JP2003033930A - 粉末成形体の製造方法 - Google Patents

粉末成形体の製造方法

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JP2003033930A
JP2003033930A JP2001224064A JP2001224064A JP2003033930A JP 2003033930 A JP2003033930 A JP 2003033930A JP 2001224064 A JP2001224064 A JP 2001224064A JP 2001224064 A JP2001224064 A JP 2001224064A JP 2003033930 A JP2003033930 A JP 2003033930A
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Japan
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powder
mold
thermoplastic
molding
thermoplastic elastomer
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JP2001224064A
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Inventor
Hiroyuki Sugimoto
博之 杉本
Hikari Shimizu
光 清水
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型の成形面上に特定のシリコーン系外部離
型剤を塗布し、該金型の成形面上にシリコーン系外部離
型剤の膜を形成させる工程を含む、継続的な離型性に優
れた、熱可塑性パウダーを用いた粉末成形体の製造方
法。 【解決手段】 下記の工程を含む粉末成形体の製造方
法。 第一工程:金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤を
塗布し、該金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤の
膜を形成させる工程 第二工程:熱可塑性パウダーの溶融温度以上に加熱され
た前記金型の成形面上に、該熱可塑性パウダーを供給す
る工程 第三工程:第二工程の成形面上で熱可塑性パウダーを所
定の時間加熱し、少なくともその表面が溶融したパウダ
ーを、互いに融着させる工程 第四工程:第三工程の後、金型を冷却して、その上に形
成された粉末成形体を金型から取り出す工程

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末成形体の製造
方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は金型
の成形面上に特定のシリコーン系外部離型剤を塗布し、
該金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤の膜を形成
させる工程を含む、継続的な離型性に優れた、熱可塑性
パウダーを用いた粉末成形体の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、表面に皮シボ、ステッチなどの複
雑な凹凸模様を有するシート状の成形体は、自動車内装
部品などの表皮材として用いられている。かかる成形体
として、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる粉
末を粉末成形して得られる成形体が提案されている(た
とえば、特開平5−1183号公報、特開平5−505
0号、特開平10−30036号公報などを参照)。
【0003】しかしながら、該粉末を長期保存した場合
や、繰り返し粉末成形を行った場合、次第に粉末同士が
凝集して粉体流動性が低下する結果、得られた成形体に
欠肉やピンホールといった不具合が発生するという問題
点があった。
【0004】このような問題点を解決するために、オレ
フィン系熱可塑性エラストマーからなる粉末の表面に微
細粉体を配合して、長期保存性や粉体流動性を改良する
ことにより、複雑形状の粉末成形体を製造する方法が知
られている(たとえば、特開平5−70601号公報、
特開平11−286578号公報などを参照)。
【0005】特開平11−286578号公報には、特
定の熱可塑性エラストマー組成物の粉砕物に対して、1
次粒径が300nm以下の微細粉体が配合されてなる熱
可塑性エラストマー組成物パウダーが記載されている。
【0006】しかしながら、このような特定の1次粒径
の微細粉体を配合することにより、粉体流動特性を改良
して複雑な形状の成形体を製造することはできるもの
の、得られた粉末成形体を金型の成形面上から取り出す
際に、特定の熱可塑性エラストマー組成物の粉砕物上に
配合されている微細粉体が、該金型の成形面上の複雑な
凹凸模様及びさらなる微細装飾部分に物理的に噛みこむ
ため(アンカー効果)、離型性(該金型の成形面上に形
成されたシートを金型から取り出す工程における取り出
しやすさ)に劣り、得られた粉末成形体に折れじわが発
生したり、場合によっては該成形体が破れるといった問
題が発生することがあった。
【0007】このため、特開平11−286578号公
報には、金型の成形面上に汎用のフッ素スプレー又はシ
リコーン系スプレーを塗布してから、粉末成形体を製造
する方法が記載されている。しかしながら、該スプレー
の有効成分の分子量が低く耐熱性が不十分なため、同一
の金型を用いて繰り返し粉末成形を行った場合、該公知
のスプレーの耐熱性は不十分であり、同一の金型を用い
て繰り返し粉末成形を行った場合、該金型が加熱される
毎に分子量の低いスプレーの有効成分が劣化したり、成
形体を該金型から取り出す際に該スプレーの有効成分が
容易に脱落するため、成形体を製造するごとに該スプレ
ーの効果が低下して徐々に離型性が低下するという問題
点があった。
【0008】このような場合、頻繁に、場合によっては
粉末成形体を一つ製造する毎に該フッ素スプレー又はシ
リコーン系スプレーを金型の成形面上に塗布する必要が
あった。このため、より生産性に優れた粉末成形体の製
造方法が求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況の下、本発
明が解決しようとする課題は、金型の成形面上に特定の
シリコーン系外部離型剤を塗布し、該金型の成形面上に
シリコーン系外部離型剤の膜を形成させる工程を含む、
継続的な離型性に優れた、熱可塑性パウダーを用いた粉
末成形体の製造方法を提供する点に存するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明におけ
る第一の発明は、下記の工程を含む粉末成形体の製造方
法に係るものである。 第一工程:金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤を
塗布し、該金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤の
膜を形成させる工程 第二工程:熱可塑性パウダーの溶融温度以上に加熱され
た前記金型の成形面上に、該熱可塑性パウダーを供給す
る工程 第三工程:第二工程の成形面上で熱可塑性パウダーを所
定の時間加熱し、少なくともその表面が溶融したパウダ
ーを、互いに融着させる工程 第四工程:第三工程の後、金型を冷却して、その上に形
成された粉末成形体を金型から取り出す工程
【0011】また、本発明における第二の発明は、第三
工程及び第四工程の間に、第三工程における所定の時間
が経過した後に、融着しなかった熱可塑性パウダーを回
収する工程を含む前記第一の粉末成形体の製造方法に係
るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の粉末成形体の製造方法
は、下記第一〜第四の工程を含むものである。 第一工程:金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤を
塗布し、該金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤の
膜を形成させる工程 第二工程:熱可塑性パウダーの溶融温度以上に加熱され
た前記金型の成形面上に、該熱可塑性パウダーを供給す
る工程 第三工程:第二工程の成形面上で熱可塑性パウダーを所
定の時間加熱し、少なくともその表面が溶融したパウダ
ーを、互いに融着させる工程 第四工程:第三工程の後、金型を冷却して、その上に形
成された粉末成形体を金型から取り出す工程
【0013】第一工程は、金型の成形面上にシリコーン
系外部離型剤を塗布し、該金型の成形面上にシリコーン
系外部離型剤の膜を形成させる工程である。
【0014】本発明に用いられるシリコーン系外部離型
剤とは、シリコーン樹脂を主成分とする外部離型剤であ
り、金型の成形面上に塗布した後、加熱することによ
り、該金型の成形面上に硬質皮膜が形成されるという性
質を有する。
【0015】このようなシリコーン系外部離型剤として
は、中京化成工業株式会社製のキュアコートSR347
A等があげられる。
【0016】該シリコーン系外部離型剤は、ヘキサン、
n−ブチルアルコール、LPG等の揮発性成分で希釈さ
れたスプレータイプのものが通常使用されるが、ヘキサ
ン等の有機溶媒に溶解させた溶液タイプのものも使用す
ることができる。
【0017】なお、特開平11−286578号公報に
記載されているフッ素スプレー又はシリコーン系スプレ
ー等のスプレー(シリコーンオイルを有効成分とする)
は、金型の成形面上に塗布した後、先述の温度以上に加
熱しても、該金型の成形面上に硬質皮膜を形成しない点
で、本発明に用いられるシリコーン系外部離型剤とは異
なる。
【0018】該公知のスプレーの耐熱性は不十分であ
り、同一の金型を用いて繰り返し粉末成形を行った場
合、該金型が加熱される毎にスプレーの有効成分が劣化
したり、成形体を該金型から取り出す際に該スプレーの
有効成分が容易に脱落するため、徐々に光沢度(グロス
値)が変化したり、離型性が低下するという問題点があ
る。
【0019】金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤
を塗布し、該金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤
の膜を形成させる方法としては、例えば下記の方法があ
げられる。
【0020】(1)金型の成形面にシリコーン系外部離
型剤を塗布した後、一旦該金型を加熱し、該金型を冷却
する方法 金型の成形面にシリコーン系外部離型剤を塗布した後、
一旦該金型を加熱して該シリコーン系離型剤を加熱する
ことによって、該金型の成形面に該シリコーン系離型剤
を「焼き付け」、該シリコーン系離型剤の膜を形成させ
る。この時、加熱温度は通常120℃〜350℃、好ま
しくは150℃〜300℃の範囲であり、加熱時間は使
用する金型の種類や厚みにもよるが、通常は金型が該加
熱温度範囲内に到達してから1〜10分である。なお、
該金型を加熱後冷却する際、通常後述する第二〜第四工
程で使用される方法が用いられる。
【0021】該金型が例えばガス加熱炉方式又は熱流動
砂内への浸漬方式により加熱される場合は金型の成形面
とは反対側の面を水冷する方法又は空冷する方法が、該
金型が熱媒体油循環方式により加熱される場合は常温程
度に冷却された媒体油により冷却する方法があげられ
る。
【0022】(2)金型の成形面にシリコーン系外部離
型剤を塗布した後、直ちに第二工程を行う方法 金型の成形面にシリコーン系外部離型剤を塗布した後、
直ちに後述する第二工程を行う。後述する第二工程にお
いて、該金型の成形面が熱可塑性パウダーの溶融温度以
上に加熱される際に、該シリコーン系外部離型剤の膜が
形成される。なお、この際熱可塑性パウダーを該金型の
成形面上にする前に、該シリコーン系外部離型剤の膜の
形成は完了させておく必要がある。
【0023】なお、第一工程において、シリコーン系外
部離型剤の膜が金型の成形面上に形成しているかは、第
二工程〜第四工程を経て製造される粉末成形体の光沢値
(グロス値)を基に判断する。
【0024】本発明においては、第一工程でシリコーン
系外部離型剤を用いて製造した粉末成形体の光沢度(グ
ロス値)と、該シリコーン系外部離型剤を用いないで製
造した粉末成形体の光沢度(グロス値)の差が0.2以
上である場合、該シリコーン系外部離型剤の膜が形成さ
れたと判定する。
【0025】本発明における連続的な優れた離型性(該
金型の成形面上に形成されたシートを該金型から取り出
す工程における取り出しやすさ)を得るためには、該差
が好ましくは0.2〜3.0、より好ましくは0.5〜
2.0となるよう、該離型剤の塗布量を調整する。ここ
で光沢度(グロス値)は、デジタル変角光度計(反射角
60°)によって測定により求められる値であり、例え
ばスガ試験機株式会社製のデジタル変角光度計(UGV
−5DI)を用いて測定される。
【0026】なお、粉末成形体を所望の光沢度(グロス
値)に調整する方法としては、予め粉末成形体の光沢度
(グロス値)が所望の値となるよう、予め該金型の表面
をホーニング処理しておけばよい。また、得られた粉末
成形体を塗装する場合は、塗料により粉末成形体の光沢
度を調整することが可能なため、厳密に該金型の表面を
ホーニング処理を実施しなくてもよい。
【0027】第二工程は、熱可塑性パウダーの溶融温度
以上に加熱された前記金型の成形面上に、該熱可塑性パ
ウダーを供給する工程である。
【0028】後述する熱可塑性パウダーを、該組成物パ
ウダーの溶融温度以上、通常は160〜320℃、好ま
しくは210〜300℃に加熱された金型の成形面上に
供給する。この方法において、該金型は、たとえばガス
加熱炉方式、熱媒体油循環方式、熱媒体油内又は熱流動
砂内への浸漬方式、高周波誘導加熱方式などによって加
熱される。該熱可塑性パウダーを熱融着させるための加
熱時間は、目的とする成形体の大きさや厚みなどに応じ
て適宜選択される。
【0029】第三工程は、第二工程の成形面上で熱可塑
性パウダーを所定の時間加熱し、少なくともその表面が
溶融したパウダーを、互いに融着させる工程である。 該成形面上で前記パウダーを所定の時間の間加熱し、少
なくとも表面が溶融したパウダーを、互いに融着させ
る。
【0030】第四工程は、第三工程の後、金型を冷却し
て、その上に形成された粉末成形体を金型から取り外す
工程である。
【0031】金型を冷却して、その上に形成された粉末
成形体を金型から取り外す。なお、使用する熱可塑性パ
ウダーによっては、得られる粉末成形体を金型から取り
出す際に折れじわが生じないよう、取り外し方法の手順
(方向、速度等)を適宜調整する必要がある。
【0032】上記の粉末成形体の製造方法は、静電塗装
法、粉末溶射法、粉末回転成形法などの種々の粉末成形
法に適用することができる。また、第三工程及び第四工
程の間に、第三工程における所定時間が経過した後に、
融着しなかったパウダーを回収する工程を含む製造方法
(粉末スラッシュ成形法)であっても、本発明の効果を
十分に得ることができる。
【0033】本発明に用いられる熱可塑性パウダーは、
熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーからなる。
【0034】熱可塑性樹脂としては、後述するポリオレ
フィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体)樹脂、ポリスチレン等から選ばれ
る少なくとも1種類である。
【0035】熱可塑性エラストマーとしては、スチレン
系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラス
トマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエス
テル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エ
ラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー又は
これらのブレンド物等があげられる(例えば、松崎昭二
著 化学工業日報社1991年発行「熱可塑性エラスト
マー組成物」を参照)。
【0036】スチレン系熱可塑性エラストマーとは、共
役ジエンとビニル芳香族化合物との共重合体又はその水
添物である。
【0037】共役ジエンとしては、たとえばブタジエ
ン、イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタ
ジエンなどの炭素原子数4〜8の共役ジエンがあげられ
る。
【0038】ビニル芳香族化合物は、そのビニル基の1
位又は2位がメチル基などのアルキル基などで置換され
ていてもよい。ビニル芳香族化合物の例としては、スチ
レン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどの
炭素原子数8〜12のビニル芳香族化合物があげられ
る。
【0039】スチレン系熱可塑性エラストマーとして
は、たとえばブタジエン−スチレン共重合体ゴム、ブタ
ジエン・イソプレン−スチレン共重合体ゴム、イソプレ
ン−スチレン共重合体ゴム、ブタジエン−p−メチルス
チレン共重合体ゴム又はこれらの水添物などがあげられ
る。
【0040】これらスチレン系熱可塑性エラストマー
は、少なくとも1種類の構造単位からなる。該構造単位
としては、ビニル芳香族化合物重合体ブロック、ビニル
芳香族化合物と共役ジエンのランダム共重合体ブロッ
ク、共役ジエン重合体ブロックが水添されてなるブロッ
ク又はこれらの共役ジエン単位が水添されてなるブロッ
ク等があげられる。
【0041】該スチレン系熱可塑性エラストマーとして
は、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプ
レン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレ
ン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチ
レン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合
体、スチレン−ブタジエン・イソプレン−スチレン共重
合体、スチレン−スチレン・ブタジエン−スチレン共重
合体、スチレン−スチレン・イソプレン−スチレン共重
合体又はこれらの水添物があげられる。なお、「−」は該
構造単位の境界を、「・」は該構造単位内で二種以上の化
合物が併用されて用いられていることを示す。
【0042】なお、スチレン系熱可塑性エラストマーに
おけるビニル芳香族化合物単位の含有量は50重量%以
下、好ましくは20重量%以下であることが、柔軟性に
優れた粉末成形体が得られる点で好ましい。この含有量
が50重量%を超えると、得られる粉末成形体が脆くな
る傾向がある。
【0043】このようなスチレン系熱可塑性エラストマ
ーは、たとえば特開平2−36244号公報、特開平3
―72512号公報、特開平7―118335号公報、
特開昭56−38338号公報、特開昭61−6073
9号公報などに記載された方法によって容易に製造する
ことができる。
【0044】オレフィン系熱可塑性エラストマーとして
は、例えばポリオレフィン系樹脂及びゴム質重合体から
なる組成物やオレフィン系ゴム質重合体があげられる。
該オレフィン系熱可塑性エラストマーは、例えば特開平
5−5050号公報、特開平10−30036号公報、
特開平10−231392号公報等に記載されている方
法で製造することができる。
【0045】ポリオレフィン系樹脂とは、高い結晶性を
有するオレフィンの単独重合体又は共重合体から選ばれ
る少なくとも1種類である。該オレフィンとしては、エ
チレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−
オクテンなどの炭素原子数が2〜8のオレフィンがあげ
られる。該ポリオレフィン系樹脂の例には、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、プロピレン
とエチレンとの共重合体、プロピレンとそれ以外のα−
オレフィン(たとえば1−ブテンなど)との共重合体が
あげられる。該ポリオレフィン系樹脂がプロピレン−エ
チレン共重合体樹脂又はプロピレン−1−ブテン共重合
体樹脂である場合には、本発明の熱可塑性エラストマー
は、耐熱性及び柔軟性に優れた粉末成形体を与えうる点
で好ましい。
【0046】該ポリオレフィン系樹脂の結晶化度は50
%以上であることが必要であり、60%以上であること
が得られた粉末成形体の耐熱性及び強度の観点から好ま
しい。ここで結晶化度とはX線回折法により求められ
る。
【0047】また、2段階以上で、エチレン及び炭素原
子数が3〜8のα−オレフィンから選ばれる2種類以上
のモノマーが共重合されてなる共重合体を用いることも
できる。たとえば、第一段階でプロピレンを単独重合さ
せ、第二段階でプロピレンと、エチレン、又はプロピレ
ン以外のα−オレフィンとを共重合させて得られる共重
合体を用いることができる。なお、粉末成形法により得
られる成形体の強度の観点から、該ポリオレフィン系樹
脂のJIS K−7210に準拠して230℃、荷重
2.16kgfで測定したメルトフローレート(MF
R)は、通常は20〜500g/10分、好ましくは5
0〜 300g/10分、特に好ましくは100〜30
0g/10分の範囲内である。なお、該該ポリオレフィ
ン系樹脂として、有機過酸化物等を用いて分解して得ら
れて高流動化させたものを使用することもできる。
【0048】ゴム質重合体とは、エチレン−α−オレフ
ィン系共重合体、プロピレン−α−オレフィン系共重合
体、共役ジエン系重合体等のオレフィン系ゴム質重合体
や、先述のスチレン系熱可塑性エラストマー等から選ば
れる少なくとも1種類である。
【0049】エチレン−α−オレフィン系共重合体と
は、エチレン及びα−オレフィンの共重合体、エチレ
ン、α−オレフィン及び非共役ジエンの共重合体などで
あって、結晶性をほとんど有しない重合体又は結晶化度
が50%未満である重合体である。ここで結晶化度と
は、先述のX線回折法により求められる。
【0050】ここで、エチレン−α−オレフィン系共重
合体に用いられるα−オレフィンとしては、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭
素原子数が3〜8のα−オレフィンが好ましく用いられ
る。なお、エチレン−α−オレフィン系共重合体は、
1、4−ヘキサジエン、1、6−オクタジエン、シクロ
ペンタジエン、2−メチル−2,5−ノルボルナジエ
ン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジ
エンや、スチレン、α−メチルスチレン、2、4−ジメ
チルスチレン、p−メチルスチレンなどのビニル芳香族
化合物等の単量体が共重合されていてもよい。
【0051】かかるエチレン−α−オレフィン系共重合
体としては、たとえばエチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共
重合体、エチレン−1−オクテン共重合体及びエチレン
−プロピレン−5―エチリデン2―ノルボルネン共重合
体などがあげられる。かかるエチレン−α−オレフィン
系共重合体は、架橋されていてもよい。
【0052】α−オレフィン単位含有量は、通常は5〜
40重量%、より好ましくは10〜35重量%の範囲で
あり、エチレン単位含有量は、通常は60〜95重量
%、好ましくは65〜90重量%である。α−オレフィ
ン単位含有量及びエチレン単位含有量は、13C−NMR
法や、赤外線吸光分光法などによって求めることができ
る。
【0053】なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成
物を成形して得られる成形体の強度の観点から、このエ
チレン−α−オレフィン系共重合体の、ASTM D−
927−57Tに準じて100℃で測定したムーニー粘
度{ML1+4(100℃)}は、通常は10〜350、よ
り好ましくは15〜300の範囲内である。
【0054】プロピレン−α−オレフィン系共重合体と
は、プロピレン及びα−オレフィンの共重合体、プロピ
レン、エチレン及びα−オレフィンの共重合体などであ
って、結晶性をほとんど有しない重合体又は結晶化度が
50%未満である重合体である。ここで結晶化度とは、
X線回折法により求められる値である。このようなプロ
ピレン−α−オレフィン系共重合体は、例えば特開平1
1−323034号公報等に記載されている。
【0055】共役ジエン系重合体とは、共役ジエン重合
体又は共役ジエン重合体の水添物である。
【0056】共役ジエン重合体とは、少なくとも1種の
共役ジエンが重合もしくは共重合してなる重合体であ
る。共役ジエンの例としては、たとえばブタジエン、イ
ソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン
などの炭素原子数4〜8の共役ジエンがあげられる。共
役ジエン重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、ポリペンタジエン、ブタジエン−イソプレン
共重合体などがあげられる。
【0057】共役ジエン重合体の水添物とは、前記共役
ジエン重合体が水添されてなる水添共役ジエン重合体で
ある。かかる水添共役ジエン重合体としては、水添ポリ
ブタジエン、水添ポリイソプレン、水添ポリペンタジエ
ン、水添ブタジエン−イソプレン共重合体などがあげら
れる。
【0058】このような共役ジエン系重合体は、たとえ
ば特開平2−36244号公報、特開平3―72512
号公報、特開平7―118335号公報、特開昭56−
38338号公報、特開昭61−60739号公報など
に記載された方法によって容易に製造することができ
る。
【0059】また、ゴム質重合体として、先述のスチレ
ン系熱可塑性エラストマーの一種である共役ジエンとビ
ニル芳香族化合物との共重合体の水添物を用いる場合、
水添された全共役ジエン単位の数に対する炭素数2以上
の側鎖を有する水添された共役ジエン単位の数の割合
が、重合の際に用いられる共役ジエン単量体の種類によ
って異なるが、通常は50%以上であり、好ましくは6
0〜95%、更には70〜90%であることが、得られ
る熱可塑性エラストマーからなる粉末成形体の柔軟性に
優れ、かつ前記第四工程で金型から取り出す際に、該粉
末成形体に折れじわが白化し難い点で好ましい。かかる
割合は、1H−NMR測定により求めることができる。
また、この場合スチレン系熱可塑性エラストマーの水添
率は80%以上であることが必要であり、好ましくは9
0%以上、特には95%以上であることが、得られる粉
末成形体の耐熱性及び耐光性の観点から好ましい。
【0060】これらゴム質重合体のMFR(JIS K
−7210に準拠して230℃、荷重2.16kgfで
測定)メルトフローレートは、2〜200g/10分が
好ましく、更に好ましくは5〜100g/10分、特に
好ましくは10〜100g/10分であることが、粉末
成形法によって外観、強度に優れる成形体が得られる点
で好ましい。
【0061】また、ゴム質重合体としては、他に天然ゴ
ム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリ
ンゴム、アクリルゴム等のゴム質重合体、エチレン−ア
クリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び
そのけん化物、エチレン−メタクリル酸メチル共重合
体、エチレン−アクリル酸グリシジル−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−酢酸ビニル
共重合体などがあげられる。
【0062】これらゴム質重合体の中でも、ポリオレフ
ィン系樹脂と混練して得られる組成物の固体粘弾性測定
により得られたtanδ−温度依存性曲線において、−
70〜30℃の温度範囲にポリオレフィン系樹脂のta
nδピーク温度及びゴム質重合体のtanδピーク温度
のいずれとも異なる温度に新たな単一のtanδピーク
を与えるゴム質重合体が、得られる粉末成形体の柔軟性
に優れ、折り曲げたときに折り曲げた部分が白化しない
という性質を有する点で好ましく用いられる。また、該
性質を有さないゴム質重合体であっても、配合すること
により得られる粉末成形体の耐寒衝撃性が向上するとい
う利点がある。
【0063】これらのオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーは、ポリオレフィン系樹脂、ゴム質重合体及び必要に
応じて配合される各種成分を溶融混練することによって
得ることができる。また、溶融混練時に有機過酸化物及
び架橋助剤を配合することにより、主にゴム質重合体部
が架橋された部分架橋型組成物を得ることができる。
【0064】混練には、公知の一軸押出機、二軸押出
機、ニーダー、ロール等が使用される。なお、先述の各
種成分添加剤及び各種重合体の配合は、たとえば、これ
らの添加剤が予め配合されたポリオレフィン系樹脂又は
ゴム質重合体を用いる方法や、上記成分の混練や動的架
橋の際に行われる。
【0065】ポリオレフィン系樹脂及びゴム質重合体か
らなるオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる場
合、その重量比は、通常は5:95〜95:5、好まし
くは20:80〜50:50、より好ましくは30:7
0〜45:55である。ポリオレフィン系樹脂の含有量
が5重量%未満の場合は、得られる粉末成形体に粘着性
が生じ、耐熱性及び耐寒性が不十分であるという場合が
ある。また、ポリオレフィン系樹脂の含有量が95重量
%を超える場合は、得られる粉末成形体の柔軟性が不十
分であり、触感及び耐傷付き性等に優れた粉末成形体が
得られない。
【0066】また、先述のゴム質重合体のうち、エチレ
ン−α−オレフィン系共重合体、プロピレン−α−オレ
フィン系共重合体、共役ジエン系重合体等のオレフィン
系ゴム質重合体を、本発明のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマーとして使用することもできる。しかし、この場
合使用されるオレフィン系ゴム質重合体のパウダーが常
温で粘着性を有する場合、粉末成形体の製造が困難とな
るため、粘着性を有さないことが必要である。
【0067】オレフィン系ゴム質重合体を、本発明のオ
レフィン系熱可塑性エラストマーとして使用する場合、
オレフィン系ゴム質重合体としては、エチレン−1−ブ
テン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチ
レン−1−オクテン共重合体等のエチレン−α−オレフ
ィン系共重合体が通常使用される。これらのX線回折法
により求まる結晶化度は20〜45%であることが好ま
しい。
【0068】該エチレン−α−オレフィン系共重合体の
通常及び好ましいα−オレフィン単位含有量及びエチレ
ン単位含有量、ムーニー粘度{ML1+4(100℃)}
は、先述に記載されている通りである。
【0069】なお、この場合、得られる粉末成形体の柔
軟性及び耐傷付き性には優れるものの、該共重合体の融
点が通常100℃以下と低いため、耐熱性を必要とする
用途への適用は制限される。
【0070】塩化ビニル系熱可塑性エラストマーとは、
ポリ塩化ビニル樹脂、可塑剤及び必要に応じて安定剤や
顔料が配合されている熱可塑性エラストマーである。塩
化ビニル系熱可塑性エラストマーとしては、例えば住友
化学工業株式会社製スミリットFLXがあげられる。ま
た、塩化ビニル系熱可塑性エラストマーは、さらにNB
R(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム)や、
EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム)等のゴム
質重合体が配合されていてもよい。この場合、耐寒衝撃
性の優れた粉末成形体を得ることができる。
【0071】ポリエステル系熱可塑性エラストマーと
は、例えば芳香族ポリエステル(例えば1,4−ブタン
ジオールとテレフタル酸の縮合物)からなるハードセグ
メント及び脂肪族ポリエーテル(例えばポリテトラメチ
レングリコールとテレフタル酸の縮合物)又は脂肪族ポ
リエステルからなるソフトセグメントからなり、必要に
応じて顔料や安定剤が配合されてなる熱可塑性エラスト
マーである。また、ポリエステル系熱可塑性エラストマ
ーは、さらにNBR(アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体ゴム)や、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合
体ゴム)等のゴム質重合体が配合されていてもよく、こ
の場合より耐寒衝撃性の優れた粉末成形体を得ることが
できる。
【0072】ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、
結晶性で溶融温度の高いポリアミドをハードセグメント
として有し、非晶性でガラス転移温度の低いポリエーテ
ルやポリエステルをソフトセグメントとして有するブロ
ックコポリマーである。必要に応じて顔料や安定剤が配
合される。ポリアミド系熱可塑性エラストマーとは、ポ
リエーテルエステルアミドタイプ及びポリエステルアミ
ドタイプの2種類に大別される。また、ポリアミド系熱
可塑性エラストマーは、さらにNBR(アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体ゴム)や、EVA(エチレン−
酢酸ビニル共重合体ゴム)等のゴム質重合体が配合され
ていてもよく、この場合より耐寒衝撃性の優れた粉末成
形体を得ることができる。
【0073】ポリウレタン系熱可塑性エラストマーと
は、ポリウレタンをハードセグメントに、ポリオールや
ポリエステルをソフトセグメントに有する熱可塑性エラ
ストマーでである。必要に応じて顔料や安定剤が配合さ
れる。ポリウレタン系熱可塑性エラストマーからなるパ
ウダーとしては、三洋化成工業株式会社製のメルテック
スLA等があげられる。
【0074】なお、これら熱可塑性樹脂又は熱可塑性エ
ラストマーは、鉱物油系軟化剤や、フェノール系、サル
ファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、
アミン系、アミド系等の耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電
防止剤、顔料、金属石けん、ワックス、防かび剤、抗菌
剤、フィラーなどの各種添加剤などを含有していてもよ
い。
【0075】上記の熱可塑性パウダーを粉末成形する場
合、該熱可塑性パウダーを構成する熱可塑性樹脂又は熱
可塑性エラストマーの250℃における複素動的粘度η
*(1)は1×102〜5×104ポイズであることが好
ましく、更には3×102〜8×103ポイズの範囲であ
ることが好ましい。ここで複素動的粘度η*(ω)と
は、温度250℃、振動周波数ωにおける貯蔵弾性率
G’(ω)及び損失弾性率G''(ω)を用いて、下記計
算式(1)によって算出される値であり、複素動的粘度
η*(1)とはω=1ラジアン/秒における複素動的粘
度である。 η*(ω)={〔G’(ω)〕2+〔G''(ω)〕21/2/ω (1) η*(1)が上記の上限を超えると、熱可塑性パウダー
の溶融流動性が劣り、粉末成形法のような成形時の剪断
速度が通常1秒-1以下と低い値の成形方法によって成形
体を製造することが困難となる傾向にある。
【0076】本発明の熱可塑性パウダーを粉末成形する
場合、0.28以下であることが必要であり、好ましく
は0.01〜0.20の範囲が好ましく、更には0.0
3〜0.15の範囲であることが好ましい。ここでニュ
ートン粘性指数nとは前記の複素動的粘度η*(1)と
温度250℃、振動周波数ω=100ラジアン/秒で測
定される複素動的粘度η*(100)とを用いて下記計
算式(2)によって算出される値である。 n={logη*(1)−logη*(100)}/2 (2) ニュートン粘性指数nが先述の上限を超えると、得られ
る粉末成形体の機械的強度が低くなる傾向にある。
【0077】なお、本発明の熱可塑性パウダーが熱可塑
性エラストマーからなるパウダーである場合は、前記し
た複素動的粘度やニュートン粘性指数で示される物性値
を満足するよう、上記の混練や動的架橋の程度、該熱可
塑性エラストマーを構成する各成分の種類やその使用
量、動的架橋における架橋剤や架橋助剤の種類やその使
用量、添加剤の種類やその使用量などが適宜選択され
る。中でも混練や動的架橋における剪断速度が上記の物
性値に与える影響は大きく、剪断速度1×103- 1
上で混練や動的架橋することが好ましい。
【0078】熱可塑性パウダーは、前述の熱可塑性樹脂
又は熱可塑性エラストマーを機械的に粉砕する方法、ス
トランドカット法、ダイフェースカット法、溶剤処理法
等によって製造することができる。
【0079】熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーを
機械的に粉砕する方法として、冷凍粉砕法又は常温粉砕
法があげられる。冷凍粉砕法は、該熱可塑性樹脂又は熱
可塑性エラストマーをそのガラス転移温度以下、好まし
くは−70℃以下、さらに好ましくは−90℃以下に冷
却し、冷却状態を保ったまま粉砕する方法である。
【0080】また、該熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラス
トマーの冷却状態を保ちながら粉砕するためには、粉砕
効率がよく、発熱が少ない方法で粉砕することが好まし
く、たとえばボールミルなどの衝撃式粉砕機を用いる機
械的粉砕法などが用いられる。
【0081】この方法での該熱可塑性樹脂又は熱可塑性
エラストマーからなるパウダーは通常、タイラー標準篩
24メッシュ(目開き700μm×700μm)を通過
する大きさであり、好ましくは28メッシュ(目開き5
90μm×590μm)を通過する大きさであり、更に
好ましくは32メッシュ(目開き500μm×500μ
m)、特に好ましくは42メッシュ(目開き355μm
×355μm)を通過する大きさである。
【0082】機械的に粉砕されてなる本発明の該熱可塑
性樹脂又は熱可塑性エラストマーからなるパウダーは、
その形状が不均一であるため、その表面に微細粉体をコ
ーティングすることによって、その粉体流動性を改良す
ることができる。ここで、微細粉体とは1次粒径が5〜
300nmである微細粉体である。
【0083】微細粉体としては、無機酸化物、ペースト
用塩化ビニル樹脂、脂肪酸金属塩、炭酸カルシウム、粉
末顔料(ただし、顔料を熱可塑性エラストマー組成物に
含有せしめる場合は、その顔料と同色であることが好ま
しい)等があげられる。また、特開2000−3362
19号公報や特開2001−123019号公報に記載
されているガラス転移温度が60℃以上のアクリレート
系重合体や特定の真球度の非ハロゲン系樹脂を使用する
こともできる。
【0084】微細粉体の1次粒径は5〜300nmであ
ることが必要であり、200nm以下、更には5nm〜
150nmであることが好ましい。1次粒径が300n
mを超えると、得られる熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラ
ストマーからなるパウダーの粉体流動性の改良が十分で
なく、粉末成形法によって得られる成形体に、欠肉・ピ
ンホール等の不具合が発生する。ここで1次粒径とは、
透過型電子顕微鏡(TEM)により該微細粉体の写真を
撮影し、任意に1000個程度の粒子を選択して粒子の
直径を測定し、これらの粒子の直径を粒子の個数で除し
た値である。
【0085】本発明における粉末成形体の製造方法を用
いると、このような微細粉体を配合した場合、本発明に
用いられるシリコーン型外部離型剤の膜が、微細粉体の
金型の成形面上の複雑な凹凸模様及びさらなる微細装飾
部分への物理的な噛み込みを継続的に抑制するため、継
続的に離型性に優れるという効果が発揮される。
【0086】また、形成されるシリコーン型外部離型剤
の膜は滑性にも優れるため、微細粉体が配合されている
場合においても配合されていない場合においても、得ら
れる粉末成形体と金型の成形面との間の密着力を低減で
きる。従って、この効果によっても優れた離型性が付与
される。
【0087】無機酸化物としては、アルミナ、シリカ、
アルミナシリカ等があげられる。
【0088】アルミナはそのほとんどが、化学式Al2
3単位で構成される微細粉体である。アルミナは種々
の結晶形態を有するが、いずれの結晶形態のものを用い
ることができる。これらは結晶形態によって、α―アル
ミナ、β−アルミナ、γ−アルミナなどと呼ばれてい
る。デグサ社製のアルミナC(γ−アルミナ)、住友化
学工業株式会社製のAKP−G008(α−アルミナ)
などがあげられる。
【0089】シリカは、そのほとんどが、化学式SiO2
単位で構成される微細粉体である。天然珪草土の粉砕、
珪酸ナトリウムの分解等の方法によって製造される。デ
グサ社製のOX50などがあげられる。アルミナシリカ
とは、前述のアルミナ及びシリカを主成分として含有す
る無機酸化物である。
【0090】これらの無機酸化物は、その表面がジメチ
ルシリコーンオイル等でコーティングされていてもよい
し、トリメチルシリル基等で表面処理されていてもよ
い。
【0091】粉末顔料としては、アゾ系、フタロシアン
系、スレン系、染色レーキ等の有機顔料、酸化チタン等
の酸化物系、クロモ酸モリブデン酸系、硫化セレン化合
物、フェロシアン化合物、カーボンブラック等の無機顔
料が用いられる。
【0092】これらは微細粉体の写真を撮影し、任意に
1000個程度の粒子を選択して粒子の直径を測定し、
これらの粒子単独で、あるいは1次粒径が300nm以
下のもの同士を複数組み合わせて使用される。たとえ
ば、無機酸化物単独を用いることもできるし、粉末顔料
と無機酸化物とを組み合わせて用いることも可能であ
る。
【0093】微細粉体を配合する場合、その添加量は熱
可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーからなるパウダー
100重量部に対して、通常0.1〜5重量部であり、
好ましくは0.2〜3重量部である。配合量が0.1重
量部未満の場合は、得られる熱可塑性パウダーの流動特
性が劣るため、粉末成形体に欠肉及びピンホール等の不
具合が発生する。また、5重量部を超える場合は熱可塑
性パウダーの溶融凝着性が劣るため、得られる粉末成形
体の強度が低下するという問題が発生する。
【0094】熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーか
らなるパウダーに微細粉体を配合する方法としては、微
細粉体が熱可塑性エラストマーの粉砕物上に均一付着す
る方法であれば、特に限定されるものではない。たとえ
ば、ジャケットのついたブレンダーや高速回転型ミキサ
ー等を使用してブレンドする方法などがあげられる。中
でもヘンシェルミキサーやスーパーミキサーのように、
せん断力を加えることにより互着を防止して均一に分散
させる方法が好ましい。また、配合は通常室温で行われ
る。
【0095】また、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラスト
マーからなるパウダーは、微細粉体のほかに、熱可塑性
エラストマー組成物の粉砕物100重量部に対して、1
次粒径が300nmを超え10μm以下である粉体が
0.1〜5重量部が配合されていても良い。この場合、
微細粉体を単独で用いた場合と比較して、さらにかさ比
重(パッキング性)及び耐凝集性の優れたパウダーを得
ることができる。ここで、該粉体は先述の微細粉体の配
合時と同時に、あるいは微細粉体を配合した後に配合し
ても良いし、その逆の順序で配合しても良い。
【0096】該粉体としては、微細粉体と同様のアルミ
ナ、シリカ、アルミナシリカ等の無機酸化物、炭酸カル
シウム、ペースト用塩化ビニル樹脂、脂肪酸金属塩等が
あげられる。また、特開2000−336219号公報
や特開2001−123019号公報に記載されている
ガラス転移温度が60℃以上のアクリレート系重合体や
特定の真球度の非ハロゲン系樹脂を使用することもでき
る。
【0097】該粉体の添加量は熱可塑性樹脂又は熱可塑
性エラストマーからなるパウダー100重量部に対し
て、0.1〜5重量部であり、好ましくは0.2〜4重
量部である。5重量部を超えると熱可塑性樹脂又は熱可
塑性エラストマーからなるパウダー間の熱融着が低下す
るため、得られる粉末成形体の強度が乏しくなる傾向が
ある。なお、この場合微細粉体と該粉体との重量比は、
通常20:80〜80:20、好ましくは25:75〜
60:40である。
【0098】熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーか
らなるパウダーは、下記の方法によっても製造すること
ができる。この場合、先述の微細粉体を配合しなくて
も、粉体流動性に優れたパウダーを得ることができる
が、該微細粉体を配合すると更に粉体流動性を改良する
こともできる。
【0099】溶剤処理法:熱可塑性樹脂又は熱可塑性エ
ラストマーをそのガラス転移温度以下(通常は−70℃
以下、好ましくは−90℃以下)に冷却し、粉砕する。
次いで、上記の冷凍粉砕法によって製造されたパウダー
を、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーとの相溶性
に劣る溶剤中で、分散剤と乳化剤の存在下に、パウダー
の溶融温度以上、好ましくは該溶融温度よりも30〜5
0℃高い温度で攪拌した後、冷却する(たとえば、特開
昭62−280226号公報参照)。溶剤処理法におい
ては、溶剤としては、たとえばエチレングリコール、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど
が、パウダー100重量部あたり、通常は300〜10
00重量部、好ましくは400〜800重量部の範囲で
使用される。分散剤としては、たとえばエチレン−アク
リル酸共重合体、無水ケイ酸、酸化チタンなどが、パウ
ダー100重量部あたり、通常は5〜20重量部、好ま
しくは10〜15重量部の範囲で使用される。乳化剤と
しては、たとえばポリオキシエチレンソルビタンモノラ
ウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ソ
ルビタントリステアレートなどが、パウダー100重量
部あたり、通常は3〜15重量部、好ましくは5〜10
重量部の範囲で使用される。
【0100】ストランドカット法:溶融している熱可塑
性樹脂又は熱可塑性エラストマーをダイスから空気中に
押し出してストランドとし、これを冷却して切断する
(たとえば、特開昭50−149747号公報参照)。
前記のストランドカット法においては、ダイスの吐出口
径は、通常は0.1〜3mm、好ましくは0.2〜2m
mの範囲にある。ダイスの吐出口1個あたり熱可塑性エ
ラストマーの吐出速度は、通常は0.1〜5kg/時、
好ましくは0.5〜3kg/時の範囲にある。ストラン
ドの引取速度は、通常は1〜100m/分、好ましくは
5〜50m/分の範囲にある。また、冷却されたストラ
ンドは、通常は1.4mm以下、好ましくは0.3〜
1.2mmに切断される。
【0101】ダイフェースカット法:溶融している熱可
塑性樹脂又は溶融している熱可塑性エラストマーをダイ
スから水中に押し出しながら切断する。ダイフェースカ
ット法においては、ダイスの吐出口径は、通常は0.1
〜3mm、好ましくは0.2〜2mmの範囲にある。ダ
イスの吐出口1個あたりの熱可塑性エラストマーの吐出
速度は、通常は0.1〜5kg/時、好ましくは0.5
〜3kg/時の範囲にある。水の温度は、通常は30〜
70℃、好ましくは40〜60℃の範囲にある。
【0102】なお、熱可塑性エラストマーが、塩化ビニ
ル系熱可塑性エラストマー又はポリウレタン系熱可塑性
エラストマーである場合は、球状の該熱可塑性エラスト
マーパウダーを重合時に一段階で得ることも可能であ
る。
【0103】なお、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂又は
熱可塑性エラストマーからなるパウダーを粉末成形し、
更に発泡させることにより、発泡成形体を製造すること
ができる。発泡剤は該パウダーの内部に予め含有されて
いてもよいし、前述のヘンシェルミキサー等の回転ミキ
サーによって、該パウダーの表面にコーティングされて
いてもよい。
【0104】発泡剤は、前述の微細粉体等と同時に配合
することもできる。この場合も、本発明の粉末成形体の
製造方法を適用すれば、継続的な離型性を保持すること
ができる。
【0105】発泡剤としては、通常は熱分解型発泡剤が
用いられる。かかる熱分解型発泡剤の例には、アゾジカ
ルボンアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、ジアゾジアミノベンゼンなどのアゾ化合物、ベンゼ
ンスルホニルヒドラジド、ベンゼン−1,3−スルホニ
ルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジドなど
のスルホニルヒドラジド化合物、N,N’−ジニトロソ
ペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−
N,N’−ジメチルテレフタルアミドなどのニトロソ化
合物、テレフタルアジドなどのアジド化合物、重炭酸ナ
トリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウムなど
の炭酸塩類などが含まれる。中でも、アゾジカルボンア
ミドが好ましく使用される。発泡剤の配合は、通常は発
泡剤の分解温度以下の温度で行われる。また、該熱可塑
性樹脂又は熱可塑性エラストマーからなるパウダーは、
発泡剤と共に、発泡助剤やセル調整剤を含有していても
よい。
【0106】該熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー
からなるパウダーを成形して得られる粉末成形体は表皮
材として有用であるが、その一方の面側に発泡層が積層
されてなる二層成形体を表皮材として用いてもよい。か
かる二層成形体は、粉末成形法によって一体的に製造す
ることもできるし(特開平5―473号公報など参
照)、上記で得た粉末成形体に、別途製造した発泡体を
接着剤などで接着させる方法によって製造することもで
きる。
【0107】更に、粉末成形法によって、非発泡層―発
泡層―非発泡層からなる複合成形体とすることも可能で
ある。この場合、非発泡層は同一のものであってもよい
し、異なるものであってもよい。
【0108】また、二層成形体又は複合成形体の発泡層
としてポリウレタン発泡体を用いることもできる。この
場合、非発泡層とポリウレタン発泡体の間の接着性が劣
る場合は、塩素化ポリエチレン等のプライマーで成形体
の接着面を前処理することで接着性を向上することがで
きる。なお、ポリウレタン発泡体は、上記成形体、後述
する芯材とを一定の間隙を開けて所定の位置に固定し、
その間隙にポリオール、ポリイソシアナートの混合液を
注入し、加圧下発泡させることにより成形される。
【0109】かかる粉末成形体、二層成形体又は複合成
形体は熱可塑性樹脂芯材に積層される表皮材として好適
であり、たとえば上記成形体はその一方の面側に熱可塑
性樹脂芯材が積層されてなる多層成形体に用いることが
でき、また二層成形体又は複合成形体はその発泡層側に
熱可塑性樹脂芯材が積層されてなる多層成形体に用いる
ことができる。
【0110】熱可塑性樹脂芯材における熱可塑性樹脂と
しては、たとえばポリプロピレン、ポリエチレン等のポ
リオレフィン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体)樹脂などの熱可塑性樹脂が用いら
れる。中でも、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが
好ましく使用される。かかる多層成形体は、たとえば成
形体の一方の面側に熱可塑性樹脂溶融体を供給し、加圧
する方法又は二層成形体の発泡層側に熱可塑性樹脂溶融
体を供給し、加圧する方法によって容易に製造すること
ができる。
【0111】また、二層成形体、複合成形体又は多層成
形体において、本発明の熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラ
ストマー組成物からなるパウダーを粉末成形して得られ
る粉末成形体を塗料により塗装することにより、粉末成
形体の耐傷つき性及び耐摩耗性を向上させることも可能
である。塗料としては、公知のウレタン系、アクリル系
等の1液型又は2液型の塗料を使用することができる。
【0112】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例には限定されない。
【0113】[1]実施例で使用したオレフィン系熱可
塑性エラストマーの複素動的粘度η*(1)及びニュー
トン粘性指数n レオメトリックス社製ダイナミックアナライザー(RD
S−7700型)を用いて貯蔵弾性率G’(ω)及び損
失弾性率G''(ω)を振動周波数ω=1ラジアン/秒又
は100ラジアン/秒で測定し、前記の計算式(1)に
よって複素動的粘度η*(1)とη*(100)とを算出
した。なお、測定は平行平板モード、印加歪み5%、サ
ンプル温度250℃で行った。また、η*(1)とη
*(100)とを用いて、前記の計算式(2)によって
ニュートン粘性指数nを求めた。 [2]オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる熱可
塑性パウダーを粉末スラッシュ成形してなる粉末スラッ
シュ成形体の光沢度(グロス) 後述の粉末スラッシュ成形法によって得られた粉末スラ
ッシュ成形体の光沢度(グロス値)を、デジタル変角光
度計(スガ試験機株式会社製、型番UGV−5DI、反
射角60°)により測定した。 [3]オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる熱可
塑性パウダーを粉末スラッシュ成形してなる粉末スラッ
シュ成形体の離型性評価 後述の方法で粉末スラッシュ成形して得られた粉末スラ
ッシュ成形体の、金型に接している部分の幅が13cm
となるよう、粉末スラッシュ成形体の端部を剥がした。
次いで、力の方向が金型面に対して垂直(90°)にな
るように保ちながら、粉末スラッシュ成形体を該金型か
ら取り出した。取り出しに要した、13cm幅当たりの
力を、ばねばかりを用いて測定した。
【0114】実施例1 [オレフィン系熱可塑性エラストマーパウダーの製造]プ
ロピレン−エチレン共重合体樹脂〔住友化学工業株式会
社製、エチレン単位含有量5重量%、MFR=220g
/10分〕100重量部、スチレン−ブタジエン−スチ
レン共重合体の水添物〔全スチレン単位含有量15重量
%、MFR=30g/10分、水添率98%〕100重
量部及びエチレン・プロピレンゴム〔住友化学工業株式
会社製、プロピレン単位含有量27重量%、MFR=1
g/10分〕50重量部を、単軸混練機〔田辺プラスチ
ック機械株式会社製、VS40mm エキストルーダ
ー〕を用いて、温度170℃で混練して組成物〔η
*(1)=1.2×103ポイズ、n=0.07〕を得、
これを切断機で切断してペレットを得た。このペレット
を、液体窒素を用いて−120℃に冷却後、冷却状態を
保ったまま粉砕し、オレフィン系熱可塑性エラストマー
の粉砕物〔タイラー標準篩42メッシュ(目開き355
μm×355μm)を通過〕を得た。次いで、この粉砕
物100重量部あたりに、1次粒径が50nmの微細粉
体(デグサ社製シリカ、OX−50)1重量部及び1次
粒径が3μnの微細粉体(水沢化学社製アルミナシリ
カ、JC−30)2重量部をヘンシェルミキサーで配合
し、微細粉体により表面処理されたオレフィン系熱可塑
性エラストマーからなる熱可塑性パウダーを得た。
【0115】[粉末スラッシュ成形体の製造及び離型性
評価] (1)表面に凹凸模様を有するニッケル製金型(15c
m×30cm×3mm厚)を、砂及びガラスビーズから
なる混合物を用いてホーニング処理(洗浄処理)した。 (2)該金型にシリコーン系外部離型剤(中京化成工業
株式会社製、キュアコートSR347A)を塗布した
後、該金型を雰囲気温度350℃のオーブン内に14分
間入れて加熱後水冷することにより、該金型上に該シリ
コーン系外部離型剤からなる膜を形成させた。なお、別
途シリコーン系外部離型剤を用いずに後述の方法で製造
した粉末スラッシュ成形体の光沢度(グロス値)は0.
9であった。 (3)該シリコーン系外部離型剤からなる膜を成形面に
有する該金型を、雰囲気温度350℃のオーブン内に1
4分間入れて加熱した後取り出した。耐金型の表面温度
が280℃になった時点で先述の熱可塑性パウダーをふ
りかけ、該熱可塑性パウダーを膜上で溶融させ、互いに
融着させた。10秒後、融着しなかった該熱可塑性パウ
ダーを払い落とすことにより回収し、該金型を雰囲気温
度260℃のオーブン内に30秒間入れた後に、該金型
を水冷し、得られた粉末スラッシュ成形体の離型性を評
価した。この時、粉末スラッシュ成形の厚みは約1mm
であった。なお、該シリコーン系外部離型剤の継続的な
離型性を評価するため、前記(3)のみを繰り返し行っ
た。結果を表1に示す。表1に示す通り、該シリコーン
系外部離型剤を用いることにより、継続的に優れた離型
性を示した。
【0116】実施例2 シリコーン系外部離型剤の塗布量を変更した以外は、実
施例1に準拠して離型性を評価した。結果を表1に示
す。
【0117】
【表1】
【0118】比較例1 シリコーン系外部離型剤の塗布量を変更した以外は、実
施例1に準拠して離型性を評価した。結果を表1に示
す。結果を表2に示す。該シリコーン系外部離型剤の塗
布量が不十分な場合は、継続的に優れた離型性を示さな
かった。
【0119】比較例2〜3 シリコーン系外部離型剤の代わりに、フッ素系離型スプ
レー(ダイキン工業株式会社製、ダイフリーGA601
0)を用いた以外は、実施例1に準拠して離型性を評価
した。結果を表2に示す。該シリコーン系外部離型剤以
外の汎用のスプレーを用いた場合は、継続的に優れた離
型性を示さなかった。
【0120】
【表2】
【0121】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、金
型の成形面上に特定のシリコーン系外部離型剤を塗布
し、該金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤の膜を
形成させる工程を含む、継続的な離型性に優れた、熱可
塑性パウダーを用いた粉末成形体の製造方法を提供する
ことができた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程を含む粉末成形体の製造方
    法。 第一工程:金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤を
    塗布し、該金型の成形面上にシリコーン系外部離型剤の
    膜を形成させる工程 第二工程:熱可塑性パウダーの溶融温度以上に加熱され
    た前記金型の成形面上に、該熱可塑性パウダーを供給す
    る工程 第三工程:第二工程の成形面上で熱可塑性パウダーを所
    定の時間加熱し、少なくともその表面が溶融したパウダ
    ーを、互いに融着させる工程 第四工程:第三工程の後、金型を冷却して、その上に形
    成された粉末成形体を金型から取り出す工程
  2. 【請求項2】 第三工程及び第四工程の間に、第三工程
    における所定の時間が経過した後に、融着しなかったパ
    ウダーを回収する工程を含む請求項1記載の粉末成形体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性パウダーが、1次粒径が5〜3
    00nmである微細粉体により表面処理されている熱可
    塑性パウダーである請求項1記載の粉末成形体の製造方
    法。
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