JP2003094207A - 切削工具 - Google Patents

切削工具

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JP2003094207A
JP2003094207A JP2001293033A JP2001293033A JP2003094207A JP 2003094207 A JP2003094207 A JP 2003094207A JP 2001293033 A JP2001293033 A JP 2001293033A JP 2001293033 A JP2001293033 A JP 2001293033A JP 2003094207 A JP2003094207 A JP 2003094207A
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Daisuke Shibata
大輔 柴田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステンレス鋼等の難削材の高能率切削に対し
ても優れた耐摩耗性、耐塑性変形性および耐欠損性を有
する高硬度と強靭性を保持する切削工具を提供する。 【解決手段】 少なくともWCを含む周期律表第4a、
5a、6a族からなる群より選ばれた金属の炭化物、窒
化物および/または炭窒化物の1種以上の硬質相成分と
1種以上の鉄族金属の結合相成分とからなる超硬合金母
材の表面に被覆層を有する切削工具において、前記超硬
合金母材の表面近傍に母材内部の硬度と比較して90〜
98%の最低硬度を有する表面領域を有することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は切削工具に関し、特
にステンレス鋼をはじめとする難削材の切削に適する硬
度と靭性を備えた炭化タングステン基被覆超硬合金母材
などからなる切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、金属の切削加工に広く用いら
れている超硬合金は、炭化タングステンを主体とする硬
質相と、コバルト等の鉄族金属の結合相からなるWC−
Co系合金、もしくは上記WC−Co系に周期律表第4
a、5a、6a族の金属の炭化物、窒化物、炭窒化物等
を添加した系が知られている。これらの超硬合金は、切
削工具として、主に鋳鉄や炭素鋼等の切削に適用されて
いるが、最近ではステンレス鋼に代表される難削材の切
削への適用も進められている。しかしながら、これら難
削材は加工硬化の発生、低熱伝導率、工具材料との親和
性が高い、という性質を持つために、切削加工の分野で
は問題が多いのが現状である。すなわち、ステンレス鋼
の加工には靭性と硬度を兼ね備えた超硬合金母材が必要
とされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のCo量の比較的
少ないWC−Co系超硬合金からなるK種超硬合金製切
削工具や単一組成のB1型固溶体を有するP種超硬合金
製切削工具でステンレス鋼等の難削材を切削加工する
と、切削工具の摩耗が急激に進行したり、溶着が原因と
考えられる欠損が発生して被削材の加工面状態が悪化
し、短時間のうちに工具寿命となり、良好な切削ができ
ないという問題があった。
【0004】また、加工硬化した加工面から受ける切削
抵抗から一次境界部の損傷が激しく、早々に工具寿命に
到り、良好な切削特性を得るに至っていない。
【0005】本発明は上記のような問題点を解決し、特
にステンレス鋼に代表される難削材の高速・高能率切削
に適した切削工具に利用できる被覆超硬合金からなる切
削工具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
について検討を重ねた結果、超硬合金母材の表面近傍に
母材内部における硬度と比較して90〜98%の最低硬
度の表面領域を有することにより、難削材加工時に十分
な硬度を有し、加工硬化を起こした表面を切削する際に
受ける衝撃に耐えうる靭性も兼ね備えた超硬合金母材が
得られるという知見を得て本発明に至った。
【0007】また、上記超硬合金母材において、母材内
部に2種以上のB1型固溶体相が存在し、このB1型固
溶体相のうちの少なくとも1種がそれ以外のB1型固溶
体相と比較してZrの含有量が多いB1型固溶体相であ
り、これらがこの超硬合金母材の表面近傍と母材内部に
おいて存在状態が異なることによっても上記効果が特徴
的に得られることが分かった。
【0008】すなわち、本発明の切削工具は、少なくと
もWCを含む周期律表第4a、5a、6a族からなる群
より選ばれた金属の炭化物、窒化物および/または炭窒
化物の1種以上の硬質相成分と1種以上の鉄族金属の結
合相成分とからなる超硬合金母材の表面に被覆層を有す
る切削工具において、前記超硬合金母材の表面近傍に母
材内部の硬度と比較して90〜98%の最低硬度の領域
を有することを特徴とするものである。
【0009】上記切削工具は、前記周期律表第4a、5
a、6a族からなる群より選ばれた金属としてZrを含
有するとともに、前記周期律表第4a、5a、6a族か
らなる群より選ばれた金属に占める前記Zrの比率が前
記超硬合金母材の内部に比べて高い領域を前記超硬合金
母材の表面近傍に有することが望ましい。
【0010】また、上記切削工具では、前記Zrの比率
が前記超硬合金母材の内部に比べて高い領域の厚さが5
乃至100μmであることが望ましい。
【0011】また、上記切削工具では、上記超硬合金母
材の内部に2種以上のB1型固溶体相が存在し、前記B
1型固溶体相のうちの1種がそれ以外のB1型固溶体相
と比較してZrの含有量が多いB1型固溶体相であるこ
とが望ましい。
【0012】前記切削工具では、前記Zrの含有量が多
いB1型固溶体相の平均粒径が3μm以下であることが
望ましい。
【0013】上記切削工具では、前記周期律表第4a、
5a、6a族からなる群より選ばれた金属のうちのTa
の含有量が、TaC換算で全量中の1重量%以下であっ
ても優れた工具特性を有する超硬合金母材となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳述す
る。本発明の切削工具に用いられる超硬合金母材は、硬
質相と結合相で構成されており、硬質相はWCと、WC
の0〜15重量%を周期律表第4a、5a、6a族の金
属の炭化物、窒化物、炭窒化物で置換したものからな
り、WC以外の成分が配合される場合に形成されるB1
型固溶体相は、複合炭化物固溶体あるいは複合炭窒化物
固溶体からなる。また、結合相は、Co等の鉄族金属を
主成分とするもので、全量中に5〜15重量%の割合で
含有される。
【0015】本発明の切削工具に用いられる超硬合金母
材では、超硬合金母材の表面近傍に母材内部における硬
度と比較して90〜98%の最低硬度の表面領域を有す
ることを特徴とする。母材の表面近傍の硬度が母材内部
の硬度と比較して90%を下回ると、難削材加工時の切
削温度の上昇によって硬度が著しく低下し、刃先の組成
変形を引き起こす。また、98%を上回ると母材表面が
固すぎるため、加工硬化したステンレス鋼を切削する際
に衝撃に耐えきれずに欠損を生じる。そのため、表面近
傍の硬度を母材内部の硬度の90〜98%に設定しなけ
ればならない。
【0016】図1に本発明の切削工具に用いられる超硬
合金母材と従来の超硬合金母材の硬度勾配を示す。従
来、超硬合金母材の表面強靭化の手法として知られる窒
化物あるいは窒素添加による脱β層では強靭化した表面
層の最低硬度は母材内部における硬度と比較して約50
〜80%であり、難削材の切削においては切削温度が著
しく上昇するため、軟化して組成変形を生じていた。こ
れに対して本発明の切削工具に用いられる超硬合金母材
は窒素添加を行わずに表面の強靭化を行ったため、難削
材の切削における切削温度上昇領域において、切削に十
分な硬度を保持しつつ表面近傍の靭性化が図られてい
る。
【0017】また、本発明の切削工具に用いられる超硬
合金母材においては、図2の各金属元素の表面付近の分
布に示すように周期律表第4a、5a、6a族からなる
群より選ばれた金属に占めるZrの比率が超硬合金母材
の内部に比べて高い領域を超硬合金母材の表面近傍に有
することによって強靭化された表面領域はさらに高温に
おける強度を改善し、優れた耐欠損性を有することがで
きる。これはZrが高温での靱性及び耐塑性変形性に優
れることが主要因である。また、上記領域では、Zr以
外の周期律表第4a、5a、6a族の金属のうち多くが
減量することに対応して結合相が増量する。この結合相
の増量は上記靱性の強化に寄与するとともに、耐摩耗性
との関連において、増量する分の結合相は周期律表第4
a、5a、6a族の金属を若干量取り込んでいることに
より、耐塑性変形性に悪影響を与えない。したがって、
本発明の切削工具は、上記Zrの高温での優れた耐塑性
変形性によって耐摩耗性も向上する。
【0018】さらに、図2に示すように周期律表第4
a、5a、6a族からなる群より選ばれた金属に占める
Zrの比率が超硬合金母材の内部に比べて高い領域の厚
さが母材表面から内部に向かって5乃至100μmにわ
たって有することが好適である。この範囲が好適である
のはZrの比率が超硬合金母材の内部に比べて高い領域
が5μmであると強度が不充分であって工具の塑性変形
や損傷が激しくなり、100μmを超えると耐摩耗性が
低下して工具摩耗量の増加が著しくなることがあるため
である。
【0019】なお、上記超硬合金母材において、母材内
部に2種以上のB1型固溶体相が存在し、B1型固溶体
相のうちの少なくとも1種がそれ以外のB1型固溶体相
と比較してZrの含有量が多いB1型固溶体相であるこ
とによっても高温での優れた耐塑性変形性が得られ耐摩
耗性が向上する。つまり、Zr含有量が多い固溶体相の
生成に伴いB1型固溶体相の組成が変化し、結合相との
濡れ性が向上するために合金全体が強化され、これらB
1型固溶体相を適度に存在させることにより、高温にお
ける機械的強度を保持することで難削材の高速・高能率
加工に対して優れた切削性能を有する。
【0020】この場合、上記Zrの含有量が多いB1型
固溶体相は、合金中に平均粒径が3μm以下の相として
存在することが望ましい。これは、平均粒径が3μmを
超えると、B1型固溶体相が結合相との濡れが悪いため
に、合金全体の強度が低下するためである。最適には平
均粒径1μm程度である。つまり、固溶体相自体は本来
脆性であるために、合金中に粗大な相として析出した場
合には機械的強度の低下が著しく、切削工具として用い
た場合に工具の損傷や塑性変形が激しくなる。よって、
Zr含有量が多いB1型固溶体相の平均粒径を上記範囲
で存在させることが必要となる。
【0021】さらに、本発明によれば、超硬合金母材の
全量中の周期律表第4a、5a、6a族の金属のうちの
Taの含有量が、TaC換算で1重量%以下、特に0.
2重量%以下、さらには不可避不純物として以外は実質
上含有しない場合においても、優れた耐摩耗性、耐塑性
変形性および耐欠損性を維持することができる。すなわ
ち、他の原料に比較して非常に高価なTa原料を用いる
ことなく、ビッカース硬度(Hv)が1400以上、破
壊靭性(K1c)12mPa/m1/2以上、3点曲げ強度
2500MPa以上、800℃における熱伝導率70W
/m・K以上の優れた熱的および機械的特性を有する超
硬合金母材となる。
【0022】被覆される硬質層は、TiC、TiN、T
iCNをはじめとする周期律表第4a、5a、6a族の
金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、およびTiAlN、
TiZrN、TiCrN、ZrO2、Al23等が挙げ
られ、これらはCVD法あるいはPVD法で0.1〜2
0μmの厚みに形成されることが望ましい。
【0023】上述した超硬合金母材を製造するには、ま
ず例えば平均粒径0.5〜10μmの炭化タングステン
粉末を80〜90重量%、平均粒径0.5〜10μm周
期律表第4a、5a、6a族の金属の炭化物、窒化物お
よび炭窒化物粉末もしくはこれら金属のうちの2種以上
の固溶体粉末を総量で0.1〜10重量%、平均粒径
0.5〜10μmの鉄族金属を5〜15重量%、さらに
は所望によって金属タングステン(W)粉末あるいはカ
ーボンブラック(C)を混合する。
【0024】次に、上記混合粉末を用いて、プレス成
形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公
知の成形方法によって所定形状に成形した後、0.1〜
15Paの真空中、1〜20℃/分で昇温し、1350
〜1500℃で0.2〜5時間、特に0.5〜2時間焼
成することによって上述した超硬合金母材を得ることが
できる。
【0025】なお、本発明の特徴である、表面近傍に母
材内部における硬度と比較して90〜98%の最低硬度
の表面領域を有する超硬合金母材を得るには一次原料に
おいて窒化物および/または炭窒化物を添加することな
く、いわゆるB1型固溶体を構成する炭化物に対するC
o等の結合相金属量、および超硬合金母材における2相
健全域内のC量を調整し、さらに焼成条件のうちとくに
液相出現温度付近での昇温速度と焼成後の冷却速度をと
もに5℃/min程度制御することが必要である。ま
た、脱脂工程における水素フローや脱炭雰囲気焼成を行
うことによってより効率的に得ることができる。
【0026】さらに、超硬合金母材の一次原料において
B1型固溶体を構成する周期律表第4a、5a、6a族
の金属の炭化物に対するZr化合物の添加比率を調整し
て上記方法で焼成することにより、さらに優れた強度と
高温での優れた耐塑性変形性によって耐摩耗性を保持す
る超硬合金母材を得ることができる。
【0027】ここで、超硬合金母材の内部における硬度
と比較して90〜98%の最低硬度の表面領域の厚みに
ついては、焼成時の保持温度と時間を調整することで制
御が可能である。
【0028】また、上述した本発明の切削工具に用いら
れる超硬合金母材は、高硬度、高強度、高熱伝導率の優
れた機械的特性と熱的特性を有することから、金型、耐
摩耗部材、高温構造材料等に適応可能であり、中でも切
削工具、さらにはステンレス鋼等の難削材用の切削工具
として好適に使用できる。
【0029】また、本発明の切削工具は、上述した超硬
合金母材の表面に、周期律表第4a、5a、6a族の金
属の炭化物、窒化物、炭窒化物、TiAlN、TiZr
N、TiCrN、ダイヤモンドおよびAl23の群から
選ばれる少なくとも1種の被覆層を単層または複数層形
成したものであってもよい。
【0030】なお、超硬合金母材に被覆層を形成するに
は、所望により、超硬合金母材の表面を研磨したり洗浄
した後、従来公知のPVD法やCVD法等の薄膜形成法
を用いればよい。また、被覆層の厚みは0.1〜20μ
mであることが望ましい。
【0031】
【実施例】表1に示す平均粒径8.0μmの炭化タング
ステン(WC)粉末、平均粒径1.2μmの金属コバル
ト(Co)粉末と平均粒径2.0μmの表1に示す化合
物粉末を表1に示す比率で添加して混合し、プレス成形
で切削工具形状(SDK42、CNMG43)に成形し
た後、焼成温度より500℃以上低い温度から10℃/
分の速度で昇温して、1500℃で1時間焼成して超硬
合金母材を作製した。
【0032】任意表面を含む斜め断面方向にカットした
カット面において、表面から各深さに相当する部分に
て、表面より内部に向かってアカシ社製マイクロビッカ
ース装置(MVK−G3)により荷重200g保持時間
10sで硬度測定を行った。各深さにおいて少なくとも
3点以上で硬度を測定して平均値を取ることでその深さ
における硬度とした。また、少なくとも1000μmの
深さでの硬度を測定し、超硬合金母材の内部の硬度とし
て用いた。
【0033】また、超硬合金母材の内部の固溶体相中の
各金属成分の含有比率をエネルギー分散型X線分析(E
DS)によって求め、これによって周期律表第4a、5
a、6a族からなる群より選ばれた金属に占めるZrの
比率が超硬合金母材の内部に比べて高い領域を特定し
た。
【0034】また、Zrの含有量が多いB1型固溶体相
については研削面を鏡面加工したサンプルをSEM電子
顕微鏡(反射電子像)観察における任意領域(20μm
×20μm)において確認できるB1型固溶体(灰色)
と色彩の異なる固溶体の析出が判別でき、Zrの含有量
が多いB1型固溶体相の平均粒径についてはルーゼック
ス画像解析法で測定した。これらの結果を表1に示す。
【0035】表1中の「最低硬度比(%)」は超硬合金
母材の表面領域の最低硬度と内母材部の硬度との比(表
面領域の最低硬度/母材内部の硬度)を示す。また、表
1中の「Zr/β増加領域」は周期律表第4a、5a、
6a族からなる群より選ばれた金属に占めるZrの比率
が母材内部と比べて高い領域を意味し、○印はその領域
があることを示し、また×印はその領域がないことを示
す。「Zr/β増加領域」の「厚み(μm)」は周期律
表第4a、5a、6a族からなる群より選ばれた金属に
占めるZrの比率が母材内部と比べて高い領域の厚みで
ある。さらに、表1中の「Zr含有β相」はZrの含有
量の多いB1型固溶体相を意味し、○印はその領域があ
ることを示し、また×印はその領域がないことを示す。
「Zr含有β相」の「粒径(μm)」はZrの含有量の多
いB1型固溶体の粒径を示す。
【0036】
【表1】
【0037】また、得られた各超硬合金母材の表面に、
PVD法で膜厚2μmのTiN膜を成膜して切削工具を
作製した。
【0038】そして、この切削工具を用いて下記の条件
で摩耗試験としてステンレス鋼の旋削加工を15分間行
なって切削工具のフランク摩耗量と境界損傷量を測定し
た。なお、切削試験中にフランク摩耗量が0.2mmあ
るいは境界損傷量が0.5mmに達した場合にはその切
削時間を測定した。さらに、靭性試験として溝付合金鋼
のミリング加工を行なって欠損を生じた時の送りを測定
した。これら結果を表2に示す。 摩耗試験 被削材 :ステンレス鋼(SUS304) 工具形状:CNMG432 切削速度:120m/分 送り速度:0.3mm/rev 切り込み:2mm その他 :水溶性切削液使用 靭性試験 被削材 :溝付合金鋼(SCM440H) 工具形状:SDK42 切削速度:80m/分 送り速度:可変 0.2〜0.8mm/刃 切り込み:2mm その他 :乾式切削
【0039】
【表2】
【0040】表1、表2の結果から、母材内部に対する
表面領域の最低硬度が低い試料No.8、9は、耐摩耗
性が悪いものであった。また、最低硬度88%の試料N
o.10では耐欠損性に問題があった。さらに、硬度1
10%と表面領域の硬度が母材内部より高くなっている
試料No.11は境界損傷に問題があって耐欠損性に劣
るものであった。
【0041】これに対して、本発明に従って母材内部に
対する表面領域の最低硬度を90〜98%とした試料N
o.1〜7についてはいずれもフランク摩耗量0.2m
m以下で、境界損傷にも問題がなく、優れた耐摩耗性を
示すものであった。また、靭性試験において欠損を生じ
る送りも実用上十分な0.5mm/刃 以上と優れた耐
欠損性を有するものであった。
【0042】これらは周期律表第4a、5a、6a族か
らなる群より選ばれた金属に占めるZrの比率が母材内
部と比べて高い領域やZrの含有量が多いB1型固溶体
相を有することによっても効果的に得られている。
【0043】また、試料No.1、4、7にあるように
これまで超硬合金母材の高温特性を向上させるとして用
いられてきたTaCをほとんど添加しない場合でも、耐
摩耗性と耐欠損性のバランスが取れた優れた超硬合金母
材を得ることができた。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明の切削工具
に用いられる超硬合金母材によれば、超硬合金母材の表
面近傍に母材内部の硬度と比較して90〜98%の最低
硬度を有する表面領域を有することから、超硬合金母材
の硬度と靭性を兼ね備えることができ、かつこれを切削
工具として用いることによって、ステンレス鋼等の難削
材の切削に対しても優れた耐摩耗性、耐塑性変形性と耐
欠損性を有し、かつ高能率切削が可能な切削工具を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切削工具に用いられる超硬合金母材と
従来の超硬合金母材の母材内部の硬度勾配を示す図であ
る。
【図2】本発明の切削工具に用いられる超硬合金母材内
部の元素分布を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともWCを含む周期律表第4a、
    5a、6a族からなる群より選ばれた金属の炭化物、窒
    化物および/または炭窒化物の1種以上の硬質相成分と
    1種以上の鉄族金属の結合相成分とからなる超硬合金母
    材の表面に被覆層を有する切削工具において、前記超硬
    合金母材の表面近傍に母材内部の硬度と比較して90〜
    98%の最低硬度を有する表面領域を有することを特徴
    とする切削工具。
  2. 【請求項2】 前記周期律表第4a、5a、6a族から
    なる群より選ばれた金属としてZrを含有するととも
    に、前記周期律表第4a、5a、6a族からなる群より
    選ばれた金属に占める前記Zrの比率が前記超硬合金母
    材の内部に比べて高い領域を前記超硬合金母材の表面近
    傍に有することを特徴とする請求項1に記載の切削工
    具。
  3. 【請求項3】 前記Zrの比率が前記超硬合金母材の内
    部に比べて高い領域の厚さが5乃至100μmであるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の切削工具。
  4. 【請求項4】 前記超硬合金母材の内部に2種以上のB
    1型固溶体相が存在し、前記B1型固溶体相のうちの1
    種がそれ以外のB1型固溶体相と比較してZrの含有量
    が多いB1型固溶体相であることを特徴とする請求項2
    または請求項3に記載の切削工具。
  5. 【請求項5】 前記Zrの含有量が多いB1型固溶体相
    の平均粒径が3μm以下であることを特徴とする請求項
    4に記載の切削工具。
  6. 【請求項6】 前記周期律表第4a、5a、6a族から
    なる群より選ばれた金属のうちのTaの含有量が、Ta
    C換算で全量中の1重量%以下であることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の切削工具。
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