JP2003039842A - 平版印刷用原板 - Google Patents

平版印刷用原板

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JP2003039842A
JP2003039842A JP2001234987A JP2001234987A JP2003039842A JP 2003039842 A JP2003039842 A JP 2003039842A JP 2001234987 A JP2001234987 A JP 2001234987A JP 2001234987 A JP2001234987 A JP 2001234987A JP 2003039842 A JP2003039842 A JP 2003039842A
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Japan
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hydrophilic
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lithographic printing
image forming
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JP2001234987A
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English (en)
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Kazuo Maemoto
一夫 前本
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デジタル信号に基づいた赤外線走査露光後、
処理を行うことなくそのまま印刷機に装着して印刷可能
な平版印刷用原板であって、機上現像性が良好で、印刷
汚れし難く、しかも高耐刷な平版印刷用原板を提供す
る。 【解決手段】 親水性基板上に、酸性基をもたない疎水
性化前駆体、分子量500以下で炭化水素基の炭素数が
2〜5の多価アルコール及び光熱変換剤を含有する画像
形成層を有する平版印刷用原板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、支持体上に親水性
の画像形成層を有するネガ型の平版印刷用原板に関す
る。より詳しくは、デジタル信号に基づいた赤外線走査
露光による画像記録が可能であり、画像記録したものは
そのまま印刷機に装着して機上現像による製版が可能な
平版印刷用原板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツ
ウ・プレート(CTP)システムについては、多数の研
究がなされている。その中で、一層の工程合理化と廃液
処理問題の解決を目指して、露光後、現像処理すること
なしにそのまま印刷機に装着して印刷できる平版印刷用
原板が研究され、種々の方法が提案されている。
【0003】処理工程をなくす方法の一つに、露光済み
の印刷用原板を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダ
ーを回転しながら湿し水とインキを供給することによっ
て、印刷用原板の画像形成層の未露光部を除去する機上
現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷用原板を露
光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で
現像処理が完了する方式である。このような機上現像に
適した平版印刷用原板は、湿し水やインキ溶剤に可溶な
画像形成層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で
現像されても可視光によるカブリなどの問題が生じない
明室取り扱い適性を有することが必要とされる。
【0004】例えば、日本特許2938397号公報に
は、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合
体の微粒子を分散させた感光層(画像形成層)を親水性
支持体上に設けた平版印刷用原板が記載されている。こ
の公報には、該平版印刷用原板において、赤外線レーザ
ー露光して熱可塑性疎水性重合体の微粒子を熱により合
体(融着)させて画像形成した後、印刷機シリンダー上
に版を取付け、湿し水および/またはインキにより機上
現像できることが記載されている。この平版印刷用原板
は感光域が赤外線域であることにより、明室取り扱い適
性も有している。
【0005】また特開平9−127683号には、親油
化可能な自己水分散性熱可塑性樹脂微粒子層を用いた、
現像操作不要の熱記録型平版印刷版が記載されている。
また、粒子同士の融着防止や版のインキ汚れ防止のた
め、多価アルコール、特にグリセリンを添加することが
好ましく、グリセリンは、樹脂粒子が基体上に残存して
も非画像部へのインキ付着を防ぎ、かつ親水性基体表面
から樹脂粒子の脱離を容易にし、従来の印刷版と同等以
上のインキ汚れ防止が可能になると記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような熱可塑性疎水性重合体の微粒子を露光によって生
ずる熱で融着させる画像形成方法には、機上現像性を向
上させると耐刷力が得にくく、耐刷力を高めると機上現
像性や印刷での汚れ難さが劣化するといった、機上現像
性及び汚れ難さと高耐刷性とを両立させるのが困難な問
題があった。また、自己水分散性熱可塑性樹脂微粒子と
多価アルコールを用いる技術では、刷り込んだときに着
肉不良が発生しやすく、耐刷不良となる問題があった。
【0007】従って本発明の目的は、上記の先行技術の
問題を解決することにある。すなわち、デジタル信号に
基づいた赤外線走査露光後、処理を行うことなくそのま
ま印刷機に装着して印刷可能な平版印刷用原板であっ
て、機上現像性が良好で、印刷汚れし難く、しかも高耐
刷な平版印刷用原板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、画像部を形
成する疎水性化前駆体のポリマー微粒子には、酸性基を
含まないポリマーを用い、画像形成層の親水性バインダ
ーとして良く知られている親水性樹脂の代わりに低分子
多価アルコールを用いるか、又は親水性樹脂に低分子多
価アルコールをブレンドして用いたところ、意外にも耐
刷性が劣化せず、機上現像性や印刷汚れと耐刷性との両
立が可能であることを見出し、本発明に至った。従来の
自己水分散性熱可塑性樹脂微粒子を用いた技術では、該
微粒子が親水性の強い酸性基を有するため、熱によって
形成された画像部の疎水性(親油性)が損なわれ、その
ため刷り込んだときに着肉不良が発生しやすく、耐刷不
良となるものと推定される。すなわち、本発明は、以下
の通りである。
【0009】1.親水性基板上に、酸性基をもたない疎
水性化前駆体、分子量500以下で炭化水素基の炭素数
が2〜5の多価アルコール及び光熱変換剤を含有する画
像形成層を有する平版印刷用原板。
【0010】2.親水性基板上に、酸性基をもたない疎
水性化前駆体、分子量500以下で炭化水素基の炭素数
が2〜5の多価アルコール、分子量2000以上の親水
性樹脂及び光熱変換剤を含有する画像形成層を有する平
版印刷用原板。
【0011】3.分子量500以下で炭化水素基の炭素
数が2〜5の多価アルコールが、グリセリン、アルキレ
ングリコール及びポリアルキレングリコールから選ばれ
た少なくとも一つの多価アルコールであることを特徴と
する前記1又は前記2に記載の平版印刷用原板。
【0012】4.酸性基をもたない疎水性化前駆体が、
ポリスチレン又はポリメタクリル酸メチルの微粒子であ
ることを特徴とする前記1から前記3のいずれかに記載
の平版印刷用原板。
【0013】5.親水性基板が、密度1000〜320
0kg/m3の親水膜を有するアルミニウム基板である
ことを特徴とする前記1から前記4のいずれかに記載の
平版印刷用原板。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0015】本発明の画像形成層に用いられる酸性基を
もたない疎水性化前駆体とは、熱が加えられたときに親
水性の画像形成層を疎水性に変換できるポリマー微粒子
である。例えば、疎水性の、熱可塑性ポリマー微粒子、
熱硬化性ポリマー微粒子、及び熱反応性官能基を有する
ポリマー微粒子などであって、かつ酸性基をもたないポ
リマー微粒子である。ここで酸性基としては、カルボキ
シル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸
基、リン酸基などが挙げられる。本発明のポリマー微粒
子は、熱が加えられたときに、微粒子同士が溶融もしく
は反応合体することによって、親水性の画像形成層を疎
水性に変換するが、酸性基をもたないため疎水性を損な
うことなく、良好な耐刷性を与える。なお、本発明で
は、これらの微粒子を画像形成層中に単独又は二種以上
の組み合わせで用いることができる。
【0016】本発明に好適な熱可塑性ポリマー微粒子と
しては、1992年1月のResearchDisclosure No.33
303、特開平9−123387号、同9−13185
0号、同9−171249号、同9−171250号お
よびEP931647号などに記載の熱可塑性ポリマー
微粒子を好適なものとして挙げることができる。かかる
ポリマー微粒子を構成するポリマーとしては、エチレ
ン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、塩化ビニリデン、アクリロニトリルなどのモノマー
の単独重合体もしくは共重合体またはそれらの混合物を
挙げることができる。
【0017】共重合体としては、上記モノマー同士の共
重合体の他、上記モノマーと共重合でき、疎水性を低下
させる酸性基、例えば、カルボキシル基、スルホン酸
基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、リン酸基などをも
たないモノマーとの共重合体も含まれる。
【0018】その中で、特に好適なものとして、ポリス
チレン、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができ
る。
【0019】これらの熱可塑性ポリマーの微粒子化は、
米国特許3,476,937号に記載の乳化重合や熱可
塑性ポリマーを水非混和性溶剤に溶かした溶液を乳化剤
を用いて水相中に乳化分散する方法などで行うことがで
きる。
【0020】本発明の熱硬化性ポリマー微粒子に好適な
熱硬化性ポリマーとしては、フェノール骨格を有する樹
脂、尿素系樹脂(例えば、尿素又はメトキシメチル化尿
素など尿素誘導体をホルムアルデヒドなどのアルデヒド
類により樹脂化したもの)、メラミン系樹脂(例えば、
メラミン又はその誘導体をホルムアルデヒドなどのアル
デヒド類により樹脂化したもの)、アルキド樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂
等を挙げることができる。
【0021】好適なフェノール骨格を有する樹脂として
は、例えば、フェノール、クレゾールなどをホルムアル
デヒドなどのアルデヒド類により樹脂化したフェノール
樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、N−(p−ヒドロキシ
フェニル)メタクリルアミドなどのフェノール骨格を有
するメタクリルアミド又はアクリルアミド樹脂、及びp
−ヒドロキシフェニルメタクリレートなどのフェノール
骨格を有するメタクリレート又はアクリレート樹脂を挙
げることができる。中でも、特に好ましいのは、フェノ
ール骨格を有する樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びエ
ポキシ樹脂である。
【0022】本発明に用いられる熱硬化性ポリマー微粒
子の平均粒径は0.01〜2.0μmが好ましい。この
ような微粒子の合成方法としては、これら化合物を非水
溶性の有機溶剤に溶解し、これを分散剤が入った水溶液
と混合乳化し、さらに熱をかけて、有機溶剤を飛ばしな
がら微粒子状に固化させる方法がある。また、熱硬化性
ポリマーを合成する際に微粒子化してもよい。しかし、
これらの方法に限らない。
【0023】本発明に用いる熱反応性官能基を有するポ
リマー微粒子の熱反応性官能基としては、重合反応を行
うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタ
クリロイル基、ビニル基、アリル基など)、付加反応を
行うイソシアナート基もしくはそのブロック体及びその
反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、
アミノ基、ヒドロキシル基など)、同じく付加反応を行
うエポキシ基及びその反応相手であるアミノ基もしくは
ヒドロキシル基などを挙げることができる。
【0024】これらの官能基のポリマー微粒子への導入
は、重合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利
用して行ってもよい。
【0025】重合時に導入する場合は、これらの官能基
を有するモノマーを乳化重合あるいは懸濁重合すること
が好ましい。そのような官能基を有するモノマーとして
は特に限定されず、具体例として、アリルメタクリレー
ト、アリルアクリレート、ビニルメタクリレート、ビニ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジ
ルアクリレート、2−イソシアネートエチルメタクリレ
ートあるいはそのアルコールなどによるブロックイソシ
アナート、2−イソシアネートエチルアクリレートまた
はそのアルコールなどによるブロックイソシアナート、
2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルア
クリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、2官能アクリレー
ト、2官能メタクリレート等を挙げることができる。
【0026】また、乳化重合または懸濁重合の際に、上
記モノマーと共重合可能な、熱反応性官能基をもたない
モノマーを共存させてもよい。このようなモノマーとし
ては、疎水性を低下させる極性基、例えば、カルボキシ
ル基、スルホン基、ホスホン酸基等をもたないモノマー
であれば、特に限定されず、例えば、スチレン、アルキ
ルアクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニ
トリル、酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0027】熱反応性官能基の導入を重合後に行う場合
に用いる高分子反応として、例えば、WO96−343
16号に記載されている高分子反応を挙げることができ
る。
【0028】これらの熱反応性官能基を有するポリマー
微粒子の凝固温度は70℃以上が好ましく、経時安定性
の観点から、100℃以上がさらに好ましい。ポリマー
微粒子の平均粒径は、0.01〜20μmが好ましく、
さらに0.05〜2.0μmが好ましく、特に0.1〜
1.0μmが好ましい。この範囲内で良好な解像度およ
び経時安定性が得られる。
【0029】上記疎水性化前駆体の画像形成層への添加
量は、いずれの微粒子においても固形分換算で、画像形
成層固形分の20%以上が好ましく、40%以上がより
好ましい。この範囲内で、良好な画像形成ができ、良好
な耐刷性が得られる。
【0030】本発明の画像形成層は、分子量500以下
で炭化水素基の炭素数が2〜5の多価アルコールを含有
する。かかる多価アルコールとしては、好ましくは、グ
リセリン、アルキレングリコール、及びポリアルキレン
グリコールから選ばれた少なくとも一つの多価アルコー
ルである。
【0031】具体的化合物例として、グリセリン、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコール、ブチレングリ
コール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコー
ル、テトラブチレングリコール、ペンチレングリコー
ル、ジペンチレングリコール、トリペンチレングリコー
ル、テトラペンチレングリコールなどが挙げられる。中
でも、分子量300以下の化合物が特に好ましい。
【0032】上記多価アルコールの画像形成層への添加
量は、乾燥画像形成層の2〜20%が好ましく、より好
ましくは3〜15%である。この範囲内で、機上現像
性、印刷での汚れ難さ、及び耐刷性の良好なバランスが
得られる。
【0033】本発明の画像形成層は、上記多価アルコー
ルとともに、更に親水性樹脂を含有することができる。
かかる親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル基、ヒ
ドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、
アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシル基、
カルボキシラト基、スルホ基、スルホナト基、リン酸基
などの親水基を有するものが好ましい。
【0034】親水性樹脂の具体例として、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチ
ルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセ
テート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン
酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、
ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸
類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレート
のホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルア
クリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキ
シプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリ
マー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー
およびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートの
ホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアク
リレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレ
ングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポ
リビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくと
も60%、好ましくは少なくとも80%の加水分解ポリ
ビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドの
ホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホ
モポリマーおよびコポリマー、N−メチロールアクリル
アミドのホモポリマーおよびコポリマー等を挙げること
ができる。
【0035】本発明に用いることができる上記親水性樹
脂はその分子量が2000以上であることが好ましい。
2000未満では、十分な皮膜強度や耐刷性が得られ
ず、好ましくない。
【0036】親水性樹脂を画像形成層へ添加する場合の
添加量は、画像形成層固形分の1〜10%が好ましく、
2〜7%がさらに好ましい。また、親水性樹脂の添加量
は多価アルコールの添加量より少ない量であることが望
ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と耐刷性が得
られる。
【0037】本発明の画像形成層は、感度を向上させる
ため、光を吸収して発熱する光熱変換剤を含有する。か
かる光熱変換剤としては、700nm以上の光を吸収す
る物質であればよく、種々の顔料や染料を用いる事がで
きる。顔料としては、市販の顔料及びカラーインデック
ス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術
協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CM
C出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC
出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用でき
る。
【0038】顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮
合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔
料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキ
サジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン
系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔
料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カー
ボンブラック等が使用できる。
【0039】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法としては、親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする
方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例え
ば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤
やエポキシ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表
面に結合させる方法等が挙げられる。上記の表面処理方
法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷イ
ンキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔
料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載され
ている。
【0040】本発明の画像形成層に添加する顔料として
は、特に、水溶性又は親水性の樹脂と分散しやすく、か
つ親水性を損わないように親水性樹脂やシリカゾルで表
面がコートされたカーボンブラックが有用である。
【0041】顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲
にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範
囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法とし
ては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分
散技術が使用できる。詳細は、「最新顔料応用技術」
(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0042】染料としては、市販の染料及び文献(例え
ば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、
「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤
外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動
向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)又は特
許に記載されている公知の染料が利用できる。具体的に
は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染
料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボ
ニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シア
ニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
【0043】例えば、特開昭58−125246号、特
開昭59−84356号、特開昭60−78787号、
特開昭58−173696号、特開昭58−19459
5号、特開昭59−216146号、英国特許434,
875号、米国特許第4,973,572号等に記載さ
れているシアニン染料、米国特許第4,756,993
号記載のシアニン染料やアゾメチン染料、特開昭58−
181690号等に記載されているメチン染料、特開昭
58−112793号、特開昭58−224793号、
特開昭59−48187号、特開昭59−73996
号、特開昭60−52940号、特開昭60−6374
4号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58
−112792号等に記載されているスクワリリウム染
料、特開平11−235883号記載のフタロシアニン
化合物や特開平10−268512号記載の各種の染料
を挙げることができる。
【0044】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開
昭58−181051号、特開昭58−220143
号、特開昭59−41363号、特開昭59−8424
8号、特開昭59−84249号、特開昭59−146
063号、特開昭59−146061号、特公平5−1
3514号、特公平5−19702号に記載されている
ピリリウム系化合物、米国特許第4,283,475号
に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や、エポリン
社製エポライトIII−178、エポライトIII−130、
エポライトIII−125等も好ましく用いられる。
【0045】これらの中で、親水性の画像形成層に添加
するのに特に好ましい染料は水溶性基を有する染料で、
以下に具体例を構造式で示すが、これらに限定されな
い。
【0046】
【化1】
【0047】
【化2】
【0048】光熱変換剤をポリマー微粒子中に添加して
用いる場合は、前記の赤外線吸収顔料または染料でも良
いが、より親油性のものが好ましい。好適なものとして
以下に例示する染料を挙げることができる。
【0049】
【化3】
【0050】
【化4】
【0051】光熱変換剤の画像記録層への添加割合は、
画像記録層固形分の0.1〜50%が好ましく、3〜2
5%がさらに好ましい。この範囲内で、画像記録層の膜
強度を損なうことなく、良好な感度が得られる。
【0052】本発明の画像形成層には、光熱変換剤とし
て金属微粒子を用いることもできる。金属微粒子の多く
は、光熱変換性であって、かつ自己発熱性でもある。好
ましい金属微粒子として、Si、Al、Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、
Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、
W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの単体または合金も
しくはそれらの酸化物、硫化物の微粒子が挙げられる。
【0053】これらの金属微粒子を構成する金属の中で
も好ましい金属は、光照射によって熱融着し易い融点が
およそ1000℃以下で赤外、可視または紫外線領域に
吸収をもつ金属、たとえばRe、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、PbおよびSnである。
【0054】また、とくに好ましいのは、融点も比較的
低く、熱線に対する吸光度も比較的高い金属の微粒子、
たとえばAg、Au、Cu、Sb、GeおよびPbで、
とくに好ましい元素はAg、AuおよびCuが挙げられ
る。
【0055】また、例えばRe、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、Pb、Sn等の低融点金属の微粒子と
Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Ge等の自己発熱
性金属の微粒子を混合使用する等、2種以上の光熱変換
物質で構成されていてもよい。また、Ag、Pt、Pd
等微小片としたときに光吸収がとくに大きい金属種の微
小片と他の金属微小片を組み合わせて用いることは好ま
しい。
【0056】以上に述べた金属単体および合金の微粒子
は、表面を親水性化処理することによって、本発明の効
果がより発揮される。表面親水性化の手段は、親水性で
かつ粒子への吸着性を有する化合物、例えば界面活性剤
で表面処理したり、粒子の構成物質と反応する親水性基
を持つ物質で表面処理したり、保護コロイド性の親水性
高分子皮膜を設ける等の方法を用いることができる。特
に好ましいのは、表面シリケート処理であり、例えば鉄
微粒子の場合は、70℃のケイ酸ナトリウム(3%)水
溶液に30秒浸漬する方法によって表面を十分に親水性
化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で表
面シリケート処理を行うことができる。
【0057】これらの粒子の粒径は、好ましくは10μ
m以下、より好ましくは0.003〜5μm、特に好ま
しくは0.01〜3μmである。この範囲内で、良好な
感度と解像力が得られる。
【0058】本発明において、これらの金属微粒子を光
熱変換剤として用いる場合、その添加量は、好ましくは
画像形成層固形分の5%以上であり、より好ましくは1
0%以上で用いられる。この範囲内で高い感度が得られ
る。
【0059】本発明の画像形成層には、上記の他に、無
機微粒子、界面活性剤、着色剤、可塑剤など、親水性の
程度の制御、画像形成層の物理的強度の向上、層を構成
する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上、印刷適
性の向上、製版作業性の便宜上などの種々の目的の化合
物を添加することができる。以下これらについて説明す
る。
【0060】本発明の画像形成層には無機微粒子を添加
してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、
酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、ア
ルギン酸カルシウムまたはこれらの混合物などが好適な
例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜
の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用い
ることができる。
【0061】無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μm
のものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmで
ある。粒径がこの範囲内で、樹脂微粒子や光熱変換剤の
金属微粒子とも親水性樹脂内に安定に分散し、画像形成
層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水
性に優れた非画像部を形成できる。
【0062】このような無機微粒子は、コロイダルシリ
カ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微
粒子の画像形成層への含有量は、画像形成層の全固形分
の1.0〜70%が好ましく、より好ましくは5.0〜
50%である。
【0063】本発明の画像形成層には、画像形成層の分
散安定性や製版及び印刷性能向上のため、ノニオン系及
びアニオン系界面活性剤のほか、特開平2−19535
6号に記載されているようなカチオン界面活性剤、含フ
ッ素界面活性剤、及び特開昭59−121044号及び
特開平4−13149号に記載されている両性界面活性
剤を添加することができる。
【0064】ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポ
リオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレ
ンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリ
オキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリ
オキシプロピレンブロックコポリマー類、さらにポリオ
キシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマ
ーの端末の水酸基に炭素数5〜24の脂肪族基がエーテ
ル結合した複合ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
類、同じくアルキル置換アリール基がエーテル結合した
複合ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル
類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステア
レート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノ
パルミテート、ソルビタンモノオレート、ソルビタント
リオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオ
キシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエ
チレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレ
ンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソ
ルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビ
タントリオレートなどのポリオキシエチレンソルビタン
脂肪酸エステル類などが挙げられる。
【0065】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
やN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商
品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。
【0066】アニオン系活性剤の具体例としては、アル
キルスルホン酸類、アリールスルホン酸類、脂肪族カル
ボン酸類、アルキルナフタレンスルホン酸類、アルキル
ナフタレンスルホン酸又はナフタレンスルホン酸とホル
ムアルデヒドの縮合型のもの、炭素数9〜26の脂肪族
スルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸類、ラウリ
ルポリオキシエチレン硫酸、セチルポリオキシエチレン
スルホン酸、オレイルポリオキシエチレンホスホン酸な
どのポリオキシエチレン含有硫酸やポリオキシエチレン
含有燐酸などが挙げられる。
【0067】カチオン活性剤の具体例としては、ラウリ
ルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウム
クロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロラ
イド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライ
ドなどが挙げられる。
【0068】フッ素系界面活性剤としては、パーフルオ
ロアルキル基を有する界面活性剤が好ましく、カルボン
酸、スルホン酸、硫酸エステル及びリン酸エステルのい
づれかを有するアニオン型の界面活性剤、又は、脂肪族
アミン、第4級アンモニウム塩のようなカチオン型の界
面活性剤、又はベタイン型の両性界面活性剤、又は、ポ
リオキシ化合物の脂肪族エステル、ポリアルキレンオキ
シド縮合型、ポリエチレンイミン縮合型のようなノニオ
ン型界面活性剤などが挙げられる。
【0069】上記界面活性剤を添加する場合の親水層全
固形物中に占める割合は、0.05〜15%が好まし
く、より好ましくは0.1〜5%である。
【0070】本発明の画像形成層には、画像形成後、画
像部と非画像部の区別をつきやすくするため、可視光域
に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用する
ことができる。具体的には、オイルイエロー#101、
オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイ
ルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#
603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オ
イルブラックT−505(以上オリエント化学工業
(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイ
オレット(CI42555)、メチルバイオレット(C
I42535)、エチルバイオレット、ローダミンB
(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI4
2000)、メチレンブルー(CI52015)等、お
よび特開昭62−293247号に記載されている染料
を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、
アゾ系顔料、酸化チタンなどの顔料も好適に用いること
ができる。添加量は、画像形成層の全固形分に対し、
0.01〜10%の割合であることが好ましい。
【0071】本発明の画像形成層には、必要に応じ、塗
膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることがで
きる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリ
ブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル
酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジ
ル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン
酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0072】本発明の画像形成層に熱反応性官能基を有
するポリマー微粒子を用いる場合は、必要に応じて、こ
れらの反応を開始または促進する化合物を添加すること
ができる。反応を開始または促進する化合物としては、
熱によりラジカルまたはカチオンを発生するような化合
物を挙げることができ、例えば、ロフィンダイマー、ト
リハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジアゾニ
ウム塩またはジフェニルヨードニウム塩などを含んだオ
ニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナートなど
が挙げられる。また、これらの化合物は、ポリマー微粒
子中またはマイクロカプセルに内包される化合物中に添
加することもできる。これらの化合物の画像形成層への
添加量は、画像形成層固形分の1〜20%が好ましく、
より好ましくは1〜10%である。この範囲内で、機上
現像性を損なわず、良好な反応開始もしくは促進効果が
得られる。
【0073】本発明の画像形成層は、必要な上記各成分
を溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製し、塗布され
る。溶剤としては、水または水と有機溶剤との混合溶剤
が用いられるが、有機溶剤の混合使用が、塗布後の面状
を良好にする点で好ましい。有機溶剤の量は、有機溶剤
の種類によって異なるので、一概に決めがたいが、5〜
50%が好ましい。しかし、有機溶剤は微粒子が凝集し
ない範囲の量で使用する必要がある。塗布液の固形分濃
度は、好ましくは1〜50%である。
【0074】上記の塗布液用の有機溶剤としては、水に
可溶な有機溶剤が好ましく、例えば、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキ
シ−2−プロパノールなどのアルコール系溶剤、アセト
ン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、エチレン
グリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル
系溶剤、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロ
フラン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。特
に、沸点が120℃以下であり、水に対する溶解度(水
100gに対する溶解量)が10g以上のものが好まし
く、20g以上であるものがさらに好ましい。
【0075】本発明の画像形成層塗布液には、塗布性向
上剤として、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性
剤、フッ素系界面活性剤などを用いることができる。中
でも、特開昭62−170950号に記載されているよ
うなフッ素系界面活性剤が好ましい。好ましい添加量
は、画像形成層固形分の0.01〜1%である。
【0076】塗布する方法としては、種々の方法を用い
ることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられ
る。塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像形成層の塗
布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に
0.5〜5.0g/m2が好ましく、0.5〜2.0g
/m2がより好ましい。
【0077】本発明に用いる支持体は、親水性表面を有
する基板、又は親水層の塗布などによって親水性表面を
付与された基板である。具体的には、紙、プラスチック
(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例え
ば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラ
ミネート若しくは蒸着された紙もしくはプラスチックフ
ィルム、又はこれらの基板に親水層を塗布されたもので
ある。より好ましい支持体としては、アルミニウム板及
び親水層を塗布されたポリエステルフィルムが挙げられ
る。
【0078】該アルミニウム板は、純アルミニウム板お
よびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合
金板であり、さらにはアルミニウムまたはアルミニウム
合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているもの
である。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ
素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、
ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素
の含有量は10%以下である。また、DC鋳造法を用い
たアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳
造法による鋳塊からのアルミニウム板であっても良い。
しかし、本発明に適用されるアルミニウム板には、従来
より公知公用の素材、例えば、JISA 1050、J
IS A 1100、JIS A 3103、JIS
A 3005等も適宜に利用することができる。
【0079】本発明で用いられる上記の基板の厚みは
0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜
0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mm
である。
【0080】一般に、平版印刷版用アルミニウム基体
は、アルミニウム板に付着している圧延油を除く脱脂工
程、アルミニウム板の表面のスマットを溶解するデスマ
ット処理工程、アルミニウム板の表面を粗面化する粗面
化処理工程を経て製造される。
【0081】アルミニウム支持体を得るための上記アル
ミニウム支持体材料は、強固な汚れや自然酸化皮膜を除
去等のため、苛性ソーダなどのアルカリ水溶液を用いて
溶解処理が行われ、処理後の残留アルカリ成分を中和の
ため、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、クロム酸等の酸ある
いはそれらの混酸に浸漬する中和処理が行われる。直、
必要により上記アルミニウム支持体材料表面の油脂、
錆、ゴミ等を除去するため、トリクレン、シンナー等に
よる溶剤脱脂、ケロシン、トリエタノール等のエマルジ
ョンを用いてエマルジョン脱脂処理を行ってもよい。
【0082】上記アルカリ水溶液を用いた溶解処理及び
酸による中和処理の次に、後述の電気化学的粗面化処理
を行う場合は、中和処理に使用する酸の種類及び組成
を、電気化学的粗面化処理に使用する酸のそれに合わせ
ることが好ましい。
【0083】アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々
の方法により行われる。例えば、機械的に粗面化する方
法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学
的に表面を選択溶解させる方法、及びこれらの方法の組
み合わせを挙げることができる。
【0084】機械的方法としては、ボール研磨法、ブラ
シ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法
を用いることができる。化学的方法としては、特開昭5
4−31187号に記載されているような鉱酸のアルミ
ニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。ま
た、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸等の
酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法があ
る。また、特開昭54−63902号に開示されている
ように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することが
できる。
【0085】上記の如き方法による粗面化は、アルミニ
ウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.
0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
【0086】粗面化されたアルミニウム板は必要に応じ
て水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等の水溶液を用い
てアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理され
る。
【0087】本発明では、上記のように粗面化処理及び
必要に応じて他の処理を施されたアルミニウム板に親水
膜を設けることが好ましい。特に、密度が1000〜3
200kg/m3である親水膜を設けた支持体は、皮膜
強度や印刷での汚れにくさが良好である他、画像形成層
で発生した熱が支持体に放散されるのを防ぐ断熱性が良
好であるため、本発明に好適である。
【0088】上記密度の測定法としては、例えば、メイ
ソン法(クロム酸/リン酸混合液によって親水膜を溶解
し、親水膜重量を求める)と、断面をSEM(走査電子
顕微鏡)で観察して求めた膜厚から、以下の式で算出す
ることができる。
【0089】密度(kg/m3)=(単位面積当たりの
親水膜重量)/膜厚
【0090】形成された親水膜密度が1000kg/m
3未満では皮膜強度が低くなり、画像形成性や耐刷性な
どに悪影響を及ぼす可能性があり、また、印刷での汚れ
にくさも劣化する。3200kg/m3を越えると充分
な断熱性が得られず、感度向上効果が低下する。
【0091】親水膜を設ける方法としては、特に限定さ
れず、陽極酸化法、蒸着法、CVD法、ゾルゲル法、ス
パッタリング法、イオンプレーティング法、拡散法等を
適宜用いることができる。また、親水性樹脂またはゾル
ゲル液に中空粒子を混合した溶液を塗布する方法を用い
ることもできる。
【0092】中でも、陽極酸化法により酸化物膜を作製
する処理、即ち、陽極酸化処理を用いるのが最も好適で
ある。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法
で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、クロ
ム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸
等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液または
非水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流を流
すと、アルミニウム板の表面に、親水性皮膜である陽極
酸化皮膜を形成することができる。
【0093】陽極酸化処理の条件は、使用される電解液
によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一
般的には電解液濃度1〜80%、液温5〜70℃、電流
密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜200V、電解
時間1〜1000秒であるのが適当である。
【0094】これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許
第1,412,768号明細書に記載されている、硫酸
電解液中で高電流密度で陽極酸化処理する方法、およ
び、米国特許第3,511,661号明細書に記載され
ている、リン酸を電解浴として陽極酸化処理する方法が
好ましい。また、硫酸中で陽極酸化処理し、更にリン酸
中で陽極酸化処理するなどの多段陽極酸化処理を施すこ
ともできる。
【0095】本発明においては、陽極酸化皮膜は、非画
像部が傷付いて汚れを生じるのを有効に防ぐ観点から、
1.5g/m2以上であるのが好ましい。
【0096】本発明で用いられる支持体としては、上記
のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板その
ままでも良いが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、
断熱性等の一層の改良のため、必要に応じて、特願20
00−65219号や特願2000−143387号に
記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処
理、マイクロポアの封孔処理、および親水性化合物を含
有する水溶液に浸漬する表面親水化処理等を適宜選択し
て行うことができる。
【0097】上記親水化処理のための好適な親水性化合
物としては、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をも
つ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸
塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ
素化合物等を挙げることができる。
【0098】本発明の支持体としてポリエステルフィル
ムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、
親水層の塗布等により表面を親水性にする必要がある。
親水層としては、特願2000−10810号に記載
の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、
チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、
鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択さ
れる少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコ
ロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好まし
い。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含
有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
【0099】本発明においては、画像形成層を塗布する
前に、必要に応じて、特願2000−143387号に
記載の、例えばホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無
機下塗り層、又は例えばカルボキシメチルセルロース、
デキストリン、ポリアクリル酸などの含有する有機下塗
り層が設けられてもかまわない。又、この下塗り層に
は、前記光熱変換剤を含有させてもよい。
【0100】本発明の平版印刷用原板は、保存時の親油
性物質による汚染や取り扱い時の手指の接触による指紋
跡汚染等から親水性の画像形成層表面を保護するため、
画像形成層上に親水性オーバーコート層を設けることが
できる。
【0101】本発明に使用される親水性オーバーコート
層は印刷機上で容易に除去できるものであり、水溶性樹
脂、または水溶性樹脂を部分的に架橋した水膨潤性樹脂
から選ばれた樹脂を含有する。
【0102】かかる水溶性樹脂は、水溶性の天然高分子
および合成高分子から選ばれ、水溶性樹脂単独もしくは
架橋剤とともに用いて、塗布乾燥された皮膜がフィルム
形成能を有するものである。
【0103】本発明に好ましく用いられる水溶性樹脂の
具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶
性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチ
ルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセ
ルローズ等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プ
ルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分
子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水
分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアル
カリ金属塩またはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、
そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリメタクリル
酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ビニルアルコ
ール/アクリル酸共重合体およびそのアルカリ金属塩ま
たはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポ
リヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリド
ン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニル
メチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−
アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン
酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、ポリ−2−ア
クリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共
重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩、等を挙げ
ることができる。目的に応じて、これらの樹脂を二種以
上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれ
らの例に限定されるものではない。
【0104】水溶性樹脂の少なくとも1種以上を部分架
橋し、画像形成層上にオーバーコート層を形成する場
合、架橋は、水溶性樹脂の有する反応性官能基を用いて
架橋反応することにより行われる。架橋反応は、共有結
合性の架橋であっても、イオン結合性の架橋であっても
よい。
【0105】架橋により、オーバーコート層表面の粘着
性が低下して平版印刷用原板の取り扱い性がよくなる
が、架橋が進み過ぎるとオーバーコート層が親油性に変
化して、印刷機上におけるオーバーコート層の除去が困
難になるので、適度な部分架橋が好ましい。好ましい部
分架橋の程度は、25℃の水中に印刷用原板を浸したと
きに、30秒〜10分間では親水性オーバーコート層が
溶出せず残存しているが、10分以上では溶出が認めら
れる程度である。
【0106】架橋反応に用いられる化合物(架橋剤)と
しては、架橋性を有する公知の多官能性化合物が挙げら
れ、ポリエポキシ化合物、ポリアミン化合物、ポリイソ
シアナート化合物、ポリアルコキシシリル化合物、チタ
ネート化合物、アルデヒド化合物、多価金属塩化合物、
ヒドラジン等が挙げられる。
【0107】架橋剤は単独または2種以上を混合して使
用することが可能である。架橋剤のうち特に好ましい架
橋剤は、水溶性の架橋剤であるが、非水溶性のものは分
散剤によって水に分散して使用することができる。
【0108】特に好ましい水溶性樹脂と架橋剤の組み合
わせとしては、カルボン酸含有水溶性樹脂/多価金属化
合物、カルボン酸含有水溶性樹脂/水溶性エポキシ樹
脂、水酸基含有樹脂/ジアルデヒド類を挙げられる。
【0109】架橋剤の好適な添加量は、水溶性樹脂の2
〜10%である。この範囲内で印刷機上でのオーバーコ
ート層の除去性を損なうことなく、良好な耐水性が得ら
れる。
【0110】上記のオーバーコート層には、感度を向上
させるため光熱変換剤を含有させることができる。好ま
しい光熱変換剤としては、水溶性の赤外線吸収色素が挙
げられ、中でも、前記の画像形成層の説明中に構造式で
示した赤外線吸収色素が好適に用いられる。
【0111】その他、オーバーコート層には塗布の均一
性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオ
ン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イ
オン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステ
アレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタント
リオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオ
ン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める
割合は、0.05〜5%が好ましく、より好ましくは1
〜3%である。
【0112】本発明のオーバーコート層の厚みは、水溶
性樹脂が架橋されていない場合は、0.1〜4.0μm
が好ましく、更に好ましい範囲は0.1〜1.0μmで
あり、水溶性樹脂が部分架橋されている場合は、0.1
〜0.5μmが好ましく、0.1〜0.3μmがより好
ましい。この範囲内で、印刷機上でのオーバーコート層
の除去性を損なうことなく、親油性物質による画像形成
層の汚染を防止できる。
【0113】本発明の平版印刷用原板は熱により画像形
成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像
様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯
などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが
用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放
射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外
線レーザによる露光が好適である。
【0114】本発明の平版印刷用原板は、レーザー出力
が0.1〜300Wのレーザーで照射をすることができ
る。また、パルスレーザーを用いる場合には、ピーク出
力が1000W、好ましくは2000Wのレーザーを照
射するのが好ましい。この場合の露光量は、印刷用画像
で変調する前の面露光強度が0.1〜10J/cm2
範囲であることが好ましく、0.3〜1J/cm2の範
囲であることがより好ましい。支持体が透明である場合
は、支持体の裏側から支持体を通して露光することもで
きる。
【0115】画像露光された本発明の平版印刷用原板
は、それ以上の処理なしに印刷機の圧胴に取り付けられ
た後、湿し水とインキを供給し、さらに紙を供給する通
常の印刷開始操作によって機上現像され、続いて印刷す
ることができる。
【0116】また、本発明の平版印刷用原板は、印刷機
の版胴上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザ
ーにより露光し、続いて機上現像し、印刷するシステム
にも用いられる。
【0117】また、本発明の平版印刷用原板は、露光
後、水又は適当な水溶液を現像液とする液体現像処理を
した後、印刷に用いることも可能である。
【0118】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】[支持体の製造例] (a)アルミニウムを主とする合金(珪素:0.07
%、鉄:0.30%、銅:0.17%、マンガン:0.
001%、マグネシウム:0.001%、亜鉛:0.0
01%、チタン:0.03%、残部はアルミニウムと不
可避不純物)を用いて溶湯を調整し、溶湯処理、濾過を
行った上で、厚さ500mm幅1200mmの鋳塊をD
C鋳造法で作成し、表面を平均10mm面削機で削り取
った後、約5時間550℃で均熱保持し、温度400℃
に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7m
mの圧延板とし、更に連続焼鈍機を使って熱処理を50
0℃で行った後、冷間圧延で、厚さ0.24mmに仕上
げた。このアルミニウム板を幅1030mmにした後、
連続的に処理を行った。
【0120】(b)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度
2.6%、アルミニウムイオン濃度6.5%、温度70
℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウ
ム板を7g/m2溶解した。その後スプレーによる水洗
をおこなった。
【0121】(c)温度30℃の硝酸濃度1%水溶液
(アルミニウムイオン0.5%含む)で、スプレーによ
るデスマット処理を行い、その後スプレーで水洗した。
前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で
交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用
いた。
【0122】(d)60Hzの交流電圧を用いて連続的
に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液
は、硝酸1%水溶液(アルミニウムイオン0.5%、ア
ンモニウムイオン0.007%含む)、温度50℃であ
った。交流電源波形は図1に示した波形で電流値がゼロ
からピークに達するまでの時間TPが2msec、du
ty比1:1、台形の短形波交流を用いて、カーボン電
極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助
アノードにはフェライトを用いた。
【0123】電流密度は電流のピーク値で30A/dm
2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で
270C/dm2であった。補助陽極には電源から流れ
る電流の5%を分流させた。その後、スプレーによる水
洗を行った。
【0124】(e)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度2
6%、アルミニウムイオン濃度6.5%でスプレーによ
るエッチング処理を70℃で行い、アルミニウム板を
0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的
な粗面化をおこなったときに生成した水酸化アルミニウ
ムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピット
のエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。そ
の後スプレーで水洗した。
【0125】(f)温度60℃の硫酸濃度25%水溶液
(アルミニウムイオンを0.5%含む)で、スプレーに
よるデスマット処理をおこない、その後スプレーによる
水洗をおこないった。ここまでの基板を基板Aとした。
【0126】(g)搬送式の陽極酸化装置を使って陽極
酸化処理をおこなってから、スプレーによる水洗を行っ
た。なお、陽極酸化条件を表1に記載のように変えて行
った。
【0127】ここで形成された低密度皮膜の密度は、メ
イソン法及び断面をSEMにより3箇所観察した結果よ
り、それぞれ10箇所合計30箇所から測定された膜厚
から求め、重量/膜厚を密度(kg/m3)とした。測
定結果を下記表1に示す。
【0128】(i)つぎに、3号珪酸ソーダ1%水溶液
にて20℃、10秒間処理を行った。その後、スプレー
による水洗を行った。ここまでの基板を陽極酸化処理条
件に従い、それぞれ基板B−1〜基板B−5とする。
【0129】
【表1】
【0130】[微粒子の合成例] 微粒子A(ポリスチレン微粒子)の合成 2リットルの三口フラスコに、ドデシル硫酸ナトリウム
2.1g、蒸留水815mlを秤取り、75℃、窒素気
流下にて10分間攪拌した。この溶液に、過硫酸カリウ
ム0.462g、蒸留水11.3ml、及び1モル/l
の炭酸水素ナトリウム水溶液3.5mlを混合した溶液
を加えた後、スチレン105.14gを3時間かけて滴
下した。滴下終了後、過硫酸カリウム0.462g、蒸
留水14.3ml、及び1モル/lの炭酸水素ナトリウ
ム水溶液3.5mlを混合した溶液を加え、更に3時間
攪拌を続けた。得られた反応混合物を室温まで冷却し、
グラスフィルターで濾過して、ポリスチレンラテックス
を得た。得られたラテックスの平均粒径は0.100μ
mであり、ラテックス水溶液の固形分濃度は11%であ
った。
【0131】微粒子B(酸性基を有する比較例用ポリマ
ー微粒子)の合成 エチレンとメタクリル酸メチルを高圧ポリエチレンの製
造方法に準じて共重合させ、メタクリル酸メチルの含量
は4.7モル%で溶融指数(メルトインデックス)は5
5g/10分の共重合体を得た。この共重合体25g、
ベンゼン45g、メタノール10g、水酸化ナトリウム
5.0gを耐圧ガラス容器中で120℃の温度で溶解
し、均一系で2時間反応を行なわせ反応を完結した。
(ケン化物となる。)この溶液に酢酸7.0gを加えて
中和反応し、反応生成物を析出分離した。このケークを
水洗し、溶媒回収をした後、乾燥し、エチレン−メタク
リル酸およびそのナトリウム塩からなる共重合体を得
た。赤外線吸収スペクトル分析によりカルボン酸ナトリ
ウム塩基の含量は、1.3モル%であり、粒径は、98
%が20メッシュより大きく、5メッシュより小さかっ
た。
【0132】この共重合体を40gに水120gを加え
て、200ml耐圧ガラス容器を使用してラテックス化
を試みた。電熱を使用し140℃に加熱し、攪拌はプロ
ペラ型攪拌翼(1000回転/分)を使用し、60分間
処理を行なった。得られた自己水分散性ラテックスの粒
径は100nmであり、水溶液の固形分濃度は25%で
あった。
【0133】実施例1〜9及び比較例1〜4 前記の製造例で得た支持体上に、下記のように調製した
画像形成層塗布液をロッドバーで塗布し、60℃で3分
間乾燥して、画像形成層の乾燥固形分量0.8g/m2
の平版印刷用原板及び比較例用の平版印刷用原板を得
た。各実施例に用いた、支持体、微粒子、低分子多価ア
ルコール及び/又は水溶性樹脂を表2に示した。
【0134】 画像形成層塗布液 ポリスチレンラテックス水溶液(固形分換算で) 9.0g 低分子多価アルコール(化合物の種類と添加量は表2に記載) 親水性樹脂(化合物の種類と添加量は表2に記載) 光熱変換剤(本明細書記載のIR−10) 1.0g 蒸留水 60g メタノール 40g (ただし、比較例4では、光熱変換剤を添加しない。)
【0135】得られた平版印刷用原板を水冷式40W赤
外線半導体レーザーを搭載したクレオ社製トレンドセッ
ター3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数
210rpm、版面エネルギー:100mJ/cm2
解像度2400dpiの条件で露光した後、現像処理す
ることなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mの版
胴に取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、
さらに紙を供給して印刷を行った。全ての印刷版用原板
とも、機上現像することができ、印刷が可能であった。
各プレートの機上現像に要した紙の枚数(機上現像枚
数)と得られた印刷物の枚数(耐刷枚数)を表2に記載
した。
【0136】
【表2】
【0137】本発明の微粒子と多価アルコールを併用し
て用いた場合に、機上現像に要する紙の枚数が少なくて
済み、機上現像性が良好であるとともに、耐刷性が良好
であることがわかる。
【0138】
【発明の効果】本発明によれば、デジタル信号に基づい
た赤外線走査露光後、処理を行うことなくそのまま印刷
機に装着して印刷可能な平版印刷用原板であって、機上
現像性が良好で、印刷汚れし難く、しかも高耐刷な平版
印刷用原板を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA12 AA13 AB03 AC08 AD01 BH00 BJ03 CB54 CC03 CC11 CC20 FA10 2H096 AA06 BA20 CA03 EA04 EA23 2H114 AA04 AA22 BA01 DA04 DA08 DA09 DA25 DA48 DA52 DA73 DA78 EA01 EA03 EA04 FA16 GA05 GA06 GA08 GA09 GA34 GA38

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性基板上に、酸性基をもたない疎水
    性化前駆体、分子量500以下で炭化水素基の炭素数が
    2〜5の多価アルコール及び光熱変換剤を含有する画像
    形成層を有する平版印刷用原板。
  2. 【請求項2】 親水性基板上に、酸性基をもたない疎水
    性化前駆体、分子量500以下で炭化水素基の炭素数が
    2〜5の多価アルコール、分子量2000以上の親水性
    樹脂及び光熱変換剤を含有する画像形成層を有する平版
    印刷用原板。
  3. 【請求項3】 分子量500以下で炭化水素基の炭素数
    が2〜5の多価アルコールが、グリセリン、アルキレン
    グリコール及びポリアルキレングリコールから選ばれた
    少なくとも一つの多価アルコールであることを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載の平版印刷用原板。
  4. 【請求項4】 酸性基をもたない疎水性化前駆体が、ポ
    リスチレン又はポリメタクリル酸メチルの微粒子である
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記
    載の平版印刷用原板。
  5. 【請求項5】 親水性基板が、密度1000〜3200
    kg/m3の親水膜を有するアルミニウム基板であるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載
    の平版印刷用原板。
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