JP2003062873A - 樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

樹脂成形品及びその製造方法

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JP2003062873A
JP2003062873A JP2001257989A JP2001257989A JP2003062873A JP 2003062873 A JP2003062873 A JP 2003062873A JP 2001257989 A JP2001257989 A JP 2001257989A JP 2001257989 A JP2001257989 A JP 2001257989A JP 2003062873 A JP2003062873 A JP 2003062873A
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resin
molded product
coated
coating
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JP2001257989A
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English (en)
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Sukeyuki Matsuda
祐之 松田
Kazuhisa Fuji
和久 藤
Masao Hara
正雄 原
Kenichi Yamamoto
研一 山本
Yuki Koda
由紀 國府田
Toshitaka Takahashi
敏貴 高橋
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂成形品の被塗装部表面に塗装を施すに際
して、塗料の付着性向上と外観性確保の両立を図る。 【解決手段】 複数成分系から成り、塗装が施されるべ
き被塗装部(外板部)4aを有してなる樹脂成形品(フ
ロントフェンダパネル)4であって、該樹脂成形品の上
記被塗装部の表面には、上記複数成分のうちで上記塗装
に用いられる塗料との付着性が最も高い成分が、偏平状
に存在していることを特徴とし、また、上記被塗装部表
面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.3〜0.7μ
m、十点平均粗さで2.4〜6.8μmに設定されてい
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、成形後に塗装が
施されるべき被塗装部を有してなる樹脂成形品およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば自動車等の車両では、車体
をより軽量化して一層の燃費性能の向上を図るために、
車体外板の一部に樹脂成形品を用いることが考えられて
いる。この場合、車両組立後に車体の塗装を行う際に
は、車体外板の一部を成す樹脂成形品の表面にも、鋼板
製の他の部分と同じ塗料が同一の塗装工程で塗布される
ことになる。
【0003】しかしながら、周知のように、樹脂成形品
の表面は一般に鋼板表面に比して塗料の付着性が悪いの
で、上記のように車体の塗装を行った場合、樹脂製の外
板部分については、他の鋼板部分に比して塗膜の密着強
度が低く、良好な塗装結果が得られないという問題があ
った。
【0004】このような樹脂成形品の塗装性能に関し
て、例えば特開平9−85797号公報には、ゴム等の
押出成形品について、その表面にV字状又はU字状の所
定深さ及び開口幅の筋状溝を形成しておき、成形品表面
に塗装を施した際には、塗料が上記筋状溝に食い込むこ
とにより、塗膜の密着性を高めるようにすることが開示
されている。
【0005】このように、樹脂成形品の塗装特性の向上
を図る場合、塗装が施されるべき被塗装部の表面に上述
のような筋状溝を設けておくなど、表面状態を平滑では
なく荒れた状態(表面粗さが粗い状態)にしておくこと
により、塗装を施した際には、塗料が粗い表面に食い込
んで所謂アンカ効果が得られ、塗料の付着性を高め塗膜
密着強度の向上を図ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに樹脂成形品の被塗装部の表面を粗く(粗面化)して
塗膜の付着性を高める場合、被塗装部の表面粗さは、塗
膜付着性向上の観点からは一般に粗い方が良いのである
が、過度に粗くした場合には成形品の外観性が低下し見
映えが悪くなるという問題がある。特に、樹脂成形品の
表面全体ではなくその一部のみが塗装される場合には、
被塗装部以外の部分は樹脂成形品の地肌がそのまま残る
ことになるので、この見映え悪化の問題はより重要なも
のとなる。
【0007】このように、樹脂成形品の被塗装部表面に
塗装を施す場合、該樹脂成形品の表面状態を調製して塗
装時の塗膜付着性の向上を図るにしても、外観性の低下
を招く惧れがあり、塗膜付着性の向上と外観性の確保と
を両立して達成することは、実際上なかなかに難しいと
いう問題があった。
【0008】この発明は、樹脂成形品の被塗装部表面に
塗装を施す際における上記の技術的課題に鑑みてなされ
たもので、塗膜付着性の向上と外観性確保の両立を図る
ことができる樹脂成形品及びその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の
目的を達成するために研究開発を重ねる中で、樹脂成形
品が複数成分系で成る場合、この複数の成分のうちで適
用される塗料との付着性が最も良好な成分が、被塗装部
の表面において偏平に引き延ばされたような状態で存在
するように成形することにより、被塗装部表面の塗料と
の付着性が高まり、塗膜の密着性が向上することを見出
した。これは、塗料との付着性が最も良好な成分が被塗
装部の表面において偏平に引き延ばされた状態で存在す
る場合、通常の略円状に近い塊状で存在する場合に比し
て、被塗装部表面において塗料との付着性が良好な部分
の面積が広くなるので、この被塗装部表面の塗膜付着性
がそれだけ高められることによるものと考えられる。す
なわち、塗膜付着性の向上に寄与する成分の偏平化によ
る面積拡大に伴って、樹脂成形品の被塗装部表面と塗料
との化学的結合力が向上することによるものと考えられ
る。
【0010】また、樹脂成形品の被塗装部の表面粗さを
中心線平均粗さ及び十点平均粗さで計測し、これらの粗
さが適切な範囲にある場合には、所謂アンカ効果による
塗膜付着性の向上と外観性の確保とを両立して達成でき
ることを見出した。
【0011】また、特に、樹脂成形品中にエラストマー
成分が含有されている場合には、マトリックス樹脂が塗
料との付着性が低い場合でも、被塗装部の表面全体とし
ては比較的良好な塗膜付着性が得られることが分かっ
た。これは、エラストマーの場合、塗料中の溶剤(シン
ナ等)成分によって膨潤し、塗料との高い付着性を示現
し得ることによるものと考えられる。尚、ポリスチレン
(PS)には、エラストマー内に入ってその働きを助成
する作用があり、エラストマーを含有した樹脂材料にポ
リスチレン(PS)が添加されている場合には、より高
い塗料との付着性が得られることも分かった。
【0012】そこで、本願請求項1の発明(以下、第1
の発明という)に係る樹脂成形品は、複数成分系から成
り、塗装が施されるべき被塗装部を有してなる樹脂成形
品を前提とし、該樹脂成形品の上記被塗装部の表面に
は、上記複数成分のうちで上記塗装に用いられる塗料と
の付着性が最も高い成分が、偏平状に存在していること
を特徴としたものである。
【0013】また、本願の請求項2の発明(以下、第2
の発明という)に係る樹脂成形品は、塗装が施されるべ
き被塗装部を有してなる樹脂成形品であって、上記被塗
装部表面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.3〜0.
7μm、十点平均粗さで2.4〜6.8μmに設定され
ていることを特徴としたものである。
【0014】ここに、表面粗さの下限値を、中心線平均
粗さで0.3μm、十点平均粗さで2.4μmとしたの
は、表面粗さがこれらの値を下回ると、塗料付着性向上
の効果が得られ難いからである。また、表面粗さの上限
値を、中心線平均粗さで0.7μm、十点平均粗さで
6.8μmとしたのは、表面粗さがこれらの値を越える
と、樹脂成形品の外観性が損なわれる惧れがあるからで
ある。
【0015】更に、本願の請求項3に係る発明(以下、
第3の発明という)は、上記第2の発明において、上記
樹脂成形品は複数成分系から成ることを特徴としたもの
である。
【0016】また、更に、本願の請求項4に係る発明
(以下、第4の発明という)は、上記第1〜第3の発明の
いずれか一において、上記樹脂成形品はエラストマー成
分を含有していることを特徴としたものである。
【0017】また、更に、本願の請求項5に係る発明
(以下、第5の発明という)は、上記第1又は第3の発明
において、上記樹脂成形品は、具体的には、次の(1)
〜(3)のアロイ樹脂の何れか一を材料として成形され
たものであることを特徴としたものである。 (1)ポリアミド(PA)とポリフェニレン・エーテル
(PPE)のアロイ樹脂、(2)ポリカーボネート(P
C)とポリブチレン・テレフタレート(PBТ)のアロ
イ樹脂、(3)ポリカーボネート(PC)とアクリルニ
トリル・ブチレン・スチレン(ABS)のアロイ樹脂。
【0018】ここに、(1)のアロイ樹脂において、一
般にPPE樹脂はPA樹脂よりも塗料付着性が良好であ
り、また、(2)及び(3)のアロイ樹脂において、P
C樹脂は塗料中の溶剤(シンナ等)成分によってその表
面が荒されて表面粗さが粗くなる傾向があるので、他方
の成分樹脂(PBТ樹脂又はABS樹脂)よりも塗料付
着性が高くなる。
【0019】また、更に、本願の請求項6に係る発明
(以下、第6の発明という)は、上記第4の発明におい
て、上記樹脂成形品は、具体的には、ポリプロピレン
(PP)樹脂を主成分とし、エラストマー成分として、
エチレン・プロピレン・ラバー(EPR)又はスチレン
・エチレン・プロピレン・スチレン(SEPS)を含有
していることを特徴としたものである。
【0020】尚、ここに、上記PP樹脂は、汎用的な樹
脂の中では塗料付着性がかなり低い樹脂材料であり、か
かるPP樹脂に上記エラストマー成分を含有させたもの
である。また、これらエラストマーも比較的汎用性の高
いものである。
【0021】また、更に、本願の請求項7に係る発明
(以下、第7の発明という)は、上記第4又は第6の発明
において、上記エラストマーを含有した樹脂材料にポリ
スチレン(PS)が添加されていることを特徴としたも
のである。
【0022】また、本願の請求項8の発明(以下、第8
の発明という)に係る樹脂成形品の製造方法は、複数成
分系から成り、塗装が施されるべき被塗装部を有してな
る樹脂成形品の製造方法であって、該樹脂成形品の成形
型の上記被塗装部に対応する部位の型面の少なくとも一
部を所定の表面粗さに設定しておき、上記成形型内に複
数成分系から成る所定の材料樹脂を射出充填することに
より、上記被塗装部の表面の少なくとも一部に、上記複
数成分のうちで上記塗装に用いられる塗料との付着性が
最も高い成分が偏平状に存在するように射出成形するこ
とを特徴としたものである。
【0023】更に、本願の請求項9の発明(以下、第9
の発明という)に係る樹脂成形品の製造方法は、塗装が
施されるべき被塗装部を有してなる樹脂成形品の製造方
法であって、該樹脂成形品の成形型の上記被塗装部に対
応する部位の型面の少なくとも一部を所定の表面粗さに
設定しておき、上記成形型内に所定の材料樹脂を射出充
填することにより、上記被塗装部表面の少なくとも一部
の表面粗さを、中心線平均粗さで0.3〜0.7μm、
十点平均粗さで2.4〜6.8μmに設定することを特
徴としたものである。
【0024】また、更に、本願の請求項10に係る発明
(以下、第10の発明という)は、上記第8又は第9の発
明において、上記成形型内に材料樹脂を射出する際のゲ
ート部から比較的離間した部位の上記被塗装部に対応す
る型面が、上記所定の表面粗さに設定されることを特徴
としたものである。
【0025】また、更に、本願の請求項11に係る発明
(以下、第11の発明という)は、上記第10の発明にお
いて、上記ゲート部から射出された材料樹脂どうしがぶ
つかり合うウエルド部の型面が、上記所定の表面粗さに
設定されることを特徴としたものである。
【0026】また、更に、本願の請求項12に係る発明
(以下、第12の発明という)は、上記第8〜第11の発
明のいずれか一において、上記型面の上記所定の表面粗
さへの設定は、ブラスト処理によって行われることを特
徴としたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、例
えば、自動車の車体の外板の一部を成すパネル部材に適
用した場合について、添付図面を参照しながら詳細に説
明する。図1は本実施の形態に係る自動車1の全体斜視
図であるが、該自動車1では、車体2の外板部分の一部
を構成する左右のフロントフェンダ部3が樹脂成形品で
形成されている。尚、この車体2の外板部分を構成する
他の主要なパネル材は、その殆どのものが鋼板製であ
る。上記フロントフェンダ部3は、例えば車室内から見
て左側のものについて説明すれば、図2に示されるよう
なフロントフェンダパネル4で構成されている。
【0028】このフロントフェンダパネル4は、図3か
ら良く分かるように、車体2の外板部分の一部(フロン
ト側部)を成す外板部4aと、該外板部4aの内方に位
置して車体2に取り付けられる取付部4bと、該取付部
4bと上記外板部4aの間に位置する縦壁状の内板部4
cとを供えている。上記取付部4bは、エンジンルーム
内の左右側部において車体前後方向に延設されたフレー
ム体5(エプロン・レインフォースメント)の上面に、
ネジ部材6を用いて取り付けられる。そして、この取付
状態で、上記内板部4cはエンジンルーム内の左右の側
端部に位置し、また、上記外板部4aは車体2の外板部
分の一部を構成することになる。
【0029】上記のようにしてフロントフェンダパネル
4を取り付け、また、種々の部材を組み付けて車体2の
組立を完了した後、車体塗装ラインにて車体2の外板部
分の全体に対して塗装が施される。従って、このとき、
上記フロントフェンダパネル4についても、少なくとも
その外板部4aの表面側が、他の鋼板製の外板部分と同
一の塗料を用いて同時に塗装される。
【0030】本実施の形態では、上述のように、フロン
トフェンダパネル4は樹脂成形品とされているが、周知
のように、樹脂成形品の表面は一般に鋼板表面に比して
塗料との付着性が悪いので、上記のように車体2の塗装
を行った場合、樹脂製の外板部分4aについては、他の
鋼板部分に比して塗膜の密着強度が低く、良好な塗装結
果を得ることは一般に難しい。また、該樹脂成形品(フ
ロントフェンダパネル4)の表面状態を粗く調製して塗
装時の塗膜付着性の向上を図るにしても、過度に表面を
粗くすると外観性の低下を招く惧れがある。特に、フロ
ントフェンダパネル4の外板部4a以外の部分は、樹脂
成形品としての地肌がそのまま残ることになるので、見
映えの悪化がより顕著に表れることになる。
【0031】そこで、本実施の形態では、樹脂成形品
(フロントフェンダパネル4)の被塗装部(外板部4
a)の表面に塗装を施すに際して、塗料との付着性向上
と外観性確保の両立を図るべく、樹脂成形品の材料樹脂
や成形方法等について種々検討を行った。まず、樹脂成
形品を成形する際に用いる成形金型について、樹脂成形
品の被塗装部に対応する部位の型面を所定の表面粗さに
設定しておき、この金型内に所定の材料樹脂を射出充填
して得られる成形品の被塗装部表面の表面粗さと、この
被塗装部表面に所定の塗料を塗布して得られる塗膜の密
着強度(塗膜付着性)を調べる試験を行った。
【0032】樹脂成形品の供試材を成形するための金型
を複数用意し、各金型の成形面の表面状態を種々異なら
せて、射出成形法にて供試材の成形を行った。金型の成
形面の表面状態としては、表1に示すように、ブラスト
処理を施して表面状態を粗くしたもの(ブラスト処理A
〜F)と、かかるブラスト処理を行わない鏡面状態のも
のを用意した。また、各ブラスト処理は、該処理に用い
るショット球の粒度を異ならせ、ブラスト処理Aからブ
ラスト処理Fの順に、次第にショット球の粒度を大きく
し、得られる表面状態が次第に粗くなるように設定し
た。
【0033】
【表1】
【0034】上記のようなブラスト処理を施した金型の
成形面と、ブラスト処理を行わなかった成形面につい
て、その表面状態を走査型電子顕微鏡にて観察した。図
4及び図5は、ブラスト処理をした金型成形面およびブ
ラスト処理なしの金型成形面の表面状態の一例をそれぞ
れ示す倍率約1000倍の電子顕微鏡写真である。
【0035】また、供試材を射出成形する際の材料樹脂
としては、複数成分系から成る樹脂材料、例えば、ポリ
アミド(PA)とポリフェニレン・エーテル(PPE)
のアロイ樹脂で、エラストマー成分としてスチレン・エ
チレン・ブチレン・スチレン(SEBS)を含有したも
のを用いた。これら樹脂およびエラストマー成分の配合
比は、質量比で、PA樹脂=約50%,PPE樹脂=約
30〜40%,SEBS=約15〜20%とした。
【0036】そして、各金型を用いて射出成形して得ら
れた各供試材について、その表面粗さを各々測定した。
この表面粗さの測定方法としては、JIS規格 B 06
01に規定された十点平均粗さ(Rz)と、同規格に規
定された算術平均粗さ(Ra)と実質的に同じ粗さ情報
を示す中心線平均粗さの両方でそれぞれ測定した。ま
た、これらの表面粗さ測定におけるカットオフ値は、
0.8mmとした。
【0037】尚、上記「中心線平均粗さ」とは、粗さ曲
線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取
り、この抜き取り部分における中心線と粗さ曲線との偏
差の絶対値を算術平均した値で、上記JIS規格の改定
(1994年)に伴って上記「算術平均粗さ」が導入さ
れる以前は、これに相当する表面粗さを示す粗さ表示と
して使用されていたものであり、中心線の方向にx軸
を、縦倍率の方向にy軸を取り、粗さ曲線をf(x)で
表わすと、次の計算式で示される。 本明細書においては、この「中心線平均粗さ」を符号R
aで表示するものとする。
【0038】また、この表面粗さの測定を行いながら、
樹脂成形品の供試材について、その表面の外観性を調べ
る外観性評価試験を実施した。試験結果は、上記表1に
示す通りであり、ブラスト処理のショット球粒度が最も
大きく粗面化の程度が最も大きいブラスト処理Fのもの
については、外観性の低下が著しく不合格(NG)であ
ったが、その他のものについては、外観性は許容限度内
にあった(ОK)。
【0039】上記の表面粗さ測定および外観性評価試験
を行った後、樹脂成形品の各供試材の表面に、以下の塗
料を順次用いて塗装を行った。 ・中塗り塗料:ポリエステルメラミン系塗料 ・上塗りベースコート塗料:アクリルメラミン系塗料 ・上塗りクリア塗料:アクリルメラミン系塗料 また、塗装膜厚は以下の通りとした。 ・中塗り塗料:30μm ・上塗りベースコート塗料:18μm ・上塗りクリア塗料:35μm
【0040】そして、各供試材毎に、塗膜の付着性を調
べる評価試験を行った。この試験は、JIS K 540
0に規定された碁盤目テープ法およびXカットテープ法
により評価し、同規定における8点以上を合格(О
K)、6点以下を不合格(NG)とした。試験結果は、
前述の表1に示す通りであり、金型成形面が鏡面状態の
ものについては不合格であったが、他のもの(ブラスト
処理を行ったもの)については全て合格であった。
【0041】以上より(表1参照)、塗膜付着性と外観
性の両方について、良好な結果(ОK)を得るために
は、樹脂成形品の被塗装部表面の表面粗さが、中心線平
均粗さで少なくとも0.2μmを越え(好ましくは、
0.3μm以上)、また、十点平均粗さで少なくとも
1.6μmを越え(好ましくは、2.4μm以上)、し
かも、中心線平均粗さで0.83μm未満(好ましく
は、0.7μm以下)、また、十点平均粗さで7.7μ
m未満(好ましくは、6.8μm以下)となるように、
上記樹脂成形品の被塗装部に対応する金型成形面の表面
状態を調製しておき、このように設定された金型を用い
て射出成形を行えば良いことが分かった。
【0042】従って、例えば量産時などにおいて、塗膜
付着性と外観性の両方について良好な結果(ОK)を確
実に得るためには、樹脂成形品の被塗装部の表面粗さ
が、中心線平均粗さで0.3〜0.7μm、十点平均粗
さで2.4〜6.8μmとなるように設定して、成形を
行えば良い。ここに、表面粗さの下限値を、中心線平均
粗さで0.3μm、十点平均粗さで2.4μmとしたの
は、表面粗さがこれらの値を下回ると、塗料付着性向上
の効果が得られ難いからである。また、表面粗さの上限
値を、中心線平均粗さで0.7μm、十点平均粗さで
6.8μmとしたのは、表面粗さがこれらの値を越える
と、樹脂成形品の外観性が損なわれる惧れがあるからで
ある。
【0043】次に、金型の表面が鏡面状態で塗膜付着性
が不合格(NG)であった供試材と、金型表面がブラス
ト処理され塗膜付着性が合格(OK)であった供試材に
ついて、その塗膜を剥離除去して樹脂成形品の表面状態
を調べた。また、併せて各供試材のコア部分(内部)の
組織状態を調べた。図6及び図7は、金型表面がブラス
ト処理された場合および鏡面状態(ブラスト処理なし)
の場合における樹脂成形品の表面状態をそれぞれ示す倍
率約10000倍の電子顕微鏡写真である。これらの図
において、白色を呈するマトリックス部分はポリアミド
(PA)樹脂成分であり、灰色を呈する部分はポリフェ
ニレン・エーテル(PPE)樹脂成分である。また、黒
色を呈する部分は、エラストマー成分であるスチレン・
エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)である。
【0044】これらの図から良く分かるように、金型表
面にブラスト処理を行わず鏡面状態のものの場合には、
エラストマー成分を含め全ての成分がほぼ塊状のままで
あるが、これに対して、金型表面にブラスト処理を施し
たものについては、特に、エラストマー成分であるSE
BSの大部分が、金型内への材料樹脂の射出時における
樹脂流れ方向(図に付した矢印方向)に長く引き延ばさ
れたような状態で、偏平状になって存在している。これ
は、上記エラストマー成分が、適度に粗くされた金型表
面の微視的な凸状部分に引っ掛かり易く、このように引
っ掛かりながら射出方向に所定の剪断速度で流動するこ
とにより、同方向に沿って引き延ばされるためであると
推測される。
【0045】また、上記複数成分(3成分)のうちで、
エラストマー成分であるSEBSが、塗料との付着性が
最も高いことも分かった。これは、エラストマーの場
合、塗料中の溶剤(シンナ等)成分によって膨潤し、塗
料との高い付着性を示現するようになるためであると推
測される。従って、樹脂成形品中にエラストマー成分が
含有されている場合には、仮にマトリックス樹脂自体が
塗料との付着性が低い場合でも、樹脂成形品の被塗装部
の表面全体としては、比較的良好な塗膜付着性が得られ
ることになる。
【0046】このように、樹脂成形品が複数成分系で成
る場合、塗料との付着性が最も良好な成分が被塗装部の
表面において偏平に引き延ばされた状態で存在すること
により、通常の塊状で存在する場合に比して、塗膜付着
性が高まることが分かった。これは、被塗装部表面にお
いて塗膜付着性が良好な部分が引き延ばされてその面積
が広くなるので、被塗装部表面の塗膜付着性はそれだけ
高められるものと考えられる。すなわち、塗膜付着性の
向上に寄与する成分が偏平化によって面積が拡大し、こ
れにより、樹脂成形品の被塗装部表面と塗料との化学的
結合が向上することになるものと推測できる。
【0047】上述のように、樹脂成形品がエラストマー
成分を含有している場合には、該成分が塗料との付着性
が高いので、樹脂成形品の被塗装部の表面全体として良
好な塗膜付着性が得られるのであるが、このように材料
樹脂にエラストマー成分が含まれている場合には、ポリ
スチレン(PS)が更に含有されていることにより、成
形品表面の塗膜付着性が更に向上することが分かった。
これは、PSにはエラストマー内に入ってその働きを助
ける作用があり、エラストマー成分を含有した樹脂材料
にPS成分を添加することにより、樹脂成形品の表面に
より高い塗膜付着性を付与することができることによる
ものと考えられる。
【0048】上記実施の形態では、複数成分系からなる
樹脂成形品を射出成形するに際して、ポリアミド(P
A)樹脂とポリフェニレン・エーテル(PPE)樹脂の
アロイ樹脂に、エラストマー成分としてスチレン・エチ
レン・ブチレン・スチレン(SEBS)が含有されたも
のを材料樹脂に用いたが、エラストマー成分を含有して
いないPA樹脂とPPE樹脂のアロイ樹脂を用いても良
い。この場合には、塗料との付着性が比較的良好なPP
E成分を含有することにより、塗膜付着性の向上に寄与
する成分の偏平化に伴う面積拡大による被塗装部表面と
塗料との化学的結合力の向上効果や、表面の粗面化によ
るアンカ効果を有効に得ることができる。
【0049】また、成形に用いる材料樹脂としては、以
下のようなアロイ樹脂を用いることができる。 ・ポリカーボネート(PC)とポリブチレン・テレフタ
レート(PBT)のアロイ樹脂 ・ポリカーボネート(PC)とアクリルニトリル・ブチ
レン・スチレン(ABS)のアロイ樹脂
【0050】これらの場合、PC樹脂は塗料中の溶剤成
分によって表面が荒らされる傾向があり、かかるPC樹
脂を含有することにより、塗膜付着性の向上に寄与する
成分の偏平化に伴う面積拡大による被塗装部表面と塗料
との化学的結合力の向上効果や、表面の粗面化によるア
ンカ効果を有効に得ることができる。更に、これらアロ
イ樹脂に、エラストマー成分を含有させることにより、
上記効果をより一層高めることが可能である。
【0051】以上の他、汎用的な樹脂材料ではあるが塗
膜付着性がかなり低い樹脂であるポリプロピレン(P
P)樹脂を主成分として射出成形を行う場合にも、エラ
ストマー成分を含有させることにより、上記の効果を得
ることが可能である。かかるエラストマーとしては、例
えば、比較的汎用性の高いエチレン・プロピレン・ラバ
ー(EPR)やスチレン・エチレン・プロピレン・スチ
レン(SEPS)等を用いることができる。
【0052】また、以上のような樹脂成形品の表面に塗
装を施す場合の塗料としては、前述のメラミン系塗料に
限らず、これよりも樹脂成形品への付着性が良好な、ウ
レタン系や塩化ビニル系の塗料を用いることが、より好
ましい。
【0053】尚、前述のような金型成形面の表面状態の
調製(表面粗さの設定)を行う場合、求められる品質仕
様や各種の条件によっては、必ずしも被塗装面に対応す
る成形面領域の全てについて表面状態の調製を行う必要
はなく、金型内に材料樹脂を射出する際のゲート部から
比較的離間した部位において被塗装部に対応する成形面
領域についてのみ、上記のような所定の表面状態の調製
を行うようにしても良い。この場合には、金型内に材料
樹脂を射出する際のゲート部から比較的離間しており、
射出材料のせん断速度が比較的低くなるので塗料付着性
の向上に寄与する樹脂成分の偏平化が生じ難い部位の被
塗装部について、その表面を所定の表面粗さに設定する
ことができ、粗面化に伴うアンカ効果により、塗料付着
性を向上させることができる。
【0054】また、このようにゲート部から比較的離間
した部位において被塗装部に対応する成形面領域につい
てのみ、成形面の表面状態の調製を行う場合、特に、上
記ゲート部から射出された材料樹脂どうしがぶつかり合
うウエルド部に対応する領域の成形面についてのみ、そ
の表面状態の調製を行うようにしても良い。この場合に
は、上記ゲート部から射出された材料樹脂どうしがぶつ
かり合う部分であって射出材料のせん断速度が最も低く
なるウエルド部について、その表面を所定の表面粗さに
設定することができ、粗面化に伴うアンカ効果により、
塗膜付着性を向上させることができる。
【0055】更に、上記のような金型成形面の表面状態
の調製を行う場合、上記ゲート部から離間するに連れ
て、或いは、上記ウエルド部に対応する部位に近付くに
連れて、漸変的に表面粗さが粗くなるように、金型成形
面の表面状態の調製を行うようにしても良い。この場合
には、射出成形時、射出材料のせん断速度の低下に応じ
て、効率良く、粗面化に伴うアンカ効果による塗料付着
性の向上を実現することが可能になる。
【0056】尚、以上のような金型成形面の表面状態の
調製(表面粗さの設定)を行う際には、ブラスト処理に
よって行うことが好ましい。この場合、ブラスト処理の
ショット粒度を適切に選ぶことにより、比較的簡単な方
法で且つ確実に型面の表面粗さを所定範囲に設定するこ
とができる。
【0057】上記の実施の形態は、車体組立後に外板部
が塗装される自動車の樹脂製フロントフェンダパネルに
ついてのものであったが、本発明は、かかる場合に限ら
ず、表面に被塗装部を有する他の種々の樹脂成形品に対
して有効に適用することができるものである。このよう
に、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あ
るいは設計上の変更が可能であることは言うまでもな
い。
【0058】
【発明の効果】本願第1の発明に係る樹脂成形品によれ
ば、複数成分のうちで塗料との付着性が最も高い成分
が、被塗装部の表面に偏平状に存在しているので、塗料
付着性の向上に寄与する樹脂成分の偏平化による面積拡
大により、樹脂成形品の被塗装部表面と塗料との化学的
結合力を向上させ、塗料付着性を高めることができる。
【0059】また、本願の第2の発明に係る樹脂成形品
によれば、被塗装部表面の表面粗さが、中心線平均粗さ
で0.3〜0.7μm、十点平均粗さで2.4〜6.8
μmに設定されていることにより、所謂アンカ効果によ
る塗膜付着性の向上と外観性の確保とを両立して達成す
ることができる。
【0060】更に、本願の第3の発明によれば、特に、
複数成分系から成る樹脂成形品について、上記第2の発
明と同様の効果を奏することができる。
【0061】また、更に、本願の第4の発明によれば、
基本的には、上記第1〜第3の発明のいずれか一と同様
の効果を奏することができる。特に、上記樹脂成形品は
エラストマー成分を含有しているので、仮にマトリック
ス樹脂が塗料との付着性が低い場合でも、被塗装部の表
面全体としては比較的良好な塗膜付着性を得ることがで
きる。
【0062】また、更に、本願の第5の発明によれば、
特に、上記樹脂成形品が、具体的には、(1)PAとP
PEのアロイ樹脂、(2)PCとPBТのアロイ樹脂、
(3)PCとABSのアロイ樹脂、の何れか一のアロイ
樹脂を材料として成形されたものについて、基本的に
は、上記第1又は第3の発明と同様の効果を奏すること
ができる。この場合、(1)のアロイ樹脂において、比
較的塗料付着性が良好なPPE成分が存在することによ
り、また、(2)及び(3)のアロイ樹脂において、塗
料中の溶剤成分によってその表面が荒されて他方の成分
樹脂(PBТ樹脂又はABS樹脂)よりも塗料付着性が
高くなるPC成分が存在することにより、塗膜付着性の
向上に寄与する成分の偏平化に伴う面積拡大による被塗
装部表面と塗料との化学的結合力の向上効果や、表面粗
さが粗く設定されることによるアンカ効果を有効に得る
ことができる。
【0063】また、更に、本願の第6の発明によれば、
基本的には、上記第4の発明と同様の効果を奏すること
ができる。特に、上記樹脂成形品は、具体的には、汎用
的な樹脂の中では塗料との付着性がかなり低い樹脂材料
であるPP樹脂を主成分とし、エラストマー成分として
比較的汎用性の高いEPR又はSEPSを含有させたこ
とにより、汎用性の高いPP樹脂を主成分とする樹脂成
形品について、比較的簡単な構成で被塗装部の塗料との
付着性の向上を図ることができる。
【0064】また、更に、本願の第7の発明によれば、
基本的には、上記第4又は第6の発明と同様の効果を奏
することができる。特に、エラストマーを含有した樹脂
材料にポリスチレン(PS)が添加されていることによ
り、樹脂成形品の被塗装部表面により高い塗料との付着
性を付与することが可能になる。
【0065】また、本願の第8の発明に係る樹脂成形品
の製造方法によれば、複数成分のうちで塗料との付着性
が最も高い成分が、被塗装部の表面に偏平状に存在する
ので、塗料付着性の向上に寄与する樹脂成分の偏平化に
よる面積拡大により、樹脂成形品の被塗装部表面と塗料
との化学的結合力を向上させ、塗膜付着性を高めること
ができる。
【0066】更に、本願の第9の発明に係る樹脂成形品
の製造方法によれば、被塗装部表面の表面粗さが、中心
線平均粗さで0.3〜0.7μm、十点平均粗さで2.
4〜6.8μmに設定されることにより、所謂アンカ効
果による塗膜付着性の向上と外観性の確保とを両立して
達成することができる。
【0067】また、更に、本願の第10の発明によれ
ば、基本的には、上記第8又は第9の発明と同様の効果
を奏することができる。特に、成形型内に材料樹脂を射
出する際のゲート部から比較的離間しており、射出材料
のせん断速度が比較的低くなるので塗膜付着性の向上に
寄与する樹脂成分の偏平化が生じ難い部位の被塗装部に
ついて、その表面を上記所定の表面粗さに設定すること
ができ、粗面化に伴うアンカ効果により、塗膜付着性を
向上させることができる。
【0068】また、更に、本願の第11の発明によれ
ば、基本的には、上記第10の発明と同様の効果を奏す
ることができる。特に、上記ゲート部から射出された材
料樹脂どうしがぶつかり合う部分であって射出材料のせ
ん断速度が最も低くなるウエルド部について、その表面
を上記所定の表面粗さに設定することができ、粗面化に
伴うアンカ効果により、塗膜付着性を向上させることが
できる。
【0069】また、更に、本願の第12の発明によれ
ば、基本的には、上記第8〜第11の発明のいずれか一
と同様の効果を奏することができる。特に、上記型面の
上記所定の表面粗さへの設定はブラスト処理によって行
われるので、ブラスト処理のショット粒度を適切に選ぶ
ことにより、比較的簡単な方法で且つ確実に型面の表面
粗さを所定範囲に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動車の全体斜視
図である。
【図2】 上記自動車のフロントフェンダパネルの斜視
図である。
【図3】 上記フロントフェンダパネルの車体側への取
付状態を拡大して示す斜視図である。
【図4】 ブラスト処理を施した金型成形面の表面状態
の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】 ブラスト処理を行わなかった金型成形面の表
面状態の一例を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】 成形面にブラスト処理を施した金型を用いて
射出成形した樹脂成形品の表面状態の一例を示す電子顕
微鏡写真である。
【図7】 成形面にブラスト処理を施していない金型を
用いて射出成形した樹脂成形品の表面状態の一例を示す
電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
3…フロントフェンダ部 4…フロントフェンダパネル 4a…(フロントフェンダパネルの)外板部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 69:00 B29K 69:00 71:00 71:00 77:00 77:00 B29L 31:30 B29L 31:30 C08L 101:00 C08L 101:00 (72)発明者 原 正雄 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 山本 研一 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 國府田 由紀 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 高橋 敏貴 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA45 AA50 AA51 AA54 AA77 AH07 BA01 BB05 BC07 4F202 AA03 AA11 AA13 AA25 AA28 AA29 AA32 AA45 AF01 AG05 AR13 CA11 CB01 CD23 CK11 CS04 CS10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数成分系から成り、塗装が施されるべ
    き被塗装部を有してなる樹脂成形品であって、 該樹脂成形品の上記被塗装部の表面には、上記複数成分
    のうちで上記塗装に用いられる塗料との付着性が最も高
    い成分が、偏平状に存在していることを特徴とする樹脂
    成形品。
  2. 【請求項2】 塗装が施されるべき被塗装部を有してな
    る樹脂成形品であって、 上記被塗装部表面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.
    3〜0.7μm、十点平均粗さで2.4〜6.8μmに
    設定されていることを特徴とする樹脂成形品。
  3. 【請求項3】 上記樹脂成形品は複数成分系から成るこ
    とを特徴とする請求項2記載の樹脂成形品。
  4. 【請求項4】 上記樹脂成形品はエラストマー成分を含
    有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいず
    れか一に記載の樹脂成形品。
  5. 【請求項5】 上記樹脂成形品は、 (1)ポリアミド(PA)とポリフェニレン・エーテル
    (PPE)のアロイ樹脂、 (2)ポリカーボネート(PC)とポリブチレン・テレ
    フタレート(PBТ)のアロイ樹脂、 (3)ポリカーボネート(PC)とアクリルニトリル・
    ブチレン・スチレン(ABS)のアロイ樹脂、の何れか
    一を材料として成形されたものであることを特徴とする
    請求項1又は請求項3に記載の樹脂成形品。
  6. 【請求項6】 上記樹脂成形品はポリプロピレン(P
    P)樹脂を主成分とし、エラストマー成分として、エチ
    レン・プロピレン・ラバー(EPR)又はスチレン・エ
    チレン・プロピレン・スチレン(SEPS)を含有して
    いることを特徴とする請求項4記載の樹脂成形品。
  7. 【請求項7】 上記エラストマーを含有した樹脂材料に
    ポリスチレン(PS)が添加されていることを特徴とす
    る請求項4又は請求項6に記載の樹脂成形品。
  8. 【請求項8】 複数成分系から成り、塗装が施されるべ
    き被塗装部を有してなる樹脂成形品の製造方法であっ
    て、 該樹脂成形品の成形型の上記被塗装部に対応する部位の
    型面の少なくとも一部を所定の表面粗さに設定してお
    き、上記成形型内に複数成分系から成る所定の材料樹脂
    を射出充填することにより、上記被塗装部の表面の少な
    くとも一部に、上記複数成分のうちで上記塗装に用いら
    れる塗料との付着性が最も高い成分が偏平状に存在する
    ように射出成形することを特徴とする樹脂成形品の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 塗装が施されるべき被塗装部を有してな
    る樹脂成形品の製造方法であって、 該樹脂成形品の成形型の上記被塗装部に対応する部位の
    型面の少なくとも一部を所定の表面粗さに設定してお
    き、上記成形型内に所定の材料樹脂を射出充填すること
    により、上記被塗装部表面の少なくとも一部の表面粗さ
    を、中心線平均粗さで0.3〜0.7μm、十点平均粗
    さで2.4〜6.8μmに設定することを特徴とする樹
    脂成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記成形型内に材料樹脂を射出する際
    のゲート部から比較的離間した部位の上記被塗装部に対
    応する型面が、上記所定の表面粗さに設定されることを
    特徴とする請求項8又は請求項9に記載の樹脂成形品の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 上記ゲート部から射出された材料樹脂
    どうしがぶつかり合うウエルド部の型面が、上記所定の
    表面粗さに設定されることを特徴とする請求項10記載
    の樹脂成形品の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記型面の上記所定の表面粗さへの設
    定は、ブラスト処理によって行われることを特徴とする
    請求項8〜請求項11のいずれか一に記載の樹脂成形品
    の製造方法。
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