JP2002339782A - 火花点火式直噴エンジンの制御装置 - Google Patents

火花点火式直噴エンジンの制御装置

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JP2002339782A
JP2002339782A JP2001147019A JP2001147019A JP2002339782A JP 2002339782 A JP2002339782 A JP 2002339782A JP 2001147019 A JP2001147019 A JP 2001147019A JP 2001147019 A JP2001147019 A JP 2001147019A JP 2002339782 A JP2002339782 A JP 2002339782A
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combustion region
region
fuel injection
injection
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JP2001147019A
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Masayuki Tetsuno
雅之 鐵野
Tatsuo Yamauchi
健生 山内
Kiyotaka Mamiya
清孝 間宮
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Mazda Motor Corp
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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】タンブル流を利用して成層化を図る火花点火式
直噴エンジンにおいて、成層領域から均一領域への移行
時に、タンブル流の強さと燃料噴霧の貫徹力とのバラン
スが崩れることを防止し、燃焼状態を良好に保つ。 【解決手段】この種火花点火式直噴エンジンにおいて、
目標空燃比設定手段及び吸気充填量制御手段を備えると
ともに、燃料噴射制御手段を備える。燃料噴射制御手段
は、成層燃焼時噴射時期演算手段49b、均一燃焼時噴
射時期柄座手段49c及び過渡時噴射時期演算手段49
dを含み、成層燃焼領域においては燃料噴射を圧縮行程
で行わせ、成層燃焼領域から均一燃焼領域への移行時に
は、目標空燃比の変化に応じて吸気充填量が減少される
過程で、その吸気充填量の減少に伴い燃料噴射タイミン
グをリタードさせて燃料噴射終了時期から点火時期まで
の間隔を短くするように制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼室に直接燃料
を噴射する燃料噴射弁を備えるとともに、成層燃焼運転
時にタンブル流を利用して点火プラグ周りに可燃混合気
を成層化するようにした火花点火式直噴エンジンの制御
装置に関し、特に成層燃焼領域から均一燃焼領域への移
行時の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、火花点火式エンジンにおい
て、燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を設け、低
回転低負荷側の運転領域では空燃比をリーンとするとと
もに燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を噴射することによ
り点火プラグ周りに混合気を偏在させて成層燃焼を行わ
せ、これにより燃費改善を図るようにした火花点火式直
噴エンジンは種々知られている。
【0003】例えば特開2000−104550号公報
に示されたエンジンでは、燃焼室内にタンブルが生成さ
れるように吸気ポートを形成するとともに、燃焼室に直
接燃料を噴射する燃料噴射弁を設け、成層燃焼時には圧
縮行程後期にこの燃料噴射弁からタンブル流に逆行する
方向に燃料を噴射させることにより、燃料噴射弁からの
燃料噴霧がタンブル流と衝突して点火プラグ付近へ搬送
されるようにしている。
【0004】また、火花点火式直噴エンジンにおいて、
吸気充填量、燃料噴射、点火時期等の制御は、例えば特
開2000−205006号公報に示されるように行わ
れる。
【0005】すなわち、吸気充填量制御用の目標空燃比
が、成層燃焼領域では理論空燃比よりもリーンで目標負
荷及びエンジン回転数等に応じた値に、また均一燃焼領
域では成層燃焼領域よりもリッチ(例えば理論空燃比)
に設定され、その目標空燃比と目標負荷等に基づきスロ
ットル弁の開度が制御されることにより吸気充填量が制
御される。
【0006】また、燃料噴射の制御としては、噴射量等
制御用の目標空燃比に応じて燃料噴射量が制御されると
ともに、成層燃焼モードでは圧縮行程噴射、均一燃焼モ
ードでは吸気行程噴射とされ、かつ、それぞれの噴射時
期が運転状態に応じてマップから求められた値に制御さ
れる。点火時期は、目標負荷及びエンジン回転数に応じ
て予め設定されたマップから求められる基本点火時期
と、水温等に応じた各種補正量とに基づいて演算され、
さらに、成層燃焼モードから均一燃焼モードへの変更時
にはその運転モードの変更に伴うトルク変動を抑制する
ために点火時期のリタード補正が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の特開
2000−104550号公報に示されるような従来の
タンブル流を利用した火花点火式エンジンでは、成層燃
焼領域から均一燃焼領域への移行時に、燃焼状態が悪化
し易いという問題が残されていた。
【0008】すなわち、均一燃焼領域への移行直前の成
層燃焼領域においては、目標空燃比がリーンとされ、そ
れに対応して吸気充填量が比較的多くなるようにスロッ
トル開度が調整されており、かつ、このような状況下で
タンブル流の強さと燃料噴霧の貫徹力とのバランスが保
たれて成層化が良好に行われるようになっている。この
状態から均一燃焼領域(特に成層領域に近い領域)へ移
行すると、目標空燃比が成層燃焼領域と比べてリッチと
され、その目標空燃比の変化に応じて吸気充填量を減少
させるべくスロットル弁の開度が小さくされるが、吸気
充填量は応答速度が低いためにスロットル開度の変化よ
り遅れて次第に減少する。そして、このような吸気充填
量の変化の過程で、燃焼性を確保するため、実際の空燃
比が均一燃焼領域の目標空燃比に近い値になるまでは成
層燃焼状態が維持される。
【0009】ところが、吸気充填量が減少し始めると、
燃料噴射時期や燃圧が同じであっても燃焼室内圧力の減
少に伴って燃料噴霧の貫徹力が増大するため、これとタ
ンブル流の強さとのバランスが崩れ、点火次期までに燃
料噴霧が点火プラグ付近を通り過ぎて料噴射弁とは反対
側の燃焼室周辺にまで流れしまい、良好に成層化が行わ
れなくなる。このため、吸気充填量が減少し始めてから
均一燃焼に切換わるまでの期間に、燃焼状態が悪くなっ
て失火を生じ易くなり、ドライバビリティや燃費、エミ
ッション等を悪化させるおそれがあった。
【0010】本発明はこのような点に鑑み、タンブル流
を利用して成層化を図るようにしたものにおいて、成層
領域から均一領域への移行時に、タンブル流の強さと燃
料噴霧の貫徹力とのバランスが崩れることを防止し、燃
焼状態を良好に保つことができる火花点火式直噴エンジ
ンの制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、燃焼室内にタンブル流を生成するタンブル
生成手段と、タンブル流に逆行するように燃料を燃焼室
内に噴射する燃料噴射弁とを備え、エンジンの低速、低
負荷側の所定運転領域である成層燃焼領域で点火時期に
点火プラグ付近に可燃混合気を生成するように燃料噴射
弁から燃料を噴射させるようにした火花点火式直噴エン
ジンにおいて、上記成層燃焼領域では目標空燃比を理論
空燃比よりもリーンに設定し、上記成層燃焼領域以外の
運転領域である均一燃焼領域では成層燃焼領域よりも目
標空燃比をリッチに設定する目標空燃比設定手段と、上
記目標空燃比設定手段により設定される目標空燃比に応
じて吸気充填量を制御する吸気充填量制御手段と、上記
燃料噴射弁からの燃料噴射を成層燃焼領域においては圧
縮行程で行わせ、成層燃焼領域から均一燃焼領域への移
行時には、目標空燃比の変化に応じて吸気充填量制御手
段により吸気充填量が減少される過程で、その吸気充填
量の減少に伴い燃料噴射タイミングをリタードさせて燃
料噴射終了時期から点火時期までの間隔を短くする運転
領域移行時制御を行い、その後に均一燃焼領域の噴射タ
イミングに切り替える燃料噴射制御手段とを備えたこと
を特徴とするものである。
【0012】この構成によると、成層燃焼領域では、燃
料噴射弁から圧縮行程で燃料が噴射され、かつ、タンブ
ル流に逆行するように燃料が噴射されて、燃焼室内でタ
ンブル流と燃料噴霧とが衝突することにより、点火時期
に点火プラグ付近に可燃混合気が生成され、成層燃焼が
行われる。この場合にタンブル流の強さと燃料噴霧の貫
徹力とのバランスが保たれるように調整されることによ
り、成層化が良好に行われる。
【0013】この状態から均一燃焼領域へ移行すると
き、均一燃焼領域での目標空燃比とすべく、吸気充填量
は減少されるが、吸気充填量は応答速度が低くて比較的
緩慢に減少するので、吸気充填量が均一燃焼時の目標空
燃比に対応する値に充分近づくまでは成層燃焼状態が維
持される。
【0014】そして、特に吸気充填量が均一燃焼時の目
標空燃比に対応する値に充分近づくまでの過渡時には、
吸気充填量の減少による燃料噴射時の燃焼室内圧力の減
少に伴い燃料噴霧の貫徹力が過大となって、点火時期ま
でに燃料噴霧が点火プラグ付近を通りすぎてしまうとい
う傾向に対し、燃料噴射タイミングがリタードされるこ
とで燃料噴霧の貫徹力が過大になる傾向が軽減されると
ともに、燃料噴射終了時期から点火時期までの間隔が短
くされることにより、点火時期までに燃料噴霧が点火プ
ラグ付近を通りすぎてしまう傾向が是正される。これら
の作用により、過渡時にも成層化が良好に行われること
となる。
【0015】この発明において、排気ガスを吸気系に還
流させる排気還流手段と、この排気還流手段による排気
還流量を運転状態に応じて制御する排気還流制御手段と
を備えるとともに、上記燃料噴射制御手段は、均一燃焼
領域への移行直前の成層燃焼領域での排気還流量が多い
ほど上記運転領域移行時制御による燃料噴射タイミング
のリタード量を大きくするようになっていることが好ま
しい。
【0016】このようにすると、移行直前の成層燃焼領
域における排気還流量が多くて、その影響で過度時に成
層化が損なわれ易い状況にある場合でも、上記傾向が効
果的に是正されて成層化が良好に行われる。
【0017】また、上記燃料噴射制御手段は、加速度が
所定値以下の緩加速による成層燃焼領域から均一燃焼領
域への移行時に上記運転領域移行時制御を行うようにす
ればよい。あるいは、成層燃焼領域から均一燃焼領域内
の成層燃焼領域に近い運転域への移行時に上記運転領域
移行時制御を行うようにしてもよい。
【0018】つまり、緩加速による成層燃焼領域から均
一燃焼領域への移行時や、成層燃焼領域から均一燃焼領
域内の成層燃焼領域に近い運転域への移行時には、目標
空燃比の変化に伴って吸気充填量が減少するように制御
され、その吸気充填量減少の過程で成層化が損なわれ易
い状況が生じるので、このような場合に上記運転領域移
行時制御が行われることにより、成層化が良好に行われ
る。
【0019】さらに、成層燃焼領域から均一燃焼領域へ
の移行時において上記運転領域移行時制御が行われると
きに、燃料噴射タイミングのリタードよりも少ない量だ
け点火時期をリタードする点火時期制御手段を備えるこ
とが好ましい。
【0020】このようにすると、点火時期がリタードさ
れることにより、燃料が噴射されてから点火時期までの
間に燃焼室内圧力が上昇するので、吸気充填量の減少に
より燃料噴霧の貫徹力が過大になる傾向を軽減する作用
が、さらに高められる
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0022】図1は、本発明の一実施形態による火花点
火式直噴エンジンの全体的な構成を示す。この図におい
て、エンジン本体1は、複数の気筒2が配設されたシリ
ンダブロック3と、このシリンダブロック3上に配置さ
れたシリンダヘッド4とを有し、各気筒2内にはピスト
ン5が上下方向に往復動可能に嵌挿されていて、そのピ
ストン5とシリンダヘッド4との間に燃焼室6が形成さ
れている。上記ピストン5は、シリンダブロック3の下
方部に回転自在に支持されたクランク軸7に、コネクテ
ィングロッド8を介して連結されている。クランク軸7
の一端側には、クランク角(クランク軸7の回転角度)
を検出する電磁式のクランク角センサ9が配置されてい
る。
【0023】各気筒2の燃焼室6は、その天井部が中央
部分からシリンダヘッドの下端まで延びる2つの傾斜面
で構成された所謂ペントルーフ型となっている。この燃
焼室6の天井部を構成する2つの傾斜面には吸気ポート
10及び排気ポート11がそれぞれ2つずつ(図面では
1つずつのみを示す)開口し、各ポート10,11の開
口端に吸気弁12及び排気弁13が設けられている。こ
れら吸気弁12及び排気弁13は、シリンダヘッド4の
上部に軸支された2本のカム軸14等からなる動弁機構
により、それぞれ各気筒毎に所定のタイミングで開閉作
動されるようになっている。
【0024】上記燃焼室6の中央部の上方には、上記4
つの吸排気弁に取り囲まれるように点火プラグ16が配
置されており、この点火プラグ16の先端が上記天井部
から燃焼室6内に突出している。この点火プラグ16に
は点火回路17が接続され、各気筒2毎に所定のタイミ
ングで点火プラグ16に通電するようになっている。
【0025】また、燃焼室6の周縁部には、2つの吸気
ポート10に挟まれるように燃料噴射弁18が配置さ
れ、この燃料噴射弁18から燃焼室6内に直接燃料が噴
射されるようになっている。この燃料噴射弁18の基端
部には、全気筒2に共通の燃料分配管19が接続されて
いて、燃料供給系20から供給される高圧の燃料を各気
筒に分配するようになっている。なお、燃料噴射系20
は、その詳細についての図示及び説明は省略するが、燃
料分配管19と燃料タンクとの間の燃料通路に、低圧燃
料ポンプ、低圧レギュレータ、燃料フィルタ及び電動高
圧燃料ポンプ等を配設している。そして、上記電動高圧
燃料ポンプから燃料分配管19への燃料の吐出量を可変
調節することにより、燃料噴射弁18から噴射される燃
料の圧力(燃圧)を制御することができるようになって
いる。
【0026】エンジン本体1の構造を、図2の拡大断面
図を参照しつつさらに詳しく説明すると、上記吸気ポー
ト10は、燃焼室6から斜め上方に向かって直線的に延
びていて、エンジン本体1の一側面(図2で右側面)に
開口しており、2つの吸気ポート(一方は図示せず)は
互いに独立して形成されている。これらの吸気ポート1
0によりタンブル生成手段が構成され、吸気ポート10
を通って燃焼室6内に流入する吸気により燃焼室6内に
タンブル流Tが生成されるようになっている。図2のよ
うに燃焼室6の右側に吸気ポート10、左側に排気ポー
ト11が位置する断面においては反時計方向(図2中の
矢印方向)にタンブル流Tが生成される。
【0027】上記燃料噴射弁18からの燃料噴射方向は
燃焼室6内のタンブル流Tに逆行するように設定されて
いる。すなわち、図2に示す断面において燃焼室6の右
側に位置する燃料噴射弁18から斜め左下方に向けて燃
料が噴射されることにより、噴射された燃料がピストン
5の冠面上でタンブル流Tと逆行する方向に向かうよう
になっている。
【0028】また、上記ピストン5の冠面には凹部5a
が形成されている。この凹部5aは、シリンダ軸線を挟
んで左右両方に略同等に広がり、図2に示す断面におい
て底面が滑らかに湾曲し、平面視では図3に示すよう
に、凹部5aの開口が燃料噴射弁18による燃料噴射方
向(燃料噴霧の中心線の延びる方向:図3において左右
方向)を長軸、これと直交する方向を短軸とする略楕円
形状に形成されている。この凹部5aにタンブル流Tと
燃料噴霧とが互いに逆の方向から導入されることにより
凹部5a内でタンブル流Tと燃料噴霧とが正面衝突する
ようになっている。
【0029】上記凹部5aを除いたピストン5冠面の外
周側部分5bは、対向する燃焼室6天井部の傾斜面に略
平行に沿うような形状とされていて、気筒2の圧縮上死
点前の所定期間、例えばBTDC40°CA〜TDCの
期間においてピストン5冠面の外周側部分5bと燃焼室
6の天井部とにより挟まれる隙間がスキッシュエリアと
なるように構成されている。なお、TDCは上死点、B
TDCは上死点前、CAはクランク角を意味する。
【0030】また、図1に示すように、各気筒の吸気ポ
ート10に連通する吸気通路21がエンジン本体1の一
側面に接続される一方、各気筒の排気ポート11に連通
する排気通路22がエンジン本体1の他側面に接続され
ている。
【0031】上記吸気通路21は、エンジン本体1の各
気筒2の燃焼室6に対し図外のエアクリーナで濾過した
吸気を供給するものであり、その上流側から順に、吸気
量を検出するホットワイヤ式のエアフローセンサ23
と、電動式モータ25により駆動されて開閉する電気式
スロットル弁24と、サージタンク26とが配設されて
いる。また、サージタンク26よりも下流の吸気通路2
1は、各気筒2毎に分岐する独立吸気通路とされてお
り、各独立吸気通路の下流端部はさらに2つに分岐し
て、2つの吸気ポート10にそれぞれ連通している。
【0032】2つの吸気ポート10の各上流側には、燃
焼室6におけるタンブルの流速を調節するタンブル調節
弁27が配設され、このタンブル調節弁27が、例えば
ステッピングモータからなるアクチュエータ28によっ
て開閉作動されるようになっている。このタンブル調節
弁27は、円形のバタフライバルブの一部を切り欠き、
例えば弁軸より下側の部分を切り欠いて形成されてお
り、タンブル調節弁27が閉じられているときには吸気
が切欠き部分から下流側に流れて、燃焼室6に強いタン
ブル流が生成され、タンブル調節弁27が開かれるにつ
れ、タンブル流の強度が徐々に弱められるようになって
いる。
【0033】なお、吸気ポート10やタンブル調節弁2
7の形状は上述したものに限られず、例えば、吸気ポー
ト10は上流側で1つに合流する所謂コモンポートであ
ってもよい。この場合、タンブル調節弁27はコモンポ
ートの断面形状に対応する形状のものをベースとして、
その一部分を切り欠いた形状とすればよい。
【0034】一方、上記排気通路22は、燃焼室6から
既燃ガスを排出するものであり、その上流端側には各気
筒2の排気ポート11に連通する排気マニフォールド2
2aを備えている。この排気マニフォールド22aの集
合部には排気中の酸素濃度を検出するリニアO2センサ
30が配設されている。このリニアO2センサ30は排
気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出するために用い
られるもので、理論空燃比を含む所定の空燃比範囲にお
いて酸素濃度に対しリニアな出力が得られるようになっ
ている。
【0035】排気マニフォールド22aの集合部には排
気管22bの上流端が接続され、この排気管22bの下
流側には排気を浄化するための触媒31が設けられてい
る。また、排気管22bの上流側には、排気通路22を
流れる排気の一部を吸気通路21に還流させるEGR通
路33の上流端が接続されている。このEGR通路33
の下流端は上記スロットル弁24とサージタンク26と
の間の吸気通路21に接続され、EGR通路33の途中
には開度調節可能な電気式のEGR弁34が配設されて
いて、EGR通路33による排気の還流量を調節できる
ようになっている。
【0036】上記点火回路17、燃料噴射弁18、燃料
供給系20、スロットル弁24を駆動するモータ25、
タンブル調節弁27のアクチュエータ28、電気式EG
R弁34等は、エンジンコントロールユニット40(以
下、ECUという)によって制御されるようになってい
る。一方、このECU40には、上記クランク角センサ
9、エアフローセンサ23、リニアO2センサ30等か
らの信号が入力され、さらに、アクセル開度(アクセル
ペダルの操作量)を検出するアクセル開度センサ36か
らの検出信号、エンジンの回転速度を検出する回転速度
センサ37からの検出信号等も入力されるようになって
いる。
【0037】図4は上記ECU40に機能的に含まれる
手段の構成を示している。この図において,ECU40
は目標負荷設定手段41を有し、この目標負荷設定手段
41は、アクセル開度accel及びエンジン回転数neに応
じてマップ等から、要求エンジントルクに見合う仮想充
填効率を求め、この仮想充填効率からこれに対応した目
標図示平均有効圧力を求めて、これを目標負荷とする。
【0038】この場合に、所定の計算で仮想充填効率か
ら第1の目標図示平均有効圧力Piobjを求める一方、仮
想充填効率になまし処理を施し、このなまし処理後の仮
想充填効率から第2の目標図示平均有効圧力Piobjdを求
めるようになっている。
【0039】ECU40はさらに運転モード設定手段4
2を有し、この運転モード設定手段42は、目標負荷
(目標図示平均有効圧力Piobj)とエンジン回転数neと
に応じて基本的な運転モードmodsを設定する。すなわ
ち、図5に示すように、目標負荷(目標図示平均有効圧
力Piobj)が第1設定値P1より低く、かつ、エンジン
回転数neが設定回転数より低い領域(成層燃焼領域)で
は、空燃比を理論空燃比よりも大(空気過剰率λをλ>
1)としつつ成層燃焼を行なう成層燃焼モードとし、こ
の領域より高負荷側及び高回転側の領域(均一燃焼領
域)では空燃比を理論空燃比以下(λ≦1)としつつ均
一燃焼を行なう均一燃焼モードとする。なお、好ましく
は、均一燃焼領域のうち、目標負荷(目標図示平均有効
圧力Piobj)が第2設定値P2より低い大部分の領域で
は空燃比が理論空燃比とされ、アクセル全開域(目標負
荷が第2設定値P2以上の領域)等では空燃比が理論空
燃比よりもリッチ(λ<1)に設定される。
【0040】さらにECU40は、スロットル弁24で
調節される吸気量、タンブル調節弁27で調節されるタ
ンブル強度、燃料噴射弁18からの燃料噴射量及び燃料
噴射時期、点火プラグ16の点火時期等の各種制御パラ
メータの値を目標負荷及びエンジン回転数ne等に応じて
決定する。この場合、吸気量等の応答速度の低い制御パ
ラメータ(低速応答系)の制御と、燃料噴射量及び噴射
時期、点火時期等の応答速度の高い制御パラメータ(高
速応答系)の制御とのタイミングを調整するため、制御
パラメータのうちで低速応答系の制御値を決定するため
の目標負荷としては第1の目標図示平均有効圧力Piobj
が用いられ、高速応答系の制御値を決定するための目標
負荷としては第2の目標図示平均有効圧力Piobjdが用い
られる。
【0041】具体的に説明すると、吸気量制御のための
手段としては目標空燃比設定手段43及びスロットル開
度演算手段44を有している。上記目標空燃比設定手段
43は、吸気量制御用の目標空燃比afwbを、上記運転モ
ード設定手段42で設定される運転モードmods別に設定
するものであり、成層燃焼モードでは第1の目標図示平
均有効圧力Piobjとエンジン回転数neとに応じ、予め作
成されているマップから目標空燃比afwbを求め、また、
均一燃焼領域では目標空燃比afwbを理論空燃比等に設定
するようになっている。
【0042】上記スロットル開度演算手段44は、目標
負荷に対応する仮想充填効率(理論空燃比で運転される
状態を想定した目標負荷に対応する値)と目標空燃比af
wbとから目標充填効率を求め、この目標充填効率とエン
ジン回転数neとに基づいて目標スロットル開度を演算
し、それに応じた制御信号をスロットル弁駆動用のモー
タ25に出力する。
【0043】なお、吸気系に関係する制御を行う手段と
してはさらに、図示しないが、EGR制御手段及びタン
ブル制御手段を有する。EGR制御手段は、運転状態に
応じてEGR弁34を制御し、例えば、成層燃焼領域と
均一燃焼領域のうちで理論空燃比とされる領域(目標負
荷が第2設定値P2より低い領域)とではEGR弁34
を開いて排気還流を行わせ、均一燃焼領域のうちで空燃
比がリッチとされるアクセル全開域(目標負荷が設定値
P2以上の領域)ではEGR弁34を閉じる。また、タ
ンブル制御手段は、運転状態に応じてタンブルの強さを
調節すべく、運転モードmodsと目標負荷(目標図示平均
有効圧力Piobj)及びエンジン回転数neに基づいてタン
ブル調節弁27の開度を設定するようになっている。
【0044】燃料噴射弁18からの燃料噴射に関係する
手段としては、目標空燃比作成手段46及び運転モード
設定手段47を有するとともに、噴射量演算手段48、
噴射時期設定手段49及び噴射制御手段50からなる燃
料噴射制御手段を有する。
【0045】上記目標空燃比作成手段46は、燃料噴射
量等制御用の目標空燃比を求めるものであり、過渡時の
目標空燃比afw0と、定常時の目標空燃比afwbdとを求め
るとともに、これら目標空燃比afw0,afwbdのいずれか
を選択して最終的な燃料噴射量等制御用の目標空燃比af
wを決定する。
【0046】過渡時の目標空燃比afw0は、実充填効率の
下で目標負荷に対応するトルクが得られるように、実充
填効率ceと第2の目標図示平均有効圧力Piobjdとに基づ
いて求められる。上記実充填効率ceはエアフローセンサ
23の出力から求められる。一方、定常時の目標空燃比
afwbdは、成層燃焼モードでは第2の目標図示平均有効
圧力Piobjdとエンジン回転数neとに応じ、予め作成され
ているマップから求められ、均一燃焼モードでは理論空
燃比等に設定される。
【0047】そして、吸気量制御用の目標空燃比afwbと
上記目標空燃比afw0との偏差が大きくなる過渡時には、
目標空燃比afw0が最終的な目標空燃比afwとされ、上記
偏差が小さい定常時には上記目標空燃比afwbdが最終的
な目標空燃比afwとされる。
【0048】運転モード設定手段47は、高速系の制御
パラメータを決定するために用いる運転モードmodfを、
燃料噴射量制御用等の目標空燃比afwに応じて設定する
もので、上記目標空燃比afwが所定値以上のときは成層
燃焼モード、所定値より小さいときは均一燃焼モードと
する。なお、この運転モード設定手段47により設定さ
れる高速系用の運転モードmodfと運転モード設定手段4
2により設定される基本的な運転モード(低速系用の運
転モード)modsとは、定常時には一致するが、後述のよ
うに運転モードが移行する過渡時には吸気充填量の応答
遅れに起因して食い違う。
【0049】噴射量演算手段48は、エアフローセンサ
23の出力から求められた実充填効率ceと、目標空燃比
作成手段46により求められた目標空燃比afwとに基づ
いて基本噴射量を演算し、さらに各種補正値(例えばリ
ニアO2センサ30の検出値と目標空燃比との比較に基
づくフィードバック補正値等)を加味して最終噴射量を
演算し、この最終噴射量に比例した噴射パルス幅を求め
る。
【0050】噴射時期設定手段49は、燃料噴射時期を
運転モード及び運転状態等に応じて設定するもので、具
体的には図6に示すように、運転モード設定手段42,
47により設定される運転モードmods,modfを判定する
運転モード判定手段49aと、この判定手段49aによ
る判定に応じて成層燃焼時、均一燃焼時及び過渡時にそ
れぞれ噴射時期の演算を行う噴射時期演算手段49b,
49c,49dとにより構成されている。
【0051】成層燃焼時噴射時期演算手段49bは、高
速系用の運転モードmodfが成層燃焼モードのとき(ただ
し低速系用の運転モードmodsが均一燃焼モードとなる過
渡時を除く)、成層燃焼を行わせるべく噴射時期を圧縮
行程の期間内とし、かつ、目標負荷(第2の目標図示平
均有効圧力Piobjd)及びエンジン回転数neに応じてマッ
プから噴射時期を求める。また、均一燃焼時噴射時期演
算手段49cは、高速系用の運転モードmodfが均一燃焼
モードのとき、均一燃焼を行わせるべく噴射時期を吸気
行程の期間内とし、かつ、実充填効率ce及びエンジン回
転数neに基づいてマップから噴射時期を求める。
【0052】過渡時噴射時期演算手段49dは、低速系
用の運転モードmodsが均一燃焼モードで、かつ高速系用
の運転モードmodfが成層燃焼モードのとき、燃料噴射タ
イミングをリタードさせて、燃料噴射終了時期から点火
時期までの間隔を短くする運転領域移行時制御を行なう
もので、詳細は後に説明するが、目標負荷に応じて後記
インターバル量を求めるとともに、実吸気充填効率と目
標吸気充填効率との偏差及び目標EGR量に基づいて燃
料噴射終了時期のリタード量を求め、これらと点火時期
とに基づいて燃料噴射タイミングを求めるようになって
いる。
【0053】図4中の上記噴射制御手段50は、上記噴
射時期設定手段49により設定された噴射時期に、上記
噴射量演算手段48により演算された噴射パルス幅に相
当する時間だけ燃料噴射弁18を作動させるように、噴
射パルスを出力する。
【0054】点火時期を制御する手段としては、基本点
火時期及び補正量を設定する設定手段51と、過渡時補
正手段53と、点火時期演算手段52とを有する。
【0055】上記設定手段51は、運転モード設定手段
47で設定される運転モードmodf別に基本点火時期等を
設定するもので、成層燃焼モードでは目標負荷(第2の
目標図示平均有効圧力Piobjd)とエンジン回転数neとに
応じてマップから基本点火時期を求め、均一燃焼モード
では実充填量ceとエンジン回転数neとに応じてマップか
ら基本点火時期を求めるようにし、このほかに水温等に
応じた各種補正量を求める。また、上記過渡時補正手段
53は、上記過渡時に、燃料噴射タイミングのリタード
よりも少ないリタード量だけ点火時期をリタードすべ
く、燃料噴射タイミングのリタード量に応じて点火時期
リタード量を求める。
【0056】点火時期演算手段52は、上記過渡時以外
は設定手段51で設定された基本点火時期及び各種補正
量から最終的な点火時期を求め、上記過渡時には基本点
火時期及び各種補正量と上記点火時期リタード量とに基
づいて最終的な点火時期を求める。そして、最終的な点
火時期に応じて点火回路17に点火時期をコントロール
する信号を出力する。
【0057】図7は主に成層燃焼領域から均一燃焼領域
へ移行する過渡時の燃料噴射時期、点火時期等の制御を
フローチャートで示している。
【0058】このフローチャートの処理がスタートする
と、先ずステップS1で、エアフローセンサ23の出力
に基づいて実充填効率(ce)が算出され、続いてステッ
プS2で、上記目標充填効率演算手段44としての機能
により、吸気量制御用の目標空燃比(afwb)等に基づい
て目標充填効率(ceobj)が算出される。さらにステッ
プS3で、上記目標充填効率(ceobj)及び実充填効率
(ce)に基づいて充填効率偏差(ce−ceobj)が算出さ
れる。
【0059】次にステップS4で、加速度合いを示す目
標負荷の偏差(今回の目標負荷と前回の目標負荷との偏
差)が所定値以下か否かが判定される。この判定を行っ
ているのは、成層燃焼領域から均一燃焼領域へ移行する
場合でも均一燃焼領域の高負荷側まで運転状態が急変す
るような急加速時には吸気充填量が殆ど減少することが
なく、後述のステップS7〜S12の制御を要しないた
めである。
【0060】ステップS4での判定がYESの場合は、
ステップS5で、運転モード設定手段42により設定さ
れる低速系の運転モードが均一燃焼モードか否かが判定
され、この判定がYESの場合はステップS6で、運転
モード設定手段47により設定される高速系の運転モー
ドが成層燃焼モードか否かが判定される。
【0061】これらステップS4〜S6の判定がいずれ
もYESであれば、緩加速による成層燃焼領域から均一
燃焼領域への移行時であって、高速系の運転モードが均
一燃焼モードに切り換わる前の状態にある。この場合
は、主に過渡時噴射時期演算手段49b及び過渡時補正
手段55としての機能を果たすステップS7〜S12の
処理が行われる。
【0062】すなわち、先ずステップS7で、目標負荷
(目標図示平均有効圧力Piobjd)に応じ、燃料噴射終了
時期EIOから点火時期IgTまでのクランク角間隔の
基本設定量である基本インターバル量が算出される。こ
の場合、基本インターバル量は目標負荷が高くなるほど
大きくされ、このような目標負荷と基本インターバル量
との対応関係を示すデータは予めテーブルとしてECU
40内に記憶され、このテーブルからそのときの目標負
荷に応じた値が求められる。
【0063】続いてステップS8で、均一燃焼領域への
移行直前の成層燃焼領域における目標EGR量と、上記
充填効率偏差(ce−ceobj)とから、噴射終了時期リタ
ード量が算出される。この場合、上記充填効率偏差が減
少する(実充填効率が減少する)につれて噴射終了時期
リタード量が大きくされ、かつ、上記目標EGR量が大
きいほど噴射終了時期リタード量が大きくされる。
【0064】次にステップS9で、目標負荷とエンジン
回転数とに応じてマップから基本点火時期が演算され
る。さらにステップS10で、上記噴射時期リタード量
から点火時期リタード量が算出される。この場合、点火
時期リタード量は噴射時期リタード量より小さくされ、
例えば図8に実線で示すように、点火時期リタード量が
噴射時期リタード量に比例し、かつ、その比例係数が1
(図8中に破線で示すラインの傾き)よりも小さい値と
され、このような点火時期リタード量と噴射時期リター
ド量との対応関係を示すデータが予めECU40に記憶
され、このデータからそのときの噴射時期リタード量に
応じた点火時期リタード量が求められる。
【0065】そして、ステップS11で基本点火時期
(及び各種補正量)と点火時期リタード量とから最終点
火時期が算出される。さらにステップS12で、上記基
本インターバル量と噴射終了時期リタード量と最終点火
時期から最終噴射終了時期が算出される。つまり、最終
点火時期から基本インターバル量だけ進角させ、さらに
噴射終了時期リタード量だけ遅角させた時期が最終噴射
終了時期とされる。
【0066】なお、ステップS12以降の処理について
は図示を省略しているが、上記最終噴射終了時期と燃料
噴射量及び燃圧等に基づいて噴射開始時期を算出すれば
よい。また、ステップS4〜S6のいずれかでの判定が
NOの場合の処理についても図示を省略しているが、こ
れらの場合は、図6中に示す成層燃焼時噴射時期演算手
段49bまたは均一燃焼時噴射時期演算手段49cによ
り噴射時期が演算されるとともに、図4に示す基本点火
時期補正量設定手段51及び点火時期演算手段52によ
り点火時期が演算される。
【0067】以上のような当実施形態の装置によると、
低速低負荷側の成層燃焼領域では、空燃比が理論空燃比
よりもリーンとなるように吸気充填量及び燃料噴射量が
調整されつつ、圧縮行程で燃料噴射弁18から燃料が噴
射され、成層燃焼が行われる。この場合に、燃焼室6内
にタンブル流が生成されて、このタンブル流に対して逆
行するように燃料が噴射されることにより、燃焼室6内
でタンブル流と燃料噴霧とが互いに衝突し、燃料の微粒
化が促進されつつ、点火時期に点火プラグ付近に可燃混
合気が成層化される。とくに、タンブル流の調整等によ
ってタンブル流の強さと燃料噴霧の貫徹力とのバランス
が保たれることにより、点火時期に点火プラグ付近に適
度の濃度の可燃混合気が滞在する状態が得られ、良好に
成層燃焼が行われる。
【0068】また、均一燃焼領域では、成層燃焼領域よ
りもリッチな空燃比、例えば理論空燃比となるように吸
気充填量及び燃料噴射量が調整されつつ、吸気行程で燃
料噴射弁18から燃料が噴射されることにより、混合気
が燃焼室全体に均一に拡散して、均一燃焼が行われる。
【0069】緩加速によって運転状態が上記成層燃焼領
域から均一燃焼領域へ移行する過渡時には、前述の図7
のフローチャートに示す処理により燃焼性が良好に保た
れる。この作用を、図9を参照しつつ説明する。
【0070】アクセル開度が緩やかに増大する緩加速に
より目標負荷が成層燃焼領域から第1設定値P1を通過
して均一燃焼領域へ移行するような運転状態の変化(図
5中に矢印で示す変化)があったときは、吸気量制御用
の目標空燃比(afwb)がリーンから目標空燃比へ切換わ
るため、図9中に示すように均一燃焼領域に入った時点
t1で目標充填効率(ceobj)が減少し、それに対応し
てスロットル開度が小さくなるが、実際の充填効率(c
e)は応答遅れにより徐々に減少する。
【0071】そして、実際の充填効率(ce)が目標充填
効率(ceobj)に近い所定値まで減少した時点t2で高
速系の運転モードが成層燃焼モードから均一燃焼モード
へ切換わるが、上記時点t1からt2までの期間は、低
速系の運転モードが均一燃焼モード、高速系の運転モー
ドが成層燃焼モードとなる。この期間を過渡時と呼ぶ
と、この過渡時には、実際の空燃比が均一燃焼時の空燃
比よりはリーンであるために燃料噴射が圧縮行程で行わ
れて成層燃焼状態が維持されるが、吸気充填量は次第に
減少する。
【0072】この過渡時に、燃料噴射時期が成層燃焼時
と変わらなければ、吸気充填量が減少することで燃料噴
射時の燃焼室内圧力が低下し、この燃焼室圧力の低下に
伴い、燃料噴射弁18から噴射された燃料噴霧の貫徹力
(飛び易さ)が大きくなるため、タンブル流の強さと燃
料噴霧の貫徹力とのバランスが崩れ、点火時期までに燃
料噴霧が点火プラグ付近を通りすぎてしまい、点火プラ
グ付近に可燃混合気が集まりにくくなる傾向を生じる。
【0073】これに対し、当実施形態の制御装置による
と、図9中に示すように上記過渡時に噴射終了時期が遅
角されるとともに、噴射終了時期から点火時期までのイ
ンターバル量が小さくされることにより、上記傾向が是
正される。すなわち、遅角圧縮行程において圧縮上死点
に近づくほど燃焼室内圧力は上昇するので、噴射終了時
期が遅角される(圧縮上死点に近づけられる)と、その
間に燃焼室内圧力が上昇するため、吸気充填量減少分の
燃焼室内圧力の低下とそれに伴う燃料噴霧の貫徹力増大
の傾向が軽減される。さらに、上記インターバル量が小
さくされることにより、点火時期までの燃料噴霧の移動
量が小さくされて、燃料噴霧が点火プラグ付近を通りす
ぎてしまう傾向が是正される。
【0074】これらの作用により、上記過渡時にも、点
火時に可燃混合気が点火プラグ周りに集まる状態が保た
れ、良好に成層燃焼が行なわれることとなる。とくに、
実充填効率が減少して目標充填効率に近づくにつれ、上
記傾向がより顕著になるため、実充填効率が減少するに
つれて燃料噴射終了時期のリタード量が大きくされると
ともに上記インターバル量が短くされることにより、良
好な成層状態が維持される。
【0075】また、成層燃焼領域でEGR(排気還流)
が行われている場合、均一燃焼領域への移行直前のEG
R量も過渡時の吸気充填量及び燃焼状態に影響を及ぼ
し、移行直前のEGR量が多いほど過渡時に成層化が損
なわれ易くなるが、目標EGR量が多いほど燃料噴射終
了時期のリタード量が大きくされることにより、このよ
うな場合でも過渡時に成層化が良好に行われる。
【0076】さらに、当実施形態では上記過渡時に点火
時期もリタードされ、それに伴って燃料噴射終了時期が
より大きくリタードされる(圧縮上死点にさらに近づけ
られる)ので、吸気充填量減少分の燃焼室内圧力の低下
とそれに伴う燃料噴霧の貫徹力増大の傾向を軽減する作
用が高められ、しかも、点火時期のリタード量が燃料噴
射終了時期のリタード量より小さいので、上記のインタ
ーバル量が小さくされることによる作用は損なわれな
い。従って、過渡時に成層化がより一層良好に行われ
る。
【0077】なお、上記実施形態では、目標負荷の偏差
が所定値以下の緩加速で成層燃焼領域から均一燃焼領域
へ移行する過渡時に、吸気充填量の減少に伴い燃料噴射
タイミングをリタードさせて燃料噴射終了時期から点火
時期までの間隔を短くする運転領域移行時制御を行うよ
うにしているが、このような場合にほかに、成層燃焼領
域から均一燃焼領域内の成層燃焼領域に近い運転域への
移行時にも、吸気充填量が減少されるので、上記運転領
域移行時制御を行うようにしてもよい。
【0078】また、上記実施形態では、成層燃焼領域か
ら均一燃焼領域への移行時には過渡時噴射次期演算手段
により点火時期とインターバル量及び噴射終了時期リタ
ード量に基づいて燃料噴射終了時期を求めるようにし、
成層燃焼領域では目標負荷及びエンジン回転数に基づい
てマップから燃料噴射時期を求めるようにしているが、
成層燃焼領域でも燃料噴射量から点火時期までのインタ
ーバル量を目標負荷等に基づいて求め、このインターバ
ル量と点火時期とから噴射終了時期を演算により求める
ようにしてもよい。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、成層燃
焼領域でタンブル流を利用して成層燃焼を行なわせるよ
うにした火花点火式直噴エンジンにおいて、成層燃焼領
域から均一燃焼領域への移行時に、吸気充填量の減少に
伴い燃料噴射タイミングをリタードさせて燃料噴射終了
時期から点火時期までの間隔を短くする運転領域移行時
制御を行うようにしているため、成層燃焼領域から均一
燃焼領域への移行時に吸気充填量の低下により燃料噴霧
の貫徹力とタンブル流の強さとのバランスが崩れて点火
プラグ周りに可燃混合気が集まりにくくなるという傾向
を、効果的に是正することができる。従って、上記移行
時にも成層燃焼を良好に行なわせることができ、成層燃
焼による燃費改善効果やエミッションの悪化を防止する
とともに、ドライバビリティを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御装置が適用される火花点火式直噴
エンジンの全体構造の一例を示す概略図である。
【図2】エンジン本体の断面図である。
【図3】ピストンの平面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるエンジンコントロー
ルユニットの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】成層燃焼領域、均一燃焼領域などの運転領域を
設定した制御マップの一例を示す図である。
【図6】図4のブロック図の中の噴射時期設定手段の具
体的構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態による点火時期及び燃料噴射
時期等の制御を示すフローチャートである。
【図8】燃料噴射終了時期リタード量と点火時期リター
ド量との関係を示す図である。
【図9】成層燃焼領域から均一燃焼領域への移行時のス
ロットル開度、充填効率、運転モード、噴射終了時期及
び点火時期の時間的変化を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン本体 6 燃焼室 16 点火プラグ 17 点火回路 18 燃料噴射弁 40 ECU 49 噴射時期設定手段 49a 運転モード判定手段 49d 過渡時噴射時期演算手段 52 点火時期演算手段 53 過渡時補正手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/10 305 F02D 41/10 305 43/00 301 43/00 301B 301H 301J 301N 301U F02M 25/07 550 F02M 25/07 550G 550R 570 570A F02P 5/15 F02P 5/15 B (72)発明者 間宮 清孝 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G022 AA03 AA06 CA04 CA05 CA09 DA02 EA01 FA02 GA05 GA06 GA08 3G062 AA03 AA07 BA04 BA05 BA06 BA08 CA04 CA05 CA07 CA08 DA01 DA02 EA11 FA02 FA05 FA23 GA01 GA04 GA06 GA17 3G084 AA03 AA04 BA05 BA09 BA13 BA15 BA17 BA20 BA21 CA03 CA04 CA06 DA10 EA05 EA11 EB09 EB12 EB25 EC03 FA08 FA10 FA21 FA29 FA33 3G092 AA01 AA06 AA09 AA10 AA13 AA17 BA05 BA06 BA07 BB01 BB06 DC03 DC06 DC09 DE03S DG08 EA01 EA02 EA03 EA04 EA06 EA07 EA11 EB01 EB05 EC01 EC10 FA15 GA03 GA11 GA16 HA01Z HA06X HA06Z HC01X HC01Z HD05X HD05Z HE01Z HE03Z 3G301 HA01 HA04 HA06 HA09 HA10 HA13 HA16 HA17 JA21 KA08 KA09 KA12 KA16 KA23 LA03 LA05 LB04 LC03 LC04 MA01 MA11 MA19 MA20 NA01 NA06 NA08 NB03 NB13 NC04 ND02 NE01 NE06 NE11 NE12 PA01Z PA11A PA11Z PC02A PC02Z PD04Z PE01Z PF03Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室内にタンブル流を生成するタンブ
    ル生成手段と、タンブル流に逆行するように燃料を燃焼
    室内に噴射する燃料噴射弁とを備え、エンジンの低速、
    低負荷側の所定運転領域である成層燃焼領域で点火時期
    に点火プラグ付近に可燃混合気を生成するように燃料噴
    射弁から燃料を噴射させるようにした火花点火式直噴エ
    ンジンにおいて、 上記成層燃焼領域では目標空燃比を理論空燃比よりもリ
    ーンに設定し、上記成層燃焼領域以外の運転領域である
    均一燃焼領域では成層燃焼領域よりも目標空燃比をリッ
    チに設定する目標空燃比設定手段と、 上記目標空燃比設定手段により設定される目標空燃比に
    応じて吸気充填量を制御する吸気充填量制御手段と、 上記燃料噴射弁からの燃料噴射を成層燃焼領域において
    は圧縮行程で行わせ、成層燃焼領域から均一燃焼領域へ
    の移行時には、目標空燃比の変化に応じて吸気充填量制
    御手段により吸気充填量が減少される過程で、その吸気
    充填量の減少に伴い燃料噴射タイミングをリタードさせ
    て燃料噴射終了時期から点火時期までの間隔を短くする
    運転領域移行時制御を行い、その後に均一燃焼領域の噴
    射タイミングに切り替える燃料噴射制御手段とを備えた
    ことを特徴とする火花点火式直噴エンジンの制御装置。
  2. 【請求項2】 排気ガスを吸気系に還流させる排気還流
    手段と、この排気還流手段による排気還流量を運転状態
    に応じて制御する排気還流制御手段とを備えるととも
    に、上記燃料噴射制御手段は、均一燃焼領域への移行直
    前の成層燃焼領域での排気還流量が多いほど上記運転領
    域移行時制御による燃料噴射タイミングのリタード量を
    大きくするようになっていることを特徴とする請求項1
    記載の火花点火式直噴エンジンの制御装置。
  3. 【請求項3】 上記燃料噴射制御手段は、加速度が所定
    値以下の緩加速による成層燃焼領域から均一燃焼領域へ
    の移行時に上記運転領域移行時制御を行うことを特徴と
    する請求項1又は2記載の火花点火式直噴エンジンの制
    御装置。
  4. 【請求項4】 上記燃料噴射制御手段は、成層燃焼領域
    から均一燃焼領域内の成層燃焼領域に近い運転域への移
    行時に上記運転領域移行時制御を行うことを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれかに記載の火花点火式直噴エン
    ジンの制御装置。
  5. 【請求項5】 成層燃焼領域から均一燃焼領域への移行
    時において上記運転領域移行時制御が行われるときに、
    燃料噴射タイミングのリタードよりも少ない量だけ点火
    時期をリタードする点火時期制御手段を備えることを特
    徴する請求項1乃至4のいずれかに記載の火花点火式直
    噴エンジンの制御装置。
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