JP2003037979A - 電力変換装置 - Google Patents

電力変換装置

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JP2003037979A
JP2003037979A JP2001223322A JP2001223322A JP2003037979A JP 2003037979 A JP2003037979 A JP 2003037979A JP 2001223322 A JP2001223322 A JP 2001223322A JP 2001223322 A JP2001223322 A JP 2001223322A JP 2003037979 A JP2003037979 A JP 2003037979A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】交流入力電流に含まれる高調波成分が抑制さ
れ、スイッチング素子のハードスイッチング・オンおよ
びハードスイッチング・オフが回避されるようになる電
力変換装置の提供。 【解決手段】主開閉素子23をターンオンする前に、補助
開閉素子26をターンオンし、転流調節インダクタンス27
に電流を転流させ、転流される電流の急激な増大を防止
し、転流完了時におけるダイオード71の逆回復電流を抑
制するとともに、転流調節インダクタンス27および転流
調節コンデンサ24を共振させ、第1保護ダイオード25に
電流が流れるようにし、この電流が第1保護ダイオード
25に流れているときに、主開閉素子23をターンオンし、
主開閉素子23のハードスイッチング・オンを回避する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導加熱を行うイ
ンバータ装置等に直流電力を供給するために、交流電力
を直流電力に変換する電力変換装置に関する。
【0002】
【背景技術】従来より、工作機械の刃等の炭素鋼を焼き
入れする等のために、誘導加熱を行う場合には、交流電
力を出力するとともに、負荷に応じて、その出力周波数
が調節可能となったインバータ装置が利用されている。
インバータ装置は、電力会社が供給する交流電力を利用
するために、交流電力を直流電力に変換する整流装置を
備えたものが一般的である。インバータ装置に設けられ
る整流装置としては、半導体ダイオード等の整流用受動
素子で全波整流ブリッジ回路を形成した受動素子型整流
装置、および、IGBT等の電力制御用能動素子でブリ
ッジ回路を形成した能動素子型整流装置等が採用でき
る。
【0003】図5には、受動素子型整流装置の一例が示
されている。図5において、整流装置70は、三相交流電
源1から供給される交流電力を直流電力に変換するもの
であり、複数のダイオード71から形成されたブリッジ回
路72と、このブリッジ回路72の出力を平滑する平滑コン
デンサ73と、ブリッジ回路72および三相交流電源1の間
の各相に接続された交流リアクトル74とを備えている。
このような整流装置70では、交流入力電流が正弦波には
ならず、高調波成分を含んだ方形波となるので、整流装
置70全体を簡単な回路で構成できるという利点がある反
面、高調波成分を抑制することができない、という問題
がある。
【0004】図6には、能動素子型整流装置の一例が示
されている。図6において、整流装置80は、三相交流電
源1から供給される交流電力を直流電力に変換するにあ
たり、出力電力を負荷に応じて制御するPWM制御方式
のものである。この整流装置80には、複数のスイッチン
グ素子81から形成されたブリッジ回路82と、このブリッ
ジ回路82の出力を平滑する平滑コンデンサ83と、ブリッ
ジ回路82および三相交流電源1の間の各相に接続された
交流リアクトル84と、ブリッジ回路82のスイッチング素
子81のそれぞれに並列かつ逆方向に接続された保護ダイ
オード85とが設けられている。そして、図示しない制御
回路により、各スイッチング素子81をオンオフ制御し、
三相交流電源1の交流電圧を複数の電圧パルスに分断す
るとともに、各電圧パルスのパルス幅を調節し、これに
より、負荷に供給する出力電力を制御するようになって
いる。このような整流装置80では、転流重なり角を存在
させ、転流期間中に電流が滑らかに変化するようにすれ
ば、高調波成分を抑制することができるという利点があ
る。
【0005】しかしながら、前述の整流装置80では、U
相、V相およびW相のそれぞれの+側の保護ダイオード
85に電流が流れている状態で、同じ相の−側のスイッチ
ング素子81をターンオンさせている。このようにする
と、+側の保護ダイオード85に電流が流れ、同じ相の−
側の保護ダイオード85に順方向の電圧が印加されている
状態で、−側のスイッチング素子81がターンオンされる
ので、当該−側の保護ダイオード85は、導通状態から遮
断状態に移行するのに逆回復時間を要する、というダイ
オードの特性から、すぐに遮断状態とならず、逆回復時
間が経過するまで短絡状態となり、当該保護ダイオード
85には、短絡電流(逆回復電流)が流れる。このため、
スイッチング素子81をターンオン時に、無駄な電流が保
護ダイオード85に流れ、電力の損失が増大するという問
題がある。また、スイッチング素子81のターンオン時、
保護ダイオード85が導通状態から遮断状態に移行する
と、それまで、保護ダイオード85に流れていた逆回復電
流が瞬時に遮断されるので、当該保護ダイオード85の両
端にサージ電圧が発生する、という問題もある。さら
に、各スイッチング素子81のターンオフ時には、電流が
導通中のスイッチング素子81が瞬時に遮断状態となるの
で、導通中の電流が瞬時に遮断され、大きなサージ電圧
が発生する、という問題がある。
【0006】一方、ダイオードからなるブリッジ回路に
流れる電流を転流させる転流回路を設け、この転流回路
側へ電流を流すことで、負荷への直流電力を調節する整
流装置を採用すれば、スイッチング素子の数を低減する
ことができる。すなわち、図7に示されるように、整流
装置90は、前述の整流装置70に転流回路91を追加したも
のであり、転流回路91のスイッチング素子92を適宜開閉
することにより、負荷に応じて出力電力をPWM制御す
るようになっている。ここで、転流回路91は、交流リア
クトル74とブリッジ回路72との間に接続されたものであ
り、各相の間に接続されたスイッチング素子92と、各ス
イッチング素子92に並列かつ逆方向に接続された保護ダ
イオード93とを有している。
【0007】そして、整流装置90には、図8に示される
ように、各相の電圧が正弦波状に変化するとともに、そ
の最大振幅がそれぞれ等しく、かつ、各相の電圧の位相
が120度ずつずれた三相交流電力が三相交流電源1か
ら供給される。以下に、このような三相交流電力が供給
される整流装置90の動作について説明する。なお、期間
T1,T3,T5の各波形は、互いに同形状であり、期間T2,T4,
T6の各波形は、期間T1,T3,T5の各波形と正負が逆ではあ
るが、やはり同形状であるので、ここでは、期間T1にお
ける動作を説明し、期間T2,T3,T4,T5,T6における動作に
ついては、期間T1と同様となるため説明を省略する。
【0008】期間T1において、整流装置90には、図9
(A)に示されるように、0から次第に上昇するU相電
圧と、0に向かって次第に下降するW相電圧と、負領域
内で変化するV相電圧とが印加される。このように印加
される電源電圧に対し、転流回路91のU相に設けられた
スイッチング素子92には、図9(B)に示されるよう
に、次第にパルス幅が増加していくゲート電圧が印加さ
れる。すると、転流回路91には、具体的には、U相のス
イッチング素子92には、図9(C)に示されるように、
交流リアクトル74の作用により、いきなり大きな電流が
流れることなく、ターンオンになった時点から次第に増
加していく電流が導通する。ここで、転流回路91側に電
流を導通させることにより、交流リアクトル74には、磁
気的エネルギーが蓄積される。
【0009】一方、U相のスイッチング素子92がターン
オフされると、ブリッジ回路72のU相の正極側に設けら
れたダイオード71には、図9(D)に示されるように、
交流リアクトル74の作用により、0から次第に増えてい
く電流ではなく、転流回路91のU相のスイッチング素子
92に導通していた電流が殆ど減少せずに転流する。結果
として、U相の電流、具体的には、U相の交流リアクト
ル74に流れる電流(スイッチング素子92に流れる電流
と、ダイオード71に流れる電流との和となる電流)は、
図9(E)に示されるように、殆ど遅れを生じさせずに
U相の電圧に追従して徐々に増加していくようになり、
高調波成分の抑制が図れる。また、スイッチング素子92
がターンオンになっている際に、交流リアクトル74に磁
気的エネルギーが蓄積され、スイッチング素子92がター
ンオフされると、交流リアクトル74に蓄積された磁気的
エネルギーが放出されるので、ブリッジ回路72に負荷が
接続されていても、スイッチング素子92に導通していた
電流は、殆ど減少せずにブリッジ回路72を通じて負荷側
に流れるようになり、これにより、直流電力を負荷に効
率よく供給することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような整流装置90
では、ブリッジ回路72側に流れていた電流を転流回路91
側に転流させる際に、スイッチング素子92には、ブリッ
ジ回路72側に流れていた電流が殆どそのまま転流される
うえ、ブリッジ回路72に設けられたダイオード71の逆回
復電流が流れるので、スイッチング素子92のターンオン
動作は、導通状態になるやいなや大電流が導通する、い
わゆるハードスイッチング・オンとなり、スイッチング
素子92には、厳しい動作条件になる、という問題があ
る。このため、スイッチング素子92としては、導通抵抗
が小さく、しかも、ハードスイッチングに対する耐久性
に優れたものを選択する必要が生じ、スイッチング素子
92の選択範囲が狭くなるという問題も生じる。
【0011】一方、転流回路91側に流れていた電流をブ
リッジ回路72側に転流させるにあたり、スイッチング素
子92に流れていた電流は、強制的かつ瞬時に遮断される
ので、スイッチング素子92に非常に大きなサージ電圧が
加わり、スイッチング素子92のターンオフ動作は、非常
に大きなサージ電圧が加わる、いわゆるハードスイッチ
ング・オフとなり、ターンオフ時においても、スイッチ
ング素子92には、厳しい動作条件になる、という問題が
ある。このため、スイッチング素子92としては、非常に
大きなサージ電圧に対する耐久性に優れたものを選択す
る必要が生じ、この点からも、スイッチング素子92の選
択範囲が狭くなるという問題も生じる。
【0012】本発明の目的は、交流入力電流に含まれる
高調波成分が抑制され、スイッチング素子のハードスイ
ッチング・オンおよびハードスイッチング・オフが回避
されるようになる電力変換装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、交流電源から
の電力を整流して直流電力に変換する電力変換装置であ
って、複数の整流素子をブリッジ状に組んだ整流スタッ
クと、この整流スタックの各相に流れる電流を転流させ
るために、前記整流スタックとは並列となるように、前
記交流電源の各相の間に接続される転流回路とを備え、
この転流回路には、互いに並列に接続された主転流回路
および補助転流回路とが設けられ、前記主転流回路に
は、電力制御用のスイッチング素子である主開閉素子
と、前記主開閉素子に並列に接続された転流調節コンデ
ンサと、前記主開閉素子に並列、かつ、前記主開閉素子
とは逆方向に接続された第1保護ダイオードとが設けら
れ、前記補助転流回路には、電力制御用のスイッチング
素子である補助開閉素子と、前記補助開閉素子に直列に
接続された転流調節インダクタンスと、前記補助開閉素
子とは並列、かつ、前記転流調節インダクタンスとは直
列に接続された第2保護ダイオードとが設けられている
ことを特徴とする。
【0014】このような本発明では、整流スタックに流
れている電流を転流回路側へ適宜転流することにより、
負荷に供給する出力電力が調整されるようになる。そし
て、負荷への電圧、電流あるいは電力の値を検出すると
ともに、検出した値に基づいて、転流回路の主開閉素子
を開閉するPWM制御を行えば、負荷に見合った出力電
力が常に供給できるようになる。
【0015】ここで、主開閉素子をターンオンさせて、
整流スタックに流れている電流を転流回路に転流するに
あたり、主開閉素子をターンオンする前に、補助開閉素
子をターンオンすれば、補助転流回路には、補助開閉素
子に直列に接続された転流調節インダクタンスの作用に
より、電流が緩やかに流れ始める。このため、整流スタ
ックの整流素子に流れている電流は、緩やかに減少する
ので、転流が完了した際における整流素子の逆回復電流
は、抑制されて大きくなることはない。また、補助転流
回路に設けた転流調節インダクタンスと、主転流回路に
設けた転流調節コンデンサとを設け、転流開始の際に、
転流調節インダクタンスおよび転流調節コンデンサが共
振するようにし、第1保護ダイオードに逆方向の電流が
流れるようにし、この逆方向の電流が第1保護ダイオー
ドに流れているときに、主開閉素子をターンオンさせれ
ば、主開閉素子にいきなり大電流が導通することがなく
なり、主開閉素子のターンオン動作がハードスイッチン
グ・オンとなることがなく、主開閉素子にとって厳しい
動作条件が回避されるようになる。
【0016】一方、転流回路に流れている電流を整流ス
タックに転流するために、主開閉素子をターンオフさせ
る際には、主開閉素子に並列に接続された転流調節コン
デンサが主開閉素子の電圧変動を抑制するうえ、主開閉
素子の遮断後に、それまで主開閉素子に流れていた電流
を転流調節コンデンサ側へ流すことができる。このた
め、主開閉素子をターンオフさせても、転流回路の電流
がいきなり遮断されることがなくなり、大きなサージ電
圧の発生が防止されるうえ、転流調節コンデンサが主開
閉素子の電圧高騰を防止するので、主開閉素子のターン
オフ動作がハードスイッチング・オフになることがな
く、この点からも、主開閉素子にとって厳しい動作条件
が回避されるようになる。
【0017】以上のような電力変換装置において、前記
主開閉素子および前記補助開閉素子を断続的に開閉させ
て、前記整流スタックに流れる電流を、断続的に前記転
流回路側へ転流させることにより、前記整流スタックに
供給される電力を調整する制御手段が設けられ、この制
御手段は、前記転流回路側への転流を行うにあたり、前
記補助開閉素子をターンオンしてから前記主開閉素子を
ターンオンするものであることが好ましい。このような
制御手段を設ければ、主開閉素子をターンオンさせる前
に、補助開閉素子を確実にターンオンさせることができ
るようになるので、転流調節インダクタンスの作用によ
り、転流回路の転流の開始とともに、転流回路に電流が
緩やかに流れ始めるようになり、転流の際における整流
素子の逆回復電流が確実に抑制可能となり、この逆回復
電流の抑制と、前述の転流調節コンデンサおよび転流調
節インダクタンスの共振動作とにより、主開閉素子のハ
ードスイッチング・オンが確実に防止されるようにな
る。
【0018】この際、前記転流調節コンデンサおよび前
記転流調節インダクタンスは、前記補助開閉素子がター
ンオンしてから前記主開閉素子がターンオンするまでの
間に、共振するとともに、前記転流調節インダクタンス
の電圧が負の値に到達するように、その時定数が設定さ
れたものであることが望ましい。このようにすれば、転
流調節コンデンサおよび転流調節インダクタンスの時定
数の設定に先立って、主開閉素子および補助開閉素子を
開閉動作させるキャリア信号等の周波数や、主開閉素子
および補助開閉素子の開閉動作タイミング等を適宜設定
することができ、適切なPWM制御が行えるようにな
る。そして、設定されたキャリア信号等の周波数や開閉
動作タイミングに従って、転流調節コンデンサおよび転
流調節インダクタンスの時定数を設定することにより、
主開閉素子がターンオンする前に、逆方向の電流が第1
保護ダイオードに流れるようになるとともに、逆方向の
電流が流れている間に、主開閉素子がターンオンされる
ようになるので、主開閉素子のハードスイッチング・オ
ンが確実に防止されるようになる。
【0019】ここで、前記制御手段としては、前記補助
開閉素子がターンオンしてから、前記転流調節インダク
タンスの電圧が負の値に到達するまでの所定時間が予め
記憶され、前記補助開閉素子がターンオンしてから前記
所定時間が経過すると、前記主開閉素子をターンオンさ
せる時限式の制御手段、あるいは、前記転流調節インダ
クタンスの電圧を検出する電圧検出手段を備え、前記補
助開閉素子がターンオンしてから、前記転流調節インダ
クタンスの電圧が負になると、前記主開閉素子をターン
オンさせる電圧検出式の制御手段を採用するのが好まし
い。前述のような制御手段のうち、時限式の制御手段を
採用すれば、前記補助開閉素子がターンオンしてから前
記所定時間が経過し、前記転流調節インダクタンスの電
圧が負の値になってから、前記主開閉素子がターンオン
するようになるので、主開閉素子のハードスイッチング
・オンが確実に防止されるようになる。一方、電圧検出
式の制御手段を採用すれば、転流調節インダクタンスの
電圧が負の値になったことを検知してから、制御手段が
主開閉素子をターンオンさせるので、主開閉素子のハー
ドスイッチング・オンが確実に防止される。
【0020】また、前述のような電力変換装置におい
て、前記補助開閉素子は、ターンオン時の直流抵抗が前
記主開閉素子よりも大きいものであり、前記制御手段
は、前記主開閉素子をターンオンした後、前記補助開閉
素子をターンオフするものであることが望ましい。この
ように、先にターンオンする補助開閉素子の等価直流抵
抗を主開閉素子よりも大きくすれば、転流回路への転流
を開始する際には、転流調節インダクタンスの作用とあ
いまって、転流回路に流れる電流は、急激に増大するこ
となく緩やかに流れ始め、整流スタックに設けられた整
流素子の逆回復電流の抑制が効果的に行えるようにな
る。また、補助開閉素子がターンオンしている状態で、
等価直流抵抗の小さい主開閉素子をターンオンすれば、
等価直流抵抗の小さい主開閉素子に自然に電流が分流し
ていき、補助開閉素子に流れる電流が急激に減少するこ
とがなくなるうえ、主開閉素子をターンオンした後、補
助開閉素子をターンオフすれば、補助開閉素子に流れる
電流が小さな状態で、補助開閉素子をターンオフするこ
とができ、大きなサージ電圧の発生が未然に防止され
る。しかも、等価直流抵抗が比較的大きい補助開閉素子
に、そのまま電流を流し続けると、電力の損失が大きく
なるが、主開閉素子のターンオン後、補助開閉素子をタ
ーンオフするので、電力の損失が抑制されるようにな
り、効率の良い運転が可能となる。
【0021】さらに、前述の電力変換装置において、前
記主開閉素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipo
lar mode Transistor)を採用し、前記補助開閉素子とし
ては、MOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)を採
用することが好ましい。このようにすれば、MOSFE
Tは、一般的に、IGBTよりもターンオン時の直流抵
抗が大きいので、主開閉素子および補助開閉素子の選択
範囲が広くなり、回路設計時の自由度が拡張される。し
かも、MOSFETは、一般的に、IGBTよりも動作
周波数が高いものとなっているので、主開閉素子よりも
前にターンオンさせることが容易に行え、電力変換装置
の信頼性が向上されるとともに、主開閉素子のターンオ
ン後に、速やかにターンオフさせることが容易に行え、
補助開閉素子への無駄な電流の導通が防止されるように
なり、電力変換装置の高効率運転が可能となる。そのう
え、IGBTおよびMOSFETは、ゲートの入力イン
ピーダンスが著しく大きく、オン・オフ制御に要する制
御電力が小さいので、この点からも、電力変換装置の高
効率運転が可能となる。そして、補助開閉素子は、転流
期間中に電流が滑らかに変化するように、転流開始時に
おける電流を抑えるために設けられるので、導通する電
流が小さい転流の初期にのみ、導通状態となっていれば
よく、取扱い電力が小さいもの(主開閉素子の1/2程
度)でも充分である。このため、補助開閉素子として、
取扱い電力が小さいMOSFETを採用するとともに、
主開閉素子として、取扱い電力が大きいIGBTを採用
することにより、補助開閉素子および主開閉素子は、ゲ
ートの入力インピーダンスがともに大きくなり、電圧信
号で制御可能となり、電力変換装置を高速動作させるに
あたり、その制御が容易に行えるようになる。
【0022】また、前述のような電力変換装置におい
て、前記整流スタックおよび前記転流回路と、前記交流
電源との間には、誘導性リアクトルが接続されているこ
とが望ましい。このようにすれば、転流回路の主開閉素
子がターンオンになっている際に、誘導性リアクトルに
磁気的エネルギーが蓄積され、主開閉素子がターンオフ
されると、誘導性リアクトルに蓄積された磁気的エネル
ギーが放出されるので、整流スタックに負荷が接続され
ていても、主開閉素子に導通していた電流は、殆ど減少
せずに整流スタックに転流し、当該整流スタックを通じ
て負荷側に流れるようになり、負荷への効率のよい電力
供給が可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明
した素子、回路および装置と同じものには同一符号を付
し、その説明を省略若しくは簡略にする。図1には、本
発明の第1実施形態に係る電力変換装置10が示されてい
る。この電力変換装置10は、三相交流電源1から供給さ
れる交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を
図示しない負荷に供給するものである。負荷としては、
直流電力を、誘導加熱に必要な高周波電力に変換するイ
ンバータ装置等が採用できる。
【0024】電力変換装置10は、整流スタックであるブ
リッジ回路72と、このブリッジ回路72の各相に流れる電
流を転流させるために、ブリッジ回路72とは並列となる
ように、交流電源1の各相の間に接続される転流回路20
と、ブリッジ回路72に流れる電流を転流回路20側へ断続
的に転流させることで、ブリッジ回路72に供給される電
力を調整する制御手段としてのパルス幅制御回路30を備
えたものである。なお、ブリッジ回路72および転流回路
20と、交流電源1との間には、誘導性リアクトルである
交流リアクトル74が接続されている。そして、ブリッジ
回路72は、整流素子として設けられた複数のダイオード
71を、ブリッジ状に組んだものである。
【0025】転流回路20は、互いに並列に接続された主
転流回路21および補助転流回路22とがU相、V相および
W相のそれぞれに設けられたものである。主転流回路21
には、電力制御用のスイッチング素子である主開閉素子
23と、この主開閉素子23に並列に接続された転流調節コ
ンデンサ24と、主開閉素子23に並列、かつ、当該主開閉
素子23とは逆方向に接続された第1保護ダイオード25と
が設けられている。補助転流回路22には、電力制御用の
スイッチング素子である補助開閉素子26と、この補助開
閉素子26に直列に接続された転流調節インダクタンス27
と、補助開閉素子26とは並列、かつ、転流調節インダク
タンス27とは直列に接続された第2保護ダイオード28と
が設けられている。ここで、補助開閉素子26は、ターン
オン時の直流抵抗が主開閉素子23よりも大きいものであ
る。例えば、主開閉素子23としては、IGBTが採用で
き、補助開閉素子26としては、MOSFETが採用でき
る。
【0026】パルス幅制御回路30は、負荷の電圧を検出
して、負荷に供給すべき供給電力を検知し、この供給電
力に基づき、主開閉素子23および補助開閉素子26を断続
的に開閉させるものである。換言すると、パルス幅制御
回路30は、主開閉素子23および補助開閉素子26をPWM
制御し、ブリッジ回路72に流れる電流を、断続的に転流
回路20側へ転流させることにより、ブリッジ回路72に供
給される直流電力を調整するものである。また、パルス
幅制御回路30は、主開閉素子23および補助開閉素子26を
PWM制御するにあたり、主開閉素子23および補助開閉
素子26の動作が交流電源1の三相交流電圧に同期するよ
うに、図1の如く、U相、V相およびW相の各相の電源
電圧を検出している。ここで、パルス幅制御回路30は、
ブリッジ回路72側から転流回路20側への転流を行うにあ
たり、補助開閉素子26をターンオンしてから主開閉素子
23をターンオンし、さらに、主開閉素子23をターンオン
した後、補助開閉素子26をターンオフするように設定さ
れている。
【0027】また、ブリッジ回路72側から転流回路20側
への転流を行う際に、補助開閉素子26がターンオンして
から主開閉素子23がターンオンするまでの間に、転流調
節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27が共振
し、転流調節インダクタンス27の電圧が負の値に到達す
るように、転流調節コンデンサ24および転流調節インダ
クタンス27の時定数が設定されている。ここで、転流調
節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27の容量
は、主に、電力変換装置10の変換出力(電力)により相
違するが、例えば、三相電源1の電圧が440V、変換
出力が100kW、搬送波周波数が15kHzの場合、
転流調節コンデンサ24を0.2μFに設定でき、転流調
節インダクタンス27を2μHに設定することができる。
【0028】そして、パルス幅制御回路30としては、図
2に示されるように、転流調節インダクタンス27の電圧
を検出し、補助開閉素子26がターンオンしてから、転流
調節インダクタンス27の電圧が負になると、主開閉素子
23をターンオンさせるものを採用することができる。こ
こで、転流調節コンデンサ24の電圧とは、主開閉素子23
の両端電圧であり、転流調節インダクタンス27の電圧が
負になるとは、主開閉素子23に逆方向の電圧が印加され
ることである。このパルス幅制御回路30には、PWM制
御用の制御パルス信号を生成する制御パルス発生回路32
と、制御パルス発生回路32からの制御パルス信号から、
主開閉素子23および補助開閉素子26のそれぞれを開閉す
る開閉信号を生成する開閉信号生成回路33とを備えたも
のとなっている。
【0029】電圧検出回路31は、転流調節インダクタン
ス27の電圧が負になると、主開閉素子23のターンオン信
号を出力するものである。制御パルス発生回路32は、主
開閉素子23および補助開閉素子26をターンオンすること
が可能な電圧信号を出力するものである。開閉信号生成
回路33としては、例えば、図2の如く、各相の転流調節
インダクタンス27の電圧を検出すると、ターンオン信号
を出力する電圧検出回路31と、この電圧検出回路31から
のターンオン信号および制御パルス発生回路32からの電
圧信号の論理積を出力するAND回路34を備え、このA
ND回路34により、転流調節インダクタンス27の電圧が
負になったときに、主開閉素子23をターンオンするもの
が採用できる。
【0030】この開閉信号生成回路33について、さらに
説明すると、開閉信号生成回路33の各々には、前述のA
ND回路34の他に、主開閉素子23のターンオンを許可す
る許可信号を発生するフリップフロップ35と、制御パル
ス発生回路32の圧力信号を反転するNOT回路36と、A
ND回路34の出力信号が入力されると、所定時間の経過
後に、前述の出力信号を反転した反転信号を出力する時
限回路37と、AND回路34の反転信号および制御パルス
発生回路32の電圧信号の論理積を出力するAND回路38
とが設けられている。
【0031】そして、フリップフロップ35は、そのセッ
ト入力Sに電圧検出回路31からのターンオン信号が入力
されることによりセット状態となり、AND回路34に許
可信号を出力し、そのリセット入力RにNOT回路36か
らの反転された圧力信号が入力されてリセットされ、A
ND回路34への許可信号の出力を停止するようになって
いる。これにより、パルス幅制御回路30は、制御パルス
発生回路32から電圧信号が出力され、かつ、転流調節イ
ンダクタンス27の電圧が負となり、電圧検出回路31から
のターンオン信号が出力されている間のみ、主開閉素子
23が導通状態となるように主開閉素子23の制御を行って
いる。また、パルス幅制御回路30は、制御パルス発生回
路32から電圧信号が出力され、かつ、転流調節インダク
タンス27の電圧が負となる前であって、主開閉素子23が
遮断状態となる間のみ、補助開閉素子26が導通状態とな
るように補助開閉素子26の制御を行っている。
【0032】次に、本実施形態の電力変換装置10の転流
動作について説明する。なお、図8で示した期間T1にお
けるU相の転流動作のみを説明し、期間T2,T3,T4,T5,T6
における動作については、期間T1と同様となるため説明
を省略する。また、電力変換装置10の電力制御動作は、
図9で説明した整流装置90の電力制御動作と同様である
ので、その説明も省略する。
【0033】ブリッジ回路72に流れている電流を転流回
路20に転流するにあたり、主開閉素子23よりも前の時
点、具体的には、時刻t1において、補助開閉素子26がタ
ーンオンされる。すると、補助開閉素子26に直列に接続
された転流調節インダクタンス27の作用により、ブリッ
ジ回路72に流れている電流は、図3(A)に示されるよ
うに、緩やかに低下する。このため、ブリッジ回路72に
設けられたU相のダイオード71に流れている電流は、緩
やかに減少するので、転流が完了する時刻t2において発
生するダイオード71の逆回復電流は、図3(A)の矢印
αで示されるように、抑制されて大きくならない。
【0034】これに対し、転流回路20に設けられた補助
開閉素子26の電圧は、図3(B)に示されるように、瞬
時に0Vとなる。また、補助開閉素子26に流れる電流
は、図3(C)に示されるように、緩やかに上昇し、転
流が完了する時刻t2には上昇率が低下する。そして、転
流調節インダクタンス27の電圧は、図3(D)に示され
るように、補助開閉素子26が導通する時刻t1に瞬時に上
昇し、転流が完了する時刻t2には低下し始める。この時
刻t2において、転流調節インダクタンス27は、転流調節
コンデンサ24と共振を開始する。ここで、主開閉素子23
の電圧は、図3(E)に示されるように、転流調節イン
ダクタンス27とともに共振する転流調節コンデンサ24が
放電することにより、緩やかに減少し、時刻t3に0Vと
なる。
【0035】転流調節コンデンサ24および転流調節イン
ダクタンス27が共振を開始すると、転流調節コンデンサ
24には、図3(G)に示されるように、時刻t2からしば
らくの間、逆方向の電流が流れる。そして、転流調節コ
ンデンサ24の逆方向電流は、時刻t3に流通がほぼ停止す
る。また、転流調節コンデンサ24および転流調節インダ
クタンス27が共振すると、図3(D)の矢印βに示され
るように、転流調節インダクタンス27に負の電圧が印加
される。
【0036】転流調節インダクタンス27の電圧が負にな
ると、図3(F)に示される破線γの如く、主開閉素子
23とは逆方向に接続された第1保護ダイオード25に、主
開閉素子23にとって逆方向の電流が流れる。主開閉素子
23は、転流調節インダクタンス27の電圧が負となるとタ
ーンオンされる。この主開閉素子23のターンオンは、第
1保護ダイオード25に電流が流れている間に行われ、主
開閉素子23のターンオンにより、図3(F)に示される
ように、補助開閉素子26に流れている電流が、主開閉素
子23側に徐々に流れ始める分流が始まり、主開閉素子23
の電流は緩やかに増大する。主開閉素子23の電流が増加
率が低下する時刻t4には、補助開閉素子26に流れる電流
が小さくなり、時刻t4において補助開閉素子26がターン
オフされる。これにより、ブリッジ回路72からの転流が
開始された際に、転流回路20のU相に流れる電流、換言
すれば、V相の第1保護ダイオード25に流れる電流は、
図3(H)に示されるように、緩やかに増加するように
なる。ここで、ブリッジ回路72から転流回路20への転流
期間、換言すると、時刻t1および時刻t2の間には、図3
(A),(H)に示されるように、ブリッジ回路72から
転流回路20に徐々に電流が転流し、転流期間中に電流が
滑らかに変化するようになるので、サージ電圧およびサ
ージ電流が抑制される。
【0037】一方、転流回路20に流れている電流をブリ
ッジ回路72に転流するにあたり、主開閉素子23をターン
オフすると、主開閉素子23に並列に接続された転流調節
コンデンサ24が主開閉素子23の電圧変動を抑制する。し
かも、主開閉素子23の遮断後に、それまで主開閉素子23
に流れていた電流は、図3(G)の矢印δに示されるよ
うに、転流調節コンデンサ24を通じて流れるようにな
る。これにより、ブリッジ回路72への転流開始の際に、
転流回路20のU相に流れる電流、換言すれば、V相の第
1保護ダイオード25に流れる電流は、図3(H)に示さ
れるように、時刻t5において緩やかに減少するようにな
り、主開閉素子23をターンオフさせても、大きなサージ
電圧の発生が防止される。ここで、転流回路20からブリ
ッジ回路72への転流期間、換言すると、時刻t5および時
刻t6の間には、図3(A),(H)に示されるように、
転流回路20からブリッジ回路72に徐々に電流が転流し、
転流期間中に電流が滑らかに変化するようになるので、
サージ電圧が抑制される。
【0038】前述のような本実施形態によれば、次のよ
うな効果が得られる。すなわち、ブリッジ回路72の各相
に流れる電流を転流させる転流回路20に、互いに並列に
接続された主転流回路21および補助転流回路22を設け、
このうち、補助転流回路22に、スイッチング素子である
補助開閉素子26と、補助開閉素子26に直列に接続された
転流調節インダクタンス27を設け、主転流回路21の主開
閉素子23をターンオンする前に、補助開閉素子26をター
ンオンし、直列に接続された転流調節インダクタンス27
の作用で、転流回路20に転流する電流の急激な増大を防
止するようにしたので、転流の際に、ブリッジ回路72の
ダイオード71に流れている電流が緩やかに減少するよう
になり、転流が完了した際におけるダイオード71の逆回
復電流を抑制することができる。
【0039】また、補助転流回路22に設けた転流調節イ
ンダクタンス27と、主転流回路21に設けた転流調節コン
デンサ24とを設け、転流開始の際に、転流調節インダク
タンス27および転流調節コンデンサ24が共振するように
し、第1保護ダイオード25に逆方向の電流が流れるよう
にし、この逆方向の電流が第1保護ダイオード25に流れ
ているときに、主開閉素子23をターンオンさせ、主開閉
素子23にいきなり大電流が導通しないようにしたので、
主開閉素子23のターンオン動作がハードスイッチング・
オンとなることを防止でき、主開閉素子23にとって厳し
い動作条件を回避することができる。
【0040】さらに、主開閉素子23に並列に転流調節コ
ンデンサ24を接続し、主開閉素子23のターンオフの際
に、転流調節コンデンサ24で主開閉素子23の電圧変動を
抑制するようにしたうえ、主開閉素子23の遮断後に、そ
れまで主開閉素子23に流れていた電流を転流調節コンデ
ンサ24に流すようにしたので、主開閉素子23をターンオ
フしても、転流回路20の電流がいきなり遮断されること
がなくなり、大きなサージ電圧の発生が防止されるう
え、転流調節コンデンサ24が主開閉素子23の電圧高騰を
防止するので、主開閉素子23のターンオフ動作がハード
スイッチング・オフになることを防止でき、この点から
も、主開閉素子23にとって厳しい動作条件を回避するこ
とができる。
【0041】また、主開閉素子23および補助開閉素子26
を断続的に開閉駆動することで、ブリッジ回路72に供給
される電力を調整する制御手段として、転流回路20側へ
の転流の際に、補助開閉素子26をターンオンしてから主
開閉素子23をターンオンするパルス幅制御回路30を設
け、転流の開始時において主開閉素子23をターンオンさ
せる前に、補助開閉素子26をターンオンさせて、転流調
節インダクタンス27に電流を流すようにしたので、転流
調節インダクタンス27の作用により、転流開始時の転流
回路20に電流が緩やかに流れ始め、ダイオード71の逆回
復電流を確実に抑制することができる。そして、この逆
回復電流を抑制するようにしたことと、前述の転流調節
コンデンサ24および転流調節インダクタンス27の共振動
作とにより、主開閉素子23にいきなり大電流が導通しな
いようにしたことにより、主開閉素子23のハードスイッ
チング・オンをより一層効果的に防止することができ
る。
【0042】さらに、補助開閉素子26がターンオンして
から主開閉素子23がターンオンするまでの間に、転流調
節コンデンサ24および転流調節インダクタンス27が共振
するとともに、共振の際に転流調節インダクタンス27の
電圧が負の値に到達するように、転流調節コンデンサ24
および転流調節インダクタンス27の時定数を設定したの
で、適切なPWM制御が行えるように、キャリア信号等
の周波数や、主開閉素子23および補助開閉素子26の開閉
動作タイミング等を設定し、これらのキャリア信号等の
周波数や開閉動作タイミングに従って、転流調節コンデ
ンサ24および転流調節インダクタンス27の時定数の設定
がなされるようになり、PWM制御の制御性を何ら損な
うことなく、主開閉素子23のハードスイッチング・オン
を確実に防止できる。
【0043】また、転流調節インダクタンス27の電圧を
検出する電圧検出回路31を備え、補助開閉素子26がター
ンオンしてから、転流調節インダクタンス27の電圧が負
になると、主開閉素子23をターンオンさせる電圧検出式
のパルス幅制御回路30を設けたので、転流調節インダク
タンス27の電圧が負にならないと、主開閉素子23がター
ンオンされなくなり、主開閉素子23のハードスイッチン
グ・オンを確実に防止することができる。
【0044】さらに、転流回路20への転流を開始するに
あたり、主開閉素子23よりも先にターンオンする補助開
閉素子26のターンオン時における直流抵抗を主開閉素子
23よりも大きくしたので、転流調節インダクタンス27の
作用とあいまって、転流開始時に、電流が転流回路20に
緩やかに流れ始め、ブリッジ回路72に設けられたダイオ
ード71の逆回復電流の抑制を効果的に行うことができ
る。しかも、主開閉素子23をターンオンした後、補助開
閉素子26をターンオフするようにし、転流回路20への転
流が進行し、補助開閉素子26に流れる電流が大きくなる
前に、補助開閉素子26に流れる電流が遮断するようにし
たので、補助開閉素子26のターンオン時における直流抵
抗を大きくしても、電力の損失が抑制されるようにな
り、効率の良い運転を行うことができる。
【0045】また、主開閉素子23として、IGBTを採
用し、補助開閉素子26として、一般的に、IGBTより
もターンオン時の直流抵抗が大きいMOSFETを採用
したので、主開閉素子23および補助開閉素子26の選択範
囲が広くなり、回路設計時の自由度を拡張することがで
きる。しかも、MOSFETは、一般的に、IGBTよ
りも動作周波数が高いものとなっているので、補助開閉
素子26のターンオン損失およびターンオフ損失を低く抑
制することができるうえ、電力変換装置10の信頼性を向
上することができるとともに、主開閉素子23のターンオ
ン後に、速やかにターンオフさせることが容易に行え、
補助開閉素子26への無駄な電流の導通を防止できるう
え、IGBTおよびMOSFETは、ゲートの入力イン
ピーダンスが著しく大きく、オン・オフ制御に要する制
御電力が小さいので、この点からも、電力変換装置10の
高効率運転を行うことができる。
【0046】さらに、ブリッジ回路72および転流回路20
と、交流電源1との間に、交流リアクトル74を接続し、
転流回路20の主開閉素子23がターンオンになっている際
に、交流リアクトル74に磁気的エネルギーを蓄積し、主
開閉素子23がターンオフされると、交流リアクトル74に
蓄積された磁気的エネルギーを放出するようにしたの
で、ブリッジ回路72に負荷が接続されていても、主開閉
素子23に導通していた電流を、殆ど減少せずにブリッジ
回路72に転流させて負荷側に流せるようになり、負荷へ
の効率のよい電力供給を行うことができる。
【0047】また、ブリッジ回路72から転流回路20への
転流期間、および、転流回路20からブリッジ回路72への
転流期間の両方について、転流回路20およびブリッジ回
路72の一方から他方へ徐々に電流が転流するようにした
ので、転流期間中に電流が滑らかに変化するようにな
り、電流の高調波成分を抑制することができる。
【0048】以上、本発明について好適な実施形態を挙
げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるも
のでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々
の改良並びに設計の変更が可能である。例えば、制御手
段としては、転流調節インダクタンスの電圧を検出する
電圧検出手段を備え、補助開閉素子がターンオンしてか
ら、転流調節インダクタンスの電圧が負になると、主開
閉素子をターンオンさせる電圧検出式の制御手段に限ら
ず、補助開閉素子がターンオンしてから、転流調節イン
ダクタンスの電圧が負の値に到達するまでの所定時間が
予め記憶され、補助開閉素子がターンオンしてから前記
所定時間が経過すると、前記主開閉素子をターンオンさ
せる時限式の制御手段でもよい。
【0049】具体的には、図4に示されるように、前記
実施形態における電圧検出回路31、AND回路34、フリ
ップフロップ35およびNOT回路36を、転流調節インダ
クタンスの電圧が負の値に到達するまでの所定時間が予
め記憶、あるいは、設定された時限回路39に置換したパ
ルス幅制御回路30A が、時限式の制御手段として採用で
きる。このようなパルス幅制御回路30A でも、主開閉素
子をターンオンする前に、補助開閉素子をターンオンさ
せ、転流時に転流電流の急激な増大が防止されるので、
前記実施形態と同様の作用、効果を達成できるうえ、制
御手段を構成する回路の数が少ないので、電力変換装置
を簡素化できる、という効果を付加することができる。
【0050】また、交流電源としては、三相交流電源に
限らず、単相交流電源でもよい。この単相交流電源を採
用する場合は、単相交流電源に応じて、整流スタックや
転流回路を単相交流用のものに置き換える必要がある。
例えば、単相交流用の転流回路としては、前記実施形態
で示した、三組の主転流回路および補助転流回路を備え
た転流回路を、単相交流電源に応じて、一組の主転流回
路および補助転流回路を備えた転流回路にすればよい。
【0051】
【発明の効果】上述のように本発明によれば、交流入力
電流に含まれる高調波成分を抑制することができるう
え、スイッチング素子のハードスイッチング・オンおよ
びハードスイッチング・オフを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る電力変換装置を示
す回路図である。
【図2】前記実施形態の制御手段を示すブロック図であ
る。
【図3】前記実施形態の動作を説明するためのタイムチ
ャートである。
【図4】本発明の変形例を示す図2に相当する図であ
る。
【図5】従来例となる電力変換装置を示す回路図であ
る。
【図6】従来例となる別の電力変換装置を示す回路図で
ある。
【図7】本発明の背景技術に係る電力変換装置を示す回
路図である。
【図8】一般的な三相交流電源の電圧波形を示すグラフ
である。
【図9】図7の電力変換装置の動作を説明するためのタ
イムチャートである。
【符号の説明】
1 交流電源 10 電力変換装置 20 転流回路 21 主転流回路 22 補助転流回路 23 主開閉素子 24 転流調節コンデンサ 25 第1保護ダイオード 26 補助開閉素子 27 転流調節インダクタンス 28 第2保護ダイオード 30,30A 制御手段としてのパルス幅制御回路 31 電圧検出手段としての電圧検出回路 71 整流素子としてのダイオード 72 整流スタックとしてのブリッジ回路 74 誘導性リアクトルとしての交流リアクトル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】交流電源からの電力を整流して直流電力に
    変換する電力変換装置であって、 複数の整流素子をブリッジ状に組んだ整流スタックと、
    この整流スタックの各相に流れる電流を転流させるため
    に、前記整流スタックとは並列となるように、前記交流
    電源の各相の間に接続される転流回路とを備え、 この転流回路には、互いに並列に接続された主転流回路
    および補助転流回路とが設けられ、 前記主転流回路には、電力制御用のスイッチング素子で
    ある主開閉素子と、前記主開閉素子に並列に接続された
    転流調節コンデンサと、前記主開閉素子に並列、かつ、
    前記主開閉素子とは逆方向に接続された第1保護ダイオ
    ードとが設けられ、 前記補助転流回路には、電力制御用のスイッチング素子
    である補助開閉素子と、前記補助開閉素子に直列に接続
    された転流調節インダクタンスと、前記補助開閉素子と
    は並列、かつ、前記転流調節インダクタンスとは直列に
    接続された第2保護ダイオードとが設けられていること
    を特徴とする電力変換装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の電力変換装置において、
    前記主開閉素子および前記補助開閉素子を断続的に開閉
    させて、前記整流スタックに流れる電流を、断続的に前
    記転流回路側へ転流させることにより、前記整流スタッ
    クに供給される電力を調整する制御手段が設けられ、こ
    の制御手段は、前記転流回路側への転流を行うにあた
    り、前記補助開閉素子をターンオンしてから前記主開閉
    素子をターンオンするものであることを特徴とする電力
    変換装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の電力変換装置において、
    前記転流調節コンデンサおよび前記転流調節インダクタ
    ンスは、前記補助開閉素子がターンオンしてから前記主
    開閉素子がターンオンするまでの間に、共振するととも
    に、前記転流調節インダクタンスの電圧が負の値に到達
    するように、その時定数が設定されたものであることを
    特徴とする電力変換装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の電力変換装置において、
    前記制御手段は、前記補助開閉素子がターンオンしてか
    ら、前記転流調節インダクタンスの電圧が負の値に到達
    するまでの所定時間が予め記憶され、前記補助開閉素子
    がターンオンしてから前記所定時間が経過すると、前記
    主開閉素子をターンオンさせるものとなっていることを
    特徴とする電力変換装置。
  5. 【請求項5】請求項3に記載の電力変換装置において、
    前記制御手段は、前記転流調節インダクタンスの電圧を
    検出する電圧検出手段を備え、前記補助開閉素子がター
    ンオンしてから、前記転流調節インダクタンスの電圧が
    負になると、前記主開閉素子をターンオンさせるものと
    なっていることを特徴とする電力変換装置。
  6. 【請求項6】請求項1ないし請求項5のいずれかに記載
    の電力変換装置において、前記補助開閉素子は、ターン
    オン時の直流抵抗が前記主開閉素子よりも大きいもので
    あり、前記制御手段は、前記主開閉素子をターンオンし
    た後、前記補助開閉素子をターンオフするものであるこ
    とを特徴とする電力変換装置。
  7. 【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれかに記載
    の電力変換装置において、前記主開閉素子は、IGBT
    であり、前記補助開閉素子は、MOSFETであること
    を特徴とする電力変換装置。
  8. 【請求項8】請求項1ないし請求項7のいずれかに記載
    の電力変換装置において、前記整流スタックおよび前記
    転流回路と、前記交流電源との間には、誘導性リアクト
    ルが接続されていることを特徴とする電力変換装置。
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