JP2003042667A - 溶湯容器の保護構造 - Google Patents

溶湯容器の保護構造

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JP2003042667A
JP2003042667A JP2001234793A JP2001234793A JP2003042667A JP 2003042667 A JP2003042667 A JP 2003042667A JP 2001234793 A JP2001234793 A JP 2001234793A JP 2001234793 A JP2001234793 A JP 2001234793A JP 2003042667 A JP2003042667 A JP 2003042667A
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resin
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refractory
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Yoshitoshi Saito
吉俊 齋藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶湯容器における断熱材の劣化を抑制し、溶
湯の温度降下、熱負荷に伴う鉄皮の変形及び亀裂を防止
の効果を持続的に可能にする溶湯容器の保護構造を提供
することを目的とする。 【解決手段】 溶湯容器に、その炉内側から、ウェア耐
火物、パーマ耐火物及び鉄皮を有し、さらにウェア耐火
物とパーマ耐火物の間又はパーマ耐火物と鉄皮の間には
断熱材を有し、さらに保護板がウェア耐火物とパーマ耐
火物との間に有する保護構造を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄、アルミニウ
ム、銅及びガラス等の溶湯を保持する転炉、電気炉、真
空脱ガス層などの溶湯容器の断熱化に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高温下での溶湯容器に使用する
耐火物は、ウェア層とパーマ層により形成されている。
近年、溶湯容器のウェア耐火物には高耐用性のカーボン
含有系の材質が広く用いられる傾向にある。カーボン含
有系の材質は、高熱伝導性であるため、溶湯の温度降下
や鉄皮への熱負荷の増大などの問題を起こしている。
【0003】本発明者は特開2000-104110号公報で、炉
体からの放散熱を低減し溶湯の温度降下を防止し、ま
た、鉄皮への熱負荷の低減により鉄皮の変形、亀裂を抑
制するために、パ−マれんがと鉄皮の間に断熱材をライ
ニングし、炉内側からウエアれんが、パ−マれんが、断
熱材、鉄皮の順の4層の構造からなることを特徴とする
溶湯容器の断熱構造を提示した。さらに、特開2000-226
611号公報で、断熱材をパーマ層と鉄皮の間にライニン
グし、内側から順にキャスタブル、パーマ層、断熱材及
び鉄皮からなることを特徴とする溶湯容器の高温断熱内
張り構造を提示した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、確かに各種工業窯炉の断熱化や鉄皮温度低減が可能
となる。しかしながら、従来技術を適用するにあたっ
て、新たに以下に記述するような改善すべき問題点が判
明した。
【0005】上記の発明のような溶湯容器において使用
する断熱材は、ナノメータースケールのシリカ超微粉か
ら構成されている場合が多い。例えば、ウェアに不定形
耐火物を使用している場合、施工時に水を多量に使用す
る。シリカ超微粉は水との反応性が非常に高いために、
水分を多く吸収すると急激に収縮し、さらには亀裂等を
発生し、断熱材は著しく劣化する。その結果、断熱効果
が著しく損なわれるという問題点がある。
【0006】そこで、本発明は、断熱材の劣化を抑制
し、溶湯の温度降下、熱負荷に伴う鉄皮の変形及び亀裂
を防止の効果を持続的に可能にする溶湯容器の保護構造
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明では、溶湯容器内の保護構造の一部としてさ
らに保護板を設ける。すなわち、本発明の要旨とすると
ころは、 (1)溶湯容器の炉内側から、ウェア耐火物、パーマ耐
火物及び鉄皮を有し、ウェア耐火物とパーマ耐火物の間
又はパーマ耐火物と鉄皮の間に断熱材を有し、さらにウ
ェア耐火物とパーマ耐火物との間に保護板を有すること
を特徴とする、溶湯容器の保護構造。 (2)更に、鉄皮に接する内側に第2のパーマ耐火物を
有する保護構造からなることを特徴とする、前記(1)
記載の溶湯容器の保護構造。 (3)保護板が、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、
ガラス、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、
ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、フ
ェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ポリア
ミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン
樹脂、無機質繊維材のいずれか1種若しくは2種以上か
らなる積層構造又はいずれか2種以上を混合した1層構
造であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の
溶湯容器の保護構造。 (4)保護板の融点が400℃以上であることを特徴とす
る、前記(1)〜(3)の何れか1項に記載の溶湯容器
の保護構造。 (5)鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、ガラス、ポ
リエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピ
レン、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹
脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド樹脂、
エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂のいず
れか1種若しくは2種以上からなる積層構造又はいずれ
か2種以上を混合した1層構造である保護板の厚みが0.
01mm以上30mm以下であることを特徴とする、前記(3)
又は(4)記載の溶湯容器の保護構造。 (6)無機質繊維材の厚みが1mm以上30mm以下であるこ
とを特徴とする、前記(3)又は(4)記載の溶湯容器
の保護構造。 (7)無機質繊維材の1000℃における加熱線収縮率が3
%未満であることを特徴とする、前記(3)、(4)又
は(6)記載の溶湯容器の保護構造。 (8)断熱材の厚さが3〜30mmであることを特徴とす
る、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の溶湯容
器の保護構造。 (9)断熱材が3〜100nmの細孔を有することを特徴と
する、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の溶湯
容器の保護構造。 (10)断熱材の比重が0.2〜0.4であり、熱伝導率が図
1のA(200,0.015)、B(800,0.025)、C(800,0.1)及びD
(200,0.04)で囲まれる範囲に含まれることを特徴とす
る、前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の溶湯容
器の保護構造。
【0008】なお、3〜100nmの細孔とは、ガス吸着に
よる吸着脱離等温線を用いた解析または、高分解能の電
子顕微鏡による観察に基づく画像解析で作成した直径1
nm以上200nm以下の細孔径分布において、分布曲線の最
大ピークの位置が3〜100nmに存在する場合と定義す
る。
【0009】また、無機質繊維材の1000℃における加熱
線収縮率は、所定の厚さの試料を長さ150mm、幅100mmに
切断して試験片を作製し、これを温度110℃で恒量にな
るまで乾燥した後に、酸化雰囲気で加熱し8時間保持し
たのちに炉内で自然冷却し、そのときの寸法を求め、3
個の試験片の平均値と定義する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0011】本発明者は溶湯容器の断熱化を安定して達
成させるための保護構造について検討を重ねた。その結
果、(i)炉内側から、ウェア耐火物、保護板、パーマ耐
火物、断熱材、鉄皮の順の4層の保護構造、(ii)炉内側
から、ウェア耐火物、パーマ耐火物、保護板、断熱材、
鉄皮の順の4層の保護構造、(iii)炉内側から、ウェア
耐火物、保護板、断熱材、パーマ耐火物、鉄皮の順の4
層の保護構造、(iv)炉内側から、ウェア耐火物、保護
板、パーマ耐火物、断熱材、パーマ耐火物、鉄皮の順の
5層の保護構造、(v)炉内側から、ウェア耐火物、パー
マ耐火物、保護板、断熱材、パーマ耐火物、鉄皮の順の
5層の保護構造、(vi)炉内側から、ウェア耐火物、保護
板、断熱材、パーマ耐火物、パーマ耐火物、鉄皮の順の
5層の保護構造、などを最適な内張り構造として使用す
ることができる。
【0012】上記(i)〜(vi)の形態にも示されるよ
うに、保護板はウェア耐火物と断熱材の間に設けられ
る。すなわち、保護板は、ウェア耐火物よりは炉外側で
あって、断熱材よりは炉内側に設けられ、ウェア耐火物
と断熱材の間にパーマ耐火物も設けられる場合、ウェア
耐火物と断熱材の間でのパーマ耐火物と保護板の順序は
特に限定されない。
【0013】また、保護板は、図3に示すように、
(a)各層の間に介在するだけでもよいし、さらに、
(b)保護板が断熱材を覆う形にしてもよい。
【0014】各層を溶湯容器の炉内に内張する方法は、
各種溶湯容器の製造における通常の手段により行うこと
ができる。
【0015】本発明の対象とするウェア耐火物は、定形
耐火物でも不定形耐火物でもよい。また、その成分系と
しては、マグネシア-ライム質、アルミナ−マグネシア
質、粘土質、ろう石質、マグネシア質、マグネシア・ク
ロム質、ドロマイト質、マグネシア・カーボン質、アル
ミナ・カーボン質、アルミナ・炭化珪素・カーボン質、
ジルコニア-カーボン質、アルミナ・マグネシア・カー
ボン質、珪酸質、シリカ−アルミナ質、アルミナ−スピ
ネル質、粘土質、クロム質、ろう石質、ジルコン及びジ
ルコニア質、高アルミナ質、炭素質、炭化珪素質、クロ
ム質など、特に限定するものではない。また、硬化法
も、アルミナセメントのように水和反応を用いる水硬性
に限らず、化学硬化性、熱硬性、気硬性のいずれでもよ
く特に限定するものではない。施工法も流し込み、こて
塗り、吹き付け、振動施工、打ち込み、圧入等のいずれ
でも構わない。また、プレキャストブロックでも構わな
い。化学組成や形状も特に規定しない。また、パーマの
耐火物には、主として、焼成MgOれんがや高アルミナ質
れんがなどを使用することができる。
【0016】本発明で使用する断熱材としては、微細な
細孔構造を有する、例えばWackerChemie GmbH社のカタ
ログ(1991年8月発行No.4863.991)のWacker WDS(商標登
録)などを好適に使用できる。断熱材の成分としては、
例えば、通常、SiO2=50〜70mass%、ZrO2=10〜30mass
%、Al2O3=2〜10mass、TiO2=5〜20mass%、FeO=2〜
16mass%程度含むものを使用することが好ましいが、こ
れに限定されるわけではない。
【0017】本発明で、保護板は溶湯容器が長期間にわ
たって安定して、断熱材による断熱効果を得るための役
割を有する。断熱材は、特に空気中の湿分や補修時に大
量に使用する水と反応し分子構造が破壊されることや、
水和することで収縮、亀裂発生などから著しく劣化し、
その断熱機能が失われる。したがって、保護板の望まし
い特性としては、大気中で水分と反応しないこと、水分
を透過させないこと、断熱材が使用されるような温度で
溶解しないこと、熱を受けて急激な膨張また収縮を生じ
ない体積安定性を有することなどがあげられる。これら
を鑑みて、保護板の材質は、鉄、ステンレス、アルミニ
ウム、銅、ガラス、ポリエチレン、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、セルロー
ス樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹
脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、スチレン樹脂のいずれか1種若しくは2種以上から
なる積層構造又はいずれか2種以上を混合した1層構造
の併用、さらに、ポリエチレンテレフタレートとポリエ
チレンを複合したアルミニウムの積層構造や混合した1
層構造、有機物をコーティングしたアルミニウムホイー
ル、ガラスクロス、無機質繊維材などの積層構造も使用
することができる。合金系でも構わない。無機質繊維材
の材質としては、特に限定するものではないが、通常、
アルミナ質、シリカ質、ムライト質、ジルコニア質など
の1種又は組み合わせのいずれも使用可能であり、さら
に、樹脂やアルミニウム合金などを含有する積層構造や
混合した1層構造でもよい。容器の形状に合わせて、変
形させることができることが好ましい。
【0018】次に、保護板の性状に関する好ましい数値
範囲の理由を説明する。保護板の融点が、400℃未満で
は、保護板が繰り返し使用中に溶解し、断熱材が空気や
水分と接触しやすくなる。そのため、早期に断熱材の劣
化が著しく進行し、溶湯容器の断熱効果が得られなくな
るので好ましくない。好ましくは、融点600℃以上であ
れば、自由に内張り構造を設計することができる。融点
の上限は特に定めないが、特に、保護板の材質が金属材
料のときには、保護板が熱を伝えやすく、断熱効果が低
下する。そこで、保護板が1000℃を大きく超えるような
高温下に曝されているときには、溶湯容器の断熱化をは
かるうえでは、むしろ溶融して消失してしまった方がよ
い場合があり、保護板が金属材料のときには、その融点
が1200℃以下とすることが好ましい。
【0019】保護板の厚みを0.01mm未満とすると、保護
板を設置する作業中に、保護板の破損を招きやすい。ま
た、保護板の融点付近の温度で使用中に、急激に溶解が
進み、断熱材の劣化が一気に進行するために好ましくな
い。一方、30mmを越えて厚くなると、ウェア耐火物の
温度勾配が急になり、温度上昇とともに増大するスラグ
の浸潤速度が大となり、ウェア耐火物の溶損が進行する
可能性がある。さらに、容器の容量の低下により、操業
および生産性に悪影響を及ぼす可能性もある。
【0020】無機質繊維材の厚みが1mmよりも薄い場
合、空気や水分や浸透し、断熱材の劣化が進行する可能
性があるので好ましくない。一方、30mmよりも厚い場合
には、無機質繊維材が断熱層の役割を果たし、ウェア耐
火物の温度勾配が急になり、ウェア耐火物へのスラグや
溶鉄の浸潤速度が大きくなり、ウェア耐火物の溶損が進
行する可能性がある。さらに、容器の容量の低下によ
り、操業および生産性に悪影響を及ぼす可能性もある。
【0021】無機質繊維材の1000℃における加熱線収縮
率が3%を超えて大きい場合、無機質繊維材とパーマ耐
火物等の間に大きな隙間が生じ、大気や水分などが浸透
しやすくなり、断熱材の劣化を招く危険性があるために
好ましくない。加熱線収縮率は低いほど好ましく、全く
収縮しないこと、すなわち、加熱線収縮率が0であるこ
とが最も好ましい。
【0022】断熱材の厚さが3mm未満では、十分な断熱
効果を得ることは困難である。一方、断熱材の厚さが30
mmを越えて厚くなると、ウェア耐火物の温度勾配が急に
なり、温度上昇とともに増大するスラグの浸潤速度が大
となり、ウェア耐火物の溶損が進行する可能性がある。
さらに、容器の容量の低下により、操業および生産性に
悪影響を及ぼす可能性もある。
【0023】断熱材の細孔は3nm未満では、超微粒子に
よる材料の構成となるために、製造が困難となるだけで
なく、各粒子の反応表面積が著しく増大するために、高
温で焼結が容易に進行し、断熱材の収縮をおこし、結果
的には熱伝導率の著しい低下につながるため、十分な断
熱効果が得られなくなる。また、断熱材の細孔が100nm
を越えて大きい場合、空気分子の運動を規制することが
困難となり、熱伝導率は、温度の上昇とともに急激に上
昇するために、十分な断熱効果を得ることが困難とな
る。ここで、細孔の測定は、窒素、クリプトン及びアル
ゴンなどの不活性ガスの吸着脱離等温線をB.J.H.法など
により解析する方法(吸着,共立出版株式会社,1990年3
月10日初版18刷,p.120)又は高解像度の電子顕微鏡によ
る観察のいずれの方法でも実施することができる。
【0024】断熱材の比重は0.2未満になると、極めて
微細な粒子の構成となり、粒子の反応表面積は著しく増
大するために、高温で粒子間の焼結速度が上昇し、断熱
材の収縮を引き起こす。また、比重が0.4を越えて大き
い場合、マクロな細孔を多数形成することになり、空気
分子の運動を規制することが困難になり、高温での熱伝
導率の急激な上昇を招くことになる。一方、断熱材の熱
伝導率が200℃で0.04W/m・Kあるいは800℃で0.1W/m・Kを
越えて大きい場合上すなわち図1におけるCとDを結ぶ線
よりも上の領域にある場合、600〜800℃以上の高温域に
おける熱伝導率の上昇が大きく、十分な断熱効果を得る
ことが困難になるため、図1のABCDの領域内であること
が好ましい。一方、図1におけるAとBを結ぶ線よりも下
の領域にある場合、断熱材の粒度構成が極端に微粒子の
域となるために、強度の低下や製造上のハンドリングの
問題が発生するために好ましくない。ここで、断熱材の
熱伝導率の測定は、JIS A 1412及びASTM C 177の平
板直接法(GHP法)またはJISA 1412及びASTM C 518の
平板熱流計法(HFM法)のいずれの方法でも実施すること
ができる。また、レーザーフラッシュ法を用いて、比熱
及び熱拡散率から、熱伝導率を算出しても良い。
【0025】本発明における溶湯容器とは、例えば、製
鉄において使用されている、高炉出銑樋、溶銑鍋、混銑
車、転炉、溶鋼鍋、各種脱ガス装置、タンディッシュ等
である。その他、アルミニウム、ガラス工業における溶
融容器も含む。
【0026】
【実施例】以下に本発明を実施例によって説明する。
【0027】本発明者は270tの溶鋼鍋を対象として、鋭
意検討を進めた。溶鋼の温度は1550〜1700℃程度と極め
て高く、溶鋼を保持している時間も長く、放散熱量が大
きいエネルギーロスの大きなプロセスとなっている。パ
ーマれんがと鉄皮との間に断熱材をライニングすること
により、溶銑、溶鋼の温度降下を防止することができ、
また、熱負荷に伴う鉄皮の変形や亀裂の抑制に効果的で
ある。
【0028】例として、溶鋼鍋の断熱化を対象に行った
場合をとりあげ、以下に示す。ウェア耐火物には厚み15
0mmのアルミナ−マグネシア質の流し込み材、パーマ耐
火物には厚み50mmの高アルミナ質れんががライニングさ
れ、鉄皮厚み50mmである。実施例1〜6は、炉内側か
ら、ウェア耐火物、保護板、パーマ耐火物、断熱材、鉄
皮の順の4層の保護構造の場合である。実施例1〜3で
は、保護板に、融点が400℃以上の条件(請求項4に
記載)を満たす670℃のアルミニウム板を使用し、実施
例1では厚さ0.008mmとし、保護板の厚みが0.01mm以上3
0mm以下の条件(請求項5中に記載)を満たすように、
実施例2では厚さ1mmとし、実施例3では厚さ10mmのア
ルミニウム板を使用した。実施例4では、保護板に融点
380℃、厚さ1mmのポリエチレン板を使用した。実施例
5では、保護板に無機質繊維材として、厚さ0.5mm、100
0℃での加熱線収縮率2%のアルミナ−シリカ質ファイ
バー(SiO2=55mass%、Al2O3=45mass%)を使用した。
実施例6では、厚さ15mmで実施例5と同様の無機質繊維
材を使用した。実施例7では、厚さ50mmで実施例5と同
様の無機質繊維材を使用した。実施例8では、保護板に
無機質繊維材として、厚さ50mm、1000℃での加熱線収縮
率5%のアルミナ−シリカ質ファイバー(SiO2=55mass
%、Al2O3=45mass%)を使用した。
【0029】なお、表1に各実施例の仕様等についてに
まとめた。
【0030】
【表1】
【0031】発明の効果については、1600〜1700℃の溶
鋼を受容している、連続鋳造中の鉄皮の温度を放射温度
計により連続的に測定し、鋳造中の鉄皮の平均温度から
放散熱量低減の効果を評価することで検証した。従来の
構造である比較例1は、ウェア耐火物、パーマ耐火物、
鉄皮の順の2層の保護構造とし、比較例2は、ウェア耐
火物、パーマ耐火物、断熱材、鉄皮の順の3層の保護構
造とした。また、いずれの場合においても、断熱材に
は、成分は、SiO2=66mass%、ZrO2=30mass%、Al2O 3=4ma
ss%、厚さ3mm、細孔50nm、比重0.35、200℃における熱
伝導率0.025W/m・K及び800℃における熱伝導率が0.060W/
m・Kの特性を有するものを使用した。
【0032】評価結果を図2に示す。鉄皮温度は鋳造中
の温度の各炉代における平均を示す。断熱材、保護板と
もに使用しない比較例1では、鉄皮温度はいずれの炉代
においても300〜320℃程度であった。断熱材を適用した
比較例2では、1炉代目では、鉄皮温度を240℃と、比
較例1に比べて60℃程度も低減することができたが、2
炉代目以降では、断熱材の著しい劣化が影響し、断熱材
を使用しない比較例1と同様の温度を示した。これに対
して、断熱材及び保護板を使用した実施例1〜4は、い
ずれも、2炉代目でも鉄皮温度は240〜260℃と、比較例
に比べて60〜80℃程度も低く、断熱効果を得ることがで
きた。しかしながら、保護板の厚みが0.01mm(請求項5
に記載された数値範囲の下限)より小さい実施例1及び
融点が400℃(請求項4に記載の下限数値)よりも低い
実施例4では、4炉代目から急速に断熱効果が低下し
た。また、実施例3では、断熱効果は5炉代目まで得る
ことができたが、保護板の厚さが30mm(請求項5中に記
載された数値範囲の上限)よりも大きく、炉内容積に顕
著な影響を与え、操業上、好ましくない問題が生じた。
実施例5では、3炉代目以降、断熱材の劣化が進行し、
徐々に断熱効果が低下した。実施例6では、長期間にわ
たって断熱効果を得ることができた。実施例7では、無
機質繊維材の厚さが30mm(請求項6に記載された数値範
囲の上限)を超えるためウェア耐火物の溶損速度が高く
なり、炉寿命に影響し、さらに、炉内容積にも顕著な影
響を与え、操業上、好ましくない問題が生じた。実施例
8では、4炉代以降、保護板の収縮が進行したため、隙
間が生じ、断熱材の劣化が進行したため、徐々に断熱効
果が低下した。本発明の各請求項に記載の全ての数値規
定を満たす実施例2及び6が、操業上の問題や炉寿命の
影響もなく最も長期間にわたって安定した断熱効果を得
ることができた。
【0033】
【発明の効果】本発明により、長期間にわたって安定的
に、溶湯容器表面からの放散熱を大幅に低減し溶湯の温
度降下を防止することが可能となり、省エネルギーのプ
ロセスを達成することができる。同時に、鉄皮へ伝導す
る熱量も大幅に低減させ、熱負荷に伴う鉄皮の変形、亀
裂を防止することが可能となり、設備の長寿命化にも有
効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る断熱材の熱伝導率の温度依存性の
規定を示す図である。
【図2】本発明の実施例を示す図である。図面右側に付
けた「比1」、「実1」などは、それぞれ「比較例
1」、「実施例1」などの意味である。
【図3】本発明に係る保護板の断面図の例である。 (a)各層の間に介在する場合。 (b)断熱材を保護板が覆う場合。
【符号の説明】
1・・・断熱材 2・・・保護板 3・・・鉄皮など

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶湯容器の炉内側から、ウェア耐火物、
    パーマ耐火物及び鉄皮を有し、ウェア耐火物とパーマ耐
    火物の間又はパーマ耐火物と鉄皮の間に断熱材を有し、
    さらにウェア耐火物とパーマ耐火物との間に保護板を有
    することを特徴とする、溶湯容器の保護構造。
  2. 【請求項2】 更に、鉄皮に接する内側に第2のパーマ
    耐火物を有する保護構造からなることを特徴とする請求
    項1記載の溶湯容器の保護構造。
  3. 【請求項3】 保護板が、鉄、ステンレス、アルミニウ
    ム、銅、ガラス、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタ
    レート、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂、セルロース
    樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹
    脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹
    脂、スチレン樹脂、無機質繊維材のいずれか1種若しく
    は2種以上からなる積層構造又はいずれか2種以上を混
    合した1層構造であることを特徴とする請求項1又は2
    記載の溶湯容器の保護構造。
  4. 【請求項4】 保護板の融点が400℃以上であることを
    特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の溶湯容器
    の保護構造。
  5. 【請求項5】 鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、ガ
    ラス、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
    リプロピレン、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、フェ
    ノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミ
    ド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹
    脂のいずれか1種若しくは2種以上からなる積層構造又
    はいずれか2種以上を混合した1層構造である保護板の
    厚みが0.01mm以上30mm以下であることを特徴とする請求
    項3又は4記載の溶湯容器の保護構造。
  6. 【請求項6】 無機質繊維材の厚みが1mm以上30mm以下
    であることを特徴とする請求項3又は4記載の溶湯容器
    の保護構造。
  7. 【請求項7】 無機質繊維材の1000℃における加熱線収
    縮率が3%未満であることを特徴とする請求項3、4又
    は6記載の溶湯容器の保護構造。
  8. 【請求項8】 断熱材の厚さが3〜30mmであることを特
    徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の溶湯容器
    の保護構造。
  9. 【請求項9】 断熱材が3〜100nmの細孔を有すること
    を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の溶湯
    容器の保護構造。
  10. 【請求項10】 断熱材の比重が0.2〜0.4であり、熱伝
    導率が図1のA(200,0.015)、B(800,0.025)、C(800,
    0.1)及びD(200,0.04)で囲まれる範囲に含まれることを
    特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の溶湯容
    器の保護構造。
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