JP2002285393A - 積層塗膜形成方法及び積層塗膜 - Google Patents

積層塗膜形成方法及び積層塗膜

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JP2002285393A JP2001092696A JP2001092696A JP2002285393A JP 2002285393 A JP2002285393 A JP 2002285393A JP 2001092696 A JP2001092696 A JP 2001092696A JP 2001092696 A JP2001092696 A JP 2001092696A JP 2002285393 A JP2002285393 A JP 2002285393A
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paint
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与志夫 児島
Mitsuo Yamada
光夫 山田
Yoshio Tsuji
祥生 辻
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 3コート1ベーク塗装方式によっても、仕上
がり外観や耐食性等の塗膜性能において、従来の3コー
ト3ベーク塗装方法と同等の3コート膜を提供しうる積
層塗膜形成方法を提供すること。 【解決手段】 硬化カチオン電着塗膜の上にウェット・
オン・ウェットで未硬化の中塗り塗膜、ベース塗膜及び
クリヤー塗膜を形成し、その後、これらを同時に加熱硬
化させる、積層塗膜を形成する方法において、カチオン
電着塗料として、揮発性有機分含有量(VOC)及び金
属イオン濃度が低い無鉛性カチオン電着塗料を用い、中
塗り塗料として、樹脂固形分総量に基づく固形分比で、
水酸基含有樹脂(a)10〜70重量%、水酸基と反応
しうる硬化剤(b)10〜70重量%及び非水ディスパ
ージョン樹脂(c)18〜50重量%からなり((a)
+(b)+(c)=100%とする)、更に顔料を含有
するものを用いる積層塗膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層塗膜を形成する
方法に関し、特に、揮発性有機分含有量(VOC)及び
金属イオン濃度が低い高つきまわり性の無鉛性カチオン
電着塗料を用いて外観に優れた積層塗膜を形成する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、塗料分野、特に自動車塗装分野に
おいて、省資源、省コスト及び環境負荷(VOC及びH
APs等)削減の課題を解決するため、塗装工程の短縮
化が強く求められている。即ち、従来の自動車塗装仕上
げ手順においては、電着塗膜、中塗り塗膜及び上塗り塗
膜がそれぞれの塗装後に焼付けされる3コート3ベーク
塗装方法によって行われていたが、近年、電着塗装後に
電着塗膜を焼付けた後、その上に、中塗り塗装、ベース
塗装及びクリヤー塗装の3つの塗装工程をウエットオン
ウエットで施し、これらウエット塗膜の一括した焼付け
を行う3ウエット塗装システムにより焼付け工程数を削
減し、しかも、従来の3コート3ベーク塗装方法により
得られる3コート膜と同等の仕上がり外観や耐食性等の
塗膜性能を保持することが求められている。
【0003】特に、3コート1ベーク塗装方法において
従来の電着塗料を用いると、電着塗料はつきまわり性が
完全ではないため、内部の最低膜厚を得るために外部に
は必用以上の膜厚がついてしまい不経済であった。さら
に電着塗膜の平滑性が劣ると、その上に形成される中塗
り塗膜の平滑性が低下する。また、従来の中塗り塗料や
ベース塗料を使用すると、得られる塗膜になじみ、反転
等の不具合が発生して仕上がり外観が劣るという欠点が
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、3
コート1ベーク塗装方式によっても経済性に優れ、仕上
がり外観や耐食性等の塗膜性能において、従来の3コー
ト3ベーク塗装方法と同等の3コート膜を提供しうる積
層塗膜形成方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、カチオン電着
塗料を用いる電着塗装方法により被塗物の表面上に電着
塗膜を形成し、これを加熱硬化させて硬化電着塗膜を形
成する工程(I)、硬化電着塗膜の上に中塗り塗料を塗
布して、未硬化の中塗り塗膜を形成する工程(II)、未
硬化の中塗り塗膜の上にベース塗料を塗布して、未硬化
のベース塗膜を形成する工程(III)、未硬化のベース
塗膜の上にクリヤー塗料を塗布して、未硬化のクリヤー
塗膜を形成する工程(IV)、及び未硬化の中塗り塗膜、
ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる工
程(V)、を包含する積層塗膜を形成する方法におい
て、該カチオン電着塗料が、水性媒体、水性媒体中に分
散するか又は溶解した、カチオン性エポキシ樹脂及びブ
ロックイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カ
チオン性エポキシ樹脂を中和するための中和酸、有機溶
媒、金属触媒を含有し、揮発性有機分含有量が1重量%
以下であり、金属イオン濃度が500ppm以下であ
り、中和酸の量がバインダー樹脂固形分100gに対し
て10〜30mg当量である無鉛性カチオン電着塗料で
あり、該中塗り塗料が、樹脂固形分総量に基づく固形分
比で、水酸基含有樹脂(a)10〜70重量%、水酸基
と反応しうる硬化剤(b)10〜70重量%及び非水デ
ィスパージョン樹脂(c)18〜50重量%からなり
((a)+(b)+(c)=100%とする)、更に顔
料を含有するものであることを特徴とする積層塗膜形成
方法を提供するものであり、そのことにより上記目的が
達成される。
【0006】また、本発明は、カチオン電着塗料を用い
る電着塗装方法により被塗物の表面上に電着塗膜を形成
し、これを加熱硬化させて硬化電着塗膜を形成する工程
(I)、硬化電着塗膜の上に中塗り塗料を塗布して、未
硬化の中塗り塗膜を形成する工程(II)、未硬化の中塗
り塗膜の上にベース塗料を塗布して、未硬化のベース塗
膜を形成する工程(III)、未硬化のベース塗膜の上に
クリヤー塗料を塗布して、未硬化のクリヤー塗膜を形成
する工程(IV)、及び未硬化の中塗り塗膜、ベース塗膜
及びクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる工程(V)、
を包含する積層塗膜を形成する方法において、該カチオ
ン電着塗料が、水性媒体、水性媒体中に分散するか又は
溶解した、カチオン性エポキシ樹脂及びブロックイソシ
アネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カチオン性エポ
キシ樹脂を中和するための中和酸、有機溶媒、金属触媒
を含有し、揮発性有機分含有量が1重量%以下であり、
金属イオン濃度が500ppm以下であり、中和酸の量
がバインダー樹脂固形分100gに対して10〜30m
g当量である無鉛性カチオン電着塗料であり、該ベース
塗料が、樹脂固形分総量に基づく固形分比で、水酸基含
有樹脂(d)10〜70重量%、水酸基と反応しうる硬
化剤(e)10〜70重量%及び非水ディスパージョン
樹脂(f)5〜50重量%からなり((d)+(e)+
(f)=100%とする)、更に顔料を含有するもので
あることを特徴とする積層塗膜形成方法を提供するもの
であり、そのことにより上記目的が達成される。
【0007】更に、本発明は、カチオン電着塗料を用い
る電着塗装方法により被塗物の表面上に電着塗膜を形成
し、これを加熱硬化させて硬化電着塗膜を形成する工程
(I)、硬化電着塗膜の上に中塗り塗料を塗布して、未
硬化の中塗り塗膜を形成する工程(II)、未硬化の中塗
り塗膜の上にベース塗料を塗布して、未硬化のベース塗
膜を形成する工程(III)、未硬化のベース塗膜の上に
クリヤー塗料を塗布して、未硬化のクリヤー塗膜を形成
する工程(IV)、及び未硬化の中塗り塗膜、ベース塗膜
及びクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる工程(V)、
を包含する積層塗膜を形成する方法において、該カチオ
ン電着塗料が、水性媒体、水性媒体中に分散するか又は
溶解した、カチオン性エポキシ樹脂及びブロックイソシ
アネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カチオン性エポ
キシ樹脂を中和するための中和酸、有機溶媒、金属触媒
を含有し、揮発性有機分含有量が1重量%以下であり、
金属イオン濃度が500ppm以下であり、中和酸の量
がバインダー樹脂固形分100gに対して10〜30m
g当量である無鉛性カチオン電着塗料であり、該中塗り
塗料が、樹脂固形分総量に基づく固形分比で、水酸基含
有樹脂(a)10〜70重量%、水酸基と反応しうる硬
化剤(b)10〜70重量%及び非水ディスパージョン
樹脂(c)18〜50重量%からなり((a)+(b)
+(c)=100%とする)、更に顔料を含有するもの
であり、該ベース塗料が、樹脂固形分総量に基づく固形
分比で、水酸基含有樹脂(d)10〜70重量%、水酸
基と反応しうる硬化剤(e)10〜70重量%及び非水
ディスパージョン樹脂(f)5〜50重量%からなり
((d)+(e)+(f)=100%とする)、更に顔
料を含有するものであることを特徴とする積層塗膜形成
方法を提供するものであり、そのことにより上記目的が
達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の塗膜形成方法は、被塗装
物上に、電着塗料を塗装した後、加熱硬化して硬化電着
塗膜を形成する工程(I)、硬化電着塗膜の上に、中塗
り塗料を塗布して、未硬化の中塗り塗膜を形成する工程
(II)、上記中塗り塗膜の上に、ベース塗料を塗布し
て、未硬化のベース塗膜を形成する工程(III)、上記
ベース塗膜の上に、クリヤー塗料を塗布して、未硬化の
クリヤー塗膜を形成する工程(IV)、並びに、未硬化の
中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に加熱
硬化させて、積層塗膜を得る工程(V)を含むものであ
る。
【0009】工程(I) 本発明において、工程(I)は、被塗装物上に、電着塗
料を塗装した後、加熱硬化して電着塗膜を形成するもの
である。
【0010】無鉛性カチオン電着塗料 本件発明の方法で用いる電着塗料は水性媒体、水性媒体
中に分散するか又は溶解した、カチオン性エポキシ樹脂
及びブロックイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹
脂、カチオン性エポキシ樹脂を中和するための中和酸、
有機溶媒、金属触媒を含有し、揮発性有機分含有量が1
重量%以下であり、金属イオン濃度が500ppm以下
であり、中和酸の量がバインダー樹脂固形分100gに
対して10〜30mg当量である無鉛性カチオン電着塗
料である。すなわち、カチオン電着塗料は、水性媒体、
水性媒体中に分散するか又は溶解した、バインダー樹
脂、中和酸、有機溶媒、金属触媒等種々の添加剤を含有
する。バインダー樹脂は官能基を有するカチオン性樹脂
とこれを硬化させるブロックイソシアネート硬化剤とを
含む。
【0011】ここで、「無鉛性」とは、実質上鉛を含ま
ないことをいい、環境に悪影響を与えるような量で鉛を
含まないことを意味する。具体的には、電着浴中の鉛化
合物濃度が50ppm、好ましくは20ppmを超える
量で鉛を含まないことをいう。
【0012】本発明で用いる無鉛性カチオン電着塗料で
は、カチオン性樹脂としてエポキシ樹脂のエポキシ環に
アミン等活性水素化合物を反応させ、そのエポキシ基を
開環してカチオン性基を導入したカチオン性エポキシ樹
脂を用い、ブロックイソシアネート硬化剤としてポリイ
ソシアネートのイソシアネート基をブロックしたブロッ
クポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0013】カチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変
性されたエポキシ樹脂が含まれる。このカチオン性エポ
キシ樹脂は、特開昭54−4978号、同昭56−34
186号などに記載されている公知の樹脂でよい。
【0014】カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、
ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカ
チオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、
または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環
し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性
水素化合物で開環して製造される。
【0015】ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例は
ビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ
樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828
(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜19
0)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜
500)、エピコート1010(同、エポキシ当量30
00〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエ
ピコート807、(同、エポキシ当量170)などがあ
る。
【0016】特開平5−306327号公報第0004
段落の式、化3に記載のような、オキサゾリドン環含有
エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂に用いてもよ
い。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからであ
る。
【0017】エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入す
る方法としては、例えば、メタノールのような低級アル
コールでブロックされたブロックポリイソシアネートと
ポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副
生する低級アルコールを系内より留去することで得られ
る。
【0018】特に好ましいエポキシ樹脂はオキサゾリド
ン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優
れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得られるからであ
る。
【0019】二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブ
ロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタ
ン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポ
キシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリ
ドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例え
ば、特開2000−128959号公報第0012〜0
047段落に記載されている。
【0020】ブロックイソシアネート硬化剤は、ポリイ
ソシアネートにブロック剤を付加して得られたものであ
る。ポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネー
ト基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネー
トとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系お
よび芳香族−脂肪族系等のうちのいずれのものであって
もよい。
【0021】ポリイソシアネートの具体例には、トリレ
ンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネ
ート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香
族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシ
アネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素
数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロ
ヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイ
ソシアネート(IPDI)、4,4´−ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシク
ロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシク
ロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート、及び1,3
−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XD
I)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イ
ソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ
ン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等
のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キ
シリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチ
ルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のよう
な芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジ
イソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミ
ド、ウレトジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/
又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これ
らは、単独で、または2種以上併用することができる。
【0022】ポリイソシアネートをエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、
ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/O
H比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリ
マーもブロックイソシアネート硬化剤に使用してよい。
【0023】ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付
加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると
遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
【0024】ブロック剤としては、ε−カプロラクタム
やブチルセロソルブ等通常使用されるものを用いること
ができる。しかしながら、これらの内、揮発性のブロッ
ク剤はHAPsの対象として規制されているものが多
く、使用量は必要最小限とすることが好ましい。
【0025】電着塗料には着色剤として一般に顔料を含
有させる。しかしながら、本発明で用いる無鉛性カチオ
ン電着塗料には着色顔料を含有させないことが好まし
い。電着塗料のつきまわり性が向上するからである。
【0026】塗膜に耐食性を付与するため防錆顔料や体
質顔料は含有させてもよい。但しその量は塗料中に含ま
れる顔料と樹脂固形分との重量比(P/V)が1/9以
下になる量とする。塗料中の顔料の量が樹脂固形分との
重量比1/9を越えると電着塗料のつきまわり性が低下
するため、塗料の使用量が増大し不経済となる。
【0027】本発明で用いる無鉛性カチオン電着塗料に
含有させてよい顔料の例としては、カオリン、タルク、
ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー
及びシリカのような体質顔料、リン酸亜鉛、リン酸鉄、
リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜
鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニ
ウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、
モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニ
ウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆
顔料等が挙げられる。
【0028】顔料を電着塗料の成分として用いる場合、
一般に顔料を予め高濃度で水性媒体に分散させてペース
ト状にする。顔料は粉体状であるため、電着塗料で用い
る低濃度均一状態に一工程で分散させるのは困難だから
である。一般にこのようなペーストを顔料分散ペースト
という。
【0029】顔料分散ペーストは、顔料を顔料分散樹脂
と共に水性媒体中に分散させて調製する。顔料分散樹脂
としては、一般に、カチオン性又はノニオン性の低分子
量界面活性剤や4級アンモニウム基及び/又は3級スル
ホニウム基を有する変性エポキシ樹脂等のようなカチオ
ン性重合体を用いる。水性媒体としてはイオン交換水や
少量のアルコール類を含む水等を用いる。一般に、顔料
分散樹脂は5〜40重量部、顔料は20〜50重量部の
固形分比で用いる。
【0030】本発明で用いる無鉛性カチオン電着塗料に
は、塗膜の耐食性を改良するための金属触媒を金属イオ
ンとして含有させる。金属イオンとしては、セリウムイ
オン、ビスマスイオン、銅イオン、亜鉛イオンが好まし
い。これらは適当な酸と組み合わせた塩や金属イオンを
含有する顔料からの溶出物として電着塗料に配合され
る。酸としては、カチオン性エポキシ樹脂を中和するた
めの中和酸として後に説明する塩酸、硝酸、リン酸、ギ
酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸のいずれか
であればよい。好ましい酸は酢酸である。
【0031】金属触媒の配合量は、電着塗料中の金属イ
オン濃度が500ppm以下になる量とする。環境への
影響をより少なくするためである。好ましくは、電着塗
料中の金属イオン濃度は200〜400ppmである。
但し、塗料組成物に顔料を含ませる場合は、顔料から溶
出する金属イオンの量も考慮して、上記範囲内に制御す
る必要がある。顔料から溶出する金属イオンの例として
は、亜鉛イオン、モリブデンイオン、アルミニウムイオ
ン等がある。
【0032】電着塗料中の金属イオン濃度が500pp
mを越えると環境に対して与える影響が大きくなり、ま
た、金属イオンの濃度が高くなると塗膜の析出性も低下
することとなるため、塗料のつきまわり性も低下する。
電着塗料中の金属イオン濃度は、遠心分離処理により得
られた上澄み液を原子吸光分析することにより測定す
る。
【0033】本発明で用いる無鉛性カチオン電着塗料
は、上に述べた金属触媒、カチオン性エポキシ樹脂、ブ
ロクイソシアネート硬化剤、及び顔料分散ペーストを水
性媒体中に分散することによって調製される。また、通
常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂を中和して、
バインダー樹脂エマルションの分散性を向上させるため
に中和酸を含有させる。中和酸は塩酸、硝酸、リン酸、
ギ酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機酸である。
【0034】塗料に含有させる中和酸の量が多くなると
カチオン性エポキシ樹脂の中和率が高くなり、バインダ
ー樹脂粒子の水性媒体に対する親和性が高くなり、分散
安定性が増加する。このことは、電着塗装時に被塗物に
対してバインダー樹脂が析出し難い特性を意味し、塗料
固形分の析出性は低下する。
【0035】逆に、塗料に含有させる中和酸の量が少な
いとカチオン性エポキシ樹脂の中和率が低くなり、バイ
ンダー樹脂粒子の水性媒体に対する親和性が低くなり、
分散安定性が減少する。このことは、塗装時に被塗物に
対してバインダー樹脂が析出し易い特性を意味し、塗料
固形分の析出性は増大する。
【0036】従って、電着塗料のつきまわり性を改良す
るためには、塗料に含有させる中和酸の量を減らしてカ
チオン性エポキシ樹脂の中和率を低レベルに抑えること
が好ましい。
【0037】具体的には、中和酸の量は、カチオン性エ
ポキシ樹脂及びブロックイソシアネート硬化剤を含むバ
インダー樹脂固形分100gに対して10〜30mg当
量、好ましくは15〜25mg当量とする。中和酸の量
が10mg当量未満であると水への親和性が十分でな
く、水への分散ができないか、著しく安定性に欠ける状
態となり、30mg当量を越えると析出に要する電気量
が増加し、塗料固形分の析出性が低下し、つきまわり性
が劣る状態となる。
【0038】尚、本明細書において中和酸の量は塗料に
含まれているバインダー樹脂固形分100gに対するm
g当量数で表わし、MEQ(A)と表示する。
【0039】ブロックイソシアネート硬化剤の量は、硬
化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級アミノ
基、水酸基等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬
化塗膜を与えるのに十分でなければならず、一般にカチ
オン性エポキシ樹脂のブロックイソシアネート硬化剤に
対する固形分重量比で表して一般に90/10〜50/
50、好ましくは80/20〜65/35の範囲であ
る。
【0040】塗料は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジブ
チルスズオキサイドのようなスズ化合物や、通常のウレ
タン開裂触媒を含むことができる。鉛を実質的に含まな
いため、その量は樹脂固形分の0.1〜5重量%とする
ことが好ましい。
【0041】有機溶媒はカチオン性エポキシ樹脂、ブロ
ックイソシアネート硬化剤、顔料分散樹脂等の樹脂成分
を合成する際に溶剤として必ず必要であり、完全に除去
するには煩雑な操作を必要とする。また、バインダー樹
脂に有機溶媒が含まれていると造膜時の塗膜の流動性が
改良され、塗膜の平滑性が向上する。
【0042】塗料に通常含まれる有機溶媒としては、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコ
ールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2
−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ
ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等
が挙げられる。
【0043】従って、従来、樹脂成分からこれらの有機
溶媒を完全には除去せず、また、別途有機溶媒を加える
ことにより、電着塗料のVOCをある程度高め、重量基
準で1〜5%程度に調節されている。ここで、VOC
(揮発性有機分含有量)で表現されている、揮発性有機
分とは、沸点250℃以下の有機溶媒のことをいい、上
記で具体的に列挙したものが該当する。
【0044】これに対し、本発明の無鉛性カチオン電着
塗料組成物では、有機溶媒の含有量を従来と比較して低
くするすることが好ましい。環境に対して悪影響を与え
るのを防止するためである。具体的には、塗料組成物の
VOCを1重量%以下、好ましくは0.5〜0.8重量
%、より好ましくは0.2〜0.5重量%とする。塗料
組成物のVOCが1重量%を越えると環境に対して与え
る影響が大きくなり、また、析出塗膜に対する流動性改
良により塗膜抵抗値も減少するので、塗料のつきまわり
性も低下する。
【0045】VOCを1重量%以下にする方法としては、
反応時の粘度調整に使用される有機溶媒については、反
応温度を上げ低溶剤又は無溶剤で反応させることで削減
する。また反応時にどうしても必要な有機溶媒について
は、脱ソルベントなどの工程で回収されるよう低沸点の
溶媒を使用するなどして、最終製品の揮発性有機分含有
量を削減することができる。塗装時の粘性調整などに用
いる有機溶媒については、ソフトセグメントによる変性
等、樹脂を低粘度化するなどして、その含有量を削減す
ることができる。
【0046】VOCの測定は、内部標準法によるガスク
ロ測定を実施し、有機溶媒として配合されているVOC
成分量を測定することにより行なうことができる。
【0047】塗料は、上記のほかに、可塑剤、界面活性
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び顔料などの常用の
塗料用添加剤を含むことができる。
【0048】電着塗膜形成方法 工程(I)の電着塗膜形成方法では、上記で説明した無
鉛性カチオン電着塗料を被塗物に電着塗装して電着塗膜
(未硬化)を形成する。被塗物としては導電性のあるも
のであれば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼板、アル
ミニウム板及びこれらを表面処理したもの、これらの成
型物等を挙げることができる。
【0049】電着塗装は、まず、無鉛性カチオン電着塗
料を電着槽に満たし、被塗物を陰極として塗料に浸漬し
た状態で、陽極との間に、通常、50〜450Vの電圧
を印加して行う。印加電圧が50V未満であると電着が
不充分となり、450Vを超えると、塗膜が破壊され異
常外観となる。
【0050】電着過程は、(i)カチオン電着塗料に被
塗物を浸漬する過程、及び(ii)被塗物を陰極として、
陽極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる過程、か
ら構成される。また、電圧を印加する時間は、電着条件
によって異なるが、一般には、2〜4分とすることがで
きる。電着塗装時、塗料の浴液温度は、通常10〜45
℃に調節される。
【0051】電着塗膜の膜厚は10〜20μmとするこ
とが好ましい。膜厚が10μm未満であると、防錆性が
不充分であり、20μmを超えると、塗料の浪費につな
がる。このようにして得られるカチオン電着未硬化被膜
は、電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、セッ
ティングされる。電着塗膜は、電着過程の終了後、12
0〜260℃、好ましくは160〜220℃で、10〜
30分間焼き付けることにより硬化させる。
【0052】工程(II) 本発明において、工程(II)は、上記電着塗膜の上に、
中塗り塗料を塗布して、未硬化の中塗り塗膜を形成する
ものである。
【0053】中塗り塗料 中塗り塗料は、樹脂固形分総量に基づく固形分比で、水
酸基含有樹脂(a)10〜70重量%、水酸基と反応し
うる硬化剤(b)10〜70重量%及び非水ディスパー
ジョン樹脂(c)18〜50重量%からなり((a)+
(b)+(c)=100%とする)、更に、顔料を含有
するものである。
【0054】水酸基含有樹脂(a)は、水酸基を含有
し、中塗り塗料に使用される媒体に溶解するものを意味
し、例えば、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂
等が挙げられる。溶解性パラメーターを高く設計するこ
とができる点よりアクリル樹脂を用いることが好まし
い。ポリエステル樹脂としては、ポリオールとポリカル
ボン酸又はその無水物からなるものを使用することがで
きる。
【0055】水酸基含有樹脂(a)は、水酸基価50〜
250、酸価1〜50mgKOH/g、溶解性パラメー
ター9.5〜12であるものが好ましい。水酸基価、酸
価及び溶解性パラメーターがこれらの範囲の上限を超え
ると、塗膜にした場合の耐水性が低下する。水酸基価及
び酸価が下限未満であると、塗料の硬化性が低下し、ま
た、溶解性パラメーターが下限未満であると、ベース塗
料とのなじみが起こる。
【0056】水酸基含有樹脂(a)の数平均分子量は、
1000〜10000が挙げられるが、1100〜50
00が好ましく、より好ましくは1200〜3000で
ある。上記範囲のものを使用することによって、中塗り
塗料をハイソリッド系とすることができるので、焼き付
け硬化させた時の体積収縮が小さくなり、塗膜の仕上が
り外観を向上することができる。
【0057】水酸基含有樹脂(a)は、樹脂固形分総量
に対して、固形分で10〜70重量%含まれるものであ
る。10重量%未満であると、得られる塗膜が脆くなっ
たり、また、塗膜外観が低下したりして、塗膜の基本的
性能が劣る。70重量%を超えると、非水ディスパージ
ョン樹脂(c)の配合割合が減少する結果、塗膜の仕上
がり外観が低下する。好ましくは、10〜50重量%、
より好ましくは、20〜50重量%である。
【0058】中塗り塗料は、水酸基と反応しうる硬化剤
(b)を含むものである。硬化剤(b)としては特に限
定されず、例えば、メラミン樹脂及び/又はブロックイ
ソシアネート樹脂等が挙げられる。硬化剤(b)は、樹
脂固形分総量に対して、固形分で10〜70重量%含ま
れるものである。10重量%未満であると、硬化が不充
分となることがあり、塗膜物性に劣る。70重量%を超
えても、不経済であり、更に、塗膜の仕上がり外観が低
下する。好ましくは、20〜50重量%である。水酸基
含有樹脂(a)と水酸基と反応しうる硬化剤(b)との
組み合わせは特に限定されないが、顔料分散性や作業性
の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂と
メラミン樹脂とを組み合わせることが好ましい。
【0059】中塗り塗料は、非水ディスパージョン樹脂
(c)を含むものである。非水ディスパージョン樹脂
(c)は、溶解性パラメーターの高いコア部分と溶解性
パラメーターの低いシェル部分からなるものである。コ
ア部分が高い溶解性パラメーターを有しているので、塗
料中の溶剤に不溶である結果、溶剤による膨潤率をも小
さくすることができ、更に、粘性付与剤として働き、層
間でなじみや反転が生じることを防いで、ベース塗膜と
の微妙な混じり合いにより起こる色戻りを防止すること
ができる。溶解性パラメーターの低いシェル部分は、分
散安定剤としての働きを担う。
【0060】更に、この非水ディスパージョン樹脂
(c)は非架橋粒子であるので、焼き付け時の最低粘度
を小さくすることができる。また、この粒子自体も水酸
基と反応しうる硬化剤(b)によって架橋することがで
き、この場合塗膜形成成分となり得ることから、添加量
を高くすることが可能である。従って、非水ディスパー
ジョン樹脂(c)によって、電着塗膜の下地隠蔽性が大
きく、ムジ肌を抑制することができ、鮮映性、光沢性も
高い塗膜外観を得ることができる。
【0061】非水ディスパージョン樹脂(c)は、溶解
性パラメーターが11〜14であり、コア部分とシェル
部分の溶解性パラメーターの差が0.5〜3であること
が好ましい。溶解性パラメーターの差が0.5未満で
は、塗料の不揮発分を低下させることができず、溶解膨
潤したり、また、コア部分が有する粘性制御効果が低く
なるので、電着塗膜の下地隠蔽性が小さく、更に、ベー
ス塗料との間でなじみが生じて、優れた仕上がり外観の
塗膜を得ることができない。溶解性パラメーターの差が
3を超えるものは、分散が不安定となり、分離が起こっ
たり、中塗り塗料とベース塗料とが混じり合って反転や
ワレが生じる場合がある。好ましくは、溶解性パラメー
ターの差が1〜3である。
【0062】水酸基含有樹脂(a)の溶解性パラメータ
ーと非水ディスパージョン樹脂(c)の溶解性パラメー
ターとの関係は、ベース塗料とのなじみを抑制すること
ができる点から、非水ディスパージョン樹脂(c)の溶
解性パラメーターが高い方が好ましい。
【0063】非水ディスパージョン樹脂(c)として
は、水酸基価が100〜400、好ましくは130〜3
00のものである。100未満であると、塗料の硬化性
が低下し、400を超えると、耐水性が低下する場合が
ある。酸価としては、0〜200mgKOH/g、好ま
しくは0〜50mgKOH/gである。200mgKO
H/gを超えると、塗膜にしたときの耐水性が低下す
る。平均粒径(D50)は、0.05〜5μm、好ましく
は0.05〜1μmである。0.05μm未満である
と、塗料の不揮発分が低下し、5μmを超えると、粘性
制御効果に劣り、外観不良となる。
【0064】非水ディスパージョン樹脂(c)は、分散
安定樹脂と有機溶剤との混合液中で、重合性単量体を共
重合させることにより、この混合液に不溶な非架橋樹脂
粒子として調製することができる。分散安定樹脂がシェ
ル部分を構成し、重合性単量体が共重合されたものがコ
ア部分を構成する。
【0065】重合性単量体としては、官能基を有する単
量体が好ましい。官能基を有する単量体は、得られる非
水ディスパージョン樹脂(c)が水酸基と反応しうる硬
化剤(b)と反応して3次元に架橋した塗膜を形成する
ことができる。
【0066】官能基を有する重合性単量体としてその代
表的なものは以下のとおりである。水酸基を有するもの
として、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)
アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒド
ロキシメチル、アリルアルコール、(メタ)アクリル酸
ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの付加物等が
挙げられる。
【0067】一方、酸基を有するものとしては、カルボ
キシル基、スルホン酸基等を有するものが挙げられ、カ
ルボキシル基を有するものの例としては、(メタ)アク
リル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリ
ル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレ
イン酸、フマル酸等が挙げられる。スルホン酸基を有す
るものの例としては、t−ブチルアクリルアミドスルホ
ン酸等が挙げられる。酸基を有する重合性単量体を用い
る場合には、酸基の一部はカルボキシル基であることが
好ましい。
【0068】更に、(メタ)アクリル酸グリシジル等の
グリシジル基含有不飽和単量体、m−イソプロペニル−
α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、アクリル酸
イソシアナトエチル等のイソシアネート基含有不飽和単
量体等も挙げられる。
【0069】単量体成分をなすその他の重合性単量体と
しては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、
(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸
n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)
アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチル
ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、
メタクリル酸トリデシル等の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル;油脂肪酸とオキシラン構造を有するアクリ
ル酸又はメタクリル酸エステルモノマーとの付加反応物
(例えば、ステアリン酸とグリシジルメタクリレートの
付加反応物);C3 以上のアルキル基を含むオキシラン
化合物とアクリル酸又はメタクリル酸との付加反応物;
スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、
m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブ
チルスチレン;(メタ)アクリル酸ベンジル;イタコン
酸エステル(イタコン酸ジメチル等);マレイン酸エス
テル(マレイン酸ジメチル等);フマル酸エステル(フ
マル酸ジメチル等);その他に、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル;メチルイソプロペニルケトン;酢酸
ビニル;ベオバモノマー(商品名、シェル化学社製)、
ビニルプロピオネート、ビニルピバレート、プロピオン
酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブタジエン、N,N
−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、ビニ
ルピリジン等が挙げられる。重合性単量体は、官能基を
有するもの及びその他の単量体のなかから、単独で、又
は、2種以上を併用して使用することができる。
【0070】重合性単量体は、ラジカル重合開始剤の存
在下で共重合させることが好ましい。ラジカル重合開始
剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニ
トリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイ
ド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエ
ート等のパーオキシド系開始剤が挙げられる。これらの
開始剤の使用量は、通常重合性単量体合計100重量部
あたり0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量
部とする。分散安定樹脂を含有する有機溶媒中での重合
反応は、一般に60〜160℃程度の温度範囲で約1〜
15時間行うことが好ましい。
【0071】重合性単量体を共重合させる際に存在させ
る分散安定樹脂は、非水ディスパージョン樹脂(c)を
有機溶剤中で安定に合成できるものであれば特に限定さ
れるものではない。具体的には、水酸基価が10〜25
0、好ましくは20〜180である。10未満である
と、硬化性、密着性、安定性等が低下し、250を超え
ると、分散が不安定となる。
【0072】酸価は、0〜100mgKOH/g、好ま
しくは0〜50mgKOH/gである。100mgKO
H/gを超えると、塗膜にした場合の耐水性が低下す
る。数平均分子量としては、2000〜10000が好
ましい。2000未満であると、分散が不安定化し、1
0000を超えると塗料の不揮発分が低下する。分散安
定樹脂のTgは、30℃以下が好ましい。30℃を超え
ると、塗膜外観に劣り、耐チッピング性が低下したりす
る。
【0073】分散安定樹脂の製造方法としては特に限定
されず、例えば、ラジカル重合性開始剤の存在下でラジ
カル重合により得る方法、縮合反応や付加反応により得
る方法等が好ましいものとして挙げられる。分散安定樹
脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエ
ーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂
等を用いることができる。
【0074】分散安定樹脂を得るために用いられる単量
体としては、樹脂の特性に応じて適宜選択することがで
きるが、重合性単量体に用いられる水酸基、酸基等の官
能基を有する単量体を用いることが好ましく、更に必要
に応じてグリシジル基、イソシアネート基等の官能基を
有するものを用いてもよい。官能基を有する単量体は、
得られる非水ディスパージョン樹脂(c)が硬化剤
(b)と反応して3次元に架橋した塗膜を形成すること
ができる。
【0075】分散安定樹脂を得るために用いられる単量
体は、炭素数10以上の側鎖を有するものが、単量体の
全量に対して10〜50重量%含まれることが好まし
い。10重量%未満であると、ベース塗料との間でなじ
みが生じる。50重量%を超えると、中塗り塗料のなか
で分離が起こったり、中塗り塗料とベース塗料とが混じ
り合って反転やワレが生じる場合がある。
【0076】更に、単量体は、親水基を有するものが、
重合性単量体の全量に対して20〜50重量%含まれる
ことが好ましい。20重量%未満であると、硬化性、密
着性及び安定性に劣る場合がある。50重量%を超える
と、分散性が不安定となる場合がある。親水基として
は、水酸基、カルボキシル基、アミド基及びエーテル基
が挙げられる。
【0077】分散安定剤と重合性単量体との比率は、目
的に応じて任意に選択することができるが、例えば、両
成分の合計質量に基づいて、分散安定樹脂は3〜80重
量%、好ましくは5〜60重量%、重合性単量体は97
〜20重量%、好ましくは95〜40重量%である。更
に、有機溶媒中における分散安定剤と重合性単量体との
合計濃度は、合計質量を基準に、30〜80重量%、好
ましくは40〜60重量%である。
【0078】このようにして得られる非水ディスパージ
ョン樹脂(c)は、中塗り塗料の樹脂固形分総量に対し
て、固形分で18〜50重量%含まれるものである。1
8重量%未満であるか、又は、50重量%を超えると、
得られる塗膜の外観が低下する。好ましくは、23〜4
5重量%である。
【0079】中塗り塗料は、水酸基含有樹脂(a)、水
酸基と反応しうる硬化剤(b)及び非水ディスパージョ
ン樹脂(c)からなり、更に、顔料を含有するものであ
る。
【0080】中塗り塗料において、顔料は、顔料と樹脂
固形分との合計量に対して10〜70重量%で含まれる
ことが好ましい。中塗り塗料において、樹脂固形分と
は、水酸基含有樹脂(a)、水酸基と反応しうる硬化剤
(b)及び非水ディスパージョン樹脂(c)の固形分の
合計量を意味するものである。10重量%未満である
と、得られる中塗り塗料をハイソリッド系にすることが
できず、焼き付け硬化させた場合に体積収縮が大きくな
り、仕上がり外観に劣る場合がある。70重量%を超え
ると、顔料が多すぎるので、塗膜の外観が低下する。
【0081】顔料としては特に限定されず、従来の中塗
り塗料に用いられるものが挙げられ、例えば、電着塗料
に含み得る顔料として上述したもののほか、アルミニウ
ム粉、マイカ粉等の扁平顔料が挙げられる。顔料として
カーボンブラックと二酸化チタンを主要顔料とした標準
的なグレー系中塗り塗料を用いることもできるし、上塗
り塗料と明度又は色相等を合わせたセットグレーや各種
の着色顔料を組み合わせたいわゆるカラー中塗り塗料を
用いることもできる。
【0082】中塗り塗料は、従来公知の添加剤、例え
ば、粘性制御剤、ワキ防止剤、希釈用溶剤等を添加する
ことができる。粘性制御剤としては、脂肪酸アマイドの
膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイ
ドのリン酸塩等のポリアマイド系のもの;酸化ポリエチ
レンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系のも
の;有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有
機ベントナイト系のもの;ケイ酸アルミ、硫酸バリウム
等の無機顔料;顔料の形状により粘性が発現する偏平顔
料等が挙げられる。
【0083】中塗り塗料は、水酸基含有樹脂(a)、水
酸基と反応しうる硬化剤(b)及び非水ディスパージョ
ン樹脂(c)、並びに、顔料やその他の成分を、ニーダ
ー、ロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知
の方法によって得ることができる。
【0084】このようにして得られた中塗り塗料の不揮
発分は、塗装時で40〜70重量%であることが好まし
い。40重量%未満であると、溶剤が多すぎるので、ハ
イソリッド系の中塗り塗料とすることができず、体積収
縮率が大きくなるので、塗膜の仕上がり外観に劣る場合
がある。70重量%を超えると、粘性が高すぎるので塗
膜外観に劣ったり、作業性が低くなる場合がある。より
好ましくは、45〜60重量%である。
【0085】本発明においては、中塗り塗料、ベース塗
料及びクリヤー塗料ともに、ハイソリッド系のものを用
いることがより好ましい。中塗り塗料のみならず、ベー
ス塗料及びクリヤー塗料もハイソリッド系のものを用い
ることによって、3コート1ベーク法によって塗装した
場合に、トータルとしての体積収縮率を小さくすること
ができるので、仕上がり外観が非常に優れた塗膜を得る
ことができる。
【0086】中塗り塗料は、塗装後、140℃、30分
間硬化させた場合の体積収縮率が45%以下であること
が好ましい。45%を超えると、電着塗膜の下地隠蔽性
に劣る結果、良好な仕上がり外観の塗膜を得ることがで
きない。より好ましくは、40%以下である。
【0087】中塗り塗料について、140℃、30分間
硬化させた場合の体積収縮率は、下記式で求めることが
できる。
【0088】
【数1】体積収縮率(%)=
【0089】[式中、塗着NVは、塗装前の被塗装物の
質量をW1、塗料が塗装された被塗装物の質量をW2、
140℃で30分間乾燥後の質量をW3とした場合に、
【0090】
【数2】
【0091】により求められる不揮発分の値を表す。溶
剤比重は、中塗り塗料に含まれる溶剤の比重を表す。乾
燥塗膜比重は、塗料中の不揮発分の比重であって、個々
の成分の比重とその割合から計算により求められる値で
ある。]
【0092】中塗り塗膜形成方法 中塗り塗料を、工程(I)で得られた電着塗膜上に塗布
する方法としては特に限定されず、例えば、通称「リア
クトガン」と言われるエアー静電スプレー;通称「マイ
クロ・マイクロ(μμ)ベル」、「マイクロ(μ)ベ
ル」、「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装
機等を用いることにより行うことができる。好ましく
は、回転霧化式の静電塗装機等を用いる方法である。
【0093】中塗り塗料の塗膜の乾燥膜厚は、用途によ
り変化するが、5〜40μmであることが好ましい。4
0μmを超えると、鮮映性が低下したり、塗装時にム
ラ、流れ等の不具合が起こることがあり、5μm未満で
あると、下地が隠蔽できず、膜切れが発生したりする。
【0094】本発明において、工程(II)〜(IV)で中
塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜をそれぞれ未硬
化で形成するとは、中塗り塗料、ベース塗料及びクリヤ
ー塗料をウエット・オン・ウエットでこの順番に塗装す
ることを意味するものである。本明細書において未硬化
とは、例えば、プレヒートを行った後の状態を含む概念
である。プレヒートとしては、塗布した後に、例えば、
室温〜100℃未満で1〜10分間放置又は加熱する工
程である。良好な仕上がり外観を得ることを目的とし
て、水性中塗り塗料を塗布した後及び水性ベース塗料を
塗布した後にプレヒートを行うことが好ましい。
【0095】工程(III) 本発明において、工程(III)は、中塗り塗膜の上に、
ベース塗料を塗布して、未硬化のベース塗膜を形成する
ものである。
【0096】ベース塗料 ベース塗料は、樹脂固形分総量に基づく固形分比で、水
酸基含有樹脂(d)10〜70重量%、水酸基と反応し
うる硬化剤(e)10〜70重量%及び非水ディスパー
ジョン樹脂(f)5〜50重量%からなり、更に、顔料
を含有するものである。
【0097】水酸基含有樹脂(d)は、水酸基を含有
し、ベース塗料に使用される媒体に溶解するものを意味
し、例えば、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂
等が挙げられる。溶解性パラメーターを高く設計するこ
とができる点よりアクリル樹脂を用いることが好まし
い。ポリエステル樹脂としては、ポリオールとポリカル
ボン酸又はその無水物からなるものを使用することがで
きる。
【0098】水酸基含有樹脂(d)は、水酸基価50〜
250、酸価1〜50mgKOH/g、溶解性パラメー
ター9.5〜12であるものが好ましい。水酸基価、酸
価及び溶解性パラメーターがこれらの範囲の上限を超え
ると、塗膜にした場合の耐水性が低下する。水酸基価及
び酸価が下限未満であると、塗料の硬化性が低下し、ま
た、溶解性パラメーターが下限未満であると、中塗り塗
料やクリヤー塗料とのなじみが起こる。
【0099】水酸基含有樹脂(d)の数平均分子量は、
1000〜10000が挙げられるが、1100〜50
00が好ましく、より好ましくは1200〜3000で
ある。上記範囲のものを使用することによって、ベース
塗料をハイソリッド系とすることができるので、焼き付
け硬化させた時の体積収縮が小さくなり、塗膜の仕上が
り外観を向上することができる。
【0100】水酸基含有樹脂(d)は、樹脂固形分総量
に対して、固形分で10〜70重量%含まれるものであ
る。10重量%未満であると、得られる塗膜が脆くなっ
たり、また、塗膜外観が低下したりして、塗膜の基本的
性能が劣る。70重量%を超えると、非水ディスパージ
ョン樹脂(f)の配合割合が減少する結果、塗膜の仕上
がり外観が低下する。好ましくは、10〜50重量%、
より好ましくは、20〜50重量%である。
【0101】ベース塗料は、水酸基と反応しうる硬化剤
(e)を含むものである。硬化剤(e)としては特に限
定されず、例えば、メラミン樹脂及び/又はブロックイ
ソシアネート樹脂等が挙げられる。硬化剤(e)は、樹
脂固形分総量に対して、固形分で10〜70重量%含ま
れるものである。10重量%未満であると、硬化が不充
分となることがあり、塗膜物性に劣る。70重量%を超
えても、不経済であり、更に、塗膜の仕上がり外観が低
下する。好ましくは、20〜50重量%である。
【0102】水酸基含有樹脂(d)と水酸基と反応しう
る硬化剤(e)との組み合わせは特に限定されないが、
顔料分散性や作業性の点から、アクリル樹脂及び/又は
ポリエステル樹脂とメラミン樹脂とを組み合わせること
が好ましい。
【0103】ベース塗料は、非水ディスパージョン樹脂
(f)を含むものである。非水ディスパージョン樹脂
(f)は、溶解性パラメーターの高いコア部分と溶解性
パラメーターの低いシェル部分からなるものである。コ
ア部分が高い溶解性パラメーターを有しているので、塗
料中の溶剤に不溶である結果、溶剤による膨潤率をも小
さくすることができ、更に、粘性付与剤として働き、層
間でなじみや反転が生じることを防いで、中塗り塗膜や
クリヤー塗膜との微妙な混じり合いにより起こる色戻り
を防止することができる。溶解性パラメーターの低いシ
ェル部分は、分散安定剤としての働きを担う。
【0104】更に、この非水ディスパージョン樹脂
(f)は非架橋粒子であるので、焼き付け時の最低粘度
を小さくすることができる。また、この粒子自体も水酸
基と反応しうる硬化剤(e)によって架橋することがで
き、この場合塗膜形成成分となり得ることから、添加量
を高くすることが可能である。従って、非水ディスパー
ジョン樹脂(f)によって、電着塗膜の下地隠蔽性が大
きく、ムジ肌を抑制することができ、鮮映性、光沢性も
高い塗膜外観を得ることができる。
【0105】非水ディスパージョン樹脂(f)は、溶解
性パラメーターが11〜14であり、コア部分とシェル
部分の溶解性パラメーターの差が0.5〜3であること
が好ましい。溶解性パラメーターの差が0.5未満で
は、塗料の不揮発分を低下させることができず、溶解膨
潤したり、また、コア部分が有する粘性制御効果が低く
なるので、電着塗膜の下地隠蔽性が小さく、更に、中塗
り塗料やクリヤー塗料との間でなじみが生じて、優れた
仕上がり外観の塗膜を得ることができない。溶解性パラ
メーターの差が3を超えるものは、分散が不安定とな
り、分離が起こったり、中塗り塗料とベース塗料とが混
じり合って反転やワレが生じる場合がある。好ましく
は、溶解性パラメーターの差が1〜3である。
【0106】水酸基含有樹脂(d)の溶解性パラメータ
ーと非水ディスパージョン樹脂(f)の溶解性パラメー
ターとの関係は、中塗り塗料やクリヤー塗料とのなじみ
を抑制することができる点から、非水ディスパージョン
樹脂(f)の溶解性パラメーターが高い方が好ましい。
【0107】非水ディスパージョン樹脂(f)として
は、水酸基価が100〜400、好ましくは130〜3
00のものである。100未満であると、塗料の硬化性
が低下し、400を超えると、耐水性が低下する場合が
ある。酸価としては、0〜200mgKOH/g、好ま
しくは0〜50mgKOH/gである。200mgKO
H/gを超えると、塗膜にしたときの耐水性が低下す
る。平均粒径(D50)は、0.05〜5μm、好ましく
は0.05〜1μmである。0.05μm未満である
と、塗料の不揮発分が低下し、5μmを超えると、粘性
制御効果に劣り、外観不良となる。
【0108】非水ディスパージョン樹脂(f)は中塗り
塗料で用いた非水ディスパージョン樹脂(c)と同様に
して調製することができる。非水ディスパージョン樹脂
(f)は、ベース塗料の樹脂固形分総量に対して、固形
分で5〜50重量%含まれるものである。5重量%未満
であるか、又は、50重量%を超えると、得られる塗膜
の外観が低下する。好ましくは、18〜45重量%であ
る。
【0109】ベース塗料は、水酸基含有樹脂(d)、水
酸基と反応しうる硬化剤(e)及び非水ディスパージョ
ン樹脂(f)からなり、更に、顔料を含有するものであ
る。ベース塗料は、顔料として光輝性顔料を配合してメ
タリックベース塗料として用いることもできるし、光輝
性顔料を配合せずにレッド、ブルーあるいはブラック等
の着色顔料及び/又は体質顔料を配合してソリッド型ベ
ース塗料として用いることもできる。
【0110】光輝性顔料としては特に限定されず、例え
ば、金属又は合金等の無着色若しくは着色された金属性
光輝材及びその混合物、干渉マイカ粉、着色マイカ粉、
ホワイトマイカ粉、グラファイト又は無色有色偏平顔料
等を挙げることができる。分散性に優れ、透明感の高い
塗膜を形成することができるため、金属又は合金等の無
着色若しくは着色された金属性光輝材及びその混合物が
好ましい。その金属の具体例としては、アルミニウム、
酸化アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ等を
挙げることができる。
【0111】光輝性顔料の形状は特に限定されず、更
に、着色されていてもよいが、例えば平均粒径(D50
が2〜50μmであり、厚さが0.1〜5μmである鱗
片状のものが好ましい。平均粒径10〜35μmの範囲
のものが光輝感に優れ、より好ましい。光輝性顔料のベ
ース塗料中の顔料濃度(PWC)は、一般に23重量%
以下である。23重量%を超えると、塗膜外観が低下す
る。好ましくは、0.01〜20重量%であり、より好
ましくは、0.01〜18重量%である。
【0112】光輝性顔料以外の顔料としては特に限定さ
れず、従来のベース塗料に用いられるものが挙げられ、
例えば、電着塗料に含み得るものとして上述した有機系
着色顔料、無機着色顔料、体質顔料等を使用することが
できる。顔料としては、光輝性顔料、着色顔料及び体質
顔料のなかから、1種又は2種以上を組み合わせて用い
ることができる。
【0113】ベース塗料において、光輝性顔料及びその
他の全ての顔料を含めた顔料濃度(PWC)は、顔料と
樹脂固形分との合計量に対して1〜60重量%で含まれ
ることが好ましい。ベース塗料において、樹脂固形分と
は、水酸基含有樹脂(d)、水酸基と反応しうる硬化剤
(e)及び非水ディスパージョン樹脂(f)の固形分の
合計量を意味するものである。60重量%を超えると、
顔料が多すぎるので、塗膜の外観が低下する。
【0114】ベース塗料は、従来公知の添加剤、例え
ば、粘性制御剤、ワキ防止剤、希釈用溶剤等を添加する
ことができる。粘性制御剤としては、脂肪酸アマイドの
膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイ
ドのリン酸塩等のポリアマイド系のもの;酸化ポリエチ
レンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系のも
の;有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有
機ベントナイト系のもの;ケイ酸アルミ、硫酸バリウム
等の無機顔料;顔料の形状により粘性が発現する偏平顔
料等が挙げられる。
【0115】ベース塗料は、水酸基含有樹脂(d)、水
酸基と反応しうる硬化剤(e)及び非水ディスパージョ
ン樹脂(f)、並びに、顔料やその他の成分から、中塗
り塗料の調製方法と同様の方法によって得ることができ
る。
【0116】このようにして得られたベース塗料の不揮
発分は、塗装時で30〜60重量%であることが好まし
い。30重量%未満であると、溶剤が多すぎるので、ハ
イソリッド系のベース塗料とすることができず、体積収
縮率が大きくなるので、塗膜の仕上がり外観に劣る場合
がある。60重量%を超えると、粘性が高すぎるので塗
膜外観に劣ったり、作業性が低くなる場合がある。より
好ましくは、40〜50重量%である。
【0117】ベース塗料は、塗装後、140℃、30分
間硬化させた場合の体積収縮率が45%以下であること
が好ましい。45%を超えると、電着塗膜の下地隠蔽性
に劣る結果、良好な仕上がり外観の塗膜を得ることがで
きない。より好ましくは、40%以下である。
【0118】ベース塗料について、140℃、30分間
硬化させた場合の体積収縮率は、中塗り塗料で説明した
のと同様にして求めることができる(数1、数2)。
【0119】ベース塗膜形成方法 ベース塗料の塗装方法としては特に限定されず、例え
ば、中塗り塗料の塗装方法として上述した方法を使用す
ることができる。ベース塗料を自動車車体等に対して塗
装する場合には、意匠性を高めるために、エアー静電ス
プレーによる多ステージ塗装、好ましくは2ステージで
塗装するか、又は、エアー静電スプレーとの回転霧化式
の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法により行うこと
が好ましい。ベース塗料の塗膜の乾燥膜厚は、用途によ
り変化するが、5〜35μmであることが好ましい。3
5μmを超えると、鮮映性が低下したり、塗装時にム
ラ、流れ等の不具合が起こることがあり、5μm未満で
あると、下地が隠蔽できず、膜切れが発生したりする。
【0120】工程(IV) 本発明において、工程(IV)は、ベース塗膜の上に、ク
リヤー塗料を塗布して、未硬化のクリヤー塗膜を形成す
るものである。
【0121】クリヤー塗料 クリヤー塗膜は、ベース塗膜を保護するために、また、
ベース塗料として光輝性顔料を含むメタリックベース塗
料を用いた場合に光輝性顔料に起因するベース塗膜の凹
凸、チカチカ等を平滑にするために、形成されるもので
ある。
【0122】本発明において、クリヤー塗料としては特
に限定されず、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤及びそ
の他の添加剤からなるものを挙げることができる。塗膜
形成性樹脂としては特に限定されず、例えば、上述した
中塗り塗料における塗膜形成性樹脂と同様、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等
が挙げられ、これらはアミノ樹脂及び/又はブロックイ
ソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いられ
る。透明性又は耐酸エッチング性等の点から、アクリル
樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との
組み合わせ、又は、カルボン酸・エポキシ硬化系を有す
るアクリル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂等を用
いることが好ましい。
【0123】クリヤー塗料としては、上述したベース塗
料を塗装後、未硬化の状態で塗装するため、層間のなじ
みや反転、又は、タレ等の防止のため、粘性制御剤を添
加剤として含有することが好ましい。粘性制御剤の添加
量は、クリヤー塗料の樹脂固形分100重量部に対して
0.01〜10重量部であり、好ましくは0.02〜8
重量部、より好ましくは0.03〜6重量部である。1
0重量部を超えると、外観が低下し、0.1重量部未満
であると、粘性制御効果が得られず、タレ等の不具合を
起こす原因となる。クリヤー塗料の塗料形態としては、
有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョ
ン)、非水分散型、粉体型のいずれでもよく、また必要
により、硬化触媒、表面調整剤等を用いることができ
る。
【0124】クリヤー塗料の調製方法としては、中塗り
塗料において例示した方法を挙げることができる。溶液
型の場合、クリヤー塗料の不揮発分は、塗装時で40〜
70重量%であることが好ましく、より好ましくは45
〜60重量%である。40重量%未満であると、溶剤が
多すぎるので、ハイソリッド系塗料とすることができ
ず、体積収縮率が大きくなるので、塗膜の仕上がり外観
に劣る場合がある。70重量%を超えると、粘性が高す
ぎるので塗膜外観に劣ったり、作業性が低くなる場合が
ある。
【0125】クリヤー塗膜形成方法 クリヤー塗料の塗装方法としては特に限定されず、例え
ば、中塗り塗料の塗装方法として上述した方法を使用す
ることができる。クリヤー塗料の塗膜の乾燥膜厚は、用
途により変化するが、10〜70μmであることが好ま
しい。70μmを超えると、鮮映性が低下したり、塗装
時にムラ、流れ等の不具合が起こることがあり、10μ
m未満であると、下地が隠蔽できず、膜切れが発生した
りする。
【0126】本発明において、工程(II)〜(IV)で中
塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜をそれぞれ未硬
化で形成するとは、中塗り塗料、ベース塗料及びクリヤ
ー塗料をウエット・オン・ウエットでこの順番に塗装す
ることを意味するものである。本明細書において未硬化
とは、例えば、プレヒートを行った後の状態を含む概念
である。プレヒートとしては、塗布した後に、例えば、
室温〜100℃未満で1〜10分間放置又は加熱する工
程である。良好な仕上がり外観を得ることを目的とし
て、水性中塗り塗料を塗布した後及び水性ベース塗料を
塗布した後にプレヒートを行うことが好ましい。
【0127】工程(V) 本発明において、工程(V)は、未硬化の中塗り塗膜、
ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させて、
積層塗膜を得るものである。加熱硬化させる温度として
は、110〜180℃、好ましくは120〜160℃に
て行うことによって、高い架橋度の硬化塗膜を得ること
ができる。180℃を超えると、塗膜が固く脆くなり、
110℃未満では硬化が充分ではない。硬化時間は硬化
温度により変化するが、120〜160℃で10〜60
分間が適当である。
【0128】本発明の塗膜形成方法によって得られる複
層塗膜の膜厚は、通常30〜300μm、好ましくは5
0〜250μmである。300μmを超えると、冷熱サ
イクル等の膜物性が低下し、30μm未満であると、膜
自体の強度が低下する。
【0129】上述の工程(I)で塗装する電着塗料は、
被塗物に防食性を付与する為のものである。更に、工程
(III)で塗装するベース塗料は、非水ディスパージョ
ン樹脂(e)を含むものであるため、中塗り塗料、ベー
ス塗料及びクリア塗料を3コート1べーク法で塗装した
場合に層間でなじみ、色戻り等を防いで高外観の積層塗
膜を得ることができる。
【0130】
【発明の効果】工程(I)で得られる電着塗膜上に、上
述の工程(II)〜(IV)により中塗り塗料、ベース塗料
及びクリア塗料をウェットオンウェットにて塗装し、上
述の工程(V)によりこれらの中塗り塗膜、ベース塗膜
及びクリア塗膜を同時焼付けするいわゆる3ウェット塗
装において、従来の電着塗料、中塗り塗料及び上塗り塗
料をそれぞれ焼き付け硬化する3コート3ベーク法によ
り得られる積層塗膜に匹敵する優れた仕上がり外観や耐
食性等の塗膜性能を有する積層塗膜を得ることができ
る。更に、この3ウエット塗装により、従来一般的であ
った3コート3ベーク法から中塗り塗料の焼き付け工程
を省くことができるので、工程短縮、コスト削減、エネ
ルギー消費量削減及び環境負荷低減を目指すとともに、
高つきまわり性を達成することのできる新規塗装システ
ムを構築することができる。
【0131】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細
に説明するが、本発明は以下の実施例により限定される
ものではない。なお、部及び%は、重量部及び重量%を
意味する。
【0132】調製例1 (電着塗料用材料の調製) 1−1(アミン変性エポキシ樹脂の製造) 撹拌機、冷却管、窒素導入管、温度計および滴下漏斗を
装備したフラスコに、2,4−/2,6−トリレンジイソ
シアネート(重量比=8/2)92部、メチルイソブチ
ルケトン(以下、MIBKと略す)95部およびジブチ
ル錫ジラウレート0.5部を仕込んだ。反応混合物を撹
拌下、メタノール21部を滴下した。反応は、室温から
始め、発熱により60℃まで昇温した。その後、30分
間反応を継続した後、エチレングリコールモノ−2−エ
チルヘキシルエーテル57部を滴下漏斗より滴下した。
更に、反応混合物に、ビスフェノールA−プロピレンオ
キシド5モル付加体42部を添加した。反応は主に、6
0〜65℃の範囲で行い、IRスペクトルの測定におい
て、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで継続
した。
【0133】次に、ビスフェノールAとエピクロルヒド
リンから既知の方法で合成したエポキシ当量188のエ
ポキシ樹脂365部を反応混合物に加えて、125℃ま
で昇温した。その後、ベンジルジメチルアミン1.0部
を添加し、エポキシ当量410になるまで130℃で反
応させた。
【0134】続いて、ビスフェノールA87部を加えて
120℃で反応させたところ、エポキシ当量は1190
となった。その後、反応混合物を冷却し、ジエタノール
アミン11部、N−エチルエタノールアミン24部およ
びアミノエチルエタノールアミンのケチミン化物の79
重量%MIBK溶液25部を加え、110℃で2時間反
応させた。その後、MIBKで不揮発分80%となるま
で希釈し、ガラス転移温度が22℃のアミン変性エポキ
シ樹脂(樹脂固形分80%)を得た。
【0135】1−2(ブロックイソシアネート硬化剤の
製造) ジフェニルメタンジイソシアナート1250部およびM
IBK266.4部を反応容器に仕込み、これを80℃
まで加熱した後、ジブチル錫ジラウレート2.5部を加
えた。ここに、ε−カプロラクタム226部をブチルセ
ロソルブ944部に溶解させたものを80℃で2時間か
けて滴下した。さらに100℃で4時間加熱した後、I
Rスペクトルの測定において、イソシアネート基に基づ
く吸収が消失したことを確認し、放冷後、MIBK33
6.1部を加えてブロックイソシアネート硬化剤を得
た。
【0136】1−3(顔料分散樹脂の製造) まず、撹拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を装
備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以
下、IPDIと略す)222.0部を入れ、MIBK3
9.1部で希釈した後、ここへジブチル錫ジラウレート
0.2部を加えた。その後、これを50℃に昇温した
後、2−エチルヘキサノール131.5部を撹拌下、乾
燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却す
ることにより、反応温度を50℃に維持した。その結
果、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI
(樹脂固形分90.0%)が得られた。
【0137】次いで、適当な反応容器に、ジメチルエタ
ノールアミン87.2部、75%乳酸水溶液117.6
部およびエチレングリコールモノブチルエーテル39.
2部を順に加え、65℃で約半時間撹拌して、4級化剤
を調製した。
【0138】次に、エポン(EPON)829(シェル
・ケミカル・カンパニー社製ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、エポキシ当量193〜203)710.0部と
ビスフェノールA289.6部とを適当な反応容器に仕
込み、窒素雰囲気下、150〜160℃に加熱したとこ
ろ、初期発熱反応が生じた。反応混合物を150〜16
0℃で約1時間反応させ、次いで、120℃に冷却した
後、先に調製した2−エチルヘキサノールハーフブロッ
ク化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。
【0139】反応混合物を110〜120℃に約1時間
保ち、次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル
1390.2部を加え、混合物を85〜95℃に冷却
し、均一化した後、先に調製した4級化剤196.7部
を添加した。酸価が1となるまで反応混合物を85〜9
5℃に保持した後、脱イオン水37.0部を加えて、エ
ポキシ−ビスフェノールA樹脂において4級化を終了さ
せ、4級アンモニウム塩部分を有する顔料分散用樹脂を
得た(樹脂固形分50%)。
【0140】1−4(顔料分散ペーストの製造) サンドグラインドミルに製造例3で得た顔料分散用樹脂
を120部、カーボンブラック2.0部、カオリン10
0.0部、二酸化チタン80.0部、リンモリブデン酸
アルミニウム18.0部およびイオン交換水221.7
部を入れ、粒度10μm以下になるまで分散して、顔料
分散ペーストを得た(固形分48%)。
【0141】調製例2 (中塗り塗料の調製) 2−1(アクリル樹脂の調製) 攪拌機、温度制御装置、還流冷却器を備えた容器に、キ
シレン82部を仕込み、次いで下記の組成の溶液:
【0142】
【表1】
【0143】のうち20部を加え、攪拌しながら加熱
し、温度を上昇させた。還流させながら、上記混合溶液
の残り93.0部を3時間で滴下し、次いでアゾイソブ
チロニトリル1.0部、キシレン12部からなる溶液を
30分間で滴下した。反応溶液をさらに1時間攪拌還流
させたのちに、減圧下で63部の溶剤を留去して反応を
終了した。固形分75%、数平均分子量2000のアク
リル樹脂ワニスを得た。
【0144】2−2(非水ディスパージョン樹脂の調
製) (a)分散安定樹脂の調製 攪拌機、温度制御装置、還流冷却器を備えた容器に、酢
酸ブチル90部を仕込み、次いで下記の組成の溶液:
【0145】
【表2】
【0146】のうち20部を加え、攪拌しながら加熱
し、温度を上昇させた。110℃で上記混合溶液の残り
85部を3時間で滴下し、次いでアゾイソブチロニトリ
ル0.5部と酢酸ブチル10部からなる溶液を30分間
で滴下した。反応溶液をさらに2時間攪拌還流させて樹
脂への変化率を上昇させた後、反応を終了させ、固形分
50%、数平均分子量5600、溶解性パラメーター
9.5のアクリル樹脂を得た。
【0147】(b)非水ディスパージョン樹脂の調製 攪拌機、温度制御装置、冷却器を備えた容器に、酢酸ブ
チル35部を仕込み、上記の(a)分散安定樹脂の調製
で得たアクリル樹脂60部を仕込んだ。次に下記組成の
溶液:
【0148】
【表3】
【0149】を100℃で3時間で滴下し、次いで、ア
ゾイソブチロニトリル0.1部と酢酸ブチル1部からな
る溶液を30分間で滴下した。反応溶液をさらに1時間
攪拌を続けたところ、固形分60%、粒子径0.18μ
mのエマルジョンを得た。このエマルジョンを酢酸ブチ
ルで希釈し、粘度300cps(25℃)、粒子径0.
18μmの非水ディスパージョン樹脂含量40重量%の
酢酸ブチル分散体を得た。この非水ディスパージョン樹
脂のTgは23℃、水酸基価は162であった。溶解性
パラメーターは11.8であり、分散安定樹脂であるシ
ェル部分とコア部分との溶解性パラメーターの差は2.
3であった。
【0150】2−3(中塗り塗料の調製) 2Lのベッセルに、2−1で得られたアクリル樹脂を3
28部投入し、続いてCR−93(石原産業社製酸化チ
タン)973部、FW−200P(デグサ社製カーボン
ブラック)10部、更に酢酸ブチル159部及びキシレ
ン82部を順に入れた。
【0151】その後、仕込み全質量と同量のガラスビー
ズ(品名GB503M、粒径1.6mm)を投入し、卓
上SGミルで3時間分散した。グラインドゲージによる
分散終了時の粒度は5μm以下であった。最後にキシレ
ンを81.8部添加後、約10分攪拌し、ガラスビーズ
を濾過して、顔料ペーストとした。作製したペーストに
固形分比が表4の通りになるように、樹脂、非水ディス
パージョン樹脂及び硬化剤を配合して、中塗り塗料を調
製した。
【0152】調製例3 (中塗り塗料の調製)2Lのベッセルに、調製例2−1
で得られたアクリル樹脂を328部投入し、続いてCR
−93(石原産業社製酸化チタン)973部、FW−2
00P(デグサ社製カーボンブラック)10部、更に酢
酸ブチル159部及びキシレン82部を順に入れた。
【0153】その後、仕込み全質量と同量のガラスビー
ズ(品名GB503M、粒径1.6mm)を投入し、卓
上SGミルで3時間分散した。グラインドゲージによる
分散終了時の粒度は5μm以下であった。最後にキシレ
ンを81.8部添加後、約10分攪拌し、ガラスビーズ
を濾過して、顔料ペーストとした。作製したペーストに
固形分比が表4の通りになるように、樹脂、非水ディス
パージョン樹脂及び硬化剤を配合して、中塗り塗料を調
製した。
【0154】
【表4】
【0155】表4中、サイメル254はメチル・ブチル
混合型メラミン樹脂(三井サイテック社製)である。
【0156】調製例4 (ベース塗料及びクリヤー塗料の調製)ベース塗料とし
て、SPM−1300 ブラック(日本ペイント社製;
黒ベース塗料)、クリヤー塗料として、MAC O−1
330(日本ペイント社製)を用意した。
【0157】実施例1 調製例1の1−1で得られたアミン変性エポキシ樹脂と
1−2で得られたブロックイソシアネート硬化剤とを固
形分比で70/30で均一になるよう混合した。その
後、エチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル
を固形分に対して2重量%になるよう添加した。これに
樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当量(MEQ
(A))が18になるよう氷酢酸を添加し、さらにイオ
ン交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIB
Kを除去することにより、固形分が36%のエマルショ
ンを得た。
【0158】このエマルション2222部に、イオン交
換水1759部と10%酢酸セリウム水溶液19部およ
びジブチル錫オキサイド16部とを混合して、固形分2
0重量%のカチオン電着塗料−1を得た。このカチオン
電着塗料において実質的に顔料は含まず、塗料中の溶剤
量(VOC)は0.4%、樹脂固形分100g当たり酸
のミリグラム当量は20.4、溶出しているセリウムイ
オンと亜鉛イオンの合計濃度は190ppmであった。
【0159】これを用いて、リン酸亜鉛処理したダル鋼
板に対して焼き付け後の電着塗膜厚が15μmになるよ
うな電圧で電着塗装し、170℃で20分間焼付けを行
った。
【0160】得られた電着塗膜を、表5に示す塗装条件
下、移動板に付着して移動させながら、調製例2で得ら
れた中塗り塗料を塗装、10分後にベース塗料を塗装、
2.5分後に更にもう一度ベース塗料を塗装(2ステー
ジ塗装)、その後20分後にクリヤー塗料を塗装した。
塗装した中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を、
140℃で30分間焼き付け硬化させた。
【0161】
【表5】
【0162】実施例2 実施例1と同様に調製例1の1−1で得られたアミン変
性エポキシ樹脂と1−2で得られたブロックイソシアネ
ート硬化剤とを固形分比で70/30で均一になるよう
混合した。その後、エチレングリコール−2−エチルヘ
キシルエーテルを固形分に対して2重量%になるよう添
加した。これに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラ
ム当量が24になるよう氷酢酸を添加し、さらにイオン
交換水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBK
を除去することにより、固形分が36%のエマルション
を得た。
【0163】このエマルション1960部および調製例
1の1−4で得られた顔料分散ペースト197部と、イ
オン交換水1805部と10%酢酸セリウム水溶液38
部およびジブチル錫オキサイド14.5部とを混合し
て、固形分20重量%のカチオン電着塗料−2を得た。
このカチオン電着塗料における顔料と樹脂固形分との比
率は1/10、塗料中の溶剤量は0.9%、樹脂固形分
100g当たり酸のミリグラム当量は25.2、溶出し
ているセリウムイオンと亜鉛イオンの合計濃度は420
ppmであった。
【0164】これを用いて実施例1と同様の条件で電着
塗膜を得た。その後の中塗り〜ベース〜クリアー塗装に
ついても実施例1と同様にして塗膜を形成した。
【0165】実施例3 実施例1で得られた電着塗膜を用い、その後、調製例3
の中塗り塗料を用いること以外は、実施例1と同様にし
て中塗り〜ベース〜クリアー塗装を行い、塗膜を形成し
た。
【0166】比較例1 実施例1と同様にして1−1で得られたアミン変性エポ
キシ樹脂と1−2で得られたブロックイソシアネート硬
化剤とを固形分比で70/30で均一になるよう混合し
た。その後、エチレングリコール−2−エチルヘキシル
エーテルを固形分に対して1重量%になるよう添加し
た。これに樹脂固形分100g当たり酸のミリグラム当
量が35になるよう氷酢酸を添加し、さらにイオン交換
水をゆっくりと加えて希釈した。減圧下でMIBKを除
去することにより、固形分が36%のエマルションを得
た。
【0167】このエマルション1500部および調製例
1の1−4で得られた顔料分散ペースト542部と、イ
オン交換水1901部と10%酢酸セリウム水溶液57
部およびジブチル錫オキサイド9部とを混合して、固形
分20重量%のカチオン電着塗料−3を得た。このカチ
オン電着塗料における顔料と樹脂固形分との比率は1/
3、塗料中の溶剤量は1.5%、樹脂固形分100g当
たり酸のミリグラム当量は30.3、溶出しているセリ
ウムイオンと亜鉛イオンの合計濃度は610ppmであ
った。
【0168】これを用いて実施例1と同様の条件で電着
塗膜を得た。その後の中塗り〜ベース〜クリアー塗装に
ついても実施例1と同様にして塗膜を形成した。
【0169】比較例2 比較例1で得られたエマルション2222部及びイオン
交換水1778部と10%酢酸セリウム水溶液57部お
よびジブチル錫オキサイド9部とを混合して、固形分2
0重量%のカチオン電着塗料−4を得た。このカチオン
電着塗料において実質的に顔料は含まず、塗料中の溶剤
量は0.2%、樹脂固形分100g当たり酸のミリグラ
ム当量は34.7、溶出しているセリウムイオンと亜鉛
イオンの合計濃度は590ppmであった。
【0170】これを用いて実施例1と同様の条件で電着
塗膜を得た。その後の中塗り〜ベース〜クリアー塗装に
ついては実施例3と同様にして塗膜を形成した。
【0171】評価方法 (1)電着塗料の評価 実施例および比較例で得られたカチオン電着塗料と焼き
付けて得られたカチオン電着塗膜について、以下の評価
試験を行い、その結果を表6に示した。
【0172】つきまわり性 フォードパイプ法により評価した。そのときの評価基準
は以下の通りとした。
【0173】 ○:つきまわり性良好(21cm以上) ×:つきまわり性不良(21cm未満)
【0174】塩水浸積耐食性 カチオン電着塗料をリン酸亜鉛処理した冷延鋼板に乾燥
塗膜の膜厚が20μmになるように電着を行った。これ
を170℃で25分焼き付けて得られたカチオン電着塗
膜を、5%食塩水に55℃で240時間浸漬した後、カ
ット部をテープ剥離した。カット部両側の剥離幅を以下
の基準で評価した。
【0175】 ○: <3mm △:3〜6mm ×: >6mm
【0176】平滑性 未処理リン酸亜鉛鋼板に、上記で得られたカチオン電着
塗料を乾燥膜厚20μmになるように電着し、水洗後、
160℃で10分間焼付けし、得られた塗膜の表面を表
面粗さ計Surftest−211(Mitutoyo
社製)で、カットオフ0.8mmおよび走査長4mmの
基準で表面粗度(Ra)を測定した。
【0177】 ○:Ra値0.2μm未満 ×:Ra値0.2μm以上
【0178】電着塗料の安定性 カチオン電着塗料を40℃で2週間貯蔵し、その後38
0メッシュのふるいにかけたときの濾過性を観察し、以
下の基準で評価した。
【0179】 ○:問題なく濾過できる ×:濾過できない
【0180】
【表6】電着塗膜の評価結果
【0181】(2)中塗り塗料の評価 (2−1)耐溶剤性試験方法 調製例2で得た中塗り塗料をブリキ板上に塗装後(20
μm)、80℃×10分乾燥してNVを上げたものを作
成し、これに、代表的な塗料溶剤であるS−150(エ
クソン社製芳香族系有機溶剤)、キシレン、エチル−2
−エトキシプロピオネート(EEP)を1滴スポット
し、30秒静置後約45度傾斜して状態を観察した。得
られた結果を表7に示した。
【0182】 ○:変化なし △:膨潤 ×:溶解
【0183】(3)中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤ
ー塗膜の評価 (3−1)塗着NV(不揮発分)測定方法 中塗り塗装、ベース塗装及びクリヤー塗装について別々
に操作を行って、下記方法に従って計算した。得られた
結果を表7に示した。
【0184】質量(W1)を測定したアルミ箔を、5c
m×10cmの四角い穴をあけた紙で覆ったものをマス
キングテープで鉄板にはりつける。この鉄板を塗装時に
塗板に隣接するように移動板に付着させ、塗料塗布後、
アルミ箔を鉄板から剥がす。塗料の付着したアルミ箔の
質量(W2)を測定後、140℃で30分間乾燥後の質
量(W3)を測定する。数2式より塗着NV(%)を計
算する。
【0185】(3−2)体積収縮率計算方法 体積収縮率(%)を数1式に従って計算する。また、ト
ータルの体積収縮率(%)を数3式に従って計算する。
得られた結果を表7に示した。
【0186】溶剤比重は塗料中の溶剤組成から、中塗り
塗料、クリヤー塗料は0.87、ベース塗料は0.86
とした。乾燥塗膜比重は、各塗料組成から、中塗り塗料
1.64、ベース塗料1.23、クリヤー塗料1.12
とした。
【0187】
【数3】トータルの体積収縮率(%)=中塗り塗料の体
積収縮率×(中塗り塗膜の乾燥膜厚/トータルの乾燥膜
厚)+ベース塗料の体積収縮率×(ベース塗膜の乾燥膜厚
/トータルの乾燥膜厚)+クリヤー塗料の体積収縮率×
(クリヤー塗膜の乾燥膜厚/トータルの乾燥膜厚)
【0188】(4)電着塗料、中塗り塗料、ベース塗料
及びクリヤー塗料の硬化膜の評価 得られた塗膜の外観を、ビッグケミー社製ウエーブスキ
ャンのSWの値で評価した。得られた結果を表7に示し
た。数値の小さいもの程良好な結果が得られたことを表
す。
【0189】
【表7】中塗り塗料の評価結果
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 13/10 C25D 13/10 B A (72)発明者 辻 祥生 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE09 AE10 AE17 BB26Z BB99Z CA33 CA38 CA44 CA47 CB04 CB06 CB07 CB13 DA06 DA23 DB01 DC11 EA08 EA10 EA19 EB22 EB24 EB35 EB52 EB54 EB55 EB56 EC11 EC33 EC37 EC54

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法
    により被塗物の表面上に電着塗膜を形成し、これを加熱
    硬化させて硬化電着塗膜を形成する工程(I)、 硬化電着塗膜の上に中塗り塗料を塗布して、未硬化の中
    塗り塗膜を形成する工程(II)、 未硬化の中塗り塗膜の上にベース塗料を塗布して、未硬
    化のベース塗膜を形成する工程(III)、 未硬化のベース塗膜の上にクリヤー塗料を塗布して、未
    硬化のクリヤー塗膜を形成する工程(IV)、及び未硬化
    の中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に加
    熱硬化させる工程(V)、を包含する積層塗膜を形成す
    る方法において、 該カチオン電着塗料が、水性媒体、水性媒体中に分散す
    るか又は溶解した、カチオン性エポキシ樹脂及びブロッ
    クイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カチオ
    ン性エポキシ樹脂を中和するための中和酸、有機溶媒、
    金属触媒を含有し、揮発性有機分含有量が1重量%以下
    であり、金属イオン濃度が500ppm以下であり、中
    和酸の量がバインダー樹脂固形分100gに対して10
    〜30mg当量である無鉛性カチオン電着塗料であり、 該中塗り塗料が、樹脂固形分総量に基づく固形分比で、
    水酸基含有樹脂(a)10〜70重量%、水酸基と反応
    しうる硬化剤(b)10〜70重量%及び非水ディスパ
    ージョン樹脂(c)18〜50重量%からなり((a)
    +(b)+(c)=100%とする)、更に顔料を含有
    するものであることを特徴とする積層塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記金属イオンがセリウムイオン、ビス
    マスイオン、銅イオン、亜鉛イオン、モリブデンイオ
    ン、アルミニウムイオンからなる群から選択される一種
    以上である請求項1記載の積層塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記中和酸が酢酸、乳酸、蟻酸、スルフ
    ァミン酸からなる群から選択される一種以上である請求
    項1又は2記載の積層塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記カチオン電着塗料が更に顔料を含
    み、塗料中に含まれる顔料と樹脂固形分との重量比が1
    /9以下である請求項1〜3のいずれか記載の積層塗膜
    形成方法。
  5. 【請求項5】 前記中塗り塗料が、140℃にて30分
    間加熱した場合に、45%以下の体積収縮率を示すもの
    である請求項1〜4のいずれか記載の積層塗膜形成方
    法。
  6. 【請求項6】 前記中塗り塗料が、塗料の固形分に対し
    て10〜70重量%の量で顔料を含有する請求項1〜5
    のいずれか記載の積層塗膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記中塗り塗料が、40〜70重量%の
    不揮発分を含有する請求項1〜6のいずれか記載の積層
    塗膜形成方法。
  8. 【請求項8】 カチオン電着塗料を用いる電着塗装方法
    により被塗物の表面上に電着塗膜を形成し、これを加熱
    硬化させて硬化電着塗膜を形成する工程(I)、 硬化電着塗膜の上に中塗り塗料を塗布して、未硬化の中
    塗り塗膜を形成する工程(II)、 未硬化の中塗り塗膜の上にベース塗料を塗布して、未硬
    化のベース塗膜を形成する工程(III)、 未硬化のベース塗膜の上にクリヤー塗料を塗布して、未
    硬化のクリヤー塗膜を形成する工程(IV)、及び未硬化
    の中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に加
    熱硬化させる工程(V)、を包含する積層塗膜を形成す
    る方法において、 該カチオン電着塗料が、水性媒体、水性媒体中に分散す
    るか又は溶解した、カチオン性エポキシ樹脂及びブロッ
    クイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カチオ
    ン性エポキシ樹脂を中和するための中和酸、有機溶媒、
    金属触媒を含有し、揮発性有機分含有量が1重量%以下
    であり、金属イオン濃度が500ppm以下であり、中
    和酸の量がバインダー樹脂固形分100gに対して10
    〜30mg当量である無鉛性カチオン電着塗料であり、 該ベース塗料が、樹脂固形分総量に基づく固形分比で、
    水酸基含有樹脂(d)10〜70重量%、水酸基と反応
    しうる硬化剤(e)10〜70重量%及び非水ディスパ
    ージョン樹脂(f)5〜50重量%からなり((d)+
    (e)+(f)=100%とする)、更に顔料を含有す
    るものであることを特徴とする積層塗膜形成方法。
  9. 【請求項9】 前記金属イオンがセリウムイオン、ビス
    マスイオン、銅イオン、亜鉛イオン、モリブデンイオ
    ン、アルミニウムイオンからなる群から選択される一種
    以上である請求項8記載の積層塗膜形成方法。
  10. 【請求項10】 前記中和酸が酢酸、乳酸、蟻酸、スル
    ファミン酸からなる群から選択される一種以上である請
    求項8又は9記載の積層塗膜形成方法。
  11. 【請求項11】 前記カチオン電着塗料が更に顔料を含
    み、塗料中に含まれる顔料と樹脂固形分との重量比が1
    /9以下である請求項8〜10のいずれか記載の積層塗
    膜形成方法。
  12. 【請求項12】 前記ベース塗料が、140℃にて30
    分間加熱した場合に、45%以下の体積収縮率を示すも
    のである請求項8〜11のいずれか記載の積層塗膜形成
    方法。
  13. 【請求項13】 前記ベース塗料が、塗料の固形分に対
    して1〜60重量%の量で顔料を含有する請求項8〜1
    2のいずれか記載の積層塗膜形成方法。
  14. 【請求項14】 前記ベース塗料が、30〜60重量%
    の不揮発分を含有する請求項8〜13のいずれか記載の
    積層塗膜形成方法。
  15. 【請求項15】 カチオン電着塗料を用いる電着塗装方
    法により被塗物の表面上に電着塗膜を形成し、これを加
    熱硬化させて硬化電着塗膜を形成する工程(I)、 硬化電着塗膜の上に中塗り塗料を塗布して、未硬化の中
    塗り塗膜を形成する工程(II)、 未硬化の中塗り塗膜の上にベース塗料を塗布して、未硬
    化のベース塗膜を形成する工程(III)、 未硬化のベース塗膜の上にクリヤー塗料を塗布して、未
    硬化のクリヤー塗膜を形成する工程(IV)、及び未硬化
    の中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に加
    熱硬化させる工程(V)、を包含する積層塗膜を形成す
    る方法において、 該カチオン電着塗料が、水性媒体、水性媒体中に分散す
    るか又は溶解した、カチオン性エポキシ樹脂及びブロッ
    クイソシアネート硬化剤を含むバインダー樹脂、カチオ
    ン性エポキシ樹脂を中和するための中和酸、有機溶媒、
    金属触媒を含有し、揮発性有機分含有量が1重量%以下
    であり、金属イオン濃度が500ppm以下であり、中
    和酸の量がバインダー樹脂固形分100gに対して10
    〜30mg当量である無鉛性カチオン電着塗料であり、 該中塗り塗料が、樹脂固形分総量に基づく固形分比で、
    水酸基含有樹脂(a)10〜70重量%、水酸基と反応
    しうる硬化剤(b)10〜70重量%及び非水ディスパ
    ージョン樹脂(c)18〜50重量%からなり((a)
    +(b)+(c)=100%とする)、更に顔料を含有
    するものであり、 該ベース塗料が、樹脂固形分総量に基づく固形分比で、
    水酸基含有樹脂(d)10〜70重量%、水酸基と反応
    しうる硬化剤(e)10〜70重量%及び非水ディスパ
    ージョン樹脂(f)5〜50重量%からなり((d)+
    (e)+(f)=100%とする)、更に顔料を含有す
    るものであることを特徴とする積層塗膜形成方法。
  16. 【請求項16】 前記金属イオンがセリウムイオン、ビ
    スマスイオン、銅イオン、亜鉛イオン、モリブデンイオ
    ン、アルミニウムイオンからなる群から選択される一種
    以上である請求項15記載の積層塗膜形成方法。
  17. 【請求項17】 前記中和酸が酢酸、乳酸、蟻酸、スル
    ファミン酸からなる群から選択される一種以上である請
    求項15又は16記載の積層塗膜形成方法。
  18. 【請求項18】 前記カチオン電着塗料が更に顔料を含
    み、塗料中に含まれる顔料と樹脂固形分との重量比が1
    /9以下である請求項15〜17のいずれか記載の積層
    塗膜形成方法。
  19. 【請求項19】 前記中塗り塗料が、140℃にて30
    分間加熱した場合に、45%以下の体積収縮率を示すも
    のである請求項15〜18のいずれか記載の積層塗膜形
    成方法。
  20. 【請求項20】 前記中塗り塗料が、塗料の固形分に対
    して10〜70重量%の量で顔料を含有する請求項15
    〜19のいずれか記載の積層塗膜形成方法。
  21. 【請求項21】 前記中塗り塗料が、40〜70重量%
    の不揮発分を含有する請求項15〜20のいずれか記載
    の積層塗膜形成方法。
  22. 【請求項22】 前記ベース塗料が、140℃にて30
    分間加熱した場合に、45%以下の体積収縮率を示すも
    のである請求項15〜21のいずれか記載の積層塗膜形
    成方法。
  23. 【請求項23】 前記ベース塗料が、塗料の固形分に対
    して1〜60重量%の量で顔料を含有する請求項15〜
    22のいずれか記載の積層塗膜形成方法。
  24. 【請求項24】 前記ベース塗料が、30〜60重量%
    の不揮発分を含有する請求項15〜23のいずれか記載
    の積層塗膜形成方法。
  25. 【請求項25】 請求項1〜24のいずれか記載の積層
    塗膜形成方法により形成された積層塗膜。
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