JP3669822B2 - 焼成品用生地改良剤及びそれを用いた焼成品の製造法 - Google Patents

焼成品用生地改良剤及びそれを用いた焼成品の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、焼成品用生地、特にパン生地の改良に関する。より詳細には有効量のオリゴサッカライドオキシダーゼを焼成品用生地に導入し、その生地の特性を改良する為の、例えばパン改良剤組成物の形態での酵素の使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
製パン改良剤としては、多くの酸化剤、還元剤、酵素、乳化剤等が利用されている。酸化剤としては古くは臭素酸カリウム、ヨウ素酸カリウム、過硫酸アンモニウムが生地改良剤として利用されていた。しかし、この物質の安全性についての問題が取り上げられてからは代替としてL−アスコルビン酸が使用されるようになっている。
【0003】
また、還元剤としてはシステイン等が利用されている。更に、酵素(グルコースオキシダーゼ、カタラーゼ、α−アミラーゼ、ヘミセルラーゼ等)、乳化剤(DATA−DATEM、CSL、SSL、レシチン等)等も製パン改良剤として組み合わされて利用されている。
【0004】
一方、消費者の化学添加物使用に対しての抵抗が増加し、従来より特に効果があるとされていた酸化剤に代わる酸化酵素の使用の検討が行われている。例えば、グルコースオキシダーゼとシスチンを利用する方法(特開昭57-58844)(特開昭55-132300)、グルコースオキシダーゼ、カタラーゼとシスチンを利用する方法(特公昭63-58534)などがある。
【0005】
そのほかにも酵素を使用する方法としては、セルラーゼとペルオキシダーゼを使用する方法(特公平4-57320)、ペントサナーゼを使用する方法(特公昭46-29180)、中間の温度安定α−アミラーゼを使用する方法(特開平3-155742)、酸安定の微生物α−アミラーゼと細菌α−アミラーゼを用いる方法(特開平4-229128)、トランスグルタミナーゼを使用する方法(特開平4-360641)など多くの方法が提案され利用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの酵素を利用した改良剤は即効性として働き、作業性やかま伸びなどの品質の点で満足出来るものではない。このような点で、天然系でより生地安定性がある酸化剤が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような問題点を解決するために、天然系の酸化酵素剤について鋭意検討し、従来使用されたことのない酸化酵素が製パン性を改善することを見い出し、この酵素を用いた焼成品用生地改良剤を完成した。
【0008】
本発明において焼成品用生地とは小麦粉を主原料とし、これに水等を加え更に油脂、糖類、乳製品、卵、イーストフード、各種酵素類、各種乳化剤等の原料を必要に応じて添加し、イーストの添加の有無に拘らず、混捏工程を経て得られた一般的生地、餅や饅頭生地やドーナッツ生地、パイ生地、ピザ生地、ホットケーキ生地、スポンジケーキ生地、クレープ生地、餃子生地等も包含し、これらを蒸したり、焼いたり或いは油揚げしたものを包含する。更に上記原料の他に小麦粉以外の穀物、例えばライ麦等を混入したものをも包含する。以下製パン生地とも記載する。
【0009】
本発明は少なくともオリゴサッカライドオキシダーゼを使用し、更に、L−アスコルビン酸、L−システインを併用したり、ヘミセルラーゼ、マルトトリオース生成酵素、スルフヒドリルオキシダーゼを同時に使用することを特徴とする焼成品の製造法に関する。
【0010】
本発明の焼成品用生地改良剤を使用することにより、生地の弾力性が向上すると共に生地表面が乾燥した状態になり、作業性が非常に良好になる。又、良好な製パン製も示す。
【0011】
本発明の製パン生地改良剤の必須成分であるオリゴサッカライドオキシダーゼとはオリゴ糖類と酸素とから該オリゴ糖類に対応する酸と過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素であり、例えばアクレモニウム属の生産する酵素が知られている。アクレモニウム属微生物としては、アクレモニウム・ストリクタム(Acremonium strictum)、アクレモニウム・フジディオイデス(Acremonium fusidioides)またはアクレモニウム・ポトロニイ(Acremonium potronii)を挙げることができる。より具体的にはアクレモニウム・ストリクタムATCC-34717、アクレモニウム・フジディオイデスIFO-6813、アクレモニウム・ポトロニイIFO-31197及びアクレモニウム・ストリクタムT1の生産するオリゴサッカライドオキシダーゼが利用できる。(特開平5-84074)
【0012】
これらの菌株を利用したオリゴサッカライドオキシダーゼの製造は固体培養によっても液体培養によってもできる。固体培養の場合は支持体を特に限定するものではなく、一般的に良く用いられているフスマを使用することができる。液体培養においては、炭素源、窒素源及び無機塩類についても一般に使用するもので十分で、特に限定されるものではない。精製法についても特に限定されるものではなく、例えば、限外濾過、塩析、ゲル濾過に加えてイオン交換クロマトグラフフィー、疎水性クロマトグラフフィー等を組み合わせて行うことができる。
【0013】
上記により得られるオリゴサッカライドオキシダーゼの酵素化学的性質の一例として以下に示す。
【0014】
分子量が5.8〜6.4万でFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)を本オリゴ糖酸化酵素1分子当たり1分子含み、等電点が4.2〜4.4、至適pHが10付近、至適温度が50℃付近にある。
【0015】
本発明において必要とされる各種酵素の量は使用される穀粉、工程によって変化するが、焼成試験によって容易に決定できる。例えば、オリゴサッカライドオキシダーゼの添加量としては、小麦粉1kgあたり20〜5000単位で、望ましくは100〜500単位が使用される。オリゴサッカライドオキシダーゼ添加量が20単位以下では使用効果が認められず、5000単位以上では生地のハンドリングが悪くなったり、かま伸びが悪くなる原因となる。
【0016】
本発明のオリゴサッカライドオキシダーゼの活性の単位は以下のようにしてもとめた。
【0017】
オリゴサッカライドオキシダーゼの活性測定法
100mMマルトース、0.3mM 4−アミノアンチピリン、2u/ml ペルオキシダーゼ、1mM N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-m-トルイジンを含む0.1Mりん酸緩衝液pH8.0、3.0 mlに、酵素溶液0.2mlを添加し、37℃で反応させる。550nmの吸光度が増加するので、その速度を測定することにより酵素活性を求める。1分間に1μモルのマルトースを上記条件下、酸化する酵素量を1単位とした。
【0018】
更に、本発明のオリゴサッカライドオキシダーゼと他の酵素剤を併用することによって、製パン性の改善効果はより一層発揮される。他の酵素剤としては例えば、ヘミセルラーゼ、マルトトリオース生成酵素、スルフヒドリルオキシダーゼ等が挙げられる。
【0019】
マルトトリオース生成酵素とは、澱粉に作用してマルトトリオースのみ或いはマルトトリオースを主として生成する能力を有する酵素であればいずれでも使用することができる。
【0020】
このマルトトリオース生成酵素としては、例えば、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)の生産するN-A468酵素〔特公昭57-6915、澱粉科学,23巻3号,175〜181頁(1979)〕及びバシルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)のアミラーゼG3(特公昭59-37957、特公昭60-15315)およびミクロバクテリウム(Microbacterium)属の生産する酵素(特開平3-251173)が知られている。又、マルトトリオース生成酵素としてAMT(商品名:天野製薬製)が市販されている。本発明にはこれらの何れでも使用することができる。
【0021】
ヘミセルラーゼとしては、例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)及びアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)由来が焼成品用酵素として知られている。より具体的にはヘミセルラーゼ”アマノ”90(商品名:天野製薬社製)が利用できる。
【0022】
スルフヒドリルオキシダーゼとしては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来が知られている。
【0023】
本発明においては、特にヘミセルラーゼとの併用が効果的である。ヘミセルラーゼはパンのボリューム、ソフトネス向上等製パン性への影響は非常に優れるが、生地はゆるみ過ぎ、粘着性を生じベタツク為作業性が悪くなる。しかし、オリゴサッカライドオキシダーゼと併用することにより、これらの欠点は、解消されると共にヘミセルラーゼ単独で用いるよりも製パン性も良好になる。
【0024】
ヘミセルラーゼは小麦粉1Kgに対して0〜50000単位が使用され、マルトトリオース生成酵素は0〜1000単位、スルフヒドリルオキシダーゼは0〜1000単位が使用される。
【0025】
その他、本発明の製パン改良剤にはL−アスコルビン酸等も添加することもできる。L−アスコルビン酸の添加量としては小麦粉に対して、5〜100ppmで、10〜50ppmが適当である。
【0026】
ヘミセルラーゼ、マルトトリオース生成酵素及びスルフヒドリルオキシダーゼの活性の単位は以下のようにして求めた。
【0027】
ヘミセルラーゼの活性測定法
基質(キシラン10mg/ml)1mlに0.1N酢酸緩衝液(pH4.5)3mlを加え、攪拌後、40℃、10分間予熱する。その後、酵素液1mlを加え40℃で30分間反応する。反応後、ソモギー溶液2mlを加えて振り混ぜ、沸騰水中で20分間加熱する。冷後、ヒ素モリブデン酸アンモニウム溶液1mlを加えて振り混ぜ、水で全量を25mlとし、遠心分離(3000rpm、10分間)した後、波長500nmの吸光度を測定する。上記条件下において、1分間に1mgのキシロースに相当する還元糖を生成するに要する酵素量を100単位とする。
【0028】
マルトトリオース生成酵素の活性測定法
0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.0)に溶解した2%可溶性澱粉0.5mlに、適量の酵素を加え、全量1.0mlで、40℃で反応させ、生成するマルトトリオース及びその他の還元糖をソモギー・ネルソン法で定量する。この条件で、1分間に1マイクロモルのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量を1単位とする。
【0029】
スルフヒドリルオキシダーゼの活性測定法
0.5mg/mlグルタチオンを含む0.1Mりん酸緩衝液pH7.0 2mlに酵素溶液を0.1ml添加し、30℃で反応させる。1分間に1μモルのグルタチオンを酸化する酵素量を1単位とする。
【0030】
本発明で使用される、オリゴサッカライドオキシダーゼ、ヘミセルラーゼ、マルトトリオース生成酵素、スルフヒドリルオキシダーゼなどは精製されたものの他、粗精製酵素も使用することができる。更に、これらの酵素は微生物の醗酵により得ることもできるが、その培養液を酵素に代えて使用することも可能である。必要に応じてこれらの培養液は濃縮、乾燥して使用することもできる。
【0031】
本発明の酵素組成物は上述した酵素以外においても焼成品生地用成分として知られている各種成分を適宜配合することもできる。例えば、砂糖、塩、レシチン、グルテン、大豆粉、モルト、β−グルコシダーゼ、β−グルカナーゼ、β−キシロシダーゼ、アミログルコシダーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ等を含む改良剤組成物として使用することもできる。
【0032】
このようにして調製された製パン用酵素改良剤は従来より用いられている改良剤と同様にして使用することができ、例えば、生地混捏時に添加され、十分に混捏される。
【0033】
製パン法としては、ストレート法、ノータイム法、オーバーナイト法、中種法、冷凍生地法など何れの方法にも適用することができる。
【0034】
本発明により、パンのボリューム及びソフトネスの向上、生地のハンドリングの改善、生地の弾力性、伸展性が改善され、外観や食感に優れたパンを製造することができる。
【0035】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではなく、当業者の任意な変更も本発明に含まれる。
【0036】
【実施例】
実施例1 アクレモニウム・ストリクタムATCC-34717由来のオリゴサッカライ ドオキシダーゼの調製
培養はフスマ固体培地(培養温度26〜30℃、水分50%)で行った。4〜5日間の培養後、水で酵素を抽出し精製した。
【0037】
精製方法は、UF(MW=6000)で脱塩濃縮後、0.5N酢酸でpH7.0に調製した。その後3%活性炭を添加し、夾雑する糖、蛋白を除去した。そのろ液をあらかじめ30mMりん酸緩衝液pH8.0で平衡化されたDEAEトヨパールに吸着後、溶離させた。その活性画分をUF(MW=6000)で脱塩濃縮後、あらかじめ30mMりん酸緩衝液pH8.0で平衡化されたアミノヘキシルセファロースに吸着させた後溶離した。更に、UFで脱塩後10mMりん酸緩衝液pH8.0で平衡化されたハイドロキシアパタイトに吸着させ、溶離した。活性画分を脱塩し製パン実験に供した。尚、このサンプル中には製パン性に影響するヘミセルラーゼは、含まれていなかった。
【0038】
実施例2 オリゴサッカライドオキシダーゼの製パン性への影響(1)
【0039】
以下に示す配合処方でノータイム法によりワンローフ食パンを製造した。尚、オリゴサッカライドオキシダーゼは実施例1に示した精製法で精製したキシラナーゼの混在がないものを使用した。
【0040】
配 合
小麦粉 100% 2000g
砂 糖 5% 100g
食 塩 2% 40g
ショートニング 4% 80g
イースト 3% 60g
アスコルビン酸 20ppm 40mg
水 69% 1380ml
【0041】
上記配合を基本とし酵素を以下に示すように添加した。
【0042】
処方1:オリゴサッカライドオキシダーゼ 無添加
処方2:オリゴサッカライドオキシダーゼ 225単位添加
処方3:オリゴサッカライドオキシダーゼ 450単位添加
処方4:オリゴサッカライドオキシダーゼ 900単位添加
処方5:上記配合例のアスコルビン酸に変わり臭素酸カリウムを20mg添加
【0043】
工 程
(1)ミキシング
低速4分 → 高速4分 → ショートニング添加 → 低速1分→ 中速4分 → 高速4分
(2)捏上温度 27〜29℃
(3)フロアタイム 30分
(4)分割 生地重量 450 g
(5)ベンチタイム 20分
(6)ホイロ 38℃、ケース型上 3.5cm
(7)焼成 230℃、25分
上記の条件でワンローフ食パンを製造し、パン生地及びパンについて評価した。
【0044】
パン体積については、菜種置換法で測定した。又、パンのソフトネスについては、レオメーターで押し込み強度を測定することにより求めた。条件は以下のとおりである。
【0045】
▲1▼ 試料:厚さ2cm
▲2▼ プランジャー:φ25 mm 円型平板プランジャー
▲3▼ 押し込み強度:2cm/min
▲4▼ 押し込み:1.5 cm押し込みそのときの応力を測定
▲5▼ パンの保存:20℃
【0046】
その他の項目については、製パン歴6年の熟練者が判断した。
【0047】
更に、パン生地を成形後、ブラストフリーザーで凍結し、-20℃で3ヶ月保存した後、解凍して、38℃で最終プルーフを行い焼成したパンについても評価した。
【0048】
(1)生地の評価
▲1▼ 生地表面(乾燥の度合い)
処方4 ≧ 処方3 = 処方5 > 処方2 > 処方1
▲2▼ 生地作成の際の作業性
処方4 ≧ 処方3 = 処方5 > 処方2 > 処方1
【0049】
(2)パンの評価
▲1▼ ボリューム
【0050】
【表1】
Figure 0003669822
【0051】
▲2▼ ソフトネス
【0052】
【表2】
Figure 0003669822
【0053】
▲3▼ 風味
【0054】
【表3】
Figure 0003669822
【0055】
▲4▼ 食感
【0056】
【表4】
Figure 0003669822
【0057】
以上の結果を基に、オリゴサッカライドオキシダーゼを添加した場合の特徴をまとめると、以下の様であった。
【0058】
1.生地の表面が、無添加のものと比較して乾燥した状態であり、又、生 地に適度な弾力性と進展性が生じ作業性が良好であった。又、臭素酸 カリウムを添加した場合よりも良好な結果を示した。
【0059】
2.パンのボリューム及びソフトネスが無添加のものと比較し向上した。
【0060】
又、風味、食感も良好であった。本酵素の添加によりパンのボリュー ム及びソフトネスは、臭素酸カリウムを添加した場合と比較し向上し た。
【0061】
小麦粉にオリゴサッカライドオキシダーゼが添加されることのよってその酸化作用により生地中のグルテンネットワークの形成が促進され、上記のような効果が認められると考えられる。
【0062】
実施例3 オリゴサッカライドオキシダーゼの製パン性への影響(2)
70%中種法で実施例2と同様にテストした結果、製パン性への影響は実施例1と同様であった。製パン方法による違いは見られなかった。
【0063】
実施例4 オリゴサッカライドオキシダーゼ、ヘミセルラーゼの製パン性への 影響(1)
以下に示す配合、処方でストレート法によりワンローフ食パンを製造した。尚、オリゴサッカライドオキシダーゼは実施例1で調製したものを使用し、ヘミセルラーゼは、ヘミセルラーゼ“アマノ”90(商品名:天野製薬製)90000u/gを使用した。
【0064】
配 合
小麦粉 100% 2000g
砂 糖 5% 100g
食 塩 2% 40g
ショートニング 4% 80g
イースト 2% 40g
アスコルビン酸 20ppm 40mg
水 69% 1380ml
【0065】
上記配合を基本とし酵素を以下に示すように添加した。
【0066】
処方1:酵素無添加
処方2:オリゴサッカライドオキシダーゼ 450単位添加
処方3:ヘミセルラーゼ“アマノ”90 9000単位添加
処方4:オリゴサッカライドオキシダーゼ 450単位及びヘミセルラーゼ“
アマノ”90 9000単位添加
【0067】
工 程
(1)ミキシング
低速4分 → 高速4分 → ショートニング添加 → 低速1分→ 中速4分 → 高速2分
(2)捏上温度 27〜29℃
(3)発酵 2時間(途中1回パンチ)
(4)分割 生地重量 450 g
(5)ベンチタイム 20分
(6)ホイロ 38℃ 、ケース型上3.5 cm
(7)焼成 230℃、25分
【0068】
上記の条件でワンローフ食パンを製造し、パン生地及びパンについて評価した。評価方法は実施例1と同様である。
【0069】
(1)生地の評価
▲1▼ 生地表面(乾燥の度合い)
処方2 > 処方4 > 処方1 > 処方3
▲2▼ 生地作成の際の作業性
処方2 > 処方4 > 処方1 > 処方3
【0070】
(2)パンの評価
▲1▼ ボリューム
【0071】
【表5】
Figure 0003669822
【0072】
▲2▼ ソフトネス
【0073】
【表6】
Figure 0003669822
【0074】
▲3▼ 風味
【表7】
Figure 0003669822
【0075】
▲4▼ 食感
【0076】
【表8】
Figure 0003669822
【0077】
以上の結果を基に、オリゴサッカライドオキシダーゼを添加した場合の特徴をまとめると、以下の様であった。
【0078】
1.実施例2、3と同様、生地の表面は、無添加のものと比較して乾燥し た状態であった。ヘミセルラーゼを添加した場合、生地のベタツキが 激しくなり、作業性が悪くなったが、オリゴサッカライドオキシダー ゼを併用することによりベタツキは減少し適度な弾力性が生じた為、 良好に作業することが出来た。
【0079】
2.パンのボリューム及びソフトネスが、無添加のものと比較し向上する と共に、風味・食感も良好になった。特にヘミセルラーゼとオリゴサ ッカライドオキシダーゼを併用する事によりパンのボリューム及びソ フトネスは向上した。
【0080】
実施例5 オリゴサッカライドオキシダーゼ、ヘミセルラーゼの製パン性への 影響(2)
70%中種法で実施例4と同様にテストした結果、製パン性への影響は実施例4と同様であった。製パン方法による違いは見られなかった。
【0081】
実施例6 オリゴサッカライドオキシダーゼ、マルトトリオース生成酵素、ヘ ミセルラーゼ及びスルフヒドリルオキシダーゼの製パン性への影響
以下に示す配合・処方でストレート法によりワンローフ食パンを製造した。
【0082】
配 合
小麦粉 100% 2000g
砂 糖 5% 100g
食 塩 2% 40g
ショートニング 4% 80g
イースト 2% 40g
アスコルビン酸 20ppm 40mg
水 69% 1380mL
【0083】
上記配合を基本とし酵素を以下に示すように添加した。尚、オリゴサッカライドオキシダーゼは実施例1で得られたもの、又、マルトトリオース生成酵素はAMT(商品名:天野製薬製)600u/mlを又、スルフヒドリルオキシダーゼはAspergillus niger起源のものを使用した。
【0084】
処方1:酵素無添加
処方2:オリゴサッカライドオキシダーゼ 450単位添加
処方3:オリゴサッカライドオキシダーゼ 450単位及びAMT 120単位
処方4:オリゴサッカライドオキシダーゼ 450単位、AMT 120単位及 びヘミセルラーゼ“アマノ”90 9000単位
処方5:オリゴサッカライドオキシダーゼ 450単位、スルフヒドリルオキシダーゼ 500単位及びヘミセルラーゼ“アマノ”90 9000単位
処方6:オリゴサッカライドオキシダーゼ 450単位及びスルフヒドリルオキシダーゼ 500単位
【0085】
(1)生地の評価
▲1▼ 生地表面(乾燥の度合い)
処方6 ≧ 処方3 > 処方2 = 処方5 > 処方4 > 処方1
▲2▼ 生地作成の際の作業性
処方6 ≧ 処方3 > 処方2 = 処方5 > 処方4 > 処方1
【0086】
(2)パンの評価
▲1▼ ボリューム
【0087】
【表9】
Figure 0003669822
【0088】
▲2▼ ソフトネス
処方4 = 処方5 > 処方3 > 処方6 ≧ 処方2 > 処方1
▲3▼ 風味
【0089】
【表10】
Figure 0003669822
【0090】
▲4▼ 食感
【0091】
【表11】
Figure 0003669822
【0092】
以上の結果を基に、オリゴサッカライドオキシダーゼを添加した場合の特徴をまとめると、以下の様であった。
【0093】
1.生地の表面は無添加のものと比較し乾燥した状態であった。マルトト リオース生成酵素あるいはスルフヒドリルオキシダーゼと併用した場 合、生地の表面はさらに乾燥し適度な弾力性が生じ、より良好に作業 が出来た。
【0094】
2.パンのボリューム及びソフトネスが無添加のものと比較し向上すると 共に、風味・食感も良好となった。特に、マルトトリオース生成酵素 又は、ヘミセルラーゼとマルトトリオース生成酵素、又は、ヘミセル ラーゼとスルフヒドリルオキシダーゼを併用する事により、パンのボ リューム、及びソフトネスは向上した。
【0095】
【発明の効果】
本発明に係わるオリゴサッカライドオキシダーゼは、天然の素材であり、安全性に優れたものである。本技術は、各種製パン法に適用することができ、従来の技術では得られなかったパン品質が得られると共に、作業性にも優れ、臭素酸カリウムなどを用いた従来からの製パン改良剤の代替え品として利用可能である。

Claims (6)

  1. 小麦粉1Kgあたり20〜5000単位のアクレモニウム属由来のオリゴサッカライドオキシダーゼを生地中に導入することを特徴とする焼成品用生地の製造法。
  2. 小麦粉1Kgあたり、20〜5000単位のアクレモニウム属由来のオリゴサッカライドオキシダーゼと0〜50000単位のヘミセルラーゼ及び/又は0〜1000単位のマルトトリオース生成酵素を生地中に導入することを特徴とする焼成品用生地の製造法。
  3. 小麦粉1Kgに対して20〜5000単位のアクレモニウム属由来のオリゴサッカライドオキシダーゼ、0〜50000単位のヘミセルラーゼ及び/又は0〜1000単位のスルフヒドリルオキシダーゼを生地中に導入することを特徴とする焼成品用生地の製造法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項の方法により生地を製造し、該生地を焼成する、焼成品の製造法。
  5. アクレモニウム属由来のオリゴサッカライドオキシダーゼを含む請求項1記載の方法で使用する酵素組成物。
  6. ヘミセルラーゼ、マルトトリオース生成酵素及びスルフヒドリルオキシダーゼから選ばれた少なくとも1種とアクレモニウム属由来のオリゴサッカライドオキシダーゼとを含む請求項1記載の方法で使用する酵素組成物。
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