JP2003109832A - 磁気コア及びそれを用いたインダクタンス部品 - Google Patents

磁気コア及びそれを用いたインダクタンス部品

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JP2003109832A
JP2003109832A JP2001300275A JP2001300275A JP2003109832A JP 2003109832 A JP2003109832 A JP 2003109832A JP 2001300275 A JP2001300275 A JP 2001300275A JP 2001300275 A JP2001300275 A JP 2001300275A JP 2003109832 A JP2003109832 A JP 2003109832A
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義孝 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた直流重畳特性及び低損失特性を有する
容易にして安価に提供可能な磁気コアを用いたインダク
タンス部品を提供すること。 【解決手段】 このインダクタンス部品は、磁芯の磁路
に形成されたギャップに対し、希土類焼結磁石粉末及び
樹脂から成るボンド磁石を挿入装着して成る磁気コアを
用いており、ボンド磁石により生じるバイアス磁界の値
が磁芯の飽和磁化の25〜45%となるように、印刷法
で形成されるシート状態で配向磁場を加えながらプレス
成形しており、ボンド磁石の配向度が増加して電気抵抗
率が向上するため、ボンド磁石を用いない磁気コアを用
いたインダクタンス部品(従来例)よりもコアロス特性
が安定して向上する他、ボンド磁石によって生じるバイ
アス磁場の方向が巻き線部で直流電流が供給されること
で生じる巻線磁界の方向と反対方向となるように設定さ
れており、半波励磁下での使用が好適となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として高周波用
スイッチング電源やD/Dコンバータ等向けのチョーク
コイルやトランスに適用されると共に、直流電源ライン
のノイズ対策部品やチョークコイルにおける半波励磁下
での使用が好適な磁気コア及びそれを用いたインダクタ
ンス部品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、チョークコイルやトランスに用い
られる磁芯には良好な直流重畳特性及び低損失特性が求
められており、特に高周波用の磁気コアに用いられる磁
芯には、MnZn系やNiZn系等によるフェライトの
焼結体から成るフェライト磁芯や、パーマロイやセンダ
スト等の金属粉末をエポキシ樹脂等から成るバインダに
混合したものを圧縮成形して得られる圧粉磁芯が使用さ
れている。
【0003】一般に、フェライトによる磁芯は初透磁率
が高くて飽和磁束密度が小さいという特色があり、圧粉
磁芯は初透磁率が低くて飽和磁束密度が高いという物性
に由来した特色があるため、フェライトによる磁芯は例
えば一対のE型コアの中足にギャップを設けて互いに突
き合わせることで磁芯の透磁率を低くして磁気飽和し難
い構造のEEコアとして用いられることが多く、圧粉磁
芯は磁路中にギャップの無いトロイダル形状として用い
られることが多い。
【0004】ところで、こうした磁芯を用いた磁気コア
の開発分野においても、近年の電子機器に対する小型化
の要請に伴う電子部品の小型化に従って全体の小型化を
実施することが必要不可欠となっており、このような小
型化に際して、磁気特性として一層大きな重畳磁界でよ
り高い透磁率及び低損失を持つことが強く求められてい
る。
【0005】通常、直流重畳特性を向上させるために
は、飽和磁化の高い磁芯を選択すること、即ち、高磁界
で磁気飽和しない磁芯を選択することが必要とされる
が、飽和磁化は材料の組成で必然的に決定されてしまう
ものであり、無制限に高くできるものでないため、従来
では僅かな飽和磁化の向上を図るために多大な労力が費
されており、その割には成果として直流重畳特性が期待
される程伸びていないのが現状である。
【0006】このような問題の解決手段として、磁芯に
おける磁路の1箇所以上にギャップを形成し、そのギャ
ップの1つのものに永久磁石を挿入装着して磁気コアを
構成する手法が以前から検討されている。このような構
成の磁気コアの場合、直流重畳特性を向上させるための
成果は挙げられるが、その反面、例えば永久磁石として
金属製の焼結磁石を用いると磁芯のコアロスが著しく増
大してしまったり、或いはフェライト磁石を用いると直
流重畳特性が安定しなくなってしまう等の問題が起きて
しまうため、実用に耐え得る磁気特性を有するものが得
られていないのが現状である。
【0007】そこで、このような問題を解決する手段と
して、例えば特開昭50−133453号公報に開示さ
れた技術では、磁芯のギャップに挿入装着される永久磁
石として、保磁力の高い希土類磁石粉末とバインダーと
を混合した上で圧縮成形して成るボンド磁石を用いるこ
とが提案されており、こうした構成によって直流重畳特
性の向上と磁芯の温度上昇の改善とを図り得るものとし
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した磁芯のギャッ
プに挿入装着される永久磁石に保磁力の高い希土類磁石
粉末とバインダーとを混合した上で圧縮成形して成るボ
ンド磁石を用いた磁気コアの場合、確かに直流重畳特性
の向上が図られるという長所を有するが、最近の高周波
用スイッチング電源等に対する電力変換効率の向上への
要求が一層厳しくなっていることや、或いはチョークコ
イルやトランスに用いられる磁芯に対しても単に温度測
定を行うだけでは磁気特性の優劣が判断不能なレベルと
みなされるようになっており、コアロス特性が優れてい
ることも必要不可欠な判断基準であるとみなされる現状
を考慮すれば、実際にコアロス測定装置によりコアロス
特性を測定した結果によれば開示された抵抗率の値では
コアロス特性が劣化しているという問題がある。
【0009】又、特に電源における損失分が大きいもの
としては、例えばスイッチング電源の場合、スイッチン
グトランジスタにおける電流電圧波形の立ち上がり/立
ち下がりの遅れにより発生するスイッチング損失,フラ
イホイールダイオード等のダイオード損失,チョークコ
イルやトランス等の磁性部品の鉄損等が挙げられる。こ
れらのうち、近年の電源に対する電力変換効率向上のた
めの方策として、スイッチング損失に対しては、共振現
象を用いて電流電圧波形を正弦波(サインウェーブ)に
することで立ち上がり/立ち下がり時の電流電圧波形の
重なりを少なくして損失を抑制する共振方式が採用され
ており、ダイオード損失に対しては、損失の少ないFE
Tでダイオード部分を置き換えた同期整流方式が採用さ
れているが、磁性部品の鉄損に対しては、有効な方策が
見当たらず、現状では磁性材料の損失特性の改善に頼ら
ざるを得ない状況にあり、改善することが困難なものと
なっている。
【0010】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、優れた直流重畳特
性を有すると共に、従来よりも低損失な特性を有する容
易にして安価に提供可能な磁気コア及びそれを用いたイ
ンダクタンス部品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、磁路の
少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁芯における
該ギャップに対し、希土類焼結磁石粉末及び樹脂から成
るボンド磁石、又は希土類焼結磁石及び樹脂から成る複
合磁石のうちの少なくとも一方を挿入装着して成り、該
ボンド磁石又は該複合磁石により生じるバイアス磁界の
値が該磁芯の飽和磁化の25〜45%となる磁気コアが
得られる。
【0012】又、本発明によれば、上記磁気コアにおい
て、希土類焼結磁石粉末又は希土類焼結磁石は、固有保
磁力I C が3.95×106 A/m以上でキューリー
温度TC が300℃以上である磁気コアが得られる。
【0013】更に、本発明によれば、上記何れか一つの
磁気コアに対して少なくとも1ターン以上の巻き線を巻
回して成る巻き線部を設けて成るインダクタンス部品が
得られる。
【0014】加えて、本発明によれば、上記インダクタ
ンス部品において、ボンド磁石又は複合磁石によって生
じるバイアス磁場の方向は、巻き線部で直流電流が供給
されることで生じる巻線磁界の方向と反対方向となるよ
うに設定されているインダクタンス部品が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げ、本発明の磁
気コア及びそれを用いたインダクタンス部品について、
図面を参照して詳細に説明する。
【0016】最初に、本発明の磁気コアの技術的概要に
ついて簡単に説明する。本発明の磁気コアは、磁路の少
なくとも1箇所以上にギャップを有する磁芯におけるギ
ャップに対し、希土類焼結磁石粉末及び樹脂から成るボ
ンド磁石、又は希土類焼結磁石及び樹脂から成る複合磁
石のうちの少なくとも一方を挿入装着して成るもので、
これらのボンド磁石又は複合磁石により生じるバイアス
磁界の値が磁芯の飽和磁化の25〜45%となるもので
ある。但し、この磁気コアにおいて、希土類焼結磁石粉
末や希土類焼結磁石には、固有保磁力I C が3.95
×106 A/m以上でキューリー温度TC が300℃以
上のものを用いる。
【0017】このような何れの磁芯に対しても、少なく
とも1ターン以上の巻き線を巻回して成る巻き線部を設
けることでインダクタンス部品を得ることができる。但
し、このインダクタンス部品では、ボンド磁石又は複合
磁石によって生じるバイアス磁場の方向が巻き線部で直
流電流が供給されることで生じる巻線磁界の方向と反対
方向となるように設定された構成とする必要がある。
【0018】そこで、以下は本願発明の研究開発に至る
過程の技術的背景を説明する。本発明者等は、従来構造
の磁気コアとして磁路の1箇所以上にギャップを有する
磁芯におけるギャップに永久磁石を挿入装着した構成の
ものにあって、磁気バイアスを与えるべく挿入装着され
る永久磁石について検討した結果、固有保磁力I C
3.95×106 A/m以上の希土類焼結磁石粉末及び
樹脂から成るボンド磁石、又は希土類焼結磁石及び樹脂
から成る複合磁石(同様に固有保磁力I C が3.95
×106 A/m以上の希土類焼結磁石粉末と樹脂とを混
合して磁石体を作製した後に乾燥させて得られる)を用
いれば、磁石部で生じるヒステリシス損失が低減するこ
とを見い出した。特に、ボンド磁石の場合には印刷法で
形成されるシート状態で配向磁場を加えながらプレス成
形するようにし、複合磁石の場合には印刷法で磁石体を
作製した後に配向磁場を加えながら乾燥させることによ
り、磁石の配向度が増加して電気抵抗率が向上し、磁石
部で生じるヒステリシス損失を低減化できることを発見
した。又、このような磁気コアを直流電源ラインのノイ
ズ対策部品やチョークコイル,フォワード型トランスや
フライバック型トランス等の半波励磁下で使用されるイ
ンダクタンス部品に適用した場合、巻き線部の磁石に対
して鎖錯する巻線磁界により生じる磁石部での渦電流損
失が低減する他、ボンド磁石又は複合磁石によって生じ
るバイアス磁場の方向が巻き線部で直流電流が供給され
ることで生じる巻線磁界の方向と反対方向となるように
設定される構成とすることにより、巻き線部による巻線
磁界と磁石による磁界とが打ち消し合うことで磁芯が磁
気飽和を起こし難くなって磁石によるバイアス磁界の存
在により優れた直流重畳特性及び低損失特性が得られ、
通常の半波励磁で到達する磁場の最大値に対してその磁
場の最大値が低くなり、それに応じてコアロスも低くな
ることが判明した。これに対し、実際にMnZn系フェ
ライトから成るトロイダルコアに通常のコアロス測定で
用いる1次,2次の巻線以外に3次の巻線を用い、この
3次の巻線に直流電流を通電することで直流磁界を生じ
させた条件下でコアロス測定を行ったところ、直流磁界
が増加して到達する磁場の最大値が増加すると、コアロ
スも増加することが確認された。
【0019】通常の半波励磁下で使用されるインダクタ
ンス部品の場合、動作中に生じる磁場の様子は、BH平
面で表わすと第1象限のみに偏在しており、その最大値
は例えばフェライトコアの場合にはコアを飽和させない
ために200〜400mTとなっている。即ち、コアに
は0mTから250〜400mTの範囲の間の磁場が生
じているため、磁石によるバイアス磁界によって通常の
半波励磁で到達する磁場の最大値に対してその磁場の最
大値を低くするためには、磁石によるバイアス磁界を1
25〜200mTとすることが好ましい。バイアス磁界
がこれによりも低ければ十分なバイアスが得られなくな
ってしまうし、逆に高過ぎれば反対側の磁場が高くな
り、コアロスが増加してしまうことになる。因みに、フ
ェライトコアの飽和磁化は約450mTであり、磁石に
よるバイアス磁界をその飽和磁化との比で表わすと飽和
磁化の25〜45%となる。
【0020】固有保磁力I C が高い磁石としては、一
般に希土類磁石粉末,又は希土類磁石粉末をバインダー
と共に混合して成形した複合磁石である希土類ボンド磁
石で得られるが、保磁力が高ければどのような組成のも
のであっても良い。希土類磁石粉末の種類としては、S
mCo系,Nd−Fe−B系,Sm−Fe−N系の何れ
であっても良く、又粉末の残留磁化の大きさによってバ
イアス磁界が決まり、保磁力の値によって磁気特性の安
定性が決まるので、磁芯の種類によって磁石粉末の種類
を選択することができる。
【0021】特に、チョークコイルやトランス向けの磁
芯に適用する磁性材料としては、軟磁気特性を有する材
料であれば如何なるものでも良く、Mn−Zn系又はN
i−Zn系のフェライト,圧粉磁芯,珪素鋼板,アモル
ファス等が一般的に用いられるが、磁芯の透磁率が大き
い程、バイアス効果が得られ易い点を考慮すれば、Mn
−Zn系フェライトや珪素鋼板,アモルファスといった
透磁率が2000以上であるような材料を用いることが
好ましい。
【0022】又、磁芯の形状については、特に制限があ
るわけではなく、トロイダルコア,EE型コア,EI型
コア等のあらゆる形状のものを適用することが可能であ
る。磁気コアの磁路に設けるギャップ長は特に制限され
ないが、ギャップ長が狭すぎると所望の直流重畳特性が
得られ難くなるし、又ギャップ長が広過ぎると透磁率が
低下し過ぎて所望のインダクタンス値が得られ難くなる
ので、そうした短所が発現しないように配慮すればギャ
ップ長は自ずと決定されるものである。但し、ギャップ
に挿入されるボンド磁石又は複合磁石に要求される磁気
特性に関して、固有保磁力I C は3.95×106
/m未満では磁芯に印加される直流磁界によって保磁力
が消失してしまうので、その値以上のものが必要であ
る。
【0023】又、製品として用いた場合には、半田付け
のリフロー時等に200〜270℃の温度条件に晒され
ることがあるので、そうした場合に磁化が消失してしま
わないようにキューリー温度TC を300℃以上とする
ことが好ましい。
【0024】以下は、幾つかの実施例を挙げ、磁気コア
及びそれを用いたインダクタンス部品について、それら
を製造工程を含めて具体的に説明する。
【0025】(実施例1)実施例1では、先ず希土類磁
石粉末として平均粒径が約3μmのSm2 Fe17N系磁
石粉末に対して総体積比20vol%に相当する量の芳
香族系ポリアミド樹脂(6Tナイロン)をラボプラスト
ミルを用いてAr雰囲気下で300℃の条件下で熱混練
した後、1.5Tの配向磁場中で熱プレス成形すること
により、膜厚100μmのシートを作製した。
【0026】次に、このシートと膜厚10μmの樹脂フ
ィルムとを交互に重ねて層状化し、再度熱プレス成形を
行って厚さ11mmの板状体を得た後、この板状体を張
り合わせ面に対して垂直に1.5mmの寸法で切断して
から10.6mm×7.0mm×1.5mmの形状に切
断加工することで磁芯の中芯断面形状に一致する板状の
ボンド磁石を作製した。
【0027】更に、ここで作製されたボンド磁石を磁芯
におけるギャップに挿入装着して磁気コアを作製した
後、この磁気コアに対して巻き線を巻回して巻き線部を
設けることによりインダクタンス部品を作製した。但
し、このインダクタンス部品では、ボンド磁石によって
生じるバイアス磁場の方向が巻き線部で直流電流が供給
されることで生じる巻線磁界の方向と反対方向となるよ
うに設定された構成となっている。
【0028】そこで、磁芯のギャップにボンド磁石を挿
入装着して成る磁気コアを有するように作製された実施
例1に係るインダクタンス部品と、ボンド磁石を磁芯に
おけるギャップに挿入装着しない以外は同様な手順で作
製した比較用のインダクタンス部品とについて、岩崎通
信機製のSY8232交流BHアナライザを用いて室温
における周波数f=100kHz,磁束密度Bm =0.
1Tの条件下でのコアロス値PCV(kW/m3 )を測定
することによりコアロス特性を調べると共に、ヒューレ
ットパッカード製の4194Aインピーダンスアナライ
ザを用いて交流周波数1kHz〜15MHzの範囲で1
kHz時の透磁率μ(1kHz)に対する10MHz時
の透磁率μ(10MHz)の比μ(10MHz)/μ
(1kHz)を測定することにより周波数特性を調べた
ところ、実施例1に係るインダクタンス部品の場合には
コアロス値PCVが150,比μ(10MHz)/μ(1
kHz)が0.95となり、比較用のインダクタンス部
品の場合にはコアロス値PCVが230,比μ(10MH
z)/μ(1kHz)が0.75となった。
【0029】この結果、実施例1に係るインダクタンス
部品(磁気コア)は、比較用のインダクタンス部品(磁
気コア)よりも周波数特性が向上していることが判る。
これは層状化されたボンド磁石を挿入装着していること
で渦電流半径が小さくなるためであり、これによって渦
電流損失及びコアロスが減少する。
【0030】又、実施例1に係るインダクタンス部品と
比較用のインダクタンス部品とについて、重畳磁界Hm
(A/m)を変化させて印加した状態での100kHz
時の透磁率μ(100kHz)の負値を測定して重畳磁
界Hm によるコアロス特性の変化を調べたところ、図1
に示すような結果となった。
【0031】図1からは、実施例1に係るインダクタン
ス部品の場合、比較用のインダクタンス部品(従来例と
している)よりもコアロス特性が安定して向上している
ことが判る。これはボンド磁石の作製時に配向磁場を加
えながらプレス成形を行うことによりボンド磁石の配向
度が増加して電気抵抗率が向上するためであり、これに
よって磁石部で生じるヒステリシス損失を低減できる。
【0032】(実施例2)実施例2では、先ず希土類磁
石粉末として平均粒径が約3μmのSm2 Fe17N系焼
結磁石粉末と、可溶性ポリイミド樹脂と、溶剤としての
γ−ブチロラクトンとを混合して遠心脱泡機で7分間撹
拌してペーストを作製し、このペーストを用いてドクタ
ーブレード法により厚さ300μmになるようにグリー
ンシートを作製してからこれを1.5Tの配向磁場中で
乾燥した後、熱プレス成形を行って膜厚150μmのシ
ートを作製した。
【0033】次に、このシートを実施例1の場合と同様
に磁芯の中芯断面形状に一致するように切断し、約10
Tのパルス磁場で磁路方向に着磁した後、厚さ1.5m
mになるように積み重ねて積層構造の複合磁石を作製し
た。
【0034】更に、この複合磁石を磁芯におけるギャッ
プに挿入装着して磁気コアを作製した後、この磁気コア
に対して巻き線を巻回して巻き線部を設けることにより
インダクタンス部品を作製した。但し、このインダクタ
ンス部品では、複合磁石によって生じるバイアス磁場の
方向が巻き線部で直流電流が供給されることで生じる巻
線磁界の方向と反対方向となるように設定された構成と
なっている。
【0035】そこで、磁芯のギャップに複合磁石を挿入
装着して成る磁気コアを有するように作製された実施例
2に係るインダクタンス部品と、複合磁石を磁芯におけ
るギャップに挿入装着しない以外は同様な手順で作製し
た比較用のインダクタンス部品とについて、東英工業製
のTDF−5AH直流BHトレーサを用いて巻線磁界H
m (±11850A/m)に対する磁束密度Bm (T)
の関係で示されるBHループの様子を比較したところ、
図2に示すような結果となった。
【0036】図2からは、BHループ平面の第1象限に
注目すると、実施例2のインダクタンス部品では複合磁
石のバイアス磁界によって巻線電流によって生じる巻線
磁界Hm の最大値が比較用のインダクタンス部品(従来
例としている)の場合よりも低くなっていることが判
る。これは第1象限において、巻線電流により生じる巻
線磁界Hm と複合磁石により生じるバイアス磁界とが互
いに逆向きとなっており、打ち消し合うためである。
又、BHループ平面の第3象限に注目すると、逆に実施
例2のインダクタンス部品では巻線電流により生じる巻
線磁界Hm と複合磁石により生じるバイアス磁界とが同
じ向きになって強め合うことにより、到達する巻線電流
により生じる巻線磁界Hm の最大値が比較用のインダク
タンス部品の場合よりも大きくなっていることが判る。
【0037】このBHループの位置ずれの量により、実
施例2のインダクタンス部品の場合、複合磁石によって
得られたバイアス量は約170mTであり、飽和磁化3
90mTの44%となっていることが判る。
【0038】又、実施例2に係るインダクタンス部品に
ついて、ヒューレットパッカード製のHP4284A
LCAメータを用いて交流磁場周波数100kHzでの
重畳磁界(その磁束密度を示す)BdC (mT)に対す
るコアロス値PCV(kW3 )の関係で直流重畳特性を測
定したところ、図3に示すような結果となった。
【0039】図3からは、実施例2に係るインダクタン
ス部品の場合、重畳磁界BdC の増加に応じてコアロス
値PCVも緩やかに増加しており、優れた直流重畳特性が
得られることが判る。
【0040】ところで、この実施例2に係る構成のイン
ダクタンス部品は、例えば同期整流方式を用いた電流共
振型フォワード電源回路の電源トランスとして適用する
ことができるが、図4は、そうした場合の電流共振型フ
ォワード電源回路の基本構成を示したものである。即
ち、この電流共振型フォワード電源回路では、実施例2
に係る構成のインダクタンス部品をフォワード型電源ト
ランス1として搭載すると共に、FET3を用いた回路
構成としている他、負荷として電子負荷器2を用いて出
力電流Iout 及び入力電圧Vinを変えられるようになっ
ている。
【0041】図5は、この電流共振型フォワード電源回
路における実施例2に係る構成のインダクタンス部品を
用いたフォワード型電源トランス1における出力電流I
out(A)を変えた場合の効率η(%)の様子(出力電
流−効率特性)を比較用のインダクタンス部品を代用し
た構成のもの(従来例としている)と対比して示したも
のである。
【0042】更に、図6は、この電流共振型フォワード
電源回路における実施例2に係る構成のインダクタンス
部品を用いたフォワード型電源トランス1における入力
電圧Vin(V)を変えた場合の効率η(%)の様子(入
力電圧−効率特性)を比較用のインダクタンス部品を代
用した構成のもの(従来例としている)と対比して示し
たものである。
【0043】図5,図6からは、実施例2に係る構成の
インダクタンス部品を用いたフォワード型電源トランス
1の場合、出力電流Iout ,入力電圧Vinの何れを変え
ても比較用のインダクタンス部品を代用した場合よりも
効率が約3%改善され、トランスとしての基本特性が向
上することが判った。
【0044】尚、実施例2のインダクタンス部品の場
合、具体的に電流共振型フォワード電源回路の電源トラ
ンスとして適用したときの有効性を示したが、実施例1
のインダクタンス部品を代用してもほぼ同様な効果が得
られるし、何れのインダクタンス部品についても、その
他のチョークコイル等にも適用できるので、本発明は各
実施例で開示したものに限定されない。
【0045】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の磁気コ
アによれば、磁芯の磁路に形成されたギャップに対し、
希土類焼結磁石粉末及び樹脂から成るボンド磁石、又は
希土類焼結磁石及び樹脂から成る複合磁石のうちの少な
くとも一方を挿入装着し、ボンド磁石又は複合磁石によ
り生じるバイアス磁界の値が磁芯の飽和磁化の25〜4
5%となるように、ボンド磁石の場合には印刷法で形成
されるシート状態で配向磁場を加えながらプレス成形す
るようにし、複合磁石の場合には印刷法で磁石体を作製
した後に配向磁場を加えながら乾燥させているので、磁
石の配向度が増加して電気抵抗率が向上し、磁石部で生
じるヒステリシス損失が低減化されるようになる他、希
土類焼結磁石粉末又は希土類焼結磁石の固有保磁力及び
キューリー温度を適度に定めた構成としているために優
れた直流重畳特性及び低損失特性を有するものとなり、
しかも容易にして安価に提供できるようになる。又、こ
の磁気コアに巻き線部を設けて成るインダクタンス部品
では、ボンド磁石又は複合磁石によって生じるバイアス
磁場の方向が巻き線部で直流電流が供給されることで生
じる巻線磁界の方向と反対方向となるように設定された
構成としており、巻き線部による巻線磁界と磁石による
磁界とが打ち消し合うことで磁芯が磁気飽和を起こし難
くなって磁石によるバイアス磁界の存在により優れた直
流重畳特性及び低損失特性が得られ、通常の半波励磁で
到達する磁場の最大値に対してその磁場の最大値が低く
なり、それに応じてコアロスも低くなる特性が得られる
ため、特に直流電源ラインのノイズ対策部品やチョーク
コイルにおける半波励磁下での使用が好適となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る磁気コアを用いて作製
されたインダクタンス部品と比較用のインダクタンス部
品とについて、重畳磁界を変化させて印加した状態での
100kHz時の透磁率の負値を測定した結果で示され
る重畳磁界によるコアロス特性の変化を示したものであ
る。
【図2】本発明の実施例2に係る磁気コアを用いて作製
されたインダクタンス部品と比較用のインダクタンス部
品とについて、巻線磁界に対する磁束密度の関係で示さ
れるBHループの様子を比較して示したものである。
【図3】図2で説明した実施例2に係るインダクタンス
部品について交流磁場周波数100kHzでの重畳磁界
に対するコアロス値の関係で示される直流重畳特性を測
定した比較結果を示したものである。
【図4】図2で説明した実施例2に係る構成のインダク
タンス部品をトランスとして搭載した同期整流方式を用
いた電流共振型フォワード電源回路の基本構成を示した
ものである。
【図5】図4に示す電流共振型フォワード電源回路にお
ける実施例2に係る構成のインダクタンス部品を用いた
フォワード型電源トランスにおける出力電流を変えた場
合の効率の様子(出力電流−効率特性)を比較用のイン
ダクタンス部品を代用した構成のものと対比して示した
ものである。
【図6】図4に示す電流共振型フォワード電源回路にお
ける実施例2に係る構成のインダクタンス部品を用いた
フォワード型電源トランスにおける入力電圧を変えた場
合の効率の様子(入力電圧−効率特性)を比較用のイン
ダクタンス部品を代用した構成のものと対比して示した
ものである。
【符号の説明】
1 フォワード型電源トランス 2 電子負荷器 3 FET

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁路の少なくとも1箇所以上にギャップ
    を有する磁芯における該ギャップに対し、希土類焼結磁
    石粉末及び樹脂から成るボンド磁石、又は希土類焼結磁
    石及び樹脂から成る複合磁石のうちの少なくとも一方を
    挿入装着して成り、該ボンド磁石又は該複合磁石により
    生じるバイアス磁界の値が該磁芯の飽和磁化の25〜4
    5%となることを特徴とする磁気コア。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気コアにおいて、前記
    希土類焼結磁石粉末又は前記希土類焼結磁石は、固有保
    磁力I C が3.95×106 A/m以上でキューリー
    温度TC が300℃以上であることを特徴とする磁気コ
    ア。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の磁気コアに対して
    少なくとも1ターン以上の巻き線を巻回して成る巻き線
    部を設けて成ることを特徴とするインダクタンス部品。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のインダクタンス部品にお
    いて、前記ボンド磁石又は前記複合磁石によって生じる
    バイアス磁場の方向は、前記巻き線部で直流電流が供給
    されることで生じる巻線磁界の方向と反対方向となるよ
    うに設定されていることを特徴とするインダクタンス部
    品。
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