JP2003110168A - 磁気検出素子及びその製造方法 - Google Patents

磁気検出素子及びその製造方法

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JP2003110168A
JP2003110168A JP2001305143A JP2001305143A JP2003110168A JP 2003110168 A JP2003110168 A JP 2003110168A JP 2001305143 A JP2001305143 A JP 2001305143A JP 2001305143 A JP2001305143 A JP 2001305143A JP 2003110168 A JP2003110168 A JP 2003110168A
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Naoya Hasegawa
直也 長谷川
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 狭トラック化においても適切にフリー磁性層
の磁化制御を行うことができ、再生特性に優れた磁気検
出素子及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 フリー磁性層26の中央部上にスペキュ
ラー層31及び非磁性層32を有し、前記フリー磁性層
26の両側端部上に強磁性層28及び第2反強磁性層2
9が設けられている。本発明ではスペキュラー層31や
非磁性層32などの総合膜厚h1を薄く形成でき、前記
フリー磁性層26の両側端部上の各層をイオンミリング
して除去する工程で、前記イオンミリングを低エネルギ
ーで行うことができ、前記フリー磁性層26の両側端部
表面がダメージを受け難くでき、前記フリー磁性層26
の両側端部上の強磁性層28との間で発生する強磁性的
な結合を強めることができ、適切に前記フリー磁性層2
6の磁化制御を行うことが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主に、ハードディス
ク装置や磁気センサなどに用いられる磁気検出素子に係
り、特に狭トラック化においても適切にフリー磁性層の
磁化制御を行うことができ、再生特性に優れたスペキュ
ラー層を有する磁気検出素子及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年の高記録密度化に伴い、狭トラック
化に適切に対応するために、フリー磁性層をいわゆるエ
クスチェンジバイアス方式を用いて磁化制御する構造が
主流になりつつある。
【0003】またTaの酸化物からなるスペキュラー層
(鏡面反射層)を設けて、例えばアップスピンを持つ伝
導電子の平均自由行程λ+を従来よりも伸ばし、これに
よって抵抗変化率(ΔR/R)の向上とともに、再生出
力の向上を図ることが可能になることがわかっている。
【0004】上記した、フリー磁性層の磁化制御のため
にエクスチェンジバイアス方式を用い、且つスペキュラ
ー層を有する磁気検出素子は、今後の高記録密度化を実
現する上で望ましい構造であると考えられた。
【0005】以下、従来の磁気検出素子の構造及びその
製造方法について説明する。図17、図18は、従来の
磁気検出素子の製造工程を示す一工程図であり、各図
は、前記磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た
部分断面図である。
【0006】図17に示す工程では、基板1上に例えば
PtMn合金からなる反強磁性層2を形成し、さらに磁
性材料製の固定磁性層3、非磁性材料層4及び磁性材料
製のフリー磁性層5を積層形成する。そして前記フリー
磁性層5上にスペキュラー層(鏡面反射層)9を形成す
る。前記スペキュラー層9は、まず前記フリー磁性層5
の上にTaからなる膜を成膜し、次にこのTa膜を酸化
する。酸化は大気暴露で簡単に行うことができる。
【0007】次に図17に示す前記スペキュラー層9上
にリフトオフ用のレジスト層10を形成し、前記レジス
ト層10に覆われていないトラック幅方向(図示X方
向)の両側に露出した前記スペキュラー層9をイオンミ
リングですべて除去する。このとき前記スペキュラー層
9下のフリー磁性層5も一部削られる(点線部分が削ら
れる)。
【0008】次に図18に示す工程ではレジスト層10
の両側に露出したフリー磁性層5上に強磁性層11、I
rMn合金などで形成された第2反強磁性層12、およ
び電極層13を連続成膜する。そして図18に示すレジ
スト層10を除去する。
【0009】図18に示す磁気検出素子では、強磁性層
11間のトラック幅方向(図示X歩行)の間隔でトラッ
ク幅Twを規制でき、前記強磁性層11は前記第2反強
磁性層12との間で発生する交換結合磁界によって図示
X方向に強固に固定される。これにより前記強磁性層1
1下に位置するフリー磁性層5の両側端部Aは、前記強
磁性層11との間の強磁性結合によって図示X方向に強
固に固定され、トラック幅Tw領域のフリー磁性層11
の中央部Bは外部磁界に対し磁化変動できる程度に弱く
単磁区化されていると考えられた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら図17、
図18に示す製造工程で形成された従来の磁気検出素子
では以下のような問題点が生じた。 (1)まず第1に、図17に示す工程でのイオンミリン
グ時に、スペキュラー層9のみならず、その下に形成さ
れたフリー磁性層5の一部までも削れてしまい、またイ
オンミリング時に使用されるArなどの不活性ガスが露
出したフリー磁性層5表面から内部に入り込みやすくな
り、以上のようなイオンミリングによるダメージによっ
て前記フリー磁性層5の表面部分5aの結晶構造が壊れ
たり、あるいは格子欠陥が発生しやすくなる(Mixi
ng効果)。これによって前記フリー磁性層5の表面部
分5aの磁気特性が劣化しやすい。
【0011】図17工程のイオンミリング時にスペキュ
ラー層9のみを削り、フリー磁性層5が削られないよう
にできれば最も好ましいが、実際にそのようにミリング
制御することは難しい。
【0012】その理由は、フリー磁性層5上に形成され
たスペキュラー層9の膜厚にある。上記したように前記
スペキュラー層9は、まずTa膜を成膜した後、このT
a膜を酸化して形成される。
【0013】従来では、成膜段階におけるTa膜は、そ
の下に形成されたフリー磁性層5を酸化から保護するた
めの酸化防止層としての役割も担うため、成膜段階で前
記Ta膜をあまり薄く形成しすぎると、前記フリー磁性
層5を適切に酸化から防止できない。
【0014】前記Ta膜は成膜段階で10Åより厚い膜
厚で形成され、これによりその下に形成されたフリー磁
性層5が大気暴露によって酸化されるのを未然に防いで
いる。
【0015】ところがTa膜を大気に曝し酸化させる
と、その酸化された部分の膜厚が膨張し、前記Ta膜の
酸化によって形成されたスペキュラー層9は、成膜段階
におけるTa膜の膜厚よりも厚くなる。上記したよう
に、成膜段階で10Åより厚い膜厚で形成されたTa膜
を酸化すると、20Åよりも厚いスペキュラー層9が形
成されてしまう。
【0016】従って図17工程で前記スペキュラー層9
の両側端部を効果的にミリングで除去するには、高エネ
ルギーのイオンミリングを使用する必要がある。高エネ
ルギーのイオンミリングであるからミリングレートは速
く、膜厚の厚いスペキュラー層9をイオンミリングで除
去した瞬間に、ミリングを止めることは不可能に近い。
すなわち高エネルギーになればなるほどミリング止め位
置のマージンを広く取る必要がある。このため前記スペ
キュラー層9の下に形成されたフリー磁性層5も一部削
られてしまい、このとき高エネルギーのイオンミリング
によって余計にフリー磁性層5は大きなダメージを受け
やすく磁気特性の劣化が顕著になる。
【0017】(2)上記のようにイオンミリングで露出
したフリー磁性層5表面は、前記イオンミリングによる
ダメージによって磁気特性が劣化している。このため前
記フリー磁性層5上に積層される強磁性層11との間の
磁気的な結合(強磁性的な交換相互作用)は十分ではな
く、このため強磁性層11の膜厚を厚く形成する必要が
ある。
【0018】しかし強磁性層11の膜厚を厚く形成する
と今度は反強磁性層12間で発生する交換結合磁界が弱
まるため、結局、フリー磁性層5の両側端部Aを強固に
磁化固定できず、サイドリーディングの問題が発生し、
狭トラック化に適切に対応可能な磁気検出素子を製造で
きなくなる。
【0019】また強磁性層11を厚く形成しすぎると、
前記強磁性層11の内側側面から前記フリー磁性層5の
中央部Bに余分な静磁界が及びやすくなり、磁化反転可
能なフリー磁性層5の中央部Bの外部磁界に対する感度
が低下しやすい。
【0020】以上のように、フリー磁性層5上にTaの
酸化物からなるスペキュラー層9を形成し、前記スペキ
ュラー層9の両側を削って露出したフリー磁性層5上に
強磁性層11及び第2反強磁性層12を重ね合わせる磁
気検出素子の構造では、依然としてフリー磁性層5の磁
化制御を適切に行えず、狭トラック化に適切に対応可能
な磁気検出素子を製造することができなかった。
【0021】そこで本発明は上記従来の課題を解決する
ためのものであり、エクスチェンジバイアス方式におい
て、フリー磁性層の磁化制御を適切に行うことができ、
狭トラック化に適切に対応可能な、スペキュラー層を備
えた磁気検出素子及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明における磁気検出
素子は、下から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材
料層、フリー磁性層の順に積層形成され、前記フリー磁
性層の中央部上には下から順にスペキュラー層、非磁性
層が設けられ、前記フリー磁性層のトラック幅方向の両
側端部上には、下から順に強磁性層、第2反強磁性層が
設けられていることを特徴とするものである。
【0023】本発明では、前記フリー磁性層の中央部上
に設けられたスペキュラー層の膜厚は、3Å以上で10
Å以下で形成されることが好ましい。
【0024】また本発明では、前記スペキュラー層は、
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al、Si、G
e、Cr、Mo、Wあるいは希土類元素のうち1種また
は2種以上からなる元素の酸化物または窒化物で形成さ
れることが好ましい。ここで希土類元素とは、Sc、Y
及びランタノイドに対する総称である。
【0025】また本発明では、前記非磁性層は、Ru、
Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、A
uのうちいずれか1種または2種以上で形成されること
が好ましい。
【0026】上記した本発明における第1の磁気検出素
子の構造では、フリー磁性層の中央部上に形成された前
記スペキュラー層の上に非磁性層が形成されている。こ
の実施形態では、前記非磁性層が、前記フリー磁性層及
びスペキュラー層を適切に酸化から保護する酸化防止層
としての役割を担っており、このため前記スペキュラー
層を薄く形成しても前記フリー磁性層が大気暴露によっ
て酸化されるといった不具合は発生しない。また前記非
磁性層は酸化され難い金属であるから、スペキュラー層
から前記非磁性層に酸素が拡散して非磁性層が酸化され
スペキュラー層が還元されてスペキュラー効果を失うと
いった問題も発生しない。
【0027】本発明では、前記フリー磁性層の上に形成
されるスペキュラー層及び非磁性層等の総合膜厚を薄く
形成でき、このため、前記フリー磁性層の両側端部上に
形成されたスペキュラー層及び非磁性層を低エネルギー
のイオンミリングで除去できるので、前記フリー磁性層
の両側端部表面のイオンミリングによるダメージを従来
に比べて低減させることができる。
【0028】従って本発明では、例えば前記フリー磁性
層の両側端部を強磁性層との間で発生する強磁性的な結
合によって効果的に磁化固定することができるととも
に、フリー磁性層の中央部は外部磁界に対し磁化反転で
きる程度に弱く単磁区化でき、よって狭トラック化にお
いても適切にフリー磁性層の磁化制御が可能なスペキュ
ラー層を有する磁気検出素子の製造を行うことができ
る。
【0029】また本発明における磁気検出素子は、下か
ら第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、フリー
磁性層の順に積層形成され、前記フリー磁性層の中央部
上にはスペキュラー層が設けられ、前記フリー磁性層の
トラック幅方向の両側端部上には、下から順に強磁性
層、第2反強磁性層が設けられており、前記フリー磁性
層の中央部上に設けられたスペキュラー層の膜厚は、3
Å以上で15Å以下で形成されることを特徴とするもの
である。
【0030】本発明では、前記スペキュラー層は、C
r、Mo、W、Ti、Si、Ge、Alのうち1種また
は2種以上からなる元素の酸化物または窒化物で形成さ
れることが好ましい。
【0031】本発明における第2の磁気検出素子の構造
は、第1の磁気検出素子の構造と異なり、フリー磁性層
の中央部上に形成されたスペキュラー層の上に非磁性層
は形成されていない。
【0032】この第2の磁気検出素子では、スペキュラ
ー層自体が、その下に形成されたフリー磁性層を大気暴
露等による酸化から防止する酸化防止層としての役割を
担っているが、この発明では、Crの酸化物などで形成
されたスペキュラー層を3Å以上で15Å以下の非常に
薄い膜厚で形成しても適切に酸化防止層としての役割を
持たせることができる。このように本発明では前記スペ
キュラー層を薄い膜厚で形成でき、よって前記フリー磁
性層の両側端部上に形成されたスペキュラー層を低エネ
ルギーのイオンミリングで除去でき、前記フリー磁性層
の両側端部表面のイオンミリングによるダメージを従来
に比べて低減させることができる。
【0033】従って本発明では、例えば前記フリー磁性
層の両側端部を強磁性層との間で発生する強磁性的な結
合によって効果的に磁化固定することができるととも
に、フリー磁性層の中央部は外部磁界に対し磁化反転で
きる程度に弱く単磁区化でき、よって狭トラック化にお
いても適切にフリー磁性層の磁化制御が可能なスペキュ
ラー層を有する磁気検出素子の製造をすることができ
る。
【0034】さらに本発明における磁気検出素子は、下
から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、フリ
ー磁性層の順に積層形成され、前記フリー磁性層の中央
部上にはスペキュラー層が設けられ、前記フリー磁性層
のトラック幅方向の両側端部上には、下から順に強磁性
層、第2反強磁性層が設けられており、前記スペキュラ
ー層は、Cr、Mo、W、Ti、Si、Ge、Alのう
ち1種または2種以上からなる元素の酸化物または窒化
物で形成されることを特徴とするものである。
【0035】本発明では、前記フリー磁性層の中央部上
に設けられたスペキュラー層の膜厚は、3Å以上で15
Å以下であることが好ましい。
【0036】上記した第3の磁気検出素子の構造は、第
1の磁気検出素子の構造と異なり、フリー磁性層の中央
部上に形成されたスペキュラー層の上に非磁性層は形成
されていない。
【0037】この第3の磁気検出素子では、スペキュラ
ー層自体が、その下に形成されたフリー磁性層を大気暴
露等による酸化から保護する酸化防止層としての役割を
担っているが、この発明では、前記スペキュラー層をC
r等の酸化物あるいは窒化物などで形成している。Cr
等は、大気暴露によっても酸化の進行度が遅く、前記C
r膜を非常に薄い膜厚で形成しても、その下に形成され
たフリー磁性層を大気暴露による酸化から適切に保護す
ることができる。
【0038】このようにCr等の酸化物あるいは窒化物
でスペキュラー層を形成することで、前記スペキュラー
層を従来に比べて薄く形成しても酸化防止層としての役
割を持たせることができ、よって前記フリー磁性層の両
側端部上に形成された薄い膜厚のスペキュラー層を低エ
ネルギーのイオンミリングで除去でき、前記フリー磁性
層の両側端部表面のイオンミリングによるダメージを従
来に比べて低減させることができる。
【0039】従って本発明では、例えば前記フリー磁性
層の両側端部を強磁性層との間で発生する強磁性的な結
合によって効果的に磁化固定することができるととも
に、フリー磁性層の中央部は外部磁界に対し磁化反転で
きる程度に弱く単磁区化でき、よって狭トラック化にお
いても適切にフリー磁性層の磁化制御が可能なスペキュ
ラー層を有する磁気検出素子の製造をすることができ
る。
【0040】また本発明では、前記フリー磁性層の中央
部上に形成された各層の総合膜厚は、20Å以下である
ことが好ましい。これにより、前記フリー磁性層の両側
端部上に形成された前記各層をイオンミリングで除去す
る工程で、低エネルギーのイオンミリングを用いて、前
記各層を適切に除去でき、前記フリー磁性層の両側端部
表面を効果的にイオンミリングによるダメージから保護
することができる。
【0041】また本発明では、前記スペキュラー層とフ
リー磁性層の中央部間にバックド層が形成されていても
よい。またかかる場合、前記バックド層は、前記フリー
磁性層の両側端部上にも形成され、前記両側端部上のバ
ックド層上に前記強磁性層が形成されていてもよい。
【0042】また本発明では、前記スペキュラー層は、
前記フリー磁性層の両側端部上にも形成され、前記両側
端部上の前記スペキュラー層上に前記強磁性層が形成さ
れていてもよい。
【0043】なお本発明では、前記両側端部上に形成さ
れたスペキュラー層またはバックド層の膜厚は0.2Å
以上で3Å以下であることが好ましい。
【0044】上記の発明では、前記バックド層あるいは
スペキュラー層が、前記フリー磁性層の両側端部上にも
残されるので、前記フリー磁性層の両側端部表面がイオ
ンミリングによるダメージを受けることがなく、前記フ
リー磁性層の両側端部における磁気特性を良好に保つこ
とができる。
【0045】また本発明では、前記両側端部上に形成さ
れるバックド層あるいはスペキュラー層の膜厚をできる
限り薄くして(具体的には0.2Å以上で3Å以下にし
て)、前記フリー磁性層の両側端部と強磁性層間に強磁
性的な結合を生じさせることで、前記フリー磁性層の磁
化制御を適切に行うことが可能である。
【0046】また本発明では、前記非磁性層の両側端部
上における強磁性層は、2Å以上で50Å以下で形成さ
れることが好ましい。このように本発明では、前記強磁
性層を薄い膜厚で形成しても、前記フリー磁性層の両側
端部との間で効果的に強磁性的な結合を生じさせること
ができる。従来では、フリー磁性層の両側端部の磁気特
性はイオンミリングの影響を受けて劣化していたため、
強磁性層の膜厚を厚くしてフリー磁性層との間で十分な
強磁性的結合を保つ必要があったが、かかる場合、強磁
性層と第2反強磁性層間で発生する交換結合磁界が弱ま
ったり、前記強磁性層の内側側面から前記フリー磁性層
の中央部に余分な静磁界が及びやすくなることで感度の
低下などの問題が生じていた。本発明ではこのような問
題を適切に抑制することができる。
【0047】また本発明では、前記フリー磁性層は磁性
層の3層構造で形成されることが好ましい。具体的に
は、前記フリー磁性層はCoFe/NiFe/CoFe
の3層構造で形成されることが好ましい。
【0048】本発明における磁気検出素子の製造方法
は、以下の工程を有することを特徴とするものである。 (a)基板上に、下から第1反強磁性層、固定磁性層、
非磁性中間層、フリー磁性層、スペキュラー層、非磁性
層の順に積層する工程と、(b)第1の磁場中アニール
を施して、前記第1反強磁性層と固定磁性層間に交換結
合磁界を発生させ、前記固定磁性層の磁化をハイト方向
に固定する工程と、(c)前記非磁性層の中央部上にレ
ジスト層を形成する工程と、(d)前記レジスト層のト
ラック幅方向の両側から露出する非磁性層、及びスペキ
ュラー層を除去し、前記両側から露出したフリー磁性層
の両側端部上に強磁性層、および第2反強磁性層を形成
し、前記レジスト層を除去する工程と、(e)第2の磁
場中アニールを施し、前記第2反強磁性層と強磁性層間
に交換結合磁界を発生させ、前記フリー磁性層の両側端
部の磁化を、前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向
に固定する工程。
【0049】本発明では、前記(a)工程で、前記スペ
キュラー層の膜厚を、3Å以上で10Å以下で形成する
ことが好ましい。
【0050】また本発明では、前記スペキュラー層を、
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al、Si、G
e、Cr、Mo、Wあるいは希土類元素のうち1種また
は2種以上からなる元素の酸化物または窒化物で形成す
ることが好ましい。
【0051】また本発明では、Ti、Zr、Hf、V、
Nb、Ta、Al、Si、Ge、Cr、Mo、Wあるい
は希土類元素のうち1種または2種以上からなる元素膜
を形成した後、真空槽内で前記元素膜を酸化してスペキ
ュラー層を形成することが好ましい。酸化方法として
は、自然酸化、ラジカル酸化、プラズマ酸化等の手法を
使用できる。
【0052】また本発明では、前記非磁性層を、Ru、
Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、A
uのうちいずれか1種または2種以上で形成することが
好ましい。また前記スペキュラー層及び前記非磁性層
を、真空槽内で形成することが好ましい。
【0053】上記した本発明では、前記(a)工程で、
フリー磁性層上に、スペキュラー層及び非磁性層を形成
する。この発明では、前記非磁性層が前記フリー磁性層
(及びスペキュラー層)を大気暴露による酸化から保護
するための酸化防止層としての役割を担っており、スペ
キュラー層を薄い膜厚で形成することができる。
【0054】前記スペキュラー層は、上記したように、
例えば真空槽内での酸化や窒化で形成され、このような
真空槽内では、酸化や窒化速度を遅くすることができ
る。従ってスペキュラー層を薄い膜厚で形成しても、そ
の下に形成されたフリー磁性層まで酸化が及ぶといった
不具合は発生しない。
【0055】前記非磁性層は、上記したように例えばR
uなどの酸化され難い材質であり、したがって前記非磁
性層も前記スペキュラー層と同様に薄い膜厚で形成して
も、十分に酸化防止層としての役割を発揮することがで
きる。なお前記非磁性層も前記スペキュラー層と同様に
連続して真空槽内で形成することで、適切に前記フリー
磁性層やスペキュラー層を大気暴露による酸化から保護
できる。
【0056】以上のように本発明では、前記フリー磁性
層の上に形成されるスペキュラー層及び非磁性層の総合
膜厚を薄く形成することができ、前記(d)工程で、前
記フリー磁性層の両側端部上に形成されたスペキュラー
層及び非磁性層をイオンミリングで除去する段階で、低
エネルギーのイオンミリングを用いて、前記スペキュラ
ー層及び非磁性層を除去することができる。
【0057】よって前記(d)工程時に、前記フリー磁
性層の両側端部表面がイオンミリングによるダメージを
受け難く、前記フリー磁性層の両側端部を良好な磁気特
性に維持することができる。このため例えば前記フリー
磁性層の両側端部と強磁性層間の強磁性的な結合を効果
的に強くでき、従来に比べて前記フリー磁性層の磁化制
御を適切に行うことが可能である。
【0058】従って本発明では狭トラック化においても
再生感度が良く再生特性に優れたスペキュラー層を有す
る磁気検出素子を製造することが可能になっている。
【0059】また本発明における磁気検出素子の製造方
法は、以下の工程を有することを特徴とするものであ
る。(f)基板上に、下から第1反強磁性層、固定磁性
層、非磁性中間層、フリー磁性層、スペキュラー層の順
に積層し、このとき前記スペキュラー層を、Cr、M
o、W、Ti、Si、Ge、Alのうち1種または2種
以上からなる元素の酸化物または窒化物で形成する工程
と、(g)第1の磁場中アニールを施して、前記第1反
強磁性層と固定磁性層間に交換結合磁界を発生させ、前
記固定磁性層の磁化をハイト方向に固定する工程と、
(h)前記非磁性層の中央部上にレジスト層を形成する
工程と、(i)前記レジスト層のトラック幅方向の両側
から露出するスペキュラー層を除去し、前記両側から露
出したフリー磁性層の両側端部上に強磁性層、および第
2反強磁性層を形成し、前記レジスト層を除去する工程
と、(j)第2の磁場中アニールを施し、前記第2反強
磁性層と強磁性層間に交換結合磁界を発生させ、前記フ
リー磁性層の両側端部の磁化を、前記固定磁性層の磁化
方向と交叉する方向に固定する工程。
【0060】本発明では、前記(f)工程で、前記スペ
キュラー層を3Å以上で15Å以下で形成することが好
ましい。
【0061】上記の発明では、前記(f)工程で、フリ
ー磁性層の上にCrの酸化物などで形成されたスペキュ
ラー層を形成している。Cr等は、大気暴露によっても
酸化が進行しにくい緻密な膜であり、したがって成膜段
階で、Cr等を薄い膜厚で形成しても、その下に形成さ
れたフリー磁性層を大気暴露による酸化から適切に保護
することができる。
【0062】しかも前記Cr膜等を薄い膜厚で形成でき
るので、前記Cr膜等を酸化してスペキュラー層として
も、前記スペキュラー層の膜厚は成膜時に比べてさほど
大きくはならず、依然として薄い膜厚を保っており、し
たがって前記(i)工程で、前記フリー磁性層の両側端
部上に形成されたスペキュラー層をイオンミリングで除
去する段階で、低エネルギーのイオンミリングを用い
て、前記スペキュラー層を除去することができる。
【0063】よって前記(i)工程時に、前記フリー磁
性層の両側端部表面がイオンミリングによるダメージを
受け難く、前記フリー磁性層の両側端部を良好な磁気特
性に維持することができる。このため例えば前記フリー
磁性層の両側端部と強磁性層間の強磁性的な結合を効果
的に強くでき、従来に比べて前記フリー磁性層の磁化制
御を適切に行うことが可能である。
【0064】従って本発明では狭トラック化においても
再生感度が良く再生特性に優れたスペキュラー層を有す
る磁気検出素子を製造することが可能になっている。
【0065】また本発明では、前記(a)工程、あるい
は前記(f)工程で、前記フリー磁性層上に形成される
各層の総合膜厚を20Å以下で形成することが好まし
い。これによって前記(d)工程あるいは前記(i)工
程で、低エネルギーによるイオンミリングを用いても、
効果的に前記フリー磁性層の両側端部上の各層を除去で
きると共に、前記フリー磁性層の両側端部表面をイオン
ミリングによるダメージから保護でき、前記フリー磁性
層の両側端部の磁気特性を良好に保つことができる。
【0066】また本発明では、前記(a)工程あるいは
前記(f)工程で、前記フリー磁性層上にバックド層を
形成した後、前記バックド層上にスペキュラー層を形成
してもいよい。
【0067】かかる場合、前記(d)工程あるいは前記
(i)工程で、前記バックド層を、前記フリー磁性層の
両側端部上に一部残し、前記一部残されたバックド層上
に強磁性層を形成してもよい。
【0068】また本発明では、前記(d)工程あるいは
前記(i)工程で、前記スペキュラー層を、前記フリー
磁性層の両側端部上に一部残し、前記一部残されたスペ
キュラー層上に強磁性層を形成してもよい。
【0069】また本発明では、前記一部残されたバック
ド層あるいはスペキュラー層の膜厚を0.2Å以上で3
Å以下で形成することが好ましい。
【0070】上記したように、フリー磁性層の両側端部
上にスペキュラー層あるいはバックド層を一部残した場
合、その下に形成されたフリー磁性層の両側端部をイオ
ンミリングからより効果的に保護でき、前記フリー磁性
層の両側端部の磁気特性をより良好に保つことができ
る。また本発明では、上記した薄い膜厚で前記バックド
層あるいはスペキュラー層を残すことで、例えば前記強
磁性層とフリー磁性層の両側端部間を効果的に強磁性的
に結合させることができる。
【0071】また本発明では、前記(d)工程あるいは
(i)工程で、前記強磁性層を、2Å以上で50Å以下
で形成することが好ましい。
【0072】また本発明では、前記(a)工程あるいは
前記(f)工程で、記フリー磁性層を磁性層の3層構造
で形成することが好ましい。具体的には、前記フリー磁
性層をCoFe/NiFe/CoFeの3層構造で形成
することが好ましい。
【0073】
【発明の実施の形態】図1は本発明における第1実施形
態の磁気検出素子(スピンバルブ型薄膜素子)の構造を
記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0074】図1に示す磁気検出素子は、磁気抵抗効果
を利用してハードディスクなどの記録媒体からの漏れ磁
界を検出し、記録信号を読み取るものである。
【0075】符合20は基板である。前記基板20の上
には、NiFe合金、NiFeCr合金あるいはCrな
どで形成されたシードレイヤ21が形成されている。前
記シードレイヤ21は、例えば(Ni0.8Fe0.2
60at%Cr40at%の膜厚60Åで形成される。前記シード
レイヤ21の下(前記シードレイヤ21と基板20との
間)には、Taなどで形成された下地層が形成されてい
てもよい。
【0076】前記シードレイヤ21の上には第1反強磁
性層23が形成されている。前記第1反強磁性層23
は、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、P
d,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1
種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt
―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,R
u,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,X
e,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合
金で形成される。
【0077】第1反強磁性層23として、これらの合金
を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結
合磁界を発生する第1反強磁性層23及び固定磁性層2
4の交換結合膜を得ることができる。特に、PtMn合
金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを
越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブ
ロッキング温度が380℃と極めて高い優れた第1反強
磁性層23及び固定磁性層24の交換結合膜を得ること
ができる。
【0078】これらの合金は、成膜直後の状態では、不
規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によ
ってCuAuI(CuAu1)型の規則型の面心正方構
造(fct)に構造変態する。
【0079】第1反強磁性層23の膜厚は、トラック幅
方向(図示X方向)の中心付近において80〜300Å
である。
【0080】図1に示すように前記第1反強磁性層23
の上には、固定磁性層24が形成されている。前記固定
磁性層24は人工フェリ構造である。前記固定磁性層2
4は磁性層24a、24cとその間に介在する非磁性中
間層24bの3層構造である。
【0081】前記磁性層24a、24cは、例えばNi
Fe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、C
oNi合金などの磁性材料で形成される。前記磁性層2
4aと磁性層24cは、同一の材料で形成されることが
好ましい。
【0082】また、非磁性中間層24bは、非磁性材料
により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、R
e、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形
成されている。特にRuによって形成されることが好ま
しい。
【0083】前記固定磁性層24の上には、非磁性材料
層25が形成されている。非磁性材料層25は、固定磁
性層24とフリー磁性層26との磁気的な結合を防止
し、またセンス電流が主に流れる層であり、Cu,C
r,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料により形
成されることが好ましい。特にCuによって形成される
ことが好ましい。
【0084】前記非磁性材料層25の上にはフリー磁性
層26が形成されている。図1に示す実施形態では前記
フリー磁性層26は2層構造である。符号26aの層
は、CoやCoFeなどからなる拡散防止層である。こ
の拡散防止層26aはフリー磁性層26と非磁性材料層
25間の相互拡散を防止する。そして、この拡散防止層
26aの上にNiFe合金などで形成された磁性材料層
26bが形成されている。
【0085】前記フリー磁性層26の上にはCuなどで
形成されたバックド層27が形成される。前記バックド
層27は、前記フリー磁性層26上の全面に形成されて
いるが、この実施形態では前記フリー磁性層26の中央
部D上に形成されたバックド層27の中央部27aの膜
厚は、前記フリー磁性層26の両側端部C上に形成され
た前記バックド層27の両側端部27bの膜厚より厚く
形成されている。
【0086】さらに前記バックド層27の両側端部27
b上には、強磁性層28が形成されている。さらに前記
強磁性層28上には、第2反強磁性層29が形成され
る。前記第2反強磁性層29は、第1反強磁性層23と
同様に、PtMn合金、または、X―Mn(ただしX
は、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいず
れか1種または2種以上の元素である)合金で、あるい
はPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,R
h,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,N
e,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素であ
る)合金で形成される。
【0087】そして前記第2反強磁性層29上には電極
層30が形成される。前記電極層30は、例えば、A
u、W、Cr、Ru、Rh、Taなどで形成される。
【0088】図1に示すように、前記バックド層27の
中央部27a上にはスペキュラー層31が形成されてい
る。さらに前記スペキュラー層31の上には非磁性層3
2が形成されている。
【0089】図1に示す実施形態では、前記強磁性層2
8の内側端部28a、前記第2反強磁性層29の内側端
部29a及び電極層30の内側端部30aは、下面から
上面に向う(図示Z方向)にしたがって、徐々に前記内
側端部間の間隔が広がる傾斜面あるいは湾曲面で形成さ
れる。
【0090】図1に示す磁気検出素子の構造の特徴的部
分について以下に説明する。まず図1に示すスペキュラ
ー層31の機能について説明する。本発明におけるスペ
キュラー層(鏡面反射層ともいう)31は、例えばCr
などの酸化物や窒化物で形成されるが、このスペキュラ
ー層31が前記フリー磁性層26の上側に形成される
と、前記スペキュラー層31に達した伝導電子(例えば
アップスピンを持つ伝導電子)は、そこでスピン状態
(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面反射
する。そして鏡面反射した前記アップスピンを持つ伝導
電子は、移動向きを変えてフリー磁性層内を通り抜ける
ことが可能になる。
【0091】このため本発明では、スペキュラー層31
を設けることで、前記アップスピンを持つ伝導電子の平
均自由行程λ+を従来に比べて伸ばすことが可能にな
り、よって前記アップスピンを持つ伝導電子の平均自由
行程λ+と、ダウンスピンを持つ伝導電子の平均自由行
程λ−との差を大きくすることができ、従って抵抗変化
率(ΔR/R)の向上とともに、再生出力の向上を図る
ことが可能になる。
【0092】次に前記スペキュラー層31の材質につい
て説明する。本発明では、前記スペキュラー層31は、
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al、Si、G
e、Cr、Mo、Wあるいは希土類元素のうち1種また
は2種以上からなる元素の酸化物または窒化物で形成さ
れることが好ましい。ここで希土類元素とは、Sc、Y
及びランタノイドに対する総称である。前記選択肢内か
ら選ばれる1種または2種以上の元素の酸化物や窒化物
で形成されたスペキュラー層31は、適切に上記したス
ペキュラー効果を発揮することができる。
【0093】本発明では前記スペキュラー層31の膜厚
を従来に比べて薄く形成することができる。本発明では
前記フリー磁性層26の中央部D上に形成された前記ス
ペキュラー層31を3Å以上で10Å以下で形成するこ
とが好ましい。本発明では、このように前記スペキュラ
ー層31を薄い膜厚で形成できる理由は、一つに前記ス
ペキュラー層31の材質とその処理方法(酸化方法や窒
化方法)を最適化した点、二つ目に前記スペキュラー層
31上に非磁性層32を形成した点にある。
【0094】前記スペキュラー層31は、上記した元素
(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al、Si、G
e、Cr、Mo、Wあるいは希土類元素のうち1種また
は2種以上からなる元素)の酸化物や窒化物で形成され
るが、本発明では、例えば成膜段階で、Ti、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Al、Si、Ge、Cr、Mo、
Wあるいは希土類元素のうち1種または2種以上からな
る元素膜を1〜5Å程度の薄い膜で形成し、次に前記元
素膜を真空槽内で低圧酸化や低圧窒化する。酸化には自
然酸化やラジカル酸化、プラズマ酸化を選択できる。
【0095】このように前記元素膜を低圧で酸化や窒化
することで、酸化速度や窒化速度を鈍化させることがで
き、前記スペキュラー層31を薄い膜厚で形成しても、
その下に形成されたバックド層27及びフリー磁性層2
6にまで酸化や窒化が及ばないようにすることができ
る。
【0096】上記した元素膜を酸化や窒化することで形
成されたスペキュラー層31の膜厚は、前記元素膜より
も大きくなるが、そもそも前記元素膜は、1〜5Å程度
の薄い膜で成膜されており、これを酸化や窒化しても、
スペキュラー層31は、3Å以上で10Å以下の薄い膜
厚で形成される。
【0097】このように本発明では、スペキュラー層3
1の材質および処理方法を最適化することで、前記スペ
キュラー層31の膜厚を3Å以上で10Å以下に薄く形
成しても前記スペキュラー層31下のバックド層27や
フリー磁性層26が酸化や窒化されるのを適切に防止で
きる。
【0098】スペキュラー層31を薄く形成できる理由
の二つ目は、上記したように、前記スペキュラー層31
の上に非磁性層32を形成した点にあり、本発明では、
前記非磁性層32は、Ru、Rh、Pd、Ir、Os、
Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれか1種また
は2種以上で形成されることが好ましい。
【0099】Ruなどで形成された非磁性層32は、大
気暴露によっても酸化されにくい緻密な膜であり、前記
非磁性層32下に形成されたスペキュラー層31及びそ
の下のバックド層27とフリー磁性層26は前記非磁性
層32によって酸化から適切に保護されている。
【0100】従来、Taの酸化物で形成されたスペキュ
ラー層31は、スペキュラー層31自体が、その下に形
成されたフリー磁性層を酸化から保護すべき酸化防止層
としての役割をも担っていたから、前記スペキュラー層
31の膜厚を20Åよりも厚い膜厚で形成する必要性が
あったが、本発明では、前記スペキュラー層31の上に
非磁性層32を形成することで、その酸化防止層の役割
を前記非磁性層32に担わせ、よって前記スペキュラー
層31の膜厚を薄く形成しても、その下に形成されたバ
ックド層27およびフリー磁性層26の各層を大気暴露
による酸化から適切に保護することができるのである。
【0101】上記したようにRuなどで形成された非磁
性層32は、それ自体、酸化され難い緻密な膜であるか
ら、本発明では非磁性層32を非常に薄い膜厚で形成し
ても、その下に形成されたスペキュラー層31等を適切
に酸化から保護できる。またアニール工程において、ス
ペキュラー層31に含まれる酸素が非磁性層32に拡散
して非磁性層32が酸化されてスペキュラー層31が還
元されスペキュラー効果が失われるといった不具合も発
生しない。
【0102】本発明では、前記非磁性層32は、2Å以
上で8Å以下で形成されることが好ましい。前記非磁性
層32の膜厚が2Åよりも小さいと、その下に形成され
た各層を酸化から有効に保護できない。前記非磁性層3
2の膜厚が8Åよりも大きいと、成膜段階でフリー磁性
層26の両側端部C上に形成されるバックド層27、ス
ペキュラー層31及び非磁性層32の総合膜厚h1が2
0Åよりも厚く形成されやすく、よってイオンミリング
の影響をフリー磁性層26の両側端部Cが受けやすくな
り、前記フリー磁性層26の両側端部の磁気特性の劣化
を招き好ましくない。
【0103】また後で製造方法で説明するように、前記
非磁性層32は、前記スペキュラー層31と同じように
真空槽内で連続して形成されることが好ましい。
【0104】以上のように、スペキュラー層31を低圧
酸化や低圧窒化によって形成し、且つ前記スペキュラー
層31の上に非磁性層32を形成することで、前記スペ
キュラー層31の膜厚を薄く形成することができる。本
発明では、例えば前記スペキュラー層31の材質として
従来使用されていたTaを使用することもできる。
【0105】本発明ではTa膜を成膜段階で1Å以上で
5Å以下の薄い膜厚で形成する。Ta膜は大気暴露によ
って酸化しやすく、このような薄い膜厚であると、前記
Ta膜の下に形成されたフリー磁性層26が酸化の影響
を受けてしまうので、大気暴露させずに、真空槽内で低
圧酸化や低圧窒化を行う。このとき低圧のために酸化や
窒化の速度は、大気中のときより鈍化するので、1Å以
上で5Å以下の薄い膜厚のTa膜の部分だけが適切に酸
化や窒化され、その下に形成されたフリー磁性層26や
バックド層27に酸化や窒化の影響が及ばないようにす
ることができる。
【0106】次に本発明では、前記Ta膜の酸化物や窒
化物で形成されたスペキュラー層31の上に大気に暴露
することなくRuなどで形成された非磁性層32を連続
して形成し、前記スペキュラー層31を大気暴露による
酸化から適切に保護する。非磁性層32を形成しない
と、大気暴露によって前記Ta膜の酸化物や窒化物から
なるスペキュラー層31は、酸化が激しく進行し、前記
スペキュラー層31の下に形成されたフリー磁性層26
やバックド層27が酸化の影響を受けてしまうからであ
る。
【0107】なおTaなどに比べて大気暴露によって酸
化が深く進行しにくい材質であるCr、Mo、W、T
i、Si、Ge、Alの酸化物や窒化物などで前記スペ
キュラー層31を形成する場合には、Cr膜等が薄く形
成されても、大気暴露によってその下に形成されたフリ
ー磁性層26やバックド層27まで酸化が及ぶのを適切
に抑制できるので、前記Cr膜等を低圧酸化による酸化
方法ではなく大気暴露に曝して酸化してもよい。
【0108】次にバックド層27について以下に説明す
る。前記バックド層27が形成されることによって、磁
気抵抗効果に寄与するアップスピンの伝導電子(上向き
スピン:up spin)における平均自由行程(me
an free path)を延ばし、いわゆるスピン
フィルター効果(spin filter effec
t)により磁気検出素子において、大きな抵抗変化率が
得られ、高記録密度化に対応できるものとなる。
【0109】前記バックド層27は例えばCuやAg、
Au、Ruなどで形成される。また前記バックド層27
の中央部27aの膜厚は2Å以上で5Å以下で形成され
ることが好ましい。これによって、適切にスピンフィル
ター効果を発揮させることができると共に、フリー磁性
層26の両側端部Cが受けるイオンミリングの影響を小
さくできる。
【0110】なお図1の実施形態では、前記バックド層
27の両側端部27bの膜厚が、前記中央部27aの膜
厚より薄く形成されているが、前記バックド層27の中
央部27aの膜厚が3Å以下の非常に薄い膜厚であれ
ば、前記バックド層27の中央部27aと両側端部27
bとが同じ膜厚であってもよい。
【0111】次に、前記フリー磁性層26の中央部D上
に形成された各層の総合膜厚について以下に説明する。
【0112】図1に示す実施形態では、前記フリー磁性
層26の中央部D上にバックド層27、スペキュラー層
31および非磁性層32が形成されている。本発明で
は、前記フリー磁性層26の中央部D上に形成されたこ
れら各層の総合膜厚h1は、7Å以上で20Å以下で形
成されることが好ましい。前記総合膜厚h1の最小値を
7Åとした理由は、バックド層27の膜厚の最小値が2
Å、スペキュラー層31の膜厚の最小値が3Å、非磁性
層32の膜厚の最小値が2Åだからである。
【0113】本発明において、前記フリー磁性層26の
中央部D上に形成された各層の総合膜厚を20Å以下で
形成することで、前記フリー磁性層26の両側端部C上
に形成された各層をイオンミリングで除去する工程にお
いて、前記各層を低エネルギーのイオンミリングで除去
することが可能になる。低エネルギーであるからミリン
グレートは、高エネルギーの場合に比べて遅く、図1の
ように、バックド層27の両側端部27bをわずかなが
ら残した段階でミリングを止めるように制御することも
比較的簡単に行える。
【0114】図1に示す実施形態では、前記フリー磁性
層26の両側端部C上に、バックド層27の両側端部2
7bが一部残され、その上に強磁性層28が形成されて
いる。すなわち図1では、前記フリー磁性層26の両側
端部Cと強磁性層28間にバックド層27の両側端部2
7bが介在しているが、前記バックド層27の両側端部
27bは薄い膜厚で形成されており、前記バックド層2
7の両側端部27bの膜厚は0.2Å以上で3Å以下で
あることが好ましい。なおここでいう「0.2Å」の膜
厚は前記バックド層27の両側端部27b全体の平均値
である。0.2Åは、原子層の厚みよりも薄いことか
ら、バックド層27を構成する原子が存在している場所
と、存在していない場所とが島状に分布する。このため
0.2Åの膜厚はバックド層27の両側端部27b全体
の平均値である。
【0115】上記したように、前記バックド層27の両
側端部27bを0.2Å以上で3Å以下の薄い膜厚で形
成することで、前記フリー磁性層26の両側端部Cと強
磁性層28間に強磁性的な結合が生じる。前記強磁性層
28はその上に形成された第2反強磁性層29との間で
発生する交換結合磁界によってトラック幅方向(図示X
方向)に強固に単磁区化される。これによって前記強磁
性層28との間で強磁性的な結合が作用するフリー磁性
層26の両側端部Cも、前記強磁性層28が磁化された
方向と同一方向に向き、トラック幅方向(図示X方向)
に強固に単磁区化される。
【0116】ここで「強磁性的な結合」とは、前記バッ
クド層27の両側端部27bを介したフリー磁性層26
の両側端部Cと強磁性層28間のRKKY的な強磁性結
合、あるいは前記バックド層27の両側端部27bに形
成されたピンホール等の欠陥を介した直接的な交換相互
作用によって前記フリー磁性層26の両側端部Cの磁化
が前記強磁性層28の磁化方向と同一方向に向くことを
意味する。
【0117】あるいは前記バックド層27の両側端部2
7bを構成する元素は、前記強磁性層28と第2反強磁
性層29間に交換結合磁界を生じさせる際の磁場中アニ
ールなどによって熱拡散を起し、例えば強磁性層28お
よびフリー磁性層26がNiFe合金で形成され、前記
バックド層27がCuで形成されている場合、特にバッ
クド層27の両側端部27bが非常に薄い膜厚で形成さ
れていると、上記の熱拡散によってバックド層27の両
側端部27bが消滅し、前記フリー磁性層26および強
磁性層28の前記バックド層27と対向する側にNiF
eCu合金層が形成され、あたかも前記フリー磁性層2
6の両側端部Cと強磁性層28とが一体の強磁性体層と
して機能する。
【0118】これによってフリー磁性層26の両側端部
Cは、前記強磁性層28が、前記第2反強磁性層29と
の間で発生する交換結合磁界によりトラック幅方向(図
示X方向)に磁化固定されることで、前記強磁性層28
が磁化された方向と同一方向に向き、トラック幅方向
(図示X方向)に強固に単磁区化される。
【0119】次に本発明では、前記強磁性層28の膜厚
は2Å以上で50Å以下で形成されることが好ましい。
【0120】本発明ではこのように前記強磁性層28を
薄く形成しても、前記フリー磁性層26の両側端部Cと
の間で例えば上記した強磁性的な結合を効果的に生じさ
せることが可能である。それは、前記フリー磁性層26
の両側端部Cがイオンミリングの影響を受けずに、適切
な磁気特性を保っているからであり、前記強磁性層28
が上記した膜厚程度にまで薄く形成されることで、前記
強磁性層28と第2反強磁性層29間で大きな交換結合
磁界を生じさせることができるし、さらに前記強磁性層
28の内側端部からの余分な静磁界が前記フリー磁性層
26の中央部Dに影響を及ぼし、前記フリー磁性層26
の感度を劣化させるといった問題も適切に抑制できる。
【0121】以上のように図1の実施形態によれば、前
記フリー磁性層26の両側端部Cの磁化は、トラック幅
方向(図示X方向)に適切に固定される。
【0122】一方、前記フリー磁性層26の中央部Dの
磁化は磁化反転できる程度に弱く単磁区化されている。
前記中央部Dのトラック幅方向(図示X方向)における
幅寸法と強磁性層28の下面間のトラック幅方向(図示
X方向)の間隔で規定されるトラック幅Twはほぼ一致
しており、従って高記録密度化に対応するために狭トラ
ック化が促進されても、トラック幅Tw寸法内を適切に
磁化反転可能な感度領域として規定でき、高記録密度化
に適切に対応可能なスペキュラー層31を有する磁気検
出素子を製造することが可能になっている。前記トラッ
ク幅Twは0.2μm以下で形成されることが好まし
い。
【0123】図2は、本発明における第2実施形態の磁
気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分
断面図である。
【0124】図2に示す実施形態は、図1とバックド層
27の形態が異なるだけで、その他の層の形態は図1と
同じである。よって以下では主にバックド層27の形態
について説明する。
【0125】図2では、前記バックド層27はフリー磁
性層26の中央部D上にのみ形成され、前記フリー磁性
層26の両側端部C上には形成されていない。図1で説
明したように、前記フリー磁性層26上に形成されるバ
ックド層27、スペキュラー層31および非磁性層32
をすべて合わせた総合膜厚h1は7Å以上で20Å以下
の薄い膜厚で形成されている。
【0126】従って本発明では、前記フリー磁性層26
の両側端部C上に形成されたバックド層27、スペキュ
ラー層31および非磁性層32をイオンミリングで除去
する工程において、低エネルギーのイオンミリングを使
用しても、前記バックド層27、スペキュラー層31お
よび非磁性層32のみを適切にイオンミリングで除去す
ることができる。
【0127】すなわち本発明では、低エネルギーのイオ
ンミリングを使用できるから、ミリング速度を高エネル
ギーの場合に比べて遅くでき、バックド層27、スペキ
ュラー層31および非磁性層32のみを除去し、前記フ
リー磁性層26の両側端部Cにイオンミリングによるダ
メージを極力与えないように適切にミリング制御するこ
とが可能になるのである。
【0128】従って図2に示す実施形態では、前記フリ
ー磁性層26の両側端部Cには、イオンミリングによる
ダメージが少なく、前記フリー磁性層26の両側端部C
の磁気特性を良好に保つことができる。前記フリー磁性
層26の両側端部C上には強磁性層28および第2反強
磁性層29が形成されており、前記強磁性層28と第2
反強磁性層29間で発生する交換結合磁界によって前記
強磁性層28の磁化がトラック幅方向に強固に固定され
ることで、前記強磁性層28と強磁性的に結合する前記
フリー磁性層26の両側端部Cの磁化をトラック幅方向
に強固に単磁区化することができる。
【0129】よって本発明によれば、狭トラック化にお
いても、前記フリー磁性層26の磁化制御を効果的に行
うことが可能であり、高記録密度化に優れたスペキュラ
ー層31を有する磁気検出素子を製造することができ
る。
【0130】なお図2では、図1とバックド層27の形
態が異なるのみで、他の層の材質や膜厚等は同じである
から、他の層の詳細な説明に関しては図1を参照された
い。
【0131】図3は本発明における第3実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0132】図3に示す実施形態は図1および図2と異
なって、前記フリー磁性層26上にバックド層27が形
成されていない。図3では前記フリー磁性層26上にス
ペキュラー層31及び非磁性層32が形成されている。
【0133】図3に示す実施形態では前記スペキュラー
層31は、その中央部31aの膜厚が、両側端部31b
の膜厚よりも厚く形成されている。
【0134】前記スペキュラー層31は図1で説明した
のと同じく、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、A
l、Si、Ge、Cr、Mo、Wあるいは希土類元素の
うち1種または2種以上からなる元素の酸化物または窒
化物で形成されることが好ましい。
【0135】また前記スペキュラー層31の中央部31
aの膜厚は3Å以上で10Å以下で形成されることが好
ましい。
【0136】さらに前記非磁性層32は、Ru、Rh、
Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのう
ちいずれか1種または2種以上で形成されることが好ま
しい。前記非磁性層32は2Å以上で8Å以下で形成さ
れることが好ましい。
【0137】本発明では、スペキュラー層31の上に酸
化防止層となる非磁性層32を形成することで、前記ス
ペキュラー層31の膜厚が3Å〜10Åに薄い膜厚であ
っても、適切に前記スペキュラー層31やフリー磁性層
26は大気暴露による酸化から保護される。また前記非
磁性層32をRuなどの酸化されにくい緻密な膜で形成
することで、前記非磁性層32を2Å〜8Åの薄い膜厚
で形成しても、適切に前記スペキュラー層31およびフ
リー磁性層26を大気暴露による酸化から保護でき、よ
って本発明では、前記フリー磁性層26の中央部D上に
形成されるスペキュラー層31および非磁性層32の総
合膜厚h2を薄く形成できる。本発明では前記総合膜厚
h2を5Å以上で20Å以下で形成することが好まし
い。なお総合膜厚h2の最小値を5Åとしたのは、スペ
キュラー層31の膜厚の最小値が3Å、非磁性層32の
膜厚の最小値が2Åだからである。
【0138】このように、前記フリー磁性層26の中央
部D上に形成されたスペキュラー層31および非磁性層
32の総合膜厚h2を20Å以下で形成することで、前
記スペキュラー層31および非磁性層32を成膜後、前
記フリー磁性層26の両側端部C上に形成されたスペキ
ュラー層31および非磁性層32をイオンミリングで除
去する工程において、低エネルギーのイオンミリングを
使用でき、所定の位置でイオンミリングを止めることが
できるようにミリング制御しやすい。
【0139】図3に示す実施形態では、前記フリー磁性
層26の両側端部C上に一部、スペキュラー層31の両
側端部31bが残されているが、前記スペキュラー層3
1の両側端部31bの膜厚は非常に薄く、0.2Å(両
側端部31b全体での平均値)以上で3Å以下である。
このように薄い膜厚で前記スペキュラー層31の両側端
部31bが残されると、前記両側端部31bを挟んで対
向するフリー磁性層26の両側端部Cと強磁性層28間
で適切に強磁性的な結合を生じさせることができ、ある
いは熱拡散によって前記フリー磁性層26の両側端部C
と強磁性層28を一体の強磁性体層のようにでき、前記
フリー磁性層26の両側端部Cを効果的にトラック幅方
向(図示X方向)に単磁区化することができる。
【0140】一方、前記フリー磁性層26の中央部Dの
磁化は外部磁界に対し磁化反転可能な程度に弱く単磁区
化される。
【0141】図3に示す実施形態であれば、今後の狭ト
ラック化においても効果的に前記フリー磁性層26の磁
化制御を行うことが可能なスペキュラー層31を有する
磁気検出素子を製造することができる。
【0142】なお前記フリー磁性層26の中央部D上に
形成されたスペキュラー層31の中央部31aの膜厚が
3Å以下の非常に薄い膜厚で形成されている場合、前記
中央部31aの膜厚と両側端部31bの膜厚とが同じ大
きさであってもよい。
【0143】なお図3で説明しなかった層や膜厚、材質
等については図1で既に説明されているので、そちらを
参照されたい。
【0144】図4は、本発明における第4実施形態の磁
気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分
断面図である。
【0145】図4に示す実施形態は、図3とスペキュラ
ー層31の形態が異なるだけで、その他の層の形態は図
3と同じである。よって以下では主にスペキュラー層3
1の形態について説明する。
【0146】図4では、前記スペキュラー層31はフリ
ー磁性層26の中央部D上にのみ形成され、前記フリー
磁性層26の両側端部C上には形成されていない。図3
で説明したように、前記フリー磁性層26の中央部D上
に形成されるスペキュラー層31および非磁性層32を
すべて合わせた総合膜厚h2は5Å以上で20Å以下の
薄い膜厚で形成されている。
【0147】従って本発明では、前記フリー磁性層26
の両側端部C上に形成されたスペキュラー層31および
非磁性層32をイオンミリングで除去する工程におい
て、低エネルギーのイオンミリングを使用しても、前記
スペキュラー層31および非磁性層32のみを適切にイ
オンミリングで除去することができる。
【0148】すなわち本発明では、低エネルギーのイオ
ンミリングであるから、ミリング速度を高エネルギーの
場合に比べて遅くでき、スペキュラー層31および非磁
性層32のみを除去し、前記フリー磁性層26の両側端
部Cにイオンミリングによるダメージを極力与えないよ
うに適切にミリング制御することが可能になるのであ
る。
【0149】従って図4に示す実施形態では、前記フリ
ー磁性層26の両側端部Cには、イオンミリングによる
ダメージが少なく、前記フリー磁性層26の両側端部C
の磁気特性を良好に保つことができる。前記フリー磁性
層26の両側端部C上には強磁性層28および第2反強
磁性層29が形成されており、前記強磁性層28と第2
反強磁性層29間で発生する交換結合磁界によって前記
強磁性層28の磁化がトラック幅方向に強固に固定され
ることで、前記強磁性層28と強磁性的に結合する前記
フリー磁性層26の両側端部Cの磁化をトラック幅方向
に強固に単磁区化することができる。
【0150】よって本発明によれば、狭トラック化にお
いても、前記フリー磁性層26の磁化制御を効果的に行
うことが可能であり、高記録密度化に優れたスペキュラ
ー層31を有する磁気検出素子を製造することができ
る。
【0151】なお図4では、図3とスペキュラー層31
の形態が異なるのみで、他の層の材質や膜厚等は同じで
あるから、他の層の詳細な説明に関しては図1や図3を
参照されたい。
【0152】図5は本発明における第5実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0153】この実施形態では図1ないし図4に示す実
施形態と異なって、前記スペキュラー層31の上に非磁
性層32が形成されていない。図1ないし図4において
前記非磁性層32を形成していた理由は、前記非磁性層
32を酸化防止層として機能させるためであったが、図
5に示す実施形態では、前記スペキュラー層31自体
が、スペキュラー効果とともにフリー磁性層26および
バックド層27を大気暴露による酸化から保護する酸化
防止層としての役割を有している。
【0154】前記スペキュラー層31が本発明において
酸化防止層として機能するためには、薄い膜厚であって
もその機能を果す必要がある。従って図1ないし図4で
は使用可能であったTaなどの酸化物や窒化物を図5の
実施形態ではスペキュラー層31として使用できない。
薄い膜厚で形成されたTaなどの酸化物や窒化物からな
るスペキュラー層31では、それよりも下側のバックド
層27やフリー磁性層26が大気暴露によって酸化され
てしまうからである。
【0155】よって図5で使用されるスペキュラー層3
1は、大気暴露によっても酸化が深くまで進行しにくい
材質で形成されている必要がある。本発明では、前記ス
ペキュラー層31は、Cr、Mo、W、Ti、Si、G
e、Alのうち1種または2種以上からなる元素の酸化
物あるいは窒化物で形成されることが好ましい。
【0156】これら材質で形成されたスペキュラー層3
1は、大気暴露によっても酸化速度が遅い緻密な層であ
り、例えばCr膜を成膜段階で薄い膜厚で前記バックド
層27上に形成しておいても、前記Cr膜は大気暴露に
よる酸化の進行度が遅く、前記Cr膜下のバックド層2
7およびフリー磁性層26が大気暴露による酸化の影響
を受けることを極力避けることができる。
【0157】本発明では、Cr、Mo、W、Ti、S
i、Ge、Alのうち1種または2種以上からなる元素
の酸化物あるいは窒化物で形成されたスペキュラー層3
1は3Å以上で15Å以下で形成されることが好まし
い。前記スペキュラー層31の膜厚が3Åよりも小さい
と、前記スペキュラー層31を介してバックド層27及
びフリー磁性層26が酸化されやすくなり好ましくな
い。また前記スペキュラー層31の膜厚が15Åよりも
大きいと、成膜段階におけるフリー磁性層26の両側端
部C上に形成されるバックド層27及びスペキュラー層
31の総合膜厚h3が20Åよりも大きくなりやすくな
り、よって前記フリー磁性層26の両側端部C上に形成
された前記スペキュラー層31及びバックド層27をイ
オンミリングで除去するとき、低エネルギーのイオンミ
リングによっては、適切に前記スペキュラー層31を除
去しきれない場合があり、従来と同様に高エネルギーの
イオンミリングを使用しなければならない結果、フリー
磁性層26の両側端部Cがイオンミリングによるダメー
ジを受けやすくなり好ましくない。
【0158】図5に示す実施形態では、前記フリー磁性
層26の中央部D上に形成されたバックド層27及びス
ペキュラー層31の総合膜厚h3は5Å以上で20Å以
下で形成されることが好ましい。前記総合膜厚h3の最
小値を5Åとしたのは、バックド層27の膜厚の最小値
が2Åで、スペキュラー層31の膜厚の最小値が3Åだ
からである。
【0159】また本発明では、前記総合膜厚h3を20
Å以下で形成することで、前記フリー磁性層26の両側
端部C上に形成されたバックド層27及びスペキュラー
層31をイオンミリングで削り込む工程において、低エ
ネルギーのイオンミリングを使用でき、従来に比べて前
記フリー磁性層26の両側端部Cにイオンミリングによ
るダメージを与えないようにすることができる。
【0160】図5に示す実施形態では、前記フリー磁性
層26の両側端部C上に一部、バックド層27の両側端
部27bが残され、その上に強磁性層28が形成されて
いる。すなわち図5では、前記フリー磁性層26の両側
端部Cと強磁性層28間にバックド層27の両側端部2
7bが介在しているが、前記バックド層27の両側端部
27bは薄い膜厚で形成されており、前記バックド層2
7の両側端部27bの膜厚は0.2Å以上で3Å以下で
あることが好ましい。なおここでいう「0.2Å」の膜
厚は前記バックド層27の両側端部27b全体の平均値
である。0.2Åは、原子層の厚みよりも薄いことか
ら、バックド層27を構成する原子が存在している場所
と、存在していない場所とが島状に分布する。このため
0.2Åの膜厚はバックド層27の両側端部27b全体
の平均値である。
【0161】上記したように、前記バックド層27の両
側端部27bを0.2Å以上で3Å以下の薄い膜厚で形
成することで、前記フリー磁性層26の両側端部Cと強
磁性層28間に強磁性的な結合が生じる。前記強磁性層
28はその上に形成された第2反強磁性層29との間で
発生する交換結合磁界によってトラック幅方向(図示X
方向)に強固に単磁区化される。これによって前記強磁
性層28との間で強磁性的な結合が作用するフリー磁性
層26の両側端部Cも、前記強磁性層28が磁化された
方向と同一方向に向き、トラック幅方向(図示X方向)
に強固に単磁区化される。
【0162】ここで「強磁性的な結合」とは、前記バッ
クド層27の両側端部27bを介したフリー磁性層26
の両側端部Cと強磁性層28間のRKKY的な強磁性結
合、あるいは前記バックド層27の両側端部27bに形
成されたピンホール等の欠陥を介した直接的な交換相互
作用によって前記フリー磁性層26の両側端部Cの磁化
が前記強磁性層28の磁化方向と同一方向に向くことを
意味する。
【0163】あるいは、前記バックド層27の両側端部
Cを構成する元素は、前記強磁性層28と第2反強磁性
層29間に交換結合磁界を生じさせる際の磁場中アニー
ルなどによって熱拡散を起し、例えば強磁性層28およ
びフリー磁性層26がNiFe合金で形成され、前記バ
ックド層27がCuで形成されている場合、特に前記バ
ックド層27の両側端部27bが非常に薄い膜厚で形成
されていると、上記の熱拡散によってバックド層27の
両側端部27bが消滅し、前記フリー磁性層26および
強磁性層28の前記バックド層27と対向する側にNi
FeCu合金層が形成され、前記フリー磁性層26の両
側端部Cと強磁性層28とが一体の強磁性体層として機
能する。
【0164】これによってフリー磁性層26の両側端部
Cは、前記強磁性層28が、前記第2反強磁性層29と
の間で発生する交換結合磁界によりトラック幅方向(図
示X方向)に磁化固定されることで、前記強磁性層28
が磁化された方向と同一方向に向き、トラック幅方向
(図示X方向)に強固に単磁区化される。
【0165】次に本発明では、前記強磁性層28の膜厚
は2Å以上で50Å以下で形成されることが好ましい。
【0166】本発明ではこのように前記強磁性層28を
薄く形成しても、前記フリー磁性層26の両側端部Cと
の間で例えば上記した強磁性的な結合を効果的に生じさ
せることが可能である。それは、前記フリー磁性層26
の両側端部Cがイオンミリングの影響を受けずに、適切
な磁気特性を保っているからであり、前記強磁性層28
が上記した膜厚程度にまで薄く形成されることで、前記
強磁性層28と第2反強磁性層29間で大きな交換結合
磁界を生じさせることができるし、さらに前記強磁性層
28の内側端部からの余分な静磁界が前記フリー磁性層
26の中央部Dに影響を及ぼし、前記フリー磁性層26
の感度を劣化させるといった問題も適切に抑制できる。
【0167】以上のように図5の実施形態によれば、前
記フリー磁性層26の両側端部Cの磁化は、トラック幅
方向(図示X方向)に適切に固定される。
【0168】一方、前記フリー磁性層26の中央部Dの
磁化は磁化反転できる程度に弱く単磁区化されている。
前記中央部Dのトラック幅方向(図示X方向)における
幅寸法と強磁性層28の下面間のトラック幅方向(図示
X方向)の間隔で規定されるトラック幅Twはほぼ一致
しており、従って高記録密度化に対応するために狭トラ
ック化が促進されても、トラック幅Tw寸法内を適切に
磁化反転可能な感度領域として規定でき、高記録密度化
に適切に対応可能な磁気検出素子を製造することが可能
になっている。前記トラック幅Twは0.2μm以下で
形成されることが好ましい。
【0169】なお図5において、スペキュラー層31の
材質は、Cr、Mo、W、Ti、Si、Ge、Alのう
ち1種または2種以上からなる元素の酸化物または窒化
物であると説明したが、上記材質以外の材質で形成され
た前記スペキュラー層31が3Å以上で15Å以下の膜
厚範囲内であっても、適切に大気暴露による酸化から前
記バックド層27やフリー磁性層26を保護できれば、
前記スペキュラー層31の材質は、上記材質に限定され
ない。
【0170】なお図5で説明しなかった層や膜厚及び材
質などについては図1と同じであるのでそちらを参照さ
れたい。
【0171】図6は本発明における第6実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0172】図6に示す実施形態は、図5とバックド層
27の形態が異なるだけで、その他の層の形態は図5と
同じである。よって以下では主にバックド層27の形態
について説明する。
【0173】図6では、前記バックド層27はフリー磁
性層26の中央部D上にのみ形成され、前記フリー磁性
層26の両側端部C上には形成されていない。図5で説
明したように、前記フリー磁性層26上に形成されるバ
ックド層27及びスペキュラー層31をすべて合わせた
総合膜厚h3は5Å以上で20Å以下の薄い膜厚で形成
されている。
【0174】従って本発明では、前記フリー磁性層26
の両側端部C上に形成されたバックド層27及びスペキ
ュラー層31をイオンミリングで除去する工程におい
て、低エネルギーのイオンミリングを使用しても、前記
バックド層27及びスペキュラー層31のみを適切にイ
オンミリングで除去することができる。
【0175】すなわち本発明では、低エネルギーのイオ
ンミリングであるから、ミリング速度を高エネルギーの
場合に比べて遅くでき、バックド層27及びスペキュラ
ー層31のみを除去し、前記フリー磁性層26の両側端
部Cにイオンミリングによるダメージを極力与えないよ
うに適切にミリング制御することが可能になるのであ
る。
【0176】従って図6に示す実施形態では、前記フリ
ー磁性層26の両側端部Cには、イオンミリングによる
ダメージが少なく、前記フリー磁性層26の両側端部C
の磁気特性を良好に保つことができる。前記フリー磁性
層26の両側端部C上には強磁性層28および第2反強
磁性層29が形成されており、前記強磁性層28と第2
反強磁性層29間で発生する交換結合磁界によって前記
強磁性層28の磁化がトラック幅方向に強固に固定され
ることで、前記強磁性層28と強磁性的な結合をする前
記フリー磁性層26の両側端部Cの磁化をトラック幅方
向に強固に単磁区化することができる。
【0177】よって本発明によれば、狭トラック化にお
いても、前記フリー磁性層26の磁化制御を効果的に行
うことが可能であり、高記録密度化に優れたスペキュラ
ー層31を有する磁気検出素子を製造することができ
る。
【0178】なお図6では、図5とバックド層27の形
態が異なるのみで、他の層の材質や膜厚等は同じである
から、他の層の詳細な説明に関しては図1や図5を参照
されたい。
【0179】図7は本発明における第7実施形態の磁気
検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断
面図である。
【0180】図7に示す実施形態は図5および図6と異
なって、前記フリー磁性層26上にバックド層27が形
成されていない。図7では前記フリー磁性層26上にス
ペキュラー層31のみが形成されている。
【0181】この実施形態では、前記スペキュラー層3
1は、その中央部31aの膜厚が、両側端部31bの膜
厚よりも厚く形成されている。
【0182】前記スペキュラー層31は図5で説明した
のと同じく、Cr、Mo、W、Ti、Si、Ge、Al
のうち1種または2種以上からなる元素の酸化物または
窒化物で形成されることが好ましい。
【0183】また前記スペキュラー層31の中央部31
aの膜厚は3Å以上で15Å以下で形成されることが好
ましい。
【0184】本発明では、上記した材質で形成されたス
ペキュラー層31であれば、前記スペキュラー層31に
スペキュラー効果を与えると共に、3Å以上で15Å以
下の薄い膜厚であっても前記スペキュラー層31を酸化
防止層として機能させることができる。
【0185】この実施形態では前記フリー磁性層26上
には3Å以上で15Å以下の薄い膜厚の前記スペキュラ
ー層31のみ形成されているから、前記フリー磁性層2
6の両側端部C上に形成されたスペキュラー層31をイ
オンミリングで除去する工程において、低エネルギーの
イオンミリングを使用でき、所定の位置でイオンミリン
グを止めるようにミリング制御しやすい。
【0186】図7に示す実施形態では、前記フリー磁性
層26の両側端部C上に一部、スペキュラー層31の両
側端部31bが残されているが、前記スペキュラー層3
1の両側端部31bの膜厚は非常に薄く、0.2Å(両
側端部31bでの平均値)以上で3Å以下である。この
ように薄い膜厚で前記スペキュラー層31の両側端部3
1bが残されると、前記両側端部31bを挟んで対向す
るフリー磁性層26の両側端部Cと強磁性層28間で適
切に強磁性的な結合を生じさせることができ、あるいは
熱拡散によって前記フリー磁性層26の両側端部Cと強
磁性層28を一体の強磁性体層のようにでき、前記フリ
ー磁性層26の両側端部Cを効果的にトラック幅方向
(図示X方向)に単磁区化することができる。
【0187】一方、前記フリー磁性層26の中央部Dの
磁化は外部磁界に対し磁化反転可能な程度に弱く単磁区
化される。
【0188】図7に示す実施形態であれば、今後の狭ト
ラック化においても効果的に前記フリー磁性層26の磁
化制御を行うことが可能なスペキュラー層31を有する
磁気検出素子を製造することができる。
【0189】なお前記フリー磁性層26の中央部D上に
形成されたスペキュラー層31の中央部31aの膜厚が
3Å以下の薄い膜厚であっても適切にスペキュラー層3
1に酸化防止層としての機能を持たせることができる場
合、前記スペキュラー層31を3Å以下の膜厚で形成し
てもよく、かかる場合、前記スペキュラー層31の中央
部31aと両側端部31bの膜厚とが同じ大きさであっ
てもよい。
【0190】なお図7で説明しなかった層や膜厚、材質
等については図1や図5で既に説明されているので、そ
ちらを参照されたい。
【0191】図8は、本発明における第8実施形態の磁
気検出素子の構造を記録媒体との対向面側から見た部分
断面図である。
【0192】図8に示す実施形態は、図7とスペキュラ
ー層31の形態が異なるだけで、その他の層の形態は図
7と同じである。よって以下では主にスペキュラー層3
1の形態について説明する。
【0193】図8では、前記スペキュラー層31はフリ
ー磁性層26の中央部D上にのみ形成され、前記フリー
磁性層26の両側端部C上には形成されていない。図7
で説明したように、前記フリー磁性層26の中央部D上
に形成されるスペキュラー層31は3Å以上で15Å以
下の薄い膜厚で形成されている。
【0194】従って本発明では、前記フリー磁性層26
の両側端部C上に形成されたスペキュラー層31をイオ
ンミリングで除去する工程において、低エネルギーのイ
オンミリングを使用しても、前記スペキュラー層31の
みを適切にイオンミリングで除去することができる。
【0195】すなわち本発明では、低エネルギーのイオ
ンミリングであるから、ミリング速度を高エネルギーの
場合に比べて遅くでき、スペキュラー層31のみを除去
し、前記フリー磁性層26の両側端部Cにイオンミリン
グによるダメージを極力与えないように適切にミリング
制御することが可能になるのである。
【0196】従って図8に示す実施形態では、前記フリ
ー磁性層26の両側端部Cには、イオンミリングによる
ダメージが小さく、前記フリー磁性層26の両側端部C
の磁気特性を良好に保つことができる。前記フリー磁性
層26の両側端部C上には強磁性層28および第2反強
磁性層29が形成されており、前記強磁性層28と第2
反強磁性層29間で発生する交換結合磁界によって前記
強磁性層28の磁化がトラック幅方向に強固に固定され
ることで、前記強磁性層28と強磁性的な結合をする前
記フリー磁性層26の両側端部Cの磁化をトラック幅方
向に強固に単磁区化することができる。
【0197】よって本発明によれば、狭トラック化にお
いても、前記フリー磁性層26の磁化制御を効果的に行
うことが可能であり、高記録密度化に優れたスペキュラ
ー層31を有する磁気検出素子を製造することができ
る。
【0198】なお図8では、図7とスペキュラー層31
の形態が異なるのみで、他の層の材質や膜厚等は同じで
あるから、他の層の詳細な説明に関しては図1や図5を
参照されたい。
【0199】次に本発明におけるフリー磁性層26の形
態について説明する。図1ないし図8に示す磁気検出素
子では、すべてフリー磁性層26は2層構造であり、非
磁性材料層25と接する側の層が、CoFeやCoなど
の拡散防止層26aとなっている。磁性材料層26bは
NiFe合金などの磁性材料で形成されている。
【0200】前記フリー磁性層26は磁性材料の単層で
形成されていてもよい。磁性材料としてはNiFe合
金、CoFe合金、CoFeNi合金、Co、CoNi
合金などを選択できる。このうち特に前記フリー磁性層
26をCoFeNi合金で形成することが好ましい。
【0201】図9は、前記フリー磁性層26の部分を中
心に図示した部分拡大断面図である。断面は記録媒体と
の対向面側から見ている。
【0202】図9に示す形態ではフリー磁性層26は3
層構造である。前記フリー磁性層26を構成する符号3
6、37、38の各層はすべて磁性材料の層であり、磁
性材料層36は、非磁性材料層25との間で元素の拡散
を防止するための拡散防止層である。前記磁性材料層3
6はCoFeやCoなどで形成される。
【0203】磁性材料層38の両側端部の上は、図1及
び図5の形態では、バックド層27が形成されている。
また前記磁性材料層38の両側端部の上は、図3及び図
7の形態では、スペキュラー層31が形成されている。
かかる場合、前記磁性材料層38は、CoFe合金で形
成されることが好ましく、これによって前記非磁性層2
7を介して対向する強磁性層28と前記磁性材料38間
で生じるRKKY的な強磁性結合を強くできる。
【0204】図9に示す3層構造の材質の組合わせとし
ては、例えば磁性材料層36:CoFe/磁性材料層3
7:NiFe/磁性材料層38:CoFeを提示でき
る。
【0205】磁性材料のみで形成されたフリー磁性層2
6の膜厚は30Å〜40Å程度で形成されることが好ま
しい。またフリー磁性層26に使用されるCoFe合金
の組成比は、例えばCoが90at%、Feが10at
%である。
【0206】図10は、前記フリー磁性層26の別の実
施形態を示す部分拡大断面図である。図10に示すフリ
ー磁性層26は積層フェリ構造と呼ばれる構造である。
これによりフリー磁性層26の物理的な厚みを極端に薄
くすることなしに磁気的な実効的フリー磁性層26の膜
厚を薄くでき、外部磁界に対する感度を向上させること
ができる。
【0207】符号39、41の層は磁性層であり、符号
40の層は非磁性中間層である。磁性層39および磁性
層41は、例えばNiFe合金、CoFe合金、CoF
eNi合金、Co、CoNi合金などの磁性材料で形成
される。このうち特に前記磁性層39及び/または磁性
層41は、CoFeNi合金で形成されることが好まし
い。組成比としては、Feが9at%以上で17at%
以下、Niが0.5at%以上で10at%以下、残り
がCoのat%であることが好ましい。
【0208】これにより前記磁性層39、41間に働く
RKKY相互作用による結合磁界を大きくできる。具体
的にはスピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA
/m)以上にできる。以上により、磁性層39と磁性層
41との磁化を適切に反平行状態にできる。また上記し
た組成範囲内であると、フリー磁性層26の磁歪を−3
×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、
また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。
【0209】さらに、前記フリー磁性層26の軟磁気特
性の向上、非磁性材料層25間でのNiの拡散による抵
抗変化量(ΔR)や抵抗変化率(ΔR/R)の低減の抑
制を適切に図ることが可能である。
【0210】また前記非磁性中間層40は、Ru、R
h、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種または2種以上
で形成されることが好ましい。
【0211】前記磁性層39の膜厚は例えば35Å程度
で、非磁性中間層40は例えば9Å程度で、前記磁性層
41の膜厚は例えば15Å程度で形成される。
【0212】また前記磁性層39と非磁性材料層25と
の間には、CoFe合金やCoで形成された拡散防止層
が設けられていてもよい。さらには、前記磁性層41上
にCoFe合金で形成された磁性層が介在していてもよ
い。
【0213】かかる場合、磁性層39及び/または磁性
層41がCoFeNi合金で形成されるとき、前記Co
FeNi合金のFeの組成比は7原子%以上で15原子
%以下で、Niの組成比は5原子%以上で15原子%以
下で、残りの組成比はCoであることが好ましい。
【0214】これにより前記磁性層39、41間で発生
するRKKY相互作用における交換結合磁界を強くする
ことができる。具体的には、スピンフロップ磁界(Hs
f)を約293(kA/m)にまで大きくすることがで
きる。よって磁性層39、41の磁化を適切に反平行状
態にすることができる。
【0215】また上記した組成範囲内であると、フリー
磁性層26の磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲
内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)
以下に小さくできる。さらに、前記フリー磁性層26の
軟磁気特性の向上を図ることができる。
【0216】図11ないし図13は図1に示す磁気検出
素子の製造方法を示す一工程図である。図11ないし図
13に示す各工程は記録媒体との対向面側から見た部分
断面図である。
【0217】図11に示す工程では、基板20上にNi
Fe合金、NiFeCr合金あるいはCrから形成され
たシードレイヤ21を形成する。
【0218】さらに前記シードレイヤ21上に第1反強
磁性層23、固定磁性層24、非磁性材料層25、フリ
ー磁性層26、バックド層27、スペキュラー層31を
連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法が使用され
る。図11に示す固定磁性層24は、例えばCoFe合
金などで形成された磁性層24aと磁性層24cと、両
磁性層24a、24c間に介在するRuなどの非磁性の
中間層24bとの積層フェリ構造である。前記フリー磁
性層26は、CoFe合金などの拡散防止層26aとN
iFe合金などの磁性材料層26bとの積層構造であ
る。
【0219】本発明では前記第1反強磁性層23を、P
tMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,I
r,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種また
は2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn
―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,A
u,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Kr
のいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成
することが好ましい。
【0220】また前記PtMn合金及び前記X−Mnの
式で示される合金において、PtあるいはXが37〜6
3at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt
Mn合金及び前記X−Mnの式で示される合金におい
て、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であるこ
とがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値
範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0221】また、Pt−Mn−X’の式で示される合
金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であ
ることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で
示される合金において、X’+Ptが47〜57at%
の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−
Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2
〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、
X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのい
ずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’
は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0222】また本発明では前記第1反強磁性層23の
膜厚を80Å以上で300Å以下で形成することが好ま
しい。この程度の厚い膜厚で前記第1反強磁性層23を
形成することにより磁場中アニールで、前記第1反強磁
性層23と固定磁性層24間に大きな交換結合磁界を発
生させることができる。具体的には、48kA/m以
上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を発生さ
せることができる。
【0223】図11工程ではバックド層27を2Å以上
で5Å以下で形成することが好ましい。この程度の膜厚
で形成されれば、スピンフィルター効果を適切に発揮さ
せることができる。また前記バックド層27の膜厚がこ
れよりも厚くなると、前記フリー磁性層26上に形成さ
れる各層の総合膜厚h1が20Åを越えて形成されやす
くなることから、次工程で行なわれるイオンミリング工
程の際に、前記フリー磁性層26の両側端部Cがイオン
ミリングによるダメージを受けやすくなり好ましくな
い。また前記バックド層27をCuやAg、Au、Ru
などで形成することが好ましい。
【0224】図11工程では前記スペキュラー層31
を、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Al、Si、
Ge、Cr、Mo、Wあるいは希土類元素のうち1種ま
たは2種以上からなる元素の酸化物または窒化物で形成
することが好ましい。
【0225】前記スペキュラー層31の形成方法につい
て以下で詳しく説明する。まず本発明では、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Al、Si、Ge、Cr、
Mo、Wあるいは希土類元素のうち1種または2種以上
からなる元素膜を前記バックド層27上に1Å以上で5
Å以下の薄い膜厚でスパッタあるいは蒸着法で形成する
ことが好ましい。本発明では、前記スペキュラー層31
の元素膜を非常に薄い膜厚で成膜する点に製造工程の特
徴点がある。
【0226】前記元素膜を1Åよりも小さくすると、前
記元素膜を酸化したときに、前記バックド層27やフリ
ー磁性層26が酸化の影響を受けたり、あるいは前記ス
ペキュラー層31が効果的なスペキュラー効果を発揮で
きず好ましくない。
【0227】また前記元素膜を5Åよりも大きくする
と、前記元素膜を酸化してスペキュラー層31を形成し
たときに、前記スペキュラー層31が10Åよりも厚い
膜厚となり、特に図11に示す工程では、前記スペキュ
ラー層31のみならずバックド層27や後で説明する非
磁性層32も前記フリー磁性層26上に形成されるの
で、前記フリー磁性層26上に形成される各層の総合膜
厚h1が20Åを越えて形成されやすくなり、次工程で
前記フリー磁性層26の両側端部C上をイオンミリング
する工程時に、前記両側端部Cがイオンミリングによる
ダメージを受けやすく好ましくない。
【0228】前記バックド層31上に、Ti、Zr、H
f、V、Nb、Ta、Al、Si、Ge、Cr、Mo、
Wあるいは希土類元素のうち1種または2種以上からな
る元素膜を1Å以上で5Å以下の薄い膜厚で形成した
後、前記元素膜を真空槽内で低圧酸化あるいは低圧窒化
する。
【0229】真空槽内における低圧酸化や低圧窒化によ
り、前記元素膜をゆっくりと酸化あるいは窒化でき、前
記元素膜が1Å以上で5Å以下の薄い膜厚であっても、
前記元素膜のみを過不足なく酸化や窒化できると共に、
その下に形成されたバックド層27やフリー磁性層26
までが酸化や窒化されるのを適切に防止できる。
【0230】酸化には、低圧下における自然酸化、ラジ
カル酸化あるいはプラズマ酸化を使用することが好まし
い。
【0231】なお本発明では、真空槽内におけるガス圧
は、0.13Pa〜1.3×104Paであることが好
ましい。
【0232】上記した酸化や窒化工程において、前記元
素膜はスペキュラー層31となるが、このとき前記スペ
キュラー層31は成膜段階における元素膜の膜厚よりも
厚くなる。しかし上記したように前記元素膜は成膜段階
で1Å以上で5Å以下の非常に薄い膜厚であるため、酸
化や窒化によって形成されたスペキュラー層31の膜厚
は3Å以上で10Å以下となり、依然として前記スペキ
ュラー層31の膜厚を非常に薄く保つことができる。
【0233】本発明では、この真空槽内で、前記スペキ
ュラー層31を形成した後、この真空槽内から製造中の
磁気検出素子を外に出さずに、前記真空槽内で、前記ス
ペキュラー層31の上に図11に示す非磁性層32をス
パッタあるいは蒸着法により形成する。真空槽内で非磁
性層32を成膜することで、前記スペキュラー層31が
大気に曝されることなく、前記非磁性層32が形成され
る前の段階で前記スペキュラー層31、バックド層27
及びフリー磁性層26を大気暴露による酸化から適切に
保護することができる。
【0234】本発明では、前記非磁性層32を、Ru、
Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、A
uのうちいずれか1種または2種以上で形成することが
好ましい。
【0235】上記元素で形成された非磁性層32は、酸
化されにくい緻密な膜であり、膜厚が薄くても適切に酸
化防止層としての役割を果す。
【0236】本発明では前記非磁性層32を2Å以上で
8Å以下の薄い膜厚で形成することが好ましい。前記非
磁性層32を2Åよりも薄い膜厚で形成すると、酸化防
止層としての機能が低下し、その下に形成されたスペキ
ュラー層31、バックド層27及びフリー磁性層26が
酸化されやすくなって好ましくない。
【0237】一方、前記非磁性層32を8Åよりも大き
い膜厚で形成すると、フリー磁性層26上に形成され
る、バックド層27、スペキュラー層31および非磁性
層32からなる各層の総合膜厚が20Åを越えて厚く形
成されやすく、次工程で前記フリー磁性層26の両側端
部C上をイオンミリングで削り込む段階において、前記
フリー磁性層26の両側端部Cがイオンミリングによる
ダメージを受けやすくなって好ましくない。なお前記ス
ペキュラー層31をCr、Mo、W、Ti、Si、G
e、Alのうち1種または2種以上の元素からなる酸化
物あるいは窒化物で形成する場合、前記スペキュラー層
31は、大気中でも酸化が深く進行しにくいので、かか
る場合、真空槽内で前記スペキュラー層31を形成しな
くてもよい。
【0238】本発明では、前記フリー磁性層26上に形
成される、バックド層27、スペキュラー層31および
非磁性層32の各層の総合膜厚h1が7Å以上で20Å
以下になるように各層の膜厚を制御することが好まし
い。この程度の総合膜厚h1により、バックド層27、
スペキュラー層31および非磁性層32のそれぞれが担
う機能を適切に発揮させることができるとともに、次工
程でのイオンミリングで前記フリー磁性層26の両側端
部Cが受ける前記イオンミリングによるダメージを低減
させることができる。
【0239】図11に示すように基板20上に非磁性層
32までの各層を積層した後、第1の磁場中アニールを
施す。トラック幅Tw(図示X方向)と直交する方向で
ある第1の磁界(図示Y方向)を印加しつつ、第1の熱
処理温度で熱処理し、第1の反強磁性層23と固定磁性
層24を構成する磁性層24aとの間に交換結合磁界を
発生させて、前記磁性層24aの磁化を図示Y方向に固
定する。もう一方の磁性層24cの磁化は、前記磁性層
24aとの間で働くRKKY相互作用による交換結合に
よって図示Y方向とは逆方向に固定される。なお例えば
前記第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大きさを
800k(A/m)とする。
【0240】次に図12に示す工程では前記非磁性層3
2の上面にレジスト層49を形成し、このレジスト層を
露光現像することによって図12に示す形状のレジスト
層49を前記非磁性層32上に残す。前記レジスト層4
9は例えばリフトオフ用のレジスト層である。
【0241】次に前記レジスト層49に覆われていない
前記非磁性層32の両側端部32bを、図12に示す矢
印H方向からのイオンミリングで削る(図12に示す点
線部分の非磁性層32が除去される)。
【0242】さらに前記非磁性層32の両側端部32b
をすべて除去した後、前記非磁性層32の両側端部32
b下のスペキュラー層31の両側端部31bをすべて除
去し、露出したバックド層27の両側端部27bをも一
部削る(図12に示す点線部分のスペキュラー層31お
よびバックド層27が除去される)。
【0243】この図12工程では、前記フリー磁性層2
6の両側端部C上に薄い膜厚のバックド層27の両側端
部27bが残される。
【0244】上記したように、前記フリー磁性層26上
に形成されたバックド層27、スペキュラー層31およ
び非磁性層32の各層の総合膜厚h1は20Å以下の薄
い膜で形成される。このため本発明では、図12でのイ
オンミリング工程で低エネルギーのイオンミリングを使
用することができる。このような低エネルギーのイオン
ミリングを使用できることで、バックド層27の両側端
部27bの途中でミリングを止めるようにミリング制御
しやすくなる。
【0245】このように本発明では低エネルギーのイオ
ンミリングを使用でき、従来に比べてミリング深さの制
御性を向上させることができるのである。
【0246】ただし前記バックド層27が3Å以下の薄
い膜厚で形成される場合、前記バックド層27の両側端
部27b表面が露出した瞬間にイオンミリングを止めて
もよい。かかる場合、前記バックド層27の中央部27
aと両側端部27bとを同じ膜厚で形成することができ
る。
【0247】なおミリング時間は30秒から60秒程
度、ミリング角度は、基板20表面の垂直方向に対し3
0°から70°、好ましくは40°から60°傾いた角
度で行うことが好ましい。これにより前記フリー磁性層
26の両側端部C上に一部、薄い膜厚のバックド層27
を残すことができる。
【0248】本発明では、前記フリー磁性層26の両側
端部C上に残すバックド層27の両側端部27bの膜厚
を0.2Å以上で3Å以下とすることが好ましい。次工
程で、前記バックド層27の両側端部27b上に強磁性
層28を形成するが、残される前記バックド層27の両
側端部27bの膜厚が厚いと、前記フリー磁性層26の
両側端部Cと強磁性層28間が磁気的に分離されてしま
い、前記フリー磁性層26の両側端部Cを適切に磁化制
御することができないからである。
【0249】本発明では残される前記バックド層27の
両側端部27bの膜厚を0.2Å以上で3Å以下の薄い
膜厚で形成することで、前記フリー磁性層26の両側端
部Cと強磁性層28間に強磁性的な結合を生じさせるこ
とができ、前記フリー磁性層26の磁化制御を適切に行
うことができる。
【0250】なおここで言う「強磁性的な結合」とは、
バックド層27の両側端部27bを介したフリー磁性層
26の両側端部Cと強磁性層28間におけるRKKY的
な強磁性結合や、バックド層27に形成されたピンホー
ルなどの欠陥部を介した前記フリー磁性層26の両側端
部Cと強磁性層28間の直接的な交換相互作用により、
前記フリー磁性層26の両側端部Cが前記強磁性層28
の磁化方向と同一方向に磁化されることを意味する。
【0251】次に図13工程を施す。図13工程では、
前記バックド層27の両側端部27b上に強磁性層2
8、第2反強磁性層29、電極層30を連続成膜する。
成膜にはスパッタや蒸着法を使用できる。成膜された前
記強磁性層28の内側端部28a、第2反強磁性層29
の内側端部29a及び電極層30の内側端部30aは、
下面から上面に向うにしたがって(図示Z方向)、徐々
に前記内側端部の間隔が広がる傾斜面あるいは湾曲面で
形成される。
【0252】またこの実施形態では前記強磁性層28の
下面間の間隔でトラック幅Twが規定される。
【0253】前記第2反強磁性層29に使用される材質
は、第1反強磁性層23に使用される反強磁性材料と同
じものであることが好ましい。
【0254】また前記第2反強磁性層29の膜厚は80
Å以上で500Å以下程度の厚い膜厚で形成されること
が好ましい。前記第2反強磁性層29と強磁性層28間
に適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることができ
るからである。
【0255】図13に示すように電極層30まで積層形
成した後、前記強磁性層28を構成する元素からなる強
磁性材料の層28b、第2反強磁性層29を構成する元
素からなる反強磁性材料の膜29b及び電極層30を構
成する元素からなる電極材料の膜30bが付着した前記
レジスト層49をリフトオフで除去する。
【0256】次に第2の磁場中アニールを施す。このと
きの磁場方向は、トラック幅方向(図示X方向)であ
る。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界
を、第1反強磁性層23の交換異方性磁界よりも小さ
く、しかも熱処理温度を、前記第1反強磁性層23のブ
ロッキング温度よりも低くする。これによって前記第1
反強磁性層23の交換異方性磁界の方向をハイト方向
(図示Y方向)に向けたまま、前記第2反強磁性層29
の交換異方性磁界をトラック幅方向(図示X方向)に向
けることができる。なお第2の熱処理温度は例えば25
0℃であり、磁界の大きさは24k(A/m)である。
【0257】図13に示すように、前記強磁性層28上
に第2反強磁性層29が形成され、上記した第2の磁場
中アニールを施すことにより、前記強磁性層28と第2
反強磁性層29間に交換結合磁界が発生し、前記強磁性
層28がトラック幅方向(図示X方向)に磁化固定され
る。これによって前記フリー磁性層26の両側端部Cの
磁化は、前記バックド層27の両側端部27bを介した
前記強磁性層28との間の強磁性的な結合によって、前
記強磁性層28と同じ磁化方向に強固に固定される。
【0258】あるいは前記第2の磁場中アニールなどに
よって、前記バックド層27の両側端部27bを構成す
る元素が、前記強磁性層28やフリー磁性層26の両側
端部Cに熱拡散することで、前記強磁性層28及びフリ
ー磁性層26の両側端部Cを一体の強磁性体層のように
形成でき、これによって前記フリー磁性層26の両側端
部Cをトラック幅方向に適切に磁化固定することができ
る。
【0259】なお前記フリー磁性層26及び強磁性層2
8内部に拡散したバックド層27を構成する元素は、前
記フリー磁性層26の下面側よりも前記フリー磁性層2
6の表面側の方が多く、強磁性層28の表面側よりも下
面側の方が多い。拡散したバックド層27の元素の組成
比は、前記フリー磁性層26の表面から下面に向うに従
って、及び強磁性層28の下面から表面に向うにしたが
って従って徐々に減るものと考えられる。このような組
成変調は、SIMS分析装置(2次イオン質量分析装
置)などで確認することが可能である。
【0260】一方、前記強磁性層28及び第2反強磁性
層29は前記フリー磁性層26の両側端部C上にのみ設
けられ、前記フリー磁性層26の中央部D上には設けら
れていないから、前記フリー磁性層26の中央部Dの磁
化が強固に固定されるといったことはなく、前記フリー
磁性層26の中央部Dの磁化は外部磁界に対し磁化反転
可能な程度に弱くトラック幅方向(図示X方向)に単磁
区化される。
【0261】また図13工程では、前記強磁性層28を
2Å以上で50Å以下で形成することが好ましい。
【0262】本発明では、前記フリー磁性層26の両側
端部Cは、図12工程でのイオンミリングのダメージを
受けていないから前記フリー磁性層26の両側端部Cは
良好な磁気特性を保っており、したがって前記強磁性層
28を上記した程度にまで薄く形成しても、前記強磁性
層28との間で生じる強磁性的な結合を強いものにする
ことができる。このため本発明では前記強磁性層28の
膜厚を従来に比べて厚く形成する必要性がないから、前
記強磁性層28と第2反強磁性層29間で発生する交換
結合磁界を十分に大きくできると共に、前記強磁性層2
8の内側端部28aから余分な静磁界が前記フリー磁性
層26の中央部Dに影響を及ぼすことを抑制でき、高記
録密度化においても感度に優れた磁気検出素子を製造す
ることが可能になっている。
【0263】上記のように本発明の製造方法によれば従
来に比べて適切にフリー磁性層26の磁化制御を行うこ
とができ、狭トラック化においても再生感度に優れたス
ペキュラー層31を有する磁気検出素子を製造すること
ができる。
【0264】以上の製造工程によって図1に示す磁気検
出素子を製造することが可能である。図2に示す磁気検
出素子の製造方法は、図12工程時に、前記レジスト層
49のトラック幅方向(図示X方向)の両側に位置する
非磁性層32の両側端部32b、スペキュラー層31の
両側端部31b及びバックド層27の両側端部27bを
すべて除去し、前記フリー磁性層26の両側端部Cを露
出させる。
【0265】本発明では、図11工程で、前記フリー磁
性層26上に形成された、バックド層27、スペキュラ
ー層31及び非磁性層32を足し合わせた総合膜厚h1
は、20Å以下の薄い膜厚であるため、図12工程で、
非磁性層32の両側端部32b、スペキュラー層31の
両側端部31b及びバックド層27の両側端部27bを
すべて除去するときに、低エネルギーのイオンミリング
を使用することができ、前記バックド層27の両側端部
27bをすべて除去した瞬間に、イオンミリングを止め
ることができるようにミリング制御しやすい。よって本
発明では、図12工程で前記フリー磁性層26の両側端
部Cを露出させたときでも、前記フリー磁性層26の両
側端部Cがイオンミリングによるダメージを受け難く、
前記フリー磁性層26の両側端部Cの磁気特性を良好に
保つことができ、前記フリー磁性層26の磁化制御を適
切に行うことが可能である。
【0266】図3に示す磁気検出素子の製造方法では、
図11工程で、フリー磁性層26上にスペキュラー層3
1及び非磁性層32を形成した後、図12工程で、前記
レジスト層49のトラック幅方向(図示X方向)の両側
から露出する非磁性層32の両側端部32bをすべて除
去し、さらに露出した前記スペキュラー層31の両側端
部31bを一部除去し(あるいは前記スペキュラー層3
1の膜厚が3Å以下であれば、両側端部31bが露出し
た瞬間、イオンリングを止め、前記スペキュラー層31
が削られないようにすることもできる)、薄い膜厚、具
体的には0.2Å以上で3Å以下のスペキュラー層31
の両側端部31bを前記フリー磁性層26の両側端部C
上に残す。その後、図13工程を施せばよい。
【0267】図4に示す磁気検出素子の製造方法では、
図11工程で、フリー磁性層26上にスペキュラー層3
1及び非磁性層32を形成した後、図12工程で、前記
レジスト層49のトラック幅方向(図示X方向)の両側
から露出する非磁性層32の両側端部32b及び前記ス
ペキュラー層31の両側端部31bを全て除去して、前
記フリー磁性層26の両側端部C表面を露出させ、その
後、図13工程を施せばよい。
【0268】図14ないし図16は、図5に示す磁気検
出素子の製造方法を示す一工程図である。各図は、製造
工程中の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た
部分断面図である。
【0269】図14に示す工程では、基板20上にNi
Fe合金、NiFeCr合金あるいはCrから形成され
たシードレイヤ21を形成する。
【0270】さらに前記シードレイヤ21上に第1反強
磁性層23、固定磁性層24、非磁性材料層25、フリ
ー磁性層26、バックド層27、スペキュラー層31を
連続成膜する。成膜にはスパッタや蒸着法が使用され
る。図11に示す固定磁性層24は、例えばCoFe合
金などで形成された磁性層24aと磁性層24cと、両
磁性層24a、24c間に介在するRuなどの非磁性の
中間層24bとの積層フェリ構造である。前記フリー磁
性層26は、CoFe合金などの拡散防止層26aとN
iFe合金などの磁性材料層26bとの積層構造であ
る。
【0271】本発明では前記第1反強磁性層23を、P
tMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,I
r,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種また
は2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn
―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,A
u,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Kr
のいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成
することが好ましい。
【0272】また前記PtMn合金及び前記X−Mnの
式で示される合金において、PtあるいはXが37〜6
3at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt
Mn合金及び前記X−Mnの式で示される合金におい
て、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であるこ
とがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値
範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0273】また、Pt−Mn−X’の式で示される合
金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であ
ることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で
示される合金において、X’+Ptが47〜57at%
の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−
Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2
〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、
X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのい
ずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’
は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0274】また本発明では前記第1反強磁性層23の
膜厚を80Å以上で300Å以下で形成することが好ま
しい。この程度の厚い膜厚で前記第1反強磁性層23を
形成することにより磁場中アニールで、前記第1反強磁
性層23と固定磁性層24間に大きな交換結合磁界を発
生させることができる。具体的には、48kA/m以
上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を発生さ
せることができる。
【0275】図14工程ではバックド層27を2Å以上
で5Å以下で形成することが好ましい。上記膜厚範囲内
で前記バックド層27を形成することにより、スピンフ
ィルター効果を適切に発揮させることができる。なお前
記バックド層27の膜厚がこれよりも厚くなると、前記
フリー磁性層26上に形成される各層の総合膜厚h3が
20Åを越えて厚く形成されやすくなることから、次工
程で行なわれるイオンミリング工程の際に、前記フリー
磁性層26の両側端部Cがイオンミリングによるダメー
ジを受けやすくなり好ましくない。また前記バックド層
27をCuやAg、Au、Ruなどで形成することが好
ましい。
【0276】図14工程では前記スペキュラー層31
を、Cr、Mo、W、Ti、Si、Ge、Alのうち1
種または2種以上からなる元素の酸化物または窒化物で
形成することが好ましい。
【0277】この図14工程における前記スペキュラー
層31の材質は、図11工程におけるスペキュラー層3
1の材質よりも限定されている。その理由は、図14工
程ではスペキュラー層31上に非磁性層32を形成せ
ず、前記スペキュラー層31自体に酸化防止層的な役割
を持たせる必要があるからである。
【0278】上記した前記スペキュラー層31を構成す
るCr、Mo、W、Ti、Si、Ge、Alのうち1種
または2種以上からなる元素は、これら元素自体、大気
暴露によっても深さ方向の酸化速度が遅く、これらの元
素膜を薄い膜厚で前記バックド層27上に形成しても前
記バックド層27及びフリー磁性層26にまで酸化が及
ぶといった不具合は発生しない。
【0279】本発明では、まずCr、Mo、W、Ti、
Si、Ge、Alのうち1種または2種以上からなる元
素膜を、1Å以上で7Å以下程度の薄い膜厚で、前記バ
ックド層27上にスパッタあるいは蒸着法によって形成
する。この膜厚範囲よりも小さいと前記元素膜の酸化防
止層としての機能が低下し、バックド層27やフリー磁
性層26が大気暴露によって酸化されやすくなり好まし
くない。またこの膜厚範囲よりも大きいと、前記元素膜
を酸化して形成されたスペキュラー層31の膜厚が厚く
なりすぎ、次工程でのイオンミリング工程で、前記フリ
ー磁性層26の両側端部Cが前記イオンミリングのダメ
ージを受けやすくなり好ましくない。
【0280】前記元素膜は、大気暴露によっても深さ方
向の酸化速度がTa膜などと比べて非常に遅いため、前
記元素膜をバックド層27上に形成した状態で、大気暴
露しても前記元素膜を介して前記バックド層27やフリ
ー磁性層26までに酸化は及ばず、前記元素膜が適切な
酸化防止層としての役割を担っている。
【0281】前記元素膜が酸化されることで、前記元素
膜はスペキュラー層31になる。前記元素膜の酸化によ
ってスペキュラー層31の膜厚は成膜段階における元素
膜の膜厚より厚くなるが、本発明では成膜段階における
前記元素膜の膜厚を1Å〜7Å程度の薄い膜厚で形成し
ているため、酸化によって形成された前記スペキュラー
層31は依然として薄い膜厚であり、本発明では前記ス
ペキュラー層31の膜厚を3Å以上で15Å以下で形成
することが好ましい。前記スペキュラー層31の膜厚が
厚く形成されすぎると、次工程でのイオンミリング工程
で、前記フリー磁性層26の両側端部Cがイオンミリン
グのダメージを受けやすくなって好ましくないからであ
る。
【0282】なお上記した元素膜を酸化するには自然酸
化やラジカル酸化あるいはプラズマ酸化を使用すること
が好ましい。また前記元素膜を窒化して、前記スペキュ
ラー層31を窒化物で構成してもよい。
【0283】本発明では、前記フリー磁性層26上に形
成される、バックド層27、スペキュラー層31の各層
の総合膜厚h3を5Å以上で20Å以下になるように各
層の膜厚を制御することが好ましい。これによって前記
バックド層27およびスペキュラー層31としての機能
を適切に発揮させることができると共に、次工程でのイ
オンミリングで前記フリー磁性層26の両側端部Cが受
ける前記イオンミリングによるダメージを低減させるこ
とができる。
【0284】図14に示すように基板20上にスペキュ
ラー層31までの各層を積層した後、第1の磁場中アニ
ールを施す。トラック幅Tw(図示X方向)と直交する
方向である第1の磁界(図示Y方向)を印加しつつ、第
1の熱処理温度で熱処理し、第1の反強磁性層23と固
定磁性層24を構成する磁性層24aとの間に交換結合
磁界を発生させて、前記磁性層24aの磁化を図示Y方
向に固定する。もう一方の磁性層24cの磁化は、前記
磁性層24aとの間で働くRKKY相互作用による交換
結合によって図示Y方向とは逆方向に固定される。なお
例えば前記第1の熱処理温度を270℃とし、磁界の大
きさを800k(A/m)とする。
【0285】次に図15に示す工程では前記スペキュラ
ー層31の上面にレジスト層を形成し、このレジスト層
を露光現像することによって図15に示す形状のレジス
ト層50を前記スペキュラー層31上に残す。前記レジ
スト層50は例えばリフトオフ用のレジスト層である。
【0286】次に前記レジスト層50に覆われていない
前記スペキュラー層31の両側端部31bを、図12に
示す矢印I方向からのイオンミリングで削る(図15に
示す点線部分のスペキュラー層31が除去される)。
【0287】さらに前記スペキュラー層31の両側端部
31bをすべて除去した後、露出したバックド層27の
両側端部27bをも一部削る(図15に示す点線部分の
スペキュラー層31およびバックド層27が除去され
る)。
【0288】この図15工程では、前記フリー磁性層2
6の両側端部C上に薄い膜厚のバックド層27の両側端
部27bが残される。
【0289】上記したように、前記フリー磁性層26上
に形成されたバックド層27、スペキュラー層31の各
層の総合膜厚h3は20Å以下の薄い膜で形成される。
このため本発明では、図15でのイオンミリング工程で
低エネルギーのイオンミリングを使用することができ
る。このような低エネルギーのイオンミリングを使用で
きることで、バックド層27の両側端部27bの途中で
ミリングを止めるようにミリング制御しやすい。
【0290】このように本発明では低エネルギーのイオ
ンミリングを使用でき、従来に比べてミリング深さの制
御性を向上させることができるのである。
【0291】ただし前記バックド層27が3Å以下の薄
い膜厚で形成される場合、前記バックド層27の両側端
部27b表面が露出した瞬間にイオンミリングを止めて
もよい。かかる場合、前記バックド層27の中央部27
aと両側端部27bとを同じ膜厚で形成することができ
る。
【0292】なおミリング時間は30秒から60秒程
度、ミリング角度は、基板20表面の垂直方向に対し3
0°から70°、好ましくは40°から60°傾いた角
度で行うことが好ましい。これにより前記フリー磁性層
26の両側端部C上に一部、薄い膜厚のバックド層27
の両側端部27bを残しやすくなる。
【0293】本発明では、前記フリー磁性層26の両側
端部C上に残すバックド層27の両側端部27bの膜厚
を0.2Å以上で3Å以下とすることが好ましい。次工
程で、前記バックド層27の両側端部27b上に強磁性
層28を形成するが、残される前記バックド層27の両
側端部27bの膜厚が厚いと、前記フリー磁性層26の
両側端部Cと強磁性層28間が磁気的に分離されてしま
い、前記フリー磁性層26の両側端部Cを適切に磁化制
御することができないからである。
【0294】本発明では残される前記バックド層27の
両側端部27bの膜厚を0.2Å以上で3Å以下の薄い
膜厚で形成することで、前記フリー磁性層26の両側端
部Cと強磁性層28間に強磁性的な結合を生じさせるこ
とができ、前記フリー磁性層26の磁化制御を適切に行
うことができる。
【0295】なおここで言う「強磁性的な結合」とは、
バックド層27の両側端部27bを介したフリー磁性層
26の両側端部Cと強磁性層28間におけるRKKY的
な強磁性結合や、バックド層27に形成されたピンホー
ルなどの欠陥部を介した前記フリー磁性層26の両側端
部Cと強磁性層28間の直接的な交換相互作用により、
前記フリー磁性層26の両側端部Cが前記強磁性層28
の磁化方向と同一方向に磁化されることを意味する。
【0296】次に図16工程を施す。図16工程では、
前記バックド層27の両側端部27b上に強磁性層2
8、第2反強磁性層29、電極層30を連続成膜する。
成膜にはスパッタや蒸着法を使用できる。成膜された前
記強磁性層28の内側端部28a、第2反強磁性層29
の内側端部29a及び電極層30の内側端部30aは、
下面から上面に向うにしたがって(図示Z方向)、徐々
に前記内側端部の間隔が広がる傾斜面あるいは湾曲面で
形成される。
【0297】またこの実施形態では前記強磁性層28の
下面間の間隔でトラック幅Twが規定される。
【0298】前記第2反強磁性層29に使用される材質
は、第1反強磁性層23に使用される反強磁性材料と同
じものであることが好ましい。
【0299】また前記第2反強磁性層29の膜厚は80
Å以上で500Å以下程度の厚い膜厚で形成されること
が好ましい。前記第2反強磁性層29と強磁性層28間
に適切な大きさの交換結合磁界を生じさせることができ
るからである。
【0300】図16に示すように電極層30まで積層形
成した後、前記強磁性層28を構成する元素からなる強
磁性材料の層28b、第2反強磁性層29を構成する元
素からなる反強磁性材料の膜29b及び電極層30を構
成する元素からなる電極材料の膜30bが付着した前記
レジスト層50をリフトオフで除去する。
【0301】次に第2の磁場中アニールを施す。このと
きの磁場方向は、トラック幅方向(図示X方向)であ
る。なおこの第2の磁場中アニールは、第2の印加磁界
を、第1反強磁性層23の交換異方性磁界よりも小さ
く、しかも熱処理温度を、前記第1反強磁性層23のブ
ロッキング温度よりも低くする。これによって前記第1
反強磁性層23の交換異方性磁界の方向をハイト方向
(図示Y方向)に向けたまま、前記第2反強磁性層29
の交換異方性磁界をトラック幅方向(図示X方向)に向
けることができる。なお第2の熱処理温度は例えば25
0℃であり、磁界の大きさは24k(A/m)である。
【0302】図16に示すように、前記強磁性層28上
に第2反強磁性層29が形成され、上記した第2の磁場
中アニールを施すことにより、前記強磁性層28と第2
反強磁性層29間に交換結合磁界が発生し、前記強磁性
層28がトラック幅方向(図示X方向)に磁化固定され
る。これによって前記フリー磁性層26の両側端部Cの
磁化は、前記バックド層27の両側端部27bを介した
前記強磁性層28との間の強磁性的な結合によって前記
強磁性層28と同じ磁化方向に強固に固定される。
【0303】あるいは前記第2磁場中アニールによっ
て、前記バックド層27の両側端部27bを構成する元
素が、前記強磁性層28やフリー磁性層26の両側端部
Cに熱拡散することで、前記強磁性層28及びフリー磁
性層26の両側端部Cを一体の強磁性体層のように形成
でき、これによって前記フリー磁性層26を適切に磁化
制御することが可能になる。
【0304】なお前記フリー磁性層26及び強磁性層2
8内部に拡散したバックド層27を構成する元素は、前
記フリー磁性層26の下面側よりも前記フリー磁性層2
6の表面側の方が多く、強磁性層28の表面側よりも下
面側の方が多い。拡散したバックド層27の元素の組成
比は、前記フリー磁性層26の表面から下面に向うに従
って、及び強磁性層28の下面から表面に向うにしたが
って従って徐々に減るものと考えられる。このような組
成変調は、SIMS分析装置などで確認することが可能
である。
【0305】一方、前記強磁性層28及び第2反強磁性
層29は前記フリー磁性層26の両側端部C上にのみ設
けられ、前記フリー磁性層26の中央部D上には設けら
れていないから、前記フリー磁性層26の中央部Dの磁
化が強固に固定されるといったことはなく、前記フリー
磁性層26の中央部Dの磁化は外部磁界に対し磁化反転
可能な程度に弱くトラック幅方向(図示X方向)に単磁
区化される。
【0306】また図16工程では、前記強磁性層28を
2Å以上で50Å以下で形成することが好ましい。
【0307】本発明では、前記フリー磁性層26の両側
端部Cは、図15工程でのイオンミリングのダメージを
受けていないから前記フリー磁性層26の両側端部Cは
良好な磁気特性を保っており、したがって前記強磁性層
28を上記した程度にまで薄く形成しても、前記強磁性
層28との間で生じる強磁性的な結合を強いものにする
ことができる。このため本発明では前記強磁性層28の
膜厚を従来に比べて厚く形成する必要性がないから、前
記強磁性層28と第2反強磁性層29間で発生する交換
結合磁界を十分に大きくできると共に、前記強磁性層2
8の内側端部28aから余分な静磁界が前記フリー磁性
層26の中央部Dに影響を及ぼすことを抑制でき、高記
録密度化においても感度に優れた磁気検出素子を製造す
ることが可能になっている。
【0308】上記のように本発明の製造方法によれば従
来に比べて適切にフリー磁性層26の磁化制御を行うこ
とができ、狭トラック化においても再生感度に優れたス
ペキュラー層31を有する磁気検出素子を製造すること
ができる。
【0309】以上の製造工程によって図5に示す磁気検
出素子を製造することが可能である。図6に示す磁気検
出素子の製造方法は、図15工程時に、前記レジスト層
49のトラック幅方向(図示X方向)の両側から位置す
るスペキュラー層31の両側端部31b及びバックド層
27の両側端部27bをすべて除去し、前記フリー磁性
層26の両側端部Cを露出させる。
【0310】本発明では、図14工程で、前記フリー磁
性層26上に形成された、バックド層27、スペキュラ
ー層31を足し合わせた総合膜厚h3は、20Å以下の
薄い膜厚であるため、図15工程で、スペキュラー層3
1の両側端部31b及びバックド層27の両側端部27
bをすべて除去するときに、低エネルギーのイオンミリ
ングを使用することができ、前記バックド層27の両側
端部27bをすべて除去した瞬間に、イオンミリングを
止めることができるようにミリング制御しやすい。よっ
て本発明では、図15工程で前記フリー磁性層26の両
側端部Cを露出させたときでも、前記フリー磁性層26
の両側端部Cがイオンミリングによるダメージを受け難
く、前記フリー磁性層26の両側端部Cの磁気特性を良
好に保つことができ、前記フリー磁性層26の磁化制御
を適切に行うことが可能である。
【0311】図7に示す磁気検出素子の製造方法では、
図14工程で、フリー磁性層26上にスペキュラー層3
1を形成した後、図15工程で、前記レジスト層49の
トラック幅方向(図示X方向)の両側から露出するスペ
キュラー層31の両側端部31bを一部除去し、薄い膜
厚、具体的には0.2Å以上で3Å以下のスペキュラー
層31の両側端部31bを前記フリー磁性層26の両側
端部C上に残す。その後、図16工程を施せばよい。
【0312】あるいは図14工程で、前記スペキュラー
層31が3Å以下の薄い膜厚で形成されている場合、前
記スペキュラー層31の両側端部31bをイオンミリン
グで削り込まなくても、前記スペキュラー層31の両側
端部31bを介して対向するフリー磁性層26の両側端
部Cと強磁性層28間に適切に強磁性的な結合を生じさ
せることができるので、図15工程でイオンミリングを
施さず、図16工程に移行してもよい。
【0313】図8に示す磁気検出素子の製造方法では、
図14工程で、フリー磁性層26上にスペキュラー層3
1を形成した後、図15工程で、前記レジスト層49の
トラック幅方向(図示X方向)の両側から露出する前記
スペキュラー層31の両側端部31bを全て除去して、
前記フリー磁性層26の両側端部C表面を露出させ、そ
の後、図16工程を施せばよい。
【0314】以上、図11ないし図16に示す工程図に
基づいて図1ないし図8に示す磁気検出素子の製造方法
について説明したが、本発明では、スペキュラー層31
を備え、且つフリー磁性層26をエクスチェンジバイア
ス方式で磁化制御する磁気検出素子に係り、特に今後の
高記録密度化における狭トラック化においても、適切に
前記フリー磁性層26の磁化制御を行うことができる。
【0315】本発明における磁気検出素子の特徴点は、
まず図1ないし図4(製造方法では図11ないし図1
3)に示す磁気検出素子では、フリー磁性層26上にス
ペキュラー層31と非磁性層32を重ねて形成し、この
とき前記フリー磁性層26上に形成される各層の総合膜
厚を薄く(具体的には20Å以下)形成した点にある。
【0316】これを実現するためにはスペキュラー層3
1及び非磁性層32を薄い膜厚で形成する必要性があ
り、そこで本発明では、Ti、Zr、Hf、V、Nb、
Ta、Al、Si、Ge、Cr、Mo、Wあるいは希土
類元素のうち1種または2種以上からなる元素膜を真空
槽内の低圧下で酸化あるいは窒化して、薄い膜厚、具体
的には3Å以上で10Å以下のスペキュラー層31を形
成できるようにしている。
【0317】また非磁性層32を大気暴露によっても酸
化しにくい材質、具体的には前記非磁性層32をRu、
Rh、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、A
uのうちいずれか1種または2種以上で形成して、2Å
以上で8Å以下の薄い膜厚の非磁性層32であっても適
切に酸化防止層としての役割を有するようにしている。
【0318】以上により、フリー磁性層26に形成され
るスペキュラー層31や非磁性層32等の総合膜厚を薄
く形成でき、前記フリー磁性層26の両側端部C上に形
成された各層をイオンミリングして除去する工程におい
て、前記イオンミリングを低エネルギーで行うことがで
き、前記フリー磁性層26の両側端部C表面がイオンミ
リングによるダメージを受け難くでき、前記フリー磁性
層26の両側端部の磁気特性を良好に保つことができ
る。よって本発明では、前記フリー磁性層26の両側端
部C上に形成される強磁性層28との間で発生する強磁
性的な結合を強めることができ、適切に前記フリー磁性
層26の磁化制御を行うことが可能である。
【0319】また本発明では、前記スペキュラー層31
をCr、Mo、W、Ti、Si、Ge、Alのうちいず
れか1種または2種以上からなる元素の酸化物あるいは
窒化物で形成することで、非磁性層32を形成せず、且
つ前記スペキュラー層31が3Å以上で15Å以下の薄
い膜厚であっても前記スペキュラー層31に酸化防止層
としての役割を与えることができ、前記フリー磁性層2
6上に形成される各層の総合膜厚をより適切に薄くする
ことができ、前記フリー磁性層26の両側端部Cにイオ
ンミリングによるダメージを与えることなく、前記降フ
リー磁性層の磁化制御をより効果的に行うことができ
る。
【0320】よって本発明では、前記スペキュラー効果
を有する磁気検出素子において、適切且つ容易にフリー
磁性層26の磁化制御を行うことが可能な磁気検出素子
を製造することができる。
【0321】なお上述した磁気検出素子を用いて再生用
磁気ヘッド(MRヘッド)を構成するときには、磁気検
出素子上下にギャップ層、およびシールド層を形成する
(なおかかる場合、前記シードレイヤ21と基板20間
に下部ギャップ層、下部シールド層が形成される)。さ
らに前記MRヘッド上に記録用のインダクティブ素子が
積層されてもよい。また本発明における磁気検出素子は
ハードディスク装置に内蔵される磁気ヘッドに装備され
るほか磁気センサなどにも使用可能である。
【0322】
【発明の効果】以上詳細に説明した本発明の第1の磁気
検出素子は、フリー磁性層の中央部上にスペキュラー層
及び非磁性層を有し、前記フリー磁性層の両側端部上に
強磁性層及び第2反強磁性層が設けられている。
【0323】この発明では、Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Al、Si、Ge、Cr、Mo、Wあるいは
希土類元素のうち1種または2種以上からなる元素膜を
真空槽内の低圧下で酸化あるいは窒化して、薄い膜厚、
具体的には3Å以上で10Å以下の前記スペキュラー層
を形成できるようにしている。
【0324】また前記非磁性層を大気暴露によっても酸
化しにくい材質、具体的には前記非磁性層をRu、R
h、Pd、Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Au
のうちいずれか1種または2種以上で形成して、2Å以
上で8Å以下の薄い膜厚の非磁性層であっても適切に酸
化防止層としての役割を有するようにしている。
【0325】以上により、フリー磁性層上に形成される
スペキュラー層や非磁性層などの総合膜厚を薄く形成で
き、前記フリー磁性層の両側端部上に形成された各層を
イオンミリングして除去する工程において、前記イオン
ミリングを低エネルギーで行うことができ、前記フリー
磁性層の両側端部表面がイオンミリングによるダメージ
を受け難くでき、前記フリー磁性層の両側端部の磁気特
性を良好に保つことができる。よって本発明では、前記
フリー磁性層の両側端部上に形成される強磁性層との間
で発生する強磁性的な結合を強めることができ、適切に
前記フリー磁性層の磁化制御を行うことが可能である。
【0326】また本発明では、前記スペキュラー層をC
r、Mo、W、Ti、Si、Ge、Alのうちいずれか
1種または2種以上からなる元素の酸化物あるいは窒化
物で形成することで、非磁性層を形成せず、且つ前記ス
ペキュラー層が3Å以上で15Å以下の薄い膜厚であっ
ても前記スペキュラー層に酸化防止層としての役割を与
えることができ、前記フリー磁性層上に形成される各層
の総合膜厚をより適切に薄くすることができ、前記フリ
ー磁性層の両側端部Cにイオンミリングによるダメージ
を与えることなく、前記フリー磁性層の磁化制御をより
効果的に行うことができる。
【0327】以上のように本発明では、従来における磁
気検出素子に比べてより効果的にフリー磁性層の磁化制
御を行うことができる構造であり、狭トラック化に適切
に対応可能な、スペキュラー層を有する磁気検出素子を
製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図2】本発明の第2の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図3】本発明の第3の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図4】本発明の第4の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図5】本発明の第5の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図6】本発明の第6の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図7】本発明の第7の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図8】本発明の第8の実施の形態である磁気検出素子
の構造を記録媒体との対向面側から見た部分断面図、
【図9】本発明におけるフリー磁性層の形態を記録媒体
との対向面側から見た部分拡大断面図、
【図10】本発明におけるフリー磁性層の別の形態を記
録媒体との対向面側から見た部分拡大断面図、
【図11】図1の形態の磁気検出素子の製造工程を示す
一工程図、
【図12】図11の次に行なわれる一工程図、
【図13】図12の次に行なわれる一工程図、
【図14】図5の形態の磁気検出素子の製造工程を示す
一工程図、
【図15】図14の次に行なわれる一工程図、
【図16】図15の次に行なわれる一工程図、
【図17】従来における磁気検出素子の製造工程を示す
一工程図、
【図18】図17の次に行なわれる一工程図、
【符号の説明】
20 基板 23 第1反強磁性層 24 固定磁性層 25 非磁性材料層 26 フリー磁性層 27 バックド層 28 強磁性層 29 第2反強磁性層 30 電極層 31 スペキュラー層 32 非磁性層 49、50 レジスト層 C 両側端部 D 中央部 Tw トラック幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/12 G01R 33/06 R

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下から第1反強磁性層、固定磁性層、非
    磁性材料層、フリー磁性層の順に積層形成され、 前記フリー磁性層の中央部上には下から順にスペキュラ
    ー層、非磁性層が設けられ、 前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部上には、
    下から順に強磁性層、第2反強磁性層が設けられている
    ことを特徴とする磁気検出素子。
  2. 【請求項2】 前記フリー磁性層の中央部上に設けられ
    たスペキュラー層の膜厚は、3Å以上で10Å以下で形
    成される請求項1記載の磁気検出素子。
  3. 【請求項3】 前記スペキュラー層は、Ti、Zr、H
    f、V、Nb、Ta、Al、Si、Ge、Cr、Mo、
    Wあるいは希土類元素のうち1種または2種以上からな
    る元素の酸化物または窒化物で形成される請求項1また
    は2に記載の磁気検出素子。
  4. 【請求項4】 前記非磁性層は、Ru、Rh、Pd、I
    r、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいずれ
    か1種または2種以上で形成される請求項1ないし3の
    いずれかに記載の磁気検出素子。
  5. 【請求項5】 下から第1反強磁性層、固定磁性層、非
    磁性材料層、フリー磁性層の順に積層形成され、 前記フリー磁性層の中央部上にはスペキュラー層が設け
    られ、 前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部上には、
    下から順に強磁性層、第2反強磁性層が設けられてお
    り、 前記フリー磁性層の中央部上に設けられたスペキュラー
    層の膜厚は、3Å以上で15Å以下で形成されることを
    特徴とする磁気検出素子。
  6. 【請求項6】 前記スペキュラー層は、Cr、Mo、
    W、Ti、Si、Ge、Alのうち1種または2種以上
    からなる元素の酸化物または窒化物で形成される請求項
    5記載の磁気検出素子。
  7. 【請求項7】 下から第1反強磁性層、固定磁性層、非
    磁性材料層、フリー磁性層の順に積層形成され、 前記フリー磁性層の中央部上にはスペキュラー層が設け
    られ、 前記フリー磁性層のトラック幅方向の両側端部上には、
    下から順に強磁性層、第2反強磁性層が設けられてお
    り、 前記スペキュラー層は、Cr、Mo、W、Ti、Si、
    Ge、Alのうち1種または2種以上からなる元素の酸
    化物または窒化物で形成されることを特徴とする磁気検
    出素子。
  8. 【請求項8】 前記フリー磁性層の中央部上に設けられ
    たスペキュラー層の膜厚は、3Å以上で15Å以下であ
    る請求項7記載の磁気検出素子。
  9. 【請求項9】 前記フリー磁性層の中央部上に形成され
    た各層の総合膜厚は、20Å以下である請求項1ないし
    8のいずれかに記載の磁気検出素子。
  10. 【請求項10】 前記スペキュラー層とフリー磁性層の
    中央部間にバックド層が形成される請求項1ないし9の
    いずれかに記載の磁気検出素子。
  11. 【請求項11】 前記バックド層は、前記フリー磁性層
    の両側端部上にも形成され、前記両側端部上のバックド
    層上に前記強磁性層が形成されている請求項10記載の
    磁気検出素子。
  12. 【請求項12】 前記スペキュラー層は、前記フリー磁
    性層の両側端部上にも形成され、前記両側端部上のスペ
    キュラー層上に前記強磁性層が形成されている請求項1
    ないし9のいずれかに記載の磁気検出素子。
  13. 【請求項13】 前記両側端部上に形成されたスペキュ
    ラー層またはバックド層の膜厚は0.2Å以上で3Å以
    下である請求項11または12に記載の磁気検出素子。
  14. 【請求項14】 前記非磁性層の両側端部上における強
    磁性層は、2Å以上で50Å以下で形成される請求項1
    ないし13のいずれかに記載の磁気検出素子。
  15. 【請求項15】 前記フリー磁性層は磁性層の3層構造
    で形成される請求項1ないし14のいずれかに記載の磁
    気検出素子。
  16. 【請求項16】 前記フリー磁性層はCoFe/NiF
    e/CoFeの3層構造で形成される請求項15記載の
    磁気検出素子。
  17. 【請求項17】 以下の工程を有することを特徴とする
    磁気検出素子の製造方法。 (a)基板上に、下から第1反強磁性層、固定磁性層、
    非磁性中間層、フリー磁性層、スペキュラー層、非磁性
    層の順に積層する工程と、(b)第1の磁場中アニール
    を施して、前記第1反強磁性層と固定磁性層間に交換結
    合磁界を発生させ、前記固定磁性層の磁化をハイト方向
    に固定する工程と、(c)前記非磁性層の中央部上にレ
    ジスト層を形成する工程と、(d)前記レジスト層のト
    ラック幅方向の両側から露出する非磁性層、及びスペキ
    ュラー層を除去し、前記両側から露出したフリー磁性層
    の両側端部上に強磁性層、および第2反強磁性層を形成
    し、前記レジスト層を除去する工程と、(e)第2の磁
    場中アニールを施し、前記第2反強磁性層と強磁性層間
    に交換結合磁界を発生させ、前記フリー磁性層の両側端
    部の磁化を、前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向
    に固定する工程。
  18. 【請求項18】 前記(a)工程で、前記スペキュラー
    層の膜厚を、3Å以上で10Å以下で形成する請求項1
    7記載の磁気検出素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記スペキュラー層を、Ti、Zr、
    Hf、V、Nb、Ta、Al、Si、Ge、Cr、M
    o、Wあるいは希土類元素のうち1種または2種以上か
    らなる元素の酸化物または窒化物で形成する請求項17
    または18に記載の磁気検出素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、
    Al、Si、Ge、Cr、Mo、Wあるいは希土類元素
    のうち1種または2種以上からなる元素膜を形成した
    後、真空槽内で前記元素膜を酸化あるいは窒化してスペ
    キュラー層を形成する請求項19記載の磁気検出素子の
    製造方法。
  21. 【請求項21】 前記非磁性層を、Ru、Rh、Pd、
    Ir、Os、Re、Cr、Cu、Pt、Auのうちいず
    れか1種または2種以上で形成する請求項17ないし2
    0いずれかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記スペキュラー層及び前記非磁性層
    を真空槽内で形成する請求項21記載の磁気検出素子の
    製造方法。
  23. 【請求項23】 以下の工程を有することを特徴とする
    磁気検出素子の製造方法。(f)基板上に、下から第1
    反強磁性層、固定磁性層、非磁性中間層、フリー磁性
    層、スペキュラー層の順に積層し、このとき前記スペキ
    ュラー層を、Cr、Mo、W、Ti、Si、Ge、Al
    のうち1種または2種以上からなる元素の酸化物または
    窒化物で形成する工程と、(g)第1の磁場中アニール
    を施して、前記第1反強磁性層と固定磁性層間に交換結
    合磁界を発生させ、前記固定磁性層の磁化をハイト方向
    に固定する工程と、(h)前記スペキュラー層の中央部
    上にレジスト層を形成する工程と、(i)前記レジスト
    層のトラック幅方向の両側から露出するスペキュラー層
    を除去し、前記両側から露出したフリー磁性層の両側端
    部上に強磁性層、および第2反強磁性層を形成し、前記
    レジスト層を除去する工程と、(j)第2の磁場中アニ
    ールを施し、前記第2反強磁性層と強磁性層間に交換結
    合磁界を発生させ、前記フリー磁性層の両側端部の磁化
    を、前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向に固定す
    る工程。
  24. 【請求項24】 前記(f)工程で、前記スペキュラー
    層を3Å以上で15Å以下で形成する請求項23記載の
    磁気検出素子の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記(a)工程、あるいは前記(f)
    工程で、前記フリー磁性層上に形成される各層の総合膜
    厚を20Å以下で形成する請求項17ないし24のいず
    れかに記載の磁気検出素子の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記(a)工程あるいは前記(f)工
    程で、前記フリー磁性層上にバックド層を形成した後、
    前記バックド層上にスペキュラー層を形成する請求項1
    7ないし25のいずれかに記載の磁気検出素子の製造方
    法。
  27. 【請求項27】 前記(d)工程あるいは前記(i)工
    程で、前記バックド層を、前記フリー磁性層の両側端部
    上に一部残し、前記一部残されたバックド層上に強磁性
    層を形成する請求項26記載の磁気検出素子の製造方
    法。
  28. 【請求項28】 前記(d)工程あるいは前記(i)工
    程で、前記スペキュラー層を、前記フリー磁性層の両側
    端部上に一部残し、前記一部残されたスペキュラー層上
    に強磁性層を形成する請求項17ないし25のいずれか
    に記載の磁気検出素子の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記一部残されたバックド層あるいは
    スペキュラー層の膜厚を0.2Å以上で3Å以下で形成
    する請求項27または28に記載の磁気検出素子の製造
    方法。
  30. 【請求項30】 前記(d)工程あるいは(i)工程
    で、前記強磁性層を、2Å以上で50Å以下で形成する
    請求項17ないし29のいずれかに記載の磁気検出素子
    の製造方法。
  31. 【請求項31】 前記(a)工程あるいは前記(f)工
    程で、前記フリー磁性層を磁性層の3層構造で形成する
    請求項17ないし30のいずれかに記載の磁気検出素子
    の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記フリー磁性層をCoFe/NiF
    e/CoFeの3層構造で形成する請求項31記載の磁
    気検出素子の製造方法。
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