ファイバを露出させる場
合には、まず、最外層から任意の層数の被覆樹脂層を機
械加工により剥離し、その後、レーザ光を照射して光フ
ァイバに近い被覆樹脂層を剥離することにより光ファイ
バを露出させることが望ましい。
【0043】このような本発明の加工方法が施され、光
ファイバの一部が露出した光ファイバリボンは、例え
ば、光ファイバアレイを作製する際に、V溝基板に載置
する光ファイバリボンとして好適に用いることができ
る。また、本発明の加工方法は、光ファイバカプラを製
造する際の被覆樹脂層の一部を除去する工程においても
好適に用いることができる。
【0044】次に、本発明の積層光ファイバリボンにつ
いて説明する。本発明の積層光ファイバリボンは、複数
の光ファイバが並列に配置されるとともに上記複数の光
ファイバの周囲を覆うように少なくとも一層の被覆樹脂
層が形成された光ファイバリボンであって、上記被覆樹
脂層の一端部が除去され、光ファイバの一部が露出した
第一の光ファイバリボンと、複数の光ファイバが並列に
配置されるとともに上記複数の光ファイバの周囲を覆う
ように少なくとも一層の被覆樹脂層が形成された光ファ
イバリボンであって、上記被覆樹脂層の両端部以外の一
部が除去され、光ファイバの一部が露出した第二の光フ
ァイバリボンとが積み重ねられ、上記第二の光ファイバ
リボンの露出した光ファイバ間に、上記第一の光ファイ
バリボンの露出した光ファイバが配置されていることを
特徴とする積層光ファイバリボン。
【0045】本発明の積層光ファイバリボンは、第一の
光ファイバリボンおよび第二の光ファイバリボンの露出
した光ファイバが交互に配置されているため、光ファイ
バが高密度で並列に配置されている。また、上記積層光
ファイバリボンでは、両端部以外の一部の被覆樹脂層が
除去された第二の光ファイバリボンの露出した光ファイ
バの間に、一端部の被覆樹脂層が除去された第一の光フ
ァイバリボンの露出した光ファイバが配置されており、
第二の光ファイバリボンは、その端部が固定されている
ため、光ファイバの軸方向がバラツキにくく、その取り
扱いが容易である。
【0046】本発明の積層光ファイバリボンでは、第二
の光ファイバリボンの露出した光ファイバ間に、第一の
光ファイバリボンの露出した光ファイバが配置されるよ
うに両者の光ファイバリボンが積み重ねられている。こ
こでは、まず、第一および第二の光ファイバリボンのそ
れぞれについて説明する。図3(a)は、第一の光ファ
イバリボンの一例を模式的に示す部分斜視図であり、
(b)は、第二の光ファイバリボンの一例を模式的に示
す部分斜視図である。
【0047】図3(a)に示すように、第一の光ファイ
バリボン330は、複数の光ファイバ30が並列に配置
されるとともに、複数の光ファイバの30周囲を覆うよ
うに被覆樹脂層33、34が形成された光ファイバリボ
ンであって、被覆樹脂層33、34の一端部が除去さ
れ、光ファイバの一部30aが露出したものである。な
お、被覆樹脂層33は、光ファイバを保護するために、
それぞれの光ファイバの周囲に形成された一次被覆樹脂
層であり、被覆樹脂層34は、光ファイバを保護すると
ともに、光ファイバリボンの形態を保持する二次被覆樹
脂層である。また、図中、31はコア、32はクラッド
である。
【0048】上記第一の光ファイバリボンを構成する光
ファイバとしては、例えば、石英ガラス(SiO)を
主成分とする石英系光ファイバ、ソーダ石灰、ガラス、
ホウ硅ガラス等を主成分とする多成分系光ファイバ、シ
リコーン樹脂やアクリル樹脂等のプラスチックを主成分
とするプラスチック系光ファイバ等が挙げられる。
【0049】上記被覆樹脂層は、上述したように光ファ
イバを保護する役割や、光ファイバリボンの形状を保持
する役割を果たしており、その材料としては特に限定さ
れず、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタ
ン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂や、メタクリル
酸やアクリル酸等を用い、上述した熱硬化性樹脂の熱硬
化基を(メタ)アクリル化反応させた感光性樹脂等が挙
げられる。なお、上記被覆樹脂層の層数は2層に限定さ
れず、1層であってもよいし、3層以上であってもよ
い。
【0050】また、第一の光ファイバリボンおいて、並
列に配置された光ファイバの本数は特に限定されない
が、後述する第二の光ファイバリボンの光ファイバ本数
と同数か、これよりも1本多い本数や、1本少ない本数
が望ましい。この場合、光ファイバを最も高密度で配列
させることができるからである。
【0051】なお、上記第一の光ファイバリボンは、そ
の一端部で光ファイバが露出したものであれば特に限定
されず、従来公知の光ファイバリボンであって、その一
端部の被覆樹脂層が除去されたものであればよい。
【0052】上記第一の光ファイバリボンを作製する方
法、すなわち、一端部の被覆樹脂層を除去し、光ファイ
バを露出させる方法としては、例えば、ストリッパ等の
被覆樹脂剥離装置を用いて機械的に除去する方法や、有
機溶剤を用いて被覆樹脂層を溶解することにより化学的
に除去する方法等を用いることもできるが,上述した本
発明の加工方法を用いることが望ましい。上述したよう
に、光ファイバを傷付けたり、除去する部分以外の被覆
樹脂層を侵食したりすることなく、除去すべき被覆樹脂
層のみを確実に除去することができるからである。
【0053】また、図3(b)に示すように、第二の光
ファイバリボン340は、複数の光ファイバ40が並列
に配置されるとともに、複数の光ファイバ40の周囲を
覆うように被覆樹脂層43、44が形成された光ファイ
バリボンであって、被覆樹脂層43、44の両端部以外
の一部が除去され、光ファイバの一部40aが露出した
ものである。なお、図中、41はコア、42はクラッ
ド、43は一次被覆樹脂層、44は二次被覆樹脂層であ
る。
【0054】上記第二の光ファイバリボンは、被覆樹脂
層の両端部以外の一部が除去され、光ファイバの一部が
露出している点のみが、第一の光ファイバリボンと異な
っており、該第二の光ファイバリボンを構成する光ファ
イバや被覆樹脂層としては、第一の光ファイバリボンと
同様のもの等が挙げられる。上記被覆樹脂層の両端部以
外の一部を除去する方法としては、第一の光ファイバリ
ボンの一端部の被覆樹脂層を除去する場合と同様、上述
した本発明の加工方法を用いることが望ましい。
【0055】なお、上記第二の光ファイバリボンは、そ
の両端部以外の一部で光ファイバが露出したものであれ
ば特に限定されず、従来公知の光ファイバリボンであっ
て、その両端部以外の一部の被覆樹脂層が除去されたも
のであればよい。
【0056】本発明の積層光ファイバリボンは、上記し
た第一および第二の光ファイバリボンが積み重ねられ、
上記第二の光ファイバリボンの露出した光ファイバ間
に、第一の光ファイバリボンの露出した光ファイバが配
置されたものである。図4は、本発明の積層光ファイバ
リボンの一実施形態を模式的に示す部分斜視図である。
【0057】なお、図4では、第一および第二の光ファ
イバリボンとして、4本の光ファイバが並列に配置され
た光ファイバリボンを示しているが、上述したように、
それぞれの光ファイバリボンにおいて、並列に配置され
た光ファイバの本数は特に限定されるものではない。従
って、上記積層光ファイバリボンにおいて、第二の光フ
ァイバリボンの露出した光ファイバの間全部に、第一の
光ファイバリボンの露出した光ファイバが配置されてい
るとは限らない。
【0058】図4に示すように、積層光ファイバリボン
300は、その両端部以外の一部の光ファイバ40aが
露出した第二の光ファイバリボン340の露出した光フ
ァイバ40aの間に、その一端部の光ファイバ30aが
露出した第一の光ファイバリボン330の露出した光フ
ァイバ30aが配置されるように、第一の光ファイバリ
ボン330と第二の光ファイバリボン340とが積み重
ねられている。
【0059】また、積層光ファイバリボン300では、
露出した光ファイバ30a、40aが同一の高さに配置
されるように、露出した光ファイバ30a、40aは、
それぞれが、その一部で曲げられている。このように、
光ファイバ30aおよび光ファイバ40aを同一の高さ
に配置することより、光ファイバアレイの基板上に載置
するのに適した形状となる。
【0060】なお、積層光ファイバリボン300では、
第一の光ファイバリボン330の露出した光ファイバ3
0a、および、第二の光ファイバリボン340の露出し
た光ファイバ40aのそれぞれの一部が曲げられている
が、両者の光ファイバを同一の高さに配置することがで
きるのであれば、第一の光ファイバリボンの露出した光
ファイバのみが曲げられていてもよいし、第二の光ファ
イバリボンの露出した光ファイバのみが曲げられていて
もよい。
【0061】また、本発明の積層光ファイバリボンにお
いて、第一の光ファイバリボンと、第二の光ファイバリ
ボンとは、接着剤等を介して固定されていることが望ま
しい。高密度で並列に配置した光ファイバの位置ズレが
より発生しにくくなるからである。このような積層光フ
ァイバリボンは、例えば、後に詳述する本発明の光ファ
イバアレイの製造方法において、好適に用いることがで
きる。
【0062】次に、本発明の光ファイバアレイの製造方
法について説明する。本発明の光ファイバアレイの製造
方法は、基板上の一部に複数の溝が形成され、上記溝
に、光ファイバが収納された光ファイバアレイの製造方
法であって、少なくとも下記(A)〜(C)の工程を行
うことを特徴とする。 (A)基板に複数の溝を形成する溝形成工程、(B)上
記溝に、第一および第二の光ファイバリボンが積み重ね
られた本発明の積層光ファイバリボンの露出した光ファ
イバを収納した後、固定する積層光ファイバリボン収納
工程、ならびに、(C)上記第二の光ファイバリボンの
一端部の被覆樹脂層および上記被覆樹脂層に覆われた光
ファイバを切断除去する光ファイバリボン切断工程。
【0063】本発明の光ファイバアレイの製造方法で
は、上述した本発明の積層光ファイバリボンを用いて光
ファイバアレイを製造しているため、光ファイバ同士を
狭い間隔で並列に配置させることができ、光ファイバの
配線密度が高く、小型化した光ファイバアレイを製造す
ることができる。
【0064】以下、本発明の光ファイバアレイの製造方
法について工程順に説明する。 (1)本発明の製造方法では、まず、上記(A)の工
程、すなわち、基板に複数の溝を形成する溝形成工程を
行う。上記基板の材料としては特に限定されず、外形加
工を施した際の平坦性に優れ、鏡面加工を施し易く、か
つ、形状保持性に優れるものであればよい。具体的に
は、例えば、シリコン、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ア
ルミニウム、ムライト、セラミック、ガリウム砒素、ジ
ルコニア、石英、ガラス等の無機材料;銅、鉄、ニッケ
ル等の金属材料;熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性
樹脂、これらの複合体等の有機材料やこれらの有機材料
にガラス繊維等の補強材を含浸させたもの等が挙げられ
る。
【0065】これらのなかでは、熱や湿度による伸縮
(変形)が少なく、機械的強度に優れる点から無機材料
が望ましい。このような特性を有する無機材料からなる
基板では、光ファイバを収納した際に、特に、光ファイ
バの変形やうねりが発生しにくく、光ファイバを介して
光信号を伝送する際に特に不都合が発生しにくいからで
ある。
【0066】上記基板に溝を形成する方法としては、例
えば、下記(i)〜(vi)の工程を経る方法等を用いる
ことができる。図5(a)〜(f)は、基板に溝を形成
する方法の一例を示す断面図である。
【0067】(i)まず、基板51上にマスク層52
(52a、52b)を形成する(図5(a)参照)。な
お、上記マスク層の層数は、図5に示すような2層に限
定されず、1層であってもよいし、3層以上であっても
よい。
【0068】マスク層52を形成する方法としては、例
えば、スパッタリング、CVD、めっき等により薄膜を
形成する方法、熱酸化等により酸化膜を形成する方法、
これらを組み合わせた方法等を用いることができる。こ
れらのなかでは、例えば、シリコンからなる基板上にマ
スク層を形成する場合には、まず、熱酸化により酸化膜
(SiO膜)を形成し、次に、この酸化膜上に、CV
Dにより薄膜を形成する方法が望ましい。このようなマ
スク層を形成することにより、後工程で任意の部分にエ
ッチング処理を施すことにより、任意の形状のマスクを
形成することができる。
【0069】(ii)次に、マスク層52上にレジスト用
樹脂層54を形成する(図5(b)参照)。具体的に
は、予め粘度を調整しておいたレジスト用樹脂組成物を
スピンコータ、カーテンコータ、ロールコータ、印刷等
により塗布する方法や、予めフィルム状に成形しておい
たレジスト用樹脂フィルムを貼り付ける方法等を用いる
ことができる。
【0070】上記レジスト用樹脂組成物やレジスト用樹
脂フィルムとしては、例えば、樹脂成分と、必要に応じ
て配合された硬化剤、粒子、ゴム成分、添加剤、反応安
定剤、溶剤等とからなるものが挙げられる。上記樹脂成
分としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感
光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光性基で置換された
樹脂、これらの複合樹脂等が挙げられる。
【0071】具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポ
リフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等
の熱硬化性樹脂;これらの熱硬化性樹脂の熱硬化基(例
えば、エポキシ樹脂におけるエポキシ基)にメタクリル
酸やアクリル酸等を反応させ、アクリル基(感光性基)
を付与した樹脂;フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフ
ォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェ
ニレンスルホン(PPS)、ポリフェニレンサルファイ
ド(PPES)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポ
リエーテルイミド(PI)等の熱可塑性樹脂;アクリル
樹脂、紫外線硬化樹脂等の感光性樹脂等が挙げられるこ
れらのなかでは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリ
イミド樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化樹脂が望まし
い。後工程で、レジスト用樹脂層下のマスク層にエッチ
ング液を用いた処理を施す際に、該エッチング液に対す
る耐性に優れるからである。上記硬化剤としては、イミ
ダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤
等が挙げられる。
【0072】また、上記レジスト用樹脂層の厚さは10
〜50μmが望ましい。また、上記レジスト用樹脂層
は、硬化状態であってもよいし、半硬化状態であっても
よい。具体的には、例えば、後工程で露光、現像処理に
より、基板に形成する溝に相当する部分のレジスト用樹
脂層を除去する場合には、半硬化状態であることが望ま
しく、レーザ処理等により、上記溝に相当する部分のレ
ジスト用樹脂層を除去する場合には、硬化状態であって
もよいし、半硬化状態であってもよい。なお、完全に硬
化した状態や、半硬化状態のレジスト用樹脂層を形成す
る場合、硬化処理は、例えば、70〜200℃に加熱す
ることにより行うことが望ましい。また、段階的に加熱
温度を変化させるステップ硬化を行ってもよい。
【0073】(iii)次に、レジスト用樹脂層54の基
板51に形成する溝に相当する部分を除去し、エッチン
グレジスト55とする(図5(c)参照)。レジスト用
樹脂層54の除去は、例えば、露光、現像処理により行
うことができる。具体的には、例えば、半硬化状態のレ
ジスト用樹脂層上にマスクを載置した後、露光処理を施
し、その後、アルカリ溶液や有機溶剤等の薬液による現
像処理を施す。上記現像処理は、上記薬液中に上記レジ
スト用樹脂層を形成した基板を浸漬したり、上記薬液を
スプレーしたりすることにより行うことができる。ま
た、上記マスクとしては、上記レジスト用樹脂層の除去
部分に相当する部分に溝のパターンが描画されたマスク
を用いることができる。
【0074】また、レジスト用樹脂層54の除去は、レ
ーザ処理を用いて行ってもよい。上記レーザ処理に用い
るレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、エキシマ
レーザ、UVレーザ、YAGレーザ等が挙げられる。こ
れらのレーザは、上記レジスト用樹脂層の除去部分の形
状や、上記レジスト用樹脂層の組成等を考慮して使い分
ければよい。なお、この工程で形成するエッチングレジ
ストの形状を調整することにより、後工程を経て形成す
る溝の形状を調整することができる。
【0075】(iv)次に、エッチングレジスト55非形
成部に露出したマスク層52を除去し、基板51の溝を
形成する部分を露出させたマスク56を形成する(図5
(d)参照)。マスク層52の除去は、例えば、酸素プ
ラズマや窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ
処理、逆スパッタリング等のドライエッチング処理によ
り行うことができる。具体的には、例えば、真空下また
は減圧下において、マスク層に酸素プラズマを照射する
ことにより行うことができる。このようなドライエッチ
ング処理を行うことにより、エッチングレジストに損傷
や変形等を発生させることなく、選択的にレジスト非形
成部分のマスク層のみを除去することができる。
【0076】また、マスク層52の除去は、例えば、エ
ッチング液や酸溶液に、マスク層52が形成された基板
を浸漬したり、溶液中に浸漬するとともに超音波処理を
施したり、エッチング液や酸溶液をマスク層にスプレー
したりすることによっても行うことができる。具体的に
どのような除去方法を選択するかは、マスク層の材質や
厚さ等を考慮して適宜決定すればよく、例えば、マスク
層が酸化膜からなる場合には、プラズマ処理やエッチン
グ液による処理を選択し、マスク層が金属層からなる場
合には、逆スパッタリングやエッチング液による処理を
選択すればよい。
【0077】(v)次に、上記エッチングレジスト55
を剥離除去する(図5(e)参照)。エッチングレジス
ト55の剥離除去は、NaOH、KOH等のアルカリ溶
液、硫酸、酢酸、炭酸等の酸溶液、メタノール、エタノ
ール等のアルコール類、アミン類、ケトン、アセトン等
の有機溶剤等を用いて行うことができる。これにより、
基板51上に、溝を形成する部分に相当する部分が開口
したマスク56のみが形成されることとなる。
【0078】(f)次に、基板51に溝57を形成する
(図5(f)参照)。溝57は、例えば、基板51にマ
スク56を介して、エッチング液を吹き付けたり、マス
ク56が形成された基板51をエッチング液中に浸漬し
たりすることにより形成することができる。上記エッチ
ング液としては、例えば、NaOH、KOH等のアルカ
リ、硝酸、燐酸、硫酸等の酸、フッ化水素、フッ化臭素
等のフッ素系化合物、ハロゲン化物、過酸化水素水、メ
タノール、エタノール等のアルコール類等を用いること
ができる。これらのエッチング液を用いて溝を形成した
場合、溝の断面の形状は、V字状や倒立台形状、矩形
状、これらを組み合わせた形状等となる。
【0079】上記エッチング液の濃度は、10〜50重
量%が望ましい。上記濃度が、10重量%未満ではエッ
チング処理に長時間を要することがあり、一方、50重
量%を超えてもエッチング速度はほとんど変化しない。
また、上記エッチング液の温度は20〜90℃が望まし
く、エッチング速度は0.5〜5.0μm/分が望まし
い。上記エッチング液の温度が20℃未満では、充分に
エッチングできないことがあり、エッチング液の温度が
90℃を超えてもエッチング量はほとんど変わらず、作
業時の安全性が低下することとなる。
【0080】ここで、その材質がシリコンやガリウム砒
素の基板に溝を形成する場合、KOH等のアルカリ溶液
を用いたエッチング処理を行うことが望ましい。シリコ
ンやガリウム砒素からなる基板に、エッチング処理を行
う場合、エッチング面、エッチング液の種類、および、
エッチングレジスト非形成部の形状として適宜なものを
選択することにより、所望の形状の溝を形成することが
できる。
【0081】すなわち、KOHを含むエッチング液を用
いてシリコン基板をエッチングする場合、シリコン基板
の(100)面が、(111)面および(110)面に
比べて優先的にエッチングされ、それぞれの結晶面のエ
ッチング速度比がほぼ一定であるため、所望の形状の溝
を形成することができる。具体的には、シリコン基板の
(100)面にエッチング処理を施す場合には、断面の
形状がV字状や倒立台形状の溝を形成することができ、
(110)面にエッチング処理を施す場合には、断面の
形状が矩形状の溝を形成することができる。
【0082】また、KOHを含むエッチング液を用いて
ガリウム砒素基板をエッチングする場合には、(11
1)Ga面のエッチング速度が最も遅く、(111)A
s面のエッチング速度が最も速いことを利用することに
より、所望の形状の溝を形成することができる。
【0083】この工程で、エッチング処理を施す際に
は、エッチング液中に界面活性剤等を添加しておいても
よい。エッチング処理時に激しく発泡する場合には、こ
の発泡によりエッチング面に凹凸が形成されることがあ
るが、界面活性剤を添加しておくことによりエッチング
処理時の発泡を抑えることができるからである。また、
上記エッチング処理を超音波を印加しながら行ってもよ
い。超音波を印加することによっても発泡を抑えること
ができるからである。
【0084】また、基板をエッチング液中に浸漬してエ
ッチング処理を行う場合には、基板を揺動したり、エッ
チング液を攪拌したりしながらエッチング処理を行って
もよい。このような(i)〜(vi)工程を経ることによ
り、基板に所望の形状の溝を形成することができる。
【0085】また、ここでは、基材層上に樹脂層が形成
された積層体を基板とし、この積層体の樹脂層に溝を形
成してもよい。上記基材層としては、例えば、シリコ
ン、炭化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライ
ト、セラミック、ガリウム砒素、ジルコニア、石英、ガ
ラス等の無機材料;銅、鉄、ニッケル等の金属材料;熱
硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、これらの複合
体等の有機材料やこれらの有機材料にガラス繊維等の補
強材を含浸させたもの等からなるものが挙げられる。
【0086】上記樹脂層としては、例えば、熱硬化性樹
脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、および、熱硬化性樹脂
のうちの一部が感光性基で置換された樹脂のうちの少な
くとも一種を含む樹脂組成物等からなるものが挙げられ
る。上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド
樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ
素樹脂等が挙げられる。
【0087】また、上記熱可塑性樹脂としては、例え
ば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PE
S)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスル
ホン(PPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPE
S)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリエーテル
イミド(PI)等が挙げられる。上記感光性樹脂として
は、例えば、アクリル樹脂、紫外線硬化樹脂等が挙げら
れる。また、上記熱硬化性樹脂のうちの一部が感光性基
で置換された樹脂としては、上記熱硬化性樹脂の熱硬化
基に(メタ)アクリル酸等を反応させ、感光性基を付与
した樹脂等が挙げられる。
【0088】このような基材層と樹脂層とからなる積層
体に溝を形成する方法としては、例えば、露光、現像処
理や、レーザ処理等を用いることができる。具体的に
は、露光、現像処理を行う場合には、例えば、樹脂層上
に、形成する溝に対応したパターンが描画されたマスク
を載置した後、露光処理を施し、その後現像液を用いて
現像処理を施すことにより樹脂層に複数の溝を一括して
形成することができる。なお、露光、現像処理を行う場
合、露光処理前の樹脂層は半硬化状態であること望まし
く、また、現像処理後には、溝が形成された樹脂層を完
全に硬化させるために、加熱処理等を施してもよい。
【0089】また、レーザ処理を行う場合には、レーザ
としては、例えば、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、
UVレーザ、YAGレーザ等を用いることができる。上
記レーザ処理では、樹脂層の材質を問わず溝を形成する
ことができる。なお、レーザ処理を行う場合、レーザ処
理前の樹脂層は半硬化状態であってもよいし、完全に硬
化した状態であってもよい。
【0090】また、この(A)工程(溝形成工程)にお
いては、基板に溝を形成するとともに、光ファイバリボ
ンを被覆樹脂層ごと保持するための被覆樹脂層保持部を
形成することが望ましい。上記被覆樹脂層保持部の形成
方法としては特に限定されず、例えば、ダイヤモンド刃
を備えた装置を用いる方法等が挙げられる。また、上記
被覆樹脂層保持部の形成は、一回で行ってもよいし、二
回以上に分けて行ってもよい。
【0091】また、上記被覆樹脂層保持部を形成した際
に、該被覆樹脂層保持部の底面は凹凸を有することがあ
る。この場合、凹凸を平坦化するための研磨処理を行っ
てもよいが、光ファイバリボンを収納した際に光ファイ
バリボンが大きく傾いたりするほどの凹凸でなければ、
特に、研磨処理等を施すことなく、そのままにしておく
ことが望ましい。これは、上記被覆樹脂層保持部に接着
剤を塗布した場合に、アンカー効果により基板と接着剤
との密着性が向上するからである。また、ここで被覆樹
脂層保持部を形成する場合、該被覆樹脂層保持部は、保
持する光ファイバリボンの形状に追従するように、高さ
の異なる保持面が形成されていてもよい。また、基板上
に、被覆樹脂層保持部に代えて、光ファイバをその周囲
の被覆樹脂層ごと収納することができる形状の凹部を切
削加工等により形成してもよい。なお、ここでいう凹部
としては、その形状が、図6に示す被覆樹脂層保持部
(図中、58と示す)の側方外縁部に基板上面と同一の
高さか、または、これよりも低い壁面が設けられたよう
な形状のもの等が挙げられる。
【0092】(2)次に、上記(B)の工程、すなわ
ち、上記溝に、本発明の積層光ファイバリボンの露出し
た光ファイバを収納した後、固定する積層光ファイバリ
ボン収納工程を行う。ここでは、基板に形成した溝に、
上述した第一および第二の光ファイバリボンが積み重ね
られた本発明の積層光ファイバリボンの露出した光ファ
イバを収納する。ここでは、本発明の積層光ファイバリ
ボンを用いているため、露出した光ファイバが並列に配
置されており、その軸方向のバラツキが少ないため、特
に、整列器等を用いる必要がなく、それぞれの光ファイ
バを容易に対応する溝に収納することができる。
【0093】なお、上記(1)の工程において、上記
(i)〜(vi)の工程を経ることにより溝を形成した場
合には、基板上にマスクが形成されているため、本工程
で光ファイバを収納する部分は、厳密には、マスク非形
成部分と基板に設けた溝とを合わせた部分であるが、本
明細書においては、基板に溝を形成した後には、この両
者を合わせた部分を溝ということとする。
【0094】また、上記(1)の工程で、光ファイバリ
ボンを被覆樹脂層ごと保持するための被覆樹脂層保持部
を形成した場合、この工程では、溝に光ファイバを収納
するとともに、被覆樹脂層保持部に積層光ファイバリボ
ンの被覆樹脂層を保持する。また、基板上に、被覆樹脂
層保持部に代えて凹部を形成した場合には、該凹部に光
ファイバリボンを被覆樹脂層ごと収納する。
【0095】このように、積層光ファイバリボンの露出
した光ファイバを溝に収納した後、該光ファイバを固定
する。具体的には、例えば、溝の端部から接着剤を流し
込み、その後、該接着剤を硬化させることにより光ファ
イバを固定する。また、基板に被覆樹脂層保持部を形成
し、該被覆樹脂層保持部に積層光ファイバリボンを被覆
樹脂層ごと載置した場合には、該被覆樹脂層の周囲にも
接着剤を塗布し、被覆樹脂層を被覆樹脂層保持部に固定
することが望ましい。なお、光ファイバを収納する前
に、予め,溝内等に接着剤を流し込んでおき、光ファイ
バを収納した後、接着剤を硬化してもよい。
【0096】上記接着剤の硬化は、例えば、80〜25
0℃で加熱することにより行うことができる。また、感
光性樹脂を含む接着剤の硬化は、紫外線や赤外線を照射
することにより行えばよい。
【0097】上記接着剤としては、例えば、熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂、および、紫外線硬化樹脂等の感光性
樹脂のうちの少なくとも一種を含むものが挙げられる。
これらのなかでは、熱硬化性樹脂、および、紫外線硬化
樹脂等の感光性樹脂が望ましい。上記熱硬化性樹脂とし
ては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコ
ーン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられ
る。
【0098】上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビス
フェノール型エポキシ樹脂や、ノボラック型エポキシ樹
脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂
を用いることは、A型やF型の樹脂を選択することによ
り、希釈溶媒を使用しなくてもその粘度を調整すること
ができる点から望ましく、より低粘度に調整することが
できる点からビスフェノールF型エポキシ樹脂がより望
ましい。また、上記ノボラック型エポキシ樹脂を用いる
ことは、この樹脂が、高強度で耐熱性や耐薬品性に優
れ、また、熱分解しにくい点から望ましい。また、上記
ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂が望ましい。
【0099】また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂
と上記ノボラック型エポキシ樹脂とは、混合して用いる
ことが望ましい。この場合、上記ビスフェノール型エポ
キシ樹脂と上記ノボラック型エポキシ樹脂との混合比
は、1:1〜1:100であることが望ましい。この範
囲で混合することにより、粘度の上昇を押さえることが
できるからである。
【0100】上記感光性樹脂としては、例えば、フッ素
化エポキシ樹脂、フッ素化エポキシアクリレート樹脂等
の紫外線硬化樹脂が挙げられ、これらの具体例として
は、例えば、ダイキン工業社製、オプトダインUV−1
000、オプトダインUV−2000、オプトダインU
V−3000、オプトダインUV−4000等が挙げら
れる。
【0101】また、上記感光性樹脂としては、例えば、
上記熱硬化性樹脂に感光性を付与した樹脂等も挙げられ
る。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸等を用い
て、熱硬化性樹脂の熱硬化基を(メタ)アクリル化した
もの等が挙げられる。これらのなかでは、エポキシ樹脂
の(メタ)アクリレートが望ましく、一分子中に2個以
上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。
また、上記感光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂
等も挙げられる。これらの感光性樹脂は単独で用いても
よいし、2種以上併用してもよい。
【0102】上記接着剤は、必要に応じて、硬化剤、樹
脂粒子、無機粒子、金属粒子等の粒子、光沢剤、反応安
定剤、光重合剤等の添加剤を含んでいてもよい。これら
の添加剤を含むことにより、流動性の向上や硬化度の調
整等を図ることができるからである。上記硬化剤として
は特に限定されず、一般に使用される硬化剤を用いるこ
とができ、具体例としては、例えば、イミダゾール系硬
化剤、アミン系硬化剤等が挙げられる。
【0103】上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性
樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、具体的
には、例えば、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、
グアナミン樹脂)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フ
ェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、
ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド−ト
リアジン樹脂等からなるものが挙げられる。これらは単
独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、
上記樹脂粒子としては、アクリロニトリル−ブタジエン
ゴム、ポリクロロプレンゴム等のゴムからなる粒子を用
いることもできる。
【0104】上記無機粒子としては、アルミナ、水酸化
アルミニウム等のアルミニウム化合物、炭酸カルシウ
ム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸カリ
ウム等のカリウム化合物、マグネシア、ドロマイト、塩
基性炭酸マグネシウム等のマグネシウム化合物、シリ
カ、ゼオライト等のケイ素化合物等からなるものが挙げ
られる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用
してもよいまた、上記無機粒子としては、リンやリン化
合物からなるものを用いることもできる。
【0105】上記金属粒子としては、例えば、金、銀、
銅、スズ、亜鉛、ステンレス、アルミニウム、ニッケ
ル、鉄、鉛等からなるものが挙げられる。これらは単独
で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これらの
粒子を含むことにより、熱膨張係数の調整や難燃性の向
上等を図ることができる。
【0106】また、上記接着剤は、溶剤を含んでいても
よいが、溶剤を全く含まないものが望ましい。溶剤を含
まない接着剤では、硬化処理後に気泡がより発生しにく
いからである。また、溶剤を含む場合、溶剤としては、
例えば、NMP(ノルマルメチルピロリドン)、DMD
G(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、グリセ
リン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチル
セルソルブ、メチルセルソルブアセテート、メタノー
ル、エタノール、ブタノール、プロパノール等が挙げら
れる。
【0107】また、この工程で溝に収納する露出した光
ファイバの表面には、粗化面が形成されていることが望
ましい。光ファイバの表面に粗化面を形成されている場
合、基板の側面から接着剤を流し込む際に、表面張力に
よる未硬化の接着剤の流入の度合いが略均一となるた
め、確実に溝と光ファイバとの間に接着剤を流し込むこ
とができる。また、光ファイバの表面に粗化面を形成す
ることにより、光ファイバと接着剤との密着性が向上す
ることとなる。
【0108】上記粗化面の形成は、例えば、第一および
第二の光ファイバリボンを作製した後、両者を積み重ね
る前に、光ファイバの露出した部分の含む光ファイバリ
ボンの端部をフッ化物を含む粗化液等に浸漬することに
より行うことができる。
【0109】上記フッ化物を含む粗化液としては、例え
ば、HF水溶液、HF−NHF混合液、NaF水溶
液、BaF水溶液、KF水溶液、CaF水溶液、X
eF水溶液等が挙げられる。これらのなかでは、HF
を含む溶液が望ましい。光ファイバに悪影響(光ファイ
バの変形等)を及ぼすことなく、所望の平均粗度Raを
有する粗化面を短時間で形成することができるからであ
り、特に、石英系光ファイバや多成分系光ファイバの表
面に粗化面を形成するのに適している。
【0110】また、上記粗化面は、その平均粗度Raが
1〜100nmであることが望ましい。平均粗度Ra
が、1nm未満では、光ファイバと接着剤との密着性は
ほとんど向上せず、一方、平均粗度Raが100nmを
超えると、光ファイバ表面の凹凸が大きくなるため、粗
化面の断面の形状が円形状からはずれ、光ファイバの位
置ズレが発生しやすくなり、光信号の伝送に悪影響を及
ぼすことがある。より望ましい粗化面の平均粗度Ra
は、10〜50nmである。
【0111】また、上記積層光ファイバリボンの露出し
た光ファイバを収納、固定した後、露出した光ファイバ
のうちの溝に収納した部分を覆う蓋部を形成することが
望ましい。上記蓋部の形状は、上記基板と対向する面
に、それぞれの光ファイバを別々に収納する溝が形成さ
れた形状であってもよいが、上記基板と対向する面に、
溝内に収納されなかった光ファイバを一括して収納する
凹部が形成された形状であることが望ましい。光ファイ
バを一括して収納するための凹部は、その形成が容易で
あり、また、上記凹部に収納された光ファイバ同士の間
には空隙が存在するため、光ファイバの相対的な位置ズ
レが発生しにくく、さらに、該空隙内には、接着剤等を
充填しやすい。
【0112】また、上記蓋部に光ファイバを一括して収
納するための凹部が形成されている場合、該凹部の形状
としては、ほぼ直角に交わる平面のみを組み合わせた形
状、局面により形成された形状、平面と局面とを組み合
わせた形状等が挙げられる。また、上記凹部の深さは、
光ファイバの溝内に収納されなかった部分の高さと同一
であることが望ましい。
【0113】上記蓋部の材質としては、例えば、上記基
板の材質と同様のもの等が挙げられる。なお、上記蓋部
の材質と上記基板の材質とは、同一であってもよいし、
異なっていてもよい。また、上記凹部の形成は、上記蓋
部が無機材料や金属材料からなる場合は、これらからな
る板状体に切削加工を施すことにより行えばよく、上記
蓋部が有機材料からなる場合には、該有機材料を板状体
に成形した後、露光現像処理やレーザ処理を施したり、
または、完全に硬化した有機材料からなる板状体に切削
加工を施すことにより行えばよい。
【0114】また、上記蓋部の形状は、基板全面を覆う
形状(溝を形成した領域および被覆樹脂層保持部を一体
的に覆う形状)であってもよい。また、基板の溝を形成
した領域のみを覆う形状の蓋部とともに、被覆樹脂層保
持部のみを覆う形状の蓋部が別途取りつけられていても
よい。
【0115】このような蓋部を形成した場合には、該蓋
部と光ファイバとの間隙に、接着剤を流し込み、接着剤
を硬化させることにより蓋部と光ファイバとを固定する
ことが望ましい。また、光ファイバを基板の溝に収納し
た後、光ファイバを溝に固定する前に、先に蓋部の形成
を行い、その後、溝と光ファイバとの間隙、および、凹
部と光ファイバとの間隙に同時に接着剤を流し込むこと
が望ましい。接着剤を塗布した後、この接着剤上に蓋部
を載置した場合、接着剤と蓋部との間に空気が入りこみ
易くなるからである。
【0116】また、上記蓋部の形成は、後述する(C)
の後、すなわち、第二の光ファイバリボンの一端部の被
覆樹脂層等を除去した後に行ってもよい。
【0117】(3)次に、上記(C)の工程、すなわ
ち、上記第二の光ファイバリボンの一端部の被覆樹脂層
および該被覆樹脂層に覆われた光ファイバを切断除去す
る光ファイバリボン切断工程を行う。上記光ファイバリ
ボンの切断は、カッター等を用いた切削加工により行う
ことができる。また、機械研磨により行ってもよい。
【0118】また、光ファイバリボンの一端部を切断除
去する場合、それぞれの光ファイバの端面と基板の側面
とが揃うように切断してもよいし、それぞれの光ファイ
バが基板の側面から一定長さだけ突出するように切断し
てもよい。
【0119】また、光ファイバリボンの一端部を切断除
去した後には、光ファイバの端面に研磨処理を施すこと
が望ましい。ここで、研磨処理を施す場合には、光ファ
イバや基板、蓋部の端面に傾斜を持たすように研磨処理
を施すことが望ましい。光信号伝送時のもどり光の発生
を抑制することができるからである。また、ここでは、
光ファイバの端面に研磨処理を施すとともに、基板や蓋
部の側面に研磨処理を施してもよい。
【0120】このような工程を経ることにより、本発明
の積層光ファイバリボンを露出した光ファイバが並列に
配置された光ファイバアレイを製造することができる。
【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0121】(実施例1)パルス発振型COレーザ照
射装置(三菱電機社製)を用い、直径250μmの光フ
ァイバが、クラッド間隔250μmで8本並列に配置さ
れ、該光ファイバの周囲にアクリレート系紫外線硬化型
樹脂からなる被覆樹脂層(一次被覆層および二次被覆
層)が被覆された光ファイバリボン(住友電気工業社
製)を銅張積層板上に固定し、以下の条件でレーザ照射
を行った。
【0122】 レーザマスク径 φ5.1mm レンズ位置 190mm パルス幅 15μs レーザ光の照射径 φ400μm ショット回数 5回 積算エネルギー 3.2mJ/cm
【0123】上記条件でCOレーザを用いてレーザ光
を光ファイバリボンに照射した後、レーザ光の照射位置
をその照射径の半径分(200μm)ズラし、再度、上
記条件でレーザ光の照射を行う工程を繰り返して、一端
部から30mmの領域の被覆樹脂層の除去を行った。
【0124】その後、上記光ファイバリボンを反転して
銅張積層板上に固定した後、光ファイバリボンの上面に
COレーザを用いてレーザ光を照射した条件と同条件
で、光ファイバリボンの下面にレーザ光を照射して被覆
樹脂層の除去を行った。
【0125】(実施例2)実施例1において、CO
ーザを用いたレーザ光の照射条件を以下の通りに変更し
た以外は、実施例1と同様にして光ファイバリボンの被
覆樹脂層の除去を行った。
【0126】 レーザマスク径 φ7.5mm レンズ位置 190mm パルス幅 15μs レーザ光の照射径 φ500μm ショット回数 5回 積算エネルギー 6.7mJ/cm
【0127】(比較例1)実施例1で使用した光ファイ
バリボンと同様の光ファイバリボンの一端側から30m
mの領域の被覆樹脂層を、工具(ストリッパ)を用いて
機械的に除去した。
【0128】(光ファイバリボン加工後の評価)実施例
1、2および比較例1で被覆樹脂層の一部を除去した光
ファイバリボンについて、露出した光ファイバでの被覆
樹脂層の残渣の有無、および、光ファイバの状態につい
て観察を行った。
【0129】その結果、実施例1、2で露出した光ファ
イバには被覆樹脂層の残渣はほとんど確認されず、ま
た、光ファイバの表面に特に損傷等は観察されなかっ
た。これに対し、比較例1で露出した光ファイバではわ
ずかに被覆樹脂層の残渣が確認され、また、光ファイバ
表面の一部に傷が観察された。また、実施例1、2の被
覆樹脂層の加工方法は、比較例1の被覆樹脂層の加工方
法に比べて、その作業時間が短時間であった。
【0130】(実施例3) A.積層光ファイバリボンの作製 (1)まず、直径250μmの光ファイバが、クラッド
間隔250μmで8本並列に配置され、該光ファイバの
周囲にアクリレート系紫外線硬化型樹脂からなる被覆樹
脂層(一次被覆層および二次被覆層)が被覆された光フ
ァイバリボン(住友電気工業社製)を2本準備し、それ
ぞれの光ファイバリボンに下記(i)および(ii)の加
工を施した。
【0131】(i)光ファイバリボンの一端部から30
mmまでの部分の被覆樹脂層(一次被覆層および二次被
覆層)を、実施例1と同様の条件で除去することにより
光ファイバ30を露出させ、第一の光ファイバリボン3
30とした(図3(a)参照)。
【0132】(ii)光ファイバリボンの一端部から5〜
50mmのところの部分の被覆樹脂層(一次被覆層およ
び二次被覆層)を、実施例1と同様の条件で除去するこ
とにより光ファイバ40を露出させ、第二の光ファイバ
リボン340とした(図3(b)参照)。なお、図3
(a)、(b)に描画された光ファイバリボンは、4本
の光ファイバが並列に配置されたものであるが、これは
参考図であり、上述したように、本実施例で用いた光フ
ァイバリボンは、8本の光ファイバが並列に配置された
ものである。
【0133】(2)次に、上記(ii)の処理を施した第
二の光ファイバリボン340の上に、上記(i)の処理
を施した第一の光ファイバリボン330を積み重ねた。
さらに、両者の光ファイバの露出した部分30a、40
aの高さが同一となるように、それぞれの光ファイバの
一部を曲げ、積層光ファイバリボン300とした(図4
参照)。
【0134】なお、この工程で、第一の光ファイバリボ
ン330を第二の光ファイバリボン340上に積み重ね
る際には、光ファイバの一部を曲げた後、両者の光ファ
イバ30、40が、交互に等間隔で配置されるように積
み重ねた。また、この工程では、第二の光ファイバリボ
ン340上に第一の光ファイバリボン330を積み重ね
る前に、予め、第二の光ファイバリボン340の二次被
覆樹脂44の上面の一部に接着剤(図示せず)を塗布し
ておき、該接着剤を介して第二の光ファイバリボン34
0上に第一の光ファイバリボン330を積み重ね、その
後、上記接着剤を硬化させることにより、両者を固定し
た。
【0135】B.蓋部の作製 石英ガラスからなる基板に、ダイヤモンドカッターを用
いた切削加工を施すことにより、露出した光ファイバを
収納するための凹部61を形成し、蓋部60とした(図
7(a)参照)。なお、この凹部61は、その断面の形
状が矩形状である。
【0136】C.光ファイバアレイの作製 (1)その表面に研磨処理を施した厚さ約0.7mmの
シリコン基板51を出発材料とし、このシリコン基板5
1上に下記の方法によりマスク層52を形成した(図5
(a)参照)。すなわち、まず、シリコン基板51の表
面に熱酸化炉中で、厚さ0.04μmのSiO膜52
aを形成し、次に、このSiO膜上に減圧CVD法を
用いて、厚さ0.1μmのSi膜52bを形成す
ることにより、SiO膜52aとSi膜52b
との2層からなるマスク層52を形成した。
【0137】(2)次に、マスク層52上に、厚さ25
μmのレジスト用樹脂フィルムを貼り付けることにより
レジスト用樹脂層54を形成した(図5(b)参照)。
【0138】(3)次に、上記レジスト用樹脂層54上
に溝パターンが描画されたマスクを載置し、800mJ
/cmで露光し、その後、アルカリ溶液で現像処理す
ることにより、マスク層上にエッチングレジスト55を
形成した(図5(c)参照)。
【0139】(4)次に、上記エッチングレジスト55
非形成部に露出したマスク層を下記の方法により除去
し、基板51の一部を露出させたマスク56を形成した
(図5(d)参照)。すなわち、まず、露出したSi
膜を、酸素プラズマを用いたドライエッチング処理
により除去することによりSiO膜を露出させ、さら
に、このSiO 膜をHF系のエッチング液を用いたウ
ェットエッチング処理により除去し、シリコン基板を露
出させた。
【0140】(5)次に、10重量%のNaOHを用い
てエッチングレジストを剥離除去した(図5(e)参
照)。これにより、シリコン基板51上には、溝を形成
する部分に相当する部分が開口したマスク56のみが形
成されていることとなった。
【0141】(6)次に、マスク層が形成されたシリコ
ン基板51を、KOH濃度25重量%、液温度78℃の
エッチング液(KOH:100g、HO:300g)
中に浸漬することにより、深さ75μmのV溝を16本
形成した(図5(f)参照)。その後、基板51の一部
に光ファイバリボンを被覆樹脂層ごと保持するための被
覆樹脂層保持部58(図6(a)参照)を、ダイヤモン
ドカッターを用いた切削加工を施すことにより形成し
た。
【0142】(7)次に、上記Aで作製した積層光ファ
イバリボン300の露出した光ファイバ30a、40a
を、V溝57に載置し(図6(a)、(b)参照)、さ
らに、上記Bで作製した蓋部60を基板51上に接着剤
(ダイキン工業社製、UV−3000)を介して取り付
けた(図7(a)参照)。なお、上記接着剤は、蓋部の
外縁部に予め塗布しておいた。さらに、溝57と光ファ
イバ30a、40aとの間隙、蓋部60と光ファイバ3
0a、40aとの間隙に、接着剤(ダイキン工業社製、
UV−3000)を流し込んだ。また、被覆樹脂層保持
部58に載置した被覆樹脂層の周囲にも、上記接着剤
(UV−3000)を塗布した。
【0143】次に、蓋部60を設けた基板51の上部か
ら、高圧水銀ランプを用いて、10J/cmの紫外線
を照射し、その後、60℃で1時間加熱することによ
り、接着剤を完全に硬化させた。
【0144】(8)次に、第二の光ファイバリボンの一
端部の基板に収納しなかった被覆樹脂層43、44とこ
の被覆樹脂層に覆われた光ファイバとをダイヤモンドカ
ッターにより切断除去し、さらに、光ファイバの端面
と、基板および蓋部の端面とが揃うように研磨処理を施
し、光ファイバアレイを製造した(図7(b)参照)。
【0145】(実施例4)実施例3のBの工程(蓋部の
作製)において、硼珪酸ガラス(パイレックス(R))
からなる基板に、ダイヤモンドカッターを用いた切削加
工を施すことにより、深さの異なる、露出した光ファイ
バを収納するための凹部71と、光ファイバリボンを被
覆樹脂層ごと収納するための凹部72とを有する蓋部7
0を作製し(図8(a)参照)、実施例3のCの(7)
の工程において、この蓋部70を基板に取り付けた以外
は、実施例3と同様にして光ファイバアレイを製造した
(図8(b)参照)。
【0146】実施例3および4で得た光ファイバアレイ
について、光ファイバアレイ側の光ファイバの端面に検
出器を載置し、光ファイバの他の端面から光発光素子を
用いて光を導入した際の光の検出位置から、光ファイバ
の収納位置の設計からのズレを算出することにより光フ
ァイバの収納精度を評価した。また、光ファイバアレイ
を上方から20Paの押圧力で20分間押圧した後、上
記と同様にして光ファイバの収納精度を測定した。
【0147】その結果、実施例3および4の光ファイバ
アレイにおいて、光ファイバの収納位置の設計からのズ
レは、押圧前、押圧後ともに5%以下であり、光ファイ
バは高精度で所定の位置に収納されていた。
【0148】また、収納精度を評価した後、実施例3お
よび4の光ファイバアレイを分解し、光ファイバの表面
を顕微鏡で観察したところ、光ファイバの表面に傷は発
生しておらず、また、光ファイバの変形も観察されなか
った。さらに、実施例3および4の光ファイバアレイを
16個の受光素子を配設した受光装置に接続し、結合損
失を測定したところ、その結合損失は低く、製品として
要求される品質を充分に満足していた。
【0149】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光ファイ
バリボンの加工方法は、上述した構成からなるため、光
ファイバを傷つけたり、被覆樹脂層を侵食したりするこ
となく、除去の対象となる被覆樹脂層のみを確実に除去
することができる。加えて、上記加工方法では、レーザ
光の種類や照射条件等を調整することにより、加工時間
を短縮することができるため、加工の高速化を図ること
ができる。
【0150】また、本発明の積層光ファイバリボンは、
上述した構成からなるため、光ファイバが高密度で並列
に配置されている。また、上記積層光ファイバリボンで
は、隣合う光ファイバ同士の距離が短いため、光ファイ
バの軸方向がバラツキにくく、その取り扱いが容易であ
る。
【0151】また、本発明の光ファイバアレイの製造方
法は、上述した構成からなるため、本発明の積層光ファ
イバリボンを用いて光ファイバアレイを製造しているた
め、光ファイバ同士を狭い間隔で並列に配置させること
ができ、光ファイバの配線密度が高く、小型化した光フ
ァイバアレイを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の加工方法において加工の対
象となる光ファイバリボンの一例を模式的に示す部分斜
視図であり、(b)は、本発明の加工方法により被覆樹
脂層の一部を除去し、光ファイバの一部を露出させた光
ファイバリボンの一例を模式的に示す部分斜視図であ
る。
【図2】(a)は、本発明の光ファイバリボンの加工方
法の一例を模式的に示す正面図であり、(b)はその側
面図である。
【図3】(a)は、第一の光ファイバリボンの一例を模
式的に示す部分斜視図であり、(b)は、第二の光ファ
イバリボンの一例を模式的に示す部分斜視図である。
【図4】本発明の積層光ファイバリボンの一実施形態を
模式的に示す部分斜視図である。
【図5】(a)〜(f)は、基板に溝を形成する方法の
一例を示す断面図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の光ファイバアレイ
の製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
【図7】(a)、(b)は、本発明の光ファイバアレイ
の製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の光ファイバアレイ
の製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
10、30、40 光ファイバ 11、31,41 コア 12、32、42 クラッド 13、33、43 一次被覆樹脂層 14、34、44 二次被覆樹脂層 51 基板 57 溝 60、70 蓋部 100 光ファイバリボン 300 積層光ファイバリボン 330 第一の光ファイバリボン 340 第二の光ファイバリボン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H001 BB15 BB19 FF07 2H036 JA01 KA01 KA02 LA03 LA08 PA12 PA13 4G060 AA01 AA03 AA20 AC01 AD41

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の光ファイバが並列に配置されると
    ともに前記複数の光ファイバの周囲を覆うように少なく
    とも一層の被覆樹脂層が形成された光ファイバリボンの
    前記被覆樹脂層の一部を除去する方法であって、前記被
    覆樹脂層にレーザ光を照射することにより、前記被覆樹
    脂層の一部を除去することを特徴とする光ファイバリボ
    ンの加工方法。
  2. 【請求項2】 前記光ファイバリボンの主面に垂直な一
    の方向からレーザ光を照射した後、前記光ファイバリボ
    ンの主面に垂直な一の方向と反対の方向からレーザ光を
    照射する請求項1に記載の光ファイバリボンの加工方
    法。
  3. 【請求項3】 前記レーザ光の照射は、COレーザを
    用いて行う請求項1または2に記載の光ファイバリボン
    の加工方法。
  4. 【請求項4】 複数の光ファイバが並列に配置されると
    ともに前記複数の光ファイバの周囲を覆うように少なく
    とも一層の被覆樹脂層が形成された光ファイバリボンで
    あって、前記被覆樹脂層の一端部が除去され、光ファイ
    バの一部が露出した第一の光ファイバリボンと、複数の
    光ファイバが並列に配置されるとともに前記複数の光フ
    ァイバの周囲を覆うように少なくとも一層の被覆樹脂層
    が形成された光ファイバリボンであって、前記被覆樹脂
    層の両端部以外の一部が除去され、光ファイバの一部が
    露出した第二の光ファイバリボンとが積み重ねられ、前
    記第二の光ファイバリボンの露出した光ファイバ間に、
    前記第一の光ファイバリボンの露出した光ファイバが配
    置されていることを特徴とする積層光ファイバリボン。
  5. 【請求項5】 前記第一の光ファイバリボンおよび/ま
    たは前記第二の光ファイバリボンは、請求項1〜3のい
    ずれか1に記載の光ファイバリボンの加工方法を用いて
    被覆樹脂層が除去されたものである請求項4に記載の積
    層光ファイバリボン。
  6. 【請求項6】 基板上の一部に複数の溝が形成され、前
    記溝に、光ファイバが収納された光ファイバアレイの製
    造方法であって、少なくとも下記(A)〜(C)の工程
    を行うことを特徴とする光ファイバアレイの製造方法。 (A)基板に複数の溝を形成する溝形成工程、(B)前
    記溝に、請求項4または5に記載の積層光ファイバリボ
    ンの露出した光ファイバを収納した後、固定する積層光
    ファイバリボン収納工程、ならびに、(C)前記第二の
    光ファイバリボンの一端部の被覆樹脂層および前記被覆
    樹脂層に覆われた光ファイバを切断除去する光ファイバ
    リボン切断工程。
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