JP2003064418A - 高い衝撃吸収エネルギーを有する板厚15mm以下のX70級鋼板の非水冷型製造方法。 - Google Patents

高い衝撃吸収エネルギーを有する板厚15mm以下のX70級鋼板の非水冷型製造方法。

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 板厚が15mm以下で、X70級の強度を有
し、250J以上のvE -20を有する鋼板を非水冷圧延
ままで製造する方法を提供すること。 【解決手段】 質量%で、C:0.03〜0.06%、
Mn:1.4〜2.0%、Mo:0.05〜0.5%、
Nb:0.01〜0.1%、P:≦0.01%、S:≦
0.003%、O:≦0.005%を含有し、さらに、
Si:0.05〜0.5%、Al:0.001〜0.0
5%、Ti:0.005〜0.05%の1種以上を含有
し、残部が鉄および不可避的不純物である化学成分の鋼
片を、圧延前の鋼片厚みは圧延後の鋼板厚みの10倍以
上とし、1000℃以上に加熱して熱間圧延を行うにあ
たって、Ar3〜Ar3+100℃の温度範囲の中で累積
圧下量が20%以上60%未満となるように圧延を終了
し、その後空冷することを特徴とする、高い衝撃吸収エ
ネルギーを有する板厚15mm以下のX70級鋼板の非
水冷型製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延性破壊時に高い
吸収エネルギーを有する板厚15mm以下のX70級鋼
板を高い生産性のもとで製造するための技術である。鉄
鋼業では厚板製造工程に適用される。本発明によって製
造される鋼板は主に原油や天然ガス等の輸送用ラインパ
イプに使用される。このほかにも、延性破壊特性が重視
される各種の鋼構造物に適用することが可能である。
【0002】
【従来の技術】ラインパイプを現地溶接する際に、溶接
能率の観点から溶接パス数が少なくてすむ薄手化の要求
がある。一方で、輸送効率の観点からラインパイプの操
業圧力を高めるために高強度化の要求がある。加えて近
年では、ラインパイプの安全性の観点から不安定延性破
壊に対する抵抗力を高める要求がある。これらが高い次
元で要求されるラインパイプ用鋼板として、例えば下記
の仕様を満たす鋼板の提供が求められている。 板厚≦15mm X70級強度(API規格) −20℃での2mmVノッチフルサイズシャルピー衝撃
試験の吸収エネルギー(vE-20)≧250J
【0003】本発明は上記三つの仕様を満たす鋼板を高
い生産性のもとで厚板製造する技術である。
【0004】厚板製造工程において、鋼板の強度と靭性
を高めるために圧延後に加速冷却を適用することは広く
行われている。このような加速冷却技術を駆使すれば、
上記の要求特性を兼ね備える鋼板の製造は不可能ではな
い。しかしながら、板厚が15mm以下のような非常に
薄い鋼板に加速冷却を適用すると、冷却が不均一になっ
て鋼板形状が劣化する問題がある。その結果、鋼板形状
を矯正するための余分な作業工程が発生し、生産現場で
の生産性が著しく阻害されることが課題であった。この
ような背景のもと、上記の要求特性を兼ね備える鋼板を
加速冷却を使わずに非水冷圧延ままで高生産に製造する
新たな大量生産技術が求められている(以後、圧延終了
後に水冷による冷却を行わない製造方法を非水冷圧延或
いは非水冷型圧延と称する)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、板厚が15
mm以下で、X70級の強度を有し、250J以上のv
-20を有する鋼板を非水冷圧延ままで製造する方法を
提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋼成分、圧
延条件の両面から鋼板の金属組織を制御することによ
り、−20℃での延性破面率を100%にでき、かつ、
延性破面率100%のもとで破壊抵抗を高めることがで
きること、そして、その結果高い衝撃吸収エネルギーを
有する板厚15mm以下のX70級鋼板が製造できるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0007】本発明の要旨は以下の通りである。
【0008】(1) 質量%でC :0.03〜0.0
6%、Mn:1.4〜2.0%、Mo:0.05〜0.
5%、Nb:0.01〜0.1%、P :≦0.01
%、S :≦0.003%、O :≦0.005%を含
有し、さらにSi:0.05〜0.5%、Al:0.0
01〜0.05%、Ti:0.005〜0.05%の1
種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不
純物である化学成分の鋼片を、1000℃以上に加熱し
て熱間圧延を行うにあたって、圧延前の鋼片厚みを圧延
後の鋼板厚みの10倍以上とし、Ar3〜Ar3+100
℃の温度範囲の中で累積圧下量が20%以上60%未満
となるように圧延を終了し、その後空冷することを特徴
とする、高い衝撃吸収エネルギーを有する板厚15mm
以下のX70級鋼板の非水冷型製造方法。
【0009】(2) 質量%でCu:≦1%、Ni:≦
1%、Cr:≦1%、V:≦0.1%、B:≦0.00
5%の1種または2種以上を含有することを特徴とす
る、上記(1)に記載の高い衝撃吸収エネルギーを有す
る板厚15mm以下のX70級鋼板の非水冷型製造方
法。
【0010】(3) 質量%でCa:≦0.005%、
Mg:≦0.005%、REM:≦0.01%、Zr:
≦0.01%の1種または2種以上を含有することを特
徴とする、上記(1)または(2)に記載の高い衝撃吸
収エネルギーを有する板厚15mm以下のX70級鋼板
の非水冷型製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における最大の技術的課題
は250J以上のvE-20を大量生産のもとで安定に獲
得することである。このための技術的思想を(1)と
(2)の二つに大別して説明する。
【0012】(1) まず、シャルピー試験温度である
−20℃での破壊形態を完全な延性破壊にすることが高
いvE-20を得るための最低条件となる。つまり、−2
0℃での延性破面率を100%にしなければならない。
このためには、本発明が対象とする鋼材においては、破
面遷移温度を−60℃以下にする必要がある。これを実
現するために、本発明では下記の三つの条件によって鋼
板の金属組織を微細化する。 Nbを0.01%以上添加した鋼片を1000℃以上
に加熱した後に熱間圧延する。 熱間圧延におけるAr3〜Ar3+100℃での累積圧
下量を20%以上とする。 熱間圧延前の鋼片厚みは熱間圧延後の鋼板厚みの10
倍以上とする。
【0013】これら三つの条件を同時に満たすことで圧
延時のオーステナイト(γ)組織が微細化され、その後
の放冷過程で生成する変態組織が微細化し、−60℃以
下の破面遷移温度が達成され、−20℃での延性破面率
が安定に100%となる。これら三つの条件が揃わない
と、鋼板の破面遷移温度が−60℃よりも高くなってし
まい、−20℃で100%の延性破面率を安定して確保
することが困難となる。について、Nbが0.01%
未満であったり、鋼片加熱温度が1000℃未満である
と、γ中に固溶するNbが不足するためにγ再結晶温度
域とγ未再結晶温度域での圧延を通じてγ組織が十分に
微細化しない。について、Ar3〜Ar3+100℃で
の累積圧下量が20%未満であると、γ未再結晶温度域
でのγの加工度が不足するためにγが十分に微細化しな
い。について、圧延前の鋼片厚みが圧延後の鋼板厚み
の10倍未満であると、Ar3+100℃以上の高温で
の加工量が不足してγが十分に微細化しない。
【0014】(2) 次ぎに、延性破面率が100%の
もとで破壊抵抗を高めなければならない。このために本
発明では、セパレーションの抑制に着眼して鋼成分と圧
延条件の両面から金属組織を制御することを考案した。
セパレーションとは破面に垂直で圧延面に平行なわれで
ある。セパレーションが発生すると吸収エネルギーが低
下することが広く知られている。本発明が対象とする1
5mm以下の薄手鋼板を非水冷圧延ままで製造する場
合、従来のように破面遷移温度を重視して強力な制御圧
延を施すと、多数のセパレーションが発生し、延性破面
率がたとえ100%であっても250Jを超えるような
高い吸収エネルギーを安定に獲得することは困難であっ
た。セパレーションの発生原因として、例えば「鉄と
鋼、68(1982)、435」に記載されているよう
に、圧延集合組織の関与が広く知られている。そして、
圧延集合組織の発達を抑制するためにAr3以上で圧延
を終了することがセパレーション抑制に効果的であるこ
とが知られている。しかしながら、セパレーションの発
生に及ぼす鋼成分の影響に関して知見はなかった。
【0015】そこで発明者らは、セパレーションに及ぼ
す鋼成分の影響を詳細に検討した結果、C量が非常に大
きな影響を及ぼす実験事実を発見した。図1はC量を変
化させた12mm厚みX70級鋼板におけるシャルピー
衝撃特性の遷移曲線を示す。これらの鋼板は全ての鋼の
Ar3よりも高い同一の温度で圧延が終了され空冷され
た。
【0016】これらの全ての鋼は−60℃以下の破面遷
移温度を有しており、−20℃での延性破面率は全ての
鋼板で100%である。しかしながら、vE-20の値は
C量に依存して大きく異なる。C量が0.055%以下
では300Jを超え、C量が0.074%以上では25
0Jを下回る。このようにC量に依存してvE-20が変
動する理由は、セパレーションの発生量がC量に依存す
るからである。
【0017】−20℃でのセパレーション発生量(I
s:破面上に現れたセパレーション長さの総長)をみる
と、0.055%以下の低いC量ではセパレーションは
全く発生していない。一方、0.074%以上の高いC
量になるとセパレーションは発生する。−40℃でみる
とC量の増加に伴ってセパレーション発生量が順次増加
する傾向が明らかである。つまり、延性破面率が100
%のもとでセパレーションを抑制して高い吸収エネルギ
ーを獲得するためには、C量を低減することが極めて有
効であることがわかった。
【0018】C量が少なくなると、圧延集合組織の発達
が抑制されてセパレーションが発生しにくくなるのであ
る。C量を低減することの第二の効果は、鋼板の中心偏
析部に沿って発生するセパレーションが抑制されること
である。このような形態のセパレーションは破面に対し
て垂直に深く生成するために、吸収エネルギーを大きく
損なう。C量が少なくなると連続鋳造鋼片における中心
偏析が軽減されるので、鋼板の中心偏析部に生成するバ
ンド組織の発達が抑制され、中心偏析起因の深いセパレ
ーションが発生しにくくなるのである。
【0019】このように、C量を低減することで、板厚
方向の表層から内部にわたる全域にわたってセパレーシ
ョンの発生を強力に抑制できることを突き止めた。この
全く新しい知見に基づき、本発明ではC量を0.06%
以下に制御することが技術的な柱である。
【0020】さらに、圧延条件とセパレーションの関係
を検討した結果、従来知られているようにAr3以上で
圧延を終了することで圧延集合組織の回避を試みても、
Ar3〜Ar3+100℃の累積圧下量が60%以上にな
ると、γの圧延集合組織が変態組織に遺伝してセパレー
ションが発生しやくなることがわかった。従って、本発
明ではこの温度域での累積圧下量を60%未満に抑えて
徹底的にセパレーションの発生を抑制する。
【0021】次に各化学成分の限定理由について説明す
る。
【0022】Cは本発明で最も重要な元素である。強度
を確保するためには0.03%以上のCが必要である。
しかし、Cが多くなるとセパレーションが発生しやすく
なり吸収エネルギーが低下する。また、Cが多くなると
中心偏析が助長されて、これに起因する深いセパレーシ
ョンが発生して吸収エネルギーが低下する。さらに、C
が多くなるとセメンタイト粒子やパーライト相の体積率
が増加し、これらが延性破壊におけるボイド発生の芽と
なって破壊を促し、吸収エネルギーが低下する。以上か
ら、Cの上限を0.06%としなければならない。
【0023】Mnは強度、靭性の確保に不可欠な元素で
あり、特に強度の観点から本発明の低いCに代替して積
極的に添加する必要がある。X70級の強度を低いCの
もとで確保するために1.4%以上のMnを添加する必
要がある。Mnが2.0%を超えると中心偏析が助長さ
れて、これに起因する深いセパレーションが発生して吸
収エネルギーが低下する。従って、Mnの上限を2.0
%とする。
【0024】Moは本発明で非常に重要な元素である。
Moは圧延後の変態において焼入れ性を高め、針状フェ
ライトとベイナイトが混じった微細組織の生成を促す。
同時に、圧延方向に平行なバンド組織が形成されること
を食い止め、より等方的な組織の生成を促す。セメンタ
イト粒子の分散状態も微細化される。その結果、組織微
細化によって破面遷移温度が低下して強度が増加する。
さらに、セパレーションとボイドが発生しにくくなって
吸収エネルギーが向上する。これらの効果を享受するた
めには0.05%以上のMoが必要である。Moが0.
5%を超えると焼入性が過剰となってMA(Marte
nsite austenite constitue
nt)と呼ばれる硬化相が増えて吸収エネルギーが低下
する。従って、Moの上限を0.5%とする。
【0025】Nbは本発明で重要な元素である。Nbは
圧延によるγ組織の微細化を促して変態組織を微細化す
る。その結果、破面遷移温度の低下と強度の増加をもた
らす。析出硬化によっても強度を増加させる。これらの
ためには0.01%以上のNbが必要である。Nbが
0.1%を超えると中心偏析が助長されて、これに起因
する深いセパレーションが発生して吸収エネルギーが低
下する。従って、Nbの上限を0.1%とする。
【0026】Pは本発明では好ましくない元素である。
Pは中心偏析を助長したり粒界偏析することで靭性の著
しい劣化を引き起こす。高い吸収エネルギーを得るため
には、Pを0.01%以下にしなければならない。
【0027】SとOは本発明で好ましくない元素であ
る。これらは非金属介在物を形成してボイドの発生を促
し、吸収エネルギーを低下させる。Sは0.003%以
下、Oは0.005%以下にしなければならない。
【0028】Si、Al、Tiは脱酸元素として作用す
る。Oを0.005%以下にするためには、これらの1
種以上を添加する必要がある。このために、Siは0.
05%以上、Alは0.001%以上、Tiは0.00
5%以上が必要である。これらの脱酸元素が多すぎると
酸化物が粗大化して破壊の起点として悪影響を及ぼすた
め、Siは0.5%、Alは0.05%、Tiは0.0
5%を上限とする。
【0029】Cu、Ni、Cr、V、Bは強度の増加に
有効である。これらの添加量が多すぎるとHAZ靭性が
損なわれるので、Cuは1%、Niは1%、Crは1
%、Vは0.1%、Bは0.005%を上限とする。
【0030】Ca、Mg、REM、ZrはMnに優先し
て硫化物を形成し、圧延で延伸化しにくい球状介在物を
つくる。その結果、セパレーションとボイドが発生しに
くくなって吸収エネルギーが向上する。これらの脱硫元
素が多すぎると硫化物が粗大化して破壊の起点として悪
影響を及ぼすため、Caは0.005%、Mgは0.0
05%、REMは0.01%、Zrは0.01%を上限
とする。
【0031】以上のような低C−高Mn−Mo−Nb成
分を特徴とする鋼片を熱間圧延する際の条件を説明す
る。まず、鋼片の加熱温度を1000℃以上にする。こ
の理由は、加熱温度が1000℃未満であると、γ中に
固溶するNbが不足するため、圧延によるγ組織の微細
化が不十分となるうえ、Nbの析出硬化も小さくなるか
らである。つまり、強度と破面遷移温度がともに劣化す
るからである。次ぎに、Ar3〜Ar3+100℃での累
積圧下量を20%以上60%未満とする。この理由は、
この温度域での累積圧下量が20%未満のときには、圧
延によるγ組織の微細化が不十分となって破面遷移温度
が劣化するからである。また、この温度域での累積圧下
量が60%以上のときには、圧延によるγの集合組織が
発達して変態組織に遺伝し、セパレーションが発生しや
すくなって吸収エネルギーが劣化するからである。次ぎ
に、Ar3以上で圧延を終了する。この理由は、Ar3
満で圧延を終えると、加工フェライトの形成によって圧
延集合組織の発達が著しくなり、セパレーションが多量
に発生して吸収エネルギーが劇的に低下するからであ
る。次ぎに、圧延終了後は空冷する。この理由は、板厚
が15mm以下のような非常に薄い鋼板に加速冷却を適
用すると、冷却が不均一になって鋼板形状が劣化し、こ
れを矯正するための余分な作業工程が発生して生産性が
著しく阻害されるからである。以上の熱間圧延におい
て、圧延前の鋼片厚みは圧延後の鋼板厚みの10倍以上
である。この理由は、圧延前の鋼片厚みが圧延後の鋼板
厚みの10倍未満であると、Ar3+100℃以上での
加工量が不足してγが十分に微細化しないため、破面遷
移温度が劣化するためである。
【0032】
【実施例】表1に示す化学成分を有する連続鋳造鋼片を
素材として、表2に示す厚板製造条件で板厚15mm以
下の鋼板を非水冷圧延ままで製造した。表3は鋼板の機
械的性質を示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】鋼1〜8は本発明鋼であり、化学成分と製
造条件を特定の狭い範囲に最適化することで、X70級
の強度と250J以上の高いvE-20を同時に満足して
いる。非水冷圧延ままであるからこのときの生産性は高
い。一方、鋼9〜24は従来鋼であり、化学成分あるい
は製造条件が最適な範囲から外れるために、上記の強度
あるいは吸収エネルギーを達成することができない。鋼
9はCが少ないためにYSが不足している。鋼10はC
が多いためにvE-20が不足している。鋼11はMnが
少ないためにYSが不足している。鋼12はMnが多い
ためにvE-20が不足している。鋼13はMoが少ない
ためにvE-20が不足している。鋼14はMoが多いた
めにvE-20が不足している。鋼15はNbが少ないた
めにYS、FATT、SA-20、vE-20が劣化してい
る。鋼16はNbが多いためにvE -20が不足してい
る。鋼17はPが多いためにFATTとSA-20が劣化
してvE -20も不足している。鋼18はSが多いために
vE-20が不足している。鋼19は脱酸元素であるSi
が少ないためにOが多くなってしまい、vE-20が不足
している。鋼20は圧延前の鋼片厚みが圧延後の鋼板厚
みに対して小さいためにFATTとSA-20が劣化して
vE-20が不足している。鋼21は加熱温度が低いため
にYS、FATT、SA-20、vE-20が劣化している。
鋼22はAr3〜Ar3+100℃での累積圧下量が少な
いためにYS、FATT、SA-20、vE-20が劣化して
いる。鋼23はAr3〜Ar3+100℃での累積圧下量
が多いためにvE -20が劣化している。鋼24は圧延終
了温度がAr3未満であるためにvE-20が不足してい
る。
【0037】
【発明の効果】本発明により、板厚が15mm以下で、
X70級の強度を有し、250J以上のvE-20を有す
る鋼板を高い生産性のもとで製造することが可能になっ
た。その結果、鋼板製造者は製造コストを低く抑え、製
造納期を短縮することが可能となった。本発明によって
製造された鋼板は、原油や天然ガス等の輸送用ラインパ
イプをはじめ、延性破壊特性が重視される各種の鋼構造
物に適用され、鋼構造物の安全性を高めることに貢献す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】C量を変化させた12mm厚みX70級鋼板に
おけるシャルピー衝撃特性の遷移曲線を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 寺田 好男 君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君 津製鐵所内 Fターム(参考) 4K032 AA01 AA02 AA04 AA08 AA11 AA14 AA16 AA19 AA22 AA23 AA26 AA27 AA29 AA31 AA35 AA36 AA39 AA40 BA01 CA02 CA03 CB02 CC03 CD05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で C :0.03〜0.06%、 Mn:1.4〜2.0%、 Mo:0.05〜0.5%、 Nb:0.01〜0.1%、 P :≦0.01%、 S :≦0.003%、 O :≦0.005% を含有し、さらに Si:0.05〜0.5%、 Al:0.001〜0.05%、 Ti:0.005〜0.05% の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避
    的不純物である化学成分の鋼片を、1000℃以上に加
    熱して熱間圧延を行うにあたって、圧延前の鋼片厚みを
    圧延後の鋼板厚みの10倍以上とし、Ar3〜Ar3+1
    00℃の温度範囲の中で累積圧下量が20%以上60%
    未満となるように圧延を終了し、その後空冷することを
    特徴とする、高い衝撃吸収エネルギーを有する板厚15
    mm以下のX70級鋼板の非水冷型製造方法。
  2. 【請求項2】 質量%で Cu:≦1%、 Ni:≦1%、 Cr:≦1%、 V:≦0.1%、 B:≦0.005% の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請
    求項1に記載の高い衝撃吸収エネルギーを有する板厚1
    5mm以下のX70級鋼板の非水冷型製造方法。
  3. 【請求項3】 質量%で Ca:≦0.005%、 Mg:≦0.005%、 REM:≦0.01%、 Zr:≦0.01% の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請
    求項1または請求項2に記載の高い衝撃吸収エネルギー
    を有する板厚15mm以下のX70級鋼板の非水冷型製
    造方法。
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