JP2004311297A - 粉体状リチウム二次電池正極材料、リチウム二次電池正極、及びリチウム二次電池 - Google Patents

粉体状リチウム二次電池正極材料、リチウム二次電池正極、及びリチウム二次電池 Download PDF

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Takeshi Kurihara
毅 栗原
Michihiro Ikeda
道弘 池田
Kenji Okahara
賢二 岡原
Tsutomu Kiyohara
力 清原
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Abstract

【課題】リチウム二次電池の高出力化に有効な粉体状リチウム二次電池正極材料を提供する。
【解決手段】粒子径25μm以上の粒子を実質的に含まず、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の個数に対する不純物粒子の個数の割合が0.3%以下であるリチウム遷移金属複合酸化物粉体状リチウム二次電池正極材料。この正極材料及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成したリチウム二次電池正極。この正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極と、非水電解質とを備えたことを特徴とするリチウム二次電池。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体状リチウム二次電池正極材料、リチウム二次電池正極、及びリチウム二次電池に係り、特に、自動車、電車等の車載用に好適な、高出力性のリチウム二次電池の実現に有効な、リチウム遷移金属複合酸化物粉体状リチウム二次電池正極材料と、この正極材料を用いたリチウム二次電池正極及びリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、様々な機器の電源としての電池に対する高性能化の要請が高まっている。その要請に応えるべく、種々の開発がなされ、携帯電話、ノートパソコン等の電源としてリチウム二次電池が実用化されつつある。
【0003】
従来、リチウム二次電池の正極活物質としては、LiCoO、LiMn等のリチウム遷移金属複合酸化物が実用化段階にある。正極活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物は、通常、粉体状で製造されるが、
・原料に混入している鉄、SUS、銅、鉛等の不純物が混入する、
・原料及びリチウム遷移金属複合酸化物の粉砕機や、原料及び中間体を輸送する配管が使用時に磨耗することによって、粉砕機や配管の材質である鉄、SUS等の不純物が混入する、
・原料の保管から製造までの過程を大気中で行なうことにより、この過程で鉄、SUS、銅等の不純物が混入する、
等の様々な原因により、製品のリチウム遷移金属複合酸化物粉体には、鉄、銅、鉛、クロム、ニッケル、及びこれらの合金、これらの化合物等の不純物粒子が混入するという問題があった。
【0004】
特開2002−358952号公報には、リチウム二次電池の正極における、正極活物質以外の材料からなる粒径0.1μm以上の粒子状金属の混入濃度を15ppm以下とすることが記載され、また、粒子状金属のうち、粒径25μm以上の該粒子状金属の混入個数を正極1000gあたり100個以下、粒径50μm以上の該粒子状金属の混入個数を正極1000gあたり10個以下とすることが記載されている。そして、これらの構成により、自己放電増大の発生を抑制し、高エネルギー密度化したリチウム二次電池を提供することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−358952号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ノートパソコン、携帯電話等のいわゆる民生用電子機器においては、機器の小型化から高エネルギー密度化が志向されるものの、高出力性はさほど要求されないが、昨今の自動車、電車等のいわゆる車載用のリチウム二次電池用途においては、安全性を確保できる駆動力として、安定な高出力性が求められる。このため、リチウム二次電池用正極材料についても高出力化のためのより一層の改良が求められているのが現状である。特に、−30℃もの低温や40℃を超えるような高温の戸外などの過酷な条件下での高出力特性を確保するには、正極の抵抗(インピーダンス)の増加の抑制が重要であるが、その点においては今だ工業的に十分な正極材料が得られておらず、民生用、車載用等の広範な用途に有用なリチウム二次電池を実現し得る高性能な正極材料の開発が大きな課題となっている。
【0007】
従って、本発明は、リチウム二次電池の高出力化に有効な粉体状リチウム二次電池正極材料と、この正極材料を用いたリチウム二次電池正極及びリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料は、微量の不純物粒子が混在したリチウム遷移金属複合酸化物粒子よりなる粉体状リチウム二次電池正極材料において、
(i) 粒子径25μm以上の粒子を実質的に含まず、
(ii) リチウム遷移金属複合酸化物粒子の個数に対する該不純物粒子の個数の割合(以下「不純物粒子比率」と称す。)が、0.3%以下である
ことを特徴とする。
【0009】
即ち、本発明者らは、車載用途にも好適に使用できる汎用性の高い高出力リチウム二次電池正極材料を得るべく鋭意検討した結果、リチウム遷移金属複合酸化物粉体状リチウム二次電池正極材料の粒子径を特定の範囲とすると共に、リチウム遷移金属複合酸化物粒子以外の不純物粒子の個数を制限することにより、上記の課題を解決し得ることを見出して本発明を完成させた。
【0010】
高出力用途電池の正極は、大電流充放電特性を良くするため、電極面積を大きくとらなければならない。そのためには集電体上に形成された活物質層の厚さを薄くしなければならないが、本発明者らが鋭意検討した結果、粒子径25μm以上の粒子が粉体状リチウム二次電池正極材料中に存在すると、リチウムイオン二次電池を作成した時に、正極活物質層に発生する凹凸のために短絡が発生しやすくなることが判明した。粒子径25μm以上の粒子を実質的に含まないものであれば、表面凹凸のない、従って、短絡発生の問題のない薄肉正極活物質層を形成することができる。
【0011】
本発明では、鋭意検討した結果、理由は明確ではないが、不純物粒子の正極活物質に対する個数比率(不純物粒子比率)が0.3%を超えると顕著に正極のインピーダンスが増加し電池反応を阻害することが判った。特に、−20℃から−30℃にも及ぶ低温涼気での出力低下を引き起こし、これは戸外で使用されることの多い車載用途において特に問題である。粉体状リチウム二次電池正極材料の不純物粒子比率を0.3%以下とすることにより、このような出力低下を防止することができる。
【0012】
なお、本発明において、(i)「25μm以上の粒子を実質的に含まず」とは、例えば、公知のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(具体的には堀場製作所製「LA920」)を用いて粉体状リチウム二次電池正極材料の粒度分布測定を行ったときに、最大粒子径が25μm未満であるものをさす。
【0013】
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置の測定原理は下記の通りである。即ち、スラリー又は粉体を分散媒に分散させて調製した試料溶液にレーザー光を照射し、該試料溶液中の粒子に入射されて散乱(回折)した散乱光をディテクタで検出する。検出された散乱光の散乱角θ(入射方向と散乱方向の角度)は、大きい粒子の場合は前方散乱(0<θ<90°)となり、小さい粒子の場合は側方散乱又は後方散乱(90°<θ<180°)となる。測定された角度分布値から、入射光波長及び粒子の屈折率等の情報を用いて粒子径分布を算出する。更に、得られた粒子径分布から平均粒子径を算出することができる。測定の際に用いる分散媒としては、例えば0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を挙げることができる。
【0014】
また、本発明において、不純物粒子とは、リチウムを含むリチウム遷移金属複合酸化物粒子に対して、リチウムが検出されない粒子を指す。不純物粒子比率の測定方法は何ら限定されないが、例えば粉体状リチウム二次電池正極材料を、市販のマイクロ波誘導プラズマ発光分光分析器のHeマイクロ波プラズマに導入し、発光分光分析を行うことによって、発光波長から元素を特定し、発光強度から粒子径を特定し、発光回数から個数を特定することができる。
【0015】
従って、この発光分光分析によれば、リチウムが検出される総粒子数即ちリチウム遷移金属複合酸化物粒子数(a)の個数と、リチウムを含まない不純物粒子の粒子数(b)の個数が検知できるので、これらを測定し、この測定結果に基いて不純物粒子比率((b)/(a))を算出することができる。
【0016】
なお、マイクロ波誘導プラズマ発光分光分析器としては、具体的にはパーティクルアナライザ(DT−1000パーティクルアナライザ(堀場製作所製))を用いることができる。
【0017】
本発明のリチウム二次電池正極は、このような本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成したことを特徴とする。
【0018】
本発明のリチウム二次電池は、このような本発明のリチウム二次電池正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極と、非水電解質とを備えたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料、リチウム二次電池正極、及びリチウム二次電池の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料は、微量の不純物粒子が混在したリチウム遷移金属複合酸化物粒子よりなるリチウム二次電池正極材料であり、
(i) 粒子径25μm以上の粒子を実質的に含まず、
(ii) 不純物粒子比率、即ち、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の個数に対する不純物粒子の個数の割合が、0.3%以下である
ことを特徴とする。
【0021】
本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料は、粒子径25μm以上の粒子を実質的に含まないものであるため、表面凹凸のない、従って、短絡発生の問題のない薄肉正極活物質層を形成することができる。
【0022】
本発明において、正極材料粒子の平均一次粒子径は、通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、更に好ましくは2μm以下である。この平均一次粒子径が大きすぎると、充放電時に、リチウム遷移金属複合酸化物内部においてリチウムイオンの拡散が遅くなることによって、大電流特性が低下する。平均一次粒子径が小さすぎるとサイクル特性が低下する。
【0023】
また、正極材料粒子の平均二次粒子径は通常1μm以上、好ましくは4μm以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以下、更に好ましくは17μm以下、中でも15μm以下である。この平均二次粒子径が大きすぎると内部抵抗が大きくなり、小さすぎるとサイクル特性や安全性が低下する。
【0024】
正極材料粒子の比表面積は、通常0.1m/g以上、好ましくは0.2m/g以上であり、通常5m/g以下、好ましくは2m/g以下である。比表面積が大きすぎるとサイクル特性が低下し、小さすぎると大電流特性が低下する。
【0025】
また、本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料は、不純物粒子比率が0.3%以下であるため、不純物粒子に起因する充電保存後の出力低下が低減される。
【0026】
なお、本発明において不純物粒子とは、前述の如く、リチウム遷移金属複合酸化物粒子以外のリチウムが検出されない粒子を指すが、中でも、正極材料の性能に大きな影響を及ぼす、鉄、銅、鉛、クロム、ニッケルを含むものが挙げられる。即ち、不純物粒子としては、
(1) 鉄、銅、鉛、クロム、ニッケルのうちの1種の金属
(2) 鉄、銅、鉛、クロム、ニッケルのうちの2種以上の合金
(3) 鉄、銅、鉛、クロム、ニッケルのうちの1種以上とリチウム以外の他の金属との合金
(4) 鉄、銅、鉛、クロム、ニッケルのうちの1種の金属化合物
(5) 鉄、銅、鉛、クロム、ニッケルのうちの2種以上の金属複合化合物
(6) 鉄、銅、鉛、クロム、ニッケルのうちの1種以上とリチウム以外の他の金属との金属複合化合物
を含有する粒子が挙げられる。従って、本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料は、上記(1)〜(6)のいずれかを含む場合、これらの合計の不純物粒子比率が0.3%以下とする。
【0027】
上記不純物粒子のうち、とりわけ、鉄、クロム、ニッケルは、SUS304やSUS316等の合金として、リチウム遷移金属複合酸化物の製造過程の配管内部や粉砕機などから混入しやすいため、特に注意すべきである。また、銅は配管(銅管)やボルト、鉛は軸受けやはんだ、配管(鉛管)から混入する懸念があるため、これらについても同様に混入を抑えることが重要である。
【0028】
本発明においては、特に、リチウム遷移金属複合酸化物の製造過程で混入し易い、鉄、クロム、ニッケルを含む不純物粒子数を規制することが好ましく、従って、この場合には、不純物粒子としては、
(1) 鉄、クロム、ニッケルのうちの1種の金属
(2) 鉄、クロム、ニッケルのうちの2種以上の合金
(3) 鉄、クロム、ニッケルのうちの1種以上とリチウム以外の他の金属との合金
(4) 鉄、クロム、ニッケルのうちの1種の金属化合物
(5) 鉄、クロム、ニッケルのうちの2種以上の金属複合化合物
(6) 鉄、クロム、ニッケルのうちの1種以上とリチウム以外の他の金属との金属複合化合物
を含有する粒子が挙げられる。従って、本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料は、上記(1)〜(6)のいずれかを含む場合、これらの合計の不純物粒子比率が0.3%以下とする。
【0029】
また、リチウム遷移金属複合酸化物の製造過程で混入し易く、しかも電池性能に及ぼす影響が最も大きいものとして鉄が挙げられることから、鉄を含む不純物粒子数を規制することが好ましく、従って、この場合には、不純物粒子としては
(1) 鉄粒子
(2) 鉄とリチウム以外の他の金属とを含む合金粒子
(3) 鉄化合物粒子
(4) 鉄とリチウム以外の他の金属との金属複合化合物粒子
が挙げられ、本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料は、上記(1)〜(4)のいずれかを含む場合、これらの合計の不純物粒子比率が0.3%以下とする。
【0030】
本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料中の不純物粒子は、粒子径25μm未満のものであるが、2.5μmから25μmの大きさが特に悪影響を及ぼすことが判った。この理由としては2.5μmより小さいと、電池反応中に完全に溶解して、電解液中に溶解してしまうため正極の反応に悪影響はなく、また不純物粒子の粒子径が25μmより大きい場合は、溶解が起きてもその粒子全体が溶けることはなく、溶解した成分も不純物粒子表面に再析出するため正極反応を阻害しないが、2.5〜25μmの不純物粒子は正極活物質二次粒子と似た大きさであるため、溶解した成分が正極活物質二次粒子表面を覆ってしまい、電池反応を阻害する確率が極めて高くなるものと考えられる。
【0031】
本発明において、不純物粒子比率は少ない程、高出力化には有効であり、特に0.2%以下、とりわけ0.1%以下であることが好ましいが、不純物粒子比率を過度に低くすることは、後述の粉体状リチウム二次電池正極材料の製造方法等において、不純物除去のための操作が煩雑となり、正極材料の製造コストの高騰を引き起こす。一方で、不純物粒子比率は、0.0001%程度であれば、十分な高出力化を達成することができることから、不純物粒子比率は0.0005%以上、更には0.001%以上であっても良い。
【0032】
本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料はまた、このような不純物粒子の含有量(不純物濃度)が100ppm以下であることが好ましい。この不純物濃度も低い程好ましく、更には80ppm以下であることが好ましいが、上記不純物粒子比率と同様の理由から、この不純物濃度の下限は1ppm以上、更には5ppm以上であっても良い。この不純物濃度は、不純物粒子を構成する元素の正極材料中の(バルク)濃度であって、測定対象の正極材料を酸で溶解し、誘導プラズマ発光分析法(ICP−AES)で測定することができる。但し、鉄、クロム、ニッケルに関しては、正極材料としての遷移金属及び/又は置換金属として正極材料の一部をなしている場合(即ち、リチウムと複合化しており、本発明で対象とする不純物粒子に含まれない場合)があるので、このような場合は磁石を用いて鉄、クロム、ニッケル及びこれらの化合物を吸引し、この不純物粒子を酸で溶解することにより、測定することができる。
【0033】
本発明のリチウム二次電池正極材料における活物質である、リチウム遷移金属複合酸化物の組成は特に制限されるものではないが、例えば、次の一般式(I)〜(IV)で表現されるものが挙げられる。
LiMn2−aMe …(I)
(上記式中、aは0<a≦1の範囲の数を表し、bは0≦b≦1.5の範囲の数を表す。MeはB、Al、Sn、Ti、Zn、Fe、Co、Ni及びCrからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
LiNi(1−Y) …(II)
(上記式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは0<(1−Y)≦0.5の範囲の数を表す。QはCo、Al、Fe、Mg、Ga、Ti、Cr及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
LiCo(1−n) …(III)
(上記式中、Xは0<m≦1.2の範囲の数を表す。nは0<n≦0.25の範囲の数を表す。Aは、B、Mg、Si、Ti、V、Mn、Ni、Fe、Cr、Sn、Zr、Sb、Nb、Ru、Hf及びTaからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す。)
LiNiMn(1−q−r) …(IV)
(上記式中、pは0<p≦1.2の範囲の数を表す。q及びrは、1≦q/r≦9、及び、0<(1−q−r)≦0.5の関係を満たす数を表す。QはCo、Al、Fe、Mg、Ga、Ti、Cr及びCaからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
【0034】
上記一般式(I)〜(IV)において、Me,Q,Aで表される置換金属元素を含む置換型リチウム遷移金属複合酸化物の場合、遷移金属であるMn,Ni,Coに対する置換金属の原子比は、通常2.5%以上、好ましくは5%以上であり、通常30%以下、好ましくは20%以下である。置換金属の原子比が小さすぎると、その高温サイクルの改善効果が十分でない場合があり、多すぎると電池にした場合の容量が低下してしまう場合がある。また、置換金属の導入は、リチウム遷移金属複合酸化物の標準組成に対して、通常±20%以内、好ましくは±10%以内である。リチウムの原子比が大きすぎても小さすぎても、得られる置換型リチウム遷移金属複合酸化物は、二次電池の正極の活物質として用いた場合に、所定の大きな容量を有する電池を与えない。
【0035】
以下に上述のような粒子径と不純物粒子比率、更に好ましくは不純物粒子濃度が制御された本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料の製造方法について説明するが、それに先立ち、まず、一般的な粉体状リチウム二次電池正極材料の製造方法について説明する。
【0036】
[一般的な粉体状リチウム二次電池正極材料の製造方法]
<出発原料>
出発原料として用いられるリチウム化合物としては、LiCO、LiNO、LiNO、LiOH、LiOH・HO、LiH、LiF、LiCl、LiBr、LiI、CHCOOLi、LiO、LiSO、酢酸Li、ジカルボン酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム、リチウムハロゲン化物等が挙げられる。これらリチウム化合物の中で好ましいのは、LiCO、LiNO、LiOH・HO、酢酸Li等の水溶性のリチウム化合物である。これらの水溶性化合物は、例えば、分散媒として水を使用したスラリー中に溶解させることによって容易に良好な特性を有するリチウム遷移金属複合酸化物を得ることができる。また、焼成処理の際にNO及びSO等の有害物質を発生させない点で、窒素原子や硫黄原子を含有しないリチウム化合物が好ましい。最も好ましいリチウム原料は、水溶性でもあり、また窒素原子や硫黄原子を含有しない、LiOH・HOである。これらのリチウム化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0037】
出発原料として用いられる遷移金属化合物としては、マンガン化合物、ニッケル化合物、コバルト化合物等が挙げられる。
【0038】
具体的には、マンガン化合物としてはMn、MnO、Mn等のマンガン酸化物、MnCO、Mn(NO、MnSO、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン等のマンガン塩、オキシ水酸化物、塩化マンガン等のハロゲン化物等が挙げられる。これらのマンガン化合物の中でも、Mn、Mnは、最終目的物である複合酸化物のマンガン酸化数に近い価数を有しているため好ましい。更に工業原料として安価に入手できる観点、及び反応性が高いという観点から、特に好ましいのはMnである。Mnとして、MnCOやMnOなどの化合物を熱処理して作製したものを用いても良い。これらのマンガン化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0039】
ニッケル化合物としては、Ni(OH)、NiO、NiOOH、NiCO・2Ni(OH)・4HO、NiC・2HO、Ni(NO・6HO、NiSO、NiSO・6HO、脂肪酸ニッケル、ニッケルハロゲン化物等が挙げられる。この中でも、焼成処理の際にNO及びSO等の有害物質を発生させない点で、窒素原子や硫黄原子を含有しない、Ni(OH)、NiO、NiOOH、NiCO・2Ni(OH)・4HO、NiC・2HOのようなニッケル化合物が好ましい。また、更に工業原料として安価に入手できる観点、及び反応性が高いという観点から、特に好ましいのはNi(OH)、NiO、NiOOHである。これらのニッケル化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0040】
コバルト化合物としては、Co(OH)、CoO、Co、Co、Co(OCOCH・4HO、CoCl、Co(NO・6HO、Co(SO・7HO等が挙げられる。中でも、焼成工程の際にNO及びSO等の有害物質を発生させない点で、Co(OH)、CoO、Co、Coが好ましく、更に好ましくは、工業的に安価に入手できる点及び反応性が高い点でCo(OH)である。これらのコバルト化合物は1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0041】
遷移金属を置換する置換元素源(以下「置換金属化合物」と称す場合がある。)としては、置換金属のオキシ水酸化物、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物の他、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸塩や、酢酸塩、蓚酸塩等のモノカルボン酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩等の有機酸塩等を用いることができる。
【0042】
<製造手法>
リチウム二次電池正極材料は、上述した、リチウム化合物、遷移金属化合物、及び必要に応じて置換金属化合物(以下、これらを「原料化合物」と称す場合がある。)を、乾式にて所望の比率に相応する比率で混合して焼成することにより製造することができるが、その他に下記[1]、[2]の方法を採用することもできる。
【0043】
[1] 原料化合物を、湿式(即ちスラリー中)で混合後、これを噴霧乾燥し、その後焼成する方法(噴霧乾燥法)。なお、湿式で混合する場合、スラリー中にリチウム化合物を含有させずに、リチウム化合物以外の原料化合物のスラリーの噴霧乾燥物とリチウム化合物とを乾式混合しても良い。乾式で混合して焼成の原料とする場合、仮焼、解砕及び本焼をこの順に行う等、焼成を複数回行い、且つ2回の焼成の間に解砕工程を行うのが、不純物の生成を抑制し、容量を向上させる点で好ましい。
【0044】
[2] 上述した遷移金属化合物と置換金属化合物を溶解状態ないしコロイド状態で含む水溶液又はコロイド溶液を作成し、次いでそのpHを制御してこれらの2種以上の金属を含む共沈物を生成させ、これをリチウム化合物と混合して焼成する方法(共沈法)。
【0045】
以下に上記[1]、[2]の製造方法について更に詳細に説明する。
【0046】
[1]の噴霧乾燥法で、スラリーの調製に用いられる分散媒としては、各種の有機溶媒、水性溶媒を使用することができるが、好ましいのは水である。スラリー全体の重量に対する、リチウム化合物、遷移金属化合物、及び必要に応じて用いられる置換金属化合物の総重量割合(スラリーにリチウム化合物が含まれない場合はスラリー全体の重量に対する、遷移金属化合物及び必要に応じて用いられる置換金属化合物の総重量割合)は、通常10重量%以上、好ましくは12.5重量%以上で、通常50重量%以下、好ましくは35重量%以下である。この重量割合が上記範囲未満の場合は、スラリー濃度が極端に希薄なため噴霧乾燥により生成した球状粒子が必要以上に小さくなったり破損しやすくなったりする。この重量割合が上記範囲を超えると、スラリーの均一性が保ちにくくなる。
【0047】
スラリー中の固形物の平均粒子径は通常2μm以下、好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下とする。スラリー中の固形物の平均粒子径が大きすぎると、焼成工程における反応性が低下するだけでなく、球状度が低下し、最終的な粉体充填密度が低くなる傾向にある。この傾向は、平均粒子径で50μm以下の造粒粒子を製造しようとした場合に特に顕著になる。また、必要以上に小粒子化することは、粉砕のコストアップに繋がるので、固形物の平均粒子径は通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上とする。
【0048】
スラリー中の固形物の平均粒子径を制御する方法としては、原料化合物を予めボールミル、ジェットミル等により乾式粉砕し、これを分散媒に攪拌等によって分散させる方法、原料化合物を分散媒に攪拌等によって分散後、媒体攪拌型粉砕機等を使用して湿式粉砕する方法等を挙げることができるが、原料化合物を分散媒に分散後、媒体攪拌型粉砕機等を使用して湿式粉砕する方法を用いることが好ましい。
【0049】
また、スラリーの粘度は、通常50mPa・s以上、好ましくは100mPa・s以上、特に好ましくは200mPa・s以上、通常3000mPa・s以下、好ましくは2000mPa・s以下、特に好ましくは1600mPa・s以下である。粘度が上記範囲未満の場合は、焼成前の乾燥に大きな負荷がかかったり、乾燥により生成した球状粒子が必要以上に小さくなったり破損しやすくなったりする一方で、上記範囲を超えると、乾燥時のスラリー輸送に用いるチューブポンプでの吸引ができなくなる等、取り扱いが困難になる。スラリーの粘度測定は、公知のBM型粘度計を用いて行うことができる。BM型粘度計は、室温大気中において所定の金属製ローターを回転させる方式を採用する測定方法である。スラリーの粘度は、ローターをスラリー中に浸した状態でローターを回転させ、その回転軸にかかる抵抗力(捻れの力)から算出される。但し、室温大気中とは気温10〜35℃、相対湿度20〜80%RHの通常考えられる実験室レベルの環境を示す。
【0050】
上記のようにして得られたスラリーは、噴霧乾燥された後焼成処理に供される。乾燥方法としては噴霧乾燥が好ましく採用されるが、他の方法を何ら排除するものではない。噴霧乾燥を行うことによって、簡易な方法で球状のリチウム遷移金属複合酸化物を得ることができ、その結果、充填密度を向上させることができる。噴霧乾燥の方法は特に制限されないが、例えば、ノズルの先端に気体流とスラリーとを流入させることによってノズルからスラリー成分の液滴(以下、これを単に「液滴」と称す場合がある。)を吐出させ、適当な乾燥ガス温度や送風量を用いて飛散した該液滴を迅速に乾燥させる方法を用いることができる。気体流として供給する気体としては、空気、窒素等を用いることができるが、通常は空気が用いられる。これらは加圧して使用することが好ましい。気体流は、ガス線速として、通常100m/sec以上、好ましくは200m/sec以上、更に好ましくは300m/sec以上で噴射される。このガス線速があまり小さすぎると適切な液滴が形成しにくくなる。ただし、あまりに大きな線速は得にくいので、通常噴射速度は1000m/sec以下である。使用されるノズルの形状は、微少な液滴を吐出することができるものであれば良く、従来から公知のもの、例えば、特許第2797080号公報に記載されているような液滴を微細化できるようなノズルを使用することもできる。なお、液滴は環状に噴霧されることが、生産性向上の点で好ましい。飛散した液滴は、これを乾燥する。前述の通り、飛散した該液滴を迅速に乾燥させるように、適当な温度や送風等の処理が施されるが、乾燥塔上部から下部に向かいダウンフローで乾燥ガスを導入するのが好ましい。この様な構造とすることにより、乾燥塔単位容積当たりの処理量を大幅に向上させることができる。また、液滴を略水平方向に噴霧する場合、水平方向に噴霧された液滴をダウンフローガスで抑え込むことにより、乾燥塔の直径を大きく低減させることが可能となり、安価且つ大量に製造することが可能となる。乾燥ガス温度は、通常50℃以上、好ましくは70℃以上とし、通常120℃以下、好ましくは100℃以下とする。乾燥ガス温度が高すぎると、得られた造粒粒子が中空構造の多いものとなり、粉体の充填密度が低下する傾向にあり、一方、低すぎると粉体出口部分での水分結露による粉体固着・閉塞等の問題が生じる可能性がある。
【0051】
このようにして噴霧乾燥することによって原料となる造粒粒子が得られる。造粒粒子径としては、平均粒子径で好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下となるようにする。ただし、あまりに小さな粒径は得にくい傾向にあるので、通常は4μm以上、好ましくは5μm以上である。造粒粒子の粒子径は、噴霧形式、加圧気体流供給速度、スラリー供給速度、乾燥温度等を適宜選定することによって制御することができる。なお、スラリーにリチウム化合物が含まれない場合は、この噴霧乾燥物にリチウム化合物を混合する。この場合の混合手法に特に制限はないが、一般的に工業用として使用されている粉体混合装置を使用するのが好ましい。混合する系内の雰囲気としては、大気中での炭酸吸収を防ぐために不活性ガス雰囲気とするのが好ましい。
【0052】
このようにして得られた粉体は、次いで焼成処理される。この焼成条件は、得られるリチウム遷移金属複合酸化物粒子の比表面積及び粉体充填密度に制御する上で重要である。原料組成にも依存するが、傾向として、焼成温度が高すぎるとタップ密度が大きくなりすぎ、逆に低すぎるとタップ密度が小さく、また比表面積が大きくなりすぎる。焼成温度としては、原料として使用されるリチウム化合物、遷移金属化合物等の種類によっても異なるものの、通常700℃以上、好ましくは725℃以上、更に好ましくは750℃以上、より好ましくは800℃以上であり、また通常1050℃以下、好ましくは1000℃以下、更に好ましくは950℃以下、より好ましくは900℃以下である。
【0053】
焼成時間は温度によっても異なるが、通常前述の温度範囲であれば30分以上、50時間以下である。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウム遷移金属複合酸化物が得られにくくなり、また長すぎるのはあまり実用的ではない。焼成時間が長すぎると、また、その後解砕が必要になったり、解砕が困難になったりするので、好ましくは25時間以下、更に好ましくは20時間以下である。
【0054】
結晶欠陥が少ないリチウム遷移金属複合酸化物を得るためには、焼成反応後、ゆっくりと冷却することが好ましく、例えば5℃/min以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。
【0055】
焼成時の雰囲気は、製造する化合物の組成や構造に応じて、空気等の酸素含有ガス雰囲気や、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることができる。
【0056】
焼成に使用する加熱装置は、上記の温度、雰囲気を達成できるものであれば特に制限はなく、例えば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を使用することができる。
【0057】
なお、本発明においては、スラリー中の固形分の平均粒子径、噴霧乾燥後の造粒粒子の平均粒子径、及び得られるリチウム遷移金属複合酸化物の平均粒子径は、前述の公知のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置によって測定することができる。
【0058】
[2]の共沈法の場合、遷移金属化合物と置換金属化合物を溶解状態ないしコロイド状態で含む水溶液又はコロイド溶液を調製し、次いでそのpHを制御してこれらの2種以上の金属を含む共沈物を生成させ、これをリチウム化合物と混合して焼成し、リチウム遷移金属複合酸化物を製造する。
【0059】
遷移金属化合物と置換元素化合物を含む水溶液は、これらの化合物を水に溶解させることにより得ることができる。遷移金属化合物や置換金属化合物が、水に難溶な化合物である場合は、酸を用いて溶解すれば良い。酸としては、通常は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸が用いられる。
【0060】
具体的な水溶液の調製法としては、次の方法が挙げられる。
(1) 遷移金属化合物及び置換金属化合物が共に水溶性の場合には、これらを水に添加して溶解させる。
(2) 遷移金属化合物及び置換金属化合物が共に水に難溶性の場合には、これらを酸に添加して溶解させる。
(3) 遷移金属化合物及び置換金属化合物の一方が水溶性で他方が水に難溶性の場合には、水溶性の化合物を水に溶解した水溶液と、難溶性の化合物を酸で溶解した水溶液とを混合する。混合に際しては難溶性の化合物の溶液からコロイドが生成するのは構わないが、沈殿が生成するのは避けなければならない。
【0061】
水溶液の調製に用いる遷移金属化合物としては、出発原料として先述したマンガン、ニッケル及びコバルト、遷移金属の炭酸塩、塩化物、硫酸塩等の無機酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、脂肪酸塩等の有機酸塩、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物などが挙げられる。また、金属そのものを酸に溶解しても良い。中でもよく用いられるのは硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などである。
【0062】
また、遷移金属化合物や置換金属化合物がコロイド状態で存在するコロイド溶液、すなわちゾルは、例えば金属アルコキシドの有機溶媒溶液を加水分解することにより製造できる。また、難溶性の金属化合物を酸に溶解して調製した水溶液にアルカリや水を添加したり、イオン交換樹脂処理により水溶液から酸を除去することによりゾルとすることもできる。
【0063】
なお、水溶液又はコロイド溶液中の金属化合物の濃度は、これらの液が安定であり、かつ後続する共沈物の生成工程で均一な共沈物が生成する範囲であれば任意であるが、通常は水溶液又はコロイド溶液の組成と共沈物の組成が一致するように、できるだけ濃い方が好ましい。
【0064】
水溶液又はコロイド溶液中の遷移金属と置換金属の原子比率は、通常は、最終的に得ようとする置換型リチウム遷移金属複合酸化物の組成と一致させる。
【0065】
2種以上の金属を含む水溶液又はコロイド溶液から水酸化物として共沈物を生成させるには、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリを添加して、共沈物が生成するpHに調整すればよい。共沈物が生成するpHの値は、共沈させる金属により異なるが、通常は7〜10である。また、これらの金属を炭酸塩として共沈させる場合には、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩を添加することにより、また、これらの金属をシュウ酸塩として共沈させる場合には、シュウ酸を添加することにより共沈物を生成することもできる。
【0066】
得られたマンガン、ニッケル及びコバルトのいずれかの遷移金属と置換金属とを含む共沈物は、リチウム化合物と混合して焼成することにより、遷移金属の一部が他の金属で置換された、置換型リチウム遷移金属複合酸化物を製造することができる。
【0067】
共沈物とリチウム化合物の混合割合は、共沈物中の遷移金属と置換金属の合計に対するリチウムの原子比を、最終的に得ようとする置換型リチウム遷移金属複合酸化物の組成と一致するような割合とすれば良い。
【0068】
共沈物とリチウム化合物との混合は、乾式混合、湿式混合のいずれでも良い。乾式混合の場合は、共沈物は反応液から取り出し、乾燥させた後、リチウム化合物と混合する。まず、共沈物を遠心分離、フィルタープレス等により母液から分離する。共沈物に含有される母液中の溶存塩類の含有量を低減させるため、分離は共沈物の含水率をできるだけ低くするように行うことが好ましい。また、分離された共沈物を水洗することにより塩類の含有量を更に低減することができる。共沈物の乾燥は常法に従って行えば良い。
【0069】
乾燥させた共沈物は、リチウム化合物と混合される。混合には、種々の乾式混合機が用いられる。乾式混合機としては、これらの粉体を均一混合することができる混合機であれば良く、具体的には回転揺動型混合機、パドル型混合機、気流攪拌型混合機、スクリュウ回転翼型混合機、回転円盤型混合機等を使用することができる。また、ボールミル、ロールミル、ジェットミル等の粉砕機も前記粉砕工程と混合工程を併せ持つ機能を有する機械として使用可能である。共沈物とリチウム化合物は、予め各々の粒子径を細かくしておくと、両者が均一に混合しやすいので好ましい。具体的には、平均粒子径が100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは10μm以下としておくことが好ましい。
【0070】
湿式混合の場合は、乾燥した共沈物をリチウム化合物及び溶媒と混合してスラリーを作製して混合しても良く、共沈物を母液から取り出さず、共沈物と母液からなる懸濁液にリチウム化合物を混合してスラリーを作製して混合しても良い。しかし、好ましくはデカンテーションを反復して共沈物と共存する塩類を十分に除去した後リチウム化合物と混合するのが好ましい。
【0071】
混合溶媒としては、リチウム化合物が溶解するものであれば良く、具体的には水、メタノール、エタノール、N−メチルピロリドン等が挙げられ、好ましくは水が用いられる。
【0072】
湿式混合により得られたスラリーは、スプレードライ法等による噴霧乾燥や、蒸発乾固を行った後に粉砕を行い、乾燥粉とする。
【0073】
乾燥混合又は湿式混合により得られた共沈物とリチウムを含む乾燥粉は、次いで焼成して、置換型リチウム遷移金属複合酸化物に転換する。焼成条件としては、目的化合物が得られる条件であれば良く、通常、焼成温度500〜1200℃、焼成時間1〜100時間から適時選択される。焼成は、通常は空気中で行うが、他の酸素含有ガス中で行うこともできる。なお、空気中で焼成する場合には、二酸化炭素を予め除去した空気を用いるのが好ましい。
【0074】
焼成に使用する加熱装置は、上記の温度、雰囲気を達成できるものであれば特に制限はなく、遷移金属の種類に関係なく、例えば、箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルンなどを使用することができる。
【0075】
次に、前記(i)及び(ii)の要件を満たす本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料の製造方法について説明する。
【0076】
[本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料の製造方法]
本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料は、上述のような従来の一般的なリチウム二次電池正極材料の製造方法において、前記(i)及び(ii)の条件を満たすために、次のような工夫を行うことにより製造することができる。
【0077】
<前記(i)の条件を満たすための工夫>
上述のような従来の一般的なリチウム二次電池正極材料の製造方法で得られた粉体を、定法に従って、篩にかけることによって、25μm以上の粒子を実質的に含まないものとする。例えば、目開き25μmのふるいに1〜数回かけることにより行なわれる。しかし、あまり目開きの小さいふるいは粉体の透過率が悪くなるため、工業的には目開き20μmのふるいが好適に用いられる。しかし、25μm以上の長径を持つ縦長の粒子がふるいをすり抜ける可能性があるので、目開き20μmのふるいを2回以上5回以下程度行なうのが好ましい。
【0078】
その他、風力分級などにより25μm以上の粒子を排除しても良く、これらの2種以上の方法を組み合わせて行っても良い。
【0079】
<前記(ii)の条件を満たすための工夫>
不純物粒子は、原料化合物に含まれて混入し、また、製造工程の各工程毎に混入する可能性があるため、不純物粒子比率が0.3%以下の本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料は、上述のような従来の一般的なリチウム二次電池正極材料の製造方法において、下記の項目を厳しく管理し、不純物の混入を極力低減することにより製造することができる。
【0080】
▲1▼ 不純物の混入量が少ない原料化合物を用いる。
目的とするリチウム遷移金属複合酸化物の組成によって、用いる遷移金属化合物及び置換金属化合物の種類が異なるため一概にいえないが、予め元素分析等を行うことによって、用いる原料の不純物混入を確認し、不純物の混入が多い場合には、適宜、水洗等の洗浄操作或いは以下の磁選により精製処理を行って、不純物を除去した原料化合物を用いる。
【0081】
▲2▼ 原料、中間体(前述の製造工程で調製されるスラリーやコロイド溶液、共沈物、乾燥粉等)、製造された正極材料から、磁選により磁性金属系不純物粒子を除去する。即ち、原料、中間体、正極材料を、原料、中間体、リチウム遷移金属複合酸化物は吸引されないが、鉄、クロム、ニッケル及びこれらの合金、これらの化合物等の磁性金属系不純物は吸引される強さの磁場を通過させることにより、磁性金属系不純物を取り除く。
【0082】
この磁選の条件については、原料、中間体、リチウム遷移金属複合酸化物の組成と、含まれる磁性金属系不純物の種類によって最適化を図る必要があるが、本発明が対象とする粉体状正極材料の場合、粒子径25μm以下であること、及び混入する磁性金属系不純物の種類、中でも、好ましくは粒子径2.5μm以上25μm未満の不純物を除去する点から、次のような条件設定が適切である。不純物が磁性金属及び磁性金属化合物である場合は、原料を不純物粒子が吸引される磁束密度以上、原料が吸引される磁束密度未満の磁場を通過させることによって磁性金属系不純物粒子を取り除く。
【0083】
磁場の強さ:通常、鉄粉を除去するには100ガウス以上、好ましくは200ガウス以上、SUS粉を除去するには400ガウス以上、更に好ましくは700ガウス以上である。上限としては、原料、中間体、リチウム遷移金属複合酸化物が吸引される磁束密度未満、好ましくは、原料、中間体、リチウム遷移金属複合酸化物が吸引される磁束密度より100ガウス以上低い磁束密度以下である。磁場があまり強すぎると、原料、中間体、リチウム遷移金属複合酸化物まで吸引してしまい、弱すぎると、粒子径2.5μm以上25μm未満の大きさの磁性系金属系不純物粒子を吸引除去しにくい。
【0084】
磁場の通過速度:通常、0.01m/sec以上、好ましくは0.05m/sec以上、通常、2m/sec以下、好ましくは0.5m/sec以下とする。通過速度があまり遅すぎると、生産性が低下するか、生産性を保つのに大規模な処理装置が必要になる。逆に、速すぎると、粒子径2.5μm以上25μm未満の大きさの磁性系金属系不純物粒子を吸引除去しにくい。
【0085】
磁場の通過回数:粒子の通過状態によっては、磁場に磁性金属系不純物が当接しない場合もあるため、2〜20程度の複数回繰り返して磁場に通過させることも好適である。
【0086】
特に、原料化合物の水スラリーや、共沈法の場合は原料化合物のコロイド溶液などの磁選対象物が媒体中に分散している状態で、上記した条件で磁選を行うことにより効率良く磁性金属系不純物を除去することができる。
【0087】
▲3▼ 粉砕機器や輸送配管等の取り扱い機器類と、原料、中間体、正極材料とが接する部分(粉砕機内部や配管内部など)を、鉄、銅、クロム、ニッケル、鉛を含有しない材質、例えば、ナイロン等の樹脂製等の非金属とする。
【0088】
即ち、原料化合物を精製したり、共沈工程等で不純物が取り込まれないように工夫を行っても、粉砕時の粉砕媒体や、機器材質が磨耗することにより、不純物が取り込まれる場合がある。従って、不純物が取り込まれないように、これらの取り扱い機器類の材質を十分に吟味して選択する。
【0089】
▲4▼ 原料や、中間体、正極材料が大気中に曝露されることにより不純物が混入する場合があるため、これを防止すべく、原料の保管や製造工程をクラス100000好ましくはクラス10000のようなクリーン度(28.3Lの雰囲気に存在する0.5μmの浮遊粉塵の個数)のクリーンルームにて行う。
【0090】
▲5▼ 正極材料製造時の乾燥工程での不純物の混入を防止する。例えば、前記噴霧乾燥法に用いられる乾燥空気を、浮遊粒子の除去フィルターの目開きを選択することにより、例えばHEPA(High Efficiency Particle Air)フィルター((株)忍足研究所製)を通過させて2μm以上の浮遊粒子を除去した空気を使用することにより、乾燥雰囲気からの不純物の混入を防止する。
【0091】
▲6▼ 正極材料製造時の焼成工程での不純物の混入を防止する。例えば、焼成炉に導入する雰囲気を前記HEPAフィルター((株)忍足研究所製)を通過させて2μm以上の浮遊粒子を除去した雰囲気とすることにより、焼成雰囲気からの不純物の混入を防止する。また、焼成時に被焼成物を収容する焼成容器に蓋をして、焼成炉内壁から脱落した炉材の混入を防止する。
【0092】
上記▲1▼〜▲6▼等の工夫を施すことにより、また、必要に応じて2種以上組み合わせて行うことにより、不純物混入量の少ないリチウム二次電池正極材料を得ることができるが、最終的に得られた正極材料について、前述の▲2▼の磁選等により、前記(ii)の条件を満たすか否か更に確認を行うことが望ましい。
【0093】
次に、本発明のリチウム二次電池正極について説明する。
本発明のリチウム二次電池正極は、本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
【0094】
正極活物質層は、通常、正極材料と結着剤と更に必要に応じて用いられる導電剤を、乾式で混合してシート状にしたものを集電体に圧着するか、或いは溶媒で混練してスラリー状にして、集電体に塗布乾燥することにより作成される。
【0095】
正極活物質層中の本発明の正極材料の割合は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上であり、通常99.9重量%以下、好ましくは99重量%以下である。正極活物質層中の正極材料の割合が多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎると容量の面で不十分となることがある。
【0096】
正極に使用される導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等を挙げることができる。正極活物質層中のこれらの導電剤の割合は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。正極活物質層中の導電剤の割合が多すぎると容量の面で不十分となることがあり、少なすぎると電気導電性が不十分になることがある。
【0097】
また、正極に使用される結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等のフッ素系高分子の外、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を挙げることができる。正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは5重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。正極活物質層中の結着剤の割合が多すぎると容量の面で不十分となることがあり、少なすぎると強度が不十分になることがある。
【0098】
また、スラリーを調製する際に使用する溶媒としては、通常は結着剤を溶解或いは分散し得る有機溶剤が使用される。このような有機溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスでスラリー化する場合もある。
【0099】
正極に使用する集電体の材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属が用いられ、好ましくはアルミニウムである。正極集電体の厚みに特に制限はないが、通常1〜500μmのものが用いられる。
【0100】
なお、塗布・乾燥によって得られた正極活物質層は、電極材料の充填密度を上げるためにローラープレス等により圧密化することが好ましい。
【0101】
正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度であるが、特に自動車用、電車用などの車載用電池として用いる場合は、−30℃もの低温で使用されることを想定して、出力特性を良くするため電極面積をより大きく取らねばならない。このため、高出力が要求される電池用の正極活物質層は薄いことが求められ、厚さは100μm以下が好ましく、中でも25μm以下が特に好ましい。正極活物質層の厚さの下限は通常10μm以上である。
【0102】
次に、本発明のリチウム二次電池について説明する。
本発明のリチウム二次電池は、上記の本発明リチウム二次電池正極と、リチウムを吸蔵・放出可能の負極と、非水電解質とを備えるものである。更に、正極と負極との間に、非水電解質を保持するセパレータを備えていても良い。正極と負極との接触による短絡を効果的に防止するには、このようにセパレータを介在させるのが望ましい。
【0103】
本発明のリチウム二次電池に使用できる負極材料としては、炭素材料を使用するのが好ましい。このような炭素材料としては、天然ないし人造の黒鉛、石油系コークス、石炭系コークス、石油系ピッチの炭化物、石炭系ピッチの炭化物、フェノール樹脂・結晶セルロース等樹脂の炭化物及びこれらを一部炭化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、或いはこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらの負極材料は、通常、結着剤及び必要に応じて用いられる導電剤と共に集電体上に負極活物質層として形成される。また、リチウム金属そのものや、リチウムアルミニウム合金等のリチウム合金を負極として用いることもできる。
【0104】
負極に使用する結着剤や導電剤は、正極に使用するものとして前述したものと同様のものを例示することができる。
【0105】
負極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。負極活物質層の形成は、前記正極活物質層の形成方法に準じて行うことができ、負極活物質層中の負極材料、結着剤及び導電剤の割合も、正極活物質層中の割合と同程度とすることができる。
【0106】
負極に使用する集電体の材質としては、通常、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属が用いられ、好ましくは銅である。負極集電体の厚みに特に制限はないが、通常1〜500μmのものが用いられる。
【0107】
本発明のリチウム二次電池に使用できる非水系電解液としては、各種の電解塩を非水系溶媒に溶解したものを挙げることができる。
【0108】
非水系溶媒としては、例えばカーボネート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、ラクトン類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、アミン類、エステル類、アミド類、燐酸エステル化合物等の1種又は2種以上の混合溶媒を使用することができる。これらの代表的なものを列挙すると、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル等である。
【0109】
上述の非水系溶媒の中でも、電解質を解離させるために高誘電率溶媒を使用するのが好ましい。高誘電率溶媒とは、概ね25℃における比誘電率が20以上の化合物である。高誘電率溶媒の中でも、特にエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びそれらの水素原子をハロゲン等の他の元素又はアルキル基等で置換した化合物が電解液中に含まれることが好ましい。このような高誘電率溶媒を使用する場合、高誘電率溶媒の電解液中に占める割合は、通常20重量%以上、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上である。該高誘電率溶媒の含有量が少ないと、所望の電池特性が得られない場合がある。
【0110】
電解塩としては、従来公知のいずれの電解塩も使用することができ、例えば、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C、LiCl、LiBr、LiCHSOLi、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiN(SOCF等のリチウム塩が挙げられる。これらの電解塩は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0111】
電解液中の電解塩の含有量は、特に限定されないが、正極材料や負極材料の量や電池のサイズによって必要量を用いることができ、通常、0.2〜2モル/L、特に0.5〜1.5モル/Lとすることが好ましい。
【0112】
また、CO、NO、CO、SO等のガスやポリサルファイド(Sx2−)、ビニレンカーボネート、カテコールカーボネートなどの、リチウムイオンの効率よい充放電を可能にする良好な皮膜を負極表面に生成し得る添加剤を任意の割合で電解液中に存在させても良い。
【0113】
なお、電解液の代わりに、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。また、上記電解液を、高分子によって非流動化した半固体状電解質を用いることもできる。
【0114】
本発明のリチウム二次電池においては、正極と負極との間に、上記のような様々な材料によって電解質層を設けることができる。
【0115】
正極と負極との間には、通常セパレータが設けられる。セパレータとしては、微多孔性の高分子フィルムが用いられ、その材質としては、ナイロン、ポリエステル、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンや、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン系高分子を挙げることができる。また、ガラス繊維等の不織布フィルター、更にはガラス繊維と高分子繊維の複合不織布フィルター等も用いることができる。セパレータの化学的及び電気化学的安定性は重要な因子であり、この点から、材質としてはポリオレフィン系高分子が好ましく、特に、電池セパレータの目的の一つである自己閉塞温度の点からポリエチレン製であることが好ましい。
【0116】
ポリエチレン製セパレータの場合、高温形状維持性の点から超高分子量ポリエチレンであることが好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、更に好ましくは100万、最も好ましくは150万である。他方、分子量の上限は、好ましくは500万、更に好ましくは400万、最も好ましくは300万である。この分子量が大きすぎると、流動性が低すぎて加熱されたときにセパレータの孔が閉塞しない場合があるからである。
【0117】
このようなセパレータの厚みの上限は通常60μm以下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下であり、下限は通常10μm以上、好ましくは15μm以上である。セパレータの厚みが上記上限を超えると電池の内部抵抗が上昇しやすくなり、下限を下回ると正、負極が短絡しやすくなる。
【0118】
なお、本発明のリチウム二次電池において、正極活物質と負極活物質との重量比(正極活物質/負極活物質)の下限は通常2.0以上、好ましくは2.5以上、上限は通常3.5以下、好ましくは3.0以下である。この上限を超えると正極過剰になるため、金属Liが析出し易くなり、電池の劣化の原因となりやすい。また、下限を下回ると負極が過剰となるため、電池の充放電効率が悪くなり、電池容量が小さくなりやすい。
【0119】
本発明のリチウム二次電池の形状は特に制限されず、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型のいずれでも良く、また、電気自動車等に用いる大型のリチウム二次電池に限らず、いずれのタイプのものにも適用することができる。
【0120】
高出力性を得るためには、本発明のリチウム二次電池は、単セルを、通常2個以上直列に接続し、モジュール化して使用する。中でも、特に車載用には20個以上、100個以下程度に接続して用いる。このため、1セルでも不良電池が存在するとモジュール全体が不良となることから、単セル毎に高い信頼度が要求されるが、本発明によれば、このような高信頼性の要求を十分に満足し得る高出力性リチウム二次電池が提供される。
【0121】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0122】
実施例1
▲1▼ リチウム二次電池正極材料の作製
Mn、AlOOH、LiOH・HOをそれぞれ最終的なスピネル型リチウムマンガン複合酸化物中の組成で、Li:Mn:Al=1.10:1.88:0.12(モル比)となるように秤量し、これに純水を加えて固形分濃度(スラリー濃度)29.2重量%のスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いて、スラリー中の固形分の平均粒子径が0.3μmになるまで粉砕した。この時の粘度は600mPa・sであった。スラリー配管中に磁石を設置することにより、原料中の磁性金属系不純物を下記条件の磁選により除去した。
[磁選条件]
磁場の強さ:2000ガウス
磁場の通過回数:3回
磁場の通過速度:0.3m/sec
【0123】
その後、湿式粉砕した後、スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥(ガス線速330m/sec,乾燥温度105℃)を行った。スプレードライヤーの乾燥空気には0.3μm以上の粒子を99.7%以上捕捉するHEPAフィルターを通過させた空気を使用した。乾燥された造粒粒子(平均粒子径11.2μm)はサイクロンで捕集した後、900℃で10時間焼成した。焼成雰囲気には、HEPAフィルターを通過させた空気を使用した。また焼成時のアルミナ焼成容器にはアルミナの蓋をかぶせて使用した。得られた焼成物を1℃/minで徐冷した後目開き20μmの篩で篩った。
【0124】
得られた正極材料をサンプル1とした。
【0125】
▲2▼ 物性の測定
(1) 粒度分布の測定
サンプル1の粒度分布の測定をレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製「LA920」)を用いて行った。その結果、平均二次粒子径10.0μm、比表面積0.9m/g、最大粒子径22.8μmであり、粒子径25μm以上の粒子を含まないことが確認された。
【0126】
(2) Fe濃度の測定
サンプル1を1g秤量し、6M塩酸20mLに溶解し、誘導プラズマ発光分析法(ICP−AES:JOBIN YVON製「JY 38 S」)によりFe濃度を分析し、結果を表1に示した。なお、本実施例では、Fe濃度のみ測定しているが、同様にして、銅、鉛、クロム、ニッケルについても濃度を分析することができる。
【0127】
(3) Liが観測される総粒子数(a)、不純物粒子(Liと複合化していない鉄含有粒子)数(b)、及び不純物粒子比率(a)/(b)の測定
サンプル1を市販のローボリューム パーティクル サンプラ(LV1000パーティクル サンプラ)で、専用フィルター上に捕集した。捕集フィルターを、市販のマイクロ波誘導プラズマ発光分光分析器である、パーティクルアナライザ(DP−1000パーティクルアナライザ(堀場製作所製))にセットして、以下の条件でリチウム及び鉄を分析した。
Figure 2004311297
【0128】
上記条件で測定した個々の粒子について、リチウムと鉄の複合化の判定を行った。複合化の判定は、発光の同時性に依った。即ち、リチウムと複合化している鉄はリチウムと同時に発光し、リチウムと複合化していない鉄は単独で発光するものと考えられる。そこで、単独で発光した含鉄粒子について、SUS粒子換算の粒度分布図を得た。鉄発光強度から粒子径への換算は、予め粒子径分布がわかっているSUS粒子を同一条件で分析し、その平均粒子径を用いて較正した。その当該粒度分布図から、粒子径2.5μm以上(25μm未満)に相当する粒子の数を求め、リチウムと複合化していない鉄粒子数(即ち不純物粒子数(b))とした。一方、当該分析で検出された含リチウム粒子の総数を、リチウムが検出される総粒子数、即ちリチウム遷移金属複合酸化物粒子数(a)とした。結果を表1に示す。また、不純物粒子比率((b)/(a))を求め、結果を表1に示した。
【0129】
なお、上記測定では、鉄含有粒子数を測定したが、同様の手法で、リチウムと複合化していない銅、鉛、クロム、ニッケル含有粒子数についても分析することができる。
【0130】
▲3▼ リチウム二次電池電極の作製
(正極の作成)
上記のようにして得られたサンプル1とアセチレンブラックとポリテトラフルオロエチレン粉を重量比で75:20:5の割合で乾式混合したものを乳鉢で十分混合し、薄くシート状にし、12mmφのポンチで打ち抜いた。この際全体重量が約18mgになるように調整した。更にこれをアルミニウム製のエキスパンドメタル(網目状に切れ目を入れたアルミ箔)に圧着して正極とした。形成された正極活物質層の厚さは139μmであった。
【0131】
(負極の作成)
負極活物質としての平均粒子径約8〜10μmの黒鉛粉末(層間距離:d(002)=3.35Å)と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデンとを、重量比で92.5:7.5の割合で秤量し、これをN−メチルピロリドン中で混合し、負極合剤スラリーとした。このスラリーを20μm厚さの銅箔の片面に塗布し、120℃で乾燥して溶媒を蒸発させた後、12mmφに打ち抜き、プレス処理をして負極とした。形成された負極活物質層の厚さは45μmであった。
【0132】
この時、正極活物質と負極活物質の重量比、すなわち、(正極活物質/負極活物質)は2.5〜3.0に設定した。
また、正極及び負極は真空下、120℃で1時間の乾燥を行って使用に供した。
【0133】
▲4▼ リチウム二次電池の作製
上記▲3▼で得られた電極を用いて、CR2032型コイン電池を組み立てた。
即ち、正極缶の上に正極を置き、その上にセパレータとして厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルムを置き、ポリプロピレン製ガスケットで押さえた。この上に、負極を置き、厚み調整用のスペーサーを置いた後、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの体積比3:7の混合溶媒1リットルに六フッ化リン酸リチウム(LiPF)1モルを溶解させた溶液を電解液として用い、これを電池内に注いで充分浸み込ませた後、負極缶を載せて電池を封口した。
【0134】
▲5▼ 電池特性の評価
作成したコイン型電池の1C電流値としては、便宜的に
1C(mA)=正極の活物質量(g)×100(mAh/g)
なる値を用いて電池特性の評価を行った。
【0135】
試験はまず室温(25℃)で、コンディショニング(予備充放電)として、0.2Cの定電流充放電、続いて1C定電流−定電圧充電及び(1/3)Cの定電流放電を行った。電圧の上限は4.2V、下限は3.0Vとした。また定電流−定電圧充電は定電圧部分の時間を2〜2.5時間で終了とした。続いて1C定電流−定電圧で4.2Vまで充電した後、電池の抵抗を交流インピーダンス法により測定した(保存前インピーダンス)。
【0136】
次に高温保存として、60℃の雰囲気に移し、3日間保存した。保存後、室温(25℃)に戻した後、電圧を確認し(保存後電圧)、(1/3)C定電流放電、続いて1C定電流−定電圧充電及び(1/3)Cの定電流放電を、上限電圧4.2V、下限3.0Vで行った。
【0137】
ここで、60℃保存前後の容量回復率として
Figure 2004311297
を求めた。
【0138】
また、60℃保存後の電池の抵抗を確認するため、4.2Vまで1C定電流−定電圧充電を行い、交流インピーダンス測定を行った(保存後インピーダンス)。
【0139】
なお上記交流インピーダンス測定は室温で、ソーラトロン社の周波数解析装置(1255B)及びポテンシオスタット(1287)を用い、振り幅10mV、測定周波数範囲0.01〜100kHzで行った。インピーダンス値としては、0.1Hz時のトータルインピーダンス値を採用した。
【0140】
上記評価結果を表2に示した。
【0141】
比較例1
粒子径2〜20μmのSUS粒子を、サンプル1に対して少量添加してサンプル2を調製し、このサンプル2について、実施例1と全く同様に物性の測定及びリチウム二次電池の作製と評価を行い、結果を表1,2に示した。
【0142】
【表1】
Figure 2004311297
【0143】
【表2】
Figure 2004311297
【0144】
上記の結果から次のことが明らかである。
【0145】
即ち、不純物粒子比率が0.3%(3000ppm)以下の場合(実施例1)と0.3%を超える場合(比較例1)を比較すると、両者の保存後の電圧ないし容量回復率には差が見られないが、保存後の抵抗(インピーダンス)増加は明らかに、実施例1が比較例1に比べ小さいことが分かる。即ち、従来公知の発明における不純物量の規定では、高温保存時の劣化(電圧の低下や容量の低下等)を抑制出することはできたが、インピーダンスの増加を抑制することはできなかった。これに対して、本発明の不純物量の規定であれば、電圧の低下や容量低下の抑制のみならず、インピーダンスの増加をも抑制することができることが分かる。
【0146】
【発明の効果】
以上詳述した通り、25μm以上の粒子を実質的に含有しない本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料によれば、25μm以下の薄肉の正極活物質層であっても、凹凸のない、従って短絡の問題のない正極活物質層を形成することができる。また、電池反応の阻害因子となる不純物粒子比率が0.3%以下と非常に少ない本発明の粉体状リチウム二次電池正極材料によれば、充電保存後の電圧低下や容量低下、更には出力低下の問題のない、高出力性で信頼性の高いリチウム二次電池を実現することができる。従って、このような正極材料を用いた本発明のリチウム二次電池正極であれば、正極の薄肉化、高出力化が可能であり、この正極を用いた本発明のリチウム二次電池によれば、高出力特性に優れ、長寿命で信頼性の高いリチウム二次電池が提供される。このような本発明のリチウム二次電池は、特に高出力性が要求される車載用途のリチウム二次電池等として工業的に極めて有用である。

Claims (9)

  1. 微量の不純物粒子が混在したリチウム遷移金属複合酸化物粒子よりなる粉体状リチウム二次電池正極材料において、
    (i) 粒子径25μm以上の粒子を実質的に含まず、
    (ii) リチウム遷移金属複合酸化物粒子の個数に対する該不純物粒子の個数の割合が、0.3%以下である
    ことを特徴とする粉体状リチウム二次電池正極材料。
  2. 請求項1において、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の個数に対する、粒子径が2.5μm以上25μm未満の不純物粒子の個数の割合が、0.3%以下であることを特徴とする粉体状リチウム二次電池正極材料。
  3. 請求項1又は2において、該不純物粒子が、下記金属、2以上の下記金属の合金及び下記金属の化合物の少なくとも1種であることを特徴とする粉体状リチウム二次電池正極材料。
    金属:鉄、銅、鉛、クロム、ニッケル
  4. 請求項1又は2において、該不純物粒子が、鉄、鉄合金及び鉄化合物の少なくとも1種であることを特徴とする粉体状リチウム二次電池正極材料。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、不純物濃度が100ppm以下であることを特徴とする粉体状リチウム二次電池正極材料。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、該不純物粒子比率は、マイクロ波誘導プラズマ発光分光分析法による測定値から算出された値で表した場合の値であることを特徴とする粉体状リチウム二次電池正極材料。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粉体状リチウム二次電池正極材料及び結着剤を含有する正極活物質層を集電体上に形成したことを特徴とするリチウム二次電池正極。
  8. 請求項7に記載のリチウム二次電池正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極と、非水電解質とを備えたことを特徴とするリチウム二次電池。
  9. 請求項8において、車載用リチウム二次電池であって、正極活物質層の厚みが25μm以下であることを特徴とするリチウム二次電池。
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