JP2002538096A - 生理活性複合体のリポソームへのカプセル化 - Google Patents

生理活性複合体のリポソームへのカプセル化

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、リポソーム形成前の逆ミセル中での生理活性剤の複合体生成を含む、核酸などのリポソームカプセル化生理活性剤の調製法ならびにこのようにして形成させたリポソームおよび核酸を細胞に送達させるための処方物の使用法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、複合体が形成される、中間物である両親媒性脂質によって安定化さ
れたエマルジョンを用い、ポリカチオン凝縮された核酸のような複合体をリポソ
ーム中にカプセル化する方法に関する。また、本発明は、このように形成された
リポソームカプセル化複合体に関する。本発明の方法は、これまで、脂質に対す
る化合物の高い比率において、リポソームに負荷(load、ロード)すること
が困難であった種々の化合物を負荷したリポソームを提供するのに適用すること
ができる。
【0002】 (発明の背景) 医薬製剤として有用であるためには、生理活性剤が適当な治療有効量にて治療
部位に到達しなければならない。多くの生理活性剤および薬物はインビボで安定
であるが、他のものはしばしば分解してしまう。生理活性剤がそのターゲット部
位に到達するに先立ってそのような分解が起こると、治療量でない薬物がターゲ
ット部位に到達するであろう。他の薬物または生理活性剤はターゲットされてい
ない系によって取り込まれ、治療有効量でターゲット部位に到達する薬物または
生理活性剤が不足する。ある種の極性薬物は、ターゲットの細胞膜を通過できな
いので、細胞に侵入することが全くできない。これらの極性薬物が細胞に侵入で
きる唯一の方法は、エンドサイトーシスによって取り込まれ、それが細胞中の分
解的リソソーム酵素に暴露されることである。薬物または生理活性剤の治療上の
送達におけるさらにもう1つの問題は、しばしばいくつかの薬物または生理活性
剤に伴う毒性を回避しつつ、治療で十分な高い濃度の薬物または生理活性剤を投
与できないことである。これらの問題は多数の異なる方法によってアプローチさ
れてきた。薬物または生理活性剤がそれに伴う毒性を有しない場合、それは、分
解、ターゲットされていない器官による取り込みおよび治療薬物または生理活性
剤が必要な部位へのターゲッティングの欠如を占める十分な高い用量でそれは投
与することができる。しかしながら、多くの薬物または生理活性剤は、そのよう
な消費を行うには余りにも高価であるか、そのような高い投与量の投与を妨げる
毒性を有する。治療量の薬物または生理活性剤を投与するにおいて遭遇する問題
のいくつかを克服するために多くの方法が用いられてきた。
【0003】 1つのそのような方法は、薬物または生理活性剤をリポソーム中にカプセル化
することである。いくつかの薬物または生理活性剤は、受動的な負荷(passive
loading)によって、または勾配負荷(gradient loading)によって治療上有効
量でリポソーム中にカプセル化できるが、これらの方法は、特異的化学的特性を
持つ薬物または生理活性剤、または比較的低濃度で投与することができる薬物ま
たは生理活性剤に制限される。弱塩基または弱酸のようないくつかの生理活性化
合物は、予め形成されたリポソームに遠くから負荷して、かなり濃縮された複合
体を形成することができる。遠隔負荷または勾配負荷と言われるこのタイプの負
荷は、薬物または生理活性剤がリポソームの脂質二層を一時的に通過できること
を要する。しかしながら、これは、その多くがリポソーム二層を通過できない全
ての生理活性分子に当てはまるものではない。
【0004】 治療レベルの薬物または生理活性剤を投与しようとする試みが部分的にしか成
功していない1つの領域は遺伝子治療の領域である。遺伝子治療は、外来性遺伝
子の適当な細胞型への導入、続いての、治療に関連するレベルで細胞内での遺伝
子の発現を可能とすることを含む。そのような治療は、癌を治療するのに有用な
ものを含めた、種々の遺伝子の細胞への導入に対する基本的な研究から、比較的
短期間に進歩した(Duqueら、Histol Histopathol,1
3:231−242(1998)、Runnebaumら、Anticance
r Res.,17:2887−2890(1997))。ある場合には、裸の
DNAが細胞に取り込まれてきたが(Wolffら、Science,247:
1465−1468(1990))、その大きなサイズおよび高い程度の負の電
荷のため、それは一般に不可能である。さらに、裸のDNAは特異的細胞にター
ゲッティングするようにデザインできない。従って、一般に、成功した遺伝子治
療は、DNAおよび他の核酸を細胞に導入するために「ベクター」の利用性に頼
っている。
【0005】 現在、DNA送達系の2つの主な群、ウイルスおよび非ウイルスがある。レト
ロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスのような、複製欠陥ウイ
ルスを含めたウイルスベクターが、かくして、これまで、最も広く記載された遺
伝子送達ビヒクルであった(Robbinsら、Trends in Biot
ech,16:35−40(1998))。しかしながら、それらの使用は、そ
れらのウイルス成分の免疫原性、複製コンピテント状態への復帰の潜在的危険性
、腫瘍形成突然変異の潜在的導入、ターゲッティングメカニズムの欠如、DNA
能力の制限、大規模な生産の困難および他の因子によって妨げられてきた(例え
ば。LeeおよびHuang,J Biol Chem,271:8481−8
487(1996))。
【0006】 2つの主なタイプの非ウイルスビヒクルが、ウイルスベクターの代わりとして
開発されてきた。カチオン性脂質およびDNAよりなるカチオン性リポソームと
DNAの複合体(または「リポプレックス」、Felgnerら、Proc N
atl Acad Sci USA,84:7413−7417(1987))
は、かくして、これまで、遺伝子送達のためのウイルスベクターに対する最も広
く記載された代替物であった。しかしながら、遺伝子治療で用いた場合、そのよ
うなリポプレックスは、低い安定性、高い細胞毒性、非生分解性、DNAの貧弱
な凝縮および保護、血清感受性、大きなサイズおよび組織特異性の欠如を含めた
、いくつかの主な欠点に悩まされている。さらに、リポプレックスは正に荷電し
ているので、それは一般にはほとんどの細胞の負に荷電した表面と非特異的に相
互作用する。従って、そのようなリポプレックスをインビボで特異的部位にター
ゲッティングするのは不可能である。
【0007】 リポプレックスおよびDNAのもう1つの変形は、アニオン性リポソームに結
合したポリリシンの凝縮されたDNAを含む(LeeおよびHuang,J B
iol Chem,271:8481−8487(1996))。これらは、活
性な構造を形成するのにある種のアニオン性脂質を必要とする。形成されたリポ
プレックスはDNAを完全にはカプセル化せず、あるいは凝縮したDNAの周り
に2以上の二層を形成しなければならない。後者の場合、細胞質への送達は、D
NAが少なくとも3つの膜を横切ることを必要とするであろう。これはトランス
フェクションの効率を阻害すると予測される。前者の場合、安定性は、生理学的
塩溶液中でのDNAの暴露によっても妥協して処理される。
【0008】 リポソームはさらなるタイプの非ウイルスベクターの代替であり、リポプレッ
クスと一緒に用いるのにいくつかの利点を提供する。例えば、リポソーム二層は
カプセル化核酸の周りに形成され、それにより、環境ヌクレアーゼによる分解か
ら核酸を保護する。対照的に、リポプレックスは核酸をカプセル化せず、よって
、それを環境ヌクレアーゼから完全には隔離できない。さらに、リポソームは、
その水性区画において、核酸に加えた他の生理活性剤をカプセル化することがで
きる。対照的に、リポプレックスは水性容量をカプセル化しないのでそうできな
い。さらに、前記したリポプレックスの制限されたイオン性質とは反対に、リポ
ソームは中性に荷電しまたはアニオン性とすることができる。かくして、リポソ
ームは、送達ビヒクルそれ自体によって誘導される細胞毒性を回避し、注目する
特異的部位におけるその蓄積を増強するようにデザインすることができる。
【0009】 リポソーム中に生理活性剤をカプセル化する概念は新しくはないが、いずれか
のレベルでリポソームにカプセル化するのは多くの剤は困難であり、その他のも
のは治療に効果的なレベルにおいてリポソームにカプセル化するのは困難である
ことが判明している。多くの小さな分子はリポソームにカプセル化できるが、漏
れ出す。かくして、いくつかの生理活性剤をカプセル化し、治療に効果的な時間
の間それを治療に効果的な用量でリポソーム内に保持させるのは困難であった。
例えば、特に大きな分子をリポソーム内の複合体にカプセル化するのは困難であ
った。また、多くの水溶性分子を治療剤として用いるのは困難であった。なぜな
らば、それは細胞膜に浸透できないからである。細胞膜に融合することができる
リポソームに安定にカプセル化されると、これらの薬物を治療上有効な用量でタ
ーゲット細胞に送達するのが可能である。本発明の方法は、そのような薬物また
は生理活性剤を含有するリポソームの治療上有用な形態への処方を可能とする。
【0010】 これらの試みは核酸をリポソームにカプセル化するためになされ、これらはリ
ポソームの形成の逆相蒸発(Fraleyら、J Biol Chem,255
: 10431−10435(1980))、脱水と再水和(Alizoら、J
Microencap,7:497−503(1990))および凍結と解凍
(Monnardら、Biochem Biophys Acta,1329:
39−50(1997))方法の使用を含む。しかしながら、これらの方法の各
々は、精製物リポソーム中の空の小胞のかなりのパーセントをもたらす核酸の低
い出発濃度の要件、リポソーム中の十分な量のDNAが所望のターゲット部位で
治療上に有効であるように再現性よくカプセル化できないこと、およびヌクレア
ーゼ媒介分解からのそのカプセル化された核酸の保護のためにビヒクルを最適化
させるのが困難であるようにいくつかの制約がある。
【0011】 また、DNAを複合化剤によって複合化し、引き続いて、複合化DNAをリポ
ソーム中にカプセル化しようとする試みもなされてきた。複合化剤は、他の分子
と反応して該分子の沈殿または凝縮を引き起こす剤である。本発明でいうような
複合化剤は、生理活性剤上の電荷と反対の電荷を有する荷電分子よりなる群から
選択される。該複合化剤は、スペルミン、スペルミジン、ヘキサミンコバルト、
カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ポリリシン、ポリヒスチジン、プロタ
ミン、(ヘパリンおよびデキストラン硫酸のごとき)ポリアニオン、クエン酸イ
オンまたは硫酸イオンからなる群から選択することができる。例えば、電荷+3
以上のポリカチオン、例えば、ポリアミン、ポリリシンおよびヘキサミンコバル
ト(III)は、DNA上の複数の負の電荷との相互作用を通じてDNA分子を
凝縮させることができるのが知られている(Chattorajら、J Mol
Biol,121:327−337(1978);Gosule LCおよび
Schellman JA.Nature259:333−335(1976)
;Vitelloら、Gene Therapy,3:396−404(199
6);Widomら、J.Mol.Biol.,144:431−453(19
80);Arscottら、Biopolymers,30:619−630(
1990);Wilsonら、Biochem,18:2192−2196(1
979))。ポリアミン、例えば、スペルミジン(3+)およびスペルミン(4
+)は、他のタイプのポリカチオンとは異なり、全ての生細胞において天然では
生じないことが判明している(例えば、AmesおよびDubin,J.Bio
l Chem,253:769−775(1960);TaborおよびTab
or;Annu Rev Biochem,53:749−790(1984)
)。高いポリアミンレベルが、活動的に増殖する動物細胞で存在することが知ら
れており、正常な細胞増殖に必須であると考えられている(AmesおよびDu
bin,J Biol Chem,253:769−775(1960);Ta
borおよびTabor,Annu Rev Biochem,53:749−
790(1984);Hafnerら、J Biol Chem,254:12
419−12426(1979);Pegg,Biochem J,234:2
49−262(1986))。
【0012】 スペルミンが凝縮された線状DNAのリポソーム中へのリポソームカプセル化
はTikchonenkoら、Gene,63:321−330(1988)に
よって試みられている。しかしながら、その中での出発DNA濃度は低く、得ら
れたリポソームはリポソーム脂質に対してカプセル化DNAの低い比率を有する
結果であった(1マイクロモルの脂質当たり0.02〜0.2マイクログラムD
NA)。さらに、分子内DNA凝集の不存在下での線状DNA分子のそのような
凝縮は、非現実的な精度までのスペルミン濃度に対する制御を必要とした。加え
て、Baezaら、Ori Life Evol Biospher,21:2
25−252(1992)およびIbanezら、Biochem Cell
Biol,74:633−643(1996)は、共に、スペルミンが凝縮され
たSV40プラスミドDNAの1マイクロモル当たり1〜4マイクログラムのリ
ポソームへのカプセル化を報告している。しかしながら、それらの調製物はいず
れも、リポソーム形成に引き続いて高い塩の緩衝液に対して透析されなかった。
カプセル化DNAの報告された量は、現実には、かなりの%の未カプセル化DN
Aを含みかねない。これらのリポソーム形成はDNAase分解に暴露されて、
リポソームに現実に隔離されたDNAのパーセンテージを決定しなかったので、
報告された高い量は、恐らくは、現実にカプセル化されたDNAに影響しない。
【0013】 リポソームカプセル化核酸の効果的な調製および使用は、プロセスに由来する
空のリポソームのパーセンテージを最小化し、DNA:リポソーム脂質の比率を
最大化するために、高濃度の核酸の懸濁液の使用を必要とする。しかしながら、
リポソーム形成の公知の方法の間における高濃度のDNAの凝縮は、一般に、分
子内凝縮をもたらし、遺伝子送達に不適切な核酸ベースの構造の形成に至る。直
接的な複合化剤でのDNAの凝縮によって形成された大きな凝集体をリポソーム
中に容易にはカプセル化できず、そのような大きな凝集体構造(細胞のサイズの
オーダー)は効果的に物質をターゲット細胞に送達できない。例えば、もし凝集
体が500nmより大きければ、それは、静脈内投与後にそのサイズのため循環
から迅速に除去される。他方、より大きな凝集体をインビトロで細胞に投与する
ことができる。しかしながら、時々、凝集体は細胞によって取り込まれるのには
余りにも大きい。
【0014】 かくして、治療上有効量の種々の薬物をターゲット細胞に送達するには、得ら
れた治療生成物が治療上サイズ範囲になるように、リポソームにカプセル化すべ
き複合体のサイズをやはり制限する方法を提供しつつ、脂質二層を通ってのその
透過性を減少させるように複合化した生理活性剤を含有するリポソームの製法を
提供する必要があった。
【0015】 (発明の概要) 本発明は、 (a)少なくとも1つの両親媒性脂質を1以上の有機溶媒に溶解させるステップ
と、 (b)第1の分子および脂質を含む逆ミセルの形態のエマルジョンを形成するよ
うに、生理活性剤および複合化剤よりなる群から選択される第1の分子を含有す
る溶液を含む少なくとも1つの水性懸濁液をステップ(a)の脂質含有有機溶液
と合わせるステップと、 (c)生理活性剤および複合化剤よりなる群から選択される第2の分子を含む第
2の水性懸濁液をステップ(b)のエマルジョンに添加するステップと、ここで
、もし第1の分子が生理活性剤であれば、第2の分子は複合化剤であり、その逆
も成立し、 (d)複合化剤を生理活性剤と接触させることにより、生理活性剤と複合化剤の
複合体を脂質安定化水滴内に形成させるように、ステップ(c)のエマルジョン
をインキュベートするステップと、ここで、該複合体の直径が該液滴の直径より
大きくなく、 (e)複合化生理活性剤および脂質を含むリポソームを形成するように、ステッ
プ(d)の懸濁液から有機溶媒を除去するステップと を含む生理活性複合体をリポソーム中にカプセル化する方法を提供する。
【0016】 本発明の方法は、リポソーム内で複合化剤と複合化した広い範囲の生理活性分
子を含有する治療上有用なリポソームの調製のために有用である。好ましくは、
リポソームは、本発明の方法によって種々の分子をカプセル化できる融合性リポ
ソームである。これらの融合性リポソームは細胞膜と融合することができ、治療
上有効量の生理活性剤の細胞および器官への送達するのを可能とする。加えて、
本発明の方法は1を超える生理活性剤がリポソーム中にカプセル化されるのを可
能とする。本発明の方法によって、1以上の生理活性剤は同時に同一リポソーム
中にカプセル化することができる。もし1を超える生理活性剤が本発明の方法に
よってリポソーム中にカプセル化されると、生理活性剤の各々は複合体の形態で
ある必要はない。
【0017】 いくつかの生理活性剤は容易に脂質二層を通過し、従って、リポソームに安定
に隔離されない。生理活性剤と複合化剤とで複合体を形成することによって、生
理活性剤はリポソーム中に留まる。主な障害は、複合化された生理活性剤をリポ
ソーム中にカプセル化するのが問題であった。リポソーム中へのカプセル化に先
立って生理活性剤および複合化剤を溶液中で混合する場合、制御できないくらい
大きな多くの複合体がリポソームの効果的な負荷に必要な濃度で形成される。生
理活性剤は、そのような形成された複合体が、生理活性分子のサイズの減少、生
理活性剤の安定性の減少、生理活性剤の沈殿、生理活性剤の凝縮、または複合体
のサイズの増加のごとき物理的特性の変化をもたらすように、複合化剤に結合し
たいずれもの生理活性剤である。細胞膜と融合するリポソームは、膨大なカテゴ
リーの分子を細胞の内部に送達することができる。本発明の1つの利点は、逆ミ
セル中に生理活性剤の複合体を形成することによって、治療上有用なリポソーム
中にカプセル化できない不適当な大きな複合体の形成が妨げられることである。
【0018】 リポソーム内での生理活性化合物を含む複合体の形成は、そのような複合体が
、所望のターゲット細胞への送達前にリポソームから漏出しそうにないことであ
る。さらに、複合体の形成は、脂質に対する生理活性剤の比率が高くて、送達が
効果的であるように、多量の生理活性剤をリポソーム内に濃縮することができる
。開示された方法は、エマルジョン内での生理活性物質と複合化剤との複合化、
続いての、生理活性剤および複合化剤の極端に大きな有害な凝集体(数ミクロン
を超える)の形成を防ぐようなリポソーム内へのカプセル化を提供する。
【0019】 1つの具体例において、本発明の方法は、核酸複合体をカプセル化する方法を
提供した。例えば、DNAのごとき核酸を逆(逆転)ミセル内で凝縮剤と複合化
し、続いて、該ミセルからリポソームが形成される。前記したごとく、従来の試
みはDNAをリポソームにカプセル化しようとするものであったが、該方法のい
ずれもが治療上有用なリポソームDNAを効果的に調製するのに成功しなかった
【0020】 本発明は、1マイクロモルのリポソーム脂質当たり少なくとも約0.5マイク
ログラムの核酸の量にて、凝縮した核酸を含むリポソームの製法を提供する。
【0021】 リポソーム脂質成分は、好ましくは、一般に、約80〜20モル%の付加的な
脂質(additional lipid)に対して約20〜80モル%の誘導体化リン脂質の割
合で、誘導体化リン脂質および付加的な脂質を含む。好ましい誘導体化リン脂質
にはホスファチジルエタノールアミン(PE)とビオチンのコンジュゲート、N
−C12 DOPEのごときN−アセチル化ホスファチジルエタノールアミン(
NAPE)、およびAla−Ala−Pro−Val DOPEのごときペプチ
ドとホスファチジルエタノールアミンのコンジュゲートを含む。該付加的な脂質
はリポソームに通常一体化された種々の脂質のいずれでもあり得る。しかしなが
ら、誘導体化リン脂質がNAPEである場合、該付加的な脂質は好ましくはホス
ファチジルコリン(例えば、DOPC)である。好ましくは、核酸はDNAであ
る。
【0022】 また、リポソームおよび医薬上許容される担体を含む医薬組成物の製法が提供
され、該組成物を用いて、核酸を動物の細胞に送達することができる。
【0023】 他のおよびさらなる目的、特徴および利点は、以下の図面と組み合わせて採用
する開示の目的で掲げる本発明の好ましい具体例の以下の記載から明らかであろ
う。
【0024】 (発明の詳細な記載) 以下は本出願を通じて使用される略語、および対応する用語である。PEは、
ホスファチジルエタノールアミンを意味し、PCは、ホスファチジルコリンを意
味し、EPCは、卵ホスファチジルコリンを意味し、DOは、ジオレイル−を意
味し、DOPCは、ジオレイルホスファチジルコリンを意味し、DOPEは、ジ
オレイルホスファチジルエタノールアミンを意味し、NAPEは、N−アシル化
ホスファチジルエタノールアミンを意味し、N−C12 DOPEは、N−ドデ
カノイルジオレイルホスファチジルエタノールアミンを意味し、AAPV DO
PEは、Ala−Ala−Pro−Val−ジオレイルホスファチジルエタノー
ルアミンを意味し、CBAMは、カルセインブルーアセトキシメチルエステルを
意味し、PBSは、リン酸緩衝化生理食塩水を意味し、LBSは、低塩緩衝液を
意味し、HBSSは、ハンクスのバランス塩溶液を意味し、EGFPは、増強さ
れた緑色蛍光蛋白質を意味し、SPLVは、安定な複数ラメラリポソームを意味
し、MLVは、複数ラメラリポソームを意味し、ULVは、単一ラメラリポソー
ムを意味し、LUVは、大きな単一ラメラリポソームを意味し、SUVは、小さ
な単一ラメラリポソームを意味し、ds DNAは、二本鎖DNAを意味し、T
EMは、透過電子顕微鏡。
【0025】 本発明は、 (a)少なくとも1つの両親媒性脂質を1以上の有機溶媒に溶解させるステッ
プと、 (b)第1の分子および脂質を含む逆ミセルの形態であるエマルジョンを形成
するように、生理活性剤および複合化剤よりなる群から選択される第1の分子を
含有する溶液を含む少なくとも1つの水性懸濁液と、ステップ(a)の脂質含有
有機溶液とを組み合わせるステップと、 (c)生理活性剤および複合化剤よりなる群から選択される第2の分子を含む
第2の水性懸濁液をステップ(b)のエマルジョンに添加するステップと、ここ
で、もし第1の分子が生理活性剤であれば、第2の分子は複合化剤であり、また
はその逆であり、 (d)複合化剤を生理活性剤と接触させることにより生理活性剤と複合化剤と
の複合体を脂質安定化水滴内に形成させるように、ステップ(c)のエマルジョ
ンをインキュベートするステップと、ここで、該複合体の直径が該液滴の直径よ
りも大きくなく、 (e)複合化された生理活性剤および脂質を含むリポソームを形成するように
、ステップ(d)の懸濁液から有機溶媒を除去するステップと を含むことを特徴とする生理活性複合体をリポソーム中にカプセル化する方法
を提供する。
【0026】 本発明の方法は、当該リポソーム内に複合化剤と複合化した広い範囲の生理活
性分子を含有する治療上有用なリポソームの調製で有用である。好ましくは、リ
ポソームは、本発明の方法が種々の分子をカプセル化できる融合性リポソームで
ある。これらの融合性リポソームは細胞膜と融合することができ、治療上有効量
の生理活性剤の細胞および器官への送達を可能とする。加えて、本発明の方法は
1を超える生理活性剤がリポソーム中にカプセル化されるのを可能とする。本発
明の方法によって、1以上の生理活性剤を同時に同一リポソーム中にカプセル化
することができる。もし1を超える生理活性剤が本発明の方法によってリポソー
ム中にカプセル化されるならば、生理活性剤の各々は複合体の形態である必要は
ない。
【0027】 用語「生理活性剤」は、治療または診断目的で動物、好ましくはヒトに投与す
ることができるいずれの化合物または組成物も意味する。本発明の方法は、限定
されるものではないが、核酸、シトシンβ−D−アラビノフラノシド5’−三リ
ン酸(araCTP)のごときヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ、チト
クロームcのごとき蛋白質、シスプラチン、N−ホスホノ−アセチル−L−アス
パラギン酸または5−フルオロオレチン酸のごとき極性抗癌剤、抗癌剤の極性ま
たは荷電誘導体、極性ペプチド、ブチレートのごときヒストンでアセチラーゼ阻
害剤のような水溶性膜−不透過剤を含めた生理活性剤をカプセル化するのに有用
である。また、生理活性剤は、限定されるものではないが、DNAおよびRNA
のごとき核酸と、アシクロビール、ジドブジンおよびインターフェロンのごとき
抗ウイルス剤と、アミノグリコシド、セファロスポリンおよびテトラサイクリン
のごとき抗菌剤と、ポリエン抗生物質、イミダゾールおよびトリアゾールのごと
き抗菌類剤と、フォリン酸、およびプリンおよびピリミジンアナログのごとき抗
代謝剤と、アントラサイクリン抗生物質および植物アルカロイドのごとき抗新形
成剤と、炭水化物、例えば、糖および澱粉と、アミノ酸、ペプチド、細胞受容体
蛋白質、免疫グロブリン、酵素、ホルモン、神経伝達物質および糖蛋白質のごと
き蛋白質と、色素と、放射線同位体および放射線同位体標識化合物のごとき放射
性標識と、放射線不透過化合物と、蛍光化合物と、散瞳化合物と、気管支拡張剤
と、局所麻酔剤等よりなる群から選択される剤を含む。
【0028】 用語「生理活性複合体」は、各形成された複合体が、生理活性分子のサイズの
減少、生理活性剤の溶解度の減少、生理活性剤の沈殿、生理活性剤の凝縮、また
は複合体のサイズの増加のごとき物理的特性の変化をもたらすように、複合化剤
に複合したいずれの生理活性剤でもある。
【0029】 逆ミセルを含有する油中水型エマルジョンは、以前は、酵素速度論を研究する
のに(例えば、Bruら、Biochem J,310:721−739(19
95))およびリポソームを形成するのに(例えば、Szokaら、Proc
Nat Acad Sci USA,75:4194−4198(1978);
Grunerら、Biochem,24:2833−2842(1984))用
いられてきたが、リポソームを負荷する目的で2つの化合物の複合化を変調する
ためのかかるエマルジョンの使用は以前には報告されていない。
【0030】 エマルジョンは種々の方法で形成することができ、当業者の技量の範囲内のも
のである。音波処理、渦形成、機械的撹拌、静的混合、ホモゲナイゼーション、
注入、ミクロ流動化、コロイドミル、カーツ乳化剤および/またはカディーミル
を用いて、種々の順番の物質の添加を含めた種々のタイプのエマルジョンを調製
することができる。本発明のエマルジョンは、少なくとも1つの成分、生理活性
剤または複合化剤が、他の剤の水性分散液の添加前に脂質安定化エマルジョンの
水滴内に予め隔離されるような2つのステップで形成される。
【0031】 脂質安定化エマルジョンからの溶媒の除去に際して、「リポソーム」が形成さ
れる。溶媒は、限定されるものではないが、回転蒸発および窒素のストリーミン
グを含めたいずれかの数の方法によって除去することができる。
【0032】 「リポソーム」は、その各々が反対に向いた両親媒性脂質分子を含有する2つ
の単層を含む1以上の脂質二層を含む自己形成性構造である。両親媒性脂質は、
1つまたは2つの非極性(疎水性)アシル鎖に共有結合した極性(親水性)のヘ
ッドグループ(頭頂基)領域を含む。疎水性アシル鎖および周囲の水性媒体の間
のエネルギー的に不都合な接触は、その極性ヘッドグループ(頭頂基)が二層の
表面に向き、他方、アシル鎖が二層の内部に再び向くように、両親媒性脂質分子
を誘導してそれ自体を配置させる。アシル鎖が、水性環境と接触状態になること
から効果的に保護されるエネルギー的に安定な構造がかくして形成される。
【0033】 リポソーム(例えば、Cullisら、Biochem Biophys A
cta,559:399−420(1987);New,1995)は単一の脂
質二層(単一ラメラリポソーム、「ULV」)、または複数の脂質二層(マルチ
ラメラリポソーム、「MLV」または「SPLV」)を有することができる。各
二層は水性区画を囲むか、あるいはそれをカプセル化する。水性容量の、脂質分
子の保護バリアー内へのこのカプセル化を仮定すれば、リポソームは、カプセル
化された分子、例えば、核酸を、因子、例えば、外部環境に存在するヌクレアー
ゼ酵素の分解効果から隔離することができる。カプセル化された内容のそのよう
な保護は、核酸分子の場合、例えば、図4に存在している結果、例9に記載した
アガロースゲル分析のタイプによって示される。
【0034】 リポソームは、種々のサイズ、例えば、25nmと小さい、または10,00
0nm以上と大きい平均直径を有することができる。サイズは多数の因子、例え
ば、測定し説明する当業者の技量の十分に範囲内にある、脂質組成および調製の
方法によって影響され、やはり当業者の技量内にある準−弾性光散乱のごとき多
数の技術によって測定される。
【0035】 音波処理、ホモゲナイゼーション、フレンチプレス適応および粉砕のごとき、
やはり当業者の技量の範囲内にある種々の方法を用いて、より大きなリポソーム
からより小さなサイズのリポソームを調製することができる。押出(例えば、米
国特許第5,008,050号参照)を用い、加圧下で規定され選択されたサイ
ズのフィルター孔にリポソームを通すことによって、リポソームのサイズを低下
させ、すなわち、所定の平均サイズを有するリポソームを生産することができる
。また、接線流動濾過(WO/89/008846)を用いて、リポソームのサ
イズを調節し、すなわち、より小さなサイズの不均一性、およびより均質な規定
されたサイズ分布を有するリポソームの集団を生産することができる。これらの
刊行物を引用する事により本明細書の一部をなすものとする。
【0036】 本発明のリポソームは単一ラメラまたはオリゴラメラとすることができ、ここ
に記載された方法のいずれかによって製造されたリポソームのサイズと等しいサ
イズを有することができる。しかしながら本発明の好ましい具体例において、リ
ポソームは、約50〜300nmの数平均サイズを有する単一ラメラリポソーム
である。
【0037】 リポソームは、種々の源(天然および合成の双方)から得られた、種々の脂質
(両親媒性脂質および非両親媒性脂質)から構成される。適当なリポソーム脂質
は、限定されるものではないが、ホスファチジルコリン(「PC」)、ホスファ
チジルエタノールアミン(「PE」)、ホスファチジルセリン(「PS」)、ホ
スファチジルグリセロール(「PG」)、ホスファチジルイノシトール(「PI
」)およびホスファチジン酸(「PA」)のごときリン脂質を含む。そのような
リン脂質は一般に2つのアシル鎖を有し、これらは共に飽和しており、共に不飽
和であり、または1つが飽和し、1つは不飽和であり、該鎖は、限定されるもの
ではないが、ミリステート、パルミテート、ステアレート、オレエート、リノレ
エート、リノレネート、アラキデート、アラキドネート、ベヘネートおよびリグ
ノセレート鎖を含む。 また、リン脂質は、適当な反応性基のそれへの付着によって誘導体化すること
ができる。そのような基は一般にアミノ基であり、よって、誘導体化されたリン
脂質は典型的にはホスファチジルエタノールアミンである。PEへの付着に適し
た種々の部位は、限定されるものではないが、リポソームの生物学的膜への融合
性を増強するのに有用なアシル鎖(WO98/16199)、ターゲット細胞に
隣接するリポソームを脱安定化するのに有用なペプチド(WO98/16240
)、リポソームに対する抗体のごときターゲッティング部位を連結するのに有用
なビオチンおよびマレイミド部位(各々、米国特許第5,059,421号およ
び第5,399,331号)、ガングリオシド、ポリアルキルエーテル、ポリエ
チレングリコールおよび有機ジカルボン酸のごとき種々の分子を含む(例えば、
。米国特許第5,013,556号,第4,920,016号および第4,83
7,028号)。前記引用の刊行物は引用する事により本明細書の一部をなすも
のとする。
【0038】 従って、本発明の最も好ましい具体例において、本発明の方法によって調製さ
れたリポソームは、その内容物の送達を増強させるのに適合した誘導体化リン脂
質を含む。リポソームは、同様に付加的な脂質を含むことができるがそれを要求
されるものではなく、該付加的な脂質は、リポソーム学の分野の当業者に明らか
な多数の理由でリポソームに一体化される。そのような理由は、限定されるもの
ではないが、リポソームの安定化またはターゲッティング、ならびにリポソーム
の薬物動態学挙動のさらなる改変を含む。適当な付加的な脂質は、限定されるも
のではないが、リン脂質、糖脂質およびステロールを含めた、リポソーム中への
取り込みに適したとして通常認識される脂質のいずれも含む。
【0039】 好ましくは、本発明のリポソームは、誘導体化リン脂質および付加的な脂質を
含む脂質成分を有する。誘導体化リン脂質は式:
【化1】 を有する。 (式中、Zはビオチン、マレイミド部位、R3で示される基および式X−Yを有
する基よりなる群から選択され、Xは単結合および基R4よりなる群から選択さ
れるリンカーであり、および、Yは細胞分泌ペプチダーゼの基質であるアミノ酸
配列を含む酵素切断可能ペプチドであり、R1、R2、R3およびR4は式−OC(
O)(CH2n1(CH=CH)n2(CH2n3(CH=CH)n4(CH2n5
CH=CH)n6(CH2n7(CH=CH)n8(CH2n9CH3を有する基であ
り、ここに、n1はゼロまた1〜22の整数であり、n3はゼロまたは1〜19
の整数であり、n5はゼロまたは1〜16の整数であり、n7はゼロまたは1〜
13の整数であり、n9はゼロまたは1〜10の整数であり、および、n2、n
4、n6およびn8の各々はゼロまたは1であり、n1、n2、n3、n4、n
5、n6、n7、n8およびn9の各々は各出現において同一または異なる)
【0040】 R1およびR2では、n1+2n2+n3+2n4+n5+2n6+n7+2n
8+n9の合計は独立して、12〜22の整数であり、他方、R3およびR4では
、n1+2n2+n3+2n4+n5+2n6+n7+2n8+n9の合計は、
独立して、2〜22の整数である。該誘導体化リン脂質は、好ましくは、約20
〜80モルパーセントのリポソーム脂質を含む。
【0041】 R3がC(O)(CH2n1(CH=CH)n2(CH2n3(CH=CH)n4
CH2n5(CH=CH)n6(CH2n7(CH=CH)n8(CH2n9CH3であ
る場合、誘導体化リン脂質はN−アシル化ホスファチジルエタノールアミンであ
る(「NAPE」、WO98/16199参照)。好ましくは、R2は−OC(
O)(CH2n1CH3、より好ましくは−OC(O)(CH210CH3である。
【0042】 好ましくは、誘導体化リン脂質はN−アシル化PEである。そのようなNAP
Eは融合性リポソームを調製するのに有用であり、本発明の薬物または生理活性
剤複合体を含むリポソームを調製するのに好ましい。
【0043】 NAPE誘導二層脱安定化は、二層を誘導して隣接する生物学的膜に融合させ
、よって、二層の融合性を増強する(Shangguanら、Biochim
Biophys Acta,1368:171−183(1998))。今度は
、ある条件下で、例えば、Ca2+およびMg2+のごとき適当な濃度の存在下で、
細胞をリポソームと組み合わせることによって、増強された融合性を用いて、細
胞膜を通過できない核酸または他の剤のごときカプセル化された生理活性剤を細
胞に送達することができる。リポソーム細胞の接触の結果、リポソームカプセル
化生理活性剤が細胞に放出され、および/またはリポソームおよび細胞膜の融合
の結果として直接細胞の細胞質に放出される。そのような送達はインビボおよび
インビトロのいずれかである。
【0044】 R3がアシル鎖またはペプチドである場合、よって、誘導体化リン脂質がNA
PEまたはペプチドと脂質のコンジュゲートである場合、R1およびR2の内の少
なくとも1つは、好ましくは、不飽和アシル鎖であり、すなわち、その中のn2
、n4、n6およびn8の内の少なくとも1つは1に等しい。不飽和アシル鎖は
、限定されるものではないが、パルミトレエート、オレエート、リノレエート、
リノレネートおよびアラキドネート鎖を含む。好ましくは、不飽和アシル鎖はオ
レエート鎖(「−OC(O)(CH27CH=CH(CH27CH3」)である
。より好ましくは、R1およびR2はともにオレエート鎖であり、すなわち、誘導
体化リン脂質は、
【化2】 (式中、ZはR3またはX−Yである) である。最も好ましくは、誘導体化リン脂質は:
【化3】 であり、すなわち、「N−C12DOPE」である。
【0045】 誘導体化リン脂質がN−C12 DOPEである場合、リポソーム脂質は、好
ましくは、ホスファチジルコリン、好ましくは、少なくとも1つの不飽和アシル
鎖を有するPC、最も好ましくはジオレオイルホスファチジルコリンを含む。好
ましくは、リポソーム脂質は約70モル%のN−C12 DOPEおよび約30
モル%のDOPCを含む。(すなわち、N−C12 DOPEおよびDOPCの
「70:30」処方であり、ここに、リポソーム脂質濃度はここでは比率をいい
、ここに、そのような比率は言及する特定の脂質のリポソーム脂質における相対
的パーセンテージの表示である)
【0046】 また、リポソーム脂質は「ヘッドグループ(頭頂基)修飾脂質」、すなわち、
脂質を一体化させるリポソームへの血清蛋白質への結合を阻害することができる
部位をそれに付着させることによって誘導体化された極性基を有する脂質を含む
ことができる。かくして、ヘッドグループ(頭頂基)修飾脂質リポソームへの一
体化はその薬物動態学挙動を変化させ、従って、動物の循環にリポソームは長時
間留まり、さもなければ当てはまる(例えば、Blumeら、Biochim.
Biophys.Acta.,1149:180(1993);Gabizon
ら、Pharm.Res.,10(5):703(1993);Parkら、B
iochem.Biophys Acta.,257:1108(1992);
Woodleら、米国特許第5,013,556号、Allenらの米国特許第
4,837,028号および第4,920,016号参照、これらの刊行物は引
用する事により本明細書の一部をなすものとする。 )。
【0047】 ヘッドグループ(頭頂基)修飾脂質は、典型的には、とりわけ、ホスファチジ
ルエタノールアミン(PE)、例えば、ジパルミトイルホスファチジルエタノー
ルアミン(「DPPE」)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノール
アミン(「POPE」)およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(
「DOPE」)である。そのような脂質は、一般に、ポリエチレングリコールで
、またはコハク酸またはグルタル酸(「GA」)またはその対応する無水物のご
とき有機ジカルボン酸で誘導体化されたヘッドグループ(頭頂基)を有する。脂
質担体に一体化されたヘッドグループ(頭頂基)修飾脂質の量は、一般に、当業
者によく知られ、あるいは過度の実験無くして決定できる当業者の技量内にある
多数の因子に依存する。これらは、限定されるものではないが、脂質のタイプお
よびヘッドグループ(頭頂基)修飾のタイプ、担体のタイプおよびサイズ、およ
び処方の意図した治療用途を含む。典型的には、ヘッドグループ(頭頂基)修飾
脂質含有脂質単体中の脂質の約5モル%〜約20モル%はヘッドグループ(頭頂
基)修飾脂質である。
【0048】 複合化剤は、一般に、限定されるものではないが、スペルミン、スペルミジン
、コバルトヘキサミン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ポリリシン、
ポリヒスチジン、プロタミン、ヘパリンおよびデキストラン硫酸のごときポリア
ニオン、クエン酸イオンおよび硫酸イオンを含めた生理活性剤に反対に荷電した
基を含む。また、当業者であれば、本発明の方法で有用な他の有用な複合化剤を
認識するであろう。
【0049】 リポソームにカプセル化される凝縮核酸は、ゲノムDNA、プラスミドDNA
およびcDNAを含めたDNA、あるいはRNAであり、好ましくは、カプセル
化された核酸はDNA、好ましくは閉じた(環状)プラスミドDNAである。凝
縮した核酸は、1マイクロモルのリポソーム脂質当たり少なくとも約0.5マイ
クログラムのレベルにて、または1マイクロモル当たり少なくとも約0.75、
1.0、1.25,1.5、1.75または2マイクログラムにてリポソームに
カプセル化される。より好ましくは、リポソームは1マイクロモルの脂質当たり
約2マイクログラムの核酸〜1マイクロモル当たり約20マイクログラムを含有
する。核酸に関してここに使用される「凝縮した(condensed)」とは、核酸スト
ランドがポリカチオンの不存在下の場合に当てはまるよりも密にパックされるよ
うに、1以上のポリカチオンと組み合わされた核酸をいう。そのようなパッキン
グは核酸がリポソームにカプセル化されるのを可能とするが、核酸をトランスフ
ェクト可能な転写が準備できた立体配座のままにする。
【0050】 従って、本発明の好ましい具体例において、該方法は、約70モル%のN−C
12 DOPEおよび約30モル%のDOPCを含むリポソーム脂質および凝縮
DNAを含むリポソームを調製する。そのようなリポソームは1マイクロモルの
脂質当たり少なくとも約0.5マイクログラムの凝縮したDNAを含有する。
【0051】 本発明の方法によって供されたリポソームは、複合化された生理活性剤に加え
て1以上の生理活性剤を含有することができる。リポソームと会合できる生理活
性剤は、限定されるものではないが、アシクロビール、ジドブジンおよびインタ
ーフェロンのごとき抗ウイルス剤と、アミノグリコシド、セファロスポリンおよ
びテトラサイクリンのごとき抗菌剤と、ポリエン抗生物質、イミダゾールおよび
トリアゾールのごとき抗菌類剤と、フォリン酸、およびプリンおよびピリミジン
アナログのごとき抗代謝剤と、アントラサイクリン抗生物質および植物アルカロ
イドのごとき抗新形成剤と、コレステロールのごときステロールと、炭水化物、
例えば、糖および澱粉と、アミノ酸、ペプチド、細胞受容体蛋白質、免疫グロブ
リン、酵素、ホルモン、神経伝達物質および糖蛋白質のごとき蛋白質と、放射性
同位体および放射性同位体−標識化合物のごとき放射性標識と、放射線不透過化
合物と、蛍光化合物と、散瞳化合物と、気管支拡張剤と、局所麻酔剤等を含む。
【0052】 リポソーム生理活性剤処方は、例えば、剤の毒性を緩衝することによって生理
活性剤の治療指数を増強することができる。また、リポソームは、生理活性剤が
動物の循環から除去される速度を低下させることができる。従って、生理活性剤
のリポソーム処方は、より少ない剤が所望の効果を達成するのに投与されること
を要することを意味する。
【0053】 本発明のリポソームは、その内部内容物の実質的部分が保持されるように脱水
し、貯蔵し、次いで、復元することができる。リポソームの脱水は、一般に、リ
ポソーム二層の内部および外部表面双方における二糖のごとき親水性乾燥保護剤
の使用を必要とする(米国特許第4,880,635号参照。これらの刊行物は
引用する事により本明細書の一部をなすものとする。)。この親水性化合物は、
一般に、そのサイズおよび含有量が乾燥手法の間に、および引き続いての再水和
を通じて維持されるように、リポソーム中の脂質の再配置を妨げると考えられる
。かかる乾燥保護剤についての適当な質は、それが強力な水素結合アクセプター
であることであり、リポソーム二層成分の分子間間隔を保持する立体化学特徴を
保有することである。あるいは、もしリポソーム調製物が再水和に先立って凍結
されず、十分な水が再水和に引き続いての調製で留まれば、乾燥保護剤は省略す
ることができる。
【0054】 また、ここに、医薬上許容される担体および本発明のリポソームを含む医薬組
成物が提供される。該組成物は、例えば、核酸の動物細胞への送達で有用である
。本明細書で用いる「医薬上許容される担体」は、脂質、およびリポソーム生理
活性剤処方を含めたリポソームの、ヒトを含めた動物への投与との関係での使用
に一般に受け入れられる媒体である。医薬上許容される担体は、限定されるもの
ではないが、使用される特定のリポソーム生理活性剤、その凝縮、安定性および
意図された生物利用性と、リポソーム組成物で治療されるべき病気、障害または
疾患と、対象、その年齢、サイズおよび一般的状態と、および組成物の投与の意
図された経路、例えば、鼻孔内、経口、目、局所、経皮、膣、皮下、***内、腹
腔内、静脈内、または筋肉内を含めた、決定し説明する当業者の十分に技量内で
ある多数の特徴に従って処方される(例えば、引用する事により本明細書の一部
をなすものとするNaim(1985))。非経口生理活性剤投与で使用される
典型的な医薬上許容される担体は、例えば、D5W、5容量%のデキストロース
を含有する水溶液、および生理食塩水を含む。医薬上許容される担体は、例えば
、保存剤および抗酸化剤のごとき、含まれる活性成分の安定性を増強させるもの
を含有することができる。
【0055】 さらに、ここに、(a)核酸および脂質を含む逆(逆転)ミセルの懸濁液を形
成するように、核酸の水性懸濁液を、脂質、例えば、誘導体化リン脂質および付
加的な脂質を含む有機溶液と接触させるステップと、(b)ポリカチオンをミセ
ル懸濁液に添加して、逆ミセル内に核酸を濃縮するステップとと、次いで、(c
)ステップ(b)の懸濁液から有機溶媒を除去して、凝縮ミセルから核酸および
脂質を含むリポソームを形成させるステップを含むことを特徴とするリポソーム
中に核酸、例えば、DNAをカプセル化する方法が提供される。該カプセル化方
法によって達成されるリポソーム脂質に対する核酸の比率は、1マイクロモルの
脂質当たり少なくとも約0.5マイクログラムの核酸である。
【0056】 本発明で有用な脂質は、前記したごとく、それ自身で、または付加的な脂質と
組み合わせて、リポソームへの取り込みで適したものと認識されるものである。
これらは、リン脂質、糖脂質、ステロイドおよびその誘導体を含む。本発明で使
用される有機溶媒は、リポソーム調製物の間に脂質を溶解させるのに有用な種々
の溶媒のいずれかであり、これらは、限定されるものではないが、メタノール、
エタノール、ジメチルスルホキシド、クロロホルム、およびその混合液を含む。
好ましくは、有機溶媒はクロロホルムである。
【0057】 核酸を凝縮させるのに本発明で有用なポリカチオンは、核酸、他の生理活性剤
または薬物を凝縮させるのに使用することができる3以上のイミダゾール基を有
する化学化合物のいずれかであり、これらは、限定されるものではないが、ポリ
リシン、ポリアミン(例えば、スペルミンおよびスペルミジン)、ヘキサミンコ
バルト(III)、ポリヒスチジン、ポリエチレンイミン等を含む。好ましくは
、ポリカチオンはスペルミンである。本発明の実施で有用な核酸は、DNA、例
えば、ゲノムDNA、cDNAおよびプラスミドDNA(線状または閉じたもの
)、ならびにRNAを含む。核酸は、通常理解され、容易に実施される方法、例
えば、懸濁するマクロ分子の渦形成によって水性媒体に懸濁させることができる
。適当な水性媒体は、緩衝剤のごとき種々の添加剤の水性溶液であり、塩および
ヌクレアーゼ酵素のごときある種の成分を実質的に含まず、かかる媒体は、限定
されるものではないが、低塩緩衝液(「LSB」、例えば、後記例3参照)を含
む。
【0058】 リン脂質によって安定化された油中水型は逆ミセルを含む。逆ミセル(例えば
、Bruら、Biochem.J.310:721−739(1995))は両
親媒性脂質ベースの構造であり、ここに、脂質の親水性ドメインはミセル表面内
部に隔離され、他方、脂質の疎水性ドメインは外部の周囲に整列する。
【0059】 逆ミセルを持つエマルジョンは、前記したごとく、および後記図2に記載され
たごとく形成され、そうでなければ複合化剤の存在下でのその凝集およびリポソ
ームへの取り込みに対する不適当性に導く分子内接触からその中に隔離された核
酸を含めた生理活性剤を保護する。該プロセスは、所望の複合体を含有する得ら
れたリポソームのパーセンテージを最大化するように行われる。
【0060】 エマルジョン内では、複合体は、エマルジョン中の凝集ミセルの水性区画間で
の、ポリカチオン、または生理活性剤のごとき添加された複合化剤の交換によっ
て形成される(例えば、Bruら、FEBS,282:170−174(199
1);Fletcherら、J.Chem.Soc.faraday Tran
s I,83:985−1006(1987)参照)。DNA複合体のカプセル
化の場合、適当なポリカチオンは、核酸を凝集させるのに使用されるポリカチオ
ンのいずれかである。例えば、スペルミンおよびスペルミジンが、低いDNA濃
度においてのみ個々のプラスミドをインビトロで凝縮させて、凝縮したプラスミ
ドの凝集を回避するのに共に用いられてきた(例えば、引用する事により本明細
書の一部をなすものとするChattorajら、J Mol Biol,12
1:327−337(1978)およびGosuleら、Nature,259
:333−335(1976)参照)。そのような濃度は、凝縮された核酸のリ
ポソームカプセル化が試みられたならば、かなりの数の空があったであろう、す
なわち非DNA含有リポソームがあったであろうほど最小限十分であった。また
、ポリリシンおよびヘキサミンコバルト(III)は核酸凝縮で利用できる。
【0061】 核酸を凝縮するのに適したポリカチオンの濃度は、十分な数の核酸の負の電荷
、例えば、DNAの場合には負の電荷の約90%以上の中和がもたらされる(W
ilsonら、Biochem,18:2192−2196(1979))。当
業者であれば、適当なポリカチオン濃度または最適なポリカチオン濃度、濃縮す
べき核酸が与えられば、用いられるポリカチオン、核酸濃度およびポリカチオン
価を十分決定することができる。
【0062】 さらに、決定し説明する当業者の技量内のさらなる因子は、核酸のごとき生理
活性剤の凝縮に適したポリカチオンの濃度に影響し得る。例えば、N−C12
DOPEのごときNPPEは、さらなるアシル鎖によって正味の負の電荷を担う
。よって、そのような脂質は正に荷電した分子と相互作用でき、それにより、核
酸凝縮に適したポリカチオンのプールを減少させる。
【0063】 従って、そのような場合、そうでなければ核酸凝縮に必要な量の前記ポリカチ
オンを添加する必要があろう。そのような十分なさらなる量のポリカチオンは、
例えば、例4に記載した分注実験のタイプを含めた多数の手段によって決定する
ことができる。そのような実験は、核酸凝縮に必要なさらなるポリカチオン濃度
を示すデータ(図3参照)を提供する。例えば、例3で用いた核酸および脂質の
濃度でもってして、0.6mMスペルミンはプラスミドDNA凝縮に十分である
が、この量は、前記した濃度において、NAPE N−C12 DOPEの存在
下で0.85mMまで増加した。しかしながら、これらよりも大きな、すなわち
、最小限必要なものよりも大きなポリカチオン濃度を用いることができる。例え
ば、再度、例として例3の条件を考慮し、エマルジョン中の8〜20mMの最終
スペルミン濃度が、核酸および脂質の電荷の中和に最適であることが判明した。
【0064】 当業者であれば、本発明の実施に適した脂質および核酸の濃度を十分決定する
ことができる。例えば(後記例3参照)、200nmの球状リポソーム内に凝集
したプラスミドDNAをカプセル化するには、125マイクロリットルのLSB
中の200マイクログラムのpZeoLacZプラスミドDNAを、30マイク
ロモルのN−C12 DOPEおよびDOPCの70:30モル比組合せと組み
合わせた。
【0065】 従って、本発明の好ましい具体例は、例えば、約1mM以上の濃度において、
プラスミドDNAである凝縮した核酸、誘導体化リン脂質を含む脂質、例えば、
N−C12 DOPE、クロロホルムおよびスペルミンで実施する。
【0066】 ここに、核酸のごとき生理活性剤で動物の細胞をトランスフェクトする方法が
さらに提供され、該方法は、複合化核酸を含有する本発明のリポソームと細胞と
を接触させるステップを含む。そのような接触はインビトロ(この場合、リポソ
ームを含む組成物は細胞を囲む細胞媒体に添加される)またはインビボ(この場
合、リポソームは、やはり医薬上許容される担体を含む医薬組成物にて投与され
、そのような組成物を動物に投与する標準的な手段のいずれかによって動物に投
与される)いずれかによるものである。
【0067】 インビボ接触は、特に特異性またはターゲッティングが望まれる場合、リポソ
ームを特異的部位に向ける手段をリポソームに一体化させることによって、例え
ば、ストレプトアビジンを介して抗体をリポソームにコンジュゲートし、リポソ
ームの内容物を選択的にある部位で放出させることによって、例えば、NAPE
またはペプチドと脂質のコンジュゲートをリポソームに取り込むことによって、
および/またはその中にヘッドグループ(頭頂基)修飾脂質を取り込むことによ
り部位、例えば、腫瘍にリポソームを蓄積させることによって助けられる。
【0068】 トランスフェクション効率、すなわち、リポソームカプセル化核酸分子を細胞
に導入する効率は、リポソーム二層を誘導して細胞膜に融合させる手段をリポソ
ームに取り込むことによって、インビトロまたはインビボで助けられる。そのよ
うな手段は、限定されるものではないが、NAPE、ペプチドと脂質のコンジュ
ゲートおよびイオン化可能脂質の取り込みを含む(ここに引用する事により本明
細書の一部をなすものとするWO 87/07530およびWO 95/274
78参照)。
【0069】 トランスフェクション(インビトロまたはインビボ)は、それがその中で転写
され翻訳されるように、核酸を細胞に導入するのを助ける。外因性核酸導入によ
るそのような蛋白質発現を用いて、発現の欠如、またはその中の遺伝子の過剰発
現によって引き起こされた細胞中の多数の欠陥にアドレスし、またはそうでなけ
れば細胞蛋白質およびその発現を修飾することができる。ここに提供されるリポ
ソームカプセル化核酸での細胞のトランスフェクションは、かくして、蛋白質の
異常な、存在しないかもしれないが異常に低い、異常に高いまたは不適切な発現
によって特徴づけられる病気または障害を被る動物を治療するのに有用である。
そのような病気および障害は、例えば、限定されるものではないが、種々の癌お
よび遺伝子欠陥障害を含む。また、治療上関連するトランスフェクションは、以
前にはターゲット細胞で発現されていなかった蛋白質の発現をもたらすことがで
きる。
【0070】 トランスフェクションの成功、および細胞中でのトランスフェクトされた核酸
の発現は、例えば、放射性ヌクレオチドを核酸に取り込むことによって、または
核酸によってコードされた蛋白質の発現を検出することによって、多数の方法(
これらは一般に、細胞中の核酸の物理的圧力の検出に依存する)で検出すること
ができる。これは、限定されるものではないが、蛋白質が検出可能な場合、蛍光
マーカー、または、蛋白質が選択可能な場合、例えば、細胞毒性剤に対する抵抗
性遺伝子を含めた多数の方法で達成することができる。
【0071】 例えば、プラスミドpEGFP−1は、その存在が蛍光顕微鏡により検出され
る、増強した緑蛍光タンパク質をコードするDNA配列を含む。従って、細胞の
このプラスミドによる成功裡のトランスフェクション(例10〜12参照)は、
細胞により示される蛍光の量を評価することにより容易に決定される。これらの
実験の結果(図8〜12参照)、OVCAR−3細胞のpEGFP−1プラスミ
ドによる成功裡のトランスフェクション、並びに、有意な比率のトランスフェク
ト細胞中のトランスフェクトプラスミドの高発現レベル。
【0072】 かかる成功裡の発現は、トランスフェクトDNAがポリカチオン濃縮された場
合にのみ観察され、スペルミンで処理していないサンプルは、全く、またはほと
んど蛍光を示さなかった(図8参照)。蛍光タンパク質発現の定量(図9)によ
り、ポリカチオン濃縮DNAによるトランスフェクションでは有意な発現レベル
が得られるが、スペルミンを用いずに処理したサンプルのトランスフェクション
では、定量可能な蛍光が得られないことが実証された。さらに、遊離、すなわち
非カプセル化DNAによるトランスフェクションでも、観察可能なまたは定量可
能な蛍光は生じなかった(図8cおよび図9c)。
【0073】 本発明は、以下の例からより良く理解され、これは、本明細書で以後の特許請
求の範囲に定義した本発明の単なる例である。
【0074】 [実施例] [例1−材料] N−(リサミンローダミンBスルホニル)−ホスファチジルエタノールアミン
(卵黄レシチンからエステル交換)、DOPC、EPCおよびN−C12−DO
PEは、アバンチ・ポーラー・リピッズ(アラバスター、AL)から購入した。
OVCAR3卵巣癌細胞は、NCI−フレデリック癌研究所(フレデリック、M
D)から購入した。pEGFP−C1プラスミド、およびE.coliDH5α
コンピテント細胞は、クロンテック・ラボラトリーズ(パロアルト、CA)から
購入した。pZeoSVLacZプラスミド、コンピテント細胞およびHana
han'sS.O.C.は、インビトロゲン(サンディエゴ、CA)から購入し
た。ハンク平衡塩溶液(HBSS)、RPMI1640および熱失活胎児ウシ血
清およびリポフェクチンは、ギブコ/BRL(グランドアイランド、NY)から
購入した。DNase非含有RNaseおよびRNase非含有DNaseIは
、ベーリンガーマンハイム(GmbH、独国)から購入した。アガロースは、F
MCバイオプロダクツ(ロックランド、ME)から購入した。麦芽寒天、麦芽ト
リプトンおよび酵母抽出液は、DIFCOラボラトリーズ(デトロイト、MI)
から購入した。カルセインブルーアセトキシメチルエステル(CBAM)、Pi
coGreenおよびSybrGreenIダイは、モレキュラー・プローブズ
(オイゲン、OR)から得た。
【0075】 [例2−プラスミド精製] 2つのプラスミドをこの研究に使用した:6.5kbであり、SV40初期エ
ンハンサープロモーターから哺乳動物細胞でβ−ガラクトシダーゼのlacZ遺
伝子を発現し、抗生物質ゼオシンを使用した哺乳動物細胞およびE.coliで
の選択の可能な、pZeoSVLacZプラスミド、および、4.7kbであり
、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーターから増強緑蛍光タンパク質(E
GFP)を発現し、カナマイシンを使用してE.coliでの、およびG418
を使用して哺乳動物細胞での選択の可能な、pEGFP−C1プラスミド。プラ
スミドは、E.Coliから精製し(BaumannおよびBloomfiel
d、Biotechniques、19:884〜890(1995))−26
0nmでの吸光度と280nmでの吸光度の最終的な比は、全ての調製物におい
て1.9倍以上であり、アガロースゲル電気泳動により、期待されたサイズ範囲
のDNAが示された。
【0076】 [例3−リポソーム−DNA製剤] サンプルは、200μgのDNAを、125μlのLSBに希釈し、次いで、
得られた懸濁液を、30μmolの70:30のモル比のN−C12DOPEと
DOPCを含む、1mlのCHCl3と、13×100のPyrexチューブ中
でボルテックスをかけながら合わせることにより調製した。サンプルを、最大パ
ワー下でバスソニケーター(ラボラトリーサプライズ社、ヒックスビル、NY)
中で12秒間直ちに超音波処理にかけ、プラスミドDNAと最初にエマルジョン
を形成した。続いて、様々な濃度のスペルミン(16〜40mmol)を含む1
25μlのLSBのアリコートを、ボルテックスと超音波をかけながら、このエ
マルジョンに加えた。スペルミンを含まないサンプルを、スペルミンを第二の1
25μlアリコートから削除する以外は、同じように調製した。EPCを含むサ
ンプルの調製も、7mMもスペルミンを使用する以外は、同一であった。
【0077】 得られたエマルジョンを、数分以内に、Rotovap(ブーヒラボラトリウ
ムズ−テクニックAG、スイス)上のフラスコに入れた。有機溶媒を、フラスコ
を最大速度で回転しながら除去し、真空をピンバルブで調節した。最初に、約6
00〜650mmの真空を確立し、これを続いて過剰に泡立てることなく可能な
限り迅速に、最大真空に達するまで(約730mm)増加させ、次いで、フラス
コをさらに25分間真空化した。フラスコに残ったフィルムを、1mlのLSB
中300mMスクロースに再懸濁し、サンプルを、5回、0.4μmのポリカー
ボネートメンブランフィルター(ポレティクス、リブモア、CA)を通して押出
した。次いで、サンプルを、一晩4℃で、Ca2+/Mg2+を含まないハンク平衡
塩緩衝液(HBSS)に対して透析した。
【0078】 他の脂質組成物を使用して、本発明に従って濃縮DNAをカプセル化した。プ
ラスミドを濃縮し、上記の本例に記載のようにリポソームにカプセル化し、例1
2のように沈降させた。リポソームの脂質組成物は、12.5:2.5:50:
12:10.5:10.5の比の、コレステロールヘミスクシネート:コレステ
ロール:1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタ
ノールアミン:1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノール
アミン:ジオレオイルジメチルアンモニウムプロパン:オレオイルアセテートで
あった。ペレット化および洗浄後、これらのリポソームのDNA/脂質比を例1
0のように決定した。典型的なDNA/脂質比は、脂質1μmolあたり、DN
A1.4〜2.1μgであった。
【0079】 [例4−スペルミン分配] N−C12−DOPEは、潜在的に陽性荷電スペルミンと相互作用し、濃縮プ
ロセスに影響を及ぼし得る正味負荷電を有する。それ故、低塩透析実験でこの組
成物のDNAとリポソームの間のスペルミン分配を試験することが必要であった
。陰性荷電リン脂質とDNAの間のスペルミンの分配を測定するために設計され
た実験は、3チャンバー透析装置(Sialomed、MD)を用いて実施し、
各チャンバーは250μlの液体を含む。所望の量のスペルミンをLSBに希釈
し、2つの100,000分子量カットオフ透析膜により隔てられた、中心チャ
ンバーに入れた。スペルミンチャンバーの一方の側のチャンバーは、400μg
のpZeoLacZプラスミドDNAを、全容量250μlのLSBに含んだ。
他方の側のチャンバーは、250μlのLSBのみ、または、例3に記載のよう
に調製した、空のN−C12DOPE/DOPC(70:30)リポソームを、
250μlのLBS中、全脂質濃度30mMで含み、この配置では、スペルミン
のみが、3つ全てのチャンバーに近づける。スペルミンによるプラスミドDNA
の中和は凝集をもたらすことが知られているので(図1)、DNA含有チャンバ
ー中の溶液の濁度を、スペルミン分配のモニタリングの手段として使用した。リ
ポソームが完全にDNAからスペルミンを隔離すれば、DNAは凝集しないだろ
う。利用可能な陰性荷電脂質の量は、これらの実験でDNA上の陰性荷電の量の
約2倍であった。各透析装置は、12インチの電動車輪上で一晩(約20時間)
回転させた。次いで、DNA含有チャンバーを、繰返しピペッティングしながら
引き出し、サンプルを混合し、250μlの容量のキュベットに入れた。400
nmでの吸光度を使用して、緩衝液バックグラウンドに対する濁度をモニタリン
グした。
【0080】 DNA濁度のスペルミン滴定曲線を、リポソームの存在下および非存在下で透
析用に作成した(図3)。リポソームの存在による曲線のおよそのシフトを使用
して、各スペルミン分子が、それぞれ会合定数KDNAおよびKlipidと単純な平衡
で、4つのヌクレオチドリン酸基または4つのリン脂質に結合すると仮定して、
脂質とDNAの相対的結合定数を計算した。低塩では、DNAからのスペルミン
の解離定数は、μmol範囲であることが知られている(Wilsonら、Bi
ochem、18:2192〜2196(1979);Gosuleら、J M
ol Biol、121:327〜337(1978))。それ故、スペルミン
の遊離濃度は、これらの実験でDNA凝集に必要なmmolスペルミン濃度では
無視できると捉えた。
【0081】 DNA凝集に必要なスペルミンによるDNAリン酸基の分別中和のγは、リポ
ソームの非存在下で得られたデータに基づき、0.9と捉えた。これは、DNA
濃縮に必要であると報告されたのと同じ数値であり、凝集は、高いDNA濃度で
の濃縮を伴うという以前の観察と一致する(Wilsonら、Biochem、
18:2192〜2196(1979);Gosuleら、J Mol Bio
l、121:327〜337(1978))。凝集時に[DNA−スペルミン]
=γ[DNA]totalおよび[脂質−スペルミン]=曲線のシフトと仮定すると
、式 KDNA/Klipid=[γ/(1−γ)]×[(脂質total−シフト)/(シフト)
] を使用できる。脂質totalが、4で割ったリポソームの外側に曝露された陰性荷
電脂質の全濃度と捉える場合、見かけの平衡定数の比は178であり、すなわち
DNAに結合しているスペルミンは、脂質に結合しているよりもはるかにより強
い。結合定数の比および右の第一因子は定数である。それ故、右の最後の因子を
使用して、エマルジョンに使用したより高い有効濃度を含む、任意の全脂質濃度
のDNA濃縮のスペルミン滴定曲線のシフトを計算できる。
【0082】 図3に提示したデータにより、リポソームの存在は、DNA凝集曲線を僅かに
シフトさせることが実証される。従って、最初の250μlのエマルジョン中の
約0.6mMスペルミンは、プラスミドDNAを濃縮するに十分であり、一方、
使用量のN−C12−DOPEの存在下でDNAを濃縮するのに全0.85mM
で十分であろう。それ故、プラスミドDNAは、リポソームを不安定化し得る陰
性荷電脂質の中和を伴うことなく、これらの調製物中で真に濃縮できると期待さ
れる。
【0083】 [例5−リポソームサンプルの光学顕微鏡] リポソームへカプセル化を可能とするためのDNAの予備濃縮を試験した。溶
液の大きな濁度の変化により判断したところ大量の凝集が起こった。これは意外
ではなかった。なぜなら、類似の問題が報告されているからである。プラスミド
凝集物の光学顕微鏡観察(図1)を、125μlのLSB中、200μgのpZ
eoLacZプラスミドを使用して実施し、125μlのLSB中の7mMスペ
ルミンと穏やかに混合し、15分間室温でインキュベートした。
【0084】 顕微鏡観察(図1A)により、凝集物は、一般に1μmよりはるかに大きく、
しばしば5〜10μmであることが実証された。大きなサイズのこれらの凝集物
がさらに冷温電子顕微鏡により確認された(図1B)。この倍率で特に記述すべ
きは、おそらくスペルミンの誘導する部分的に秩序のある構造への濃縮の結果と
しての、規則的な繊維の列である。ドーナツ形の構造の始まりを示唆するいくつ
かの曲線棒も存在するが、完全なドーナツ形ではなかった。このように形成され
た凝集物は、大きすぎて送達系に有用ではなかった。
【0085】 DNAを含むN−C12−DOPE/DOPC(70:30)リポソームのサ
イズの推定のために(図5)、平均直径269±7nmのポリスチレンビーズ(
Duke Scientific社、パロアルト、CA)を、H2Oで顕微鏡に
適切な濃度に希釈し、DNAを含むN−C12−DOPE/DOPC(70:3
0)リポソームのサンプルを、さらに希釈することなく(約20mM脂質)、押
出しおよび透析後に使用した。サンプルを、オリンパスBH2蛍光顕微鏡(オリ
ンパス、レイクサクセス、NY)で1000倍率で調べた。
【0086】 結果を図5に示す。DNA含有リポソーム粒子は、この倍率でサイズおよび形
状が比較的均一のようであり、サンプル粒子のおよそのサイズは、動的光散乱試
験から得られたものと非常に類似しているようであった。図1AでのこのDNA
含有リポソーム粒子と、スペルミン凝集DNAの比較により、リポソーム形成前
に本発明に記載の逆ミセルでDNAを濃縮する利点が実証される。スピルミンが
水溶液中のDNAと直接相互作用する場合に非常に大きな凝集物の証拠は全く観
察されず、エマルジョン濃縮法は、かかる凝集物形成を大きく阻害し得ることを
示す。
【0087】 [例6−光学散乱による粒子解析] N−C12DOPE/DOPC調製物は、準弾性光散乱により特徴づけられた
。粒子サイズ解析は、Nicomp370粒子サイズ解析器(粒子サイジングシ
ステム、サンタバーバラ、CA)を使用して実施した。サンプルを解析のために
約10倍に希釈した。ガウス解析を、小胞モードで実施し、数加重平均を報告す
る。例3のように調製したスペルミン濃縮pZeoLacZプラスミドDNAの
データは、222.6nmの数平均粒子サイズで、ガウスサイズ分布により適合
し得る。
【0088】 [例7−凍結割断TEM] カプセル化DNAを含む融合誘導N−C12DOPE/DOPC調製物をさら
に、凍結割断TEMによりさらに特徴づけた。約2μlのサンプルを、2つのB
alzers銅二重複製ホールダーの間に沈着させ、液体プロパン中で凍結させ
た。サンプルを、−100℃、10-6〜10-7バールで割断し、Balzers
BAF400凍結割断装置中、白金(<45℃)および炭素で影をつけた。レプ
リカを5%漂白剤で一晩消化し、蒸留水で洗浄し、300メッシュの格子にのせ
た。像をフィリップス300TEMを用いて得た。
【0089】 結果を図6に提示する。大半の粒子はサイズが小さく(400nm以下)、N
ICOMP結果と一致する。液体二重層を通る一般的な割断平面のために、内容
物の観察は、この技術では稀である。しかし、少数の粒子は、濃縮DNAを示し
得るいくつかのカプセル化構造を有するようであった。
【0090】 [例8−冷温透過型電子顕微鏡] 冷温−EMを使用して調製物のリポソーム性質を確認し、おそらく任意のカプ
セル化物質を可視化した。EPCサンプルおよびスペルミン凝集DNAのために
、穴のある炭素支持体で覆膜した銅格子を、さらに処理することなく使用した。
N−C12−DOPE/DOPC(70:30)DNA含有リポソームサンプル
のために、穴のある炭素フィルムを含むEM格子を、一滴の0.1mMのポリリ
ジン溶液を格子表面に配置することにより陽性荷電とし、それを1分間静置した
。ポリリジンを除去し、格子を数滴の蒸留水で濯ぎ、次いで数滴のサンプル緩衝
液で濯ぐ。次いで、5μlのサンプルのアリコートを格子に配置し、薄フィルム
にブロッティングし、直ちに液体エタンに沈めた。格子を使用するまで液体窒素
下で保存した。加速電圧120kVで作動して、フィリップスCM12透過型電
子顕微鏡(Mahwah、NJ)で観察した。626冷温ホールダー(Warr
endale、PA)を使用して、画像処理中、サンプル温度を−177℃から
−175℃に維持した。低い電子量条件下でホール上に保留した領域の電子顕微
鏡写真を記録した。35,000倍率または60,000倍率の倍率および1.
8〜2.5μmの不足焦点の数値を使用した。
【0091】 結果を図7に提示する。スペルミンを、N−C12DOPE/DOPCリポソ
ームの手順から削除する場合、主に単ラメラの比較的小さいが構造的に異種なリ
ポソームが観察され(図7a)、Nicomp解析と一致した。多くのリポソー
ムが管状のようであり、これはおそらく調製手順中に生じた浸透圧勾配の結果で
あろう。いくつかのリポソームは、非濃縮DNA(左矢印)をおそらく示す内部
の繊維様構造を示した。非カプセル化遊離繊維も見ることができる(右矢印)。
【0092】 スペルミンを用いて調製したDNA含有N−C12DOPE/DOPCリポソ
ームサンプル(図7b、c)はまた、サイズ、形状およびラメラ性について異種
であった。いくつかの粒子は、目に見えるカプセル化物質を含まない、正常な外
見のリポソームであった。しかし、他のものは、電子的に濃い十分に明確なドー
ナツ形の構造を含み(図7、矢印)、これは、スペルミンを含まないサンプルに
は見られなかった。かかる構造は、使用する具体的な脂質に関連せず(図7c、
右矢印)、曲がった棒構造(図7c、左矢印)も卵黄レシチン調製物に観察され
、これは、冷温EMサンプル調製条件下でより安定な傾向があった。棒とトロイ
ド内の細かい線の間の空間は均一であり、多ラメラリポソーム(星)の2つの膜
の間の空間よりも有意に小さかった。これらのドーナツ形構造は、遊離DNAが
スペルミン(Chattorajら、J Mol Biol、121:327〜
337(1978))または他の濃縮剤(Arscottら、Biopolym
ers、30:619〜630(1990);GosuleおよびSchell
man、J Mol Biol、121:327〜337(1978))により
希釈溶液中で濃縮する場合に観察されたトロイドおよび棒に非常に似ている。棒
およびトロイド内の平行および同心状の細かい線も、プラスミド凝集物内に見ら
れる線に似ていた(図1b)。
【0093】 膜は、いくつかのドーナツ形構造の周囲に明確に観察できた(例えば図7b)
。全ての観察されたトロイドは、非透過バリア内にカプセル化されるようである
。なぜなら、濃縮したDNAトロイドは、リポソームが最終的に懸濁された高塩
緩衝液に存在できないからである。それ故、これらの調製物の大部分は、リポソ
ームでカプセル化されたプラスミドDNAからなるようである。
【0094】 [例9−アガロースゲル解析] プラスミドDNAのDNase消化からの保護は、スペルミンを用いて調製し
たリポソームでカプセル化したプラスミドDNAおよびスペルミンを用いずに調
製した対照サンプルについて、アガロースゲル電気泳動により評価した。50μ
lの所望の調製物のアリコートを、Ca2+/Mg2+を含まない145μlのHB
SSに希釈し、1μlの0.2M MgCl2+2μlのDNaseI(20単
位)を混合しながら加えた。6時間室温でインキュベートした後、2μlの0.
5M EDTAを加えて、反応を停止した。非消化対照について、50μlの各
サンプルのアリコートを、150μlのHBSS(w/o Ca2+/Mg2+)と
混合した。次いで、サンプルをフェノール/CHCl3/イソアミルアルコール
で抽出し、記載のようにエタノールで沈降させた(Sambrookら、分子ク
ローニング:実験マニュアル、第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリ
ー:コールドスプリングハーバー、NY、B4〜B5項(1989))。ペレッ
トを20μlのTE(pH8.0)に溶かし、その5μlを0.8%アガロース
ゲルにのせた。ゲルを、30分間、1:10,000希釈のストックSYBR
GreenI核酸ゲルステイン(モレキュラープローブズ)で染色し、フォトス
ペクトラム(登録商標)紫外線トランスイルミネーター(ライトボックス)で可
視化した。写真を、ポラロイドMP4+カメラシステムを用いてライトボックス
で撮影した。次いで、これらの写真をスキャンジェットIIC(登録商標)(ヒ
ューレットパッカード、パロアルト、CA)で走査し、アルダスホトスタイラー
(登録商標)(U−リードシステム、トランス、CA)でデジタル化した。
【0095】 図4に提示した結果は、両方の調製物が、有意なDNA保護または見かけのカ
プセル化を可能とすることを実証する。
【0096】 [例10−定量解析] DNA保護を定量するために、DNAを、各アリコートから抽出し、蛍光アッ
セイにより測定した。PicoGreen蛍光アッセイ(Haugland、蛍
光プローブおよび研究化学物質のハンドブック、第6版、モレキュラープローブ
ズ社、161〜162項(1996))を使用して、例9に示したフェノール/
クロロホルム手順により抽出したDNAを定量した。作用溶液を、100μlの
PicoGreenストック(モレキュラープローブズ)を、20mlのTE(
pH7.5)に添加することにより調製した。抽出したサンプルを、最初に、T
E(pH7.5)で100倍に希釈した。次いで、14μlの希釈サンプルのア
リコートを、986μlのTE(pH7.5)および1mlのPicoGree
n作用溶液と混合した。混合物を暗闇で室温で4分間インキュベートした。Pi
coGreen蛍光を室温で、PTIアルファスキャンフルオロメーター(サウ
ス・ブルンスウィック、NJ)で、励起波長480nmで、発光波長520nm
で、>500nmのハイパスフィルター(ショットグラステクノロジーズ、Du
ryea、PA)で記録した。1mlのTE(pH7.5)および1mlのPi
coGreen作用溶液混合物の蛍光をブランクとして使用した。DNaseI
消化から保護されたDNAの比率は、ブランクを差し引き、非消化サンプルを1
00%と考えることにより計算した。我々の実験条件下では、消化DNAからの
蛍光シグナルは重要ではなかった。
【0097】 スペルミンを含むサンプルでは10.1±5.6%のプラスミド保護を示し、
一方、スペルミンを含まないサンプルでは19.0±4.5が保護された。
【0098】 [例11−トランスフェクションアッセイ] 次いで、pEGFP−C1プラスミドDNAをカプセル化しているリポソーム
調製物のトランスフェクション活性を試験した。OVCAR3細胞を、10%熱
失活胎児ウシ血清を含むRPMI1640のそれぞれ1mlまたは0.1ml/
ウェル中、1×105細胞/mlで24ウェルプレートに、または、2×105
胞/mlを96ウェルプレートにプレーティングした。細胞を、2日間(約40
〜48時間)増殖させ、その後、トランスフェクションを実施し、この時点で、
細胞は集密であった。トランスフェクション溶液を、適切なリポソームまたはD
NAサンプルを血清非含有培地に希釈することにより調製した。プレートを吸引
して培地を除去し、1回、ダルベッコリン酸緩衝食塩水で洗浄し、その後吸引し
た。
【0099】 トランスフェクション溶液(24ウェルプレートでは0.5ml/ウェル、9
6ウェルプレートでは0.1ml/ウェル)を、pEGFP−C1プラスミドを
含む透析サンプルを、血清非含有培地に10倍希釈することにより調製し(特記
しない限り、約2mM全脂質)、次いで、ウェルに加えて、37℃で3時間イン
キュベートした。ウェルを吸引し、10%熱失活胎児ウシ血清を含む培地を各ウ
ェルに加えた。CMVプロモーター下での以前に実証された導入遺伝子のサイレ
ンシングのために(Tangら、Human Gene Therapy、8:
2117〜2124(1997);Dionら、Virology、231:2
01〜209(1997))、5μMのヒストンデアセチラーゼ阻害剤のトリコ
スタチンAを、各ウェルに加え、発現を増強した。最後の2つの図で提示した実
験では、別のヒストンデアセチラーゼ阻害剤の5mM 酪酸ナトリウムを代わり
に使用した。
【0100】 37℃で細胞培養インキュベーターで18〜22時間インキュベートした後、
培地を吸引し、0.5mlのアリコートのダルベッコPBSで洗浄した。10×
対物レンズを使用してオリンパスIMT−2倒立顕微鏡を用いて、組織培養プレ
ート上にまだあるサンプルの顕微鏡写真を取った。PBSを吸引し、0.5ml
(96ウェルプレートでは0.1ml)の5μMのカルセインブルーアセトキシ
メチルエステル(CBAM)のPBS溶液を各ウェルに加え、40分間室温でイ
ンキュベートした。細胞を再度PBSで洗浄し、吸引し、TE緩衝液(pH8.
0)中0.5ml(96ウェルプレートでは0.1ml)の1%C128を各ウ
ェルに加えた。次いで、サンプルを洗浄剤に溶かし、全生細胞数に関して、正し
い全EGFP蛍光について解読した。プレートの蛍光を、CytofluorI
I蛍光プレートリーダー(パーセプティブ・バイオシステムズ、フレーミングハ
ム、MA)で測定した。生細胞に添加したカルセインブルーの解読を、360n
mの励起および460nmの発光で80の増幅率で実施した。これらの解読は、
集密が観察されたレベルまで最初にプレーティングした細胞数と線形であると確
認された。図10に示したデータについて、外部DNAから分離したリポソーム
ペレットを使用した(例12)。RPMI1640中のCa2+およびMg2+レベ
ルは、血清中より有意に低く、図11および12のデータは、Ca2+およびMg 2+ を含む血清非含有培地を補充した後にそれぞれトランスフェクション中に1.
2mMおよび0.8mMが得られた。
【0101】 細胞タンパク質1単位あたりのEGFP蛍光へのおよその変換は、1%トリト
ン−100洗浄剤で抽出した24および96ウェル実験で、OVCAR−3細胞
の48時間培養液の平均タンパク質濃度を測定することにより推定できる。ビシ
ンコニン酸アッセイ(ピアスケミカル社、ロックフォード、IL)を、ウシ血清
アルブミンと共に標準物質として使用した。図9について、棒「a」の1ウェル
あたりの全平均バックグラウンド修正蛍光解読は670単位であった。別のプレ
ートから、トランスフェクション時(48時間)の1ウェルあたりの平均全細胞
タンパク質は、約88.4μg/ウェルであり、24ウェルプレート実験で、0
.5mlの容量中、全細胞タンパク質1μgあたり7.6蛍光単位を与えた。図
10では、棒「a」のデータ(96ウェル実験)は、1ウェルあたり約420単
位の平均バックグラウンド修正EGFP蛍光を示し、1ウェルあたり27μgの
平均全細胞タンパク質濃度であり、全容量0.1ml中、全細胞タンパク質1μ
gあたり15.5蛍光単位を与えた。図11では(96ウェル実験)、棒「a」
蛍光解読は、細胞タンパク質1μgあたり103蛍光単位であった。
【0102】 腹腔送達をモデルするために(図11および12のデータ)、トランスフェク
ションを、腫瘍を有するSCIDマウスの腹腔から50μlの濃縮細胞非含有洗
浄液を(例13)、上記のように増殖したOVCAR−3細胞と共に96ウェル
プレートの各吸引ウェルに加えることにより実施した。各ウェルに、例3に記載
のように調製した、50μlのN−C12−DOPE/DOPCリポソーム−D
NA製剤を加え、最終脂質濃度約10mMおよび最終カプセル化DNA濃度約7
〜14μg/ml(全DNA67μg/ml)とした。上記のようにインキュベ
ートを実施した。この場合、腹腔洗浄液を、濃縮ストックの添加により、およそ
のCa2+およびMg2+の血清レベル(それぞれ1.2mMおよび0.8mM)に
調整した。リポソーム−DNA溶液も、リポソームを細胞に加えるすぐ前に、濃
縮ストックの添加により、同じCa2+およびMg2+のレベルに調整した。
【0103】 図8および9のデータは、スペルミン濃縮プラスミドDNAをカプセル化した
NC12−DOPE/DOPC(70/30)リポソームの製剤は、OVCAR
−3細胞のトランスフェクションで活性であることを実証する。データにより、
活性は、スペルミン濃縮剤の存在およびリポソーム内のプラスミドDNAのカプ
セル化に依存したことが示される。図10のデータにより、トランスフェクショ
ン活性は、脂質カプセル化DNAには関連するが、遊離外部DNAには関連しな
いことが再度実証される。図11および12のデータは、トランスフェクション
はまた、OVCAR−3腫瘍の腹腔内部位に見られる妨害する可能性のある物質
(例えば血清タンパク質)の存在下で起こり得ることを示す。
【0104】 [例12−プラスミドDNAおよび脂質粒子の沈降] カプセル化プラスミドDNAのトランスフェクション活性を実証するために、
プラスミドDNAをリポソームカプセル化DNAから分離することが必要であっ
た。以下の調製法を使用した。沈降させて外部DNAを除去することにより調製
したリポソームを実験に使用し、その結果を図10に示す。沈降実験では、N−
C12−DOPE/DOPC(70:30)リポソームサンプルを、200mM
のスクロースをLSBに含める以外は、スペルミンを用いて例3の方法により調
製した。頭部の基を標識したリサミンローダミンBホスファチジルエタノールア
ミン(Rh−PE)も、10μg/mlで脂質プローブとして加えた。次いで、
500μlの調製物のアリコートを、16,000×gで3時間遠心分離した。
ペレットを、Ca2+/Mg2+を含まない500μlのHBSS中に再懸濁した。
50μlの各画分のアリコートを、DNaseI消化用にとっておいた(例9)
。フェノール/CHCl3抽出およびエタノール沈降後、各アリコート中のプラ
スミドDNAを、PicoGreenアッセイにより測定し(例10)、これを
使用して、各画分中の保護プラスミドの比率および全プラスミドDNAの比率を
計算した。
【0105】 脂質の分布の測定のために、40μlの各画分のアリコートを、全容量2ml
中、0.2%のC128に溶かし、蛍光を、560nmの励起波長および550
±20nmのバンドパスフィルター(Melles Grlot、Irvine
、CA)、590nmの発光波長でモニタリングした。対照として、空のN−C
12−DOPE/DOPC(70:30)リポソームを上記のように調製した。
透析後、100μgのEGFPプラスミドを500μlのサンプルに加えた。次
いで、サンプルを遠心分離し、脂質およびプラスミドDNAについて定量した。
【0106】 脂質の約80%がこれらの条件下でペレット化したが、全DNAの僅か約14
%がペレット化した。ペレット化した物質のトランスフェクション活性を図10
に示す。トランスフェクション活性は、明らかに脂質ペレット、すなわちリポソ
ームカプセル化DNAと関連した。
【0107】 [例13−洗浄液] 本明細書に記載の調製物のトランスフェクション活性に対する腹腔タンパク質
の効果を試験するために、洗浄液を下記のように調製した。細胞を含有しないの
6mlのHBSS洗浄液を、OVCAR−3細胞を注射した7週間後にSCID
マウスから採取し、10,000分子量のカットオフ回転濃縮器を用いて1ml
に濃縮した。タンパク質回収率は約60%である。HBSS中約10mg/ml
のタンパク質を含むこの液体に、正常血清範囲内までCa2+およびMg2+を補充
し、培養したOVCAR−3細胞に加え、同じCa/MgレベルでHBSS中の
リポソームと共に等容量で混合し、最終脂質濃度10mMとした。
【0108】 これらのトランスフェクション実験の結果を図11および12に示す。トラン
スフェクション効率に対する血清タンパク質の阻害効果は既知であるにも関わら
ず、かなりの活性が、本発明の方法により調製した製剤を使用してこれらの条件
下で残った。
【0109】 [例14−リポソームの負荷効率] 予備濃縮DNA法を用いたリポソームの負荷効率を、本明細書中に記載の方法
と比較した。リポソームをIbanezら、Biochem.Cell Bio
l.、74、633〜643、1996に記載のように調製した。66μg/m
lのpEGFPプラスミドDNAを、TS緩衝液(10mM Tris、1mM
NaCl(pH 7.0))に溶解した。2mlのこの溶液を、2mlの23
mMスペルミジンTS緩衝液と混合して、DNAを予備濃縮して非常に濁った溶
液を得た。これを、4℃で一晩保存した。翌日、全部で9μmolの脂質を1m
lのジエチルエーテル中に溶解した。これに330μlのDNAおよびスペルミ
ジン溶液をボルテックスしながら添加した。直後に混合物をそれぞれ5秒間で3
回超音波処理した(Laboratory Supply sonicator
、カタログ番号G112SOI)。次いで、ジエチルエーテルを37℃のロータ
リーエバポレーターを用いて除去してリポソームを形成させた。4つのこのサン
プルを各脂質組成物について調製した。リポソームを200,000×gで30
分間ペレット化した。上清を取り除き、500μl以上のTS緩衝液を添加し、
遠心分離を繰り返した。全部で3回のサイクル後、リポソームを0.45μmの
孔のMFメンブレンから押し出した。リポソームをこのポイントでのカプセル化
の同定に使用するか、リポソームの一部をCa2+またはMg2+を含まないハンク
ス平衡塩類溶液に透析した。比較のために、リポソームを例3に記載のように調
製した。DNAカプセル化を例9および例10に記載のように測定した。全消化
を6時間行った。脂質濃度をHPLCで測定した。コレステロール以外の全ての
成分を、アセトニトリル:メタノール:H2SO4=100:3:0.05の移動
相でのWaters Sherisorbシリカカラム(3μm)を用いて定量
し、UV吸収によって検出した。コレステロールを、メタノール:水=96:4
の移動相でのPhenomenex Luna C18カラム(5μm)で定量
し、弾性散乱検出器を用いて検出した。試験した脂質組成物を、以下の表に示す
【0110】
【表1】
【0111】 本明細書中に記載のように乳濁液中でのDNA濃縮によって調製されたリポソ
ームにより、予備濃縮DNAで調製したリポソームよりも非常に高いDNA比が
得られた。
【0112】 [例15−リポソームの層状性の同定] 70:30N−C12 DOPE/DOPCからなるリポソームおよびカプセ
ル化プラスミドDNAを例3に記載のように調製し、例12に記載のように沈降
および洗浄した。これらのリポソームはまた、全脂質の0.5モル%でNBDプ
ローブを含んでいた。リポソームを、蛍光光度計キュベット中で撹拌しながらリ
ン酸緩衝化生理食塩水中で80μMの全脂質濃度に希釈した。NBD蛍光を、4
50nmでの励起および530nmでの発光で測定した。最終濃度が20mMの
亜ジチオン酸ナトリウムを、リポソームを含むキュベット中に注入して露出した
NBDプローブを減少させた。図13は、約50〜55%のNBDシグナルの消
失は調製中にリポソームが主に単層であった、すなわち、約半分の脂質プローブ
が膜不浸透性還元剤亜ジチオン酸ナトリウムに曝されていたことを示す。
【0113】 [例16−腫瘍内注射によるSCIDマウス中への皮下ヒト腫瘍のトランスフ
ェクション] ヒトOVCAR−3細胞(2×106)を、SCIDマウスに皮下注射し、平
均直径が約4〜7mmに達するまで数週間成長させた。
【0114】 スペルミンを含むリポソーム、pEGFP−C1プラスミド、および70mo
le%のN−C12−DOPE、および30mole%のDOPCを、例3に記
載のように調製した。リポソーム膜はまた、蛍光リポソームマーカーとして0.
5mole%のローダミン−PEを含んでいた。
【0115】 カルシウムもマグネシウムも含まないハンクス平衡塩類溶液(HBSS)中の
全脂質濃度が約40mMの0.11mlのリポソーム溶液を、Ca2+およびMg 2+ レベルをそれぞれ1.2mMおよび0.8mMに調製した後に腫瘍の中心に直
接注射した。1日後、0.11mlの20mM酪酸ナトリウムのHBSS溶液を
同一の部位に注射した。24時間後、腫瘍を切り出して凍結した。その後、−2
0℃の凍結切片作製器上で14〜30μmの厚い切片を得て、ガラス製のカバー
ガラス上に置いて凍結させ、カバースリップを得た。凍結腫瘍サンプルを、O.
C.T.包埋媒体に包埋した。
【0116】 pEGPF−C1プラスミドの導入遺伝子発現を、固定凍結組織の20μm低
温切片の共焦点顕微鏡法によって評価した。凍結切片を、アルゴン/クリプトン
レーザーを具備したOlympus BX50/Biorad MRC 100
0共焦点顕微鏡を用いて試験した。(EGFPについてEx488nm、Em5
15;ローダミンについてはEx 568、Em585)。組織切片領域を、2
0倍に画像処理した。図の作成に画像強調を使用せずにカラースケールを適用し
た。図14は、pEGFP−C1Kプラスミド処理腫瘍から得た組織切片由来の
1対の蛍光画像を示す。下のパネルは、ローダミン標識リポソーム由来の赤色蛍
光を示す。非常に高い脂質シグナル(黄色)により、この切片はリポソーム注射
付近に存在するが示唆される。上のパネルは、導入遺伝子発現による緑色蛍光を
示す。発現プラスミド由来のシグナルが近くに存在するが、脂質シグナルの偶然
の一致ではなく、腫瘍中のプラスミドの真の発現を示すようである。図15は、
EGFPが発現した異なる腫瘍由来の異なる対の蛍光画像を示す。コントロール
腫瘍組織の低温切片由来の蛍光画像対を、図16に示す。組織中の弱い、固有の
散在する緑色蛍光は上のパネルで認められるが、任意のコントロール組織切片に
は強い蛍光領域は認められなかった。いかなるコントロール腫瘍切片にも赤色蛍
光は存在しなかった。
【0117】 [例17−インビボでのマウス筋肉のトランスフェクション] pZeoSVLacZプラスミドをカプセル化したNC12−DOPE/DO
PC(70:30)リポソームのトランスフェクション活性を、マウスの脚の筋
肉においてインビボで試験した。リポソームを、例3に記載のように調製した。
標準的な条件下に置いた雌DBAマウスを本実験に使用した。1日目に、pZe
oSVLacZプラスミドを含む50μlのリポソームを、後ろ脚に直接注射し
た。注射部位は、脚の前大腿部付近であった。反対側の脚に、pEGFP−C1
プラスミドを含むか未処理の50μlリポソームを投与した。2日目に、50μ
lの20mM酪酸ナトリウムのHBSS溶液をリポソームで治療した脚に注射し
た。3日目にマウスを屠殺し、4つの切片(前脚、後ろ脚、前大腿部、後大腿部
)に脚の筋肉を切り出した。各切片由来の組織の半分の一方を液体プロパン中で
すぐに凍結し、他方の半分を4%パラホルムアルデヒド中に固定し、30%スク
ロースで凍結保護し、プロパン中で瞬間凍結した。
【0118】 N12−DOPE/DOPC(70:30)リポソームを介して送達させたp
ZeoSVLacZプラスミドの導入遺伝子発現を、Clontech発光β−
galキットを用いて評価した。固定していない筋肉を解凍し、切片に切断し、
以下のようにホモゲナイズ(同質化)した。15ml溶解緩衝液(9.15mL K2HPO4、0.85mL KH2PO4、20μl Triton×100、
10μl DTT)を1mg湿組織に添加し、手動で5分間ホモゲナイズし、室
温で20分間インキュベートした。次いで、サンプルを、14,000rpmで
2分間スピンして組織破片をペレット化した。上清のアリコートを、Clont
echが説明するようにβ−ガラクトシダーゼについて評価した。60分後、B
ertholdプレート照度計を用いて光度を読み取った。同型の異なる筋肉切
片について測定値を平均した。結果を図17に示す。コントロール(対照)を超
える有意なβ−ガラクトシダーゼ活性の増加が前大腿部の筋肉切片に認められた
。後ろ脚および後大腿部筋肉にもわずかな増加が認められた。
【0119】 これらの結果は、N12−DOPE/DOPC(70:30)リポソームベク
ターを用いてマウスの筋肉に送達した場合のpZeoSVLacZプラスミドの
インビボトランスフェクションおよび導入遺伝子発現を示す。
【0120】 [例18−リポソーム濃縮したDNAおよびカチオン性リポプレックスでのト
ランスフェクションの比較] [カチオン性リポプレックスの調製] カチオン性脂質およびヘルパー脂質のプラスミドDNAとの複合体を、使用直
前に調製した。リポフェクチンをGibco BRL(Grand Islan
d、N.Y.)から購入した。リポフェクチンについて、脂質のみを無血清培地
で約45分間インキュベートし、製造者(インビトロゲン)が提案するようにD
NAと複合体生成させた。同体積の4μg/ml DNAおよび40μg/ml
脂質または同体積の20μg/ml DNAおよび200μg/ml脂質をすべ
てRPMI 1640培地中で混合し、約10〜15分間インキュベートし、組
織培養プレートのウェルに添加した。細胞へのリポプレックスの添加直前に濃縮
ストックの添加によってCa2+およびMg2+をそれぞれ1.2mMおよび0.8
mMの最終濃度に調整した。リポフェクチンに使用した脂質/DNA比を、いく
つかの比を比較する最適化の基本とした。
【0121】 DC−コレステロール/DOPE(4/6)複合体を、本質的に以前に記載の
ように(Muldoonら、Biotechniques、22、162〜16
7、1997)形成し、15分以内に使用した。最適なDNA/脂質比を、全て
の実験に使用した(すなわち、4μg/ml DNAを同体積の20μg/ml
脂質と混合するか、20μg/ml DNAを同体積の100μg/ml脂質と
混合した)。
【0122】 全ての他の複合体を、一製造者(インビトロゲン)のカチオン性脂質または脂
質混合物を用いて形成させた。これらを、製造者が指示するように1倍濃度およ
び指示する脂質/DNA比で調製した。
【0123】 例11に記載のようにトランスフェクションアッセイを行った。 [カチオン性リポプレックスとの比較] 外来DNAを含まないペレット化リポソームを、等しいDNA濃度でのカチオ
ン性リポプレックスとトランスフェクションについての直接比較に使用した。こ
れらのデータを、リポソーム治療(酪酸ナトリウム(導入遺伝子発現の無毒性ア
クチベーター)中でのインキュベーション後の全てのデータ(Tangら、Hu
man Gene Therapy、8、2117〜2124、1997;Wh
eelerら、Biochim.Biophys.Acta、1280、199
6;Grunerら、Biochem.、24、2833〜2842、1984
))および生理学的Ca2+およびMg2+レベルと比較して表2に示す(全てのデ
ータを、全細胞内エステラーゼ活性に関して基準化した)。表2では、N−C1
2−DOPE/DOPCリポソームを1として細胞の生存度およびトランスフェ
クションを示す(すなわち、この実験系において1.0より大きな値はこれらの
パラメータのいずれかが高いファクターを示す)。NC12−DOPE/DOP
C(70:30)リポソームのトランスフェクション活性は、一般に、これらの
条件下でのカチオン性リポプレックスで認められる範囲であった。リポプレック
スによっては有意に低い活性を示すものと有意に高い活性を示すものがあった。
3β「N−(ジメチルアミノエタン)−カルバモイル」コレステロールおよびジ
オレオイルホスファチジルエタノールアミン(DC−chol/DOPE)を含
むリポプレックスが特に活性が高かった。しかし、全てのカチオン性リポプレッ
クスのように、これらの実験で特に高濃度で使用した特定の細胞と比較してリポ
ソームより有意に毒性が高かった。これは、リポプレックスでの治療後にカルセ
インブルー蛍光が低いこと(表2のデータ)および治療後に顕微鏡で細胞が丸く
***していることが認められることによって認められる(データ示さず)。いく
つかの場合、カチオン性リポプレックスのトランスフェクション効率は、実際に
はおそらくその毒性の結果としてより高い濃度のリポソームと比較して減少した
。リポソームにカプセル化したDNAでは毒性は認められなかった。興味深いこ
とに、リポソームでの治療により、10%と30%との間の最終カルセインブル
ー蛍光が増加し、これはおそらく無血清培地中でのインキュベーションの影響か
らの保護の結果である。
【0124】 トランスフェクション効率が上記実験で使用したDNAの比較的低いレベルで
飽和に達しているので、組織培養系においてこのリポソームによるプラスミドD
NA送達系の毒性が比較的低いことの重要性は完全に明らかではない。しかし、
インビボでの飽和は非常に異なると考えられる。大過剰のインビボでの非特異性
結合部位は、ターゲット細胞での有効な発現のための高レベルのDNAおよび/
または多くの注射の使用を必要とし得る。その毒性により、この条件下でのカチ
オン性リポプレックスの使用には限界があるであろう。
【0125】 Ovcar−3細胞を、洗浄リポソームペレット(図10)または同量のpE
GFP−C1プラスミドDNAを含む脂質複合体と無血清培地中で3時間インキ
ュベートした。全てのトランスフェクション手順を例11に記載のように行い、
Ca2+およびMg2+をそれぞれ1.2mMおよび0.8mMに調整する。
【0126】
【表2】
【0127】 当業者は、目的を実行して記載のおよび固有の目的および利益を得るために本
発明が十分に適用されることを容易に認識する。本明細書中に記載の化合物、組
成物、方法、手順、および技術は、好ましい具体例として示されているか、例証
として意図されるか本発明の範囲を限定することを意図しない。これらの変更形
態および他の用途は、添付の特許請求の範囲の精神の範囲内に含まれることが当
業者に自明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はスペルミン−媒介プラスミドDNA凝集の顕微鏡写真である(125マ
イクロリットルのLSB中の200マイクログラムのプラスミドDNAを125
マイクロリットルのLSB中の7mMスペルミンと温和に混合した)。(A)室
温でのインキュベーションから15分後における光学顕微鏡観察(棒線は10ミ
クロンを表す)。(B)低温TEM観察(棒線は100nmを表す)。
【図2】 図2はDNAカプセル化の方法の模式図である。DNAの凝縮は(I)大量の
有機溶媒中でDNA周りに形成されたリン脂質−安定化水滴内で起こる。別々の
スペルミン−含有液滴は、一過性(III)接触および交換によって、(II)
スペルミンをDNA含有液滴に移動させる。エマルジョン内での凝縮(IV)の
後、小胞は、溶媒蒸発によって形成され、さらに、より小さなサイズに押し出さ
れる(V)。
【図3】 図3は、プラスミドDNAのスペルミン媒介凝集に対するリポソームN−C1
2 DOPEの効果を示す。平衡透析は3−チャンバー透析デバイスで行った(
例4参照)。左側の曲線はリポソーム無しでの透析からのものであり、他方、右
側にシフトした曲線は、リポソームを含むチャンバーを含んだ透析からのもので
ある。X軸:スペルミン濃度(mM);y軸:濁度(O.D.400nm)。
【図4】 図4はN−C12 DOPE/DOPC(70:30)処方におけるプラスミ
ドDNA保護のアガロースゲル分析を示す。押出および透析後の各調製からのア
リコットを分け、その1つをDNaseIで消化した(例9参照)。レーン1。
スペルミン無しでの調製。レーン2。DNaseIで消化した以外はレーン1に
同じ。レーン3。スペルミン有りでの調製。レーン4。DNaseIで消化した
以外はレーン3に同じ。
【図5】 図5はpZeoLacZプラスミドおよびスペルミン(A)−対−269±7
nmの平均直径を持つポリスチレンビーズ(B)で例3に記載されたごとく調製
したN−C12 DOPE/DOPC(70:30)試料中の粒子の光学顕微鏡
写真を示す(棒線は10nmを表す)。
【図6】 図6は例3に記載したごとくプラスミドおよびスペルミンで調製したN−C1
2 DOPE/DOPC(70:30)の凍結破砕TEM顕微鏡写真(例7参照
)を示す。矢印は明らかにカプセル化された物質を含む粒子を示す(棒線は40
0nmを表す)。
【図7】 図7はスペルミン無し(a)またはスペルミン有り(b)でのN−C12 D
OPE/DOPCおよびpZeoLacZプラスミドを含むリポソームの低温T
EM顕微鏡写真(例8参照)を示し、該リポソームは例3に記載されたごとく調
製された。(a)においては、繊維様構造がリポソームの外部(星印)および明
らかに内部(矢印)で観察される。(b)においては、矢印はポリカチオン凝集
プラスミドDNAに似たトロイドを示す((a)および(b)中の棒線は100
nmを表す)。光学顕微鏡写真(c)はスペルミンで作成されたEPC試料を表
す。トロイド(矢印)および曲がったロッド(星印)構造をマルチラメラリポソ
ーム(ポンドサイン)と比較する[棒線は50nmを表す]。
【図8】 図8は、N−C12 DOPE/DOPC(70:30)調製物でのトランス
フェクション(例11参照)後における密集OVCAR3細胞の蛍光光学顕微鏡
写真を示す。リポソーム試料は(a)スペルミン有りまたは(b)無しにてpE
GFP−C1プラスミドDNAで調製した(例3参照)。予め形成されたリポソ
ームの外部に添加されたスペルミン+遊離pEGFP−C1プラスミドDNA無
しの空のN−C1 DOPE/DOPC(70:30)リポソームの試料(c)
もまたテストした。試料c中の空のリポソームに添加されたプラスミドDNAの
量は、他の調製物の各々における全量と等しかった。等しいリポソーム濃度を実
験で用いた。
【図9】 図9はEGFP蛍光レベルによって測定した、pEGFP−C1でトランスフ
ェクトしたOVCAR3細胞におけるEGFP発現の定量を示す。トランスフェ
クション実験(a、bおよびc、例11参照)は前記図面脚注におけると同一で
あった。加えて、テストした処方は:d)スペルミンおよびpEGFP−C1プ
ラスミドで調製した卵PCリポソーム(例3参照)、およびd)添加無しであっ
た。細胞を洗浄し、CBAMで標識し、次いで、洗剤に溶解させてEGFPおよ
びカルセインブルーの蛍光で測定した(例10参照、誤差棒線は±標準偏差であ
る)。
【図10】 図10はスペルミンおよびpEGFP−C1プラスミドDNAで調製したN−
C12−DOPE/DOPC(70:30)の脂質ペレットでのトランスフェク
ション活性の会合を示す(例3参照)、最初のプラスミドDNAおよびスペルミ
ン溶液は200mMスクロースを含有した。押出および透析の後、試料の半分を
さらなる取り扱い無くしてトランスフェクションで用い(a)、試料の残りから
の脂質粒子を遠心によってペレット化し、トランスフェクションで用いる前にH
BSSで一回洗浄した(b)。200mMスクロースのみを含むN−C12−D
OPE/DOPC(70:30)もまた調製し、他の試料で用いたものと等しい
量での丁度透析前にプラスミドDNAおよびスペルミンを共に外部添加した。こ
の空の試料(c)のペレットは同一の方法で調製し、次いで、各試料の等しい脂
質量を、前の図面の脚注に記載された条件下でトランスフェクションで用いた。
一晩のインキュベーションの後に、細胞をCBAMで標識し、EGFPおよびカ
ルセインブルーの蛍光を測定した(誤差棒線は±標準偏差である)。
【図11】 図11は緩衝液と比較したマウス腹水液におけるN−C12 DOPE/DO
PC(70:30)を介するトランスフェクションを示す。腹水は、例13に示
すごとく、腫瘍−担持SCIDマウスの洗浄から得た。細胞は、ほぼ3.5mg
/mlの最終蛋白質濃度にて、HBSSまたは腹水液を含むHBSS中の最終濃
度10mM全脂質にてプラスミドDNA含有リポソーム(ペレットではない)と
共にインキュベートした(例11参照)。3時間のインキュベーションの後、ト
ランスフェクション溶液を血清およびブチレート含有媒体でほぼ20時間で交換
した。EGFPの発現をその蛍光を介して測定した(誤差棒線は±標準偏差を表
す)。
【図12】 図12は緩衝液またはマウス腹水液中のN−C12 DOPE/DOPC(7
0:30)リポソームでトランスフェクトした(例11参照)OVCAR−3細
胞の蛍光光学顕微鏡写真を示す。図12の脚注に記載したごとく処理した細胞を
写真に取った。写真Aは腹水液を含まないトランスフェクションを表し、写真B
は腹水液を含むトランスフェクションを示す:細胞はこれらの図で密集している
【図13】 図13はリポソームのラメラ性の蛍光プローブ測定を示す。
【図14】 図14はpEGFP−C1を含有するN−C12 DOPE/DOPC(70
:30)リポソームでインビボにてトランスフェクトしたOVCAR−3腫瘍の
蛍光顕微鏡写真を示す。パネルAはEGFPの発現を示す。パネルBはローダミ
ン標識リポソームからの赤色蛍光を示す。
【図15】 図15はpEGFP−C1を含有するN−C12 DOPE/DOPC(70
:30)リポソームでインビボにてトランスフェクトした図14とは異なる部位
から取ったOVCAR−3腫瘍の蛍光顕微鏡写真を示す。パネルAはEGFPの
発現を示す。パネルBはローダミン標識リポソームからの赤色蛍光を示す。
【図16】 図16は対照腫瘍組織の蛍光顕微鏡写真を示す。パネルAは散漫な緑色蛍光を
示す。パネルBはローダミン標識リポソームからの赤色蛍光の欠如を示す。
【図17】 図17はインビボでのトランスフェクション後の筋肉組織中でのβ−ガラクト
シダーゼ活性の発現を示すグラフを表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 35/00 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 シャングァン,トン アメリカ合衆国ニュージャージー州08540, プリンストン,タフト・コート 17 (72)発明者 キャブラル‐リリー,ドナ アメリカ合衆国ニュージャージー州08540, プリンストン,キャナル・ロード 981エ イ (72)発明者 ジャノフ,アンドリュー アメリカ合衆国ペンシルヴァニア州19067, ヤードリー,カウンテス・ドライヴ 560 (72)発明者 アール,パトリック アメリカ合衆国ニュージャージー州08536, プリンストン,ブルックリン・コート 2 イー Fターム(参考) 4C076 AA19 BB11 CC27 DD49P DD63F FF35 FF43 GG27 4C084 AA13 MA01 MA05 MA24 MA66 NA10 NA12 ZB352 4C086 AA01 AA02 EA16 MA02 MA05 MA07 MA24 MA66 NA03 NA10 NA12 ZB26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)少なくとも1つの両親媒性脂質を1以上の有機溶媒に
    溶解させるステップと、 (b)生理活性剤および脂質を含むエマルジョンを形成するように、生理活性
    剤を含む第1の水性懸濁液をステップ(a)の脂質含有有機溶液と合わせるステ
    ップと、 (c)複合化剤を含む第2の水性懸濁液をステップ(b)のエマルジョンに添
    加するステップと、 (d)複合化剤を生理活性剤と接触させることにより、生理活性剤と複合化剤
    との複合体を脂質安定化水滴内に形成するように、ステップ(c)のエマルジョ
    ンをインキュベートするステップと、ここで、該複合体の直径は該水滴の直径よ
    りも大きくなく、 (e)複合化された生理活性剤および脂質を含むリポソームを形成するように
    、ステップ(d)の懸濁液から有機溶媒を除去するステップと を含むリポソーム中に生理活性複合体をカプセル化する方法。
  2. 【請求項2】 (a)少なくとも1つの両親媒性脂質を1以上の有機溶媒に
    溶解させるステップと、 (b)複合化剤および脂質を含むエマルジョンを形成するように、複合化剤を
    含む第1の水性懸濁液をステップ(a)の脂質含有有機溶液と合わせるステップ
    と、 (c)生理活性剤を含む第2の水性懸濁液をステップ(b)のエマルジョンに
    添加するステップと、 (d)複合化剤を生理活性剤と接触させることにより、生理活性剤と複合化剤
    との複合体を脂質安定化水滴内に形成するように、ステップ(c)のエマルジョ
    ンをインキュベートするステップと、ここで、該複合体の直径は該水滴の直径よ
    りも大きくなく、 (e)複合化した生理活性剤および脂質を含むリポソームを形成するように、
    ステップ(d)の懸濁液から有機溶媒を除去するステップと を含むリポソーム中に生理活性複合化をカプセル化する方法。
  3. 【請求項3】 前記生理活性剤が、核酸である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記核酸が、DNAである請求項1に記載の方法。
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