JP2002272357A - パン生地改良用組成物およびそれを用いる製パン法 - Google Patents

パン生地改良用組成物およびそれを用いる製パン法

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JP2002272357A
JP2002272357A JP2001080239A JP2001080239A JP2002272357A JP 2002272357 A JP2002272357 A JP 2002272357A JP 2001080239 A JP2001080239 A JP 2001080239A JP 2001080239 A JP2001080239 A JP 2001080239A JP 2002272357 A JP2002272357 A JP 2002272357A
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Hiroshi Kaneshige
寛 兼重
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乳化剤系改良剤やビタミンC、イーストフー
ドなど化学合成系の添加物を使用せずとも、生地に充分
な機械耐性があり、且つパンの老化を抑制し、ソフトで
しっとりとした、ボリュームのあるパンを提供するこ
と。 【解決手段】 少なくとも一種のリパーゼ、及び少なく
とも一種のグルコースオキシダーゼを含んでなるパン生
地改良用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生地改良用組成物に
関し、更に詳しくは無添加パンの製パンにあたって使用
され、乳化剤系改良剤やビタミンC、イーストフードを
使用せずとも、生地に充分な機械耐性があり、たとえ大
量生産の製造ラインを用いても満足するパン類が製造で
き、且つパンの老化を抑制し、ソフトでしっとりとし
た、ボリュームがあり、無添加でもシェルフライフの長
いパンを生産できる生地改良剤及び製パン法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】パンは、通常小麦粉に水、酵母、糖類、
食塩、油脂、乳製品その他の副原料を添加し、それらを
十分混捏して得られた生地を発酵、焼成過程を経て製造
される。この時、最も注意が必要なのが生地製造過程で
ある。生地はミキシングによって粘弾性を持ち、同時に
生地中に膨化のベースとなる気泡核を抱き込む。これに
より、発酵過程で酵母の産出する炭酸ガスが気泡核中に
蒸散して生地が膨らみ、パンの原型となる。
【0003】これら製パン工程では、得られたパンが経
時で硬くなるのを防止し、シェルフライフがある程度長
く保てるよう、更にはふっくらと良く膨らみ見栄えが良
くなるように乳化剤、生地改良剤、イーストフードとい
った類の改質剤が使用されるのが一般的である。また、
製パンメーカーにおいて、品質が一定したパンを大量生
産するための律速条件の1つは、生地物性が工程中で過
剰に変化せず、安定した状態で生産ラインを通過するこ
とであり、そのためにも上述の乳化剤、生地改良剤、イ
ーストフードといった類の改質剤が使用される。
【0004】このような改質剤には、酸化剤や還元剤、
乳化剤、酵素類、糖質等から選ばれる数種が用途に応じ
て配合されているが、通常はこれらの製剤を組み合わせ
て使用する。これらの改質剤を使用しないと発酵時間の
遅延や窯伸び不足、パン内相の悪化、老化促進、それに
伴う食感の悪化など問題点が多く、従来、これらの中で
大量生産の生地製造工程で生地やパンの品質を安定化さ
せるためにモノグリセリド、グリセリン有機酸脂肪酸エ
ステル、しょ糖脂肪酸エステル、CSL等の合成乳化剤
が添加された生地改良剤が一般的に使用されてきた。
【0005】一方、合成乳化剤が添加されたパンは独特
な風味があったり、食感がねちゃつくといった面で悪影
響が大きく、また、近年では健康指向から、化学合成添
加物をなるべく使用しないパンが市場で求められてい
る。
【0006】これらに対し、特開平10−276703
では予め植物油をリパーゼで分解し、モノ、ジグリセラ
イドを生成させ、大豆を主原料として調整したスラリー
に乳酸菌を接種培養して得られたヨーグルト状組成物と
混ぜて熟成させた物をパン製造に用いることで合成乳化
剤を使用せずとも製パンを可能にしている。また、特開
平10−248480ではデンプン分解酵素を含有する
油脂組成物が提題されている。しかし、これらはいずれ
も生地酸化機能を持たないため、別途ビタミンC等の酸
化剤が必要であり、機械耐性も低い。また、前者は予め
植物油を処理するなど煩雑な工程が存在し、生産に際
し、余分なコストがかかってくる。
【0007】特開平9−98710ではピラノースオキ
シダーゼやカタラーゼ等を使用する方法も提示されてい
るが、これは酸化剤であるビタミンCの代わりを補う物
であり、パンの老化を有効に抑制することが出来ない。
また、特開平6−169681では少なくとも一種のリ
パーゼ、少なくとも一種のヘミセルラーゼ及び少なくと
も一種のアミラーゼを含むことを特徴とするパン改質剤
組成物により、乳化剤を使用しないでもパンのクラムの
軟らかさに効果があると報告されているが、生地酸化機
能機能を持った配合物がなく、更に酵素剤が中心のた
め、効果的な量を添加すると、生地大量生産時に生地が
べたつき、機械耐性が劣ってしまう。また、食感のぱさ
つき感を抑制することは出来ない。特願平10−226
225では、小麦粉食品の品質改善方法として脂質への
糖の転移活性を利用したものが報告されているが、これ
だけでの老化抑制では実際的なパン製造の場面で効果は
少ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、乳化
剤系改良剤やビタミンC、イーストフードなど化学合成
系の添加物を使用せずとも、生地に充分な機械耐性があ
り、大量生産の製造ラインを用いても満足するパン類が
製造でき、且つパンの老化を抑制し、ソフトでしっとり
とした、ボリュームのあるパンを提供する事にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
状に鑑み、この課題を克服すべく鋭意研究した結果、少
なくとも一種のリパーゼ、及び少なくとも一種のグルコ
ースオキシダーゼを含んでなるパン生地改良用組成物を
パン生地作成時に適量添加することにより、乳化剤やイ
ーストフード、ビタミンCを使用する従来法と同等の製
パン特性を得られ、更に出来たパンはしっとりと食感も
ぱさつかず、老化が効果的に抑制されていることを発見
し本発明を完成した。
【0010】即ち、本発明の第一は、少なくとも一種の
リパーゼ、及び少なくとも一種のグルコースオキシダー
ゼを含んでなるパン生地改良用組成物に関する。好まし
い実施態様としては、β―ガラクトシダーゼ、アミラー
ゼ類、セルラーゼ類からなる群より選ばれた一種又は二
種以上の酵素を含有した上記記載のパン生地改良用組成
物に関する。別の好ましい実施態様としては、卵白、小
麦蛋白、大豆蛋白からなる群より選ばれた一種又は二種
以上の蛋白質、それらの分画物、加水分解物からなる群
より選ばれた1種以上を含有してなる上記記載のパン生
地改良用組成物に関する。
【0011】本発明の第2は、上記記載のパン生地改良
用組成物を使用することを特徴とする製パン法に関す
る。好ましい実施態様としては、上記記載のパン生地改
良用組成物を、中種に、またはストレート法のミキシン
グ時に、油脂の一部と併用で添加することを特徴とする
上記記載の製パン法に関する。
【0012】本発明の第3は、上記記載の製パン法を用
いて製造したパンに関する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明に於いてパン生地とは、小麦粉を主
原料とし、これに水等を加え更に油脂、糖類、卵、乳製
品、乳化物、イーストフード、各種酵素類、各種乳化剤
等の原料を必要に応じて添加し、パン酵母の添加の有無
に関わらず混捏工程を経て得られた生地を言い、饅頭生
地やドーナツ生地、パイ生地、ピザ生地、ホットケーキ
生地、スポンジケーキ生地、クレープ生地、餃子生地、
それらの冷凍生地等も包含する。更に上記原料の他に小
麦以外の穀物、例えばライ麦、オーツ麦、大麦、向日葵
種子等を混入したものを包含する。
【0015】本発明に於ける酵素類は、試薬レベルの純
度が高いものが本来好ましいが、実際の使用に当たって
はコストの面から市販の食品産業用酵素製剤を用いても
良い。その場合、精製度は試薬に比較すると格段に低い
が、例えば、α―アミラーゼ製剤と言っても、α−アミ
ラーゼ活性以外に他の酵素の副活性を何種か持っている
ものが一般的であり、これらを考慮した上で実際の使用
量を決定すれば、使用には何ら支障はない。
【0016】また、各酵素の由来に付いては特に限定は
なく、アスペルギルス(Aspergillus)属起
源の酵素を使用するのが一般的であり、まれにバチラス
(Bacillus)属由来やリゾプス(Rhizop
us)属由来、キャンディダ(Candida)属由
来、トリコデルマ(Trichoderma)属由来、
クリプトコッカス(Cryptococcus)属由来
等を用いることも有る。
【0017】本発明のパン生地改良用組成物は、少なく
とも1種のリパーゼ、及び少なくとも1種のグルコース
オキシダーゼを含んでなることを要件とする。
【0018】リパーゼは、トリグリセライドに作用しグ
リセリンと脂肪酸に加水分解する酵素であり、反応途中
ではモノ・ジグリセライドが生成され、パン生地の機械
耐性向上や老化抑制に寄与していると考えられている。
リパーゼしては、市販の何れのリパーゼ製剤も使用が可
能であり、例えば、「リパーゼMアマノ10」、「リパ
ーゼAアマノ6」、「リパーゼAY アマノ30」(以
上、天野製薬(株)製)、「リリパーゼA−10FG」
(ナガセ生化学工業(株)製)、「リポザイム」(ノボ
・ノルディスク・バイオインダストリー(株)製)等が
挙げられる。これらの酵素の添加量は好ましくは小麦粉
1kg当たり1000〜12000Uで、より好ましく
は3000〜6000Uである。酵素の添加量がこれよ
り少ないと生地の物性がほとんど変化しない場合があ
り、上記範囲を超えての添加は、プロテアーゼなどの各
種副活性で生地が弱くなる場合がある。リパーゼ単位の
定義として、37℃、pH6.0の条件でオリーブ油乳
化液を基質として30分間作用させた時、1分間に1μ
moleの脂肪酸を遊離する酵素量を10Uとする。
【0019】本発明におけるグルコースオキシダーゼ
は、グルコースを酸化してグルコン酸に変える酵素であ
る。市販のグルコースオキシダーゼ製剤は一般的に過酸
化水素を酸素と水に還元するカタラーゼの副活性を持つ
ものが多いが、使用に際し特に問題はない。これらの酵
素はパン生地中のグルテンに含まれる遊離メルカプト基
の酸化を促し、ジスルフィド結合を形成することで生地
組織を強化すると考えられている。グルコースオキシダ
ーゼとしては市販の何れのグルコースオキシダーゼ製剤
も使用が可能であり、例えば、「ハイデラーゼ」、「ハ
イデラーゼ15」(以上、天野製薬(株)製)、「グル
ザイム500MG」、「グルザイム10000BG」
(以上、ノボ・ノルディスク・バイオインダストリー
(株)製)等が挙げられる。これらの酵素の添加量は、
好ましくは小麦粉1kg当たり10〜300Uで、より
好ましくは50〜200Uである。添加酵素がこれより
少ないと得られるパン生地の粘弾性が不足し、生地がべ
たつきやすくなる場合がある。また、上記範囲を超えて
の添加は、生地が締まりすぎて機械耐性が弱くなる場合
がある。グルコースオキシダーゼの単位の定義として1
Uは、40℃、pH7.0の条件で1分間に1μmol
eのグルコースを酸化し、グルコン酸を生成する酵素量
を言う。
【0020】本発明のパン生地改良用組成物は、好まし
くは更にβ−ガラクトシダーゼ、アミラーゼ類、セルラ
ーゼ類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むこ
とが好ましい。
【0021】本発明におけるβ−ガラクトシダーゼは、
ラクトースをグルコースとガラクトースに分解するもの
を言うが、一般には、脂質と糖を結合させる転移活性を
持っているものもあり、これらも包含する。β−ガラク
トシダーゼとしては、市販の何れのβ−ガラクトシダー
ゼ製剤も使用が可能であり、例えば、「スミラクト」
(新日本化学(株)製)、「ビオラクタ」(大和化成
(株)製)等が挙げられる。これらの酵素の添加量は、
好ましくは小麦粉1kg当たり100000〜2000
000LUで、より好ましくは150000〜1500
000LUである。酵素量が、これより少ないと生地物
性が殆ど変化しない場合があり、上記範囲を超えての添
加は、各種副活性で生地が弱くなる場合がある。β−ガ
ラクトシダーゼ単位の定義として、40℃、pH6.0
の条件でラクトースを基質として作用させた時、1分間
に1μmoleのグルコースを遊離する酵素量を1LU
とする。
【0022】本発明におけるアミラーゼ類はデンプンを
分解する酵素を言い、α―アミラーゼ、β―アミラー
ゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ等を包含する
が、中でもα―アミラーゼ、グルコアミラーゼが好まし
い。アミラーゼとしては市販の何れのアミラーゼ製剤も
使用が可能であり、例えば、「アミラーゼADアマ
ノ」、「アミラーゼAHアマノ」、「グルクザイム」、
「ビオザイム」(以上、天野製薬(株)製)、「グルコ
チーム」(ナガセ生化学工業(株)製)、「ユニアー
ゼ」((株)ヤクルト本社製)、「ノバミル」、「BA
N」、「ファンガミル」、「AMG」(以上、ノボ・ノ
ルディスク・バイオインダストリー(株)製)、「スミ
チーム」(新日本化学工業(株)製)、「ダイザイム」
(大和化成(株)製)等が挙げられる。これらのアミラ
ーゼの添加量は、好ましくは小麦粉1kg当たり20〜
1000Uで、より好ましくは50〜500Uである。
添加量がこれより少ないと生地物性が殆ど変化しない場
合があり、上記範囲を超えての添加は、プロテアーゼな
どの各種副活性で生地の機械耐性が減少する場合があ
る。アミラーゼの活性単位は可溶性澱粉溶液を基質と
し、40℃、pH4.5で加水分解し、1分間に1μm
oleのブドウ糖に相当する還元糖を生じる酵素量を1
Uとする。
【0023】セルラーゼ類は穀物中の繊維質を分解する
酵素を言い、キシラナーゼ、ペントサナーゼ、ヘミセル
ラーゼ等も包含する。中でも、ヘミセルラーゼは小麦粉
中に含まれるアラビノキシランの一種であるペントザン
を分解する酵素であり、ヘミセルラーゼを用いることが
好ましい。セルラーゼ類としては、市販の何れのセルラ
ーゼ類製剤も使用が可能であり、例えば、「ヘミセルラ
ーゼ アマノ90」(天野製薬(株)製)、「セルレー
ス ナガセ」(ナガセ生化学工業(株)製)、「セルラ
ーゼY−NC」((株)ヤクルト本社製)、「ペントパ
ン500BG」、「ペントパン200MG」(以上、ノ
ボ・ノルディスク・バイオインダストリー(株)製)、
「スミチームC」、「スミチームX」(以上、新日本化
学工業(株)製)、「セルロシンHC100」(阪急バ
イオインダストリー(株)製)等が挙げられる。セルラ
ーゼ類の添加量は、好ましくは小麦粉1kg当たり50
0〜20000Uで、より好ましくは2000〜800
0Uである。添加量がこれより少ないと生地物性が殆ど
変化しない場合があり、上記範囲を超えての添加は、プ
ロテアーゼなどの各種副活性で生地の機械耐性が減少す
る場合がある。セルラーゼ、ヘミセルラーゼの活性単位
は、キシランを基質とし、40℃で加水分解し、1分間
に1mgキシロースに相当する還元糖を生じる酵素量を
100Uとする。
【0024】本発明においては蛋白質も併用することが
好ましい。使用することの出来る蛋白質の種類は、入手
のしやすさ、コスト面等から適宣選択できるが、卵白、
小麦蛋白、大豆蛋白からなる群より選ばれた一種又は二
種以上を原材料とする蛋白質、それらの分画物、加水分
解物の1種以上を用いることが好ましい。これらの蛋白
質の添加量は、小麦粉1kgあたり5g〜200gが好
ましく、より好ましくは10g〜100gである。
【0025】本発明に関する生地改良用組成物は、製パ
ン時、合成乳化剤やイーストフード類を添加せずとも一
定の品質のパン生地を安定的に供給する事を目的として
いる。その為に、添加方法としては、パン混捏の初期過
程で油脂と共にパン生地改良用組成物を加え、生地に作
用させることが好ましいが、パン生地改良用組成物を分
割添加することも可能である。これらにより、パンの老
化が遅くシェルフライフの長いパンを供給することが可
能となる。
【0026】生地改良剤の添加方法としては、中種法製
パンの中種に添加する方法、ストレート法、リミックス
法、ペストリー製法の生地混捏初期に添加する方法、ま
た、それらが冷凍冷蔵生地であってもかまわないが、中
種法の中種に油脂と共に添加する方法、或いは、ストレ
ート法において混捏初期に油脂と共に添加することで本
発明の効果をより発揮することが出来る。
【0027】パンの製法としてストレート法による製造
方法を例示する。パンの原料である小麦粉、イースト、
砂糖、添加水、他の副原料を生地改良用組成物を好まし
くは油脂と共にミキサーに入れ、適宜生地を混捏する。
生地がディベロップしたならば、1次発酵を適宜とり、
その後、分割、成形処理を行う。ホイロ等を使い2次発
酵をとった生地を焼成しパンを得る。
【0028】以上のようにして得られたパンは、ソフト
でしっとりとし、かつ、ボリュームがありシェルフライ
フの長いパンである。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて
説明するが、本発明はこれらにより何ら限定を受けるも
のではない。尚、実施例中の配合は特に断らない限り全
て重量部であり、対小麦粉重量あたりのベーカーズ%で
示す。製パン試験は表1及び2に示す食パン配合を用
い、中種法にてプルマン型で試験を行った。 (実施例1)表1の配合にて、中種法にて食パンを製造
した。小麦粉1kgあたり6000Uのリパーゼと15
0Uのグルコースオキシダーゼを小麦粉に混ぜた他は、
定法に従い食パンを製造した。
【0030】
【表1】 以下に製パン方法を示す。 (4時間中種法製パン工程、食パン配合) <中種> ミキシング : 低速3分、中速2分(こね上げ温度25℃) 中種発酵時間 : 4時間(28℃下) <本捏ね> ミキシング : 低速2分、中速2分、高速3分後、油脂を添加して更に低 速2分、中速2分、高速3分ミキシングする(こね上げ温度27℃) フロアタイム : 20分 分割 : 230g 成型 : モルダーにて成型、プルマン型に230g×6個 発酵 : 38℃、湿度85%のホイロ内で45分発酵 焼成 : 200℃、35分 尚、製パン試験には一般用イースト(商品名:レッドイ
ースト、鐘淵化学工業(株)製)を用いた。油脂は、綿
実油のショートニング(商品名:スノーライト、鐘淵化
学工業(株)製)を用いた。小麦粉は市販の強力粉(商
品名:カメリア、日清製粉(株)製)を用いた。
【0031】得られたパンについて、その製造工程を含
めて評価を行った。評価項目は、生地の作り易さ、機械
耐性、パンの硬さ、パンのしっとりさについて評価を行
った。生地の作り易さは、生地を混捏しているとき等の
ハンドリングの良さについて評価した。また、機械耐性
は、フロア後の生地を包餡機に通し、生地ダメージを与
えた後にパンの膨らみ具合で評価した。パンの硬さは2
0℃下で3日間保存したサンプルについて山電(株)製
のレオメーターにて測定した。パンのしっとり差につい
ては、パンの食感を、食べた時のパンのしっとりした感
じで評価した。 (実施例2) 実施例1において、生地改良用組成物を
小麦粉に混ぜて添加するのに変えて、ショートニング1
重量部に、実施例1と同じ生地改良用組成物を混ぜてミ
キサーに投入し、また小麦蛋白0.5%を添加した以外
は、実施例1と同様の方法で食パンを製造した。 (実施例3) 実施例2の生地改良用組成物に、更に小
麦粉1kgあたり150000LUのβ−ガラクトシダ
ーゼを用いた以外は、実施例2と同様の方法で食パンを
製造した。 (実施例4) 実施例3の生地改良用組成物において、
小麦粉1kgに対して150000LUのβ−ガラクト
シダーゼを小麦粉1kgに対して100Uのα―アミラ
ーゼに変えた以外は実施例3と同様の方法で食パンを製
造した。 (実施例5) 実施例3の生地改良用組成物において、
小麦粉1kgに対して150000LUのβ−ガラクト
シダーゼを小麦粉1kgに対して5000Uのヘミセル
ラーゼに変えた以外は実施例3と同様の方法で食パンを
製造した。 (実施例6) 実施例2の生地改良用組成物に、更に小
麦粉1kgあたり150000LUのβ−ガラクトシダ
ーゼ、100Uのα―アミラーゼ、5000Uのヘミセ
ルラーゼを用いた以外は、実施例2と同様の方法で食パ
ンを製造した。 (実施例7) 実施例2と同様に中種生地を作製し、本
捏生地作製時にショートニング5重量部に小麦粉1kg
あたり100Uのα―アミラーゼ、5000Uのヘミセ
ルラーゼを分散させたものを添加して、食パンを製造し
た。
【0032】
【表2】 (比較例1) 本発明の生地改良用組成物を用いなかっ
た以外は、実施例1と同じ配合、同じ製法にて食パンを
製造した。 (比較例2) 生地改良剤として、従来品である蒸留モ
ノグリセリド(商品名:エマルジーMMスーパー、理研
ビタミン(株)製)とイーストフード(商品名:イース
トフードC、鐘淵化学工業(株)製)を用いた以外は、
比較例1と同じ製法にて食パンを製造した。 (比較例3) ショートニング1重量部に、小麦粉1k
gあたり6000Uのリパーゼを分散させたものを用い
た以外は、実施例2と同様の方法で食パンを製造した。 (比較例4) 小麦粉1kgあたり150Uのグルコー
スオキシダーゼをそのまま添加した以外は、比較例1と
同様に食パンを製造した。 (比較例5) 比較例4において、添加酵素を小麦粉1
kgあたり150Uのグルコースオキシダーゼを150
000LUのβ−ガラクトシダーゼに変えた以外は比較
例4と同様に食パンを製造した。 (比較例6) 比較例4において、添加酵素を小麦粉1
kgあたり150Uのグルコースオキシダーゼを100
Uのα―アミラーゼに変えた以外は比較例4と同様に食
パンを製造した。 (比較例7) 比較例4において、添加酵素を小麦粉1
kgあたり150Uのグルコースオキシダーゼを500
0Uのヘミセルラーゼに変えた以外は比較例4と同様に
食パンを製造した。 (比較例8) 比較例1において、本捏生地作製時に、
ショートニング6重量部に小麦粉1kgあたり100U
のα―アミラーゼ、5000Uのヘミセルラーゼを分散
させたものを添加した以外は、比較例1と同様に食パン
を製造した。実施例1〜7、比較例1〜8の結果を以下
に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】 生地の作り易さ ○:ハンドリング良好 △:やや作りにくい ×:べたついて作りにくい 機械耐性 ◎:非常に良好 ○:良好 △:やや悪い ×:悪い パンの硬さ ◎:非常にソフト(1.8×105N/cm2未満) ○:ソフト (1.8×105以上2.2×105N/cm2未満) △:やや硬い (2.2×105以上2.6×105N/cm2未満) ×:硬い(2.6×105N/cm2以上) パンのしっとりさ ◎:非常にしっとりしている ○:しっとりしている △:ややぱさつく ×:ぱさつく 以上の通り、リパーゼとグルコースオキシダーゼを併用
し、ショートニングを若干量添加したものは、乳化剤や
イーストフードを使用したパンと同様の、機械耐性に優
れたパンが得られた。また、それらに、β―ガラクトシ
ダーゼ、アミラーゼ、ヘミセルラーゼをそれぞれ併用し
た物は、更にボリュームがあり、老化も抑制され結果と
して商品性の高いパンが得られた。一方、単独添加の場
合は、酸化機能を持った酵素がなく、生地がまとまりに
くい上、ややソフトさに欠けたり(比較例3)、生地は
作りやすいものの、パンのソフトさに欠け、商品性がな
い(比較例4)、生地がまとまりにくい上、ソフトさに
欠けたり(比較例5,6)、生地は伸展性があり、やや
ソフトだが、生地がまとまりにくい(比較例7,8)
等、それぞれ製造工程或いは得られたパンに不具合があ
り、バランスの悪い結果となった。
【0035】
【発明の効果】叙上の通り、本発明の生地改良用組成物
を用いれば、従来のパンに対し、乳化剤やイーストフー
ドを使用せずとも機械耐性に非常に優れ、安定的に大量
生産可能な生地を作ることができ、更に、ボリュームが
あり老化が抑制されることで、パサつくことなくしっと
りとした食感のパンが得られることが可能となった。こ
れにより通常のパンと変わらず、むしろ良好な食感の無
添加パン製造が容易に可能となり、かかる業界への貢献
は大である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一種のリパーゼ、及び少なく
    とも一種のグルコースオキシダーゼを含んでなるパン生
    地改良用組成物。
  2. 【請求項2】 β―ガラクトシダーゼ、アミラーゼ類、
    セルラーゼ類からなる群より選ばれた一種又は二種以上
    の酵素を含有した請求項1記載のパン生地改良用組成
    物。
  3. 【請求項3】卵白、小麦蛋白、大豆蛋白からなる群より
    選ばれた一種又は二種以上の蛋白質、それらの分画物、
    加水分解物からなる群より選ばれた1種以上を含有して
    なる請求項1又は2記載のパン生地改良用組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3何れか一項に記載のパン生地
    改良用組成物を使用することを特徴とする製パン法。
  5. 【請求項5】請求項1〜3の何れか一項に記載のパン生
    地改良用組成物を、中種に、またはストレート法のミキ
    シング時に、油脂の一部と併用で添加することを特徴と
    する請求項4記載の製パン法。
  6. 【請求項6】請求項4または5記載の製パン法を用いて
    製造したパン。
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