JP2002314109A - 単接合型薄膜太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

単接合型薄膜太陽電池及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な光閉込効果を有しつつ、欠陥密度を低
減させたシリコン層を有する高効率な薄膜太陽電池及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】 基板上に、透明導電層及び光電変換層が
この順に1組積層されて構成されてなり、 前記透明導
電層が光電変換層側の表面に複数の穴を有しており、該
穴の表面に凹凸が形成されている単接合型薄膜太陽電
池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単接合型薄膜太陽電
池及びその製造方法に関し、より詳細には高い光電変換
効率を有する単接合型薄膜太陽電池及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】将来の需給が懸念され、かつ地球温暖化
現象の原因となる二酸化炭素排出の問題がある石油等の
化石燃料の代替エネルギー源として太陽電池が注目され
ている。この太陽電池は、光エネルギーを電力に変換す
る光電変換層にpn接合を用いており、このpn接合を
構成する半導体として一般的にはシリコンが最もよく用
いられている。
【0003】シリコンのなかでも、光電変換効率の点か
らは、単結晶シリコンを用いることが好ましい。しか
し、原料供給や大面積化、低コスト化の問題がある。一
方、大面積化及び低コスト化を実現するのに有利な材料
として、アモルファスシリコンを光電変換層とした薄膜
太陽電池も実用化されている。さらには、単結晶シリコ
ン太陽電池レベルの高くて安定な光電変換効率と、アモ
ルファスシリコン太陽電池レベルの大面積化、低コスト
化を兼ね備えた太陽電池を実現するために、結晶質シリ
コンの光電変換層への使用が検討されている。特に、ア
モルファスシリコンの場合と同様の化学的気相成長法
(以下、CVD 法とする)による薄膜形成技術を用いて、
結晶質シリコン薄膜を形成した薄膜太陽電池(以下、結
晶質シリコン薄膜太陽電池とする)が注目されている。
【0004】高効率な薄膜太陽電池を実現する上で重要
な技術の1つに光閉込効果がある。光閉込効果とは、光
電変換層に接する透明導電層あるいは金属層の表面を凹
凸化して、その界面で光を散乱させることで光路長を延
長させ、光電変換層での光吸収量を増大させるものであ
る。
【0005】光閉込効果を利用した技術として、例え
ば、特許第1681183号公報及び特許第28621
74号公報に、ガラス基板上に形成した透明導電層の粒
径や凹凸の大きさを規定した太陽電池用基板を得ること
が開示されている。光閉込効果による光電変換効率の向
上は、光電変換層の膜厚を低減する作用がある。これに
より、特にアモルファスシリコン太陽電池の場合には、
Staebler−Wronski効果に起因する光電
変換効率の劣化を抑制できる。また、光吸収特性のため
にアモルファスシリコンと比較して数倍から十数倍とな
る数μmオーダーもの厚さが必要とされる結晶質シリコ
ン太陽電池の場合には、製膜時間を大幅に短縮すること
ができる。すなわち、光閉込効果によって薄膜太陽電池
の実用化への大きな課題である高効率化、安定化及び低
コスト化の全てを向上させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、現在までの
ところ、精力的な研究開発が行われているにもかかわら
ず、結晶質シリコン薄膜太陽電池の光電変換効率は、ア
モルファスシリコン太陽電池の光電変換効率と比較して
同等レベルでしかない。
【0007】H.Yamamotoらは、PVSEC−
11,Sapporo,Japan,1999におい
て、ガラス基板の表面に微視的な表面凹凸を有する酸化
錫を積層したAsahi−U基板上に、プラズマCVD
法により微結晶シリコンを形成した場合、酸化錫の表面
に垂直な方向にシリコンの結晶粒が優先的に成長し、異
なる凹凸表面から成長した互いに結晶方位の異なる結晶
粒同士がぶつかることによって多量の欠陥が発生するこ
とを報告した。このような欠陥は、キャリアの再結合中
心となるため、光電変換効率を著しく劣化させることに
なる。
【0008】また、H.Yamamotoらは、表面凹
凸を有する酸化錫の上に、さらに酸化亜鉛を厚く積層す
ることで凹凸の程度を小さくした場合、酸化錫の場合と
同様に、酸化亜鉛の表面に垂直な方向にシリコン結晶粒
が成長し、異なる凹凸表面から成長した結晶粒同士はぶ
つかるが、それらの方位差が小さいため、発生する欠陥
が少なくなることを同時に報告した。つまり、結晶質シ
リコン薄膜中の欠陥を低減するには、基板の表面凹凸を
できるだけ小さくすればよいのは明らかである。しか
し、表面凹凸をなくす、あるいは小さくすることは、光
閉込効果を向上させて光電変換効率の高い薄膜太陽電池
を得る目的に対して相反する結果をもたらす。
【0009】上述の特許第1681183号公報及び特
許第2862174号公報に開示された、表面に凹凸形
状を有する透明導電層が形成されたガラス基板は、未だ
十分な低コスト化が実現されておらず、薄膜太陽電池の
普及を妨げる要因の一つとなっている。
【0010】上記の解決策として、透明導電層に酸化亜
鉛を使用することが注目されている。酸化亜鉛は透明導
電層として広く用いられている酸化錫又はITO等の材
料と比較して安価であり、さらに、耐プラズマ性が高い
という利点を有しており、薄膜太陽電池用透明導電層の
材料として好適である。
【0011】酸化亜鉛を薄膜太陽電池用透明導電層の材
料として用いた例は、特許第2974485号公報、特
開平10−65197号公報及び特開平11−2338
00号公報に開示されている。上記の公報では、透明導
電層として酸化亜鉛層をスパッタリング法により作製
し、この酸化亜鉛層をエッチングすることにより、表面
に凹凸形状を設けた薄膜太陽電池が開示されている。し
かし、これらの例は全て、アモルファスシリコン太陽電
池の透明導電層に酸化亜鉛を単に用いたものであり、結
晶質シリコン中の薄膜に、欠陥密度の低減と高い光閉込
効果とを両立させる好適な透明導電層表面の構造は、未
だ明らかとはなっていない。
【0012】本発明は、上記課題に鑑みなされたもので
あり、十分な光閉込効果を有しつつ、欠陥密度を低減さ
せたシリコン層を有する高効率な単接合型薄膜太陽電池
及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、基板
上に、透明導電層及び光電変換層がこの順に1組積層さ
れてなり、前記透明導電層が光電変換層側の表面に複数
の穴を有しており、該穴の表面に凹凸が形成されている
単接合型薄膜太陽電池が提供される。また、この発明に
よれば、上記単接合型薄膜太陽電池を製造するに際し、
基板及び/又は透明導電層の表面をエッチングすること
により又は透明導電層をその表面に穴が形成されるよう
に成膜することにより、透明導電層の表面に複数の穴及
び凹凸を形成する単接合型薄膜太陽電池の製造方法が提
供される。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の単接合型薄膜太陽電池
は、主として、基板上に透明導電層、光電変換層がこの
順に1組積層されて構成される。
【0015】本発明の太陽電池に用いることができる基
板としては、太陽電池全体を支持し、補強するものであ
れば特に限定されるものではなく、さらに耐熱性を有す
るもの(例えば、200℃程度)が好ましい。また、ス
ーパーストレート型の太陽電池に使用し得るものが好ま
しい。例えば、ガラス;ポリイミド、PET、PEN、
PES、テフロン(登録商標)等の耐熱性の高分子フィ
ルム;ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム板等の金
属、セラミック等を単独又は積層構造で用いることがで
きる。なかでも、耐熱性を有し、透明であることが好ま
しい。これらの基板は、適当な強度及び重量等を備える
膜厚、例えば、0.1〜30mm程度の膜厚であること
が適当である。また、基板の利用態様に応じて、さらに
絶縁膜、導電膜、バッファ層等又はこれらが組み合わさ
れて形成されていてもよい。
【0016】基板は、その表面、好ましくは、後述する
透明導電層側に、複数の穴が形成されていてもよい。ま
た、この穴の表面には凹凸が形成されていてもよい。こ
れらの穴及び凹凸の形状や大きさ等は、後述するよう
に、透明導電層の光電変換層側に穴や凹凸を生じさせる
ことができるように設定することが好ましく、後述する
透明導電層の膜厚、材料等に応じて、適宜調整すること
ができる。具体的には、略立方体、直方体、円柱、円
錐、球、半球等又はこれらの複合形状が挙げられ、穴の
直径は、200〜2000nm程度、穴の深さは50〜
1200nm程度、凹凸の高低差は10〜300nm程
度が挙げられる。
【0017】なお、基板は、穴が形成された基板表面の
穴以外の表面に凹凸が形成されていてもよい。この場合
の凹凸の高低差は10〜300nm程度が挙げられる。
上記において、穴の直径に対する穴の深さの比率および
凹凸間隔に対する凹凸大きさの比率は、例えば、0.0
5〜3程度、好ましくは0.1〜2程度が挙げられる。
また、別の観点から、穴の個数密度は、0.1〜5個/
μm2程度、好ましくは0.5〜2個/μm2程度が挙げ
られる。基板表面に穴又は凹凸等を形成する方法は、後
述するように、透明導電層表面に穴又は凹凸等を形成す
る方法と同様に行うことができる。なかでも、サンドブ
ラスト法による加工が適当である。
【0018】基板上に形成される透明導電層としては、
特に限定されるものではなく、例えば、SnO2 、In
2 3 、ZnO、ITO等の透明導電材等の単層又は積
層層により形成することができる。なかでも耐プラズマ
性が高いZnOが好ましい。透明導電層は、抵抗率を低
減するという観点から、不純物が含有されていてもよ
い。この場合の不純物は、ガリウムやアルミニウム等の
III族元素が挙げられる。その濃度は、例えば、5×1
20〜5×1021/cm3 が挙げられる。透明導電層の
膜厚は、0.1nm〜2μm程度が挙げられる。これら
は、基板上に、スパッタ法、真空蒸着法、EB蒸着法、
常圧CVD法、減圧CVD法、ソルゲル法、電析法等に
よって形成することができる。なかでも、透明導電層の
透過率や抵抗率を結晶質シリコン薄膜太陽電池に適した
ものに制御しやすいことからスパッタ法が好ましい。
【0019】透明導電層は、後述する光電変換層側の表
面に複数の穴が形成されている。また、その穴の表面に
さらに凹凸が形成されていることが好ましい。透明導電
層の表面に穴及び凹凸の双方を形成する場合には、十分
な太陽光の散乱又は反射状態を得ることができ、さらに
光電変換効率の高い光吸収特性と欠陥密度の低減を両立
させることができるため、より好ましい。
【0020】これらの穴及び凹凸は、光電変換層の光吸
収特性に適した太陽光の散乱又は反射状態を生じさせる
ことができ、この上に積層する光電変換層の欠陥密度低
減に適した数、大きさ、形状、深さ等を有する。例え
ば、太陽光スペクトルの中心の波長450〜650nm
程度の中波長のみならず、さらに長波長に対しても十分
な光散乱効果を生じさせることができるものが好まし
い。具体的には、略立方体、直方体、円柱、円錐、球、
半球等又はこれらの複合形状等が挙げられる。穴の直径
は200〜2000nm程度、好ましくは400〜12
00nm程度、穴の深さは50〜1200nm程度、好
ましくは100〜800nm程度、凹凸の高低差は10
〜300nm程度、好ましくは20〜200nm程度で
ある。穴の直径に対する穴の深さの比率および凹凸間隔
に対する凹凸大きさの比率は、例えば、0.05〜3程
度、好ましくは0.1〜2程度である。また、別の観点
から、穴の個数密度は、0.1〜5個/μm2程度、好
ましくは0.5〜2個/μm2程度である。
【0021】穴が形成された透明導電層表面の穴以外の
表面には、さらに凹凸が形成されていることが好まし
い。この場合の凹凸の高低差は10〜300nm程度、
好ましくは20〜200nm程度である。また、凹凸間
隔に対する凹凸大きさの比率又は穴の個数密度は上記と
同程度が挙げられる。
【0022】透明導電層は、基板面に対して配向してい
ることが好ましい。ここで基板面に対して配向している
とは、X線回折における特定面に対する回折ピークが全
回折ピークの積分強度の和に対して60%以上、より好
ましくは70%以上となることを意味する。これによ
り、透明導電層におけるエッチング等の処理による面方
位依存性の影響がなくなり、透明導電層の光電変換層側
の表面に形成される穴や凹凸が均一となり、ひいては薄
膜太陽電池の光電変換特性を均一化することができる。
また、配向性の向上とともに、エッチング処理後に形成
される穴の深さが大きくなり、波長700nm以上の長
波長光を効果的に吸収することができる。例えば、酸化
亜鉛を透明導電層に用いた場合では、X線回折法で得ら
れる(0001)回折ピークの積分強度が、全回折ピー
クの積分強度の和に対して70%以上となっていること
が、電気的、光学的特性の上からより好ましい。
【0023】透明導電層の表面に、上記のような複数の
穴及び凹凸を形成する方法としては、透明導電層の表面
をエッチャント等で処理する化学的方法、透明導電層の
表面にイオンやプラズマ等を照射する物理的方法、さら
には、マグネトロンスパッタリング法によって透明導電
層を作製する場合の条件を、自然に穴及び凹凸が発生す
るように設定する方法、上述したように基板自体にエッ
チングや機械加工を施すことで、その上に形成される透
明導電層に穴及び凹凸を発生させる方法等の種々の方法
が挙げられる。
【0024】化学的方法は、エッチャントの種類、濃度
又はエッチング時間等を適宜変更することにより、透明
導電層の表面形状を容易に制御することができ、好まし
い。また、エッチャントで処理する場合、製造コストの
低減を考慮すると、エッチャント中に透明導電層を浸漬
する方法がこのましい。エッチャントとしては、塩酸、
硫酸、硝酸、フッ酸、酢酸、蟻酸、過酸化水素、過塩素
酸等の酸溶液の1種又は2種以上の混合物が挙げられ
る。なかでも、塩酸及び酢酸が好ましい、これらの溶液
は、例えば、0.05〜5重量%程度の濃度で使用する
ことができる。特に酢酸のような比較的弱い酸の場合に
は、0.15〜5重量%程度の濃度で使用することが好
ましい。また、アルカリ溶液として、水酸化ナトリウ
ム、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、
水酸化ナトリウム等の1種又は2種以上の混合物が挙げ
られる。なかでも、水酸化ナトリウムが好ましい。これ
らの溶液は、1〜10重量%程度の濃度で使用すること
が好ましい。
【0025】物理的方法では、例えば、イオンやプラズ
マの種類、発生方法、運動エネルギー等を制御すること
で、透明導電層の表面に穴又は凹凸を形成することがで
きる。さらに、成膜条件を制御する方法では、例えば、
特許第28620174号公報に記載されているように
成膜条件を制御する。これにより、透明導電層の結晶粒
径及び配向性を制御することができ、透明導電層の表面
に穴又は凹凸を形成することができる。基板に凹凸を形
成する方法では、例えば、特開平10−70294号公
報に記載のサンドブラスト法が挙げられる。なお、上記
方法は、単独で行ってもよいし、2種以上を組み合わせ
て行ってもよい。
【0026】透明導電層上に形成される光電変換層は、
pin接合により形成される。pin接合を構成するp
層、i層及びn層は、結晶質層により形成されていても
よいし、非晶質層によって形成されていてもよいが、少
なくともi層は、結晶質層により形成されていることが
好ましい。ここで「結晶質」とは、特に注意することが
ない限り、多結晶及び単結晶のほか、いわゆる微結晶又
はマイクロクリスタルと呼ばれる結晶成分等の全ての結
晶状態を含む。結晶質層は、i層中において部分的に含
まれていてもよいが、i層全体にわたって含まれている
ことが好ましい。結晶質層を構成する材料は、シリコン
等の元素半導体、シリコン合金(例えば、炭素が添加さ
れたSix1-x、ゲルマニウムが添加されたSixGe
1-x又はそのほかの不純物等が添加されたシリコン等の
合金化されたシリコン)等が挙げられる。光電変換層が
結晶質を含むシリコン又はシリコン合金からなる層を含
むことにより、アモルファスシリコンでは光電変換に利
用できない波長700nm以上の長波長光を十分に利用
することができる。
【0027】光電変換層を構成するp層及びn層は、全
体又は部分的に結晶質層であってもよいし、全体が非晶
質層であってもよい。これらp層及びn層を構成する材
料は、結晶質層を構成する材料と同じものを用いること
ができる。本発明の単接合型の薄膜太陽電池では、光電
変換層を構成するp層、i層及びn層のすべてが結晶質
シリコンを含む層からなるもの、i層とp層又はn層の
いずれか透明導電層に接する方の層とが結晶質シリコン
を含む層であることが好ましい。
【0028】光電変換層を構成するp層は、III族元素
(例えば、ボロン、アルミニウム、ゲルマニウム、イン
ジウム、チタン等)が含有された層である。p層は、単
層であってもよいし、III族元素濃度が異なる又は徐々
に変化する積層層により形成されていてもよい。III族
元素濃度としては、例えば、0.01〜8原子%程度が
挙げられる。p層の膜厚は、例えば、1〜200nm程
度が挙げられる。p層は、シリコン又はシリコン合金か
らなる層をp型の導電型を有するように形成することが
できる方法であれば、どのような方法によっても形成す
ることができる。このような層を形成する方法として
は、代表的にはCVD法が挙げられる。ここでのCVD
法としては、常圧CVD、減圧CVD、プラズマCV
D、ECRプラズマCVD、高温CVD、低温CVD等
が挙げられる。なかでも、RFからVHFの周波数帯の
高周波によるもの、ECRプラズマCVD法、これらの
組み合わせ等が好ましい。例えば、プラズマCVD法を
利用する場合には、その条件は、周波数10〜200M
Hz程度、パワー数W〜数kW程度、チャンバー内圧力
0.1〜20Torr程度、基板温度は室温〜600℃程度
等が挙げられる。
【0029】p層を形成する際に使用するシリコン含有
ガスとしては、例えば、SiH4 、Si2 6 、SiF
4 、SiH2 Cl2 、SiCl4 等が挙げられる。シリ
コン含有ガスは、通常、希釈ガスとして、H2 、Ar、
He、Ne、Xe等の不活性ガスとともに使用される。
なかでもH2 ガスが好ましい。シリコン含有ガスと希釈
ガスとの混合比は、一定で又は変化させながら、例え
ば、容量比で1:1〜1:100程度とすることが適当
である。なお、ドーピングガスとしては、任意にIII族
元素を含有するガス、例えば、B2 6 等を用いてもよ
い。
【0030】この場合、シリコン含有ガスとIII族元素
を含有するガスとの混合比は、CVD等の成膜装置の大
きさ、得ようとするIII族元素濃度等に応じて適宜調整
することができ、一定で又は変化させながら、例えば、
容量比で1:0.001〜1:1程度とすることができ
る。なお、III族元素のドーピングは、上記のようにシ
リコン層の成膜と同時に行ってもよいが、シリコン層を
形成した後、イオン注入、シリコン層の表面処理又は固
相拡散等により行ってもよい。なお、任意に、シリコン
含有ガス等にフッ素含有ガスを添加してもよい。フッ素
含有ガスとしては、例えば、F2 、SiF4 、SiH2
2 等が挙げられる。この場合のフッ素含有ガスの使用
量は、例えば、水素ガスの0.01〜10倍程度が挙げ
られる。
【0031】i層は、実質的にp型及びn型の導電型を
示さない層であるが、光電変換機能を損なわない限り、
非常に弱いp型又はn型の導電型を示すものであっても
よい。i層は、上記した方法により形成することができ
るが、なかでも、プラズマCVD法により形成すること
が好ましい。その場合の膜厚は、例えば、0.1〜10
μm程度が挙げられる。i層を形成する場合の使用ガス
としては、III族元素を含まない以外は、p層と実質的
に同様のものを同様に用いることができる。また、成膜
条件としては、p層と実質的に同様のものが挙げられ
る。
【0032】n層は、通常、太陽電池のpin接合に使
用されるn層であれば、特に限定されるものではなく、
V族元素を含むガス、例えば、PH3 等を使用する以外
は、p層及びi層と同様に形成することができる。ドナ
ーとなる不純物としては、例えば、リン、砒素、アンチ
モン等が挙げられ、不純物濃度は、1018〜1020cm
-3程度が挙げられる。n層の膜厚は、例えば、10〜1
00nm程度が挙げられる。なお、p層、i層、n層
は、別々に成膜条件を設定し、それぞれ非晶質成分を含
む層又は含まない層等として形成してもよいが、プラズ
マCVD法により、使用ガス流量を変化させながら、任
意に他の条件も変化させながら、連続的に形成すること
が好ましい。これにより、p層からn層にわたって堆積
の中断を伴わない一体的な層として形成することができ
る。
【0033】また、光電変換層、特に、i層は、(22
0)X線回折ピークの積分強度I22 0 と(111)X線
回折ピークの積分強度I111 の比I220 /I111 が5以
上である場合には、非常に欠陥の少ない光電変換層が形
成されており、高い光電変換効率が得られるため、好ま
しい。
【0034】本発明の薄膜太陽電池は、基板側から光を
入射させるスーパーストレート型及び光電変換層側から
光を入射させるサブストレート型のいずれであってもよ
いが、透明基板上に、透明電極、光電変換層がこの順に
1組形成され、さらに光電変換層上に導電層が形成され
た、スーパーストレート型の薄膜太陽電池であることが
好ましい。なお、サブストレート型の太陽電池では、基
板としては、金属基板あるいは表面に金属が被覆された
基板が用いられ、透明導電層は金属面により反射された
光の散乱層として機能する。ここでの導電層は、透明導
電層のほか、通常一般に電極材料として使用できる導電
材からなるものであればよい。また、基板及びp層、i
層、n層の間に、任意にバッファ層、中間層、導電層、
絶縁層、保護層等の1以上をさらに備えていてもよい。
このような薄膜太陽電池は、1つの基板に、並列又は直
列に複数個形成された太陽電池モジュールとしてもよい
し、さらに他の構造の薄膜太陽電池と組み合わせた太陽
電池モジュールとして構成されていてもよい。
【0035】以下、本発明の単接合型薄膜太陽電池の実
施例を詳細に説明するが、これらによって本発明は限定
されない。
【0036】実施例1 この実施例における単接合型薄膜太陽電池は、スーパー
ストレート型の太陽電池であり、図1に示すように、ガ
ラス板11aとその上に形成された透明導電層11bと
からなる薄膜太陽電池用基板11上に、結晶質シリコン
光電変換層17、裏面反射層15、裏面電極16がこの
順に積層されてなる。結晶質シリコン光電変換層17
は、p型結晶質シリコン層12、i型結晶質シリコン層
13及びn型結晶質シリコン層14からなる。透明導電
層11b表面には、ガラス板11aには至らない概略球
形の穴が多数形成されており、穴の表面及び穴が形成さ
れている表面に凹凸を有している。
【0037】このような単接合型薄膜太陽電池は、以下
のように形成した。まず、表面が平滑なガラス板11a
上に、基板温度150℃、成膜圧力0.3Torrの条件下
で、マグネトロンスパッタリング法により、透明導電層
11bとして酸化亜鉛膜を厚さ1200nmとなるよう
に形成し、薄膜太陽電池用基板11とした。透明導電層
11bには、1×1021/cm-3程度のガリウムが添加
されている。この結果、得られた透明導電層11bのシ
ート抵抗は6Ω/□であり、波長800nmの光に対す
る透過率は80%であった。また、透明導電層11bに
対してX線回折法を行ったところ、(0001)回折ピ
ークの積分強度が全回折ピークの積分強度の和に対して
75%であった。続いて、透明導電層11b表面をエッ
チングした。基板11を、液温25℃の1重量%酢酸水
溶液に180秒浸した後、基板11の表面を純水で十分
に洗浄した。エッチング後の透明導電層11bの表面形
状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面での直径
が200〜1400nm程度の概略円形の穴が多数形成
されていることが分かった。また、個数密度は0.8個
/μm2であった。
【0038】この穴及び周辺の表面形状を原子間力顕微
鏡により観察した。透明導電層11bの表面形状の概略
を、図2に示す。図2において、透明導電層11bの表
面に形成された穴の1つの深さ21は80〜1000n
m程度の分布を有しており、穴の直径22に対する穴の
深さ21の比率はおおよそ0.1〜1の範囲であった。
さらに穴の表面には凹凸が形成されており、この凹凸の
大きさ(凹凸の高低差)23は10〜280nm程度の
分布を有しており、凹凸の間隔24は100〜900n
m程度であった。この凹凸間隔24に対する凹凸大きさ
23の比率は、約0.1〜1の範囲であった。また、穴
表面以外の部分に形成されている凹凸の大きさは10n
m程度以下であった。
【0039】次いで、高周波プラズマCVD法により、
透明導電層11b上に、厚さ20nmのp型結晶質シリ
コン層12、厚さ2μmのi型結晶質シリコン層13、
厚さ30nmのn型結晶質シリコン層14を順に積層し
て、結晶質シリコン光電変換層17を作製した。成膜時
の基板温度は各々の層において200℃とした。p型結
晶質シリコン層12形成時には、SiH4 ガスを流量比
で5倍のH2 ガスにより希釈したものを原料ガスとして
用いるとともに、さらにB2 6 ガスをSiH4 ガス流
量に対して0.01%添加して成膜した。また、i型結
晶質シリコン層13形成時には、p型結晶質シリコン層
12と同様の原料ガスを、n型結晶質シリコン層14形
成時には、さらにPH3 ガスをSiH4 ガス流量に対し
て0.01%添加して用いた。
【0040】プラズマCVD装置(図示せず)から一
旦、得られた基板11を取り出した後、結晶質シリコン
光電変換層17に対してX線回折法を行ったところ、
(220)X線回折ピークの積分強度I220 と(11
1)X線回折ピークの積分強度I11 1 の比I220 /I
111 は3であった。ここで、実際に得られたX線回折ピ
ークは、結晶質シリコン光電変換層17中のi型結晶質
シリコン層13単体の情報ではないが、i型結晶質シリ
コン層13に比べてp型及びn型結晶質シリコン層12
及び14層の膜厚は非常に薄いので、i型結晶質シリコ
ン層13の結晶配向性を反映しているものとして差し支
えない。なお、透明導電層11bの表面形状及び結晶質
シリコン光電変換層17の配向性を表1に示す。
【0041】その後、マグネトロンスパッタリング法に
より裏面反射層15として酸化亜鉛を厚さ50nm、電
子ビーム蒸着法により裏面電極16として銀を厚さ50
0nmで形成し、ガラス板11a側から光を入射するス
ーパーストレート型の単接合型薄膜太陽電池を完成し
た。得られた薄膜太陽電池のAM1.5(100mW/
cm2 )照射条件下における電流−電圧特性を表2に示
す。
【0042】実施例2 透明導電層11b表面のエッチングの際に、基板11を
酢酸水溶液に浸す時間を240秒とした以外は実施例1
と同様にして単接合型薄膜太陽電池を作製した。結晶質
シリコン光電変換層17の形成前に、透明導電層11b
の表面形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、表面
での直径が400〜1000nm程度の概略円形の穴が
多数形成されていることが分かった。また、個数密度は
1個/μm2程度であった。実施例1と同様にして結晶
質シリコン光電変換層17の形成した後、表面形状を詳
細に調べるため、原子間力顕微鏡により表面形状を測定
した。原子間力顕微鏡により測定した透明導電層11b
の表面形状の概略を図3に示す。
【0043】前記穴の深さ31は100〜700nm程
度の分布を有しており、穴の直径32に対する穴の深さ
31の比率は、約0.1〜1の範囲であった。また、穴
の表面及び穴が形成されていない表面にも凹凸が形成さ
れており、この凹凸の大きさ33(凹凸の高低差)は2
0〜200nm程度の分布を有しており、凹凸の間隔3
4は200〜800nm程度の分布を有していた。穴以
外の表面の凹凸は20〜40nm程度であった。この凹
凸間隔34に対する凹凸大きさ33の比率は、約0.1
〜1の範囲であった。実施例1の場合と比較して、エッ
チング時間を長くすることにより、透明導電層11b表
面に形成される穴及び凹凸の形状がより均一化されたも
のと考えられる。この実施例における透明導電層11b
の表面形状及び結晶質シリコン光電変換層17の配向性
を表1に、得られた薄膜太陽電池のAM1.5(100
mW/cm2)照射条件下における電流−電圧特性を表
2に示す。
【0044】実施例3 i型結晶質シリコン層13の形成の際に、SiH4 ガス
を流量比で30倍のH 2 ガスにより希釈したものを原料
ガスとすること以外は実施例2と同様にして単接合型薄
膜太陽電池を作製した。結晶質シリコン光電変換層17
形成後にX線回折を行ったところ、(220)X線回折
ピークの積分強度I220と(111)X線回折ピークの
積分強度I111とのI220/I111は5.5であった。透
明導電層11bの表面形状及び結晶質シリコン光電変換
層17の配向性を表1に、得られた薄膜太陽電池のAM
1.5(100mW/cm2)照射条件下における電流
−電圧特性を表2に示す。
【0045】比較例1 従来技術を用いた例として、表面が平滑なガラス板(1
1aに相当する)上に形成する透明導電層を、常圧CV
D法により形成した酸化錫と、さらにその上にマグネト
ロンスパッタリング法により形成した酸化亜鉛を被覆し
たものを用い、エッチングを行わないこと以外は実施例
1と同様にして単接合型薄膜太陽電池を作製した。
【0046】酸化錫は、特許第2862174号公報に
開示されている方法に従って作製した。すなわち、表面
に酸化ケイ素膜が形成されているガラス板を600℃に
熱し、SnCl4 、水、メタノール、フッ酸をN2 ガス
で希釈したものをガラス板の表面に吹き付けることによ
り、凹凸の平均高さが150nm、平均間隔が180n
m、凹凸の間隔に対する凹凸の高低差は約0.5〜2の
範囲である表面凹凸形状を有する酸化錫を作製した。な
お、この酸化錫の表面には概略円形の穴は見られなかっ
た。この酸化錫の平均膜厚は600nm、シート抵抗は
10Ω/□、波長800nmの光に対する透過率は78
%であった。酸化亜鉛は、結晶質シリコン層形成中に生
じる水素プラズマによる酸化錫の還元反応を防止するた
めに設けられており、厚さは30nmと薄いので、酸化
錫表面の凹凸形状にはほとんど影響を与えない。
【0047】実施例1と同様にして結晶質シリコン光電
変換層17を形成した後、X線回折法を行ったところ、
(220)X線回折ピークの積分強度I220 と(11
1)X線回折ピークの積分強度I111 の比I220 /I
111 は1.5であった。透明導電層11bの表面形状及
び結晶質シリコン光電変換層17の配向性を表1に、得
られた薄膜太陽電池のAM1.5(100mW/c
2)照射条件下における電流−電圧特性を表2に示
す。
【0048】比較例2 透明導電層11b表面のエッチングの際に、基板を酢酸
水溶液に浸す時間を60秒とした以外は実施例1と同様
にして単接合型薄膜太陽電池を作製した。透明導電層1
1bを形成した後、結晶質シリコン光電変換層17を形
成する前に走査型電子顕微鏡で観察した透明導電層11
bの表面形状及び結晶質シリコン光電変換層17の配向
性を表1に、得られた薄膜太陽電池のAM1.5(10
0mW/cm2)照射条件下における電流−電圧特性を
表2に示す。
【0049】実施例4 酸化亜鉛からなる透明導電層11bの表面エッチングを
行った後、さらに酸化亜鉛を膜厚50nm積層して透明
導電層を得る以外は、実施例1と同様にして単接合型薄
膜太陽電池を作製した。表面エッチング後の透明導電層
11bの成膜条件は、実施例1と異なり、成膜圧力を3
mTorrとした。この成膜条件で、ガラス基板上に成膜し
た透明導電層11bに対してX線回折法を行ったとこ
ろ、ランダム配向であった。結晶質シリコン光電変換層
17の形成前に、透明導電層11bの表面形状を走査型
電子顕微鏡で観察したところ、実施例1と異なり、透明
導電層11b上全面に凹凸が形成されていた。凹凸高さ
は20〜280nm程度の分布(穴以外の表面:20〜
50nm)を有していた。これはランダム配向条件で形
成した透明導電層が縞状に成長したために凹凸が全面に
形成されたものと考えられる。透明導電層11bの表面
形状及び結晶質シリコン光電変換層17の配向性につい
て表1に、この薄膜太陽電池のAM1.5(100mW
/cm2)照射条件下における電流−電圧特性を表2に
示す。
【0050】実施例5 図4に示したように、表面が平滑なガラス板の代わり
に、表面形状を加工したガラス基板11aを用いた薄膜
太陽電池用基板11を形成し、さらに、その上に膜厚1
000nmの透明導電層11bを形成した基板11を用
いる以外、実施例1と同様に単接合型薄膜太陽電池を作
製した。ガラス板11aの表面形状は、アルミナ製の平
均粒径1μmの砥粒を用いてサンドブラスト処理を行う
ことによって、加工した。サンドブラスト処理条件は、
噴射圧力を3〜4kg/cm2程度、噴射距離を8cm
程度に設定し、噴射角度を90°、加工用の台の速度を
25mm/分、噴射量を50g/分程度に設定した。結
晶質シリコン光電変換層17の形成前に、透明導電層1
1bの表面形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、
表面での直径が400〜1000nm程度の概略円形の
穴を、個数密度1個/μm2程度で有していることが分
かった。
【0051】この穴及び周辺の表面形状を詳細に調べる
ため、原子間力顕微鏡により表面形状を測定したとこ
ろ、穴の深さは100〜700nm程度に分布してお
り、穴の直径に対する穴の深さの比率は、約0.1〜1
の範囲であった。また、穴の表面及び穴が形成されてい
ない表面にも凹凸が形成されており、この凹凸の大きさ
は20〜1000nm程度に分布しており、凹凸の間隔
は100〜400nm程度の分布を有していた。この凹
凸間隔に対する凹凸大きさの比率は、約0.1〜1の範
囲であった。透明導電層11bの表面形状及び結晶質シ
リコン光電変換層17の配向性について表1に、この薄
膜太陽電池のAM1.5(100mW/cm2)照射条
件下における電流−電圧特性を表2に示す。
【0052】比較例3 ガラス板11a表面の加工条件以外は、実施例5と同様
にして単接合型薄膜太陽電池を作製した。ガラス板11
aの表面形状は、アルミナ製の平均粒径20μmの砥粒
を用いてサンドブラスト処理を行うことにより、加工し
た。サンドブラスト処理条件は、噴射圧力を3〜4kg
/cm2程度、噴射距離を8cm程度に設定し、噴射角
度を90°、加工用の台の速度を250mm/分、噴射
量を50g/分程度に設定した。結晶質シリコン光電変
換層17の形成前に、透明導電層11bの表面形状を走
査型電子顕微鏡で観察したところ、表面での直径が80
0〜3000nm程度の概略円形の穴を、個数密度0.
3個/μm2程度有していることが分かった。
【0053】この穴及び周辺の表面形状を詳細に調べる
ため、原子間力顕微鏡により表面形状を測定したとこ
ろ、穴の深さは700〜200nm程度で分布してお
り、穴の直径に対する穴の深さの比率は、約0.5〜2
の範囲であった。また、穴の表面及び穴が形成されてい
ない表面にも凹凸が形成されており、この凹凸の大きさ
は150〜500nm程度で分布しており、凹凸の間隔
は200〜800nm程度で分布していた。この凹凸間
隔に対する凹凸大きさの比率は、約0.5〜2の範囲で
あった。透明導電層11bの表面形状及び結晶質シリコ
ン光電変換層17の配向性を表1に、この薄膜太陽電池の
AMl.5(100mW/cm2)照射条件下における電
流−電圧特性を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】表1及び2によれば、比較例1では透明導
電層上に平均150nmの凹凸が形成されていたのに対
し、実施例1及び2では、比較例1の凹凸と比べて大き
く、かつ、深さより直径が大きい穴が形成され、さらに
これらの穴の表面に穴より小さな凹凸が形成されてい
た。また、実施例1及び2の開放電圧では、比較例1比
べて高い値が得られた。これは、実施例1及び2が、比
較例1に比べて、結晶質シリコン光電変換層の配向性が
向上しており、その上に形成された結晶質シリコン光電
変換層においても配向性が維持され、欠陥の導入を防止
したためと考えられる。また、実施例1及び2では、開
放電圧が比較例1より高いだけでなく、短絡電流も比較
例1と同等以上であることから、実施例1及び2の透明
導電層上に結晶質シリコン光電変換層を形成すること
で、光閉込効果を維持しつつ、基板の凹凸による結晶質
シリコン光電変換層への欠陥密度の導入を防止すること
が可能となった。
【0057】さらに、実施例2では実施例1よりも短絡
電流が高い。実施例1と実施例2とでは、穴の直径、深
さ及び穴表面の凹凸の大きさがあまり変化していないこ
とから、実施例2において穴表面以外にも10nm以上
の凹凸が形成されていることが原因で高い光閉込効果が
発生しているものと考えられる。実施例3では、結晶質
シリコン光電変換層の配向性I220/I111が5.5と、
実施例1及び2における結晶質シリコン光電変換層の配
向性I220/I111=3よりも高いため、高い開放電圧及
び形状因子を示している。このことから結晶質シリコン
光電変換層の配向性I220/I111が5以上であることが
好ましいと考えられる。また、比較例2では実施例1及
び2よりも穴及び凹凸が小さすぎるために、光閉込効果
が発生せず、短縮電流が低下した。比較例3では開放電
圧及び形状因子だけでなく、結晶質シリコン光電変換層
の配向性も低下していることから、穴の直径、深さ及び
凹凸が大きすぎるために結晶質シリコン光電変換層に欠
陥が導入され、開放電圧が低下しているものと考えられ
る。
【0058】したがって単接合型薄膜太陽電池の結晶質
シリコン光電変換層に、欠陥密度の低減と高い光閉じ込
め効果とを両立させるのに適した穴の直径、深さおよび
凹凸大きさが存在し、穴の直径が200nm以上、20
00nm以下の範囲にあり、穴の深さが50nm以上、
1200nm以下の範囲に、穴の表面および穴以外の表
面にある凹凸大きさが10nm以上300nm以下の範
囲にあることが好ましいと考えられる。また、実施例4
及び5では、それぞれ透明導電層の積層、ガラス基板の
サンドブラスト加工により実施例2と同等の穴及び凹凸
を表面にもつ透明導電層を形成し、実施例2と同等の電
流−電圧特性を有する単接合型薄膜太陽電池を形成して
いる。このことから、高光電変換効率を示す薄膜太陽電
池の形成には透明導電層の表面形状が重要であり、透明
導電層のエッチングのみならず、透明導電層の積層やガ
ラス基板のサンドブラスト加工及びそれらの組み合わせ
等が有効であると考えられる。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、透明導電層の光電変換
層側の表面に穴及び凹凸が形成されているため、十分な
光閉込効果を有しつつ、欠陥密度を低減させた光電変換
層を有する高効率な単接合型薄膜太陽電池を得ることが
できるとともに、このような単接合型薄膜太陽電池を安
価に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単接合型薄膜太陽電池(実施例1)を
示す要部の概略断面図である。
【図2】図1における透明導電層の表面形状を説明する
ための模式図である。
【図3】本発明の単接合型薄膜太陽電池(実施例2)に
おける透明導電層の表面形状を説明するための模式図で
ある。
【図4】本発明の単接合型薄膜太陽電池(実施例5)を
示す要部の概略断面図である。
【符号の説明】
11 基板 11a ガラス板 11b 透明導電層(第1透明導電層) 11c 透明導電層(第2透明導電層) 12 p型シリコン層 13 i型シリコン層 14 n型シリコン層 15 裏面反射層 16 裏面電極 17 結晶質シリコン光電変換層 21 穴の深さ 22 穴の直径 23 凹凸大きさ(凹凸の高低差) 24 凹凸間隔 31 穴の深さ 32 穴の直径 33 凹凸大きさ(凹凸の高低差) 34 凹凸間隔
フロントページの続き Fターム(参考) 5F051 AA03 AA04 CA15 CB15 CB21 DA04 FA02 FA19 GA03

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、透明導電層及び光電変換層が
    この順に1組積層されてなり、 前記透明導電層が光電変換層側の表面に複数の穴を有し
    ており、該穴の表面に凹凸が形成されていることを特徴
    とする単接合型薄膜太陽電池。
  2. 【請求項2】 光電変換層がpin接合により形成され
    てなり、i層が結晶質層により形成されている請求項1
    に記載の薄膜太陽電池。
  3. 【請求項3】 基板の表面に、複数の穴が形成されてお
    り、該穴の表面に凹凸が形成されている請求項1又は2
    に記載の薄膜太陽電池。
  4. 【請求項4】 透明導電層の表面に形成された穴の直径
    が200nm以上、2000nm以下の範囲にあり、該
    穴の深さが50nm以上、1200nm以下の範囲にあ
    り、該穴の表面にある凹凸の高低差が10nm以上、3
    00nm以下の範囲にある請求項1〜3のいずれか1つ
    に記載の薄膜太陽電池。
  5. 【請求項5】 穴が形成された透明導電層表面の前記穴
    以外の表面に凹凸が形成されており、該凹凸の高低差が
    10nm以上、300nm以下の範囲にある請求項1〜
    3のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池。
  6. 【請求項6】 透明導電層が、酸化亜鉛を主体として形
    成されてなる請求項1〜5のいずれか1つに記載の薄膜
    太陽電池。
  7. 【請求項7】 光電変換層を構成するi層が、シリコン
    又はシリコン合金を含む請求項1〜6のいずれか1つに
    記載の薄膜太陽電池。
  8. 【請求項8】 i層の(220)X線回折ピークの積分
    強度I220 と、(111)X線回折ピークの積分強度I
    111 の比I220 /I111が5以上である請求項1〜7のい
    ずれか1つに記載の薄膜太陽電池。
  9. 【請求項9】 透明導電層が基板面に対して配向してい
    る請求項1〜8のいずれか1つに記載の薄膜太陽電池。
  10. 【請求項10】 請求項1から9のいずれか1つに記載
    の単接合型薄膜太陽電池を製造するに際し、基板及び/
    又は透明導電層の表面をエッチングすることにより、透
    明導電層の表面に複数の穴及び凹凸を形成することを特
    徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から9のいずれか1つに記載
    の単接合型薄膜太陽電池を製造するに際し、透明導電層
    を、その表面に穴が形成されるように成膜することによ
    り、透明導電層の表面に複数の穴及び凹凸を形成するこ
    とを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。
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