JP2003063863A - 誘電体磁器及び積層型電子部品並びに積層型電子部品の製法 - Google Patents

誘電体磁器及び積層型電子部品並びに積層型電子部品の製法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】比誘電率が大きく、かつ比誘電率の温度特性、
DCバイアス特性が良好で、薄層化しても誘電体磁器の
絶縁破壊電圧を向上できる誘電体磁器、及び積層型電子
部品並びに積層型電子部品の製法を提供する。 【解決手段】Aサイトの一部がCaで置換されたペロブ
スカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT型結晶粒
子)と、置換Caを含有していないペロブスカイト型チ
タン酸バリウム結晶粒子(BT型結晶粒子)とを有する
誘電体磁器であって、BT型結晶粒子の平均粒径がBC
T型結晶粒子の平均粒径よりも小さく、BT型結晶粒子
の全域にわたってMg、Mnが存在するとともに、BT
型結晶粒子表面に、アルカリ土類元素、希土類元素及び
Siを含有する複合酸化物からなる被覆層を有し、か
つ、BCT型結晶粒子がコアシェル構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体磁器及び積
層型電子部品並びに積層型電子部品の製法に関するもの
であり、より詳細には、例えば誘電体層に印加される直
流電圧が2V/μm以上であるような高電圧用の積層セ
ラミックコンデンサ等の形成に特に有用な誘電体磁器、
及び該磁器を用いて形成された積層型電子部品、並びに
その製法に関する。
【0002】
【従来技術】積層セラミックコンデンサ(MLC)の誘
電体層の形成に使用される誘電体材料には、小型・高容
量化の為に、高い比誘電率が要求されるのはもちろんの
こと、誘電損失が小さく、誘電特性の温度に対する依存
性(温度依存性)や直流電圧に対する依存性(DCバイ
アス依存性)が小さい等の種々の特性が要求される。
【0003】また、誘電体層の薄層化に伴い、積層セラ
ミックコンデンサに印加する電界の増大による信頼性低
下を抑制するために、粒子径のより小さい誘電体材料が
使用されるようになってきた。
【0004】ペロブスカイト型(ABO3型)酸化物で
あるチタン酸バリウム(BaTiO3)は、コンデンサ
等の電子部品に用いる誘電体材料として広く使用されて
おり、特に小型・高容量で温度特性に優れた積層セラミ
ックコンデンサ用の誘電体材料として、大きな比誘電率
を示すサブミクロン粒径のBT焼結体が主流となってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した公
知のBT系材料では、直流電圧印加による比誘電率の減
少(DCバイアス依存性)が大きいという欠点がある。
即ち、小型化の為に誘電体層の薄層化を推し進めると、
誘電体層に印加される電界が増大する為、このようなB
T系材料で形成された誘電体層から成るコンデンサで
は、静電容量の減少が大きく、実効的静電容量が小さく
なるという問題があった。
【0006】また、BT結晶粒子の粒径をサブミクロン
よりさらに小さくしていくと、DCバイアス依存性を改
善できるが、粒子サイズの微小化に伴い比誘電率も減少
してしまうため、小型・高容量・DCバイアス特性を同
時に満足することはできなかった。
【0007】例えば、特開平9−241075号公報に
は、平均粒径が0.1〜0.3μmであり、温度特性の
異なる2種類以上の微粒子結晶により構成された誘電体
磁器が提案されており、この誘電体磁器は、平坦な温度
特性(誘電特性の温度依存性が小さい)と、優れたDC
バイアス特性を有していることが記載されている。即
ち、微粒子化により誘電体磁器の誘電的活性を小さくす
ることにより、平坦な温度特性と優れたDCバイアス特
性を得ている。
【0008】しかしながら、0.1〜0.3μmの様な
粒子サイズでは、最大でも2100程度の比誘電率しか
得られず、高容量化に限界があった。
【0009】また、特開平2000−58378号公報
には、BaTiO3のBaを一部Caで置換した(Ba
1-xCax)TiO3(以下、BCTと呼ぶことがある)
を用い、コアシェル構造を形成することにより、平坦な
温度特性と、優れたDCバイアス特性を実現できること
が記載されている。
【0010】しかしながら、BaTiO3のBaの一部
をCaで置換した場合には、Ca置換量が少量であって
も、比誘電率が大きく減少することが知られている。即
ち、BCT焼結粒子の粒径をサブミクロンオーダーとす
ることにより、温度特性やDCバイアス特性を向上させ
ることはできても、比誘電率を2000よりも高めるこ
とは困難であった。
【0011】また、BCTは、比誘電率の温度特性を制
御する上で必要不可欠であるMg、希土類元素と混合
し、焼成すると、Caの拡散にともなって、粒成長が起
こり易く、厳しい条件制御が必要であった。特に、サブ
ミクロン以下の粒径を有する原料を用いた場合には、著
しい粒成長を起こしてしまう。さらに、BCTに含まれ
るCa量が多いほど原子拡散による粒成長が起こりやす
く、BCTのCa置換量が数%以上の場合、微粒子焼結
体を作製する事は容易ではなかった。さらに、粒成長を
抑制するため低温で焼成した場合、Mg、希土類元素の
粒内への拡散が不充分となり易く、温度特性が制御でき
ないという問題があった。
【0012】さらに、一般に磁器では厚みを薄くするこ
とにより絶縁抵抗が低下し、特に直流電圧が2V/μm
以上であるような高電圧を印加する積層セラミックコン
デンサでは、絶縁破壊電圧が低下し、部品寿命が短くな
るという問題があった。
【0013】従って、本発明は、比誘電率が大きく、か
つ比誘電率の温度特性、DCバイアス特性が良好で、薄
層化しても絶縁破壊電圧を向上できる誘電体磁器、及び
高電圧が印加されても静電容量の低下率が小さい積層型
電子部品並びに積層型電子部品の製法を提供することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の誘電体磁器は、
Aサイトの一部がCaで置換されたペロブスカイト型チ
タン酸バリウム結晶粒子(BCT型結晶粒子)と、置換
Caを含有していないペロブスカイト型チタン酸バリウ
ム結晶粒子(BT型結晶粒子)とを有する誘電体磁器で
あって、前記BT型結晶粒子の平均粒径が前記BCT型
結晶粒子の平均粒径よりも小さく、前記BT型結晶粒子
の全域にわたってMg及びMnが存在するとともに、前
記BT型結晶粒子表面に、アルカリ土類元素、希土類元
素及びSiを含有する複合酸化物からなる被覆層を有
し、かつ、前記BCT型結晶粒子がコアシェル構造を有
することを特徴とする。
【0015】一般に、BTは、逐次相転移に伴う原子の
揺らぎに起因して4000を越す大きな比誘電率を示す
が、逐次相転移の前駆現象である原子の揺らぎに起因し
た高比誘電率の為、DCバイアスの印加による比誘電率
の減少が大きい。
【0016】一方、BTに見られる3つの逐次相転移点
の内、最も高温(125℃程度)にある相転移温度は、
Aサイトの一部がCaで置換されても殆ど変わることが
ないが、室温近傍とそれよりさらに低温の構造相転移点
は、置換Ca量の増大に比例して低温にシフトする。即
ち、BTが高誘電率を示す大きな要因は、室温近傍とさ
らに低温の構造相転移の前駆現象である原子の揺らぎの
増大である為、Aサイトの一部がCaで置換されたBC
Tでは、室温近傍及びさらに低温での転移点が低温側に
シフトしており、比誘電率は減少するものの、DCバイ
アス特性は大きく向上する。
【0017】さらに、BCT型結晶粒子が外周部にアル
カリ土類元素等が固溶したコアシェル構造を有すること
により、比誘電率の温度依存性、DCバイアス依存性の
抑制を両立することができ、比誘電率の温度特性、DC
バイアス特性を向上できる。ここで、コアシェル構造と
は、BCT型結晶粒子のコア部(中心部)にはBa、C
a、Tiが、シェル部(外周部)にはBa、Ca、Ti
と、他にアルカリ土類元素等が固溶していることをい
う。
【0018】即ち、本発明の誘電体磁器では、高比誘電
率を示し、温度特性に優れたBT型結晶粒子と、DCバ
イアス特性に優れ、コアシェル構造を有するBCT型結
晶粒子との共存構造を実現する事により、BTに比べD
Cバイアス特性に優れ、また、BCTに比べ高誘電率で
あり、且つ誘電特性の温度依存性が小さいという特性を
示すものである。
【0019】また、本発明の誘電体磁器中のBT型結晶
粒子は、その全域にわたってMg、Mnが存在してお
り、少なくともBT型結晶粒子表面には、アルカリ土類
元素、希土類元素及びSiを含有する複合酸化物からな
る被覆層が形成されていることが重要である。前述した
ようにBT型結晶粒子は、高比誘電率を示す一方、DC
バイアス依存性が大きいが、Mg、Mnが結晶粒子中央
部まで固溶することでその強誘電性が抑制され、DCバ
イアス特性がさらに向上する。
【0020】さらに、本発明では、少なくともBT型結
晶粒子表面に、アルカリ土類元素、希土類元素及びSi
を含有する複合酸化物からなる被覆層が形成されている
ことが重要である。このように絶縁抵抗を向上するため
のアルカリ土類元素が、希土類元素やSiとともに複合
酸化物の形態でBT型結晶粒子表面に存在し、この複合
酸化物が比較的高い絶縁抵抗を有するため、誘電体磁器
の電界強度を高め、誘電体磁器の絶縁破壊電圧を向上す
ることができる。尚、ここで、被覆層中にはBa、Ti
を含有していない。
【0021】かくして本発明の誘電体磁器は、サブミク
ロンオーダーの平均粒径で、コアシェル構造を有するB
CT型結晶粒子と、BT型結晶粒子が共存し、BT型結
晶粒子の平均粒径がBCT型結晶粒子の平均粒径よりも
小さく、少なくとも前記BT型結晶粒子はその中心部ま
でMg、Mnが固溶しており、BT型結晶粒子表面に、
アルカリ土類元素、希土類元素及びSiを含有する複合
酸化物からなる被覆層が形成されており、この結果、高
誘電率を有し、しかも、誘電特性の温度依存性やDCバ
イアス依存性も極めて小さく、絶縁抵抗、及び誘電体磁
器の絶縁破壊電圧を高め、積層型セラミックコンデンサ
の誘電体層1層あたりの電界強度を向上することができ
るという極めて優れた特性を有している。
【0022】さらに、本発明では、BCT型結晶粒子の
シェル部にMg、Mn、希土類元素が存在することが望
ましい。希土類元素としては、Y、Tb、Dy、Ho、
Er及びYbから成る群より選択された少なくとも1種
であることが好ましく、BCT型結晶粒子は、Aサイト
の2〜22モル%がCaで置換されていることが好まし
い。
【0023】また、本発明ではBCT型結晶粒子、被覆
層を有するBT型結晶粒子の結晶粒界には、アルカリ土
類元素及びSiを含有するガラス相が形成されているこ
とが望ましい。
【0024】このガラス相は高絶縁性を有しており、添
加成分が焼成時に液相を形成したもので、誘電体層の焼
結を促進するとともに、その一部はBaTiO3粉末を
被覆している希土類元素と反応して、焼結体中のBT型
結晶粒子表面に被覆層を形成している。
【0025】また、本発明の誘電体磁器は、BCT型結
晶粒子とBT型結晶粒子とを、BCT/BT=0.05
乃至20のモル比で含有していることが好適である。更
に、本発明の誘電体磁器は、Mnを、MnO換算で、
0.25重量%以下の量で含有していることが望まし
い。
【0026】本発明によれば更に、上記記載の誘電体磁
器からなる誘電体層と内部電極層とを交互に積層してな
る積層型電子部品が提供される。
【0027】本発明の積層型電子部品の製法は、(B
a,Ca)TiO3粉末と、該(Ba,Ca)TiO3
末よりも平均粒径が小さく、表面が希土類元素、Mg及
びMnの混合物で被覆された被覆BaTiO3粉末と、
少なくともアルカリ土類元素及びSiを含む添加物粉末
を混合し、スラリーを調製する工程と、該スラリーを用
いて作製された誘電体シートと内部電極パターンとが交
互に積層された積層成形体を作製する工程と、該積層成
形体を1100〜1250℃で焼成する工程とを具備す
る製法である。
【0028】この製法において、先ず、(Ba,Ca)
TiO3粉末よりも平均粒径が小さいBaTiO3からな
る粉末の表面に、少なくとも希土類元素、Mg及びMn
の混合物を被覆し、この被覆BaTiO3粉末と(B
a,Ca)TiO3粉末に、少なくともアルカリ土類元
素及びSiを含む添加物成分を添加混合し、焼成するこ
とにより、BT型結晶粒子中心部までMg、Mnが固溶
し、かつその表面にほぼ均一に高絶縁性の複合酸化物か
らなる被覆層を形成することができるとともに、BCT
型結晶粒子に対するMg、Mn、希土類元素の過剰な固
溶や粒成長を抑制してコアシェル構造を形成せしめるこ
とができる。これにより、10μm以下に薄層化した誘
電体層の1層あたりの電界強度を高め、絶縁破壊電圧を
高めることができるとともに、高容量、温度特性、DC
バイアス特性を向上できる。
【0029】
【発明の実施の形態】(結晶粒子)本発明の誘電体磁器
は、BCT型結晶粒子とBT型結晶粒子とを含有するも
のであり、上述した様に、このような2種の結晶粒子が
共存していることにより、優れた特性を示す。
【0030】BCT型結晶粒子は、Aサイト(Baサイ
ト)の一部がCaで置換されたペロブスカイト型チタン
酸バリウムであり、理想的には、下記式:(Ba1-x
x)TiO3で表されるが、本発明においては、Mg、
Mn及び希土類元素が、通常、このBサイトに固溶して
いる(Aサイトに固溶していることもある)。
【0031】一方、BT型結晶粒子は、Ca非置換型の
ペロブスカイト型チタン酸バリウムであり、理想的に
は、下記式:BaTiO3で表されるが、上記のBCT
型結晶粒子と同様、このBT型結晶粒子においても、こ
のBサイトに、通常、Mg、Mn及び希土類元素が固溶
している。
【0032】本発明において、上記BCT型結晶粒子に
おけるAサイト中のCa置換量xは、2〜22モル%、
特に4〜15モル%であることが好ましい。Ca置換量
がこの範囲内であれば、室温付近の相転移点が十分低温
にシフトし、BT型結晶粒子との共存構造により、コン
デンサとして使用する温度範囲において優れたDCバイ
アス特性を確保できるからである。
【0033】例えば、Ca置換量xが上記範囲よりも少
量の時は、その誘電特性は、BT型結晶粒子と大きな差
異がなく、BCT型結晶粒子を用いる有効性が小さくな
ってしまう。一方、Ca置換量が上記範囲よりも多くな
ると、CaTiO3が析出し、誘電率の低下を生じるお
それがある。
【0034】また、BCT型結晶粒子は0.3〜0.8
μm、BT型結晶粒子は0.2〜0.5μmの平均粒径
を有しており、特に比誘電率を高め、且つ比誘電率の温
度依存性を抑制するためには、BCT型結晶粒子が0.
4〜0.7μm、BT型結晶粒子が0.3〜0.4μm
の平均粒径を有していることが好ましい。例えば、これ
ら結晶粒子の平均粒径が上記した平均粒径よりも小さい
と、これら結晶粒子の比誘電率は何れも低く、誘電体磁
器の比誘電率を高めることが困難となってしまう。ま
た、焼成に際して、両者の間で容易に固溶が生じ、共存
構造の実現が困難となるからである。更に、これら結晶
粒子の平均粒径が上記した平均粒径よりも大きくなる
と、比誘電率の温度依存性、DCバイアス依存性が大き
くなってしまう。
【0035】また、コアシェル構造を有するBCT型結
晶粒子と中心部までMg、Mnの固溶が進んだBT型結
晶粒子の共存を実現するため、BT型結晶粒子の平均粒
径がBCT型結晶粒子の平均粒径よりも小さくされてお
り、その平均粒径の差は0.05〜0.2μmが好適で
ある。
【0036】そして、本発明の誘電体磁器では、BT型
結晶粒子の表面には、アルカリ土類元素、希土類元素及
びSiを含有する複合酸化物からなる被覆層が形成され
ている。被覆層を形成するアルカリ土類元素としては、
Ca、Srがある。この被覆層は少なくともBT型結晶
粒子の全周を取り囲むように、BT型結晶粒子の表面に
ほぼ均一に形成されている。また、BT型結晶粒子表面
の被覆層は、BT型結晶粒子から離れて粒界に存在する
場合がある。
【0037】また、被覆層は、例えば、Ca46O(S
iO4)結晶相や、他のCa、Y、Si、及びLi等を
含む化合物から構成されており、このようなCa46
(SiO4)結晶相の存在は、透過電子顕微鏡(TE
M)の微小領域電子回折像によって確認できる。
【0038】また、被覆層を構成するCa46O(Si
4)結晶相中のYの代わりに、他の希土類元素を用い
ても同様の複合酸化物を形成することができるが、Y、
Tb、Dy、Ho、Er及びYbが望ましく、特に、高
誘電率化という点からYが望ましい。
【0039】一方、このCa46O(SiO4)結晶相
中のCaの代わりに、他のアルカリ土類元素を用いても
同様の複合酸化物を形成することができるが、Ca46
O(SiO4)結晶相と同じ結晶構造を持つ複合酸化物
を形成する点から、CaもしくはSrが望ましく、特
に、高い電界強度を有するために高絶縁抵抗化という点
からCaが望ましい。
【0040】Mg、Mnについては、殆どがBCT型結
晶粒子及びBT型結晶粒子内に固溶するが、一部粒界に
存在し、非晶質相を形成する場合がある。
【0041】本発明においては、既に述べた通り、BC
T型結晶粒子及びBT型結晶粒子の何れにも、Mg、M
n及び希土類元素が固溶している。これらの元素成分
は、原料粒子の焼結性を高め、粒成長を抑制し、前述し
た平均粒径の結晶粒子を形成させるための焼結助剤とし
て使用されるMg化合物、Mn化合物及び希土類元素化
合物、及び/またはBaTiO3粉末の被覆成分に由来
するものであり、希土類元素としては、特に制限される
ものではないが、上記したように、特に希土類元素とし
てはY、Tb、Dy、Ho、Er及びYbを例示するこ
とができ、これら希土類元素は、1種単独でも2種以上
であってもよい。
【0042】また、Mg、Mn及び希土類元素は、一部
がこれら結晶粒子の粒界に存在する場合がある。粒界に
存在する場合は主として非晶質として存在する。
【0043】Mg、Mn及び希土類元素は焼結過程にお
いては以下のような役割を果たしている。BT及びBC
T結晶粒子は、何れも、焼結時に原子拡散による粒成長
を起こしやすく、微小粒径の緻密焼結体を得にくい。特
に、用いた原料粒子サイズがサブミクロンより小さい場
合、粒子体積に対し、表面積が大きな割合を占め、表面
エネルギーが大きいことによって、エネルギー的に不安
定な状態になってしまう。このため、焼成に際して、原
子拡散による粒成長を生じ、表面積が小さくなって表面
エネルギーの低下による安定化が生じる。
【0044】従って、粒成長が起こりやすく、微小サイ
ズの粒子からなる緻密焼結体は得にくいものとなってい
る。具体的には、0.2μmより小さい微小粒子サイズ
のBT及びBCTの焼結体は、容易に固溶・粒成長を生
じ、粒子間の原子の移動を抑制するものを粒子間に導入
しなければ容易に1μmを越える大きな粒子サイズから
なる焼結体が形成されてしまい、サブミクロン以下の微
小粒子サイズからなる緻密な焼結体を得るのは困難であ
る。
【0045】しかるに、微小結晶原料とともに、Mg、
MnとYの様な希土類元素を添加剤として導入し、さら
に焼成条件を調製する事により、原料結晶粒子のサイズ
を反映した微小粒子焼結体を得る事ができる。これらの
添加物は、粒子表面に拡散し液相を形成する事により、
焼結を促進するとともに、粒界近傍及び粒界に存在して
母相であるBT、BCT型結晶粒子間におけるBa、C
a、Ti原子の移動を妨げ、粒成長を抑制する。
【0046】尚、BT、BCT型結晶粒子中における各
元素の固溶、拡散状態は、これらの結晶粒子を透過型電
子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
【0047】また、BCT型結晶粒子とBT型結晶粒子
とは、BCT/BT=0.05乃至20、特に、0.2
5乃至4のモル比で存在していることが好ましい。即
ち、BCT型結晶粒子の割合が上記範囲よりも少ないか
或いはBT型結晶粒子の割合が上記範囲よりも多いと、
BCT型結晶粒子の優れた特性、例えば温度特性やDC
バイアス特性が低下するおそれがある。また、BCT型
結晶粒子の割合が上記範囲よりも多いか或いはBT型結
晶粒子の割合が上記範囲よりも少ないと、BT型結晶粒
子を共存させた意義が低下し、例えば誘電率の低下を生
じたり、BCT型結晶粒子における焼成時のCa拡散を
有効に抑制することが困難となり、焼結性の低下や粒成
長を生じ、温度特性やDCバイアス特性の低下を生じる
おそれがある。
【0048】また本発明の誘電体磁器においては、焼結
助剤成分として、被覆BT粉末、BCT粉末の合計10
0重量部に対して、それぞれ酸化物換算で、0.03乃
至0.5重量部、特に0.1乃至0.5重量部のMg
と、0.1乃至1.7重量部、特に0.1乃至1.5重
量部の希土類元素とを添加含有していることが好まし
い。これらは、前記の如く、焼結助剤に由来する元素成
分であり、少なくとも一部はBCT型結晶粒子のシェル
部及びBT型結晶粒子中に固溶している。これら元素成
分の量が上記範囲よりも少ないと、緻密な焼結体を得る
ことが困難となるばかりか、誘電体磁器の温度特性やD
Cバイアス特性も低下する傾向がある。また、これらの
元素成分の量が上記範囲よりも多いと、上記結晶粒子の
粒界への析出量が増大する結果、誘電体磁器の優れた特
性が全般的に低下する傾向がある。(他成分)さらに、
本発明の誘電体磁器は、上述した結晶粒子やMg、希土
類元素成分以外の他の成分、例えば助剤として上記した
ようにMnを含有していてもよく、例えば、Mnを、被
覆BT粉末、BCT粉末の合計100重量部に対して、
MnO換算で0.25重量部以下、特に0.03乃至
0.15重量部の割合で含有している。Mnは、還元雰
囲気における焼成によって生成するBT、BCT型結晶
中の酸素欠陥を補償し、絶縁的信頼性を向上させるため
に使用される。このようなMn成分を含有させることに
より、誘電体磁器の電気的絶縁性が増大し、また高温負
荷寿命を大きくし、コンデンサ等の電子部品としての信
頼性が高められる。尚、Mn含量が上記範囲よりも多量
となると、誘電体磁器の比誘電率及び絶縁性が低下する
おそれがある。このようなMnは、主としてBT型結晶
粒子やBCT型結晶粒子内部に拡散し固溶するが、粒界
に非晶質として存在することもある。
【0049】また耐還元性を向上するとともに、異常粒
成長を抑制するために少量のBaCO3を含有していて
もよい。
【0050】本発明の積層型電子部品は、誘電体層と内
部電極層とを交互に積層してなるものであり、誘電体層
が上記した誘電体磁器から構成されている。誘電体層厚
みは、高い絶縁性が要求されるという点から、本発明
は、誘電体層の厚みが4μm以下の場合に好適に用いら
れる。このような積層型電子部品は、例えば、先ず、誘
電体層となるグリーンシートを作製する。このグリーン
シートは、(Ba,Ca)TiO3粉末及びBaTiO3
粉末の混合物を用いて形成する。
【0051】主原料の(Ba,Ca)TiO3粉末及び
BaTiO3粉末の合成法は、固相法、液相法(シュウ
酸塩を経過する方法等)、水熱合成法等があるが、その
うち粒度分布が狭く、結晶性が高いという理由から水熱
合成法が望ましい。
【0052】そして、本発明の誘電体磁器を作製するに
は、BaTiO3粉末として、その表面を希土類元素、
Mg及びMnのそれぞれの酸化物の混合物で被覆したも
の(以下、被覆BaTiO3粉末ということもある)を
用いる。このようなBaTiO3粉末への被覆手法とし
ては、固相法、液相法、気相法などがあるが、手法は特
に限定されるものではない。上記のBaTiO3粉末の
表面に形成された被覆層は、希土類元素、Mg、Mnの
3種類の元素が混合されており、これらの元素が酸化物
の状態で混在した状態となっている。被覆層には少なく
とも希土類元素を含む必要がある。被覆層の厚みは0.
1μm以下とされている。
【0053】被覆層を有するBaTiO3粉末の平均粒
径は(Ba,Ca)TiO3粉末の平均粒径よりも小さ
く、(Ba,Ca)TiO3粉、被覆BaTiO3粉の平
均粒径はそれぞれ0.3〜0.8μm、0.2〜0.5
μmが好ましい。
【0054】また、希土類元素、Mg、Mnによる被覆
量は、BaTiO3粉末が100重量部に対して酸化イ
ットリウム(Y23)を0.5〜1.5重量部、酸化マ
グネシウム(MgO)を0.1〜0.3重量部、酸化マ
ンガン(MnO)を0.05〜0.3重量部の割合が望
ましい。
【0055】グリーンシートの組成は、(Ba、Ca)
TiO3粉末と、被覆BaTiO3粉末に対して、Li2
O、SiO2及びCaOを含む添加物成分(ガラス成
分)を、(Ba、Ca)TiO3粉末及び被覆BaTi
3粉末の混合粉末100重量部に対して0.5〜2重
量部添加して構成されている。さらに上記した焼結助剤
として所望のMg化合物、Mn化合物、希土類酸化物粉
末を添加することもできる。
【0056】次に、上記グリーンシートに内部電極ペー
ストを塗布して内部電極パターンを形成し、これを乾燥
させ、この内部電極パターンが形成されたグリーンシー
トを複数枚積層し、熱圧着させる。その後、この積層物
を格子状に切断して、電子部品本体の成形体を得る。こ
の電子部品本体の成形体の両端面には、内部電極パター
ンの端部が交互に露出している。
【0057】次に、この電子部品本体成形体を大気中で
5〜40℃/hの昇温速度で200〜400℃にて脱バ
インダ処理を行い、その後、還元雰囲気中で500℃か
らの昇温速度を100〜400℃/hとし、1100〜
1250℃の温度で2〜5時間焼成し、続いて100〜
400℃/hの降温速度で冷却し、窒素雰囲気中900
〜1100℃で再酸化処理を行う。
【0058】特に、500℃からの昇温速度を100〜
400℃/hとし、1180〜1240℃の温度で焼成
することにより、コアシェル構造を有するBCT型結晶
粒子と中央部までMg、Mnが固溶したBT型結晶粒子
の共存を実現し、アルカリ土類元素、希土類元素及びS
iを含有する複合酸化物をBT型結晶粒子表面に存在さ
せることができる。
【0059】即ち、コアシェル構造を有するBCT型結
晶粒子と、アルカリ土類元素、希土類元素及びSiから
なる被覆層を有し、中央部までMg、Mnが固溶したB
T型結晶粒子が共存している誘電体磁器は、(Ba,C
a)TiO3粉末よりも平均粒径の小さい、Y、Mg、
Mnの3種類の元素を同時に湿式法により化学的に被覆
したBaTiO3粉末と、(Ba,Ca)TiO3粉末に
対して、CaO、Li 2O及びSiO2とを含む添加物成
分を混合し、この誘電体磁器を還元雰囲気中で500℃
から焼結温度までの昇温速度を100〜400℃/hと
し、1100〜1250℃の温度で2〜5時間焼結し、
続いて100〜400℃/hの降温速度で冷却すること
によって生成させることができる。
【0060】これは、BaTiO3粉末の表面に希土類
元素、Mg及びMnを被覆するとともに、この被覆Ba
TiO3粉末の平均粒径を(Ba,Ca)TiO3粉末よ
りも小さくすることにより、これらの希土類元素、Mg
及びMnが特にBaTiO3粉末へ固溶し易くなり、特
にMg及びMnはBT型結晶粒子中心部まで固溶が進行
する。一方、被覆している希土類元素のうち一部はBa
TiO3粉末に固溶しきれず、BaTiO3表面に取り残
され、上記したような、500℃から焼結温度までの昇
温速度を100〜400℃/hとすることにより添加物
成分として添加したCaO、SiO2と反応し、アルカ
リ土類元素、希土類元素及びSiとの複合酸化物、例え
ばCa46O(SiO4)結晶相からなる被覆層がBT
型結晶粒子表面に生成すると考えている。
【0061】この後、焼成した電子部品本体の両端面
に、外部電極ペーストを塗布して窒素中で焼き付けるこ
とによって外部電極を形成する。さらに外部電極の表面
を脱脂、酸洗浄、純水を用いた水洗を行った後、バレル
方式により、メッキを行う。
【0062】このような積層セラミックコンデンサから
なる積層型電子部品では、高誘電率で、優れたDCバイ
アス特性を有する本発明の誘電体磁器により形成された
誘電体層を備えているため、印加直流電圧が2V/μm
以上であるような高電圧用に極めて有用であり、誘電体
層1層あたりの電界強度を高め、絶縁破壊電圧を向上さ
せることができ、高温負荷試験における信頼性をも向上
することができるため、高容量化・小型化をさらに推し
進めることができる。更に、平均粒径の小さい誘電体磁
器を用いることにより、誘電体層厚みを容易に薄層化す
ることができ、静電容量の向上、小型化が可能になると
共に、Ni、Cu等の卑金属を導体として用いることに
より、安価な積層セラミックコンデンサが得られる。
【0063】
【実施例】積層型電子部品の一つである積層セラミック
コンデンサを以下のようにして作製した。まず、誘電体
素材料として、BaTiO3粉末を用い、BaTiO3
00重量部に対して、MgOを0.2重量部、MnOを
0.1重量部と、表1に示すY23、Dy23、Ho2
3、Er23及びYb23を1.0重量部との混合物
を、Mg、Mn、希土類元素が混在した状態で存在する
ように0.04μm被覆し、この被覆BaTiO3粉末
と、BCT粉末を表1に示したような所定の比率になる
よう調製し、被覆BaTiO3粉末と(Ba,Ca)T
iO3粉末の合量100重量部に対して、Li2O、Si
2、BaO、CaOを含有する低融点ガラス粉末を
1.0重量部と、さらに表1に示す粉末添加物成分を、
表1に示す割合で添加し、直径5mmのZrO2ボール
を用いたボールミルにて湿式粉砕することにより調製し
た。尚、表1において、BCT粉末のAサイトのCa置
換量は、式:(Ba1-xCax)TiO3におけるxの値
で示した。
【0064】次に、この粉末に有機バインダを混合して
スラリーを調製し、ドクターブレードにより厚み5.5
μmのグリーンシートを作製した。
【0065】次にこのグリーンシート上に、Niを主成
分とする内部電極ペーストをスクリーン印刷した。
【0066】次に、内部電極ペーストを印刷したグリー
ンシートを100枚積層し、その上下面に、内部電極ペ
ーストを印刷していないグリーンシートをそれぞれ20
枚積層し、プレス機を用いて一体化し、積層成形体を得
た。
【0067】次に、積層成形体を10℃/hの昇温速度
で大気中で300℃/hにて脱バインダ処理を行い、5
00℃からの昇温速度が300℃/hの昇温速度で、1
230℃(酸素分圧10-11atm)で2時間焼成し、
続いて300℃/hの降温速度で1000℃まで冷却
し、窒素雰囲気中1000℃で4時間再酸化処理をし、
300℃/hの降温速度で冷却し、電子部品本体を作製
した。この誘電体層の厚みは3.9μmであった。
【0068】比較例として、試料No4〜6と同じ成形
体を用い、焼成温度を1300℃として焼成し(試料N
o.22〜24)電子部品本体を作製した。また、比較
例として、希土類元素等で被覆していないBT粉末を用
いた場合(試料No.25)、被覆BT粉末の平均粒径
がBCT粉末よりも大きい原料を用いた場合(試料N
o.26)について電子部品本体を作製した。
【0069】次に、焼成した電子部品本体をバレル研磨
した後、電子部品本体の両端部にCu粉末とガラスを含
んだ外部電極ペーストを塗布し、850℃、窒素中で焼
き付けを行い外部電極を形成した。その後、電解バレル
機を用いて、この外部電極の表面に、順にNiメッキ及
びSnメッキを行い、積層セラミックコンデンサを作製
した。
【0070】次に、これらの積層セラミックコンデンサ
の比誘電率の温度特性、DCバイアス特性及び高温負荷
寿命(MTTF)の測定を行った。比誘電率の温度特性
は周波数1.0kHz、測定電圧0.5Vrmsの測定
条件で、DCバイアス特性は20℃、0Vの場合に対し
て20℃で8Vの直流電圧をかけた場合の容量変化とし
て示した。
【0071】また、高温負荷試験は、温度125℃、電
圧64Vの条件で、試料数100個につき絶縁破壊時間
を測定し、その平均値(MTTF)を算出した。また、
比誘電率は、静電容量と内部電極層の有効面積、誘電体
層の厚みから算出した。誘電体層を構成するBT型結晶
粒子(被覆層まで含む)とBCT型結晶粒子の平均粒径
を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めた。その結果
を表2に記載する。
【0072】尚、誘電体層中の被覆層の評価は透過電子
顕微鏡観察と微小領域電子線回折法により行い、被覆B
T粉末を用いた場合には、BT型結晶粒子に結晶質のC
4(Re)6O(SiO4)結晶相(Reは希土類元
素)からなる複合酸化物被覆層が形成されていること、
BT型結晶粒子にMg、Mnが全体にわたって存在して
いること、粒界にアルカリ土類元素とSiを含有するガ
ラス相が形成されていることを確認した。また、BCT
型結晶粒子がコアシェル構造か否かを透過電子顕微鏡
(TEM)で確認した。BCT型結晶粒子がコアシェル
構造の場合、Mg、Mn、希土類元素はシェル部に存在
していた。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】表1、2から、本発明の誘電体磁器を誘電
体層とするセラミックコンデンサは、誘電体層の比誘電
率2000以上を示し、比誘電率の温度特性が±10%
以内で、かつ2V/μmのDCバイアス印加による比誘
電率の変化率が20%以内のDCバイアス特性を有し、
高温負荷寿命も優れた特性を示した。
【0076】一方、1300℃で焼成した試料No.2
2〜24では、BCT型結晶粒子中に固溶が進行してコ
アシェル構造が形成されず粒成長が進み、比誘電率の温
度特性が悪化するとともにDCバイアスによる容量変化
が−35%前後と大きくなった。
【0077】また、希土類元素等で被覆していないBT
粉末を用いた場合(試料No.25)では、BT型結晶
粒子表面に被覆層が形成されず、高温負荷寿命が劣るも
のであった。さらに、被覆BT粉末の平均粒径がBCT
粉末よりも大きい場合(試料No.26)には、BT型
結晶粒子の中心に強誘電性の高いコアが残留し、DCバイ
アスによる容量変化が−30%をこえるものであった。
【0078】
【発明の効果】本発明の誘電体磁器では、サブミクロン
オーダーの平均粒径で、コアシェル構造を有するBCT
型結晶粒子と、BT型結晶粒子が共存し、BT型結晶粒
子の平均粒径がBCT型結晶粒子の平均粒径よりも小さ
く、少なくともBT型結晶粒子はその中心部までMg、
Mnが固溶しており、BT型結晶粒子表面に、アルカリ
土類元素、希土類元素及びSiを含有する複合酸化物か
らなる被覆層が形成されており、この結果、高誘電率を
有し、しかも、誘電特性の温度依存性やDCバイアス依
存性も極めて小さく、絶縁抵抗、及び誘電体磁器の絶縁
破壊電圧を高め、それにより高電圧が印加されても静電
容量の低下率が小さい小型・高容量・高信頼性の積層型
セラミックコンデンサ等の積層型電子部品を実現するこ
とができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G031 AA01 AA03 AA04 AA06 AA08 AA11 AA19 AA30 BA09 CA01 CA04 CA05 CA08 GA01 GA03 GA10 GA11 GA17 5E001 AB03 AE00 AE02 AE03 AE04 AH05 AH09 AJ01 AJ02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Aサイトの一部がCaで置換されたペロブ
    スカイト型チタン酸バリウム結晶粒子(BCT型結晶粒
    子)と、置換Caを含有していないペロブスカイト型チ
    タン酸バリウム結晶粒子(BT型結晶粒子)とを有する
    誘電体磁器であって、前記BT型結晶粒子の平均粒径が
    前記BCT型結晶粒子の平均粒径よりも小さく、前記B
    T型結晶粒子の全域にわたってMg及びMnが存在する
    とともに、前記BT型結晶粒子表面に、アルカリ土類元
    素、希土類元素及びSiを含有する複合酸化物からなる
    被覆層を有し、かつ、前記BCT型結晶粒子がコアシェ
    ル構造を有することを特徴とする誘電体磁器。
  2. 【請求項2】BCT型結晶粒子のシェル部にMg、M
    n、希土類元素が存在することを特徴とする請求項1記
    載の誘電体磁器。
  3. 【請求項3】結晶粒界にアルカリ土類元素及びSiを含
    有するガラス相が形成されていることを特徴とする請求
    項1又は2記載の誘電体磁器。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のうちいずれかに記載の誘
    電体磁器からなる誘電体層と内部電極層とを交互に積層
    してなることを特徴とする積層型電子部品。
  5. 【請求項5】(Ba,Ca)TiO3粉末と、該(B
    a,Ca)TiO3粉末よりも平均粒径が小さく、表面
    が希土類元素、Mg及びMnの混合物で被覆された被覆
    BaTiO3粉末と、少なくともアルカリ土類元素及び
    Siを含む添加物粉末を混合し、スラリーを調製する工
    程と、該スラリーを用いて作製された誘電体シートと内
    部電極パターンとが交互に積層された積層成形体を作製
    する工程と、該積層成形体を1100〜1250℃で焼
    成する工程とを具備することを特徴とする積層型電子部
    品の製法。
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