JP2003064582A - 布地の湿潤性と吸収性を高める酵素処理 - Google Patents

布地の湿潤性と吸収性を高める酵素処理

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ浴を使用しないで、布地の湿潤性と
吸水性を高める。 【解決手段】 綿布地繊維またはポリエステル布地線維
を、界面活性剤なしで、水溶性媒体中の酵素で処理す
る。酵素は、ペクチナーゼ類、セルラーゼ類、プロテア
ーゼ類、リパーゼ類、またはこれらの任意の混合物であ
る。綿布地の場合、酵素処理に先立って、沸騰水に浸す
と、好適である。また、綿繊維の湿潤特性は、セルラー
ゼとペクチナーゼの混合物で処理することによって最も
大幅に改善されることが見出された。ポリエステル布地
については、試験を行った5種類のリパーゼのうち4種
が、レギュラーポリエステルの繊物の水湿潤性と吸水性
を、最適条件下でのアルカリ加水分解法以上に改善し
た。アルカリ加水分解法による試験結果と対照的に、強
度が完全に保持されたままで水湿潤性が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、布地処理の技術
分野および酵素の使用に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】綿などの布地材料の繊維および布地は、
接触角が93°〜95°の範囲内であることから明らか
なように、湿潤性が低く、かつ保水性が低くて一般に
0.15mLの水/mg繊維の桁以下であるから、生の
状態で染色または仕上げを行うには適していない。セル
ロースベースの繊維の場合、これらの特性は、これら材
料中の非セルロースの不純物が原因である。これら不純
物は、典型的にはろう様または油様の性質の不純物であ
る。これらの非セルロース物質は、アルカリ精練法によ
って布地を処理して除去され、この処理は、沸騰してい
る苛性アルカリ溶液中に前記材料を浸漬することによつ
て行われる。アルカリ精練は、時間とエネルギーの両者
を消費し、そして使用済のアルカリを中和した後、かな
りの量の塩を含有する排水を生成する。
【0003】ポリエステルなどの合成繊維は、同様に、
水の接触角が高く、湿潤性が低く、かつ保水性が最低で
ある。これらの効果は、セルロースベースの繊維とは対
照的に、不純物が存在していることによって起きるので
はなく、むしろポリエステルの表層の特性である。ポリ
エステル布地を染色しようとしても、標準のポリエステ
ル繊維、そしてこれらの繊維で製造された布地は、反応
の染着座席を全く持っていないので、状況は一層複雑で
ある。ポリエステル繊維は、典型的には繊維の無定形領
域中に染料を拡散させることによって染色される。ま
た、その繊維の表層を改質することによってポリエステ
ルの染料吸収性などの特性を改善する方法も開発されて
いる。
【0004】物理的方法または化学的方法によってポリ
エステル繊維の表層を改良することは、公知である。例
えば、ポリエステル繊維をカチオン染料に対して反応性
にする方法として、5−スルホイソフタレートを用い
て、ポリエステル繊維にアニオン部位が付加されてい
る。セルロース繊維について行われる方法と同様に、ポ
リエステル繊維の表層は、新たに抽出された繊維をアル
カリ処理することによって改質されて、快適さが改善さ
れかつ吸水性が増大する。これらの処理法は、米国特許
第5,069,846号および米国特許第5,069,
847号に開示されている。しかし、ポリエステル繊維
をアルカリで処理すると、繊維強度が弱くなることが多
い。
【0005】酸素類が繊維産業に使用されてきており、
各種の使用法が文献に開示されている。通常用いられて
いる酵素類としては、アミラーゼ類、セルラーゼ類、ペ
クチナーゼ類およびリパーゼ類がある。典型的な用途
で、アミラーゼ類はサイズ剤(例えば、デンプン)を除
くのに使用され、セルラーゼ類は綿繊維の表面仕上を変
えるかまたは綿繊維から不純物を除くために使用され、
そしてリパーゼ類は天然繊維(例えば、綿、絹など)の
表層から脂肪または油を除去するのに使用される。
【0006】アミラーゼ類は布地からサイズ剤を除くの
に使用されるが、そのサイズ剤は、織っている間に織糸
が損傷するのを防ぐため、織る前に、糸に塗布されたも
のである。このサイズ剤は、その後の仕上げ工程、例え
ば漂白または染色の工程の前に除去される。最も一般的
なサイズ剤は、デンプンである。市販されているαアミ
ラーゼ類の例としては、AQUAZYM(登録商標)お
よびTERMAMYL(登録商標)(Novo Nordisk A/S
社)がある。
【0007】また、酵素は、伝統的にストーンウォッシ
ングおよび酸洗いによって行われている柔らかい手触り
と流行の着古しルックを達成するため、デニム衣服の仕
上にも使用されている。この目的のために用いられる酵
素は、微生物のセルラーゼ類である。
【0008】綿を処理する際のセルラーゼ類の別の使用
は、Roessner,U.著、「Enzymatic degradation of impu
ritirs in cotton」、Melliand Textilberichte 74
巻、144−148頁(1993年)(Melliand Engli
sh 2/1993:E63−E65)に開示されてい
る。Roessner が開示しているセルラーゼ類は、アルカ
リの代替品として使用された。これらセルラーゼ類は、
界面活性剤類と組み合わせて用いられ、その界面活性剤
の含有は、明らかに、湿潤性を達成するのに必要であっ
たと考えられていた。また、その処理溶液は、特定され
ていないが緩衝剤を含有していた。その酵素反応は、特
定されていないが、ある時間、沸騰洗浄することによっ
て終了された。そこに述べられている酵素処理の目的
は、羽毛を除き、平滑化し、そして内部柔軟化を行うこ
とによって、仕上げ製品の品質を改善することであっ
た。仕上げ製品の湿潤性と吸水性を恒久的に改善するこ
とについては、何ら述べられていない。
【0009】ペクチナーゼ類は、カラムシ、アマ、ア
サ、およびジュートなどの繊維から多糖の不純物を除く
ために使用されてきており、この酵素の水溶液とともに
それら繊維を、例えば、pH4.7で40℃にて24時
間インキュベートすることによって行われている(日本
国特許第4289206号)。
【0010】衣服から油汚れを除くためリパーゼ類を使
用することは、洗浄剤の技術分野で公知である(例え
ば、米国特許第4,810,414号)。また、リパー
ゼ類は、布地の仕上げ処理にも使用されてきている。例
えば、Peterson は、天然繊維類をリパーゼ類で処理し
て、残留しているトリグリセリドなどの脂肪物質を除く
方法を開示している。この方法は、工程中に加えた油ま
たはエステルのコーティングを除くのにも有用である
(国際公開第WO93/13256号)。Petersonは、
リパーゼ類を用いて、繊維の表層の構造エステル結合を
開裂することによってポリエステル繊維の特性を変化さ
せることについては、何ら述べていない。Lund 他は、
有機溶液のリパーゼを使用して、ある種の布地の表層を
カルボン酸類で修飾する方法を開示している。これらリ
パーゼ類を用いて、これらカルボン酸と、表面に反応性
ヒドロキシル基を有する繊維との間にエステルが形成さ
れる(国際公開第WO96/13632号)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】NaOHを用いての繊
維のアルカリ処理法は、いくつかの固有の欠点を有す
る。沸騰水酸化ナトリウム水溶液を多量に使用すること
は、安全上の理由、便利さの面、およびアルカリ浴を中
和することによって生成する大量の廃棄物の塩のため望
ましくない。また、熱アルカリを用いて繊維を処理する
と、繊維が損傷してその強度と耐久性が低下する。した
がって、アルカリ浴の使用を避けた、布地の湿潤性と吸
収性を高める布地の処理方法は、布地加工の技術分野に
著しい進歩をもたらすであろう。全く驚くべきことであ
るが、この発明はそのような方法を提供するものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】4種のクラスの酵素類の
いずれかで処理することによって、布地繊維の水潤滑性
と吸収性が増大することが発見されたのである。ペクチ
ナーゼ類、セルラーゼ類、プロテアーゼ類およびリパー
ゼ類を単独でまたは組み合わせて、単一の処理ステップ
でまたは中性の水による短時間の煮沸処理に続いて行う
ことによって、アルカリ精練によって達成されるのと等
しいかまたはそれより優れた湿潤性と白色度が得られる
ことが見出されたのである。これら酵素類は、アルカリ
精練に伴う高いpHを不要とし、かつアルカリの除去を
不要とする。また、これら酵素類は、界面活性剤および
それに関連する費用を不要とし、そして酵素による処理
は、中温で行うことができる。事実、布地類を界面活性
剤なしで酵素によって処理すると、接触角が相当に小さ
くなり、得られる布地はアルカリ精練で処理された布地
より約25〜40%多い水を吸収できることが発見され
たのである。
【0013】したがって、一実施態様において、この発
明は、布地繊維の水湿潤性と水吸収性を変化させる方法
を提供するものであり、その方法は、布地繊維類を水性
媒体中で酵素により処理することを含んでおり、酵素
は、ペクチナーゼ類、セルラーゼ類、プロテアーゼ類、
リパーゼ類およびそれらの混合物からなる群から選択さ
れるメンバーであり、そして水性媒体は、界面活性剤を
実質的に含有していないものである。
【0014】ペクチナーゼ類とセルラーゼを組み合わせ
ると、綿布地の水湿潤性と保水性を高めるのに特に有効
であることが見出されたのである。したがって、第二の
実施態様において、この発明は、綿繊維の水湿潤性と水
吸収性を高める方法を提供するものであり、その方法
は、水性媒体にさらにペクチナーゼとセルラーゼを含有
する酵素混合物で綿繊維を処理することを含んでいる。
【0015】他の実施態様において、リパーゼ類が、従
来技術の方法とは対照的に、繊維の重量減と強度損失を
最小限にしながら、芳香族ポリエステルの繊維の湿潤性
と保水性を劇的に改善することが、示されている。それ
故、さらに他の実施態様において、この発明は、ポリエ
ステル繊維の物理特性を変化させる方法であり、その方
法は、ポリエステル繊維類をリパーゼの水溶液で処理し
て、繊維に極性基を生成させるものである。ポリエステ
ル繊維の極性基は、ポリエステル繊維の湿潤性と吸収性
を含む物理特性を改変することができる。この発明のこ
の実施態様の範囲内には、反応媒体の成分として界面活
性剤を使用することが含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明を実施するのに有用なペ
クチナーゼ類(ペクチン酵素としても知られている)と
しては、ペクチンエステラーゼ類とペクチンデポリメラ
ーゼ類がある。ペクチンデポリメラーゼ類の例は、エン
ドポリガラクツロナーゼ、エンドペクテートリアーゼ、
エンドペクチンリアーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ
およびエキソペクテートリアーゼである。ペクチンエス
テラーゼ類の起源は、高等植物類、多数の真菌類(いく
つかの酵母を含む)およびある種の細菌類である。ペク
チンデポリメラーゼ類の起源は、植物の病原体で腐生栄
養性真菌類ならびに細菌と酵母である。
【0017】この発明に有用なセルラーゼ類の例は、エ
ンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、およびβグル
コシターゼである。「セルロース分解酵素類」または
「セルラーゼ酵素類」は、真菌のエキソグルカナーゼ類
またはエキソセロビオヒドロラーゼ類、エンドグルカナ
ーゼ類およびβグルコシターゼ類を意味する。これら3
種の異なるタイプのセルラーゼ酵素は、相乗的に作用し
て、セルロースおよびその誘導体をグルコースに変換す
る。
【0018】天然供給源が産生するセルラーゼ組成物で
あって、1種以上のセロビオヒドロラーゼタイプとエン
ドグルカナーゼタイプの成分を含んでなり、その各成分
が該供給源が産生する比率で見出されるセルラーゼ組成
物は、この明細書では「完全セルラーゼ系」または「完
全セルラーゼ組成物」と呼称して、その組成物から単離
されるセルラーゼの分類および成分、細菌類およびいく
つかの真菌が産生する不完全セルラーゼ組成物類、セル
ラーゼの1種以上のセロビオヒドロラーゼタイプおよび
/またはエンドグルカナーゼタイプの成分を過剰産生、
過少産生もしくは産生しないように遺伝子を修飾された
微生物から得られるセルラーゼ組成物、または切形(ト
ランケートされた)セルラーゼ酵素組成物から区別す
る。例えば、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Tric
hoderma longibrachiatum)中のCBHI、CBHI
I、EGI、EGII、およびEGVをコードする遺伝
子を分析すると、触媒コア領域またはドメイン(CC
D)、ヒンジはたはリンカー領域(ここでは相互に区別
なく使用)およびセルロース結合領域またはドメイン
(CBD)を有するドメイン構造を呈する。切形酵素
類、すなわち結合ドメインがなく触媒コアドメインを有
する発現産物は、布地を処理するのに有用であり、この
発明の範囲内にあるとみなされる。
【0019】この発明に用いるのに好ましいのは、植
物、真菌または細菌の供給源由来のセルラーゼ類であ
る。真菌セルラーゼ類の具体例としては、トリコデルマ
・ロンギブラキアタム、トリコデルマ・ビリデ(Tricho
derma viride)、トリコデルマ・コニンギイ(Trichode
rma koningii)を含むトリコデルマ属の種、ペニシリウ
ム(Penicillium)属の種、フミコラ・インソレンス(H
umicola insolens)を含むフミコラ属の種、アスペルギ
ルス(Aspergillus)属の種、およびフザリウム(Fusar
ium)属の種由来のセルラーゼ類がある。細菌セルラー
ゼ類は、テルモモノスポラ(Thermomonospora)属の
種、セルロモナス(Cellulomonas)属の種、バシラス
(Bacillus)属の種、シュードモナス(Pseudomonas)
属の種、ストレプトマイセス(Streptomyces)属の種お
よびクロストリジウム(Clostridium)属の種などの微
生物由来のセルラーゼ類である。この明細書に記載され
ているセルラーゼ組成物を製造するのに有用なセルラー
ゼ類を産出することができる他の微生物は、英国特許第
2094826A号とPCT公報第96/29397号
に開示されている。なお、これら文献の開示内容をこの
明細書に援用する。
【0020】この発明に有用なプロテアーゼ類(ペプチ
ダーゼ類としても知られている)としては、セリンペプ
チダーゼ類(例えば、トリプシン、キモトリプシンおよ
びズブチリシン類など)、チオールプロテアーゼ類(例
えば、ブロメラインおよびパパインなど)、アミノペプ
チダーゼ類、およびカルボキシペプチダーゼ類がある。
プロテアーゼ類は、多種類の供給源から得ることができ
る。この発明の方法を実施するのに有用なプロテアーゼ
類としては、例えば、米国特許第4,990,452号
に開示されているものがある。なお、この文献の開示内
容をここに援用する。
【0021】リパーゼ類は、乳汁、酵母類、細菌類、小
麦胚芽、動物の供給源(例えば、膵臓)および各種の真
菌類から得ることができる。この発明を実施するのに使
用するリパーゼ類の例としては、カンジダ(Candid
a)、ピキア(Pichia)、ストレプトマイセス(Strepto
myces)、バシラス(Bacillus)、シュードモナス(Pse
udomonas)、ムーコル(Mucor)、リゾプス(Rhizopu
s)の属の微生物から得られるもの、および通常の家畜
類(例えば、ブタ、ヒツジ、ウシなど)の膵臓からの抽
出物がある。有用なリパーゼ類の例は、米国特許第5,
278,066号に開示されている。なお、この特許の
開示内容をここに援用する。
【0022】この発明に有用な酵素類は、当分野の技術
において周知の方法に従って調製することができる。例
えば、標準の発酵および精製のプロトコルを利用して、
自然状態または野生型の酵素組成物を調製することがで
きる。真菌類および細菌類を含む酵素産生微生物を培養
してこの発明において有用な酵素類を製造するそのよう
な発酵法は、それ自体当業界で公知である。例えば、セ
ルラーゼ、リパーゼ、プロテアーゼおよびペクチナーゼ
の組成物は、バッチ法、流加培養法および連続フロー法
を含む固体培養法または深部培養法で製造することがで
きる。発酵ブロスから産生されるこれら酵素の収集と精
製も、当業界でそれ自体周知の方法で行うことができ
る。ある微生物に特有の発酵マトリックス内に混合して
いる酵素組成物は、その既知の特徴と特性に基づいた精
製法で得ることができる。例えば、実質的に純品成分の
酵素類、すなわちセルラーゼ、プロテアーゼ、ペクチナ
ーゼまたはリパーゼは、適切なpHにおけるイオン交換
クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィ
ー、サイズ排除クロマトグラフィーなどを含む、文献に
発表されている容認された分離法により得ることができ
る。例えば、イオン交換クロマトグラフィー(通常、ア
ニオン交換クロマトグラフィー)の場合、pHの勾配、
または塩の勾配、またはpHと塩の両者の勾配で溶出す
ることによって酵素成分を分離することができる。精製
した後、所望成分の必要量を再混合することができる。
【0023】さらに、微生物を遺伝子工学で処理して、
特定の酵素を過剰産生させるかまたは他の酵素またはタ
ンパク質汚染物なしで産生させることができる。同様
に、布地に用いるのに有益な追加の特性、例えば熱安定
性、アルカリまたは酸に対する安定性、界面活性剤に対
する安定性、広くなったpHの範囲または増大した活性
を有する変異酵素を産生させることができる。このよう
な酵素もさらにこの発明の範囲内である。
【0024】この発明にとって重要なことは、その酵素
の供給源ではなく、その酵素が関連基質に与える活性で
あることに留意されたい。したがって、適切な活性プロ
フィールを有する酵素組成物を、この発明の教示の下で
与えられた用途に対して選択することができる。もちろ
ん、特定の用途に対して特異的な酵素を選択する場合
は、その酵素が如何なる条件下で使用されるかを考慮し
なければならず、そして、その選択は、酵素の生化学的
特徴、例えば、最適pH、最適温度、イオンと塩の効果
を、その酵素が用いられる特定の条件に適合させること
によって有利に改善される。この発明の範囲内の酵素類
は、商業的供給者からも入手できる。供給者のいくつか
としては、ICN Biomdicals(米国カリフォルニア州コス
タメサ所在);Sigma Chemical Company(米国ミズーリ
州セントルイス所在);Novo Nordisk Biotech,Inc.
(デンマーク所在)および Genencor International In
c.(米国ニューヨーク州ロチェスター所在)がある。
【0025】この発明に有用な緩衝剤は、繊維、布地ま
たは糸を処理しているときの望ましくないpHの変化に
対して酵素組成物を安定化する、当業界で容認されてい
る酸/塩基剤である。この観点で、多くの酵素の活性が
pH依存性であることが認識されている。例えば、特定
の酵素組成物は規定のpH範囲内で酵素活性を示し、最
適酵素活性は、一般に、この規定範囲の小部分で見られ
る。酵素活性を示す特定のpH範囲は、各酵素組成物に
よって変化する。さらに、繊維、布地または糸の酵素処
理の間に、初期反応のpHが、活性を示すのに必要なp
H範囲から外れることがある。さらに、繊維、布地また
は糸の処理の間に、例えば、溶液のpHを変化させる反
応生成物が生成することによって、pHが変化すること
がある。いずれにしても、緩衝されていない酵素溶液が
示すpHは、活性を示すのに必要な範囲外になることが
ある。このようなことが起こると、活性の望ましくない
減少または停止が起こる。
【0026】上記のことから、酵素溶液のpHは、活性
を示すのに必要な範囲内に維持しなければならない。こ
れを達成する一方法は、単に、その系のpHを監視し、
酸または塩基を添加することによって、pHを必要なp
Hに調節することによる方法である。しかし、好ましい
実施態様では、その系のpHは、好ましくはその酵素溶
液に緩衝剤を使用することによって所望のpH範囲内に
維持される。一般に、利用される酵素が活性を示す範囲
内に溶液のpHを維持するため、十分な量の緩衝剤が使
用される。異なる酵素組成物が、活性を示すpH範囲が
異なっている限り、使用される特定の緩衝剤は、使用さ
れる特定の酵素組成物との関連で選択される。使用され
る酵素組成物と一緒に使用するために選択される緩衝剤
は、使用される酵素組成物にとってのpH範囲と最適値
およびその溶液のpHを考慮して、当業者が容易に決定
することができる。
【0027】好ましくは、使用される緩衝剤は、イオン
または塩が存在することに関して酵素組成物と相溶性で
あり、かつその溶液のpHを、最適の活性を示すのに必
要なpHの範囲内に維持する緩衝剤である。適切な緩衝
剤としては、クエン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、
酢酸ナトリウム、リン酸二ナトリウムなどがある。この
発明を実施するのに有用な有機緩衝剤の例としては、フ
タル酸水素カリウム、酒石酸水素カリウム、酢酸、酢酸
ナトリウムおよびトリ(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ンがある。この発明を実施するのに使用する無機緩衝剤
の例としては、リン酸ナトリウムとリン酸カリウム(一
酸塩および二酸塩を含む)、炭酸ナトリウム、重炭酸ナ
トリウムおよびホウ酸ナトリウムがある。緩衝剤として
は、無機緩衝剤の方が好ましい。
【0028】繊維、布地または糸は、酵素の作用が布地
に対して望ましい効果を与えることができる有効な条件
下で、その酵素溶液とともに加温放置する。例えば、酵
素で処理している間、pH、液比、温度および反応時間
を調節して、酵素が作用する条件を最適化することがで
きる。「有効な条件」とは、必然的に、酵素が基質と効
率よく反応できるpH、液比および温度を意味する。各
個々の酵素の反応条件は、いずれも周知の方法を用いて
容易に確認することができる。
【0029】したがって、特定の酵素を添加する溶液の
pHは、必然的に、その特定酵素が何であるかによって
決まる。真菌のセルラーゼ類の場合、そのセルラーゼが
トリコデルマ・ロンギブラキアタム由来のセルラーゼの
とき、溶液のpHは、約4〜7の酸性〜中性の範囲に保
持することが好ましいが、フミコラ・インソレンス由来
のセルラーゼは、中性範囲のpHすなわち約6〜8で有
効に作動する。一方、細菌供給源すなわちバシラス属の
種の細菌由来のセルラーゼを使用する場合、約6〜11
の範囲のずっと高いpHレベルを使用することができ
る。リパーゼ類に関して、出願人は、各種のpHと温度
で有用なリパーゼ組成物の多数の例を提供する表1−3
を以下に示す。ペクチナーゼおよびプロテアーゼの組成
物も同様に各種のpHレベルで有用である。しかし、ペ
クチナーゼ類は、約4〜6のpHレベルで使用されると
有効な場合が多く、そして多数のプロテアーゼ類、すな
わち、バシラス属の種すなわちレンタス(lentus)由来
のプロテアーゼ類は、約7〜11のアルカリ性pHで有
効である。
【0030】ある種の用途では、塩基性であるか酸性で
あるかいずれかのpH値で活性である酵素を使用するこ
とが望ましい。布地に対して望ましい効果を達成するた
め、この発明は、反応混合物のpHを変更することや、
必要に応じて酵素を何にするか(またはその起源)を変
更することを含む。したがって、例えば、所望の反応条
件ひいては所望の布地特性を達成するために、異なるp
H値で活性であるリパーゼ類を利用することができる。
表1、2および3は、異なるpH範囲にわたって活性で
あるリパーゼ類を提供し、そして総合すると、非常に変
化する条件下で使用できる一倉庫分のリパーゼ類を供給
する。この発明を実施するのに有用な異なる酵素が反応
できる様々な条件を説明するためにリパーゼ類を選択し
てあるが、これは例示だけを目的とするもので、この発
明の範囲を定義したり限定したりする意図のものではな
い。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】処理溶液中の酵素の量は変わってもよく、
より強力な溶液がより短い処理時間で効果があることが
期待される以外は、この発明にとって厳密ではない。こ
の発明の範囲内には、当業者に知られかつ使用されてい
るタンパク質濃度の各種測定方法、例えばローリー(L
owry)法、COOMASSIE(登録商標)Blu
e法などを使用することがある。同様に、酵素類の活性
が、当業界で標準になっている方法で測定できること
は、当業者には分かっているであろう。酵素の濃度は、
約0.0001g/L〜約5.0g/Lの範囲内にする
ことができる。大抵の場合、酵素の濃度は、約0.00
01g/L〜約1.0g/Lの範囲内に入る。ペクチナ
ーゼ類とセルラーゼ類は、好ましくは、約0.1g/L
〜約1.0g/Lの範囲である。リパーゼ類は、好まし
くは約0.01g/L〜約1.0g/Lの範囲内であ
り、最も好ましくは約0.01g/L〜約0.2g/L
の範囲内である。プロテアーゼ類は、好ましくは、約
0.01g/L〜約0.1g/Lの範囲内である。
【0035】この発明の処理溶液は、酵素と緩衝剤の水
溶液の場合が最も多いが、酵素は緩衝剤なしの水溶液で
も使用できる。処理溶液は、追加の成分を含有していて
もよいが、好ましくは酵素と緩衝剤だけが存在している
のがよい。一般に、処理溶液は、界面活性剤を含有して
いない。しかし、ポリエステルを処理するためにリパー
ゼを使用する場合は、処理媒体中に界面活性剤を含有さ
せることもできる。
【0036】最適の処理温度は、使用される酵素のタイ
プと供給源によって変化する。酵素組成物にとって有用
な反応温度は、二つの競合する要因によって支配され
る。第一に、温度を高くすると一般に反応挙動を向上さ
せ、すなわち速い反応になり、低い温度で要求される反
応時間に比べて反応時間を短くすることができる。した
がって、反応温度は、一般に少なくとも約10℃以上で
ある。第二に、多くの酵素は、タンパク質類のように、
使用される酵素の性質によって決まる所定の反応温度を
超えると活性を失う。したがって、反応温度が高くなり
すぎると、酵素は変性して、所望の酵素活性を失う。
【0037】有用な温度範囲は、約10℃〜約90℃で
あり、最も多くの場合約20℃〜約60℃の範囲内であ
ろう。この明細書で例示しているようなペクチナーゼ
類、セルラーゼ類およびプロテアーゼ類は、好ましくは
約35℃〜約60℃の温度で使用するが、この明細書で
例示しているようなリパーゼ類は、好ましくは約20℃
〜約35℃の温度で使用する。これらの温度範囲は、単
に例示しているだけであり、これらの温度範囲から外れ
た温度で活性である酵素を利用することはこの発明の範
囲内にある。例えば、表1に示すように、異なる供給源
由来のリパーゼ類は、約22℃〜約80℃の温度範囲で
活性であることが知られている。さらに、好熱性、好ア
ルカリ性または好酸性の微生物由来の酵素を使用する
と、布地を処理する間に全く極端な条件を使用する機会
が与えられる。処理される布地に対して望ましい効果を
速成するため、反応温度と使用する酵素の両面を変える
ことはこの発明の範囲内に含まれる。
【0038】最適の処理時間は、処理を行うときの温度
とpHに基づいて変化するのはもちろんのこと、利用さ
れる酵素のタイプと供給源および処理溶液中の酵素の活
性と濃度に基づいて変化する。ほとんどの場合、約10
分間〜約1時間の時間枠内で有効な処理を行うことが望
ましい。好ましい反応時間は、約5分間〜約30分間の
範囲内にあり、約10分間が最も好ましい。
【0039】酵素による処理を終了させるには、繊維を
酵素との接触から除くか、または好ましくは、処理溶液
のpHまたは温度をその酵素が不活性になる範囲に変え
ることによって行うことができる。この発明の他の態様
では、布地を反応媒体から取り出し、次いでその酵素が
不安定になるかまたは不活性になるpHの緩衝液内で布
地を洗浄することによって、反応を終了させる。したが
って、酸性条件下で活性の酵素で処理される布地への反
応は、その繊維を、塩基性緩衝液内に浸漬するかまたは
該緩衝液内で洗浄することによって終了させることがで
き、他方、塩基性条件下で活性の酵素を用いる布地への
反応は、繊維を、酸性緩衝液内に浸漬するかまたは該緩
衝液内で洗浄することによって終了させることができ
る。
【0040】酵素を処理を行う前に布地材料を沸騰水中
に入れるこの発明の実施態様の場合、その沸騰処理に使
用される水は、淡水かまたは緩衝剤水溶液である。沸騰
させる際の圧力は厳密なものではなく、大気圧が一般に
最も便利である。沸騰処理の期間は厳密なものではない
が、最高効果は、一般に、少なくとも約0.1分、好ま
しくは約0.3〜6分間の沸騰時間で得られる。
【0041】この発明を適用できる布地材料としては、
天然もしくは合成の繊維および2種以上の異なるタイプ
の繊維を含有する混合物を含む繊維、糸および布地があ
る。天然繊維の例は、綿、リネン、***、亜麻、黄麻お
よびカラムシなどの植物繊維、およびウールモヘア、ビ
クーナおよび絹のような動物繊維である。合成繊維の例
は、レーヨンとTENCEL(登録商標)(再生セルロ
ース)、アセテート(部分的にアセチル化されたセルロ
ース誘導体)、溶媒紡糸によるセルロース(lyoce
l)、トリアセテート(完全にアセチル化されたセルロ
ース誘導体)、アズロン(azlon)(再生タンパク
質)、アクリル(ポリアクリロニトニルに基いてい
る)、アラミド(芳香族ポリアミド類に基いている)、
ナイロン(脂肪族ポリアミド類に基いている)、オレフ
ィン(ポリプロピレンなどのポリオレフィン類に基いて
いる)、芳香族ポリエステル(芳香族ジカルボン酸と二
価アルコールのポリエステルに基いている)、スパンデ
ックス(セグメント化ポリウレタンに基いている)およ
びビニヨン(ポリ塩化ビニルに基いている)である。特
に関心の高い布地材料は、綿とポリエステルである。綿
の好ましい酵素処理法は、ペクチナーゼによる処理法、
セルラーゼによる処理法およペクチナーゼとセルラーゼ
を組み合わせた処理法である。ポリエステルの好ましい
酵素処理法はリパーゼによる処理法である。
【0042】ポリエステルの材料を、この発明の方法で
使用する場合、この材料は、繊維、溶媒紡糸繊維のよう
なステープルファイバー、フィラメント、繊条、糸、ま
たは織られたものか、不織布かまたは編まれた繊維布地
として存在していることが好ましい。ポリエステル以外
の繊維を用いる場合、この発明の方法は、バラ繊維(lo
ose fibers)、または不織布、織布若しくはは編物に組
み合わせされた繊維の形態の繊維に適用できる。織布と
不織布が好ましい。それら繊維は、澱粉または他のサイ
ズ剤を実質的に含有していない方がさらに好ましい。
【0043】下記実施例は、例示を目的として提供する
ものであり、この発明の範囲を限定する意図のものでは
ない。
【0044】
【実施例】以下の実施例は、綿およびポリエステルの繊
物(文意により区別されない限り、編物や不織布のファ
ブリック全般を意味するものとする)の異なるタイプの
処理法を例示し、あるものはこの発明による酵素を含
み、残りは従来技術を表しており、そして試料の湿潤特
性と構造上の特性に対するこれら処理法の効果を示す。
下記「材料と方法」の項に記載の技術は、全実施例を通
して適用するものである。
【0045】<材料と方法>一般事項 化学薬剤は、試薬グレードのリン酸ナトリウム(Fisher
Scientific)を除いて、全て保証ACSグレードであ
った。水の精製には、Millipore Mill-Q WaterSystem
を使用した。反応温度は、タイプTの銅(+)−コンス
タンタン(−)テフロン(登録商標)コート温度プロー
ブ付きのOmega温度制御器(modelCN7600)で監視
した。混合は、液面の直下に沈めて用いる1インチ直径
の羽根を備えた、上載せ型(top loading)低速バーナ
ント(Barnant)ミキサで促進した。処理に続いて、そ
の織物を乾燥し、重量の変化を△W(%)として算出し
た。
【0046】
【数1】
【0047】式中、Wi は織物の初期重量であり、Wt
は、織物の最終重量である。
【0048】織物の特性の決定 織物の打込本数(count)と厚みは、ASTM法191
0によって測定した。糸の引張り特性は、標準のニュー
マティックグリップ付きInstron引張試験機(モ
デル1122TM)を用いて測定した(ASTM法22
56)。合計20本の経糸を、7.5cmの標点距離お
よび200mm/minのひずみ速度で測定した。糸の
綿密度は、糸を少なくとも24時間コンディショニング
を行った後、20本の4cm長の部分の重量を平均する
ことによって算出した。T検定法を用いて、試料間の有
意差を決定した。
【0049】Minolta分光光度計(モデルCM−
2002)を用いて、織物試料の色を測定した。Commis
sion International de l'Eclairage(CIE)が定義
したL***色空間値を、10°の標準のオブザーバ
ー角度で、CIE standard illumin
antD(6500K昼光)を用いて集めた。L*
は、織物試料の明度を示すのに用いた。すなわち、L*
値が高ければ高いほど、色は明るい。各試料の記録され
た織物の色は、その織物のランダムに選んだ5個所から
得た5個の測定値の平均値である。
【0050】水の接触角 織物の水接触角(CA)は、張力計で測定した湿潤力
(Fw)から算出した。接触角を測定する詳細な試験手
順は、報告されている。Hsieh,Y.L.他、TextileResearc
h Journal、62巻(11号)、677〜685頁(1
992年)。水接触角とその測定の基礎になっている理
論も報告されている。Hsieh,Y.L.、Textile Research J
ournal、65巻(5号)、299〜307頁(1995
年)。なお、これら両文献をここに援用する。その測定
装置は、RG Cahn電子微量天秤、Oriel可逆
トランスレータ(モデル16617)でインタフェース
されたモーターマイクコントローラ(モデル1800
8)、Keithley自動レンジ調節マルチメータ
(モデル175)、およびABB Goerzストリッ
プチャートレコーダ(モデルSE120)を含んでい
る。上記トランスレータ−コントローラは、湿潤液を、
織物試料の下端まで移動させることによって、湿潤液と
吊り下げた織物試料との接触を案内する。
【0051】水(γ=72.6ダイン/cm)およびヘ
キサデカン(γ=26.7ダイン/cm)中で2回ずつ
続けて湿潤力を測定して、織物試料に対する水の接触角
を測定した。第一の測定は、水中で行い、水中での湿潤
力と保水性を求めた。湿潤力は、下記式に示すように、
前向き(advancing)の定常状態湿潤力値(Bst)と保
持されている液体の全重量(Bsp)の差であった。
【0052】
【数2】
【0053】式中、Fw は織物試料上での液体の鉛直力
を示し、Fwは下記式で表される。
【0054】
【数3】
【0055】式中、γLV は湿潤液の表面張力であり、
pは織物試料のペリメータ(perimeter)であり、そし
てθは水のCAである。
【0056】乾燥後、ヘキサデカン内での第二の測定値
を用いて、試料のペリメータを算出して、試料の垂直液
体保持容量を求めた。CAをゼロと仮定して、試料のペ
リメータをヘキサデカン内での湿潤力(Fhexn)から算
出した。
【0057】
【数4】
【0058】既知のγLVとpによって、水のCAは水の
湿潤力(Fw)から求めることができる。
【0059】
【数5】
【0060】垂直液体保持容量(Cv)と水保持量
(Cm)の値を、ヘキサデカンと水それぞれの中で保持
された全液体の重量(Bsp)から誘導した。液体保持量
Cの値(μl/g)は、試料の重量によって正規化し
た。
【0061】
【数6】
【0062】式中、ρは、CvまたはCmそれぞれを誘導
するときの、ヘキサデカンまたは水の密度である。ヘキ
サデカンの液体保持容量は、液体を保持する細孔の全容
積を示す。各織物について、5回ずつ測定して平均値を
求めた。
【0063】また、液体保持容量(Cl)は、織物の多
孔度およびその液体と固体の密度から算出できる。
【0064】
【数7】
【0065】式中、ρlは液体の密度である。さらに、
織物の最大液体保持容量(Cm)は、織物をヘキサデカ
ン中に25分間浸漬する前(Wd)と後(Wm)に重量を
はかって、測定することができる。
【0066】
【数8】
【0067】綿織物 以下の各実施例1〜4において、綿織物に対する各種条
件の効果を示す。これらの各実施例で使用した綿織物
は、平織りであり、この試験では、100%綿織物(Ni
sshinbo California Incorporated)を使用した。織物
の試料は、各々、切断して10cm×14cmの大きさ
に解きほぐした。この寸法の織物片の重量は、約1.5
gであった。その織物は、最小限の澱粉サイズ剤を含有
し、ヨウ素と反応させたときヒース色がかった薄い灰色
を示した。繊維の表面構造に変化が起こることを避ける
ため、サイズ剤の除去は行わなかった。諸反応に続い
て、綿織物は、65%の湿度下70℃で3〜4日間乾燥
した。
【0068】実施例1 この実施例は、従来技術の綿のアルカリ精練法を実証
し、この精練法によって、織物に起こる物理的変化につ
いて詳細に述べる。NaOHによって精練すると、かな
りの重量減と織物の収縮が起こった。また、精練によっ
て、織物の水接触角と保水性が改善された。
【0069】未精練織物の重量は、平均13.8mg/
cm2であり、厚みは、320μmであった。その織物
は、経糸方向1インチ当たり69本の糸および緯糸方向
1インチ当たり67本の糸を含有していた。その未処理
綿織物は、疎水性で、水CAは93.9°(±3.3
°)であった。その織物は、L* 値が85.1の淡黄色
であった。
【0070】その綿織物を、100℃の4%のNaOH
溶液で精練し、次にすすぎ水が中性になるまで熱水です
すいだ。式1を用いて、織物の重量変化の百分率を算出
した。精練した織物の物理特性を未精練織物のそれらと
比較した。アルカリ精練には、0.4:1(L/g)の
液:織物比を使用した。このNaOHによる処理は、2
Lの加熱用マントル中で加熱される2Lのケトル中で行
った。処理条件と試験結果を表4に示す。
【0071】
【表4】
【0072】100℃の4%水酸化ナトリウム溶液で1
時間精練すると、織物は、かなり重量が減少し、織物の
厚みと打込本数が増大したことにより証されるように収
縮した。織物の湿潤性は、精練によって改善された。水
接触角(43.1°)と保水性(2.87μl/mg)
は、有意に改善された。また織物は、色が薄くなり、L
* 値が増大した。精練時間を2時間まで延長したとこ
ろ、重量減がわずかに高くなったが、織物はそれ以上収
縮したかった。湿潤性と明度は、精練時間を延長すると
改善されたが、保水性は、同じままであった。重大なこ
とは、精練によって糸の強度と線密度が低下したことで
ある。
【0073】実施例2 この実施例では、綿織物の特性に対する緩衝剤の効果を
詳細に述べる。酵素類の作用を区別するため、緩衝剤だ
け(酵素なし)の効果を確認しなければならなかった。
綿織物を、3種の緩衝溶液で、それらそれぞれの酵素反
応と同じ条件下で処理した。
【0074】緩衝液による処理に、0.33:1(L/
g)の液:織物比を採用した。それら緩衝液は、pHが
10.5の炭酸ナトリウム緩衝液(プロテアーゼ用)、
および2種類のリン酸ナトリウム緩衝液、すなわちpH
が5(セルラーゼおよびペクチナーゼ用)とpHが8.
5(リパーゼ用)の緩衝液であった。一般に、緩衝液
は、綿織物の湿潤特性に対して殆どまたは全く効果がな
かった。pHが10.5の炭酸ナトリウム緩衝液および
pHが5.0のリン酸ナトリウム緩衝液によって、綿織
物の水湿潤CAは変化しなかった。pHが8.5のリン
酸ナトリウム緩衝液によって水CAは83.0°まで低
下したが、これは依然としてかなり疎水性である。試験
結果を表5にまとめて示す。
【0075】
【表5】
【0076】3種類の各緩衝液のそれぞれによる処理に
よって、織物の色が薄くなり、織物の厚みと打込本数の
増大によって証されるように織物が収縮した。しかし、
織物の重量は、これらの緩衝液によって異なる影響を受
けた。炭酸ナトリウムの緩衝液は織物の重量を変化させ
なかったが、リン酸ナトリウムの緩衝液は織物重量を4
〜6%減少させた。しかし、この重量減は、精練による
重量減の約1/2である。炭酸ナトリウムで処理した綿
の糸の強度が低下したことを除いて、残りの2種の緩衝
液でもたらされた糸の強度は、精練された綿の場合と類
似していた。これらの緩衝液による処理で採用された中
温と攪拌によって、綿織物の水湿潤性または保水性が実
質的に変化することなく、織物の収縮を起こすことが分
かった。
【0077】したがって、生の綿織物の水湿潤性と保水
性に対するこれら緩衝液の効果が小さいので、選択され
た酵素の効力の評価に対するこれら緩衝液の干渉が最小
限になることが実証された。
【0078】実施例3 この実施例では、ある範囲の種類の酵素による綿織物の
処理について詳細に述べる。同一の織物片を、ペクチナ
ーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼおよびリパーゼを含む
4種の異なる酵素で処理した。織物を処理した後、酵素
類は不活性化し、次に織物を緩衝液で洗浄して乾燥し
た。乾燥した織物の重量減、厚み、織物の打込本数、明
度、接触度、保水性、線密度および強度を測定すること
によって特性を決定した。
【0079】4種の酵素、すなわちペクチナーゼ、セル
ラーゼ、プロテアーゼおよびリパーゼ(Genencor Inter
national 社、米国カリフォルニア州サウスサンフラン
シスコ所在)を、綿織物の水湿潤性および保水性を改善
する際のこれら酵素の効力について試験した。未処理の
生綿織物は疎水性であり、水CAが93.9°(±3.
30)でかつ保水性値は0.15μl/mg(±0.1
0)であった。この織物は、淡黄色(L*=85.1)
であった。緩衝剤は、いずれも単独で、織物の色の明度
および織物の収縮を増大させるが、生綿織物の水湿潤性
および保水性に対して殆どまたは全く影響しない。した
がって、これら緩衝液は、酵素の効果の評価に干渉しな
かった。
【0080】酵素による処理は、全て同じ手順で行い、
温度および/または使用する緩衝液だけを変化させた。
個々の酵素の有効性を調査するため、各処理を条件を変
えて一回行った。ペクチナーゼ、セルラーゼおよびリパ
ーゼの酵素に対しては、リン酸ナトリウムの緩衝液を用
い、プロテアーゼの酵素に対しては、炭酸ナトリウムの
緩衝液を用いた(表6)。ペクチナーゼはアスペルギル
スニガー(Aspergillus niger)由来のものであり、セ
ルラーゼはトリコデルマ由来のものであり、プロテアー
ゼはバシラス属の種の細菌由らいのもの(サブチリシン
のタイプ)であり、リパーゼはシュードモナスメンドシ
ナ(Pseudomonas mendocina)由来のものであった。
【0081】緩衝溶液を一定温度にしてから、その溶液
に酵素を添加した。酵素と緩衝液による処理は1時間続
け、全反応期間を通してミキサーで均一性を保持した。
各反応を終わった時点で、試料をすすぎ緩衝液中に2分
間浸漬した。酵素は、すすぎ緩衝液のpHによって不活
性化された。その織物片を、次いで3分間遠心分離した
(International Clinical Centrifuge)。室温水浴に
よる2分間のすすぎに続く3分間の遠心分離処理を5回
行うことによって、すすぎの工程を完了した。その試料
を、次いで65%の相対湿度下70°Fで乾燥した。乾
燥中の織物の重量は、重量の変化が認められなくなるま
で、24時間ごとに各試料の重量を測定することによっ
て監視した。この最終重量(Wt)は、3〜4日で得ら
れ、次にそれを使用し、式1に従って重量の変化を算出
した。
【0082】
【表6】
【0083】綿織物に対する酵素の効果を試験する場合
は、全て、酵素を添加せずに対応する緩衝溶液で処理し
たその織物見本と比較した。リパーゼによる処理は、綿
織物の水湿潤性と保水性、または物理特性に対しても全
く効果がなかった(表7)。このリパーゼは、採用され
た条件下では、綿の湿潤特性を改善する効力がなかっ
た。したがって、それ以上、このリパーゼを用いての試
験は行わなかった。
【0084】また、上記プロテアーゼによる処理によっ
ても、織物の湿潤特性や、如何なる織物の特性すなわち
厚み、織物の打込本数および明度も変化しなかった(表
7)。興味深いことに、このプロテアーゼで処理された
綿織物は、保水性値が著しく改善されて1.11μl/
mgであった。このプロテアーゼによる処理によって、
強度は殆ど失われなかった。
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】ペクチナーゼは、前記リパーゼと同様に、
水CA、保水性、または他の織物の特性、すなわち、厚
み、打込本数および明度に全く効果を示さなかった(表
8および図2)。このペクチナーゼの処理では、最小限
の重量減が観察された。上記セルラーゼは、単独で生の
綿に加えたとき、水湿潤性(CA)と保水性に検出可能
な改善をもたらした唯一の酵素であった(図2の(a)、
(b))。セルラーゼによる処理で織物が収縮する徴候は
全くなかったが、織物の重量減(図2の(c))と明度
(表8)は僅かに増大した。セルラーゼは、セルロース
に接近して、織物表面から、疎水性の非セルロース成分
を除去できるようであった。
【0088】湿潤性の最も有意な改善は、単一の処理に
ペクチナーゼとセルラーゼを組み合わせたときに起こっ
た(表8と図2)。水CAと保水性値は、商業的に精練
された織物について先に観察された範囲内に入っている
(図2の(a)、(b))。重量減(図2の(c))は、セル
ラーゼ単独の場合より小さく、そして厚み、打込本数お
よび明度は、湿潤性が改善されているにもかかわらず、
変化しなかった。ペクチナーゼによる処理は、糸の強度
をわずかに低下させただけであったが、一方、セルラー
ゼは、糸の強度を有意に低下させた。ペクチナーゼとセ
ルラーゼを混合して行った処理によって、糸の強度は、
セルラーゼで処理した試料よりさらに低下した。
【0089】混合して処理した場合のセルラーゼとペク
チナーゼの相乗作用によって、綿織物の湿潤特性の改善
に成功したのである。セルラーゼは、可能な場合に、セ
ルロースを加水分解して、ペクチナーゼがペクチン物質
に近づき易くすることによって、ペクチナーゼの作用を
明らかに助けている。ペクチンへの接近は、繊維表面の
非セルロース成分を支持しているセルロースを切断する
ことによって達成することができる。したがって、セル
ラーゼとペクチナーゼの相乗作用は、全部とはいわない
でも、いくらかのペクチンが、二次細胞壁の近くに位置
していることを示唆しているようである。これが真実で
あれば、ペクチン類を除けば、繊維の表面に存在してい
る他の非セルロース成分が放出される筈である。
【0090】この実施例は、リパーゼ類とペクチナーゼ
類が綿織物の湿潤性および他の特性に殆ど効果がないこ
とを示している。対照的に、セルラーゼで処理すると、
綿織物の水湿潤性と保水性がともに改善された。興味深
いことであるが、綿織物の物理特性の最も大きな変化
は、セルラーゼとペクチナーゼの混合物による処理でも
たらされたのである。
【0091】実施例4 この実施例は、綿を沸騰水で処理しただけの場合、およ
び沸騰水で処理し続いて酵素で処理した場合の効果を示
す。
【0092】4.1 沸騰水 100℃の水中に2分間ずつ3回浸漬したところ、綿織
物の水CAは16°低下し、保水値は1.05μl/m
gまで増大した(図3の(a)、(b))。両方の値の標準
偏差が大きいことは、作用を受けた繊維の表面の水湿潤
性が著しく不均一であったことを示している。綿織物を
100℃の水で前処理すると(表9)、糸の強度と織物
の明度に対して、精練によって生じた効果(表5)と類
似の効果があった。この短時間100℃の水で前処理し
た織物は、前記の精練を行った織物より、重量減が少な
くかつ織物の厚みの増大が大きかった。したがって、精
練は、100℃の水中に2分間ずつ3回浸漬した場合よ
り大きい重量減と平面方向の収縮を起こした。
【0093】
【表9】
【0094】4.2 沸騰水による処理に続いて行う酵
素による処理 100℃の水による前処理に続くペクチナーゼ処理およ
びセルラーゼ処理は、これらの酵素を生の綿織物に直接
適用した場合より、綿織物の湿潤特性が改善された(図
3a)。この前処理は、混合したペクチナーゼとセルラ
ーゼの処理にたいして、追加の利点を与えなかった。す
なわち、その織物CAは、すでに、商業ペースで精練さ
れた綿織物に匹敵する値の範囲内に入っていた。また、
この前処理は、プロテアーゼの効果も促進しなかった。
すなわち、プロテアーゼだけで処理された織物と比べた
場合、水湿潤性(83.2°±14.1)と保水性
(1.32μl/mg±1.09)にそれ以上の改善は
認められなかった。
【0095】100℃の水による前処理は、ペクチナー
ゼおよびセルラーゼの酵素の効力を高めた。上記前処理
を行った織物の湿潤CAは、対応する酵素単独で処理し
た織物より低かった(図3の(a))。この前処理は、セ
ルラーゼより、ペクチナーゼの効果を一層高めた。これ
らの2種の酵素は、生の織物に、個々に適用すると、か
なり異なる湿潤特性をもたらした。しかし、前処理され
た綿織物にこれら酵素を適用すると、同じ湿潤特性をも
たらした。100℃の水による前処理に続いてペクチナ
ーゼかセルロースのいずれかで処理した綿織物は、ペク
チナーゼとセルラーゼを混合した場合とよく似た挙動を
する。これら3種の酵素反応によって、商業ペースで精
練された綿織物に共通の値の範囲内にある水CA値と保
水値を有する綿織物が生成した。前処理を行いセルラー
ゼで処理した織物の水湿潤性と保水性のデータは、標準
偏差が小さく、効果が一層均一であることを示してい
る。ペクチナーゼまたはセルラーゼのいずれかにとっ
て、綿の中のペクチン類やセルロースへの接近は、表面
のワックスと脂質類が融解して、そしてこれらの物質を
繊維表面上に再分布させるかまたは100℃の水中に分
散させることによって、促進された。
【0096】100℃の水による前処理とペクチナーゼ
を組み合わせた場合、最高の有望性を示したので、ペク
チナーゼによる処理の時間の効果を評価した。処理時間
を30分間まで短くしたとき、水CAは、1時間処理し
た場合より24°高くなり、保水性は、約2μl/mg
低下した(図4)。水CAの標準偏差が高かったが、こ
れは織物表面の活性が不均一なことを示している。処理
時間をさらに10分間まで短くすると、ペクチナーゼは
効力がなくなった。アルカリ精練を行った綿と類似の湿
潤特性を生じさせるためには、このペクチナーゼとの反
応は、試験を行った条件下で、30分間を越える必要が
あった。
【0097】まとめると、100℃の水で前処理を行う
と、綿織物に対するペクチナーゼとセルラーゼの個々の
反応の効果を増大させたが、ペクチナーゼとセルラーゼ
を混合して行った処理の効果は増大させなかった。綿織
物の強度の低下が最小で、水湿潤性と保水性が最高に改
善されたのは、水による前処理をペクチナーゼの反応と
組み合わせた場合であった。この試験で評価した酵素の
中で、前処理を組み合わせたペクチナーゼが、アルカリ
精練の代替法として最高の有望性を示した。綿繊維の非
セルロース成分を加水分解して除くために酵素を使用す
ることは、現行のアルカリ精練法を越える多くの潜在的
利点を提供する。酵素反応は、反応条件、例えばpH、
時間および温度の範囲がより広いので、布地処理におい
て適応性が広がる。有効な酵素反応を行うための温度
は、アルカリ精練に用いられる温度よりはるかに低いの
で、エネルギー消費の点で著しく有利である。
【0098】ポリエステル織物 下記の実施例5〜10は、ある範囲のポリエステル織物
に対するこの発明の方法の使用について説明する。この
試験では、4種のポリエステル織物を使用した。ホモポ
リマーのポリエチレンテレフタレート(PET)(ダク
ロン54、du Pont de Nemours & Co.)を、リパーゼ類
の評価と反応条件の最適化を行うために使用した。使用
した残りの3種のポリエステルは、スルホン化PET
(SPET、ダクロン64)と熱セットされたスルホン
化PET(du Pont de Nemours & Co.)およびミクロデ
ニールPET(Micromattique(登録商標)、du Pont d
e Nemours & Co.)であった。SPETは、ベンゼン環
に低含有量(2〜3%)のスルホネート基を含有するコ
ポリマーである。スルホン化ポリ(エチレンテレフタレ
ート)(SPET)繊維の微細構造と巨視的構造は試験
されている。Timm,D.A.他、Journal of Polymer Scienc
e, Part B: Polymer Physics Edition、31巻:187
3〜1883頁(1993年)。これらポリエステル織
物は、すべて平織り構造のものであった。上記PETと
SPETの織物は、ステープルヤーンからなり、そして
ミクロデニールPET織物は、Micromattique(登録商
標)ポリエステルフィラメントで構成されていた。未処
理ポリエステル織物の特性を表10に示す。
【0099】
【表10】
【0100】重量変化の%、織物の厚み、水接触角、保
水性および液体保持容量を含む物理特性を、前記の方法
と式を用いて算出した。追加のパラメータを下記に詳述
するようにして求めた。
【0101】繊維密度は、21℃で、CCl4 とn−ヘ
プタンを充填した密度勾配カラムで測定した。Timm,D.
A.他、Journal of Polymer Science, Part B:Polymer
Physics Edition、31巻:1873〜1883頁(1
993年)。繊維の半径は、較正されたマイクロメータ
を備えた顕微鏡を用いて測定した。織物の重量、打込本
数および厚みは、標準の方法(ASTM1910)を用
いて測定した。
【0102】5種のリパーゼを使用した(表11)。リ
パーゼA、B、CおよびDは、市販品(ICN社および
Sigma 社)であった。リパーゼEは、ピーエス メン
ドシナ(Ps. mendocina)から分離したものであり、Gen
encor International 社から入手した。PET織物に対
する酵素の反応は、緩衝剤水溶液中で実施した。2種類
の緩衝剤、すなわち有機のトリス(ヒドロキシメチル)
アミノメタンおよび無機のリン酸ナトリウムを頭初に試
験した。前記無機のリン酸塩緩衝剤を選択して、この試
験全体を通じて使用した。
【0103】各織物の試料を切断し、ほぐして10cm
×14cmの大きさにした。この寸法の織物の重量は、
約1gであった。酵素と緩衝剤で処理するのに、0.3
3:1(L/g)の液:織物比を採用した。これらの織
物に対する加水分解の効果を、加水分解の条件すなわ
ち、濃度、pH、温度および反応時間の長さを変えるこ
とによって試験した。酵素の活性の停止は、酵素が不活
性になるpH値の緩衝液中で織物をすすぐことによって
行った。次いで、全ての織物を、水ですすぎ、減圧下6
0℃で12時間乾燥し、次に21℃および60%相対温
度で24時間保管してから、さらに特性を測定した。
【0104】
【表11】
【0105】a.1単位が、基質としてオリーブ油エマ
ルジョンを用いて、1時間当たり(pH 7.8、37
℃)100μmolの脂肪酸を放出する。 b.1単位が、トリアセチン由来の脂肪酸1.0マイク
ロ当量を、1時間で(pH 7.4、37℃)加水分解す
る。 c.1単位が、オリーブ油由来の脂肪酸1.0マイクロ
当量を、1時間で(pH7.2、37℃)加水分解す
る。
【0106】実施例5 この実施例は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ンとリン酸ナトリウムを含む緩衝剤の水溶液の、PET
による吸収について例示する。また、変性した、したが
って不活性のリパーゼの、PET織物に対する結合を調
べた。その試験結果を図5にまとめてある。
【0107】未処理PETの水湿潤接触角と保水値は、
75.8°(±0.5°)であった。未処理PETの水
保持容量と液体保持容量は、それぞれ0.229(±
0.06)μl/mgと1.219μl/mgであっ
た。このことは、未処理ポリエステル織物の液体保持容
量の約19%を水が占めていることを示している。緩衝
剤単独(一方は有機緩衝剤で、他方は無機緩衝液であ
る)の効果をまず試験した。PETの織物を、35℃の
個々の緩衝液に1時間浸漬した。有機緩衝剤のトリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン(100mM)は、
ポリエステル織物の湿潤接触角を67.5°(±1.5
°)まで低下させた。無機緩衝剤のリン酸ナトリウム
(100mM)は、湿潤接触角を81.9°(±1.4
°)まで増大させた。この無機緩衝剤の、ポリエステル
織物の湿潤接触角に対する逆効果は、酵素の効果に干渉
しないと考えられた。したがって、この試験では、この
無機リン酸塩緩衝剤を全てのリパーゼに対して使用し
た。
【0108】また、ポリエステル織物は、リン酸ナトリ
ウム緩衝液に変性リパーゼを溶解して得た溶液(0.6
g/L)にも暴露させた。水接触角が増大して、前記溶
液から織物の表面に、疎水性物質すなわちタンパク質お
よび/または他の化合物が吸着した可能性があることを
示した。無機緩衝剤と同様に、変性タンパク質への暴露
の湿潤性に対する効果は、逆の効果であった。したがっ
て、起こり得るタンパク質の吸着は、リパーゼの見掛け
の加水分解効果を妨害するだけで促進しないので、表面
湿潤性が改善されるのは、リパーゼの加水分解作用に起
因している筈である。
【0109】実施例6 実施例6は、PET織物とリパーゼの初期反応について
詳細に述べる。リパーゼEを使用する反応は、最適化さ
れておらず、このリパーゼがPET織物の特性を変化さ
せる可能性だけを調べるものである。
【0110】PET織物をリパーゼEで処理(0.6g
/L、35℃、1時間)したところ、水湿潤性と保水性
が著しく改善され、PET織物の強度に対する逆効果は
なかった。水湿潤性接触角は57.4°(±2.3°)
まで低下し、保水性は1.06(±0.05)μl/g
まで増加した。未処理のPET織物の糸は、破断強度が
3.17g/d(±0.93)で、破断歪が24.6%
(±3.2)である。リパーゼEで処理したPET織物
の糸の破断強度と破断歪は、それぞれ3.10g/d
(±0.92)と27.0%(±3.0)であり、有意
でない差である。
【0111】リパーゼの反応は、アルカリ水溶液による
加水分解反応よりばらつきの少ない優れた湿潤性表面を
生成した。最適条件下(3N NaOH、55℃で2時
間)でのPET織物のアルカリによる加水分解は、6
5.0°(±8.0°)の水接触角と0.32(±0.
01)μl/gの保水値を生じた。水酸化ナトリウムで
加水分解された織物のPET糸は、破断強度が低下して
2.78g/d(±5.29)になり、破断歪は大きく
増大して42.5%(±1.8)になった。
【0112】リン酸ナトリウム緩衝液中でリパーゼEと
反応させたポリエステル織物は、明瞭に改善された湿潤
性を示した。リパーゼEは、アルカリ加水分解反応よ
り、ポリエステル織物の水湿潤性と吸着性を改善した。
その酵素反応もより短時間になった。アルカリ加水分解
反応によって強度が低下しかつ重量が減少するのと対照
的に、上記水湿潤性の改善に付随して強度が十分に保持
された。
【0113】実施例7 この実施例では、PET織物とリパーゼEとの反応を最
適化する手順を詳細に述べる。PET織物の試料を、同
一濃度のリパーゼEの溶液で、時間を変えて処理した。
反応後、処理された織物の特性を測定した。最適反応時
間が決定したのち、酵素の濃度を変化させた。このよう
にして、リパーゼEについて、最適の反応時間と酵素の
濃度を決定した。その結果を、図6と表12にまとめて
ある。
【0114】PETの織物を、0.12g/Lの濃度の
リパーゼEで、35℃で10分間、30分間および60
分間処理した。わずか10分間の反応後に、水接触角は
激しく低下し、かつ保水性は4倍以上にも増大した(表
12)。反応時間を延ばしても、それ以上の改善はなさ
れなかった。反応時間を延ばすと、重量減、厚みの減
少、多孔度および液体保持容量がわずかに増大するよう
であった。しかし、これらの変化は非常に小さかった。
【0115】
【表12】
【0116】1 リパーゼEの濃度は、0.12g/Lで
あった。
【0117】一定の反応時間10分間の時点で、酵素の
濃度を増大したところ、水湿潤性と保水性がさらに向上
した(図6の(a)、(b))。水湿潤性と保水性の改善
は、25℃の場合より35℃の方がわずかに高かった。
0.03g/Lの濃度のリパーゼEで35℃で10分
間、レギュラーポリエステルの織物を処理することによ
って、58.3°のの水接触角と0.90μl/mgの
吸水性を得ることができる。アルカリ加水分解法と比べ
て、このリパーゼによる処理によって、はるかに低い温
度で一層顕著な湿潤性の改善がなされた。前記両方の反
応温度で処理した織物の水/溶液比と水接触角は、同じ
直線関係になっている(図6(c))。これらの反応は織
物の重量の有意な変化を起こさなかったので、多孔度の
変化は全くなかったと考えられた。これらの観察結果に
よって、類似の細孔構造と全多孔度を有する織物の保水
性は、その固体媒体の水湿潤性に高度に依存しているこ
とが再確認された。
【0118】実施例8 この実施例は、ミクロデニールのPETを、実施例7で
決定した最適条件下で、リパーゼEで処理した結果を説
明する。リパーゼで処理することによって、微小デニー
ルの織物の湿潤性およびその他の特性に大きな変化が観
察された。
【0119】ミクロデニールの織物をリパーゼEで処理
した(0.03g/L、35℃、10分間)。水接触角
が35.9°(±4)まで低下し、そして吸水性が1.
26μl/mg(±0.02)まで増大した。同じ条件
下で処理した前記PET織物(水接触角が58.3°
で、吸水性が0.90μl/mg)に比べて、ミクロデ
ニール織物の水湿潤性と吸水性の改善は、はるかに大き
かった。このことは、そのミクロデニール織物に対する
アルカリ溶液による加水分解反応の優先的な効果に対応
している。アルカリ加水分解法と酵素加水分解法はとも
に、ミクロデニールPETの織物の水湿潤性の挙動に、
そのPET対応品よりも一層有意な改善をもたらした。
【0120】このように、リパーゼによる処理は、ミク
ロデニールのポリエステル織物の湿潤特性を変えるのに
特に有効である。
【0121】実施例9 実施例9は、PET織物に対する各種の市販リパーゼ類
(表11のリパーゼA、B、C、D)の効果を示す。最
初の試験で、これらリパーゼ類に中で最も有効であると
して、リパーゼAが選ばれた。したがって、続く実験で
は、リパーゼAの濃度を変えて、PET織物の特性を変
化させることにおけるリパーゼAの効力が、濃度に依存
している程度を評価した。
【0122】4種の市販リパーゼを用いてPET織物を
処理した。これらのリパーゼは、粉末の形態で入手し
た。0.125g/Lの濃度の溶液を用いた。全ての処
理を、pHが8.5のリン酸緩衝液を用いて、35℃の
温度で10分間ずつ行った。ポリエステルの湿潤特性を
改善する効力の順位は、A>B>Cであり、リパーゼA
とBの両者は、リパーゼEより有効であった(図7)。
【0123】異なる濃度のリパーゼAを評価した(35
℃、10分間)。濃度が高くなると、水の湿潤接触角が
小さくなり、保水性が増大した(図8の(a))。1g/
Lで、反応温度を25℃〜45℃の間で変化させた。温
度を25℃と35℃の間で上昇させると、水湿潤接触角
が小さくなり、そして保水性が増大した(図8の
(b))。40℃および45℃という高温では、リパーゼ
Aの効果は、約30℃の場合と類似のレベルまで低下す
る。アルカリ加水分解法と比べて(CA=65.0°±
8.0°)、類似のしかもばらつきが一層小さい水湿潤
特性(CA=67.6°±0.3°)が、非常に低い濃
度(0.01g/L)のリパーゼAで得られた。より高
い濃度の0.1g/Lでは、54.9°という一層優れ
た水接触角になった。
【0124】1g/Lの濃度のリパーゼAと35℃で1
0分間反応させたところ、小さい水接触角38.4°
(±3.1°)と高い保水値1.06ml/gが得られ
た。このような小さい湿潤接触角は、加水分解されたP
ET表面では報告されたことがない。このレベルの湿潤
性は、約1/3の濃度で処理されたミクロデニールの織
物で得た湿潤性に類似していた。これらの試験結果は、
前記表面効果が、表面積と活性薬剤の量に比例していた
ことを示唆している。表面を改質する場合、獲得した湿
潤性の持続性が非常に重要である。同じPET織物の水
接触角と保水性を反応の84日後に測定したところ、そ
れぞれ45.0°(±0.4°)と0.98μl/mg
(±0.06)であった。水接触角は僅かに増大した
が、表面の湿潤性と保水性は、アルカリ水溶液による加
水分解反応で加水分解されたPETの表面より、依然と
してはるかに優れている。
【0125】また、リパーゼAを、何ら緩衝剤なし(p
H=7.0)である範囲の水中濃度で、PET織物に適
用した。リパーゼの濃度が増大するにつれて、水の接触
角が小さくなり、そして保水性が増大した(図9)。2
5℃では、湿潤接触角の改善は、濃度範囲の低い端の方
が、実際に僅かに大きかった。この傾向は、35℃で、
濃度が0.25g/Lを越えると、逆になった。水中で
の反応は、効力が僅かに小さかったが、緩衝溶液中での
反応と同じ一般的傾向を示した。同等の酵素の濃度で、
水中で処理した織物の接触角は、緩衝液中で処理した織
物よりも5〜10度高かった。リパーゼAで処理したP
ET織物(1g/L、35℃、水)の水接触角は、反応
の直後、1、2および3か月後において、それぞれ4
3.2°、44.3°、45.9°、45.1″であっ
た。処理された表面は、少なくとも3か月間、獲得した
湿潤性を維持した。
【0126】リパーゼAの最適反応条件(1g/L、3
5℃)を、残りの3種のポリエステル織物を処理するの
に採用した(表13)。保水性はもちろん湿潤接触角の
改善が、4種のポリエステル織物の全てについて明らか
に認められた。未処理のスルホン化PETと、未処理の
熱セットスルホン化PETの水接触角は、60台の下〜
中程の値の角度であった。これらの接触角は、レギュラ
ーポリエステルおよびミクロデニールポリエステルの織
物より低かった。この現象は、たとえSPET芳香リン
グの2〜3%しかスルホン化されていなくても、スルホ
ネート基(−SO3Na+)の極性が原因のようであっ
た。PETおよびスルホン化PETの織物の場合、湿潤
性の改善は、反応をpHが8.0の緩衝液中で実施した
とき、僅かに優れていた(図10)。熱セットSPET
とミクロデニールPET織物については、反応を緩衝液
中で行っても緩衝剤なしで行っても、差は全く認められ
なかった。緩衝液中で処理されたそれらポリエステル織
物の水接触角は、38.4°〜49.6°の範囲内にあ
り、一方、水中で処理されたそれらポリエステル織物の
水接触角は、45.2°〜49.4°であった。
【0127】
【表13】
【0128】実施例10 この実施例では、酵素で処理された一連のポリエステル
織物の保水性と水接触角の関係を調べた。
【0129】リパーゼEで加水分解されたレギュラーP
ET織物とリパーゼAで処理された3種のポリエステル
織物の両者について、保水性すなわち吸収性は、表面の
湿潤性と正の関係にあり、すなわち水の接触角と負の関
係にある(図11)。反応時間と温度を変えて水酸化ナ
トリウム水溶液で加水分解されたPETおよびmPET
の織物について、これら二つのパラメータ間の類似の関
係は公知であった。アルカリで加水分解されたPETと
mPETについてすでに報告されているこれらの水湿潤
性と保水性のデータを、組み合わせて、図7に示した。
アルカリ加水分解を行うと織物の重量が減少し、したが
って、その織物の細孔構造を有意に変化させることが、
報告されている。これに反して、酵素反応は、平均して
僅か0.13%の重量減しか起こさなかった。したがっ
て、酵素で処理された織物は、その未処理の対応品と殆
ど変わらない細孔構造を有していたのである。リパーゼ
で処理されたポリエステル織物の場合、類似の吸水性−
湿潤性の関係が、ほとんど同じ細孔構造をもった織物
(リパーゼEで処理されたPET(■))の間に、およ
びかなり異なった細孔構造を有する織物(リパーゼAで
処理したPET、SPETおよびmPET(□))の間
に見出された。
【0130】実施例11 この実施例は、ポリエステル織物片へのリパーゼの結合
度を測定する方法を示す。そのプロトコルは、起源が異
なるリパーゼのポリエステル基質に対する親和力を評価
するために設計した。手短に述べれば、リパーゼはポリ
エステル基質に結合させることができた。そのポリエス
テル−リパーゼ構造を、次に発色基質、例えば酪酸p−
ニトロフェニルなどの溶液と反応させ、次いでその溶液
の410nmの吸光度を測定した。410nmの吸光度
の強度がポリエステル基質に結合したリパーゼの量に比
例すると推定した。
【0131】酵素の水溶液(0.5μg/mL、ピーエ
ス.メンドシナ由来のリパーゼ)を調製した。市販のポ
リエステル織物(1″×1″)の試料を、酵素溶液中に
1分間浸漬した。その織物試料を酵素溶液から取り出し
て、3分間風乾した。次に、その織物試料を、酪酸p−
ニトロフェニル(トリス緩衝液中1mM、pH7)が入
っている50mLビーカーに移した。この溶液1mLず
つを、1分ごとに、5分間取り出して、1mLずつの各
試料の410nmの吸光度を測定した。このようにし
て、ポリエステルに結合した酵素と酪酸p−ニトロフェ
ニルの反応速度を測定した(図12)。
【0132】上記実施例に、ポリエステル織物に対する
酵素の親和力を測定できる検定法が述べられている。こ
の検定法によるデータを使用して、選ばれた織物に適切
な結合特性を有する酵素を選択するのに役に立てること
ができる。上記検定法は、各溶液は異なる酵素を含有し
ている多数の溶液に広げることができることは、当業技
術者にとって明らかであろう。酵素溶液を、発色基質
(例えば、酪酸p−ニトロフェニル)に対して等しい活
性に正規化することによって、ポリエステル織物に結合
する酵素の程度が上記のように評価されるであろう。
【0133】
【発明の効果】まとめると、いく種類かの酵素が、綿繊
維の湿潤性と保水性を改善する効果を有している。最大
の改善は、セルラーゼとペクチナーゼを混合した場合に
観察された。さらに、いくつかのポリエステル織物の親
水性を改善する加水分解酵素の作用を試験した。試験を
行った5種類のリパーゼ中の4種類が、レギュラーポリ
エステル織物の水湿潤性と吸水性を改善する。酵素を利
用した加水分解反応によって、アルカリ加水分解法より
も、PET織物の水湿潤性と保水性が、さらに一層、有
意に改善された。例えば、10分間の反応(1g/L、
pH8.0、35℃)で、レギュラーPETの水湿潤接
触角が75.8°から38.4°(±2.5)まで小さ
くなり、そして保水性が0.22μl/mgから1.0
6μl/mgまで増大する。PET織物の、最適条件
(3NのNaOHで55℃、2時間)下でのアルカリ加
水分解によって、65.0°(±8.0)の水接触角と
0.32(±0.01)μl/mgの保水値が達成され
た。反応条件は、2種類のリパーゼAとEについて最適
化した。その酵素反応は、周囲温度(25℃)下、緩衝
剤を使用することなく、反応時間が比較的に短い(10
分間)という一層穏やかな条件下で有効であることが分
かったのである。水湿潤性が改善されるとともに、アル
カリ加水分解法によって糸の強度が低下しかつ重量が減
少するのと比べて、強度が完全に保持されたのである。
また、リパーゼEは、スルホン化ポリエステルとミクロ
デニールポリエステルの織物の湿潤性と吸収性を改善す
るのに有効であった。
【0134】
【付言】上記のことは主に例示を目的として提供するも
のである。この明細書に記載の系の実施条件、材料、手
順のステップおよび他の諸パラメータが、この発明の精
神と範囲から逸脱することなく、様々な具合に、さらに
改変または置換できることは、当業技術者にとって容易
に分かることであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 生のおよび精練後の綿布地の湿潤性(接触角
と保水性)を示すグラフである。▲ 水の接触角、● 保
水性。
【図2】 綿布地の物理特性に対するペクチナーゼとセ
ルラーゼによる処理の効果を示すグラフである。(a)
水の接触角、(b)保水性、(c)重量減
【図3】 綿布地の物理特性に対する、布地を100℃
の水によって前処理した後の、ペクチナーゼとセルラー
ゼによる処理の効果を示すグラフである。(a)水の接
触角、(b)保水性、(c)厚み。
【図4】 100℃の水とペクチナーゼで時間を変えて
処理した綿布地の湿潤性を示すグラフである。▲ 水の
接触角、● 保水性。
【図5】 PET布地の水濡れ接触角と保水性に対する
緩衝剤、変性リパーゼおよびリパーゼEの効果を示すグ
ラフである。
【図6】 PET布地の水濡れ特性と保水性に対するリ
パーゼEの濃度と反応温度の効果を示すグラフである。
【図7】 PET布地の水濡れ特性と保水性に対する市
販リパーゼ類の比較を示すグラフである。
【図8】 PET布地の水濡れ特性と保水性に対する緩
衝液中リパーゼAの濃度と温度の効果を示すグラフであ
る。
【図9】 PET布地の水濡れ特性と保水性に対する水
中リパーゼAの濃度と湿度の効果を示すグラフである。
△ 25℃、▲ 35℃。
【図10】 4種のPET布地の水濡れ特性と保水性に
対するリパーゼAの効果を示すグラフである。PET:
レギュラーポリエステルすなわちダクロン54、SPE
T:スルホン化ポリエステルすなわちダクロン64、H
S SPET:熱セットSPET、ミクロデニール(Micr
odenier):ミクロマティーク(micromatique)ポリエステ
ル。
【図11】 改質PET布地の保水性と水濡れ接触角の
相関関係を示すグラフである。● PETとmPETの
布地のアルカリ加水分解(y=2.73−0.0033
x、r=0.982)、■ PET布地のリパーゼEに
よる処理(y=2.31−0.0026x、r=0.9
71)、□ リパーゼAによって処理したPET、SP
ET、およびmPETの布地(y=1.96−0.00
22x、r=0.943)。
【図12】 ポリエステル布地に結合された各種リパー
ゼの色原体基質変換の率を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 502255944 ジェネンコル インターナショナル,イン コーポレイテッド アメリカ合衆国 94304−1013 カリフォ ルニア州 パロアルト ページミルロード 925 (72)発明者 シエ, ユーロ アメリカ合衆国 95616 カリフォルニア 州 デービス オークアベニュー 915 (72)発明者 ハーツェル, メアリー ミッシェル アメリカ合衆国 95616 カリフォルニア 州 デービス アーリントンブルバード 1333 ナンバー62 (72)発明者 ボストン, マシュー ジー. アメリカ合衆国 94070 カリフォルニア 州 サンカルロス アーチレーン 10 (72)発明者 クラークソン, キャスリーン エイ. アメリカ合衆国 94110 カリフォルニア 州 サンフランシスコ トゥエンティエイ トスストリート 53 (72)発明者 コリアー, キャサリーン ディー. アメリカ合衆国 94062 カリフォルニア 州 レッドウッドシティー ウィルミント ンウェー 915 (72)発明者 グレイカー, トーマス ピー. アメリカ合衆国 94044 カリフォルニア 州 パシフィカ マンサニータ 1166 (72)発明者 ラレナス, エドマンド エイ. アメリカ合衆国 94038 カリフォルニア 州 モスビーチ ネバダ 301 Fターム(参考) 4L031 AA02 AA18 AB31 BA39 CA00 DA00 DA08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 綿布地繊維の水湿潤性と吸水性を変化さ
    せる方法であって、 前記繊維を、水性媒体中の酵素で処理することを含んで
    なり、 前記酵素が、ペクチナーゼ類、セルラーゼ類およびプロ
    テアーゼ類からなる群から選択される一つまたは複数の
    メンバーと組み合わせたリパーゼであり、かつ前記水性
    媒体が界面活性剤を実質的に含有していないことを特徴
    とする方法。
  2. 【請求項2】 綿布地繊維の水湿潤性と吸水性を変化さ
    せる方法であって、 前記繊維を沸騰水に浸す工程と、 前記繊維を水性媒体中の酵素で処理する工程を含んでな
    り、 前記酵素が、ペクチナーゼ類、セルラーゼ類、プロテア
    ーゼ類、リパーゼ類およびこれらの混合物からなる群か
    ら選択されるメンバーであり、かつ前記水性媒体が界面
    活性剤を実質的に含有していないことを特徴とする方
    法。
  3. 【請求項3】 ポリエステル布地繊維の水湿潤性と吸水
    性をアルカリ精練によらずに変化させる方法であって、 前記繊維を水性媒体中の酵素で処理する工程を含んでな
    り、 前記酵素がリパーゼを含んでおり、かつ前記水性媒体が
    界面活性剤を実質的に含有していないことを特徴とする
    方法。
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