JP4496676B2 - ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキ装置に関するものであり、ブレーキの作動に基づいて発生させられるサーボ圧の利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許第2998522号公報には、ブレーキの作動に基づいて発生させられるサーボ圧を液圧制御装置の液圧源として利用可能なブレーキ装置が記載されている。このブレーキ装置によれば、サーボ圧を利用してマスタシリンダの液圧を倍力してブレーキシリンダに供給される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果】
本発明の課題は、ブレーキ装置において、サーボ圧の有効な利用を図ることである。上記課題は、ブレーキ装置を下記各態様の構成のものとすることによって解決される。以下、各態様を、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0004】
ブレーキ装置の各態様を、図1の例示に基づいて簡単に説明する。図1の(A)に示すように、サーボ圧が、マスタシリンダの加圧ピストンの後方液圧室に供給され、加圧ピストンに液圧助勢力を加える場合、(B)に示すように、電動式液圧シリンダの後方液圧室に供給され、加圧ピストンに電気的駆動源による電磁駆動力に加えて液圧助勢力を加える場合、(C)に示すように、ブレーキ力を電気的に制御する際に、液圧源として利用する場合、(D)に示すように、アキュムレータに蓄えられて、その蓄えられた液圧がマスタシリンダの後方液圧室、電動式液圧シリンダの後方液圧室、ブレーキシリンダに供給される場合、その他、制動トルクの検出に利用される場合等が該当する。また、これらのうちの2つ以上に利用される場合がある。なお、マスタシリンダの後方液圧室、電動式液圧シリンダの後方液圧室に供給される場合においては、ブレーキ力が、別の液圧制御装置によって制御される場合や、後方液圧室の液圧の制御によって制御される場合や、電磁駆動力等の外部駆動力の制御によって制御される場合等がある。また、アキュムレータの液圧は、上述の2つ以上に利用される場合もある。さらに、ブレーキ力の制御には、ブレーキシリンダの液圧が制御される場合や、電動ブレーキの液圧助勢力が制御される場合等がある。
また、(E)に示すように、ブレーキ装置の回路全体において、前輪側と後輪側とでサーボ圧が同様に利用される場合、前輪側と後輪側とで利用の態様が異なる場合、前輪側と後輪側とのいずれか一方の側のブレーキにおいて発生させられるサーボ圧のみが利用される場合等がある。
【0005】
以下の各項のうち、(12)項が請求項1に対応し、(9)項がそれぞれ請求項2に対応し、(13)項、(15)項がそれぞれ請求項3,4に対応する。また、(16)項は請求項5に対応し、(17)項〜(20)項、(22)項は、それぞれ、請求項6〜9,10に対応する。さらに、(24)項が請求項11に対応し、(29)項が請求項12に対応し、(30)項が請求項13に対応する。また、(35)項、(36)項が請求項14,15に対応する。
さらに、(42)項〜(44)項が請求項16〜18に対応し、(47)項、(50)項がそれぞれ請求項19,20に対応する。また、(52)項、(53)項、(54)項がそれぞれ請求項21,22,23に対応する。
さらに、(59)項が請求項24に対応し、(61)項、(63)項が請求項25,26に対応し、(69)項〜(71)項が請求項27〜29に対応する。
また、(56)項〜(58)項が請求項30〜32に対応し、さらに、(77)項、(80)項、(81)項がそれぞれ請求項33,34,35に対応する。
【0006】
(1) ブレーキ本体に保持された摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられ、車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記ブレーキ本体を前記ブレーキ回転体の近傍の車体側固定部材にブレーキ回転体の周方向に移動可能に保持するブレーキ本体保持装置と、
前記ブレーキ本体の移動に基づいて液圧を発生させる液圧発生装置と
を含むブレーキ装置。
摩擦係合部材が回転中のブレーキ回転体に押し付けられると、これらの間に摩擦力が生じ、この摩擦力により摩擦係合部材がブレーキ回転体の回転を抑制する。また、ブレーキ本体には、ブレーキ回転体の回転方向と同じ方向に連れ回り力が作用する。この連れ回り力は、摩擦係合部材がブレーキ回転体に加える摩擦力と大きさが同じで、向きが逆向きの力である。上記摩擦力は、摩擦係合部材のディスクロータへの押付力にこれらの間の摩擦係数μを掛けた大きさであって、ブレーキ回転体の接線方向(回転方向と逆向き)の力である。以下、本明細書においては、「接線方向」は「ほぼ周方向」に包含される方向の一つとする。
本項に記載のブレーキ装置においては、摩擦係合部材を保持するブレーキ本体が車体側固定部材にブレーキ回転体のほぼ周方向に相対移動可能に保持されている。そのため、ブレーキの作動によってブレーキ本体がブレーキ回転体の回転方向の連れ回り力によって、車体側固定部材に対してブレーキ回転体のほぼ周方向に相対移動させられる。このブレーキ本体の移動に基づいて液圧発生装置に液圧が発生させられるのであり、液圧発生装置の液圧は、連れ回り力、すなわち、摩擦力に応じた大きさになる。
車体側固定部材は、例えば、車輪とともには回転しないサスペンション装置の構成部材またはその構成部材に相対回転不能に取り付けられた部材とすることができる。サスペンション構成部材は、ブレーキが前輪に設けられたものである場合には、ステアリングナックルとすることができ、後輪に設けられたものである場合には、リヤアクセルハウジングとすることができる。ブレーキ回転体の近傍に位置するものを利用することが望ましい。
(2)前記ブレーキ回転体が、車輪と一体的に回転可能な概して円盤状のディスクロータであり、前記ブレーキが、前記摩擦係合部材が前記ディスクロータの板面に押付装置によって押し付けられるディスクブレーキである(1)項に記載のブレーキ装置。
摩擦係合部材がディスクロータに押し付けられることによって、これらの間に摩擦力が発生させられ、ディスクロータの回転が抑制される。
押付装置は、液圧シリンダ等を含むものであっても、電動モータや圧電素子等を含むものであってもよい。摩擦係合部材が液圧によってディスクロータに押し付けられる液圧ブレーキであっても、電力によって押し付けられる電動ブレーキであってもよいのである。また、液圧シリンダ、電動モータ等は、ディスクロータの両側にそれぞれ設けても、いずれか一方の側に設けてもよい。
ディスクブレーキにおいては、押付装置の本体(キャリパ)がブレーキ本体に対応する場合や、押付装置を保持する保持部材(マウンティングブラケット)がブレーキ本体に対応する場合がある。キャリパ固定型の場合にはキャリパをブレーキ本体とすることができ、キャリパ浮動型の場合にはキャリパを軸方向に移動可能に保持するマウンティングブラケットやトルクメンバ等がブレーキ本体とされる。
(3)前記ブレーキ回転体が、車輪と一体的に回転可能なドラムであり、前記ブレーキが、前記摩擦係合部材が前記ドラムの内周面に押付装置によって押し付けられるドラムブレーキである(1)項に記載のブレーキ装置。
ブレーキシューがバッキングプレートに固定の固定部材(アンカ)に拡開、縮径可能に保持される。ブレーキシューが押付装置によって拡開させられることによって、外周面に保持された摩擦係合部材がドラムの内周面に押し付けられ、これらの間の摩擦力によりドラムの回転が抑制される。
ドラムブレーキにおいては、ブレーキ本体としてのバッキングプレートが車体側固定部材に周方向に移動可能にブレーキ本体保持装置によって保持される。
【0007】
(4)前記液圧発生装置の本体を、車体側固定部材に少なくとも前記ブレーキ回転体のほぼ周方向に相対移動不能に保持する液圧発生装置保持装置を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
液圧発生装置の本体は、車体側固定部材にほぼ周方向に相対移動不能に保持され、ブレーキ本体は車体側固定部材にほぼ周方向に相対移動可能に保持される。したがって、ブレーキ本体がほぼ周方向に相対移動させられれば、ブレーキ本体と液圧発生装置との相対位置関係が変わる。これらが接近したり、離間したりするのであり、それによって、液圧発生装置に引張力が加えられたり、押付力が加えられたりする。液圧発生装置には、これら引張力や押付力に応じた液圧が発生させられる。また、これら引張力や押付力は、摩擦係合部材とブレーキ回転体との間の摩擦力に比例する大きさであり、液圧発生装置の液圧に基づけば、摩擦力を検出することができ、制動力を検出することができる。
なお、液圧発生装置が保持される車体側固定部材と、ブレーキ本体が保持される車体側固定部材とは同一部材であっても異なる部材であってもよい。いずれにしても、ブレーキ本体の周方向の移動によって、ブレーキ本体と液圧発生装置との相対位置関係が変わる。
(5)前記ブレーキ本体と前記液圧発生装置との間に設けられ、ブレーキ本体の移動による駆動力を液圧発生装置に伝達する駆動伝達装置を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
駆動伝達装置は、ブレーキ本体と液圧発生装置との間の連結装置を含むものとすることができる。液圧発生装置が可変容積室と容積変化部材(移動部材)とを含む場合において、ブレーキ本体と容積変化部材とが直接連結される場合や、ブレーキ本体と容積変化部材とが連結部材を介して連結される場合等がある。いずれにしても、これら連結装置の構造によって、摩擦係合部材とブレーキ回転体との間の摩擦力の大きさと液圧発生装置の液圧に応じた力の大きさとの関係(例えば、比例定数)が決まる。
例えば、ブレーキ本体の移動量ΔLと容積変化部材の移動量ΔMとが同じになる状態で連結された場合には、可変容積室の液圧による力Fpと摩擦係合部材とブレーキ回転体との間の摩擦力Fμとが同じになる。また、ブレーキ本体の移動量ΔLの容積変化部材の移動量ΔMに対する比率(伝達比:ΔL/ΔM)がγとなる状態で連結された場合には、可変容積室の液圧による力Fpの摩擦力Fμに対する比率(Fp/Fμ)がγとなる。
〔発明の実施の形態〕における場合のように、液圧発生装置としての液圧シリンダが、それの軸線が摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられる位置におけるブレーキ回転体の接線方向と平行な状態で設けられれば、上記比率が1となる。
(6)前記液圧発生装置が、作動液が液密に収容され、前記ブレーキ本体の移動に基づいて容積が変化させられる可変容積室を含む(1)ないし(5)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
可変容積室の容積が前記ブレーキ本体のほぼ周方向の移動に基づいて変化させられる。可変容積室内には、摩擦力に応じた高さの液圧が発生させられる。可変容積室を備えた液圧発生装置は、例えば、液圧シリンダとすることができる。液圧シリンダに液密かつ摺動可能に嵌合されたピストンがブレーキ本体のほぼ周方向の移動に基づいて移動させられ、その移動に伴って液圧室の容積が変化させられ、それに応じた液圧が発生させられる。また、液圧発生装置はベローズ等を含むものとすることができる。ベローズがブレーキ本体の移動に基づいて伸縮させられ、それによって、ベローズの内側の容積が変化させられ、摩擦力に応じた液圧が発生させられる。可変容積室は、ベローズの内側に設けても外側に設けてもよい。
【0008】
(7)外部から加えられる外部駆動力と、前記液圧発生装置に発生させられた液圧に基づく液圧助勢力とに基づいて作動させられる駆動部材を備えた液圧助勢アクチュエータを含み、その駆動部材の出力に基づいて、前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付ける制御・駆動装置を設けた(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、摩擦係合部材がブレーキ回転体に駆動部材の出力に基づいて押し付けられるのであるが、駆動部材には、少なくとも、外部から加えられる外部駆動力と液圧発生装置において発生させられた液圧に基づく液圧助勢力とが加えられる。液圧発生装置において発生させられたサーボ圧が利用されるのである。このように、液圧助勢力が加えられるようにすれば、駆動部材の出力が同じ場合において、液圧助勢力が加えられない場合より外部駆動力を小さくすることができる。また、外部駆動力が同じである場合には、液圧助勢力が加えられる分だけ、駆動部材の出力を大きくすることができる。
摩擦係合部材は駆動部材によって直接ブレーキ回転体に押し付けられる場合や、他の部材、作動液等を介して間接的に押し付けられる場合がある。いずれにしても、駆動部材の出力に基づいて押し付けられる。
外部駆動力は、運転者によるブレーキ操作力としたり、動力駆動源による動力によって加えられる動力駆動力としたりすることができる。動力駆動力には、電力に基づく電磁駆動力や動力によって発生させられる気圧や液圧等の流体圧に応じた流体圧駆動力等が該当する。駆動部材に動力駆動力としての外部駆動力が加えられる場合において、動力駆動力を小さくすることができれば、その分、消費エネルギを低減することができる。また、必要な動力駆動力の最大値を小さくすることができれば、動力駆動源自体を小形化することができる。
なお、制御・駆動装置は、液圧助勢力を駆動部材に加える液圧助勢装置を含むものと考えることができる。
(8)前記制御・駆動装置が、前記外部駆動力と前記液圧助勢力との少なくとも一方を制御することによって、前記押付力を制御する押付力制御装置を含む(7)項に記載のブレーキ装置。
押付力は、外部駆動力と液圧助勢力との少なくとも一方を制御することによって制御することができる。これらの両方をそれぞれ制御することも可能であるが、いずれか一方を制御する方が、制御を容易にすることができる。また、外部駆動力と液圧助勢力とのいずれか一方が主として制御され、他方が補助的に制御されるようにすることができる。例えば、制御精度が高い方、精度が容易な方が優先的に制御されるようにすることが望ましい。
(9)前記押付力制御装置が、前記液圧助勢力を、当該ブレーキ装置が搭載された車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて電気的に制御する液圧助勢力制御装置を含む(8)項に記載のブレーキ装置。
(10)前記液圧助勢力制御装置が、前記液圧助勢力の要求の程度である要求度をを取得する液圧助勢力要求度取得部を含み、その液圧助勢力要求度取得部によって取得された要求度に応じて液圧助勢力を制御する(9)項に記載のブレーキ装置。
押付力が液圧助勢力の制御により制御される。本項に記載の発明は、外部駆動力が一定の場合、運転者によるブレーキ操作力が外部駆動力として加えられる場合等、外部駆動力がブレーキ装置内では制御不能な場合等に適用すると効果的である。液圧助勢力制御装置によって液圧助勢力の大きさが制御されるのであり、液圧発生装置のサーボ圧が制御されて、利用されることになる。
ブレーキ操作状態を表すブレーキ操作状態量には、例えば、ブレーキ操作部材の操作力,操作ストローク等の操作量、操作量の変化速度,変化加速度,増加傾向にあること(例えば、1),減少傾向にあること(例えば、0)等変化状態を表す変化状態量等が該当する。
車両の状態を表す車両状態量には、例えば、車両の走行状態を表す走行状態量、車両の環境を表す走行環境量、車両自体あるいは車両の構成装置の状態を表す量が該当する。走行状態量には、車両の走行速度、車輪のスリップ状態を表すスリップ状態量、前後減速度、横減速度、ヨーレイト、前輪舵角、後輪舵角、ロールレイト等が該当し、走行環境量には、周辺の物体との相対位置関係を表す量、路面の摩擦係数等の路面状態量等が該当する。車両の構成装置には、ブレーキ装置のみならず、駆動装置、サスペンション装置、ステアリング装置等も含ませることができる。ステアリング装置には、前輪操舵装置、後輪操舵装置等が含まれる。さらに、これらブレーキ装置の構成装置である電気的駆動源、液圧発生装置等、ステアリング装置のパワーステアリング機構、ステアリングホイール等の操作部材等も構成装置であると考えることができる。これら構成装置の状態量には、これら構成装置が正常であるか(例えば、0)異常である(例えば、1)等を表す状態量、これら構成装置が作動状態にある場合の作動量等が該当する。具体的には、ブレーキ装置の構成要素である液圧発生装置のサーボ圧、ブレーキ装置の構成要素である電気的駆動源が正常であるか異常であるかを表す量、ステアリングホイールの操舵角度等がある。
これらブレーキ操作状態量や車両状態量に基づけば、摩擦係合部材のブレーキ回転体への押付力の目標値を決定したり、大きな押付力が必要であるか否か、押付力が早急に必要であるか否か等の要求状態を取得したり、液圧発生装置のサーボ圧を利用することが有効であるか否か等の情報を取得したりすることができる。例えば、ブレーキ操作量が大きい場合には小さい場合より押付力の目標値を大きくすることができる。また、操作量の増加速度が大きい場合や前方物体との接近速度が大きい場合には緊急状態であって、押付力を早急に増加させる必要があることがわかる。さらに、車輪の制動スリップ傾向が大きい場合には、大きな押付力は不要であることがわかる。また、液圧発生装置のサーボ圧が設定値以上の場合には、液圧発生装置のサーボ圧を有効に利用し得る状態であるとすることができる。さらに、外部駆動力が十分に得られない異常が生じた場合にも液圧助勢力の必要性が高くなったとすることができる。外部駆動力が動力の供給によって加えられる動力駆動力を含む場合において、動力駆動源に異常が生じた場合が該当する。例えば、マスタシリンダの加圧ピストンに運転者によるブレーキ操作力が電磁ブースタやバキュームブースタによって倍力されて加えられる場合において、電磁ブースタやバキュームブースタに異常が生じた場合等が該当する。これらの場合に液圧助勢力を大きくすれば、駆動部材の出力の低下を抑制することができる。液圧助勢力を、ブレーキ操作状態量と車両の状態量との少なくとも一方に基づいて制御することは妥当なことである。
【0009】
(11)前記押付力制御装置が、前記外部駆動力を、当該ブレーキ装置が搭載された車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて電気的に制御する外部駆動力制御装置を含む(8)項ないし(10)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
押付力が外部駆動力の制御によって制御される。本項に記載の発明は、液圧助勢力が一定の場合、制御不能な場合等に適用することが有効である。外部駆動力が動力の供給によって加えられる動力駆動力を含む場合には、供給動力を制御する供給動力制御装置を備えているのが普通であり、この供給動力制御装置によれば、外部駆動力を制御することができる。また、液圧助勢力が最大の状態で、外部駆動力の制御によって、不足分が補われるように制御されれば、外部駆動力の液圧助勢力に対する比率を小さくすることができる。さらに、サーボ圧に基づく液圧制御が行われる場合より制御精度を高くすることができる。
なお、摩擦係合部材がブレーキ回転体に前記駆動部材によって直接押し付けられるものではない場合には、制御・駆動装置が、外部駆動力や液圧助勢力の制御とは別に、押付力を制御可能なブレーキ力制御装置を含むものとすることができる。例えば、アンチロック制御時等にブレーキ力を制御するアンチロック制御装置を含むものとし、アンチロック制御装置を利用してブレーキ力が制御されるようにすることができる。
(12)前記押付力制御装置が、前記液圧助勢力の前記外部駆動力に対する比率を、当該ブレーキ装置が搭載された車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて決定する比率決定部を含む(8)項ないし(11)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
液圧助勢力の外部駆動力に対する比率(液圧助勢力/外部駆動力)を高くすれば、外部駆動力が動力駆動源から供給される動力によって加えられる力を含む場合には、消費動力の低減を図ることができる。また、外部駆動力が運転者によるブレーキ操作力を含む場合には、比率を制御することによって倍力率を制御することができる。比率は0または1とすることができる。
【0010】
(13)前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置の液圧を検出する液圧検出装置と、その液圧検出装置による検出液圧に基づいて前記ブレーキの制動トルクを取得する制動トルク取得部とを含む制動トルク検出装置を含む(7)項ないし(12)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、摩擦係合部材を保持するブレーキ本体が車体側固定部材にブレーキ回転体のほぼ周方向に相対移動可能に保持されている。そのため、ブレーキの作動によってブレーキ本体がブレーキ回転体の回転方向の連れ回り力によって、車体側固定部材に対してブレーキ回転体のほぼ周方向に相対移動させられる。このブレーキ本体の移動に基づいて液圧発生装置にサーボ圧が発生させられるのであり、液圧発生装置のサーボ圧は、連れ回り力、すなわち、摩擦力に応じた大きさになる。
ブレーキ回転体の回転を抑制する制動力は、摩擦力と大きさおよび向きが同じ力である。したがって、サーボ圧に基づけば制動力を検出することができるのであり、制動力に作用半径(摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられる位置の半径)を乗じた値が制動トルクとなる。
本項に記載の制動トルク検出装置においては、制動トルクが液圧発生装置のサーボ圧に基づいて検出される。連れ回り力を検出して、その検出された力に基づいて制動トルクが検出される場合より、制動トルクを信頼性高く検出することができる。
なお、上述のように、制動トルクは制動力に比例する値であるため、制動トルクを検出することと、制動力を検出することとは実質的に同じことであり、本発明の制動トルク検出装置には制動力検出装置が含まれるものとする。
(14)前記制御・駆動装置が、前記制動トルク検出装置によって取得された制動トルクに基づいて押付力を制御する押付力制御装置を含む(13)項に記載のブレーキ装置。
制動トルク検出装置によって検出された制動トルクに基づいて押付力を制御することは妥当なことである。
また、制動トルク検出装置によって取得された制動トルクと、液圧発生装置のサーボ圧とに基づいて前記押付力を制御することもできる。サーボ圧が検出される液圧発生装置と制動トルクが検出される液圧発生装置とは同じものであっても異なったものであってもよい。
(15)前記制御・駆動装置が、前記制動トルク検出装置によって取得された実際の制動トルクが目標制動トルクに近づくように、前記外部駆動力と液圧助勢力との少なくとも一方を制御する制動トルク対応押付力制御装置を含む(13)項または(14)項に記載のブレーキ装置。
実際の制動トルクが目標制動トルクに近づくように制御されれば、運転者の意図する制動状態に制御することができる。目標制動トルクは、目標押付力と同様に、ブレーキ操作状態量や車両状態量等に基づいて決定することができる。
【0011】
(16)前記液圧助勢アクチュエータが、前記駆動部材が液密かつ摺動可能に嵌合されたハウジングと、そのハウジング内の駆動部材後方に形成された後方液圧室とを含み、その後方液圧室の液圧に応じた液圧助勢力が駆動部材に加えられるものである(7)項ないし(15)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、後方液圧室の液圧に応じた液圧助勢力が駆動部材に加えられる。
【0012】
(17)前記制御・駆動装置が、前記後方液圧室の液圧を制御する後方液圧制御装置を含む(16)項に記載のブレーキ装置。
後方液圧室の液圧を制御することによって駆動部材に加えられる液圧助勢力を制御することができる。本項に記載のブレーキ装置においては、利用液圧が変更される。
(18)前記後方液圧制御装置が、電流の供給により作動させられる1つ以上の電磁液圧制御弁と、それら1つ以上の電磁液圧制御弁への供給電流の制御により前記後方液圧室の液圧を制御する供給電流制御部とを含む(17)項に記載のブレーキ装置。
後方液圧室の液圧は、電磁液圧制御弁の制御により制御することができる。
電磁液圧制御弁は、供給電流のON・OFFにより開閉させられる電磁開閉弁としたり、供給電流に応じて前後の差圧を制御可能なリニア液圧制御弁としたりすることができる。
【0013】
(19)前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する供給状態制御装置を含む(16)項ないし(18)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
後方液圧室に液圧発生装置からサーボ圧が供給されない場合には、駆動部材に液圧助勢力が加えられないことになる。供給状態制御装置によれば、液圧助勢力が加えられる状態と加えられない状態とに切り換えることができるのであり、サーボ圧の利用時期を変更することができる。
(20)前記供給状態制御装置が、前記液圧発生装置と前記後方液圧室との間に設けられ、液圧発生装置から後方液圧室への液圧の供給状態を制御可能な供給制御弁部と、その供給制御弁部を制御する供給弁部制御部とを含む(19)項に記載のブレーキ装置。
サーボ圧の後方液圧室への供給状態は、供給制御弁部の供給弁部制御部による制御によって制御される。供給制御弁部は、前述の後方液圧制御装置の構成要素である電磁液圧制御弁等を利用することができる。
【0014】
(21)前記供給弁部制御部が、前記車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて前記供給制御弁部を制御する(20)項に記載のブレーキ装置。
例えば、サーボ圧必要条件が満たされた場合に、サーボ圧が後方液圧室に供給されるようにすることができ、サーボ圧必要条件が満たされたか否かを車両状態量やブレーキ操作状態量に基づいて決定することができる。
(22)前記供給弁部制御部が、前記摩擦係合部材の前記ブレーキ回転体への押付力の目標押付力が設定押付力以上の場合と、前記液圧発生装置の液圧が設定圧以上の場合との少なくとも一方の場合に、前記供給制御弁部を、前記液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給を許容する供給許容状態とする設定状態以上時供給許容部を含む(20)項または(21)項に記載のブレーキ装置。
サーボ圧が必要であるか否かは、運転者によるブレーキ操作状態量や車両の状態量等に基づいて検出することができる。サーボ圧が必要な場合には、サーボ圧が供給されるようにする。また、十分なサーボ圧が発生している場合であって、有効に利用することが望ましい場合にもサーボ圧が供給されるようにすることが望ましい。
サーボ圧が十分に高い場合は、ブレーキ本体の連れ回り力が大きいのであり、大きな力でブレーキが作動させられた場合または大きなブレーキ力が必要な場合であるとみなすことができる。
(23)前記駆動部材に動力駆動源の駆動による外部駆動力が加えられ、
前記供給弁部制御部が、前記駆動部材に加えられる外部駆動力が設定値以下の場合に、前記供給制御弁部を供給状態とする(20)項ないし(22)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
外部駆動力が小さい場合に液圧助勢力が加えられれば、駆動部材の出力を低下することができる。
例えば、電磁ブースタやバキュームブースタが異常の場合には、マスタシリンダに加えられる外部駆動力が小さくなる。電気的駆動源が異常の場合には、電動式液圧シリンダの加圧ピストンや電動ブレーキの押圧ピストンへ加えられる外部駆動力が小さくなる。これらの場合に後方液圧室に液圧が供給されるようにすれば、ブレーキ力の低下を抑制することができる。
【0015】
(24)前記液圧発生装置が複数の車輪のブレーキにそれぞれ対応して設けられ、
前記供給制御弁部が、前記複数の液圧発生装置のうちの1つ以上から構成される第1群の液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する第1供給制御弁および別の1つ以上から構成される第2群の液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する第2供給制御弁を含み、前記制御弁部制御部が、これら第1供給制御弁と第2供給制御弁とを制御する(20)項ないし(23)項に記載のブレーキ装置。
第1群に属する1つ以上の液圧発生装置と第2群に属する1つ以上の液圧発生装置とは、同じ液圧発生装置を含んでも含まなくてもよい。第1群にも第2群にも属する液圧発生装置がある場合には、第1群に属するが第2群に属さない液圧発生装置と、第2群に属するが第1群に属さない液圧発生装置とがそれぞれ少なくとも1つずつあればよい。
本項に記載のブレーキ装置において、第1供給制御弁と第2供給制御弁とが制御されれば、サーボ圧の供給元が変更される。第1供給制御弁が供給許容状態とされれば、第1群に属する液圧発生装置から後方液圧室にサーボ圧が供給され、第2供給制御弁が供給許容状態とされれば、第2群に属する液圧発生装置のサーボ圧が後方液圧室に供給される。
また、液圧発生装置のサーボ圧の利用時期が変更されると考えることができる。第1群、第2群のいずれか一方に属する液圧発生装置については、サーボ圧が利用される場合と利用されない場合とが、制御弁部制御部によって変更される。制御弁部制御部は、前述のように、第1供給制御弁や第2供給制御弁を、ブレーキ操作状態量や車両状態量に基づいて切り換えられるようにすることができ、具体的には、第1群と第2群とで、液圧発生装置のサーボ圧が高い方の群の供給制御弁が供給許容状態にされるようにすることができる。
(25)前記制御・駆動装置が、前記制御弁部制御部により、前記第2供給制御弁が、前記液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給を阻止する供給阻止状態とされた状態で、前記第2群に属する液圧発生装置の液圧に基づいて前記複数の車輪の各々の制動トルクであると推定する制動トルク推定装置を含む(24)項に記載のブレーキ装置。
ブレーキにおける摩擦係合部材とブレーキ回転体との間の摩擦係数が同じであれば、車輪各々に発生する制動トルクの大きさの関係は決まり、予めわかっている。そのため、すべての車輪各々に発生させられる制動トルクを検出しなくても、一部の車輪の制動トルクと、すべての車輪の制動トルクの関係とに基づけば、すべての車輪の制動トルクをそれぞれ推定することができる。
(26)前記制御・駆動装置が、前記押付力を、前記制動トルク推定装置によって推定された制動トルクと、前記第1群に属し、第2群に属さない液圧発生装置の液圧とに基づいて制御する(24)項または(25)項に記載のブレーキ装置。
後方液圧室に連通させられた液圧発生装置の液圧に基づけば、液圧助勢力を求めることができる。制動トルクと液圧助勢力とに基づいて押付力が制御されるようにすれば、ブレーキ力を良好に制御することができる。
【0016】
(27)前記第1供給制御弁が、前記前輪の液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する前輪用供給制御弁であり、前記第2供給制御弁が、前記後輪の液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する後輪用供給制御弁であり、前記制御弁部制御部が、前記前輪用供給制御弁と後輪用供給制御弁とを制御するものである(24)項ないし(26)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、左右前輪の液圧発生装置からのサーボ圧の供給状態と左右後輪の液圧発生装置からのサーボ圧の供給状態とが共通に制御される。2つの車輪の液圧発生装置からのサーボ圧の供給状態が共通に制御されるのである。例えば、左右前輪と左右後輪とのいずれか一方の液圧発生装置のサーボ圧が供給されて、他方の液圧発生装置のサーボ圧が供給されなかったり、左右前輪および左右後輪の両方のサーボ圧が供給されたり、両方から供給されなかったりする。
なお、左右前輪と左右後輪とで供給状態が制御されるのに限らず、右側輪と左側輪とでサーボ圧の供給状態が制御されるようにしたり、対角位置にある2つの車輪の供給状態が共通に制御されるようにしたりすることもできる。また、3つ以上の車輪の液圧発生装置からのサーボ圧の供給状態が共通に制御されるようにすることもできる。
(28)前記制御・駆動装置が、前記制御弁部制御部により、前記後輪用供給制御弁が供給阻止状態とされ、かつ、前記前輪用供給制御弁が供給許容状態とされた状態で、前記後輪の液圧発生装置の液圧に基づいて前輪および後輪の制動トルクを推定する後輪対応制動トルク推定装置を含む(27)項に記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、液圧発生装置のサーボ圧が同時に2つの異なる態様で利用される。制動トルクの検出に利用される一方、液圧助勢力を加えるのに利用されるのである。
(29)前記制御・駆動装置が、前記後輪対応制動トルク推定部によって推定された制動トルクと、前記前輪の液圧発生装置の液圧とに基づいて前記摩擦係合部材のブレーキ回転体への押し付け力を制御する制動トルク対応押付力制御装置を含む(28)項に記載のブレーキ装置。
(30)前記制御弁部制御部が、前記前輪と後輪との少なくとも一方の液圧発生装置の液圧が設定値以上の場合に、前記前輪用供給制御弁を供給許容状態とし、前記後輪用供給制御弁を供給阻止状態とする(27)項ないし(29)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
摩擦係合部材とブレーキ回転体との間の摩擦係数が一定であれば、押付力が大きくなるとサーボ圧が高くなる。そして、前輪の方が後輪より大きな押付力が出力される。そのため、液圧発生装置のサーボ圧が設定値以上の場合には、供給元の液圧発生装置を前輪の液圧発生装置とすれば、高いサーボ圧を供給することができ、供給先の要求を速やかに満たすことができる。この場合には、後輪のサーボ圧に基づいて制動トルクが検出されることになる。
なお、サーボ圧の大きさには関係なく、後輪の液圧発生装置のサーボ圧に基づいて制動トルクが検出されるようにすることもできる。後輪と前輪とでは、後輪の方が熱の発生が小さく、フェードが生じ難い。そのため、液圧発生装置のサーボ圧に基づいて制動トルクを検出するのには適しているのである。
(31)前記制御・駆動装置が、前記制御弁部制御部により、前記後輪用供給制御弁が供給許容状態とされ、かつ、前記前輪用供給制御弁が供給阻止状態とされた状態で、前記前輪の液圧発生装置の液圧に基づいて前輪および後輪の制動トルクを推定する前輪対応制動トルク推定装置を含む(27)項に記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、前輪の制動トルクと後輪のサーボ圧とに基づいて押付力が制御されるようにすることができる。
なお、(30)項に記載のブレーキ装置における場合とは逆に、サーボ圧が設定値以下の場合に、前輪のサーボ圧が供給されて、後輪のサーボ圧に基づいて制動トルクが検出され、サーボ圧が設定値以上になった場合に、逆に、前輪のサーボ圧に基づいて制動トルクが検出され、後輪のサーボ圧が供給されるようにすることができる。
【0017】
(32)前記液圧発生装置が複数の車輪のブレーキにそれぞれ対応して複数設けられ、
当該ブレーキ装置が、これら複数の液圧発生装置から選択された1つ以上から前記後方液圧室に液圧が供給される供給状態制御装置を含む(24)項ないし(31)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、供給状態制御装置によって選択された液圧発生装置から後方液圧室にサーボ圧が供給される。供給状態制御装置は、複数の液圧発生装置から供給元の液圧発生装置を1つ以上選択する供給元選択装置と、その供給元選択装置によって選択された供給元の液圧発生装置からサーボ圧の後方液圧室への供給を許容する供給許容装置とを含むものとすることができる。供給元の液圧発生装置は、車両状態量やブレーキ操作状態量に基づいて選択することができる。後方液圧室にサーボ圧を供給する供給元の液圧発生装置は、1つであっても、2つ以上であってもよく、すべての液圧発生装置が選択されることがあってもよい。
(33)前記供給状態制御装置が、複数の液圧発生装置から車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて供給元の1つ以上の液圧発生装置を選択する供給元選択部を含む(32)項に記載のブレーキ装置。
【0018】
(34)前記制御・駆動装置が、液圧助勢アクチュエータを複数含み、
これら液圧助勢アクチュエータそれぞれの駆動部材が、外部駆動力と前記後方液圧室の液圧に応じた液圧助勢力とに基づいて作動させられるものである(16)項ないし(32)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
液圧助勢アクチュエータは、電動式液圧シリンダとしたり、電動ブレーキの電動押付装置としたり、マスタシリンダとしたりすることができる。
(35)前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置からこれら複数の液圧助勢アクチュエータのそれぞれの後方液圧室へ向かう作動液の流量を制御する流量制御装置を含む(34)項に記載のブレーキ装置。
(36)前記流量比率制御装置が、車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて、前記比率を決定する比率決定部を含む(35)項に記載のブレーキ装置。
(37)前記制御・駆動装置に含まれる液圧助勢アクチュエータが2つであり、前記比率決定部が、前記ブレーキ操作状態量と車両状態量との少なくとも一方に基づいて前記比率を0または1に決定する(36)項に記載のブレーキ装置。
比率が0または1にされた場合には、2つの液圧助勢アクチュエータのうちの一方にサーボ圧が供給され、他方に供給されない状態にされる。この場合には、押付力の制御が簡単になる。また、制御が単純になるため、運転者によるブレーキフィーリングの低下を抑制することが可能となる場合もある。
(38)前記制御・駆動装置が、前記複数の液圧助勢アクチュエータの後方液圧室の液圧をそれぞれ制御する個別後方液圧制御装置を含む(34)項ないし(37)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、複数の液圧助勢アクチュエータのそれぞれの後方液圧室の液圧を個別に制御することができる。
また、複数の液圧助勢アクチュエータの後方液圧室の液圧が個別に制御されれば、複数の液圧助勢アクチュエータの駆動部材に加えられる液圧助勢力の比率を制御することができる。
(39)前記制御・駆動装置が、前記複数の液圧助勢アクチュエータのうちの選択された供給先に前記液圧発生装置から液圧を供給する供給先選択・供給装置を含む(34)項ないし(38)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
供給先選択・供給装置は、複数の液圧助勢アクチュエータから供給先の液圧助勢アクチュエータを選択する液圧助勢アクチュエータ選択部と、その液圧助勢アクチュエータ選択部によって選択された液圧助勢アクチュエータに液圧の供給を許容する液圧供給許容装置とを含むものであると考えることができる。例えば、複数の液圧助勢アクチュエータのうちで異常が検出されたものがある場合には、その異常が検出された液圧助勢アクチュエータを除く液圧助勢アクチュエータの少なくとも1つに液圧が供給されるようにすることができる。異常が検出された液圧助勢アクチュエータにサーボ圧を供給しても十分な効果が得られないからである。
【0019】
(40)前記液圧助勢アクチュエータが、前記駆動部材の後方に設けられ、前記外部駆動力を駆動部材に軸方向の力として加える入力部材を含む(7)項ないし(39)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
入力部材は、駆動部材と一体的に設けられたものであっても、別体として設けられた別部材であってもよい。別部材の場合には、駆動部材に外部駆動力を伝達可能な状態で設けられればよく、連結されても、単に当接させられてもよい。
(41)前記入力部材が、前記駆動部材の前記後方液圧室と同じ側に設けられた(40)項に記載のブレーキ装置。
入力部材は、例えば、後方液圧室を貫通する状態で設けられる。駆動部材には、外部駆動力と液圧助勢力とが、駆動部材を前進させる方向に加えられる。入力部材は駆動部材と同軸に設けることができる。
【0020】
(42)前記制御・駆動装置が、(a)液圧により前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付けるブレーキシリンダと、(b)ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、前記外部駆動力が加えられる加圧ピストンと、その加圧ピストンの後方に設けられ、前記液圧発生装置に接続された後方液圧室と、前記加圧ピストンの前方に設けられた加圧室とを含み、その前方の加圧室の液圧を前記ブレーキシリンダに供給可能な液圧シリンダとを含み、その液圧シリンダが前記液圧助勢アクチュエータとして機能し、前記加圧ピストンが前記駆動部材として機能する(7)項ないし(41)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
加圧ピストンには外部駆動力と液圧助勢力とが加えられ、これらの和に応じた高さの液圧が前方の加圧室に発生させられる。前方の加圧室の液圧はブレーキシリンダに供給されて、ブレーキが作動させられる。
(43)前記液圧シリンダに含まれる前記加圧ピストンがブレーキ操作部材に連携させられ、運転者によるブレーキ操作力に応じた力が前記外部駆動力として、前記後方液圧室の液圧に応じた力が液圧助勢力として加えられ、その液圧シリンダがマスタシリンダを構成している(42)項に記載のブレーキ装置。
液圧シリンダは、例えば、マスタシリンダとすることができる。マスタシリンダにおいては、加圧ピストンの後方に後方液圧室が設けられ、サーボ圧が供給される。後方液圧室の液圧に応じた液圧助勢力が加えられる。
(44)前記制御・駆動装置が、(c)電動式駆動源を含み、その電動式駆動源により前記マスタシリンダの加圧ピストンに電磁助勢力を加える電磁ブースタと、(d)前記マスタシリンダの加圧ピストンに第1室と第2室との差圧に基づく負圧助勢力を加えるバキュームブースタとの少なくとも一方を含む(43)項に記載のブレーキ装置。
電磁ブースタやバキュームブースタを設ければ、加圧ピストンに加えられる外部駆動力を大きくすることができる。この場合には、運転者によるブレーキ操作力と電磁助勢力と負圧助勢力とのいずれか一方との和がブレーキ操作力に応じた力に対応し、外部駆動力に対応する。
(45)前記制御・駆動装置が、前記後方液圧室の液圧に基づく液圧助勢力の前記電磁ブースタによる電磁助勢力とバキュームブースタによる負圧助勢力との少なくとも一方に対する比率を制御する比率制御部を含む(44)項に記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、マスタシリンダに複数の助勢力が加えられる。この場合において、液圧助勢力の電磁助勢力や負圧助勢力に対する比率が制御される。液圧助勢力の比率が大きくされれば、電磁助勢力を小さくすることができ、倍力率が同じである場合に要する動力源の動力を少なくすることができる。比率は、車両状態量とブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて決定することができる。
【0021】
(46)前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置と前記マスタシリンダの後方液圧室との間に設けられた供給制御弁部と、前記電磁ブースタの電気駆動装置とバキュームブースタとの少なくとも一方に異常が生じた場合に、前記供給制御弁部を、前記液圧発生装置から前記マスタシリンダの後方液圧室への液圧の供給を許容する供給許容状態とするブースタ異常時供給許容部を含む(44)項または(45)項に記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、電磁ブースタやバキュームブースタの異常時にも液圧助勢力を加えることができるため、マスタシリンダの加圧室の液圧の低下を抑制することができる。
【0022】
(47)前記制御・駆動装置が、電気的駆動源を含み、前記液圧シリンダに含まれる前記加圧ピストンがその電気的駆動源の出力部材に連携させられ、その電気的駆動源による駆動力を前記外部駆動力として、また、前記後方液圧室の液圧に応じた力を液圧助勢力として受け、前記液圧シリンダが電動式液圧シリンダを構成している(42)項ないし(46)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
電動式液圧シリンダによれば、運転者によるブレーキ操作状態とは関係なく、例えば、ブレーキ操作部材が操作されていなくても、ブレーキシリンダに液圧を供給することができる。
(48)前記電気的駆動源が電動モータであり、前記制御・駆動装置が、前記電動モータの出力軸の回転を軸方向の移動に変換して、前記加圧ピストンに加える駆動伝達装置を含む(47)項に記載のブレーキ装置。
駆動伝達装置は、ボールねじ機構を含むものとすることができる。ボールねじ機構は、逆効率が高いものであるため、電動モータが非作動状態にあっても、後方液圧室の液圧に基づく液圧助勢力によって加圧ピストンを前進させることができる。
(49)前記制御・駆動装置が、前記電動式液圧シリンダにおける後方液圧室からの作動液を、ブレーキ液圧を保持する場合に阻止する流出阻止弁を含む(47)項または(48)項に記載のブレーキ装置。
後方液圧室からの作動液の流出が阻止されれば、加圧ピストンの後退が阻止される。そのため、電動モータに電流を供給しなくても、加圧ピストンの前方のk加圧室の液圧を保持することができる。
(50)前記制御・駆動装置が、(a)液圧により前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付けるブレーキシリンダと、(b)ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、運転者によるブレーキ操作力が外部駆動力として加えられる加圧ピストンと、その加圧ピストンの前方に設けられた加圧室とを含み、その前方の加圧室の液圧を前記ブレーキシリンダに供給可能なマスタシリンダと、(c)これらマスタシリンダとブレーキシリンダとの間に設けられ、これらを連通させる連通状態と、これらを遮断する遮断状態とに切り換え可能な遮断弁とを含み、前記電動式液圧シリンダが、前記マスタシリンダとブレーキシリンダとの間の前記遮断弁よりブレーキシリンダ側に設けられた(47)項ないし(49)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、ブレーキシリンダがマスタシリンダから遮断された状態で、ブレーキシリンダの液圧が電動式液圧シリンダの制御により制御される。
(51)前記制動・駆動装置が、前記電動モータを、前記遮断弁の遮断状態において制御する電動モータ制御部を含む(50)項に記載のブレーキ装置。
(52)前記制御・駆動装置が、前記電動式液圧シリンダの電気的駆動源への供給電力と前記後方液圧室の液圧との少なくとも一方を制御することによって、前記ブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を含む(47)項ないし(51)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
後方液圧室の液圧が決まっている場合、後方液圧室の液圧を制御不能な場合等には電気的駆動源への供給電力を制御することによってブレーキシリンダの液圧が制御されるようにすることが妥当である。また、電気的駆動源による電磁駆動力が一定の場合や制御不能な場合等には、後方液圧室の液圧を制御することが妥当である。例えば、前記後方液圧室と液圧発生装置との連通状態で、電気的駆動源が制御されるようにすることができる。換言すれば、液圧助勢力では不足な場合に電気的駆動源を作動させればよいのであり、供給動力を低減させることができる。
(53)前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置と前記電動式液圧シリンダの後方液圧室との間に設けられた供給制御弁部と、前記電動式液圧シリンダの電気的駆動源に異常が生じた場合に、前記供給制御弁部を、前記液圧発生装置から後方液圧室への液圧の供給を許容する供給許容状態とする異常時供給制御部とを含む(47)項ないし(52)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
電気的駆動源の異常時には加圧ピストンに電磁駆動力を付与することができない。そのため、加圧ピストンの前方の加圧室に十分な液圧を発生させることができない。この場合に、後方液圧室にサーボ圧を供給すれば、加圧ピストンに液圧助勢力を加えることができるため、加圧室の液圧の低下を抑制することができる。
【0023】
(54)前記制御・駆動装置が、電気的駆動源と、その電気的駆動源により加えられる電磁駆動力により作動させられ、前記摩擦係合部材に対向して設けられた押圧ピストンと、その押圧ピストンの後方に設けられ、前記液圧発生装置に接続された後方液圧室とを備え、その押圧ピストンにより、前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に直接押し付ける電動式押付装置を含み、その電動式押付装置が前記液圧助勢アクチュエータとして、また、前記押圧ピストンが前記駆動部材として機能する(7)項ないし(53)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、ブレーキが電動ブレーキであり、電動ブレーキの押圧部材に液圧助勢力が加えられる。液圧助勢力が加えられる分だけ、電気的駆動源による電磁駆動力を小さくすることができ、消費電力の低減を図ることができる。
本項に記載のブレーキ装置においては、電気的駆動源への供給電力と後方液圧室の液圧との少なくとも一方を制御することによって、摩擦係合部材のブレーキ回転体への押圧力を制御することができる。
【0024】
(55)前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置と前記電気押付装置の後方液圧室との間に設けられた供給制御弁と、前記電気的駆動源に異常が生じた場合に、前記供給制御弁部を、前記液圧発生装置から後方液圧室への液圧の供給を許容する供給許容状態とする電気的駆動源異常時供給許容部とを含む(54)項に記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、電気的駆動源の異常時にも液圧助勢力を加えることができるため、電動ブレーキによる押付力の低下を抑制することができる。その他、液圧助勢力が必要な場合に後方液圧室にサーボ圧が供給されるようにすることができる。
【0025】
(56)前記ブレーキが、液圧により前記摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付けることにより前記車輪の回転を抑制するブレーキシリンダを含み、
当該ブレーキ装置に、前記液圧発生装置を液圧源として、前記ブレーキシリンダの液圧を電気的に制御する電気的液圧制御部を設けた(1)項ないし(55)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、ブレーキシリンダの液圧が、液圧発生装置のサーボ圧を利用して電気的液圧制御部によって制御される。液圧発生装置の利用液圧が制御されるのである。
液圧発生装置のサーボ圧がブレーキシリンダの液圧の制御に直接利用される。
(57)当該ブレーキ装置が、
ブレーキ操作部材に連携させられた加圧ピストンを含み、加圧ピストンの前方の加圧室の作動液を前記ブレーキシリンダに供給可能なマスタシリンダと、
前記マスタシリンダと前記ブレーキシリンダとの間に、これらを連通させる連通状態と、これらを遮断する遮断状態とに切り換え可能な遮断弁とを含み、
前記電気的液圧制御装置が、これらマスタシリンダとブレーキシリンダとの間の、前記遮断弁よりブレーキシリンダ側に設けられた(56)項に記載のブレーキ装置。
(58)前記ブレーキが、液圧により前記摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付けることにより前記車輪の回転を抑制するブレーキシリンダを含み、
当該ブレーキ装置に、前記液圧発生装置から前記ブレーキシリンダへの液圧の供給状態を電気的に制御する供給状態制御装置を設けた(1)項ないし(57)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、供給状態制御装置の電気的な制御により、液圧発生装置のサーボ圧がブレーキシリンダに供給されたり、供給されなかったりすることができる。例えば、ブレーキシリンダにサーボ圧が必要な場合に供給され、不要な場合に供給されないようにすることができる。また、供給状態制御装置は、ブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御装置と共通の制御弁部を含むものとすることができる。
さらに、ブレーキ装置にブレーキシリンダが複数ある場合には、複数のブレーキシリンダと液圧発生装置との間の供給状態が制御されるようにすることができる。この場合に、複数のブレーキシリンダに対して同様に供給されるようにすることは不可欠ではなく、複数のブレーキシリンダのうちの1つ以上に供給され、他の1つ以上に供給されないようにすることもできる。また、実施形態において説明するように、それぞれブレーキシリンダが接続された2つの液圧室を同じ高さに制御する浮動ピストンを含む伝達シリンダの一方の液圧室に供給されるようにすることができる。このようにすれば、液圧発生装置の液圧に基づいて、他方の液圧室に接続されたブレーキシリンダの液圧と一方の液圧室に接続されたブレーキシリンダの液圧とを同じ高さに制御することができる。
【0026】
(59)作動液を加圧した状態で蓄えるアキュムレータと、
そのアキュムレータに前記液圧発生装置の作動液を導く作動液通路と
を含む(1)項ないし(58)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、液圧発生装置のサーボ圧がアキュムレータに蓄えられる。また、アキュムレータに蓄えられた液圧は、アクチュエータの作動に利用することができる。アクチュエータの作動に利用すれば、アクチュエータの作動力を大きくしたり、早急に作動させたりすることができるのであり、応答性を向上させることができる。アクチュエータが動力駆動源による動力駆動力によって作動させられるものである場合には、動力駆動源の容量を小さくすることができるため、小形化を図ることができ、コストダウンを図ることができる。
本項に記載のブレーキ装置においては、液圧発生装置の液圧が間接的にアクチュエータの作動に利用されることになる。一端、アキュムレータに蓄えられた後に利用されるのであり、液圧発生装置のサーボ圧が低くても、または、サーボ圧が発生していなくても、アクチュエータにおける液圧の要求に応じてアキュムレータに蓄えられた液圧を利用することができる。例えば、ブレーキ操作初期にアキュムレータからブレーキシリンダに液圧が供給されるようにすれば、ブレーキ液圧を早急に増圧させることができ、効き遅れを小さくすることができる。また、ブレーキ装置の電気系統の異常等により、ブレーキ液圧を十分に高くすることができなくなった場合等にアキュムレータから液圧が供給されるようにすることは有効である。
アキュムレータに蓄えられる時期と、アキュムレータの液圧が供給される時期とが異なることが多く、その場合には、利用の用途と利用の時期とが異なることになる。例えば、車両が坂道に停止している状態においては、重力により車輪を回転させようとするトルクが加えられるため、制動トルクが生じ、液圧発生装置に液圧が発生させられる。その液圧発生装置に発生させられた液圧をアキュムレータに蓄えることは有効である。
(60)さらに、前記作動液通路に、前記液圧発生装置から前記アキュムレータへの作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁を設けた(59)項に記載のブレーキ装置。
逆止弁によれば、液圧発生装置のサーボ圧がアキュムレータ圧より高い場合に、液圧発生装置のサーボ圧をアキュムレータに蓄えることができる。また、アキュムレータの液圧の不要な低下を抑制することができる。このように、逆止弁を蓄圧状態制御弁と称することができる。
本項に記載のブレーキ装置には、アキュムレータ圧が過大になることを防止する、過大液圧防止装置を設けることが望ましい。本ブレーキ装置においては、液圧発生装置のサーボ圧がアキュムレータ圧より高い間、サーボ圧がアキュムレータに供給され続け、アキュムレータの液圧が過大になるおそれがある。それに対して過大液圧防止装置を設ければ、サーボ圧が供給され続けることを防止し、アキュムレータ圧が過大になることを回避することができる。過大液圧防止装置は、例えば、アキュムレータにおいて、液圧室と高圧ガス室とを仕切る仕切部材の移動限度を規定する移動限度規定部材を含むものとしたり、逆止弁と直列に設けられた電磁開閉弁を含むものとしたりすることができる。アキュムレータ圧が設定値以上になった場合に電磁開閉弁を閉状態とすれば、液圧発生装置の液圧がアキュムレータに供給されることを阻止することができる。
なお、アキュムレータと供給先の装置との間に供給制御弁を設けることが望ましい。アキュムレータの液圧を供給先の装置に供給する場合に開状態に切り換えられるようにすれば、必要に応じて液圧を供給することができ、アキュムレータ圧の無駄な消費を抑制することができる。
【0027】
(61)前記液圧発生装置において発生させられた液圧の利用の態様を変更可能な発生液圧利用装置を含む(1)項ないし(60)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、液圧発生装置において発生させられた液圧の利用の態様が変更可能である。サーボ圧の利用の態様の変更には、例えば、サーボ圧の用途の変更、利用のための供給先の装置の変更、利用時期の変更、サーボ圧の供給元の変更、利用されるサーボ圧の高さの変更等が該当する。
利用の用途には、アクチュエータの作動のための利用、制動トルクの検出のための利用等が該当し、これら用途が変更される。液圧によって作動させられるアクチュエータは複数あるのが普通であり、これらサーボ圧の供給先のアクチュエータの変更も用途の変更に該当する。なお、用途の変更と供給先の装置の変更とは、同じ場合と異なる場合とがある。例えば、サーボ圧が制動トルクの検出に利用される場合には、液圧発生装置のサーボ圧がいずれの装置にも供給されない状態にされることが多い。この場合には、サーボ圧が装置に供給されることによって利用されるのではない。したがって、サーボ圧がアクチュエータの作動に利用される場合と制動トルクの検出のために利用される場合とでは、供給先の装置が変更されたことにはならない。また、サーボ圧がアキュムレータに供給される場合において、アキュムレータへの供給がサーボ圧の利用であると考えることもサーボ圧の利用でないと考えることも可能である。アキュムレータに供給したことはサーボ圧の利用ではなく、そのアキュムレータの液圧がアクチュエータ等に供給されて初めて利用されたと考える場合には、サーボ圧がアキュムレータに供給される場合とアクチュエータに供給される場合とでは、供給先の装置は変更されたが、利用の用途が変更されたということはできない。それに対して、ポンプ装置に代わって液圧発生装置の液圧がアキュムレータへ供給されることによってアキュムレータに液圧が蓄えられることになるため、アキュムレータへの供給も液圧発生装置のサーボ圧の利用の一態様であると考える場合には、アキュムレータへの供給とアクチュエータへの供給とで、供給先の装置が変更され、かつ、利用の用途が変更されることになる。このように、供給先の装置が変更されることと、利用の用途が変更されることとは同じとは限らないのである。
なお、アクチュエータには、ブレーキ装置に含まれる前述のマスタシリンダ、ブレーキシリンダ、電動式液圧シリンダ、電動ブレーキ等が該当するが、これらの他に、例えば、ステアリング装置のパワステアリング装置、サスペンション装置の車高調節装置、ショックアブソーバ等も含ませることができる。
利用時期は、供給先の状態に基づいて決まる場合や供給元の状態に基づいて決まる場合等がある。例えば、供給先の装置において、予め定められた条件が満たされた場合(例えば、アクチュエータを早急に作動させる要求がある場合、アクチュエータを大きな力で作動させる要求がある場合)等に利用され、それ以外の場合は利用されないようにしたり、供給元の液圧発生装置のサーボ圧が設定値以上の場合に利用され、設定値以下の場合に利用されないようにしたりすることができる。
供給元の変更には、例えば、液圧発生装置が複数ある場合に、複数の液圧発生装置のうちの一からの供給と別の一からの供給との変更、すべての液圧発生装置からの供給とそのうちの一部からの供給との変更等が該当する。供給元の液圧発生装置のグループが異なればよいのであり、いずれのグループにも属する共通の液圧発生装置があってもよい。また、ブレーキ装置がアキュムレータを含み、そのアキュムレータに液圧発生装置の液圧が蓄えられている場合において、アキュムレータからの供給と液圧発生装置からの供給との変更も供給先の変更に該当する。アキュムレータの液圧の方が液圧発生装置の液圧より高い場合には、アキュムレータから液圧が供給される方が望ましい。例えば、ブレーキ操作初期等には、アキュムレータ圧の方が高いのが普通である。
供給液圧は、供給先において決められた要求液圧(液圧の高さ)に応じて代わることが多い。供給先の装置の液圧を変更することと、供給液圧を変更することとは同じであると考えることができる。
なお、液圧発生装置の液圧の利用の態様は、上述のうちの1つの態様に限らず、2つ以上の態様を組み合わせた態様で変更されるようにすることもできる。
(62)前記発生液圧利用装置が、液圧の利用の態様を、運転者による操作部材の操作状態を表す操作状態量と車両の状態を表す車両状態量との少なくとも一方に基づいて変更する利用態様変更部を含む(61)項に記載のブレーキ装置。
これらによれば、サーボ圧を供給することの要求度、緊急度、有効性等がわかり、これらに基づいて利用の態様を決定することは望ましいことである。なお、運転者による操作部材には、ブレーキ操作部材に限らず、ステアリングホイール等を含ませることができる。また、これら利用の態様の変更は、供給元の都合に基づいて決定しても供給先の都合に基づいて決定してもよい。
(63)前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置の液圧の利用の時期、液圧の供給先、供給元、供給液圧の少なくとも1つを変更する利用態様変更部を含む(61)項または(62)項に記載のブレーキ装置。
液圧発生装置の液圧の供給時期、供給先、供給元、供給液圧を変更する態様は、「液圧の供給状態の変更」と称することができ、利用態様変更部を供給状態変更部と考えることができる。
【0028】
(64)前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置の液圧を受け入れ可能な複数の装置各々における液圧の必要性を取得する必要性取得部と、その必要性取得部によって取得された複数の装置における液圧の必要性に基づいて、複数の装置から1つ以上の供給先の装置を決定する供給先決定部と、その供給先決定部によって決定された1つ以上の供給先の装置に液圧発生装置の液圧を供給する液圧供給部とを含む(61)項ないし(63)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、供給先決定部によって決定された供給先の装置に液圧が供給される。供給先決定部によって決定される供給先の装置は常に同じであるわけではないため、決定された装置にサーボ圧が供給されるようにすれば、供給先の装置が変更されることになる。
供給先の装置は、供給先の都合で決められることが望ましい。例えば、複数の装置のうち、液圧の必要性(要求)が最も高い装置としたり、必要性の高さが設定レベル以上の1つ以上の装置としたり、必要が有るとされた装置としたりすることができる。供給先の装置は、複数の装置における液圧の必要性に基づいて相対的に決定しても、絶対的な必要性の高さに基づいて決定してもよい。決定される供給先の装置は1つであっても2つ以上であってもよい。
装置における液圧の必要性は、例えば、アクチュエータを作動させるのに要求される作動力の大きさまたはその大きさに基づいて決まる必要性のレベルで表すことができる。必要性のレベルは、必要な作動力が大きいほど高くすることができる。また、アクチュエータを作動させる緊急度は、運転者によるブレーキ操作部材の操作速度や前方物体との接近状態等に基づいて取得することができるが、緊急度が高い場合に必要性のレベルが高いとすることができる。
(65)前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置の液圧を受け入れ可能な予め定められた装置に供給する時期を決定する供給時期決定部と、その供給時期決定部によって決定された供給時期に、前記液圧発生装置から液圧を供給し、それ以外の場合は供給しない液圧供給部とを含む(61)項ないし(64)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
サーボ圧を供給する時期は、供給先の装置における液圧の必要性と、サーボ圧を供給することの有効性との少なくとも一方に基づいて決定することができる。
(66)前記液圧発生装置が複数の車輪のブレーキにそれぞれ設けられ、前記発生液圧利用装置が、前記液圧の供給元の液圧発生装置を1つ以上決定する供給元決定部と、その供給元決定部によって決定された液圧発生装置から液圧を供給する液圧供給部とを含む(61)項ないし(65)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
供給元決定部は、例えば、供給元を、供給可能なサーボ圧が最大の液圧発生装置としたり、設定値以上の液圧発生装置としたり、供給可能なサーボ圧が高い方から2つ以上の液圧発生装置としたりすることができる。また、安定してサーボ圧を供給可能な液圧発生装置としたりすることができる。いずれにしても、液圧発生装置の状態(例えば、サーボ圧)に基づいて供給元が決定されるようにすることが望ましい。
(67)前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置の液圧の供給先に、前記運転者による操作部材の操作状態と車両の状態との少なくとも一方に基づいて決まる高さに制御して供給する供給液圧制御部を含む(61)項ないし(66)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
供給液圧制御部は、1つ以上の電磁制御弁を含むものとすることができる。
(68)前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置の液圧の利用の態様を電気的に変更するものである(61)項ないし(67)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
例えば、サーボ圧の供給状態が電気的に変更されるようにすることができる。この場合には、1つ以上の電磁制御弁を利用することができる。
【0029】
(69)前記ブレーキが、液圧により前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付けるブレーキシリンダを含み、
当該ブレーキ装置が、ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、前記外部駆動力が加えられる加圧ピストンと、その加圧ピストンの後方に設けられた後方液圧室と、前記加圧ピストンの前方に設けられた加圧室とを含み、その前方の加圧室の作動液を前記ブレーキシリンダに供給可能な液圧シリンダを含み、
前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置と、後方液圧室と、ブレーキシリンダとの間の液圧の供給状態を制御する供給状態制御装置を含む(61)項ないし(68)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、液圧発生装置のサーボ圧が後方液圧室に供給されたり、ブレーキシリンダに供給されたりする。ブレーキシリンダに直接供給されるようにすれば、ブレーキの効き遅れを小さくすることができる。
(70)当該ブレーキ装置が、
作動液を加圧した状態で蓄えるアキュムレータと、
そのアキュムレータに前記液圧発生装置の作動液を導く作動液通路とを含み、前記発生液圧利用装置が、前記アキュムレータに蓄えられた液圧の利用の態様を変更可能なアキュムレータ圧利用装置を含む(69)項に記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、アキュムレータに蓄えられた液圧発生装置のサーボ圧が利用され、その利用の態様が変更される。例えば、ブレーキシリンダに供給されたり、液圧シリンダの後方液圧室に供給されたりする。また、これらブレーキシリンダや液圧シリンダの後方液圧室にサーボ圧が供給される時期が変更される。さらには、アキュムレータの液圧が制御されて供給先の装置に供給されることがある。この場合には、供給先の装置とアキュムレータとの間に液圧制御弁装置を設けることが望ましく、液圧制御弁装置は、供給状態制御装置と、少なくとも1つの制御弁を共有のものとすることができる。例えば、液圧制御弁装置を電磁開閉弁を含むものとすれば、アキュムレータの液圧の供給を許容する状態と阻止する状態とに切り換えることができる。
(71)前記アキュムレータ圧利用装置が、前記アキュムレータと、ブレーキシリンダと、前記後方液圧室との間の液圧の供給状態を制御するアキュムレータ圧供給状態制御装置を含む(70)項に記載のブレーキ装置。
【0030】
(72)前記アキュムレータ圧利用装置が、加圧ピストンに加えられる外部駆動力が設定値以下の場合に、前記アキュムレータから後方液圧室とブレーキシリンダとの少なくとも一方へ液圧を供給する供給状態制御装置を含む(71)項に記載のブレーキ装置。
例えば、電磁ブースタ、バキュームブースタ、電動式液圧シリンダの異常によってマスタシリンダの加圧ピストンや電動式液圧シリンダの加圧ピストンに外部駆動力を発生させることができない場合に、後方液圧室に液圧が供給されるようにすれば、加圧ピストンの出力の低下を抑制することができる。また、後方液圧室でなくて、ブレーキシリンダに供給されるようにすれば、電磁駆動源の異常に起因してブレーキシリンダの液圧が低下することを回避することができる。
運転者によるブレーキ操作部材の操作初期にも外部駆動力が小さくなる。また、操作初期にはアキュムレータの液圧は液圧発生装置のサーボ圧より高いのが普通である。そのため、アキュムレータの液圧がブレーキシリンダに供給されるようにすれば、ファーストフィルを速やかに終了させることができ、効き遅れを抑制することができる。また、後方液圧室に供給されるようにすれば、電磁駆動力の作動遅れに起因する電磁液圧シリンダ等の作動遅れを小さくすることができ、ブレーキの効き遅れを小さくすることができる。
なお、ブレーキが電動ブレーキである場合にも同様に適用することができる。
(73)前記アキュムレータ圧利用装置が、前記アキュムレータの液圧が前記液圧発生装置の液圧より高い場合にアキュムレータから後方液圧室とブレーキシリンダとの少なくとも一方へ液圧を供給する(71)項に記載のブレーキ装置。
【0031】
(74)前記ブレーキが、液圧により前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付けるブレーキシリンダを含み、
当該ブレーキ装置が、
ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、前記運転者によるブレーキ操作力を含む外部駆動力が加えられる加圧ピストンと、その加圧ピストンの後方に設けられた後方液圧室と、前記加圧ピストンの前方に設けられた加圧室とを含み、その前方の加圧室の作動液を前記ブレーキシリンダに供給可能なマスタシリンダと、
ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、電動アクチュエータによる電磁駆動力が外部駆動力として加えられる加圧ピストンと、その加圧ピストンの後方に設けられた後方液圧室と、前記加圧ピストンの前方に設けられた加圧室とを含み、その前方の加圧室の作動液を前記ブレーキシリンダに供給可能な電動式液圧シリンダとを含み、
前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置と、前記2つの後方液圧室との間の液圧の供給状態を制御する供給状態制御装置を含む(61)項ないし(73)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
例えば、電動式液圧シリンダの電動アクチュエータの異常時にマスタシリンダの後方液圧室に液圧を供給することができる。同様に、アキュムレータと、2つの後方液圧室との間の液圧の供給状態が制御されるようにすることも望ましい。
(75)当該ブレーキ装置が、
作動液を加圧した状態で蓄えるアキュムレータと、
ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、外部駆動力が加えられる駆動部材と、その駆動部材の後方に設けられた後方液圧室とを含み、前記駆動部材の出力に基づいて前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付けるアクチュエータとを含み、
前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置と、前記アキュムレータと、後方液圧室との間の液圧の供給状態を制御する(61)項ないし(74)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
液圧発生装置と、後方液圧室と、アキュムレータとの間の液圧の供給状態が供給状態制御装置によって制御される。例えば、後方液圧室に液圧発生装置からサーボ圧が供給されるようにしたり、アキュムレータから液圧が供給されるようにしたり、両方から供給されるようにしたりすることができる。また、液圧発生装置からアキュムレータへのサーボ圧の供給を許容する状態と阻止する状態とに切り換えることができる。これらの間の切り換えは、利用の態様の変更と見なされないこともあるが、供給状態の変更には該当する。液圧発生装置のサーボ圧は、例えば、他のアクチュエータで要求されない場合にアキュムレータに供給されるようにすることができる。
なお、後方液圧室を含むアクチュエータは、前述のマスタシリンダ、電動式液圧シリンダ、電動押付装置のうちの少なくとも1つとすることができる。
【0032】
(76)前記液圧発生装置の液圧を同時期に複数の異なる態様で利用可能とする同時複数利用装置を含む(1)項ないし(75)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、同時期に互いに異なる複数の態様でサーボ圧が利用される。例えば、同時期に前輪の液圧発生装置のサーボ圧が一の供給先の装置に供給され、後輪の液圧発生装置のサーボ圧が別の供給先の装置に供給される場合がある。また、1つの液圧発生装置のサーボ圧が同時期に2つ以上の異なる装置に供給される場合もある。本態様は、供給元の液圧発生装置と供給先の装置との少なくとも一方が複数ある場合に適用することができる。さらに、この同時複数利用状態の利用の態様を変更することもできる。
【0033】
(77)前記液圧発生装置が、複数の車輪のブレーキのうちの1つ以上のブレーキに対応して設けられ、別の1つ以上のブレーキに対応しては設けられない(1)項ないし(76)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
(78)前記液圧発生装置が後輪側に設けられ、前輪側に設けられない(77)項に記載のブレーキ装置。
(79)前記液圧発生装置が、前進中と後退中との少なくとも一方の場合に液圧を発生させるものである(1)項ないし(78)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
前進中の制動時にも後退中の制動時にもサーボ圧が発生させられるようにすれば、前進中の制動時にも後退中の制動時にもサーボ圧を利用することができる。しかし、いずれか一方において発生させられればよく、その場合には、前進中の制動時に発生させられるようにすることが望ましい。
(80)前記液圧発生装置が、複数の車輪の各々のブレーキに対応して設けられ、これら複数の液圧発生装置のうちの1つ以上が車両の前進中に液圧を発生させるものであり、別の1つ以上が後退中に液圧を発生させるものである(1)項ないし(79)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
複数の車輪にそれぞれ設けられた液圧発生装置をすべて前進中の制動時と後退中の制動時との両方の場合にサーボ圧が発生させられるものとすれば、前進中にも後退中にもサーボ圧を利用することができる。それに対して、一部の車輪の液圧発生装置を前進中の制動時にサーボ圧が発生させられるものとし、他の車輪の液圧発生装置を後退中の制動時にサーボ圧が発生させられるものとすれば、利用可能な作動液量が少なくなるが、コストアップを抑制しつつ、前進中と後退中との両方の場合にサーボ圧を利用することが可能となる。また、この場合に、前輪側および後輪側のいずれか一方の側において、左右輪のいずれか一方に前進中の制動時にサーボ圧が発生させられるものとし、他方に後退中の制動時にサーボ圧が発生させられるものとすれば、前進中、後退中同様にサーボ圧を利用することができる。それに対して、前輪の液圧発生装置を前進中の制動時にサーボ圧が発生させられるものとし、後輪の液圧発生装置を後退中の制動時にサーボ圧が発生させられるものとすれば、前進中の制動時に、サーボ圧を大きくし、供給可能な作動液量を大きくすることができる。
(81)当該ブレーキ装置が搭載された車両にトレーラが連結された場合に、前記車両のブレーキ装置の前記液圧発生装置の作動液を前記トレーラのブレーキ装置に供給するトレーラ供給装置を含む(1)項ないし(80)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
【0034】
【本発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態であるブレーキ装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
図2,3において、10はマスタシリンダであり、12は電動式液圧シリンダであり、14,16は前輪18、後輪19の液圧ブレーキである。マスタシリンダ10と液圧ブレーキ14,16のブレーキシリンダ20,22との間に電動式液圧シリンダ12が設けられる。本実施形態においては、後輪19において、液圧ブレーキ14の作動により液圧発生装置24にサーボ圧が発生させられ、そのサーボ圧が、マスタシリンダ10と電動式液圧シリンダ12とのいずれかに選択的に供給される。サーボ圧がマスタシリンダ10と電動式液圧シリンダ12とに利用されるのである。
【0035】
マスタシリンダ10は、ハウジング28に液密かつ摺動可能に設けられた2つの加圧ピストン30,32を含み、加圧ピストン30にはブレーキ操作部材としてのブレーキペダル34が連携させられる。加圧ピストン30には、ブレーキペダル34に加えられた運転者によるブレーキ操作力がプッシュロッド35を介して伝達される。本実施形態においては、プッシュロッド35が加圧ピストン30と同軸上に設けられる。加圧ピストン32の前方の加圧室36には前輪18の液圧ブレーキ14のブレーキシリンダ20が接続され、加圧ピストン30の前方の加圧室38には後輪19の液圧ブレーキ16のブレーキシリンダ22が接続される。2つの加圧室36,38には同じ高さの液圧が発生させられる。また、加圧ピストン30の後方側は、閉塞部材40によって閉塞され、これらの間に後方液圧室42が設けられる。加圧ピストン30には、ブレーキ操作力に対応する力(外部駆動力)と後方液圧室42の液圧に対応する力(液圧助勢力)とが同軸的に加えられ、加圧室36,38にはそれに応じた液圧が発生させられる。
【0036】
加圧ピストン32とハウジング28の底面との間、2つの加圧ピストン30,32の間には、それぞれ、リターンスプリング44,46が設けられている。加圧ピストン30の後退端位置は閉塞部材40によって規定され、加圧ピストン32の後退端位置は、リターンスプリング44,46によって規定される。これら後退端位置(ブレーキ解除状態)においては、加圧室36,38がリザーバ48に連通させられる。
【0037】
電動式液圧シリンダ12は、動力駆動源としての電動モータ50の作動に基づいて作動させられる。電動モータ50は、正・逆両方向に作動可能なものであり、電動モータ50の回転運動は運動変換装置52によって直線運動に変換される。電動式液圧シリンダ12は、ハウジング54にシール部材55a,b,cを介して液密かつ摺動可能に設けられた2つの制御ピストン56,58を含む。制御ピストン56は、運動変換装置52の出力軸としての駆動軸60の移動に伴って移動させられる。制御ピストン56は、電動モータ50の作動により前進、後退させられる。この意味において、制御ピストン56は駆動ピストンと称することができる。駆動軸60は、制御ピストン56と一体的に設けられたものであっても、別体として設けられたものであってもよい。少なくとも当接していれば、駆動軸60の前進に伴って制御ピストン56を前進させることができ、駆動軸60が後退させられれば、制御圧室70の液圧との関係で後退させることができる。なお、シール部材55a,b,cはピストン側に設けられてもハウジング側に設けられてもよく、Oリングとしたり、カップシールとしたりすることができる。
図に示すように、電動モータ50の出力軸61の回転は、一対のギヤ62,64を介して回転軸66に伝達され、回転軸66の回転が直線運動に変換されて、駆動軸60に出力される。本実施形態においては、運動変換装置52は、例えば、ボールねじ機構を含むものとすることができる。運動変換装置52等によって駆動力伝達装置が構成される。
【0038】
制御ピストン56,58は、互いに同心かつ直列に配設されており、これらのそれぞれの前方が制御圧室70,72とされる。また、2つの制御ピストン56,58の間、制御ピストン58とハウジング54との間にはスプリング74,76が設けられている。制御ピストン58は、それの両側の制御圧室70,72の液圧に基づいて移動させられるのであるが、制御ピストン58の制御圧室70,72に対向する受圧面の面積はほぼ同じであり、スプリング74,76の付勢力がほぼ同じにされているため、定常状態においては、2つの制御圧室70,72の液圧は等しい高さとされる。この意味において、制御ピストン58を浮動ピストン、差動ピストン、従動ピストンと称することができる。制御ピストン58とハウジング54との間にはシール部材55cが設けられているため、制御圧室70,72が遮断され、2つの系統が独立とされている。
【0039】
また、制御ピストン56の後方(図の左方)には後方液圧室78が設けられる。後方液圧室78には、リザーバ通路80を介してリザーバ48が接続される一方、供給通路81を介して液圧発生装置24が接続される。後方液圧室78に供給通路81を経て液圧発生装置24のサーボ圧が供給される場合には、制御ピストン56には、後方液圧室78の液圧に応じた液圧助勢力と駆動部材60を介して入力される電動モータ50による電動駆動力とが同軸的に加えられ、前進させられる。
【0040】
リザーバ通路80には電磁開閉弁であるリザーバ連通弁82が設けられる。リザーバ連通弁82の開状態においては、後方液圧室78とリザーバ48との間の作動液の授受が許容され、後方液圧室78の容積変化が許容され、制御ピストン56の移動が許容される。原則としては、リザーバ連通弁82の開状態において、制御圧室70,72の液圧が制御される。
この場合において、ボールねじ機構は逆効率がよいため、制御圧室70,72の液圧を保持する場合等に電動モータ50への供給電流を0にすると、制御圧室70,72の液圧によって制御ピストン56が後退させられる。そこで、リザーバ連通弁82を閉状態に切り換えれば、後方液圧室78からの作動液の流出が阻止されて、制御ピストン56の後退を阻止することができる。電動モータ50に電力を供給しなくても、制御圧室70,72の液圧を保持することができるのである。
また、前述のように、ボールねじ機構は逆効率が良いものであるため、電動モータ50が非作動状態にあっても、後方液圧室78の液圧によって駆動軸60を前進させることが可能である。
図に示す84はスラストベアリングであり、86はラジアルベアリングである。これらによって、軸方向力および半径方向力が受けられる。
【0041】
本実施形態においては、マスタシリンダ10の加圧室36,38と制御圧室70,72とが液通路90,92を介して接続され、制御圧室70,72と前輪18のブレーキシリンダ20,後輪19のブレーキシリンダ22とが、液通路94,96を介して接続される。液通路90,92の途中には、それぞれマスタ遮断弁98,100が設けられ、液通路94,96の途中には、それぞれ、液圧制御弁装置102、104が設けられる。液圧制御弁装置102,104は、増圧制御弁、減圧制御弁、減圧用リザーバ、還流式ポンプ等を含み、これらの制御によって、ブレーキシリンダの液圧が電磁液圧シリンダ12の出力液圧とは別個独立に制御される。
【0042】
液圧ブレーキ14,16は、本実施形態においては、ディスクブレーキとされている。ブレーキについては、前輪18と後輪19とで同じであるため、後輪19について説明する。前述のように、液圧発生装置24が設けられた後輪側について説明し、液圧発生装置24が設けられていない前輪側についての説明を省略する。
図3において、110が車輪と一体的に回転可能なブレーキ回転体としてのディスクロータである。ディスクブレーキ16は、ブレーキ本体114が車体側固定部材116に回動可能、換言すれば、ほぼ周方向に移動可能に保持されている。ディスクブレーキ14がオポーズド型であり、キャリパ固定型である。そのため、キャリパが直接車体側固定部材116に保持されるのであり、キャリパがブレーキ本体114とされる。
ディスクロータ110が、車輪と一体的に回転可能なアクセルハブ120に相対回転不能に固定され、ブレーキ本体114が、アクセルハブ120に相対回転可能なステアリングナックルに相対回転不能に取り付けられた部材(車体側固定部材)116にリンク機構118を介して取り付けられる。
なお、車体側固定部材116は、例えば、車輪が前輪である場合にはステアリングナックルまたはこれに相対回転不能に取り付けられた部材とし、後輪の場合にはリヤアクセルハウジングまたはこれに相対回転不能に取り付けられた部材とすることができる。
【0043】
ディスクブレーキ16は、ディスクロータ110の両側に設けられた一対のブレーキシリンダ22c,d(以下、区別する必要がない場合には、単にブレーキシリンダ22と称する)を含む。ブレーキシリンダ22c,dのシリンダボア125c,dにはピストン128c,dが液密かつ摺動可能に嵌合されて、液圧室130c,dが形成される。ピストン128c,dとディスクロータ110との間には、摩擦係合部材としてのパッド132c,dが配設されている。パッド132c,dはそれぞれ裏板136c,dを介して保持される。裏板136c、dは、キャリパ114に固定の軸方向に延びたピン140に挿通させられることにより、軸方向に移動可能かつ半径方向に移動不能に保持される。
リンク機構118は、リンク部材142と、リンク部材142をキャリパ114および車体側固定部材116にそれぞれ軸線Lの回りに回動可能に連結するピン144,145とを含む。キャリパ114は車体側固定部材116に周方向に相対移動可能に保持される。
【0044】
液圧発生装置24は後輪側に設けられるが前輪側には設けられない。後輪側の方が、ブレーキシリンダ径が小さいのが普通であるため、液圧発生装置24を設けるためのスペースがある。また、後輪19における方が発熱が少なく、フェード現象が起きにくいため、サーボ圧を安定して得ることができる等の理由による。
液圧発生装置24は、図2に示すように、液圧シリンダ152を含む。液圧シリンダ152は、キャリパ114の矢印に示す方向(正方向)の回動に伴って作動させられる。本実施形態においては、液圧シリンダ152が、液圧シリンダ152の軸線Mの方向とブレーキシリンダ22c,dによりパッド132c,dがディスクロータ110に押し付けられる部分における接線の方向とが平行な状態で設けられる。
液圧シリンダ152は、前記車体側固定部材116に固定されたシリンダ本体154と、そのシリンダ本体154に液密かつ摺動可能に嵌合されたピストン156とを含む。ピストン156のピストンロッド158には、連結部材160が係合させられる。
【0045】
連結部材160は、概してコの字型を成したものであり、一端部においてキャリパ114に回動可能に保持され、他端部において、ピストンロッド158に形成された図示しない係合部において係合させられる。係合部は、本実施形態においては、軸線Mと交差する方向に延びた溝を含み、ほぼ周方向に相対移動不能に係合させられる。連結部材160によってキャリパ114の移動がピストン156に伝達される。キャリパ114が液圧発生装置24から離間する方向に移動させられると、連結部材160によりピストン156が液圧室164の容積が減少する方向に移動させられる。ピストン156の前方の液圧室164には、液圧が発生させられる。
【0046】
また、キャリパ114の液圧発生装置側には突部165が設けられ、突部165がシリンダ本体154に当接することによって、キャリパ114の液圧発生装置24に接近する方向の移動限度が規定される。連結部材160によるピストン156の液圧室164の容積が増加する方向の移動が規定され、ピストン156がシリンダ本体154から抜け出すことが防止される。本実施形態においては、リンク機構118,突部165,シリンダ本体154等によってブレーキ本体114の液圧発生装置24に対する接近限度が規定されるストッパが構成される。
【0047】
液圧シリンダ152の液圧室164には、電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78とマスタシリンダ10の後方液圧室42とが接続される。左右後輪19にそれぞれ設けられた液圧発生装置24の液圧室164からは、それぞれ、液通路である個別通路170が延び出させられ、これら個別通路170の合流通路172に電磁開閉弁である第1サーボ圧供給制御弁174が設けられ、第1サーボ圧供給制御弁174と並列に逆止弁174bが設けられる。逆止弁174bは、液圧室164からの作動液の流出を阻止し、流入を許容するものである。
また、合流通路172は分岐させられ、一方の分岐通路175によって電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78に接続され、他方の分岐通路176によってマスタシリンダ10の後方液圧室42に接続される。分岐通路176には電磁開閉弁である第2サーボ圧供給制御弁180が設けられる。
【0048】
これら第1,第2サーボ圧供給制御弁174,180の制御により、液圧室164の液圧がマスタシリンダ10に供給されないで電動式液圧シリンダ12に供給される状態と、マスタシリンダ10と電動式液圧シリンダ12との両方に供給される状態と、マスタシリンダ10にも電動式液圧シリンダ12にも供給されない状態とに切り換えることができる。
なお、マスタ遮断弁98,100、リザーバ連通弁82、第1,第2サーボ圧供給制御弁174,180の少なくとも1つは、開度を供給電流に応じて連続的に制御可能な流量制御弁としてもよい。また、本実施形態においては、分岐通路175,合流通路172,個別通路170等によってサーボ圧を電動式液圧シリンダ12に供給するための前述の供給通路81が構成され、分岐通路176、合流通路172,個別通路170等によってサーボ圧をマスタシリンダ10に供給するための供給通路181が構成される。
【0049】
それに対して、加圧室36にはストロークシミュレータ190が接続され、後方液圧室42とリザーバ48とを接続する液通路191には、流出阻止弁192が設けられる。流出阻止弁192は、後方液圧室42から流出させられる作動液の流量が設定量以上になると後方液圧室42からリザーバ48への作動液の流出を阻止するものである。流出阻止弁192は、図に示すように、リザーバ48側の低圧ポート200と液圧室164側の高圧ポート202とが形成されたハウジング204と、大径部と小径部とを有し、ハウジング204に液密かつ摺動可能に嵌合された段付きピストン206とを含む。段付きピストン206の段部とハウジング204との間には、スプリング208が配設され、段付きピストン206を後退方向に付勢する。段付きピストン206の小径部側とハウジング204との間の液室210には、液通路191の後方液圧室側に接続されたバイパス通路212が接続されている。バイパス通路212には、オリフィス214が設けられる。
流出阻止弁192においては、ピストン206の小径部の先端部が弁子216とされ、低圧ポート200の縁面が弁座とされる。
【0050】
後方液圧室42に液圧シリンダ152から作動液が供給され、その流量が設定値より小さい場合には流出阻止弁192は開状態にある。液圧シリンダ152から供給される作動液の流量が設定値以上になると、オリフィス214により、高圧ポート202に供給される作動液の液圧と液室210の液圧との間に液圧差が生じる。段付きピストン206の大径部に加えられる液圧が液室210に加えられる液圧より設定圧以上高くなると、ピストン206がスプリング208の付勢力に抗して前進させられ、弁子216が弁座200に着座させられ、流出阻止弁192が閉状態にされる。
流出阻止弁192は、一端閉状態になると、後方液圧室側とリザーバ側との液圧差が設定値以下になるまで閉状態に保たれる。そのように、スプリング208の付勢力、弁子216(ピストン206),弁座200の形状等が設計される。
【0051】
本ブレーキ装置は、図4に示すブレーキECU300によって制御される。ブレーキECU300は,コンピュータを主体とする制御部302と複数の駆動回路とを含む。制御部302は、CPU304、ROM306、RAM308、入・出力部310等を含む。
制御部302の入・出力部310には、ブレーキペダル34が踏み込まれた状態にあることを検出するブレーキスイッチ311、ブレーキペダル34に加えられる踏力を検出する踏力センサ312、マスタシリンダ10の加圧室38の液圧を検出するマスタ圧センサ314、電動式液圧シリンダ12の制御圧室70の液圧を検出する制御圧センサ316、各車輪18,19の車輪速度を検出する車輪速センサ318、各輪18,19に設けられた車高センサ320、車両の減速度を検出する減速度センサ322、サーボ圧を検出するサーボ圧センサ324等が接続されている。
【0052】
マスタ圧センサ314は、加圧室38に接続された液通路92のマスタ遮断弁100よりマスタシリンダ側の部分に設けられる。マスタ圧センサ314によって検出された液圧は、ブレーキ操作力に応じた高さであり、ブレーキ操作力を踏力センサ312に代わって検出することができる。
制御圧センサ316は、制御圧室70の液圧を検出するが、液圧制御弁装置102が制御圧室70とブレーキシリンダ20とを連通させる状態にある間は、ブレーキシリンダ20の液圧を検出する。電動式液圧シリンダ12による制御状態において、液圧制御弁装置102の上述の状態では、閉状態にあるマスタ遮断弁98よりブレーキシリンダ側の部分の液圧は同じである。また、電動式液圧シリンダ12において、制御圧室70,72の液圧は同じ高さの液圧に制御されるため、制御圧室70の液圧を検出すれば、制御圧室72の液圧がわかる。なお、制御圧センサ316は、液通路96に設けてもよい。ブレーキシリンダ22の液圧を直接検出するものとすることもできる。サーボ圧センサ324は、合流通路172の第1サーボ圧供給制御弁174より液圧発生装置側に設けられ、液圧発生装置24において発生させられた液圧を検出する。合流通路172に設けられるため、左後輪の液圧発生装置24に発生させられた液圧も右後輪の液圧発生装置24に発生させられた液圧も検出する。また、第1サーボ圧供給制御弁174の閉状態における液圧に基づけば制動トルクを検出することができ、開状態における液圧に基づけば液圧助勢力を検出することができる。
入出力部310には、液圧制御弁装置102,104、マスタ遮断弁98,100、リザーバ連通弁82、第1,第2サーボ圧供給制御弁174,180および電動モータ50がそれぞれ駆動回路326を介して接続される。
【0053】
以上のように構成されたブレーキ装置の作動について説明する。
通常ブレーキ作動時には、マスタ遮断弁98,100が閉状態にされて、ブレーキシリンダ20,22がマスタシリンダ10から遮断された状態で、電動式液圧シリンダ12の制御によりブレーキシリンダ20,22の液圧が制御される。リザーバ連通弁82が開状態にされ、第1,第2サーボ圧供給弁174,180が閉状態にされる。電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78にはリザーバ48が連通させられ、制御ピストン56に液圧助勢力が加えられることはない。制御ピストン56には電動モータ50による電磁駆動力が外部駆動力として加えられ、それによって、制御圧室70,72に液圧が発生させられる。また、ストロークシミュレータ190と加圧室38との間の作動液の授受により、マスタシリンダ10がブレーキシリンダ20,22から遮断されても、ブレーキフィーリングの低下を抑制することができる。
【0054】
電動モータ50は、制御圧センサ316による検出液圧が運転者の所望する要求ブレーキ液圧に近づくように制御される。要求ブレーキ液圧は、踏力センサ312の検出値とマスタ圧センサ314の検出値との少なくとも一方に基づいて求められる。要求ブレーキ液圧から検出液圧を引いた偏差が設定値以上で、実際の液圧が要求ブレーキ液圧に対して不足している場合には増圧制御が行われ、負の設定値以下で、実際の液圧が要求ブレーキ液圧に対して大きい場合には減圧制御が行われ、偏差の絶対値が設定値以下の場合には保持制御が行われる。
減圧制御時には、逆止弁174bを経て後方液圧室78から、また、逆止弁174b、リザーバ連通弁82を経てリザーバ48から液圧室164への作動液が流入が許容されるため、ピストン156の後退が許容され、液圧室64が負圧になることが回避される。また、保持制御時には、前述のように、電動モータ50への供給電流が0にされてリザーバ連通弁82が閉状態に切り換えられるようにしてもよい。制御ピストン56の後退が阻止されるため、制御圧室70,72の液圧を、電動モータ50への供給電流を0としても、保持することができる。
なお、第1サーボ圧供給制御弁174の閉状態においては、後述するように、サーボ圧センサ324による検出値に基づいて制動トルクが求められるため、要求制動トルクが実制動トルクに近づくように制御することもできる。要求制動トルクは、前述のように、踏力やマスタ圧に基づいて求めることができる。さらに、実際の減速度が目標減速度に近づくように制御することも可能である。
【0055】
予め定められたサーボ圧必要条件が満たされた場合には、第2サーボ圧供給制御弁180が閉状態のままで、第1サーボ圧供給制御弁174が開状態に切り換えられる。液圧室164のサーボ圧が後方液圧室78へ供給される。制御ピストン56には、電動モータ50による電動駆動力と後方液圧室78の液圧による液圧助勢力との両方が同軸上に加えられる。制御圧を同じにする場合には、電動駆動力を小さくすることができるのであり、電動モータ50における消費電力を低減させることができる。また、必要な最大の電磁駆動力を小さくすることができる。このように、電動モータ50が要求ブレーキ圧が得られるように制御されるため、後方液圧室78に液圧が供給されれば、その分、電磁駆動力の液圧助勢力に対する比率が小さくなる。
【0056】
本実施形態においては、要求ブレーキ液圧が設定要求圧以上の場合、緊急ブレーキが必要な場合、下り坂走行中に制動が行われた場合、高G路走行中において制動が行われた場合の少なくとも1つが満たされた場合に、サーボ圧必要条件が満たされたとされて、サーボ圧が電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78に供給される。
具体的には、運転者によるブレーキ操作力の変化速度が設定速度以上の場合には緊急ブレーキが必要であるとされる。また、前輪18に設けられた車高センサ320による検出値および後輪19に設けられた車高センサ320による検出値,減速度センサ322による検出値等に基づいて決定される路面の傾斜角度(前傾角度)が設定角度以上である場合には下り坂であるとされ、減速度センサ322による検出値が設定値以上の場合に高G路であるとされる。
【0057】
サーボ圧必要条件が満たされた場合において、増圧制御時には、リザーバ連通弁82が閉状態のままで、電動モータ50の制御により制御圧が制御される。その時点において最大の液圧助勢力が加えられた状態で、不足分が電動駆動力によって補われる。液圧助勢力が優先的に加えられることになる。
減圧制御時、保持制御時には、リザーバ連通弁82が開状態にされた状態で、電動モータ50の制御により制御圧が制御される。減圧制御時、保持制御時には、リザーバ連通弁82の制御により制御圧室70,72の液圧が制御されるようにすることも可能であるが、電動モータ50の制御による方が制御精度の低下を抑制することができる。
なお、減圧制御、保持制御は、液圧制御弁装置102,104の制御により行われるようにすることもできる。この場合には、リザーバ連通弁82は閉状態のままでもよい。また、リザーバ連通弁82、第1サーボ圧供給制御弁174はデューティ制御されるようにすることもできる。さらに、減圧制御、保持制御においては、第1サーボ圧供給制御弁174が閉状態にされてもよい。
【0058】
それに対して、電動モータ50等が異常である場合には、マスタ遮断弁98,100、第1,第2の2つのサーボ圧供給制御弁174,180に電流が供給されなくなることにより開状態に切り換えられるとともに、リザーバ連通弁82に電流が供給されなくなることにより閉状態に切り換えられる。また、電動モータ50には電流が供給されず、電動式液圧シリンダ12は非作動状態にされる。
サーボ圧はマスタシリンダ10の後方液圧室42に供給される。後方液圧室42からリザーバ48への作動液の流量が大きくなり、液圧差が設定値以上になると、流出阻止弁192が閉状態に切り換えられ、その閉状態が液圧差が生じている間保持される。後方液圧室42に液圧が発生させられ、加圧ピストン30には、運転者によるブレーキ操作力と後方液圧室42の液圧に応じた液圧助勢力とが同軸上に加えられ、加圧室36,38の液圧はブレーキ操作力が倍力された大きさに対応する液圧になる。加圧室36,38の液圧は、制御圧室70,72を経て、そのまま、ブレーキシリンダ20,22に供給されて、液圧ブレーキ14,16が作動させられる。電動モータ50の作動異常が生じても、ブレーキシリンダ20,22に運転者によるブレーキ操作力に応じた液圧以上の液圧を供給することができ、大きなブレーキ力を得ることができる。
【0059】
このように、電動モータ50等の異常時には、サーボ圧が電磁液圧シリンダ12の後方液圧室78に供給される状態からマスタシリンダ10の後方液圧室42に供給される状態に切り換えられる。サーボ圧の供給先が変更されるのであり、液圧発生装置24から電動式液圧シリンダ12への作動液の流量の、マスタシリンダ10への作動液の流量に対する比率が1から0に切り換えられる。また、電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78にはサーボ圧必要条件が満たされない場合はサーボ圧が供給されないが、サーボ圧必要条件が満たされた場合にサーボ圧が供給され、マスタシリンダ10の後方液圧室42には、電動モータ50の異常時にサーボ圧が供給され、正常である場合には供給されない。このように、サーボ圧の供給の時期が変更されるのである。本実施形態においては、2つのサーボ圧供給制御弁174,180等によって供給状態制御装置が構成される。
【0060】
ブレーキ解除時にも、各電磁制御弁は図示する原位置に戻される。また、後方液圧室42とリザーバ48との間の液圧差が小さくなるため、流出阻止弁192は開状態に戻される。液圧シリンダ152の液圧室164には、ピストン156の後退に伴ってリザーバ48から作動液が供給されて、負圧になることが回避される。電動液圧シリンダ12の後方液圧室78の作動液はリザーバ連通弁82を経てリザーバ48に戻される。
【0061】
ブレーキ液圧の制御は、図5のフローチャートで表されるブレーキ液圧制御プログラムの実行に従って行われる。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする。)において、ブレーキスイッチ311がON状態か否かが判定され、S2において、電動モータ50が正常であるか否かが判定され、S3において要求ブレーキ液圧が演算により求められ、S4においてサーボ圧必要条件が満たされるか否かが判定される。電動モータ50の異常は、イニシャルチェック等において検出される。
電動モータ50が正常であり、サーボ圧必要条件が満たされない場合には、S5において、通常制御が行われる。第1、第2サーボ圧供給制御弁174,180が閉状態にされ、マスタ遮断弁98,100が閉状態にされ、リザーバ連通弁82が開状態にされる。そして、S6において、電動モータ50への供給電流が制御される。
【0062】
サーボ圧必要条件が満たされた場合には、S7において、第1サーボ圧供給制御弁174が開状態、第2サーボ圧供給制御弁180が閉状態にされ、マスタ遮断弁98,100が閉状態にされる。S8において、減圧制御または保持制御であるか否かが判定され、いずれか一方の場合には、リザーバ連通弁82が開状態にされ、増圧制御である場合にはリザーバ連通弁82が閉状態にされる。そして、S6において、電動モータ50への供給電流が制御される。
電動モータ50が異常である場合には、S11において、第1、第2サーボ圧供給制御弁174,180が開状態、マスタ遮断弁98,100が開状態、リザーバ連通弁82が閉状態にされる。この場合には、電動式液圧シリンダ12は非作動状態に保たれる。
【0063】
さらに、サーボ圧センサ324によれば制動トルクを求めることができる。
制動トルクが、式
T=(As・Ps)・Rb
に従って求められる。ここで、Asは図2に示すように、ピストン156の液圧室164に対する受圧面積であり、Psはサーボ圧センサ324による検出液圧であり、Rbは、ディスクロータ110の中心からブレーキシリンダ22c,dの中心までの長さであり、等価半径である。本実施形態においては、液圧シリンダ152の軸線Mと押付力が作用する位置における接線とが一致する状態で設けられるため、パッド132とロータ110との間の摩擦力と液圧に応じた力との比例係数が1となり、液圧に応じた力に回転半径を掛けることによって制動トルクを検出することができる。
このように、本実施形態においては、後輪19に発生させられた制動トルクが検出されるのであるが、後輪19の制動トルクに基づけば前輪18の制動トルクを推定することができる。前輪側に液圧発生装置を設けなくても制動トルクを推定することができるのである。
【0064】
制動トルクは、第1サーボ圧供給制御弁174の閉状態において検出される。したがって、サーボ圧必要条件が満たされない場合の通常ブレーキ作動中に、検出された制動トルクが目標制動トルクに近づくように、電動式液圧シリンダ12において電動モータ50が制御されるようにすることができる。サーボ圧必要条件が満たされない場合に、実際の制動トルクが要求値に近づくように制御され、サーボ圧必要条件が満たされた場合に、実際のブレーキ液圧が要求値に近づくように制御されるようにすることができるのである。
サーボ圧が、第1サーボ圧供給制御弁174の閉状態において制動トルクの検出に利用され、第1サーボ圧供給制御弁174の開状態において電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78に供給される。このように、第1サーボ圧供給制御弁174の閉状態と開状態とで、サーボ圧の利用の用途が変更される。したがって、第1サーボ圧供給制御弁174,ブレーキECU300等により発生液圧利用装置が構成されると考えることができる。
【0065】
なお、第1サーボ圧供給制御弁174は、合流通路172でなく分岐通路175に設けてもよい。その場合には、サーボ圧が、電動液圧シリンダ12に供給されてマスタシリンダ10に供給されない状態、電動式液圧シリンダ12に供給されないで、マスタシリンダ10に供給される状態、これらの両方に供給される状態、いずれにも供給されない状態に切り換えることが可能となる。
また、第2サーボ圧供給制御弁180は不可欠ではない。この場合には、第1サーボ圧供給制御弁174を開状態にすれば、マスタシリンダ10と電動式液圧シリンダ12との両方にサーボ圧が供給されることになる。さらに、これら第1、第2サーボ圧供給制御弁174,180は、供給電流に応じてリニアに差圧を制御可能なリニア制御弁とすることもできる。
また、上記実施形態においてはブレーキスイッチ311がOFFからON状態に切り換わった場合に、マスタ遮断弁98,100が閉状態に切り換えられるようにされていたが、イグニッションスイッチがOFFからONに切り換えられた場合に閉状態に切り換えられるようにすることができる。ブレーキ操作に先立ってマスタ遮断弁98,100を閉状態にしておくのである。逆に、ファーストフィルが終了した後に閉状態に切り換えられるようにすることができる。ブレーキ操作初期には、ブレーキ液の消費量が多いため、マスタシリンダ10からも作動液が供給されるようにする。
【0066】
さらに、ストロークシミュレータ190の加圧室36側、リザーバ48側のいずれか一方にシミュレータ制御弁を設け、電動式液圧シリンダ12の非作動状態においては、加圧室38の作動液がストロークシミュレータ190に供給されないようにすることもできる。そのようにすれば、作動液が無駄に消費されることを回避することができる。
また、流出阻止弁192の代わりに、リザーバ48から後方液圧室42に向かう作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁とすることもできる。それによっても、後方液圧室42が負圧になることを回避しつつ、液圧を増圧させることができる。
【0067】
また、上記実施形態においては、サーボ圧必要条件が満たされた場合に、サーボ圧が供給されるようにされていたが、常に、サーボ圧が供給されるようにすることができる。ボールねじ機構によれば、電動モータ50に電流が供給されなくても、後方液圧室78の液圧がスプリング74,76のセット荷重に対応する大きさ以上になれば、制御ピストン56が前進させられ、制御圧室70,72に液圧が発生させられる。要求ブレーキ液圧に対する不足分だけ電動モータ50によって補ってやればよい。
さらに、サーボ圧必要条件が満たされた場合において減圧制御、保持制御が行われる場合に、リザーバ連通弁82が開状態に切り換えられることは不可欠ではない。後方液圧室78からの作動液流出分が液圧発生装置24においてピストン156の後退に伴う液圧室164の容積の増加分とほぼ同じであれば、後方液圧室78の作動液を液圧室164に流出させればよい。
【0068】
また、サーボ圧必要条件は上記実施形態におけるそれに限らない。上述の条件を満たし、かつ、要求ブレーキ液圧が増加している場合または要求ブレーキ液圧が実ブレーキ液圧に対して大きい場合に満たされるようにすることができる。その場合には、サーボ圧必要条件が満たされた場合にのみ、第1サーボ圧供給制御弁174が開状態に切り換えられることになる。さらに、要求ブレーキ液圧が設定値以上の場合と緊急ブレーキが必要な場合との少なくとも一方が満たされた場合にサーボ圧必要条件が満たされたとすることができる。この場合には、車高センサ320,減速度センサ322が不要になる。
また、前輪18と後輪19とで、ブレーキは同じタイプのものであっても異なったタイプのものであってもよい。ブレーキは、後述するように、キャリパ固定型でなく、キャリパ浮動型としたり、ドラムブレーキとしたりすることができる。また、液圧ブレーキに限らず電動ブレーキであってもよい。さらに、液圧発生装置の構造は上記実施形態におけるそれに限らない。例えば、液圧シリンダ152は、後述するように、図6に示す液圧シリンダ330,332と同様の構造のものとすることができる。
【0069】
さらに、逆止弁174bは不可欠ではない。逆止弁174bが設けられない場合には、減圧制御時に第1サーボ圧供給制御弁174を開状態とすれば、リザーバ連通弁82,第1サーボ圧供給制御弁174を経てリザーバ48から作動液が供給される。逆に、第2サーボ圧供給制御弁180と並列に逆止弁を設けることもできる。
また、マスタ遮断弁98,100と並列にマスタシリンダからブレーキシリンダへの作動液の流れを許容し、逆向きを流れを阻止する逆止弁を設けることもできる。逆止弁によれば、マスタ遮断弁98,100が閉状態にあっても、加圧室36,38の液圧が制御圧室70,72の液圧より高くなった場合には、加圧室36,38から作動液が供給され得る。
【0070】
さらに、上記実施形態においては、液圧シリンダ152がディスクブレーキのキャリパ114の周方向の片側に設けられ、車両の前進中における制動時に液圧が発生させられ、後退中における制動時には液圧が発生させられないようにされていたが、図6に示すように、液圧シリンダをブレーキ本体114の周方向の両側に設けることができる。この場合には、液圧発生装置328が2つの液圧シリンダ330,332を含むことになり、一方の液圧シリンダ330においては前進中の制動時に液圧が発生させられ、他方の液圧シリンダ332においては後退中の制動時に液圧が発生させられることになる。
【0071】
本実施形態においては、連結部材160が、ピストン156のピストンロッド334の係合部336において係合させられる。係合部336は軸線Mに沿って延びた形状の溝を含む。また、ピストン156とシリンダ本体154との間には、リターンスプリング338が設けられる。さらに、ピストン156の後退端位置を規定するストッパ340が設けられる。ピストン156は、リターンスプリング338により後退端位置に付勢される。その後退端位置において、ストッパ340に当接し、連結部材160が、係合部336の溝の底面である最もキャリパ側に位置する。液圧シリンダ330,332のそれぞれの液圧室164からはシリンダ個別通路341,342が延び出させられて、合流して車輪個別通路170(上記第1実施形態における個別通路170であるが、本実施形態においては、シリンダ個別通路に対して車輪個別通路と称する)とされる。このように、シリンダ個別通路341、342が合流させられて車輪個別通路170とされ、シリンダ個別通路341,342,車輪個別通路170,合流通路172,分岐通路176を介して、後方液圧室42に接続される。そのため、別個に後方液圧室42に接続されるようにされている場合に比較して、液通路の本数を減らすことができる。
【0072】
ブレーキ本体114が矢印の方向に回転させられた場合には、液圧シリンダ330において、連結部材160により、ピストン156がリターンスプリング338の付勢力に抗して液圧室164の容積が減少する方向に前進させられる。液圧室164には、ピストン156に連結部材160によって加えられる引張力に応じた高さの液圧が発生させられる。それに対して、液圧シリンダ332においては、連結部材160が係合部336の溝に沿って、ピストン156から離間する方向に相対移動させられる。ピストン156が移動させられることはないのであり、液圧シリンダ332は非作動状態のままである。
液圧シリンダ330の液圧室164に液圧が発生させられると、液圧シリンダ332の液圧室164の液圧も同じ高さにされるが、この場合に、ピストン156は後退端位置にあるため、これ以上後退させられることはない。作動液は圧縮性が小さいものであるため、液圧シリンダ330,332の液圧は直ちに同じになる。サーボ圧は、シリンダ個別通路341,342、車輪個別通路170,合流通路172を経て電動液圧シリンダ12やマスタシリンダ10に供給される。それに対して、ディスクロータ110の逆方向の回転中にディスクブレーキ16が作動させられると、キャリパ114が逆方向に回動させられる。液圧シリンダ332が作動状態にされるが、液圧シリンダ330は非作動状態のままである。液圧シリンダ332の液圧室164に液圧が発生させられる。
このように、本実施形態においては、前進中における制動時にも後退中における制動時にも、サーボ圧を利用することができる。また、後述するように、前進中の制動時に液圧が発生させられる液圧発生装置と後退中の制動時に液圧が発生させられる液圧発生装置とが前輪側と後輪側とにそれぞれ設けられる場合より、発生させられるサーボ圧の差が小さくなり、安定して供給することができる。
【0073】
また、図7に示すように、1つの液圧シリンダにおいて、前進中にも後退中にも液圧が発生させられるようにすることができる。液圧発生装置348は、1つの液圧シリンダ350を含む。液圧シリンダ350は、シリンダ本体352と、本体352に液密かつ摺動可能に、互いに対向する状態で嵌合されたピストン354,356とを含み、ピストン354,356の間が液圧室358とされる。
ピストン354はキャリパ114に設けられた突部360によって前進させられるものであり、ピストン356は連結部材362によって前進させられるものである。ピストン354,356の間にはリターンスプリング364が設けられ、それぞれを後退端位置に付勢する。後退端位置は本体352に設けられたストッパ366,368によって規定される。
【0074】
ピストン354は、ピストンロッド370の凹部371に突部360が係合させられた状態で設けられる。キャリパ114が液圧シリンダ350に接近することによって突部360によってピストンロッド370が押され、ピストン354がリターンスプリング364の付勢力に抗して前進させられる。ピストン354はキャリパ114の接近による押付力によって移動させられるのである。
ピストン356は、前述のピストン156と同様に、連結部材362がピストンロッド372の溝状を成した係合部374において係合させられる。ピストン356は、キャリパ114の液圧シリンダ350からの離間による引張力によって、液圧室358の容積が減少する方向に移動させられる。
【0075】
ディスクロータ110の正回転中にブレーキが作動させられると、キャリパ114が正方向に回動させられる。連結部材362がそれに伴って引っ張られ、ピストン356がスプリング364の付勢力に抗して前進させられる。この場合には、ピストン354は突部360によって前進させられることはなく、ストッパ366によって規定される後退端位置にある。液圧室358の容積が減少させられ、液圧が発生させられる。
ディスクロータ110の逆回転中にブレーキが作動させられると、キャリパ114が逆方向に回動させられる。突部360によってピストン354が前進させられる。液圧室358の容積が減少させられ、液圧が発生させられる。連結部材362は係合部374に沿ってピストン356に対して相対移動させられ、ピストン356はストッパ368によって規定される後退端に位置することになる。
このように、本実施形態においては、1つの液圧シリンダ350において、前進中にも後退中にも液圧を発生させることができる。キャリパ114による引張力と押付力とによって、液圧室358の容積を減少させることができるのである。
【0076】
さらに、上記実施形態においては、電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78にサーボ圧が供給されるようにされていたが、後方液圧室78の液圧が制御されるようにすることもできる。
図8に示すように、本実施形態においては、第2サーボ圧供給制御弁180と並列に逆止弁399が設けられる。逆止弁399は、液圧室164への作動液の流入を許容し、流出を阻止するものである。また、分岐通路175に電磁液圧制御弁である増圧制御弁400が設けられ、リザーバ通路80にリザーバ連通弁の代わりに電磁液圧制御弁である減圧制御弁402が設けられる。後方液圧室78の液圧が増圧制御弁400,減圧制御弁402の制御により制御される。増圧制御弁400は、第1サーボ圧供給制御弁の機能も備えたものであり、増圧制御弁400と第2サーボ圧供給制御弁180とによって、サーボ圧の供給状態が制御される。これらによって、サーボ圧がマスタシリンダ10と電動式液圧シリンダ12との両方に供給される状態、マスタシリンダ10と電動式液圧シリンダ12とのいずれか一方に供給される状態、両方に供給されない状態に切り換えることができる。
【0077】
電磁液圧制御弁400,402は、図9に示すように、シーティング弁410とコイル412を備えたソレノイド414とを含む。シーティング弁410は、弁座420と弁座420に対して接近・離間可能な弁子422とを含み、スプリング424の付勢力によって弁子422が弁座420に着座させられる方向に付勢される。コイル412に電流が供給されない状態では、シーティング弁410は閉状態にある常閉弁である。
コイル412に電流が供給されると、電磁駆動力が弁子422を弁座420から離間させる方向に作用する。また、前後の液圧差に応じた差圧作用力が弁子422を弁座420から離間させる方向に作用する。その結果、弁子422の弁座420に対する相対位置が、差圧作用力、電磁駆動力、スプリングの付勢力の大きさによって決まるのであり、相対位置は電磁駆動力の制御によって制御される。電磁液圧制御弁400においては、液圧発生装置24の液圧室164と後方液圧室78との間の差圧に応じた差圧作用力が加えられ、電磁液圧制御弁402は、後方液圧室78とリザーバ48との間の差圧(後方液圧室78の液圧)に応じた差圧作用力が加えられる。
【0078】
本実施形態においては、上記実施形態における場合と同様に、サーボ圧必要条件が満たされた場合には、制御圧室70,72の液圧が、ブレーキECU300により、後方液圧室78の制御と電動モータ50の制御との両方により制御される。制御ピストン56には、電動モータ50による電磁駆動力と後方液圧室78の液圧による液圧助勢力との両方が加えられ、制御圧室70,72には、これらの和に対応する液圧が発生させられる。
電動モータ50,増圧、減圧制御弁400,402の制御の一例を、図11に示す。図に示すように、ブレーキスイッチ311は、ブレーキペダル34のストロークが設定値に達した場合にOFFからONに切り換えられるようにされているため、運転者によるブレーキペダル34の踏込み開始に遅れてブレーキスイッチ311がONに切り換えられる。ブレーキスイッチ311がONに切り換えられるとマスタ遮断弁98,100が閉状態に切り換えられ、電動式液圧シリンダ12による制御が開始される。本実施形態においては、ブレーキスイッチ311がONになった場合には、マスタシリンダ10の加圧室36,38に液圧が発生しており、マスタ遮断弁98,100が閉状態にされる以前に、マスタシリンダ10の作動液がブレーキシリンダに供給される。
【0079】
増圧制御時には、要求ブレーキ液圧の増加に伴って増圧制御弁400への供給電流が増加させられて、電動モータ50への供給電流が増加させられる。この場合には、減圧制御弁402は閉状態に保たれる。
保持制御または減圧制御時には、増圧制御弁400が閉状態に切り換えられて、減圧制御弁402および電動モータ50が制御される。この場合には、電動モータ50の制御が優先して行われる。減圧制御時には、減圧制御弁402の制御による場合より電動モータ50による電磁駆動力を小さくすることによって減圧させられるようにすることが望ましい。その方が、電動モータ50への消費電力を小さくすることができ、かつ、サーボ圧が無駄にリザーバ48に流出させられることを抑制することができる。また、電動モータ50の制御による方が減圧制御弁402の制御による場合より制御精度を向上させることができる。電動モータ50への供給電流を小さくすることによっても偏差の絶対値が小さくならない場合、偏差の絶対値が大きい場合等に、減圧制御弁402の制御により、後方液圧室78の液圧が減圧させられる。ブレーキ操作が解除された場合に、減圧制御弁402が一定時間の間開状態にされることにより、後方液圧室78の作動液がリザーバ48に戻されるようにすることもできるが不可欠ではない。後方液圧室78に作動液が残っていても差し支えないのである。
【0080】
減圧制御時等には、減圧制御弁402は、制御ピストン56の後退、前進が許容されるように、適宜開状態とすることが望ましい。また、液圧発生装置24においては、減圧制御時またはブレーキ解除時には、逆止弁399により、ピストン156の後退に伴う液圧室164の容積の増加が許容され、液圧室164が負圧になることが回避される。
電動モータ50の異常時等には、第2サーボ圧供給制御弁180が開状態にされ、サーボ圧がマスタシリンダ10の後方液圧室42に供給される。この場合には、増圧制御弁400へも減圧制御弁402へも電流が供給されなくなることにより閉状態に保たれる。
【0081】
図10には、後方液圧室78の液圧による液圧助勢力と電動モータ50による電磁駆動力との制御の一例を示す。図10に示すように制御されれば、液圧助勢力の電磁駆動力に対する比率(B/A)が、予め定められた一定の大きさにされる。また、踏力の変化に伴って液圧助勢力の電磁助勢力に対する比率(B/A)が連続的または段階的に変化させられるようにすることもできる。
この比率B/Aは、サーボ圧必要条件が満たされた場合と満たされない場合とにおいては、設定値と0とに変更されることになる。
なお、増圧制御弁400,減圧制御弁402の少なくとも一方は常開弁とすることもできる。また、液圧発生装置は、図6,7に示すものとすることができる等上記各実施形態の態様を適宜採用することができる。以下の実施形態においても同様とする。
【0082】
さらに、マスタシリンダ10の後方液圧室42に作動液が供給されるようにすることは不可欠ではない。図12には、サーボ圧がマスタシリンダ10の後方液圧室42に供給されないで電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78に供給されるブレーキ装置の一部を示す。この場合には、後方液圧室78,液圧発生装置24とリザーバ48との間に液圧制御装置450が設けられ、液圧制御装置450の制御により、後方液圧室78の液圧が制御されるとともに、電動モータ50への供給電流が制御される。液圧制御装置450は、1つ以上の電磁制御弁を含むものであり、後方液圧室78を液圧発生装置24に連通させたり、リザーバ48に連通させたりすることによって、後方液圧室78の液圧を制御する。
なお、液圧制御装置450を設けることは不可欠ではない。後方液圧室78にサーボ圧が直接供給される状態で、電動モータ50の制御または液圧制御弁装置104の制御により、ブレーキシリンダ22c,dの液圧が制御されるようにすることができる。この場合には、液圧制御弁装置104の下流側にブレーキ液圧センサ452を設けることが望ましい。
【0083】
逆に、サーボ圧を電動式液圧シリンダ12に供給することは不可欠ではない。マスタシリンダ10の後方液圧室42のみに供給されるようにすることができる。図13に示すように、左右後輪19のそれぞれの液圧発生装置24から個別通路470が伸び出させられ、これら個別通路470が合流させられた合流通路472がマスタシリンダ10の後方液圧室42に接続される。合流通路472にはサーボ圧供給制御弁474および逆止弁475が設けられる。
本実施形態においては、通常制動時には、サーボ圧供給制御弁474,マスタ遮断弁98,100の閉状態において、ブレーキシリンダ20,22の液圧が電動式液圧シリンダ12の制御により制御されるが、電動式液圧シリンダ12の異常時には、サーボ圧供給制御弁474およびマスタ遮断弁98,100が開状態にされて、マスタシリンダ10の液圧がブレーキシリンダ20,22に供給される。また、リザーバ連通弁82が閉状態にされるとストロークシミュレータ190の作動が禁止される。そのため、電動モータ50の異常時に、リザーバ連通弁82が閉状態とされ、マスタシリンダ10の作動液がストロークシミュレータ190において消費されることを回避することができる。
【0084】
なお、電動式液圧シリンダ12は不可欠ではない。図14に示すブレーキ装置においては、液圧発生装置24はマスタシリンダ10の後方液圧室42に常に連通させられ、サーボ圧が後方液圧室42に供給される。加圧室36,38には、ブレーキ操作力が倍力された大きさの液圧が発生させられ、ブレーキシリンダ20,22に供給される。
【0085】
マスタシリンダ10において、加圧ピストン30に運転者によるブレーキ操作力Fが加えられ、後方液圧室42の液圧が液圧Psの場合には、加圧室38の液圧はPmとなり、これらの間には式
F+(Am−Amp)・Ps=Am・Pm・・・(1)
が成立する。ここで、Amは、加圧ピストン30の加圧室38に対向する受圧面の面積であり、Ampは、加圧ピストン30のピストンロッドの断面積である。したがって、加圧ピストン30の後方液圧室42に対向する受圧面の面積は(Am−Amp=Ams)で表される大きさとなる。
また、液圧ブレーキ16において、ブレーキシリンダ22c,dの断面積をAwとし、ブレーキ液圧がPwの場合には、ピストン152の受圧面積をAsとした場合のサーボ圧はPsとなる。これらの間には、式
Aw・Pw・BEF=As・Ps・・・(2)
が成立する。ここで、サーボ圧はそのまま後方液圧室42に供給されるため、後方液圧室42の液圧は液圧シリンダ152の液圧室164の液圧と同じになる。また、マスタシリンダ10の加圧室36,38の液圧はそのままブレーキシリンダ22c,dに伝達されるため、ブレーキ液圧Pwとマスタ圧Pmとが同じ大きさになる。
Pw=Pm・・・(3)
【0086】
これら(1)〜(3)の関係および(1)式、(2)式における液圧Psは等しいことから、サーボ比(Pm・Am/F)は、式
(Pm・Am/F)=1/{1−(Aw・Ams・BEF/Am・As)}
で決まる。また、セルフロックを防止するためには、式
(Aw・Ams・BEF/Am・As)<1
が成立するように緒元を決定する。サーボ圧が負の値にならないようする。
本実施形態においては、サーボ比がマスタシリンダ10、ブレーキシリンダ22c、d、液圧シリンダ152の形状等によって決まるが、ブレーキ液圧をそれ以外の大きさに制御する場合には、液圧弁装置102,104を利用して制御することができる。しかし、通常制動時には、運転者による操作力が一定のサーボ比で倍力された大きさのブレーキ液圧が得られれば十分であり、それ以外の制御が行われるようにすることは不可欠ではない。
【0087】
さらに、マスタシリンダ10の後方液圧室42の液圧自体が制御されるようにすることもできる。図15に示すブレーキ装置においては、合流通路472に電磁液圧制御弁である増圧制御弁500と逆止弁501とが並列に設けられる。電磁液圧制御弁500はサーボ圧供給制御弁としての機能も有する。また、後方液圧室42とリザーバ48との間の液通路191には、流出制御弁192と並列に、減圧制御弁502と、逆止弁504とが設けられる。
減圧制御弁502、増圧制御弁500は、前後の差圧を供給電流に応じた大きさに制御可能なものであり、減圧制御弁502は、常閉弁であり、図9に示す構造の液圧制御弁とほぼ同じものであるが、増圧制御弁500は常開弁である。スプリングの付勢力が弁子を弁座から離間させる方向に作用し、コイルへの供給電流に応じた電磁駆動力が弁子を弁座に着座させる方向に作用する。コイルに電流が供給されない状態で開状態にある。
【0088】
また、マスタ圧センサ510が液通路90に設けられ、加圧室36の液圧を検出する。マスタ圧センサ510による検出液圧は、液圧制御弁装置102,104がそれぞれ、マスタシリンダ10とブレーキシリンダとを連通させる状態にある場合には、ブレーキ液圧と同じである。本実施形態においては、図16に示すように、増圧制御弁500,減圧制御弁502が、マスタ圧センサ510による検出液圧が要求ブレーキ液圧に近づくように制御される。換言すれば、増圧制御弁500と減圧制御弁502との制御により後方液圧室42の液圧が制御されるのであり、それにより、ブレーキ操作力の倍力率が制御される。
本実施形態において、原則としては、増圧制御弁500によりサーボ圧が供給される状態で、マスタ圧センサ510による検出液圧が目標値に近づくように、減圧制御弁502の制御により制御される。保持制御時には、増圧制御弁500,減圧制御弁502の両方が閉状態とされ、減圧制御時には、液圧室164には2つの逆止弁504,501を経てリザーバ48から作動液が供給され、負圧になることが回避される。また、ブレーキ操作が緩められた場合には、増圧制御弁500、減圧制御弁502が開状態にされる。それによって、後方液圧室42の作動液がリザーバ48に戻され、液圧室164の液圧が大気圧まで戻される。
【0089】
なお、後方液圧室42とリザーバ48との間に流出阻止弁192を設けることは不可欠ではない。減圧制御弁502によれば、後方液圧室42からリザーバ48への作動液の流出を阻止することができる。また、減圧制御弁502も不可欠ではない。減圧制御は、液圧制御弁装置102,104の制御により行われるようにすることができる。さらに、増圧制御弁500も不可欠ではない。後方液圧室42の液圧は減圧制御弁502の制御により制御することができる。いずれにしても、増圧制御弁500および減圧制御弁502の両方を設ける必要は必ずしもないのであり、液圧制御弁装置102,104があれば、ブレーキ液圧を制御することができる。また、液圧制御弁装置102,104がない場合においても減圧制御弁502によれば、後方液圧室42の液圧を制御することができる。
【0090】
さらに、マスタシリンダ10の加圧ピストン30に加えられる運転者によるブレーキ操作力を助勢する電磁助勢装置520を設けることができる。
電磁助勢装置520は、マスタシリンダ10とブレーキペダル34との間に、これらと直列に設けられる。加圧ピストン30に軸力である推進力が加えられるのであり、ブレーキ操作力と電磁駆動力とが外部駆動力として軸方向に加えられる。
電磁助勢装置520は、電気的駆動源としての電動モータ530,駆動力伝達装置532等を含む。駆動力伝達装置532は、運動変換装置としてのボールねじ機構534を含む。ボールねじ機構534によれば、電動モータ530の出力軸の回転が駆動部材538の軸方向の移動に変換される。駆動部材538は、一端部において加圧ピストン30に係合させられ、他端部において、ブレーキペダル34に連携させられる。駆動部材538によって加圧ピストン30に外部駆動力が伝達される。
【0091】
電動モータ530の非作動状態においては、駆動部材538はブレーキペダル34の操作によって前進させられ、加圧ピストン30に操作力が加えられる。加圧室36,38には、ブレーキ操作力に応じた高さの液圧が発生させられる。ボールねじ機構534は逆効率がよいため、電動モータ530が非作動状態にあっても、操作力が加えられると、駆動部材538の前進が許容されるのであり、ブレーキを作動させることができる。また、駆動部材538の移動によって電動モータ530の出力軸536が回転させられるのであり、運転者によるブレーキ操作によって電動モータ530が回転させられることになる。換言すれば、電動モータ530が異常であっても、ブレーキペダル34の操作によって加圧ピストン30を前進させることができるのであり、液圧ブレーキ14,16を作動させることができる。なお、符号540,542は、ラジアルベアリング、スラストベアリングであり、それぞれ電動モータ530の回転を許容する。また、ラジアルベアリング540,スラストベアリング542は、それぞれ、半径方向の力と軸方向の力とを受ける。
【0092】
本実施形態においては、図18に示すように、電動モータ530への供給電流、後方液圧室42の液圧がそれぞれ制御され、加圧室36,38の液圧が操作力を倍力した大きさに対応する高さ(要求ブレーキ液圧)に制御される。加圧ピストン30には、ブレーキ踏力と電磁駆動力と後方液圧室42の液圧に応じた液圧助勢力とが加えられ、加圧室36,38にはこれらの和に応じた液圧が発生させられる。
このように、本実施形態においては、液圧助勢力と電磁助勢力との両方が助勢力として加えられるため、運転者によるブレーキ操作力が同じであっても、ブレーキ液圧を大きくすることができる。また、ブレーキ液圧を同じ高さに制御する場合に、電磁助勢力のみが加えられる場合に比較して、電動モータへの供給電流を低減させることができる。さらに、図に示す液圧助勢力の電磁助勢力に対する比率(A/B)の値は、予め決定しておくことができるが、踏力が大きいほど比率が大きくなるようにすることもできる。
【0093】
なお、液圧助勢力の制御と電磁助勢力の制御との両方が行われるようにするのではなく、いずれか一方が択一的に行われるようにすることもできる。上記実施形態における場合と同様に、サーボ圧必要条件が満たされた場合に液圧助勢力が加えられるようにしたり、電動モータ530が正常な場合には、電磁助勢装置520の制御により制御されるようにして、電動モータ530の異常時には、後方液圧室42の制御により制御されるようにすることができる。また、要求ブレーキ液圧が設定圧より小さい場合にはいずれか一方の制御が行われ、設定圧以上になった場合に、両方の助勢力が加えられるようにしたりすることができる。
さらに、液圧助勢力の制御と電磁助勢力の制御とのいずれか一方が優先的に行われるようにすることができる。
また、後方液圧室42の液圧が制御可能とすることは不可欠ではない。後方液圧室42にサーボ圧が直接供給される状態で、要求ブレーキ液圧に対する不足分が電磁助勢力で補われるようにすることができる。
【0094】
さらに、図19に示すように、電磁ブースタ530の代わりにバキュームブースタ550とすることができる。バキュームブースタ550によれば、負圧室560と変圧室562との差圧に応じた負圧助勢力が加えられる。この場合には、加圧ピストン30に運転者によるブレーキ操作力と負圧助勢力との和が外部駆動力として加えられる。変圧室562の圧力を電磁開閉弁564の制御によって制御することによって、負圧室560と変圧室562との差圧を制御し、負圧助勢力を制御することができる。なお、負圧助勢力が制御されるようにすることは不可欠ではない。液圧助勢力が制御されればサーボ比を制御することができるのであり、ブレーキ液圧を制御することができる。
【0095】
また、サーボ圧を利用して、ブレーキシリンダ20,22の液圧が直接制御されるようにすることができる。図20に示すブレーキ装置においては、サーボ圧がマスタシリンダ10の加圧室36,38と前輪側、後輪側のブレーキシリンダ20,22とを接続する液通路580、582のマスタ遮断弁98,100よりブレーキシリンダ側の部分に供給される。その他の部分については上記各実施形態における場合と同じであるため、説明を省略する。
本実施形態においては、液圧発生装置24と液通路580,582との間にそれぞれ増圧制御弁590が設けられ、液通路580,582とリザーバ48との間にそれぞれ減圧制御弁592が設けられる。これら増圧制御弁590,減圧制御弁592は常閉弁であり、これらの制御によりブレーキシリンダの液圧が制御される。
増圧制御弁590は、合流通路572と液通路580,582のマスタ遮断弁98,100よりブレーキシリンダ側の部分とを接続する増圧通路594に設けられ、減圧制御弁592は、液通路580,582のマスタ遮断弁98,100よりブレーキシリンダ側の部分とリザーバ48とを接続する減圧通路596に設けられる。また、合流通路572の増圧通路594との接続部よりマスタシリンダ側の部分にはサーボ圧供給制御弁598が設けられる。
【0096】
ブレーキ液圧は、マスタ遮断弁98,100が閉状態とされて、ブレーキシリンダ20,22がマスタシリンダ10から遮断された状態で制御される。液通路580,582のマスタ遮断弁98,100よりブレーキシリンダ側の部分は同じ液圧になり、本実施形態においては、液通路582のマスタ遮断弁98よりブレーキシリンダ側の部分にブレーキ液圧センサ600が設けられる。
増圧制御時においては、サーボ圧供給制御弁598が閉状態にされ、減圧制御弁592が閉状態にされた状態で、増圧制御弁590の制御によりブレーキシリンダ20,22の液圧が増圧制御される。サーボ圧が増圧制御弁590により減圧されてブレーキシリンダ20,22に供給される。
保持制御時においては、増圧制御弁590および減圧制御弁592が閉状態にされる。ブレーキシリンダ20,22における作動液の流出流入が阻止されて、液圧が保持される。
減圧制御時においては、増圧制御弁590が閉状態にされ、減圧制御弁592の制御により、ブレーキシリンダ20,22の液圧が制御される。ブレーキシリンダ20,22の液圧は減圧制御弁592の制御によりリザーバ48に供給される。この場合には、サーボ圧供給制御弁598が開状態にされる。液圧シリンダ152には、リザーバ48からの作動液の供給が許容される。液圧シリンダ152においてピストン156の後退に伴う液圧室164の容積の増加が許容される。サーボ圧供給制御弁598は保持制御時にも開状態にされるようにすることもできる。
【0097】
電気系統の異常時には、各電磁制御弁は電流が供給されなくなることにより、サーボ圧供給制御弁598およびマスタ遮断弁98,100が開状態にされる。サーボ圧がマスタシリンダ10の後方液圧室42に供給され、加圧ピストン30に液圧助勢力が加えられる。増圧制御弁590,減圧制御弁592は共に常閉弁であるため、電流が供給されなくなることにより閉状態にされるため、サーボ圧の液通路580、581への供給が阻止される。
【0098】
なお、減圧制御時には、液圧制御弁装置102,104の制御によりブレーキシリンダ20,22の液圧が減圧させられるようにすることができる。この場合には、減圧制御弁592および減圧通路596が不要となる。また、サーボ圧供給制御弁598と並列に逆止弁を設ければ、減圧制御時にサーボ圧供給制御弁598を開状態に切り換えることが不可欠ではなくなる。
さらに、上記実施形態においては、サーボ圧がマスタシリンダとブレーキシリンダとを接続する液通路580,582の両方にそれぞれに供給されるようにされていたが、図21に示すように、マスタシリンダとブレーキシリンダとを接続する液通路のいずれか一方に供給されるだけでもよい。本実施形態においては、分岐通路610が液通路90のマスタ遮断弁98の下流側に接続され、分岐通路610に第2サーボ圧供給制御弁612が設けられる。
【0099】
通常制御時には、第2サーボ圧供給制御弁180も第1サーボ圧供給制御弁612も閉状態にされる。ブレーキシリンダの液圧がマスタ遮断弁98,100の閉状態によりマスタシリンダ10から遮断された状態で電動式液圧シリンダ12の制御により制御される。
それに対して、ブレーキ操作初期には、第2サーボ圧供給制御弁180が閉状態とされて、第1サーボ圧供給制御弁612が開状態にされる。サーボ圧を制御圧室70を経てブレーキシリンダ20,22に供給することができ、ブレーキの効き遅れを抑制することができる。サーボ圧が制御圧室70に供給されるのであるが、この場合には、浮動ピストン58により、制御圧室70,72の液圧は同じになる。そのため、液通路90,92の両方に供給しなくても、前後両方の車輪に等しく液圧を供給することができる。ブレーキシリンダ22c、dに僅かに液圧が発生して、つれ回りが生じれば、液圧発生装置24にサーボ圧を発生させることができる。この状態において、サーボ圧がブレーキシリンダに供給されれば、ブレーキシリンダの液圧を速やかに増加させることができ、フィルアップ効果を得ることができる。
電気系統の異常時には、第2サーボ圧供給制御弁180およびマスタ遮断弁98,100が開状態にされ、第1サーボ圧供給制御弁612が閉状態にされる。サーボ圧がマスタシリンダの後方液圧室に供給される。
【0100】
さらに、図22〜24に示すように、サーボ圧を加圧下で蓄えるアキュムレータを設けることができる。図22においては、合流通路172にアキュムレータ630が接続通路631を介して接続される。本実施形態においては、個別通路170,合流通路172,接続通路631等によって作動液導入通路632が構成され、接続通路631,分岐通路175等によって作動液供給通路が構成される。接続通路は、作動液導入通路と作動液供給通路とに共通の構成要素である。
接続通路631には、アキュムレータ連通弁634と逆止弁636とが並列に設けられる。逆止弁636は、液圧発生装置24からアキュムレータ630へ向かう作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する。
【0101】
本実施形態においては、上記第1実施形態における場合と同様にブレーキシリンダ20,22がマスタシリンダ10から遮断された状態で、電動式液圧シリンダ12の制御によりブレーキ液圧が制御される。
通常制動時には、アキュムレータ連通弁634が閉状態にされ、第2サーボ圧供給制御弁180は閉状態とされる。電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78には液圧発生装置24から液圧が供給される。ブレーキシリンダの液圧は電動式液圧シリンダ12の制御により制御される。液圧発生装置24の液圧がアキュムレータ圧より高くなると、液圧発生装置24からアキュムレータ630に作動液が逆止弁636を経て供給される。
【0102】
ブレーキ操作初期には、アキュムレータ連通弁634が開状態にされ、アキュムレータ630の液圧が後方液圧室78に供給される。ブレーキ操作初期には、液圧発生装置24のサーボ圧よりアキュムレータ圧の方が高いため、アキュムレータ630から液圧が供給されるようにすることが望ましい。それによって、ブレーキの効き遅れを小さくすることができ、フィルアップ効果を得ることができる。また、ブレーキ操作速度が早い場合等の緊急制動時にも、アキュムレータ連通弁634が開状態にされれば、ブレーキ液圧を直ちに所望の値に近づけることができ、応答性を向上させることができる。さらに、要求ブレーキ液圧が設定値以上の場合にアキュムレータ連通弁634が開状態にされれば、その分。電動モータ50への供給電流を小さくすることができる。
【0103】
本実施形態においては、アキュムレータ圧が設定範囲内になるように制御されるわけではないため、逆止弁636を経て液圧発生装置24からアキュムレータ630に作動液が供給されることにより、アキュムレータ圧が過大になるおそれがある。そこで、アキュムレータ630に蓄えられた作動液の液圧が過大になることを防止する必要がある。例えば、仕切部材がピストンであるピストン式の場合には、ピストンの移動限度を規定するストッパを設ける。その結果、蓄えられる作動液の液圧が過大になることを防止することができる。また、仕切部材がベローズの場合においても、ベローズの伸縮限度を規定する規定部材を設ける。それによって、液圧が過大になることを回避しつつ、ベローズに加えられる負荷が過大になることを防止することができる。さらに、逆止弁636と直列に電磁開閉弁を設け、アキュムレータ圧が設定圧以上になったら、閉状態に切り換えられるようにすることもできる。このようにすれば、アキュムレータ圧が設定圧以上になった場合に、液圧発生装置24から作動液が供給されることを防止することができる。
【0104】
電動モータ50等の異常時には、アキュムレータ連通弁634が開状態に、リザーバ連通弁82が閉状態に、第2サーボ圧供給制御弁180が開状態に切り換えられ、マスタ遮断弁98,100が開状態に切り換えられる。アキュムレータ630の作動液がマスタシリンダ10の後方液圧室42に供給されることにより、ブレーキ操作力が倍力されて、ブレーキシリンダに供給される。この場合には、後方液圧室78にも供給されるが、制御圧室70,72の液圧と釣り合う位置で制御ピストン56,58は停止させられる。サーボ圧によりブレーキ操作力が倍力されて、制御圧室70,72を経て、ブレーキシリンダ20,22に供給される。
【0105】
このように、アキュムレータ630にサーボ圧を蓄えておけば、図25に示すように、応答性を向上させることができ、電動モータ50による電磁駆動力が同じ場合のブレーキ力を大きくすることができる。電動モータ50による電磁駆動力の必要最大値を小さくすることができ、作動開始時の駆動力を小さくすることができるため、電動モータ50の小形化を図ることができ、コストダウンを図ることができる。また、異常時にも、液圧源として使うことができ、有効である。さらに、アキュムレータ630に作動液を蓄えるための専用のポンプ装置等が不要になる。換言すれば、蓄圧のための専用のポンプ装置を設けなくてもアキュムレータに作動液を蓄えることができるのであり、ブレーキ装置の小形化を図ることができ、コストダウンを図ることができる。本実施形態においては、アキュムレータ連通弁634,第2サーボ圧供給制御弁180の制御により、アキュムレータ630,マスタシリンダ10の後方液圧室42,電動式液圧シリンダ12の後方液圧室78の間の作動液の流通状態を制御することができ、これら等によって供給状態制御装置が構成される。
【0106】
図23に示すブレーキ装置においては、アキュムレータ640が個別通路170に接続通路641を介して設けられる。また、接続通路641には、上記実施形態における場合と同様に、アキュムレータ連通弁644,逆止弁646が並列に設けられる。通常制動時には、第2サーボ圧供給制御弁180が閉状態にされる。左右後輪にそれぞれ設けられた液圧シリンダ152に発生させられたサーボ圧がアキュムレータ圧より高くなれば、アキュムレータ640に供給されて蓄えられる。
また、上記第1実施形態における場合と同様に緊急時等サーボ圧必要条件が満たされた場合には、第2サーボ圧供給制御弁180が開状態に切り換えられ、アキュムレータ連通弁644が開状態に切り換えられる。アキュムレータ圧がマスタシリンダ10の後方液圧室42に供給され、ブレーキ操作力が倍力されてブレーキシリンダに供給される。
本実施形態においては、アキュムレータ連通弁644,第2サーボ圧供給制御弁180等によってアキュムレータ640、液圧発生装置24、マスタシリンダ10の後方液圧室42の間の作動液の流通状態が制御されるのであり、これら等によって供給状態制御装置が構成される。また、第2サーボ圧供給制御弁180が常閉の電磁開閉弁とされている。アキュムレータ640の液圧をマスタシリンダ10に供給する場合に電流が供給されることにより開状態とされることになる。
【0107】
また、図24に示すように、アキュムレータ圧に基づいてブレーキシリンダ20,22の液圧が制御されるようにすることができる。アキュムレータ650に対応して、アキュムレータ連通弁652と逆止弁654とが並列に設けられる。また、アキュムレータ650と、ブレーキシリンダ20,22と、リザーバ48との間に液圧制御弁装置656が設けられる。液圧制御弁装置656は、アキュムレータ650とブレーキシリンダ20,22との間に設けられた電磁開閉弁658と、ブレーキシリンダ20,22とリザーバ48との間に設けられた電磁開閉弁660とを含む。ブレーキシリンダ20,22がアキュムレータ650とリザーバ48とに選択的に連通させられることによって、ブレーキ液圧が制御される。
通常制動時には、電磁開閉弁658、660が閉状態とされることにより、サーボ圧が逆止弁654を経てアキュムレータ650に供給される。それに対して、サーボ圧必要条件が満たされると、アキュムレータ圧連通弁652が開状態にされた状態で、電磁開閉弁658、660の制御により、ブレーキ液圧が制御される。アキュムレータ圧が制御されてブレーキシリンダ20,22に供給されるのである。
また、リザーバ48と液圧発生装置24との間にはリザーバ48から液圧発生装置への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁662が設けられる。逆止弁662により、液圧発生装置24の液圧室164が負圧になることを回避することができる。
【0108】
なお、ブレーキは電動ブレーキとすることができる。本実施形態においては、ブレーキ装置がX配管とされ、図26に示すように、後輪側のブレーキが液圧ブレーキとされ、前輪側のブレーキが電動ブレーキとされる。電動ブレーキには液圧助勢力が加えられる。
電動ブレーキ700においては、摩擦係合部材としてのブレーキパッド702,703が電動モータ704による押付け力によりブレーキ回転体110に押し付けられる。電動モータ704の駆動力が運動変換装置としてのボールねじ機構706を介して押圧部材708に伝達される。ボールねじ機構706の出力部材709が押圧部材708に係合させられ、出力部材709の前進に伴って押圧部材708が前進させられる。また、電動モータ704はディスクロータ110の両側でなく、片側に設けられる。図27に示すように、電動モータ704を保持するキャリパ712はブレーキ本体としてのマウンティングブラケット714に保持され、マウンティングブラケット714が車体側部材116にほぼ周方向に移動可能に保持される。そのマウンティングブラケット714の周方向の移動により、液圧発生装置716に液圧が発生させられる。符号717は、マウンティングブラケットまたはマウンティングブラケット714の移動に基づいて移動させられる連結部材であり、この部材717により、マウンティングブラケット714の周方向の移動が液圧発生装置716に伝達され、液圧室718には、それに応じた液圧が発生させられる。なお、図26においては、液圧発生装置716および電動ブレーキ700を概念的に示した模式図である。
【0109】
前述の押圧部材708は段付き形状を成したものであり、ハウジングにシール部材719a,bを介して液密かつ摺動可能に嵌合され、押圧部材708の段部の後方には後方液圧室720が設けられる。この後方液圧室720に液圧発生装置716において発生させられたサーボ圧が供給される。押圧部材708には、電動モータ704による電磁駆動力と後方液圧室720の液圧による液圧助勢力とが加えられてブレーキパッド702,703をブレーキ回転体110に押し付ける。ブレーキパッド702,703のブレーキ回転体110への押付力を同じにする場合には、液圧助勢力の分だけ電動モータ704への供給電流を小さくすることができる。また、電動モータ704への供給電流が同じ場合には、液圧助勢力の分だけ押付力を大きくすることができる。
【0110】
図に示すように、本実施形態においては、右後輪19の液圧ブレーキ16のブレーキシリンダ22と左前輪18の電動ブレーキ700の後方液圧室720とが個別通路722、724を介して連通させられる。さらに、これら個別通路722,724は合流させられて合流通路726とされるが、合流通路726によってマスタシリンダ10に接続される。合流通路726にはマスタ遮断弁728が設けられる。マスタ遮断弁728よりブレーキシリンダ側の部分においては液圧は同じになり、その部分に液圧センサ730が設けられる。一方、前述のように、液圧発生装置716の液圧室718が後方液圧室720に連通させられるため、結果的に、右後輪19のブレーキシリンダ22,左前輪18の電動ブレーキ700の後方液圧室720,液圧発生装置716の液圧室718は互いに連通させられ、これらの液圧は同じになる。
【0111】
本実施形態においては、押圧部材708の押圧力を検出する押圧力センサ732が設けられ、押圧力が目標値に近づくように電動モータ704が制御される。押圧力の増加により、液圧室718のサーボ圧が増加し、液圧助勢力が増加する。図28に示すように、押圧力は、電動モータ704への供給電流の制御により制御されるようにするのが望ましい。サーボ圧は安定しないことが多いからである。
マスタ遮断弁728が遮断状態に切り換えられる以前に、後方液圧室720に作動液が供給されるようにすれば、電動ブレーキ700の作動遅れを小さくすることができる。その結果、電動モータ704の容量を小さくすることができる。
なお、サーボ圧と押圧力との間には、予め定められた関係が成立するため、液圧センサ730による検出液圧に基づいて電動モータ704の制御が行われるようにすることもできる。液圧センサ730による検出液圧が要求ブレーキ液圧に近づくように、電動モータ704への供給電流が制御されるようにするのである。液圧センサ730は、ブレーキ液圧センサ、サーボ圧センサと称することもできる。
【0112】
また、本実施形態においては、電動ブレーキが前輪側に設けられたが、後輪に設けてもよい。さらに、前輪および後輪のすべての車輪のブレーキを電動ブレーキとして、液圧発生装置を設けることができる。また、液圧発生装置716と後方液圧室720との間に電磁制御弁を設け、電動モータ704の異常時に後方液圧室720に液圧が供給されるようにすることもできる。さらに、液圧発生装置716と後輪のブレーキシリンダ22との間に電磁制御弁を設けることもできる。それによって、これらの間の液圧の供給状態を制御することもできる。
【0113】
また、上記実施形態においては、前輪18および後輪19のいずれか一方のブレーキに対応して液圧発生装置が設けられていたが、図29に示すように、前輪18および後輪19のすべてのブレーキに対応して液圧発生装置24が設けられるようにすることができる。液圧発生装置24各々には個別通路750が接続され、これらの合流通路752がマスタシリンダ10の後方液圧室42に接続される。また、個別通路750の各々には、それぞれ液圧センサ754および電磁開閉弁756が、電磁開閉弁756がマスタシリンダ側に位置する状態で直列に設けられる。電磁開閉弁756の閉状態における液圧センサ754による検出液圧に基づけば、制動トルクを検出することができる。なお、図示は省略するが、電磁開閉弁756と並列に液圧発生装置24からの作動液の流出を阻止し、作動液の流入を許容する逆止弁が設けられる。
液圧センサ754は、上記実施形態における場合と同様に、ブレーキECU300に接続され、ブレーキECU300において、制動トルクや制動力が演算により求められる。その他の部分は、上記第1実施形態における場合と構造は同じであるため、説明を省略する。
【0114】
また、本実施形態においては、前後2系統式とされており、左右前輪18のブレーキシリンダ20と、左右後輪19のブレーキシリンダ22とが、液圧制御弁装置758によって制御される。踏力等に基づいて要求制動トルクが求められ、実際の制動トルクが要求制動トルクに近づくように制御されるのである。液圧制御弁装置758は、上記各実施形態における液圧制御弁装置102,104を含むものとしたり、電動式液圧シリンダ12を含むものとしたりすることができる。
【0115】
左右前輪、左右後輪に対応して設けられた電磁開閉弁756は、通常制動時にはすべて閉状態とされて、各車輪の制動トルクがそれぞれ検出される。前述のサーボ圧必要条件が満たされた場合、電気系統の異常時等にすべての電磁開閉弁756が開状態にされて、サーボ圧がマスタシリンダ10の後方液圧室42に供給される。それによって、通常制動時(サーボ圧の必要性が低い場合)には、車輪毎に制動トルクが検出され、要求制動トルクに近づくようにブレーキシリンダ液圧が制御され、要求制動トルクが設定値以上の場合、緊急制動時、電気系統の異常時等サーボ圧が必要な場合には、サーボ圧がマスタシリンダ10の後方液圧室42に供給され、ブレーキ操作力が倍力される。
【0116】
なお、左右前輪、左右後輪に対応して設けられたそれぞれの電磁開閉弁756は、前述のように、共通に制御されるようにしても、個別に制御されるようにしてもよい。
例えば、サーボ圧必要条件が満たされた場合に、一部の電磁開閉弁756が閉状態のままとされてもよい。このようにすれば、サーボ圧必要条件が満たされた場合においても、制動トルクを検出することができる。液圧発生装置24の液圧が制動トルクの検出と、サーボ圧の供給との両方に利用されるのであり、同時に複数の態様で利用されることになる。この場合には、一部の車輪(電磁開閉弁756が閉状態にある車輪)について求められた制動トルク、または、その車輪に設けられた液圧発生装置の液圧に基づいて、すべての車輪の制動トルクが推定される。摩擦係数が同じであれば、車輪の各々に発生させられる制動トルクの関係は予めわかるため、一部の車輪の制動トルクとこれらの関係とに基づけば、各々の車輪の制動トルクを推定することができるのである。すべての車輪の制動トルクをそれぞれ別個に取得する必要はない。
【0117】
また、通常制動中においてすべての電磁開閉弁756を閉状態とするのではなく、一部の電磁開閉弁756を開状態とすることができる。この場合には、マスタシリンダ10の後方液圧室42にサーボ圧を供給しつつ、制動トルクに基づく制御が行われるようにすることができる。
すなわち、4つの電磁開閉弁756を選択的に開状態と閉状態とに切り換えれば、選択された(電磁開閉弁756が閉状態にされた)車輪の制動トルクを適宜検出することができ、選択された(電磁開閉弁756が開状態にされた)車輪のサーボ圧を後方液圧室42に供給することができる。サーボ圧の供給元を変更することができるのである。
【0118】
具体的には、通常制動時に、すなわち、サーボ圧が設定値以下の場合には、すべての電磁開閉弁756を閉状態とし、サーボ圧が設定値以上の場合には、前輪側の電磁開閉弁754を開状態とし、後輪側の電磁開閉弁754を閉状態とすることができる。前輪側の方が大きなサーボ圧が得られるため、前輪のサーボ圧を供給することが望ましい。また、後輪側の方が発熱量が少なくフェード現象が生じ難いため、押付力が大きい場合のサーボ圧の検出に適しており、制動トルクの信頼性を向上させ得ることができる。本実施形態においては、制動トルクとサーボ圧とに基づいてブレーキシリンダの液圧が制御されることになる。
【0119】
また、サーボ圧が設定値以下の場合に、前輪の電磁開閉弁756を閉状態とするとともに、後輪の電磁開閉弁756を開状態とし、サーボ圧が設定値以上の場合に逆にする(前輪の電磁開閉弁756を開状態とするとともに、後輪の電磁開閉弁756を閉状態とする)こともできる。
さらに、逆に、サーボ圧が設定値以下の場合に、後輪の電磁開閉弁756を閉状態とするとともに、前輪の電磁開閉弁756を開状態とし、サーボ圧が設定値以上の場合に逆にする(後輪の電磁開閉弁756を開状態とし、前輪の電磁開閉弁756を閉状態とする)こともできる。このように、交互に開状態と閉状態とに切り換えることができるのである。
【0120】
また、ブレーキ装置の回路としての種々の態様を図30に示す。これらは、回路を概略的に示したものであり、その他の部分については上記各実施形態における場合と同様とする。
上記第1実施形態におけるブレーキ装置においては、図30の(a)に示すように、前後配管のブレーキ装置の後輪19に、車両の前進中の制動時に液圧が発生させられる液圧発生装置24(以下、24fと記載する)が設けられたが、(b)に示すように、X配管のブレーキ装置に適用することもできる。X配管のブレーキ装置においても、後輪19に前進中の制動時に液圧が発生させられる液圧発生装置24fが設けられる。
また、(c)に示すように、後輪19に図6に示す液圧発生装置328を設けることもできる。液圧発生装置328によれば、前進中の制動時と後退中の制動時との両方において液圧が発生させられ、サーボ圧を利用することができる。なお、液圧発生装置は、図7に示す液圧発生装置348とすることもできる。
【0121】
(d)に示すように、左後輪に前進中の制動時にサーボ圧が発生させられる液圧発生装置24fを設け、右後輪に後退中の制動時にサーボ圧が発生させられる液圧発生装置24rを設けることもできる。液圧発生装置24fと液圧発生装置24rとでは、液圧シリンダ152が設けられる位置がキャリパ114に対して周方向において反対側になる。このようにすると、サーボ圧の供給量が(c)に示す場合の半分になる。そこで、(e)に示すように、前進中の制動時にサーボ圧が発生させられる液圧発生装置24fを前輪18に設ければ、後輪19に設ける場合より、サーボ圧を大きくすることができ、供給量を大きくすることができる。いずれにしても、(d)、(e)に示すブレーキ装置においては、液圧発生装置の液圧シリンダの個数を最小にしつつ、前進中の制動時にも後退中の制動時にもサーボ圧を利用することが可能となり、ブレーキ装置のコストダウンを図ることができる。また、(d)に示す場合においては、左右後輪19にそれぞれ液圧発生装置24f,rが設けられるため、踏力(押付力)が同じであれば、前進中の制動時においても後退中の制動時においても、ほぼ同等のサーボ圧を発生させることができるという利点がある。それに対して、(e)に示す場合においては、前進中の制動時に発生させられる液圧発生装置24fが前輪側に設けられているため、前進中に発生させられるサーボ圧は後退中に発生させられるサーボ圧より大きくなる。
【0122】
そこで、式
Asr・Ff=Asf・Fr
が成立するように、緒元を設定すれば、前輪18において前進中に発生させられるサーボ圧と後輪19において後退中に発生させられるサーボ圧とがほぼ同等にすることができる。ここで、Asrは、後輪19に設けられた後退用の液圧発生装置24rの液圧シリンダ152のピストンの受圧面積で、Asfは、前輪18に設けられた前進用の液圧発生装置24fの液圧シリンダ152のピストンの受圧面積であり、Ffは、前進中の制動時に前輪18に生じるブレーキ力であり、Frは、後退中の制動時に後輪19に生じるブレーキ力である。
したがって、後輪19の後退用の液圧シリンダのピストンの受圧面積を前輪18の前進中の液圧シリンダのそれより小さくすれば(Asr=Asf・Fr/Fr)、すなわち、制動力分担の小さい車輪の液圧発生装置の液圧シリンダのピストンの受圧面積を制動力分担の大きい車輪の液圧発生装置の液圧シリンダのピストンの受圧面積より小さくすれば、前進中の制動時にも後退中の制動時にもほぼ同等のサーボ圧を得ることができる。
【0123】
この場合において、前進中のブレーキ力Ffの後退中のブレーキ力Frに対する比率(Ff/Fr)は、常に同じではないが、通常制動時(押付力の大きさが通常の範囲内)であれば、比率の差は小さい。それに対して、押付力が大きくなると、前輪のブレーキ力Ffが後輪のブレーキ力Frに対して大きくなり(比率が大きくなり)、後退中のサーボ圧が前進中のサーボ圧より小さくなる。しかし、後退中は前進中より走行速度が小さく、大きなサーボ圧が必要になることは少ないため、差し支えないのである。
【0124】
さらに、図31に示すように、車両800がトレーラ802を連結している場合に、サーボ圧がトレーラ802のブレーキ装置803にサーボ圧供給装置804によって供給される。ブレーキ装置803は、本実施形態においては、ブレーキシリンダ805の液圧により作動させられるブレーキを含むものであり、液圧発生装置24とブレーキシリンダ805とを接続する液通路によってサーボ圧供給装置804が構成される。
サーボ圧により、トレーラ802のブレーキシリンダ805に高い液圧を供給することができる。
なお、液圧発生装置24とブレーキシリンダ805との間には、上記各実施形態における場合と同様に供給状態制御装置を設けたり、液圧制御装置を設けたりすることができる。この場合には、サーボ圧が液圧制御装置における液圧源の液圧として利用される。また、上記実施形態における電動液圧シリンダ12を介して供給されるようにすることもできる。その他、摩擦係合部材をブレーキ回転体に押し付ける力を助勢するために利用することができる。
【0125】
なお、液圧発生装置は、図32,33に示すように揺動シリンダを含むものとすることができる。
図32に示すように、ブレーキ本体114と車体側部材850との間に、図33に示すような揺動シリンダ852が設けられる。揺動シリンダ852は、ブレーキ本体114に相対回転不能に取り付けられたハウジングの一部856と、車体側固定部材850に相対回転不能に取り付けられたハウジングの残りの部分858とを含む。ハウジング856,858には、それぞれ突部860,862が形成される。突部860はハウジング856の環状部の内周側に設けられ、突部862はハウジング858の環状部の外周側に設けられる。突部860がピストンとされ、突部862が液圧室864,866を規定する底部とされる。ブレーキ本体114の車体側固定部材852に対する相対回転によって、突部860の底部862に対する相対位置が変化し、それによって、液圧室864,866の容積が変化させられる。
【0126】
液圧室864,866にはそれぞれ液通路870,872が接続され、液通路870,872には方向切換弁880が設けられ、液通路870,872のいずれか一方を選択的にリザーバ48に連通させる。
突部860の一方向の移動によって、液圧室864,866のいずれか一方の容積が減少させられ、他方の容積が増加させられる。容積が増加する液圧室にリザーバ48が連通させられて、負圧になることが回避される。矢印の方向の回転中(車両の前進中)にブレーキが作動させられた場合には、液圧室866の容積が増加させられるため、方向切換弁880は図示する原位置に保たれる。後退中においては、液圧室864にリザーバ48が連通させられる状態に切り換えられる。車両が前進中か後退中であるかは、シフト位置センサによって検出されるシフトレバー位置に基づいて検出することができる。
【0127】
前進中にブレーキが作動させられた場合には、ブレーキ本体114が正方向(反時計方向)に回動させられる。ピストン860が反時計方向に移動させられ、液圧室864の容積が減少させられ、液圧室866の容積が増加させられる。摩擦力に起因する連れ回り力と液圧室864の液圧に応じた力とがつりあう状態となれば、ブレーキ本体114の回動が停止させられる。ブレーキ本体114の移動限度を規定するストッパが不要となる。この場合には、液圧室864に発生させられたサーボ圧が利用可能となる。
後退中においては、方向切換弁880が切り換えられ、液圧室864にリザーバ48が連通させられる。ブレーキが作動させられると、ブレーキ本体114が逆方向(時計方向)に回動させられる。ピストン860の時計方向の移動によって液圧室866の容積が減少させられ、液圧室864の容積が増加させられる。この場合には、液圧室866において発生させられたサーボ圧が利用可能となる。
液圧源からブレーキシリンダ22c,dへの液通路を、例えば、ゴムホース等とすれば、ブレーキ本体114の回動角度がたとえ大きくても、ブレーキシリンダに確実に液圧を供給することができる。
【0128】
なお、揺動シリンダは、ドラムブレーキにも適用することができる。この場合には、バッキンプレートと車体側固定部材との間に揺動シリンダを設ければよい。また、サーボ圧は、ブレーキ装置のみならず、ステアリング装置やサスペンション装置に利用することもできる。さらに、上記各実施形態のブレーキ装置は、駆動源がエンジンである車両に搭載されても、駆動源がエンジンと電動モータとを含むハイブリッド車両に搭載されても、エンジンを含まないで電動モータを含む電動駆動車両に搭載されてもよい。ハイブリッド車両、電気駆動車両に搭載された場合には、回生協調制御において、サーボ圧が利用されるようにすることもできる。
その他、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果〕に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブレーキ装置を例示的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態であるブレーキ装置の全体の回路図である。
【図3】上記ブレーキ装置のブレーキの断面図である。
【図4】上記ブレーキ装置の制御装置の周辺を示す図である。
【図5】上記制御装置のROMに格納されたブレーキ液圧制御プログラムを表すフローチャートである。
【図6】上記ブレーキ装置の別のブレーキの周辺を示す図である。
【図7】上記ブレーキ装置のさらに別のブレーキの周辺を示す図である。
【図8】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図9】上記ブレーキ装置の液圧制御弁を概念的に示す断面図である。
【図10】上記ブレーキ装置の電動式液圧シリンダにおける一制御例を示す図である。
【図11】上記ブレーキ装置における一制御例を示す図である。
【図12】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図13】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図14】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図15】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図16】上記ブレーキ装置における一制御例を示す図である。
【図17】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図18】上記ブレーキ装置の一制御例を示す図である。
【図19】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図20】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ装置全体を示す図である。
【図21】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図22】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図23】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図24】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図25】上記ブレーキ装置の一制御例を示す図である。
【図26】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図27】上記ブレーキ装置のブレーキの周辺を示す図である。
【図28】上記ブレーキ装置の一制御例である。
【図29】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置の一部を示す図である。
【図30】本発明のさらに別の複数の実施形態であるブレーキ装置を概念的に示す回路図である。
【図31】本発明の別の一実施形態であるブレーキ装置を示す図である。
【図32】上記各ブレーキ装置の別のブレーキ周辺を示す図である。
【図33】図32のI−I断面図である。
【符号の説明】
10マスタシリンダ 12電動式液圧シリンダ
14,16ブレーキ 24,328、348、716液圧発生装置
42後方液圧室 50電動モータ
78後方液圧室 98,100マスタ遮断弁
114ブレーキ本体 118リンク機構
152、330,332、350液圧シリンダ 164液圧室
174、474、598、612第1サーボ圧供給制御弁
180第2サーボ圧供給制御弁 192流出阻止弁
300ブレーキECU 324サーボ圧センサ
400,500,590増圧制御弁 402,502,592減圧制御弁
450液圧制御装置 520電磁助勢装置
550バキュームブースタ 630,640,650アキュムレータ
634,644,652アキュムレータ連通弁
636,646,654逆止弁 700電動ブレーキ
720後方液圧室 756電磁開閉弁
804サーボ圧供給装置 852揺動シリンダ
864,866液圧室

Claims (35)

  1. 制御・駆動装置と、
    ブレーキ本体に保持された摩擦係合部材が、前記制御・駆動装置により発生させられる押付力によってブレーキ回転体に押し付けられ、車輪の回転を抑制するブレーキと、
    前記ブレーキ本体を前記ブレーキ回転体の近傍の車体側固定部材にブレーキ回転体の周方向に移動可能に保持するブレーキ本体保持装置と、
    前記ブレーキ本体の移動に基づいて液圧を発生させる液圧発生装置と
    を含むブレーキ装置であって、
    前記制御・駆動装置が、(a)外部から加えられる外部駆動力と、前記液圧発生装置に発生させられた液圧に基づく液圧助勢力とに基づいて作動させられる駆動部材を備えた液圧助勢アクチュエータと、(b)前記外部駆動力と前記液圧助勢力との少なくとも一方を制御することによって、前記押付力を制御する押付力制御装置とを含むとともに、その押付力制御装置が、前記液圧助勢力の前記外部駆動力に対する比率を、当該ブレーキ装置が搭載された車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて決定する比率決定部を含むことを特徴とするブレーキ装置。
  2. 前記押付力制御装置が、前記液圧助勢力を、当該ブレーキ装置が搭載された車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて電気的に制御する液圧助勢力制御装置を含む請求項に記載のブレーキ装置。
  3. 前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置の液圧を検出する液圧検出装置と、その液圧検出装置による検出液圧に基づいて前記ブレーキの制動トルクを取得する制動トルク取得部とを含む制動トルク検出装置を含む請求項1または2に記載のブレーキ装置。
  4. 前記制御・駆動装置が、前記制動トルク検出装置によって取得された実際の制動トルクが目標制動トルクに近づくように、前記外部駆動力と液圧助勢力との少なくとも一方を制御する制動トルク対応押付力制御装置を含む請求項に記載のブレーキ装置。
  5. 前記液圧助勢アクチュエータが、前記駆動部材が液密かつ摺動可能に嵌合されたハウジングと、そのハウジング内の駆動部材の後方に形成された後方液圧室とを含み、その後方液圧室の液圧に応じた液圧助勢力が駆動部材に加えられるものである請求項1ないしのいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  6. 前記制御・駆動装置が、前記後方液圧室の液圧を制御する後方液圧制御装置を含む請求項に記載のブレーキ装置。
  7. 前記後方液圧制御装置が、電流の供給により作動させられる1つ以上の電磁液圧制御弁と、それら1つ以上の電磁液圧制御弁への供給電流の制御により前記後方液圧室の液圧を制御する供給電流制御部とを含む請求項に記載のブレーキ装置。
  8. 前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する供給状態制御装置を含む請求項5ないし7のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  9. 前記供給状態制御装置が、前記液圧発生装置と前記後方液圧室との間に設けられ、液圧発生装置から後方液圧室への液圧の供給状態を制御可能な供給制御弁部と、その供給制御弁部を制御する供給弁部制御部とを含む請求項に記載のブレーキ装置。
  10. 前記供給弁部制御部が、前記摩擦係合部材の前記ブレーキ回転体への押付力の目標押付力が設定押付力以上の場合と、前記液圧発生装置の液圧が設定圧以上の場合との少なくとも一方の場合に、前記供給制御弁部を、前記液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給を許容する供給許容状態とする設定状態以上時供給許容部を含む請求項に記載のブレーキ装置。
  11. 前記液圧発生装置が複数の車輪のブレーキにそれぞれ対応して設けられ、
    前記供給制御弁部が、前記複数の液圧発生装置のうちの1つ以上から構成される第1群の液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する第1供給制御弁および別の1つ以上から構成される第2群の液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する第2供給制御弁を含み、前記制御弁部制御部が、これら第1供給制御弁と第2供給制御弁とを制御するものであり、
    前記制御・駆動装置が、前記制御弁部制御部により、前記第2供給制御弁が、前記液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給を阻止する供給阻止状態とされた状態で、前記第2群に属する液圧発生装置の液圧に基づいて前記複数の車輪の各々の制動トルクを推定する制動トルク推定装置を含む請求項9または10に記載のブレーキ装置。
  12. 前記第1供給制御弁が、前輪の液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する前輪用供給制御弁であり、前記第2供給制御弁が、後輪の液圧発生装置から前記後方液圧室への液圧の供給状態を制御する後輪用供給制御弁であり、前記制御弁部制御部が、前記前輪用供給制御弁と後輪用供給制御弁とを制御するものであり、
    前記制動トルク推定装置が、前記制御弁部制御部により、前記後輪用供給制御弁が供給阻止状態とされ、かつ、前記前輪用供給制御弁が供給許容状態とされた状態で、前記後輪の液圧発生装置の液圧に基づいて前輪および後輪の制動トルクを推定する後輪対応制動トルク推定部を含み、
    前記制御・駆動装置が、前記後輪対応制動トルク推定部によって推定された制動トルクと、前記前輪の液圧発生装置の液圧とに基づいて前記摩擦係合部材のブレーキ回転体への押付力を制御する制動トルク対応押付力制御装置を含む請求項11に記載のブレーキ装置。
  13. 前記制御弁部制御部が、前記前輪と後輪との少なくとも一方の液圧発生装置の液圧が設定圧以上の場合に、前記前輪用供給制御弁を供給許容状態とするとともに前記後輪用供給制御弁を供給阻止状態とする後輪側供給阻止部を含む請求項12に記載のブレーキ装置。
  14. 前記制御・駆動装置が、前記液圧助勢アクチュエータを複数含み、
    これら液圧助勢アクチュエータそれぞれの駆動部材が、外部駆動力と後方液圧室の液圧に応じた液圧助勢力とに基づいて作動させられるものであり、
    前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置からこれら複数の液圧助勢アクチュエータのそれぞれの後方液圧室へ向かう作動液の流量を制御する流量制御装置を含む請求項1ないし13のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  15. 前記流量制御装置が、車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて、前記複数の液圧助勢アクチュエータの後方液圧室へ向かう作動液の流量の比率を制御する流量比率決定部を含む請求項14に記載のブレーキ装置。
  16. 前記制御・駆動装置が、(a)液圧により前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付けるブレーキシリンダと、(b)ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、前記外部駆動力が加えられる加圧ピストンと、その加圧ピストンの後方に設けられ、前記液圧発生装置に接続された後方液圧室と、前記加圧ピストンの前方に設けられた加圧室と、その加圧ピストンの前方の加圧室の液圧を前記ブレーキシリンダに供給可能な液圧シリンダとを含み、その液圧シリンダが前記液圧助勢アクチュエータとして機能し、前記加圧ピストンが前記駆動部材として機能する請求項1ないし15のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  17. 前記液圧シリンダに含まれる前記加圧ピストンがブレーキ操作部材に連携させられ、運転者によるブレーキ操作力に応じた力が前記外部駆動力として、前記後方液圧室の液圧に応じた力が前記液圧助勢力として加えられ、その液圧シリンダがマスタシリンダを構成している請求項16に記載のブレーキ装置。
  18. 前記制御・駆動装置が、(c)電気的駆動源を含み、その電気的駆動源により前記マスタシリンダの加圧ピストンに電磁助勢力を加える電磁ブースタと、(d)前記マスタシリンダの加圧ピストンに第1室と第2室との差圧に基づく負圧助勢力を加えるバキュームブースタとの少なくとも一方を含む請求項17に記載のブレーキ装置。
  19. 前記制御・駆動装置が、電気的駆動源を含み、前記液圧シリンダに含まれる前記加圧ピストンがその電気的駆動源の出力部材に連携させられ、その電気的駆動源による駆動力を前記外部駆動力として、また、前記後方液圧室の液圧に応じた力を液圧助勢力として受け、前記液圧シリンダが電動式液圧シリンダを構成している請求項16ないし18のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  20. 前記制御・駆動装置が、(a)液圧により前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付けるブレーキシリンダと、(b)ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、運転者によるブレーキ操作力が前記外部駆動力として加えられる加圧ピストンと、その加圧ピストンの前方に設けられた加圧室とを含み、その前方の加圧室の液圧を前記ブレーキシリンダに供給可能なマスタシリンダと、(c)これらマスタシリンダとブレーキシリンダとの間に設けられ、これらを連通させる連通状態と、これらを遮断する遮断状態とに切り換え可能な遮断弁とを含み、前記電動式液圧シリンダが、前記マスタシリンダとブレーキシリンダとの間の前記遮断弁よりブレーキシリンダ側に設けられた請求項19に記載のブレーキ装置。
  21. 前記制御・駆動装置が、前記電動式液圧シリンダの電気的駆動源への供給電力と前記後方液圧室の液圧との少なくとも一方を制御することによって、前記ブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置を含む請求項19または20に記載のブレーキ装置。
  22. 前記制御・駆動装置が、前記液圧発生装置と前記電動式液圧シリンダの後方液圧室との間に設けられた供給制御弁と、前記電動式液圧シリンダの電気的駆動源に異常が生じた場合に、前記供給制御弁部を、前記液圧発生装置から後方液圧室への液圧の供給を許容する供給許容状態とする異常時供給制御弁制御部とを含む請求項19ないし21のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  23. 前記制御・駆動装置が、電気的駆動源と、その電気的駆動源により加えられる電磁駆動力により作動させられ、前記摩擦係合部材に対向して設けられた押圧ピストンと、その押圧ピストンの後方に設けられ、前記液圧発生装置に接続された後方液圧室とを備え、その押圧ピストンにより、前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に直接押し付ける電動式押付装置を含み、その電動式押付装置が前記液圧助勢アクチュエータとして、また、前記押圧ピストンが前記駆動部材として機能する請求項1ないし15のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  24. 当該ブレーキ装置が、さらに、
    作動液を加圧した状態で蓄えるアキュムレータと、
    そのアキュムレータに前記液圧発生装置の作動液を導く作動液通路と
    を含むことを特徴とする請求項1ないし23のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  25. 当該ブレーキ装置が、さらに、前記液圧発生装置において発生させられた液圧の利用の態様を変更可能な発生液圧利用装置を含む請求項1ないし24のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  26. 前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置の液圧の利用の時期、液圧の供給先、供給元、供給液圧の少なくとも1つを変更する利用態様変更装置を含む請求項25に記載のブレーキ装置。
  27. 前記ブレーキが、液圧により前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付けるブレーキシリンダを含み、
    当該ブレーキ装置が、ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、前記外部駆動力が加えられる加圧ピストンと、その加圧ピストンの後方に設けられた後方液圧室と、前記加圧ピストンの前方に設けられた加圧室とを含み、その前方の加圧室の作動液を前記ブレーキシリンダに供給可能な液圧シリンダを含み、
    前記発生液圧利用装置が、前記液圧発生装置と、後方液圧室と、ブレーキシリンダとの間の液圧の供給状態を制御する供給状態制御装置を含む請求項25または26に記載のブレーキ装置。
  28. 当該ブレーキ装置が、
    作動液を加圧した状態で蓄えるアキュムレータと、
    そのアキュムレータに前記液圧発生装置の作動液を導く作動液通路とを含み、
    前記発生液圧利用装置が、前記アキュムレータに蓄えられた液圧の利用の態様を変更可能なアキュムレータ圧利用装置を含む請求項25ないし27のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  29. 前記ブレーキが、液圧により前記摩擦係合部材を前記ブレーキ回転体に押し付けるブレーキシリンダを含み、
    当該ブレーキ装置が、ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、前記外部駆動力が加えられる加圧ピストンと、その加圧ピストンの後方に設けられた後方液圧室と、前記加圧ピストンの前方に設けられた加圧室とを含み、その前方の加圧室の作動液を前記ブレーキシリンダに供給可能な液圧シリンダを含み、
    前記発生液圧利用装置が、前記アキュムレータと、ブレーキシリンダと、後方液圧室との間の液圧の供給状態を制御するアキュムレータ圧供給状態制御装置を含む請求項28に記載のブレーキ装置。
  30. ブレーキシリンダの液圧により、ブレーキ本体に保持された摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられて、車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、
    前記ブレーキ本体を前記ブレーキ回転体の近傍の車体側固定部材にブレーキ回転体の周方向に移動可能に保持するブレーキ本体保持装置と、
    前記ブレーキ本体の移動に基づいて液圧を発生させる液圧発生装置と、
    その液圧発生装置を液圧源として、前記ブレーキシリンダの液圧を電気的に制御する電気的液圧制御部と
    を含むブレーキ装置であって、
    前記ブレーキシリンダが、(a)外部から加えられる外部駆動力と、前記液圧発生装置に発生させられた液圧に基づく液圧助勢力とに基づいて作動させられるものであり、
    前記電動式液圧制御部が、前記液圧助勢力を制御することにより前記ブレーキシリンダの液圧を制御するとともに、前記液圧助勢力の前記外部駆動力に対する比率を、当該ブレーキ装置が搭載された車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて決定する比率決定部を含むことを特徴とするブレーキ装置。
  31. 当該ブレーキ装置が、ブレーキ操作部材に連携させられた加圧ピストンを含み、加圧ピストンの前方の加圧室の作動液を前記ブレーキシリンダに供給可能なマスタシリンダと、
    前記マスタシリンダと前記ブレーキシリンダとの間に、これらを連通させる連通状態と、これらを遮断する遮断状態とに切り換え可能な遮断弁とを含み、
    前記電気的液圧制御装置が、これらマスタシリンダとブレーキシリンダとの間の、前記遮断弁よりブレーキシリンダ側に設けられた請求項30に記載のブレーキ装置。
  32. ブレーキシリンダの液圧により、ブレーキ本体に保持された摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられて、車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、
    前記ブレーキ本体を前記ブレーキ回転体の近傍の車体側固定部材にブレーキ回転体の周方向に移動可能に保持するブレーキ本体保持装置と、
    前記ブレーキ本体の移動に基づいて液圧を発生させる液圧発生装置と、
    その液圧発生装置と前記ブレーキシリンダとの間に設けられ、液圧発生装置からブレーキシリンダへの液圧の供給状態を電気的に制御する供給状態制御装置と
    を含むブレーキ装置であって、
    前記ブレーキシリンダが、(a)外部から加えられる外部駆動力と、前記液圧発生装置に発生させられた液圧に基づく液圧助勢力とに基づいて作動させられるものであり、前記供給状態制御装置が、前記供給状態を制御することにより前記ブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御部を含むとともに、その液圧制御部が、前記液圧助勢力の前記外部駆動力に対する比率を、当該ブレーキ装置が搭載された車両の状態を表す車両状態量と運転者によるブレーキ操作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量との少なくとも一方に基づいて決定する比率決定部を含むことを特徴とするブレーキ装置。
  33. 前記液圧発生装置が、複数の車輪のブレーキのうちの1つ以上のブレーキに対応して設けられ、別の1つ以上のブレーキに対応しては設けられない請求項1ないし32のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  34. 前記液圧発生装置が、複数の車輪の各々のブレーキに対応して設けられ、これら複数の液圧発生装置のうちの1つ以上が車両の前進中に液圧を発生させるものであり、別の1つ以上が後退中に液圧を発生させるものである請求項1ないし33のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
  35. 当該ブレーキ装置が搭載された車両にトレーラが連結された場合に、前記車両のブレーキ装置の前記液圧発生装置の液圧を前記トレーラのブレーキ装置に供給するトレーラ用液圧供給装置を含む請求項1ないし34のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
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