JP2002348733A - ポリアミドモノフィラメントおよびその用途 - Google Patents

ポリアミドモノフィラメントおよびその用途

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JP2002348733A JP2002075974A JP2002075974A JP2002348733A JP 2002348733 A JP2002348733 A JP 2002348733A JP 2002075974 A JP2002075974 A JP 2002075974A JP 2002075974 A JP2002075974 A JP 2002075974A JP 2002348733 A JP2002348733 A JP 2002348733A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧縮変形し易く、耐屈曲摩耗性と耐屈曲疲労
性に優れ、さらには対ガムピッチ防汚性にも優れたポリ
アミドモノフィラメント及びそのモノフィラメントの抄
紙機に装着する織物への使用、および搾水効率の良好な
抄紙プレスフェルトに代表される抄紙機に装着する織物
等の工業用織物を提供する。 【解決手段】 圧縮変位率が5.6%以上、切断するま
でに要する屈曲摩耗回数が2.2×104 回以上である
ことを特徴とするポリアミドモノフィラメント及びこの
モノフィラメントを少なくとも一部に使用した工業用織
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来のポリアミド
モノフィラメントと比較して圧縮変形し易く、耐摩耗性
および耐屈曲疲労性に優れ、さらに木材ピッチおよび回
収ダンボール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊
などの粘着性汚れ物(以下、ガムピッチ汚れという)が
付着し難く、かつ付着したガムピッチ汚れを洗浄しやす
いなどの優れた防汚性(以下、対ガムピッチ防汚性とい
う)を有するポリアミドモノフィラメント、およびこの
モノフィラメントの抄紙機に装着される織物などの工業
用織物への使用、および耐久性、対ガムピッチ防汚性に
優れる抄紙機に装着される織物などの各種工業用織物等
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドモノフィラメントは、ポリエ
ステルモノフィラメントなどと比較して、圧縮を受けた
ときにモノフィラメントが割れ難い上、擦過を受けたと
きに摩耗し難い特性を有していることから、例えば、抄
紙機に装着される織物である抄紙プレスフェルトおよび
醤油および酒類などを搾液するためのフィルター織物の
構成素材などの種々の用途に使用されてきた。
【0003】しかるに、近年では、生産性を高める目的
で、搾液時の高速化、高圧力化、高吸引力化、およびプ
レス・吸引ゾーンの高面積化が進み、従来より高性能な
搾液フィルター織物が要求されるようになり、構成素材
であるポリアミドモノフィラメントにもより高度な特性
が要求されるようになってきた。
【0004】さらに詳細には、例えば抄紙プレスフェル
トは主としてモノフィラメントからなる基布と短繊維か
らなるパットから構成されている。従来のフェルト基布
が主としてプレスフェルトの補強を担っていたのに対し
て、近年のプレスフェルト基布は、プレスフェルトの補
強と共にフェルト内部に湿紙から移行した水分を蓄える
スペースを十分に確保し、プレスされたときには十分圧
縮変形することでフェルト内部の水分を排出し、かつ吸
引時における圧損を低減し十分な通水・通気性を確保し
てフェルトからの脱水を容易にする役割を担うものに変
化してきた。また、フェルトパットには、従来にも増し
て十分な吸・排水、通水性を保持し、かつ十分な耐摩耗
性が必要になってきている。
【0005】また、抄紙機木材ピッチおよび回収ダンボ
ール古紙原料に付着していたガムテープ粘着糊などの粘
着性汚れ物(以下、ガムピッチ汚れという)が付着し難
く、かつ付着したガムピッチ汚れを洗浄しやすいなどの
優れた防汚性(以下、対ガムピッチ防汚性という)が必
要になってきている。
【0006】したがって、抄紙プレスフェルトの構成素
材を代表とするポリアミドモノフィラメントには、従来
のものよりプレス時に変形し易く、かつ繰り返しの屈曲
および擦過に対する高度な耐久性および高度な対ガムピ
ッチ防汚性などの諸特性が求められるようになった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のものよりプレス時に変形し易く、繰り返しの屈曲およ
び擦過を受けたときの耐久性および対ガムピッチ防汚性
が改良されたポリアミドモノフィラメント、およびこの
ポリアミドモノフィラメントの抄紙機に装着する織物な
どの工業用織物への使用、および抄紙プレスフェルト等
の抄紙機に装着する織物に代表される工業用織物を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のポリアミドモノフィラメントは、下記の
方法により測定した圧縮変位率が5.6%以上、下記の
方法により測定した切断するまでに要する屈曲摩耗回数
が2.2×104回以上であることを特徴とする。 [圧縮変位率](株)島津製作所製「島津粉体圧縮試験
機PCT−200」を使用し、20℃のイオン交換水中
に16時間以上浸漬して吸水させたモノフィラメントの
側面について、直径500μmの平面を有するダイヤモ
ンド製円盤状加圧子で原点荷重14.71cN、最大荷
重98.07cNおよび荷重付加速度1.41cN/秒
の条件で圧縮時の糸直径変位を読み取り、次式〔I〕か
ら圧縮変位率を求めた。なお同一のモノフィラメントか
ら3本の試料を採取し、n3の測定を行い平均値を求め
た。
【0009】 圧縮変位率(%)=(L1÷原糸直径)×100・・・・〔I〕 (ただし、上記式〔I〕におけるL1は、最初に試料に
与えた原点荷重14.71cN時点での変位と最大荷重
98.07cNにおける変位との変位差の絶対値をμm
で表したものである。また、原糸直径は、試験に供する
前の原糸の直径であって、20℃、65%RHの環境下
で24時間以上放置した状態のモノフィラメントの直径
を、読み取り精度1μm以下のマイクロメーターまたは
アンリツ(株)製「レーザー外径測定機 KL−151
Aを使用して測定したものであり、μmで表したもので
ある。) [切断するまでに要する屈曲摩耗回数]JIS L−1
095−9.10.2Bに準じて、固定されたφ1.0
mmの摩擦子(硬質鋼線(JIS G 3522 ピア
ノ線A種))の上に接触させたモノフィラメントを、前
記摩擦子の左右各55度角度で斜め下に設けたフリーロ
ーラー2個(ローラー間距離100mm)の下に掛け、
別の1個のフリーローラーの上を介して、前記モノフィ
ラメントの一端に0.196cN/dtexの荷重をか
けてセットする。次いで、モノフィラメントを摩擦速度
120往復/分、片道ストローク25mmで摩擦子に接
触往復させて、同一試料につき10本のモノフィラメン
トについて夫々切断するまでの擦過往復回数を測定し平
均値を求める。
【0010】また、本発明のポリアミドモノフィラメン
トは、さらに下記の方法により測定した切断するまでに
要するMIT屈曲回数が200回以上であることが好ま
しい。 [切断するまでに要するMIT屈曲回数]東洋精機
(株)製;MIT耐揉疲労試験機により、JIS P−
8115に準じて、荷重2.2cN/dtex、折り曲
げ回数175回/分、折り曲げ角度270度(左右に各
約135度)およびモノフィラメントを挟む折り曲げコ
マにおける左右の折り曲げ面の曲率半径各々0.38±
0.02mmの条件で、同一試料につき10本のモノフ
ィラメントについて夫々切断するまでの往復折り曲げ回
数を測定して平均値を求める。
【0011】また、本発明のポリアミドモノフィラメン
トは、さらに下記(1)〜(11)の布粘着テープ水中
剥離方法により測定した布粘着テープ剥離応力が400
cN/2.5cm以下であることが好ましい。 [布粘着テープ水中剥離方法] (1)厚さ150〜250μm、横巾3cm、縦長さ1
2cmのポリエチレンテレフタレート製2軸延伸フィル
ムを2枚用意する。 (2)1枚の該フィルムのセンターに、横巾2.5c
m、縦長さ12cmの両面粘着テープ(日東電工(株)
製品、No.523または同等品)を長手方向に揃えて
貼る。 (3)長さ約20cmに切断したモノフィラメント試料
を上記(2)の両面粘着テープ上に長手方向と平行に隙
間無く貼り、両面粘着テープの長手方向の両端からはみ
出したモノフィラメントの余端を鋏で切除する。 (4)もう1枚の該フィルム一端の横巾3cm部の中央
に片面に粘着剤の塗布された2.5cm×2.5cmサ
イズの布粘着テープを1/2貼り、布粘着テープ残り1
/2に上記(3)で得られたモノフィラメントを貼った
フィルムの裏面を前記フィルムと重ならないように合わ
せて貼り、見かけの縦長さ約24cm、横巾3cmのフ
ィルムを作成する。 (5)底の平坦な平バット内に硝子板(厚さ0.8c
m、縦25cm、横10cm)を敷き、この硝子板表面
が約1.5cm沈む位置になるまで水を注ぐ。 (6)前記平バット水中内の硝子板上に、上記(4)で
作成したモノフィラメントを貼ったフィルムのモノフィ
ラメント部を上面とし、30分間浸漬する。 (7)水中の前記モノフィラメントを貼ったフィルムの
モノフィラメント部分が左側になるようにセットし、片
面に粘着剤が塗布された横巾2.5cm布粘着テープ
(ニチバン(株)製、段ボール包装用強粘着テープ<L
S>No.101Nまたは同等品)を縦長さ15cmに
切断し、モノフィラメントを貼ったフィルムの左端と合
わせて、モノフィラメント上に布粘着テープを仮貼りす
る。
【0012】次いで、前記モノフィラメント面右端に約
3cm残った布粘着テープをフィルム面にしっかりと貼
る。 (8)上記(7)で得られたモノフィラメントを貼った
フィルムを裏返して、上記(4)で貼り付けた2.5c
m×2.5cmサイズの布粘着テープを取り除く。 (9)再度フィルムを裏返し、モノフィラメントを貼っ
たフィルムのモノフィラメント面を上向きとし、硝子板
上に完全に乗るようにセットして、モノフィラメントの
表面に仮貼りされている前記布粘着テープ上に、重量
1.43Kg、巾5cmのゴムローラーをフィルムの長
手方向に片道走行させ、剥離応力測定用サンプルを作成
する。 (10)前記剥離応力測定用サンプルを水中から取り出
し、2枚のフィルムの接合部を支点に、布粘着テープの
面が内側になるように山折りし、次いで山折りの支点部
からモノフィラメント面上に貼らた布粘着テープをモノ
フィラメントの長さ方向に約1cm剥がし、モノフィラ
メントを貼付してあるフィルム端部を、テンシロンの上
チャックにセットし、一方のモノフィラメントの貼って
ないフィルムの下端(山折りの裾部)を、テンシロンの
下チャックにセットし、引張速度100mm/分、チャ
ートスピード100mm/分の条件で剥離応力を測定
し、剥離応力の高い山と剥離応力の低い谷とが交互に連
なった剥離応力チャートを得る。 (11)得られた剥離応力チャートの最初の剥離応力の
高い山から約2cm後の剥離応力の高い山を始点とし
て、一個一個の交互の山と谷各40点の剥離応力を読み
取り、その平均値をもって剥離応力とし、この測定を1
0回行いその平均値を布粘着テープ剥離応力とする。
【0013】さらに、本発明のポリアミドモノフィラメ
ントにおいては、ポリスチレン・部分エポキシ化ポリブ
タジエンブロック共重合体を含有すること、このポリス
チレン・部分エポキシ化ポリブタジエンブロック共重合
体の含有量が0.8〜20重量%であること、モノフィ
ラメントを構成するポリアミドが、ポリカプラミドおよ
びその共重合体、ポリヘキサメチレンアジパミドおよび
その共重合体から選ばれた少なくとも1種であること、
工業用織物の構成素材用ポリアミドモノフィラメントで
あること、および抄紙機に装着される織物の構成素材用
ポリアミドモノフィラメントであることが、いずれも好
ましい条件として挙げられる。
【0014】また、本発明のポリアミドモノフィラメン
トの用途としては、上記ポリアミドモノフィラメントを
少なくとも一部に使用した工業用織物、より具体的に
は、上記ポリアミドモノフィラメントを少なくとも一部
に使用した抄紙機に装着される織物、特に抄紙プレスフ
ェルトが挙げられる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明におけるポリアミドモノフィラメン
トは、一本の連続糸であるが、必要に応じて複数本合わ
せて撚糸したものをも含むものである。
【0017】本発明のポリアミドモノフィラメントにお
ける単糸の断面形状は任意であり、例えば、丸、楕円、
3角、T、Y、H、+、5葉,6葉,7葉,8葉などの
多葉形状、正方形、長方形、菱形、繭型および馬蹄型な
どを挙げることができ、また、これらの形状を一部変更
したものであってもよい。
【0018】また、本発明のポリアミドモノフィラメン
トの必要強度は、用途により異なるが、概ね1.0cN
/dtex以上であることが好ましい。
【0019】本発明のポリアミドモノフィラメントを構
成するポリアミドとは、各種ラクタム類の開環重合、各
種ジアミン類と各種ジカルボン酸類との重縮合および各
種アミノカルボン酸類の重縮合によって得られる各種ポ
リアミド類、およびこれらの重縮合と開環重合とを組み
合わせた共重合ポリアミド類であり、具体的には、例え
ば、ε−カプロラクタムの開環重合によって得られるナ
イロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との重
縮合によって得られるナイロン66、ヘキサメチレンジ
アミンとセバシン酸との重縮合によって得られるナイロ
ン610、1,4−ジアミノブタンとアジピン酸との重
縮合によって得られるナイロン46、メタキシリレンジ
アミンとアジピン酸との重縮合によって得られるナイロ
ンMDX6MXD6、ヘキサメチレンジアミンとドデカ
ンジカルボン酸との重縮合によって得られるナイロン6
12、11−アミノウンデカン酸の重縮合によって得ら
れるナイロン11、ω−ラウロラクタムの開環重合また
は12−アミノドデカン酸の重縮合によって得られるナ
イロン12およびε−カプロラクタムの開環重合とヘキ
サメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合とを組み合
わせて得られるナイロン6・66共重合体などを挙げる
ことができる。ただし、これらに限定されるものではな
い。
【0020】これらのポリアミドの中でも、ポリカプラ
ミド(ナイロン6)およびその共重合体、ポリヘキサメチ
レンアジパミド(ナイロン66)およびその共重合体から
選ばれた少なくとも1種が好適である。
【0021】上記したポリアミドは、目的に応じて公知
の有機・無機の各種材料を含有することができ、例えば
各種抗酸化剤、耐光剤、難燃剤、ヨウ化銅、ヨウ化カリ
ウムなどの老化防止剤、酸化チタン、酸化珪素、硫酸バ
リウム、クレイ、タルク、カーボンブラックなどの無機
粒子・顔料類、フタロシアニン金属系、コバルト青など
の各種顔料、ステアリン酸金属塩類、エチレンビスステ
アリルアミド、ステアリン酸、メタ珪酸カルシウム、含
水珪酸マグネシウム、アミノシラン、メラミンシアヌレ
ートなどを含有することができるがこれに限定されるも
のではない。
【0022】本発明のポリアミドモノフィラメントは、
圧縮変位率が5.6%以上、かつ、切断するまでに要す
る屈曲摩耗回数が2.2×104 回以上の特性を有する
ものである。
【0023】ただし、圧縮変位率および切断するまでに
要する屈曲摩耗回数の測定は次のように行うものとす
る。 [圧縮変位率](株)島津製作所製「島津粉体圧縮試験
機PCT−200」を使用し、20℃のイオン交換水中
に16時間以上浸漬して吸水させたモノフィラメントの
側面について、直径500μmの平面を有するダイヤモ
ンド製円盤状加圧子で原点荷重14.71cN、最大荷
重98.07cNおよび荷重付加速度1.41cN/秒
の条件で圧縮時の糸直径変位を読み取り、次式〔I〕か
ら圧縮変位率を求めた。なお同一のモノフィラメントか
ら3本の試料を採取し、n3の測定を行い平均値を求め
た。
【0024】 圧縮変位率(%)=(L1÷原糸直径)×100・・・・〔I〕 (ただし、上記式〔I〕におけるL1は、最初に試料に
与えた原点荷重14.71cN時点での変位と最大荷重
98.07cNにおける変位との変位差の絶対値をμm
で表したものである。また、原糸直径は、試験に供する
前の原糸の直径であって、20℃、65%RHの環境下
で24時間以上放置した状態のモノフィラメントの直径
を、読み取り精度1μm以下のマイクロメーターまたは
アンリツ(株)製「レーザー外径測定機 KL−151
Aを使用して測定したものであり、μmで表したもので
ある。) [切断するまでに要する屈曲摩耗回数]JIS L−1
095−9.10.2Bに準じて、固定されたφ1.0
mmの摩擦子(硬質鋼線(JIS G 3522 ピア
ノ線A種))の上に接触させたモノフィラメントを、前
記摩擦子の左右各55度角度で斜め下に設けたフリーロ
ーラー2個(ローラー間距離100mm)の下に掛け、
別の1個のフリーローラーの上を介して、前記モノフィ
ラメントの一端に0.196cN/dtexの荷重をか
けてセットする。次いで、モノフィラメントを摩擦速度
120往復/分、片道ストローク25mmで摩擦子に接
触往復させて、同一試料につき10本のモノフィラメン
トについて夫々切断するまでの擦過往復回数を測定し平
均値を求める。
【0025】本発明のポリアミドモノフィラメントは、
上記のようにして測定した圧縮変位率が5.6%以上、
かつ、同じく切断するまでに要する屈曲摩耗回数が2.
2×104 回以上の特性を有するものであるため、この
モノフィラメントを使用した搾水用織物が、圧縮を受け
た時には織物内部の水を効率的に排出でき、かつ、擦過
に対する高い耐久性を有するものとなる。例えば、工業
用織物が高速回転しながら繰り返し圧縮と擦過を受ける
抄紙機のプレスフェルト基布およびこの基布を使用した
プレスフェルトである場合には、フェルト基布の変形が
従来のものより大きくかつ形状回復性に優れるために、
紙料からフェルトに移行した水分の吸収と吸引・プレス
による搾水を高効率に行うことができることから、プレ
ス工程おける紙料の脱水率の向上や抄紙速度アップが可
能になる利点に加えて、擦過摩耗による操業上のトラブ
ルが防止できるなどの利点を得ることができて、きわめ
て有用である。
【0026】なお、本発明のポリアミドモノフィラメン
トは、上記圧縮変位率の測定後に荷重を原点荷重まで減
じた時の圧縮変位の回復率が50%以上を有するのが好
ましい。
【0027】また、圧縮変位率は5.8%以上であるこ
とがさらに好ましく、切断するまでに要する屈曲摩耗回
数が2.5×104 回以上であることが一層好適であ
る。
【0028】本発明のポリアミドモノフィラメントが、
上記した耐圧縮変形性および耐屈曲摩耗性とともに、切
断するまでに要するMIT屈曲回数が200回以上、特
に210回以上であるという要件をさらに満たす場合に
は、モノフィラメントを繰り返し屈曲を受ける用途に使
用した場合の耐久性が一層向上するため好適である。
【0029】ただし、上記MIT屈曲疲労試験は次の方
法で行うものとする。 [切断するまでに要するMIT屈曲回数] 東洋精機(株)製;MIT耐揉疲労試験機により、JI
S P−8115に準じて、荷重2.2cN/dte
x、折り曲げ回数175回/分、折り曲げ角度270度
(左右に各約135度)およびモノフィラメントを挟む
折り曲げコマにおける左右の折り曲げ面の曲率半径各々
0.38±0.02mmの条件で、同一試料につき10
本のモノフィラメントについて夫々切断するまでの往復
折り曲げ回数を測定して平均値を求める。
【0030】また、本発明のポリアミドモノフィラメン
トが、上記した耐圧縮変形性および耐屈曲摩耗性、耐屈
曲疲労性とともに、対ガムピッチ防汚性が必要とされる
用途においては、布粘着テープ水中剥離方法により測定
した布粘着テープ剥離応力が400cN/2.5cm以
下、特に300cN/2.5cm以下であることがより
好ましい。
【0031】ただし、上記布粘着テープ水中剥離方法は
次の方法で行うものとする。 [布粘着テープ水中剥離方法] (1)厚さ150〜250μm、横巾3cm、縦長さ1
2cmのポリエチレンテレフタレート製2軸延伸フィル
ムを2枚用意する。 (2)1枚の該フィルムのセンターに、横巾2.5c
m、縦長さ12cmの両面粘着テープ(日東電工(株)
製品、No.523または同等品)を長手方向に揃えて
貼る。 (3)長さ約20cmに切断したモノフィラメント試料
を上記(2)の両面粘着テープ上に長手方向と平行に隙
間無く貼り、両面粘着テープの長手方向の両端からはみ
出したモノフィラメントの余端を鋏で切除する。 (4)もう1枚の該フィルム一端の横巾3cm部の中央
に片面に粘着剤の塗布された2.5cm×2.5cmサ
イズの布粘着テープを1/2貼り、布粘着テープ残り1
/2に上記(3)で得られたモノフィラメントを貼った
フィルムの裏面を前記フィルムと重ならないように合わ
せて貼り、見かけの縦長さ約24cm、横巾3cmのフ
ィルムを作成する。 (5)底の平坦な平バット内に硝子板(厚さ0.8c
m、縦25cm、横10cm)を敷き、この硝子板表面
が約1.5cm沈む位置になるまで水を注ぐ。 (6)前記平バット水中内の硝子板上に、上記(4)で
作成したモノフィラメントを貼ったフィルムのモノフィ
ラメント部を上面とし、30分間浸漬する。 (7)水中の前記モノフィラメントを貼ったフィルムの
モノフィラメント部分が左側になるようにセットし、片
面に粘着剤が塗布された横巾2.5cm布粘着テープ
(ニチバン(株)製、段ボール包装用強粘着テープ<L
S>No.101Nまたは同等品)を縦長さ15cmに
切断し、モノフィラメントを貼ったフィルムの左端と合
わせて、モノフィラメント上に布粘着テープを仮貼りす
る。
【0032】次いで、前記モノフィラメント面右端に約
3cm残った布粘着テープをフィルム面にしっかりと貼
る。 (8)上記(7)で得られたモノフィラメントを貼った
フィルムを裏返して、上記(4)で貼り付けた2.5c
m×2.5cmサイズの布粘着テープを取り除く。 (9)再度フィルムを裏返し、モノフィラメントを貼っ
たフィルムのモノフィラメント面を上向きとし、硝子板
上に完全に乗るようにセットして、モノフィラメントの
表面に仮貼りされている前記布粘着テープ上に、重量
1.43Kg、巾5cmのゴムローラーをフィルムの長
手方向に片道走行させ、剥離応力測定用サンプルを作成
する。 (10)前記剥離応力測定用サンプルを水中から取り出
し、2枚のフィルムの接合部を支点に、布粘着テープの
面が内側になるように山折りし、次いで山折りの支点部
からモノフィラメント面上に貼らた布粘着テープをモノ
フィラメントの長さ方向に約1cm剥がし、モノフィラ
メントを貼付してあるフィルム端部を、テンシロンの上
チャックにセットし、一方のモノフィラメントの貼って
ないフィルムの下端(山折りの裾部)を、テンシロンの
下チャックにセットし、引張速度100mm/分、チャ
ートスピード100mm/分の条件で剥離応力を測定
し、剥離応力の高い山と剥離応力の低い谷とが交互に連
なった剥離応力チャートを得る。 (11)得られた剥離応力チャートの最初の剥離応力の
高い山から約2cm後の剥離応力の高い山を始点とし
て、一個一個の交互の山と谷各40点の剥離応力を読み
取り、その平均値をもって剥離応力とし、この測定を1
0回行いその平均値を布粘着テープ剥離応力とする。
【0033】本発明の圧縮変位率が5.6%以上、かつ
切断までに要する屈曲摩耗回数が2.2×104 回以
上、好ましくは、切断するまでに要するMIT屈曲回数
が200回以上、布粘着テープ水中剥離方法により測定
した布粘着テープ剥離応力が400cN/2.5cm以
下のポリアミドモノフィラメントは、ポリアミドに、ポ
リスチレン・部分エポキシ化ポリブタジエンブロック共
重合体を含有させて、これを通常の方法により溶融紡糸
することにより好適に得ることができる。
【0034】上記したポリスチレン・部分エポキシ化ポ
リブタジエンブロック共重合体は、ハードセグメントで
あるポリスチレンユニットと、ソフトセグメントであ
る、ジエン成分の不飽和2重結合の一部をエポキシ化し
たポリブタジエンユニットとのブロック共重合体である
(以下、PSGPB共重合体と略記する)。
【0035】上記したPSGPB共重合体におけるポリ
スチレンユニット(PS)とポリブタジエンユニット
(PB)との共重合重量比率は、PS:PB=40〜8
0:60〜20の範囲であることが好ましく、50〜7
0:50〜30の範囲であるとより好ましい傾向にあ
る。
【0036】また、上記したPSGPB共重合体におけ
る臭化水素により滴定したオキシラン酸素濃度は、0.
5〜4.0重量%であることが好ましく、0.7〜3.
5重量%であるとより好ましい傾向にある。なおオキシ
ラン酸素濃度とは、PSGPB共重合体が含有するエポ
キシ基の酸素濃度であり、数値が大きいほどエポキシ基
の含有量が多いことを示し、PSGPB共重合体に対す
る重量%で表したものである。
【0037】上記したPSGPB共重合体は、市販品と
して“エポフレンド”(登録商標)(ダイセル化学工業
(株)製品、以下“エポフレンド”と略記する)が知ら
れており、これを購入使用することができる。
【0038】本発明のポリアミド繊維におけるPSGP
B共重合体の含有量は任意であるが、0.8〜20重量
%の範囲がより好ましく、0.8〜15重量%の範囲が
特に好ましい。PSGPB共重合体の含有量が0.8〜
15重量%の範囲であると、圧縮変位率、耐屈曲摩耗性
および耐屈曲疲労性、さらには対ガムピッチ防汚性との
バランスが優れたものとなるためより好ましい。一方、
PSGPB共重合体の含有量が多すぎると紡糸性が劣る
傾向にある。
【0039】本発明のポリアミドモノフィラメントの製
造は、例えば次のようにして行うことができるが、これ
に限定されるものではない。
【0040】まず、必要に応じて乾燥したポリアミドペ
レットとPSGPB共重合体ペレットまたは粉体などと
を予め各々計量混合し、または各々計量しながら1軸エ
クストルダーまたは2軸エクストルダーに供給して、使
用したポリアミドの融点より20〜60℃高い温度で溶
融混練した後、エクストルダー先端のノズルから押し出
し、冷却水槽に導いて冷却したガットをカットして、P
SGPB共重合体を所定量含有するポリアミドペレット
(以下、予備混練ペレットという)を得る。
【0041】この場合におけるポリアミド中におけるP
SGPB共重合体の含有量は、モノフィラメントに含有
させたい濃度に設定するか、もしくはモノフィラメント
に含有させたい濃度よりも高濃度に設定したマスターバ
ッチとする。
【0042】このようにして得た予備混練ペレットもし
くは、マスターバッチの場合には希釈用のポリアミドペ
レットとを、先端にギヤポンプとスピンブロックを有す
るエクストルダ型紡糸機に供給し、使用したポリアミド
の融点より20〜60℃高い温度で溶融混練した後、紡
糸口金から紡出する。
【0043】次いで、溶融状態の紡出糸を冷却水槽中に
導いて冷却固化せしめた後、第1および第2延伸ゾーン
で延伸し、次いでヒートセットゾーンで熱セットした
後、必要に応じて油剤を付与しボビンに巻き取ることに
よって、目的とするポリアミドモノフィラメントを得る
ことができる。
【0044】別の方法として、予備混練ペレットを用い
ることなく、所定量のポリアミドペレットとPSGPB
共重合体ペレットまたは粉体などとを予め各々計量混合
し、または各々計量しながら、先端にギヤポンプとスピ
ンブロックを有するエクストルダ型紡糸機に供給し、使
用したポリアミドの融点より20〜60℃高い温度で溶
融混練した後、紡糸口金から直接紡出する。次いで、溶
融状態の紡出糸を冷却水槽中に導いて冷却固化せしめた
後、第1および第2延伸ゾーンで延伸し、次いでヒート
セットゾーンで熱セットした後、必要に応じて油剤を付
与しボビンに巻き取ることによっても、目的とするポリ
アミドモノフィラメントを得ることができる。
【0045】かくして得られる本発明のポリアミドモノ
フィラメントは、各種用途に使用することができ、これ
ら用途の具体例としては、例えば抄紙機に装着される織
物や搬送用ベルト織物などの各種工業用織物、釣り糸、
スポーツ用品、弦楽器弦、草類刈り払い機用線材、屋外
用張り線、各種ブラシおよび筆毛などを挙げることがで
きるが、これらに限定されるものではない。
【0046】なお、上記の各種用途の中でも特に各種工
業用織物の構成素材として好適である。そして、これら
の工業用織物の中でも、抄紙機に装着される各種織物
(以下、抄紙用織物という)の構成素材として特に有用
である。抄紙用織物の具体例としては、例えば紙原料液
から紙を漉き揚げるワイヤー、漉き揚げた湿紙から搾水
するプレスフェルトの基布織物およびこの基布を使用し
たプレスフェルトおよび紙を乾燥させるドライヤーキャ
ンバスなどが挙げられる。
【0047】これらの抄紙用織物の中でも、本発明のポ
リアミドモノフィラメントをフェルトを構成する基布の
少なくとも一部に使用した抄紙プレスフェルトがより好
適である。
【0048】抄紙プレスフェルト基布とは、フェルトの
形態保持、吸水空隙・通水(通気)性確保および強度保
持のために、フェルトの内部に設けられたモノフィラメ
ントからなる織物および同一方向に配置されたモノフィ
ラメント群のことであり、このモノフィラメントからな
る織物および同一方向に配置されたモノフィラメント群
の少なくとも一部が本発明のポリアミドモノフィラメン
トから構成されるものである。また、プレスフェルト基
布を構成するモノフィラメントは1本づつ基布の経糸お
よび/または緯糸に使用したものの他、複数本のモノフ
ィラメントを合糸・撚糸したもの、更に必要に応じて撚
り糸として基布の経糸および/または緯糸に使用したも
のであってもよい。
【0049】本発明の抄紙プレスフェルトを基布の構成
糸として使用する場合には、モノフィラメントを構成す
るポリアミドがナイロン6およびその共重合体であるこ
とが好ましい。
【0050】本発明の抄紙プレスフェルトの製造は、公
知の方法を採用して行うことができ、例えば、本発明の
ポリアミドモノフィラメントからなる基布織物の両面に
ナイロン66などの短繊維からなるパットを重ね、ニー
ドルパンチによって両面のバットを基布を介して交絡せ
しめてから、所定の厚みにプレス成形し、必要に応じて
洗浄、薬剤処理、バット表面の平坦化加工およびヒート
セットなどを行うことにより製造することができる。
【0051】本発明の抄紙プレスフェルトは、基布の少
なくとも一部が本発明のポリアミドモノフィラメントか
ら構成されていることから、従来のものと比較して圧縮
変形し易いものであり、かつ、優れた耐屈曲摩耗性と耐
屈曲疲労性を有するものであることから、このプレスフ
ェルトをプレス機に装着して操業に必要な形態に圧縮し
た場合には、搾水性が不足するという欠点が軽減され、
高速で長期間に亘って繰り返しプレスした場合における
フェルトの耐久性が従来より向上したものとなり、さら
には優れた対ガムピッチ防汚性を有するためプレスフェ
ルトの汚れによるトラブルが軽減されるなど、従来に比
し好ましい結果が得られる。
【0052】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。 [実施例1〜6、比較実施例1]ポリアミドとして、ナ
イロン6である東レ(株)製品、“アミラン”ポリアミ
ドチップCM1021チップ(ηr3.4、水分率0.
04重量%)(以下、ナイロン6と略称する)を準備し
た。
【0053】また、PSGPB共重合体として“エポフ
レンド”(登録商標)A1005(スチレン/ブタジエ
ン重量比:60/40,オキシラン酸素濃度:0.8〜
0.9重量%,JIS K7210によって測定したJIS A硬度:
70)(以下、EPF-A1005と略称する)を用意した。
【0054】φ40mm1軸エクストルダーと、その先
端にギヤポンプを備え、その先に内径がφ0.8mmで
30ホールの円形吐出孔付き紡糸口金を有したパックを
備えた紡糸機を使用し、ナイロン6チップとEPF−A
1005とを表1記載の重量比であらかじめ計量混合し
てエクストルダーに投入し270℃で溶融混合した後、
118.4g/分の吐出量で紡糸口金から紡出し、口金
直下に設けた25℃の冷却水槽にて溶融糸条を冷却固化
し、引き続いて1段目延伸を80℃、2段目延伸を11
0℃にてトータル延伸倍率5.00倍に延伸し、次いで
120℃、0.95倍でヒートセットを行った後に巻き
取ることにより、直径0.210mmの円形断面を有す
るポリアミドモノフィラメントを得た。
【0055】得られたポリアミドモノフィラメントの圧
縮変位率、モノフィラメントが切断するまでに要する屈
曲摩耗回数、切断するまでに要するMIT屈曲回数試験
の測定結果および対ガムピッチ防汚性評価結果を表1に
示す。
【0056】なお、実施例1で得た本発明のポリアミド
モノフィラメントは、強度5.68cN/dtexで伸
度27.1%という優れた機械特性を有していた。ま
た、比較実施例1で得た従来のポリアミドモノフィラメ
ントの機械特性は、強度5.64cN/dtexで伸度
24.7%であった。
【0057】
【表1】 表1に示した結果から、本発明のポリアミドモノフィラ
メントは、従来のポリアミドモノフィラメントに比較し
て、圧縮変形が大きく、かつ耐屈曲摩耗性と耐屈曲疲労
性に優れ、さらには対ガムピッチ防汚性にも優れたもの
であることが明らかである。 [実施例7,比較実施例2]実施例1で得た、EPF−
A1005を5重量%含有するポリアミドモノフィラメ
ントの3本撚糸を経糸および緯糸として無端状2重織の
織物を製織し、160℃でヒートセットし坪量600g
/m2 の基布を得た。
【0058】このようにして得られた基布をニードルパ
ンチング機に仕掛け、基布上下にカーディングマシンか
らナイロン66短繊維製バットを表目付400g/
2 、裏目付200g/m2 で供給し、ニードリングす
ることで絡合一体化して無端状抄紙プレスフェルトを得
た。得られた抄紙プレスフェルトについて次のテストを
行った。
【0059】すなわち、原料パルプLBKPをTAPP
Iスタンダード式ナイアガラ型ピーターにて、パルプの
フリーネスが400CSF(TAPPIスタンダードT
227m−58で規格するフリーネス)になるまで叩解
した。この叩解パルプをパルプ濃度0.4重量%に希釈
し、実験用配向性抄紙機(熊谷理機工業(株)製)を用
い、含水率60重量%の湿紙を得た。次いで、抄紙プレ
スフェルトを上下一対のプレスロールを供えた実験用プ
レス機に掛け、含水率60重量%の湿紙をフェルト上に
乗せてプレスし搾水を行った。プレス後の搾水湿紙を回
収して水分含有率を測定した。搾水後の湿紙の水分含有
率を表2に示す(実施例7)。
【0060】実施例7における抄紙プレスフェルトの基
布に使用した実施例1で得たモノフィラメントを、比較
実施例1で得た従来技術によるモノフィラメントに変更
した以外は、実施例7と同様に行って得た搾水後の湿紙
の水分含有率を表2に併示する(比較実施例2)。
【0061】
【表2】 実施例7および比較実施例2の結果から、本発明の代表
的な工業用織物である抄紙機に装着する織物の抄紙プレ
スフェルトは、従来のポリアミドモノフィラメントを使
用したものよりも搾水効率に優れたものであり、産業上
の利用価値の高いものであることがわかる。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリアミ
ドモノフィラメントは、従来のポリアミドモノフィラメ
ントに比較して、圧縮変形が大きく、かつ耐屈曲摩耗性
と耐屈曲疲労性に優れ、さらには対ガムピッチ防汚性に
も優れたものである。
【0063】また、本発明のポリアミドモノフィラメン
トを少なくとも一部に使用した工業用織物、特に抄紙機
に装着する織物の抄紙プレスフェルトは、従来のポリア
ミドモノフィラメントを使用したものよりも搾水効率に
優れ、かつ耐久性に優れたものであり、産業上の利用価
値の高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木下 明 愛知県岡崎市昭和町字河原1番地 東レ・ モノフィラメント株式会社内 (72)発明者 青野 正二 静岡県三島市4845番地 東レ株式会社三島 工場内 (72)発明者 増田 豊彦 静岡県三島市4845番地 東レ株式会社三島 工場内 (72)発明者 前田 裕平 静岡県三島市4845番地 東レ株式会社三島 工場内 Fターム(参考) 4L035 BB57 BB89 BB91 DD14 EE20 FF01 LC01 LC02 4L055 CE37 EA19 FA30

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の方法により測定した圧縮変位率が
    5.6%以上、下記の方法により測定した切断するまで
    に要する屈曲摩耗回数が2.2×104 回以上であるこ
    とを特徴とするポリアミドモノフィラメント。 [圧縮変位率](株)島津製作所製「島津粉体圧縮試験
    機PCT−200」を使用し、20℃のイオン交換水中
    に16時間以上浸漬して吸水させたモノフィラメントの
    側面について、直径500μmの平面を有するダイヤモ
    ンド製円盤状加圧子で原点荷重14.71cN、最大荷
    重98.07cNおよび荷重付加速度1.41cN/秒
    の条件で圧縮時の糸直径変位を読み取り、次式〔I〕か
    ら圧縮変位率を求めた。なお同一のモノフィラメントか
    ら3本の試料を採取し、n3の測定を行い平均値を求め
    た。 圧縮変位率(%)=(L1÷原糸直径)×100・・・・〔I〕 (ただし、上記式〔I〕におけるL1は、最初に試料に
    与えた原点荷重14.71cN時点での変位と最大荷重
    98.07cNにおける変位との変位差の絶対値をμm
    で表したものである。また、原糸直径は、試験に供する
    前の原糸の直径であって、20℃、65%RHの環境下
    で24時間以上放置した状態のモノフィラメントの直径
    を、読み取り精度1μm以下のマイクロメーターまたは
    アンリツ(株)製「レーザー外径測定機 KL−151
    Aを使用して測定したものであり、μmで表したもので
    ある。) [切断するまでに要する屈曲摩耗回数]JIS L−1
    095−9.10.2Bに準じて、固定されたφ1.0
    mmの摩擦子(硬質鋼線(JIS G 3522 ピア
    ノ線A種))の上に接触させたモノフィラメントを、前
    記摩擦子の左右各55度角度で斜め下に設けたフリーロ
    ーラー2個(ローラー間距離100mm)の下に掛け、
    別の1個のフリーローラーの上を介して、前記モノフィ
    ラメントの一端に0.196cN/dtexの荷重をか
    けてセットする。次いで、モノフィラメントを摩擦速度
    120往復/分、片道ストローク25mmで摩擦子に接
    触往復させて、同一試料につき10本のモノフィラメン
    トについて夫々切断するまでの擦過往復回数を測定し平
    均値を求める。
  2. 【請求項2】 下記の方法により測定した切断するまで
    に要するMIT屈曲回数が200回以上であることを特
    徴とする請求項1記載のポリアミドモノフィラメント。 [切断するまでに要するMIT屈曲回数] 東洋精機(株)製;MIT耐揉疲労試験機により、JI
    S P−8115に準じて、荷重2.2cN/dte
    x、折り曲げ回数175回/分、折り曲げ角度270度
    (左右に各約135度)およびモノフィラメントを挟む
    折り曲げコマにおける左右の折り曲げ面の曲率半径各々
    0.38±0.02mmの条件で、同一試料につき10
    本のモノフィラメントについて夫々切断するまでの往復
    折り曲げ回数を測定して平均値を求める。
  3. 【請求項3】下記(1)〜(11)の布粘着テープ水中
    剥離方法により測定した布粘着テープ剥離応力が400
    cN/2.5cm以下の対ガムピッチ防汚性を有するこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項
    記載のポリアミドモノフィラメント。 [布粘着テープ水中剥離方法] (1)厚さ150〜250μm、横巾3cm、縦長さ1
    2cmのポリエチレンテレフタレート製2軸延伸フィル
    ムを2枚用意する。 (2)1枚の該フィルムのセンターに、横巾2.5c
    m、縦長さ12cmの両面粘着テープ(日東電工(株)
    製品、No.523または同等品)を長手方向に揃えて
    貼る。 (3)長さ約20cmに切断したモノフィラメント試料
    を上記(2)の両面粘着テープ上に長手方向と平行に隙
    間無く貼り、両面粘着テープの長手方向の両端からはみ
    出したモノフィラメントの余端を鋏で切除する。 (4)もう1枚の該フィルム一端の横巾3cm部の中央
    に片面に粘着剤の塗布された2.5cm×2.5cmサ
    イズの布粘着テープを1/2貼り、布粘着テープ残り1
    /2に上記(3)で得られたモノフィラメントを貼った
    フィルムの裏面を前記フィルムと重ならないように合わ
    せて貼り、見かけの縦長さ約24cm、横巾3cmのフ
    ィルムを作成する。 (5)底の平坦な平バット内に硝子板(厚さ0.8c
    m、縦25cm、横10cm)を敷き、この硝子板表面
    が約1.5cm沈む位置になるまで水を注ぐ。 (6)前記平バット水中内の硝子板上に、上記(4)で
    作成したモノフィラメントを貼ったフィルムのモノフィ
    ラメント部を上面とし、30分間浸漬する。 (7)水中の前記モノフィラメントを貼ったフィルムの
    モノフィラメント部分が左側になるようにセットし、片
    面に粘着剤が塗布された横巾2.5cm布粘着テープ
    (ニチバン(株)製、段ボール包装用強粘着テープ<L
    S>No.101Nまたは同等品)を縦長さ15cmに
    切断し、モノフィラメントを貼ったフィルムの左端と合
    わせて、モノフィラメント上に布粘着テープを仮貼りす
    る。次いで、前記モノフィラメント面右端に約3cm残
    った布粘着テープをフィルム面にしっかりと貼る。 (8)上記(7)で得られたモノフィラメントを貼った
    フィルムを裏返して、上記(4)で貼り付けた2.5c
    m×2.5cmサイズの布粘着テープを取り除く。 (9)再度フィルムを裏返し、モノフィラメントを貼っ
    たフィルムのモノフィラメント面を上向きとし、硝子板
    上に完全に乗るようにセットして、モノフィラメントの
    表面に仮貼りされている前記布粘着テープ上に、重量
    1.43Kg、巾5cmのゴムローラーをフィルムの長
    手方向に片道走行させ、剥離応力測定用サンプルを作成
    する。 (10)前記剥離応力測定用サンプルを水中から取り出
    し、2枚のフィルムの接合部を支点に、布粘着テープの
    面が内側になるように山折りし、次いで山折りの支点部
    からモノフィラメント面上に貼らた布粘着テープをモノ
    フィラメントの長さ方向に約1cm剥がし、モノフィラ
    メントを貼付してあるフィルム端部を、テンシロンの上
    チャックにセットし、一方のモノフィラメントの貼って
    ないフィルムの下端(山折りの裾部)を、テンシロンの
    下チャックにセットし、引張速度100mm/分、チャ
    ートスピード100mm/分の条件で剥離応力を測定
    し、剥離応力の高い山と剥離応力の低い谷とが交互に連
    なった剥離応力チャートを得る。 (11)得られた剥離応力チャートの最初の剥離応力の
    高い山から約2cm後の剥離応力の高い山を始点とし
    て、一個一個の交互の山と谷各40点の剥離応力を読み
    取り、その平均値をもって剥離応力とし、この測定を1
    0回行いその平均値を布粘着テープ剥離応力とする。
  4. 【請求項4】 ポリスチレン・部分エポキシ化ポリブタ
    ジエンブロック共重合体を含有することを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項記載のポリアミドモノフィラ
    メント。
  5. 【請求項5】 ポリスチレン・部分エポキシ化ポリブタ
    ジエンブロック共重合体の含有量が0.8〜20重量%
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記
    載のポリアミドモノフィラメント。
  6. 【請求項6】 モノフィラメントを構成するポリアミド
    が、ポリカプラミドおよびその共重合体、ポリヘキサメ
    チレンアジパミドおよびその共重合体から選ばれた少な
    くとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れか1項記載のポリアミドモノフィラメント。
  7. 【請求項7】 工業用織物の構成素材用ポリアミドモノ
    フィラメントであることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項記載のポリアミドモノフィラメント。
  8. 【請求項8】 抄紙機に装着される織物の構成素材用ポ
    リアミドモノフィラメントであることを特徴とする請求
    項7記載のポリアミドモノフィラメント。
  9. 【請求項9】 請求項7記載のポリアミドモノフィラメ
    ントを少なくとも一部に使用したことを特徴とする工業
    用織物。
  10. 【請求項10】 請求項8記載のポリアミドモノフィラ
    メントを少なくとも一部に使用したことを特徴とする抄
    紙機に装着される織物。
  11. 【請求項11】 抄紙プレスフェルトであることを特徴
    とする請求項10記載の抄紙機に装着される織物。
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