JP2002274422A - 走行装置 - Google Patents

走行装置

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JP2002274422A
JP2002274422A JP2001071945A JP2001071945A JP2002274422A JP 2002274422 A JP2002274422 A JP 2002274422A JP 2001071945 A JP2001071945 A JP 2001071945A JP 2001071945 A JP2001071945 A JP 2001071945A JP 2002274422 A JP2002274422 A JP 2002274422A
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Japan
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turning
traveling
gear
speed
hst
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JP2001071945A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Doi
義典 土居
Takahiko Kamimura
孝彦 上村
Takafumi Akiyama
尚文 秋山
Mikiji Hirota
幹司 廣田
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Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
Original Assignee
Iseki and Co Ltd
Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行装置の微速前進時に旋回を確実に行える
ようにすることである。 【解決手段】 コンバインが微速前進時にはギア9’の
回転数は小さくなる。このときリングギア53の回転数
もゼロからギア9’の回転数の間で小さくなる。従って
旋回用HST5の回転数も小さくなり、旋回用HST5
の製造時におけるロット毎に旋回回転数が異なることが
影響するようになる。そこで伝動ギア57に対する旋回
大ギア58の減速比を大きくして旋回用HST5の回転
数を比較的高くして、旋回用HST5の性能を十分発揮
できるようにしながら、リングギア53の回転数を小さ
くする。こうして、コンバインの低速走行時に旋回用H
ST5の個体差のばらつきを吸収する比較的高速で旋回
用HST5を回転させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クローラを走行手
段とする作業機などの走行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】クローラを走行手段とする作業機などの
走行装置として、農業用のコンバインを例に従来の技術
を説明する。コンバインはクローラを構成する無限履帯
の接地面積を広くし、水田など軟弱な圃場でも自由に走
行して刈取作業などの農業作業を可能としている。
【0003】コンバインは動力源としてエンジンを搭載
し、エンジンの発生する動力をコンバインの走行、刈
取、脱穀などに使用するが、そのクローラは、エンジン
の動力を走行トランスミッションにより変速して伝動し
て駆動する。走行トランスミッションは、静油圧式無段
変速装置(以下、油圧無段変速装置をHSTという)、
歯車列機械的変速手段、差動歯車装置、クラッチ手段、
ブレーキ手段などにより構成されている。
【0004】コンバインを直進走行させるときは、左右
一対のクローラを等速で駆動し、コンバインを左右に旋
回させるときは、左右のクローラに速度差を与えて駆動
し、高速側のクローラを外側に、低速側、停止側または
後退側のクローラを内側とする旋回が可能な構成として
いる。
【0005】コンバインを用いて圃場に植立する穀稈の
刈取及び脱穀などを行うことにより、収穫作業の省力化
と能率化が進展してきた。コンバインは走行装置として
クローラを用いるために、その運転操作は必ずしも容易
ではなかったが、コンバインの走行トランスミッション
に無段階変速できる走行用HSTおよび旋回用のHST
を用いることにより、コンバインの走行、操舵の運転操
作はきわめて容易に行える。
【0006】本出願人はコンバインなどのクローラを走
行手段とする走行車両において、走行速度だけでなく、
緩旋回、ブレーキ旋回、急旋回が無段階に、かつ円滑に
選択できて、走行方向変更、旋回時の旋回半径を自由に
選ぶことができ、操作性、走行性能を向上させる走行用
HSTと旋回用HSTを備えた走行トランスミッション
を具備するコンバインを数多く提案してきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本出願人が提案してき
た走行用HSTと旋回用HSTを備えた走行トランスミ
ッションを具備するコンバインで、その操縦性が改良さ
れてきたが、さらに改良すべき事項として、次のような
問題点がある。
【0008】(1)一般にHSTは、それぞれの装置で
個体差があり、特に旋回用HSTの低速回転時はその個
体差が大きくばらつき、HSTの旋回性能が十分発揮で
きないことがあった。
【0009】(2)コンバインの走行速度が早くなる
と、その速度の速さに応じてコンバインの旋回時の遠心
力が増大する。コンバインの旋回時の遠心力が増大する
と車体が遠心力の作用する方向に傾斜して、転倒する危
険性がある。
【0010】そこで、本発明の課題は、走行装置の微速
前進時に旋回を確実に行えるようにすることである。
【0011】また、本発明の課題は、走行装置の高速走
行中の旋回時に転倒しないようにすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の
構成により解決できる。 (1)左右一対の車軸1、1’へ走行駆動力を伝動する
走行用油圧無段変速手段4と、左右一対の車軸1、1’
への前記走行駆動力の断続を行うサイドクラッチ7、
7’と、該サイドクラッチ7、7’に設けられたギア
8、8’間に亘って設けられた差動歯車装置6と、該差
動歯車装置6の駆動によって旋回内側の車軸1又は1’
を正逆に無段変速させる旋回用油圧無段変速手段5とを
備えた走行装置において、旋回用油圧無段変速手段5の
出力ギア57の前記車軸1、1’への出力ギア58に対
する減速比を走行用油圧無段変速手段4の出力ギア26
の前記車軸1、1’への出力ギア58に対する減速比に
比べて大きくする構成とした走行装置。
【0013】(2) 左右一対の車軸1、1’へ走行駆
動力を伝動する走行用油圧無段変速手段4と、左右一対
の車軸11、’への前記走行駆動力の断続を行うサイド
クラッチ7、7’と、該サイドクラッチ7、7’に設け
られたギア8、8’間に亘って設けられた差動歯車装置
6と、該差動歯車装置6の駆動によって旋回内側の車軸
1又は1’を正逆に無段変速させる旋回用油圧無段変速
手段4とを備えた走行装置において、走行用油圧無段変
速手段4の出力ギア26の回転数が所定値以上になる
と、旋回用油圧無段変速手段5の出力ギア57の回転数
を所定値に固定する構成とした走行装置。
【0014】(3) 左右一対の車軸1、1’へ走行駆
動力を伝動する走行用油圧無段変速手段4と、左右一対
の車軸1、1’への前記走行駆動力の断続を行うサイド
クラッチ7、7’と、該サイドクラッチ7、7’に設け
られたギア8、8’間に亘って設けられた差動歯車装置
6と、該差動歯車装置6の駆動によって旋回内側の車軸
1又は1’を正逆に無段変速させる旋回用油圧無段変速
手段5とを備えた走行装置において、走行用油圧無段変
速手段4の出力ギア26の回転数がゼロから正の所定値
以下の間にあるときには、旋回用油圧無段変速手段5の
出力ギア57の回転数をゼロを超える所定値に固定する
構成とした走行装置。
【0015】(4) 左右一対の車軸1、1’へ走行駆
動力を伝動する走行用油圧無段変速手段4と、左右一対
の車軸1、1’への前記走行駆動力の断続を行うサイド
クラッチ7、7’と、該サイドクラッチ7、7’に設け
られたギア8、8’間に亘って設けられた差動歯車装置
6と、該差動歯車装置6の駆動によって旋回内側の車軸
1又は1’を正逆に無段変速させる旋回用油圧無段変速
手段4とを備えた走行装置において、走行用油圧無段変
速手段4の出力ギア26の最大回転時に、旋回用油圧無
段変速手段5の出力ギア57を最大回転させる場合に
は、該旋回用油圧無段変速手段5の出力ギア57の回転
数は、走行用油圧無段変速手段4の出力ギア26の1/
2の回転数となるような構成とした走行装置。
【0016】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、旋回用HST
5の出力ギア(伝動ギア57)の車軸1、1’への出力
ギア58に対する減速比を走行用HST4の出力ギア
(伝動ギア26)の車軸1、1’への出力ギア58に対
する減速比に比べて大きくすることで微速前進時にも旋
回用HST5の回転数を小さくする必要がなく、HST
製造時の個体間のばらつきを吸収する比較的高速回転数
で旋回用HST5を回転させることができ、旋回を確実
に行える。
【0017】請求項2の発明によれば、旋回用HST5
の出力ギア(伝動ギア57)の回転数を、機体の走行速
度が一定値以上になると、そのときの旋回用HST5の
出力ギア(伝動ギア57)の回転数が、それ以上あがら
ないように固定できる。この方法により、機体の走行速
度が大きいときに操向レバー10の傾動角度を大きくし
ても急旋回しないので、機体の旋回時の遠心力が増大せ
ず、旋回時に転倒する危険性がない。また機体の低速走
行のときは操向レバー10の傾動角度を大きくして急旋
回しても、低速走行時であるので、機体の旋回時の遠心
力が増大せず、安全に旋回できる。
【0018】請求項3の発明によれば、低速域で操向レ
バー10を操作して、該操向レバー10の感帯幅に入る
と旋回用HST5は、その出力を一気に所定値に上げて
低速域でも確実に操舵できるようにすることができる。
【0019】請求項4の発明によれば、機体が最高速度
で走行中には、旋回用HST5の出力ギア(ギア57)
の回転数が走行用HST4が差動歯車装置6の正回転ギ
ア(サイドギア9’)に最大回転を与える回転数の1/
2になるので、旋回はブレーキ旋回と緩旋回しかでき
ず、急旋回をしないので、走行速度が速いときに旋回し
ても遠心力によりコンバインが傾くなどの危険がない。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。本実施の形態のコンバインの制御機構の
ブロック図を図1に示し、図2、図3に走行ミッション
装置14を展開して示す断面図、図4に走行ミッション
ケ−スの左側面図、図5に走行ミッションケ−スの右側
面図を示す。
【0021】まず、走行ミッション装置14は、図2乃
至図5に示すように、側面視U字型に形成したミッショ
ンケ−ス2に一連のミッション機構を内装し、U字型ケ
−ス2の一方の上部に走行用HST4を搭載し、他方の
上部に旋回用HST5を装備して構成している。
【0022】そして、走行用HST4は、図6、及び図
11に示すように、エンジンEから入力ベルト15を介
して伝動軸16に伝動された回転駆動力が走行用HST
油圧ポンプ4aを伝動する配置構成としている。そし
て、走行用HST4は、走行油圧ポンプ4aから作動油
を走行油圧モ−タ4bに循環、供給して、正・逆転の切
換えや変速回転動力が出力軸17から出力される構成と
している。そして、主変速レバ−18は、図6に示すよ
うに、走行油圧ポンプ4aのトラニオン軸4cを回動操
作可能に接続して設け、増減速の変速と前後進(正・逆
転の切換え)の切換えができる構成としている。
【0023】つぎに、旋回用HST5は、図3及び図6
に示すように、旋回油圧ポンプ5aと旋回油圧モ−タ5
bとから構成され、旋回油圧ポンプ5aは、上記伝動軸
16のプ−リ19からベルト20とプ−リ21とを介し
て、前記エンジンEからの回転駆動力が入力される伝動
構成としている。
【0024】そして、操向レバ−10は、図6及び図7
に示すように、コントローラ12を介して旋回油圧ポン
プ5aのトラニオン軸5cを回動操作可能に接続し、増
減速の変速操作により旋回油圧モ−タ5bからの出力を
調節できる構成としているが、図6、図7に示す例では
上記操向レバ−10の操作角をポテンショメ−タ22が
計測して、コントローラ12に入力して、制御出力によ
り旋回動力制御モ−タ23を駆動し、操作機構(ギア)
5dを介して旋回油圧ポンプ5aを操作する構成として
いる。そして、旋回用HST5は、図3に示すように、
出力された旋回動力をミッションケ−ス2の下部位置に
装備している差動歯車装置6に伝動する構成としている
が、この構成については詳細に後述する。
【0025】そして、走行用HST4は、図2に示すよ
うにミッションケ−ス2の伝動上手側にあって、走行油
圧モ−タ4bの出力軸17からミッションケ−ス2内に
走行動力(回転動力)を伝動する構成としている。そし
て、ミッションケ−ス2内の一連のミッション機構は、
副変速装置24とサイドクラッチ7、7’と差動歯車装
置6が設けられ、伝動下手側に軸架した左右のホイ−ル
シャフト1、1’から駆動スプロケット25、25’を
介して走行クロ−ラ3、3’を伝動する構成としてい
る。前記走行用HST4と旋回用HST5とは、一枚の
プレート2a(図6)を介してミッションケース2に取
り付ける構成としている。また、前記ミッションケース
2内の副変速装置24を作動させるシフトアーム24b
は、ミッションケース2の凹部2bの空間部に設けられ
ていて、該シフトアーム24bは、操縦座席79に設け
られている副変速レバー24aの操作により動く構成で
ある。
【0026】そこで、まず、副変速装置24は、図2に
示すように、上記出力軸17の広幅伝動ギア26から変
速軸27上の大ギア28に伝動され、この変速軸27上
には一体に中ギア29と小ギア30とを設け、軸方向に
摺動自由に軸装して変速可能に構成している。そして、
上記変速軸27は、図2で解るように、端部をミッショ
ンケ−ス2から外側に延長して刈取伝動プ−リ31(刈
取PTOプ−リ)を軸着して車速に同調した回転動力を
後述する刈取前処理装置32(図12)の回転各部に入
力できる構成としている。
【0027】そして、上記副変速装置24を構成する副
変速軸33は、図2に示すように、前記変速軸27の伝
動下手側に軸架し、前記小ギア30に噛合する変速大ギ
ア34、前記中ギア29に噛合する変速中ギア35、前
記大ギア28に噛合する変速小ギア36をそれぞれ軸着
し、前記変速軸27との間に副変速装置24を構成して
いる。
【0028】つぎに、左右のサイドクラッチ7、7’
は、図2に示すように、上記副変速軸33の伝動下手側
に中間軸37を軸架し、上記変速小ギア36から中間ギ
ア38、中間軸37、伝動ギア39を介してセンタ−ギ
ア40に走行動力が伝動される構成としている。そし
て、サイドクラッチ7、7’は、クラッチ軸41上にお
いて、上記センタ−ギア40と一体に回転する左右の駆
動側回転体42、42’と、左右両側に出力ギア43、
43’をスプライン係合している左右の従動側回転体4
4、44’との間に、多板式クラッチを設けて走行クロ
−ラ3、3’側への走行動力を入り、切り操作する構成
としている。
【0029】そして、サイドクラッチ7、7’は、図1
のブロック図で示すように、制御手段12に接続してい
るソレノイドバルブ45によって作動油が切換え供給さ
れて上記多板式クラッチが操作(圧接と離間)される構
成としている。そして、サイドクラッチ7、7’は、本
実施の形態の場合、エンジンEが駆動されると、言い換
えれば、キ−スイッチ46をONにすると、接続状態を
保ち伝動ができる構成としている。
【0030】そして、サイドクラッチ7、7’は、上述
のとおり、制御手段12から出力される制御信号に基づ
いて電磁作動するソレノイドバルブ45によって操作さ
れることを述べたが、制御手段12には、既に説明した
操向レバ−10の操向操作角がポテンショメ−タ22か
ら操作情報として入力される構成としている。そして、
本実施の形態の場合、サイドクラッチ7、7’は、操向
レバ−10(図7参照)をニュ−トラル位置Nから左の
旋回位置Tに操向操作(倒し操作)すれば左サイドクラ
ッチ7が切りとなり、右の旋回位置Tに操作すれば右サ
イドクラッチ7’が切りとなる構成としている。
【0031】そして、ホイ−ルシャフト1、1’の駆動
は、上記クラッチ軸41上に遊嵌状態にある出力ギア4
3、43’から中間ホイルシャフト49、49’に固定
のホイ−ルギア48、48’に伝達され、さらに、中間
ホイルシャフト49、49’に伝達されていく。該中間
ホイルシャフト49、49’には歯車48a、48a’
が固定されていて、下手側のホイ−ルシャフト1、1’
に固定の歯車1a、1a’に噛合しているので、前記中
間ホイルシャフト49、49’に伝達された動力は、歯
車48a、48a’、歯車1a、1a’を経由してホイ
−ルシャフト1、1’へ伝動されていく。該ホイ−ルシ
ャフト1、1’には、走行クロ−ラ3、3’を駆動する
駆動スプロケット25、25’が固定されているので、
動力は駆動スプロケット25、25’に伝えられて走行
クロ−ラ3、3’を走行駆動する構成としている。そし
て、上記出力ギア43、43’は、従動側回転体44、
44’とスプライン係合して一体に回転することは前述
のとおりである。
【0032】つぎに、差動歯車装置6は、図3及び図8
に示すように、従来から知られているデフ機構であっ
て、左右の回転支持軸50、50’にスプライン係合し
た左右一組の側部歯車51、51’と、この両側部歯車
51、51’に噛合して伝動する中間歯車52とを組み
合わせて構成している。なお、図8に示す実施の形態の
場合、中間歯車52は、支持軸52aとの間にブッシュ
75を介装して、歯車52と軸52aとの焼き付きを未
然に防止して耐久性を高める構成としている。実施例の
ブッシュ75に代えてニ−ドルベヤリングを使用しても
同様の効果が期待できる。
【0033】そして、差動歯車装置6は、前記中間歯車
52の外周に設けたリングギア53を、図3に示すよう
に、旋回伝動軸54上の旋回小ギア55に噛合してい
る。そして、旋回用HST5は、図3に示すように、旋
回油圧モ−タ5bから出力軸56、伝動ギア57を介し
て旋回大ギア58に旋回動力を入力する構成としてい
る。このようにして、旋回用の油圧HST5は、出力す
る旋回動力を差動歯車装置6に伝動する構成としてい
る。
【0034】そして、差動歯車装置6は、前記した左右
一組の側部歯車51、51’の左右両側に回転支持軸5
0、50’を介してサイドギア9、9’をそれぞれ一体
回転ができるように軸着して設け、前記したサイドクラ
ッチ7、7’の左右従動側回転体44、44’の従動ギ
ア8、8’に伝動可能に接続して構成している。この場
合、図3に示すように、左右のサイドギア9、9’と左
右の従動ギア8、8’とによって左伝動系Aと右伝動系
Bとができるが、そのうち左伝動系Aのサイドギア9と
従動ギア8との間に、逆転ギア60を介装して噛合さ
せ、左伝動系Aは逆回転の動力を伝動する構成としてい
る。
【0035】そして、ブレ−キ装置61は図3及び図1
0に示すように、差動歯車装置6の回転支持軸50を外
側に延長してその軸上に装備し、差動歯車装置6をロッ
クして走行系に制動作用を働かせる構成としている。
【0036】次に、ブレ−キ装置61の操作系は、図9
及び図10(図9の矢印A方向から見た図)に示すよう
に、二系統あり、一つは、ブレ−キペタル62から作動
板63、操作ワイヤ−64、ブレ−キア−ム65、ブレ
−キロッド66等を介して人為的に操作する構成であ
り、他の一つは、ブレ−キ操作モ−タ67を設け、キ−
スイッチ46のOFFにより自動的にブレ−キ操作がで
きる構成としている。
【0037】前記ブレ−キペタル62の踏み込み操作で
次のようにしてブレ−キ操作モ−タ67が駆動開始す
る。すなわち、ブレーキペタル62の矢印方向への踏
み込みで作動板63が矢印方向に回転すると、ブレー
キペタル62先端部に取り付けられた操作ワイヤ−64
が矢印方向に移動し、該操作ワイヤ−64の他端に取
り付けられたブレ−キア−ム65を矢印方向に移動さ
せ、該ブレ−キア−ム65に固着された小アーム65a
が矢印方向に動き、さらに該小アーム65aに固着さ
れたブレ−キロッド66が矢印方向に動くとブレ−キ
ロッド66の先端に取り付けられた三角アーム66aが
矢印方向に回転し、三角アーム66aの前記動きで図
3に示すブレーキ装置61が作動して、差動歯車装置6
の動きが固定される。このとき、ブレーキワイヤ66b
はたるんだままである。
【0038】そして、作動板63は、図10、及び図1
1に示すように、操作ワイヤ−68によって、旋回用H
ST5を伝動するベルト20のテンションクラッチ69
と連動操作可能に連結して設け、前記ブレ−キ装置61
を制動操作すると、テンションクラッチ69が切れて旋
回用HST5が停止する構成としている。すなわち、ブ
レ−キペタル62を踏み込むと、作動板63の矢印の
動きと共に、該作動板63に取り付けられた操作ワイヤ
68が矢印(図10、図11)方向に移動し、テンシ
ョンクラッチ69が矢印B(図11)方向に動き、ベル
ト20のテンションが緩み、エンジンEの駆動力が旋回
用HST5の駆動用プーリ21に伝動されなくなる。ま
た、前述のごとく、エンジンを停止する所定時間の間ブ
レーキ操作モータ67が動いて、ブレーキワイヤ66b
が矢印方向へ引っ張られてブレ−キア−ム65が矢印
方向へ動く。これにより、停止時ブレーキペタル62
を踏むのを忘れても、ブレーキ装置61が作動するので
安全である。
【0039】つぎに、マイクロコンピュ−タを利用した
コントロ−ラ12について、図1に基づいて説明する。
まず、コントロ−ラ12は、制御プログラムや基準デ−
タ等を内蔵したメモリを有するマイクロコンピュ−タの
演算制御部であって、算術、論理および比較演算等を行
なう構成となっている。
【0040】そして、コントロ−ラ12は、入力側に、
キ−スイッチ46、操向レバ−10のポテンショメ−タ
22、車速センサ70、急旋回入切スイッチ71、左右
車軸回転センサ11、11’、旋回動力制御モ−タ23
のポテンショメ−タ72(フィ−ドバック制御を行なっ
て制御精度を高めるために装備)、トラニオン軸センサ
76及びポテンショメータ83をそれぞれ接続して各情
報を入力する構成としている。そして、コントロ−ラ1
2は、出力側に、サイドクラッチ7、7’を操作するソ
レノイドバルブ45、旋回動力制御モ−タ23、ブレ−
キ操作モ−タ67、走行速度に対する旋回用HST5の
作動比率変更用の電動モータ86をそれぞれ接続して出
力した制御信号に基づいて各部を制御する構成としてい
る。
【0041】そして、コントロ−ラ12は、直進走行か
ら旋回走行に移るため、前述の操向レバ−10を、ニュ
−トラル位置Nから旋回したい方向側の旋回位置Tへ操
作する(図7参照)と、その操作角度がポテンショメ−
タ22により計測されて情報として入力される。する
と、コントロ−ラ12は、旋回操作の開始を判断してソ
レノイドバルブ45に制御信号を出力して、旋回側のサ
イドクラッチ7、又は7’を切り側に操作を開始し、そ
れと同時に、旋回動力制御モ−タ23に制御信号を出力
して、予め設定している回転値まで旋回用の油圧HST
5の増速制御を行なう構成としている。
【0042】以下に説明する構成を備えた走行ミッショ
ン装置14を装備したコンバインは、図12に示すよう
に、走行クロ−ラ3、3’を有する車体77上に脱穀装
置78を搭載し、その前部に刈取前処理装置32を設け
て刈取脱穀作業ができる構成としている。そして、操縦
座席79は、図12で解るように、車体77の前部右側
に設け、その前側から側部に集中して操作レバ−類を配
置して構成している。図12に示す例では、操縦座席7
9の前方右端に操向レバ−10を設け、左側に主変速レ
バ−18と副変速レバ−24aとを設けて操向操作、前
後進の切換え、車速調節、副変速の切換えができる構成
としている。そして、ステップ装置80は、図12に示
すように、操縦座席79の前側下面にあって、オペレ−
タの立つステップ面80aを形成している。
【0043】走行ミッション装置14は、旋回用HST
5を停止(本実施の形態では、操向レバ−10を図7に
示すニュ−トラル位置N位置に保持)して、主変速レバ
−18を操作して走行用HST4を作動する。すると、
走行動力は、図2に示すミッションケ−ス2内の伝動経
路にしたがって、走行油圧モ−タ4bから出力軸17を
経て、変速軸27、副変速軸33、中間軸37に達し、
伝動ギア39からセンタ−ギア40に伝達される。更
に、走行動力は、クラッチ軸41を経て左右の駆動側回
転体42、42’から、サイドクラッチ7、7’を経由
して左右の従動側回転体44、44’に伝動される。な
お、既に説明したように、サイドクラッチ7、7’は、
エンジンスタ−ト(キ−スイッチ46のON)によって
「入」状態になっている。
【0044】このようにして走行動力は、左右の出力ギ
ア43、43’からホイ−ルギア48、48’に達し、
中間ホイ−ルシャフト49、49’を介してホイ−ルシ
ャフト1、1’を経由して左右が同速度でそれぞれ両側
の走行クロ−ラ3、3’を駆動してコンバインを直進走
行させることになる。そして、コンバインは、副変速レ
バ−24aで作業速度を選択し、主変速レバ−18で走
行用の油圧HST4を適宜操作しながら直進走行して作
業を行なう。このような作業中に、刈取伝動プ−リ−3
1は、図2から分かるように、変速軸27から車速に同
調した回転動力が取出されて刈取前処理装置32の回転
各部を伝動できる。そして、刈取伝動プ−リ−31は、
主変速レバ−18の操作により、走行用HST4を逆転
に切換えてコンバインをバック走行すると、構成の説明
を省略しているが、ワンウエイクラッチが働いて停止
し、刈取前処理装置32への伝動を中断する。
【0045】つぎに、コンバインの旋回操作(左旋回を
例に説明する)について説明する。まず、本発明に係る
走行ミッション装置14は、既に説明したように、旋回
機構として差動歯車装置6を用いた構成としているか
ら、旋回時につぎのような特性がある。
【0046】すなわち、図13に示すように走行ミッシ
ョン装置14は、走行用の油圧HST4から伝動される
走行動力が、右伝動系Bのサイドギア9’を伝動すると
きの回転数(サイドギア9’の回転数)を基準にして、
他方の旋回用の油圧HST5から伝動される旋回動力に
よって、リングギア53を伝動する回転数が、低速から
順次増速されて2分の1に達するまでは、旋回内側の走
行クロ−ラ3が、順次減速されて走行側より低速で駆動
されてゆっくり大きく旋回する緩旋回となる。すなわ
ち、サイドギア9’は一定回転で差動装置のリングギア
53をサイドギア9’と同方向に回し始めると、サイド
ギア9はサイドギア9’と逆転で減速開始する。しか
し、逆転ギア60があるので、緩旋回となる。なお、リ
ングギア53が回転しないときは左伝動系Aのサイドギ
ア9は右伝動系Bのサイドギア9’に対して同回転数で
逆回転する。
【0047】そして、走行ミッション装置14は、旋回
動力の回転数(リングギア53の回転数)が、走行動力
の回転数(サイドギア9’の回転数)の2分の1の点に
達すると、旋回内側の走行クロ−ラ3が停止し、通常旋
回が行われる。更に、走行ミッション装置14は、旋回
用HST5を順次高速にして、旋回動力の回転数が2分
の1より走行動力の回転数に接近すると、旋回側が逆転
して左右の走行クロ−ラ3、3’を互いに逆回転させて
その場で急激に旋回する急旋回が行われる。
【0048】そこで、走行用HST4を駆動して低速で
直進走行を続けているとき、図7に示すように左旋回す
べく操向レバ−10をニュ−トラル位置Nから左側の旋
回位置Tに操作すると、これらの情報は、コントロ−ラ
12に入力される。そのとき、コントロ−ラ12は、各
スイッチ、センサ、ポテンショメ−タからの検出情報が
入力されており、制御作動(図1参照)が行われてい
る。
【0049】そして、コントロ−ラ12は、ソレノイド
バルブ45に左サイドクラッチ7を切り操作するように
制御信号を出力し、同時に、旋回動力制御モ−タ23に
制御信号を出力する。
【0050】すると、旋回用HST5の旋回油圧モ−タ
5bから出力軸56に出力され、更に、伝動ギア57、
旋回大ギア58、旋回伝動軸54、旋回小ギア55を経
由してリングギア53を伝動する。このようにして、走
行ミッション装置14は、必要な旋回動力が伝動されて
適確に旋回できる。
【0051】走行ミッション装置14における左旋回時
の伝動は、左サイドクラッチ7が切られて左側の伝動が
絶たれるため、駆動側回転体42、42’に達している
走行動力は、右の従動ギア8’(従動側回転体44’)
にのみ伝動さる。そのとき、右走行クロ−ラ3’は、直
進状態と同一の伝動経路で伝動され走行を続け、他方の
左クロ−ラ3は、右従動ギア8’から右サイドギア
9’、差動歯車装置6を経由した回転動力が左サイドギ
ア9、逆転ギア60、左従動ギア8(左従動側回転体4
4)に達して、出力ギア43、ホイ−ルギア48、中間
ホイ−ルシャフト49を経由してホイ−ルシャフト1の
順に伝動されることになる。
【0052】そして、差動歯車装置6は、上述のとお
り、右従動ギア8’から右サイドギア9’を経由して一
定速度の走行動力が入力されており、中間歯車52には
リングギア53から旋回用HST5の旋回動力が入力さ
れる。このようにして、差動歯車装置6は、操向レバ−
10の操作を続けて順次増速すると、左出力が順次減速
され、それに伴い左側が順次低速になる。
【0053】以上のようにして、走行クロ−ラ3、3’
は、右出力ギア43’が一定速度であるのに対して、左
出力ギア43が減速伝動されるから、コンバインは、緩
やかに左旋回を開始する。そして、走行クロ−ラ3、
3’は、前述のとおり、旋回動力の回転数(リングギア
53の回転数)が、走行動力の回転数(サイドギア9’
の回転数)の2分の1の点に達すると、左出力ギア43
の出力が0となる。
【0054】したがって、走行クロ−ラ3、3’は、右
出力ギア43’が一定速度で回転を続けているのに対し
て、左出力ギア43が0となって停止するから、コンバ
インは、ブレ−キロックの状態となって左旋回(ブレ−
キ旋回)する。
【0055】そして、操向レバ−10の操作を更に続け
ると、左出力ギア43が逆転域に入り、左走行クロ−ラ
3も同方向(逆転)の旋回動力が伝動される。したがっ
て、コンバインは、右走行クロ−ラ3’が一定速度で正
転を続けているのに対して、左クロ−ラ3が逆転するか
ら急旋回を行なうことになる。そして、操向レバ−10
を最高の操作位置まで倒すと、コンバインは、超信地旋
回を行なう。
【0056】このように、旋回用HST5は操向レバ−
10の操作角度に対応しながら増速して、圃場に適した
旋回方法(ブレ−キ旋回、急旋回)を選択できる。
【0057】コンバインが微速前進時にはギア9、9’
の回転数は小さくなる。従って、旋回しようとするとき
には、リングギア53の回転数もゼロからギア9’の回
転数の間で小さくなる。従って旋回用HST5の回転数
も小さいものとなる。
【0058】ところが、一般にHSTは、それぞれの装
置で個体差があり、HSTの低速回転時はその個体差が
大きくばらつく。このため旋回用HST5を低速回転さ
せると旋回用HST5の性能が発揮できないことがあ
る。そこで、伝動ギア57に対する旋回大ギア58の減
速比を大きくすることで旋回用HST5の回転数を大き
くして、旋回用HSTの性能を十分発揮できるようにし
ながら、リングギア53の回転数を小さくすることがで
きるようにする。
【0059】また、コンバイン機体の走行速度が速くな
ると、その速度に応じて機体の旋回時の遠心力が増大す
る。機体の旋回時の遠心力が増大すると機体が遠心力の
作用する方向に傾斜して、転倒する危険性がある。
【0060】前記転倒防止をする第一の方法はコンバイ
ン機体の走行速度とともに速くなる旋回用HST5の回
転数(正確には伝動ギア57の回転数)を所定値以上に
上がらないようにすることである。
【0061】図14には旋回用HST5の回転数と操向
レバー10の傾斜角度(傾動量)の関係を示すが、車速
が低速側の1速から5速まで増速されたとしても(実際
は走行用HST4を用いるので無段変速で増速され
る)、旋回用HST5の回転数が所定値以上に上がらな
いようにすると、コンバインの走行速度が速くなったと
きに、例えば、緩旋回とブレーキ旋回は可能であるとし
ても急旋回ができないので、遠心力でコンバインが傾く
おそれはない。
【0062】しかし、低速走行時にはギア9’の回転数
がギア9の回転数の1/2以上になって急旋回可能とな
るが、この場合には旋回時に遠心力が大きく働かないの
で、旋回用HST5の回転数の最高回転数である前記所
定値以下でも安全に急旋回ができる。
【0063】また、旋回用HST5を用いて旋回走行す
る場合に、旋回用HST5の最大回転時における回転数
を走行用HST4が差動歯車装置6に最大回転を与える
回転数の1/2回転となるようにする構成として、機体
の旋回時の傾斜、転倒が防げる。
【0064】例えば走行用HST4の最大回転数(正確
には差動歯車装置6の正回転するサイドギア9’に最大
回転を与える回転数)がNであるとき、旋回用HST5
の回転数(正確には差動歯車装置6のリングギア53)
を1/2Nとすると、逆回転するサイドギア9の回転数
が上昇して最大回転数になってもサイドギア9’の回転
数はサイドギア9の0.5Nであるので図13の関係か
ら急旋回ができない。
【0065】これはギア55とリングギア53のギア比
で決めることができる。このとき、走行用HST4が最
大回転数Nより小さい回転数(例えば0.7N)である
ときには、旋回用HST5の回転数が最大回転数(0.
5N)であると急旋回ができる{(0.5N/0.7
N)>1/2}。すなわち、走行用HST4の回転数に
対する旋回用HST5の回転数の比の割合が相対的に5
0%を超えるので急旋回する。
【0066】このように、コンバインが最高速で走行中
は、旋回用HST5の回転数が最大でも走行用HST4
の最高回転時の1/2回転に抑えることで、誤作動(操
向レバー10を不用意に倒してしまうなど、コンバイン
は他にスイッチ類が多く他の操作をしているときに肘な
どで倒してしまうことがある。)が生じても急旋回をし
ないので、走行速度が速いときにコンバインが急旋回し
て、遠心力により傾く危険性は無くなる。
【0067】走行用HST4の低速回転域では前述のよ
うに個体によりばらつきが大きく、さらに操向レバー1
0を傾動させるときのニュトーラル位置Nからの不感帯
幅の大きなものは、低速域で操向レバー10を傾斜させ
ても旋回操舵ができないことがある。これを調整するに
は工数を要する。
【0068】また、図14に示した旋回用HST5の回
転数と操向レバー10の傾斜角度の関係から明らかなよ
うに車速が1速のような低速走行時には旋回用HSTの
回転数は小さいので、その制御が難しい。
【0069】そこで図15に示すように、操向レバー1
0を傾動させるときのニュトーラル位置Nからの個体間
でばらつきのある不感帯幅より大きい傾動量の範囲で、
操向レバーが傾くと、旋回用HST5の回転数を所定値
に一気に上げるような構成にすることもできる。
【0070】こうして操向レバー10がニュトーラル位
置Nからの個体間でばらつきのある不感帯幅より大きい
傾動量に達すると、旋回用HST5は、その出力を一気
に所定値に上げて低速域での旋回用HST5の制御値を
作動可能な最低回転数に固定することができ、低速域で
も確実に操舵できるようにすることもできる。
【0071】また、別の方法として、操向レバー10の
傾動量の増大に応じて旋回用HST5を増速制御すると
ともに、コンバインの走行速度が高速になるほど前記旋
回用HST5の増速比率が小さくなるように設定するこ
とで、高速走行時に急旋回しすぎる問題点を解消するこ
とができる。
【0072】図16に示すように走行速度が高速になる
ほど前記旋回用HST5の増速比率(ギア9’に対する
ギア53の加速の比率)が小さくなるように設定する
と、高速走行時には低速走行時に比べて、操向レバー1
0の単位傾動量に対する旋回用HST5の増速量が小さ
くなる。これにより、高速走行時の不用意な急旋回を防
止し、安全性及び操作性の向上を図ることができる。
【0073】図16に示す関係を達成させるためには、
図1に示す操向レバー10の傾動操作角を検出する操向
レバーポテンショメータ22と機体の走行速度を検出す
る車速センサ70と主変速レバー18に設けた急旋回入
切スイッチ71の信号がコントローラ12に入力される
と、コントローラ12に組み込んだ操向レバー10の傾
動量の増大に応じて前記旋回用HST5を増速制御する
ためのプログラムに従って左右のサイドクラッチ用ソレ
ノイドバルブ45と旋回用HST5のトラニオン軸5c
に固着した斜板の傾斜角変更用の旋回動力制御モータ2
3に旋回用HST5の増速比率が小さくなるように出力
させる。なお、前記斜板の傾斜角度を調整することで旋
回用油圧ポンプ5aからの吐油量を変化させて出力軸5
6の回転数を調整する。
【0074】図17には、従来の操向レバー10の傾斜
角と旋回用HST5のトラニオン軸5cの回転角度の関
係を示すが、走行速度によって図17の直線の傾斜角度
が異なり、操向速度(車速)が大きくなるとそれに比例
して旋回用HST5のトラニオン軸角度を大きくする
が、上記実施の形態では図18に実線で示すように走行
速度と操向レバー10の単位傾動角度に対する旋回用H
ST5の増速量との関係を維持する。なお、図18の破
線は従来技術の走行速度と操向レバー単位傾動角度に対
する旋回用HST5の増速量の関係を示す。
【0075】ここで、コントローラ12の入力側には前
記旋回動力制御モータ23の回転角を検出するポテンシ
ョメータ72も接続し、フィードバック制御することに
より、制御精度を確保する。
【0076】図6、図7には旋回用HST5のトラニオ
ン軸5cを旋回動力制御モータ23によって回動操作す
る構成を示すが、この構成ではコンバインの旋回半径を
(車速に関係なく)一定に保つためには、走行速度に応
じて旋回動力制御モータ23の作動量を変更せねばなら
ない。しかし、実車速を検出してこの変更を行うと遅れ
が生じる。
【0077】なお、操向レバー10が同じ傾動角でも、
車速により、旋回半径が違うと運転感覚がおかしくなる
ので、それを防いで安定した操舵感覚を得るために、コ
ンバインの旋回半径を(車速に関係なく)一定に保つ必
要がある。
【0078】そこで、図19の旋回HST5付近の要部
側面図と旋回HST5と主変速レバー18の関係図を示
すように、前記旋回用HST5のトラニオン軸5cと該
トラニオン軸5cを回動操作する旋回動力制御モータ2
3との間を連繋機構90によって連繋するとともに、走
行用HST4の変速操作用の主変速レバー18の操作位
置を検出するポテンショメータ83を設ける。そして主
変速レバー18の操作に応じて変化するポテンショメー
タ83の検出値により作動する作動比率変更用電動モー
タ86によって図20に示すような連繋機構90の作動
比率を変更するように構成する。
【0079】なお、前記連繋機構90には長穴90aが
設けられ、該長穴90aに係合するピン92を有するア
ーム93を作動比率変更用電動モータ86で移動させる
構成を採用しているので、図19に示す連繋機構90の
長さXとYの比率が変化して旋回用HST5のトラニオ
ン軸5cの作動量が変わる。
【0080】こうして、前記旋回用HST5のトラニオ
ン軸5cと前記電動モータ23との間を連繋機構90で
連繋すると共に、主変速レバー18の傾動角度に応じて
電動モータ86で前記連繋機構の作動比率を変えること
ができ、旋回用HSTの駆動回転速度の調節にコンバイ
ンの走行速度を加味することができる。そのため(コン
バインの走行速度にかかわらず)旋回半径を一定に保
ち、安定した操舵感覚を得ることが可能となる。また、
主変速レバー18の操作位置を検出して前記連繋機構の
作動比率を変更するため、実車速を検出して変更する場
合に比較して制御遅れを生じることが少なくなる。
【0081】また、不用意なコンバインの急旋回を防止
するために、図21に示すように操向レバー10の傾動
角を検出するポテンショメータ22の検出値の変化に応
じて旋回用HST5を変速制御する一方、操向レバー1
0とポテンショメータ22との間に操作比変更機構を介
装し、該操作比変更機構により、操向レバー10の単位
傾動角あたりのポテンショメータ22の検出値の変化量
を、その傾動初期ほど小さくするよう構成した構成にし
ても良い。
【0082】前記操作比変更機構は、前記操向レバー1
0と操向レバーポテンショメータ22との間を連繋する
カム機構94によって、操向レバー10の単位傾動角あ
たりのポテンショメータ22の出力値の変化量をその傾
動初期ほど小さくするように構成する。
【0083】上記構成で、操向レバー10の単位傾動角
あたりのポテンショメータ22の検出値変化量がその傾
動初期ほど小さいため、操向レバー10の傾動初期にお
ける旋回用HST5の急増速を抑えることができる。
【0084】コントローラ12の入力側に設けられた操
向レバー10の傾動操作角をポテンショメータ22で検
出し、その値と車速センサ70によるコンバインの走行
速度と、主変速レバー18に設けた急旋回入切スイッチ
71の各信号値により、操向レバー10の傾動操作角の
増大に応じて前記旋回用HST5を増速制御するコント
ローラ12により、その出力側に設けられた左右のサイ
ドクラッチ7、7’の入切用のソレノイドバルブ45と
旋回用HST5の斜板角変更用の電動モータ23を制御
して旋回用HST5を増速制御する。
【0085】なお、コントローラ12の入力側に設けら
れた前記電動モータ23の回転角を検出するポテンショ
メータ72でフィードバック制御することにより、制御
精度を確保する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のコンバインの制御機構
のブロック図である。
【図2】 図1のコンバインの走行ミッション機構を展
開して示す断面図である。
【図3】 図1のコンバインの走行ミッション機構を展
開して示す断面図である。
【図4】 図1のコンバインの走行ミッションケ−スの
左側面図である。
【図5】 図1のコンバインの走行ミッションケ−スの
右側面図である。
【図6】 図1のコンバインの走行ミッションケ−スと
操作レバーの分解斜面図である。
【図7】 図1のコンバインの走行ミッションケ−スと
操向レバーの正面図である。
【図8】 図1のコンバインの走行ミッション機構の差
動歯車装置の断面図ある。
【図9】 図1のコンバインのブレーキペタルの作動機
構部の正面図である。
【図10】 図9の右側面図である。
【図11】 図9の左側面図である。
【図12】 本発明の実施の形態のコンバインの側面図
である。
【図13】 図1のコンバインの差動歯車装置のギアの
回転数と操向レバーの傾斜角度の関係を示すグラフであ
る。
【図14】 本発明の実施の形態のコンバインの旋回用
HSTの回転数と操向レバーの傾斜角度(傾動量)の関
係を示す図である。
【図15】 本発明の実施の形態のコンバインの旋回用
HSTの回転数と操向レバーの傾斜角度(傾動量)の関
係を示す図である。
【図16】 本発明の実施の形態のコンバインの走行速
度と差動歯車装置のギア9’に対するギア53の加速割
合を示す図である。
【図17】 従来のコンバインの操向レバーの傾斜角と
旋回用HSTトラニオン軸回転角度の関係を示す図であ
る。
【図18】 本発明の実施の形態のコンバインの走行速
度と操向レバー単位傾動角に対する旋回用HSTの増速
量の関係を示す図である。
【図19】 本発明の実施の形態の旋回用HST付近の
要部側面図と旋回用HSTと主変速レバーの関係図であ
る。
【図20】 図19に示す連繋機構で車速に対する作動
比率を変更する割合を示す図である。
【図21】 本発明の実施の形態の操向レバー傾動角の
検出値の操作比変更機構を示す図である。
【符号の説明】
1、1’ ホイ−ルシャフト 1a、1a’ 出力
ギア 2 ミッションケ−ス 2a プレート 3、3’ 走行クロ−ラ 4 走行用HST 4a 走行油圧ポンプ 4b 走行油圧モ−
タ 4c トラニオン軸 5 旋回用HST 5a 旋回油圧ポンプ 5b 旋回油圧モ−
タ 5c トラニオン軸 5d 歯車機構 6 差動歯車装置 7、7’ サイドク
ラッチ 8、8’ 従動ギア 9、9’ サイドギ
ア 10 操向レバ− 11、11’ 車軸
回転センサ 12 コントローラ 14 走行ミッショ
ン装置 15 入力ベルト 16 伝動軸 17 出力軸 18 主変速レバー 19 プ−リ 20 ベルト 21 駆動用プーリ 22 操向レバーポ
テンショメータ 23 前記電動モータ 23 旋回動力制御
モータ 24 副変速装置 24a 副変速レバ
ー 24b シフトアーム 25、25’ 駆動
スプロケット 26 広幅伝動ギア 27 変速軸 28 大ギア 29 中ギア 30 小ギア 31 刈取伝動プ−
リ 32 刈取前処理装置 33 副変速軸 34 変速大ギア 35 変速中ギア 36 変速小ギア 37 中間軸 38 中間ギア 39 伝動ギア 40 センタ−ギア 41 クラッチ軸 42、42’ 駆動側回転体 43、43’ 出力
ギア 44、44’ 従動側回転体 45 サイドクラッチ入切用ソレノイドバルブ 46 キ−スイッチ 48、48’ ホイ
−ルギア 48a、48a’ 歯車 49、49’ 中間
ホイルシャフト 50、50’ 回転支持軸 51、51’ 側部
歯車 52 中間歯車 52a 支持軸 53 ギア 54 旋回伝動軸 55 旋回小ギア 56 出力軸 57 伝動ギア 58 旋回大ギア 60 逆転ギア 61 ブレ−キ装置 62 ブレ−キペタル 63 作動板 64 操作ワイヤ− 65 ブレ−キア−
ム 65a 小アーム 66 ブレ−キロッ
ド 66a 三角アーム 66b ブレ−キワ
イヤ 67 ブレ−キ操作モ−タ 68 操作ワイヤ 69 テンションクラッチ 70 車速センサ 71 急旋回入切スイッチ 72 ポテンショメ
ータ 75 ブッシュ 76 トラニオン軸
センサ 77 車体 78 脱穀装置 79 操縦座席 80 ステップ装置 80a ステップ面 83 ポテンショメ
ータ 86 作動比率変更用電動モータ 90 連繋機構 92 ピン 93 アーム 94 カム機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60K 17/10 B60K 17/10 C B62D 49/00 B62D 49/00 E (72)発明者 秋山 尚文 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内 (72)発明者 廣田 幹司 愛媛県伊予郡砥部町八倉1番地 井関農機 株式会社技術部内 Fターム(参考) 2B043 AA03 AB07 AB08 BA02 BA05 BB14 DB04 DB05 DB18 DC01 2B076 AA03 DA03 DA15 3D042 AA03 AA10 AB11 BA02 BA10 BC06 BC10 BD02 BD04 BD08 3D052 AA02 AA03 AA12 BB02 BB03 BB05 BB08 BB09 BB10 BB11 DD03 DD04 EE01 FF02 GG04 HH03 JJ08 JJ14 JJ15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右一対の車軸へ走行駆動力を伝動する
    走行用油圧無段変速手段と、左右一対の車軸への前記走
    行駆動力の断続を行うサイドクラッチと、該サイドクラ
    ッチに設けられたギア間に亘って設けられた差動歯車装
    置と、該差動歯車装置の駆動によって旋回内側の車軸を
    正逆に無段変速させる旋回用油圧無段変速手段とを備え
    た走行装置において、 旋回用油圧無段変速手段の出力ギアの前記車軸への出力
    ギアに対する減速比を走行用油圧無段変速手段の出力ギ
    アの前記車軸への出力ギアに対する減速比に比べて大き
    くする構成としたことを特徴とする走行装置。
  2. 【請求項2】 左右一対の車軸へ走行駆動力を伝動する
    走行用油圧無段変速手段と、左右一対の車軸への前記走
    行駆動力の断続を行うサイドクラッチと、該サイドクラ
    ッチに設けられたギア間に亘って設けられた差動歯車装
    置と、該差動歯車装置の駆動によって旋回内側の車軸を
    正逆に無段変速させる旋回用油圧無段変速手段とを備え
    た走行装置において、 走行用油圧無段変速手段の出力ギアの回転数が所定値以
    上になると、旋回用油圧無段変速手段の出力ギアの回転
    数を所定値に固定する構成としたことを特徴とする走行
    装置。
  3. 【請求項3】 左右一対の車軸へ走行駆動力を伝動する
    走行用油圧無段変速手段と、左右一対の車軸への前記走
    行駆動力の断続を行うサイドクラッチと、該サイドクラ
    ッチに設けられたギア間に亘って設けられた差動歯車装
    置と、該差動歯車装置の駆動によって旋回内側の車軸を
    正逆に無段変速させる旋回用油圧無段変速手段とを備え
    た走行装置において、 走行用油圧無段変速手段の出力ギアの回転数がゼロから
    正の所定値以下の間にあるときには、旋回用油圧無段変
    速手段の出力ギアの回転数をゼロを超える所定値に固定
    する構成としたことを特徴とする走行装置。
  4. 【請求項4】 左右一対の車軸へ走行駆動力を伝動する
    走行用油圧無段変速手段と、左右一対の車軸への前記走
    行駆動力の断続を行うサイドクラッチと、該サイドクラ
    ッチに設けられたギア間に亘って設けられた差動歯車装
    置と、該差動歯車装置の駆動によって旋回内側の車軸を
    正逆に無段変速させる旋回用油圧無段変速手段とを備え
    た走行装置において、 走行用油圧無段変速手段の出力ギアの最大回転時に、旋
    回用油圧無段変速手段の出力ギアを最大回転させる場合
    には、該旋回用油圧無段変速手段の出力ギアの回転数
    は、走行用油圧無段変速手段の出力ギアの1/2の回転
    数となるように構成したことを特徴とする走行装置。
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