JP2003086184A - 二次電池用正極活物質とそれを用いた非水電解液二次電池、および二次電池用正極活物質の分析方法 - Google Patents

二次電池用正極活物質とそれを用いた非水電解液二次電池、および二次電池用正極活物質の分析方法

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JP2003086184A JP2002184321A JP2002184321A JP2003086184A JP 2003086184 A JP2003086184 A JP 2003086184A JP 2002184321 A JP2002184321 A JP 2002184321A JP 2002184321 A JP2002184321 A JP 2002184321A JP 2003086184 A JP2003086184 A JP 2003086184A
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Kazuki Amamiya
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二次電池用正極活物質における電池性能や製
造歩留りを低下させる要因の分析・評価法を確立し、そ
の分析・評価法に基づいて非水電解液二次電池の製造歩
留りや電池性能の向上を図る。 【解決手段】 非水電解液二次電池に用いられる粉体状
の複合金属酸化物(LiCoO2、LiNiO2、LiM
24など)からなる正極活物質である。正極活物質
は、粉体状金属酸化物を0.7以上の分級精度指数κで分
級し、分級比が0.1〜5%の範囲内の粗粉を得たとき、分
級前粉体中の不純物金属元素の含有率Aに対して、分級
粗粉中の不純物金属元素の含有率Bの比(B/A)が1.
5以下とされている。不純物金属元素の含有率はCa、
Mn、Fe、Ni、Cr、Cu、Znなど(粉体状金属
酸化物の構成金属元素を除く)について比較する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二
次電池のような非水電解液二次電池に用いられる正極活
物質とそれを使用した非水電解液二次電池、および二次
電池用正極活物質の分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ノート型パソコン、携帯型情報端
末(PDA)、携帯電話、ビデオカメラなどの携帯用電
子機器が急速に普及している。それに伴って、携帯用電
子機器の電源として用いられている二次電池には、小型
・高容量化、高サイクル寿命化などが強く要求されてい
る。このような要求を満たす二次電池としては、例えば
リチウム塩を含む非水電解液を使用したリチウムイオン
二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池で
は、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24などのL
i含有遷移金属複合酸化物が正極活物質として用いられ
ている。負極には炭素系の材料が用いられ、かつ非水溶
媒中にLiPF6やLiBF4などのリチウム塩を溶解し
た非水電解液が用いられている。
【0003】リチウムイオン二次電池は、従来から用い
られているNi−Cd電池やNi−水素二次電池などに
比べてエネルギー密度が高く、またリチウム金属を用い
た二次電池に比べて安全性の点で格段に優れているとい
うような特徴を有している。このようなことから、リチ
ウムイオン二次電池は携帯用電子機器の電源などとして
多量に使用されている。
【0004】ところで、LiCoO2やLiNiO2など
の正極活物質を用いた正極は、例えば以下のようにして
作製されている。まず、酸化コバルトや水酸化ニッケル
と、炭酸リチウム、水酸化リチウムなどとの混合物を、
大気中や酸素中にて600〜1000℃程度の温度で焼成して
複合酸化物とする。塊状の複合酸化物は数μm〜数10μm
程度の大きさに粉砕され、さらに必要に応じて篩別けな
どにより分級される。このようにして得られた複合金属
酸化物粉末を導電剤や結着剤と共に適当な溶媒中に懸濁
させてスラリーとし、このスラリーを集電体(金属箔)
上に塗布、乾燥して薄板状にすることによって、正極が
作製される(特開平11-135119号公報、同11-149925号公
報など参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の正極を用いたリチウムイオン二次電池
は、初期充電時に電圧低下不良が生じやすいという問題
を有しており、これにより製造歩留りの低下や電池性能
の低下などを招いている。このような現象について検討
したところ、従来の製造方法により作製した正極活物質
中には、粒子状の金属不純物が混入していることが多
く、これらが問題を引き起こしていることが判明した。
粒子状金属不純物の混入量は極僅かであり、正極活物質
全体として不純物金属元素の含有量を分析しても問題に
はならない量であるため、従来の製造工程や分析方法で
は見逃されていたものである。
【0006】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、電池性能や製造歩留りを低下させる要
因(粒子状金属不純物など)の分析・評価法を確立する
ことによって、非水電解液二次電池の製造歩留りを高め
ることを可能にすると共に、電池性能の向上を図った二
次電池用正極活物質、およびそのような正極活物質を用
いた非水電解液二次電池を提供することを目的としてい
る。さらに、電池性能や製造歩留りを低下させる要因
(粒子状金属不純物など)を分析・評価する二次電池用
正極活物質の分析方法を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
正極活物質中に混入した粒子状金属不純物と二次電池の
不良率(特に初期不良率)との関係について調査、検討
を進めたところ、粒子状金属不純物の混入量は正極活物
質全体として見た場合には極僅かであるため、正極活物
質全体について分析した不純物金属元素の含有量と二次
電池の不良率との間には相関関係を見出すことができな
いことが判明した。
【0008】これに対して、正極活物質から粗粉を精度
よく分離し、この粗粉中に含まれる不純物金属元素量を
分析した場合には、この粗粉中の不純物金属元素の含有
量が不良率に密接に関係することが判明した。言い換え
ると、正極活物質をその構成粒子の粒径および密度の差
を利用して高精度に分級することによって、粒子状金属
不純物は粗粉中に濃縮される。そして、この濃縮された
金属不純物元素の含有量(粗粉中の不純物金属元素の含
有量)が二次電池の不良率に密接に関係することを見出
した。
【0009】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであり、本発明の二次電池用正極活物質は請求項
1に記載したように、非水電解液二次電池に用いられる
粉体状金属酸化物からなる正極活物質であって、前記粉
体状金属酸化物をその構成粒子の粒径および密度の差を
利用して分級し、分級比が0.1〜5%の範囲内の粗粉を得
たとき、分級前の前記粉体状金属酸化物中の不純物金属
元素の含有率Aに対して、前記分級により得た前記粗粉
中の前記不純物金属元素の含有率Bの比(B/A)が1.
5以下であることを特徴としている。
【0010】前述したように、二次電池用正極活物質に
は例えば金属不純物が混入しており、これが問題を引き
起こしている。特に、粒径が比較的大きい粒子状金属不
純物(例えば高密度粒子)は、二次電池を初期充電した
際に高い正極電位により溶出しやすい。溶出した金属イ
オンが負極側で還元されて析出すると、析出物がセパレ
ータを突き破って正極側とマイクロショートを引き起こ
すことになる。
【0011】電解液に溶解・析出しやすい粒子状金属不
純物は、その含有量がたとえ数ppmオーダーであって
も、正極内に含まれていると不良を引き起こす原因とな
る。しかし、現状の金属不純物の分析方法では、ほとん
どの分析誤差が数ppmオーダーであるため、例えばCo
原料のような正極材の原料中に元々均一に含まれている
不純物(例えば原子レベルで結晶中に取り込まれている
ような不純物)のバックグランドに埋もれてしまい、粒
子状金属不純物を検出することができない。逆に、不純
物金属元素の含有量の総量が多くても、粗大な不純物粒
子(粒子状金属不純物)が含まれていなければ、不良が
発生しない可能性がある。
【0012】本発明においては、通常の分析方法では検
出することが困難な粒子状金属不純物の含有量を分析・
評価する方法として、正極活物質(粉体状金属酸化物)
を高精度に分級し、得られた粗粉中の不純物金属元素
(二次電池の動作や特性などに悪影響を及ぼす金属元
素)の含有率Bを、分級前の正極活物質中の不純物金属
元素の含有率Aと比較する方法を適用している。すなわ
ち、正極活物質を高精度に分級することによって、粒子
状金属不純物は粗粉側に濃縮される。従って、この粒子
状金属不純物を濃縮した粗粉中の不純物含有率Bを、正
極活物質全体としての不純物含有率(分級前の不純物含
有率)Aと比較することによって、正極活物質中の粒子
状金属不純物の含有量を評価することができる。
【0013】具体的には、正極活物質全体としての不純
物含有率(分級前の不純物含有率)Aに対する粗粉中の
不純物含有率Bの比(B/A)が1.5以下であれば、そ
のような正極活物質を用いて作製した非水電解液二次電
池の製造歩留りや電池性能を高めるこができる。すなわ
ち、上記した不純物金属元素の含有率の比B/Aが1.5
以下であるということは、正極活物質中の粒子状金属不
純物の含有量が十分に低減されていることを意味する。
従って、そのような正極活物質を用いて非水電解液二次
電池を作製することによって、初期充電時の不純物金属
イオンの析出に起因するマイクロショートの発生などを
抑制することができる。これによって、電池性能に優
れ、かつ製造歩留りが高い非水電解液二次電池を再現性
よく提供することが可能となる。
【0014】本発明の二次電池用正極活物質は、請求項
2に記載したように、前記粉体状金属酸化物の分級を分
級精度指数κが0.7以上となるように実施することを特
徴としている。なお、分級精度指数κについては後に詳
述する。このような分級精度指数κで粉体状金属酸化物
の分級を実施し、分級比が0.1〜5%の範囲内の粗粉を得
ることによって、粒子状金属不純物を粗粉中に高精度に
濃縮することが可能となる。従って、粗粉中の不純物金
属元素の含有率が二次電池の不良率に及ぼす影響が大き
くなるため、このような不純物含有率を低く抑えること
によって、より有効に非水電解液二次電池の製造歩留り
や電池性能を高めるこができる。
【0015】本発明の二次電池用正極活物質において、
分級前の粉体状金属酸化物と分級により得た粗粉との間
で含有率を比較する不純物金属元素には、二次電池の動
作や特性などに悪影響を及ぼす金属元素が選択される。
具体的には請求項4に記載したように、Mg、Ca、B
a、Sr、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Cr、N
b、Mo、Ta、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、
Zn、Ga、Ge、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、C
d、In、Sn、Sb、Re、Os、Ir、Tl、P
b、およびBiから選ばれる少なくとも1種の元素(た
だし、前記粉体状金属酸化物を構成する金属元素を除
く)について比較することが好ましい。これらの不純物
金属元素は、それぞれ各単体元素の含有率として、分級
前の粉体状金属酸化物と分級により得た粗粉との間で比
較される。
【0016】本発明の非水電解液二次電池は、請求項8
に記載したように、上記した本発明の二次電池用正極活
物質を含有する正極と、前記正極とセパレータを介して
配置された負極と、前記正極、前記セパレータおよび前
記負極を収納する電池容器と、前記電池容器内に充填さ
れた非水電解液とを具備することを特徴としている。こ
のような非水電解液二次電池によれば、製造歩留り並び
に電池性能の向上を図ることができる。
【0017】本発明の二次電池用正極活物質の分析方法
は、請求項10に記載したように、非水電解液二次電池
に用いられる粉体状金属酸化物からなる正極活物質の分
析方法であって、前記粉体状金属酸化物をその構成粒子
の粒径および密度の差を利用して分級し、分級比が0.1
〜5%の範囲内の粗粉を得る工程と、前記分級前の粉体
状金属酸化物中の不純物金属元素の含有率Aと、前記分
級により得た粗粉中の不純物金属元素の含有率Bをそれ
ぞれ測定する工程と、前記不純物金属元素の含有率Aに
対する前記不純物金属元素の含有率Bの比(B/A)に
基づいて、前記分級前の粉体状金属酸化物中に含まれる
粒子状金属不純物量を評価する工程とを有することを特
徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。本発明の二次電池用正極活物質
は、リチウムイオン二次電池のような非水電解液二次電
池の正極に用いられるものである。このような正極活物
質には、例えばリチウムを含む複合金属酸化物のような
金属酸化物が用いられる。リチウム含有の複合金属酸化
物としては、リチウム−コバルト複合酸化物、リチウム
−ニッケル複合酸化物、リチウム−マンガン複合酸化
物、これらをさらに複合もしくは混合した酸化物などが
挙げられる。
【0019】リチウム−コバルト複合酸化物やリチウム
−ニッケル複合酸化物などは、基本的にはLiAO
2(AはCo、NiおよびMnから選ばれる少なくとも1
種の元素)で表されるものであるが、LiとCoやNi
などとの比率が化学量論組成よりずれていてもよく、酸
素量も化学量論組成に限られるものではない。CoやN
iなどのA元素の一部(例えば10原子%以下)は、S
n、Al、V、Cr、Feなどの遷移金属元素で置換す
ることができる。リチウム−マンガン複合酸化物は、基
本的にはLiB24(BはMn、CoおよびNiから選
ばれる少なくともMnを含む元素)で表されるものであ
るが、LiとMnの比率が化学量論組成より若干ずれて
いてもよく、酸素量も化学量論組成に限られるものでは
ない。MnなどのB元素の一部(例えば10原子%以下)
は、FeやSn、Al、V、Cr、Niなどの遷移金属
元素で置換してもよい。
【0020】すなわち、正極活物質としては、 一般式:LiAax (式中、AはCo、NiおよびMnから選ばれる少なく
とも1種の元素を示し、aおよびxは0.8≦a≦1.1、1.6
≦x≦2.4の範囲の数である。ただし、A元素の10原子
%以下はSn、Al、V、Cr、Feなどの遷移金属元
素で置換可能である)および 一般式:LiBby (式中、BはMn、CoおよびNiから選ばれる少なく
ともMnを含む元素を示し、bおよびyは1.5≦b≦2.
1、3.6≦y≦4.4の範囲の数である。ただし、B元素の1
0原子%以下はFe、Sn、Al、V、Cr、Niなど
の遷移金属元素で置換可能である)から選ばれる少なく
とも1種の複合金属酸化物を用いることが好ましい。
【0021】上述したような複合金属酸化物は粉体化さ
れて正極活物質として用いられる。粉体状の複合金属酸
化物(複合金属酸化物粉末)からなる正極活物質におい
て、この実施形態の二次電池用正極活物質は後に詳述す
る分析・評価法に基づいて粒子状金属不純物の含有量を
評価した際に、以下に示す不純物含有率を満足すること
を特徴とするものである。すなわち、本発明による分析
・評価を行った結果として、分級前の正極活物質(粉体
状複合金属酸化物全体)中の不純物金属元素の含有率A
と、分級比が0.1〜5%の粗粉中の不純物金属元素の含有
率Bとを比較した際に、これら不純物含有率の比(B/
A)が1.5以下である粉体状複合金属酸化物からなる正
極活物質である。
【0022】本発明における正極活物質中の粒子状金属
不純物の分析・評価法について詳述する。本発明の分析
法においては、まず分級比が0.1〜5%の範囲の粗粉を得
るように、粉体状の複合金属酸化物からなる正極活物質
を、その構成粒子の粒径および密度の差を利用して分級
する。この分級はあくまでも粒子状金属不純物の含有量
を分析・評価するために実施するものであって、従来か
ら正極活物質の粒径調整などのために実施されてきた分
級、すなわち粉砕後の正極活物質から粗粉や微粉などを
除去するための分級とは異なるものである。正極活物質
は分級前の粉体状複合金属酸化物の全体により構成され
るものである。言い換えると、分級した粗粉とそれ以外
の粒子(形式的に微粉と呼ぶ)とを含めた粉体全体によ
って、この実施形態の正極活物質が構成される。
【0023】正極活物質の分析・評価法においては、粉
体を高精度に分級することが可能な分級法が適用され
る。すなわち、簡易的な分級としては篩分けが挙げられ
るが、篩では正極活物質に用いられる平均粒径が数μm
から数10μm程度の微細な粉体材料を高精度に分級する
ことはできない。そこで、本発明の分析・評価法におい
ては、重力、慣性力、遠心力などの物理力に対して、粒
子の抵抗力がその粒径や密度によって異なることを利用
して分級を行うものとする。具体的には、重力、慣性
力、遠心力などと流体抵抗力との釣合いに基づいて分級
を行う気流分級を適用することが好ましい。
【0024】気流分級は粉体を大量に処理でき、工業的
に適しているだけでなく、粒子の粒径と共に密度(質
量)に基づいて分級を行うことができる。従って、本発
明における粒子状金属不純物の分析・評価法に好ましく
用いられるものである。ここで、気流分級の代表例とし
ては、自由渦による遠心力と流体抵抗力との釣合いを利
用した分級や強制渦による遠心力と流体抵抗力との釣合
いを利用した分級などが挙げられる。これらのうち、サ
イクロンのような自由渦による遠心力を利用した分級装
置では分散力が弱く、分級精度を十分に高めることがで
きないおそれがある。これに対して、ミクロンセパレー
タ、ターボプレックス、アキュカット、ターボクラシフ
ァイアなどのように、強制渦による遠心力と流体抵抗力
との釣合いを利用して分級を行う分級装置は、分散力が
強いことに加えて粒子へのダメージ小さく、さらに分級
精度に優れることから、特に本発明の粒子状金属不純物
の分析・評価法で用いる分級装置として好適である。
【0025】正極活物質の分析・評価法においては、上
述したような分級装置(特に強制渦による遠心力と流体
抵抗力との釣合いを利用した分級装置)を用いて、例え
ば分級精度指数κが0.7以上となるように正極活物質を
分級し、分級比(質量比)が0.1〜5%の範囲の粗粉を得
る。分級比が0.1〜5%の範囲の粗粉を得ることによっ
て、粒子状金属不純物を粗粉側に有効かつ実用的に濃縮
することができる。粒子状金属不純物を濃縮した粗粉と
分級前の正極活物質との間で金属不純物元素の含有率を
比較することによって、正極活物質全体としての粒子状
金属不純物の含有量を高精度にかつ実用的に評価するこ
とが可能となる。
【0026】すなわち、電解液に溶解・析出しやすい粒
子状金属不純物は、その含有量がたとえ数ppmオーダー
であっても、正極内に含まれていると不良を引き起こす
原因となる。しかし、ICP法などによる通常の金属不
純物の分析方法(定量分析)は分析誤差が数ppmオーダ
ーであるため、粒子状金属不純物量のみを精度よく検出
することはできない。逆に、不純物金属元素の含有量の
総量が多くても、粒子状金属不純物が含まれていなけれ
ば、不良が発生しない可能性がある。これに対して、分
級比が0.1〜5%の範囲の粗粉を得るように正極活物質を
分級することによって、分級粗粉中に通常の分析方法で
は検出することが困難な粒子状金属不純物を濃縮するこ
とができる。従って、分級粗粉中の金属不純物元素の含
有率Bを、分級前の正極活物質中の金属不純物元素の含
有率Aと比較することによって、正極活物質全体として
の粒子状金属不純物の含有量を評価することが可能とな
る。
【0027】上述した正極活物質の分級において、分級
比が5%を超える粗粉では微粉の混入量が多くなること
で、粒子状金属不純物を十分に濃縮することができな
い。従って、そのような粗粉中の金属不純物元素の含有
率Bと正極活物質全体としての金属不純物元素の含有率
Aとを比較しても、二次電池の不良率に密接に関係する
不純物含有率の比(B/A比)を得ることはできない。
一方、分級比が0.1%未満であると、二次電池の不良率
に密接に関係する不純物含有率の比(B/A比)を求め
るための測定試料、すなわち組成分析に必要な量の測定
試料を得るために、大量の分級処理が必要になることか
ら好ましくない。粗粉中の不純物含有率Bと正極活物質
全体としての不純物含有率Aとの比較の実用性を高める
上で、粗粉の分級比は1〜3%の範囲とすることがより好
ましい。
【0028】正極活物質の分級は、分級精度指数κが0.
7以上となるように実施することが好ましい。分級精度
指数κが0.7未満ということは、粗粉の分離精度が低い
ことを意味し、粗粉の粒度分布がブロードな状態とな
る。このような粗粉では粒子状金属不純物を十分に濃縮
することができないため、不純物含有率の比(B/A
比)と二次電池の不良率との間の相関性が弱まってしま
う。従って、B/A比を所定の範囲内とした正極活物質
であっても、二次電池の不良率を十分に低減することが
できないおそれがある。分級精度指数κは0.8以上とす
ることがより好ましい。分級精度指数κが高いというこ
とは粒子状金属不純物がより高度に濃縮された状態とな
るため、このような高濃縮状態における不純物含有率が
低いほど、正極活物質全体としての粒子状金属不純物量
が少ないことを意味する。
【0029】ここで、分級精度指数κは以下のようにし
て求められるものである。すなわち、まず下記の(1)式
に基づいて部分分級効率η(d)を求める。なお、部分
分級効率η(d)は、連続的に変化する粒径をいくつか
の区画に分割し、その区画内の回収率を示すものであ
り、各粉体の粒度分布から求められる。
【数1】
【0030】上記した(1)式は部分分級効率曲線として
示され、この曲線の傾きが鋭い(大きい)ほど分級精度
が高いことを意味する。分級精度指数κは分級精度を定
量化した値であり、部分分級効率が25%のときの粒径
(Dp25(μm))と部分分級効率が75%のときの粒径
(Dp75(μm))との値から、下記の(2)式により求め
られる値である。 κ=Dp25/Dp75 …(2) この場合、分級精度指数κは1より小さい値となり、1に
近づくほど分級精度が高いことを意味する。
【0031】正極活物質(LiCoO2)を実際に分級
した結果の一例(後述する実施例1の試料1の分級結
果)を、表1、表2、図1、図2および図3に示す。正
極活物質の分級は、気流式分級装置としてターボクラシ
ファイアを用いて実施し、粗粉と微粉の割合が2:98(粗
粉の分級比=2%)となるように分級条件を調整した。
この際、風量は分散力を高めるために装置の最大風量を
使用し、分級比はロータ回転数で調整した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】表1は分級前粉体(正極活物質)、分級粗
粉、分級微粉、および粗粉+微粉の質量累積頻度(%)
を示している。なお、(1)式の部分分級効率η(d)の
計算式では、原料の質量累積粒度R0(di)、R0(di
+1)を用いているが、分級時における一部粒子の損失な
どを考慮して、(1)式に基づいて部分分級効率η(d)
を計算する際には、R0(di)、R0(di+1)は粗粉+
微粉の質量累積頻度(%)を便宜的に使用するものとす
る。表1の部分分級効率はこのようにして求めたもので
ある。図1は表1による各累積頻度(%)および部分分
級効率(%)をグラフ化したものである。なお、表2は
分級前粉体(正極活物質)、分級粗粉、分級微粉、およ
び粗粉+微粉の粒度分布(各粒子サイズの頻度(%))
であり、図2は各粉体の粒子サイズと頻度に基づく粒度
分布グラフである。
【0035】この分級例の分級精度指数κを上述した
(2)式に基づいて算出したところ、分級精度指数κは0.9
0であり、粗粉が精度よく分級されていることが分か
る。分級精度が高いことは図1および図2からも明らか
である。なお、分級精度指数κを算出するにあたって
は、まず図3に示すように、部分分級効率(%)と粒子
サイズとの関係をグラフ化し、このグラフからDp25
p75を求める。この分級例のDp25は17.9μm、Dp75
19.8μmである。従って、分級精度指数κはDp25/Dp
75=17.9/19.8=0.90となる。
【0036】なお、本発明における分級前粉体や分級粉
体などの粒度分布は、粒子にレーザ光を当てたときに起
こる光の散乱現象を利用した、LEEDS & NORTHRUP社製
のMICROTRAC II PARTICLE-SIZE ANALYZERを用いて測定
した値を指すものとする。また、各粉体中の不純物金属
元素の含有率は、測定試料を塩酸などにより溶解した
後、ICP分析法により測定した値を示すものとする。
【0037】この実施形態の二次電池用正極活物質は、
上述したような条件に基づいて正極活物質の分級を行っ
た際に、正極活物質(分級前の粉体状複合金属酸化物全
体)中の不純物金属元素の含有率Aに対して、分級によ
り得た粗粉中の不純物金属元素の含有率Bの比(B/
A)が1.5以下であることを特徴とするものである。な
お、本発明の正極活物質はその製造方法に限定されるも
のではなく、上述した分析・評価法に基づく不純物含有
率の比(B/A比)が1.5以下であれば本発明の構成を
満足するものである。
【0038】上述した分析・評価法に基づく不純物含有
率の比(B/A比)が1.5以下であるということは、正
極活物質中の粒子状金属不純物の含有量が十分に低減さ
れていることを意味する。従って、そのような正極活物
質を用いて非水電解液二次電池を作製することによっ
て、初期充電時の不純物金属イオンの析出に起因するマ
イクロショートの発生などを抑制することが可能とな
る。上述した条件で分析・評価した際の正極活物質の不
純物含有率の比(B/A比)は1.1以下であることがよ
り好ましい。
【0039】分級前の正極活物質と分級により得た粗粉
との間で含有率を比較する不純物金属元素には、非水電
解液二次電池の動作や特性などに悪影響を及ぼす金属元
素が選択される。正極活物質を構成する金属元素以外の
金属元素を含む粒子状金属不純物は、二次電池を初期充
電した際に金属イオンとして溶出し、この溶出した金属
イオンが負極側で還元されて析出し、この析出物がセパ
レータを貫通して正極と接触することによって、マイク
ロショートなどを引き起こすことになる。従って、各種
の金属元素が比較の対象となるが、特に不純物イオンと
なりやすい金属元素、具体的にはMg、Ca、Ba、S
r、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Nb、M
o、Ta、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Ga、Ge、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、I
n、Sn、Sb、Re、Os、Ir、Tl、Pb、およ
びBiから選ばれる少なくとも1種の元素(ただし、正
極活物質を構成する金属元素を除く)について比較する
ことが好ましい。
【0040】なお、上記した不純物金属元素の含有率
A、Bは、それぞれ各単体元素について求め、これら各
単体金属の含有率A、BからそれぞれB/A比を算出す
るものとする。すなわち、対象とする不純物金属元素に
ついて、分級前の正極活物質中の含有率Aと粗粉中の含
有率Bを求め、これら各含有率A、BからB/A比を算
出し、このB/A比が1.5以下である場合に、本発明の
二次電池用正極活物質を構成するものである。
【0041】不純物金属元素の含有率A、Bの測定およ
び比較は、上記した全ての金属元素に対して行い、それ
ら全ての金属元素についてB/A比が1.5以下を満足さ
せることが最も望ましいが、少なくとも有意に含有して
いる元素について、上記した条件を満足させれば電池特
性および製造歩留りの向上を図ることができる。さら
に、簡便には粉砕機の摩耗粉などの製造工程で混入する
と考えられる元素、例えばFe、Cr、Cu、Zn、M
g、Caが上記した条件を満足していれば、電池特性お
よび製造歩留りの向上を図ることができる。
【0042】上述したように、粒子状金属不純物は二次
電池の初期充電時における電圧低下不良などの原因とな
るため、本発明においては不純物含有率の比(B/A
比)が1.5以下であることを基準として、粒子状金属不
純物の含有量が十分に低減されている正極活物質を提供
するものである。このような正極活物質を用いて非水電
解液二次電池を作製することによって、初期充電時の不
純物金属イオンの析出に起因するマイクロショートの発
生などを抑制することができるため、電池特性および製
造歩留りの向上を図ることが可能となる。すなわち、非
水電解液二次電池の製造不良や初期不良の発生が大幅に
削減され、さらには電池性能の向上を図ることができ
る。
【0043】上述した不純物含有率の比(B/A比)が
1.5以下の二次電池用正極活物質は、例えば粗大な粒子
状金属不純物の含有率が低い原料を用いると共に、製造
工程で粒子状金属不純物の混入を抑制するプロセスを採
用したり、あるいは最終工程で混入した粗大な不純物粒
子を除去するなどによって得ることができる。ただし、
前述したように本発明の正極活物質の製造方法は特に限
定されるものではなく、あくまでも前述した分析・評価
法に基づく不純物含有率の比(B/A比)が1.5以下で
あれば本発明の正極活物質として用いることができるも
のである。
【0044】正極活物質の製造方法の一例を示すと、ま
ず通常の焼成法にしたがってLiCoO2、LiNi
2、LiMn24などのLi含有複合金属酸化物を合
成する。Li含有複合金属酸化物の合成工程は、リチウ
ムの化合物とコバルト、ニッケル、マンガンなどの化合
物とを原料として用い、これらを所定の比率で混合した
後、例えば大気中にて650〜950℃の温度で焼成すること
により実施される。原料としての化合物には、酸化物、
炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物などが用いられる。
これらは金属性不純物量が少ないものを使用することが
好ましい。焼成に先立って、金属不純物を除去するため
の精製などを実施してもよい。さらに、酸化コバルト粉
末と炭酸リチウムなどの各原料粉を所定の割合で混合す
る前に、使用原料を100℃以上の温度で1時間以上乾燥さ
せることも有効である。これにより原料粉の流動性が向
上して、混合装置の磨耗による不純物粒子の混入を抑制
することができる。
【0045】合成工程により得られたLi含有複合金属
酸化物(焼成物)は粉砕機を用いて、例えば平均粒径が
0.5〜15μm、より好ましくは1〜10μmとなるように粉砕
される。この際、粒子状金属性不純物の混入を防止する
ように、粉砕機の粒子接触部に磨耗が極めて少ない材料
や磨耗しても不良を起こさない材料を使用することが好
ましい。具体的には、セラミックスや樹脂などで粒子接
触部をコーティングすることは有効である。全ての部品
を上記したような材料でコーティングする必要はなく、
粒子が高速で接触する部分や金属同士がぶつかり合う部
分のみに上記したようなコーティングを施すだけでも効
果がある。
【0046】焼成物の粉砕にあたっては、ジェットミル
のような粒子同士の衝突で粉砕するような粉砕機を用い
ることが有効である。さらに、粉砕並びに粒子制御のた
めの篩分けなどを行った後に、粒子状金属不純物を含む
粗大粒子を取り除くために、分級や酸などによる溶解除
去を実施することも有効である。この後、上述した分析
・評価法に基づいて粒子状金属不純物の含有量を調べ
る。そして、粒子状金属不純物の分析・評価法における
不純物含有率の比(B/A比)が1.5以下の二次電池用
正極活物質は、次いで導電剤と混合された後、さらに結
着剤および溶媒が加えられてスラリー化される。このス
ラリーを集電体(金属箔など)上に塗布し、加熱乾燥し
て薄板状にした後、所定の寸法に切断することによっ
て、非水電解液二次電池の正極が得られる。
【0047】上述したように、正極活物質を製造する際
の代表的な工程としては、原料の混合工程、混合物の焼
成工程、焼成物の粉砕工程、粉砕物の分級工程の4つが
挙げられる。不純物の混入を防ぐための1つの手段とし
て、各製造装置の粒子接触部を非金属材料で構成するこ
とが挙げられる。ただし、全ての粒子接触部を非金属製
または非金属コーティングとすることは、製造装置のコ
スト増などを招くことから、工業的には正極活物質の製
造コストの増加要因となる。また、金属が露出した部分
が多少なりとも残るため、金属不純物の混入を完全に防
ぐことは難しい。特に、正極活物質の代表的な製造工程
においては、ステンレス(SUS)などの金属材料を用
いた製造装置が使用されており、Feなどの金属不純物
が混入しやすい環境にある。
【0048】本発明の二次電池用正極活物質は、基本的
には前述した分析・評価法に基づく不純物含有率の比
(B/A比)が1.5以下のものを選択することにより得
ることができる。ただし、積極的に不純物含有率の比
(B/A比)を1.5以下とする上で、以下に示すような
製造工程が好ましい例として挙げられる。まず第1に、
前述した原料粉の乾燥工程を実施することが好ましい。
乾燥温度は100℃以上であればよいが、あまり温度が高
いと乾燥設備に負担がかかることから、乾燥温度は100
〜300℃程度とすることが好ましい。乾燥時間も1時間以
上であればよく、あまり長いと乾燥設備に負担がかかる
ため、乾燥時間は1〜10時間程度とすることが好まし
い。
【0049】第2に、製造装置の粒子接触部に非金属コ
ーティングを施すことが挙げられる。非金属コーティン
グ材には、ガラス、窒化物、酸化物、炭化物などのセラ
ミックス材料、ウレタン樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ
樹脂、液晶樹脂などの樹脂材料などを用いることが好ま
しい。特に、樹脂コーティングは好適である。正極活物
質は硬度が高く、さらに粉砕工程や分級工程などといっ
た正極活物質が激しくぶつかる工程が存在する。このた
め、セラミックス材料などの弾性力が低い高硬度のコー
ティング材では磨耗が激しく、直ぐに削り取られてしま
うおそれが大きい。コーティング材が磨耗して金属部品
が露出すると、そこから不純物金属が正極活物質に混入
するだけでなく、削れたセラミックスコーティング材も
混入して悪影響を及ぼすおそれがある。このようなこと
から、粒子接触部のコーティングには、セラミックスコ
ーティングよりも弾性力のある樹脂コーティングの方が
好ましい。さらに、製造工程によっては100℃以上の高
温下で行われることもあるため、コーティング材は耐熱
性を有していることが好ましい。
【0050】なお、上述した本発明の分析方法は、二次
電池用正極活物質の分析・評価に効果を発揮するもので
あるが、必ずしも二次電池用正極活物質に限られるもの
ではなく、各種の粉体材料(例えば二次電池用正極活物
質や蛍光体粉末などを含む粉体状電子機能材料)中に含
まれる粒子状金属不純物の分析・評価に適用することが
可能である。
【0051】次に、本発明の非水電解液二次電池の実施
形態について説明する。図4は本発明の非水電解液二次
電池をリチウムイオン二次電池に適用した一実施形態の
構造を一部断面で示す図である。同図において、1は例
えばステンレスからなる電池容器(電池缶)である。こ
の電池容器1の底部には、絶縁体2が配置されている。
電池容器1の形状としては、例えば有底円筒状や有底角
筒状などが適用される。本発明は円筒形二次電池および
角型二次電池のいずれにも適用可能である。電池容器1
は負極端子を兼ねている。電池容器1内には発電要素と
して電極群3が収納されている。
【0052】電極群3は、正極4、セパレータ5および
負極6をこの順序で積層した帯状物を、負極6が外側に
位置するように、例えば渦巻き状に巻回した構造を有し
ている。電極群3は渦巻き型に限らず、正極4、セパレ
ータ5および負極6をこの順序で複数積層したものであ
ってもよい。電極群3が収納された電池容器1内には、
非水電解液が充填されている。電池容器1内の電極群3
の上方には、中央部が開口された絶縁紙7が載置されて
いる。電池容器1の上方開口部には絶縁封口板8が配置
されている。絶縁封口板8は、電池容器1の上端部付近
を内側にかしめ加工することによって、電池容器1に対
して液密に固定されている。
【0053】絶縁封口板8の中央部には、正極端子9が
嵌合されている。正極端子9には正極リード10の一端
が安全弁11を介して接続されている。正極リード10
の他端は、正極4に接続されている。負極6は図示しな
い負極リードを介して、負極端子である電池容器1に接
続されている。これらによって、非水電解液二次電池と
してのリチウムイオン二次電池12が構成されている。
【0054】次に、電極群3を構成する正極4、セパレ
ータ5および負極6と非水電解液について、さらに詳し
く述べる。まず、正極4は本発明の二次電池用正極活物
質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁させ、この
懸濁物を集電体上に塗布、乾燥して薄板状にすることに
より作製される。
【0055】正極活物質に混合される導電剤や結着剤と
しては、従来から非水電解液二次電池に用いられてい
る、種々の材料を使用することができる。導電剤として
はアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などが
用いられる。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVD
F)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPD
M)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などが用い
られる。正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合
は、正極活物質80〜95質量%、導電剤3〜20質量%、結
着剤2〜7質量%の範囲とすることが好ましい。正極活物
質、導電剤および結着剤を含む懸濁物を塗布する集電体
としては、例えばアルミニウム箔、ステンレス箔、ニッ
ケル箔などが用いられる。
【0056】セパレータ5、負極6、非水電解液などの
他の電池構成要素についても、従来から非水電解液二次
電池に用いられている種々の材料や構成を適用すること
ができる。例えば、セパレータ5としては合成樹脂製不
織布、ポリエチレン製多孔質フィルム、ポリプロピレン
製多孔質フィルムなどが用いられる。負極6は負極活物
質と結着剤とを適当な溶媒に懸濁し、この懸濁液を集電
体上に塗布、乾燥して薄板状とすることにより作製され
る。
【0057】負極活物質としては、リチウムイオンを吸
蔵・放出することが可能な、熱分解炭素類、ピッチ・コ
ークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、フェノー
ル樹脂やフラン樹脂のような有機高分子化合物の焼成
体、炭素繊維、活性炭などの炭素材料、あるいは金属リ
チウム、Li−Al合金のようなリチウム合金、ポリア
セチレンやポリピロールのようなポリマーなどが用いら
れる。結着剤には正極5と同様なものが用いられる。負
極活物質と結着剤の配合割合は、負極活物質90〜95質量
%、結着剤2〜10質量%の範囲とすることが好ましい。
負極活物質および結着剤を含む懸濁物を塗布する集電体
としては、例えば銅、ステンレス、ニッケルなどの箔、
メッシュ、パンチドメタル、ラスメタルなどが用いられ
る。
【0058】さらに、非水電解液は非水溶媒に電解質を
溶解することにより調製される。非水溶媒としては、例
えばリチウムイオン二次電池の溶媒として公知の各種非
水溶媒を用いることができる。非水電解液用の非水溶媒
は特に限定されるものではないが、例えばプロピレンカ
ーボネート、エチレンカーボネートなどと、ジメチルカ
ーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカー
ボネート、γ−ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタ
ン、1,2-ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタンな
どとの混合溶媒などが用いられる。電解質としては、L
iPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li
CF3SO3などのリチウム塩が例示される。このような
電解質の非水溶媒に対する溶解量は0.5〜1.5mol/L(リ
ットル)の範囲とすることが好ましい。
【0059】上述したような本発明を適用したリチウム
イオン二次電池12によれば、正極活物質中の粒子状金
属不純物量が低減されていることから、初期充電時のマ
イクロショートの発生などを有効に抑制することができ
る。従って、リチウムイオン二次電池12の製造歩留り
を大幅に高めることが可能となる。さらに、粒子状金属
不純物は電池性能の低下要因ともなるため、その含有量
が低減されているリチウムイオン二次電池12は優れた
電池性能を発揮するものである。
【0060】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例およびその評
価結果について述べる。
【0061】実施例1、比較例1 まず、酸化コバルト粉末と炭酸リチウムとを所定の割合
で混合し、空気中にて900℃で4時間焼成した。この焼成
物を適当な粉砕機を用いて粉砕した後、塊状の粗大粒子
や微細粒子などを除くために篩分けを行った。このよう
にして、平均粒径(D50)が1〜20μmのLiCoO2
末をそれぞれ正極活物質(試料1〜3)として得た。これ
らの正極活物質粉末はその製造にあたって、粉砕機、成
形機、混合機、分級機などの材質、これら製造に用いる
装置の運転条件などを調整することで、粒子状金属不純
物量の低減を図ったものである。
【0062】次に、上記した各正極活物質中に含まれる
粒子状金属不純物量を分析・評価するために、前述した
方法並びに条件にしたがって正極活物質をそれぞれ分級
した。各正極活物質の分級は、粗粉の分級比がそれぞれ
2%となるように、また分級精度指数κが0.9程度となる
ように条件を調整した。分級は前述したようにターボク
ラシファイアを用いて実施した。
【0063】次いで、各正極活物質の分級前粉体、分級
粗粉および分級微粉の粒度分布を以下のようにして測定
した。まず、各試料を0.5g採取し、これを100mlの水中
に投入して撹拌した。さらに超音波分散を100W,3minの
条件で行った後、LEEDS &NORTHRUP社製のMICROTRAC II
PARTICLE-SIZE ANALYZER TYPE7997-10を使用して粒度
分布を測定した。これらの粒度分布から各正極活物質の
分級精度指数κを求めた。各試料の具体的な分級精度指
数κを表3に示す。なお、実施例1の試料1の具体的な
分級結果は前述したように、表1、表2、図1、図2お
よび図3に示した通りである。
【0064】そして、これら各正極活物質(試料1〜3)
について、分級前の正極活物質中のFe含有率と分級粗
粉中のFe含有率を、それぞれ不純物金属元素の含有率
A、Bとして測定した。不純物金属元素の含有率は、前
述した方法に基づいて測定した。これらの不純物金属元
素の含有率A、Bと、それらの値からB/A比を求め
た。各正極活物質の不純物含有率A、B、およびB/A
比はそれぞれ表3に示す通りである。
【0065】一方、本発明との比較例1として、焼成後
の粉砕条件や篩分け条件を変更する以外は、実施例1と
同様にして、LiCoO2粉末からなる正極活物質(試
料4〜5)を作製した。これらについても、実施例1と同
様にして粒子状金属不純物量を分析・評価を行った。そ
の結果は表3に示す通りである。
【0066】上述した実施例1および比較例1による各
正極活物質を使用して、リチウムイオン二次電池をそれ
ぞれ作製した。なお、リチウムイオン二次電池の作製に
あたっては、分級前粉体(粗粉+微粉)をそれぞれ正極
活物質として用いた。まず、正極活物質90質量%と導電
剤としてグラファイト6質量%と結着剤としてポリフッ
化ビニリデン4質量%とを混合して正極合剤を調製し
た。この正極合剤をN-メチル-2-ピロリドンに分散させ
てスラリー状とし、これをアルミニウム箔に塗布、乾燥
させた後、ローラープレス機で圧縮成形した。これを所
定のサイズに裁断することによって、シート状の正極を
得た。
【0067】一方、炭素材料93質量%と結合剤としての
ポリフッ化ビニリデン7質量%とを混合して負極合剤を
調製した。この負極合剤を用いる以外は、正極と同様に
してシート状の負極を作製した。そして、シート状の正
極と微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータと
シート状の負極をこの順序で積層し、この積層物を負極
が外側に位置するように渦巻き状に巻回することにより
電極群を作製した。この電極群にリードを取り付けて有
底円筒状の容器(電池缶)に収容し、さらに非水電解液
を封入することにより、円筒形リチウムイオン二次電池
を組立てた。なお、非水電解液はエチレンカーボネート
とメチルエチルカーボネートの1:1混合溶媒に1mol/Lの
濃度でLiPF6を溶解して調製した。
【0068】このようにして作製した実施例1および比
較例1の各円筒形リチウムイオン二次電池の特性を以下
のようにして測定、評価した。まず、組立てた電池の初
充電として、20℃の環境の下で0.6Aの電流制限を設け
て、4.2Vの定電圧充電を8時間行った。これを10日間室
温で保存した後に電圧を測定した。この10日間放置後の
電圧をそれぞれ表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】表3から明らかなように、実施例1および
比較例1による各正極活物質は、分級前粉体のFe含有
率がほとんど同等の値を示している。それにもかかわら
ず、そのような各正極活物質を用いて作製したリチウム
イオン二次電池については、実施例1では10日間放置後
の電圧低下が僅かであるのに対して、比較例1では大幅
に電圧が低下していることが分かる。これは、実施例1
の各正極活物質はいずれもB/A比が1.5以下であり、
粒子状金属不純物の含有量が少ないのに対して、比較例
1の各正極活物質はいずれもB/A比が1.5を超えてお
り、粒子状金属不純物を多く含んでいることに起因する
ものである。
【0071】このように、本発明の分析・評価法を適用
することによって、通常の分析方法では検出することが
困難な粒子状金属不純物を粗粉側に濃縮することができ
る。その結果として、分級粗粉中の不純物含有率Bと分
級前の正極活物質中の不純物含有率Aから求められるB
/A比によって、正極活物質全体としての粒子状金属不
純物の含有量を有効に評価することができる。そして、
評価結果としてのB/A比が1.5以下の正極活物質を使
用することによって、初期不良を抑制したリチウムイオ
ン二次電池を再現性よく得ることが可能となる。
【0072】実施例2〜6、比較例2〜6 上記した実施例1と同様にして、実施例2〜6の各試料
として正極活物質(LiCoO2粉末)をそれぞれ作製
した。この際、粉砕機、成形機、混合機、分級機などの
材質、これら製造に用いる装置の運転条件などを調整す
ることで、それぞれ粒子状金属不純物量の低減を図っ
た。
【0073】上記した各正極活物質中に含まれる粒子状
金属不純物量の分析・評価を、実施例1と同様にして行
った。なお、分析・評価用の分級についても実施例1と
同様な条件下で行った。分級前粉体と分級粗粉中の不純
物金属元素の含有率A、Bは、実施例2ではCu含有
率、実施例3ではZn含有率、実施例4ではCr含有
率、実施例5ではCa含有率、実施例6ではMg含有率
をそれぞれ測定した。各実施例の測定結果は表4〜表8
にそれぞれ示す通りである。
【0074】一方、本発明との比較例2〜6として、焼
成後の粉砕条件や篩分け条件を変更する以外は、実施例
2〜6と同様にして、LiCoO2粉末からなる正極活
物質を作製した。これらについても、実施例2〜6と同
様にして粒子状金属不純物量を分析・評価を行った。そ
の結果は表4〜表8にそれぞれ示す通りである。
【0075】このような実施例2〜6および比較例2〜
6による各正極活物質を使用して、実施例1と同様にし
てリチウムイオン二次電池をそれぞれ作製した。これら
各リチウムイオン二次電池を実施例1と同一条件で充電
し、同様に10日間放置後の電圧を測定した。それらの測
定結果を表4〜表8にそれぞれ示す。
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】表4〜表8から明らかなように、実施例2
〜6によるB/A比が1.5以下の各正極活物質を用いて
作製したリチウムイオン二次電池は、いずれも10日間放
置後の電圧低下が僅かであることが分かる。このよう
に、不純物金属元素としてのCu、Zn、Cr、Ca、
MgなどのB/A比が1.5以下の正極活物質を用いた場
合においても、初期不良を抑制したリチウムイオン二次
電池を再現性よく得ることができる。
【0082】なお、上記した実施例1〜6では不純物金
属元素としてFe、Cu、Zn、Cr、Ca、Mgを取
り上げた。これは前述したように、正極活物質の製造装
置がステンレスなどの鉄合金で形成されていることが多
いため、特に混入しやすい不純物金属元素として上記し
た元素を示したものである。他の金属元素についても、
不純物金属元素の含有率の比(B/A比)を1.5以下に
することによって同様な効果を得ることができる。
【0083】実施例7、比較例7 上記した実施例1および比較例1と同様にして、実施例
7および比較例7の各試料として正極活物質(LiCo
2粉末)をそれぞれ作製した。これら各正極活物質中
に含まれる粒子状金属不純物量の分析・評価を、実施例
1と同様にして行った。なお、分級については分級精度
指数κが0.8程度となるように調整した。分級前粉体と
分級粗粉中の不純物金属元素の含有率A、Bは、実施例
1と同様にFe含有率を測定した。実施例7および比較
例7の測定結果を表9示す。
【0084】このような実施例7および比較例7による
各正極活物質を使用して、実施例1と同様にしてリチウ
ムイオン二次電池をそれぞれ作製した。これら各リチウ
ムイオン二次電池を実施例1と同一条件で充電し、同様
に10日間放置後の電圧を測定した。それらの測定結果を
表9に示す。
【0085】
【表9】
【0086】表9から明らかなように、分級精度指数κ
が0.7以上となるように分級し、その結果に基づいて求
めたB/A比が1.5以下の正極活物質を用いることによ
って、リチウムイオン二次電池の初期不良を抑制するこ
とができる。なお、実施例7および比較例7では、分級
精度指数κを実施例1より若干低く設定しているため、
分級粗粉中のFe含有率が若干低いことが分かる。これ
は分級粗粉中への粒子状金属不純物の濃縮の程度が若干
低下しているためである。ただし、分級精度指数κが0.
7以上の分級に基づくB/A比が1.5以下の正極活物質に
よれば、リチウムイオン二次電池の初期不良を確実に抑
制できることが分かる。
【0087】実施例8、比較例8 水酸化ニッケル粉末と水酸化リチウム粉末とを所定の割
合で混合し、空気中にて700℃で6時間焼成した。この焼
成物を適当な粉砕機を用いて粉砕した後、塊状の粗大粒
子や微細粒子などを除くために篩分けを行った。このよ
うにして、LiNiO2粉末からなる正極活物質を得
た。この正極活物質の製造にあたって、粉砕機、成形
機、混合機、分級機などの材質、これら製造に用いる装
置の運転条件などを調整することによって、粒子状金属
不純物量の低減を図った。
【0088】上記した正極活物質中に含まれる粒子状金
属不純物量の分析・評価を、実施例1と同様にして行っ
た。なお、分析・評価用の分級についても実施例1と同
様な条件下で行った。分級前粉体と分級粗粉中の不純物
金属元素の含有率A、Bは、実施例1と同様にFeにつ
いて求めた。その結果は表10に示す通りである。
【0089】一方、本発明との比較例8として、焼成後
の粉砕条件や篩分け条件を変更する以外は、実施例8と
同様にしてLiNiO2粉末からなる正極活物質を作製
した。この正極活物質についても、実施例8と同様にし
て粒子状金属不純物量を分析・評価した。その結果は表
10に示す通りである。
【0090】このような実施例8および比較例8による
各正極活物質(LiNiO2粉末)を使用して、実施例
1と同様にしてリチウムイオン二次電池をそれぞれ作製
した。これら各リチウムイオン二次電池を実施例1と同
一条件で充電し、同様に10日間放置後の電圧を測定し
た。それらの測定結果を表10にそれぞれ示す。
【0091】
【表10】
【0092】表10から明らかなように、LiNiO2
からなる正極活物質を用いる場合においても、LiNi
2粉末のB/A比が1.5以下であれば、リチウムイオン
二次電池の初期不良を抑制し得ることが分かる。
【0093】実施例9、比較例9 二酸化マンガン粉末と炭酸リチウムとを所定の割合で混
合し、空気中にて800℃で6時間焼成した。この焼成物を
適当な粉砕機を用いて粉砕した後、塊状の粗大粒子や微
細粒子などを除くために篩分けを行った。このようにし
て、LiMn 24粉末からなる正極活物質を得た。この
正極活物質の製造にあたって、粉砕機、成形機、混合
機、分級機などの材質、これら製造に用いる装置の運転
条件などを調整することによって、粒子状金属不純物量
の低減を図った。
【0094】上記した正極活物質中に含まれる粒子状金
属不純物量の分析・評価を、実施例1と同様にして行っ
た。なお、分析・評価用の分級についても実施例1と同
様な条件下で行った。分級前粉体と分級粗粉中の不純物
金属元素の含有率A、Bは、実施例1と同様にFeにつ
いて求めた。その結果は表11に示す通りである。
【0095】一方、本発明との比較例9として、焼成後
の粉砕条件や篩分け条件を変更する以外は、実施例9と
同様にしてLiMn24粉末からなる正極活物質を作製
した。この正極活物質についても、実施例9と同様にし
て粒子状金属不純物量を分析・評価した。その結果は表
11に示す通りである。
【0096】このような実施例9および比較例9による
各正極活物質(LiMn24粉末)を使用して、実施例
1と同様にしてリチウムイオン二次電池をそれぞれ作製
した。これら各リチウムイオン二次電池を実施例1と同
一条件で充電し、同様に10日間放置後の電圧を測定し
た。それらの測定結果を表11にそれぞれ示す。
【0097】
【表11】
【0098】表11から明らかなように、LiMn24
からなる正極活物質を用いる場合においても、LiMn
24粉末のB/A比が1.5以下であれば、リチウムイオ
ン二次電池の初期不良を抑制し得ることが分かる。
【0099】なお、上記した各実施例においては、分級
前の正極活物質を用いてリチウムイオン二次電池を作製
したが、分級により得た粗粉(正極活物質から分級粗粉
を除いたもの)を用いてリチウムイオン二次電池を作製
しても、当然ながら同様な結果が得られるものである。
【0100】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では電池性
能や製造歩留りを低下させる要因(粒子状金属不純物な
ど)の分析・評価法を確立し、この分析・評価法に基づ
いて正極活物質中の粒子状金属不純物量を評価してい
る。従って、本発明の条件を満足する二次電池用正極活
物質を用いることによって、非水電解液二次電池の製造
歩留りや電池性能を再現性よく向上させることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1による正極活物質(試料
1)の分級評価の前後における各粉体の累積頻度と部分
分級効率を示す図である。
【図2】 本発明の実施例1による正極活物質(試料
1)の分級評価の前後における各粉体の粒度分布を示す
図である。
【図3】 本発明の実施例1による正極活物質(試料
1)の分級評価における分級精度指数を求めるために作
製した部分分級効率と粒子サイズとの関係を示す図であ
る。
【図4】 本発明の一実施形態による非水電解液二次電
池の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1……電池容器,4……正極,5……セパレータ,6…
…負極,12……非水電解液二次電池
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 4/04 H01M 4/04 Z 10/40 10/40 Z (72)発明者 白川 康博 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 竹内 肇 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 大屋 恭正 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 東 芝電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 田中 弘真 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 雨宮 一樹 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 遠藤 昌太 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 4G048 AA04 AB01 AC06 AE05 5H029 AJ02 AJ14 AK03 AL06 AL07 AL08 AL12 AL16 AM05 AM07 BJ02 BJ14 CJ01 DJ16 HJ01 HJ02 5H050 AA02 AA19 BA17 CA07 CB07 CB08 CB12 CB20 DA02 EA09 EA23 FA05 GA01 HA01 HA02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非水電解液二次電池に用いられる粉体状
    金属酸化物からなる正極活物質であって、 前記粉体状金属酸化物をその構成粒子の粒径および密度
    の差を利用して分級し、分級比が0.1〜5%の範囲内の粗
    粉を得たとき、分級前の前記粉体状金属酸化物中の不純
    物金属元素の含有率Aに対して、前記分級により得た前
    記粗粉中の前記不純物金属元素の含有率Bの比(B/
    A)が1.5以下であることを特徴とする二次電池用正極
    活物質。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の二次電池用正極活物質に
    おいて、 前記粉体状金属酸化物の分級は、分級精度指数κが0.7
    以上となるように実施することを特徴とする二次電池用
    正極活物質。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の二次電池
    用正極活物質において、 前記粉体状金属酸化物の分級は、強制渦による遠心力と
    流体抵抗力の釣合いに基づく分級装置を用いて実施する
    ことを特徴とする二次電池用正極活物質。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    記載の二次電池用正極活物質において、 前記不純物金属元素は、Mg、Ca、Ba、Sr、S
    c、Y、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Nb、Mo、T
    a、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、
    Ge、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、S
    n、Sb、Re、Os、Ir、Tl、Pb、およびBi
    から選ばれる少なくとも1種の元素(ただし、前記粉体
    状金属酸化物を構成する金属元素を除く)であることを
    特徴とする二次電池用正極活物質。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の二次電池用正極活物質に
    おいて、 前記不純物金属元素は、Fe、Cr、Cu、Zn、M
    g、およびCaから選ばれる少なくとも1種の元素(た
    だし、前記粉体状金属酸化物を構成する金属元素を除
    く)であることを特徴とする二次電池用正極活物質。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    記載の二次電池用正極活物質において、 前記正極活物質は、コバルト、ニッケルおよびマンガン
    から選ばれる少なくとも1種とリチウムとを含む複合金
    属酸化物からなることを特徴とする二次電池用正極活物
    質。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の二次電池用正極活物質に
    おいて、 前記正極活物質は、 一般式:LiAax (式中、AはCo、NiおよびMnから選ばれる少なく
    とも1種の元素を示し、aおよびxは0.8≦a≦1.1、1.6
    ≦x≦2.4の範囲の数である)および 一般式:LiBby (式中、BはMn、CoおよびNiから選ばれる少なく
    ともMnを含む元素を示し、bおよびyは1.5≦b≦2.
    1、3.6≦y≦4.4の範囲の数である)から選ばれる少な
    くとも1種の複合金属酸化物からなることを特徴とする
    二次電池用正極活物質。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれか1項
    記載の二次電池用正極活物質を含有する正極と、 前記正極とセパレータを介して配置された負極と、 前記正極、前記セパレータおよび前記負極を収納する電
    池容器と、 前記電池容器内に充填された非水電解液とを具備するこ
    とを特徴とする非水電解液二次電池。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の非水電解液二次電池にお
    いて、 前記二次電池はリチウムイオン二次電池であることを特
    徴とする非水電解液二次電池。
  10. 【請求項10】 非水電解液二次電池に用いられる粉体
    状金属酸化物からなる正極活物質の分析方法であって、 前記粉体状金属酸化物をその構成粒子の粒径および密度
    の差を利用して分級し、分級比が0.1〜5%の範囲内の粗
    粉を得る工程と、 前記分級前の粉体状金属酸化物中の不純物金属元素の含
    有率Aと、前記分級により得た粗粉中の不純物金属元素
    の含有率Bをそれぞれ測定する工程と、 前記不純物金属元素の含有率Aに対する前記不純物金属
    元素の含有率Bの比(B/A)に基づいて、前記分級前
    の粉体状金属酸化物中に含まれる粒子状金属不純物量を
    評価する工程とを有することを特徴とする二次電池用正
    極活物質の分析方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の二次電池用正極活物
    質の分析方法において、 前記粉体状金属酸化物の分級は、分級精度指数κが0.7
    以上となるように実施することを特徴とする二次電池用
    正極活物質の分析方法。
  12. 【請求項12】 請求項10または請求項11記載の二
    次電池用正極活物質の分析方法において、 前記粉体状金属酸化物の分級は、強制渦による遠心力と
    流体抵抗力の釣合いに基づく分級装置を用いて実施する
    ことを特徴とする二次電池用正極活物質の分析方法。
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