JP2003071202A - 晶析する結晶の配向を磁場により制御する方法及びその装置 - Google Patents

晶析する結晶の配向を磁場により制御する方法及びその装置

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JP2003071202A
JP2003071202A JP2001263210A JP2001263210A JP2003071202A JP 2003071202 A JP2003071202 A JP 2003071202A JP 2001263210 A JP2001263210 A JP 2001263210A JP 2001263210 A JP2001263210 A JP 2001263210A JP 2003071202 A JP2003071202 A JP 2003071202A
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crystal
magnetic field
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orientation
crystallized
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JP2001263210A
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Kenji Shimizu
健司 清水
Eiichi Suzuki
映一 鈴木
Kaoru Ogawa
薫 小川
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Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過飽和溶液から溶質を結晶として発生させ成
長する化合物結晶の配向方法及び装置を提供する。 【解決手段】 過飽和溶液から溶質を結晶として発生さ
せ、その結晶の配向制御を行う装置は、結晶化セル11
の溶液に磁場を作用させる手段である磁場機構10、温
度制御手段を設けた結晶化セル11、結晶化セルの溶液
を観察する手段である、発光用のレーザーダイオード1
2、光路長補正部13、対物レンズ14、CCDカメラ
15及びCCDカメラ15、モニター16、ビデオ17
を備えた微分干渉計と録画用VTRシステムからなって
いる。また磁場機構10は回転機構18に回転可能に設
けられており、結晶化セルの溶液に対する磁場の方向を
0〜90度の範囲で、任意の角度で変化させることがで
きる。L−アラニンの飽和溶液2を結晶化セル11に入
れ冷却し、結晶ホルダ19に取り付けたL−アラニン結
晶20を、結晶セル11に挿入しL−アラニンの結晶を
発生させ、磁場の方向と平行に、L−アラニン結晶のz
軸を配向させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、晶析する結晶の配
向を磁場により制御する方法及びその装置に係り、特
に、過飽和溶液から溶質を結晶として発生させ成長する
化合物結晶の配向を磁場により制御する方法及びその装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、医薬品、食品、誘電体、光学素
子など機能性素材の結晶は、溶液を過飽和として溶質を
結晶に析出させ成長させる方法で製造されている。しか
しながら、従来の過飽和溶液から析出、成長した結晶
は、結晶の方向がアトランダムであり、析出、成長した
結晶が機能性素材として充分にその機能が発揮されない
という問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、過
飽和溶液から溶質を結晶として析出させ成長する化合物
結晶の方向を揃えることができる結晶の配向方法及びそ
の装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、過飽和溶液か
ら溶質を結晶として発生させ成長させる化合物結晶の晶
析方法において、過飽和溶液からの結晶の核発生および
その成長過程で磁場を作用させて結晶を配向させること
を特徴とする晶析した結晶の配向を磁場により制御する
方法である。また、本発明は、過飽和溶液から溶質を結
晶として発生させ成長させる化合物結晶の晶析方法にお
いて、過飽和溶液からの結晶の核発生およびその成長過
程で磁場を作用させ、結晶の配向の状況により磁場強度
及び/または磁場方向の調整を行い結晶を配向させるこ
とを特徴とする晶析した結晶の配向を磁場により制御す
る方法である。
【0005】また、本発明の晶析する結晶の配向を磁場
により制御する方法は、過飽和溶液がL−アラニン過飽
和溶液であり、晶析したL−アラニン結晶のz軸が磁場
方向と平行に配向していることを特徴とするものであ
る。また、本発明の晶析する結晶の配向を磁場により制
御する方法は、過飽和溶液が4−N,N−ジメチルアミ
ノ−4´−N´−メチルースチルパゾリウム p−トル
エンスルホネート(4−N,N−dimethylam
ino−4´−N´−methyl−stilbazo
lium p−toluenesulfonate、以
下「DAST」と表現する)のメタノール飽和溶液であ
り、晶析したDAST結晶の[100]方向が、磁場方
向と平行に配向していることを特徴とするものである。
【0006】また、本発明は、過飽和溶液から溶質を結
晶として発生させ成長させる化合物結晶の晶析装置にお
いて、温度制御手段を設けた過飽和溶液を入れる結晶化
セル、前記結晶化セルの溶液に磁場を作用させる手段、
前記結晶化セルの溶液を観察する手段を有することを特
徴とする晶析した結晶の配向を磁場により制御する装置
である。さらに、本発明の晶析する結晶の配向を磁場に
より制御する装置は、磁場を作用させる手段が、回転可
能に設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
【作用】本発明の過飽和溶液から溶質を結晶として析出
させ成長させる化合物結晶の晶析において、結晶の核発
生およびその成長過程で磁場を作用させることにより結
晶を配向させることができる。L−アラニン結晶ではそ
のz軸が磁場方向と平行に配向させることがてき、DA
STの結晶ではその[100]方向が、磁場方向と平行
に配向させることがてきるものであり、このような反磁
性体の結晶でも磁場を作用により配向させることができ
るものである。
【0008】また、結晶の核発生およびその成長過程で
磁場を作用させることで、分子状態から配向させ、発生
結晶の構造あるいは形状を制御することができる。結晶
の構造は、例えば、構成分子であるL−アラニン分子
も、その状態から結晶成長過程で磁場方向に配向し、磁
場を作用させない通常の場合の構造に比べて結晶構成分
子が高密度に配向した結晶構造が形成される。形状は、
磁場の強度により結晶の成長速度が異なるので、磁場を
作用により制御することができるものである。また、本
発明の過飽和溶液から晶析する結晶の配向を磁場により
制御する方法及びその装置は、非接触操作により制御で
きるので、高い純度で晶析した結晶を得ることができる
ものである。る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の過飽和溶液から溶質を結
晶として析出させ、晶析する結晶の配向を磁場により制
御する方法及びその装置は、医薬品、食品、誘電体、光
学素子などを過飽和溶液から発生させ成長させる製造方
法に適用できるものであり、過飽和溶液から発生、成長
した結晶を配向させることにより、その機能が十分に発
揮されるものである。また、非接触操作により制御でき
るので生産性や純度の観点からも有用なものである。
【0010】また、本発明の過飽和溶液から溶質を結晶
として発生させ成長させる化合物結晶の晶析方法におい
て、過飽和溶液がL−アラニン過飽和溶液では、L−ア
ラニンを飽和溶解量より過剰な量を蒸留水に入れ、高温
に保持された恒温槽中で溶液が飽和状態になるまで充分
撹拌し、その後、L−アラニン懸濁結晶を沈降させ、L
−アラニン飽和溶液である上澄み液を、孔径20〜30
μmのガラスフィルタを通してろ過し、その溶液をL−
アラニン飽和溶液として用いる。また、過飽和溶液がD
ASTのメタノール過飽和溶液では、DASTを飽和溶
解量より過剰な量をメタノールに入れ、高温に保持して
飽和状態になるまで充分撹拌し、DASTの懸濁結晶を
沈降させた後、上澄み液をろ過し、その溶液をDAST
のメタノール飽和溶液として用いる。なお、飽和溶液か
ら懸濁結晶を沈降させることにより、溶液の純度を高
め、また不純物混入等による影響がないようにして、過
飽和溶液からの結晶の発生および成長過程での磁場の作
用が晶析結晶の配向に有効に作用させることが好まし
い。
【0011】本発明の磁場による晶析結晶の配向制御に
ついて、図1(a)(b)図2(a)〜(d)及び図3
(a)〜(c)図4(a)〜(d)を参照して説明す
る。図1及び図3は晶析結晶の配向制御を行う装置を示
す図で、図1は磁場Hの方向が重力Gと同一の方向の場
合であり、図3は磁場Hの方向が重力Gと60度の角度
の場合である。図1(a)に示すように、晶析結晶の配
向制御を行う装置は、結晶化セル11の溶液に磁場を作
用させる手段である磁場機構10、温度制御手段を設け
た結晶化セル11、結晶化セルの溶液を観察する手段で
ある、発光用のレーザーダイオード12、光路長補正部
13、対物レンズ14、CCDカメラ15及びCCDカ
メラ15、モニター16、ビデオ17を備えた微分干渉
計と録画用VTRシステムからなっている。。また磁場
機構10は回転機構18に回転可能に設けられており、
結晶化セルの溶液に対する磁場の方向を0〜90度の範
囲で、任意の角度で変化させることができるものであ
る。
【0012】結晶化セル11の温度制御手段は、結晶化
セル11の外側の二面にペルチェ素子を張り付け(図示
省略)た温度制御システムにより行うもので、これによ
り結晶化セル11の溶液温度を設定温度に制御するもの
である。磁場機構10には、超伝導コイル部、冷却部、
磁場部および制御部から成る強磁場発生装置(例えば、
ジャパンマグネットテクノロジー製)を備えており、0
〜5T(テスラ)の範囲で磁場強度を変動させることが
できる。
【0013】図1(a)の磁場Hの方向が重力Gと同一
の方向の場合の晶析結晶の配向制御を説明する。まず、
化合物結晶を晶析させる過飽和溶液2を結晶化セル11
に入れる。結晶化セル11は、磁場Hが矢印の方向にか
けられている。温度制御システムによりチェックし、結
晶化セル11の過飽和溶液2が所定温度に達したところ
で、図1(b)に示すうな結晶ホルダ19に取り付けた
結晶20を結晶化セル11の過飽和溶液2に挿入し2次
核を発生させる、すなわち過飽和溶液から溶質を結晶と
して発生させる。
【0014】結晶の発生、その後の結晶成長、配向の様
子等を観察し、また録画する。詳しくは、図1(a)に
示すレーザーダイオード12よりの発光はミラー21a
から光路長補正部13を通りミラー21cから対物レン
ズ14に、またミラー21bから結晶化セル11の過飽
和溶液2の様子をミラー21dから対物レンズ14に送
られる干渉顕微鏡の原理により、CCDカメラ15から
モニター16に送られる映像で結晶の発生、成長、配向
等を観察する。その状況は、結晶化セル11の過飽和溶
液2から発生した結晶が、溶液内を対流しながら、成長
し過飽和溶液中をゆっくり沈降した。なお、モニター1
6での観察では、発生した結晶は、溶液内を対流しなが
ら、成長し、徐々に粒状または柱状に形態を形成しゆっ
くり沈降しする様子がみられた。また、ここでの観察
で、所定の配向がえられるように、磁場Hの強さ、ある
いは磁場Hの方向を制御することができるものである。
【0015】図2(a)〜(d)は、晶析結晶の配向の
概要を示した図である。なお、結晶はL−アラニン結晶
のように六角に描いた。図2(a)に示すように、過飽
和溶液2を入れた結晶化セル11が所定温度に達したと
ころで、図2(b)に示すような結晶ホルダ19に取り
付けた結晶20を結晶化セル11の過飽和溶液2に挿入
する。ここで2次核すなわち過飽和溶液から溶質を結晶
として発生させる。図2(c)は、図1(a)のように
磁場Hの方向が重力Gと同一の方向の場合の晶析結晶の
配向で、晶析結晶3が一定の配向をしている。これに対
して、磁場をかけていない場合には図2(d)に示すよ
うに晶析結晶3の方向はランダムニになっているもので
あった。
【0016】図3(a)は磁場Hの方向が重力Gと60
度の角度の場合である。図3(a)に示した晶析結晶の
配向制御を行う装置の側面図で、回転機構18により磁
場機構10を60度回転させたものである。この晶析結
晶の配向制御を行う装置は、上述した図1(a)と同じ
構成で、磁場機構10が回転機構18に設けられてお
り、磁場機構10には図3(b)に示すように発光用の
レーザーダイオード12、光路長補正部13、過飽和溶
液を入れる結晶化セル11、対物レンズ14、CCDカ
メラ15を設け、CCDカメラ15はモニター16、ビ
デオ17に接続されている。
【0017】過飽和溶液2を入れた結晶化セル11は、
重力Gと60度傾いた磁場Hが矢印の方向にかけられて
いる。温度制御システムによりチェックし、結晶化セル
11の過飽和溶液2が所定温度に達したところで、図3
(c)に示すうな結晶ホルダ19に取り付けた結晶20
を結晶化セル11の過飽和溶液2に挿入し2次核を発生
させる、すなわち過飽和溶液から溶質を結晶として発生
させる。この時点で図3(b)に示すレーザーダイオー
ド12よりの発光はミラー21aから光路長補正部13
を通りミラー21cから対物レンズ14に、またミラー
21bから結晶化セル11の過飽和溶液2の様子をミラ
ー21dから対物レンズ14に送られる干渉顕微鏡の原
理により、CCDカメラ15からモニター16に送られ
る映像で結晶の発生、成長、配向等を観察し、必要に応
じて所定の配向がえられるように、磁場Hの強さを制御
する。
【0018】図4(a)〜(d)は、晶析結晶の配向の
概要を示した図で、図4(a)に示すように、過飽和溶
液2を入れた結晶化セル11が所定温度に達したところ
で、図4(b)に示すうな結晶ホルダ19に取り付けた
結晶20を結晶化セル11の過飽和溶液2に挿入する。
ここで2次核すなわち過飽和溶液から溶質を結晶として
発生させる。図4(c)は、図3(a)のように磁場H
の方向が重力Gと60度の角度の場合の晶析結晶の配向
で、晶析結晶3が60度の角度で一定の配向をしてい
る。これに対して、磁場をかけない場合には図4(d)
に示すように晶析結晶3のそれぞれがランダムニになっ
ているものであった。なお、図3、図4では、過飽和溶
液2を入れた結晶化セル11が60度傾いている例を示
したが、結晶化セル11は傾けないで、磁場Hの方向だ
けを傾けるようにして、晶析結晶を60度傾いた方向に
配向させることもできる。
【0019】図1(a)(b)、図2(a)〜(d)は
磁場Hの方向が重力Gと同一の方向の場合で、晶析結晶
の配向には重力Gにも依存するのではないかとも考えら
れるが、図3(a)〜(c)、図4(a)〜(d)の磁
場Hの方向が重力Gと60度の角度の場合で示すよう
に、発生した結晶の配向性は磁場方向に依存しているこ
とが明らかである。
【0020】
【実施例1】実施例1は、低分子量化合物としてL−ア
ラニンの晶析結晶の配向制御について、図1、図3、図
5、図6、図7、図8、図9、図10を参照して説明す
る。まず、L−アラニンの40℃飽和溶液を準備する。
これは40℃の温度に保持された恒温槽中に設置された
フラスコに、L−アラニン19.6gと蒸留水100g
を入れ、溶液が飽和状態になるまで充分撹拌(約2時
間)し、L−アラニンの40℃飽和溶液を調製した。
【0021】L−アラニンを結晶として発生させる上記
のL−アラニンの40℃飽和溶液を、図1、図3に示し
たように、晶析結晶の配向制御を行う装置の結晶化セル
11に入れる。結晶化セル11は、10×3×45mm
の大きさの石英製のもので容量約1.4mlである。L
−アラニンの飽和溶液を入れた結晶化セル11が、磁場
機構10内に設置する。25℃に冷却したところで、図
1(b)、図3(c)に示したように、結晶ホルダ19
に取り付けたL−アラニン結晶20を、L−アラニン過
飽和溶液3の入った結晶セル11に挿入し、L−アラニ
ンの2次核、すなわちL−アラニンの結晶を発生させ
る。なお、結晶ホルダ19に取り付けたL−アラニン結
晶20を、L−アラニン飽和溶液3の入った結晶セル1
1に挿入し、40℃から25℃に冷却させながらL−ア
ラニンの2次核、すなわちL−アラニンの結晶を発生さ
せてもよい。L−アラニン結晶は、図5の模式図に示す
ような結晶であり、磁場の方向と平行に、L−アラニン
結晶のz軸が配向するものである。
【0022】磁場Hの方向が重力Gと同一の方向(図1
(a))の場合、晶析して磁場Hの方向に配向するL−
アラニン結晶を図6に示す。図6(a)は、磁場をかけ
ないとき、すなわちOT(テスラ)のときで、L−アラ
ニン純粋溶液(過飽和度:15℃)から晶析し成長した
結晶はランダムになっている。これに対して図6(b)
に示す、5T(テスラ)の磁場Hをかけたときには、粒
径0.1〜0.2mm程度のL−アラニン結晶は、その
z軸が磁場Hの方向と平行に配向された。なお、過飽和
度:15℃は、L−アラニンの40℃飽和溶液を25℃
に冷却しするその温度差を示したものである。磁場Hの
方向が重力Gと60度の角度(図3(a))の場合、図
7(a)の磁場をかけないときは、L−アラニン純粋溶
液(過飽和度:15℃)から晶析し成長した結晶はラン
ダムになっているのに対して、図7(b)に示すよう
に、5T(テスラ)の磁場Hをかけたときには、粒径
0.1〜0.2mm程度のL−アラニン結晶は、そのz
軸が磁場Hの方向と平行に配向された。
【0023】次ぎに、磁場強度とL−アラニン発生結晶
の配向率の関係を図8に示す。図8の横軸はMagne
tic field(T)、縦軸R(%)は配向率、R
=配向性を持つ(θ<3°)の発生結晶の総数/析出結
晶の総数であり、配向性を持つ(θ<3°)とは、磁場
Hの方向とL−アラニン結晶のz軸が3°以内のものを
示す。図8に示すように、無磁場(0T)では、析出し
た結晶は、それぞれの結晶方向がランダムであるのに対
し、磁場の強さ1T(テスラ)では、L−アラニン結晶
のz軸の配向率が90%以上になり、磁場の強さを5T
(テスラ)では配向率はさらに高くなり、磁場強度の増
加とともに配向率が上昇した。
【0024】次ぎに、上記のように調製したL−アラニ
ンの40℃飽和溶液を用い、磁場の強度により結晶の成
長速度が異なることについて示す。L−アラニン結晶の
成長速度の測定は、L−アラニンの40℃飽和溶液を冷
却し、33℃になったところで、L−アラニン結晶を挿
入、固定し(図2(b)のように)、そのL−アラニン
結晶の結晶面の成長量を観察し録画する。そして、録画
した画面から数例についてその成長長さΔLを測定し
た。図9及び図10は、磁場強度と成長の関係を示した
グラフである。図9は横軸が時間(min)θ、縦軸が
成長長さ(mm)ΔLで、磁場強度0T、1T、2T、
3T、4T、5Tにおける時間(min)θと成長長さ
(mm)ΔLを示したものである。その結果、0T、1
T、2T、3T、4T、5Tのそれぞれの磁場強度にお
いて、時間(min)θと成長長さ(mm)ΔLをプロ
ットしたところ、直接関係が得られた。
【0025】また、図10は、横軸が磁場強度(T)、
縦軸が平均成長速度(mm/min)Gで、図9に示し
た値についてそれぞれの磁場強度(T)での平均成長速
度(mm/min)Gを示した。これらのデータから明
らかなように、磁場強度(T)により、成長長さ(m
m)ΔLが異なるものであり、磁場強度(T)を制御す
ることにより、成長速度を制御することができることが
わかった。
【0026】
【実施例2】実施例2は、DASTを用い、そのメタノ
ール飽和溶液の晶析結晶の配向制御について、図1、図
3、図11、図12、図13を参照して説明する。ま
ず、DASTの40℃飽和メタノール溶液を準備する。
このDASTの飽和メタノール溶液は、DAST3.5
gと98%メタノール水溶液100gからなり、40℃
の温度に保持された恒温槽中で調製した。このDAST
の40℃飽和メタノール溶液を、図1、図3に示したよ
うに、晶析結晶の配向制御を行う装置の結晶化セル11
に入れる。結晶化セル11は、10×3×45mmの大
きさの石英製のもので容量約1.4mlである。結晶化
セル11のDASTのメタノール飽和溶液が、25℃に
達したところで、結晶ホルダ19に取り付けたDAST
結晶20を、上記の過飽和溶液3の入った結晶セル11
に挿入し、DASTの2次核、すなわちDASTの結晶
を発生させる。DASTは式1で、その結晶は、図9の
模式図に示すような結晶であり、磁場の方向と平行にD
AST結晶の[100]が配向するものである。
【式1】
【0027】磁場Hの方向が重力Gと同一の方向(図1
(a))の場合、晶析して磁場Hの方向に配向する(D
AST)結晶を図12に示す。DASTのメタノール飽
和溶液を40℃から25℃(過飽和度15℃)で晶析し
成長したDAST結晶は、磁場をかけないとき、すなわ
ちOT(テスラ)のときは、それぞれ方向がランダムで
あったのに対して、図12に示す5T(テスラ)の磁場
Hをかけたときは、磁場の方向に粒径0.05〜0.1
mm程度のDAST結晶が、その[100]が磁場Hの
方向と平行に配向した。また、磁場Hの方向が重力Gと
60度の角度(図3(a))の場合も、DASTのメタ
ノール飽和溶液を40℃から25℃(過飽和度15℃)
で晶析し成長したDAST結晶は、磁場をかけないとき
は、それぞれ方向がランダムであったのに対して、図1
3に示すように、5T(テスラ)の磁場Hをかけないと
きは、60度の角度の磁場H方向に粒径0.05〜0.
1mm程度のDAST結晶が、その[100]が、磁場
Hの方向と平行に配向した。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の晶析する
結晶の配向を磁場により制御する方法及びその装置によ
れば、結晶の核発生およびその成長過程で磁場を作用さ
せることにより結晶を配向させることができ、また非接
触操作により結晶の配向を制御できるので、高い純度で
晶析した結晶を得ることができるという効果を有し、医
薬品、食品、誘電体、光学素子などに用いる配向した素
材結晶を工業的に生産性よく製造できるという効果を奏
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を説明する図
【図2】 本発明の実施の形態を説明する図
【図3】 本発明の実施の形態を説明する図
【図4】 本発明の実施の形態を説明する図
【図5】 本発明の実施例1を説明する図
【図6】 本発明の実施例1を説明する図
【図7】 本発明の実施例1を説明する図
【図8】 本発明の実施例1を説明する図
【図9】 本発明の実施例1を説明する図
【図10】 本発明の実施例1を説明する図
【図11】 本発明の実施例2を説明する図
【図12】 本発明の実施例2を説明する図
【図13】 本発明の実施例2を説明する図
【符号の説明】
2 飽和溶液 3 結晶 10 磁場機構 11 結晶化セル 18 回転機構 19 結晶ホルダ 20 ホルダに取り付けた結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 9/02 619 B01D 9/02 619Z 620 620 625 625Z C07C 227/42 C07C 227/42 229/08 229/08 G02B 1/02 G02B 1/02 1/04 1/04 // C07D 213/38 C07D 213/38 Fターム(参考) 4C055 AA04 BA01 CA01 DA06 DA27 DB02 4H006 AA02 AA04 AD15 BS10 BU32 NB11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過飽和溶液から溶質を結晶として発生さ
    せ成長させる化合物結晶の晶析方法において、過飽和溶
    液からの結晶の核発生およびその成長過程で磁場を作用
    させて結晶を配向させることを特徴とする晶析した結晶
    の配向を磁場により制御する方法。
  2. 【請求項2】 過飽和溶液から溶質を結晶として発生さ
    せ成長させる化合物結晶の晶析方法において、過飽和溶
    液からの結晶の核発生およびその成長過程で磁場を作用
    させ、結晶の配向の状況により磁場強度及び/または磁
    場方向の調整を行い結晶を配向させることを特徴とする
    晶析した結晶の配向を磁場により制御する方法。
  3. 【請求項3】 過飽和溶液が、L−アラニン過飽和溶液
    であり、晶析したL−アラニン結晶のz軸が磁場方向と
    平行に配向していることを特徴とする請求項1または2
    に記載の晶析した結晶の配向を磁場により制御する方
    法。
  4. 【請求項4】 過飽和溶液が、4−N,N−ジメチルア
    ミノ−4´−N´−メチルースチルパゾリウム p−ト
    ルエンスルホネートのメタノール飽和溶液であり、晶析
    したDAST結晶の[100]方向が、磁場方向と平行
    に配向していることを特徴とする請求項1または2に記
    載の晶析する結晶の配向を磁場により制御する方法。
  5. 【請求項5】 過飽和溶液から溶質を結晶として発生さ
    せ成長させる化合物結晶の晶析装置において、温度制御
    手段を設けた過飽和溶液を入れる結晶化セル、前記結晶
    化セルの溶液に磁場を作用させる手段、前記結晶化セル
    の溶液を観察する手段を有することを特徴とする晶析し
    た結晶の配向を磁場により制御する装置。
  6. 【請求項6】 磁場を作用させる手段が、回転可能に設
    けられていることを特徴とする請求項5に記載の晶析し
    た結晶の配向を磁場により制御する装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104046508A (zh) * 2014-06-17 2014-09-17 李传印 花生中不饱和脂肪酸提纯装置及其提纯工艺
JP2016121119A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 武輝 山田 アミノ酸の分離法
CN113856235A (zh) * 2021-09-29 2021-12-31 浙江大华技术股份有限公司 降温结晶控制方法、装置、电子设备和***

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