JP2003098244A - 偽信号相互相関検出方法、送信源選択制限方法及び衛星選択制限方法 - Google Patents
偽信号相互相関検出方法、送信源選択制限方法及び衛星選択制限方法Info
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Abstract
止又は軽減する。 【解決手段】 受信・捕捉している複数の衛星につい
て、ドップラー周波数測定値同士の差(受信周波数差)
が所定範囲内か否かの判別を行い(202)、所定範囲
内とされた衛星のうち最小の相関ピーク値が弱信号を示
すものであり(203)かつ最大の相関ピーク値が強信
号を示すものであるか否かを調べる(204)。それら
の条件が成立した場合は、最大の相関ピーク値を呈した
衛星が真の衛星であり、他の衛星は実は真の衛星ではな
く、実際には他の衛星からの強い受信信号による偽信号
相互相関による偽像に過ぎないものであると見なす。偽
像であることが判明した衛星については、以後の衛星選
択の対象から除外する(205)。
Description
つつ及び/又は同一のキャリア周波数で送信を行う複数
の送信源から受信機へと、スペクトラム拡散された信号
を送信する無線システム、例えば、複数の測位衛星が互
いに相対移動しつつ同一のキャリア周波数で送信を行い
スペクトラム拡散された測位信号を受信機へと送信する
測位システムに関する。この種のシステムとしては、地
球周回軌道上にあるGPS衛星を送信源とし、いずれか
所定個数のGPS衛星を見通せる空間に存する受信機を
測位対象としてその位置、速度等の測定を行うGPS
(Global Positioning System)がある。本発明は、特
に、その種のシステムにて、キャリア周波数同期制御及
びコード位相同期制御を通じて送信源例えば測位衛星を
無線捕捉する受信機により実行される偽信号相互相関検
出方法、送信源選択制限方法及び衛星選択制限方法に関
する。
S衛星から受信した衛星信号に基づく測位演算等によ
り、GPS受信機が自分の位置、速度等を検出する。G
PS受信機にて測位演算を行うには、原理上必要とされ
る個数以上のGPS衛星を選択し、それらのGPS衛星
からの衛星信号を捕捉し、捕捉した衛星信号からデータ
を復調する必要がある。GPS衛星から送信される衛星
信号は、その送信時刻、詳細軌道情報、軌道暦情報等を
示す50bpsのデータにより変調され、更に衛星毎に
定められたスペクトラム拡散符号によりスペクトラム拡
散された信号であるため、GPS受信機では、受信した
衛星信号を、選択したGPS衛星に対応するスペクトラ
ム逆拡散符号によりスペクトラム逆拡散し、その結果得
られた信号からデータを復調する。GPS受信機では、
選択した各GPS衛星に係る復調データや、スペクトラ
ム逆拡散を通じ位相制御情報として得られるコード位相
に基づき、測位演算を実行する。なお、GPSにて使用
されるスペクトラム(逆)拡散符号にはC/A(Coarse
Acquisition)コードとP(Precision)コードの2種
類があり、両者の間には1エポック当たりチップ数、符
号速度、エポック長等に関する設計上の相違があるが、
いずれも、所定個数のチップから構成される擬似雑音符
号であって各チップ毎に1,0の2値をとる。例えば、
C/Aコードは、1エポック当たりチップ数=102
3、符号速度=1.023MHz、従って繰り返し周期
(エポック長)=1msecのgold符号である。
は、スペクトラム逆拡散符号と衛星信号との相関値の検
出、検出した相関値と所定のスレッショルドとの比較、
並びにこの比較の結果に基づくスペクトラム逆拡散符号
の位相制御即ちコード位相制御を、伴っている。まず、
スペクトラム逆拡散符号と衛星信号との相関値は、衛星
信号に係る擬似雑音符号の値とスペクトラム逆拡散符号
の値との一致/不一致の度合を示す情報であり、衛星信
号に係る擬似雑音符号の値とスペクトラム逆拡散符号の
値とがエポック全体に亘り一致している状態、即ち衛星
信号に対してスペクトラム逆拡散符号のチップ位置即ち
コード位相が同期している状態では、他の状態に比べて
顕著に大きくなる。そのため、GPS受信機では、検出
した相関値をそのスレッショルドと比較し、前者が後者
を上回った場合は“コード位相が同期した”と判定す
る。なお、このスレッショルドは、予め、コード位相同
期状態を他の状態から区別して検出できるよう定めてお
く。GPS受信機では、コード位相同期状態になるまで
即ち衛星信号を捕捉するまで、かつ1エポック全体を調
べ終えるのを限度として、スペクトラム逆拡散符号のコ
ード位相を例えば1チップずつずらしつつ、上掲の相関
値検出及びスレッショルド比較を実行する。1エポック
に亘りコード位相をずらして調べたが“同期”との判定
が得られない場合は、衛星信号のキャリアに対して周波
数同期していない可能性があるため局部発振周波数をわ
ずかにずらして再試行する。コード位相同期状態になる
と、衛星信号がスペクトラム逆拡散されデータを復調す
ることが可能になると同時に、そのときのコード位相即
ち相関値がピークになるコード位相を、擬似距離導出に
利用可能になる。一旦衛星信号を捕捉した後は、衛星信
号に係る擬似雑音符号の位相変化に追従するようコード
位相を変化させることにより、その衛星(信号)を追尾
する。
号(GPSの場合衛星信号)に対するスペクトラム逆拡
散符号のコード位相同期を常に正しく確立するには、相
関値をスレッショルドと単純に比較するという手法で
は、十分でない。それは、(1)スペクトラム逆拡散符
号に対応した送信源(GPSの場合衛星)とは異なる送
信源からの受信信号に対して発生する弱い相関値即ち偽
信号相互相関値、(2)相関値がピークとなるコード位
相以外の位相において発生する弱い相関値即ち偽位置自
己相関値、(3)送信源との対応関係及びコード位相は
正しいが相関器入力レベルが低い受信信号による弱い相
関値即ち弱信号時相関値等を、単純なスレッショルド比
較では識別できないためである。
して考えると、衛星信号波形に歪が全くなく、受信した
衛星信号の相関器への入力レベルが例えば−110dB
m程度と割合高い準理想的な状況下で、その衛星信号の
送信元に対応したスペクトラム逆拡散符号が用いられか
つその衛星信号に対しそのスペクトラム逆拡散符号が正
確にコード位相同期しているとき、1エポック当たり一
致チップ数は、1023個となる。一致チップ数と不一
致チップ数の差の絶対値を相関値と称することとする
と、この場合の相関値即ち強信号時相関値は1023で
あるといえる。しかし、実際の衛星信号波形は歪んでい
るため、強信号時相関値はこの理想値より低く、例えば
1023×40.0%=409.2程度となる。
dB低く−133.7dBmであれば、23.7dB=
−20×log(2.6/40.0)の式から読みとれ
るように、相関値即ち弱信号時相関値は1023×2.
6%=26.2となる。
ば、偽信号相互相関値が、上掲の弱信号時相関値と同程
度となる場合がある。即ち、GPSでは、異なるGPS
衛星に係るC/Aコード同士の相関値が33まで大きく
なることがあり得るため、上に掲げた強信号時と同程度
の信号強度及び歪であれば、偽信号相互相関値は最大で
33×40.0%=26.0となり得る。この偽信号相
互相関値は、強信号時より23.7dB低いレベルの衛
星信号による弱信号時相関値即ち上掲の26.2と、ほ
ぼ等しい値である。
関値は近い値をとりうるし、電波環境次第では後者の方
が大きいこともあり得る。そのため、確実に弱信号時相
関値を“同期”と判定し偽信号相互相関値を“非同期”
と判定できるようにスレッショルドを定めるのは難し
い。結果として、従来は、弱信号時相関値から“コード
位相=非同期”と判定してしまうおそれや、偽信号相互
相関値から“コード位相=同期”と判定してしまうおそ
れを、受信機設計上内包していた。同様の問題は、弱信
号時相関値と偽位置自己相関値との間でも生じる。
とを課題としてなされたものであり、送信源毎に異なる
スペクトラム拡散符号によりスペクトラム拡散した信号
が送信され受信機ではいずれか所定個数の送信源を選択
しそれぞれに対応するスペクトラム逆拡散符号により受
信信号をスペクトラム逆拡散する無線システムにおい
て、受信機における相関検出値に現れる弱信号時相関値
と偽信号相互相関値(及び偽位置自己相関値)とを、よ
り確実に識別できるようにすることを、その目的の一つ
としている。
るために、本発明に係る偽信号相互相関検出方法は、
(1)互いに相対移動しつつ送信を行う複数の送信源か
ら受信機へとスペクトラム拡散された信号を送信する無
線システムにて、キャリア周波数同期制御及びコード位
相同期制御を通じて送信源を無線捕捉する受信機によ
り、実行され、(2)キャリア周波数同期制御を通じて
得られる情報に基づきかつ捕捉した送信源毎に受信信号
のドップラー周波数を測定し、捕捉した送信源の中か
ら、ドップラー周波数の測定値の差が所定範囲内となる
組合せを検出する受信周波数差判別ステップと、(3)
上記組合せに属する送信源の中に、コード位相同期制御
にて得られた相関ピーク値が偽信号相互相関によっても
得られる低水準の相関を示しているもの及び偽信号相互
相関によっては得られない高水準の相関を示しているも
のが、共に含まれているか否かを調べる相関比較ステッ
プとを有し、(4)相関比較ステップにて含まれている
ことが判明した場合に、上記低水準の相関を示す相関ピ
ーク値が、実は、上記高水準の相関に係る送信源からの
受信信号と、その送信源とは異なる送信源に対応したス
ペクトラム逆拡散符号との相互相関である偽信号相互相
関の結果である、と見なすことを特徴とする。
或いは、(1)同一のキャリア周波数で送信を行う複数
の送信源から受信機へとスペクトラム拡散された信号を
送信する無線システムにて、キャリア周波数同期制御及
びコード位相同期制御を通じて送信源を無線捕捉する受
信機により、実行され、(2)キャリア周波数同期制御
を通じて得られる情報に基づきかつ捕捉した送信源毎に
受信信号のキャリア周波数を測定し、捕捉した送信源の
中から、キャリア周波数の測定値の差が所定範囲内とな
る組合せを検出する受信周波数差判別ステップと、
(3)上記組合せに属する送信源の中に、コード位相同
期制御にて得られた相関ピーク値が偽信号相互相関によ
っても得られる低水準の相関を示しているもの及び偽信
号相互相関によっては得られない高水準の相関を示して
いるものが、共に含まれているか否かを調べる相関比較
ステップとを有し、(4)相関比較ステップにて含まれ
ていることが判明した場合に、上記低水準の相関を示す
相関ピーク値が、実は、上記高水準の相関に係る送信源
からの受信信号と、その送信源とは異なる送信源に対応
したスペクトラム逆拡散符号との相互相関である偽信号
相互相関の結果である、と見なすことを特徴とする。
(1)相関比較ステップが、上記組合せに属する送信源
の中に、コード位相同期制御にて得られた相関ピーク値
が上記低水準の相関を表す弱信号最大スレッショルドよ
り小さいもの及び上記低水準の相関を表す強信号最小ス
レッショルドより大きいものが、共に含まれているか否
かを調べるステップであり、或いは(2)相関比較ステ
ップが、上記組合せに属する送信源の間に、コード位相
同期制御にて得られた相関ピーク値に関し有意差が存在
しているか否かを調べるステップであり、相関ピーク値
に関し有意差がある送信源のうち最小の相関ピーク値
を、実は上記偽信号相互相関の結果である、と見なすこ
とを特徴とする。
(1)本発明に係る偽信号相互相関検出方法を実行する
ステップと、(2)偽信号相互相関をもたらしたスペク
トラム逆拡散符号に対応する送信源を、以後の捕捉対象
から除外する選択除外ステップとを、有することを特徴
とする。
互いに相対移動しつつ同一のキャリア周波数で送信を行
う複数の測位衛星から受信機へとスペクトラム拡散され
た測位信号を送信する測位システムにて、キャリア周波
数同期制御及びコード位相同期制御を通じて測位衛星を
無線捕捉する受信機により、実行され、(2)キャリア
周波数同期制御を通じて得られる情報に基づきかつ捕捉
した測位衛星毎に受信信号のキャリアにおけるドップラ
ー周波数を測定し、捕捉した測位衛星の中から、ドップ
ラー周波数の測定値の差が所定範囲内となる組合せを検
出する受信周波数差判別ステップと、(3)上記組合せ
に属する測位衛星の中に、コード位相同期制御にて得ら
れた相関ピーク値が偽信号相互相関によっても得られる
低水準の相関を示しているもの及び偽信号相互相関によ
っては得られない高水準の相関を示しているものが、共
に含まれているか否かを調べる相関比較ステップと、
(4)相関比較ステップにて含まれていることが判明し
た場合に、上記低水準の相関を示す相関ピーク値が、実
は、上記高水準の相関に係る測位衛星からの受信信号
と、その測位衛星とは異なる測位衛星に対応したスペク
トラム逆拡散符号との相互相関である偽信号相互相関の
結果である、と見なし、偽信号相互相関をもたらしたス
ペクトラム逆拡散符号に対応する測位衛星を、以後の捕
捉対象から除外する選択除外ステップとを、有すること
を特徴とする。
数判別ステップ及び相関比較ステップによって偽信号相
互相関を検出すること、ひいては送信源例えば測位衛星
の選択除外処理を可能にすることによって、偽信号相互
相関の影響を抑えている。まず、ある送信源(例えば測
位衛星。本欄において以下同様)からの信号が充分に強
ければ、その送信源に対応するスペクトラム逆拡散符号
との間の相関ピーク値は十分強くなるし、そのような強
い信号は、その送信源以外の送信源に対応するスペクト
ラム逆拡散符号との間で、弱信号時相互相関により得ら
れるものと比肩しうる水準の相関ピーク値をもたらして
いる可能性が高い。言い換えれば、偽信号相互相関が生
じている場合はその偽信号相互相関を引き起こした信号
の送信元を別途正しく捕捉できている場合が多い。他
方、同一の送信源からの信号であればそのドップラー周
波数或いはキャリア周波数はほぼ同一であるはずであ
る。本発明においては、これらの点に着目し、ドップラ
ー周波数又はキャリア周波数の測定値の差が十分小さい
“送信源”同士の組合せに関し、相関ピーク値の判別を
通じて、偽信号相互相関の有無を検出するようにしてい
る。このように、本発明に選れば、簡便な手法によって
容易に、また実使用に際しては敏速に、弱信号時相関に
対する偽信号相互相関の識別及び後者に対する対策を実
施できる。
関し図面に基づき説明する。
機能構成を示す。この図に示す受信機では、衛星信号
は、アンテナ101により受信され、周波数変換部10
2にてダウンコンバートされ、A/D変換部103によ
りサンプリングされ、相関器104に入力される。相関
器104及び信号発生器105は、測位演算に必要な衛
星の個数、捕捉・追尾すべき衛星信号に係るスペクトラ
ム拡散符号の1エポック当たりチップ数、更には許容さ
れる装置規模・コスト等に応じて、またI,Q各相に対
応して、複数個設け、パラレルに又はシーケンシャルに
動作させる。受信制御部106は、位置・速度演算部1
12からの情報に応じかつ相関器104の出力に基づ
き、信号発生器105の動作、特に発生させる局部発振
信号の周波数、発生させるスペクトラム逆拡散コード
(擬似雑音符号)の種類、発生させる各スペクトラム逆
拡散コードのコード位相等を制御する。
発生器(図中の「擬似雑音符号及び局部発振信号発生
器」)105は、キャリア周波数及びコード位相双方に
関し、衛星信号に対する同期ループを構成している。
算部112が選択した組合せに属する衛星それぞれに対
応するスペクトラム逆拡散符号を、信号発生器105に
より発生させ、そのコード位相を、相関器104の出力
たる相関値がピークとなるよう制御する(「捕捉」)。
この制御によって衛星信号に対するスペクトラム逆拡散
符号のコード位相同期が確立され、従ってその衛星信号
がスペクトラム逆拡散された状態では、データ復調部1
10にてその衛星信号からデータを復調することができ
る。復調されたデータ例えば送信元衛星の詳細軌道情報
や送信時刻に関するデータは、位置・速度演算部112
に供給される。受信制御部106は、この状態即ちコー
ド位相同期状態が維持されるよう、逐次得られる相関値
に基づき信号発生器105におけるコード位相を制御す
る(「追尾」)。
示しない部材(又は周波数変換部102)において、信
号発生器105から供給される局部発振信号により、衛
星信号がより低い周波数に変換される。コード位相同期
を確立する対象となる衛星信号は、この周波数変換後の
衛星信号である。ここに、信号発生器105における局
部発振周波数がずれていると、一旦コード位相同期を確
立しても時間経過に伴いその同期は容易にはずれるた
め、上述のコード位相同期ループとしての動作だけで
は、衛星信号を追尾することはできない。受信制御部1
06は、スペクトラム逆拡散符号の1エポックに亘りコ
ード位相をずらして調べたがコード位相同期を確立でき
ない場合等に、信号発生器105における局部発振周波
数をわずかに調整する等、相関値に基づく局部発振周波
数制御を行って、局部発振周波数を衛星信号のキャリア
周波数に対して同期させる(キャリア周波数同期ルー
プ)。
られる相関値の衛星毎のピーク即ち相関ピーク値を、相
関値記憶部107により記憶させる。更に、衛星信号に
対するキャリア周波数同期及びコード位相同期が共に確
立されている状態、即ち相関器104を介してスペクト
ラム逆拡散された衛星信号が得られる状態では、受信制
御部106は、相関器104にてスペクトラム逆拡散さ
れた衛星信号をデータ復調部110に供給し詳細軌道情
報等のデータを復調させる一方で、同期制御を通じて得
られる情報のうち信号発生器105におけるコード位相
を擬似距離測定部109及び擬似速度測定部108に与
え、信号発生器105における局部発振信号周波数をド
ップラー周波数測定部111に与える。擬似距離測定部
109は、コード位相に基づき衛星信号の送信元に対す
る擬似距離、即ちコード擬似距離を求める。擬似速度測
定部108は、コード位相の時間変化を検出して衛星信
号の送信元に対する受信機の移動速度、即ち擬似速度を
求める。ドップラー周波数測定部111は、局部発振周
波数の変化から、衛星信号キャリア周波数のドップラー
変移、ひいては送信元に対する受信機の移動速度即ちド
ップラー速度を求める。
110により復調されたデータに加え、擬似距離測定部
109により求められたコード擬似距離等を用いて、受
信機の位置を演算する。また、位置・速度演算部112
は、擬似速度測定部108により求められた擬似速度
や、ドップラー周波数測定部111における測定結果に
基づき、地球表面又は中心に対する受信機の移動速度を
演算する。位置・速度演算部112は、図示しない表示
装置、音声出力装置、通信回線等を介して、演算結果等
を使用者に知らせる。位置・速度演算部112は、更
に、データ復調部110によって復調された情報、過去
に取得・演算し蓄積しておいた情報等に基づき、測位に
使用する衛星の組合せを選択して、選択したGPS衛星
からの衛星信号を受信(捕捉・追尾)するよう受信制御
部106に指示する。
定部111の出力についての判定、その結果に応じた相
関値記憶部107からの相関値読み出し、読み出した相
関値に基づく測位使用禁止衛星設定等を、図2に示す手
順に従い実行する。これにより、本実施形態において
は、偽信号相互相関により生じた相関ピーク値(偽信号
相互相関値)であって、弱信号により生じる相関ピーク
値(弱信号時相関値)と比肩するか又はそれより高いレ
ベルに達するものに、対処している。
より生じた相関ピーク値が比較的高い値をとるときは、
その偽信号相互相関を発生させた受信信号はたいてい高
レベルであり、従って、別途、その受信信号の送信元衛
星に対応した正しいスペクトラム逆拡散符号によりその
受信信号を正しく捕捉できている可能性が高い、という
点である。
元衛星に対応したスペクトラム逆拡散符号を用いて)捕
捉しつつ他方では誤って(即ちその送信元衛星以外の衛
星に対応したスペクトラム逆拡散符号を用いて)捕捉し
ている、というこの状況下では、相関値記憶部107に
よる記憶内容、擬似速度測定部108、擬似距離測定部
109及びドップラー周波数測定部111における測定
結果、並びにデータ復調部110における復調結果が、
その衛星について2通り以上存在しているはずである。
但し、それら2通り以上の記憶内容、測定結果及び復調
結果のうち、正しいもの即ちその送信元衛星に対応付け
られているものは高々1通りであり、残りは誤ってその
送信元衛星以外の衛星に(即ち同期ループで使用したス
ペクトラム逆拡散符号に対応する衛星に)対応付けられ
ている。この状況下で得られた記憶内容、測定結果及び
復調結果に基づき測位演算を実行しまたそのための衛星
選択を行ったとすると、強信号による正しい情報と、偽
信号相互相関による誤った情報とを混用してそれらの処
理を行うことになるため、正確でない測位結果や、測位
結果の急変(いわゆる“位置とび”)が生じるであろ
う。
る情報のうち、ドップラー周波数測定部111における
ドップラー周波数測定値は、キャリア周波数同期ループ
の制御を通じて得られるものであり、コード位相同期ル
ープにてどのようなスペクトラム逆拡散符号を用いるか
によらないものである。従って、互いに異なる衛星から
の受信信号キャリアに現れた周波数変移分として得られ
ている複数通りのドップラー周波数測定値の中に、実質
的に同一値を有する組合せがあるのなら、その組合せに
係るドップラー周波数測定値は、実は同じ衛星からの受
信信号キャリアに現れた周波数変移分である可能性があ
る。GPSにおける1.57542GHzのキャリアな
ら、例えば、ドップラー周波数測定値の差が±20Hz
以内であれば、実質的に同一値であるといって差し支え
ないであろう。無論、実質的に同一値か否かに関する判
定基準は、本発明をどのようなキャリア、システム、受
信機に適用するかにより、適宜設定すべきものである。
ドップラー周波数測定値の組合せがドップラー周波数測
定部111の出力から得られたにしても、単に偶然にド
ップラー周波数が一致又は近接しているに過ぎないのか
もしれない。そこで、本実施形態では、ドップラー周波
数測定値の差に関する判別によってかかるドップラー周
波数測定値の組合せが発見された場合、その組合せに対
応する相関ピーク値の組合せに関して判別を行うことに
よって、偽信号相互相関か否かを調べる。即ち、それら
相関ピーク値のうちいずれかが強信号時相関値であり残
りが弱信号時相関値程度の値であるなら、当該強信号時
相関値が得られたスペクトラム逆拡散符号に対応する衛
星が、当該弱信号時相関値程度の相関ピーク値をもたら
した偽信号相互相関の原因である、と認めることができ
る。言い換えれば、強信号時相関により真の衛星を捕捉
している一方で、その衛星からの強い受信信号による偽
信号相互相関によって、あたかも他の衛星を捕捉したか
のような結果となっている、と認めることができる。本
実施形態では、ドップラー周波数測定値差判別に加え相
関ピーク値スレッショルド判別によって、偽信号相互相
関現象の発生を検出するだけでなく、どの衛星が真の衛
星でどの衛星がその真の衛星の偽像であるのかをも、検
出している。
により実行される処理のうち、以上述べた着眼点及び原
理に基づく処理であり、所定頻度で実行される。この図
に示す測位使用禁止衛星設定手順においては、まず、位
置・速度演算部112は、それぞれ別個の衛星について
の測定値とされている複数通りのドップラー周波数をド
ップラー周波数測定部111から入力し、入力したドッ
プラー周波数測定値同士の差を算出する(201)。G
PSでは各衛星にて使用するキャリア周波数が同一であ
るため、ドップラー周波数の差が即ち受信信号のキャリ
ア周波数の差であることから、図2ではこれを「受信周
波数差」と表している。
プラー周波数測定値の中にその差が±20Hz以内とな
る組合せがあるか否かを判別する(202)。その結
果、そのような組合せがないことが判明した場合、どの
衛星も偽像ではなく真の衛星であって偽信号相互相関は
生じていない、と見なせるため、位置・速度演算部11
2の動作は図示しない手順に移行する。逆に、いずれか
最少2通りのドップラー周波数測定値の組合せに関しそ
れらの間の差が±20Hz以内であることが判明した場
合、それらのドップラー周波数測定値のうちいずれかが
偽信号相互相関によるものである可能性があるため、位
置・速度演算部112の動作は相関ピーク値に関するス
レッショルド判定に移行する。
算部112は、少なくとも、その差が±20Hz以内と
なったドップラー周波数測定値それぞれに対応する衛星
について、その相関ピーク値を相関値記憶部107から
読み出し、その中で最小の相関ピーク値を弱信号最大ス
レッショルドと(203)、最大の相関ピーク値を強信
号最小スレッショルドと(204)、それぞれ比較す
る。なお、弱信号最大スレッショルドは、偽信号相互相
関により生じうる最大の相関ピーク値以上となるよう設
定されているものとし、強信号最小スレッショルドは、
偽信号相互相関では生じ得ない最小の相関ピーク値以上
となるよう設定されているものとする。
>弱信号最大スレッショルド”が成り立つことが判明し
たときは、上記複数通りの相関ピーク値はいずれも偽信
号相互相関によっては得られないほど大きいと見なし、
位置・速度演算部112の動作は図示の手順を脱する。
また、ステップ204にて、“最大の相関ピーク値<強
信号最小スレッショルド”が成り立つことが判明したと
きは、上記複数通りの相関ピーク値をもたらした受信信
号はいずれも偽信号相互相関をもたらすほど強くないと
見なし、位置・速度演算部112の動作は図示の手順を
脱する。
相関ピーク値が弱信号最大スレッショルド以下でありか
つ最大の相関ピーク値が強信号最小スレッショルド以上
であるなら、強信号最小スレッショルド以上となった相
関ピーク値が強信号時相関によるいわば正しい相関ピー
ク値であること、またその相関ピーク値をもたらした受
信信号が偽信号相互相関を引き起こしたことを、認めて
差し支えない。本実施形態では、偽信号相互相関の影響
による前述の位置とび等を防ぐため、かかる条件が成立
した場合は(203,204)、位置・速度演算部11
2は、以後、所定時間に亘り又は電源再投入まで、上記
複数通りの相関ピーク値をもたらしたスペクトラム逆拡
散符号に対応する衛星を図示しない衛星選択手順で選択
することを、禁止する(205)。即ち、偽像をとらえ
てしまうことを防ぐため、同期ループにおいてそのスペ
クトラム逆拡散符号による同期確立を図ることを禁止す
る。但し、強信号最小スレッショルド以上の相関ピーク
値をもたらしたスペクトラム逆拡散符号に対応する衛星
については、その衛星からの受信信号に対して正しく同
期できていると見なせるため、選択対象から除外しな
い。
っている複数のドップラー周波数測定値のうち、対応す
る相関ピーク値が強信号最小スレッショルド以上となっ
ているドップラー周波数測定値は強信号に係る測定値で
あり、他のドップラー周波数測定値(含、弱信号最大ス
レッショルド以下のもの)は偽信号相互相関に係る測定
値であると見なし、後者を得るために用いたスペクトラ
ム逆拡散符号を使用しないようにすることによって、偽
信号相互相関による位置とび等の問題を解消又は少なく
とも軽減できる。なお、選択対象から除外するという手
法に代えて、その衛星に関する測定値や復調データの使
用を禁止するという手法を用いてもよい。
測定値の差が20Hz以内の衛星の組合せについて(2
02)相関ピーク値を弱信号最大スレッショルド及び強
信号最大スレッショルドとの比較を行うことにより(2
03,204)、偽信号相互相関を検出していた。これ
に代えて、ドップラー周波数の測定値の差が所定範囲内
の衛星の組合せから相関ピーク値が最小となる衛星を選
びその衛星に係る相関ピーク値については偽信号相互相
関と見なす、といった検出手法を採用してもよい。その
際、相関ピーク値同士の単純比較を行うことにより最小
の相関ピーク値を選び出す、という処理でもかまわない
が、より好ましくは、相関ピーク値同士に有意差がある
場合に限ることとし、それによって、“本当は弱信号時
相関なのに誤って偽信号相互相関として扱ってしまっ
た”という状況を防ぐことができる。
ックに属する全てのチップ(C/Aコードでは1023
個)について相関値を検出することによって、即ち、1
023通りのコード位相全てについて相関値を調べその
中で最大の相関値を示すコード位相であってその相関値
が十分大きいものを選ぶことによって、両者を識別する
ことができる。この処理は、受信制御部106により実
行することができる。
はなく、原理的にはPコードにも適用できる。本発明
は、各種の補強又は修正が施されたGPS受信機、例え
ばDGPS機能を有するGPS受信機等にも、適用でき
る。更に、GPS受信機に限らず、複数種類のスペクト
ラム拡散コードを選択的に使用してスペクトラム拡散さ
れた信号を受信する受信機、特にその受信レベルが非常
に低くなることがある受信機一般に、本発明を適用でき
る。本発明は、1エポック当たりチップ数が多いもの、
偽信号相互相関値が比較的大きくなりやすいもの、送受
信機間が非同期のもの等に対して適用した場合に、その
効果が顕著になる。
3056号において相関値判定のためのスレッショルド
を相関値判定の結果に追従して変化させる手法を、提案
している。この手法によっても弱信号による支障の一部
に対処できるが、迅速性・信頼性という面では本発明の
方が優れている。即ち、本発明では、受信機の位置等に
関する測位結果を使用することなしに偽信号相互相関値
と弱信号相関値とを識別できるため、使用する測位結果
が得られる以前の時点における偽信号相互相関値の影響
を、防止できる。
能構成を示すブロック図である。
使用禁止衛星設定手順の一例を示すフローチャートであ
る。
符号及び局部発振信号発生器、106 受信制御部、1
07 相関値記憶部、111 ドップラー周波数測定
部、112 位置・速度演算部。
Claims (6)
- 【請求項1】 互いに相対移動しつつ送信を行う複数の
送信源から受信機へとスペクトラム拡散された信号を送
信する無線システムにて、キャリア周波数同期制御及び
コード位相同期制御を通じて送信源を無線捕捉する受信
機により、実行され、 キャリア周波数同期制御を通じて得られる情報に基づき
かつ捕捉した送信源毎に受信信号のドップラー周波数を
測定し、捕捉した送信源の中から、ドップラー周波数の
測定値の差が所定範囲内となる組合せを検出する受信周
波数差判別ステップと、 上記組合せに属する送信源の中に、コード位相同期制御
にて得られた相関ピーク値が偽信号相互相関によっても
得られる低水準の相関を示しているもの及び偽信号相互
相関によっては得られない高水準の相関を示しているも
のが、共に含まれているか否かを調べる相関比較ステッ
プとを有し、 相関比較ステップにて含まれていることが判明した場合
に、上記低水準の相関を示す相関ピーク値が、実は、上
記高水準の相関に係る送信源からの受信信号と、その送
信源とは異なる送信源に対応したスペクトラム逆拡散符
号との相互相関である偽信号相互相関の結果である、と
見なすことを特徴とする偽信号相互相関検出方法。 - 【請求項2】 同一のキャリア周波数で送信を行う複数
の送信源から受信機へとスペクトラム拡散された信号を
送信する無線システムにて、キャリア周波数同期制御及
びコード位相同期制御を通じて送信源を無線捕捉する受
信機により、実行され、 キャリア周波数同期制御を通じて得られる情報に基づき
かつ捕捉した送信源毎に受信信号のキャリア周波数を測
定し、捕捉した送信源の中から、キャリア周波数の測定
値の差が所定範囲内となる組合せを検出する受信周波数
差判別ステップと、 上記組合せに属する送信源の中に、コード位相同期制御
にて得られた相関ピーク値が偽信号相互相関によっても
得られる低水準の相関を示しているもの及び偽信号相互
相関によっては得られない高水準の相関を示しているも
のが、共に含まれているか否かを調べる相関比較ステッ
プとを有し、 相関比較ステップにて含まれていることが判明した場合
に、上記低水準の相関を示す相関ピーク値が、実は、上
記高水準の相関に係る送信源からの受信信号と、その送
信源とは異なる送信源に対応したスペクトラム逆拡散符
号との相互相関である偽信号相互相関の結果である、と
見なすことを特徴とする偽信号相互相関検出方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の偽信号相互相関検
出方法において、 相関比較ステップが、上記組合せに属する送信源の中
に、コード位相同期制御にて得られた相関ピーク値が上
記低水準の相関を表す弱信号最大スレッショルドより小
さいもの及び上記低水準の相関を表す強信号最小スレッ
ショルドより大きいものが、共に含まれているか否かを
調べるステップであることを特徴とする偽信号相互相関
検出方法。 - 【請求項4】 請求項1又は2記載の偽信号相互相関検
出方法において、 相関比較ステップが、上記組合せに属する送信源の間
に、コード位相同期制御にて得られた相関ピーク値に関
し有意差が存在しているか否かを調べるステップであ
り、相関ピーク値に関し有意差がある送信源のうち最小
の相関ピーク値を、実は上記偽信号相互相関の結果であ
る、と見なすことを特徴とする偽信号相互相関検出方
法。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか記載の偽信号
相互相関検出方法を実行するステップと、 偽信号相互相関をもたらしたスペクトラム逆拡散符号に
対応する送信源を、以後の捕捉対象から除外する選択除
外ステップとを、 有することを特徴とする送信源選択制限方法。 - 【請求項6】 互いに相対移動しつつ同一のキャリア周
波数で送信を行う複数の測位衛星から受信機へとスペク
トラム拡散された測位信号を送信する測位システムに
て、キャリア周波数同期制御及びコード位相同期制御を
通じて測位衛星を無線捕捉する受信機により、実行さ
れ、 キャリア周波数同期制御を通じて得られる情報に基づき
かつ捕捉した測位衛星毎に受信信号のキャリアにおける
ドップラー周波数を測定し、捕捉した測位衛星の中か
ら、ドップラー周波数の測定値の差が所定範囲内となる
組合せを検出する受信周波数差判別ステップと、 上記組合せに属する測位衛星の中に、コード位相同期制
御にて得られた相関ピーク値が偽信号相互相関によって
も得られる低水準の相関を示しているもの及び偽信号相
互相関によっては得られない高水準の相関を示している
ものが、共に含まれているか否かを調べる相関比較ステ
ップと、 相関比較ステップにて含まれていることが判明した場合
に、上記低水準の相関を示す相関ピーク値が、実は、上
記高水準の相関に係る測位衛星からの受信信号と、その
測位衛星とは異なる測位衛星に対応したスペクトラム逆
拡散符号との相互相関である偽信号相互相関の結果であ
る、と見なし、偽信号相互相関をもたらしたスペクトラ
ム逆拡散符号に対応する測位衛星を、以後の捕捉対象か
ら除外する選択除外ステップとを、 有することを特徴とする衛星選択制限方法。
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JP2001292851A JP2003098244A (ja) | 2001-09-26 | 2001-09-26 | 偽信号相互相関検出方法、送信源選択制限方法及び衛星選択制限方法 |
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050607 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20051018 |