JP3860456B2 - 磁芯及びそれを用いたインダクタンス部品 - Google Patents

磁芯及びそれを用いたインダクタンス部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョークコイルやトランス等のインダクタンス部品の磁気コア(以下、単に「コア」とも呼ぶ)に用いる磁気バイアス用の永久磁石に関し、特に、磁気コア、したがって、インダクタンス部品の厚みを小さくすることを可能とする薄型の磁気コアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えばスイッチング電源などに用いられるチョークコイル及びトランスにおいては、通常、交流は直流に重畳して印加される。したがって、これらチョークコイルやトランスに用いる磁気コアは、この直流重畳に対して磁気飽和しない透磁率特性(この特性を「直流重畳特性」と呼ぶ)の良好なことが求められている。
【0003】
高周波用の磁気コアとしてはフェライト磁気コアや圧粉磁気コアが使用されているが、フェライト磁気コアは初透磁率が高く飽和磁束密度が小さく、圧粉磁気コアは初透磁率が低く飽和磁束密度が高い、という材料物性に由来した特徴がある。従って、圧粉磁気コアはトロイダル形状で用いられることが多い。他方、フェライト磁気コアの場合には、例えばE型コアの中足に磁気空隙(磁気ギャップ)を形成して直流重畳により磁気飽和することを避けることが行われている。
【0004】
しかし、近年の電子機器の小型化要請に伴う電子部品の小型化の要求により、磁気コアの磁気ギャップも小さくせざるを得ず、直流重畳に対してより高い透磁率の磁気コアが強く求められている。
【0005】
この要求に対しては、一般に、飽和磁化の高い磁気コアを選択する事、つまり高磁界で磁気飽和しない磁気コアの選択が必須とされている。しかし、飽和磁化は材料の組成で必然的に決まるものであり、無限に高く出来るものではない。
【0006】
その解決手段として、磁気コアの磁路に設けた磁気ギャップに永久磁石を配置し、直流重畳による直流磁界を打ち消す事、すなわち、磁気コアに磁気バイアスを与えることが古くから提案されている。
【0007】
この永久磁石を用いた磁気バイアス方法は、直流重畳特性を向上させるには優れた方法であるが、一方で金属焼結磁石を用いると磁気コアのコアロスの増大が著しく、またフェライト磁石を用いると重畳特性が安定しないなどとても実用に耐え得るものではなかった。
【0008】
これらを解決する手段として、例えば特開昭50−133453は、磁気バイアス用永久磁石として保磁力の高い希土類磁石粉末とバインダーとを混合し圧縮成形したボンド磁石を用いること、これにより、直流重畳特性およびコアの温度上昇が改善されたことを開示している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、電源に対する電力変換効率向上の要求はますます厳しくなっており、チョークコイル用及びトランス用の磁気コアについても単にコア温度を測定するだけでは優劣が判断不能なレベルとなっている。そのため、コアロス測定装置による測定結果の判断が不可欠であり、実際本発明者等が検討を行った結果、特開昭50―133453に示された抵抗率の値ではコアロス特性が劣化する事が明らかになった。
【0010】
又、近年の電子機器の小型化に伴い、インダクタンス部品の小型化がますます要求され、したがって、磁気バイアス用磁石の薄型化も又要求されているところである。
【0011】
また近年、表面実装タイプのコイルが所望されているが、表面実装のためにはコイルはリフローはんだ処理に付される。このリフロー条件で、コイルの磁気コアの特性が劣化しない事が望まれる。また、耐酸化性の希土類磁石が必須である。
【0012】
そこで、本発明の一技術的課題は、小型インダクタンス部品の磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁気コアに、該ギャップ両端から磁気バイアスを供給するために、該ギャップ近傍に永久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石を有する磁気コアの小型化を可能とするために特に適した磁石を用いた磁気コアを提供することにある。
【0013】
また、本発明のもう一つの技術的課題は、優れた直流重畳特性と、コアロス特性と、リフロー条件でも特性に影響を受けず、耐酸化性を有する磁気コアを容易かつ安価に提供する事にある。
【0014】
また、本発明のさらにもう一つの技術的課題は、磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁気コアに、該ギャップ両端から磁気バイアスを供給するために、該ギャップ近傍に永久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石を有する磁気コアにおいて、上記を考慮して、優れた直流重畳特性とコアロス特性を有する磁気コアを容易かつ安価に提供する事にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、磁路中の少なくとも1箇所以上にギャップを有し、前記ギャップに永久磁石を挿入してなる磁心であって、20kHzにおける交流透磁率が直流印加磁界120Oeの条件で45以上で、かつ鉄損特性が20kHz、最大磁束密度0.1Tの条件で100kW/m以下であり、前記永久磁石は、樹脂に磁石粉末が分散されてなるボンド磁石であり、0.1Ω・cm以上の範囲の比抵抗を有し、該磁石粉末は、希土類磁石粉末からなり、固有保磁力が5kOe以上、キュリー点Tcが300℃以上、粉末粒径が150μm以下であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0016】
また、本発明によれば、前記磁芯において、初透磁率が100以上であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0017】
また、本発明によれば、前記磁芯において、Ni−Zn系フェライト又はMn−Znフェライトからなり、前記ボンド磁石は、前記希土類磁石粉末と前記樹脂のバインダーとで構成されていることを特徴とする磁芯が得られる。
【0018】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記ボンド磁石は、前記希土類磁石粉末の平均粒径が0μm以上〈0を含まず〉10μm以下であり、前記バインダーの量を重量比で5〜30wt%含有するものであって、比抵抗が1Ω・cm以上でかつ固有保磁力が5kOe以上であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0020】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記希土類磁石粉末の平均粒径が2.0〜50μmであることを特徴とする磁芯が得られる。
【0021】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記樹脂含有量が体積比で10%以上であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0023】
また、本発明によれば、前記磁芯において、成形圧縮率が20%以上であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0024】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記ボンド磁石に使用する前記希土類磁石粉末にシランカップリング材、チタンカップリング材を添加したことを特徴とする磁芯が得られる。
【0025】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記ボンド磁石は、その作製時に磁場配向されることにより異方性化されていることを特徴とする磁芯が得られる。
【0026】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記希土類磁石粉末は、表面活性剤でコーティングされていることを特徴とする磁芯が得られる。
【0027】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記永久磁石の中心線平均粗さが1.7μm〜10μであることを特徴とする磁芯が得られる。
【0028】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記永久磁石は、比抵抗が1Ω・cm以上であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0029】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記永久磁石は金型成形によって製造されたことを特徴とする磁芯が得られる。
【0030】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記永久磁石は熱プレスによって製造されたことを特徴とする磁芯が得られる。
【0031】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記永久磁石は、全体の厚みが100〜500μmであることを特徴とする磁芯が得られる。
【0032】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記永久磁石は、樹脂と前記希土類磁石粉末との混合塗料からドクターブレード法、印刷法などの成膜法によって製造されたことを特徴とする磁芯が得られる。
【0033】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記永久磁石は、表面のグロス(光沢度)が25%以上であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0034】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記樹脂は、ポリプロピレン樹脂、6−ナイロン樹脂、12−ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂から選択された少なくとも一種であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0035】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記永久磁石は表面に耐熱温度120℃以上の樹脂又は耐熱塗料を被覆していることを特徴とする磁芯が得られる。
【0036】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記希土類磁石粉末は、SmCo、NdFeB、SmFeNから選択された希土類磁石粉末であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0037】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記希土類磁石粉末は、固有保磁力が10KOe以上、キュリー点が500℃以上、粉末平均粒径が2.5〜50μmであることを特徴とする磁芯が得られる。
【0038】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記希土類磁石粉末は、Sm−Co磁石であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0039】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記SmCo希土類磁石粉末は、Sm(CobalFe0.15〜0.25Cu0.05〜0.06Zr0.02〜0.037.0〜8.5で表される合金粉末であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0040】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記樹脂含有量が体積比で30%以上であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0041】
また、本発明によれば、前記磁芯において、前記樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、液晶ポリマーから選択された少なくとも1種であることを特徴とする磁芯が得られる。
【0042】
さらに、本発明によれば、前記したうちのいずれか一つに記載の磁芯に少なくとも1ターン以上の巻線が施されたことを特徴とするインダクタンス部品が得られる。
【0043】
【発明の実施の形態】
まず、本発明についてさらに、具体的に説明する。
【0044】
本発明の磁芯は、磁路中の少なくとも1箇所以上にギャップを有し、該ギャップに永久磁石を挿入してなり、20kHzにおける交流透磁率が直流印加磁界120Oeの条件で45以上で、かつ鉄損特性が20kHz、最大磁束密度0.1Tの条件で100kW/m以下である。
【0045】
上記の磁芯において、Ni−Zn系フェライト又はMn―Zn系フェライトからなり、前記磁石は、希土類磁石粉末とバインダーとで構成されたボンド磁石であることが好ましい。
【0046】
また、上記の磁芯において、前記ボンド磁石は、前記希土類磁石粉末の平均粒径が0μm以上(0を含まず)10μm以下であり、前記バインダーの量を重量比で5〜30wt%含有するものであって、比抵抗が1Ω・cm以上でかつ固有保磁力が5kOe以上であることが好ましい。
【0047】
また、本発明のインダクタンス部品は、上記の磁芯に、少なくとも1ターン以上の巻線が施されてなる。
【0048】
これは、優れた直流重畳特性を得るのに必要な磁石特性はエネルギー積よりもむしろ固有保磁力であり、従って、比抵抗の高い永久磁石を使用しても固有保磁力が高ければ充分に高い直流電畳特性が得られることによる。
【0049】
比抵抗が高く、しかも固有保磁力が高い磁石は、一般的には希土類磁石粉末をバインダーとともに混合して成形した希土類ボンド磁石で得られるが、保磁力の高い磁石粉末であれば、どのような組成のものでも良い。希土類磁石粉末の種類は、Sm−Co系、Nd‐Fe―B系、Sm−Fe−N系のいずれでもよいが、粉末の残留磁化の大きさによってバイアス磁界の大きさが決まり、保磁力の値によって磁気特性の安定性が決まるので、磁芯の種類によって磁石粉末の種類を選択する必要がある。
【0050】
本発明においては、チョークコイル用及びトランス用磁芯の材料として、コアロスの値が低いMn−Zn系又はNi−Zn系フェライトを用い、その磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを設け、そのギャップに希土類系ボンド磁石を挿入した磁芯である。
【0051】
形状については、特に制限があるわけではなく、トロイダル磁芯、EE型磁芯、EI型磁芯等あらゆる形状の磁芯に本発明の適用が可能である。ギャップ長に特に制限はないが、ギャップ長さが狭すぎると、直流電畳特性が劣化し、またギャップ長が広すぎると透磁率が低下しすぎるので、おのずから挿入するギャップ長は決まってくる。
【0052】
次に、ギャップに挿入される永久磁石に対する要求特性は、固有保磁力については5kOe未満では、磁芯に印加される直流磁界によって磁化が消失するので、それ以上の保磁力が必要であり、また比抵抗は大きいほど良いが、1Ω・cm以上であれば、コアロス劣化の大きな要因にはならない。また、粉末の平均粒径が実質的に10μmを超えるとコアロス特性が劣化するので、粉末の平均粒径は10μm以下であることが望ましい。
【0053】
それでは、本発明の具体例について説明する。
【0054】
(第1の実施の形態)
以下に、磁路の一部にそれぞれ、Sm―Fe−Nボンド磁石、フェライト磁石を挿入したMn−Zn系フェライト磁芯の直流重畳特性を測定し、比較を行った例を示す。
【0055】
実験に用いたフェライト磁芯は、Mn―Zn系フェライト材で作製された磁路長7.5cm、実効断面積0.74cmのEE型磁芯の中足に3.0mmのギャップ加工をしたものである。
【0056】
ボンド磁石の作製には、Sm−Fe−N磁石粉末(粉末平均粒径約3μm)と総重量の5wt%に当たる量のバインダー(エボキシ樹脂)を混合した後、無磁場中で金型成形を行った。以下に説明するフェライト磁芯の中足断面形状で、かつ高さ3.0mmの形状に加工した。
【0057】
ボンド磁石とフェライト磁石を電磁石で磁路方向に着磁後、そのギャップ部に挿入し、磁芯を作製した。また、120ターンの巻線を施し、インダクタンス部品を作製した。これらの形状を図1(A)及び(B)に示す。図1(A)及び(B)において、43(斜線部)は磁石、45はフェライト磁芯、47は巻線部である。挿入したSm−Fe−N系ボンド磁石は着磁に周いた磁場の大きさを変化させることによって、表1に示すような保磁力、残留磁束密度の試料を用意した。フェライト磁石は、保磁力が3kOeのものを用いた。
【0058】
【表1】
Figure 0003860456
各磁石を挿入した磁芯をHewlet Packerd製4284A LCRメーターで交流磁場周波数100kHz、重磁場0〜200Oeの条件で、直流重畳特性を繰り返し測定した。この時の直流バイアス磁界の向きは、挿入時に着磁した磁石の磁化の向きとは逆になるように重畳電流を印加した。その測定結果を図2〜図5に示す。
【0059】
図2より、保磁力が3kOeしかないフェライト磁石を挿入した磁芯では、測定回数が進むにつれ、直流重畳特性が大きく劣化することがわかる。逆に、図3〜図5より、保磁力の大きなSm−Fe−N系ボンド磁石を挿入した磁芯は、繰り返しの測定においても大きな変化は無く、非常に安定した特性を示すことがわかる。
【0060】
これらの結果より、フェライト磁石は、保磁力が小さいために、磁石に印加される逆向きの磁界によって減磁、または磁化の反転が起こり、直流重畳特性が劣化したものと推測できる。また、磁芯に挿入する磁石は、保磁力が5kOe以上の希土類系ボンド磁石において優れた直流重畳特性を示すことがわかった。
【0061】
(第2の実施の形態)
以下に、磁路の一部に磁石を挿入したMn−Zn系フェライト磁芯と磁石を挿入していない同組成のMn−Zn系フェライト磁芯、センダスト磁芯を用いて、直流重畳特性、コアロス測定を行い、比較を行った例を示す。
【0062】
実験に用いたフェライト磁芯は、第1の実施の形態で用いられたものと同じくMn−Zn系フェライト材で作製された磁路長7.5cm、実効断面積0.74cmのEE型磁芯の中足に3.0mmのギャップ加工されたものである。ボンド磁石を電磁石で磁路方向に着磁後、そのギャップ部に挿入した。
【0063】
センダスト磁芯については、粉末粒径が150μm以下のものを用い、それを総重量1.5wt%のバインダー(シリコーン系樹脂)を混合したものを20ton/cmでプレスした後、700℃で2時間熱処理したものを用いた。この形状を図3に示す。
【0064】
磁石の作製には、Sm−Fe−N磁石粉末(粉末平均粒径約3μm)と総重量の10wt%に当たる量のバインダー(エポキシ樹脂)を混合した後、無磁場中で金型成形を行った。以下に説明するフェライト磁芯の中足断面形状で、かつ高さ3.0mmの形状に加工した。なお、磁石特性は、φ10×t10のテストピースを別途作製し、直流BHトレーサーで測定した。その結果、固有保磁力が12500Oe、残留磁束密度が4000Gとわかった。この時の注意点としてボンド磁石の磁化の向きは、交流透磁率測定における直流バイアス磁界の向きとは逆になるように挿入する。
【0065】
次に、Hewlet Packerd製4284A LCRメーターで交流磁場周波数100kHz、重畳磁場0〜200Oeの条件で、直流畳特性を測定した。その結果を図7に示す。
【0066】
図7より、直流畳磁界が100Oeの時における透磁率で比較を行うと、センダスト磁芯では30未満であり、ギャップのみのMn‐Zn系フェライト磁芯は30であったが、Sm−Fe−N磁石を挿入した磁芯では45以上と、非常に優れた特性を示すことがわかった。
【0067】
次に、岩崎通信機製のSY−8232交流BHトレーサーで20kHz、0.1Tにおけるコァロス特性を室温で測定した。その結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
Figure 0003860456
表2より、磁石を挿入した磁芯は、コアロスが24kW/mであり、センダスト磁芯に比べ、5分の1であることがわかる。また、磁石を挿入していないフェライト磁芯と比較しても、コアロスの上昇は比較的小さいことがわかる。
【0069】
これらの結果より、ギャップに磁石を挿入した磁芯は、直流重畳特性に優れ、しかもコアロス特性の劣化が小さく優れていることがわかった。
【0070】
(第3の実施の形態)
平均粒径が5μmのSm−Co系磁石粉末に各々バインダーとしてエポキシ樹脂の固形分比が総重量に対し、それぞれ2wt%、5wt%、10wt%、20wt%、30wt%、40wt%混合したものを用意し、それらを金型成形により7×10mmで高さ3.0mmの形状のボンド磁石を作製した。
【0071】
上記の磁石を電磁石で磁路方向に着磁後、第1の実施の形態で用いたMn−Zn系フェライト磁芯のギャップ部に挿入し、岩崎通信機製のSY−8232交流BHトレーサーで20kHz、0.1Tにおけるコアロス特性を室温で測定した。さらにHewlet Packerd製4284A LCRメーターで交流磁場周波数100kHz、重畳磁場0〜200Oeの条件で、直流重畳特性を測定した。これらの測定データを表3に示す。
【0072】
【表3】
Figure 0003860456
表3より、バインダー量の増加とともにコアロス値が減少していき、バインダー量が2wt%の試料では、コアロスが200kW/m以上と非常に大きな値を示すことがわかる。
【0073】
これは、バインダー量が2wt%の試料では比抵抗が2.0×10−3Ω・cmと非常に小さいために、渦電流損失が大きくなり、コアロス値が増加したものと推測される。
【0074】
また、バインダー量が40wt%の試料では、直流重畳磁界が100Oeにおける透磁率が非常に小さいことがわかる。これは、バインダー量が多いためにボンド磁石の残留磁化の値が減少し、そのためバイアス磁界も小さくなり、直流重畳特性があまり向上しなかったものと推測される。
【0075】
以上のことから、バインダー量が5wt%以上、30wt%以下で、比抵抗が1Ω・cm以上のボンド磁石を磁芯のギャップ部に挿入することにより優れた直流重畳特性が得られ、しかもコアロスの劣化も生じない優れた磁芯が得られることがわかった。
【0076】
(第4の実施の形態)
Sm−Co系でエネルギー積が約28MGOeの焼結磁石を粗粉砕後、標準飾により最大粒径が−100μm、−50μm、−30μmに分級を行った。さらに、粗粉砕後の粉末の一部を有機溶媒中でボールミルにより微粉砕し、その粉末をサイクロンにより−10μm、−5μmの各最大粒径を有する粉末を作製した。
【0077】
次に、これらの作製した磁石粉末に各々バインダーとしてエポキシ樹脂を10wt%混合し、金型成形により7×10mmで高さ0.5mmの形状のボンド磁石を作製した。ボンド磁石の特性は、第1の実施の形態と同様に、テストピースを別途作製し測定した結果、最大粉末粒径によらず全て5kOe以上の固有保磁力を示した。また、比抵抗を測定した結果、全ての磁石について1Ω・cm以上の値を示した。
【0078】
次に、第1の実施の形態で用いたMn−Zn系フェライト磁芯のギャップ部に作製したボンド磁石を挿入した。次に、第1の実施の形態と全く同じ方法で永久磁石を着磁後、20kHz、0.1mTのコアロスを測定した。ここで、第1の実施の形態と全く同様に、フェライト磁芯は同一のものを使用し、挿入する永久磁石だけを交換してコアロスを測定した。その結果を表4に示す。
【0079】
【表4】
Figure 0003860456
表4に示す通り、磁石粉末の最大粒径が10μmをこえると急激にコアロスが増大することがわかる。この結果により、磁石粉末の粒径が10μm以上の時、更に優れたコアロス特性を示すことがわかった。
【0080】
以上に説明したように、本発明の第1〜第3の実施の形態によれば、優れた直流重畳特性とコアロス特性を有し、かつ容易に製造でき、安価な磁芯を提供することができた。
【0081】
次にもう一つの本発明の磁芯について説明する。本発明のもう一つの磁芯では、磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁気コアに、該ギャップ両端から磁気バイアスを供給するために、このギャップ近傍に永久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石を有する磁気コアにおいて、前記磁気コアは圧粉磁心であり、前記永久磁石が、15KOe以上の固有保磁力及び300℃以上のキュリー点を持つ粉末平均粒径が2.0〜50μmの希土類磁石粉末と樹脂とからなるボンド磁石である。
【0082】
前記磁気バイアス用磁石としてのボンド磁石は、前記樹脂を体積比で10%以上含有し、比抵抗が0.1Ω・cm以上であることが好ましい。
【0083】
また、前記圧粉磁心の初透磁率が100以上であることが好ましい。
【0084】
更に,本発明では、前記の磁気バイアス用磁石を有する磁気コアに、1ターン以上の巻線を少なくとも1つ施してあるインダクタンス部品を得ることができる。
【0085】
なお、インダクタンス部品とは、コイル、チョークコイル、トランス、その他一般に磁気コアと巻き線とを必須とした部品を含むものとする。
【0086】
圧粉磁心と希土類ボンド磁石を使用する事によって直流重畳特性とコアロス特性に優れたコイル及びトランス用磁心が製造可能となる。
【0087】
本発明では、挿入する永久磁石と用いるコアとの組み合わせについて検討した結果、コアとしては圧粉磁心(初透磁率が100以上であることが好ましい)を用い、そのギャップに挿入する磁石としては、比抵抗が0.1Ω・cm以上で固有保磁力が15kOe以上の永久磁石を使用した時優れた直流重畳特性が得られ、しかもコアロス特性の劣化が生じない磁芯を形成できる事を発見した。これは、優れた直流重畳特性を得るのに必要な磁石特性はエネルギー積よりもむしろ固有保磁力であり、従って比抵抗の高い永久磁石を使用しても固有保磁力が高ければ充分に高い直流重畳特性が得られる事を見出したことによる。
【0088】
比抵抗が高くしかも固有保磁力が高い磁石は、一般的には希土類磁石粉末をバインダーとともに混合して成形した希土類ボンド磁石で得られるが、保磁力の高い磁石粉末であればどのような組成のものでも可能である。希土類磁石粉末の種類はSmCo系、NdFeB系、SmFeN系とあるが、使用時の熱減磁を考えるとTcが300℃以上、保磁力が5kOe以上の磁石が必要である。樹脂としては熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂も使用することが可能であり、これによって渦電流損の増大が抑制されることが分かった。
【0089】
圧粉磁心の形状については特に制限があるわけではないが、一般的にはトロイダルコアであり、壷型コアで用いられる事もある。これらコアの磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを設け、そのギャップに永久磁石を挿入する。ギャップ長に特に制限はないがギャップ長が狭すぎると直流重畳特性が劣化し、またギャップ長が広すぎると透磁率が低下しすぎるので、おのずから挿入するギャップ長は決まってくる。
【0090】
また、ギャップを挿入する前の初透磁率の値は重要であり、これが低すぎると磁石によるバイアスが効かないので少なくとも100以上の初透磁率が必要である。
【0091】
次にギャップに挿入される永久磁石に対する要求特性は、固有保磁力については15kOe以下では磁心に印加される直流磁界によって保磁力が消失するのでそれ以上の保磁力が必要であり、また比抵抗は大きいほど良いが0.1Ω・cm以上であればコアロス特性が高周波まで良好である。
【0092】
磁石粉末の平均最大粒径が50μm以上になるとコアの比抵抗をいくら大きくしてもコアロス特性が劣化するので、粉末の最大粒径は50μm以下である事が望ましく、最小粒径が2.0μm以下になると粉末と樹脂の混練時に粉末の酸化による磁化の減少が顕著になるため2.0μm以上の粒径が必要で有る。
【0093】
また、コアロスを増大させないため樹脂の量は少なくとも体積比で10%以上必要である。
【0094】
以下、本発明の他の実施の形態について、以下説明する。
【0095】
(第5の実施の形態)
SmCo17のインゴットを粉砕した粉末から通常の粉末冶金法で焼結体を作成し、その焼結体に磁石化のための熱処理を施した後微粉砕し、平均粒径が約3.5μm、4.5μm、5.5μm、6.5μm、7.5μm、8.5μmおよび9.5μmの磁石粉末を用意した。これらの磁石粉末に適当なカップリング処理を施した後、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂をそれぞれ40vol%混合し、金型を使用して3(t/cm)の圧力を加えて成形する事により各ボンド磁石を作製した。ここで、ボンド磁石は、図8のトロイダル状の圧粉磁芯55と同じ断面形状を持つ金型を用いて成形された。
【0096】
一方、φ10×t10のテストピース(TP)を別途作成して直流BHトレーサーで固有保磁力iHcを測定した。その結果を表1に示す。
【0097】
圧粉磁心として、図8に示すようなトロイダル形状のコア55を、Fe−Al−Si磁性合金(商標:センダスト)粉末を用いて外径27mm、内径14mm、厚さ7mmの寸法に成形した。このコアの初透磁率は120であった。
【0098】
このトロイダルコアに0.5mmのギャップ加工をした。そのギャップ部に上記作成したボンド磁石57を挿入配置し、電磁石でコア55の磁路方向に磁石57を着磁後、図9に示す様にコイル59を巻き線し、直流重畳特性を測定した。印加した直流は、直流磁界にして150Oeであった。その測定を10回繰り返した。その結果を表5に示す。比較としてギャップに磁石を配置しなかったものの測定結果も表5に並べて示す。
【0099】
【表5】
Figure 0003860456
表5から、挿入される磁石の保磁力が15kOe以上のときは、繰り返し直流磁界を印加しても直流重畳特性の劣化を生じないことがわかった。
【0100】
(第6の実施の形態)
磁石粉末として還元拡散法で作成されたSmFe粉末を3μmに微粉砕後、窒化処理する事で得られたSmFeN粉末を用意した。次にこの粉末にZn粉末を3wt%混合した後、500℃で2時間Ar中で熱処理した。その粉末特性をVSMで測定した結果、保磁力が約20kOeであった。
【0101】
次に、この磁石粉末に、熱可塑性の樹脂として6ナイロンを45vol%混合して、230℃で熱混練したのち、同じ温度で厚さ0.2mmに熱プレスしてシート状のボンド磁石を得た。
【0102】
このボンド磁石のシートを10mm径の円盤状に打抜き、厚さ10mmに重ねて、その磁石特性を測定したところ、約18kOeの固有保磁力を示した。また比抵抗を測定した結果、0.1Ω・cm以上の値を示した。
【0103】
一方、圧粉磁心についてはセンダスト粉末の形状と粉末の充填率を変える事により初透磁率が、それぞれ、75、100、150、200、および300のトロイダル形状の圧粉磁心を第5の実施の形態と全く同様に作成した。
【0104】
つぎに、これら初透磁率の異なる圧粉磁心のどの水準についても初透磁率が50〜60になるようにギャップ長を調整した。
【0105】
次にそのギャップに、ボンド磁石を隙間が開かないように挿入した。その為、磁石シートを重畳したり、必要に応じて研磨して挿入した。
【0106】
次に直流重畳磁界150Oeにおける透磁率μeを測定した結果を表6に示す。また、20KHz、100mTのコアロス特性を示す。なお初透磁率75の圧粉磁心の直流重畳特性μeは16であり、コアロスは100であった。
【0107】
【表6】
Figure 0003860456
表6に示す通り、圧粉磁心の初透磁率が100より小さくなると重畳特性の向上が見られ無くなることが分かる。これは、圧粉磁心の初透磁率が小さすぎると磁石のフラックスがショートパスしてコアを通らない事を示したものであり、コアの初透磁率は少なくとも100以上必要な事を示している。
【0108】
次のさらにもう一つの本発明について説明する。
【0109】
本発明の磁芯では、薄板磁石を用いている。この薄板磁石は、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイト樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ポリアミド、液晶ポリマーから選択された一種類の樹脂に磁石粉末が分散されてなり、該樹脂含有量が体積比で30%以上で、全体の厚みが500μm以下である。ここで、前記磁石粉末は、固有保磁力が10KOe以上、Tcが500℃以上、粉末平均粒径が2.5〜50μmであることが好ましい。
【0110】
また、本発明の1態様の薄板磁石においては、前記磁石粉末は、希土類磁石粉末である。前記薄板磁石において、表面のグロス(光沢度)が25%以上であることが好ましい。また、前記薄板磁石においては、成形圧縮率が20%以上であることが好ましい。
【0111】
本発明の1態様においては、前記磁石粉末は、表面活性剤でコーティングされている。前記薄板磁石において、比抵抗が0.1Ω・cm以上あることが好ましい。
【0112】
又、本発明の磁芯は、磁路の少なくとも1箇所以上に磁気ギャップを有する磁気コアに、該ギャップ両端から磁気バイアスを供給するために、該磁気ギャップ近傍に永久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石を有する磁気コアにおいて、前記永久磁石が、前記した薄板磁石であること磁気バイアス用磁石を有する磁芯である。前記磁気ギャップは、約500μm以下のギャップ長を有し、前記磁気バイアス用磁石は該ギャップ長以下の厚みを有し、厚み方向に磁化されていることが好ましい。
【0113】
更に前記薄板磁石を磁気バイアス用磁石として備えた磁芯に、1ターン以上の巻線を少なくともひとつ施して、薄型で、直流重畳特性が良好で、コアロス低いインダクタンス部品が得られる。
【0114】
また、本発明は、磁気コアの磁気ギャップに挿入配置する磁気バイアス用の永久磁石として、500μm以下の厚みの薄板磁石の可能性について検討した。その結果、特定樹脂の含有量が体積比で30%以上の薄板磁石の比抵抗が0.1Ω・cm以上で固有保磁力が10kOe以上の薄板磁石を使用した時優れた直流重畳特性が得られ、しかもコアロス特性の劣化が生じない磁気コアを形成できる事を発見した。これは、優れた直流重畳特性を得るのに必要な磁石特性は、エネルギー積よりもむしろ固有保磁力であり、従って比抵抗の高い永久磁石を使用しても固有保磁力が高ければ充分に高い直流重畳特性が得られる事を見出したことによる。
【0115】
比抵抗が高くしかも固有保磁力が高い磁石は、一般的には希土類磁石粉末をバインダーとともに混合して成形した希土類ボンド磁石で得られるが、保磁力の高い磁石粉末であればどのような組成のものでも可能である。希土類磁石粉末の種類はSmCo系、NdFeB系、SmFeN系とあるが、リフロー等の使用時の熱減磁を考えるとキュリー点Tcが500℃以上、固有保磁力iHcが10KOe以上の磁石が必要である。
【0116】
また、磁石粉末に表面活性材でコーティングすることにより成形体中での粉末の分散が良好となり磁石の特性が向上するためさらに高特性の磁気コアが得られる。
【0117】
チョークコイル用及びトランス用磁気コアとしては軟磁気特性を有する材料であればなんでも有効であるが、一般的にはMnZn系又はNiZn系フェライト、圧粉磁気コア、珪素鋼板、アモルファス等が用いられる。また、磁気コアの形状についても特に制限があるわけではなく、トロイダルコア、EEコア、EIコア等あらゆる形状の磁気コアに本発明の適用が可能である。これらコアの磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを設け、そのギャップに薄板磁石を挿入配置する。ギャップ長に特に制限はないがギャップ長が狭すぎると直流重畳特性が劣化し、またギャップ長が広すぎると透磁率が低下しすぎるので、おのずから挿入するギャップ長は決まってくる。磁気コア全体の寸法を小さくするために、ギャップ長を500μmに抑える。
【0118】
次にギャップに挿入される薄板磁石に対する要求特性は、固有保磁力については10kOe以下では磁気コアに印加される直流重畳磁界によって保磁力が消失するのでそれ以上の保磁力が必要であり、また比抵抗は大きいほど良いが0.1Ω・cm以上であればコアロス劣化の大きな要因にはならない。また、粉末の平均最大粒径が50μm以上になるとコアロス特性が劣化するので、粉末の最大粒径は50μm以下である事が望ましく、最小粒径が2.5μm以下になると粉末熱処理及びリフロー時に粉末の酸化による磁化の減少が顕著になるため2.5μm以上の粒径が必要で有る。
【0119】
以下、さらにもう一つの本発明の実施の形態について説明する。
【0120】
(第7の実施の形態)
SmCo17磁石粉末とポリイミド樹脂を熱混練機としてラボプラストミルを用いて熱混練を行った。樹脂量としては15vol%〜40vol%で変化させそれぞれ混練した。熱混練で得たものを熱プレス機で0.5mmの薄板磁石の成形を試みた。この結果、樹脂の添加量は30vol%以上でないと成形できないことがわかった。また、本実施の形態ではポリイミド樹脂薄板磁石の結果を示したが、これ以外のエポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイト樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ポリアミド、液晶ポリマーのそれぞれにおいても、同様の結果が得られた。
【0121】
(第8の実施の形態)
各磁石粉末と各種樹脂とを、それぞれ、下の表7に示す組成でラボプラストミルを用いて熱混練を行った。ラボプラストミルの運転時の設定温度は各樹脂の軟化点よりもそれぞれ5℃高い温度とした。
【0122】
【表7】
Figure 0003860456
ラボプラストミルで混練したものを、熱プレス機で無磁場中で金型成形する事によりそれぞれ0.5mmの薄板磁石を作製した。この薄板磁石を図1(A),(B)に示すE型フェライトコア45中央磁脚と同一断面形状に切断した。
【0123】
次に、図1(A),(B)に示すように、一般的なMnZn系フェライト材で作成された磁路長7.5cm、実効断面積0.74cmのEEコアの中央磁脚に0.5mmのギャップ加工をした。そのギャップ部に上記作製した薄板磁石43を挿入配置して、磁気バイアス磁石43を有する磁気コアを作製した。同図において、43が薄板磁石、45がフェライトコアである。次に、磁石43を、パルス着磁機でコア45の磁路方向に着磁後、コア45にコイル47を巻き線し、HP製−4284LCRメーターで、交流磁場周波数100kHz、重畳磁場0〜200Oeの条件で、インダクタンスLを測定した。この測定後、270℃でリフロー炉で30分保持した後、インダクタンスLを再び測定し、この繰り返しで5回測定した。この時の直流重畳による磁界の向きが、磁気バイアス磁石の磁化の向きとは逆になるように直流重畳電流を印加する。得られたインダクタンスLと、コア定数(コア寸法等)と巻線数から透磁率を計算して、直流重畳特性を得た。各コアの5回の測定に基づく直流重畳特性を図10〜図14に示す。
【0124】
図14から、SmCo17磁石粉末をポリプロピレン樹脂に分散した薄板磁石を挿入配置したコアは2回目以降直流重畳特性が大きく劣化していることがわかる。これは、リフローで薄板磁石が変形してしまった為である。保磁力が4kOeしかないBaフェライトをポリイミド樹脂に分散した薄板磁石を挿入配置したコアでは、図13に見られるように、測定回数がすすむにつれ、直流重畳特性が大きく劣化することがわかる。逆に、保磁力が10kOe以上の磁石粉末とポリイミドあるいはエポキシ樹脂とを用いた薄板磁石を挿入配置したコアは、図10〜12に見られる通り、繰り返しの測定においても大きな変化は無く、非常に安定した特性を示すことが分かる。これらの結果よりBaフェライト薄板磁石は保磁力が小さいために、薄板磁石に印加される逆向きの磁界によって減磁、または磁化の反転が起こり、直流重畳特性が劣化したものと推測できる。また、コアに挿入する薄板磁石は保磁力が10kOe以上の薄板磁石において優れた直流重畳特性を示すことが分かった。また、本実施の形態では示さなかったが、本実施の形態以外の組み合わせでもポリフェニレンサルファイト樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ポリアミド、液晶ポリマーから選択した樹脂で作製した薄板磁石においても同様の効果が得られることを確認した。
【0125】
(第9の実施の形態)
ポリフェニレンサルファイト樹脂30vol%と、磁石粉末の粒径が1.0μm、2.0μm、25μm、50μm、55μmのSmCo17磁石粉末とを、それぞれ、ラボプラストミルを用いて熱混練を行った。ラボプラストミルで混練したものを、熱プレス機により無磁場中で金型成形する事によりそれぞれ0.5mmの薄板磁石を作製した。次に、第8の実施の形態と同様に、図1(A)及び(B)に示すように、この薄板磁石43をE型フェライトコア45の中央磁脚と同一断面形状に切断し、図1(A)及び(B)に示すようなコアを作製した。次に、薄板磁石43を、パルス着磁機でコア45の磁路方向に着磁後、コア45にコイル47を巻き線し、岩崎通信機製のSY−8232交流BHトレーサーで、300KHz、0.1Tにおけるコアロス特性を室温で測定した。その測定結果を表8に示す。表8より薄板磁石に用いる磁石の粉末平均粒径が2.5〜50μmではコアロス特性が優れていることがわかった。
【0126】
【表8】
Figure 0003860456
【0127】
(第10の実施の形態)
SmCo17磁石粉末60vol%とポリイミド樹脂40vol%とをラボプラストミルを用いてそれぞれ熱混練を行った。熱混練で得たものを熱プレス機でプレス圧を変化させ0.3mmの成形体を作製し、パルス着磁装置で4Tで着磁を行い、薄板磁石を作製した。作製した薄板磁石のグロス(光沢度)は、それぞれ15%〜33%でプレス圧が高いほどグロスも高い値を示した。これらの成形体を1cm×1cmに切断を行い、TOEI TDF−5 Digital Fluxmeterでフラックスを測定した結果とグロスの測定結果を表9に並べて示す。
【0128】
【表9】
Figure 0003860456
表9の結果から、グロスが25%以上の薄板磁石では磁石特性が優れている。これは、作製した薄板磁石のグロスが25%以上では薄板磁石の充填率が90%以上となるためである。また、本実施の形態ではポリイミド樹脂で実験を行った結果を示したが、これ以外のエポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイト樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ポリアミド、液晶ポリマーから選択された一種類の樹脂でも同様の結果が得られた。
【0129】
(第11の実施の形態)
乾燥後の体積比がSmCo17磁石粉末60vol%、ポリイミド樹脂40vol%となるように、SmCo17磁石粉末と新日本理化製リカコート(ポリイミド樹脂)に、溶剤としてγ−ブチロラクトンを加えて、円心脱泡機で5分攪拌後、3本ロールで混練を行ってペーストを作製した。溶剤の配合比は、SmCo17磁石粉末と新日本理化製リカコートを合わせて70重量部に対してγ−ブチロラクトンを10重量部とした。作製したペーストをドクターブレード法により500μmのグリーンシートを作製し乾燥を行った。乾燥させたグリーンシートを1cm×1cmに切断し、プレス圧を変化させ熱プレス機で熱プレスを行い、作製した成形体をパルス着磁装置で4Tで着磁を行い、薄板磁石を作製した。比較として、熱プレスを行っていない成形体も着磁して薄板磁石にした。また、今回は上記の配合比で作製したが、これ以外の成分、配合比でも、グリーンシート作製可能なペーストが得られるものであれば良い。また、混練のために三本ロールミルを用いたが、これ以外にもホモジナイザーやサンドミル等を用いても良い。作製した薄板磁石のグロス(光沢度)は、それぞれ9%〜28%でプレス圧が高いほどグロスも高い値を示した。これらの薄板磁石のフラックスをTOEI TDF−5 Digital Fluxmeterで測定した結果を表10に示す。また、この時の薄板磁石の熱プレスによる圧縮率(=1−熱プレス後の厚さ/熱プレス前の厚さ)を測定した結果も並べて示す。
【0130】
【表10】
Figure 0003860456
以上の結果から、第10の実施の形態と同様に、グロスが25%以上では良好な磁石特性が得られる。この理由もグロス25%以上では薄板磁石の充填率が90%以上となるためである。また、圧縮率についてみると圧縮率20%以上で良好な磁石特性が得られることがわかった。
【0131】
本実施の形態ではポリイミド樹脂で上記組成、配合比で実験を行った結果を示したが、これ以外のこれ以外のエポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイト樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族系ポリアミド、液晶ポリマーから選択された一種類の樹脂及び配合比、においても同様の結果が得られた。
【0132】
(第12の実施の形態)
SmCo17磁石粉末と、界面活性剤としてリン酸ナトリウムを0.5wt%とを混合した。同様にして、SmCo17磁石粉末と、カルボキシメチルセルロースナトリウム0.5wt%とを混合、SmCo17磁石粉末と珪酸ナトリウムとを、それぞれ混合した。これら混合した粉末の、それぞれ、65vol%と、ポリフェニルサルファイト樹脂35vol%とをラボプラストミルを用いてそれぞれ熱混練を行った。ラボプラストミルで混練したものを熱プレスにより0.5mmに成型し、第8の実施の形態と同一の、図1(A)及び(B)に示すE型フェライトコア45の中央磁脚と同一断面形状に切断し、EEコア45の中央磁脚ギャップ部に上記作製した薄板磁石43を挿入配置し、図1(A)及び(B)に示すコアを作製した。次に、この薄板磁石43をパルス着磁機でコア45の磁路方向に着磁後、コア45にコイル47を巻き線し、岩崎通信機製のSY−8232交流BHトレーサーにて、300kHz、0.1Tにおけるコアロス特性を室温で測定した。その測定結果を表11に示す。比較として、界面活性剤を用いずに、SmCo17磁石粉末65vol%とポリフェニルサルファイト樹脂35vol%とをラボプラストミルで混練したものを熱プレスにより0.5mmに成型し、上記と同じフェライトEEコアの中央磁脚の磁気ギャップ中に挿入配置し、これをパルス着磁機でコアの磁路方向に着磁後に、コイルを巻き線し、コアロスを測定した。その結果も表11に並べて示す。
【0133】
【表11】
Figure 0003860456
表11より界面活性剤を添加したものは良好なコアロス特性を示している。これは、界面活性剤を添加することにより、1次粒子の凝集を防止し、渦電流損を抑制したためである。本実施の形態ではリン酸塩を添加した結果を示したがこれ以外の界面活性剤を添加しても同様に、コアロス(鉄損)特性が良好である結果が得られた。
【0134】
(第13の実施の形態)
SmCo17磁石粉末とポリイミド樹脂とをラボプラストミルで熱混練した後、熱プレス機で無磁場中でプレス成形する事により厚さ0.5mmの薄板磁石を作製した。ここでポリイミド樹脂の樹脂量を調節する事により、比抵抗が各々0.05、0.1、0.2、0.5、1.0Ω・cmの薄板磁石を作成した。その後、第8の実施の形態と同様に、図1(A)及び(B)のE型フェライトコア45の中央磁脚と同一断面形状に加工した。次にこのMnZn系フェライト材で作成された磁路長7.5cm、実効断面積0.74cmのEEコア45の中央磁脚の磁気ギャップに上記作成した薄板磁石43を挿入配置し、電磁石で磁路方向に着磁後、コイル47巻き線し、岩崎通信機製のSY−8232交流BHトレーサーで、300KHz、0.1Tにおけるコアロス特性を室温で測定した。ここで測定に使用したフェライトコアは同一のものであり、磁石だけを比抵抗の異なるものと交換して、コアロスを測定したその結果を表12に示す。
【0135】
【表12】
Figure 0003860456
表12より比抵抗0.1Ω・cm以上の磁気コアでは良好なコアロス特性を示していることがわかる。これは、薄板磁石の比抵抗をあげることにより渦電流損失を抑制できるためである。
【0136】
(第14の実施の形態)
各種磁石粉末と各種樹脂とを各々表13に示す組成で、以下の記載した方法で混練、成形、加工して厚さ0.5mmの試料を作製した。ここでSmCo17系紛末とフェライト紛末は焼結体の粉砕粉末であり、SmFe17N紛末は還元拡散法で作製したSmFe17紛末を窒化処理した紛末であり、各粉末は平均粒径で約5μmであった。芳香族系ポリアミド樹脂(6Tナイロン)とポリプロピレン樹脂はラボプラストミルを用いてAr中300℃(ポリアミド)、250℃(ポリプロピレン)で熱混練後、熱プレス機で成形し試料を作成した。可溶性ポリイミド樹脂は溶剤としてγ−ブチロラクトンを加えて遠心脱泡機で5分間攪拌してペーストを作製後、ドクターブレード法により出来あがりが500μmになるようにグリーンシートを作製し、乾燥後、熱プレスによって試料を作製した。エポキシ樹脂はビーカーで攪拌混合後金型成形し適当なキュア条件により試料を作製した。これら試料の比抵抗は全て0.1Ω・cm以上であった。
【0137】
この薄板磁石を以下に説明するフェライトコアの中芯断面形状に切断した。コアは一般的なMnZn系フェライト材で作成された磁路長5.9cm、実効断面積0.74cmのEEコアであり中芯には0.5mmのギャップ加工をした。そのギャップ部に上記作製した薄板磁石を挿入し、図1(A)及び(B)に示すように配置した(43が薄板磁石、45がフェライトコア、47は巻き線部)。
【0138】
次にパルス着磁機で磁路方向に着磁後、Hewlet Packard製HP−4284A LCRメーターで直流重畳特性を交流磁場周波数100KHz、直流重畳磁場35 Oeの実効透磁率を測定した。
【0139】
次にこれらコアを270℃のリフロー炉で30分間保持した後、再び直流重畳特性を全く同じ条件で測定した。
【0140】
比較例として、ギャップに磁石を挿入しないものについても同様に測定し、これはリフロー前後で特性の変化はなく、実効透磁率μeは70であった。
【0141】
これらの結果を表13に、また結果の1例として図7に試料▲2▼と▲4▼と比較例との直流重畳特性を示す。また直流バイアス磁界の向きは、挿入時に着磁した磁石の磁化の向きとは逆になるように重畳電流を印加するのはもちろんのことである。
【0142】
なお、ポリプロピレン樹脂の薄板磁石を挿入したコアは、磁石が著しく変形したため測定出来なかった。
【0143】
保磁力が4KOeしかないBaフェライトの薄板磁石を挿入したコアではリフロー後、直流重畳特性が大きく劣化することがわかる。またSmFe17Nの薄板磁石を挿入したコアでもリフロー後、直流重畳特性が大きく劣化することがわかる。逆に、保磁力が10kOe以上でTcが770℃と高いSmCo17の薄板磁石を挿入したコアは、特性の劣化が認められず、非常に安定した特性を示すことが分かる。
【0144】
これらの結果よりBaフェライト薄板磁石は保磁力が小さいために、薄板磁石に印加される逆向きの磁界によって減磁、または磁化の反転が起こり、直流重畳特性が劣化したものと推測でき、またSmFeN磁石は保磁力が高いもののTcが470℃と低いために熱減磁が生じ、それに逆向きの磁界による減磁の相乗効果により特性が劣化したと推測される。従って、コアに挿入する薄板磁石は保磁力が10KOe以上でTcが500℃以上の薄板磁石において優れた直流重畳特性を示すことが分かった。
【0145】
また、本実施の形態では示さなかったが、本実施の形態以外の組み合わせでも、請求の範囲で示した樹脂で作製した薄板磁石においても同様の効果が得られることを確認した。
【0146】
【表13】
Figure 0003860456
【0147】
(第15の実施の形態)
第14の実施の形態と全く同じSmCo17系磁石粉末(iHc=15kOe)と可溶性ポリアミドイミド樹脂(東洋紡バイロマックス)を加圧ニーダーで混練後、プラネタリーミキサーで希釈混練したものを遠心脱泡機で5分間攪拌してペーストを作製した。ペーストはドクターブレード法により乾燥後の厚みが約500μmになるようにグリーンシートを作製し、乾燥後、熱プレス、次に厚さ0.5mmに加工し、薄板磁石試料とした。ここでポリアミドイミド樹脂の樹脂量は、比抵抗が各々0.06、0.1、0.2、0.5、1.0Ω・cmとなるように表14のとおりに調製した。これらの薄板磁石を第7の実施の形態と全く同じコアの中芯断面形状に切断し、測定試料とした。
【0148】
次に、第14の実施の形態と全く同じ0.5mmのギャップ長を有するEEコアに上記作製した薄板磁石を挿入し、パルス着磁機で磁石を着磁した。これらのコアについて、岩崎通信機製のSY−8232交流BHトレーサーを用いて300KHz、0.1Tにおけるコアロス特性を室温で測定した。ここで測定に使用したフェライトコアは同一のものであり、比抵抗の異なる磁石だけを交換、挿入し再びパルス着磁機で着磁後コアロス特性を測定した。
【0149】
その結果を表14に示す。比較例として、全く同じギャップ付のEEコアの、同じ測定条件でのコアロス特性は520(kW/m)であった。
【0150】
表14から、比抵抗0.1Ω・cm以上の磁気コアで良好なコアロス特性を示している。これは薄板磁石の比抵抗をあげると渦電流損失を抑制できるためと推測される。
【0151】
【表14】
Figure 0003860456
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、500μm以下の薄板磁石が得られ、この薄型磁石を磁気バイアス磁石として使用することにより、小型で、高周波における磁気コアの直流重畳特性が向上した且つリフロー温度でも特性の劣化のない磁気コア及び、この磁気コアを用いて、リフローにて特性の劣化の恐れなく表面実装を可能としたインダクタンス素子を提供することができる。
【0152】
(第16の実施の形態)
Sm(Co0.742Fe0.20Cu0.055Zr0.0297.7組成の焼結磁石(iHc=15KOe)から、粉砕時間を変えて平均粒径の異なるものを用意し、次に径の異なるふるいを通じて最大粒径を調整した。
【0153】
乾燥後の体積比がSmCo17磁石粉末60vo1%とポリイミド樹脂40vol%となるように、SmCo17磁石粉末と新日本理化製リカコート(ポリイミド樹脂)に溶剤としてγ−ブチロラクトンを加えて円心脱泡機で5分攪拌してペーストを作製した。溶剤の配合比は、SmCo17磁石粉末と新日本理化製リカコートを合わせて70重量部に対してγ−ブチロラクトンを10重量部とした。作製したペーストをドククーブレード法により500μmのグリーンシートを作製し乾燥、熱プレスを行った。これをフェライトコアの中芯形状に切断後、パルス着磁装置を使用して4Tで着磁を行い、薄板磁石を作製した。これらの薄板磁石のフラックスをTOEI TDF−5 Digital Flux meter で測定した結果を表15に示す。さらに第14の実施の形態と同様にフェライトコアにはさんで直流重畳特性を測定し、次にバイアス量を測定した。バイアス量は透磁率と重畳磁界の大きさの積で求めた。
【0154】
【表15】
Figure 0003860456
平均粒径が2.1μmの試料▲1▼はフラックスが低下しており、バイアス量が小さい。これは作製工程中で磁石粉末の酸化が進行しているためと考えられる。また平均粒径が大きい試料▲4▼は、粉末充填率が低いためフラックスが低く、また磁石の表面粗さが粗いため、コアとの密着性が悪くパーミアンス係数が低下するため、バイアス量が低下していると考えられる。また、粒径が小さいものでも、プレス圧が充分でなく表面粗さの大きい試料▲5▼は、粉末の充填率が低いためフラックスが低下しており、バイアス量が小さい。また粗大粒が混ざっている試料▲6▼は表面粗さが粗いため、バイアス量が低下していると考えられる。
【0155】
これらの結果より、磁性粉の平均粒径が25μm以上で、かつ最大粒径が50μmであり、中心線平均粗さが10μm以下の薄板磁石を挿入したとき、薄板磁石を挿入したときに、優れた直流重畳特性を示すことがわかった。
【0156】
(第17の実施の形態)
SmCo17系でZr量が0.01at%で組成がSm(Co0.78Fe0.11Cu0.10Zr0.018.2の俗に第2世代SmCo17磁石と呼はれる組成のインゴットを粗粉砕後に熱処理した磁石紛末と、Zr量が0.029at%で組成がSm(Co0.0742Fe0.20Cu0.055Zr0.0298.2の俗に第3世代SmCo17磁石と呼ばれる組成のインゴツドを粗粉砕後に熱処理した磁石粉末を用いた。上記第2世代SmCo17磁石粉末は800℃で1.5Hrの時効熱処理を行い、第3世代SmCo17磁石は800℃で10Hrの時効熱処理を行った。これによってVSMで測定された磁石粉末の保磁力は、第2世代が8KOeで第3世代が20KOeであった。これらの粗粉砕粉末を、有機溶媒中でボールミルにより平均粒径5.2μmに微粉砕し、さらに目開き45μmの篩を通し、磁石粉末を得た。次にこれら作製した磁石粉末にそれぞれバインダーとしてエポキシ樹脂を35vo1%混合し、第14の実施の形態と全く同しEEコアの中芯形状と厚み0.5mmのボンド磁石を金型成形により作成した。ここで磁石特注はφ10*t10のテストピースを別途作成し、直流BHトレーサーで測定した。
【0157】
保磁力は粗粉砕粉末とほぼ同様の値であった。次にこれら磁石を第14の実施の形態と全く同じEEコアに挿入後、パルス着磁、巻き線後、LCRメータで40Oe直流重畳時の100KHzにおける実効透磁率を測定した。次に、これらコアをリフロー炉の条件である270℃の恒混槽で1Hr保持した後、上記と同様に直流重畳特性を測定した。その結果も表16に示す。
【0158】
【表16】
Figure 0003860456
表16より保磁力の高い第3世代SmCo17磁石粉末を使用した場合、リフロー後も良好な直流重畳特性が得られることがわかった。なお、Smと遷移金属の比で保磁力のピークを有することが知られているが、この最適値の組成比は合金に含有される酸素量によって変動することが知られており、焼結体は7.0〜8.0でインゴットは8.0〜8.5の間で変動することを確認している。以上より組成が第3世代であるSm(Cobal.Fe0.15−0.25Cu0.05−0.06Zr0.02−0.037.0−8.5でリフロー条件でも直流重畳特性が良好であることがわかった。
【0159】
(第18の実施の形態)
第16の実施の形態の試料▲3▼で作製した、組成がSm(Co0.742Fe0.20Cu0.055Zr0.0297.7で粒径が平均で5μm、最大粒径で45μmの磁石紛末を用いた。その磁石粉末の表面に、Zn、無機ガラス(ZnO−B−PbO)軟化点400℃、及びZn後更に無機ガラス(ZnO−B−PbO)を夫々被覆した薄板磁石を第2の実施の形態の試料▲2▼と全く同様の方法で作製し、それを挿入したMn−Zn系フェライトコアの直流重畳特性は第16の実施の形態と全く同様に測定後バイアス量を求め、コアロス特性は第2の実施の形態と全く同様の方法で測定し、比較を行った結果を表17に示す。
【0160】
ここでZnは磁石粉末と混合後、500℃,Ar雰囲気下で2時間熱処理を施した。ZnO−B−PbOは熱処理温度が450℃以外は全く同じ方法で熱処理した。一方、複合層を形成するためには始めにZnと磁石粉末とを混合し500℃で熱処理し、ここで一旦炉から取り出してこの粉末とZnO−B−PbO粉末を混合後、450℃で熱処理する。これら紛末は総体積の45vol%に当たる量のバインター(エポキシ樹脂)を混合した後、無磁場中で金型成形を行った。成形体は第15の実施の形態と全く同じフェライトコアの中芯断面形状でかつ高さ0.5mmでありコアに挿入後約10Tのパルス磁場で着磁して、第14の実施の形態と同じ方法で直流重畳特性と第15の実施の形態と同じ方法でコアロス特性とを測定した。次にこれらコアを270℃の恒温糟で30分間保持した後、同様に直流重畳特性、コアロス特性を測定した。比較例として被覆していない粉末でも全く同じ方法で成形体を作成後、特性を測定した結果も表17に示す。
【0161】
未被覆のものは熱処理により大きく直流重畳特性、コアロス特性が劣化するが、Zn、無機ガラス、及びその複合体を被覆したものは未被覆のものに比へ、熱処理における劣化率は非常に小さいことが分かる。これは被覆により磁石粉末の酸化が抑制されたためと推測できる。
【0162】
また被覆材を10vo1%以上混合したものについては実効透磁が低く、磁石によるバイアス磁界の大きさが他のものに比非常に小さくなっていることが分かる。これは被覆材の量が増大したために、磁石粉末の割合が減少したため、もしくは磁石粉末と被覆材が反応し磁化の大きさが減少したためと考えられる。従って被覆する量は0.1〜10wt%の範囲で非常に優れた特性を示すことが分かった。
【0163】
【表17】
Figure 0003860456
【0164】
(第19の実施の形態)
第16の実施の形態の試料▲3▼のSmCo17磁石粉末を用い、バインダーとしてエポキシ樹脂を50vo1%混合した後、2Tの磁場中で中足上下方向に金型成形し異方性の磁石を作製した。また、比較例として無磁場中で金型成形したものも同様に作製した。次にこれらの各ボンド磁石を第15の実施の形態と同様にMnZn系フェライト材に挿入し、パルス着磁、巻き線を施し、LCRメーターで直流重畳特性を測定し、コア定数と巻線数から透磁率を計算した。その結果を下記表18に示す。
【0165】
また、測定が終わった試料をリフローの条件である270℃の恒温糟で1m保持し常温まで冷却し上記と同様にLCRメーターで直流重畳特注を測定した。その結果も下記表18に示す。
【0166】
下記表18よりリフロー前後とも無磁場磁石に比べ良好な結果が得られることがわかった。
【0167】
【表18】
Figure 0003860456
【0168】
(第20の実施の形態)
第16の実施の形態の試料▲3▼のSmCo17磁石粉末を用い、バインダーとしてエポキシ樹脂を50vo1%混合した後、無磁場中で金型成形し0.5mm厚の磁石を作製したところまでは第19の実施の形態と全く同じである。次に第14の実施の形態と同様にMnZn系フェライト材に挿入し着磁を行った。このときの磁場を1T、2T、25T、3T、5T、10Tで着磁を行った。1T、2T、25Tは、電磁石で着磁し、3T、5T、10Tはパルス着磁機で着磁した。その後、LCRメーターで直流重畳物性を測定し、コア定数と巻線数から透磁率を計算した。その結果から第16の実施の形態で求めた方法でバイアス量を求めその結果を図3に示す。
【0169】
図3より25T以上でないと良好な重畳特性が得られないことがわかった。
【0170】
(第21の実施の形態)
図17及び図18を参照すると、使用するコア65は、MnZn系フェライト材で作成され磁路長2.46、実効断面積0.394cmのEE型磁芯を形成する。図18のように、E型コア65に、モールドコイル(樹脂封止された巻線(巻回数4ターン))67を組み込んだ後、さらにE型コア65の中脚断面積と同形状に加工された、厚み0.16mmの薄板磁石69を、コアキャップ部に配置して、もう片側のコア65により挾みこんでインダクタンス部品として機能するものである。
【0171】
薄型磁石69の着磁方向は、モールドコイルが作る磁界と逆向きに着磁されているものとする。
【0172】
薄型磁石を適用した場合の直流重畳インダクタンス特性と、比較として薄型磁石を適用しない場合の直流重畳インダクタンス特性を測定し、結果を図19の73(前者)と71(後者)に示す。
【0173】
またリフロー炉(ピーク温度270℃)に通した後、上記同様直流重畳インダクタンス特性を測定し、その結果、リフロー前の結果と同様である事を確認した。
【0174】
(第22の実施の形態)
図20及び図21を参照すると、使用するコアは第21の実施の形態同様、MnZn系フェライト材で作成され磁路長2.46cm、実効断面積0.394cmの磁芯を形成するが、EI型磁芯を形成してインダクタンス部品として機能する。組立て工程も第21の実施の形態と同様てあるが、片側のフェライトコア77の形状は、I型である。
【0175】
薄型磁石を適用した直流重畳インダクタンス特性、及びリフロー炉に通した後の直流重畳インダクタンス特性は、第21の実施の形態と変化はない。
【0176】
(第23の実施の形態)
図22及び図23を参照すると、本発明の第23の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品に使用するコア87はMnZn系フェライト材で作成され磁路長0.02m、実効断面積5×10−6cmのUU型磁芯を形成する。図23のように、ボビン89にコイル91を巻回し、一対のU型コア87を組み込む際、U型コア87の断面積(接合部)と同形状に加工された、厚み0.2mmの薄板磁石93を、コアギャップ部に配置する。これにより、透磁率4×10−3H/mのインダクタンス部品として機能するものである。
【0177】
薄型磁石93の着磁方向は、コイルが作る磁界と逆向きに着磁されているものとする。
【0178】
薄型磁石を適用した合の直流重畳インダクタンス特性と、比較として薄型磁石を適用しない場合の直流重畳インダクタンス特性を測定し、結果を図24の97(前者)と95(後者)に示す。
【0179】
上記直流重畳インダクタンス特性の結果は、一般に磁芯を形成するコアの使用磁束密度(△B)の拡大を示していることと等価であり(図25により補足,図25の99は従来のインダクタンス部品に対するコアの使用領域を示し、図25の101は本発明による薄板磁石を適用したインダクタンス部品のコアの使用領域を示す。これらの図は、前記直流重畳インダクタンス特性の結果95と99と97と101の各々対応する)インダクタンス部品の一般的な理論式は次の数1式により表わされる。
【0180】
【数1】
Figure 0003860456
この数1式より、前記使用磁束密度(△B)拡大の効果は、巻回数Nと磁芯の実効断面積Aeの逆数に比例し、前者はインダクタンス部品の巻回数を減らすことで銅損失低減の効果とインダクタンス部品の小型化をもたらし、後者は、磁芯を形成するコアの小型化に寄与して、前記巻回数低減による小型化と併せて、インダクタンス部品の小型化に大きく寄与することが明らかである。トランスにおいては一次及び二次コイル巻回数を低減できるため、その効果は絶大である。
【0181】
さらに出力電力に関する式を数2式に示すが、この式から使用磁束密度(△B)拡大効果は、出力電力拡大の効果にも作用していることが言える。
【0182】
【数2】
Figure 0003860456
また、インダクタンス部品の信頼性に関し、リフロー炉(ピーク温度270℃)に通した後、上記同様直流重畳インダクタンス特性を測定し、その結果、リフロー前の結果と同様である事を確認した。
【0183】
(第24の実施の形態)
図26及び図27を参照すると、本発明の第24の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品において、使用するコアは第23の実施の形態と同様、MnZn系フェライト材で作成され磁路長0.02m、実効断面積5×10−6の磁芯を形成するが、UI型磁芯を形成してインダクタンス部品として機能する。図27のように、ボビン109にコイル111を巻回し、I型コア107をボビンに組み込んだ後、U型コア105の断面積(接合部)と同形状に加工された、厚み0.1mmの薄板磁石113を、コイルを巻回したボビンの両翼部(I型コア107がボビンからはみ出す部分)に各1枚(両翼で2枚)づつ配置して、U型コア105を組み込んで完成する。
【0184】
薄型磁石を適用した直流重畳インダクタンス特性、及びリフー炉投入後の直流重畳インダクタンス特性は、第23の実施の形態と変化はない。
【0185】
(第25の実施の形態)
図28及び図29を参照すると、本発明の第25の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品においては、使用する4本のI型コア117は珪素鋼で作成され、磁路長0.2m、実効断面積1×10−4の口の字型磁芯を形成する。図28のように、絶縁紙121を備えた2つのコイル119に、各1本ずつI型コア117を挿入し、口の字の磁路を形成するように、もう2本のI型コア117を組む。その接合部に本発明による薄板磁石123を配置して、透磁率2×10−2H/mの口の字型の磁路を形成してインダクタンス部品として機能する。
【0186】
薄型磁石123の着磁方向は、コイルが作る磁界と逆向きに着磁されているものとする。
【0187】
薄型磁石を適用した場合の直流重畳インダクタンス特性と、比較として薄型磁石を適用しない場合の直流重畳インダクタンス特性を測定し、結果を図30の127(前者)と125(後者)に示す。
【0188】
上記直流重畳インダクタンス特性の結果は、一般に磁芯を形成するコアの使用磁束密度(△B)の拡大を示していることと等価であり(図31により補足,図31の129は従来のインダクタンス部品に対するコアの使用領域を示し、図31の131は本発明による薄板磁石を適用したインダクタンス部品のコアの使用領域を示す。これらの図は、前記直流重畳インダクタンス特性の結果125と129、127と131の各々対応する)、インダクタンス部品の一般的な理論式は次式数3式により表わされ、
【数3】
Figure 0003860456
この数3式より前記使用磁束密度(△B)拡大の効果は、巻回数Nと磁芯の実効断面積Aeの逆数に比例し、前者はインダクタンス部品の巻回数を減らすことで銅損失低減の効果とインダクタンス部品の小型化をもたらし、後者は、磁芯を形成するコアの小型化に寄与して、前記巻回数低減による小型化と併せて、インダクタンス部品の小型化に大きく寄与することが明らかである。トランスにおいては一次及び二次コイル巻回数を低減できるため、その効果は絶大である。
【0189】
さらに出力電力に関する式を数4式に示すが、この式から使用磁束密度(△B)拡大効果は、出力電力拡大の効果にも作用していることが言える。
【0190】
【数4】
Figure 0003860456
またインダクタンス部品の信頼性に関し、リフロー炉(ピーク温度270℃)に通した後、上記同様直流重畳インダクタンス特性を測定し、その結果、リフロー前の結果と同様である事を確認した。
【0191】
(第26の実施の形態)
図32及び図33を参照すると、本発明の第26の実施の形態によるインダクタンス部品は、凹状のくぼみを有する口の字型コア135とI型コア132、コイル139が巻線されたボビン141及び薄板磁石143で構成される。図33のように、薄板磁石145は、口の字型コア135の凹状くぼみ部、すなわち口の字型コア135とI型コア137の接合部に配置される。
【0192】
ここで使用の口の字型コア135及びI型コア137は、MnZn系フェライト材で、磁路長6.0cm、実効断面積0.1cmの日の字型磁芯を形成する。
【0193】
また、薄板磁石143は、厚み0.25mm、断面積0.1cmであって、コイルが作る磁界と逆向きに着磁されているものとする。
【0194】
コイル139は18ターン巻回されており、本インダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特性と、比較として薄型磁石を適用しない場合の直流重畳インダクタンス特性を測定し、結果を図34の147(前者)と145(後者)に示す。
【0195】
またリフロー炉(ピーク温度270℃)に通した後、上記同様直流重畳インダクタンス特性を測定し、その結果、リフロー前の結果と同様である事を確認した。
【0196】
(第27の実施の形態)
図35及び図36を参照すると、本発明の第27の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品においては、凸状コア153にコイル157が巻線され凸状コア153の凸部上面に、この凸部上面と同形状(0.07mm)で、厚み120μmの薄板磁石159を配置して、円筒状のキャップコア155を被せて構成されているものである。
【0197】
ここで使用の凸状コア153及び円筒状のキャップコア155は、NiZn系フェライト材で、磁路長1.85cm、実効断面積0.07cmの磁芯を形成する。
【0198】
また薄板磁石159は、コイルが作る磁界と逆向きに着磁されているものとする。
【0199】
コイル157は15ターン巻回されており、本インダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特性と、比較として薄型磁石を適用しない場合の直流重畳インダクタンス特性を測定し、結果を図37の165(前者)と163(後者)に示す。
【0200】
またリフロー炉(ピーク温度270℃)に通した後、上記同様直流重畳インダクタンス特性を測定し、その結果、リフロー前の結果と同様である事を確認した。
【0201】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、小型インダクタンス部品の磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁気コアに、該ギャップ両端から磁気バイアスを供給するために、該ギャップ近傍に永久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石を有する磁気コアの小型化を可能とするために特に適した磁石を用いた磁気コアを提供することができる。
【0202】
また、本発明によれば、優れた直流重畳特性と、コアロス特性と、リフロー条件でも特性に影響を受けず、耐酸化性を有する磁気コアを容易かつ安価に提供する事ができる。
【0203】
また、本発明によれば、磁路の少なくとも1箇所以上にギャップを有する磁気コアに、該ギャップ両端から磁気バイアスを供給するために、該ギャップ近傍に永久磁石を配してなる磁気バイアス用磁石を有する磁気コアにおいて、上記を考慮して、優れた直流重畳特性とコアロス特性を有する磁気コアを容易かつ安価に提供する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は第1〜第3の実施の形態におけるEE型Mn−Zn系フェライト磁芯の概略斜視図である。(B)は(A)におけるインダクタンス部品の正面図である。
【図2】第1の実施の形態において、保磁力が3kOeのフェライト磁石をMn−zn系フヱライト磁芯のギャッブ部に挿入し、直流掌畳測定を繰り返し行った結果を示すグラフである。
【図3】第1の実施の形態において、保磁力が5kOeのSm−Fe−Nボンド磁石をMn−Zn系フェライト磁芯のギャップ部に挿入し、直流重畳測定を繰り返し行った結果を示すグラフである。
【図4】第1の実施の形態において、保磁力が11kOeのSm−Fe−Nボンド磁石をMn−Zn系フェライト磁芯のギャップ部に挿入し、直流重畳測定を繰り返し行った結果を示すグラフである。
【図5】第1の実施の形態において、保磁力が15kOeのSm−Fe−Nボンド磁石をMn−Zn系フェライト磁芯のギャップ部に挿入し、直流重畳測定を繰り返し行った結果を示すグラフである。
【図6】第2の実施の形態におけるトロイダル形状のセンダスト磁芯の斜視図である。
【図7】第2の実施の形態において、磁石を挿入してないMn−Zn系フェライト磁芯、Sm−Fe−Nボンド磁石を挿入したMn−Zn系フェライト磁芯、センダスト磁芯について直流重畳特性を比較したグラフである。
【図8】本発明の1実施の形態によるチョークコイルに用いるトロイダルコアを示す斜視図である。
【図9】図8のトロイダルコアに巻線を施したチョークコイルを示す斜視図である。
【図10】第8の実施の形態におけるSmCo17磁石とポリイミド樹脂からなる薄板磁石の直流重畳特性の測定データである。
【図11】第8の実施の形態におけるSmCo17磁石とエポキシ樹脂からなる薄板磁石の直流重畳特性の測定データである。
【図12】第8の実施の形態におけるSmCo17N磁石とポリイミド樹脂からなる薄板磁石の直流重畳特性の測定データである。
【図13】第8の実施の形態におけるBaフェライト磁石とポリイミド樹脂からなる薄板磁石の直流重畳特性の測定データである。
【図14】第8の実施の形態におけるSmCo17磁石とポリプロピレン樹脂からなる薄板磁石の直流重畳特性の測定データである。
【図15】第14の実施の形態における試料2および4からなる薄板磁石を用いた場合と、薄板磁石を用いない場合について、リフロー前後における直流重畳特性の測定データを示す図である。
【図16】第20の実施の形態におけるSmCo17磁石−エポキシ樹脂薄板磁石の着磁磁界と直流重畳特性を示す図である。
【図17】本発明の第21の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図である。
【図18】図17のインダクタンス部品の分解組立斜視図である。
【図19】図17のインダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特性を示す図である。
【図20】本発明の第22の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図である。
【図21】図20のインダクタンス部品の分解組立斜視図である。
【図22】図22は本発明の第23の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図である。
【図23】図22のインダクタンス部品の分解組立斜視図である。
【図24】図22のインダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特性を示す図である。
【図25】(A)は図22のインダクタンス部品の使用領域の説明に供せられる図である。(B)は従来のインダクタンス部品の使用領域の説明に供せられる図である。
【図26】本発明の第24の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品の実施形態を示す外観斜視図である。
【図27】図26のインダクタンス部品の分解組立斜視図である。
【図28】本発明の第25の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図である。
【図29】図28のインダクタンス部品の分解組立斜視図である。
【図30】図28のインダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特性を示す図である。
【図31】(A)は従来のインダクタンス部品の使用領域の説明に供せられる図である。
(B)は図28のインダクタンス部品の使用領域の説明に供せられる図である。
【図32】本発明の第26の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品を示す外観斜視図である。
【図33】図32のインダクタンス部品の磁路を形成するコアと薄板磁石の構成斜視図である。
【図34】図32のインダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特性を示す図である。
【図35】本発明の第27の実施の形態による薄板磁石を適用したインダクタンス部品を示す断面図である。
【図36】図35のインダクタンス部品の磁路を形成するコアと薄板磁石の構成を示す斜視図である。
【図37】図35のインダクタンス部品の直流重畳インダクタンス特性を示す図である。
【符号の説明】
43 磁石
45 フェライト磁芯(コア)
47 巻線部(コイル)
55 圧粉磁芯(コア)
57 磁石
59 コイル
65 コア
67 樹脂封止された巻線67
69 薄型磁石
87 コア
89 ボビン
91 コイル
93 薄板磁石
105 U型コア
107 I型コア
111 コイル
113 薄板磁石
117 I型コア
121 絶縁紙
119 コイル
123 薄板磁石
135 口の字型コア
137 I型コア
139 コイル
141 ボビン
143 薄板磁石
153 凸状コア
157 コイル
159 薄板磁石
155 キャップコア

Claims (26)

  1. 磁路中の少なくとも1箇所以上にギャップを有し、前記ギャップに永久磁石を挿入してなる磁心であって、20kHzにおける交流透磁率が直流印加磁界120Oeの条件で45以上で、かつ鉄損特性が20kHz、最大磁束密度0.1Tの条件で100kW/m以下であり、前記永久磁石は、樹脂に磁石粉末が分散されてなるボンド磁石であり、0.1Ω・cm以上の範囲の比抵抗を有し、該磁石粉末は、希土類磁石粉末からなり、固有保磁力が5kOe以上、キュリー点Tcが300℃以上、粉末粒径が150μm以下であることを特徴とする磁芯。
  2. 請求項1記載の磁芯において、初透磁率が100以上であることを特徴とする磁芯。
  3. 請求項1記載の磁芯において、Ni−Zn系フェライト又はMn−Znフェライトからなる、前記ボンド磁石は、前記希土類磁石粉末と前記樹脂のバインダーとで構成されていることを特徴とする磁芯。
  4. 請求項3記載の磁芯において、前記ボンド磁石は、前記希土類磁石粉末の平均粒径が0μm以上〈0を含まず〉10μm以下であり、前記バインダーの量を重量比で5〜30wt%含有するものであって、比抵抗が1Ω・cm以上であることを特徴とする磁芯。
  5. 請求項に記載の磁芯において、前記希土類磁石粉末の平均粒径が2.0〜50μmであることを特徴とする磁芯。
  6. 請求項に記載の磁芯において、前記樹脂含有量が体積比で10%以上あることを特徴とする磁芯。
  7. 請求項に記載の磁芯において、成形圧縮率が20%以上であることを特徴とする磁芯。
  8. 請求項に記載の磁芯において、前記ボンド磁石に使用する前記希土類磁石粉末にシランカップリング材、チタンカップリング材を添加したことを特徴とする磁芯。
  9. 請求項に記載の磁芯において、前記ボンド磁石は、その作製時に磁場配向されることにより異方性化されていることを特徴とする磁芯。
  10. 請求項に記載の磁芯において、前記希土類磁石粉末は、表面活性剤でコーティングされていることを特徴とする磁芯。
  11. 請求項に記載の磁芯において、前記永久磁石の中心線平均粗さが1.7μm〜10μであることを特徴とする磁芯。
  12. 請求項に記載の磁芯において、前記永久磁石は、比抵抗が1Ω・cm以上であることを特徴とする磁芯。
  13. 請求項12に記載の磁芯において、前記永久磁石は金型成形によって製造されたことを特徴とする磁芯。
  14. 請求項13に記載の磁芯において、前記永久磁石は熱プレスによって製造されたことを特徴とする磁芯。
  15. 請求項に記載の磁芯において、前記永久磁石は、全体の厚みが100〜500μmであることを特徴とする磁芯。
  16. 請求項15に記載の磁芯において、前記永久磁石は、樹脂と前記希土類磁石粉末との混合塗料からドクターブレード法、印刷法などの成膜法によって製造されたことを特徴とする磁芯。
  17. 請求項15に記載の磁芯において、前記永久磁石は、表面のグロス(光沢度)が25%であることを特徴とする磁芯。
  18. 請求項に記載の磁芯において、前記樹脂は、ポリプロピレン樹脂、6−ナイロン樹脂、12−ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂から選択された少なくとも一種であることを特徴とする磁芯。
  19. 請求項に記載の磁芯において、前記永久磁石は表面に耐熱温度120℃以上の樹脂又は耐熱塗料を被覆していることを特徴とする磁芯。
  20. 請求項に記載の磁芯において、前記希土類磁石粉末は、SmCo、NdFeB、SmFeNから選択された希土類磁石粉末であることを特徴とする磁芯。
  21. 請求項に記載の磁芯において、前記希土類磁石粉末は、固有保磁力が10KOe以上、キュリー点が500℃以上、粉末平均粒径が2.5〜50μmであることを特徴とする磁芯。
  22. 請求項21に記載の磁芯において、前記希土類磁石粉末は、Sm−Co磁石であることを特徴とする磁芯。
  23. 請求項21に記載の磁芯において、前記SmCo希土類磁石粉末は、Sm(CobalFe0.15〜0.25Cu0.05〜0.06Zr0.02〜0.037.0〜8.5で表される合金粉末であることを特徴とする磁芯。
  24. 請求項21に記載の磁芯において、前記樹脂含有量が体積比で30%であることを特徴とする磁芯。
  25. 請求項21に記載の磁芯において、前記樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、液晶ポリマーから選択された少なくとも1種であることを特徴とする磁芯。
  26. 請求項1から25のうちのいずれか一つに記載の磁芯に少なくと巻線が施されたことを特徴とするインダクタンス部品。
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