JP2003003243A - 耐炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度マルテンサイトステンレス鋼 - Google Patents
耐炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度マルテンサイトステンレス鋼Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】耐力860MPa以上の高強度、且つ優れた耐炭酸ガ
ス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性を有するマルテ
ンサイトステンレス鋼の提供。 【解決手段】Ｃ、Si、Mn、Ｐ、Ｓ、Cr、Ni、Mo、Al、お
よびＮを含み、または更に、Ti、Ｖ、NbおよびZrから選
択される１種以上を含み、場合によってはCuを含有し、
更に必要に応じて、Ca、Mg、LaおよびCeから選択される
１種以上を含み、残部がFeおよび不純物からなり、且
つ、下記の(1)式を満足し、金属組織が主として焼戻し
マルテンサイト、焼戻し時に析出した炭化物および微細
析出したラーベス相主体の金属間化合物であるマルテン
サイトステンレス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1)
ス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性を有するマルテ
ンサイトステンレス鋼の提供。 【解決手段】Ｃ、Si、Mn、Ｐ、Ｓ、Cr、Ni、Mo、Al、お
よびＮを含み、または更に、Ti、Ｖ、NbおよびZrから選
択される１種以上を含み、場合によってはCuを含有し、
更に必要に応じて、Ca、Mg、LaおよびCeから選択される
１種以上を含み、残部がFeおよび不純物からなり、且
つ、下記の(1)式を満足し、金属組織が主として焼戻し
マルテンサイト、焼戻し時に析出した炭化物および微細
析出したラーベス相主体の金属間化合物であるマルテン
サイトステンレス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1)
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭酸ガス、硫化水
素、塩素イオン等の腐食性物質を含む厳しい腐食環境に
おいて使用するのに適した鋼材に係り、特に、石油、天
然ガスの生産設備用または輸送用ラインパイプ、脱炭酸
ガス設備用配管、地熱発電用配管等の用途に使用するシ
ームレス鋼管、電縫鋼管、レーザー溶接鋼管、スパイラ
ル溶接管等のシーム溶接管等の配管用鋼、または、炭酸
ガス含有液のタンク等を構成する鋼材に関する。
素、塩素イオン等の腐食性物質を含む厳しい腐食環境に
おいて使用するのに適した鋼材に係り、特に、石油、天
然ガスの生産設備用または輸送用ラインパイプ、脱炭酸
ガス設備用配管、地熱発電用配管等の用途に使用するシ
ームレス鋼管、電縫鋼管、レーザー溶接鋼管、スパイラ
ル溶接管等のシーム溶接管等の配管用鋼、または、炭酸
ガス含有液のタンク等を構成する鋼材に関する。
【０００２】
【従来の技術】近い将来に予想される石油資源の枯渇化
の観点から、近年、過酷な環境下の井戸、即ち、深層の
油井、サワーガス田等の開発が盛んに行われるようにな
ってきている。従って、このような用途に使用されるラ
インパイプ等の鋼管には、高い強度を有するとともに、
耐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れることが求
められている。
の観点から、近年、過酷な環境下の井戸、即ち、深層の
油井、サワーガス田等の開発が盛んに行われるようにな
ってきている。従って、このような用途に使用されるラ
インパイプ等の鋼管には、高い強度を有するとともに、
耐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れることが求
められている。
【０００３】従来、油井管等の鋼材として、炭素鋼や低
合金鋼を使用するのが一般的であったが、井戸の環境が
過酷になるに従って、合金量を増加させた鋼が用いられ
るようになってきた。例えば、炭酸ガスを多量に含む油
井用鋼材には、SUS420に代表されるような13Cr系マルテ
ンサイトステンレス鋼が用いられるようになってきてい
る。
合金鋼を使用するのが一般的であったが、井戸の環境が
過酷になるに従って、合金量を増加させた鋼が用いられ
るようになってきた。例えば、炭酸ガスを多量に含む油
井用鋼材には、SUS420に代表されるような13Cr系マルテ
ンサイトステンレス鋼が用いられるようになってきてい
る。
【０００４】しかし、上記のSUS420鋼は、炭酸ガスに対
する耐食性には優れるものの、硫化水素に対する耐食性
が芳しくなく、炭酸ガスと硫化水素を同時に含むような
環境下では硫化物応力腐食割れ（SSCC）が発生し易い。
そこで、この鋼に替わる種々の鋼材が提案されている。
する耐食性には優れるものの、硫化水素に対する耐食性
が芳しくなく、炭酸ガスと硫化水素を同時に含むような
環境下では硫化物応力腐食割れ（SSCC）が発生し易い。
そこで、この鋼に替わる種々の鋼材が提案されている。
【０００５】特許第2861024号公報、特開平5-287455号
公報および特開平7-62499号公報には、上記のSUS420を
ベースとして炭素含有量を低減することによって耐食性
を向上させた鋼が開示されている。しかし、これらの公
報に記載されるような炭素含有量が低い鋼は、深井戸に
使用するのに必要な強度、即ち、耐力860MPa以上を得る
ことができない場合があった。
公報および特開平7-62499号公報には、上記のSUS420を
ベースとして炭素含有量を低減することによって耐食性
を向上させた鋼が開示されている。しかし、これらの公
報に記載されるような炭素含有量が低い鋼は、深井戸に
使用するのに必要な強度、即ち、耐力860MPa以上を得る
ことができない場合があった。
【０００６】特開2000-192196号公報には、材料を高強
度化し、且つ良好な耐硫化物応力割れ性を有する鋼とし
てCo：0.5〜7％、Mo：3.1〜7％を含むマルテンサイト単
相組織の鋼が開示されている。同公報に記載される発明
は、Coを上記の範囲で含有させることによって、冷却時
の残留オーステナイトの生成を抑制して、組織をマルテ
ンサイト単相とするものである。しかし、Coは高価な元
素であるため、使用しないのが望ましい。
度化し、且つ良好な耐硫化物応力割れ性を有する鋼とし
てCo：0.5〜7％、Mo：3.1〜7％を含むマルテンサイト単
相組織の鋼が開示されている。同公報に記載される発明
は、Coを上記の範囲で含有させることによって、冷却時
の残留オーステナイトの生成を抑制して、組織をマルテ
ンサイト単相とするものである。しかし、Coは高価な元
素であるため、使用しないのが望ましい。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の実状
に鑑みてなされたものであって、深井戸への使用に充分
な強度、即ち、耐力860MPa以上の高強度を有し、且つ炭
酸ガス、硫化水素、塩素イオンまたはこれらの２種以上
を含む環境下でも使用できるような優れた耐炭酸ガス腐
食性および耐硫化物応力腐食割れ性を有するマルテンサ
イトステンレス鋼を提供することを目的とする。
に鑑みてなされたものであって、深井戸への使用に充分
な強度、即ち、耐力860MPa以上の高強度を有し、且つ炭
酸ガス、硫化水素、塩素イオンまたはこれらの２種以上
を含む環境下でも使用できるような優れた耐炭酸ガス腐
食性および耐硫化物応力腐食割れ性を有するマルテンサ
イトステンレス鋼を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記のに示
すマルテンサイトステンレス鋼を要旨とする。なお、以
下の説明において、成分含有量に関する％は「質量％」
を意味する。
すマルテンサイトステンレス鋼を要旨とする。なお、以
下の説明において、成分含有量に関する％は「質量％」
を意味する。
【０００９】 Ｃ：0.001〜0.04％、Si：0.5％以下、
Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以下、C
r：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、Al：0.0
01〜0.10％およびＮ：0.07％以下を含有し、残部がFeお
よび不純物からなり、且つ、下記の(1)式を満足し、金
属組織が主として焼戻しマルテンサイト、焼戻し時に析
出した炭化物および焼戻し時に微細析出したラーベス相
主体の金属間化合物からなることを特徴とする耐炭酸ガ
ス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度
マルテンサイトステンレス鋼。ただし、(1)式中の各元
素記号は、それぞれの元素の含有量（質量％）を示す。
Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以下、C
r：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、Al：0.0
01〜0.10％およびＮ：0.07％以下を含有し、残部がFeお
よび不純物からなり、且つ、下記の(1)式を満足し、金
属組織が主として焼戻しマルテンサイト、焼戻し時に析
出した炭化物および焼戻し時に微細析出したラーベス相
主体の金属間化合物からなることを特徴とする耐炭酸ガ
ス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度
マルテンサイトステンレス鋼。ただし、(1)式中の各元
素記号は、それぞれの元素の含有量（質量％）を示す。
【００１０】Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1)
本発明はまた上記のに記載の合金成分に加えて下記第
１群、第２群および第３群の少なくとも１群の中から選
んだ少なくとも１種の合金成分を含むマルテンサイトス
テンレス鋼を要旨とする。この鋼においても前記(1)式
が満たされ、また金属組織も上記に記載のとおりであ
る。
１群、第２群および第３群の少なくとも１群の中から選
んだ少なくとも１種の合金成分を含むマルテンサイトス
テンレス鋼を要旨とする。この鋼においても前記(1)式
が満たされ、また金属組織も上記に記載のとおりであ
る。
【００１１】第１群…Ti：0.005〜0.25％、Ｖ：0.005〜
0.25％、Nb：0.005〜0.25％およびZr：0.005〜0.25％ 第２群…Cu：0.01〜3％ 第３群…Ca：0.0002〜0.005％、Mg：0.0002〜0.005％、
La：0.0002〜0.005％およびCe：0.0002〜0.005％
0.25％、Nb：0.005〜0.25％およびZr：0.005〜0.25％ 第２群…Cu：0.01〜3％ 第３群…Ca：0.0002〜0.005％、Mg：0.0002〜0.005％、
La：0.0002〜0.005％およびCe：0.0002〜0.005％
【００１２】
【発明の実施の形態】以下、本発明で規定する各元素に
ついての含有量の限定理由を説明する。なお、各含有量
の％は質量％を意味する。
ついての含有量の限定理由を説明する。なお、各含有量
の％は質量％を意味する。
【００１３】Ｃ：0.001〜0.04％
Ｃは、鋼の強度を向上させるのに有効な元素であるが、
耐食性の面からはできるだけ少ない方がよい。経済的に
製造容易なことを考慮して、その含有量の下限を0.001
％とした。一方、その含有量が0.04％を超えると、焼戻
し後の硬度が高くなりすぎ、硫化物応力腐食割れ感受性
が高くなる。従って、Ｃの含有量を0.001〜0.04％とし
た。
耐食性の面からはできるだけ少ない方がよい。経済的に
製造容易なことを考慮して、その含有量の下限を0.001
％とした。一方、その含有量が0.04％を超えると、焼戻
し後の硬度が高くなりすぎ、硫化物応力腐食割れ感受性
が高くなる。従って、Ｃの含有量を0.001〜0.04％とし
た。
【００１４】Si：0.5％以下
Siは、脱酸剤として必要な元素である。鋼中残留量は不
純物レベルであっても良い。しかし、より大きな脱酸効
果を得るためには、その含有量を0.01％以上とするのが
望ましい。一方、その含有量が0.5％を超えると、靱性
が低下するとともに、熱間加工性を低下させる。従っ
て、Siの含有量を0.5％以下とした。
純物レベルであっても良い。しかし、より大きな脱酸効
果を得るためには、その含有量を0.01％以上とするのが
望ましい。一方、その含有量が0.5％を超えると、靱性
が低下するとともに、熱間加工性を低下させる。従っ
て、Siの含有量を0.5％以下とした。
【００１５】Mn：0.1〜3.0％
Mnは、熱間加工性を向上させるのに有効な元素である。
この効果を得るためには、その含有量を0.1％以上とす
る必要がある。一方、その含有量が3.0％を超えると、
その効果は飽和し、コスト上昇を招く。従って、Mnの含
有量を0.1〜3.0％とした。
この効果を得るためには、その含有量を0.1％以上とす
る必要がある。一方、その含有量が3.0％を超えると、
その効果は飽和し、コスト上昇を招く。従って、Mnの含
有量を0.1〜3.0％とした。
【００１６】Ｐ：0.04％以下
Ｐは、鋼中に含まれる不純物であり、その含有量はでき
るだけ少ない方がよい。特に、その含有量が0.04％を超
えると耐硫化物応力腐食割れ性が著しく低下する。従っ
て、Ｐの含有量を0.04％以下とした。
るだけ少ない方がよい。特に、その含有量が0.04％を超
えると耐硫化物応力腐食割れ性が著しく低下する。従っ
て、Ｐの含有量を0.04％以下とした。
【００１７】Ｓ：0.01％以下
Ｓも鋼中に含まれる不純物であり、その含有量はできる
だけ少ない方がよい。特に、その含有量が0.01％を超え
ると熱間加工性、耐食性および靱性が著しく低下する。
従って、Ｓの含有量を0.01％以下とした。
だけ少ない方がよい。特に、その含有量が0.01％を超え
ると熱間加工性、耐食性および靱性が著しく低下する。
従って、Ｓの含有量を0.01％以下とした。
【００１８】Cr：10〜15％
Crは、耐炭酸ガス腐食性を向上させるのに有効な元素で
ある。この効果を得るためには、その含有量を10％以上
とする必要がある。一方、その含有量が15％を超える場
合には、焼戻し後の組織を主としてマルテンサイト相に
するのが困難となる。従って、Crの含有量を10〜15％と
した。
ある。この効果を得るためには、その含有量を10％以上
とする必要がある。一方、その含有量が15％を超える場
合には、焼戻し後の組織を主としてマルテンサイト相に
するのが困難となる。従って、Crの含有量を10〜15％と
した。
【００１９】Ni：0.7〜8％
Niは、焼戻し後の組織を主としてマルテンサイト相にす
るために必要な元素である。しかし、その含有量が0.7
％未満の場合には、焼戻し後の組織が主としてフェライ
ト相となり、その含有量が8％を超える場合には、焼戻
し後の組織が主としてオーステナイト相となる。従っ
て、Niの含有量を0.7〜8％とした。更に望ましいのは、
0.7〜7％である。
るために必要な元素である。しかし、その含有量が0.7
％未満の場合には、焼戻し後の組織が主としてフェライ
ト相となり、その含有量が8％を超える場合には、焼戻
し後の組織が主としてオーステナイト相となる。従っ
て、Niの含有量を0.7〜8％とした。更に望ましいのは、
0.7〜7％である。
【００２０】Mo：1.5〜5.0％
Moは、Crとの共存下で炭酸ガス環境での局部腐食を防止
するのに有効な元素である。この効果を得るためには、
その含有量を1.5％以上とする必要がある。しかし、そ
の含有量が5.0％を超えると、この効果は飽和し、コス
ト上昇を招く。従って、Moの含有量を1.5〜5.0％とし
た。望ましいのは2.0〜5.0％であり、更に望ましいの
は、2.8〜5.0％である。
するのに有効な元素である。この効果を得るためには、
その含有量を1.5％以上とする必要がある。しかし、そ
の含有量が5.0％を超えると、この効果は飽和し、コス
ト上昇を招く。従って、Moの含有量を1.5〜5.0％とし
た。望ましいのは2.0〜5.0％であり、更に望ましいの
は、2.8〜5.0％である。
【００２１】Al：0.001〜0.10％
Alは、溶製過程において脱酸剤として使用する元素であ
る。この効果を得るためには、その含有量を0.001％以
上とする必要がある。しかし、その含有量が0.10％を超
えると、介在物が多くなって耐食性が損なわれる。従っ
て、Alの含有量を0.001〜0.10％とした。
る。この効果を得るためには、その含有量を0.001％以
上とする必要がある。しかし、その含有量が0.10％を超
えると、介在物が多くなって耐食性が損なわれる。従っ
て、Alの含有量を0.001〜0.10％とした。
【００２２】Ｎ：0.07％以下
Ｎは、鋼中に含まれる不純物であり、その含有量はでき
るだけ少ない方がよい。特に、その含有量が0.07％を超
えると、介在物が多くなって耐食性が劣化する。従っ
て、Ｎの含有量を0.07％以下とした。
るだけ少ない方がよい。特に、その含有量が0.07％を超
えると、介在物が多くなって耐食性が劣化する。従っ
て、Ｎの含有量を0.07％以下とした。
【００２３】本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼の
一つは、上記各成分のほか、残部がFeおよび不純物から
なるものである。もう一つは、上記の成分に加えて更に
下記に示す第１群、第２群および第３群の少なくとも１
群から選んだ少なくとも１種の合金成分を含むものであ
る。以下、各群の成分について説明する。
一つは、上記各成分のほか、残部がFeおよび不純物から
なるものである。もう一つは、上記の成分に加えて更に
下記に示す第１群、第２群および第３群の少なくとも１
群から選んだ少なくとも１種の合金成分を含むものであ
る。以下、各群の成分について説明する。
【００２４】第１群（Ti、Ｖ、Nb、Zr：それぞれ0.005
〜0.25％） Ti、Ｖ、NbおよびZrは、いずれもＣを固定し、強度のば
らつきを小さくする作用を有するので、必要に応じて、
これらのうちから選択される１種以上を含有してもよ
い。しかし、いずれの元素もその含有量が0.005％未満
では上記の効果が得られない。一方、いずれの元素もそ
の含有量が0.25％を超えると、焼戻し後の組織を主とし
てマルテンサイト相とすることができない。従って、こ
れらの元素を選択的に含有させる場合の含有量をそれぞ
れ0.005〜0.25％とした。
〜0.25％） Ti、Ｖ、NbおよびZrは、いずれもＣを固定し、強度のば
らつきを小さくする作用を有するので、必要に応じて、
これらのうちから選択される１種以上を含有してもよ
い。しかし、いずれの元素もその含有量が0.005％未満
では上記の効果が得られない。一方、いずれの元素もそ
の含有量が0.25％を超えると、焼戻し後の組織を主とし
てマルテンサイト相とすることができない。従って、こ
れらの元素を選択的に含有させる場合の含有量をそれぞ
れ0.005〜0.25％とした。
【００２５】第２群（Cu：0.01〜3％）
Cuは、Niと同様に、焼戻し後の組織を主としてマルテン
サイト相とするのに有効な元素である。Cuの添加によっ
てこの効果を得るためには、その含有量を0.01％以上と
すればよい。ただし、その含有量が3％を超えると、鋼
の熱間加工性が低下する。従って、Cuを含有させる場合
には、その含有量を0.01〜3％とした。望ましいのは0.0
5〜1.0％である。
サイト相とするのに有効な元素である。Cuの添加によっ
てこの効果を得るためには、その含有量を0.01％以上と
すればよい。ただし、その含有量が3％を超えると、鋼
の熱間加工性が低下する。従って、Cuを含有させる場合
には、その含有量を0.01〜3％とした。望ましいのは0.0
5〜1.0％である。
【００２６】第３群（Ca、Mg、La、Ce：それぞれ0.0002
〜0.005％） Ca、Mg、LaおよびCeはいずれも、鋼の熱間加工性を向上
させるのに有効な元素であるので、必要に応じて、これ
らのうちから選択される１種以上を含有してもよい。し
かし、いずれの元素もその含有量が0.0002％未満では上
記の効果が得られない。一方、いずれの元素もその含有
量が0.005％を超えると、粗大な酸化物が生成し、鋼の
耐食性が低下する。従って、これらの元素を選択的に含
有させる場合の含有量を0.0002〜0.005％とした。特
に、Caおよび／またはLaを含有させるのが望ましい。
〜0.005％） Ca、Mg、LaおよびCeはいずれも、鋼の熱間加工性を向上
させるのに有効な元素であるので、必要に応じて、これ
らのうちから選択される１種以上を含有してもよい。し
かし、いずれの元素もその含有量が0.0002％未満では上
記の効果が得られない。一方、いずれの元素もその含有
量が0.005％を超えると、粗大な酸化物が生成し、鋼の
耐食性が低下する。従って、これらの元素を選択的に含
有させる場合の含有量を0.0002〜0.005％とした。特
に、Caおよび／またはLaを含有させるのが望ましい。
【００２７】本発明の鋼は、上記の化学組成を有すると
ともに、下記の(1)式を満足しなければならない。これ
は、上記の(1)式を満たす場合には、鋼の強度を向上さ
せることができるからである。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。
ともに、下記の(1)式を満足しなければならない。これ
は、上記の(1)式を満たす場合には、鋼の強度を向上さ
せることができるからである。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。
【００２８】図１は、後述する実施例で試験した各種の
鋼のMo含有量と、(1)式の右辺、即ち、「1.5−0.89Si＋
32.2Ｃ」（これをＬ値という）との関係を示す図であ
る。図中の「○」は0.2％耐力が860MPa以上であった場
合を示し、「×」は0.2％耐力が860MPa未満であった場
合を示す。
鋼のMo含有量と、(1)式の右辺、即ち、「1.5−0.89Si＋
32.2Ｃ」（これをＬ値という）との関係を示す図であ
る。図中の「○」は0.2％耐力が860MPa以上であった場
合を示し、「×」は0.2％耐力が860MPa未満であった場
合を示す。
【００２９】図１に示すとおり、Mo含有量が本発明で規
定する範囲外（即ち、1.5％未満）の場合には、0.2％耐
力が860MPa未満であり、また、Moの含有量が本発明で規
定する範囲内（即ち、1.5〜5％）の場合でも、上記の
(1)式を満たさなければ、0.2％耐力が860MPa未満であ
る。しかし、上記の(1)式を満たす鋼であれば、0.2％耐
力が860MPa以上となり、油井用鋼材としての使用に耐え
うる充分な強度が得られる。従って、本発明の鋼は、前
記の化学組成の範囲内で、しかも上記の(1)式を満たす
必要がある。
定する範囲外（即ち、1.5％未満）の場合には、0.2％耐
力が860MPa未満であり、また、Moの含有量が本発明で規
定する範囲内（即ち、1.5〜5％）の場合でも、上記の
(1)式を満たさなければ、0.2％耐力が860MPa未満であ
る。しかし、上記の(1)式を満たす鋼であれば、0.2％耐
力が860MPa以上となり、油井用鋼材としての使用に耐え
うる充分な強度が得られる。従って、本発明の鋼は、前
記の化学組成の範囲内で、しかも上記の(1)式を満たす
必要がある。
【００３０】本発明者らは、さらに、金属組織の影響に
ついて検討した結果、金属組織が主として焼戻しマルテ
ンサイト、焼戻し時に析出した炭化物および焼戻し時に
微細析出したラーベス相主体の金属間化合物からなる組
織であれば、耐硫化物応力腐食割れ性を低下させること
なく、鋼の強度を向上させることができることを見出し
た。
ついて検討した結果、金属組織が主として焼戻しマルテ
ンサイト、焼戻し時に析出した炭化物および焼戻し時に
微細析出したラーベス相主体の金属間化合物からなる組
織であれば、耐硫化物応力腐食割れ性を低下させること
なく、鋼の強度を向上させることができることを見出し
た。
【００３１】なお、「主として焼戻しマルテンサイト」
とは、金属組織の70vol％以上が焼戻しマルテンサイト
組織であることをいい、焼戻しマルテンサイト組織の外
に残留オーステナイト組織やフェライト組織が存在して
いてもよい。
とは、金属組織の70vol％以上が焼戻しマルテンサイト
組織であることをいい、焼戻しマルテンサイト組織の外
に残留オーステナイト組織やフェライト組織が存在して
いてもよい。
【００３２】また、「ラーベス相主体の金属間化合物」
は、Fe２Mo等のラーベス相の金属間化合物の一部にσ
相、μ相、χ相等の金属間化合物を含んでもよいものと
する。
は、Fe２Mo等のラーベス相の金属間化合物の一部にσ
相、μ相、χ相等の金属間化合物を含んでもよいものと
する。
【００３３】図２は、焼入れ焼戻し後における鋼の抽出
レプリカ組織（倍率：30,000）を示す図である。同図
(a)は、本発明鋼の金属組織の一例を示し、(b)は、比較
例の鋼の金属組織の一例を示す。
レプリカ組織（倍率：30,000）を示す図である。同図
(a)は、本発明鋼の金属組織の一例を示し、(b)は、比較
例の鋼の金属組織の一例を示す。
【００３４】同図(b)に示すように、焼戻し後に粗大な
金属間化合物のみが析出し、微細なラーベス相主体の金
属間化合物が析出しない場合には、耐力860MPa以上の高
強度を実現することはできない。一方、本発明の鋼は、
焼戻し後には、微細なラーベス相主体の金属間化合物が
多数析出する（図２(a)参照）。焼戻し時に微細析出し
たラーベス相主体の金属間化合物は、その析出強化作用
によって鋼の強度を向上させる効果を有するが、このよ
うな金属間化合物によって鋼を高強度化しても、硫化物
応力腐食割れが発生しないのである。
金属間化合物のみが析出し、微細なラーベス相主体の金
属間化合物が析出しない場合には、耐力860MPa以上の高
強度を実現することはできない。一方、本発明の鋼は、
焼戻し後には、微細なラーベス相主体の金属間化合物が
多数析出する（図２(a)参照）。焼戻し時に微細析出し
たラーベス相主体の金属間化合物は、その析出強化作用
によって鋼の強度を向上させる効果を有するが、このよ
うな金属間化合物によって鋼を高強度化しても、硫化物
応力腐食割れが発生しないのである。
【００３５】本発明鋼の金属組織中には焼戻し時に析出
した炭化物が含まれる。炭化物は、鋼の強度を確保する
ために有効な金属組織であるが、鋼中に炭化物が含まれ
ているだけでは、耐力860MPa以上の高強度を実現するこ
とはできない。従って、本発明においては、炭化物が析
出するとともに、上述のラーベス相主体の金属間化合物
が微細に析出する必要がある。
した炭化物が含まれる。炭化物は、鋼の強度を確保する
ために有効な金属組織であるが、鋼中に炭化物が含まれ
ているだけでは、耐力860MPa以上の高強度を実現するこ
とはできない。従って、本発明においては、炭化物が析
出するとともに、上述のラーベス相主体の金属間化合物
が微細に析出する必要がある。
【００３６】本発明鋼の熱処理は、通常の焼入れ−焼戻
しである。焼入れ温度は、800〜1,000℃が望ましい。な
お、微細なラーベス相主体の金属間化合物が析出し、耐
力を860MPa以上とできる焼戻し温度領域は600℃以下で
ある。これを超える温度で焼戻しをすると、転位密度が
減少し、または、金属間化合物が金属組織中に固溶化し
てしまい、耐力860MPa以上の高強度化ができない。従っ
て、焼戻しは600℃以下で行う。
しである。焼入れ温度は、800〜1,000℃が望ましい。な
お、微細なラーベス相主体の金属間化合物が析出し、耐
力を860MPa以上とできる焼戻し温度領域は600℃以下で
ある。これを超える温度で焼戻しをすると、転位密度が
減少し、または、金属間化合物が金属組織中に固溶化し
てしまい、耐力860MPa以上の高強度化ができない。従っ
て、焼戻しは600℃以下で行う。
【００３７】上記のような原理から、本発明の鋼は、先
に述べた化学組成を有し、(1)式を満たすとともに、そ
の金属組織が主として焼戻しマルテンサイト、焼戻し時
に析出した炭化物および焼戻し時に微細析出したラーベ
ス相主体の金属間化合物である必要がある。
に述べた化学組成を有し、(1)式を満たすとともに、そ
の金属組織が主として焼戻しマルテンサイト、焼戻し時
に析出した炭化物および焼戻し時に微細析出したラーベ
ス相主体の金属間化合物である必要がある。
【００３８】
【実施例】表１に示す化学組成を有する鋼を溶製して鋳
造し、得られた鋳片を熱間鍛造し、熱間圧延して、厚
さ：15mm、幅：120mm、長さ：1,000mmの鋼板を作製し、
これらの鋼板に焼入れ（920℃水冷）および焼戻し（500
〜550℃空冷）を施したものを試験用鋼板として各種試
験に供した。
造し、得られた鋳片を熱間鍛造し、熱間圧延して、厚
さ：15mm、幅：120mm、長さ：1,000mmの鋼板を作製し、
これらの鋼板に焼入れ（920℃水冷）および焼戻し（500
〜550℃空冷）を施したものを試験用鋼板として各種試
験に供した。
【００３９】
【表１】
【００４０】まず、それぞれの試験用鋼板から直径：6.
35mm、平行部長さ：25.4mmの丸棒試験片を採取し、常温
で引張試験を行った。このときの0.2％耐力を表２に示
す。
35mm、平行部長さ：25.4mmの丸棒試験片を採取し、常温
で引張試験を行った。このときの0.2％耐力を表２に示
す。
【００４１】次に、上記の引張試験において0.2％耐力
が860MPa以上であった本発明例について、それぞれの試
験用鋼板から厚さ：3mm、幅：20mm、長さ：50mmの試験
片を採取し、この試験片を600番エメリー紙で研磨した
後、脱脂、乾燥したものを0.973MPaのＣＯ２ガスおよび
0.0014MPaのＨ２Ｓガスを飽和させた25％NaCl水溶液
（温度：165℃）に720時間浸漬した。浸漬後に試験片の
腐食減量〔（試験前の質量）−（試験後の質量）〕の測
定し、また目視により試験片表面の局部腐食の有無を確
認した。この結果、全ての試験片で腐食速度は0.5mm/年
以下で、かつ表面に局部腐食は見られなかった。
が860MPa以上であった本発明例について、それぞれの試
験用鋼板から厚さ：3mm、幅：20mm、長さ：50mmの試験
片を採取し、この試験片を600番エメリー紙で研磨した
後、脱脂、乾燥したものを0.973MPaのＣＯ２ガスおよび
0.0014MPaのＨ２Ｓガスを飽和させた25％NaCl水溶液
（温度：165℃）に720時間浸漬した。浸漬後に試験片の
腐食減量〔（試験前の質量）−（試験後の質量）〕の測
定し、また目視により試験片表面の局部腐食の有無を確
認した。この結果、全ての試験片で腐食速度は0.5mm/年
以下で、かつ表面に局部腐食は見られなかった。
【００４２】続いて、上記の引張試験において0.2％耐
力が860MPa以上であった実施例について、NACEのTM0177
-96 Method Aに従い、バネ式（プルーフリング式）試験
機を使用して定荷重試験を行った。具体的には、それぞ
れの試験用鋼板から直径：6.3mm、平行部長さ：25.4mm
の丸棒試験片を採取し、0.003MPaのＨ２Ｓガス（ＣＯ ２
bAl.）を飽和させた20％NaCl溶液（pH4.5）を使用し
て、試験温度：25℃で720時間の定荷重試験を行った。
この結果、全ての試験片で破断しなかった。
力が860MPa以上であった実施例について、NACEのTM0177
-96 Method Aに従い、バネ式（プルーフリング式）試験
機を使用して定荷重試験を行った。具体的には、それぞ
れの試験用鋼板から直径：6.3mm、平行部長さ：25.4mm
の丸棒試験片を採取し、0.003MPaのＨ２Ｓガス（ＣＯ ２
bAl.）を飽和させた20％NaCl溶液（pH4.5）を使用し
て、試験温度：25℃で720時間の定荷重試験を行った。
この結果、全ての試験片で破断しなかった。
【００４３】金属組織についても、光学顕微鏡および抽
出レプリカによって観察した。この結果を表２に併記す
る。
出レプリカによって観察した。この結果を表２に併記す
る。
【００４４】
【表２】
【００４５】表２に示すとおり、本発明例1〜28は、0.2
％耐力が860MPa以上であるとともに、優れた耐炭酸ガス
腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性を有している。一
方、Crおよび／またはMoの含有量が本発明で規定する範
囲外の比較例29、32、33、38および39、ならびに前記
(1)式を満たさない比較例30、31および34〜37はいずれ
も、0.2％耐力が860MPa未満であり、油井用鋼材として
充分な強度が得られない。
％耐力が860MPa以上であるとともに、優れた耐炭酸ガス
腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性を有している。一
方、Crおよび／またはMoの含有量が本発明で規定する範
囲外の比較例29、32、33、38および39、ならびに前記
(1)式を満たさない比較例30、31および34〜37はいずれ
も、0.2％耐力が860MPa未満であり、油井用鋼材として
充分な強度が得られない。
【００４６】
【発明の効果】本発明のマルテンサイトステンレス鋼
は、耐力860MPa以上の高強度であり、且つ優れた耐炭酸
ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性を有する。こ
の鋼は、炭酸ガス、硫化水素、塩素イオンまたはこれら
の２種以上を含む環境下で油井管その他の用途に広く使
用できる実用性の高い鋼である。
は、耐力860MPa以上の高強度であり、且つ優れた耐炭酸
ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性を有する。こ
の鋼は、炭酸ガス、硫化水素、塩素イオンまたはこれら
の２種以上を含む環境下で油井管その他の用途に広く使
用できる実用性の高い鋼である。
【図１】鋼中のMo含有量と(1)式右辺値（Ｌ値）との関
係を示す図である。
係を示す図である。
【図２】焼入れ焼戻し後における鋼の抽出レプリカ組織
を示す図である。
を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 植田 昌克
和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工
業株式会社和歌山製鉄所内
(72)発明者 近藤 邦夫
大阪府大阪市中央区北浜４丁目５番33号
住友金属工業株式会社内
Claims (8)
- 【請求項１】質量％で、Ｃ：0.001〜0.04％、Si：0.5％
以下、Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以
下、Cr：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、A
l：0.001〜0.10％およびＮ：0.07％以下を含有し、残部
がFeおよび不純物からなり、且つ、下記の(1)式を満足
し、金属組織が主として焼戻しマルテンサイト、焼戻し
時に析出した炭化物および焼戻し時に微細析出したラー
ベス相主体の金属間化合物からなることを特徴とする耐
炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れた
高強度マルテンサイトステンレス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。 - 【請求項２】質量％で、Ｃ：0.001〜0.04％、Si：0.5％
以下、Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以
下、Cr：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、A
l：0.001〜0.10％およびＮ：0.07％以下を含有し、更
に、Ti：0.005〜0.25％、Ｖ：0.005〜0.25％、Nb：0.00
5〜0.25％およびZr：0.005〜0.25％から選択される１種
以上を含み、残部がFeおよび不純物からなり、且つ、下
記の(1)式を満足し、金属組織が主として焼戻しマルテ
ンサイト、焼戻し時に析出した炭化物および焼戻し時に
微細析出したラーベス相主体の金属間化合物からなるこ
とを特徴とする耐炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐
食割れ性に優れた高強度マルテンサイトステンレス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。 - 【請求項３】質量％で、Ｃ：0.001〜0.04％、Si：0.5％
以下、Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以
下、Cr：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、A
l：0.001〜0.10％、Ｎ：0.07％以下およびCu：0.01〜3
％を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、且つ、下
記の(1)式を満足し、金属組織が主として焼戻しマルテ
ンサイト、焼戻し時に析出した炭化物および焼戻し時に
微細析出したラーベス相主体の金属間化合物からなるこ
とを特徴とする耐炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐
食割れ性に優れた高強度マルテンサイトステンレス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。 - 【請求項４】質量％で、Ｃ：0.001〜0.04％、Si：0.5％
以下、Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以
下、Cr：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、A
l：0.001〜0.10％、Ｎ：0.07％以下およびCu：0.01〜3
％を含有し、更に、Ti：0.005〜0.25％、Ｖ：0.005〜0.
25％、Nb：0.005〜0.25％およびZr：0.005〜0.25％から
選択される１種以上を含み、残部がFeおよび不純物から
なり、且つ、下記の(1)式を満足し、金属組織が主とし
て焼戻しマルテンサイト、焼戻し時に析出した炭化物お
よび焼戻し時に微細析出したラーベス相主体の金属間化
合物からなることを特徴とする耐炭酸ガス腐食性および
耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度マルテンサイト
ステンレス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。 - 【請求項５】質量％で、Ｃ：0.001〜0.04％、Si：0.5％
以下、Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以
下、Cr：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、A
l：0.001〜0.10％およびＮ：0.07％以下を含有し、さら
にCa：0.0002〜0.005％、Mg：0.0002〜0.005％、La：0.
0002〜0.005％およびCe：0.0002〜0.005％から選択され
る１種以上を含み、残部がFeおよび不純物からなり、且
つ、下記の(1)式を満足し、金属組織が主として焼戻し
マルテンサイト、焼戻し時に析出した炭化物および焼戻
し時に微細析出したラーベス相主体の金属間化合物から
なることを特徴とする耐炭酸ガス腐食性および耐硫化物
応力腐食割れ性に優れた高強度マルテンサイトステンレ
ス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。 - 【請求項６】質量％で、Ｃ：0.001〜0.04％、Si：0.5％
以下、Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以
下、Cr：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、A
l：0.001〜0.10％およびＮ：0.07％以下を含有し、更
に、Ti：0.005〜0.25％、Ｖ：0.005〜0.25％、Nb：0.00
5〜0.25％およびZr：0.005〜0.25％から選択される１種
以上を含み、Ca：0.0002〜0.005％、Mg：0.0002〜0.005
％、La：0.0002〜0.005％およびCe：0.0002〜0.005％か
ら選択される１種以上を含み、残部がFeおよび不純物か
らなり、且つ、下記の(1)式を満足し、金属組織が主と
して焼戻しマルテンサイト、焼戻し時に析出した炭化物
および焼戻し時に微細析出したラーベス相主体の金属間
化合物からなることを特徴とする耐炭酸ガス腐食性およ
び耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度マルテンサイ
トステンレス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。 - 【請求項７】質量％で、Ｃ：0.001〜0.04％、Si：0.5％
以下、Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以
下、Cr：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、A
l：0.001〜0.10％、Ｎ：0.07％以下およびCu：0.01〜3
％を含有し、更にCa：0.0002〜0.005％、Mg：0.0002〜
0.005％、La：0.0002〜0.005％およびCe：0.0002〜0.00
5％から選択される１種以上を含み、残部がFeおよび不
純物からなり、且つ、下記の(1)式を満足し、金属組織
が主として焼戻しマルテンサイト、焼戻し時に析出した
炭化物および焼戻し時に微細析出したラーベス相主体の
金属間化合物からなることを特徴とする耐炭酸ガス腐食
性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度マルテ
ンサイトステンレス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。 - 【請求項８】質量％で、Ｃ：0.001〜0.04％、Si：0.5％
以下、Mn：0.1〜3.0％、Ｐ：0.04％以下、Ｓ：0.01％以
下、Cr：10〜15％、Ni：0.7〜8％、Mo：1.5〜5.0％、A
l：0.001〜0.10％、Ｎ：0.07％以下およびCu：0.01〜3
％を含有し、更に、Ti：0.005〜0.25％、Ｖ：0.005〜0.
25％、Nb：0.005〜0.25％およびZr：0.005〜0.25％から
選択される１種以上を含み、Ca：0.0002〜0.005％、M
g：0.0002〜0.005％、La：0.0002〜0.005％およびCe：
0.0002〜0.005％から選択される１種以上を含み、残部
がFeおよび不純物からなり、且つ、下記の(1)式を満足
し、金属組織が主として焼戻しマルテンサイト、焼戻し
時に析出した炭化物および焼戻し時に微細析出したラー
ベス相主体の金属間化合物からなることを特徴とする耐
炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れた
高強度マルテンサイトステンレス鋼。 Mo≧1.5−0.89Si＋32.2Ｃ …(1) ただし、(1)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量（質量％）を示す。
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2001189138A JP2003003243A (ja) | 2001-06-22 | 2001-06-22 | 耐炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度マルテンサイトステンレス鋼 |
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|---|---|---|---|
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| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003003243A true JP2003003243A (ja) | 2003-01-08 |
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|---|---|---|---|
| JP2001189138A Pending JP2003003243A (ja) | 2001-06-22 | 2001-06-22 | 耐炭酸ガス腐食性および耐硫化物応力腐食割れ性に優れた高強度マルテンサイトステンレス鋼 |
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