JP2002522087A - インベルターゼインヒビターの発現が低下したトランスジェニック植物および植物細胞 - Google Patents

インベルターゼインヒビターの発現が低下したトランスジェニック植物および植物細胞

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JP2002522087A JP2000565153A JP2000565153A JP2002522087A JP 2002522087 A JP2002522087 A JP 2002522087A JP 2000565153 A JP2000565153 A JP 2000565153A JP 2000565153 A JP2000565153 A JP 2000565153A JP 2002522087 A JP2002522087 A JP 2002522087A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、インベルターゼインヒビターの発現が低下したトランスジェニック植物細胞および植物に関する。インベルターゼインヒビターの発現の改変は、プロモーターに対してアンチセンス配向にcDNA配列を導入することにより達成される。アンチセンスDNA配列の発現はCaMV35S プロモーターまたは組織特異的プロモーターの調節下に行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】説明 本発明はトランスジェニック植物細胞および植物、その製造方法、ならびにア
ンチセンスまたはセンス配向にあるインベルターゼインヒビターcDNA配列の
かかる植物の製造するための使用に関するものである。
【0002】 農業上有用な双子葉および単子葉植物の種子における植物性貯蔵物質の品質お
よび/または量の改善は、バイオテクノロジー研究の重要な目的である。これま
で一般に、遺伝子産物がエネルギー貯蔵の合成に関与する酵素(例えばADP-グル
コースピロホスホリラーゼ)を構成する特定の遺伝子の導入に基づく戦略が開発
された。またさらに、サイトゾル中の異種、従って脱調節されたインベルターゼ
またはグルコキナーゼの発現を変化させることにより、糖分解速度の増大が達成
される方法も記載されている(DE-A1-195 29 696号)。後者の変異体では、脱調
節された細菌性グルコキナーゼと組み合わせた脱調節された真菌性インベルター
ゼによるスクロースの分解増大により糖分解速度の増強がもたらされる。このア
プローチは、糖分解中間体の濃度増大ゆえに種子中の貯蔵油の合成が刺激される
という仮定に基づくものである、というのは一次光同化物であるスクロースの代
謝がリン酸化ヘキソースまたは脂肪酸前駆体であるピルビン酸およびアセチル-C
oAのために必要であるからである。
【0003】 DE-A1-195 29 696号は、インベルターゼの発現のための外来遺伝子、例えば真
菌性遺伝子の導入を記載している。外来遺伝子の供給によって、外来であり、そ
れゆえ何らの調節下にもない真菌性インベルターゼ酵素が、適当なプロモーター
の調節下で増幅され、それによりインベルターゼにより触媒されたスクローズの
グルコースおよびフルクトースへの分解が加速される結果となる。比較的高速度
で行われるグルコースの産生は最後に植物性貯蔵物質の生産促進をもたらす。こ
の方法は種子貯蔵組織の細胞での代謝への介入に基づいており、その際母方と種
子の柔組織間の同化物移送はただ間接的にのみ影響を受ける。
【0004】 デンプンおよびタンパク質に富んだ種子の生育にとっての細胞壁インベルター
ゼの重要性は知られている。例えば、トウモロコシ種子のデンプン蓄積は、細胞
壁インベルターゼの発現低下により小花柄と内胚乳との間の同化物移送を障害す
ることにより有害な影響を受ける。種々の植物種で花特異的な細胞壁インベルタ
ーゼイソ型が知られている。タバコ(Nicotiana tabacum)では、特に子房およ
び雄しべ中でアポプラスト(apoplastic)インベルターゼインヒビターが強く発現
されることを示し得た。Greiner ら(Plant Physiol. (1998), 733-742)は前記イ
ンベルターゼインヒビターのアミノ酸配列およびそのcDNA配列、ならびにそ
のin vitro機能の検出を、異種発現されたインヒビタータンパク質を用いること
により解明している。しかし、in vivoでの阻害はまだ示されていない。その上
、種々の組織および植物発達の様々な時点において異なる細胞壁インベルターゼ
およびインベルターゼインヒビターのイソ型が存在することが知られている。
【0005】 これらの2つの時点特異的(time-specific)および組織特異的に出現するタン
パク質の活性およびその可能性ある共同作用についての特定分類はこれまで可能
ではなかった。インベルターゼインヒビターによる細胞壁インベルターゼの調節
に関するin vivo状態の研究は知られていない。細胞壁インベルターゼのどのイ
ソ型が種子発達期間中いつインベルターゼインヒビターによる内因性調節の下に
あるか、およびその場合インベルターゼインヒビターのどのイソ型であるかも同
様にほとんど知られていない。植物の製造のためのこれらタンパク質の特定の利
用はそれゆえこれまで可能でなかった。
【0006】 それゆえ本発明の技術的問題はトランスジェニック植物細胞、植物およびそれ
らを製造する方法を提供するためであり、これら植物は、内因性または外因性タ
ンパク質が過剰発現されることなくそしてその植物の表現型およびその発達が損
なわれることなく、形質転換されてない植物の種子と比較して多量の植物性貯蔵
物質、例えば炭水化物、脂肪またはタンパク質を有する種子を生産することを特
徴とするものである。
【0007】 本発明の基礎をなす技術的課題は、植物の発育を促進する脱調節されたインベ
ルターゼ活性を有するトランスジェニック植物の製造方法により提供され、この
方法は;植物の細胞懸濁培養物または幼若胚(young ovules)を有する花のcD
NAバンクからインベルターゼインヒビターのヌクレオチド配列を取得するか、
またはそれから誘導し;同種または同品種の植物の植物細胞を少なくとも1個の
調節単位に結合した前記インベルターゼインヒビターの機能的ヌクレオチド配列
を含有するDNA構築物を用いて形質転換し、培養し、そして、その種子がかか
るDNA構築物で形質転換されていない植物と比較して多量の貯蔵物質(例えば
炭水化物、脂肪またはタンパク質)を産生する植物に再生させること、を提供す
るものとする。
【0008】 本発明は特に、インベルターゼインヒビター、好ましくはアポプラストインベ
ルターゼインヒビターの発現が改変されたトランスジェニック植物の製造を提供
するものであり、この植物は種子発達期間中のインベルターゼインヒビタータン
パク質の発現が低減されるかまたは全く排除されていることを特徴とする。この
方法は種々の双子葉または単子葉の有用植物に有利に適用でき、例えば、脂肪貯
蔵性種子を有する植物として、アブラナ、ヒマワリ、ラッカセイ、アブラヤシ、
ダイズ、Calendula officinalis, Coriandrum sativum, Crambe abyssinica, Cu
phea ssp., Dimorphotheca pluvialis, Euphorbia lagascae, Euphorbia lathyr
is, Lesquerella grandiflora, Limnanthes alba, Linum usitatissimum, Lunar
ia annua, Lunaria biennis, Oenothera ssp., Ricinus communis, Simmondsia chinensis ;デンプン貯蔵性種子を有する植物として、トウモロコシ、イネ、コ
ムギ、オオムギ、オートムギ、ライムギ;および例えばタンパク質貯蔵性種子を
有する植物としてダイズ、エンドウである。
【0009】 従って本発明は、植物細胞を、少なくとも1個の調節単位の制御下にあるイン
ベルターゼインヒビター遺伝子のヌクレオチド配列を用いて形質転換することを
提供するものであり、前記インベルターゼインヒビター遺伝子のヌクレオチド配
列は細胞特異的内因性インベルターゼインヒビターの活性を排除または低下させ
うるものである。好ましい実施形態においては、細胞中の内因性インベルターゼ
インヒビター活性の排除は、インベルターゼインヒビターのヌクレオチド配列を
アンチセンスDNA構築物、すなわちインベルターゼインヒビター遺伝子のヌク
レオチド配列がプロモーターに対してアンチセンス配向で存在する構築物中に挿
入することにより達成される。発現、すなわちこの状況においてアンチセンス構
築物の転写により、細胞特異的インベルターゼインヒビター遺伝子の活性が阻害
されるかまたは低下され、従ってそのような脱調節されたインベルターゼは種子
中の貯蔵物質蓄積の増大をもたらす。
【0010】 本発明に関して、アンチセンス構築物とは、プロモーターに対してアンチセン
ス配向で機能的に結合したインベルターゼインヒビターのヌクレオチド配列を有
するDNA構築物を意味すると理解され、ここでこのヌクレオチド配列とはイン
ベルターゼインヒビターの全長cDNA、それから誘導された配列、または断片
、対立遺伝子変異体もしくはその誘導体である。
【0011】 本発明に関して、cDNAから誘導された配列とは、このcDNA配列とハイ
ブリダイズする人工的なまたは天然のヌクレオチド配列を意味し、それゆえSamb
rookら(Molecular Cloning, a laboratory manual, 2nd edition(1989), Cold S
pring Harbor Laboratory Press)に記載された条件下でインベルターゼインヒビ
ターのcDNA配列と好ましくはストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
るヌクレオチド配列であると理解される。本発明によればハイブリダイズする配
列は、インベルターゼインヒビター遺伝子のcDNA配列に対して60、70、80、
90、95または97%の配列同一性、特に好ましくは99%の配列同一性を有する。イ
ンベルターゼインヒビターのcDNA配列の断片が本発明に従って使用される場
合、この断片は少なくとも、野性型転写物にハイブリダイズすることにより、内
因的に産生されたインベルターゼインヒビターmRNAの翻訳を阻害するに十分
な長さ、例えば数百塩基対の長さ、および配列類似性を有する。勿論、アンチセ
ンス構築物がインベルターゼインヒビター遺伝子のヌクレオチド配列を有するか
、または転写されたがまだ翻訳されてない、すなわち非翻訳領域(いわゆるUTR
)からなる場合も提供されうる。
【0012】 本発明に関して、内因性インベルターゼインヒビター遺伝子の活性の排除また
は低下を引き起こしうるDNA構築物は、前記したようにインベルターゼインヒ
ビターのヌクレオチド配列またはそれから誘導される配列(これは少なくとも1
個の調節単位(例えばプロモーター)とセンス配向で機能的に結合している)を
有するDNA構築物も意味すると理解されるべきである。このタイプの構築物を
用いて、内因性インベルターゼインヒビターの産生が共抑制により、例えば、形
質転換された細胞のゲノム中にインベルターゼインヒビターのヌクレオチド配列
のセンスコピーが多数存在可能であり、そして内因性インベルターゼインヒビタ
ーの発現が排除されることにより、妨げられうる。
【0013】 本発明による構築物は、好ましくはベクター、例えば、プラスミド、ウイルス
、コスミド、バクテリオファージまたはそれ以外の遺伝子技術に慣用のベクター
中に配置される。
【0014】 本発明によれば、インベルターゼインヒビターの使用すべきヌクレオチド配列
を、5'側に置かれたプロモーターと機能的に結合させることのみならず、また有
利にはヌクレオチド配列の3'側に例えばアグロバクテリウム・ツメファシエンス
(Agrobacterium tumefaciens)のNOS遺伝子からの転写終結シグナルを挿入する
ことも提供されうる。勿論、ベクター中にさらなる機能単位、例えばT-DNAボ
ーダー(border)配列またはベクター安定化エレメントを提供することも可能であ
る。
【0015】 従って本発明は、好ましい方法で非形質転換植物と比較して種子中の貯蔵物質
量の増大を示す植物を提供するものであり、比較的増大した貯蔵物質量とは、形
質転換植物の全体の種子中の調査する貯蔵物質の平均量が、非形質転換植物の全
体の種子中の問題となっている貯蔵物質の平均量よりも好ましくは5、より好ま
しくは10、20、30、40、50、特に好ましくは90、100 、200 または300%高いこと
を意味する。
【0016】 それゆえ本発明は、インベルターゼインヒビター遺伝子のヌクレオチド配列、
特にインベルターゼインヒビター遺伝子のcDNAを用いて、植物の発育が他の
観点で変更または損なわれることなく、種子中のin vivo貯蔵物質蓄積増大を示
す植物が製造されうるという驚くべき知見に関する。その際本発明は、とりわけ
、内因性インベルターゼが種子発達中にインベルターゼインヒビターによる内因
性調節下にあるという驚くべき事実に基づくものである。
【0017】 それゆえ本発明はまた、少なくとも1個の調節単位と機能的に結合したインベ
ルターゼインヒビター遺伝子のヌクレオチド配列を、改変された種子発達を示す
植物、特に非形質転換植物の種子と比較して高い貯蔵物質量を示す種子を形成す
る植物の形質転換および製造に使用することにも関するものである。
【0018】 本発明は特にインベルターゼインヒビター遺伝子のヌクレオチド配列の前記し
た使用に関するものであり、ここでこれは細胞懸濁培養物のcDNAバンクから
、または(本発明によりこのヌクレオチド配列を用いて調製された本発明のDN
A構築物で形質転換すべき)その植物種もしくは場合によりその植物品種の幼若
胚を有する花から取得されるか、あるいはそれから誘導される。それゆえ形質転
換に使用されるヌクレオチド配列は細胞懸濁培養物または幼若胚を有する花にお
いて優勢であるインベルターゼインヒビターのイソ型をコードするヌクレオチド
配列であるか、またはそれから誘導される。。
【0019】 本発明に関連して、幼若胚を有する花とは未成熟の種子原基を有する花、すな
わち受粉後ではあるが休眠開始前の花である。
【0020】 本発明の技術的問題の解決はまた、同じ植物種に相当し(相同)かつプロモー
ターの調節下にあるインベルターゼインヒビターcDNAをアンチセンス配向で
導入することにより引き起こされるインベルターゼインヒビターの発現低下ゆえ
に非形質転換植物細胞と比較して細胞壁インベルターゼの活性が高まったトラン
スジェニック植物細胞による。本発明によれば、それぞれの種とは無関係に以下
の工程を包含する、センスまたはアンチセンス配向にあるインベルターゼインヒ
ビターcDNA配列の取得方法も提供される。すなわち、 a)適切な細胞懸濁培養物の細胞壁タンパク質フラクションからインヒビタータ
ンパク質フラクションを取得し、 b)形成されたペプチドの分離および精製後に対応するペプチド配列を取得し、
c)cDNAバンクからのインベルターゼインヒビタータンパク質の部分cDN
A、続いて全長cDNAをクローニングし、 d)インベルターゼインヒビターcDNAをベクター、例えばバイナリーベクタ
ー中にセンスまたはアンチセンス配向でクローニングし、 e)このセンスまたはアンチセンス構築物を用いて植物種を形質転換する。
【0021】 母方組織と種子組織の間の同化物移送は、種子の植物性貯蔵物質産生における
律速段階である。この段階が移行ゾーン中に発現する細胞壁インベルターゼの活
性を高めることにより促進される場合には、同化物の移送が強化(細胞壁インベ
ルターゼの活性増大は母方組織と種子組織の間の同化物移送の上昇を引き起こす
)される結果、それぞれの植物種の主貯蔵物質(デンプン、脂肪、タンパク質)
の蓄積が増大される。
【0022】 本発明はまた、第1ステップで細胞懸濁培養物または幼若胚を有する花からイ
ンヒビタータンパク質フラクション、特に優勢であるインヒビタータンパク質フ
ラクションを細胞壁タンパク質フラクションから取得し、次に第2ステップでイ
ンヒビタータンパク質フラクションを精製し、必要であれば分離し、そして少な
くともN末端を配列決定して、かくして得られたアミノ酸配列からヌクレオチド
配列が誘導されうるようにし、第3ステップの範囲で例えばプライマーを用いて
、細胞懸濁培養物または前記の同植物または同品種の幼若胚を有する花由来のc
DNAバンクからのインベルターゼインヒビタータンパク質の部分cDNAまた
は全長cDNAをクローニングし、次に第4ステップでは取得したcDNAをセ
ンスまたはアンチセンス配向でベクター中にクローニングし、続く第5ステップ
で同種または同品種(ここでこれらは前記cDNA、およびcDNA単離のため
のアミノ酸配列を取得した種または品種である)の植物細胞を、かくして得られ
たDNA構築物で形質転換することを包含する、前記植物の製造方法にも関する
【0023】 それゆえ本発明はまた、本発明のこの方法に従って製造された植物、植物構成
要素、例えば根、茎、葉、収穫および増殖物質(例えば果実、花粉、種子、種皮
、胚、実生、細胞培養物、カルス組織等)にも関する。その際本発明はいずれの
植物品種または植物種にも関するもので、それに従って、何らの品種特異性も種
特異性も有しない。本発明による方法は、本質的に技術的方法であり、その範囲
内で、使用すべき手段のための出発物質の特定の配分、例えばcDNA配列が形
質転換すべき植物、すなわち標的に付与される。
【0024】 それゆえすべての従来方法とは異なり、本明細書に記載の発明は、種子発達期
間中に発現する特異的な細胞壁インベルターゼイソ型の調節に基づくものである
。好ましい実施形態において、インベルターゼインヒビターcDNAはインベル
ターゼインヒビターのアポプラスト変異体をコードする。単一の自己由来の植物
起源のcDNA配列、すなわち形質転換すべき生物に由来するかまたはそれから
誘導されるcDNA配列を導入することにより、同化物移送に決定的に重要な天
然の作用位置でのスクロース分離ステップが改変される。少なくとも1個の配列
すなわち1つのインベルターゼインヒビターcDNAを、例えば構成的CaMV35S
プロモーター、トウモロコシ由来のユビキチンプロモーターもしくはゼインプロ
モーターまたは同様に高い活性もしくはより大きい活性を有するプロモーター(
例えば組織特異的プロモーター)の制御下でセンスまたはアンチセンス配向で導
入することは、植物全体の発育に影響するのではなく、種子発達期間中のみ特異
的な脱調節を起こすという観察により、極端に高いトランスジェニック介入特異
性が示される。この直接の脱調節の利点は明白である:1)貯蔵物質蓄積の有意
な改変を達成するには唯一個の遺伝子構築物で充分である、2)何れの外来遺伝
子産物も産生されない、3)代謝における介入は高度に特異的である、4)タバ
コに関しては、アポプラストインベルターゼインヒビターの発現の変化が貯蔵油
産生の劇的変化を招くことが例示的に示される。
【0025】 目的とするインベルターゼインヒビターの発現の特定の改変、特に減少による
モジュレーション、特に種子貯蔵物質の蓄積増大は、特に下記メカニズムに基づ
くものである: a)母方組織における細胞壁インベルターゼの活性時期の改変により、栄養物質
放出効率が影響を受ける、すなわち例えばインヒビターアンチセンス形質転換体
においては増大する。 b)種子の貯蔵油の合成には、酸化的ペントースリン酸回路が決定的な重要性を
有する。それゆえ例えばインヒビターアンチセンス形質転換体におけるグルコー
スの持続的なり陽性の増大は貯蔵油合成を促進する。 c)ヘキソース対スクロースの比率を変えることにより、種子発達の細胞***過
程が影響を受ける。例えばインヒビターアンチセンス形質転換体における細胞壁
インベルターゼの活性時期を延長することにより、例えば種子当たりの細胞数が
増大する。
【0026】 同化物移送に関与する細胞壁インベルターゼ(類)の同等に可能性のありうる
過剰発現と比較して、本明細書に記載されるインベルターゼインヒビターの排除
の間接的アプローチはなおさらなる利点を有する。種子生産の過程で発現する細
胞壁インベルターゼは天然に強く発現するので、それゆえ強力なプロモーターを
用いることによる付加的な誘導の程度は限定され、それに反して本発明によるイ
ンヒビターのアンチセンスによるスイッチオフによって、細胞壁インベルターゼ
(類)活性の大幅な増大が達成されうる。実際には、細胞壁空間における標的化
制御のためのシグナルペプチドを有する異種の脱調節されたインヒビター感受性
インベルターゼの発現により、類似の効果を達成し得るが、この場合外来タンパ
ク質を使用する必要がある。その上このアプローチに使用する種子特異的なプロ
モーターと脱調節されたインベルターゼとの組み合わせには、過剰な発現が望ま
しからぬ副作用を招くという大きなリスクが存在する。これと反対に本明細書に
記載される方法においては、天然に存在する細胞壁インベルターゼの最大活性を
越えることは決してなく、ただ貯蔵物質蓄積期間中のその活性の時間的長さが長
期化される。これらの理由から、インベルターゼインヒビターのアンチセンス発
現または共抑制技術の範囲内でセンスDNA構築物よりも、細胞壁インベルター
ゼの間接的調節が、異種インベルターゼの導入のあらゆる場合に優先されるべき
であり、そして有意な技術的改善を示す。
【0027】細胞懸濁培養物のアポプラスト細胞壁タンパク質フラクションからの均一なイン
ヒビタータンパク質フラクションの取得法 それぞれの植物種から細胞懸濁培養を開始する。細胞培養物の取得方法は植物
組織培養の標準的プロトコルに従う。大抵細胞は、滅菌条件下でスクロース(炭
素源)添加の複合栄養培地中にて振盪培養物として出発する。この培養条件下で
植物細胞は、同様に発現されるインベルターゼインヒビターによって調節される
細胞壁インベルターゼを発現する。
【0028】 インベルターゼインヒビターの蓄積および精製は細胞壁インベルターゼへのそ
の結合に基づく。初めに、細胞壁タンパク質フラクションを1 M NaCl, 1 mM PMS
F 中4℃で振盪下にインキュベーションすることにより抽出する。その際通常は
サイトゾルタンパク質は何ら抽出されない。かくして得られた細胞壁タンパク質
フラクションを硫酸アンモニウム(80%) 沈殿法を用いてまたはメンブラン濾過に
より濃縮する。次にコンカナバリンAカラムでのクロマトグラフィーにより、グ
リコシル化された細胞壁インベルターゼおよびそれに結合したインベルターゼイ
ンヒビターを含有する糖タンパク質フラクションを得る。かくして得られた細胞
壁インベルターゼフラクションおよび従ってインベルターゼインヒビターが富化
されたフラクションを、タバコ細胞からのインベルターゼインヒビターに対する
ポリクローナル抗血清を用いてSDS-PAGE/ウエスタンブロット分析を行うと、一
般に15-25 kDa のタンパク質であるインベルターゼインヒビターの存在が示され
る。
【0029】 図1は、タバコインベルターゼインヒビターと相同の他の植物種のインベルタ
ーゼインヒビターの検出を示す。アカザ(Chenopodium rubrum)(1) およびニン
ジン(Daucus carota)(2)の懸濁培養物から得られた細胞壁タンパク質サンプル
のウエスタンブロット分析。展開は組換えタバコインベルターゼインヒビターに
対して産生された抗血清を用いて行った。これら両種では約17kDa のインベルタ
ーゼインヒビターポリペプチドが検出された。
【0030】 細胞壁インベルターゼおよびインベルターゼインヒビターからなる複合体のさ
らなる精製は、カチオン交換体例えばスルホプロピルセファデックスでのイオン
交換クロマトグラフィーにより行われる。初めpHグラジエント(pH8-12)、次に
NaClグラジエントの連続的なクロマトグラフィー後に、細胞壁インベルターゼを
非常に多く含む調製物が得られ、インベルターゼインヒビターは後者との安定し
た複合体で存在する。最後のイオン交換精製のピークフラクションをSDS-PAGE/
ウエスタンブロット分析により、例えばニンジン細胞壁インベルターゼに対する
抗血清を用いて細胞壁インベルターゼに関して検出する。その他全てのフラクシ
ョンのインベルターゼ活性を、ヘキソキナーゼ/グルコース−6−リン酸デヒド
ロゲナーゼを用いる酵素結合試験(coupled enzymatic test)で調べた。強力な
細胞壁インベルターゼイムノシグナルを有するがインベルターゼ活性が低いフラ
クションは大抵高純度のインヒビタータンパク質を含有する。
【0031】精製されたインベルターゼインヒビターのペプチド配列の取得方法 インヒビタータンパク質は、前記した精製プロトコル後にPMDFメンブラン上へ
の直接エレクトロブロッティング後にまだ配列決定されていないN末端となるの
に充分に純粋である。100-500 μgのインヒビタータンパク質を得たのち、これ
を場合により新たにSDS-PAGEで精製しそして次に直接ゲル中でトリプシン消化す
ることができる。逆相HPLCによる生成したペプチドの分離およびそれに続くエド
マン分解による配列決定は標準法に従う。N末端の未配列決定およびトリプシン
消化で保存されたペプチドの配列決定との組み合わせにより、RT-PCR法に基づく
クローニングに関する充分な配列情報が得られる。
【0032】cDNAバンクからのそれぞれのインベルターゼインヒビタータンパク質に関す
る、まず部分cDNA、次いで全長cDNAのクローニング方法 保存されたペプチド配列情報から出発して遺伝子コードによりプライマー配列
が導かれる。最適のプライマー設計には標準アルゴリズムが利用される。その他
の実施には、タバコ(Nicotiana tabacum), トマト(Lycopersicon esculentum
), シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)およびウンシュウミカン(Citrus
inshui)からの既知インベルターゼインヒビター配列の高度に保存された配列
領域を用いてプライマーが設計される。
【0033】 初めに標準法により1本鎖cDNA合成が行われる。これには、細胞懸濁培養
物からの、または他の実施においては幼若胚を有する花からの全RNAを標準法
により抽出する。次に初めにRT-PCRにより部分インベルターゼインヒビターcD
NAを増幅させる。一実施形態では、この増幅物をBluescriptベクター中にクロ
ーニングする。配列決定および既知インベルターゼインヒビターに対して相同の
配列を確認後、この部分cDNAを全長クローン取得のためのプローブとして使
用する。これには、標準的方法により細胞懸濁培養物からのcDNAバンク、ま
たは他の実施形態では幼若胚を有する花からのcDNAバンクから開始する。
【0034】ベクター、例えばバイナリーベクター中のセンスまたはアンチセンス配向でのイ
ンベルターゼインヒビターcDNAのクローニング 一実施形態においては、それぞれの植物種についてクローニングされたインベ
ルターゼインヒビターcDNAをバイナリーベクターBinAR (Bin19 誘導体) (Ho
fgen and Willmitzer, Plant Sci. 66 (1990), 221-230) 中にクローニングする
。一実施形態では、アンチセンス構築物およびセンス構築物に関してCaMV35S プロモーターが使用されるが、場合により他のプロモーター、例えば組織特異的
なプロモーターを使用することもできる。
【0035】 図2はアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens
)仲介による形質転換のためのバイナリーベクター(BinAR)を示す。インベル
ターゼインヒビターcDNAのコード領域はセンスまたはアンチセンス配向で「
多重クローニング部位」中にクローニングされる。
【0036】それぞれセンスまたはアンチセンス遺伝子構築物を用いる植物種の形質転換 大部分の有用な双子葉植物については、インベルターゼインヒビターのセンス
/アンチセンス形質転換体はアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobact
erium tumefaciens)仲介形質転換(標準方法)を用いることにより得ることが
できる。それによれば、インベルターゼインヒビターcDNAをアンチセンスま
たはセンス配向で有する組換えDNA分子を含有するためアグロバクテリウム(
Agrobacterium)が使用される、すなわちインベルターゼインヒビターcDNA
はプロモーターの3'位に存在しそしてこれと機能的に結合している。その際、多
くの植物種に使用可能な実施形態においては、葉片が形質転換され、組換え体細
胞から抗生物質含有培地上で一次形質転換体が再生される。実際に選択される形
質転換技術は植物種に依存する。形質転換された植物細胞の再生によりトランス
ジェニック植物が得られる。
【0037】 タバコ(Nicotiana tabacum)におけるアポプラストインベルターゼインヒビ
ターの発現改変の影響を以下に記載する。
【0038】 タバコ(Nicotiana tabacum )をアポプラストタバコインベルターゼインヒビ
ター(Clone Nt-inh1; Greinerら、上記、 1998)のcDNAを用いてセンスおよ
びアンチセンス配向で形質転換したアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agr
obacterium tumefaciens)仲介形質転換、BinAR ベクター、CaMV35S プロモータ
ー、標準方法による葉切片形質転換) 。使用されたcDNAはタバコの細胞懸濁
培養物から得た。一次形質転換体は初め組織培養を介して植物に再生され、次に
温室内で開花させた。一次形質転換体の種子をカナマイシン含有培地上に播種し
た。滅菌予備栽培後、F1世代の植物を温室内で開花させた。受粉後、規則的な時
間間隔で子房内の細胞壁インベルターゼ活性を測定した。
【0039】 図3は早期種子発達中(受粉の0−14日後) のタバコ野性型(SNN) 、代表的な
インヒビターアンチセンス形質転換体(as16) および代表的なインヒビターセン
ス形質転換体(s9)の子房における細胞壁インベルターゼ活性を示す。活性はグル
コースmmol/生重量g/分で示される。
【0040】 インベルターゼインヒビタータンパク質の量はウエスタンブロット分析により
測定された。
【0041】 これに関し図4は、組換えタバコインベルターゼインヒビターに対する抗血清
を用いて確認された、おしべおよび子房におけるインベルターゼインヒビターポ
リペプチドの選択的低下(アンチセンス形質転換体)または増加(センス形質転
換体)の証拠を示す(センス形質転換体(s9):1.子房:2.おしべ。アンチセ
ンス形質転換体:3.子房:4.おしべ。野性型(SNN):5.子房:6.おしべ
)。
【0042】 種子成熟後その乾燥重量、ならびに貯蔵油および総タンパク質量を測定した。
【0043】 早期種子発達中の細胞壁インベルターゼ活性の測定(図3)は、初めに野性型
について受粉後6−12日の間に約6倍の上昇を示す。この期間は後期細胞***期
および貯蔵期の始まりに相当する。ウエスタンブロット分析では、子房ではアン
チセンス形質転換体におけるインベルターゼインヒビターポリペプチドの量が急
激に減少したが、これに対しセンス形質転換体においては非常に増大したことが
示される(図4)。これとは対照的に、おしべにおけるインヒビター発現の改変
はわずかに得られるのみであり、恐らくこの組織では複数のインヒビターイソ型
が発現されるゆえであろう。
【0044】 種子発達中の細胞壁インベルターゼの活性改変は乾燥重量/種子(表1)、貯
蔵油含量/種子(表2)および総タンパク質含量/種子(表3)に影響を及ぼす
が、花当たりの種子の総数およびまた種子サイズには影響を及ぼさない。
【0045】表1 タバコ野性型(SNN) 、2種の代表的なインヒビターセンス形質転換体(s9, s10
) および2種の代表的なインヒビターアンチセンス形質転換体(as16, as43)にお
ける種子当たりの乾燥重量
【表1】
【0046】表2 タバコ野性型(SNN) 、2種の代表的なインヒビターセンス形質転換体(s9, s10
) および2種の代表的なインヒビターアンチセンス形質転換体(as16, as43)にお
ける種子当たりの種子油含量
【表2】
【0047】表3 タバコ野性型(SNN) 、2種の代表的なインヒビターセンス形質転換体(s9, s10
) および2種の代表的なインヒビターアンチセンス形質転換体(as16, as43)にお
ける種子当たりの総タンパク質
【表3】
【0048】 2種の別個のアンチセンス形質転換体における貯蔵油含量の大幅な増加(それ
ぞれ+22%および+70%)は総タンパク質および種子重量の増加と相関しており
、貯蔵油の増加が最も顕著である。注目すべきは種子発達中の子房における細胞
壁インベルターゼ活性の増大が貯蔵油の最大蓄積期と相関していることである。
【0049】 インヒビターアンチセンス形質転換体およびインヒビターセンス形質転換体の
植物全体の発達期は発芽過程を除き明白な表現型なしに進行する。ここではタバ
コ野性型種子とインベルターゼインヒビターアンチセンス種子の発芽の間には何
らの相違も示されないが、これに対しインベルターゼインヒビターセンス形質転
換体の種子では発芽が著しく遅延する。
【0050】 図5はタバコ野性型(SNN) 、インベルターゼインヒビターアンチセンス形質転
換体(INHas)およびインベルターゼインヒビターセンス形質転換体の種子の発芽
挙動を示す。系統毎に、滅菌条件下でそれぞれ40個の種子をLS培地(0.5%スクロ
ース、pH 5.6)上に播く。幼根の出現が発芽の基準として用いられた。
【0051】 本発明のさらなる適用例は、アブラナ(セイヨウアブラナ(Brassica napus))
へのインベルターゼインヒビターアンチセンス構築物の導入である。アブラナは
種子を基準にするとタバコに匹敵する量の貯蔵油を含有する。インベルターゼイ
ンヒビターアンチセンス形質転換の結果により少なくとも20%、場合により最高
70%までの貯蔵油含量が増大する。
【0052】 同じ目的をもった他の適用、すなわち貯蔵油含量の増大はインベルターゼイン
ヒビターアンチセンス構築物を用いたヒマワリの形質転換、またはおそらくダイ
ズの形質転換である(これらの種のトランスジェニック油貯蔵性植物の作製が可
能)。
【0053】 他の実施形態においては、インベルターゼインヒビターアンチセンス構築物を
トウモロコシ、イネ、コムギ、オートムギ、オオムギおよびライムギに導入する
ことにより、種子貯蔵デンプン量が高められる。従ってデンプンを貯蔵するトラ
ンスジェニック植物細胞または植物が製造されうる。タンパク質含量の多い種子
、例えばダイズまたはエンドウに関しては、他の実施形態においてはインベルタ
ーゼインヒビターアンチセンス構築物を導入することにより貯蔵タンパク質の総
量が高められる。
【0054】 さらに他の実施形態においては、インベルターゼインヒビターアンチセンス構
築物の導入、またはつまりそれから生ずる貯蔵物質蓄積の改良により、有用植物
の種子の発芽能力が高められる。
【0055】 トランスジェニック植物細胞または植物の製造は好ましくは有用植物に関する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、タバコインベルターゼインヒビターと相同の他の植物種のインベルタ
ーゼインヒビターの検出を示す。
【図2】 図2は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefacien
s)仲介による形質転換のためのバイナリーベクター(BinAR)を示す。
【図3】 図3は、早期種子発達中(受粉の0−14日後)のタバコ野性型(SNN)、代表的な
インヒビターアンチセンス形質転換体(as16)および代表的なインヒビターセン
ス形質転換体(s9)の子房における細胞壁インベルターゼ活性を示す。
【図4】 図4は、組換えタバコインベルターゼインヒビターに対する抗血清を用いて確
認された、おしべおよび子房におけるインベルターゼインヒビターポリペプチド
の選択的低下(アンチセンス形質転換体)または増加(センス形質転換体)の証
拠を示す。
【図5】 図5は、タバコ野性型(SNN)、インベルターゼインヒビターアンチセンス形質
転換体(INHas)およびインベルターゼインヒビターセンス形質転換体の種子の発
芽挙動を示す。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年9月4日(2000.9.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B030 AA02 AA03 AB03 AD08 CA06 CA17 CA19 CB02 CD07 CD09 CD13 4B024 AA08 CA04 EA04 FA02 FA07 GA12 GA14 GA17 4B065 AA11Y AA88X AA88Y AA89X AB01 AC14 BA03 BA04 CA13 CA22 CA24 CA53

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 インベルターゼインヒビターの発現低下のため非形質転換植
    物細胞と比較して細胞壁インベルターゼの活性が増大したトランスジェニック植
    物細胞であって、この発現低下は同じ植物種に相当(相同)するインベルターゼ
    インヒビターcDNAをアンチセンス配向で導入し、プロモーターを制御するこ
    とにより引き起こされる、上記トランスジェニック植物細胞。 【請求項2】 前記細胞壁インベルターゼの活性の増大が母方組織と種子組
    織の間の同化物移送の増大を引き起こす、請求項1記載のトランスジェニック植
    物細胞。 【請求項3】 前記インベルターゼインヒビターcDNAがインベルターゼ
    インヒビターのアポプラスト(apoplastic)変異体をコードする、請求項1また
    は2記載のトランスジェニック植物細胞。 【請求項4】 前記プロモーターがCaMV35S プロモーター、またはそれに匹
    敵するかもしくはそれより高い活性を有する組織特異的プロモーターである、請
    求項1〜3のいずれか1項記載のトランスジェニック植物細胞。 【請求項5】 有用植物の細胞である、請求項1〜4のいずれか1項記載の
    トランスジェニック植物細胞。 【請求項6】 油貯蔵性植物の細胞である、請求項5記載のトランスジェニ
    ック植物細胞。 【請求項7】 アブラナ、ダイズ、ヒマワリ、アブラヤシ、Calendula offi
    cinalis, Coriandrum sativum, Crambe abyssinica, Cuphea ssp., Dimorphothe
    ca pluvialis, Euphorbia lagascae, Euphorbia lathyris, Lesquerella grandi
    flora, Limnanthes alba, Linum usitatissimum, Lunaria annua, Lunaria bien
    nis, Oenothera ssp., Ricinus communis またはSimmondsia chinensis由来の細
    胞である、請求項5または6記載のトランスジェニック植物細胞。 【請求項8】 デンプン貯蔵性植物の細胞である、請求項5記載のトランス
    ジェニック植物細胞。 【請求項9】 イネ、トウモロコシ、ライムギ、コムギ、オートムギまたは
    オオムギ由来の細胞である、請求項5または8記載のトランスジェニック植物細
    胞。 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項記載の植物細胞の再生により
    作り出される、トランスジェニック植物。 【請求項11】 対応する非形質転換植物と比較して、種子発育中により多
    くの貯蔵油、貯蔵デンプンまたは貯蔵タンパク質を産生する、請求項10記載の
    トランスジェニック植物。 【請求項12】 以下の工程: a)細胞懸濁培養物または幼若胚(young ovule)を有する花の細胞壁タンパ
    ク質フラクションからインヒビタータンパク質フラクションを取得し、 b)形成したペプチドの分離および精製後に対応するペプチド配列を取得し、 c)cDNAバンク、特に細胞懸濁培養物または幼若胚を有する花からのイン
    ベルターゼインヒビタータンパク質の部分cDNA、次いで全長cDNAをクロ
    ーニングし、そして d)インベルターゼインヒビターcDNAをベクター、特にバイナリーベクタ
    ー中にセンスまたはアンチセンス配向でクローニングする、 ことを包含する、ベクター中にセンスまたはアンチセンス配向でインベルターゼ
    インヒビターcDNAを含む配列の製造方法。 【請求項13】 インベルターゼインヒビター遺伝子のヌクレオチド配列を
    植物の細胞懸濁培養物または幼若胚を有する花由来のcDNAバンクから取得し
    、そのヌクレオチド配列が由来するかまたは誘導された同じ種または品種の植物
    の植物細胞を、少なくとも1個の調節単位と機能的に結合したインベルターゼイ
    ンヒビター遺伝子のヌクレオチド配列を含有するDNA構築物を用いて形質転換
    し、培養し、そしてその種子が非形質転換野性型植物と比較して高い貯蔵物質量
    を示す植物を再生させることからなる、植物生長を促進する脱調節インベルター
    ゼ活性を示すトランスジェニック植物の製造方法。 【請求項14】 前記調節単位がプロモーターである、請求項13記載の方
    法。 【請求項15 】 前記プロモーターが構成的または誘導的プロモーターであ
    る、請求項14記載の方法。 【請求項16】 前記プロモーターがCaMV 35Sプロモーターまたはトウモロ
    コシのユビキチンプロモーターもしくはゼインプロモーターである、請求項15
    記載の方法。 【請求項17】 前記インベルターゼインヒビター遺伝子のヌクレオチド配
    列がcDNA、それとハイブリダイズするヌクレオチド配列またはこれら2つの
    一方の断片である、請求項13〜16のいずれか1項記載の方法。 【請求項18】 前記インベルターゼインヒビターがアポプラストインベル
    ターゼインヒビターである、請求項13〜17のいずれか1項記載の方法。 【請求項19】 前記インベルターゼインヒビター遺伝子のヌクレオチド配
    列が前記プロモーターに対してセンス配向またはアンチセンス配向を示す、請求
    項13〜18のいずれか1項記載の方法。 【請求項20】 前記DNA構築物がさらなる調節単位、特に転写終結シグ
    ナルを有する、請求項13〜19のいずれか1項記載の方法。 【請求項21】 前記転写終結シグナルがアグロバクテリウム・ツメファシ
    エンス(Agrobacterium tumefaciens)のNOS遺伝子に由来する、請求項13〜2
    0のいずれか1項記載の方法。 【請求項22】 前記植物細胞が双子葉植物または単子葉植物の細胞である
    、請求項13〜21のいずれか1項記載の方法。 【請求項23】 前記植物細胞が、アブラナ、ヒマワリ、ラッカセイ、ダイ
    ズ、アブラヤシ、イネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、オートムギ、ライム
    ギ、エンドウ、Calendula officinalis, Coriandrum sativum, Crambe abyssini
    ca, Cuphea ssp., Dimorphotheca pluvialis, Euphorbia lagascae, Euphorbia lathyris, Lesquerella grandiflora, Limnanthes alba, Linum usitatissimum,
    Lunaria annua, Lunaria biennis, Oenothera ssp., Ricinus communis または
    Simmondosia chinensis 由来の細胞である、請求項22記載の方法。 【請求項24】 前記DNA構築物がベクター、特にプラスミドまたはウイ
    ルス中に存在する、請求項13〜23のいずれか1項記載の方法。 【請求項25】 前記植物細胞の形質転換が、アグロバクテリウム・ツメフ
    ァシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いた方法、生物分解的方法、電
    気的または化学的に誘導されたDNA取り込み方法、エレクトロポレーション、
    マクロインジェクション、マイクロインジェクションまたはPEG仲介形質転換に
    よって実施される、請求項13〜24のいずれか1項記載の方法。 【請求項26】 請求項13〜25のいずれか1項記載の方法により製造で
    きるトランスジェニック植物ならびにその一部分。 【請求項27】 請求項26記載の植物の増殖物質および収穫物質。 【請求項28】 果実、種子、種皮、胚、実生、カルス組織、細胞培養物、
    茎、葉または根である、請求項27記載の増殖物質および収穫物質。 【請求項29】 形質転換の結果として種子発達が改変されたトランスジェ
    ニック植物の形質転換および製造のための、少なくとも1個の調節単位に結合し
    たインベルターゼインヒビター遺伝子の機能的ヌクレオチド配列の適用。 【請求項30】 前記改変された種子発達が、前記トランスジェニック植物
    の種子が形質転換されていない野性型植物の種子と比較して高い貯蔵物質量を示
    す種子発達である、請求項29記載の適用。 【請求項31】 前記ヌクレオチド配列が、形質転換すべき植物種もしくは
    品種の細胞懸濁培養物のcDNAバンクまたは幼若胚を有する花のcDNAバン
    クに由来するかまたはそれから導かれたものである、請求項29または30記載
    の適用。 【請求項32】 前記ヌクレオチド配列が、少なくとも1個の調節単位、特
    にプロモーターに対してアンチセンス配向で存在する、請求項29〜31のいず
    れか1項記載の適用。
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