JP2002340702A - 軟磁性体粉末材料からなる構成部材の接合方法、およびトルクセンサ - Google Patents

軟磁性体粉末材料からなる構成部材の接合方法、およびトルクセンサ

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JP2002340702A
JP2002340702A JP2001141498A JP2001141498A JP2002340702A JP 2002340702 A JP2002340702 A JP 2002340702A JP 2001141498 A JP2001141498 A JP 2001141498A JP 2001141498 A JP2001141498 A JP 2001141498A JP 2002340702 A JP2002340702 A JP 2002340702A
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Katsuhana Kanazawa
功華 金澤
Kazuhisa Sanpei
和久 三瓶
Masaki Sugiyama
昌揮 杉山
Masayuki Yamamoto
政幸 山本
Hidesato Tsuchiya
秀聡 土屋
Yoichi Serino
洋一 芹野
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NIPPON FUNMATSU GOKIN KK
Tokyo Sintered Metals Corp
Toyota Motor Corp
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NIPPON FUNMATSU GOKIN KK
Tokyo Sintered Metals Corp
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気的に絶縁コーティングされた軟磁性体粉
末材料からなる構成部材を、その磁性特性を低下あるい
は変化させることなく適切に他の構成部材と接合するこ
とができる方法を提供する。 【解決手段】 本発明の軟磁性圧粉体の接合方法は、軟
磁性体粉末材料を成形・熱処理して軟磁性圧粉体12
A,12Bを得て、この軟磁性圧粉体12A,12Bの
接合部に半導体レーザによってレーザ光を照射して互い
を溶融接合する。そして、接合部に対して、反射率が
0.6以下となるように波長が1.0μm以下であり、
集光幅が1.0mm以上であるレーザ光を複数箇所に照
射して互いを部分的に溶融接合する。軟磁性圧粉体12
A,12Bは、溶融接合時の熱影響を受けることがない
ため、その磁性特性が低下したり変化することがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟磁性圧粉体の接
合方法、およびトルクセンサに関し、さらに詳しくは、
電気的に絶縁コーティングされた軟磁性体粉末材料から
なる構成部材と他の構成部材とを接合する方法、およ
び、磁気回路を構成する少なくとも一方の構成部材が電
気的に絶縁コーティングされた軟磁性体粉末材料により
構成されており、この軟磁性体粉末材料による構成部材
と他の構成部材とを接合することにより構成されるトル
クセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、車両のパワーステアリング装置
においては、ステアリングホイール(図示は省略した)
を手動で操舵操作することにより回転されるステアリン
グ入力軸の回転トルクに応じて、電動モータなどによる
補助力をステアリング出力軸に付加して回転させるため
に、操舵トルクを検出するためのトルクセンサが使用さ
れている。
【0003】このようなトルクセンサの従来の技術とし
て、例えば特開平7―294346号公報に開示されて
いるように、磁性体よりなりかつ外周面にその軸方向に
歯を形成した3つの円筒コアを備え、第1および第2の
円筒コアを、第1の円筒コアの一方の端面と第2の円筒
コアの一方の端面とが互いに接触した状態で、トーショ
ンバーを介して連結された軸のうちの一方の軸と固定
し、第3の円筒コアを、その一方の端面と第1の円筒コ
アの他方の端面とが接触した状態で、2つの軸のうちの
他方の軸と固定し、第1、第2の円筒コアを高周波磁界
により電磁結合するコイルと、第1、第3の円筒コアを
高周波磁界により電磁結合するコイルを設けたことを特
徴とするトルクセンサが知られている。そして、当該公
報に開示されたトルクセンサでは、その磁気回路を構成
する構成部材として、電気伝導性を有する磁性体からな
る第1および第2の円筒コアが操舵側軸の端部の外周に
圧入固定され、電気伝導性を有する磁性体からなる第3
の円筒コアが操舵機構側軸に圧入固定されることが記載
されている(段落番号0036、0037)。また、当
該公報に開示されたトルクセンサでは、温度補償コイル
および磁気結合検出コイルが巻回されるリング状のヨー
クは、軸心方向の断面がコ字状をしている電気伝導性を
有する磁性体よりなり、ケースの内周側に嵌められかつ
固定されることが記載されている(段落番号0040な
ど)。
【0004】また、特開2000−292275号公報
に開示されているように、磁気回路における磁気抵抗の
変化に基づきトルクを検出可能なトルクセンサにおい
て、その磁気回路の構成部材の中の少なくとも一つが、
合成樹脂製の基材中に磁性粉末を分散させることで構成
される磁性樹脂材料から型成形され、その基材中に分散
される磁性粉末は、軟磁性を示す大径粒子と、この大径
粒子よりも小径であって常磁性を示す小径粒子とを含む
ことを特徴とするトルクセンサも知られている。すなわ
ち、当該公報に開示されたトルクセンサでは、磁気回路
の構成部材であるコイルホルダを構成する第1環状部材
と第2環状部材、および検出リングが、合成樹脂製の基
材中に磁性粉末を分散させることで構成される磁性樹脂
材料から型成形され、また、その型成形法として、射出
成形法を採用できることが記載されている(段落番号0
024)。また、当該公報に開示されたトルクセンサで
は、ボビンに導線を巻き付けることで構成されたコイル
がコイルホルダの円筒状の周壁および両円環状側壁によ
って覆われていることや、第1環状部材と第2環状部材
を軸方向において並列すると共に超音波溶接することに
よりコイルホルダーを構成することも記載されている
(段落番号0023)。
【0005】さらに、特開平9―233737号公報に
は、磁気回路を構成する部材として、金属粉末と結合材
との混練物を用いて射出成形または押出成形により得ら
れた成形体を焼成してなる金属燒結体によってコアを構
成することが開示されている。そして、当該公報におい
ては、コアに対して回転軸を圧入し、またはコアと回転
軸とを金属燒結体により一体成形することが記載されて
いる(段落番号0048)。
【0006】さらにまた、特開平5―326289号公
報には、高電気抵抗の酸化膜で表面が覆われた軟磁性体
合金粒子(電気的に絶縁コーティングされた軟磁性体粉
末材料)を高密度燒結して、この燒結成形体を複数個接
着により接合することも知られている。軟磁性体粉末材
料に電気的な絶縁コーティングを施すことにより、その
渦電流損失(鉄損)を小さくすることができることは公
知のことであろう。
【0007】このように、従来の技術においては、軟磁
性体粉末材料を燒結成形し、または、合成樹脂製基材中
に分散させて型成形することにより、トルクセンサなど
に使用される磁気回路の構成部材が成形されていた。ま
た、このほかには、軟磁性体粉末材料を所定の形状に成
形して圧粉体とし、かかる圧粉体を樹脂層で覆うことも
考えられる。
【0008】そして、このような磁気回路の構成部材
は、他の部材と接合するために、上述したように圧入や
かしめなどの機械的接合が一般的に行なわれており、ま
た、接着剤を使用して接着し、あるいは、両部材を金属
燒結体により一体成形することが行なわれていた。さら
に、このほかには、両部材を溶接することによって溶融
接合することも考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術のうち、特開平9―233757号公報などに
開示されているように、軟磁性体粉末材料を燒結成形す
る場合にあっては、その焼成温度が比較的高温であるた
めに、軟磁性体粉末材料自体の磁性特性が変化するとい
う問題があった。そして、燒結成形する場合には、軟磁
性体粉末材料に合成樹脂などのバインダーや可塑材など
の添加物が混合されている場合があり、かかる場合には
焼成時に炭化したバインダーなどが軟磁性体粉末材料か
らなる構成部材中に残留することにより、その抗折強度
などの部品強度を低下させるなどの問題を発生させるこ
とがあった。
【0010】さらに、上記特開平5―326289号公
報に開示されているように、電気的に絶縁膜が成形さ
れ、あるいはコーティングされた軟磁性体粉末材料は、
燒結成形する際に、絶縁コーティング層が分解されて本
来の目的である過電流損失を小さくすることができな
い。そのため、電気的に絶縁コーティングされた軟磁性
体粉末材料を成形する場合には、比較的低い温度(例え
ば900度C)で焼成するか、さらに低い熱処理で圧粉
体として成形することしかできず、部品強度が低いとい
う問題がある。
【0011】また、合成樹脂製基材中に軟磁性体粉末材
料を分散させて型成形したり、所定形状に成形した圧粉
体として樹脂層で覆う場合にあっては、軟磁性体粉末材
料の体積が減少するために磁性特性を向上させることが
できないという問題があった。さらに、これらの磁気回
路を構成する部材を車両のパワーステアリング装置にお
けるトルクセンサに使用する場合にあっては、かかる車
両のエンジンルーム内の温度の影響を受けて高温に晒さ
れることとなる。軟磁性体粉末材料を成形した圧粉体を
樹脂層で覆った構成部材をこのような温度変化に晒す
と、圧粉体と樹脂層の線膨張係数が異なるために、膨張
または収縮による干渉が発生して割れや欠けが生じると
いう問題がある。
【0012】一方、磁気回路の構成部材と他の部材とを
接合するために、圧入やかしめなどの機械的接合を用い
た場合にあっては、特に磁気回路の構成部材が絶縁コー
ティングされた軟磁性体粉末材料を成形したものである
場合、上述したように部品強度が低いために、圧入やか
しめなど機械的接合を無理に行うと割れや欠けが発生す
るため、かかる無理な機械的接合を行うことができず、
接合強度が不足するという問題がある。そしてこの問題
に対処するために、接着剤を使用して両部材を接着する
場合には、接着剤層の厚さの違いによって両部材の間の
ギャップにばらつきが生じるために、磁性特性もばらつ
きが生じるという問題がある。また、上述したように磁
気回路を構成する部材を車両のパワーステアリング装置
におけるトルクセンサに使用する場合にあっては、かか
る車両のエンジンルーム内の温度の影響を受けて高温に
晒されるため、接着剤が劣化するなど、接着剤の耐久性
が不足するという問題も生じる。さらに、両部材を溶接
接合する場合にあっては、溶接時の熱によって絶縁コー
ティング層が破壊・分解され、しかも、軟磁性体粉末材
料の熱影響体積が大きいために、磁気特性が低下すると
いう問題があった。
【0013】本発明は、上述した問題に鑑みてなされた
もので、電気的に絶縁コーティングされた軟磁性体粉末
材料からなる構成部材を、その磁性特性を低下あるいは
変化させることなく適切に他の構成部材と接合すること
ができる方法を提供することを目的とする。また、本発
明は、上述した課題に鑑みてなされたもので、少なくと
も一方の構成部材が、電気的に絶縁コーティングされた
軟磁性体粉末材料からなる軟磁性圧粉体により構成され
ており、この軟磁性圧粉体による構成部材を、その磁気
特性を低下あるいは変化させることなく他の構成部材と
接合することにより構成されたトルクセンサを提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の軟磁性圧粉体
の接合方法に係る発明は、上記目的を達成するため、電
気的に絶縁コーティングされた軟磁性体粉末材料からな
る構成部材と他の構成部材とを接合する方法であって、
前記軟磁性体粉末材料を成形・熱処理して軟磁性圧粉体
を得て、該軟磁性圧粉体と他の構成部材との接合部に半
導体レーザによってレーザ光を照射して互いを溶融接合
することを特徴とするものである。
【0015】請求項2の軟磁性圧粉体の接合方法に係る
発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発
明において、レーザ光は、反射率が0.6以下となるよ
うに波長が1.0μm以下であり、集光幅が1.0mm
以上であることを特徴とするものである。
【0016】請求項3の軟磁性圧粉体の接合方法に係る
発明は、上記目的を達成するため、請求項1または2に
記載の発明において、軟磁性圧粉体と被接合部材との接
合部を複数箇所で溶融接合することを特徴とするもので
ある。
【0017】また、請求項4のトルクセンサに係る発明
は、上記目的を達成するため、磁気回路を構成する少な
くとも一方の構成部材が電気的に絶縁コーティングされ
た軟磁性体粉末材料により構成されており、該軟磁性体
粉末材料による構成部材と他の構成部材とを接合するこ
とにより構成されたトルクセンサであって、軟磁性体粉
末材料による構成部材は、軟磁性体粉末材料を成形・熱
処理してなる軟磁性圧粉体であり、軟磁性圧粉体からな
る構成部材と他の構成部材との接合部が複数箇所でレー
ザ光を照射することにより溶融接合されていることを特
徴とするものである。
【0018】請求項1の発明では、電気的に絶縁コーテ
ィングされた軟磁性体粉末材料のバインダ層が再軟化す
る程度に熱処理して所定の形状の軟磁性圧粉体を成形す
る。そして、かかる軟磁性圧粉体と他の構成部材との接
合部に半導体レーザによってレーザ光を照射する。両部
材の接合部は、半導体レーザによって適切な集光径およ
び出力に制御されたレーザ光が照射され、広く且つ浅く
溶融接合される。
【0019】請求項2の発明では、請求項1に記載の発
明において、両部材の接合部に照射するレーザ光を、反
射率が0.6以下となるように波長が1.0μm以下で
あり、集光幅が1.0mm以上であるように設定するこ
とにより、適切なエネルギ出力のレーザ光が効率よく照
射されるため、両部材の接合部の溶融層を噴出させたり
(ブローアウト)溶け落ちさせることなく、且つ、熱影
響による磁性特性が低下または変化することなく、互い
に適切に溶融接合される。
【0020】請求項3の発明では、請求項1または2に
記載の発明において、軟磁性圧粉体と被接合部材との接
合部を複数箇所で断続的に溶融接合することにより、熱
影響による磁性特性が低下または変化することなく、互
いに適切に溶融接合される。
【0021】請求項4の発明では、磁気回路を構成する
少なくとも一方の構成部材は、電気的に絶縁コーティン
グされた軟磁性体粉末材料を成形・熱処理した軟磁性圧
粉体により構成されている。そして、かかる構成部材と
他の構成部材との接合部は、その複数箇所に対して広く
且つ浅く溶融接合し得るように適切な集光径および出力
に制御されたレーザ光が照射されて、断続的に溶融接合
されている。軟磁性圧粉体からなる構成部材は、その磁
性特性が熱影響によって低下または変化することなく、
他の構成部材と溶融接合される。なお、磁気回路を構成
する部材は、軟磁性体粉末材料からなる構成部材と軟磁
性体粉末材料ではない構成部材とを接合してなる場合、
軟磁性体粉末材料からなる構成部材どうしを接合してな
る場合がある。
【0022】
【発明の実施の形態】最初に、本発明のトルクセンサの
実施の一形態を図1〜図7に基づいて詳細に説明する。
なお、図において、同一符号は同一部分または相当部分
とする。本発明のトルクセンサは、概略、軟磁性体粉末
材料Mによる構成部材が、軟磁性体粉末材料を成形・熱
処理して成形された軟磁性圧粉体(5、7、8、12
A,12B)からなり、この軟磁性圧粉体からなる構成
部材(5、7、8)と他の構成部材(2A、6、2
B)、または、磁性圧粉体からなる構成部材どうし(1
2A,12B)の接合部が複数箇所でレーザ光LDを照
射することにより溶融接合されたものである。
【0023】図1に示すように、トルクセンサは、ハウ
ジング1と、ハウジング1内に回転可能に保持された回
転軸2とを備えている。回転軸2は、中空状の入力軸2
Aと、中空状の出力軸2Bと、両軸2A,2B内に嵌挿
されたトーションバー2Cとにより構成されている。ト
ーションバー2Cの両端部は、ピン3が嵌挿されている
ことにより、入力軸2Aおよび出力軸2Bに対してそれ
ぞれ相対回転不能に連結されている。この実施の形態で
は、入力軸2Aがボールベアリング4によってハウジン
グ1に対して回転可能に支持されている。入力軸2Aお
よび出力軸2Bは、一般的な鋼材を切削することなどに
より成形されている。
【0024】入力軸2Aの下端には、一端に歯を有する
第1検出リング5が接合されている。また、出力軸2B
の上端には、非磁性体からなるカラー6が外嵌固着され
ており、このカラー6に対して、一端に歯を有する第2
検出リング7がその歯を第1検出リング5の歯と対向さ
せるように接合されている。さらに、出力軸2Bの中間
部には、一端に歯を有する第3検出リング8が、その歯
を第2検出リング7の歯と同方向に向くようにして接合
されている。これら第1〜第3検出リング5、7、8と
回転軸2との接合方法については後述する。
【0025】ハウジング1内には、トルク検出コイル1
0および温度補償コイル11をそれぞれ保持する環状の
コイルケース12が、スペーサ13を介して所定の間隔
で内嵌保持されている。これにより、第1および第2検
出リング5、7とトルク検出コイル10、ならびに、第
3検出コイル8と温度補償コイル11とはそれぞれ対応
するように配置される。各コイルケース12は、図4に
示すように、内周壁120、外周壁121、および底部
122を有する本体12Aと、内周壁120と外周壁1
21の間の開放部を閉塞するように本体12Aと接合さ
れる蓋体12Bとにより構成されている。本体12Aと
蓋体12Bとの接合方法については後述する。
【0026】第1~3検出リング5、7、8および各コ
イルケース12の本体12Aおよび蓋体12Bは、電気
的に絶縁コーティングされた軟磁性体粉末材料Mにより
構成されている。軟磁性体粉末材料Mは、図2に示すよ
うに、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−P合金
などの鉄を主体とする軟磁性の粉体Pに、リン酸塩、ア
ルミナ、シリカなどの絶縁皮膜剤Sをコーティングし、
さらにポリアミド、エポキシ樹脂などのバインダーBの
層を有するもので、このような軟磁性体粉末材料Mとし
ては、例えばヘガネス社製の商品名SOMALOYを使
用することができる。なお、本発明において使用する
「粉末」の用語には、大きさによって粉体、粒体、片な
どと実質的に呼ばれるものも含まれる。
【0027】ここで、本発明の軟磁性圧粉体の接合方法
を、上述した軟磁性体粉末材料Mからなる構成部材とし
ての第1~3検出リング5、7、8と、他の部材として
の入力軸2A、カラー6、出力軸2B、とを接合する場
合、および、軟磁性体粉末材料Mからなる各コイルケー
ス12の本体12Aと蓋体12Bとを接合する場合によ
り説明する。
【0028】本発明の軟磁性圧粉体の接合方法は、概
略、軟磁性体粉末材料Mを成形・熱処理して軟磁性圧粉
体(5、7、8、12A,12B)を得て、この軟磁性
圧粉体(5、7、8)と他の構成部材(2A、6、2
B)と、または、軟磁性圧粉体どうし12Aと12Bと
の接合部に半導体レーザによってレーザ光LBを照射し
て互いを溶融接合するものである。そして、本発明の軟
磁性圧粉体の接合方法は、反射率が0.6以下となるよ
うに波長が1.0μm以下であり、集光幅が1.0mm
以上であるレーザ光LBを接合部に照射して互いを溶融
接合し、また、接合部の複数箇所にレーザ光LBを照射
して部分的に溶融接合するものである。
【0029】上述した軟磁性体粉末材料Mは、最初に、
型(図示は省略する)内に充填されて所定の圧力で、バ
インダBの層が軟化し得る程度の熱処理が行われ(例え
ば200度C程度で約1時間程度)、その後、バインダ
Bの層が結合した状態で再固化するまで自然冷却するこ
とにより、所定形状を有する軟磁性圧粉体(5、7、
8、12A,12B)として成形される。このように成
形された各部材(5、7、8、12A,12B)は、そ
の磁性特性を低下または変化させることなく、例えば1
00MPa程度の抗折強度を有するようになる。
【0030】軟磁性圧粉体として成形された各部材
(5、7、8、12A,12B)は、型内で成形する際
あるいは型から取り出す際にその表面が擦れてその絶縁
皮膜剤Sが薄くなったり剥がれ落ちたりして絶縁性が失
われたり鉄を主体とする粉体Pが露出して錆びやすくな
る。そのため、各部材(5、7、8、12A,12B)
は、軟磁性圧粉体として成形された後に、その表面にリ
ン酸鉄皮膜など、絶縁および防錆などを目的としたコー
ティングを形成するためのパーカ処理が行なわれる。
【0031】このように成形された第1検出リング5
は、その歯底と入力軸2Aの下端面とがレーザ溶接によ
り複数箇所で溶融接合される。また、第2検出リング7
は、その歯底と出力軸2Bに固着された非磁性体カラー
6の端面とがレーザ溶接により複数箇所で溶融接合され
る。さらに、第3検出リング8は、その歯底と出力軸2
Bに形成された段部20の端面とがレーザ溶接により複
数箇所で溶融接合される。
【0032】ここで、軟磁性圧粉体からなる第1〜第3
検出リング5、7、8と他の部材2A,6,2Bとのレ
ーザ溶接による溶融接合を、図3に示したように、第3
検出リング8の歯底と出力軸2Bの段部20の端面とを
接合する場合より、詳細に説明する。なお、第1検出リ
ング5と鋼材からなる入力軸2A、および、第2検出リ
ング7と非磁性体からなるカラー6との溶融接合につい
ても、第3検出リング8と出力軸2Bとの溶融接合と同
様であるため、その説明を省略する。
【0033】鋼材からなる出力軸2Bの中間部には第3
検出リング8の下端面が当接されるフランジ21が形成
されており、このフランジ21から上方に向かって第3
検出リング8が嵌挿される大径の段部20が連続して形
成されている。段部20の端面は、下端面がフランジ2
1に当接された状態の第3検出リング8の歯底とほぼ同
一面を形成するように設定されている。接合部となる段
部20の端面と第3検出リング8の歯底との間には、例
えば、反射率が0.6以下となるように1.0μm以下
の波長で、1.0mm以上の集光径のレーザ光LBが照
射され、溶けこみ深さが0.3〜1.0mmでビード径
が1.0〜1.5mm程度となるなど、溶けこみ深さに
対してビード径が大となるような溶接ビードWを複数の
スポット状に形成する。このような溶接ビードWを形成
させるためには、半導体レーザによるレーザ光の照射が
適している。すなわち、例えばYAGレーザの場合に
は、図6に鎖線で示すように、所定の出力を得るために
所定の径に絞ってレーザ光が照射される。一方、溶融接
合される少なくとも一方の構成部材(5、7、8、12
A、12B)が軟磁性の圧粉体であるため、レーザ光の
吸収率が一般的な鋼材などと比較して良好となる傾向に
ある。そのため、図8に示すように、接合部の特に軟磁
性圧粉体からなる構成部材(5、7、8、12A、12
B)の溶融層が噴出するブローアウトが発生したり溶け
落ちTが発生することがある。しかしながら、本発明で
は、図7に示すようにピーク出力が幅広く浅いレーザ光
LDを半導体レーザによって照射して、接合部の表面か
ら浅く幅広い溶接ビードWを複数のスポットで断続的に
形成するため、従来の技術で行なわれていた圧入などの
ような無理な機械的接合によって割れや欠けを発生させ
ることなく、軟磁性体の磁性特性を維持しつつ高い強度
で軟磁性部材5、7、8と軟磁性部材ではない他の被接
合部材2A,6,2Bとを接合することができる。
【0034】次に、共に軟磁性圧粉体からなるコイルケ
ース12の本体12Aと蓋体12Bとの溶融接合を図4
および図5に基づいて詳細に説明する。コイルケース1
2の本体12Aの内周壁120、外周壁121、および
底部122に囲まれた空間内には、導線を所定回数巻回
してなるトルク検出コイル10または温度補償コイル1
1が収容される。その後、図4に示すように、内周壁1
20と外周壁121の間の開放部を蓋体12Bによって
覆い、治具(図示は省略する)などによって一時的に固
定した状態で、上述した検出リング5、7、8の場合と
同様に、接合部となる本体12Aの外周壁121と蓋体
12Bの外周端面との間に半導体レーザによってレーザ
光を照射して、溶けこみ深さに対してビード幅が大とな
るような溶接ビードWを複数のスポット状に形成する。
必要に応じて、コイルケース12の本体12Aの内周壁
120と蓋体12Bの内周端面とを溶融接合することも
できる。
【0035】なお、第1〜3検出リング5、7、8と回
転軸2、および、コイルケース12の本体12Aと蓋体
12Bを溶融接合するためにスポット状に形成する溶接
ビードWの数は、多いほど接合強度が増加することは容
易に想像できる。しかしながら、レーザ光の照射によっ
て絶縁コーティング層(S)が分解されて鉄損が増加し
その磁性特性が低減または変化することは回避すべきで
ある。そのため、これらの構成部材5、7、8、12の
接合部に形成するスポット状の溶接ビードWの数は、接
合部の径(すなわち周長)や要求される接合強度などに
よって異なるが、鉄損を最小に抑えることができ、か
つ、所定の接合強度を得ることができるように設定さ
れ、より具体的には中心軸線C回りの周方向に等間隔で
4〜16箇所に設定することができる。
【0036】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、軟磁性体粉末
材料を成形・熱処理して軟磁性圧粉体を得て、この軟磁
性圧粉体と他の構成部材との接合部に半導体レーザによ
ってレーザ光を照射して互いを溶融接合するという簡単
な構成により、軟磁性体粉末材料からなる構成部材を、
その磁性特性を低下あるいは変化させることなく適切に
他の構成部材と接合することができる方法を提供するこ
とができる。
【0037】請求項2の発明によれば、請求項1に記載
の発明において、接合部に照射するレーザ光を、反射率
が0.6以下となるように波長が1.0μm以下であ
り、集光幅が1.0mm以上とすることにより、溶けこ
み深さに対してビード幅が大となるような溶接ビードが
接合部に形成されるため、軟磁性体粉末材料からなる構
成部材の磁性特性を低下あるいは変化させることなく確
実に他の構成部材と現実的に接合することができる方法
を提供することができる。
【0038】請求項3の発明によれば、請求項1または
2に記載の発明において、軟磁性圧粉体と被接合部材と
の接合部を複数箇所で部分的に溶融接合することによ
り、溶融接合時に絶縁被膜が破壊され鉄損が増加するこ
とを抑止しながら必要な接合強度が得られるため、より
磁性特性の低下あるいは変化させることなく確実に他の
構成部材と現実的に接合することができる方法を提供す
ることができる。
【0039】請求項4の発明によれば、軟磁性体粉末材
料による構成部材が軟磁性体粉末材料を成形・熱処理し
てなる軟磁性圧粉体であり、軟磁性圧粉体からなる構成
部材と他の構成部材との接合部が複数箇所でレーザ光を
照射することにより溶融接合されていることにより、軟
磁性体粉末材料による構成部材が、その磁気特性を低下
あるいは変化することなく、他の部材と適切に接合され
て構成されたトルクセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトルクセンサの実施の一形態を示す断
面図である。
【図2】本発明に使用される軟磁性体粉末材料の構成の
実施の一形態を示す拡大図である。
【図3】本発明により第3検出リングと出力軸とが接合
された状態を示す拡大断面図である。
【図4】本発明によりコイルケースの本体と蓋体とが接
合された状態を示す拡大断面図である。
【図5】本発明により本体と蓋体とが複数箇所接合され
たコイルケースの斜視図である。
【図6】半導体レーザとYAGレーザの出力を示す説明
図である。
【図7】本発明の、半導体レーザによってレーザ光を照
射して溶けこみ深さに対してビード径が大となるような
溶接ビードがスポット状に形成された状態を示す拡大断
面図である。
【図8】YAGレーザによってレーザ光を照射してブロ
ーアウトあるいは溶け落ちが発生した状態を示す拡大断
面図である。
【符号の説明】
2 回転軸 2A 入力軸(他の構成部材) 2B 出力軸(他の構成部材) 5 第1検出リング(軟磁性圧粉体) 6 非磁性体カラー(他の構成部材) 7 第2検出リング(軟磁性圧粉体) 8 第3検出リング(軟磁性圧粉体) 12 コイルケース 12A 本体(軟磁性圧粉体) 12B 蓋体(軟磁性圧粉体) M 軟磁性体粉末材料 P 軟磁性粉体 S 絶縁皮膜層 B バインダ W スポット状の溶接ビード
フロントページの続き (72)発明者 金澤 功華 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 三瓶 和久 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 杉山 昌揮 愛知県春日井市大泉寺町438 東京燒結金 属株式会社内 (72)発明者 山本 政幸 愛知県春日井市大泉寺町438 東京燒結金 属株式会社内 (72)発明者 土屋 秀聡 愛知県春日井市大泉寺町438 東京燒結金 属株式会社内 (72)発明者 芹野 洋一 愛知県春日井市大泉寺町438 東京燒結金 属株式会社内 Fターム(参考) 4E068 DA09 DA12 DB00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気的に絶縁コーティングされた軟磁性
    体粉末材料からなる構成部材と他の構成部材とを接合す
    る方法であって、 前記軟磁性体粉末材料を成形・熱処理して軟磁性圧粉体
    を得て、 該軟磁性圧粉体と他の構成部材との接合部に半導体レー
    ザによってレーザ光を照射して互いを溶融接合すること
    を特徴とする軟磁性体粉末材料からなる構成部材の接合
    方法。
  2. 【請求項2】 レーザ光は、反射率が0.6以下となる
    ように波長が1.0μm以下であり、集光幅が1.0m
    m以上であることを特徴とする請求項1に記載の軟磁性
    体粉末材料からなる構成部材の接合方法。
  3. 【請求項3】 軟磁性圧粉体と被接合部材との接合部を
    複数箇所で溶融接合することを特徴とする請求項1また
    は2に記載の軟磁性体粉末材料からなる構成部材の接合
    方法。
  4. 【請求項4】 磁気回路を構成する少なくとも一方の構
    成部材が電気的に絶縁コーティングされた軟磁性体粉末
    材料により構成されており、該軟磁性体粉末材料による
    構成部材と他の構成部材とを接合することにより構成さ
    れたトルクセンサであって、 軟磁性体粉末材料による構成部材は、軟磁性体粉末材料
    を成形・熱処理してなる軟磁性圧粉体であり、 軟磁性圧粉体からなる構成部材と他の構成部材との接合
    部が複数箇所でレーザ光を照射することにより溶融接合
    されていることを特徴とするトルクセンサ。
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JP2006038767A (ja) * 2004-07-29 2006-02-09 Favess Co Ltd トルク検出装置

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