JP2002323669A - 揺動体装置、光偏向器、及び光偏向器を用いた光学機器 - Google Patents

揺動体装置、光偏向器、及び光偏向器を用いた光学機器

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JP2002323669A
JP2002323669A JP2001278957A JP2001278957A JP2002323669A JP 2002323669 A JP2002323669 A JP 2002323669A JP 2001278957 A JP2001278957 A JP 2001278957A JP 2001278957 A JP2001278957 A JP 2001278957A JP 2002323669 A JP2002323669 A JP 2002323669A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非常に小型化できて耐久性が高くでき2次元走
査可能な構造にもできる光偏向器等の揺動体装置であ
る。 【解決手段】揺動体装置は、軟磁性体或いは硬磁性体か
らなる可動コア7A、7Bを有する揺動体5と、コイル9A、9
Bを周回させた固定コア10A、10Bと、揺動体5を支持基板
に対して揺動可能に支持する弾性支持部6を有する。可
動コア7A、7Bと固定コア10A、10Bは、揺動体5の揺動方
向に対し垂直方向にずれて略平行に空隙を介して対向す
る対向面を夫々有して配置され、揺動体5が揺動するに
伴って前記各々の対向面の前記垂直方向から見た重なり
部分の面積が変化するように形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、揺動体を有する揺
動体装置に関し、特には、入射された光を偏向するのに
用いられ、特に小型で高耐久性を有する2次元的に光偏
向可能な光偏向器、その製造方法、及び該光偏向器を用
いて構成した光学機器等に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、レーザ光等の光ビームを偏向・走
査する装置(以下光偏向器)は、レーザープリンタ、バ
ーコードリーダ等の光学機器に用いられている。これら
の機器に組み込まれる光偏向器として、従来、側面がミ
ラー面である多角柱を回転させて、入射した光の反射方
向を変化させるポリゴンミラー、平面鏡を電磁アクチュ
エータによって回転振動させるガルバノミラーなどがあ
る。
【0003】しかしながら、ポリゴンミラーではミラー
を回転させる電磁モータ、ガルバノミラーでは機械巻き
の駆動コイルと磁場発生のための大型のヨークが必要
で、主に、出力トルクの理由からこれらの機械要素の小
型化には限度がある。また同時に、各構成部材を組上げ
る際のスペース等から、光偏向のための装置全体のサイ
ズが大型化するという問題点があった。
【0004】また、2次元状に光を走査させる場合、一
般的に、ポリゴンミラーとガルバノミラーの組み合わ
せ、或いはポリゴンミラー2枚の組み合わせが用いられ
るが、正確な2次元走査を行うためには、それぞれのミ
ラーによる走査方向が互いに直交にするよう配置する必
要があり、光学調整が非常に煩雑であった。
【0005】一方、半導体製造技術を応用して微小機械
を半導体基板上に一体形成するマイクロマシニング技術
を用い、上記問題点を解決する目的で提案された光偏向
器として、特開平7-175005号公報、特開平07-181414号
公報等で開示されたものが知られている。
【0006】図24(a)は特開平7-175005号公報の実施例
の1つを示す上面図である。全反射ミラー1008である光
反射面を有する平板状の可動板1005が、モノリシックな
シリコンをベースとするねじり可能な2つのねじりバネ1
006により、シリコン基板1002である半導体基板に対し
て揺動可能に軸支される構造となっている。図24(a)
中、1001はガルバノミラー、1003は上側ガラス、1004は
下側ガラス、1007は平面コイル、1009はコンタクトパッ
ド、1010A、1011A、1010B、1010Cは永久磁石をそれぞ
れ示している。この構造において、前記可動板1005の周
縁部に、通電により磁界を発生する駆動用平面コイル10
07が敷設されており、そして前記ねじりバネ1006の軸方
向と平行な前記駆動平面コイル1007の部分のみに静磁界
を与えるよう、半導体基板1002の上下面に、互いに対を
なす永久磁石1010A、1010B;1011A、1010Cがそれぞれ
上下ガラス基板1003、1004を介して設置されている。
【0007】この光偏向器では、駆動用平面コイル1007
に通電し、該平面コイル1007を流れる電流と永久磁石10
10A、1010B;1011A、1010Cによる磁束密度により、フ
レミングの左手の法則に従った方向にローレンツ力F
(不図示)が働き、可動板1005を回転するモーメントが
発生する。可動板1005が回動されると、ねじりバネ1006
のバネ剛性によりバネ反力F’が発生する。可動板1005
の静的な変位は、このローレンツ力Fとバネ反力F’の釣
り合い関係から導かれる。平面コイル1007に流す電流を
交流として連続的に反復動作すれば、光反射面1008を有
する可動板1005が回動振動し、これにより反射光を走査
する。
【0008】次に、図24(b)は特開平07-181414号公報の
実施例の1つを示す斜視図である。曲げモードθBとねじ
れ変形モードθTの2つの弾性変形モードを有する弾性支
持部2003の一端に、圧電振動子等の微小振動を発生する
小型の駆動源2006を設け、弾性支持部2003の他端を光反
射面2007を有する振動子2002とした構成となっている。
図24(b)中、2004は振動入力部、2006は振動源、2008は
ミラー支持部、2009はプレートをそれぞれ示している。
【0009】この光偏向器は、振動源2006からの振動に
よって、弾性支持部2003が曲げ振動とねじれ振動を起こ
す。素子の構成によって、曲げとねじれのそれぞれに固
有の共振振動モードを持っているため、これら2つの共
振周波数の周波数成分を含む振動を振動源2006で発生さ
せることにより、弾性支持部2003がこれらの共振周波数
で共振する。これにより、反射面2007を有する振動子20
02は2次元的に反射光を走査する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図24
(a)、(b)に示した光偏向器は小型で2次元走査可能な光
偏向器を構成するが、それぞれ以下のような問題を抱え
ている。
【0011】特開平7-175005号公報の図24(a)の光偏向
器においては、光を走査する際の光の振れ角を大きくし
ようとすると、上下ガラス基板1003、1004と可動板1005
の距離を大きくしなければならない。そうなると、永久
磁石1010A、1010B;1011A、1010Cと駆動用平面コイル1
007の相対的な距離が大きくなり、平面コイル1007にお
ける永久磁石の磁束密度は弱くなる。すると、可動板10
05の駆動に、大きな電流を平面コイル1007へ流す必要が
生じるため、偏向角が大きい省電力の光偏向器を構成で
きない。また、外部磁界(永久磁石1010A、1010B;101
1A、1010C)を振動部分(可動板1005)の外側に配置し
なければならず、素子全体の外形寸法が大きくなる。更
に、平面コイル1007を備える可動板1005も大きくなる。
【0012】また、図24(a)の光偏向器においては、可
動板1005を駆動するための駆動用平面コイル1007の配線
が、ねじりバネ1006の部分にパターニングされている。
そのため、可動板1005駆動時のねじりバネ1006の繰り返
し運動によって、配線の金属材料が疲労破壊して断線す
る可能性があり、このような配線の断線事故が素子の寿
命を大きく制限してしまう。更に、平面コイル1007を備
える可動板1005も大きくなる。
【0013】次に、特開平07-181414号公報の図24(b)の
光偏向器においては、共振周波数以外で駆動を行って光
走査することができないため、走査スピードや走査波形
が制限されてしまう。また、反射面2007の位置を保持す
るような駆動を行うことができない。
【0014】また、図24(b)の光偏向器においては、1つ
の弾性支持部2003が曲げモードとねじりモードの2つの
変形モードで振動するため、2次元走査の場合、曲げ応
力とせん断応力の合力が作用して単一の応力に比べて弾
性支持部2003に大きな内部応力が発生する。そのため、
弾性支持部2003が破損しやすく、素子の寿命を大きく制
限してしまう。
【0015】本発明は、上記従来の光偏向器の問題点に
鑑みてなされたものであって、非常に小型化できて耐久
性が高くでき2次元走査可能な構造にもできる光偏向器
等の揺動体装置、その製造方法、該光偏向器を用いて構
成した光学機器等を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
する本発明の揺動体装置は、軟磁性体または硬磁性体か
らなる可動コアを有する揺動体と、コイルを周回させた
固定コアと、前記揺動体を支持基板に対して揺動可能に
支持する弾性支持部とを有する揺動体装置であって、前
記可動コアと固定コアとは、揺動体の揺動方向に対し垂
直方向にずれて略平行に空隙を介して対向する対向面を
夫々有して配置され、前記揺動体が揺動するに伴って前
記各々の対向面の前記垂直方向から見た重なり部分の面
積が変化するように形成されていることを特徴とする。
【0017】この基本の形態のように、反射面などを有
する揺動体に可動コアを構成し、基板面内方向に磁束が
流れる様にする向きにコイル、固定コアを構成し、固定
コア、可動コアを揺動方向に平面位置が異なり、互いの
対向面が対向するよう配置したことにより、基板法線方
向へ発生力を有する電磁アクチュエータとできる。そし
て、可動コアの前記揺動方向の厚さを適切に設定すれ
ば、長ストロークにおいても大きな発生力を得ることが
できる。また、可動部分への電気的配線を行わないの
で、配線の断線事故の可能性がなく長寿命の光偏向器等
の揺動体装置を構成することができる。
【0018】前記コイルを周回させた固定コアと前記揺
動体に接合された軟磁性体の可動コアを有する揺動体装
置の駆動原理は、次の様になる。軟磁性体の可動コアの
磁極は決まっておらず、固定コアに磁束が発生する時に
は磁束を切る軟磁性体の断面積の増す方向に磁束内へ軟
磁性体が吸引される駆動力が起こり、磁束消滅時にはそ
れから解放される。軟磁性体の可動コアの場合、下記空
隙を含む直列磁気回路が容易に構成できる。
【0019】これに対して、可動コアが硬磁性体で形成
される場合には、通常には着磁される硬磁性体の磁極は
決まっており(着磁されていない硬磁性体を使うことは
あるのでしょうか?)、可動コアと固定コアの間に生じ
る異或いは同磁極間の磁力(吸引力或いは反発力)によ
り揺動体を駆動することが可能である。この場合、保持
力が大きな硬磁性体を用い、着磁が大きな可動コアを形
成することによって、固定コアを周回するコイルの巻
数、印加電流を増加させずに、発生力を大きくすること
が可能となる。このため、小型、省電力で大発生力のア
クチュエータ等を構成することができる。
【0020】また、固定コアがねじり軸を挟んで2つ以
上形成されている場合には、可動コアの磁化の向きによ
り固定コアとの間に生じる反発力と吸引力を利用して、
揺動体の駆動方向への偶力を発生させることができる。
したがって、同時に揺動体の両端にトルクをかけられる
ために発生力が増し、更に、揺動方向以外の変位が生じ
にくい構成とすることができる。
【0021】上記の基本構成に基づいて、以下の如きよ
り具体的な形態が可能である。前記可動コアと前記コイ
ルを周回させた固定コアは前記空隙を介して直列磁気回
路を構成する様にできる。この構成では、固定コアを適
当な形状にしておいて、可動コアを空隙を介して該固定
コアに対して配置すればよいので、柔軟な設計が可能で
ある。典型的には、可動コアと固定コアで空隙を介して
閉じた直列磁気回路を構成するが、閉じた磁気回路でな
く可動コアをコイルを周回させた2つの固定コアで空隙
を介して挟む様な構成も可能である。
【0022】前記固定コアは、前記可動コアの各対向面
と対向する2つの対向面が可動コアを挟んで対向してい
る略C字形状を有する様にできる。この様に固定コアの
空隙の形状を構成することで、磁束の漏れを低減し、高
効率に発生力を得ることが可能である。また、発生力は
固定コアと可動コア間の空隙のパーミアンスによって決
まり、そのため、この形態では、可動コアの最も長い辺
全てを磁路の幅として構成できるため効果的に大きな発
生力を得ることができる。
【0023】前記固定コアは、前記可動コアの対向面と
対向する2つの対向面が同一平面内にある略U字形状を有
する様にもできる。この形態のように、固定コアの空隙
の形状を構成することで、固定コアが揺動体の底面と干
渉する恐れが全くない光偏向器等を構成可能となり、大
きな偏向角の光偏向器を比較的容易に実現できる。
【0024】前記弾性支持部は前記揺動体を揺動自在に
支持するねじりバネで構成されていて、前記可動コア
が、前記ねじりバネのねじり軸方向と平行な方向に伸び
る前記揺動体の周縁部にのみ形成されている様にもでき
る。この形態のように、弾性支持部をねじり振動自在な
ねじりバネとし、可動コアをねじりバネの軸方向と平行
な揺動体の周縁部にのみ形成することで、揺動体への駆
動トルクを考慮した場合、モーメントアームが最も大き
くなる部分に可動コアを形成できて、効率良くねじり振
動を行うことができる。
【0025】前記弾性支持部は前記揺動体を揺動自在に
支持するねじりバネで構成されていて、前記可動コア
が、前記ねじりバネのねじり軸方向と垂直な方向に伸び
る前記揺動体の周縁部にのみ形成されている様にもでき
る。この形態のように、弾性支持部はねじり振動自在な
ねじりバネで構成されていて、可動コアをねじりバネの
軸方向と垂直な揺動体の周縁部に形成することで、固定
コアの空隙形状によらず、可動コアと固定コアの対向面
が揺動方向に全く干渉しない構成とすることができ、大
きな偏向角の光偏向器等を比較的容易に実現できる。
【0026】前記弾性支持部は前記揺動体を揺動自在に
支持するねじりバネで構成されていて、前記可動コア
が、前記揺動体と同一平面内で前記ねじりバネのねじり
軸方向と垂直な方向に伸びて、前記揺動体の周縁部から
突起状に形成されている様にもできる。この形態のよう
に、弾性支持部はねじり振動自在なねじりバネで構成さ
れていて、可動コアを支持基板と同一平面内で、ねじり
バネの軸方向と垂直な方向に揺動体の周辺部から突起状
に突出した構成とすることで、上記の形態よりモーメン
トアームを大きくして、更に大きなトルクを発生するこ
とができる。
【0027】これらの3つの形態では、前記可動コア
が、各々直列磁気回路を構成する前記固定コアの近傍に
のみ形成されているため、前記揺動体の駆動方向以外へ
の不要な発生力を生じない構成とすることができる。特
に、ねじり軸を挟んで前記固定コアが形成されている側
と反対側に渡って前記可動コアが形成されている場合
(この例の典型は、揺動体の全面に渡って可動コアが形
成されている場合である)、本発明の基本の形態のよう
な前記可動コア、前記固定コアの位置関係では、ねじり
軸を挟んで前記固定コアと反対部分の前記可動コアにも
前記固定コアの電磁力が作用してしまう。このため、ね
じり軸を挟んで固定コアと同じ側の前記可動コアに発生
するトルク(すなわち揺動体を所望方向に駆動させるト
ルク)とは逆向きのトルクが発生してしまう。
【0028】したがって、直列磁気回路を構成する前記
固定コアの近傍にのみ可動コアが形成されている本形態
のような構成とすることにより、効果的に発生力を揺動
体の駆動に利用することができるアクチュエータ等が構
成可能となる。
【0029】また、揺動体の駆動時に、前記可動コアは
前記固定コアにより交番磁化を受けヒステリシス損失や
うず電流損失(所謂鉄損)を生じる。これらの損失は全
く不要な損失であるため、アクチュエータ等の効率を低
下させてしまう。固定コアの近傍にのみ可動コアが形成
されている本形態の前記可動コアは、交番磁化される量
が少ないため、これらの損失を低減することができ、高
効率、省電力の電磁アクチュエータ等を構成可能とな
る。
【0030】同時に、これらの損失は発熱を伴い前記可
動コアや前記揺動体を熱で変形させてしまう原因とな
る。特に、前記可動コアが前記揺動体の全面にわたって
形成される場合には、前記可動コアと前記揺動体の熱膨
張率の差により更に大きな変形ストレスが揺動体に加わ
る。一方、本形態では可動コアの形成個所が前記揺動体
の一部分であるため、発熱が起きにくく、熱膨張の異な
る可動コアと揺動体の界面の領域も少ないため、このよ
うな可動コアの発熱による揺動体の変形を抑えることが
できる。更には、可動コアが揺動体の全面にわたって形
成される場合に比べて、本形態では可動コアの形成個所
が揺動体の一部分であるため、揺動体の慣性モーメント
を比較的小さくできて高速駆動が容易になる。
【0031】前記コイルを周回させた固定コアが、前記
揺動体に対して、前記ねじりバネの回動中心軸を挟んだ
両側に夫々1つ以上配置され、各々前記揺動体に形成さ
れた前記可動コアと直列磁気回路を形成する様にもでき
る。この形態のように、コイル及び固定コアを、1つの
揺動体に対してねじりバネの回動中心軸を隔てて少なく
とも1つずつ(合計2つ以上)配置することにより、各々
前記揺動体に形成された前記可動コアと直列磁気回路を
形成し、交互にコイルに通電することで、共振周波数以
外で揺動体を駆動させる場合でも、走査角を損なうこと
なく高効率に光偏向等を行うことが可能となる。
【0032】前記コイルを周回させた固定コアが、前記
揺動体に対して、前記ねじりバネの回動中心軸を挟んだ
両側のどちらか一方側に1つ以上配置され、前記揺動体
に形成された前記可動コアと直列磁気回路を形成する様
にもできる。この形態のように、コイル及び固定コア
を、1つの揺動体に対してねじりバネの回動中心軸を隔
てて揺動体のどちらか一方の側に少なくとも1個配置
し、揺動体に形成された可動コアと直列磁気回路を形成
することで、駆動に必要な可動コアの慣性モーメントを
低減できる。また、コイル及び固定コアの占有面積を低
減できるので素子全体を小型化できる。
【0033】前記コイルを周回させた固定コアが、前記
揺動体に対して、前記ねじりバネの回動中心軸を挟んだ
両側に夫々2つずつ、計4つ配置され、各々前記揺動体に
形成された前記可動コアと直列磁気回路を形成する様に
もできる。この形態のように、コイル及び固定コアを、
1つの揺動体に対してねじりバネの回動中心軸を隔てて2
つずつ、計4個配置し、各々揺動体に形成された可動コ
アと直列磁気回路を形成することで、ねじりバネの回動
中心軸を隔てて1つずつ、計2個配置する場合より、同数
巻きコイルで固定コアの占有面積を低減することがで
き、揺動体装置全体をより小型化できる。また、特に、
4個配置の場合、それぞれに2次元揺動時の駆動の1方向
を効果的に割り当てることができる。
【0034】前記弾性支持部はねじり振動及び曲げ振動
自在な4つのバネで構成されていて、夫々一対のバネで
構成するねじり振動の2つの中心軸を互いに直交させて
前記揺動体を2次元的ねじり可能に弾性支持し、前記可
動コアは前記バネの形成方向と揺動体面内で45度ずれて
十字型に交差して4つ形成されていて、前記コイルを周
回させた固定コアが前記揺動体に形成された前記可動コ
アと直列磁気回路を形成するように4つ対向配置され、
前記コイルのいずれかに通電することにより前記揺動体
を1方向に揺動させ、前記コイルを選択的に使用して前
記揺動体の2次元揺動を行う様にもできる。この形態の
ように、弾性支持部はねじり振動及び曲げ振動自在なバ
ネで構成されていて、揺動体をねじり振動の中心軸が互
いに直交するように2次元のねじり方向に弾性支持し、
可動コアをこの弾性支持部の構成方向と基板平面内に十
字型に交差して構成し、コイル及び固定コアを揺動体に
形成された可動コアと直列磁気回路を形成するように対
向配置したことで、2次元に偏向可能な光偏向器等を1つ
の素子で実現できる。
【0035】前記コイルを周回させた固定コアは、前記
支持基板とは別の第2基板上に作製され、スペーサ基板
を介して前記支持基板と第2基板を所定の関係で接合し
て、前記可動コアと前記固定コアが空隙を介して直列磁
気回路を構成するように配置される様にもできる。この
形態のように、半導体製造技術を用いて、光偏向子など
を持つ揺動体・弾性支持部・可動コアを同一基板上に一
体形成し、またコイルおよび固定コアを別の第2基板上
に一体形成し、それらを適切なアライメント機構を備え
たスペーサ基板を介して組み合わせる構成とすることに
より、可動コアと固定コアとの空隙を高精度に狭く制御
して、本発明の光偏向子などの揺動体装置を小型にで
き、発生力を大きくできる。
【0036】前記弾性支持部は単結晶シリコンから成る
様にもできる。単結晶シリコンは、入手の容易で機械特
性に優れた(すなわち、比較的軽量でありながら物理的
強度、耐性、寿命に優れた)材料である。この形態のよ
うに、弾性支持部を単結晶シリコンとすることで、弾性
支持部の減衰係数が小さくなるため、共振で利用した場
合、大きなQ値を得ることができる。また、金属材料の
ように繰り返し変形による疲労破壊が起きないので、長
寿命の光偏向器等を構成可能となる。
【0037】前記可動コアは鉄−ニッケルを含む合金か
ら成る様にもできる。この形態では、飽和磁束密度が大
きく、残留磁束が少なく、損失が少ない磁性材料で可動
コアや固定コアを構成できることとなり、ほぼ理想的な
磁気回路構成とし、本発明の光偏向器等の揺動体装置を
高効率にできる。
【0038】本発明の揺動体装置は、前記揺動体が一つ
であり、一直線に沿って伸びた一対のねじりバネによっ
て該揺動体が前記支持基板に対して弾性的に略該直線の
回りに揺動自由に支持されている形態を採り得る。前記
揺動体が複数であり、該複数の揺動体が入れ子式に配置
され、各揺動体が、各直線に沿って伸びた一対のねじり
バネによって、その外側の揺動体或いは前記基板に対し
て弾性的に略該各直線の回りに揺動自由に支持されてい
る形態も採り得る。必要であれば、3つ以上の揺動体が
入れ子式に配置された形態も実現できる。前記各直線が
互いに成す角度は、典型的には90度であるが、これ
も、必要であれば90度以外の角度であってもよい。
【0039】典型的には、前記揺動体は偏向子を有し、
光偏向装置として構成される。この偏向子は、光を反射
する反射面であったり、回折格子であったりする。光偏
向子を反射面とすることで作製が容易で可動部分の質量
の小さい光偏向器等を実現できる。また、光偏向子を回
折格子とすることで、入射光を複数のビームとし偏向す
ることができる。
【0040】揺動体装置は、揺動体アクチュエータとし
て構成されたり、基板と揺動体の相対変位を検出する変
位検出手段を有する力学量センサとして構成されたりす
ることもできる。変位検出手段としては、従来公知のも
のを使用できる。
【0041】更に、上記目的を達成する本発明の画像表
示装置は、光源(変調可能な半導体レーザなど)と、前
記光源から出射された光を偏向する上記の光偏向器を少
なくとも1つ以上配置した光偏向器または光偏向器群と
該光偏向器または光偏向器群により偏向された光の少な
くとも一部を投影するレンズとを有することを特徴とす
る。前記光源の変調と前記光偏向器の揺動体の動作は制
御手段で制御される。本発明の光偏向器を画像表示装置
に応用することで、従来の画像表示装置と比べて非常に
小型で安価な画像表示装置が実現可能となる。
【0042】更に、上記目的を達成する本発明の光偏向
器の製造方法は、前記支持基板が、前記支持基板上に前
記偏向子を形成する工程と、前記支持基板上に前記可動
コアを形成する工程と、前記支持基板に前記弾性支持部
と前記揺動体を形成する工程により製造されることを特
徴とする。
【0043】前記支持基板にエッチング加工により位置
決め用の溝を形成する工程を更に含んでもよい。このよ
うに、あらかじめエッチング加工により溝を形成した支
持基板上に、偏向子を形成し、その後可動コアを形成
し、最後に揺動体、弾性支持部を形成することで、マイ
クロマシニング技術を用いて本発明の光偏向器を製造可
能となり、小型且つ高精度の加工を施すことができる。
【0044】前記コイルを周回させた固定コアを備える
と共に位置決め用の溝を形成した第2基板及び位置決め
用の溝を形成したスペーサ基板を別に製造しておいて、
ファイバを介して前記夫々の溝を合わせることで所定の
関係を確立して前記支持基板を前記スペーサ基板を介し
て前記第2基板と接合することで光偏向器の製造をする
こともできる。
【0045】前記支持基板上に前記可動コアを形成する
工程は、前記支持基板上にメッキ用電極を形成する工程
と、メッキ用電極を備えた前記支持基板上に感光材料を
設ける工程と、該感光性材料を高エネルギー放射光によ
り部分的に感光した後、感光部と非感光部のエッチング
速度差を用い所望部を現像除去する工程と、該現像除去
した部分に金属をメッキして充填する工程とを含んでい
る様にできる。可動コアの製造方法としては、支持基板
上に磁性材料を精密加工する必要があり、電極を備えた
支持基板にリソグラフィにより感光材料で形成した雛型
に電気メッキによって磁性材料を充填し、可動コアを形
成することにより、高精度且つ安価に可動コアを形成す
ることができる。
【0046】前記高エネルギー放射光として波長400nm
以下の波長光を使用することができる。高エネルギー放
射光を、通常のフォトリソグラフィに用いられる波長40
0nm以下の紫外線とすることは、リソグラフィの為の装
置、工程に要する時間、製造コストなどの点で好まし
い。この場合、感光材料として例えば、 SU-8(Micro C
hem製)等を用いれば、数百μm程度の厚さの雛型を形成
可能であり、この場合、可動コアをより安価に作製可能
となる。
【0047】前記支持基板に前記弾性支持部と前記揺動
体を形成する工程が、前記弾性支持部と前記揺動体を前
記支持基板のエッチング加工により形成する工程を含む
様にもできる。弾性支持部及び揺動体の製造方法として
は、弾性支持部は上記のように単結晶シリコンで形成す
ることが好ましく、同時に揺動体も部材の密度が小さい
ことから単結晶シリコンで形成することが好ましい。単
結晶シリコンの加工法を考えた場合、破断を考慮すると
平滑でバリのない加工法が好ましい。したがって、支持
基板をエッチング加工することにより破断しにくい単結
晶シリコンの構造体を形成可能となり、本発明の光偏向
器をほぼ理想的な加工面で製造可能となる。
【0048】前記弾性支持部と前記揺動体をエッチング
加工により形成する工程が、前記支持基板を前記可動コ
アの形成されない面からのみエッチング加工する工程で
ある様にもできる。この形態のように、可動コアの形成
されていない面からのみエッチング加工を行うことで、
既に前工程で形成されている可動コアにエッチング加工
の工程による損傷を与えることなく本発明の光偏向器を
製造可能となる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を明
らかにすべく、図面を参照しつつ実施例を説明する。
【0050】(実施例1)図1に本発明の実施例1による光
偏向器1を示す。図1は本実施例の光偏向器1の上面図、
図2は図1のA-A線に沿う断面図である。図3は一部を示す
斜視図である。
【0051】本実施例の構成を説明する。先ず、基板の
基本構成を述べる。この光偏向器1は、図2に示すよう
に、半導体基板である第1支持基板2と第2支持基板4をス
ペーサ基板3の上下面に接合した3層構造となっている。
この接合は、第2支持基板4上のアライメント溝13C内の
ファイバ14とスペーサ基板3のアライメント溝13B、スペ
ーサ基板3上のアライメント溝13B内のファイバ14と第1
支持基板2のアライメント溝13Aを用いてアライメントを
行なって、行われる。図1、図3に示すように、枠状の第
1支持基板2には、可動板5が一対のねじりバネ6で弾性的
にねじれ振動自在に支持されている。可動板5の一方の
面には反射面8が設けられ、もう一方の面には可動コア7
A、7Bが形成されている。これら可動板5、反射面8、可
動コア7A、7B、及びねじりバネ6は、共に半導体製造技
術を応用したマイクロマシニング技術によって一体的に
形成されている。特に、可動コア7A、7Bは、ねじりバネ
6のねじり軸と平行な可動板5の対辺のみに平板状に形成
されている。
【0052】図1に示すように、第2支持基板4には、ね
じりバネ6のねじり軸を挟んで2個ずつ配置されたC字型
の固定コア10A、10Bと、そのコア周りに通電により基板
面内方向に流れる磁束を発生するコイル9A、9Bが敷設さ
れている。コイル9A、9Bは電流源(不図示)に接続さ
れ、電流源により可動板5の動作を制御する。C字型の固
定コア10A、10Bとコイル9A、9Bも、共にマイクロマシニ
ング技術によって基板4上に一体形成されている。
【0053】次に、本実施例の光偏向器の製造方法につ
いて説明する。本実施例では、第1支持基板2、スペーサ
基板3、第2支持基板4を別々のプロセスで作製し、ファ
イバ14を用いてアライメント溝13A、13B、13Cによりア
ライメントを行ってそれら基板を接合し光偏向器1を構
成する。
【0054】ここで、図4を用いて、第1支持基板2に一
体的に形成される可動板5、反射面8、可動コア7A、7B、
及びねじりバネ6の製造方法を説明する。第1支持基板2
としては、(100)方位のシリコン基板を用いる。
【0055】まず、熱酸化により、基板2両面に酸化シ
リコンのマスク層101を成膜する。次に、フォトレジス
ト等をマスクとして、アライメント溝13Aの形成予定部
分のマスク層101をバッファードフッ酸によるウエット
エッチングで除去する。次に、レジストを除去した後、
アライメント溝13Aの形成予定部分のみがエッチング液
に曝されるように、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド水溶液を用いたシリコン異方性エッチングを行い、
所定の位置にアライメント溝13AとなるV溝を形成する
(図4(a))。
【0056】アライメント溝13A形成後、再びバッファ
ードフッ酸を用いて基板2両面のマスク層101を除去す
る。適切な洗浄工程の後、アライメント溝13Aが形成さ
れている面(以下、表面という)に、電気メッキを行う
ための種電極層111としてクロムを蒸着した上に、銅を
蒸着する。さらに、アライメント溝13Aが形成されてい
ない面(以下、裏面という)に反射膜8としてAlを蒸着
する。ここで、反射膜8をパターニングする目的でフォ
トレジスト膜102を塗布する(図4(b))。
【0057】ここで、フォトレジスト層102を露光およ
び現像し、Alを侵食する溶液(例えば、H3PO4・HNO3・C
H3COOH・H2O混合液等)を用いたウエットエッチングに
よりAlのパターニングを行う。こうして裏面に反射膜8
が形成される。この際、種電極層111を保護する保護膜
を種電極層111上に形成しておくとよい。次に、表面に
フォトレジスト層112を塗布する。本実施例では、厚塗
りに適したSU-8(Micro Chem製)を使用した。 フォト
レジスト層112を、露光および現像し、パターニングを
行う。この工程で除去された部分が、可動コア7A、7Bの
雌型となる(図4(c))。
【0058】次に、種電極層111に電圧を印加しなが
ら、パーマロイ層113の電気メッキを行う(図4
(d))。パーマロイ層113を所望の厚さ電気メッキした
後、表面のフォトレジスト層112と裏面の保護膜102を除
去し、パーマロイ層113を保護するための保護膜122とし
てポリイミドを塗布する。ポリイミドの保護膜122形成
後、裏面に次工程のマスクとなるフォトレジスト層123
を塗布する。フォトレジスト層123を露光および現像
し、可動板5及びねじりバネ6を形成する為のパターニン
グを行う。ここで、ICP-RIE(Inductively coupled pla
sma-Reactive ion etching)装置を用いてシリコン2の
ドライエッチング加工を行い、可動板5及びねじりバネ6
を形成する(図4(e))。
【0059】最後に、残った保護膜122、種電極層111、
フォトレジスト層123をそれぞれ除去する。こうして、
第1支持基板2に、可動板5、反射面8、可動コア7A、7B、
ねじりバネ6、及びアライメント溝13Aが一体形成される
(図4(f))。
【0060】次に、第2支持基板4上に一体的に形成され
るコイル9A、9B及び固定コア10A、10Bの製造方法を説明
する。
【0061】本実施例では、コイル9A、9B及び固定コア
10A、10Bを、コイル下面配線114、コイル側面配線115、
コイル上面配線116の順番でマイクロマシニング技術に
より作製した。 以下、図5 を用いて、さらに詳しく説
明する。図5の(a)〜(l)において、図5の左側と右
側の各部分は、それぞれ、図1におけるB-BとC-Cの各断
面図である。
【0062】第2支持基板4としては、(100)方位のシリ
コン基板を用いる。まず、第2支持基板4両面に、熱酸化
により、酸化シリコンのマスク層101 を成膜する。フォ
トレジスト等をマスクとして、アライメント溝13Cの形
成予定部分のマスク層101をバッファードフッ酸による
ウエットエッチングで除去する。次に、テトラメチルア
ンモニウムヒドロキシド水溶液を用いたシリコン異方性
エッチングを行い、所定の位置にアライメント溝となる
V溝13Cを形成する(図5(a))。
【0063】アライメント溝13C形成後、再びバッファ
ードフッ酸を用いて基板4両面のマスク層101を除去す
る。そして、コイル下面配線114として、銅を蒸着によ
り成膜し、パターニングする(図5(b))。次に、下面
配線−コア間絶縁層117としてポリイミドを塗布し、パ
ターニングする(図5(c))。
【0064】次に、電気メッキを行うための種電極層11
1としてクロムを蒸着した上に、金を蒸着する(図5
(d))。次に、フォトレジスト層112を塗布する。本実
施例では、厚塗りに適したSU-8(Micro Chem製)を使用
した(図5(e))。
【0065】次に、フォトレジスト層112を、露光およ
び現像し、パターニングを行う。この工程で除去された
部分が、固定コア10A、10B、コイル側面配線115の雌型
となる(図5(f))。次に、種電極層111に電圧を印加
しながら、パーマロイ層113の電気メッキを行う(図5
(g))。
【0066】次に、フォトレジスト層112と種電極層111
をドライエッチングで除去する(図5(h))。次に、エ
ポキシ樹脂119を塗布し、上面を機械的に研磨して平坦
化する(図5(i))。
【0067】次に、固定コア10Aの上面に上面配線−コ
ア間絶縁層118としてポリイミドを塗布し、パターニン
グする(図5(j))。次に、上面配線−コア間絶縁層11
8の上面にコイル上面配線116として銅を蒸着し、パター
ニングする(図5(k))。
【0068】最後に、エポキシ樹脂119を除去する(図5
(l))。以上により、第2支持基板4に、アライメント
溝13C、コイル9A、9B、固定コア10A、10Bが一体形成さ
れる。
【0069】続いて、図6を用いて、スペーサ基板3の製
造方法を説明する。スペーサ基板3としては、(100)方位
のシリコン基板を用いる。まず、スペーサ基板3両面
に、熱酸化により、酸化シリコンのマスク層101 を成膜
する。フォトレジスト等をマスクとして、アライメント
溝13Bの形成予定部分のマスク層101をバッファードフッ
酸によるウエットエッチングで除去する。同様に基板3
のもう一方の面にも上記フォトレジストプロセスとエッ
チングプロセスを繰り返す。
【0070】次に、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド水溶液を用いたシリコン異方性エッチングを行い所
定の位置にアライメント溝となるV溝13Bを形成する(図
6(a))。アライメント溝13B形成後、再びバッファー
ドフッ酸を用いて基板3両面のマスク層101を除去する。
【0071】基板3の何れか一方の面に、次の工程での
マスクとなるフォトレジスト層102として、フォトレジ
ストを塗布し、これを露光・現像する(図6(b))。
【0072】この露光・現像後、ICP-RIE装置を用いて
シリコンのドライエッチング加工を行い、図6(c)に示
すような貫通孔を形成する。
【0073】以上により、スペーサ基板3に、アライメ
ント溝13Bと貫通孔が形成される。
【0074】続いて、第1支持基板2と第2支持基板4とス
ペーサ基板3を接合する。これらの接合は、まず、第2支
持基板4のアライメント溝13Cにファイバ14を置いた後
に、これにスペーサ基板3のアライメント溝13Bが一致す
るようにスペーサ基板3を配置し、ファイバ14を設置し
たアライメント溝に接着剤を入れて接着剤を硬化するこ
とで行った。同様に、スペーサ基板3の上面のアライメ
ント溝13Bにファイバ14を設置し、これに第1支持基板2
のアライメント溝13Aが一致するように第1支持基板2を
配置、接着する。これにより、スペーサ基板3の上下面
に、第1支持基板2と第2支持基板4を所定のアライメント
精度を持って接合し、3層構造を持つ本実施例の光偏向
器とすることができる。
【0075】以上のように構成されたC字型固定コアを
持つ本実施例の光偏向器の動作原理を説明する。
【0076】本実施例の光偏向器の可動板5の回動振動
は、可動コア7A、7Bを磁気的に吸引することによって行
い、こうして可動板5上に形成された反射面8を連続的に
回動振動させることにより、ここに入射した光を偏向・
走査することができる。
【0077】以下に詳細に説明する。本明細書において
「C字型の固定コア」とは、図1のように固定コア10Aの
形状が、その両端面が対向するように構成されている固
定コアとする。
【0078】ねじりバネ6の中心軸から片側のみ(可動
コア7A、コイル9A及び固定コア10A)の状況を説明して
いる図3を用いて動作原理を説明する。
【0079】電流源からコイル9Aに電流を流すと、固定
コア10A中に矢印の向きに磁束が発生する。この磁束
は、矢印Φで示した方向に、固定コア10A、空隙12B、可
動コア7A、空隙12A、固定コア10Aの順に磁気回路を周回
し、可動コア7Aが、固定コア10Aとのオーバーラップ量x
を増加させる方向、つまり可動板5法線方向Fに引き込
まれる。
【0080】ここで、可動コア7Aと固定コア10A間の空
隙のパーミアンスPg(x)は、 Pg(x)=μ0w{(t-(x+x0))/(R+2δ)+(x+x0)/2δ} (1) で与えられる。ここで、μ0は真空の透磁率、δは空隙
の距離、tは固定コアの厚さ(F方向の長さ)、Rは可動
コアの厚さ、wは可動コアの幅(方向Φの長さ)、xは
可動コアの変位、x0は初期状態のオーバーラップ長さで
ある。
【0081】磁気回路を構成する空隙以外のパーミアン
スをPとすると、磁気回路全体のポテンシャルエネルギ
Wは、 W=1/2・(1/P+1/Pg)-1(Ni)2 (2) で与えられる。ここで、Nはコイル9Aの巻数、iはコイ
ル9Aに流れる電流である。
【0082】比透磁率が十分大きな磁性材料で、可動コ
ア7Aと固定コア10Aを構成すると、P gと比べPはほぼ無限
大とみなすことができる。したがって、空隙部に生じる
発生力Fは、 F=-dW/dx=-μ0w/2・{1/(2δ)-1/(R+2δ)}(Ni)2 (3) で与えられる。これにより本発明のC字型固定コアを配
した光偏向器では、発生力Fが、コイルの巻数N、電流i
の2乗に比例することが分かる。
【0083】可動コア7Aは、図3のように、可動板5にお
いてモーメントアームを有する位置に構成されているた
め、この発生力Fにより可動板5を回動するようなトルク
が発生する。
【0084】一方、可動板5が回動することによりねじ
りバネ6が捩じられ、これによって発生するねじりバネ6
のバネ反力F’と可動板5の変位角ψとの関係は、 ψ=((F’・L)・l)/(2・G・Ip) (4) で与えられる。ここでGは横弾性係数、Lはねじりバネの
中心軸から力点までの距離、lはねじりバネの長さ、Ip
は断面二次極モーメントである。そして、発生力Fとバ
ネ反力F’が釣り合う位置まで可動板5が回動する。した
がって、数式(4)のF’に数式(3)のFを代入すれ
ば、可動板5の変位角ψはコイル9Aに流れる電流iの2乗
に比例することが分かる。
【0085】こうして、コイル9Aに流す電流を制御する
ことにより、可動板5の変位角ψを制御できるので、反
射面8に入射する光の反射方向を自由に制御でき、連続
的に反復動作すれば光走査を行うことができる。
【0086】ところで、本実施例の光偏向器は、反射面
8が1mm×1mmの大きさとして構成されている。光の最大
偏向角が約35度、偏向器の共振周波数が約22kHzであ
る。上記説明では、ICP-RIE装置を用いてシリコンのド
ライエッチング加工を行いて可動板5及びねじりバネ6を
形成すると述べたが、弾性支持部(ねじりバネ)6は、K
OHなどのアルカリ溶液を用いた異方性エッチングにより
(100)面と(111)面に囲まれた台形断面を有する様にもで
きる。ここでは、例えば、上底(短い辺を上底とする)
の寸法が20μm、弾性支持部6の片側の長さが5000μmと
なる。
【0087】また、上記製造方法では、可動板5と弾性
支持部6の厚さは第1支持基板2の厚さ200μmとなってい
るが、弾性支持部6形成予定部分を形成前にシリコンの
異方性エッチングにより掘り下げておくことにより、弾
性支持部6の厚さをより薄く構成することも可能であ
る。その場合、弾性支持部6の長さを、より短く設定す
ることができる。
【0088】さらに、第1支持基板2を(110)方位のシリ
コン基板とし、異方性エッチングを行うことにより弾性
支持部6の断面形状が(110)面と(111)面に囲まれた長方
形形状とすることもできる。この場合、可動板5と弾性
支持部6の厚さは第1支持基板2の厚さ200μmとし、例え
ば、弾性支持部6の長さが3100μm、幅が75μmと設定し
て、上記と同様の最大偏向角、共振周波数を持つ本実施
例の光偏向器とすることができる。
【0089】以下に示す何れの実施例においても、本実
施例と同様のサイズとして、それぞれの実施例の光偏向
器を構成することができる。
【0090】本実施例の構成とすることで、可動部分に
電気的配線を施す必要がなく、そして可動コア7A、7Bを
モーメントアームが最大となる部分にのみ効果的に設置
して、発生トルクを大きく可動部分を軽量に構成するこ
とができる。また、4個のC字型の固定コア10A、10Bを配
置したことで、コイルの占有面積を小さくし、漏れ磁束
の少ない磁気回路構成となっている。そのため、本実施
例の光偏向器は、小型で耐久性の高い光偏向器を実現で
きる。
【0091】また、図1ではコイル9A、9B及びC字型の固
定コア10A、10Bは、ねじりバネ6のねじり軸を挟んでそ
れぞれ2個ずつ、計4つ配置されているが、ねじり軸を挟
んでそれぞれ1個、計2個配置としても同様の動作を行う
光偏向器を構成できる。
【0092】また、図1では光偏向素子として反射面8と
したが、反射面8を反射型の回折格子としても、可動板5
の回動振動により同様の動作を行う光偏向器を構成でき
る。この場合、入射光に対して偏向光は回折光となるた
め、1本のビームで複数の偏向光を得ることができる。
以下の実施例でも、特に光偏向素子を反射面8とした場
合について説明しているが、これらの実施例においても
反射型回折格子に置き換えて光偏向器を構成できる。
【0093】(実施例2)図7、図8は本発明の実施例2の
光偏向器21を説明する概略図である。図7は本実施例の
光偏向器の上面図、図8は図7のB-B線に沿う断面図であ
る。
【0094】この光偏向器21も、半導体基板である第1
支持基板2と第2支持基板4をスペーサ基板3の上下面に、
アライメント溝13A、13B、13Cを介してアライメントを
行い、接合した3層構造となっている。
【0095】図7に示すように、本実施例の光偏向器21
の第1支持基板2には、可動板5と、可動板5の一方の面に
ある反射面8と、もう一方の面にある可動コア7A、7Bが
設けられている。また、この可動板5を弾性的にねじれ
振動自在に支持するねじりバネ6を備えており、これら
可動板5、反射面8、可動コア7A、7B、及びねじりバネ6
は、共に半導体製造技術を応用したマイクロマシニング
技術によって一体的に形成されている。特に可動コア7
A、7Bは、ねじりバネ6のねじり軸と平行な可動板5の対
辺のみに平板状に形成されている。
【0096】図7に示すように、第2支持基板4には、ね
じりバネ6のねじり軸を挟んで一対配置されたU字型の固
定コア10A、10Bが設けられ(ここが実施例1と異な
る)、その周りに通電により基板面内方向に流れる磁束
を発生するコイル9A、9Bが敷設されている。コイル9A、
9Bは電流源に接続されており、電流源により可動板5の
動作を制御する。U字型の固定コア10A、10Bとコイル9
A、9Bは、共にマイクロマシニング技術によって基板4上
に一体的に形成されている。
【0097】本実施例の光偏向器21は、固定コア10Aの
形状以外の基本構成は実施例1と同一であり、実施例1と
同様の作製方法で作製することができる。以上のように
構成された本実施例の光偏向器は、固定コア10A、10Bの
形状がU字型に形成されていることにより、可動板5と固
定コア10A、10Bが揺動方向に干渉しない構成となってい
る。そのため、大きな偏向角の光偏向器を容易に実現可
能である。
【0098】以上のように構成されたU字型固定コアを
持つ本実施例の光偏向器の動作原理を図9を用いて説明
する。図9は、ねじりバネ6の中心軸から片側のみ(可動
コア7A、コイル9A及び固定コア10A)の状況を説明して
おり、U字型の固定コアを配した光偏向器の動作原理を
説明する模式図である。本明細書において、「U字型の
固定コア」とは、図7のように固定コア10Aの形状が、そ
の両端面が互いに同一平面内となるように構成されてい
る固定コアとする。
【0099】電流源(不図示)からコイル9Aに電流を流
すと、コイル9A中に磁束が発生する。この磁束は、矢印
Φで示した方向に、固定コア10A、空隙12A、可動コア7
A、空隙12B、固定コア10Aの順に磁気回路を周回し、可
動コア7Aが、固定コア10Aとのオーバーラップ量xを増加
させる方向、つまり基板法線方向Fに引き込まれる。
【0100】ここで、可動コア7Aと固定コア10A間の空
隙のパーミアンスPg(x)は、 Pg0w・(x+x0)/(2δ) (5) で与えられる。ここで、μ0は真空の透磁率、δは空隙
の距離、wは固定コアの幅、xは可動コアの変位、x0
初期状態のオーバーラップ長さである。
【0101】磁気回路を構成する空隙以外のパーミアン
スをPとすると、磁気回路全体のポテンシャルエネルギ
Wは、 W=1/2・(1/P+1/Pg)-1・(Ni)2 (6) で与えられる。ここで、Nはコイル9Aの巻数、iはコイ
ル9Aに流れる電流である。
【0102】比透磁率が十分大きな磁性材料で、可動コ
ア7Aと固定コア10Aを構成すると、P gと比べPはほぼ無限
大とみなすことができる。したがって、空隙部に生じる
発生力Fは、 F=-dW/dx=-μ0w/(2δ)・(Ni)2 (7) で与えられる。これにより本発明のU字型固定コアを配
した光偏向器でも、発生力Fが、コイルの巻数N、電流i
の2乗に比例することが分かる。
【0103】可動コア7Aは図9のように、可動板5におい
てモーメントアームを有する位置に構成されているた
め、この発生力Fにより可動板5を回動するようなトルク
が発生する。
【0104】一方、可動板5が回動することによりねじ
りバネ6が捩じられ、これによって発生するねじりバネ6
のバネ反力F’と可動板5の変位角ψとの関係は、 ψ=((F’・L)・l)/(2・G・Ip) (8) で与えられる。ここでGは横弾性係数、Lはねじりバネの
中心軸から力点までの距離、lはねじりバネの長さ、Ip
は断面二次極モーメントである。そして、発生力Fとバ
ネ反力F’が釣り合う位置まで可動板5が回動する。した
がって、数式(8)のF’に数式(7)のFを代入すれ
ば、可動板5の変位角ψはコイル9Aに流れる電流iの2乗
に比例することが分かる。
【0105】こうして、ここでも、コイル9Aに流す電流
を制御することにより可動板5の変位角ψを制御できる
ので、反射面8に入射する光の反射方向を自由に制御で
き、連続的に反復動作すれば光走査を行うことができ
る。
【0106】(実施例3)図10、図11(図10のB-B断面
図)は本発明の実施例3の光偏光器31を説明する概略図
である。
【0107】この光偏向器31は、本発明の実施例1と同
様の基板構成を有し、第1支持基板2、スペーサ基板3、
第2支持基板4はマイクロマシニング技術を用いて、それ
ぞれ一体形成される。本実施例と上記実施例1とでは、
ねじりバネ6の回動方向と可動コア7A、7Bの形成位置の
関係のみが異なっている。図10に示すように、本実施例
の光偏向器31では、ねじりバネ6のねじり軸と垂直な可
動板5の対辺に可動コア7A、7Bが形成されている。
【0108】したがって、本実施例の光偏向器31は、上
記実施例1と同様の作製方法で作製することができる。
【0109】以上のように構成された本実施例の光偏向
器31は、可動コア7A、7Bと固定コア10A、10Bが揺動方向
に干渉しない構成となっている。そのため大きな偏向角
の光偏向器を容易に実現可能である。動作原理は、基本
的に上記実施例と同じであり、可動コア7A、7Bと磁束の
発生した固定コア10Aまたは10Bとの対向する面の重なり
面積が増加する方向に力が発生して可動板5が駆動され
る。
【0110】また、図10ではコイル9A、9B及びC字型の
固定コア10A、10Bはねじりバネ6のねじり軸を挟んでそ
れぞれ2個ずつ、計4つ配置されているが、ねじり軸を挟
んでそれぞれ1個、計2個配置としても同様の動作を行う
光偏向器を構成できる。また、ねじり軸を挟んだ一方の
側のみに固定コア10Aまたは10B を2個配置する形態とし
ても同様の動作を行う光偏向器を構成できる。
【0111】(実施例4)図12は本発明の実施例4の光偏
光器41を説明する概略図である。
【0112】この光偏向器41は、本発明の実施例1及び3
と同様の基板構成を有し、第1支持基板2、スペーサ基板
3、第2支持基板4はマイクロマシニング技術を用いて、
それぞれ一体形成される。本実施例と上記実施例3とで
は、可動板5の形状と可動コア7A、7Bの作製位置のみが
異なっている。図12に示すように、本実施例の光偏向器
41では、可動板5は、ほば正方形に形成されている反射
面8の周辺部からねじりバネ6のねじり軸に直角な方向に
伸びる突起を有する形状に加工されており、この突起部
分にのみ可動コア7A、7Bが作製されている。
【0113】したがって、本実施例の光偏向器41の作製
は、上記実施例1及び3と同様の方法で行うことができ
る。動作原理も、基本的に上記実施例と同じであり、可
動コア7A、7Bと磁束の発生した固定コア10Aまたは10Bと
の対向する面の重なり面積が増加する方向に力が発生し
て可動板5が駆動される。
【0114】以上のように構成された本実施例の光偏向
器41は、上記実施例3とほぼ同様の効果を持つととも
に、可動コア7A、7Bを突起状に作製したことにより、モ
ーメントアームを大きくして、より大きなトルクを発生
することができる。
【0115】また、図12でも、コイル9A、9B及びC字型
の固定コア10A、10Bはねじりバネ6のねじり軸を挟んで
それぞれ2個ずつ、計4つ配置されているが、ねじり軸を
挟んでそれぞれ1個、計2個配置としても同様の動作を行
う光偏向器を構成できる。また、ねじり軸を挟んだ一方
の側のみに固定コア10Aまたは10B を2個配置する形態と
しても同様の動作を行う光偏向器を構成できる。
【0116】(実施例5)図13、図14は本発明の実施例5
の光偏光器51を説明する上面図、B-B断面図である。
【0117】この光偏向器51は、本発明の実施例2と同
様の基板構成を有し、第1支持基板2、スペーサ基板3、
第2支持基板4はマイクロマシニング技術を用いて、それ
ぞれ一体形成される。図13に示すように、本実施例の光
偏向器51では、第1支持基板2に、ねじりバネ6のねじり
軸と平行な可動板5の対辺周辺の何れか一方に可動コア7
Aが1つ設けられている。第2支持基板4には、1つのU字
型の固定コア10Aとその周りに通電により基板面内方向
に流れる磁束を発生するコイル9Aが前記可動コア7Aと直
列磁気回路を構成するように設置されている。
【0118】コイル9Aは電流源(不図示)に接続されて
おり、電流源により可動板5の動作を制御する。本実施
例と実施例2では、磁気回路を構成する可動コア、固定
コア、コイルの構成個数が異なっているのみである。し
たがって、本実施例の光偏向器51の作製は、上記実施例
2と同様の方法で行うことができる。
【0119】動作原理も上記実施例2と同様である。以
上のように構成された本実施例の光偏向器51は、可動コ
ア7Aを可動板5の片側のみに形成したことにより、可動
部分の慣性モーメントを低減することができ、高速駆動
を行う光偏向器を構成する場合に非常に有利な構成とな
る。
【0120】更に、可動コア7Aと磁気回路を構成する固
定コア10Aも1個でよいため、デバイス全体の小型化を図
ることができる。
【0121】また、本実施例の固定コア10Aの形状をC字
型として、前記実施例1の形態のように可動コア7Aと磁
気回路を構成しても同様の効果を得ることができる。
【0122】(実施例6)図15は本発明の実施例6の光偏
向器61を説明する概略図である。図15は本実施例の光偏
向器61の上面図である。
【0123】この光偏向器61は、本発明の実施例1と同
様の基板構成を有し、第1支持基板2、スペーサ基板3、
第2支持基板4はマイクロマシニング技術を用いて、それ
ぞれ一体形成される。本実施例と上記実施例1とでは、
ねじりバネ6の回動方向、及び、前記ねじりバネ6の回動
方向と可動コア7A、7B、7C、7Dの形成位置の関係が異な
っている。本実施例の光偏向器61において、ねじりバネ
6はねじり振動及び曲げ振動自在なバネで構成されてい
て、方形の可動板5を各辺の中央部において、ねじりバ
ネ6の互いのねじり中心軸が直交するように4つのねじり
バネ6で弾性支持する構造になっている。
【0124】4つの可動コア7A、7B、7C、7Dは、4つのね
じりバネ6の形成方向と基板平面内に45度ずれて十字型
に直交して可動板5の対角線に沿って形成され、これら
の可動コア7A、7B、7C、7Dに対して、図15に示すよう
に、コイル9A、9B、9C、9Dの巻かれたC字型の固定コア1
0A、10B、10C、10Dが空隙を挟んで4つ対向配置されて
いる。
【0125】本実施例の光偏向器61は、上記実施例1と
同様の作製方法で作製することができる。
【0126】以上のように構成された本実施例の光偏向
器61では、コイル9A、9B、9C、9Dのいずれか1つに通電
することにより、図15の上面図から見て可動コア7A-7C
方向または7B-7D方向をねじりの中心軸とする1方向に
可動板5を揺動させ、これら4つのコイルを使用して2次
元的に光偏向を行うことができる。また、可動板5の位
置を保持するような駆動(所謂サーボロック)も行うこ
とができる。
【0127】(実施例7)ここまでの実施例では可動コ
アを軟磁性体で構成していたが、実施例7では硬磁性体
で構成する。図16は、本発明の実施例7のマイクロ光偏
向器を説明するための斜視図を示している。図17と図18
は、それぞれ上面図と側面図である。図18においては、
分かりやすくするために、シリコン単結晶薄板320の一
部を破断し、図16の切断線306におけるトーションスプ
リング328の断面を示している。
【0128】本実施例のマイクロ光偏向器において、シ
リコン単結晶薄板320には、バルクマイクロマシニング
技術により、トーションスプリング328、329とミラー33
0が、一体に形成されている。ミラー330の端には、着磁
された硬磁性体材料からなる可動コア341が固定されて
いる。トーションスプリング328、329は、断面形状がH
字形状となっている。これは、4つの内角が270°、
8つの内角が90°の12角形であり、回転対称形状で
ある。そして、実質的に扁平な形状部分の組み合わせで
構成され、該扁平な形状部分は最も撓みやすい方向が交
差(90度)するように配置されている。可動コア341
の着磁形態は、長く伸びる方向の両端部の一方がN極、
他方がS極になっている。これにより、電磁石である固
定コア342の両端部がN極とS極、またはS極とN極に
なるときに、可動コア341の両端部には共に吸引力、ま
たは反発力が固定コア342から加わって、ミラー330がト
ーションスプリング328、329のねじり軸の回りで都合よ
く揺動される。
【0129】ミラー330は、表面に光の反射率の高い物
質がコーティングされており、トーションスプリング32
8、329によりその長軸であるねじり軸の回りに揺動自在
に支持されている。
【0130】ガラス基板340の上には、固定コア342が配
置されており、この固定コア342をコイル345が周回して
いる。そして、シリコン単結晶薄板320とガラス基板340
は、可動コア341と固定コア342のほぼ平行に対向する面
が、所定の間隔を保つように接合されている。すなわ
ち、ミラー330が揺動するときに、これら対向する面が
ほぼ平行状態を保ったままその重なり面積が変化する様
になっている。
【0131】図19を用いて、本実施例の光偏向器の動作
について説明する。コイル345に通電すると、固定コア3
42が励磁される。図19では、固定コア342の図中手前側
がN極に、奥側がS極に励磁されている様子を表してい
る。すると、可動コア341は、手前側がS極に、奥側が
N極に励磁されているとして、図19の矢印の方向に引き
付けられる。可動コア341と固定コア342は、図18に示す
ように、上記対向面の重なり面積が増加できる様に非通
電時には高さが異なる状態で配置されているので、トー
ションスプリング328、329の回りに左回りの回転モーメ
ントが生じる。固定コア342が逆に励磁される場合は、
この逆の回転モーメントが生じる。ミラー330の共振周
波数に合わせてコイル345への通電をON/OFFする
と、ミラー330がトーションスプリング328、329の回り
に共振を起こす。この状態でミラー330に光線を入射す
ることで、光の走査を行うことができる。
【0132】次に、本光偏向器の作製方法を説明する。
まず、図20を用いて、シリコン単結晶薄板320の加工方
法を説明する。図中左側は、図16の切断線306における
断面図であり、右側は、切断線309における断面図であ
る。
【0133】1.先ず、シリコン単結晶薄板320の片面
に、種電極層360を成膜する。(a)。 2.種電極層360の上に、厚膜レジスト層361(例えば、
MicroChem社製SU−8)を成膜し、フォトリソグラフ
ィ技術で可動コア341形成用のパターニングを行う
(b)。 3.硬磁性体層362を種電極層360の上に電解メッキで成
膜する(c)。
【0134】4.厚膜レジスト層361及び種電極層360を
除去する(d)。硬磁性体層362の下の種電極層360はそ
のまま残る。 5.シリコン単結晶薄板320の両面に、マスク層350(例
えば、レジスト等)を成膜し、図16に示す形態の単結晶
薄板320形成用のパターニングをフォトリソグラフィ技
術で行う(e)。 6.ICP-RIEのようなエッチング法を用いて、両面より
一定の深さまで垂直エッチングを行う(f)。この深さ
は、断面がH字形状のトーションスプリング328、329の
中央の架橋部の厚さを規定するものである。この深さの
倍がこの架橋部の厚さとなる。 7.マスク層350を除去し、新たなマスク層351を成膜、
及びパターニングする(g)。
【0135】8.ICP-RIEのようなエッチング法を用い
て、下面より垂直エッチングを行う。エッチングは、最
も深い部位がシリコン単結晶薄板320の中央に達するま
で行う(h)。
【0136】9.更に、ICP-RIEのようなエッチング法
を用いて、上面より垂直エッチングを行う。エッチング
は、最も深い部位がシリコン単結晶薄板320を貫通する
まで行う(i)。トーションスプリング328、329の部分
では、H字形状のトーションスプリング328、329の所定
の厚さの架橋部を残した所で止る。H字形状のトーショ
ンスプリング328、329の両側の柱部の厚さ(典型的には
架橋部の厚さと等しい)はマスク層351の上下両面の一
対のストライプ部の幅で規定される。 10.最後に、マスク層351を除去する(j)。
【0137】次に、図21を用いて、ガラス基板340の加
工方法を説明する。図21は、図16の切断線307における
断面図である。
【0138】1.ガラス基板340の片面に種電極層370を
成膜する(a)。 2.種電極層370の上に厚膜レジスト層371を成膜し、固
定コイル342形成用のパターニングを行う(b)。 3.種電極層370の上に、コイル345の下配線層372を電
解メッキで成膜する(c)。 4.下配線層372部分以外の厚膜レジスト層371と種電極
層370を除去する(d)。 5.下配線層372の上に、絶縁層373を成膜し、両側部の
配線層382、383形成用のパターニングを行う(e)。
【0139】6.絶縁層373の上に、種電極層374を成膜
する(f)。 7.種電極層374の上に厚膜レジスト層375を成膜し、固
定コア342である軟磁性体層376と両側部の配線層382、3
83を形成できる様にパターニングを行う(g)。 8.厚膜レジスト層375の無い種電極層374の部分上に、
軟磁性体層376と両側部の配線層382、383を電解メッキ
で成膜する(h)。 9.厚膜レジスト層375と種電極層374を除去する
(i)。 10.再び絶縁層377を成膜し、上配線層380形成用のパ
ターニングを行う(j)。このパターニングで、絶縁層
377は両側部の配線層382、383の頂部の所のみ除かれて
いる。
【0140】11.絶縁層377の上に、種電極層378を成
膜する(k)。 12.種電極層378の上に厚膜レジスト層379を成膜し、
パターニングを行う(l)。このパターニングで、厚膜
レジスト層379は両側部の配線層382、383の外部の所の
み除かれている。 13.種電極層378の上に、上配線層380を電解メッキで
成膜する(m)。 14.最後に、厚膜レジスト層379と種電極層378を除去
する(n)。
【0141】最終的に、図16に示すような光偏向器の形
態になるように、シリコン単結晶薄板320とガラス基板3
40を接合する。この時点においては、可動コア341は上
記した如く適当に着磁されている。
【0142】本実施例では回転対称形状のH字形状断面
を有するトーションスプリングを用いたが、これは例示
であり、X字形状断面、V字ないし逆V字形状断面(一
体でもよいし、分離していてもよい)、分離したH字形
状断面、十字形状断面(一体でもよいし、分離していて
もよい)などであってもよい。これらのトーションスプ
リングは、ねじれやすくて、撓みにくいという特徴があ
る。本実施例においては、揺動時に可動部がねじりの軸
に垂直な方向に振動しにくくなるため、精度が高く、外
乱の影響を受けにくい光偏向器を実現でき、従来よりも
機械的なQ値が高いため、共振駆動を行ったときに、振
幅が大きくエネルギー効率が高い。
【0143】上記実施例1乃至6の形態で、可動コアを
硬磁性体材料で構成してもよい。ただし、この場合は、
都合良く揺動体の揺動運動が起こる様に各形態に合わせ
て可動コアの着磁方向を決める必要がある。
【0144】(実施例8)図22は実施例8の光学機器であ
る画像表示装置の基本的な構成を示す概略図である。図
22の画像表示装置において、上記実施例に示された光偏
向器を偏向方向がお互い直交するように2個配置した光
偏向器群201が設けられ、これは水平・垂直方向に入射
光をラスタスキャンする光スキャナ装置として作用す
る。202はレーザ光源である。203はレンズ或いはレンズ
群であり、204は書き込みレンズまたはレンズ群、205は
投影面である。レーザ光源202から入射されたレーザ光
は、光走査のタイミングと関係した所定の強度変調を受
けて、光偏向器群201により2次元的に走査される。走査
されたレーザ光は、書き込みレンズ204により投影面205
上に画像を形成する。
【0145】光偏向器群201を実施例6の光偏向器61に置
き換えても同様の画像表示装置を構成可能である。
【0146】(実施例9)図23は、実施例9の光学機器で
ある画像表示装置の基本的な構成を示す図である。図23
において、201は上記実施例に示された光偏向器であ
り、本実施例では入射光を1次元に走査する光スキャナ
装置として作用する。202はレーザ光源である。203はレ
ンズあるいはレンズ群であり、204は書き込みレンズ或
いはレンズ群、206は感光体である。レーザ光源202から
射出されたレーザ光は、光走査のタイミングと関係した
所定の強度変調を受けて、光偏向器201により1次元的に
走査される。走査されたレーザ光は、書き込みレンズ20
4により感光体206上へ画像を形成する。感光体206は回
転しているので、感光体206上には2次元画像が形成され
る。
【0147】感光体206は図示しない帯電器により一様
に帯電されており、この上に光を入射することによりそ
の部分に静電潜像を形成する。次に、図示しない現像器
により静電潜像の画像部分にトナー像を形成し、これを
例えば用紙に転写・定着することで印字を行うことが可
能である。
【0148】光偏向器201を実施例6の光偏向器61に置き
換えても同様の画像表示装置を構成可能である。この場
合は、感光体は平面状であって、静止していればよい。
【0149】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光偏向器
などの揺動体装置は、可動部分に電気的配線を施さず、
耐久性に優れた簡単な構成で電磁式の駆動を行うことが
できる。また、コイルと固定コア、可動コアの配置と弾
性支持の構成を変えることにより2次元的に偏向可能で
あり、過酷な動作を必要とする駆動でも耐久性に優れた
実用的な2次元走査可能な光偏向器などを提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の光偏向器を示す上面図で
ある。
【図2】第1の実施例の光偏向器を示す断面図である。
【図3】本発明による光偏向器の第1の実施例に係る型の
駆動原理を示す概略斜視図である。
【図4】第1の実施例の光偏向器に係る第1支持基板の作
製方法を示す断面図である。
【図5】第1の実施例の光偏向器に係る第2支持基板の作
製方法を示す断面図である。
【図6】第1の実施例の光偏向器に係るスペーサ基板の作
製方法を示す断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例の光偏向器を示す上面図で
ある
【図8】第2の実施例の光偏向器を示す断面図である。
【図9】本発明による光偏向器の第2の実施例に係る型の
駆動原理を示す概略斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施例の光偏向器を示す上面図
である。
【図11】第3の実施例の光偏向器を示す断面図である。
【図12】本発明の第4の実施例の光偏向器を示す上面図
である。
【図13】本発明の第5の実施例の光偏向器を示す上面図
である。
【図14】第5の実施例の光偏向器を示す断面図である。
【図15】本発明の第6の実施例の2次元光偏向器を示す上
面図である。
【図16】本発明の第7の実施例の光偏向器を説明する斜
視図である。
【図17】第7の実施例の光偏向器を説明する上面図であ
る。
【図18】第7の実施例の光偏向器を説明する一部破断し
た側面図である。
【図19】第7の実施例の光偏向器の動作原理を説明する
図である。
【図20】第7の実施例の光偏向器のシリコン単結晶薄板
の作製プロセスを説明する図である。
【図21】第7の実施例の光偏向器の固定コアとコイルの
作製プロセスを説明する図である。
【図22】本発明の第8の実施例の画像表示装置を示す概
念図である。
【図23】本発明の第9の実施例の他の型の画像表示装置
の概念図である。
【図24】従来例である光偏向器を示す上面図(a)と、他
の従来例である光偏向器を示す斜視図(b)である。
【符号の説明】
1、21、31、41、51、61 光偏向器 2 第1支持基板 3 スペーサ基板 4 第2支持基板 5、330 可動板(ミラー) 6、328、329 トーションスプリング(ねじりバ
ネ) 7A、7B、7C、7D、341 可動コア 8 反射面 9A、9B、9C、9D、345 コイル 10A、10B、10C、10D、342 固定コア 12A、12B 可動コアと固定コア間の空隙 13A、13B、13C アライメント溝 14 ファイバ 101、350 マスク層 102、112、123 フォトレジスト層 111、360、370、374、378 種電極層 113 パーマロイ層 114 コイル下面配線 115 コイル側面配線 116 コイル上面配線 117 下面配線−コア間絶縁層 118 上面配線−コア間絶縁層 119 エポキシ樹脂 122 保護膜 201 光偏向器群 202 レーザ光源 203 レンズ 204 書き込みレンズ 205 投影面 206 感光体 320 シリコン単結晶薄板 340 ガラス基板 361、371、375、379 厚膜レジスト層 362、376 軟磁性体層 372 下配線層 373、377 絶縁層 380 上配線層 382、383 側部配線層 1001 ガルバノミラー 1002 シリコン基板 1003 上側ガラス 1004 下側ガラス 1005 可動板 1006 ねじりバネ 1007 平面コイル 1008 全反射ミラー 1009 コンタクトパッド 1010A、1011A、1010B、1010C 永久磁石 2002 振動子 2003 弾性支持部 2004 振動入力部 2006 振動源 2007 反射面 2008 ミラー支持部 2009 プレート
【手続補正書】
【提出日】平成14年1月23日(2002.1.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】これに対して、可動コアが硬磁性体で形成
される場合には、通常には着磁される硬磁性体の磁極は
決まっており可動コアと固定コアの間に生じる異或い
は同磁極間の磁力(吸引力或いは反発力)により揺動体
を駆動することが可能である。この場合、保持力が大き
な硬磁性体を用い、着磁が大きな可動コアを形成するこ
とによって、固定コアを周回するコイルの巻数、印加電
流を増加させずに、発生力を大きくすることが可能とな
る。このため、小型、省電力で大発生力のアクチュエー
タ等を構成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願2001−47300(P2001−47300) (32)優先日 平成13年2月22日(2001.2.22) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 廣瀬 太 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 八木 隆行 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 水谷 英正 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C362 BA18 BA83 2H045 AB16 AB72

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟磁性体または硬磁性体からなる可動コア
    を有する揺動体と、コイルを周回させた固定コアと、前
    記揺動体を支持基板に対して揺動可能に支持する弾性支
    持部とを有する揺動体装置において、 前記可動コアと固定コアとは、揺動体の揺動方向に対し
    垂直方向にずれて略平行に空隙を介して対向する対向面
    を夫々有して配置され、前記揺動体が揺動するに伴って
    前記各々の対向面の前記垂直方向から見た重なり部分の
    面積が変化するように形成されていることを特徴とする
    揺動体装置。
  2. 【請求項2】前記可動コアと前記コイルを周回させた固
    定コアは前記空隙を介して直列磁気回路を構成している
    ことを特徴とする請求項1記載の揺動体装置。
  3. 【請求項3】前記固定コアが、前記可動コアの各対向面
    と対向する2つの対向面が可動コアを挟んで対向してい
    る形状を有することを特徴とする請求項1または2記載
    の揺動体装置。
  4. 【請求項4】前記固定コアが、前記可動コアの対向面と
    対向する2つの対向面が同一平面内にある形状を有する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の揺動体装置。
  5. 【請求項5】前記弾性支持部は前記揺動体を揺動自在に
    支持するねじりバネで構成されていて、前記可動コア
    が、前記ねじりバネのねじり軸方向と平行な方向に伸び
    る前記揺動体の周縁部にのみ形成されていることを特徴
    とする請求項3または4記載の揺動体装置。
  6. 【請求項6】前記弾性支持部は前記揺動体を揺動自在に
    支持するねじりバネで構成されていて、前記可動コア
    が、前記ねじりバネのねじり軸方向と垂直な方向に伸び
    る前記揺動体の周縁部にのみ形成されていることを特徴
    とする請求項3記載の揺動体装置。
  7. 【請求項7】前記弾性支持部は前記揺動体を揺動自在に
    支持するねじりバネで構成されていて、前記可動コア
    が、前記揺動体と同一平面内で前記ねじりバネのねじり
    軸方向と垂直な方向に伸びて、前記揺動体の周縁部から
    突起状に形成されていることを特徴とする請求項3記載
    の揺動体装置。
  8. 【請求項8】前記コイルを周回させた固定コアが、前記
    揺動体に対して、前記ねじりバネの回動中心軸を挟んだ
    両側に夫々1つ以上配置され、各々前記揺動体に形成さ
    れた前記可動コアと直列磁気回路を形成することを特徴
    とする請求項5乃至7の何れかに記載の揺動体装置。
  9. 【請求項9】前記コイルを周回させた固定コアが、前記
    揺動体に対して、前記ねじりバネの回動中心軸を挟んだ
    両側のどちらか一方側に1つ以上配置され、前記揺動体
    に形成された前記可動コアと直列磁気回路を形成するこ
    とを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の揺動体
    装置。
  10. 【請求項10】前記コイルを周回させた固定コアが、前
    記揺動体に対して、前記ねじりバネの回動中心軸を挟ん
    だ両側に夫々2つずつ、計4つ配置され、各々前記揺動体
    に形成された前記可動コアと直列磁気回路を形成するこ
    とを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の揺動体
    装置。
  11. 【請求項11】前記弾性支持部はねじり振動及び曲げ振
    動自在な4つのバネで構成されていて、夫々一対のバネ
    で構成するねじり振動の2つの中心軸を互いに直交させ
    て前記揺動体を2次元的ねじり可能に弾性支持し、前記
    可動コアは前記バネの形成方向と揺動体面内で45度ずれ
    て十字型に交差して4つ形成されていて、前記コイルを
    周回させた固定コアが前記揺動体に形成された前記可動
    コアと直列磁気回路を形成するように4つ対向配置さ
    れ、前記コイルのいずれかに通電することにより前記揺
    動体を1方向に揺動させ、前記コイルを選択的に使用し
    て前記揺動体の2次元揺動を行うことを特徴とする請求
    項3記載の揺動体装置。
  12. 【請求項12】前記コイルを周回させた固定コアは、前
    記支持基板とは別の第2基板上に作製され、スペーサ基
    板を介して前記支持基板と第2基板を所定の関係で接合
    して、前記可動コアと前記固定コアが空隙を介して直列
    磁気回路を構成するように配置されることを特徴とする
    請求項1乃至11の何れかに記載の揺動体装置。
  13. 【請求項13】前記弾性支持部は単結晶シリコンから成
    ることを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の
    揺動体装置。
  14. 【請求項14】前記可動コアは鉄−ニッケルを含む合金
    から成ることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに
    記載の揺動体装置。
  15. 【請求項15】前記揺動体が一つであり、一直線に沿っ
    て伸びた一対のねじりバネによって該揺動体が前記支持
    基板に対して弾性的に略該直線の回りに揺動自由に支持
    されていることを特徴とする請求項1乃至14の何れか
    に記載の揺動体装置。
  16. 【請求項16】前記揺動体は偏向子を有し、光偏向装置
    として構成されていることを特徴とする請求項1乃至1
    5の何れかに記載の揺動体装置。
  17. 【請求項17】前記偏向子が光を反射する反射面である
    ことを特徴とする請求項16記載の揺動体装置。
  18. 【請求項18】前記偏向子が回折格子であることを特徴
    とする請求項16記載の揺動体装置。
  19. 【請求項19】揺動体アクチュエータとして構成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載
    の揺動体装置。
  20. 【請求項20】光源と、前記光源から出射された光を偏
    向する請求項16乃至18の何れかに記載の光偏向器を
    少なくとも1つ以上配置した光偏向器または光偏向器群
    と該光偏向器または光偏向器群により偏向された光の少
    なくとも一部を投影するレンズとを有することを特徴と
    する画像表示装置。
  21. 【請求項21】請求項16乃至18の何れかに記載の光
    偏向器の製造方法において、前記支持基板が、前記支持
    基板上に前記偏向子を形成する工程と、前記支持基板上
    に前記可動コアを形成する工程と、前記支持基板に前記
    弾性支持部と前記揺動体を形成する工程により製造され
    ることを特徴とする光偏向器の製造方法。
  22. 【請求項22】前記支持基板にエッチング加工により位
    置決め用の溝を形成する工程を更に含んでいることを特
    徴とする請求項21記載の光偏向器の製造方法。
  23. 【請求項23】前記コイルを周回させた固定コアを備え
    ると共に位置決め用の溝を形成した第2基板及び位置決
    め用の溝を形成したスペーサ基板を別に製造しておい
    て、ファイバを介して前記夫々の溝を合わせることで所
    定の関係を確立して前記支持基板を前記スペーサ基板を
    介して前記第2基板と接合することを特徴とする請求項
    22記載の光偏向器の製造方法。
  24. 【請求項24】前記支持基板上に前記可動コアを形成す
    る工程が、前記支持基板上にメッキ用電極を形成する工
    程と、メッキ用電極を備えた前記支持基板上に感光材料
    を設ける工程と、該感光性材料を高エネルギー放射光に
    より部分的に感光した後、感光部と非感光部のエッチン
    グ速度差を用い所望部を現像除去する工程と、該現像除
    去した部分に金属をメッキして充填する工程とを含んで
    いることを特徴とする請求項21乃至23の何れかに記
    載の光偏向器の製造方法。
  25. 【請求項25】前記高エネルギー放射光として波長400n
    m以下の波長光を使用することを特徴とする請求項24
    記載の光偏向器の製造方法。
  26. 【請求項26】前記支持基板に前記弾性支持部と前記揺
    動体を形成する工程が、前記弾性支持部と前記揺動体を
    前記支持基板のエッチング加工により形成する工程を含
    むことを特徴とする請求項21乃至25の何れかに記載
    の光偏向器の製造方法。
  27. 【請求項27】前記弾性支持部と前記揺動体をエッチン
    グ加工により形成する工程が、前記支持基板を前記可動
    コアの形成されない面からのみエッチング加工する工程
    であることを特徴とする請求項26記載の光偏向器の製
    造方法。
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