JP2003207689A - 光ファイバアレイ - Google Patents

光ファイバアレイ

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JP2003207689A
JP2003207689A JP2002003861A JP2002003861A JP2003207689A JP 2003207689 A JP2003207689 A JP 2003207689A JP 2002003861 A JP2002003861 A JP 2002003861A JP 2002003861 A JP2002003861 A JP 2002003861A JP 2003207689 A JP2003207689 A JP 2003207689A
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optical fiber
substrate
lid
resin layer
groove
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JP2002003861A
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English (en)
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Motoo Asai
元雄 浅井
Kunio Nagaya
邦男 長屋
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Ibiden Co Ltd
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Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蓋部と接着層との密着性に優れ、該蓋部と接
着層との間で剥離が発生したり、蓋部や光ファイバの位
置ズレが発生したりすることがなく、正確に光信号を伝
送することができる光ファイバアレイを提供する。 【解決手段】 基板上面の一部に複数の溝が形成され、
上記溝に光ファイバが収納されており、上記基板上に上
記光ファイバを覆う蓋部が接着層を介して取り付けられ
た光ファイバアレイであって、上記蓋部の上記基板と対
向する部分には粗化面が形成されており、上記蓋部の上
記基板と対向する部分を顕微鏡により平面視した際に、
観察画像が複数の粒子状物が並んだ像として観察され、
これらの観察された粒子状物の平均粒子径が0.1〜1
00μmである光ファイバアレイ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバアレイ
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信分野を中心として光ファイバ
に注目が集まっている。特にIT(情報技術)分野にお
いては、高速インターネット網の整備に、光ファイバを
用いた通信技術が必要となる。光ファイバは、低損
失、高帯域、細径・軽量、無誘導、省資源等の
特徴を有しており、この特徴を有する光ファイバを用い
た通信システムでは、従来のメタリックケーブルを用い
た通信システムに比べ、中継器数を大幅に削減すること
ができ、建設、保守が容易になり、通信システムの経済
化、高信頼性化を図ることができる。
【0003】また、光ファイバでは、一つの波長の光だ
けでなく、多くの異なる波長の光を1本の光ファイバで
同時に多重伝送することができるため、多様な用途に対
応可能な大容量の伝送路を実現することができ、映像サ
ービス等にも対応することができるという大きな利点を
有する。
【0004】また、光ファイバを用いた光通信において
は、複数の光ファイバが並列に配置され、その周囲に被
覆樹脂層が形成された光ファイバリボンが用いられてい
る。そして、この光ファイバリボンを、受光素子や発光
素子、各種端末機器(パソコン、モバイル、ゲーム等)
と接続するには、通常、光ファイバリボンの端部の被覆
樹脂層を除去することにより、複数の光ファイバの端部
を露出させ、この露出した光ファイバをV溝を有する基
板の溝に載置、固定し、さらに、露出した光ファイバを
覆う蓋部を接着層を介して基板に取り付けることにより
複数の光ファイバが所定の間隔で離間して配置された光
ファイバアレイが用いられている。
【0005】そこで、従来、光ファイバアレイとして
は、例えば、基板に形成された複数のV溝のそれぞれに
光ファイバが整列して収容され、上記基板上に接着層を
介して上記光ファイバを覆うように蓋部が取り付けられ
たものが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような光ファイバ
アレイでは、該光ファイバアレイを光学素子に接続する
際や、光ファイバアレイに熱や湿度等に起因して外部か
ら力が加わった際に、蓋部や光ファイバの位置ズレが発
生したり、場合によっては、光ファイバの破損が発生し
たりすることがあり、光ファイバアレイと受光素子や発
光素子等の光学素子との間で接続不良が発生する原因と
なることがあった。また、このような光ファイバアレイ
を用いてヒートサイクル試験等の信頼性評価を行った場
合には、蓋部の基板に対向する面と接着層との間で剥離
が発生することがあった。このような光ファイバの位置
ズレや接着層の剥離は、蓋部の基板に対向する面と接着
層との親和性(密着性)が不充分なために発生すると考
えられた。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記した種々の課題を解決するための手段について、鋭
意検討した結果、蓋部と接着層との密着性を向上させれ
ばよいことに想到し、具体的には、蓋部の基板に対向す
る面を所定の表面粗さを有する粗化面とすればよいこと
を見出し、本発明の光ファイバアレイを完成した。
【0008】すなわち、本発明の光ファイバアレイは、
基板上面の一部に複数の溝が形成され、上記溝に光ファ
イバが収納されており、上記基板上に上記光ファイバを
覆う蓋部が接着層を介して取り付けられた光ファイバア
レイであって、上記蓋部の上記基板と対向する部分には
粗化面が形成されており、上記蓋部の上記基板と対向す
る部分を顕微鏡により平面視した際に、観察画像が複数
の粒子状物が並んだ像として観察され、これらの観察さ
れた粒子状物の平均粒子径が0.1〜100μmである
ことを特徴とする。
【0009】本発明の光ファイバアレイにおいて、上記
粗化面の表面粗さは、JIS B 0601に基づく凹
凸の平均間隔Smが、0.1〜100μmであることが
望ましく、1〜50μmであることがより望ましい。ま
た、上記粗化面の表面粗さは、JIS B 0601に
基づく局部山頂の平均間隔Sが100〜1000nmで
あることが望ましい。
【0010】また、本発明の光ファイバアレイにおい
て、上記凹凸の平均間隔Smおよび上記局部山頂の平均
間隔Sは、干渉縞を用いた表面粗さ計により測定された
ものであることが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光ファイバアレイ
について説明する。本発明の光ファイバアレイは、基板
上面の一部に複数の溝が形成され、上記溝に光ファイバ
が収納されており、上記基板上に上記光ファイバを覆う
蓋部が接着層を介して取り付けられた光ファイバアレイ
であって、上記蓋部の上記基板と対向する部分には粗化
面が形成されており、上記蓋部の上記基板と対向する部
分を顕微鏡により平面視した際に、観察画像が複数の粒
子状物が並んだ像として観察され、これらの観察された
粒子状物の平均粒子径が0.1〜100μmであること
を特徴とする。
【0012】本発明の光ファイバアレイでは、蓋部の基
板と対向する部分に粗化面が形成されており、この粗化
面が上述したような形状を有しているため、上記蓋部と
上記接着層とは密着性に優れ、蓋部と接着層との間で剥
離が発生したり、熱や湿度等に起因した外部から力によ
り、蓋部や光ファイバの位置ズレが発生したりすること
がなく、該光ファイバアレイでは、正確に光信号を伝送
することができる。
【0013】以下、本発明の光ファイバアレイについ
て、図面を参照しながら説明する。図1(a)は、本発
明の光ファイバアレイの一例を模式的に示す部分斜視図
であり、(b)は、(a)のA−A線断面図であり、
(c)は、(a)の光ファイバアレイを構成する蓋部を
示す斜視図であり、(d)は、(a)の光ファイバアレ
イを構成する光ファイバが収納された基板を示す部分斜
視図である。
【0014】図1に示すように、光ファイバアレイ10
0では、基板151上面の一部に、並列に形成された複
数のV溝157のそれぞれに、光ファイバ115が接着
層159を介して収納、固定されている。また、光ファ
イバリボン110を収納した基板151上には、接着層
159を介して蓋部160が形成されており、この蓋部
160には、光ファイバ115の一部(光ファイバのう
ち溝157に収納されなかった一部)を一括して収納す
る凹部161が形成されている。なお、上記光ファイバ
アレイにおいて、基板上面に形成される溝は、V溝に限
定されるわけではなく、例えば、その光ファイバの軸に
垂直な方向の断面の形状が矩形状の溝であってもよい。
【0015】本発明の光ファイバアレイでは、上記蓋部
の上記基板と対向する部分には粗化面が形成されてお
り、この粗化面の形成された部分を顕微鏡により平面視
した場合、その観察画像は複数の粒子状物が並んだ像と
して観察され、これらの観察された粒子状物の平均粒子
径は0.1〜100μmである。
【0016】このような形状の粗化面を有する蓋部は、
基板上に接着層を介して取り付けられた際に、該粗化面
の形成された面と接着層との密着性が優れたものとな
る。これは、蓋部の基板と対向する側の面が平滑な場合
に比べて、蓋部と接着層との接触面積が大きくなるから
であり、また、外部応力が発生したとしても、その応力
を粗化面で吸収することができるからである。なお、こ
こで、外部応力とは、熱や湿度等に起因して外部から加
わる力のことをいう。
【0017】なお、本明細書において、観察された粒子
状物の平均粒子径とは、該粒子状物の最も長い部分の長
さをいう。以下、図10、11を参照しながら上記粒子
径を説明する。すなわち、粒子状物の形状が、図10
(a)に示すような楕円形(円形も含む)の場合には、
その長径(円形の場合は、長径=短径)が粒状物の粒子
径となり、(b)に示すような、多角形(三角形を除
く)の場合には、頂点間の距離(例えば、図中、A、
B、Cと示す)のうちの最も長いもの((b)の場合
は、A>B>CであるからAが該当)が粒子径となり、
(c)に示すような、これら以外の場合には、上記粒子
状物の外周上の異なる2点間の最も長い距離(図中、D
と示す)が粒子径となる。
【0018】より具体的には、例えば、顕微鏡により観
察した際に得られた観察画像が、図11(a)に示すよ
うな画像である場合、各々の粒子状物の最も長い部分
(例えば、図11(b)に示すL、L)が、それぞ
れの粒子状物の粒子径に該当する。なお、図11(a)
は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察画像であ
り、(b)は、(a)の観察画像における粒子状物の外
周のみを示した概略図である。
【0019】本発明の光ファイバアレイでは、上記蓋部
の基板と対向する部分に形成された粗化面の表面粗さ
は、その下限がJIS B 0601に基づく凹凸の平
均間隔Smで0.1μmであることが望ましく、その上
限が上記凹凸の平均間隔Smで100μmであることが
望ましい。上記凹凸の平均間隔Smが0.1μm未満で
は、蓋部と接着層との密着性を充分に得ることができな
いことがあり、さらには、発生した応力により、蓋部や
光ファイバの位置ズレが生じ、その結果、外部の光導波
路や光学部品との間で光信号の伝送の異常が生じること
がある。る。一方、上記凹凸の平均間隔Smが100μ
mを超えても接着層との密着性はあまり向上せず、ま
た、接着層の形成は、例えば、基板と蓋部との間に未硬
化の接着剤を流し込み、さらに、硬化処理を施すことに
より行うのであるが、上記凹凸の平均間隔Smが100
μmを超えていると、未硬化の接着剤の充填を阻害する
ことがあり、この場合、接着層の形成されない部分や空
隙が生じ、この部分を起点に、接着層にクラックが発生
したり、蓋部と接着層との間で剥離が発生したりするこ
とがある。上記凹凸の平均間隔Smのより望ましい下限
は1μmであり、より望ましい上限は50μmである。
上記凹凸の平均間隔Smがこの範囲にあると、接着層の
材料の選択の自由度が向上するとともに、信頼性試験に
おいて、より長時間光ファイバアレイに不都合が発生し
ないことが確認されているからである。
【0020】また、上記蓋部の表面に形成された粗化面
では、この粗化面を構成する凹凸の壁面に窪みを有する
ことが望ましい。このように、凹凸の壁面が窪みを有す
る場合、蓋部と接着層との接触面積がより大きくなるた
め、両者の接着強度がより向上し、蓋部と接着層との間
での剥離がより発生しにくくなる。
【0021】上記凹凸の壁面が有する窪みの大きさは、
上記した蓋部の基板と対向する部分を顕微鏡により平面
視した際に観察される粒子状物の平均粒子径より小さけ
れば特に限定されるものでない。具体的には、上記粗化
面を構成する凹凸の壁面が窪みを有する場合、該粗化面
の表面粗さは、JIS B 0601に基づく局部山頂
の平均間隔Sで、その下限が100nm、その上限が1
000nmであることが望ましい。この範囲の局部山頂
の平均間隔Sを有する粗化面では、接着層との密着性が
より優れたものとなるからである。上記局部山頂の平均
間隔Sの下限は200nmであることがより望ましく、
上記局部山頂の平均間隔Sの上限は500nmであるこ
とがより望ましい。
【0022】また、上記光ファイバアレイにおいて、上
記粗化面の表面粗さは、JIS B0601に基づく平
均粗さRaで、その下限が5nmであることが望まし
く、10nmであることがより望ましい。また、上記平
均粗さRaの上限は、1000nmであることが望まし
く、500nmであることがより望ましく、100nm
であることが特に望ましい。蓋部に形成された粗化面の
平均粗さRaが上記範囲にあると、接着層との密着性が
より優れたものとなるからである。
【0023】また、上記光ファイバアレイにおいては、
上記基板の上面にも粗化面が形成されていることが望ま
しく、この粗化面の表面粗さは、JIS B 0601
に基づく平均粗さRaで、その下限が5nmであること
が望ましく、10nmであることがより望ましい。ま
た、上記平均粗さRaの上限は、1000nmであるこ
とが望ましく、500nmであることがより望ましく、
100nmであることが特に望ましい。基板に形成され
た粗化面の平均粗さRaが上記範囲にあると、接着層と
の密着性がより優れたものとなるからである。
【0024】基板の上面にも粗化面が形成されている場
合、該粗化面は、基板の上面の少なくとも一部(例え
ば、溝の表面、基板の溝非形成領域等)に形成されてい
てもよいが、基板の上面全体に形成されていることが望
ましい。基板と接着層との密着性がより向上することと
なるからである。また、基板の上面の一部にのみ粗化面
が形成されている場合、該粗化面は、基板に形成した溝
の表面に形成されていることが望ましく、この場合、溝
の表面に形成した粗化面の平均粗さRaは、5〜100
nmであることが望ましい。
【0025】また、基板に粗化面が形成されている場
合、この粗化面は、粗化面が形成されている部分を顕微
鏡により平面視した際に、観察画像が複数の粒子状物が
並んだ像として観察され、これらの観察された粒子状物
の平均粒子径が0.1〜100μmであるものが望まし
い。
【0026】さらに、上記基板に粗化面が形成されてい
る場合、この粗化面の表面粗さは、JIS B 060
1に基づく凹凸の平均間隔Smで、その下限が0.1μ
mであることが望ましく、1μmであることがより望ま
しい。一方、上記凹凸の平均間隔Smは、その上限が1
00μmであることが望ましく、50μmであることが
より望ましい。上記凹凸の平均間隔Smがこの範囲にあ
ると、基板と接着層との密着性がより優れたものとなる
からである。
【0027】さらに、上記粗化面が形成された基板で
は、この粗化面を構成する凹凸の壁面に窪みを有するこ
とが望ましく、この場合、該粗化面の表面粗さは、JI
S B0601に基づく局部山頂の平均間隔Sで、その
下限が100nm、その上限が1000nmであること
が望ましい。この範囲の局部山頂の平均間隔Sを有する
粗化面では、接着層との密着性がより優れたものとなる
からである。上記局部山頂の平均間隔Sの下限は200
nmであることがより望ましく、上記局部山頂の平均間
隔Sの上限は500nmであることがより望ましい。
【0028】ここで、上述したJIS B 0601に
基づく凹凸の平均間隔Sm、局部山頂の平均間隔S、お
よび、平均粗さRaについて、図面を参照しながら、簡
単に説明しておく。図2は、JIS B 0601に基
づく凹凸の平均間隔Sm、局部山頂の平均間隔S、およ
び、平均粗さRaを説明するための参考図である。図2
において、501は粗化面の粗さ曲線であり、502は
平均線である。なお、図2に示す粗化面の粗さ曲線は、
上記した表面粗さのパラメータを説明するために例示し
たものであり、本発明の光ファイバアレイを構成する蓋
部に形成した粗化面の実際の粗さ曲線を示すものではな
い。
【0029】上記凹凸の平均間隔Smは、粗さ曲線50
1からその平均線502の方向に基準長さだけ抜き取
り、この抜き取り部分において1つの山およびそれに隣
合う1つの谷に対応する平均線502の長さの和(以
下、凹凸の距離という:図中、Sm 、Smと示す)
を求め、この多数の凹凸の距離を算術平均値で表したも
のである。なお、本明細書においては、凹凸の平均間隔
Smをマイクロメートル(μm)で表している。また、
上記山とは、粗さ曲線を平均線で切断したときに、それ
らの交差点の隣合う2点間における粗さ曲線と平均線と
で構成する実態部分(例えば、図中、503と示す部
分)であり、上記谷とは、粗さ曲線を平均線で切断した
ときに、それらの交差点の隣合う2点間における粗さ曲
線と平均線とで構成される空間部分(例えば、図中、5
04と示す部分)である。
【0030】上記局部山頂の平均間隔Sは、粗さ曲線5
01からその平均線502の方向に基準長さだけ抜き取
り、この抜き取り部分において隣合う局部山頂間に対応
する平均線の長さ(以下、局部山頂間の間隔という:図
中S、Sと示す)を求め、この多数の局部山頂の間
隔を算術平均値で表したものである。なお、本明細書に
おいては、局部山頂の平均間隔Sをナノメートル(n
m)で表している。また、上記局部山頂とは、局部山に
おける最も高い標高点(例えば、図中505aと示す
点)をいい、上記局部山とは、粗さ曲線の二つの隣合う
極小点の間にある実態部分(例えば、図中、505と示
す部分)をいう。
【0031】上記平均粗さRaは、粗さ曲線からその平
均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分
の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、
粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、下記式(1)で
求められる値をいう。
【0032】
【式1】
【0033】(式中、lは、基準長さである)。なお、
本明細書においては、平均粗さRaをナノメートル(n
m)で表している。
【0034】また、上記蓋部に形成された粗化面の表面
粗さを表す上記凹凸の平均間隔Sm、上記局部山頂の平
均間隔S、および、平均粗さRaは、干渉縞を用いた表
面粗さ計により測定されたものであることが望ましい。
上記干渉縞を用いた表面粗さ計は、干渉計と光学顕微鏡
とを組み合わせたものであり、高精度、かつ、高感度で
蓋部等の表面形状を測定することができるからである。
さらに、上記干渉縞を用いた表面粗さ計では、試料(蓋
部等)の表面状態を非接触で測定することができるた
め、蓋部の表面を傷付けたりするおそれがない。
【0035】一般に、上記干渉縞を用いた干渉計では、
光源から照射した光をビームスプリッタで2つに分割
し、このうち、一方の光はリファレンスミラーで反射さ
れてビームスプリッタに戻り、他方の光は試料の表面で
反射されてビームスプリッタに戻り、これらの2つの光
が、ビームスプリッタで再度1つの光となり、この1つ
になった光はCCDカメラ等の検出器に取り込まれる。
このとき、リファレンスミラーで反射した光と試料の表
面で反射した光とは、ビームスプリッタで再度1つの光
となった際に干渉が発生するため、この干渉した光の像
により試料の表面状態を測定することができる。
【0036】また、本発明の光ファイバアレイ100で
は、基板151上面に、溝157とは別に、光ファイバ
をその周囲の被覆樹脂層114とともに一括して保持す
るための被覆樹脂層保持部158が形成されている。な
お、この被覆樹脂層保持部158の上面は、溝157を
形成した溝形成面よりも低くなっている。また、この被
覆樹脂層保持部158上に載置した被覆樹脂層114の
周囲には接着層159′が形成されている。なお、被覆
樹脂層保持部158は、必要に応じて形成すればよく、
基板上にはV溝のみが形成されていてもよい。また、図
中、110は光ファイバリボン、111はコア、112
はクラッドである。
【0037】また、基板の上面に溝とともに、被覆樹脂
層保持部を形成する場合、溝形成面と、被覆樹脂層保持
部との境目は、垂直な壁面であってもよいが、図1に示
すような、被覆樹脂層保持部に向かって下るような傾斜
を有する壁面であることが望ましい。光ファイバを収納
した際、該光ファイバにかかる負荷を軽減することがで
きるからである。なお、本明細書においては、溝形成面
と被覆樹脂層保持部との境目の壁面も被覆樹脂層保持部
に含むこととする。また、このような溝形成面と被覆樹
脂層保持部との境目が傾斜を有する壁面である光ファイ
バアレイでは、溝において露出した光ファイバが固定さ
れ、被覆樹脂層保持部において、露出した光ファイバと
被覆樹脂層とが固定されることとなる。
【0038】図3は、本発明の光ファイバアレイの別の
一例を模式的に示す部分斜視図である。図3に示すよう
に、本発明の光ファイバアレイ102においては、基板
上に、被覆樹脂層保持部に代えて、光ファイバをその周
囲の被覆樹脂層ごと収納することができる凹部1158
が形成されていてもよい。また、上記凹部の側方の壁面
の高さは、図3に示すように、基板の溝形成領域の上面
の高さと同一であってもよいし、これよりも低くてもよ
い。また、光ファイバアレイ102では、基板151上
に接着層159を介して、その形状が板状の蓋部116
0が取り付けられている。なお、図3に示した光ファイ
バアレイ102の構成は、被覆樹脂層保持部に代えて上
記凹部が形成されており、蓋部の形状が板状体である以
外は、図1の光ファイバアレイと略同一である。
【0039】本発明の光ファイバアレイにおいて、基板
上に接着層を介して取り付ける蓋部の形状は、図1に示
すような光ファイバの一部を一括して収納する凹部が形
成されている形状が望ましいが、該蓋部の形状はこのよ
うな形状に限定されるわけではなく、例えば、図3に示
すような板状体であってもよく、また、基板と対向する
側の面に光ファイバを別々に収納する溝が形成された形
状であってもよい。なお、光ファイバの一部を一括して
収納するための凹部が形成されている形状の蓋部では、
該凹部に収納された光ファイバ同士の間には空隙が存在
するため、光ファイバの相対的な位置ズレが発生しにく
く、さらに、空隙内には、未硬化の接着剤等を充填しや
すい。
【0040】また、上記蓋部に光ファイバの一部を一括
して収納するための凹部が形成されている場合、該凹部
の形状としては、ほぼ直角に交わる平面のみを組み合わ
せた形状、曲面により形成された形状、平面と曲面とを
組み合わせた形状等が挙げられる。
【0041】また、上記蓋部は、その光ファイバの軸に
垂直な方向の断面の形状が、矩形の両方の側方下部が切
り取られた形状となるような形状であってもよく、この
場合、上記切り取られた形状としては、例えば、例え
ば、三角形、四角形、多角形、円弧(楕円弧)と直交す
る二直線とに囲まれた形状等が挙げられる。
【0042】また、上記蓋部の大きさは、上記溝に収納
した光ファイバを覆うことができる大きさであれば特に
限定されず、図1、3に示すように基板の溝を形成した
領域のみを覆う大きさであってもよいが、基板の上面全
体を覆う大きさであってもよい。また、基板の溝を形成
した領域のみを覆う形状の蓋部とともに、被覆樹脂層保
持部のみを覆う形状の蓋部が別途取り付けられていても
よく、この場合、溝を形成した領域を覆う蓋部と、被覆
樹脂層保持部を覆う蓋部との間には隙間があってもよい
し、なくてもよい。
【0043】また、図1、3に示す光ファイバアレイ1
00、102においては、4本の光ファイバが収納され
ているが、本発明の光ファイバアレイの溝に収納される
光ファイバの本数は4本に限定されるわけではなく、3
本以下であってもよいし、5本以上であってもよい。
【0044】次に、本発明の光ファイバアレイの構成部
材について説明する。上記蓋部の材質としては、例え
ば、シリコン、炭化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウ
ム、ムライト、セラミック、ガリウム砒素、ジルコニア
無機材料;石英ガラス、高ケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガ
ラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、フッ化物ガラス等
のガラス;銅、鉄、ニッケル等の金属材料;熱硬化性樹
脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、これらの複合体等の有
機材料やこれらの有機材料にガラス繊維等の補強材を含
浸させたもの等が挙げられる。また、上記基板の材質と
しては、例えば、上記蓋部の材質と同様のもの等が挙げ
られる。なお、上記蓋部の材質と上記基板の材質とは、
同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0045】上記蓋部および上記基板の材質としては、
熱や湿度による伸縮(変形)が少なく、機械的強度に優
れる点からシリコン、高ケイ酸ガラスが望ましく、その
組み合わせとしては、上記基板および上記蓋部のいずれ
か一方がシリコンで、他方が高ケイ酸ガラスであるか、
または、上記基板および上記蓋部の両方が高ケイ酸ガラ
スであることが望ましい。また、上記基板や上記蓋部の
それぞれは、シリコンと高ケイ酸ガラスとを貼り合わせ
た2層構造からなるものであってもよい。
【0046】特に、基板の材質としてシリコンを用い、
蓋部の材質として高ケイ酸ガラスを用いることが望まし
い。基板の材質がシリコンである場合、異方性エッチン
グにより基板にV溝を形成することができるため、形成
された溝は位置精度に優れることとなり、また、蓋部の
材質が高ケイ酸ガラスである場合、該蓋部は紫外線等の
透過性に優れるため、接着層の材料として紫外線硬化型
接着剤を用いて本発明の光ファイバアレイを製造する際
に、該蓋部を介して紫外線を照射することにより好適に
接着層を形成することができる。また、蓋部の材質が高
ケイ酸ガラスである場合には、基板に形成したターゲッ
トマーク(蓋部等との位置合わせをするためのターゲッ
トマーク)を、外部部品との位置合わせのためのターゲ
ットマークとしても用いることができる。
【0047】上記蓋部の材質がガラスである場合、該蓋
部に形成された粗化面の上記平均粗さRaは、その下限
が5nmであることが望ましく、10nmであることが
より望ましい。一方、上記平均粗さRaの上限は、50
0nmであることが望ましく、100nmであることが
より望ましい。
【0048】また、上記蓋部の材質がシリコンである場
合、該蓋部に形成された粗化面の上記平均粗さRaは、
その下限が5nmであることが望ましく、10nmであ
ることがより望ましい。一方、上記平均粗さRaの上限
は、500nmであることが望ましく、100nmであ
ることがより望ましい。
【0049】また、上記蓋部に上記範囲の表面粗さを有
する粗化面を形成する方法としては特に限定されず、例
えば、酸、アルカリ、酸化剤等を含む溶液や、溶剤等の
液体中に蓋部を浸漬したり、該液体をスプレーにより塗
布したりする方法等が挙げられる。具体的にどのような
方法を選択するかは、蓋部の材質、形成する表面粗さ等
を考慮して適宜決定すればよい。そこで、以下に、高ケ
イ酸ガラスからなる蓋部、および、シリコンからなる蓋
部のそれぞれに粗化面を形成する方法について説明す
る。
【0050】上記高ケイ酸ガラスからなる蓋部に粗化面
を形成する方法としては、例えば、フッ化物を含む粗化
液を用いたエッチング処理等が挙げられ、上記フッ化物
を含む粗化液の具体例としては、例えば、HF水溶液、
HF−NHF混合液、NaF水溶液、BaF水溶
液、KF水溶液、CaF水溶液、XeF水溶液等が
挙げられる。これらのなかでは、HFを含む溶液が望ま
しい。上記した表面粗さを有する粗化面を短時間で形成
することができるからである。
【0051】また、上記高ケイ酸ガラスからなる蓋部に
HF水溶液を用いて、上記した表面粗さを有する粗化面
を形成する際の具体的な条件としては、以下のような条
件が望ましい。すなわち、HF水溶液の濃度は、HF:
O=1:10〜1:30が望ましく、HF:H
=1:20程度がより望ましい。また、エッチング処理
温度は、その下限が30℃であることが望ましく、40
℃であることがより望ましい。一方、上記エッチング処
理温度の上限は、80℃であることが望ましく、50℃
程度であることがより望ましい。さらに、エッチング処
理時間は、10〜120分が望ましく、30分程度がよ
り望ましい。
【0052】また、通常、表面状態が平滑な高ケイ酸ガ
ラス板にエッチング処理を施そうとしてもエッチングは
進行しにくい。これは、上記粗化液を用いたエッチング
は、高ケイ酸ガラス表面の凹凸や傷の部分を起点として
進行(侵食)していくため、表面の平滑な高ケイ酸ガラ
ス板では、エッチングが進行するための起点が少ないか
らである。そこで、上記高ケイ酸ガラスからなる蓋部に
上記粗化液を用いたエッチング処理により粗化面を形成
する場合、予め、研磨処理等の前処理を施して高ケイ酸
ガラス表面を摺りガラス状にしておくことが望ましい。
具体的には、片面砂目研磨(♯500、♯700、♯1
000、♯1500)、アルミナ系研磨砥粒、ダイヤモ
ンド砥粒等を用いた研磨処理を施しておくことが望まし
い。また、市販の摺りガラスを使用してもよい。
【0053】上記シリコンからなる蓋部に粗化面を形成
する方法としては、例えば、KOH、NaOH等のアル
カリを含む溶液を用いたエッチング処理等が挙げられ
る。これらのなかでは、KOHを含む溶液を用いたエッ
チング処理が望ましい。エッチング速度が速く、短時間
で粗化面を形成することができるからである。また、N
aOHを含む溶液を用いてエッチング処理を行うと、場
合によっては、処理面が変色したり、処理面に異物が発
生したりすることがある。
【0054】上記シリコンからなる蓋部にKOHを含む
溶液を用いて、上記した表面粗さを有する粗化面を形成
する際の具体的な条件としては、以下のような条件が望
ましい。すなわち、KOH溶液の濃度は、10〜40重
量%が望ましく、20重量%程度がより望ましい。上記
KOHを含む溶液の濃度が10重量%未満や、40重量
%を超える場合には、エッチング速度が遅くなることが
ある。また、エッチング処理温度は、30〜90℃であ
ることが望ましく、40〜60℃程度であることがより
望ましい。さらに、エッチング処理時間は、4〜10分
が望ましく、5〜7分程度がより望ましい。
【0055】なお、上述したような条件で、高ケイ酸ガ
ラスからなる蓋部やシリコンからなる蓋部に粗化面を形
成した場合には、該粗化面の表面粗さは、上記した範囲
の凹凸の平均間隔Smを満足するのは勿論のこと、通
常、上記した範囲の局部山頂の平均間隔Sや平均粗さR
aをも満足することとなる。
【0056】また、シリコンからなる蓋部では、KOH
を含む溶液を用い、上記したエッチング処理条件で粗化
面を形成した場合、その結晶面によって形成される平均
粗さRaが異なることとなる。具体的には、KOHを含
む溶液を用い、上記した望ましい処理条件で粗化面を形
成した場合、(100)面には平均粗さRaが50〜5
00nmの粗化面が形成されることとなり、(111)
面には平均粗さRaが5〜100nmの粗化面が形成さ
れることとなる。さらに、上記したより望ましい処理条
件で粗化面を形成した場合には、(100)面には平均
粗さRaが200〜300nmの粗化面が形成されるこ
ととなり、(111)面には平均粗さRaが10〜80
nmの粗化面が形成されることとなる。
【0057】また、図1、3に示す光ファイバアレイ1
00、102においては、複数のV溝157が形成され
た基板151に、一端部の被覆樹脂層が除去されること
により光ファイバが露出した光ファイバリボン110が
収納されている。上記光ファイバリボンとしては特に限
定されず、従来公知のものを用いることができ、例え
ば、図1に示すようなコア111とクラッド112とか
らなる光ファイバ115の周囲に一次被覆樹脂層113
が形成され、この一次被覆樹脂層113で被覆された光
ファイバ115が並列に配置された状態で二次被覆樹脂
層114により一括して被覆されている光ファイバリボ
ン110を用いることができる。
【0058】光ファイバリボンを構成する光ファイバ1
15としては、例えば、石英ガラス(SiO)を主成
分とする石英系光ファイバ、ソーダ石灰、ガラス、ホウ
硅ガラス等を主成分とする多成分系光ファイバ、シリコ
ーン樹脂やアクリル樹脂等のプラスチックを主成分とす
るプラスチック系光ファイバ等が挙げられる。これらの
なかでは、石英系光ファイバが望ましい。その表面に粗
化面を形成することにより、接着層との密着性が特に向
上するため、本発明の光ファイバアレイに適しているか
らである。
【0059】一次被覆樹脂層113は、光ファイバが傷
付いたりすること等を防止する保護層としての役割を果
たしている。また、その材料としては特に限定されず、
例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹
脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン
樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂や、メタクリル酸や
アクリル酸等を用い、上述した熱硬化性樹脂の熱硬化基
を(メタ)アクリル化反応させた感光性樹脂等が挙げら
れる。なお、上記一次被覆樹脂層の層数は1層に限定さ
れず、2層以上であってもよい。
【0060】また、二次被覆樹脂層114は、一次被覆
樹脂層がその周囲に形成された光ファイバを保護すると
ともに、光ファイバが並列に配置された光ファイバリボ
ンの形態を保持する役割を果たしている。また、その材
料としては特に限定されず、上記一次被覆樹脂層の材料
と同様の熱硬化性樹脂や感光性樹脂等が挙げられる。な
お、上記二次被覆樹脂層の層数は1層に限定されず、2
層以上であってもよい。
【0061】また、光ファイバアレイ100、102に
おいて、被覆樹脂層が除去され、V溝157に収納され
た光ファイバの表面には、粗化面(図示せず)が形成さ
れていてもよい。光ファイバと接着層との密着性が向上
するからである。上記粗化面は、その平均粗さRaの下
限が1nmであることが望ましく、その上限が100n
mであることが望ましい。平均粗さRaが、1nm未満
では、光ファイバと接着層との密着性はほとんど向上せ
ず、一方、平均粗さRaが100nmを超えると、光フ
ァイバ表面の凹凸が大きくなるため、光ファイバの断面
の形状が円形状からはずれ、光ファイバの位置ズレが発
生しやすくなり、光信号の伝送に悪影響を及ぼすことが
ある。上記粗化面の平均粗さRaは、その下限が10n
mであることがより望ましく、その上限が50nmであ
ることがより望ましい。
【0062】また、上記粗化面を形成する方法は特に限
定されないが、フッ化物を含む粗化液を用いて形成する
ことが望ましい。上記範囲の平均粗さRaを有する粗化
面を、短時間で形成することができるからである。
【0063】上記フッ化物を含む粗化液としては、例え
ば、上述した高ケイ酸ガラスからなる蓋部に粗化面を形
成する際に用いるものと同様のもの等が挙げられる。そ
れらのなかでは、HFを含む溶液が望ましい。光ファイ
バに悪影響(光ファイバの変形等)を及ぼすことなく、
所望の平均粗さRaを有する粗化面を短時間で形成する
ことができるからであり、特に、石英系光ファイバや多
成分系光ファイバの表面に粗化面を形成するのに適して
いる。
【0064】また、光ファイバアレイ100、102に
おいては、その一端部の被覆樹脂層が除去された光ファ
イバリボンが基板に収納されているが、基板の溝に収納
される光ファイバは、複数本の単心の光ファイバであっ
てもよいし、複数の光ファイバリボンが積み重ねられた
積層光ファイバリボンであってもよい。積層光ファイバ
リボンを用いる場合には、基板の溝に、複数の光ファイ
バを高密度で並列に配置することができる。
【0065】図4(a)は、積層光ファイバリボンを用
いた本発明の光ファイバアレイの一例を模式的に示す部
分斜視図であり、(b)は、(a)の光ファイバアレイ
を構成する基板と積層光ファイバリボンとのみを示す部
分斜視図であり、(c)は、(a)のA−A線断面図で
ある。図4に示すように、光ファイバアレイ200で
は、積層光ファイバリボン210の一端部の露出した光
ファイバ235、245が基板251上のV溝257に
接着層259を介して収納され、積層光ファイバリボン
210の一部が被覆樹脂層ごと被覆樹脂層保持部258
に保持されている。また、被覆樹脂層保持部258に保
持された被覆樹脂層の周囲には接着層259′が形成さ
れている。
【0066】また、積層光ファイバリボン210は、そ
れぞれ一端部の光ファイバが露出した2本の光ファイバ
リボン230、240が積み重ねられ、下段の光ファイ
バリボン240の露出した光ファイバ245と、上段の
光ファイバリボン230の露出した光ファイバ235と
が交互に配置されている。
【0067】また、積層光ファイバリボン210では、
露出した光ファイバ235、245が同一の高さに配置
されるように、露出した光ファイバ235、245は、
それぞれが、その一部で曲げられている。なお、積層光
ファイバリボン210では、上段の光ファイバリボン2
30の露出した光ファイバ235、および、下段の光フ
ァイバリボン240の露出した光ファイバ245のそれ
ぞれの一部が曲げられているが、両者の光ファイバを同
一の高さに配置することができるのであれば、上段の光
ファイバリボンの露出した光ファイバのみが曲げられて
いてもよいし、下段の光ファイバリボンの露出した光フ
ァイバのみが曲げられていてもよい。
【0068】また、積層光ファイバリボン210におい
ては、上段の光ファイバリボン230と、下段の光ファ
イバリボン240とが、接着剤等を介して固定されてい
ることが望ましい。高密度で並列に配置した光ファイバ
の位置ズレがより発生しにくくなるからである。また、
この光ファイバアレイ200においても、基板の上面に
溝とともに、被覆樹脂層保持部を形成する場合、溝形成
面と、被覆樹脂層保持部との境目は被覆樹脂層保持部に
向かって下るような傾斜を有する壁面であることが望ま
しく、被覆樹脂層保持部に代えて、光ファイバを被覆樹
脂層ごと収納するための凹部が形成されていてもよい。
【0069】本発明の光ファイバアレイにおいては、光
ファイバが溝に収納されており、また、基板上に上記光
ファイバを覆う蓋部が接着層を介して取り付けられてい
る。さらに、上記基板に被覆樹脂層保持部が形成されて
いる場合、この被覆樹脂層保持部上には接着層を介して
光ファイバが被覆樹脂層ごと固定されている。
【0070】上記接着層の材質としては、例えば、熱可
塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および、感光性樹脂のうちの
少なくとも一種を含む樹脂組成物の硬化物等の有機系接
着剤が挙げられる。これらのなかでは、熱硬化性樹脂や
感光性樹脂を含む樹脂組成物の硬化物が望ましい。上記
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹
脂等が挙げられる。
【0071】上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビス
フェノール型エポキシ樹脂や、ノボラック型エポキシ樹
脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂
を用いることは、A型やF型の樹脂を選択することによ
り、希釈溶媒を使用しなくてもその粘度を調整すること
ができる点から望ましく、より低粘度に調整することが
できる点からビスフェノールF型エポキシ樹脂がより望
ましい。また、上記ノボラック型エポキシ樹脂を用いる
ことは、この樹脂が、高強度で耐熱性や耐薬品性に優
れ、また、熱分解しにくい点から望ましい。また、上記
ノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂が望ましい。
【0072】また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂
と上記ノボラック型エポキシ樹脂とは、混合して用いる
ことが望ましい。この場合、上記ビスフェノール型エポ
キシ樹脂と上記ノボラック型エポキシ樹脂との混合比
は、1:1〜1:100であることが望ましい。この範
囲で混合することにより、粘度の上昇を抑えることがで
きるからである。
【0073】また、上記感光性樹脂としては、例えば、
上記熱硬化性樹脂に感光性を付与した樹脂等が挙げられ
る。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸等を用い
て、熱硬化性樹脂の熱硬化基を(メタ)アクリル化した
もの等が挙げられる。これらのなかでは、エポキシ樹脂
の(メタ)アクリレートが望ましく、一分子中に2個以
上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂がより望ましい。
また、上記感光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂
等も挙げられる。これらの感光性樹脂は単独で用いても
よいし、2種以上併用してもよい。
【0074】また、上記接着層の材質としては、例え
ば、エポキシ系またはアクリレート系の紫外線硬化型樹
脂組成物の硬化物等も挙げることができる。後述するよ
うに、光ファイバアレイを製造する際に、光ファイバと
溝との間隙や光ファイバと蓋部との間隙に未硬化の接着
剤(樹脂組成物)を流し込むと、表面張力により該間隙
に未硬化の接着剤が充填されることとなるが、上記紫外
線硬化型樹脂組成物では、より確実に上記光ファイバと
溝との間隙等を充填することができるため、上記紫外線
硬化型樹脂組成物の硬化物を介して固定された光ファイ
バでは、位置ズレが発生しない。また、このエポキシ系
またはアクリレート系の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化
物は、被覆樹脂層を被覆樹脂層保持部に固定する接着層
としても用いることができる。また、上記紫外線硬化型
樹脂組成物の硬化物は、その一部がフッ素化されている
ことが望ましい。フッ素化することにより、接着層で水
が生成しにくく、耐湿性が向上することとなる。また、
絶縁性、耐熱性、耐薬品性等も向上することとなる。
【0075】上記エポキシ系の紫外線硬化型樹脂組成物
の具体例としては、例えば、ダイキン工業社製、オプト
ダインUV−1000、オプトダインUV−1100、
オプトダインUV−2100、オプトダインUV−31
00、オプトダインUV−3200、オプトダインUV
−4000等が挙げられる。
【0076】上記アクリレート系の紫外線硬化型樹脂組
成物の具体例としては、例えば、オプトダインUV−2
000、オプトダインUV−3000等が挙げられる。
上記アクリレート系の紫外線硬化型樹脂組成物の具体例
としては、例えば、40〜50重量%のアクリレートオ
リゴマー、1〜10重量%のビニルエステル樹脂、45
〜55重量%のアクリレート系モノマー、および、1〜
10重量%の重合開始剤を含むもの等も挙げられる。
【0077】また、上記アクリレートオリゴマーや上記
アクリレート系モノマーは、その一部がフッ素化されて
いることが望ましい。このように、紫外線硬化型樹脂組
成物に含まれる成分の一部がフッ素化されている場合、
紫外線硬化型樹脂組成物は透光性に優れるため、紫外線
照射時に、樹脂組成物全体が短時間で硬化することとな
る。
【0078】また、上記接着層が上記紫外線硬化型樹脂
組成物の硬化物である場合、露出した光ファイバ、蓋
部、および、被覆樹脂層を固定する接着層として、とも
に、エポキシ系またはアクリレート系の紫外線硬化型樹
脂組成物の硬化物を用いてもよいし、露出した光ファイ
バおよび蓋部を固定する接着層としてエポキシ系の紫外
線硬化型樹脂組成物の硬化物を用い、被覆樹脂層を固定
する接着層としてアクリレート系の紫外線硬化型樹脂組
成物の硬化物を用いてもよい。
【0079】露出した光ファイバおよび蓋部を固定する
接着層として、比較的硬いエポキシ系の紫外線硬化型樹
脂組成物の硬化物を用いることにより光ファイバの位置
ズレがより発生しにくくなり、被覆樹脂層を固定する接
着層として比較的柔らかいアクリレート系の紫外線硬化
型樹脂組成物の硬化物を用いることにより、被覆樹脂層
部分は、光ファイバアレイを取り付ける部分の形状等に
合わせて、ある程度変形することができることとなる。
なお、その形状が基板の全面を覆う形状の蓋部を取り付
ける場合には、接着層は、1種類の紫外線硬化型樹脂組
成物の硬化物からなるものであることが望ましい。
【0080】また、接着層として上記紫外線硬化型樹脂
組成物の硬化物を用いる場合、上記紫外線硬化型樹脂組
成物の25℃における粘度は、特に限定されないが、2
00〜2000mPa・sであることが望ましい。上記
粘度が200mPa・s未満では、粘度が低すぎるた
め、溝と光ファイバとの間隙に流し込んだ紫外線硬化型
樹脂組成物が硬化前に流出してくるおそれがあり、20
00mPa・sを超えると、溝と光ファイバとの間隙が
確実に充填されないことがある。
【0081】また、上記紫外線硬化型樹脂組成物の25
℃における粘度は、露出した光ファイバおよび蓋部を固
定するために用いる紫外線硬化型樹脂組成物の粘度が2
00〜2000mPa・sであり、光ファイバを被覆樹
脂層ごと固定するために用いる紫外線硬化型樹脂組成物
の粘度が5000〜30000mPa・sであることも
望ましい。光ファイバを固定するための紫外線硬化型樹
脂組成物として、上記範囲の粘度を有する樹脂組成物を
用いることにより、樹脂組成物が光ファイバと溝との間
隙に確実に充填されることとなり、光ファイバを樹脂組
成物ごと固定するための紫外線硬化型樹脂組成物とし
て、上記範囲の粘度を有する樹脂組成物を用いる場合に
は、被覆樹脂層の周囲に樹脂組成物を塗布しやすい。な
お、上記紫外線硬化型樹脂組成物の粘度の調整は、溶剤
や各種添加剤の配合量を調整することにより行えばよ
い。
【0082】また、上記光ファイバを被覆樹脂層ごと固
定する接着層としては、上記アクリレート系の紫外線硬
化型樹脂組成物の硬化物に代えて、または、上記アクリ
レート系の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物と組み合わ
せて、シリコーン系接着剤を用いてもよい。上記シリコ
ーン系の接着剤としては、例えば、信越化学工業社製、
KJC−7806、ダウコーニング社製、734等が挙
げられる。
【0083】上記有機系接着剤には、必要に応じて、硬
化剤、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子等の粒子、光沢
剤、反応安定剤、光重合剤等の添加剤が含まれていても
よい。これらの添加剤を含むことにより、流動性の向上
や硬化度の調整等を図ることができるからである。上記
硬化剤としては特に限定されず、一般に使用される硬化
剤を用いることができ、具体例としては、例えば、イミ
ダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤等が挙げられる。
【0084】上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性
樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、具体的
には、例えば、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、
グアナミン樹脂)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フ
ェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、
ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド−ト
リアジン樹脂等からなるものが挙げられる。これらは単
独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、
上記樹脂粒子としては、アクリロニトリル−ブタジエン
ゴム、ポリクロロプレンゴム等のゴムからなる粒子を用
いることもできる。
【0085】上記無機粒子としては、アルミナ、水酸化
アルミニウム等のアルミニウム化合物、炭酸カルシウ
ム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸カリ
ウム等のカリウム化合物、マグネシア、ドロマイト、塩
基性炭酸マグネシウム等のマグネシウム化合物、シリ
カ、ゼオライト等のケイ素化合物、チタニア等のチタン
化合物等からなるものが挙げられる。これらは単独で用
いてもよいし、2種以上併用してもよいまた、上記無機
粒子としては、リンやリン化合物からなるものを用いる
こともできる。
【0086】上記金属粒子としては、例えば、金、銀、
銅、スズ、亜鉛、ステンレス、アルミニウム、ニッケ
ル、鉄、鉛等からなるものが挙げられる。これらは単独
で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これらの
粒子を含むことにより、熱膨張係数の調整や難燃性の向
上等を図ることができる。
【0087】また、上記有機系接着剤は、溶剤を含んで
いてもよいし、溶剤を全く含まないものであってもよ
い。また、溶剤を含む場合、溶剤としては、例えば、N
MP(ノルマルメチルピロリドン)、DMDG(ジエチ
レングリコールジメチルエーテル)、グリセリン、シク
ロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルセルソル
ブ、メチルセルソルブアセテート、メタノール、エタノ
ール、ブタノール、プロパノール等が挙げられる。
【0088】上記接着層の材質は、上述したような有機
系接着剤に限定されるわけではなく、例えば、半田等で
あってもよい。上記半田の具体例としては、例えば、S
n−Pb、Sn−Sb、Sn−Ag等が挙げられる。ま
た、上記接着層の材質として半田を用いる場合には、上
記蓋部の基板と対向する面や、上記基板上面、露出した
光ファイバの表面等の接着層と接する面の一部または全
部には、予め、金属層を形成しておく必要がある。な
お、上記金属層の形成方法等については後述する。
【0089】次に、本発明の光ファイバアレイを製造す
る方法について工程順に説明する。 (1)上述したシリコン等からなる基板を出発材料と
し、該基板上面の一部に複数の溝を形成する。具体的に
は、例えば、下記(i)〜(viii)の工程を経ることに
より基板上面に溝を形成することができる。図5(a)
〜(g)は、基板に溝を形成する方法の一例を示す断面
図である。
【0090】(i)まず、基板151上にマスク層15
2(152a、152b)を形成する(図5(a)参
照)。なお、上記マスク層の層数は、図5に示すような
2層に限定されず、1層であってもよいし、3層以上で
あってもよい。
【0091】マスク層152を形成する方法としては、
例えば、スパッタリング、CVD、めっき等により薄膜
を形成する方法、熱酸化等により酸化膜を形成する方
法、これらを組み合わせた方法等を用いることができ
る。これらのなかでは、例えば、シリコンからなる基板
上にマスク層を形成する場合には、まず、熱酸化により
酸化膜(SiO膜)を形成し、次に、この酸化膜上
に、CVDにより薄膜を形成する方法が望ましい。この
ようなマスク層を形成することにより、後工程で任意の
部分にエッチング処理を施すことにより、任意の形状の
マスクを形成することができる。
【0092】(ii)次に、マスク層152上にレジスト
用樹脂層154を形成する(図5(b)参照)。具体的
には、予め粘度を調整しておいたレジスト用樹脂組成物
をスピンコータ、カーテンコータ、ロールコータ、印刷
等により塗布する方法や、予めフィルム状に成形してお
いたレジスト用樹脂フィルムを貼り付ける方法等を用い
ることができる。
【0093】上記レジスト用樹脂組成物やレジスト用樹
脂フィルムとしては、例えば、樹脂成分と、必要に応じ
て配合された硬化剤、粒子、ゴム成分、添加剤、反応安
定剤、溶剤等とからなるものが挙げられる。上記樹脂成
分としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感
光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光性基で置換された
樹脂、これらの複合樹脂等が挙げられる。
【0094】具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポ
リフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等
の熱硬化性樹脂;これらの熱硬化性樹脂の熱硬化基(例
えば、エポキシ樹脂におけるエポキシ基)にメタクリル
酸やアクリル酸等を反応させ、アクリル基(感光性基)
を付与した樹脂;フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフ
ォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェ
ニレンスルホン(PPS)、ポリフェニレンサルファイ
ド(PPES)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポ
リエーテルイミド(PI)等の熱可塑性樹脂;アクリル
樹脂、紫外線硬化樹脂等の感光性樹脂等が挙げられる これらのなかでは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポ
リイミド樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化樹脂が望まし
い。後工程で、レジスト用樹脂層下のマスク層にエッチ
ング液を用いた処理を施す際に、該エッチング液に対す
る耐性に優れるからである。上記硬化剤としては、イミ
ダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤
等が挙げられる。
【0095】また、上記レジスト用樹脂層の厚さは10
〜50μmが望ましい。また、上記レジスト用樹脂層
は、硬化状態であってもよいし、半硬化状態であっても
よい。具体的には、例えば、後工程で露光、現像処理に
より、基板に形成する溝に相当する部分のレジスト用樹
脂層を除去する場合には、半硬化状態であることが望ま
しく、レーザ処理等により、上記溝に相当する部分のレ
ジスト用樹脂層を除去する場合には、硬化状態であって
もよいし、半硬化状態であってもよい。なお、完全に硬
化した状態や、半硬化状態のレジスト用樹脂層を形成す
る場合、硬化処理は、例えば、70〜200℃に加熱す
ることにより行うことが望ましい。また、段階的に加熱
温度を変化させるステップ硬化を行ってもよい。
【0096】(iii)次に、レジスト用樹脂層154の
一部、すなわち、基板151に形成する溝に相当する部
分を除去し、エッチングレジスト155とする(図5
(c)参照)。レジスト用樹脂層154の除去は、例え
ば、露光、現像処理により行うことができる。具体的に
は、例えば、半硬化状態のレジスト用樹脂層上にマスク
を載置した後、露光処理を施し、その後、アルカリ溶液
や有機溶剤等の薬液による現像処理を施す。上記現像処
理は、上記薬液中に上記レジスト用樹脂層を形成した基
板を浸漬したり、上記薬液をスプレーしたりすることに
より行うことができる。また、上記マスクとしては、上
記レジスト用樹脂層の除去部分に相当する部分に溝のパ
ターンが描画されたマスクを用いることができる。
【0097】また、レジスト用樹脂層154の除去は、
レーザ処理を用いて行ってもよい。上記レーザ処理に用
いるレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、エキシ
マレーザ、UVレーザ、YAGレーザ等が挙げられる。
これらのレーザは、上記レジスト用樹脂層の除去部分の
形状や、上記レジスト用樹脂層の組成等を考慮して使い
分ければよい。なお、この工程で形成するエッチングレ
ジストの形状を調整することにより、後工程を経て形成
する溝の形状を調整することができる。
【0098】(iv)次に、エッチングレジスト155非
形成部に露出したマスク層152を除去し、基板151
の溝を形成する部分を露出させたマスク156を形成す
る(図5(d)参照)。マスク層152の除去は、例え
ば、RIE(反応性イオンエッチング)、酸素プラズマ
や窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ処理、
逆スパッタリング等のドライエッチング処理により行う
ことができる。具体的には、例えば、真空下または減圧
下において、マスク層に酸素プラズマを照射することに
より行うことができる。このようなドライエッチング処
理を行うことにより、エッチングレジストに損傷や変形
等を発生させることなく、選択的にレジスト非形成部分
のマスク層のみを除去することができる。
【0099】また、マスク層152の除去は、例えば、
エッチング液や酸溶液に、マスク層152が形成された
基板を浸漬したり、溶液中に浸漬するとともに超音波処
理を施したり、エッチング液や酸溶液をマスク層にスプ
レーしたりすることによっても行うことができる。具体
的にどのような除去方法を選択するかは、マスク層の材
質や厚さ等を考慮して適宜決定すればよく、例えば、マ
スク層が酸化膜からなる場合には、プラズマ処理やエッ
チング液による処理を選択し、マスク層が金属層からな
る場合には、逆スパッタリングやエッチング液による処
理を選択すればよい。
【0100】(v)次に、エッチングレジスト155を
剥離除去する(図5(e)参照)。エッチングレジスト
155の剥離除去は、NaOH、KOH等のアルカリ溶
液、硫酸、酢酸、炭酸等の酸溶液、メタノール、エタノ
ール等のアルコール類、アミン類、ケトン、アセトン等
の有機溶剤等を用いて行うことができる。これにより、
基板151上に、溝を形成する部分に相当する部分が開
口したマスク156のみが形成されることとなる。
【0101】(vi)次に、基板151に溝157を形成
する(図5(f)参照)。溝157は、例えば、基板1
51にマスク156を介して、エッチング液を吹き付け
たり、マスク156が形成された基板151をエッチン
グ液中に浸漬したりすることにより形成することができ
る。上記エッチング液としては、例えば、NaOH、K
OH等のアルカリ、硝酸、燐酸、硫酸等の酸、フッ化水
素、フッ化臭素等のフッ素系化合物、ハロゲン化物、過
酸化水素水、メタノール、エタノール等のアルコール類
等を用いることができる。これらのエッチング液を用い
て溝を形成した場合、溝の断面の形状は、V字状や倒立
台形状、矩形状、これらを組み合わせた形状等となる。
【0102】上記エッチング液の濃度は、10〜50重
量%が望ましい。上記濃度が、10重量%未満ではエッ
チング処理に長時間を要することがあり、一方、50重
量%を超えてもエッチング速度はほとんど変化しない。
また、上記エッチング液の温度は20〜90℃が望まし
く、エッチング速度は0.5〜5.0μm/分が望まし
い。上記エッチング液の温度が20℃未満では、充分に
エッチングできないことがあり、エッチング液の温度が
90℃を超えてもエッチング量はほとんど変わらず、作
業時の安全性が低下することとなる。
【0103】ここで、その材質がシリコンやガリウム砒
素の基板に溝を形成する場合には、KOH等のアルカリ
溶液を用いたエッチング処理を行うことが望ましい。シ
リコンやガリウム砒素からなる基板に、エッチング処理
を行う場合、エッチング面、エッチング液の種類、およ
び、エッチングレジスト非形成部の形状として適宜なも
のを選択することにより、所望の形状の溝を形成するこ
とができる。
【0104】すなわち、KOHを含むエッチング液を用
いてシリコン基板をエッチングする場合、シリコン基板
の(100)面が、(111)面および(110)面に
比べて優先的にエッチングされ、それぞれの結晶面のエ
ッチング速度比がほぼ一定であるため、所望の形状の溝
を形成することができる。具体的には、シリコン基板の
(100)面にエッチング処理を施す場合には、断面の
形状がV字状や倒立台形状の溝を形成することができ、
(110)面にエッチング処理を施す場合には、断面の
形状が矩形状の溝を形成することができる。
【0105】また、KOHを含むエッチング液を用いて
ガリウム砒素基板をエッチングする場合には、(11
1)Ga面のエッチング速度が最も遅く、(111)A
s面のエッチング速度が最も速いことを利用することに
より、所望の形状の溝を形成することができる。
【0106】この工程で、エッチング処理を施す際に
は、エッチング液中に界面活性剤等を添加しておいても
よい。エッチング処理時に激しく発泡する場合には、こ
の発泡によりエッチング面に凹凸が形成されることがあ
るが、界面活性剤を添加しておくことによりエッチング
処理時の発泡を抑えることができるからである。また、
上記エッチング処理を超音波を印加しながら行ってもよ
い。超音波を印加することによっても発泡を抑えること
ができるからである。
【0107】また、基板をエッチング液中に浸漬してエ
ッチング処理を行う場合には、基板を揺動したり、エッ
チング液を攪拌したりしながらエッチング処理を行って
もよい。
【0108】(vii)次に、必要に応じて、基板151
上のマスク156を除去する(図5(g)参照)。マス
ク層156の除去を行うことにより、溝の表面を含む基
板の上面全体が、同一組成のものから構成されることと
なり、後工程で、該基板の表面に粗化面を形成する場
合、基板の上面全体に同一条件で粗化面を形成すること
ができる。
【0109】マスク156を除去する方法としては、上
記(iv)の工程で用いた方法と同様の方法を用いること
ができる。すなわち、上記(iv)の工程でエッチングレ
ジスト155非形成部に露出したマスク層152を除去
する際に用いた処理を、この工程でも行えばよい。
【0110】なお、マスク156の除去は、行わなくて
もよく、その場合、後工程で光ファイバを収納する部分
は、厳密には、マスク非形成部分と基板に設けた溝とを
合わせた部分となるが、本明細書においては、特にこと
わりのない限り、マスク非形成部分と基板に設けた溝と
を合わせた部分も溝ということとする。従って、マスク
の壁面が溝の表面の一部を構成することもある。
【0111】(viii)次に、必要に応じて、溝の表面を
含む基板上面の全部または一部に粗化面(図示せず)を
形成する。上記粗化面は、基板上面の一部(例えば、溝
の表面、基板上面の溝を形成していない部分等)のみに
形成されていてもよいが、基板の上面全体に形成されて
いることが望ましい。接着層との密着性がより向上する
からである。
【0112】また、この(1)の工程を経て、シリコン
等からなる板状体に溝を形成する場合には、上述したよ
うに、マスクの除去は行ってもよいし、行わなくてもよ
い。従って、溝形成後に基板の上面(溝の表面を含む)
には、板状体が露出している場合もあるし、マスクが露
出している場合もある。
【0113】具体的には、シリコンからなる板状体の表
面に、SiO膜と、Si膜とからなるマスクを
形成し、その後、上述した工程を経て作製した基板の露
出面の材質は、シリコン、SiO、または、Si
となり、本発明の光ファイバアレイにおいては、これ
らの材質からなる露出面の一部または全部に粗化面が形
成されていることが望ましい。すでに、シリコンからな
る露出面に粗化面を形成する方法についてはすでに説明
しているため、ここでは、SiO膜や、Si
に粗化面を形成する方法ついて、簡単に説明しておく、
すなわち、SiO膜やSi膜に粗化面を形成す
る場合には、例えば、上記(iv)の工程に記載したマス
クを除去する方法を緩和な条件で行えばよい。
【0114】上記基板上面に粗化面を形成する場合、該
粗化面は、その表面粗さが、上述したような平均粗さR
a、凹凸の平均間隔Smおよび局部山頂の平均間隔Sを
有することが望ましく、上記粗化面を形成する方法とし
ては、例えば、上述したような、蓋部の表面に粗化面を
形成する方法と同様の方法等を用いることができる。こ
のような(i)〜(viii)工程を経ることにより、基板
に所望の形状の溝を形成することができる。
【0115】また、この(1)の工程で、基板に溝を形
成する方法は、上述したようなエッチング処理を施す方
法に限定されず、基板の材質や形成する溝の形状等を考
慮して最適な形成方法を選択すればよい。具体的には、
例えば、高ケイ酸ガラスからなる基板に溝を形成する場
合には、ダイヤモンド刃を備えた装置を用いて切削加工
を施すことにより溝を形成することができる。シリコン
からなる基板に溝を形成する場合にも、切削加工を施す
ことにより溝を形成してもよいが、一般に、異方性エッ
チングにより溝を形成した場合には、切削加工により溝
を形成した場合に比べて、隣合う溝同士の相対的な位置
精度に優れるため、シリコンからなる基板に溝を形成す
る場合には、異方性エッチングにより溝を形成すること
が望ましい。
【0116】この(1)の工程においては、基板に溝を
形成するとともに、光ファイバや光ファイバリボンを被
覆樹脂層ごと保持するための被覆樹脂層保持部を形成す
ることが望ましい。上記被覆樹脂層保持部の形成方法と
しては特に限定されず、例えば、ダイヤモンド刃を備え
た装置を用いる方法等が挙げられる。また、上記被覆樹
脂層保持部の形成は、一回で行ってもよいし、二回以上
に分けて行ってもよい。
【0117】上記被覆樹脂層保持部を形成した際に、該
被覆樹脂層保持部の上面は凹凸を有することがある。こ
の場合、凹凸を平坦化するための研磨処理を行ってもよ
いが、光ファイバリボン等を保持した際に光ファイバリ
ボンが大きく傾いたりするほどの凹凸でなければ、特
に、研磨処理等を施すことなく、そのままにしておくこ
とが望ましい。これは、上記被覆樹脂層保持部で接着層
を介して被覆樹脂層を保持した場合に、アンカー効果に
より被覆樹脂層保持部と接着層との密着性が向上するか
らである。また、ここで被覆樹脂層保持部を形成する場
合、該被覆樹脂層保持部には、保持する光ファイバリボ
ン等の形状に追従するように、高さの異なる複数の保持
面を形成してもよい。
【0118】なお、基板上面に溝とともに、上記被覆樹
脂層保持部を形成する場合、溝形成面と、被覆樹脂層保
持部との境目は、図1に示すような、被覆樹脂層保持部
に向かって下るような傾斜を有する壁面とすることが望
ましい。光ファイバにかかる負荷を軽減することができ
るからである。また、上記被覆樹脂層保持部に代えて、
光ファイバをその周囲の被覆樹脂層ごと収納することが
できる凹部を形成してもよい。なお、該凹部もまた、ダ
イヤモンド刃を備えた装置等を用いて形成することがで
きる。
【0119】また、後工程で形成する接着層の材質とし
て半田を用いる場合には、この(1)の工程において、
基板上面のうち後工程を経て半田と接することとなる部
分の一部または全部に金属層を形成しておく。上記金属
層の材質としては、半田との密着性に優れるものであれ
ば特に限定されず、例えば、銅、ニッケル、貴金属等が
挙げられる。
【0120】上記金属層を形成する方法としては、例え
ば、めっき、スパッタリング等が挙げられる。また、上
記基板上に金属層を形成した場合もまた、該金属層の表
面に粗化面を形成することが望ましい。上記金属層の表
面を粗化面とする場合、予め、基板の上面に粗化面を形
成しておき、この粗化面の形状に追従するように金属層
を形成してもよいし、表面の平滑な金属層を形成した
後、黒化(酸化)−還元処理、第二銅錯体と有機酸塩と
を含むエッチング液等を用いたエッチング処理等を施す
ことにより金属層の表面に粗化面を形成してもよい。さ
らには、Cu−Ni−P針状合金めっき等によりその表
面が粗化面の金属層を形成してもよい。
【0121】(2)ここでは、基板の作製とは別に、一
部の被覆樹脂層が除去され、光ファイバが露出した光フ
ァイバリボンを作製する。ここで、除去する被覆樹脂層
は、光ファイバリボンの一端部の被覆樹脂層であってよ
いし、光ファイバリボンの両端部以外の一部の被覆樹脂
層であってもよいが、光ファイバリボンの両端部以外の
一部の被覆樹脂層であることが望ましい。このような両
端部以外の一部の被覆樹脂層を除去した光ファイバリボ
ンでは、露出した光ファイバの両端が固定されているた
め、より光ファイバの軸方向のバラツキが発生しにく
く、後工程で、基板に収納するのに適しているからであ
る。
【0122】上記被覆樹脂層の除去は、例えば、ストリ
ッパ等の被覆樹脂層剥離装置を用いて機械的に除去する
方法や、有機溶剤を用いて被覆樹脂層を溶解することに
より化学的に除去する方法等を用いることができる。ま
た、レーザ光を照射することにより除去する方法を用い
てもよい。
【0123】また、被覆樹脂層を除去した後には、上述
した方法により、光ファイバの表面に粗化面を形成する
ことが望ましい。光ファイバの表面に粗化面を形成した
場合には、後工程で基板の端面から未硬化の接着剤を流
し込む際に、表面張力による未硬化の接着剤の流入の度
合いが略均一であるため、確実に溝と光ファイバとの間
隙に未硬化の接着剤を流し込むことができる。
【0124】(3)次に、上記(2)の工程で作製し
た、その一部の光ファイバが露出した光ファイバリボン
を基板の溝に収納する。ここで、その一端部の被覆樹脂
層が除去された光ファイバリボンを収納する場合、それ
ぞれの光ファイバの端面と基板の側面とが揃うように収
納してもよいし、それぞれの光ファイバが基板の側面か
ら一定長さだけ突出するように収納してもよい。なお、
その一端部の被覆樹脂層が除去された光ファイバリボン
を収納する場合には、露出した光ファイバを整列器等で
保持しながら、収納することが望ましい。光ファイバを
所定の位置により確実に収納することができるからであ
る。
【0125】また、ここで、その両端部以外の一部の被
覆樹脂層が除去された光ファイバリボンを収納した場合
には、光ファイバリボンを収納した後、基板に収納しな
かった光ファイバリボンの一端部を切断除去することと
なる。なお、光ファイバリボンの一端部を切断除去する
場合、それぞれの光ファイバの端面と基板の側面とが揃
うように切断除去してもよいし、それぞれの光ファイバ
が基板の側面から一定長さだけ突出するように切断除去
してもよい。上記光ファイバリボンの切断除去は、カッ
ター等を用いた切削加工により行うことができる。ま
た、機械研磨により行ってもよい。
【0126】また、上記(1)の工程で、被覆樹脂層保
持部を形成した場合には、この工程で、溝に光ファイバ
を収納するとともに、該被覆樹脂層保持部上に光ファイ
バリボンを被覆樹脂層ごと載置する。また、基板上に、
光ファイバリボンを被覆樹脂層ごと収納するための凹部
を形成した場合には、該凹部に光ファイバリボンを被覆
樹脂層ごと収納する。
【0127】(4)次に、必要に応じて、上記溝の光フ
ァイバ非収納部分に未硬化の有機系接着剤を充填し、そ
の後、硬化処理を施す方法や、上記溝の光ファイバ非収
納部分に溶融した半田を充填する方法等を施すことによ
り光ファイバを溝に固定する。具体的には、例えば、基
板の端面(溝の端部)から未硬化の接着剤を流し込み、
その後、硬化処理を施したり、基板の端面(溝の端部)
から溶融した半田を流し込んだりすることにより光ファ
イバを固定する。また、基板の一部に被覆樹脂層保持部
を形成し、該被覆樹脂層保持部に光ファイバリボンを被
覆樹脂層ごと載置する場合や、基板の一部に凹部を形成
し、光ファイバリボンを被覆樹脂層ごと凹部に収納する
場合には、上記被覆樹脂層の周囲にも未硬化の接着剤等
を塗布しておき、この未硬化の接着剤を硬化させること
により被覆樹脂層を固定してもよい。ここで、被覆樹脂
層保持部の形状が傾斜を有する壁面を含む形状である場
合、この被覆樹脂層保持部では、露出した光ファイバの
一部と、被覆樹脂層とを接着層を介して固定することが
望ましい。なお、光ファイバを収納する前に、予め,溝
内等に未硬化の接着剤を流し込んでおき、光ファイバを
収納した後、接着剤を硬化することにより光ファイバを
固定してもよい。
【0128】上記未硬化の接着剤の硬化は、例えば、8
0〜250℃で加熱することにより行うことができる。
また、感光性樹脂を含む接着剤の硬化は、紫外線や赤外
線を照射することにより行えばよい。
【0129】(5)次に、上記基板の溝に収納した光フ
ァイバを覆うように、基板上に接着層を介して蓋部を取
り付ける。この工程で取り付ける蓋部が、その形状が光
ファイバの一部を一括して収納する凹部が形成された形
状である場合や、その光ファイバの軸に垂直な方向の断
面の形状が、矩形の両方の側方下部が切り取られた形状
である場合には、予め、上記した形状に切削加工等を施
しておく。
【0130】また、蓋部を取り付ける際には、予め、基
板上面の蓋部と対向する部分に、未硬化の接着剤を塗布
しておき、この未硬化の接着剤の上に蓋部を載置し、そ
の後、硬化処理を施すことにより蓋部を取り付けたり、
上記基板上面の蓋部と対向する部分に溶融した半田を塗
布しておき、この溶融した半田の上に蓋部を載置するこ
とにより蓋部を取り付けてもよいが、先に、基板(光フ
ァイバ)上に蓋部を載置し、その後、該蓋部と基板や光
ファイバとの間隙に未硬化の接着剤や、溶融した半田等
を流し込み、さらに、必要に応じて硬化処理等を施すこ
とにより蓋部を取り付けることが望ましい。未硬化の接
着剤等の上に蓋部を載置した場合、接着層と蓋部との間
に空気が入りこみやすく、この空気を起点として接着層
と蓋部との剥離が発生することがあるからである。
【0131】また、上記(4)の工程において、溝の光
ファイバ非収納部に接着層を形成せずに、光ファイバの
収納のみを行っておき、この工程で基板(光ファイバ)
上に蓋部を載置した後、該蓋部と基板や光ファイバとの
間隙に未硬化の接着剤や半田ペーストを流し込む際に、
同時に溝の光ファイバ非収納部に未硬化の接着剤等を流
し込んでもよい。
【0132】また、この工程では、予め、蓋部の基板と
対向する部分に粗化面を形成しておく。上記蓋部に形成
する粗化面は、その表面粗さが、上述したようなJIS
B 0601に基づく表面粗さを有することが望まし
い。また、上記粗化面の形成は、上述した方法で行えば
よい。
【0133】また、上記(3)の工程において、その両
端部以外の一部の被覆樹脂層が除去された光ファイバリ
ボンを収納した場合は、この工程で蓋部を取り付けた後
に、光ファイバリボンの基板に収納されなかった部分を
切断除去する。
【0134】また、その一端部が露出した光ファイバリ
ボンを収納した後や、両端部以外の一部の露出した光フ
ァイバの収納と、光ファイバリボンの一端部の切断除去
とを行った後には、光ファイバの端面に研磨処理を施す
ことが望ましい。ここで、研磨処理を施す場合には、光
ファイバ、基板および蓋部の端面に傾斜を持たすように
研磨処理を施すことが望ましい。光信号伝送時のもどり
光の発生を抑制することができるからである。また、こ
の場合、光ファイバの端面に研磨処理を施すとともに、
基板や蓋部の側面に研磨処理を施してもよい。
【0135】このような工程を経ることにより、本発明
の光ファイバアレイを製造することができる。なお、こ
こでは、光ファイバリボンを用いて光ファイバアレイを
製造する方法について説明したが、本発明の光ファイバ
アレイは、単心の光ファイバを用いたり、積層光ファイ
バリボンを用いても製造することができる。
【0136】具体的には、単心の光ファイバを用いて光
ファイバアレイを製造する場合には、例えば、一端部の
被覆樹脂層を剥離した複数本の光ファイバを、整列器を
用いて並列に整列させた後、上記(3)の工程で、整列
器で保持したまま、基板に収納し、その後、上記した方
法と同様の方法を用いて光ファイバの固定や蓋部の形成
等を行うことにより光ファイバアレイを製造することが
できる。
【0137】また、積層光ファイバリボンを用いて光フ
ァイバアレイを製造する場合には、例えば、図6に示す
ような、その一部の被覆樹脂層が除去された積層光ファ
イバリボン300を作製し、その後、この積層光ファイ
バリボンを基板に収納、固定させることにより光ファイ
バアレイを製造することができる。図6は、積層光ファ
イバリボンの一実施形態を模式的に示す部分斜視図であ
る。
【0138】図6に示すように、積層光ファイバリボン
300は、その両端部以外の一部の光ファイバ345a
が露出した第二の光ファイバリボン(下段の光ファイバ
リボン)340の露出した光ファイバ345aの間に、
その一端部の光ファイバ335aが露出した第一の光フ
ァイバリボン(上段の光ファイバリボン)330の露出
した光ファイバ335aが配置されるように、第一の光
ファイバリボン330と第二の光ファイバリボン340
とが積み重ねられている。
【0139】また、積層光ファイバリボン300では、
露出した光ファイバ335a、345aが同一の高さに
配置されるように、露出した光ファイバ335a、34
5aは、それぞれが、その一部で曲げられている。この
ように、光ファイバ335aおよび光ファイバ345a
を同一の高さに配置することより、基板の溝に収納する
のに適した形状となる。
【0140】なお、積層光ファイバリボン300では、
第一の光ファイバリボン330の露出した光ファイバ3
35a、および、第二の光ファイバリボン340の露出
した光ファイバ345aのそれぞれの一部が曲げられて
いるが、両者の光ファイバを同一の高さに配置すること
ができるのであれば、第一の光ファイバリボンの露出し
た光ファイバのみが曲げられていてもよいし、第二の光
ファイバリボンの露出した光ファイバのみが曲げられて
いてもよい。
【0141】また、積層光ファイバリボン300におい
て、第一の光ファイバリボン330と第二の光ファイバ
リボン340とは、接着剤を介して固定されていること
が望ましい。なお、図6に示す積層光ファイバリボン3
00においては、8本の光ファイバが同一の高さに配置
されているが、積層光ファイバリボンにおける光ファイ
バの本数は8本に限定されず、7本以下であってもよい
し、9本以上であってもよい。また、上記第一および第
二の光ファイバリボンのそれぞれの光ファイバの本数
は、図6に示す光ファイバリボンのように同数か、第一
の光ファイバリボンのほうが1本多いか、または、第二
の光ファイバリボンのほうが1本多いことが望ましい。
このような場合、光ファイバを最も高密度で配列させる
ことができるからである。
【0142】上記積層光ファイバリボンの作製は、例え
ば、まず、光ファイバリボンの一端部の被覆樹脂層を、
上述したような、被覆樹脂層剥離装置を用いる方法、有
機溶剤で溶解させる方法、レーザ光を照射する方法等を
用いて除去することにより第一の光ファイバリボンを作
製し、これとは別に、上記と同様の被覆樹脂層の除去方
法を用いて、光ファイバリボンの両端部以外の一部の被
覆樹脂層を除去することにより第二の光ファイバリボン
を作製し、次に、光ファイバの一部を曲げた後、両者の
光ファイバが、交互に等間隔で配置されるように、第一
および第二の光ファイバリボンを、接着剤を介して積み
重ねることにより行うことができる。
【0143】このような積層光ファイバリボンを基板に
収納、固定させる方法としては、上記(4)および
(5)の工程で用いた方法と同様の方法を用いることが
できる。なお、上記積層光ファイバリボンを用いて光フ
ァイバアレイを製造する場合も、上記基板に積層光ファ
イバリボンを収納、固定した後、第二の光ファイバリボ
ンの一端部の切断除去と光ファイバの端面等の研磨処理
とを行う。
【0144】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0145】(実施例1) A.一部の被覆樹脂層が除去された光ファイバリボンの
作製 直径250μmの光ファイバ115が、クラッド間隔2
50μmで8本並列に配置され、該光ファイバの周囲に
アクリレート系紫外線硬化型樹脂からなる被覆樹脂層
(一次被覆層113および二次被覆層114)が被覆さ
れた光ファイバリボン(住友電気工業社製)を準備し、
この光ファイバリボンの一端部から5〜50mmのとこ
ろの部分の被覆樹脂層(一次被覆層および二次被覆層)
を被覆樹脂層剥離装置で剥離した(図7(a)参照)。
【0146】B.蓋部の作製 高ケイ酸ガラスからなる板状体に、ダイヤモンド刃を備
えた装置を用いて切削加工を施すことにより、露出した
光ファイバを収納するための凹部161を形成し、蓋部
160とした(図8(a)参照)。なお、該凹部は、そ
の断面の形状が矩形状である。
【0147】次に、蓋部160の基板と対向することと
なる面に、下記の方法により粗化面を形成した。すなわ
ち、まず、蓋部160の基板と対向する面に、片面砂目
研磨(♯1000)を施し、その後、この蓋部をHF:
O=1:20、温度45℃のHF水溶液に、30分
間浸漬することにより粗化面を形成した。
【0148】この工程で形成した粗化面を電子顕微鏡
(SEM)により平面視したところ、該粗化面は、粒子
状物が並んだ像として観察された。
【0149】さらに、この観察された粒子状物の平均粒
子径は、20μmであった。なお、上記平均粒子径は、
電子顕微鏡(5000倍)により得られた観察画像から
無作為に20個の粒子状物を選び出し、これらの粒子径
の平均値として算出した。
【0150】また、この工程で形成した粗化面の表面粗
さは、JIS B 0601に基づく凹凸の平均間隔S
mが20μmであり、局部山頂の平均間隔Sが300n
mであり、平均粗さRaが400nmであった。なお、
上記粗化面のJIS B 0601に基づく表面粗さ
は、干渉縞を用いた表面粗さ計(ビーコ・インスツルメ
ンツ社製、WYKO NT−2000 system)
を用いて測定した。
【0151】C.光ファイバアレイの作製 (1)その表面に研磨処理を施した厚さ0.5〜2.0
mmのシリコン基板151を出発材料とし、このシリコ
ン基板151上に下記の方法によりマスク層152を形
成した(図5(a)参照)。すなわち、まず、シリコン
基板151の表面に熱酸化炉中で、厚さ0.04μmの
SiO膜152aを形成し、次に、このSiO膜上
に減圧CVD法を用いて、厚さ0.1μmのSi
膜152bを形成することにより、SiO膜152a
とSi膜152bとの2層からなるマスク層15
2を形成した。
【0152】(2)次に、マスク層152上に、スピン
コータを用いてレジスト用樹脂組成物を塗布し、厚さ2
5μmのレジスト用樹脂層154を形成した(図5
(b)参照)。
【0153】(3)次に、上記レジスト用樹脂層154
上に溝パターンが描画されたマスクを載置し、800m
J/cmで露光し、その後、アルカリ溶液で現像処理
することにより、マスク層上にエッチングレジスト15
5を形成した(図5(c)参照)。
【0154】(4)次に、エッチングレジスト155非
形成部に露出したマスク層を下記の方法により除去し、
基板151の一部を露出させたマスク156を形成した
(図5(d)参照)。すなわち、まず、露出したSi
膜を、50Wで2.5時間のRIE処理を用いて除
去することによりSiO膜を露出させ、さらに、この
SiO膜を3重量%のHF溶液を用いたウェットエッ
チング処理を3分間施すことにより除去し、シリコン基
板を露出させた。
【0155】(5)次に、10重量%のNaOH水溶液
を用いてエッチングレジストを剥離除去した(図5
(e)参照)。これにより、シリコン基板151上に
は、溝を形成する部分に相当する部分が開口したマスク
156のみが形成されていることとなった。
【0156】(6)次に、マスク156が形成されたシ
リコン基板151を、KOH濃度25重量%、液温度7
8℃のエッチング液(KOH:100g、HO:30
0g)中に浸漬することにより、深さ120μmのV溝
を8本形成した(図5(f)参照)。
【0157】(7)次に、Si膜とSiO膜と
からなるマスク156を下記の方法を用いて除去した
(図5(g)参照)。すなわち、Si膜を上記
(4)の工程で用いたRIE処理と同様の処理を施すこ
とにより除去し、続いて、SiO膜を上記(4)の工
程で用いたウエットエッチング処理と同様の処理を施し
て除去することにより、マスク156を除去した。この
工程を経ることにより、基板の上面(溝の表面を含む)
全部が、シリコンにより構成されることとなる。
【0158】その後、基板151の一部に光ファイバリ
ボンを被覆樹脂層ごと保持するための被覆樹脂層保持部
158(図7(a)参照)を、ダイヤモンド刃を備えた
装置を用いて切削加工を施すことにより形成した。な
お、図7に示した基板には、溝は4本しか形成されてい
ないが、この図は模式図であり、実際には、上述したよ
うに、基板上に8本の溝を形成した。
【0159】(8)次に、溝および被覆樹脂層保持部を
形成した基板の上面(溝の表面を含む)全体に、下記の
条件で粗化面を形成した。すなわち、上記基板を、濃度
20重量%、温度50℃のKOH溶液中に6分間浸漬す
ることより、基板の上面全体に粗化面を形成した。な
お、この工程で基板の上面に形成した粗化面の表面粗さ
は、JIS B 0601に基づく平均粗さRaが、溝
の表面{(111)面}で20nm、基板上面の溝非形
成部分および被覆樹脂層保持部の上面{(100)面}
で95nmであった。また、上記平均粗さRaは、干渉
縞を用いた表面粗さ計(WYKO NT−2000 s
ystem)により測定した。
【0160】(9)次に、上記Aで作製した光ファイバ
リボン110Aの光ファイバ115の露出した部分を、
V溝157に収納し(図7(a)、(b)参照)、さら
に、上記Bで作製した蓋部160を基板151上に載置
した(図8(a)参照)。さらに、溝157と光ファイ
バ115との間隙、および、蓋部160と基板151
(光ファイバ115)との間隙に、未硬化の接着剤(ダ
イキン工業社製、UV−3000)を流し込んだ。ま
た、被覆樹脂層保持部158に載置した被覆樹脂層の周
囲にも上記未硬化の接着剤(UV−3000)を塗布し
た。
【0161】次に、蓋部160を設けた基板151の上
部から、高圧水銀ランプを用いて、10J/cmの紫
外線を照射し、その後、60℃で1時間加熱することに
より、接着剤を完全に硬化させ、蓋部160を固定し
た。また、ここでは、被覆樹脂層保持部にも紫外線を照
射することにより、該被覆樹脂層保持部で、露出した光
ファイバの一部と被覆樹脂層とを接着剤(図示せず)を
介して固定した。
【0162】(10)次に、光ファイバリボン110A
の一端部の基板に収納しなかった被覆樹脂層114a
と、この被覆樹脂層に覆われた光ファイバとをダイヤモ
ンドカッターにより切断除去し、さらに、光ファイバの
端面と、基板および蓋部の端面とが揃うように研磨処理
を施し、光ファイバアレイ102を製造した(図8
(b)参照)。
【0163】(実施例2)実施例1のBの工程におい
て、凹部の形成を行わず、その基板と対向する部分に粗
化面が形成された板状体からなる蓋部を作製した以外
は、実施例1と同様にして光ファイバを製造した。
【0164】(実施例3)実施例1のCの工程におい
て、シリコンからなる基板に代えて、高ケイ酸ガラスか
らなる基板を用い、この基板に以下の方法により溝を形
成し、さらに、基板の上面に粗化面を形成した以外は、
実施例1と同様にして光ファイバアレイを製造した。す
なわち、厚さ0.5〜2.0mmの高ケイ酸ガラス基板
を出発材料とし、この基板にダイヤモンド刃を備えた装
置を用いて、8本のV溝を形成した。さらに、溝の表面
を含む基板の上面全体に、実施例1のBの工程で蓋部に
粗化面を形成した条件と同様の条件で、粗化面を形成し
た。基板上面に形成した粗化面のJIS B 0601
に基づく凹凸の平均間隔Smは20μm、局部山頂の平
均間隔Sは300nm、平均粗さRaは400nmであ
った。
【0165】(実施例4)実施例1のBの工程(蓋部の
作製)において、高ケイ酸ガラスからなる基板に、深さ
の異なる、露出した光ファイバを収納するための凹部1
71と、光ファイバリボンを被覆樹脂層ごと収納するた
めの凹部172とを有する蓋部170を作製し(図9
(a)参照)、実施例1のCの(8)の工程において、
この蓋部170を基板に取り付けた以外は、実施例1と
同様にして光ファイバアレイ101を製造した(図9
(b)参照)。
【0166】実施例1〜4で得た光ファイバアレイにつ
いて、130℃で3分間、および、−65℃で3分間保
持するサイクルを1サイクルとし、このサイクルを10
00サイクル繰り返すヒートサイクル試験を施し、その
後、光ファイバを切断するように、光ファイバの軸方向
と垂直な方向に光ファイバアレイを切断し、その断面を
観察した。その結果、実施例1〜4の光ファイバアレイ
では、蓋部と接着層との間で剥離の発生は観察されず、
また、接着層にもクラックは発生していなかった。さら
に、基板と接着層との間でも剥離の発生は観察されなか
った。
【0167】また、実施例1〜4の光ファイバアレイを
ヒートサイクル試験後に8個の受光素子を配設した受光
装置に接続し、結合損失を測定したところ、その結合損
失は0.5dB以下であり(表1参照)、光ファイバの
位置ズレがほとんど発生していないことが明らかになる
とともに、製品として要求される品質を充分に満足して
いた。
【0168】さらに、実施例1〜4の光ファイバアレイ
においては、蓋部の位置ズレもほとんどみられなかっ
た。なお、蓋部の位置ズレ量は、ヒートサイクル試験前
後での蓋部の位置について、X−Y方向に位置ズレ量を
測定し、そのズレ量を示したものである。また、実施例
1〜4の光ファイバアレイについて測定した蓋部の位置
ズレ量は、表1に示した。
【0169】
【表1】
【0170】(実験例1〜4)実施例1のBの工程(蓋
部の作製)において、蓋部の基板と対向することとなる
面に粗化面を形成する際に、粗化面の形成条件を適宜変
更し、表2に示した粒子径の粒子状物が観察される粗化
面を形成した以外は、実施例1と同様にして光ファイバ
アレイを製造した。また、この実験例1〜4の光ファイ
バアレイについて、上記した方法と同様の方法で、蓋部
の位置ズレ量と結合損失とを測定した。結果を表2に示
した。
【0171】(比較例1)実施例1のBの工程(蓋部の
作製)において、シリコンからなる蓋部を用い、この蓋
部の基板と対向することとなる面に鏡面研磨を施し、表
2に示した粒子径の粒子状物が観察される面を形成した
以外は、実施例1と同様にして光ファイバアレイを製造
した。
【0172】(比較例2)実施例1のBの工程(蓋部の
作製)において、銅からなる蓋部を用い、この蓋部の基
板と対向することとなる面に鏡面研磨を施し、表2に示
した粒子径の粒子状物が観察される面を形成した以外
は、実施例1と同様にして光ファイバアレイを製造し
た。
【0173】(比較例3)実施例1のBの工程(蓋部の
作製)において、シリコンからなる蓋部を用い、この蓋
部の基板と対向することとなる面に薬剤による表面処理
を施し、表2に示した粒子径の粒子状物が観察される粗
化面を形成した以外は、実施例1と同様にして光ファイ
バアレイを製造した。
【0174】(比較例4)実施例1のBの工程(蓋部の
作製)において、銅からなる蓋部を用い、この蓋部の基
板と対向することとなる面に薬剤による表面処理を施
し、表2に示した粒子径の粒子状物が観察される粗化面
を形成した以外は、実施例1と同様にして光ファイバア
レイを製造した。
【0175】また、この比較例1〜4の光ファイバアレ
イについて、上記した方法と同様の方法で、蓋部の位置
ズレ量と結合損失とを測定した。結果を表2に示した。
【0176】
【表2】
【0177】表1、2に示した結果から明らかなよう
に、蓋部の基板と対向することとなる面を、粒子径が
0.1〜100μmの粒子状物が観察される粗化面とし
た光ファイバアレイでは、蓋部の位置ズレ量が1.0m
m以下であり、結合損失が1.0dB以下である。一
方、蓋部の基板と対向することとなる面を、粒子径が
0.1μm未満の粒子状物が観察される面としたり、粒
子径が100μmを超える粒子状物が観察される粗化面
としたりした光ファイバアレイでは、蓋部の位置ズレ量
は1.0mmを超えており、結合損失は1.0dBを超
えている。
【0178】なお、本発明の光ファイバアレイにおいて
は、蓋部の位置ズレ量は、小さければ小さいほど望まし
いが、1.0mm以内であれば許容範囲内であり、製品
として得に問題はない。また、本発明の光ファイバにお
いては、結合損失もまた、小さければ小さいほど望まし
いが、1.0dB以内であれば許容範囲内であり、製品
として得に問題はない。上記結合損失が1.0dBを超
えると光信号の伝送に問題が生じやすくなる。本発明の
光ファイバアレイは、位置ズレ量および結合損失が上記
範囲内にあれば、基板と接着剤層との剥離、蓋部や光フ
ァイバの位置ズレがより起きにくく、様々な応力が発生
しても、該応力をより緩和することができるものであ
る。
【0179】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光ファイ
バアレイは、上述した構成からなるため、蓋部と接着層
とは密着性に優れ、蓋部と接着層との間で剥離が発生し
たり、蓋部や光ファイバの位置ズレが発生したりするこ
とがなく、本発明の光ファイバアレイでは、正確に光信
号を伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の光ファイバアレイの一例を
模式的に示す部分斜視図であり、(b)は、(a)のA
−A線断面図であり、(c)は、(a)の光ファイバア
レイを構成する蓋部を示す斜視図であり、(d)は、
(a)の光ファイバアレイを構成する光ファイバが収納
された基板を示す斜視図である。
【図2】JIS B 0601に基づく凹凸の平均間隔
Sm、局部山頂の平均間隔S、および、平均粗さRaを
説明するための参考図である。
【図3】本発明の光ファイバアレイの別の一例を模式的
に示す部分斜視図である。
【図4】(a)は、積層光ファイバリボンを用いた本発
明の光ファイバアレイの一例を模式的に示す部分斜視図
であり、(b)は、(a)の光ファイバアレイを構成す
る基板と積層光ファイバリボンとのみを示す部分斜視図
であり、(c)は、(a)のA−A線断面図である。
【図5】(a)〜(g)は、基板に溝を形成する方法の
一例を示す断面図である。
【図6】積層光ファイバリボンの一実施形態を模式的に
示す部分斜視図である。
【図7】(a)、(b)は、本発明の光ファイバアレイ
の製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の光ファイバアレイ
の製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
【図9】(a)、(b)は、本発明の光ファイバアレイ
の製造工程の一部を模式的に示す斜視図である。
【図10】(a)〜(c)は、粒子状物の粒子径を説明
するための参考図である。
【図11】(a)は、蓋部の基板と対向する部分を顕微
鏡により平面視した際の観察画像の一例であり、(b)
は、(a)の概略図である。
【符号の説明】
110 光ファイバリボン 115、235、245 光ファイバ 151、251 基板 157、257 溝 160、170 蓋部 100、200 光ファイバアレイ 210 積層光ファイバリボン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上面の一部に複数の溝が形成され、
    前記溝に光ファイバが収納されており、前記基板上に前
    記光ファイバを覆う蓋部が接着層を介して取り付けられ
    た光ファイバアレイであって、前記蓋部の前記基板と対
    向する部分には粗化面が形成されており、前記蓋部の前
    記基板と対向する部分を顕微鏡により平面視した際に、
    観察画像が複数の粒子状物が並んだ像として観察され、
    これらの観察された粒子状物の平均粒子径が0.1〜1
    00μmであることを特徴とする光ファイバアレイ。
  2. 【請求項2】 前記粗化面の表面粗さは、JIS B
    0601に基づく凹凸の平均間隔Smが、0.1〜10
    0μmである請求項1に記載の光ファイバアレイ。
  3. 【請求項3】 前記凹凸の平均間隔Smは、1〜50μ
    mである請求項2に記載の光ファイバアレイ。
  4. 【請求項4】 前記粗化面の表面粗さは、JIS B
    0601に基づく局部山頂の平均間隔Sが100〜10
    00nmである請求項1〜3に記載の光ファイバアレ
    イ。
  5. 【請求項5】 前記凹凸の平均間隔Smおよび前記局部
    山頂の平均間隔Sは、干渉縞を用いた表面粗さ計により
    測定されたものである請求項1〜4のいずれか1に記載
    の光ファイバアレイ。
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