JP2002355268A - 眼内レンズ挿入器具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 眼内レンズの折り曲げの大きさを従来に比べ
さらに小さくすることができる眼内レンズ挿入器具を提
供する。 【解決手段】 折り曲げ可能な眼内レンズを眼内に挿入
するために、眼球に設けられた切開創に挿入する挿入筒
と、挿入筒内を通して眼内レンズを押し出す押出し機構
とを有する眼内レンズ挿入器具において、記挿入筒から
押し出される眼内レンズを一方向にロールする丸め込み
手段を挿入筒内に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、眼内レンズを眼内
に挿入する眼内レンズ挿入器具に関する。

【０００２】

【従来技術】従来から、白内障の手術方法の一つとして
水晶体を摘出した後、水晶体の代わりとして眼内レンズ
を挿入する手法が一般的に用いられている。眼内レンズ
を挿入するには、はじめに眼球に眼内レンズを挿入する
ための切開創を設け、この切開創より内部の白濁した水
晶体を超音波白内障手術装置等にて破砕して吸引してお
き、次に水晶体があった場所に眼内レンズを切開創より
挿入する。

【０００３】このように眼内レンズを挿入する際に設け
られる切開創は、その切口が大きいと眼球に負担が掛か
ると同時に術後の乱視等の原因となる可能性がある。こ
のため、インジェクターと呼ばれる眼内レンズ挿入器具
を使用することにより、小さな切開創にて眼内レンズが
挿入できるとともに、インジェクターの先端部は挿入し
易い形状・大きさとなっているため、切開創を傷つけな
いようになっている。このインジェクターは折り曲げ可
能な眼内レンズをインジェクターの筐体内に設置してお
き、インジェクターの先端部へ押しやりながら眼内レン
ズを小さく折り曲げていく。その後、切開創より眼内へ
差し入れたインジェクター先端部から眼内へ押し出し、
眼内にて開かせる（開放する）というものである。この
ようなインジェクターの先端部は小さな切開創にて眼球
内に挿入できるようにその形状、大きさができるだけ小
さく、細いものが好ましい。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
インジェクターは図５（ａ）に示すように眼内レンズ４
０が通過する内筒１００の径をインジェクターの先端部
１００ａに向かうにつれて単に小さく（細く）しただけ
であった。

【０００５】このため、小さな内筒１００の中を通過す
る眼内レンズ４０の折り曲げ形状は、図５（ｂ）に示す
ようにその折り曲げられる眼内レンズ４０の端部４１が
すべて内側に巻き込むような形状となり易かった。この
ような折り曲げ形状の場合、眼内レンズは十分に小さな
折り曲げ形状とはならない。このため、インジェクター
先端部１００ａも従来の折り曲げ形状にて通過できる程
度の径にされていた。

【０００６】本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、眼
内レンズの折り曲げの大きさを従来に比べさらに小さく
することができる眼内レンズ挿入器具を提供することを
技術課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とす
る。

【０００８】（１） 折り曲げ可能な眼内レンズを眼内
に挿入するために、眼球に設けられた切開創に挿入する
挿入筒と、該挿入筒内を通して眼内レンズを押し出す押
出し機構とを有する眼内レンズ挿入器具において、前記
挿入筒から押し出される眼内レンズを一方向にロールす
る丸め込み手段が前記挿入筒内に形成されていることを
特徴とする。

【０００９】（２） （１）の眼内レンズ挿入器具にお
いて、前記挿入筒の内壁は先端に向かって徐々にその内
径が小さくなるテーパ部分を有し、前記丸め込み手段は
少なくとも前記テーパ部分に形成されると共に、前記挿
入筒の軸方向に直交する断面の内壁が不連続に繋がる段
差形状にて形成されたものであることを特徴とする。

【００１０】（３） （２）の眼内レンズ挿入器具にお
いて、前記段差形状は前記挿入筒内を進行する眼内レン
ズのコバの一端の丸め込み動作を制限する高さ形状を持
つと共に、該丸め込みが制限されたレンズコバの内側に
他方のレンズコバを導くカーブ形状を有することを特徴
とする。

【００１１】（４） （１）の眼内レンズ挿入器具にお
いて、前記丸め込み手段は、前記挿入筒内に置かれる眼
内レンズを挿入筒の軸に対して渦巻状に丸め込む形状を
有することを特徴とする。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に示しながら説明する。

【００１３】図１（ａ）は本実施の形態で使用する眼内
レンズ挿入器具の外観を示した概略斜視図、図１（ｂ）
は図１（ａ）の眼内レンズ挿入器具を上方からみた図で
ある。

【００１４】１は挿入器具本体である。本体１は眼球に
挿入する側から順に、眼球に形成される切開創に挿入す
る挿入筒部１０、挿入筒部１０と接合され眼内レンズ４
０を本体１に配置するための配置部２０、挿入筒部１０
と配置部２０との内部を挿通し、配置部２０に置かれる
眼内レンズ４０を挿入筒部１０を通して外部に押し出す
ための棒状の押出部材３０、とからなる。

【００１５】挿入筒部１０の先端部１０ａの開口径は配
置部２０に接合している側の開口径に比べて小径であ
り、挿入筒部１０全体の外径形状は略円錐形状となって
いる。また、挿入筒部１０の内部は眼内レンズ４０が通
るために中空の筒形状を有しており、先端部に向かうに
したがってその径が徐々に小さく（細く）なるテーパ形
状を有する。

【００１６】図２は挿入筒部１０を配置部２０側から見
たときの図（挿入筒の軸に直交する断面の図）である。
１１は挿入筒部１０の内壁面である。内壁面１１は配置
部２０に置かれる眼内レンズ４０の移動を挿入筒部１０
の先端部１０ａまでガイドするとともに、眼内レンズ４
０の折り曲げ（丸め込み）方向を導く役目を持つ。１１
ａは内壁面１１に形成される段差である。段差１１ａは
挿入筒１０の軸方向に直交する断面の内壁面１１が不連
続に繋がるように形成されていると共に、挿入筒部１０
の軸方向全域に亘って内壁面１１に連続して形成されて
いる。段差１１ａに眼内レンズ４０のレンズコバの端部
（周縁部）が引っかかることにより、一方向からの折り
曲げ（丸め込み）動作を制限し、他方向からの折り曲げ
動作のみを許容する。段差１１ａの直線部分以外の内壁
面１１はカーブ形状を持ち、段差１１ａにより丸め込み
動作が制限されたレンズコバの端部の内側に、他方向か
らのレンズコバを導き易くする。

【００１７】段差１１ａは眼内レンズ４０の端部を確実
に引っかけるようにするために、眼内レンズ４０の周縁
部の厚みと同じか、それ以上の高さ段差を有しているこ
とが望ましい。また、段差１１ａの形成位置は、眼内レ
ンズの折り曲げ動作時に周縁部同士が当たる前に眼内レ
ンズの一端が段差１１ａに当たる位置に形成されていれ
ばよい。この眼内レンズ４０の折り曲げ動作の詳細につ
いては後述する。

【００１８】次に配置部２０、押出部材３０の構成の説
明をする。配置部２０はその全体が箱型の形状をしてお
り、眼内レンズ４０を載置し、前方の挿入筒部１０へ送
出すためのガイド路２１が、その長手方向の両端面にま
で渡って設けられている。ガイド路２１の一方の端は挿
入筒部１０に接合されており、もう一方の端は配置部２
０の短手面に開口部２２を形成している。眼内レンズ４
０はこの開口部２２を通してガイド路２１上に置かれ
る。

【００１９】図３は図１（ｂ）に示す本体１におけるＡ
−Ａ線での断面を示した図である。この図に示すように
ガイド路２１の幅は、眼内レンズ４０の径よりも若干狭
くなっているとともに、その底面は略Ｕ字型の曲面を有
している。このようなガイド路２１の形状によって、挿
入筒部１０へ送出された際の眼内レンズ４０のその後の
折り曲げ方向が決定されることとなる。段差１１ａはガ
イド路２１に対して上側（図３における上）に位置する
ように設けられている。２３はガイド路２１の上部に形
成され、ガイド路２１上に置かれた眼内レンズ４０が不
用意に外に飛び出さない様にするための保護部である。

【００２０】押出部材３０は配置部２０のガイド路２１
上に置かれる眼内レンズ４０を挿入筒部１０の先端から
押し出すための細棒３１と、押出部材３０を持ち易くす
るために細棒３１よりも太い握り部３２が設けられてい
る。細棒３１の先端部分は眼内レンズ４０を傷つけない
ように比較的柔らかい樹脂材料にて形成されている。ま
た、細棒３１は配置部２０から押し込んだときにその先
端が挿入筒部１０の先から十分出るような長さを有して
いる。

【００２１】以上のような構成を備える眼内レンズ挿入
器具において、その動作について説明する。

【００２２】初めに眼内レンズ４０の滑りをよくするた
めに、予め粘弾性物質（例えばヒアルロン酸ナトリウ
ム）を眼内レンズ４０及び本体１の眼内レンズ通過箇所
に適量塗布しておく。その後、鑷子等を用いて眼内レン
ズ４０を摘まみ、開口部２２からガイド路２１上に眼内
レンズ４０を置く。この際に眼内レンズ４０がガイド路
２１の形状に沿うように（眼内レンズ４０が若干折り曲
げられ、略Ｕ字状となるように）置いておくようにす
る。

【００２３】次に押出部材３０の先端部を開口部２２か
ら入れ、眼内レンズ４０を前方の挿入筒部１０に押して
いく。眼内レンズ４０が挿入筒部１０に入り、挿入筒部
の開口径が狭くなってくると、図４（ａ）に示すように
眼内レンズ４０は挿入筒部１０内部の壁面１１に沿って
折り曲げられていく。眼内レンズ４０はガイド路２１上
に置かれる際に予め略Ｕ字状に置かれているため、挿入
筒部１０の開口径が狭くなっても反対（逆Ｕ字状）に折
り曲げられることなく、Ｕ字状に折り曲げられていくこ
ととなる。

【００２４】さらに押出部材３０を使用して眼内レンズ
４０を押していき、挿入筒部１０内部の開口径が狭くな
ってくると、図４（ｂ）に示すように眼内レンズ４０の
折り曲げられた一方の端部４１′ａが内壁１１に沿って
段差１１ａに当たる。この段差１１ａに当たる眼内レン
ズの端部４１′ａはこれ以上の折り曲げ動作を行うこと
ができなくなり、この位置を保つこととなる。

【００２５】眼内レンズ４０が挿入筒部１０内部を進
み、その内部の開口径がさらにせまくなると、眼内レン
ズ４０のもう一方の端部４１′ｂのみ折り曲げ動作を行
うこととなる。図４（ｃ）に示すように、眼内レンズ４
０の折り曲げ形状は端部４１′ａの内側を端部４１′ｂ
が通る形となり、一方向に丸め込まれた渦巻状の形状と
なる。

【００２６】このように、眼内レンズ４０を一方向に丸
め込み渦巻状の形状とすることが可能であるため、折り
たたまれた眼内レンズ４０の先端部１０ａ出口での大き
さ（径）は図５（ｂ）に示すような従来の折りたたみ形
状に比べて小さなものとなる。このため挿入筒部１０の
先端部１０ａは従来の径よりもさらに小さく（細く）す
ることが可能となる。

【００２７】また、先端部１０ａに切欠きを設けること
により、眼内レンズ４０が先端部１０ａから送出され易
くすることもできる。

【００２８】以上の実施の形態では、内壁１１に設けら
れる段差１１ａは挿入筒部１０の長手方向全域に渡って
形成するものとしているが、これに限るものではなく、
折り曲げ動作を行う眼内レンズ４０の一方の端部４１′
ｂが、もう一方の端部４１′ａの内側に入る間だけ段差
１１ａを設けておいてもよい。

【００２９】

【発明の効果】以上のように、本発明では眼内レンズ挿
入器具を使用して眼内レンズを眼内に送出す際に、眼内
レンズの両端が重なるように渦巻き状に丸め込むことが
できるため、その丸め込み形状の径をより小さなものと
することができる。従って、眼内レンズ挿入器具の先端
部をより細いものとすることができる。また、これによ
り患者眼に施す切開創の大きさをより小さなものとする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】眼内レンズ挿入器具の外観を示す図である。

【図２】挿入筒部１０を配置部２０側から見たときの断
面図である。

【図３】図１（ｂ）に示す本体１におけるＡ−Ａ線での
断面を示す図である。

【図４】挿入筒部１０内における眼内レンズ４０の丸め
込まれ方を示す図である。

【図５】従来の眼内レンズ挿入器具の一例を示す図であ
る。

【符号の説明】

１ 挿入器具本体 １０ 挿入筒部 ２０ 配置部 ２１ ガイド路 ２２ 開口部 ３０ 押出部材 ４０ 眼内レンズ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 折り曲げ可能な眼内レンズを眼内に挿入
   するために、眼球に設けられた切開創に挿入する挿入筒
   と、該挿入筒内を通して眼内レンズを押し出す押出し機
   構とを有する眼内レンズ挿入器具において、前記挿入筒
   から押し出される眼内レンズを一方向にロールする丸め
   込み手段が前記挿入筒内に形成されていることを特徴と
   する眼内レンズ挿入器具。
2. 【請求項２】 請求項１の眼内レンズ挿入器具におい
   て、前記挿入筒の内壁は先端に向かって徐々にその内径
   が小さくなるテーパ部分を有し、前記丸め込み手段は少
   なくとも前記テーパ部分に形成されると共に、前記挿入
   筒の軸方向に直交する断面の内壁が不連続に繋がる段差
   形状にて形成されたものであることを特徴とする眼内レ
   ンズ挿入器具。
3. 【請求項３】 請求項２の眼内レンズ挿入器具におい
   て、前記段差形状は前記挿入筒内を進行する眼内レンズ
   のコバの一端の丸め込み動作を制限する高さ形状を持つ
   と共に、該丸め込みが制限されたレンズコバの内側に他
   方のレンズコバを導くカーブ形状を有することを特徴と
   する眼内レンズ挿入器具。
4. 【請求項４】 請求項１の眼内レンズ挿入器具におい
   て、前記丸め込み手段は、前記挿入筒内に置かれる眼内
   レンズを挿入筒の軸に対して渦巻状に丸め込む形状を有
   することを特徴とする眼内レンズ挿入器具。