JP2017197787A - 延性に優れた高張力厚鋼板及びその製造方法 - Google Patents

延性に優れた高張力厚鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】延性に優れた高張力厚鋼板及びその製造方法を提供する。【解決手段】粒径5μm以下のフェライトの体積分率が50%以上、粒径2μm以下の硬質相の体積分率が1〜10%、降伏強度500N/mm2以上、引張強度570N/mm2以上、一様伸び15%以上、引張強度と一様伸びの積9000N/mm2・%の厚鋼板。930〜1250℃の鋼片に、950℃以下の圧下比6〜20、750℃以下の圧下比2〜20、仕上温度Ar3点以上の熱間圧延を行い、Ar3−50℃以上から450〜600℃の範囲までの冷却速度2.0℃/秒超7.5℃/秒以下の前段加速冷却を行い、450〜600℃の温度範囲で1〜50秒保持し、350〜450℃の温度域を10秒内に通過するように、10〜100℃/秒以上の冷却速度で200〜350℃の温度範囲に冷却する後段加速冷却を行い、室温まで空冷する。【選択図】なし

Description

本発明は、引張強さが570N/mm以上、一様伸びが15%以上の、延性に優れた高張力厚鋼板及びその製造方法に関する。
近年、構造物の大型化により、引張強さが570N/mm以上の高張力鋼板が用いられる機会が増加している。一方で、鋼材の冷間加工性の確保や地震時の安全性などの観点から優れた延性が求められる場合がある。しかし、一般に、引張強さが570N/mm以上の高張力鋼は、引張強さが400N/mmや500N/mmの鋼に比べて伸びは小さくなる。そこで、加工硬化を増大させて一様伸びを増加させるために、鋼の金属組織を、ベイナイト中に硬質のマルテンサイトや残留オーステナイトを分散させた高張力鋼が提案されている(例えば、特許文献1及び2、参照)。
特開平7−233414号公報 特開2002−266048号公報
しかし、特許文献1、2に記載されている方法では、金属組織の主体がベイナイトになり、靱性が低下する。ベイナイトは、破壊の単位となる粒径がフェライトなどと比較して粗大であり、また、ベイナイト中に分散させる硬質のマルテンサイトや残留オーステナイトを有効に利用できていない。すなわち、硬質で脆いマルテンサイトや、加工誘起変態する残留オーステナイトも粗大であったり、また、これらの生成量が増加して、靱性を低下させる。したがって、靱性を劣化させずに延性を向上させた高張力鋼が必要とされている。
本発明は、このような実情に鑑みて、靭性を損なうことなく、強度及び延性を向上させた、延性に優れた高張力鋼板及びその製造方法の提供を課題とするものである。
本発明者らは、まず、加熱、圧延、冷却条件を制御することによって、ベイナイト主体ではなく、微細なフェライトが主体の金属組織とすることにより、靱性を劣化させることなく、所定の強度を確保することができるという知見を得た。次に、一様伸びを向上させるために、硬質相を微細化し、生成量を制限することによって、靱性を劣化させずに延性を確保することができることがわかった。ここで、硬質相とは、主に、マルテンサイト及び残留オーステナイトからなるマルテンサイト−オーステナイト混成物(MA)である。
また、フェライト及び硬質相を微細にするには熱間圧延の温度を低下させることが必要であり、更に、硬質相、特にMAの生成を抑制するには、冷却によるベイナイトへの変態を回避することが非常に重要である。これを実現するために、熱間圧延後、強制冷却の途中で、一旦、停止させる、間欠冷却が有効であることが判った。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] 質量%で、C:0.03〜0.2%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.7〜2.5%を含有し、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下、O:0.01%以下に制限し、残部がFe及び不純物からなる成分組成を有し、金属組織は、結晶粒径が5μm以下のフェライトの体積分率が50%以上であり、結晶粒径が2μm以下の硬質相を体積分率で1〜10%含み、降伏強度が500N/mm以上であり、引張強度が570N/mm以上、一様伸びが15%以上であり、前記引張強度と前記一様伸びの積が9000N/mm・%以上である
ことを特徴とする延性に優れた高張力厚鋼板。
[2] 更に、質量%で、Cu:2%以下、Ni:3%以下、Cr:2%以下、Mo:1%以下、B:0.005%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]に記載の延性に優れた高張力厚鋼板。
[3] 更に、質量%で、V:0.2%以下、Nb:0.1%以下、Ti:0.1%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の延性に優れた高張力厚鋼板。
[4] 上記[1]〜[3]の何れか1項に記載の成分組成を有する鋼を鋳造し、鋳造後の鋼片にそのまま、又は、一旦、冷却した鋼片を930〜1250℃に加熱して、Ar点以上950℃以下の温度範囲で、総圧下比が6〜20、かつ、750℃以下の圧下比が2〜20である熱間圧延を施し、前記熱間圧延の終了後、Ar−50℃以上の温度から、冷却速度が2.0℃/秒超7.5℃/秒以下である前段強制冷却を行って450〜600℃の温度範囲で前段強制冷却を停止し、450〜600℃の温度範囲内での保持時間を1〜50秒とし、その後、350〜450℃の温度域を10秒以内に通過するように、冷却速度が10〜100℃/秒の後段強制冷却を行って200〜350℃の温度範囲で後段強制冷却を停止し、室温まで空冷することを特徴とする延性に優れた高張力厚鋼板の製造方法。
[5] 室温まで放冷した後、Ac〜Ac+50℃の温度範囲内に加熱して1〜1200秒保持する熱処理を行うことを特徴とする上記[4]に記載の延性に優れた高張力厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、鋼の成分、加熱条件、圧延条件、冷却条件を一定範囲値に制限することにより金属組織を制御し、靱性を良好なままに延性を顕著に改善することが可能である。 従って、本発明によれば、延性が必要な高強度部材として大型構造物などへ適用可能な鋼材を提供できる。
一般に、鋼材は、金属組織が微細であれば強度が上昇する。フェライト主体組織(概ね50%以上)の場合、引張強度を570N/mm以上にするには、フェライトの粒径を5μm以下にする必要がある。また、金属組織が微細になると応力が負荷された際に応力集中が減少し、脆性破壊が発生しにくくなる。更に、脆性亀裂が発生しても結晶粒界が障害となり、亀裂の伝播が抑制される。しかし、特許文献1及び2において強度及び延性の向上に利用されているベイナイトやマルテンサイトの場合、破壊単位(結晶粒径に相当)を小さくすることは難しい。したがって、微細なフェライト主体組織とする本発明の高張力鋼板は、従来技術に比べて靱性の劣化が抑制される。
本発明では、高張力鋼板の金属組織を極めて微細なフェライト主体組織とするために、900℃以下、特に750℃以下の圧下比を高めた熱間圧延を行う。このような低温で熱間圧延を行うことにより、圧延のパス間での再結晶を抑制し、金属組織内(このときの金属組織はオーステナイト)に、転位などの不均一加工組織を生成させる。このような不均一組織は、熱間圧延後の冷却でオーステナイトからフェライトに変態する時の核生成サイトとなる。そのため、低温での圧下比を高め、転位密度を増加させることにより、金属組織が微細化する。
しかし、フェライトの細粒化によって強度を高める場合、一様伸びは必ずしも良好な値ではない。そこで、本発明者らは、微細なフェライト主体組織に、硬質のマルテンサイトや残留オーステナイトからなる硬質相(主にMA)を分散させることにより、一様伸びを向上させることができると考え、検討を行った。このような複相化による延性の改善は、靱性が必要とされない薄鋼板などではよく知られた方法であるものの、靱性が重要な特性である厚鋼板では、そのまま適用することは困難である。
微細なフェライト主体組織を有する厚鋼板の靱性を損なうことなく、延性を改善するために検討を進め、硬質相、特にMAの生成の抑制及び微細化が有効であるという知見を得た。そして、硬質相(MA)のサイズを2μm程度に微細化する必要があること、そのためには、強制冷却の途中でMAに含まれる残留オーステナイトを安定化させる必要があることがわかった。
本発明者らは、硬質相の微細化や、MAに含まれる残留オーステナイトの安定化について更に検討を進めた。そして、450〜600℃の温度範囲の保持は有効であるものの、保持時間を増加させると、MAの粗大化や、ベイナイト、パーライトへの変態の促進が問題になることがわかった。更に、450〜600℃の温度範囲に保持した後の強制冷却では、350〜450℃の間を急冷した場合に、安定な残留オーステナイトを含むMAが生成することを見出した。
350〜450℃の温度範囲では、ベイナイト変態が急速に進行し、硬さが不十分で一様伸びの向上への寄与が小さいベイナイトの生成により、延性の改善が不十分になる。これを回避するためには、350〜450℃の温度域を10秒以内に通過するように、後段の強制冷却を実施することが有効であることを見出した。
以下、本発明を実現するために必要な条件について説明する。先ず、鋼材の化学組成に関して、各成分の添加理由及び数値限定理由について説明する。
[C:0.03〜0.2%]
Cは、強度を向上させる元素であり、C含有量を0.03%以上とする。好ましくはC含有量を0.05%以上、より好ましくは0.08%以上とする。しかし、C含有量が0.2%を超えると、溶接性が劣化し、また、MAなどの硬質相が増加して、加工性及び靭性が著しく劣化する。したがって、C含有量は0.20%以下とし、好ましくは0.15%以下とする。
[Si:0.05〜1.0%]
Siは、脱酸元素であり、また、固溶強化元素でもあり、効果を得るためにSi含有量を0.05%以上とする。好ましくはSi含有量を0.10%以上、より好ましくは0.15%以上とする。一方、Si含有量が1.0%を超えると、低温靱性及び鋼の表面性状が劣化するため、上限を1.0%とする。好ましくはSi含有量を0.70%以下、より好ましくは0.50%以下とする。
[Mn:0.7〜2.5%]
Mnは、鋼の焼入れ性を高め、強度向上に寄与する元素であり、Mn含有量を0.7%以上とする。好ましくはMn含有量を1.0%以上、より好ましくは1.20%以上とする。一方、Mn含有量が2.5%を超えると、溶接性が劣化し、また、ミクロ偏析に起因してMAなどの硬質相が増加し、加工性及び靭性が劣化する。したがって、Mn含有量は2.50%以下とし、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.80%以下とする。
[P:0.02%以下]
[S:0.02%以下]
P及びSは不純物であり、延性を低下させることから、P及びSの含有量を0.02%以下に制限する。P及びSの含有量の上限は特に限定せず、0%でもよい。Sは、微細なMnSが鋼中に分散すると、金属組織の微細化に寄与することから、S含有量は0.0005%以上であってもよい。
[Al:0.1%以下]
Alは、脱酸元素であるが、Al含有量が0.1%を超えると、鋼材の靱性及び表面性状が劣化するので、上限を0.1%とする。脱酸はAl以外の元素でも可能であるため、0%でもよいが、0.0001%以上を含有させてもよい。
[N:0.01%以下]
Nは、不純物であり、含有量が0.01%を超えると、靭性が低下する。また、Nは、Ti、Al、Zr、Ta及びHfと窒化物を形成し、熱間圧延時のオ−ステナイトの細粒化及びフェライトの再結晶粒の微細化に有効に作用する。このため、N含有量が0.0001%以上であってもよい。
[O:0.01%以下]
Oは、不純物であり、Ti、Al及びMn等と結合し、酸化物等の化合物を生成する。O含有量が0.01%を超えると、粗大な化合物が生じて破壊の起点となるため、靭性が劣化する。一方、酸化物等の化合物が鋼中に微細に分散すると、金属組織(結晶粒)の微細化に寄与するので、O含有量は0.0001%以上であってもよい。
また、本発明で使用する鋼には、上記各成分に加えて、Cu、Ni、Cr、Mo及びBからなる群から選択された少なくとも1種の元素を添加することができる。これにより、鋼材の焼き入れ性及び強度を向上させることができる。以下、これらの元素の含有量の好ましい範囲及びその数値限定理由について説明する。
[Cu:2%以下]
Cuは、焼入れ性の向上に有効であり、また、固溶強化によって、鋼材の強度を向上させる元素である。効果を得るために、Cu含有量は0.001%以上が好ましい。より好ましくはCu含有量を0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上とする。一方、Cu含有量が2%を超える場合には、鋳造時に粒界に析出して内部割れを引き起こし、圧延製造工程中に鋼塊及び鋼板で疵が発生しやすくなり、更には鋼材の熱間加工性等を劣化させる要因ともなる。よって、Cuの含有量は2%以下が好ましい。より好ましくはCu含有量を1.0%以下、更に好ましくは0.50%以下とする。
[Ni:3%以下]
Niは、強度を向上させる作用を有し、特に靭性を低下させることなく強度向上が図れる点で有用な元素である。効果を得るために、Ni含有量は0.001%以上が好ましい。一方、3%を超える量のNiを含有させても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利になると共に、強度上昇によって、靱性及び延性の劣化を招く場合がある。よって、Niの含有量は3%以下が好ましい。より好ましくはNi含有量を2.0%以下、更に好ましくは1.0%以下とする。
[Cr:2%以下]
Crは、焼入れ性の向上と析出硬化とにより、母材(鋼材)の強度向上に有効な元素である。効果を得るために、Crの含有量は0.001%以上が好ましい。より好ましくはCr含有量を0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上とする。一方、Cr含有量が2%を超えると靭性が低下する場合がある。したがって、Crの含有量は2%以下が好ましく、より好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.50%以下とする。
[Mo:1%以下]
Moは、焼入れ性の向上、及び析出強化に寄与して強度を向上させる元素である。効果を得るために、Mo含有量は0.001%以上が好ましい。より好ましくはMo含有量を0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上とする。一方、Mo含有量が1%を超えてしまうと、合金コストが上昇するだけでなく、強度が上昇して靭性の劣化が生じる場合がある。したがって、Moの含有量は1%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.30%以下とする。
[B:0.005%以下]
Bは、微量の添加で鋼材の焼き入れ性を増加させ、所望の強度を得やすくする元素である。効果を得るために、B含有量は0.0001%以上が好ましい。より好ましくはB含有量を0.0003%以上、更に好ましくは0.0005%以上とする。一方、Bの含有量が0.005%を超えると、焼入れ性が過度となる場合があり、上限は0.005%が好ましい。より好ましくはB含有量を0.003%以下、更に好ましくは0.002%以下とする。
更に、本発明で使用する鋼には、上記各成分に加えて、V:0.2%以下、Nb:0.1%以下及びTi:0.1%以下からなる群から選択された少なくとも1種又は2種以上の元素を添加することもできる。
[V:0.2%以下]
[Nb:0.1%以下]
[Ti:0.1%以下]
V、Nb及びTiは、結晶粒を微細化すると共に、析出強化の面で有効に機能するため、靭性を劣化させない範囲で選択的に添加することができる。効果を得るために、これらの元素の含有量は0.0001%以上が好ましく、より好ましくは0.0005%以上、更に好ましくは0.001以上とする。一方、V含有量は0.2%を、Nb含有量及びTi含有量は0.1%を超えると、鋼材の靭性が低下する場合がある。したがって、V含有量は0.2%以下が好ましく、より好ましくは0.1%以下、更に好ましくは0.05%以下とする。また、Nb含有量及びTi含有量は、何れも、0.1%以下が好ましく、より好ましくは0.05%以下、更に好ましくは0.03%以下とする。
なお、本発明で使用する鋼の上記各成分以外の成分は、Fe及び不純物である。ここで、不純物とは、厚鋼板を工業的に製造する際に、鉱石やスクラップ等のような原料を始めとして、製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。ただし、本発明においては、不純物のうち、P、S、N及びOについては、上述のように、上限を規定する必要がある。また、本発明で使用する鋼には、必要に応じて、REM(希土類元素):0.1%以下、Mg:0.02%以下、Ca:0.02%以下、Zr:0.3%以下、Hf:0.3%以下及びTa:0.3%以下からなる群から選択された少なくとも1種の元素を添加してもよい。
REM、Mg及びCaは、結晶粒微細化によるHAZ(Heat Affected Zone)靭性の改善及びSの無害化に有効であるため、選択的に添加することができる。これらの元素の含有量の下限値は効果を得るために、0.0001%以上が好ましく、より好ましくは、0.0003%以上、更に好ましくは0.0005%以上とする。一方、これらの元素を過度に添加すると靭性が損なわれる場合があり、REMについてはその含有量を0.10%以下、Mg及びCaについてはその含有量を夫々0.02%以下が好ましい。より好ましくは、これらの元素の含有量を0.01%以下、更に好ましくは0.005%以下とする。
Zr、Ta及びHfは、脱酸元素又は炭窒化物形成元素として選択的に添加できる。効果を得るために、Zr、Ta及びHfの含有量の下限値は夫々0.0001%が好ましく、より好ましくは、0.0003%以上、更に好ましくは0.0005%以上とする。一方、Zr、Ta及びHfの含有量が夫々0.3%を超えると、鋼材の靱性及び表面性状が劣化する場合がある。より好ましくは、これらの元素の含有量を0.1%以下、更に好ましくは0.05%以下とする。
次に、本発明の厚鋼板の金属組織について説明する。
[フェライトの結晶粒径:5μm以下]
フェライトの結晶粒径は5μm以下にする必要がある。これは、強度を高めるためであり、また、フェライトの微細化により、硬質相の結晶粒径を2μm以下にすることが可能になる。特にMAは複数のフェライトの結晶粒の間に生成するので、フェライトを微細化することにより微細分散することができる。フェライトの結晶粒径の下限は特に定めないが、現在の技術水準では1μm未満にすることは難しく、1μm以上であってもよい。フェライトの結晶粒径は、光学顕微鏡を用いて測定する。
[フェライトの体積分率:50%以上]
フェライトの体積分率は50%以上とする。フェライトの体積分率が50%未満であると、ベイナイトやマルテンサイトが主体の金属組織となり、靭性や延性が低下する。一般に、金属組織の体積率は面積率と等価である。したがって、光学顕微鏡によって観察を行い、測定したフェライトの面積率を体積分率とする。
[硬質相の結晶粒径:2μm以下]
硬質相は、主に、マルテンサイト−オーステナイト混成物(MA)である。硬質相の結晶粒径は、2μmを超えると、温度の低下や加工によって、残留オーステナイトがマルテンサイトに変態し、延性や靭性を劣化させる。したがって、硬質相の結晶粒径は2μm以下とする。硬質相の結晶粒径は、レペラー液によるエッチングを行い、光学顕微鏡を用いて測定する。
[硬質相の体積分率:1〜10%]
硬質相は、加工硬化による延性の向上に寄与し、効果を得るために、体積分率を1%以上とする必要がある。一方、硬質相の体積分率は、残留オーステナイトのマルテンサイト変態を防止し、延性や靭性の劣化を抑制するために、10%以下とする。硬質相の体積率は、フェライトの体積率と同様、光学顕微鏡によって観察を行い、測定する。フェライト、硬質相(MA)の残部は、マルテンサイト、ベイナイト、パーライトの1種又は2種以上である。
次に、本発明の高張力厚鋼板の引張特性について説明する。
[降伏強度:500N/mm以上]
[引張強度:570N/mm以上]
[一様伸び率:15%以上]
本発明の高張力厚鋼板は、建築物や橋梁の強度部材、ラインパイプの素材などに好適に使用される。厚鋼板の高張力化が求められる理由は、建築物の大型化やラインパイプ内の圧力の上昇に伴う負荷応力の増大や、素材の板厚減などである。このような高強度化の要請に対応するため、本発明の高張力厚鋼板では、降伏強度を500N/mm以上、引張強度を570N/mm以上とする。また、高張力鋼板の冷間加工性の確保や、外部から応力が負荷された際の破断の防止などのため、一様伸びは15%以上とする。
[引張強度と一様伸びとの積:9000N/mm・%以上]
一般に、鋼の強度が高くなると延性が低下する。本発明の高張力鋼板は、強度及び延性を共に向上させることが必要であり、引張強度と一様伸びとの積を評価の指標とする。本発明の高張力厚鋼板が好適に使用される、建築物や橋梁の強度部材、ラインパイプの素材において、上述のような高張力化及び高延性化の要求を満足するため、引張強度と一様伸びとの積は9000N/mm・%以上とする。
次に、鋼材の製造条件について説明する。本発明の高張力鋼材の製造方法においては、先ず、鋼組成を上述の範囲に調整した後、鋳造する。その後、鋳造した鋼素材を、室温まで冷却することなくそのまま圧延するか、又は鋳造後に一旦室温まで冷却した後、熱間圧延を施す。熱間圧延の終了後、前段の強制冷却を行い、空冷又は加熱により強制冷却を中断した後、後段の強制冷却を施し、その後、室温まで放冷する。熱間圧延後の加速冷却(前段及び後段)は、水冷によって実施するのが望ましいが、これと同等の冷却速度が得られればどのような方法でもよい。
[圧延前の加熱温度:930〜1250℃]
熱間圧延前に鋼素材を再加熱する場合は、その加熱温度を930〜1250℃の範囲とする。圧延前の再熱温度が930℃未満の場合、鋼材の金属組織がオ−ステナイト単相にならない。また、圧延前の再加熱温度が1250℃を超えると、結晶粒径が粗大となるため、鋼材の靱性が劣化する。結晶粒径を微細にするためには、加熱温度は1150℃以下が好ましく、より好ましくは1000℃以下とする。
[950℃以下の総圧下比:6〜20]
熱間圧延はAr点以上で行う。これは、Ar温度未満で圧延した場合、金属組織中に加工されたフェライトが混在し、鋼材の靱性が劣化するからである。また、熱間圧延では、フェライト及び硬質相を微細にするため、950℃以下の温度範囲の総圧下比が重要である。950℃以下では熱間圧延の圧延パス間での再結晶が抑制され、転位などの不均一な加工組織が形成される。このような不均一組織は、圧延後の冷却中に生じる相変態の核生成サイトとなる。
950℃以下での総圧下比を高めれば、相変態の核生成サイトが増加し、フェライト及び硬質相の結晶粒径が微細化される。フェライト及び硬質相の結晶粒径を微細にするために、950℃以下の総圧下比を6以上とする。950℃以下の総圧下比は大きいほど好ましいが、鋼素材の厚み及び厚鋼板の板厚の観点から、20以下とする。950℃以下の総圧下比は、熱間圧延の終了後(ただし、熱間圧延の終了温度はAr点以上)の板厚に対する950℃の板厚の比として求められる。ただし、圧延前の加熱温度が950℃未満である場合は、熱間圧延の終了後の板厚に対する熱間圧延前の板厚の比として求める。
[750℃以下の圧下比:2〜20]
750℃以下の温度での圧下により、フェライト及び硬質相の細粒化が顕著となる。この原因は必ずしも明確ではないが、低温では転位の回復が顕著に抑制され、多重すべりが発生して、圧下によって導入される不均一組織が非常に微細化するためではないかと考えられる。フェライト及び硬質相は、700℃以下の温度での圧下により、更に顕著に微細化される。
フェライト及び硬質相の結晶粒径を、それぞれ、5μm以下及び2μm以下とするために、750℃以下の温度での圧下比を2以上とする。一方、温度が低下すると変形抵抗が大きくなり、圧延機の負荷が大きくなるため、750℃以下での圧下比の上限を20以下とする。750℃以下の圧下比は、熱間圧延の終了後(ただし、熱間圧延の終了温度はAr点以上)の板厚に対する750℃の板厚の比として求められる。好ましくは、700℃以下の圧下比を2〜20とし、700℃以下の圧下比は、熱間圧延の終了後の板厚に対する700℃の板厚の比として求める。
[前段の加速冷却の開始温度:Ar点−50℃以上]
熱間圧延後、Ar点−50℃未満の温度から冷却を行った場合、冷却開始前に粗大なフェライトが多量に生成し、鋼材の強度が低下すると共に靱性が劣化する。よって、熱間圧延後の加速冷却(前段の加速冷却)の開始温度板は、Ar点−50℃以上の温度とする。
[前段の加速冷却の冷却速度:2.0℃/秒超〜7.5℃/秒]
熱間圧延後、加速冷却を施す場合、冷却速度を高めるに従って、鋼の金属組織は、順に、粗粒フェライト、細粒フェライト、ベイナイト、マルテンサイトへと変化する。熱間圧延の終了後、前段の加速冷却は、粗粒フェライトの生成を回避し、金属組織を細粒フェライト主体とする金属組織とするために2.0℃/秒超の冷却速度で行う。冷却速度は速い方が好ましいが、450〜600℃の温度範囲で、一旦、加速冷却を終了させる必要があり、工業的規模で実現可能なレベルとして7.5℃/秒を上限とする。フェライトを安定的に生成させるには、4℃/秒未満の冷却速度が好ましい。
[前段の加速冷却の終了温度:450〜600℃]
前段の加速冷却の終了温度が低下すると、フェライトの体積率が減少し、鋼の強度が増加する。前段の加速冷却の終了温度は、硬質相に含まれる残留オーステナイトを安定化させるために450℃以上とし、好ましくは500℃以上とする。一方、前段の加速冷却の終了温度が高くなると、フェライトの粒径が粗大になり、強度や靱性が低下する。強度及び靱性を確保するために、前段の加速冷却の終了温度は600℃以下とし、好ましくは550℃以下とする。
[前段加速冷却終了から後段加速冷却開始までの保持温度:450〜600℃]
前段の加速冷却の終了後、450℃以上の温度で保持することにより、鋼に含まれる炭素をオーステナイトに濃化させ、硬質相の残留オーステナイトを安定化させることができる。その結果、残留オーステナイトのマルテンサイト変態が抑制され、延性及び靱性の劣化を防止することができる。好ましくは、前段の加速冷却の終了後、後段の加速冷却を開始するまでの保持温度を500℃以上とする。一方、前段の加速冷却の終了後、600℃超の温度で保持すると、フェライトの粗大化やベイナイト変態、パーライト変態が生じ、フェライトの体積率が減少して、延性や靱性が劣化する。したがって、前段加速冷却終了から後段加速冷却開始までの保持温度は600℃以下とし、好ましくは550℃以下とする。
[前段加速冷却終了から後段加速冷却開始までの保持時間:1〜50秒]
前段の加速冷却の終了後、後段の加速冷却を開始するまでの保持時間は、硬質相の残留オーステナイトを安定化させるために、1秒以上とする。好ましくは10秒以上とする。一方、前段の加速冷却の終了後、後段の加速冷却を開始するまでの保持時間は、フェライトの粗大化や、ベイナイト変態、パーライト変態を抑制するために、50秒以下とする。好ましくは35秒以下とする。
[後段の加速冷却の冷却速度:10〜100℃/秒]
後段の加速冷却は、結晶粒の粗大化や相変態を抑制し、前段の加速冷却及びその後の保持によって得られた、微細なフェライト及び硬質相を、できるだけ安定化させつつ、保つために行う。そのため、後段の加速冷却では、10℃/秒以上の冷却速度が必要である。後段の加速冷却の冷却速度は速いほど好ましいが、工業的安定操業の観点から100℃/秒以下とする。上限は、50℃/秒、更に、35℃/秒であってもよい。
[350〜450℃の通過時間:10秒以内]
後段の加速冷却では、350〜450℃の温度範囲を10秒以内で通過することが重要である。350〜450℃の温度範囲の通過に要する時間が10秒を超えると、ベイナイト変態によって硬質相の生成が不十分になり、延性が低下する。
[後段の加速冷却の終了温度:200〜350℃]
後段の加速冷却は、ベイナイト変態を抑制するために、350℃以下で終了することが必要である。一方、後段の加速冷却の終了温度を過剰に低下させると、可動転位が多く生成し、降伏応力を低下させ、一様伸びも低下してしまうので、200℃以上とする。
後段の加速冷却の終了温度は、そのまま、室温まで空冷する。更に、MAに含まれる残留オーステナイトを安定化させるために、Ac〜Ac+50℃の温度で1〜1200秒保持する熱処理を行ってもよい。熱処理後の冷却は、加速冷却でも、空冷でもよい。
[加熱温度:Ac〜Ac+50℃]
[保持時間:1〜1200秒]
熱処理を施す場合は、MAに含まれる残留オーステナイトを安定化させるために、金属組織の一部がフェライトからオーステナイトに変態するAc以上に加熱することが好ましい。しかし、加熱温度が高過ぎると変態によって生成するオーステナイトの量が増加して、冷却後に変態して、硬質相に含まれる残留オーステナイトを安定化させる効果を十分に得ることができないので、加熱温度をAc+50℃以下とすることが好ましい。一方、保持時間は、効果を得るために1秒以上とし、金属組織の粗大化を避けるために、1200秒以下とすることが好ましい。より好ましくは保持時間を300秒以下とする。
表1に示す組成の鋼を溶製し、鋳造して鋼片とし、得られた鋼片を、表2に示す条件で熱間圧延し、加速冷却して、更に、一部は熱処理(保持時間は300秒)を施して、厚鋼板を製造した。表1に示す鋼組成における残部は、Fe及び不純物である。表2に示す熱間圧延の条件(950℃以下の総圧下比、750℃以下の圧下比、700℃の圧下比)は、熱間圧延後の板厚と、各温度の板厚から求めた。また、表2に示す加速冷却の条件(前段及び後段の加速冷却の開始温度、終了温度、冷却速度、加速冷却間の保持時間)は、前段の加速冷却の開始から後段の加速冷却の終了までの、各板の板厚中心部の標準的な理論冷却曲線から算出した。また、表2には、鋼素材の厚さ、製品板厚及び変態温度についても併せて示す。
次に、各鋼板の金属組織状態及び機械的特性を評価した。具体的には、母材(鋼板)のフェライト粒径(平均直径)、フェライト体積率、硬質相の平均粒径(直径)、硬質相の体積分率、引張特性(降伏強度YS,引張強度TS、降伏比(YS/TS)、均一伸び(一様延び:uEL)、全伸び(EL)及び靱性としてシャルピ−試験における延性−脆性破面遷移温度vTsを評価した。硬質相は、マルテンサイトとオーステナイトの混合物(MA)について評価した。
母材の引張特性は、各鋼板(母材)から作製したJIS4号試験片を使用して、引張り試験により測定した。また、靱性は、各鋼板(母材)及び溶接部から切り出したJIS4号試験片を使用し、Vノッチシャルピ−試験によって測定した。以上の結果を下記表3にまとめて示す。
Figure 2017197787
Figure 2017197787
Figure 2017197787
表1に示す鋼A〜Mは本発明の範囲内の実施例であり、鋼N〜Qはいずれも本発明の範囲から外れる比較例である。表1に示すように、鋼N及び鋼OはC含有量がそれぞれ過少又は過剰である。また、鋼P及びQは、夫々Si及びMnが過剰である。
試験No.1dの鋼板は前段加速冷冷却の冷却速度が遅く、比較例の試験No.4の鋼板は750℃以下の圧延を行わなかったので、フェライト粒が微細でないために降伏応力が低く、靭性もやや低めである。試験No.2及び試験No.17の鋼板は、後段加速冷却の冷却終了温度が低いため、金属組織中に発生した可動転位がCやN原子に固着されず、降伏応力が低くなり、一様伸びも低下している。一方、試験No.18の鋼板は、後段加速冷却の冷却終了温度が450℃と高いために、その後の350〜450℃域の冷却が空冷となり、350〜450℃域の通過時間が増大し、空冷中などにベイナイト変態が進行し、残留オーステナイトの残存量を低下させ、硬質相の体積分率が少なくなり、均一伸び及び全伸びが低下した。
試験No.8の鋼板は前段加速冷却と後段加速冷却の間の保持時間が長すぎ、後段加速冷却の開始温度も低下したため、パーライト変態などが生じて残留オーステナイトがほとんど残存しなかった。このために、硬質相の体積分率が少なくなり、均一伸びが低下、全伸びの値も小さかった。後段加速冷却の冷却速度が遅い試験No.9の鋼板も、試験No.8の鋼板と同様の結果となった。試験No.11の鋼板は、熱処理の温度が適正でなくAc点以上の温度で実施されなかったので、通常の焼戻となった。従って、残留オーステナイトの安定化はもとより、残留オーステナイトがフェライトとセメンタイトに分解してしまい、硬質相が存在せず(硬質相平均粒径を「−」で示した。)、均一伸び、全伸びが低下した。
試験No.15の鋼板は前段加速冷却の終了温度が低く、ベイナイトが増加しフェライト分率が低下した。このために残留オーステナイトの残存量も少なく、硬質相の体積分率が少なくなり、均一伸び、全伸びが低下している。試験No.16の鋼板は前段加速冷却の開始温度がAr−50℃より低く、冷却開始前に粗大なフェライトが生成した。このためにフェライト粒径サイズに敏感な降伏強度や靭性が低下した。
試験No.29の鋼板はC含有量が過少であるために、焼入性が低く粗大フェライト生成したため、強度が低く、靭性も悪い。また、オーステナイトへのC原子の濃縮が十分でなく、安定化できず、硬質相の体積分率が少ないので伸びも低い。試験No.30の鋼板はC含有量が過剰であるために、焼入性が高く強度が上昇し、残留オーステナイトやそれから発生した高炭素マルテンサイト(非常に硬く、靭性を劣化させる)が生成したために靭性が低下した。セメンタイトの生成を抑制するSiが過剰である試験No.31の鋼板も、試験No.30の鋼板と同様の結果となった。試験No.32の鋼板はMnが過剰であったために、焼入性が過剰となり、微細なフェライトは減少し、引張強度は高いものの延性や靭性も良くなかった。
以上説明した如く、本発明に係る条件を満たして製造した鋼板であるならば、引張強度570N/mm以上を示し、一様伸びにおいて15%以上の値を確実に得ることができる。更に、引張強度と一様伸びとの積は9000N/mm・%以上であり、強度と延性のバランスも良好である。また、靭性の劣化も抑制されており、シャルピー試験における延性―脆性破面遷移温度として−50℃より低温を示す鋼板を得ることができることを確認することができた。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.03〜0.2%、
    Si:0.05〜1.0%、
    Mn:0.7〜2.5%
    を含有し、
    P:0.02%以下、
    S:0.02%以下、
    Al:0.1%以下、
    N:0.01%以下、
    O:0.01%以下
    に制限し、残部がFe及び不純物からなる成分組成を有し、
    金属組織は、結晶粒径が5μm以下のフェライトの体積分率が50%以上であり、
    結晶粒径が2μm以下の硬質相を体積分率で1〜10%含み、
    降伏強度が500N/mm以上であり、引張強度が570N/mm以上、一様伸びが15%以上であり、前記引張強度と前記一様伸びの積が9000N/mm・%以上である
    ことを特徴とする延性に優れた高張力厚鋼板。
  2. 更に、質量%で、
    Cu:2%以下、
    Ni:3%以下、
    Cr:2%以下、
    Mo:1%以下、
    B:0.005%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の延性に優れた高張力厚鋼板。
  3. 更に、質量%で、
    V:0.2%以下、
    Nb:0.1%以下、
    Ti:0.1%以下
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の延性に優れた高張力厚鋼板。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の成分組成を有する鋼を鋳造し、
    鋳造後の鋼片にそのまま、又は、一旦、冷却した鋼片を930〜1250℃に加熱して、
    Ar点以上950℃以下の温度範囲で、
    総圧下比が6〜20、かつ、750℃以下の圧下比が2〜20である熱間圧延を施し、
    前記熱間圧延の終了後、Ar−50℃以上の温度から、冷却速度が2.0℃/秒超7.5℃/秒以下である前段強制冷却を行って450〜600℃の温度範囲で前段強制冷却を停止し、
    450〜600℃の温度範囲内での保持時間を1〜50秒とし、その後、
    350〜450℃の温度域を10秒以内に通過するように、冷却速度が10〜100℃/秒の後段強制冷却を行って200〜350℃の温度範囲で後段強制冷却を停止し、室温まで空冷する
    ことを特徴とする延性に優れた高張力厚鋼板の製造方法。
  5. 室温まで空冷した後、Ac〜Ac+50℃の温度範囲内に加熱して1〜1200秒保持する熱処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の延性に優れた高張力厚鋼板の製造方法。
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