JP2003026598A - 新規なリウマチ予防・治療用薬剤 - Google Patents

新規なリウマチ予防・治療用薬剤

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JP2003026598A
JP2003026598A JP2001194617A JP2001194617A JP2003026598A JP 2003026598 A JP2003026598 A JP 2003026598A JP 2001194617 A JP2001194617 A JP 2001194617A JP 2001194617 A JP2001194617 A JP 2001194617A JP 2003026598 A JP2003026598 A JP 2003026598A
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Japan
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amino acid
selenoprotein
peptide
leu
acid sequence
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JP2001194617A
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English (en)
Inventor
Masaki Hirashima
正樹 平嶋
Takumi Sasaki
巧 佐々木
Hiroaki Maeda
浩明 前田
Chikahide Nozaki
周英 野崎
Yukiro Maruyama
征郎 丸山
Kazuhiko Takahashi
和彦 高橋
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Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
Original Assignee
Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リウマチに対する新規な予防・治療用薬剤並
びにリウマチ診断の判定方法を提供することを目的とす
る。 【構成】 セレノプロテインPまたは当該蛋白質のC末
端ペプチドもしくは当該ペプチド群を主要有効成分とす
るリウマチに対する新規な予防・治療用薬剤、並びに生
物学的試料中のセレノプロテインPの含量を測定するこ
とからなる慢性関節リウマチ診断の判定方法。 【効果】 好適なリウマチ予防・治療用薬剤並びにリウ
マチ診断の判定方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、医療用医薬品の分野
に属し、詳細には新規な免疫異常性疾患の診断及び予防
・治療用薬剤に関する。さらに詳細には、血漿蛋白質の
一種であるセレノプロテインPを、好適には当該セレノ
プロテインPのC末端側ペプチドもしくは当該ペプチド
群を有効成分として含有するリウマチの予防・治療用薬
剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】慢性関
節リウマチ(Rheumatoid arthritis;以下、RAと呼称
することがある)等の臓器非特異的自己免疫疾患及び潰
瘍性大腸炎のような臓器特異的自己免疫疾患は、通常は
免疫学的寛容の状態にある自己の抗原に対して応答する
T細胞が、何らかの原因で自己の組織内で活性化され自
己の抗原と応答するようになり、これが持続的な炎症反
応となって組織に障害を与えることに起因する。この場
合、抗原は自己の関節の成分であるII型コラーゲンや消
化管粘膜の主成分である。
【0003】なかでも、RAは原因不明の慢性関節炎を
特徴とする疾患で、男女比は1:4、好発年齢は30〜
50歳であってわが国の罹病率は全人口の0.3〜0.5
%と推定されている。発病原因は不明であるが、多因子
性の遺伝的素因、とくにHLA−D4との関連、および
ウイルス感染が注目されている。関節炎はすべての滑膜
関節に起こり、多発性、対称性の傾向を示す。初期には
滑膜の炎症のみであるが、進行すると軟骨、骨の破壊が
起こり、関節は変形、脱臼し、また骨性強直により可動
性を失う。特に手指、足趾は変形しやすく、中手指節間
関節部での尺側変位、指のスワンネック変形、ボタン穴
変形、趾では外反母趾などが特徴的である。朝起床時に
関節が動きにくいとか、こわばった感じは、「朝のこわ
ばり」といって診断上も、治療効果をみる上でも重要な
症状である。関節以外では、血管炎、心(外)膜炎、皮下
結節、肺線維症などを伴うものがあり、血管炎を伴う型
には結節性多発動脈炎様の予後不良例があって、悪性関
節リウマチといわれる。リウマチ因子が70〜80%の
高率に検出されるほか、赤沈値亢進、CRP陽性、軽度
の貧血、血小板増加、血清補体高値などが認められる。
滑膜組織所見は、非特異的慢性滑膜炎である。診断はア
メリカリウマチ学会の診断基準が広く使用されている。
1987年改訂基準は、朝のこわばり、多発性対称性関
節炎、皮下結節、手の関節X線所見など7項目からなり
4項目以上あればRAとする。
【0004】これら疾患の患者数は毎年、僅かながら増
加しているにも拘わらず、今なお有効な治療薬や予防方
法は見出されていない(山村雄一、岸本忠三、ロバート
・A・グッド編:薬剤による免疫不全、「免疫科学」、
9巻、p.285−289、(1984))。現在、これら
の疾患の治療には、ステロイド、非ステロイド系抗炎症
薬と金剤、D−ペニシラミン、サラゾピリン、5−アミ
ノサリチル酸、アザチオプリン、6−MP、胸腺摘出
術、トラニラスト、メトトレキシサート、7S−免疫グ
ロブリン大量投与療法、成分栄養、並びにシクロスポリ
ンA及びメトロダニゾール等の寛解導入薬や免疫抑制剤
の薬物療法が対症療法的に行われている(市川陽一ら:
慢性関節リウマチにおけるメトトレキサートおよびサラ
ゾスルファピリジン長期投与例の検討、リウマチ、35
巻、p.663−670、(1995);柏崎禎夫:慢性
関節リウマチに対するオーラノフィンとメトトレキシサ
ートによる併用療法の検討、リウマチ、36巻、p.5
28−544、(1996);古谷武文ら:慢性関節リウ
マチにおける低用量メトトレキシレート療法の有害事
象、リウマチ、36巻、p.746−752、(199
6);渡辺言夫:若年性関節リウマチの薬物療法、リウ
マチ、36巻、p.670−675、(1996);八倉
隆保:免疫抑制療法・自己免疫疾患の治療 総合臨床、
30巻、p.3358、(1981);都外川新ら:慢性
関節リウマチにおけるメトトレキシサート療法の検討−
有効性のより高い投与法を求めて−、リウマチ、37
巻、p.681−687(1997))。さらには、滑膜切
除術、関節形成術、関節置換術などの整形外科的治療、
温熱、運動、装具、補助具などによるリハビリテーショ
ン治療を病状、病期によりうまく組み合わせて行う。し
かしながら、これらは根治的な療法とは言えず、むしろ
長期服用による重篤な副作用の原因ともなり、より有効
な予防・治療薬、治療法の開発が望まれている。
【0005】セレノプロテインPは1977年にグルタ
チオンペロキシダーゼ(gulutathion-peroxidase)とは異
なるセレン含有タンパク質として確認され、1982年
にセレンがセレノシステイン(selenocysteine)の形態で
取り込まれていることが明らかにされた。さらに、19
91年にセレノプロテインPのcDNAのクローニング
により全長のアミノ酸配列が明らかにされ、その結果、
当該蛋白質は最大10個のセレノシステインを含む可能
性が示された(Hill K.E. and Burk R.
F., Biomed Environ Sci., 10,
p.198−208,(1997))。セレノプロテインP
の機能はほとんど不明であったが、最近、invitroの系
でphospholipid hydroperoxideやperoxynitriteの還元
活性、神経細胞のsurvival promoting factorとしての
作用が見出された。しかし、セレノプロテインPのin v
ivoでの作用については全く知られておらず、前出のin
vitroでの作用が生体内で生理的な意味を持つかどうか
は不明のままであった。ましてや、本願発明に係るリウ
マチとの関連や、その症状を改善するような作用につい
ては、全く知られていなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の状況の下、本願発
明者等は先に、血液成分由来の蛋白質であるセレノプロ
テインPに、そしてより好適な態様として当該セレノプ
ロテインPのC末端側ペプチドに、従来報告されていな
かった細胞死抑制活性が認められることを見出し、この
知見を基に特許出願した(PCT/JP99/0632
2)。さらに、本願発明者は、新たなリウマチの診断
薬、予防及び治療薬を供するべく鋭意研究した結果、驚
くべきことに従来試みられることのなかった前記セレノ
プロテインP、好適にはそのC末端側ペプチドもしくは
当該ペプチド群が、免疫異常性疾患患者に特異的に低下
していることを見出し、さらにモデル動物での実際の生
体内投与によって、症状改善剤として人間その他の動物
に充分に適応できる事実を見出し、この知見に基づいて
本願発明を完成するに至った。
【0007】さらに詳述すれば、慢性関節リウマチ患者
の関節液のセレノプロテインP含量は変形性関節炎患者
の関節液に比べて有意に低いことが示され、免疫異常性
疾患の診断に役立つことが判った。また、慢性関節リウ
マチモデルであるマウスコラーゲン誘導関節炎(CIA)
系を用いたセレノプロテインPの腹腔内投与実験におい
て、セレノプロテインP投与群に関節炎の増悪を抑制す
ることが判明し、免疫異常性疾患に対する症状改善作用
があることが判った。本願発明はこのセレノプロテイン
Pの新たな薬効に関するものであり、本願発明のリウマ
チの予防及び治療薬の本態はセレノプロテインPであ
る。さらに詳細には、セレノプロテインPの中のセレン
を含むセレノシステインに特徴があり、このアミノ酸が
リウマチの症状改善作用の中心アミノ酸であると思われ
る。細胞死抑制活性に係る先の特許出願(PCT/JP9
9/06322)の記載から、当該細胞死抑制活性にも、
含有されるセレノシステインが関与していることが判明
している。従って、セレノシステインを含み細胞死抑制
活性を持つ蛋白質及びペプチド群は、リウマチの症状改
善剤の候補となりうる。
【0008】そもそも、本願発明の薬剤に関係するセレ
ンは、微量必須元素の一つであり、それが欠乏した場合
には心筋症などを伴う重篤な欠乏症を惹起することが知
られている。また、無血清培養の培地に亜セレン酸ナト
リウムの添加が必須であることから、セレンが細胞レベ
ルでの生存維持・増殖に必須であることが示されてい
る。しかし、セレン化合物が毒物指定されていることか
ら理解されるように、有効量と危険量の幅、つまり安全
域の濃度幅が狭く、適量以上のセレン化合物は一般的に
は細胞にとって毒性を示し、逆に細胞死を誘導する。例
えば、セレンの急性中毒症状として、顔面蒼白、神経症
状、神経障害、皮膚炎、胃腸障害などが知られている。
また、細胞培養にセレノシステインの2量体であるセレ
ノシスチンを添加すると、単独ではかなり強い毒性を示
す。これに対して、本願発明の好適な態様であるセレノ
プロテインP、セレノプロテインPのC末端側断片は、
その構造中に9〜10個のセレノシステインを含むにも
拘わらず、強い毒性は観察されなかった。このことか
ら、本発明の薬効作用を示すセレノプロテインPの特徴
として、セレノシステインを含み、なおかつ毒性が減弱
していることが重要と思われる。本願発明のペプチドま
たは当該ペプチド群は、毒性の低減というセレン化合物
に対する命題を克服するのみならず、予期し得ないリウ
マチの症状改善作用をもたらすことを可能とするもので
ある。
【0009】ここで用いられるセレノプロテインPに特
段の制約はなく、所望の症状改善活性を有するものであ
れば如何なる分子形態のものを包含する。すなわち、完
全分子型セレノプロテインPをはじめ種々の分子形態の
ものが対象となり得る。この中で、好適な態様はセレノ
プロテインPのC末端側ペプチドもしくは当該ペプチド
群であり、中でもC末端側103個(260位から36
2位まで: 260KRCINQLLCKLPTDSELA
PRSUCCHCRHLIFEKTGSAITUQCK
ENLPSLCSUQGLRAEENITESCQUR
LPPAAUQISQQLIPTEASASURUKN
QAKKUEUPSN362)のアミノ酸配列または当該
アミノ酸配列のうち1もしくは数個のアミノ酸が欠失、
置換もしくは付加されたアミノ酸配列または、前記いず
れかのアミノ酸配列の部分配列または前記アミノ酸配列
を含有するアミノ酸配列を有するペプチドまたは当該ペ
プチド群は、好適な態様として推奨され得る。とりわけ
好適なC末端側ペプチドもしくは当該C末端側ペプチド
より構成されるペプチド群として、KRCINQLLC
KLPTDSELAPRSUCCHCRHLIおよび/
またはTGSAITUQCKENLPSLCSUQGL
RAEENIで表されるアミノ酸配列、または、前記い
ずれかのアミノ酸配列の部分配列または前記アミノ酸配
列を含有するアミノ酸配列を有するペプチドまたは当該
ペプチド群が例示される。なお、本願明細書で用いる
「当該ペプチド群」とはセレノプロテインPのアミノ酸
配列に由来し、少なくとも1個のセレノシステインを含
むペプチドで、当該アミノ酸配列のうち1もしくは数個
のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配
列を含み、糖鎖の有無、荷電の相違、断片化の多様性等
に起因する微細構造の異なるペプチドの集合体を意味す
る。すなわち、本願発明のセレノプロテインP及びペプ
チド群とはセレノプロテインPのアミノ酸配列に由来
し、細胞障害抑制活性を有するものであればその分子形
態に特段の制約はなく、これらには完全分子型のセレノ
プロテインPをはじめこれに起因するC末端側ペプチド
等が含まれる。
【0010】本願発明に使用されるセレノプロテインP
または当該蛋白質に由来するペプチドもしくはペプチド
群を製造する方法は特に限定されるものではないが、例
えばヒト血液より分離する方法、または遺伝子組換え技
術により製造することができる。このような本願発明の
ペプチドは、ペプチド合成機を用いて常法に従って調製
することもできるし、また、本願発明のペプチドをリー
ド物質として、化学合成物をデザインすることも可能で
ある。本願発明に使用されるリウマチの予防・治療用薬
剤の主要構成成分となるセレノプロテインPまたは当該
蛋白質に由来するペプチドもしくはペプチド群は、一般
的な酵素類よりも熱、変性剤、幅広いpH、血中のプロ
テアーゼに対して安定であるため、これを精製同定する
に際しては、一つの態様として、血漿を出発原料とし種
々のクロマトグラフィー工程、例えば、ヘパリンクロマ
トグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イ
オン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィ
ー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフ
ィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、抗
体カラム等の各種アフィニティーカラムクロマトグラフ
ィー等、適用可能な種々の担体を用いた分画方法の他、
硫酸アンモニウム沈殿分画、分子量膜分画、等電点分
画、電気泳動分画等、種々の分画法が利用可能である。
これらの分画法を組み合わせることにより、所望のセレ
ノプロテインPまたはペプチドもしくはペプチド群を分
画することが可能である。その望ましい組み合わせの精
製方法の一例を調製例に示す。
【0011】本願発明では、有効成分としての当該蛋白
質またはペプチドもしくはペプチド群と公知の適当な賦
形剤を組み合わせ、公知の方法で本願発明のリウマチの
予防・治療用薬剤とすることができる。本願発明の予防
・治療用薬剤の有効投与量は、投与対象者の年齢、症状
及び重症度などにより変動し、最終的には医師の意図に
より変動する。薬効は投与方法には依存しないが、皮
下、皮内、腹腔への投与、血管内への単回(ボーラス)投
与あるいは点滴投与などが最適である。また、分子量の
小さなペプチド群の場合は、経口投与や経皮投与なども
可能である。
【0012】さらに、本願発明の緒となった慢性関節リ
ウマチ患者の生物学的試料中のセレノプロテインP含量
と病態の相関に関する知見により、当該セレノプロテイ
ンPを診断マーカーとする慢性関節リウマチの診断・判
定方法が提供される。患者の生物学的試料、好適には関
節液を被検試料として、セレノプロテインPの含量を測
定する。この測定には、酵素免疫測定法、放射免疫測定
法、ウェスタンブロット法、凝集法、免疫比濁法及び免
疫拡散法等の測定方法が採用される。慢性関節リウマチ
患者の関節液中のセレノプロテインP含量は正常人の関
節液中の含量に比して有意に低下しており、慢性関節リ
ウマチの診断・判定の一つの指標となり得る。
【0013】以下に、実施例を挙げて本願発明を具体的
に説明するが、本願発明はこれらの例に何ら限定される
ものではない。なお、以下に示す調製例及び実施例で
は、特に断りのない限り、ファルマシア、バイオラド、
和光純薬、宝酒造、東洋紡およびNew Englan
d BioLabs社製の試薬を使用した。
【実施例】
【0014】実施例1 (慢性関節リウマチ患者の関節液中のセレノプロテイン
P含量)免疫異常性疾患の一種である慢性関節リウマチ
とセレノプロテインPの関係を調べるために、慢性関節
リウマチ(RA)患者における血中及び関節液中のセレノ
プロテインP含量を測定した。慢性関節リウマチ患者の
関節液を8検体、血清を8検体、変形性関節炎(OA)患
者の関節液を14検体、血清を4検体、健常人の関節液
を2検体、血清を5検体使用した。それぞれの検体は、
以下に述べる3種のEIA系完全長のセレノプロテイン
P検出EIA(N-C系)、セレノプロテインPのN末検
出EIA(N-N系)、及びセレノプロテインPのC末検
出EIA(C-C系)で測定した。
【0015】完全長セレノプロテインPのEIA(N-C
系):固相化抗体としてBD1抗体(SeP N末認識抗
体)2μg/ml PBS100μl/wellでEIAプ
レートに4℃で一晩固相化し、PBST(0.05%Tw
een20含PBS)で4回洗浄した。4倍希釈のブロ
ックエース(PBS希釈)を350〜400μl添加し、
室温で1時間放置し、試料希釈液(10×ブロックエー
ス/PBST(0.08%Tween)希釈)により段階希
釈した試料を50μl/wellで添加し、37℃で1.
5時間インキュベーションした。PBSTで5回洗浄
後、二次抗体として試料希釈液により0.25μg/ml
に調製したビオチン化A27抗体を各wellに50μ
l添加し、37℃で30分間インキュベーションした。
この後は、ABCキット(VECTOR LAB社)を用い添付のプ
ロトコールに従って、発色基質としてTMBZを用い、
1N硫酸を添加することにより発色反応を停止させ、O
D450を測定した。
【0016】セレノプロテインPのN末検出EIA(N-
N系):固相化抗体としてBD1抗体(SeP N末認識
抗体、2μg/ml)、二次抗体としてHRP修飾AH5
抗体(2μg/ml)を使用した。発色基質としてTMB
Zを用い、1N硫酸を添加し、反応を停止させ、OD4
50を測定した。
【0017】セレノプロテインPのC末検出EIA(C-
C系):固相化抗体としてAA3抗体(SeP C末認識
抗体、1μg/ml)、二次抗体としてビオチン化A27
抗体(0.5μg/ml)を使用した。ABCキットを使
い、発色基質としてTMBZを用い、1N硫酸を添加
し、反応を停止させ、OD450を測定した。ここで使
用した抗体に関して、BD1抗体、AH5抗体、AA3
抗体は、Y.Watanabe et al., 7th I
nternational Symposium on
Selenium in Biology andMed
icine(Venezia Oct.1−5, 2000)
の要旨集に記載され、A27抗体については、本願発明
者らが先に出願したPCT/JP99/06322の明細
書中で述べている方法に従って調製したものである。
【0018】図1に測定結果を健常人のプール血漿に対
する相対値として示す。各血清中のセレノプロテインP
含量では、各検体とも差は認められなかったが、関節液
中のセレノプロテインP含量については、関節炎患者の
含量が健常人より低く、さらに、変形性関節炎患者より
慢性関節リウマチ患者の方が有意に低い結果となった。
このことより、慢性関節リウマチとセレノプロテインP
が特異的に関係していることが示され、診断の指標とな
りうることが示された。
【0019】調製例 (セレノプロテインP断片に対する抗体結合担体(抗Se
P抗体カラム)を用いたセレノプロテインP断片の精製)
血漿中のヘパリンセファロース結合画分を2M硫酸アン
モニウムにより沈殿させ、その沈殿画分に対して5倍以
上の20mMTris(pH8.0)により沈殿を溶解さ
せた。この溶液に存在するセレノプロテインPを抗Se
P抗体カラムに結合させ、PBSで洗浄した。その後4
M尿素を含有する20mMクエン酸バッファーによりセ
レノプロテインPを溶出し、20mMクエン酸バッファ
ーで平衡化した陽イオン交換体(Macroprep H
igh S:BioRad)に結合させた。これを塩化ナ
トリウムによる塩濃度勾配溶出を行ない、細胞死抑制活
性を示す画分を回収した。この時、全長のセレノプロテ
インPを得ることが可能であるが、蛋白あたりの細胞死
抑制活性は明らかに弱い値を示した。本方法では、短時
間の精製が可能であるため、蛋白あたりの細胞死抑制活
性の強いセレノプロテインP断片を得ることができた。
ここで得られた断片もまた、糖鎖の有無、分子間結合の
有無、内部切断の有無などにより種々のサイズの分子種
を含む混合画分であり、非還元電気泳動で10−30k
Daのサイズを示すセレノプロテインP断片群であっ
た。
【0020】実施例2 (コラーゲン誘導関節炎でのセレノプロテインPの評価)
セレノプロテインPの慢性関節リウマチに対する治療効
果を調べるために、コラーゲン誘導関節炎(collagen-in
duced arthritis; 以下、CIAと呼称する)で薬効評価
した。CIAは、DBA/1マウスにウシII型コラーゲ
ンをフロイント完全アジュバントとともに200μg/
マウスで尾部皮内投与し、さらに3週間後にウシII型コ
ラーゲンをフロイント不完全アジュバントとともに20
0μg/マウスでマウス腹腔内投与(ブースター)する方
法で行なった。調製例で調製したセレノプロテインPを
ブースター直後から200μg/マウス/3〜4日で腹腔
内に投与した。ブースター後5日目から関節炎の発症と
その重症度を経時的に観察し、コントロールとして免疫
+ブースターのみのマウスと比較した。その結果、図2
に示すように、発症の遅延と重症度の軽減効果が認めら
れた。
【0021】
【発明の効果】本願発明により、これまでより強く望ま
れていた慢性関節リウマチを代表例とするリウマチに対
する新規な診断薬及び、予防・治療用薬剤を提供するこ
とが可能となる。 SEQUENCE LISTING <110> JURIDICAL FOUNDATION THE CHEMO-SERO-THERAPEUTIC RESEARCH INSTITUTE <120> NOVEL MEDICAMENT FOR TREATING RHEUMATOID ARTHRITIS <130> JP407YS <160> 3 <210> 1 <211> 103 <212> PRT <213> Human plasma <220> <223> Fragment of selenoprotein P <223> Xaa represents selenocysteine <400> 1 Lys Arg Cys Ile Asn Gln Leu Leu Cys Lys Leu Pro Thr Asp Ser Glu 260 264 269 274 Leu Ala Pro Arg Ser Xaa Cys Cys His Cys Arg His Leu Ile Phe Glu 279 284 289 Lys Thr Gly Ser Ala Ile Thr Xaa Gln Cys Lys Glu Asn Leu Pro Ser 294 299 304 Leu Cys Ser Xaa Gln Gly Leu Arg Ala Glu Glu Asn Ile Thr Glu Ser 309 314 319 Cys Gln Xaa Arg Leu Pro Pro Ala Ala Xaa Gln Ile Ser Gln Gln Leu 324 329 334 339 Ile Pro Thr Glu Ala Ser Ala Ser Xaa Arg Xaa Lys Asn Gln Ala Lys 344 349 354 Lys Xaa Glu Xaa Pro Ser Asn 359 <210> 2 <211> 30 <212> PRT <213> Human plasma <220> <223> Xaa represents selenocysteine <400> 2 Lys Arg Cys Ile Asn Gln Leu Leu Cys Lys Leu Pro Thr Asp Ser Glu 1 5 10 15 Leu Ala Pro Arg Ser Xaa Cys Cys His Cys Arg His Leu Ile 20 25 30 <210> 3 <211> 28 <212> PRT <213> Human plasma <400> 3 Thr Gly Ser Ala Ile Thr Xaa Gln Cys Lys Glu Asn Leu Pro Ser Leu 1 5 10 15 Cys Ser Xaa Gln Gly Leu Arg Ala Glu Glu Asn Ile 20 25
【図面の簡単な説明】
【図1】 慢性関節リウマチ患者、変形性関節炎患者及
び健常人の血清、関節液中のセレノプロテインP含量を
相対的に示したものである。
【図2】 コラーゲン誘導関節炎に対するセレノプロテ
インP投与による治療効果を示した図である。縦軸は被
験マウスの重症度、横軸はブースターからの経過日数を
示す。
フロントページの続き (72)発明者 前田 浩明 熊本県菊池郡旭志村川辺四の西沖1314−1 財団法人化学及血清療法研究所 菊池研 究所内 (72)発明者 野崎 周英 熊本県菊池郡旭志村川辺四の西沖1314−1 財団法人化学及血清療法研究所 菊池研 究所内 (72)発明者 丸山 征郎 鹿児島県鹿児島市桜ヶ丘6−45−10 (72)発明者 高橋 和彦 札幌市北区北37条西8丁目2番30−409 Fターム(参考) 4C084 AA02 BA02 BA19 BA21 BA22 BA33 BA44 CA26 CA53 CA59 NA14 ZB152

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セレノシステイン含有蛋白質(以下、セ
    レノプロテインPと称することがある)及び/または当
    該蛋白質のC末端側ペプチドもしくは当該ペプチドより
    構成されるペプチド群を主要構成成分とするリウマチ予
    防・治療用薬剤。
  2. 【請求項2】 前記蛋白質のC末端側ペプチドもしくは
    当該ペプチドより構成されるペプチド群が、セレノプロ
    テインPのC末端側260位アミノ酸から362位アミ
    ノ酸までのアミノ酸配列に由来し、うち1もしくは数個
    のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配
    列または前記いずれかのアミノ酸配列の部分配列または
    前記アミノ酸配列を含有するアミノ酸配列を有する細胞
    障害抑制活性を示すペプチドまたは当該ペプチド群であ
    る、請求項1記載のリウマチ予防・治療用薬剤。
  3. 【請求項3】 前記蛋白質のC末端側ペプチドもしくは
    当該ペプチドより構成されるペプチド群が、次式、 (I):Lys Arg Cys Ile Asn Gln L
    eu Leu CysLys Leu Pro Thr As
    p Ser Glu Leu Ala Pro Arg Se
    r Sec Cys Cys His Cys Arg Hi
    s Leu および/または (II):Thr Gly Ser Ala Ile Thr
    Sec Gln CysLys Glu Asn Leu P
    ro Ser Leu Cys Ser Sec Gln G
    ly Leu Arg Ala Glu Glu Asn I
    le (式中Alaはアラニン、Argはアルギニン、Asn
    はアスパラギン、Aspはアスパラギン酸、Cysはシ
    ステイン、Glnはグルタミン、Gluはグルタミン
    酸、Glyはグリシン、Hisはヒスチジン、Ileは
    イソロイシン、Lysはリジン、Leuはロイシン、M
    etはメチオニン、Pheはフェニルアラニン、Pro
    はプロリン、Serはセリン、Thrはトレオニン、T
    rpはトリプトファン、Tyrはチロシン、Valはバ
    リン及びSecはセレノシステインの各残基をそれぞれ
    表す)で表されるアミノ酸配列もしくは当該アミノ酸配
    列の部分配列を有し、うち1もしくは数個のアミノ酸が
    欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列または前記
    いずれかのアミノ酸配列の部分配列または前記アミノ酸
    配列を含有するアミノ酸配列を有するペプチドまたは当
    該ペプチド群である請求項1または請求項2記載のリウ
    マチ予防・治療用薬剤。
  4. 【請求項4】 セレノプロテインPを本態とする慢性関
    節リウマチ診断用マーカー。
  5. 【請求項5】 生物学的試料中のセレノプロテインPの
    含量を測定することからなる慢性関節リウマチ診断の判
    定方法。
  6. 【請求項6】 生物学的試料中のセレノプロテインPの
    含量を測定するに際し、酵素免疫測定法、放射免疫測定
    法、ウェスタンブロット法、凝集法、免疫比濁法及び免
    疫拡散法より選択される測定方法を採用する請求項5記
    載の判定方法。
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