JP2003190811A - 光触媒体、その製造方法およびそれを用いてなる光触媒体コーティング剤 - Google Patents

光触媒体、その製造方法およびそれを用いてなる光触媒体コーティング剤

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JP2003190811A
JP2003190811A JP2001396292A JP2001396292A JP2003190811A JP 2003190811 A JP2003190811 A JP 2003190811A JP 2001396292 A JP2001396292 A JP 2001396292A JP 2001396292 A JP2001396292 A JP 2001396292A JP 2003190811 A JP2003190811 A JP 2003190811A
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oxide
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Akinori Okusako
顕仙 奥迫
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光線の照射によって高い活性を示す光触
媒体、その製造方法およびそれを用いてなる光触媒体コ
ーティング剤を提供する。 【解決手段】 アナターゼ型酸化チタンを基材とし、こ
の表面に鉄酸化物(FeO、Fe23、Fe34、Fe
TiO3など)を有し、かつBET比表面積が55m2
g以上であることを特徴とする光触媒体、およびチタン
化合物の水溶液と塩基を60℃以下で反応させ、生成物
を焼成して酸化チタンを得、この酸化チタンを鉄化合物
(硝酸鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、シュウ酸鉄
アンモニウム、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)など)の溶液
またはスラリーに接触させた後、加熱する前記光触媒体
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒体、その製造
方法およびそれを用いてなる光触媒体コーティング剤に
関するものである。詳細には、可視光線の照射によって
高い活性を示す光触媒体およびその製造方法、さらに
は、建材などに光触媒機能を付与するときに使用する光
触媒体コーティング剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体に紫外線を照射すると強い還元作
用を持つ電子と強い酸化作用を持つ正孔が生成し、半導
体に接触した分子種を酸化還元作用により分解する。こ
のような作用を光触媒作用と呼び、この光触媒作用を利
用することによって、作業空間の酢酸などの有機酸を分
解除去することができる。光触媒作用を示す物質として
酸化チタンが注目され、酸化チタンからなる光触媒体が
市販されている。
【0003】しかしながら、現在市販されている光触媒
体は、可視光線を照射する場合には十分な活性を示すも
のではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、可視
光線の照射によって高い分解活性を示す光触媒体、その
製造方法およびそれを用いてなる光触媒体コーティング
剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、酸化チタ
ンの光触媒活性の向上について検討した結果、本発明を
完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、アナターゼ型酸化チタ
ンを基材とし、この表面に鉄酸化物を有し、かつBET
比表面積が55m2/g以上であることを特徴とする光
触媒体を提供するものである。
【0007】また本発明は、チタン化合物の水溶液と塩
基を60℃以下で反応させ、生成物を焼成して酸化チタ
ンを得、この酸化チタンを鉄化合物の溶液またはスラリ
ーに接触させた後、加熱する、前記光触媒体の製造方法
を提供するものである。
【0008】さらに本発明は、前記光触媒体と溶媒とを
含む光触媒体コーティング剤を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光触媒体は、酸化チタンを基材とするものであ
る。基材である酸化チタンは、TiO2なる組成式で表
され、結晶構造がアナターゼ型のものである。結晶構造
は、X線回折スペクトルのピーク位置から同定すること
ができる。またこのときのピーク位置とその半価幅か
ら、アナターゼ結晶子径を求めることができる。本発明
の光触媒では、このアナターゼ結晶子径が通常10nm
以上である。アナターゼ結晶子径が10nm以上である
光触媒は、光照射に対して高い活性を示すものとなる。
【0010】また本発明の光触媒体は、基材である酸化
チタンの表面に鉄酸化物を有する。鉄酸化物としては、
例えば、FeO、Fe23、Fe34またはFeTiO
3で示される化合物などが挙げられる。この鉄酸化物の
存在量は多くなるほど、光触媒体の活性が向上するので
好ましく、例えば、基材である酸化チタンに対しFe 2
3換算で、0.0005重量%以上、さらには0.0
05重量%以上であることが好ましい。一方、鉄酸化物
の量はあまり多くなっても、量に見合った活性向上の効
果が得られないので、5重量%以下、さらには3重量%
以下、とりわけ0.5重量%以下であることが好まし
い。この鉄酸化物は、基材である酸化チタンの表面全体
を被覆するように存在してもよいし、酸化チタンの表面
の一部を被覆するように存在してもよい。酸化チタンの
表面の一部が鉄酸化物で被覆されている光触媒体には、
例えば、鉄酸化物が酸化チタンの上に点として不連続に
存在するもの、鉄酸化物が酸化チタンの上に線状または
格子状に連続して存在するものなどがある。基材である
酸化チタンの表面に存在する鉄酸化物は、通常、ブレン
ステッド酸点またはルイス酸点をもつ。鉄酸化物のブレ
ンステッド酸点にはアミン類などの塩基性化合物が選択
的に吸着する傾向があり、またルイス酸点には含酸素化
合物や含硫黄化合物などが選択的に吸着する傾向がある
ので、光触媒体で分解しようとする対象物質に応じて、
鉄酸化物のブレンステッド酸点もしくはルイス酸点の
量、またはブレンステッド酸点とルイス酸点の両方が存
在するときにはこれらの割合も適宜選定することが好ま
しい。各酸点の合計量は、鉄酸化物の量を変えることに
より調節することができる。また鉄酸化物中のブレンス
テッド酸点とルイス酸点の割合は、例えば、水蒸気処理
または減圧脱気処理により調節することができる。基材
表面の鉄酸化物をブレンステッド酸点を多くもつものに
するときは、表面に鉄酸化物をもつ酸化チタンに水蒸気
処理を施せばよく、他方、基材表面の鉄酸化物をルイス
酸点を多くもつものにするときには、表面に鉄酸化物を
もつ酸化チタンに減圧脱気処理を施せばよい。
【0011】さらに本発明の光触媒体は、窒素吸着法に
より求められるBET比表面積が55m2/g以上であ
る。BET比表面積が55m2/g未満である光触媒体
では、たとえ酸化チタンを基材とし、その表面に鉄酸化
物を有するものであっても、可視光照射に対して高活性
を示す光触媒を得ることが困難となる。光触媒体は、B
ET比表面積が高いものほど、光触媒活性は高くなる傾
向にあるが、BET比表面積があまり大きくなると、溶
媒と混合してコーティング剤を得るとき、溶媒中に分散
させることが困難になることがあるので、BET比表面
積は300m2/g以下、さらには250m2/g以下、
とりわけ200m2/g以下であることが好ましい。
【0012】本発明の光触媒体は、紫外可視拡散反射ス
ペクトルを測定して、波長220nm〜800nmの吸
光度の積分値をAとし、波長400nm〜800nmの
吸光度の積分値をBとしたとき、式(I) X=B/A (I) により算出される指数Xが0.2以上、さらには0.2
5以上であることが好ましい。なお、吸光度の積分値
は、縦軸に吸光度、横軸に波長とした紫外可視拡散反射
スペクトルにおいて、指定された波長の範囲内で横軸と
拡散反射スペクトルとで囲まれた領域の面積を示す。
【0013】酸化チタンを基材とし、この表面に鉄酸化
物を有し、かつBET比表面積が55m2/g以上であ
る前記光触媒体は、基材である酸化チタン表面に、酸化
チタンや上で示した鉄酸化物以外の酸性金属酸化物また
は塩基性金属化合物をもつことができる。鉄酸化物に加
えて、他の酸性金属酸化物をもつことにより、ブレンス
テッド酸点とルイス酸点を各種割合でもつ光触媒体とす
ることができる。また塩基性金属化合物をもつことによ
り、硫化水素、イソ酪酸、酢酸のような物質に対して優
れた分解作用を示す光触媒体となる。
【0014】この酸性金属酸化物としては、ブレンステ
ッド酸点、ルイス酸点またはこれらを両方を有する金属
酸化物が挙げられ、例えば、ジルコニウム、ハフニウ
ム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タン
グステン、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、アルミ
ニウム、ガリウム、インジウム、スズのような金属の1
元系酸化物、珪素−亜鉛、珪素−ジルコニウム、珪素−
マグネシウム、珪素−カルシウム、珪素−ガリウム、珪
素−アルミニウム、珪素−ランタン、珪素−チタン、チ
タン−亜鉛、チタン−銅、チタン−亜鉛、チタン−アル
ミニウム、チタン−ジルコニウム、チタン−鉛、チタン
−ビスマス、亜鉛−マグネシウム、亜鉛−アルミニウ
ム、亜鉛−ジルコニウム、亜鉛−鉛、亜鉛−アンチモン
のような2種金属の複合酸化物のほか、酸点をもつ、3
種以上の金属の複合酸化物などがある。これらの酸性金
属酸化物の中でも、特に、ジルコニウム、バナジウム、
ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガ
ン、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、スズのよ
うな金属の1元系酸化物の適用が推奨される。上の塩基
性金属化合物としては、ブレンステッド塩基点、ルイス
塩基点またはこれらを両方を有する、金属酸化物、金属
水酸化物または金属炭酸塩が挙げられ、例えば、酸化ナ
トリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カル
シウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、
酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水
酸化ランタン、水酸化セリウム、水酸化亜鉛、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸バリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、炭
酸亜鉛などがある。これらの酸性金属酸化物および塩基
性金属化合物の合計量は、基材である酸化チタンのチタ
ンに対し金属元素換算で0.05mol%以上、さらに
は0.1mol%以上であることが好ましい。一方、こ
れらの合計量があまり多くなると、光触媒体の活性が低
下することがあるので、50mol%以下、さらには3
0mol%以下、とりわけ10mol%以下が好ましい
【0015】これらの酸性金属酸化物や塩基性金属化合
物は、基材である酸化チタンの表面に1種が存在しても
よいし、これらの一方のみ2種以上が存在してもよい
し、またはこれらの両方がそれぞれ1種以上が存在して
もよい。なお、酸性金属酸化物の酸点は、酸性中心と呼
ばれることもあり、その存在は金属酸化物表面への気体
塩基の吸着量または溶液からの塩基の吸着量を測定する
ことによって同定することができる。また酸性金属酸化
物の酸点は、種々のpKa値をもった指示薬の変色を利
用して同定することもでき、この方法により、酸点の酸
強度およびその酸強度における酸点の数を測定できる。
塩基性金属化合物の塩基点についても、種々のpKa値
をもった指示薬の変色を利用して同定することができ
る。
【0016】アナターゼ型酸化チタンを基材とし、この
表面に鉄酸化物を有し、かつBET比表面積が55m2
/g以上である本発明の光触媒体は、例えば、オキシ硫
酸チタン、硫酸チタン、オキシ塩化チタン、塩化チタン
のようなチタン化合物の水溶液と塩基を反応させ、生成
物を焼成して酸化チタンを得、この酸化チタンを鉄化合
物の溶液またはスラリーに接触させた後、加熱すること
により調製することができる。
【0017】このとき用いる塩基には、アンモニア、ア
ミン、アミノ酸、ヒドラジン誘導体、ヒドロキシルアミ
ン誘導体などが挙げられる。この塩基の量は、水溶液中
のチタン化合物を水酸化チタンに変えるのに必要な塩基
の化学量論量に対して、1.2倍以上、さらには2倍以
上であることが好ましく、また20倍以下、さらには1
0倍以下であることが好ましい。チタン化合物と塩基の
反応は、通常60℃以下、好ましくは50℃以下で行わ
れる。生成物の焼成は、通常300℃以上、好ましくは
330℃以上、また600℃以下、好ましくは500℃
以下、より好ましくは450℃以下で行われる。また、
この焼成は、静置下または空気気流中などで行うことが
できる。酸化チタンと接触させる鉄化合物には、例え
ば、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、シュウ酸
鉄アンモニウム、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、過塩素酸
鉄、臭化鉄、クエン酸鉄、4−シクロヘキシル酪酸鉄、
ナフテン酸鉄、三シュウ酸三アンモニウム鉄リンゴ酸鉄
のような、加熱により鉄酸化物を生成するものなどが挙
げられる。また鉄化合物として、イルメナイトを硫酸に
溶解し、この溶解液を精製し、加水分解した後、加水分
解物を焼成することによる酸化チタンの製造方法(硫酸
法)にて副生する硫酸鉄を用いることもできる。さらに
鉄化合物として、加熱により鉄酸化物を生成するものの
ほか、酸化鉄コロイドを用いることができる。これらの
鉄化合物は1種または2種以上組み合わせたものであっ
てもよい。鉄化合物と接触させた後の加熱は、前記鉄化
合物を鉄酸化物に変える温度で行えばよく、通常200
℃以上、好ましくは250℃以上、また600℃以下、
好ましくは500℃以下、より好ましくは400℃以下
の空気中で行うことができる。
【0018】このようにして得られる光触媒体は、通
常、粉末状であるが、必要に応じて、高分子樹脂、結合
剤、成形助剤、帯電防止剤、吸着剤などを添加した後、
成形して膜、ハニカム、ペレット、リングまたはシート
とすることもできる。
【0019】この光触媒体を使った有機酸の分解処理
は、例えば、図1に示すように、光を通す面1をもつ容
器2と、容器2に流体を導入するための導入口3と、容
器2から流体を排出するための排出口4と、容器2内に
固定された光触媒体5と、面1を通して光触媒体5に光
照射するための光源6とからなる反応装置7を用いて、
被処理物を導入口3から容器2内に導入し、密閉した
後、光源6を点灯する方法、または図2に示すように、
内面が光触媒体8で被覆された円筒型容器9と、容器9
内に設置された光源10と、容器9に流体を導入するた
めの導入口11と、容器9から流体を排出するための排
出口12とからなる反応装置13を用いて、光源10に
より容器9の内面にある光触媒体8に光照射しながら、
被処理物を導入口11から容器9内に連続して導入する
方法で行うことができる。なお、前者の回分式方法で
は、被処理物は、処理された後、排出口4により排出さ
れる。後者の方法では、容器9を電動機(図示せず)な
どにより、回転させてもよい。光源には、蛍光灯、ハロ
ゲンランプ、ブラックライト、キセノンランプ、ネオン
サイン、発光ダイオード、ELランプ、水銀灯またはナ
トリウムランプなどが適用できる。また太陽光線を利用
することもでき、このときは、反応装置を屋外に設置す
るか、または太陽光線を屋内の反応装置まで導入する手
段(反射鏡、光ファイバなど)を設ける。照射時間(連
続式では、被処理物の容器内での平均滞留時間)は、光
源の光線強度ならびに被処理物の種類および濃度に応じ
て適宜選択すればよい。ここでは有機酸の分解処理につ
いて示したが、本発明の光触媒体を使った反応装置によ
れば、大気中のNOx、居住空間や作業空間の悪臭物質
(例えば、煙草臭)もしくは有機ハロゲン系化合物、ま
たは水中の有機溶剤もしくは界面活性剤などを分解する
ことも可能である。
【0020】本発明の光触媒体コーティング剤は、前述
した特定の光触媒体と溶媒とを含む。
【0021】光触媒体コーティング剤は、建築材料、自
動車材料などに光触媒体を塗布することを容易にし、か
つこれらの材料に高い光触媒活性を付与することを可能
とする。コーティング剤調製に用いる溶媒としては、例
えば、水、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、グルタル酸、コ
ハク酸、マロン酸、マレイン酸、アジピン酸、クエン酸
のようなカルボン酸類、酢酸アンモニウム、蓚酸アンモ
ニウム、蓚酸水素アンモニウム、クエン酸アンモニウ
ム、クエン酸水素アンモニウムのようなカルボン酸アン
モニウム、メチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコールのようなアルコール類、2−ブタノ
ン(メチルエチルケトン)、アセトンのようなケトン類
などが挙げられる。また溶媒には、基材表面にある鉄酸
化物および任意の酸性金属酸化物または塩基性金属化合
物を実質的に溶解しない範囲で、塩酸、硫酸、リン酸の
ような無機酸または水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カ
リウム水溶液のようなアルカリ水溶液を用いることもで
きる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、光触媒体の物性測定は以下の方法で行った。
【0023】(1)BET比表面積(m2/g): 窒
素吸着法により求めた。
【0024】(2)アナターゼ結晶子径(nm): 光
触媒体を乳鉢にて粉砕した後、X線回折装置(商品名
“RAD-IIA”、理学電機製)でX線回折スペクトルを測
定し、(101)面のピークの半価幅β(ラジアン)と
(101)面のピーク位置2θ(ラジアン)を求め、下
式により結晶子径L(nm)を算出した。 L=K・λ/(β・cosθ) 〔式中、KはScherrer定数0.94、λ(nm)は測定
X線波長(CuKα線:0.15406nm)を表
す。〕
【0025】(3)指数X〔=B/A〕: 紫外可視分
光光度計(商品名“UV-2500PC”、島津製作所製)を用
い、硫酸バリウムを標準白板として紫外可視拡散反射ス
ペクトルを測定し、このスペクトルから波長220〜8
00nmの吸光度の積分値Aと400〜800nmの吸
光度の積分値Bを求めた。これらの値をもとに、前記式
(I)から指数Xを算出した。
【0026】実施例1 〔光触媒体の調製〕オキシ硫酸チタン(テイカ製)33
88gを水2258gに溶解させ、オキシ硫酸チタン水
溶液を調製した。pH電極と、このpH電極に接続さ
れ、25重量%アンモニア水(試薬特級、和光純薬工業
製)を供給してpHを一定に調整する機構を有するpH
コントローラーとを備えた反応容器にイオン交換水47
00gを入れた。pHコントローラのpH設定を4と
し、水のpHを希硫酸を用いて設定値に調整した。また
アンモニア水を供給するときの速度は18ml/min
に設定した。この反応容器では、容器内の液のpHが設
定値より低くなると、アンモニア水が供給されはじめ、
pHが設定値になるまで前記速度にて連続供給される。
この反応容器に、117rpmで攪拌しながら、上のオ
キシ硫酸チタン水溶液を12ml/minで添加し、p
Hコントローラにより反応容器に供給されるアンモニア
水と反応させて、生成物を得た。このときの反応温度
は、23℃〜35℃の範囲であった。得られた生成物を
攪拌しながら1時間保持し、ついで25重量%アンモニ
ア水(試薬特級、和光純薬工業製)を供給して、スラリ
ーを得た。反応容器に供給されたアンモニア水の合計量
はオキシ硫酸チタンを水酸化チタンに変えるために必要
な量の2倍であった。上で得られたスラリーを濾過し、
得られた固形物をイオン交換水で洗浄し、乾燥して、粉
末を得た。この粉末を、静置下、425℃の空気中で1
時間焼成した後、室温まで冷却して、含水率15重量%
の粒子状アナターゼ型酸化チタンを得た。
【0027】硝酸鉄(III)9水和物(Fe(NO3)3・9H
2O、和光純薬工業製)0.0458gをイオン交換水
100gに溶解させ、硝酸鉄水溶液を調製した。この硝
酸鉄水溶液と上の粒子状アナターゼ型酸化チタン20.
2gを混合し、常温常圧下で20分間攪拌した。ついで
この混合物を、攪拌しながら、減圧下、55℃に保持し
て、水を蒸発させた後、300℃の空気中で1時間焼成
して、光触媒体を得た。この光触媒体は、酸化チタンに
対しFe23換算で0.1重量%の酸化鉄を有するもの
であり、BET比表面積が67m2/gであり、結晶子
径が12nmであった。またこの光触媒体は、紫外可視
拡散反射スペクトルを測定したときの波長220nm〜
800nmの吸光度の積分値Aが330.4であり、波
長400nm〜800nmの吸光度の積分値Bが92.
5であり、指数X(=B/A)が0.28であった。
【0028】〔光触媒体の活性評価〕直径8cm、高さ
10cm、容量約0.5リットルの密閉式ガラス製容器
内に、直径5cmのガラス製シャーレを設置し、そのシ
ャーレ上に、上で得られた光触媒体0.3gを置いた。
容器内を酸素20容量%と窒素80容量%とからなる混
合ガスで満たし、蟻酸を13.4μmol封入し、容器
の外から可視光線を照射した。可視光線の照射には、5
00Wキセノンランプ(商品名“オフ゜ティカルモシ゛ュレックスSX-UI
500XQ”、“ランフ゜UXL-500SX”、ウシオ電機製)に、波長
約430nm以下の紫外線をカットするフィルター(商
品名“Y-45”、旭テクノガラス製)と波長約830nm
以上の赤外線をカットするフィルター(商品名“スーハ゜ーコ
゛ールト゛フィルター”、ウシオ電機製)とを装着したものを光源
として用いた。可視光線の照射により蟻酸が分解する
と、二酸化炭素が発生するので二酸化炭素の濃度を光音
響マルチガスモニタ(型番“1312型”、INNOVA
製)で経時的に測定し、濃度変化より算出した二酸化炭
素の生成速度により、光触媒体の蟻酸に対する光分解作
用を評価した。この例における二酸化炭素の生成速度は
光触媒体1gあたり10.3μmol/hであった。
【0029】
【発明の効果】本発明の光触媒体は、可視光線の照射に
よって高い光触媒作用を示し、蟻酸のような有機酸をは
じめ各種有機物を効率よく分解する。本発明の光触媒体
コーティング剤は、建築材料、自動車材料などに光触媒
体を塗布することを容易にし、これらの材料に高い光触
媒作用を付与する。また本発明の光触媒体の製造方法に
よれば、前記の光触媒体を容易に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光触媒体を使った反応装置。
【図2】 本発明の光触媒体を使った他の反応装置。
【符号の説明】
2、 9 容器 3、11 導入口 4、12 排出口 5、 8 光触媒体 6、10 光源 7、13 反応装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01G 23/053 B01D 53/36 J C09D 1/00 B01J 23/74 301M Fターム(参考) 4D048 AA17 AB03 BA07X BA36X BA41X EA01 4G047 CA02 CB05 CC03 CD03 CD07 4G069 AA03 AA08 BA04A BA04B BA48A BB04A BB04B BC66A BC66B CA01 CA11 DA05 EA02Y EC01X EC02Y EC22X EC22Y EC27 FA01 FB08 FB15 FB16 FB29 FC08 4J038 AA011 HA211 HA216 KA06 KA15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アナターゼ型酸化チタンを基材とし、こ
    の表面に鉄酸化物を有し、かつBET比表面積が55m
    2/g以上であることを特徴とする光触媒体。
  2. 【請求項2】 鉄酸化物の量が、酸化チタンに対しFe
    23換算で0.0005重量%以上である請求項1記載
    の光触媒体。
  3. 【請求項3】 BET比表面積が300m2/g以下で
    ある請求項1または2記載の光触媒体。
  4. 【請求項4】 紫外可視拡散反射スペクトルを測定し
    て、波長220nm〜800nmの吸光度の積分値をA
    とし、波長400nm〜800nmの吸光度の積分値を
    Bとしたとき、式(I) X=B/A (I) により算出される指数Xが0.2以上である請求項1〜
    3のいずれか1項に記載の光触媒体。
  5. 【請求項5】 チタン化合物の水溶液と塩基を60℃以
    下で反応させ、生成物を焼成して酸化チタンを得、この
    酸化チタンを鉄化合物の溶液またはスラリーに接触させ
    た後、加熱する請求項1記載の光触媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光
    触媒体と溶媒とを含む光触媒体コーティング剤。
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