JP2002255540A - 微粒子ゼオライト - Google Patents

微粒子ゼオライト

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JP2002255540A JP2001389257A JP2001389257A JP2002255540A JP 2002255540 A JP2002255540 A JP 2002255540A JP 2001389257 A JP2001389257 A JP 2001389257A JP 2001389257 A JP2001389257 A JP 2001389257A JP 2002255540 A JP2002255540 A JP 2002255540A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特定の平均一次粒子径を有する、カチオン交換
能に優れ、水性液において水中に溶出されるAl量が少
なく、しかも該水性液の水の濁りが少ない微粒子A型ゼ
オライト、該微粒子A型ゼオライトの製造方法、ならび
に該微粒子A型ゼオライトを含む、洗浄性およびすすぎ
性に非常に優れた洗浄剤組成物を提供すること。 【解決手段】平均一次粒子径が0.1μm以下(変動係
数90%以下)であり、かつ粉末X線回折スペクトルの
2θ=20〜40°の範囲における全ピーク面積に対す
るバックグラウンドより上のピーク面積の割合が30%
以上である微粒子A型ゼオライト、シリカ源とアルミ源
とを反応させてゼオライトを製造するに際し、酸素原子
を含む官能基を持つ分子量100以上の有機化合物の存
在下に反応を行う前記微粒子A型ゼオライトの製造方
法、ならびに界面活性剤および前記微粒子A型ゼオライ
トを含有してなる洗浄剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粒子ゼオライ
ト、その製造方法ならびに該微粒子ゼオライトを含む洗
浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゼオライトは結晶性アルミノ珪酸塩であ
り、SiO 4 四面体とAlO 4 四面体の配列によりA、X、
Y型など種々の結晶構造に分類できる。ゼオライトは結
晶構造に依存して均一な細孔径を有し分子篩の機能を発
現することから、吸着剤や触媒(担体)などに使われて
いる。また、ゼオライトはカチオン交換能を有すること
から、洗剤用ビルダーや廃水処理剤などに利用されてい
る。
【0003】これらのゼオライトの機能は、ゼオライト
の結晶構造や組成に大きく支配される。例えば、カチオ
ン交換容量は、ゼオライトのSi/Al モル比が小さいほど
大きく、理論的にはSi/Al=1 であるA型ゼオライトが最
も優れていると言える。従って、洗剤用ビルダーとして
は高いカチオン交換理論容量を持つA型ゼオライトが主
に使用されている。
【0004】さらに洗剤用ビルダーとしては、特にカル
シウムイオン交換容量のみでなくカルシウムイオン交換
速度の優れたゼオライトが要求される。これは、特に洗
浄初期の水中のカルシウムイオンを大量に捕捉できれば
洗浄性能が向上することによる。ゼオライトのカルシウ
ムイオン交換速度はゼオライトのカルシウム交換サイト
と水中のカルシウムイオンとの衝突確率により決定され
ることから、ゼオライトの一次粒子径が小さいほど高く
なる。
【0005】このような観点からこれまで一次粒子径の
微細なA型ゼオライトを製造する試みが行なわれてき
た。例えば、特開昭54-81200号公報には、反応混合液中
にギ酸、酢酸などの有機酸を共在させて反応を行なうこ
とにより微粒子A型ゼオライトが生成することが開示さ
れている。しかし、この製造方法ではせいぜい0.5μ
mの一次粒子径が限界である。他方、特開平1-153514号
公報には、40℃以下の温度でゼオライト核を生成させ
ることにより最大粒子径が0.4μm以下の微粒子A型
ゼオライトを製造する方法が開示されている。しかし、
この製造方法においても生成するA型ゼオライトの一次
粒子径は0.2μmが限界である。
【0006】一方、ゼオライトビルダーの最大の欠点と
して、ゼオライトの水不溶性に起因する洗濯水の濁りが
ある。これに対し、可視光の波長(0.4μm)以下ま
でゼオライトの凝集粒径を小さくすることによりゼオラ
イトの濁りを低減する試みが行なわれてきた〔奥村、粘
土科学, 27, 21 (1987) 〕。すなわち、凝集粒径の微小
化に伴い洗濯水の濁りは低減され、凝集粒径が0.4μ
m以下となると洗濯水(ゼオライト濃度:0.013重
量%)はほぼ透明となる。しかし、このようにサブミク
ロンサイズまで凝集粒径を微小化したA型ゼオライト
は、粉末状態にすると再凝集して大きな凝集体を形成し
てしまうことや、ろ過や濃縮により固液分離することが
非常に困難であることなどから、実際はスラリー状態で
洗剤原料に配合される。この時、スラリー中にAlイオ
ン(ゼオライト原料の未反応物もしくはゼオライト溶出
物)が存在すると洗浄性能を低下させる要因となること
から、スラリー中のAlイオン濃度を低く抑えなければ
ならない。
【0007】一般にA型ゼオライトの凝集粒径の微小化
は、強攪拌や粉砕などの手法により行なわれる。例え
ば、特開平9-67117 号公報に開示されているように、機
械的粉砕により凝集粒径および一次粒子径はサブミクロ
ンサイズまで微小化される。しかし、一次粒子径の大き
いA型ゼオライトを粉砕処理すると、A型ゼオライトの
一次結晶の崩壊に伴う結晶性劣化や一次粒子径分布の悪
化により、カチオン交換能(カチオン交換容量およびカ
チオン交換速度)が低下してしまう。また、ゼオライト
粒子表面でのメカノケミカル反応により、粉砕処理後の
ゼオライトの水性液においてはゼオライト構成元素(A
l、Si、Na)のイオンが水中に溶出(特にAl)し
易くなるので、かかるゼオライトを洗浄剤組成物に用い
た場合、該組成物の洗浄性能が低下するといった問題も
生じる。
【0008】このような凝集粒径の微小化工程に伴う問
題の発生を抑制するためには、かかる微小化工程による
ゼオライト一次結晶の崩壊を回避しなければならない。
そのためには、粉砕前のA型ゼオライトの一次粒子径が
粉砕後の凝集粒径と同等以下であることが望まれる。具
体的には、通常、平均凝集粒径が0.4μm以下になる
まで微小化した場合、平均一次粒子径は0.1μm以下
を示すという事実より、前記問題の発生を抑えると共
に、かつ洗濯水(ゼオライト濃度:0.013重量%)
がほぼ透明となる平均凝集粒径(0.4μm以下)を示
すまでA型ゼオライトを粉砕して微小化するには、粉砕
前のA型ゼオライトの平均一次粒子径は0.1μm以下
であることが望ましいと考えられる。また、かかる平均
一次粒子径を有するゼオライトであれば、粉砕処理を経
ずとも所望の平均凝集粒径を示し得るものとも考えられ
る。しかしながら、前記するように、これまで、ゼオラ
イトの合成反応後に粉砕処理等を行わずに平均一次粒子
径が0.1μm以下の微粒子A型ゼオライトが合成され
た例はない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、平均一次粒
子径が0.1μm以下(変動係数90%以下)である、
カチオン交換能に優れ、水性液において水中に溶出され
るAl量が少なく、しかも該水性液の水の濁りが少ない
微粒子A型ゼオライト、該微粒子A型ゼオライトの製造
方法、ならびに該微粒子A型ゼオライト(以下、微粒子
ゼオライトという)を含む、洗浄性およびすすぎ性に非
常に優れた洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、(1)
平均一次粒子径が0.1μm以下(変動係数90%以
下)であり、かつ粉末X線回折スペクトルの2θ=20
〜40°の範囲における全ピーク面積に対するバックグ
ラウンドより上のピーク面積の割合が30%以上である
微粒子ゼオライト、(2) シリカ源とアルミ源とを反
応させてゼオライトを製造するに際し、酸素原子を含む
官能基を持つ分子量100以上の有機化合物の存在下に
反応を行う前記(1)記載の微粒子ゼオライトの製造方
法、ならびに(3) 界面活性剤および前記(1)記載
の微粒子ゼオライトを含有してなる洗浄剤組成物、に関
する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の微粒子ゼオライトは、シ
リカ源とアルミ源とを反応させてゼオライトを製造する
に際し酸素原子を含む官能基を持つ分子量100以上の
有機化合物の存在下に反応を行うことにより得ることが
できる。そのようにしてゼオライトの合成反応を行うこ
とで、ゼオライトの結晶成長を抑制して、平均一次粒子
径が0.1μm以下の微粒子A型ゼオライトを生成させ
ることができ、また、そのようにして得られた微粒子ゼ
オライトでは、洗濯水(ゼオライト濃度:0.013重
量%)が実質的に透明となる平均凝集粒径(0.4μm
以下)となるまで、さらに所望により機械的粉砕等によ
り微小化したとしても、結晶性劣化、平均一次粒子径分
布の悪化およびAl(Alイオン)の溶出は抑制され得
る。
【0012】すなわち、本発明の微粒子ゼオライトは平
均一次粒子径が0.1μm以下(変動係数90%以下)
であるA型ゼオライトであり、該ゼオライトは、カチオ
ン交換能に優れ、該ゼオライトの水性液においては該ゼ
オライトからのAlイオンの水中への溶出は実質的にな
く、しかも該水性液の水の濁りは少ない。
【0013】なお、本明細書において「水性液」とは、
水溶液、懸濁液、分散液等の、水を媒体として、ある成
分を含んだ液体をいう。
【0014】本発明の微粒子ゼオライトの平均一次粒子
径は0.1μm以下であり、好ましくは0.08μm以
下、より好ましくは0.05μm以下である。前記する
ように、洗濯水の濁りを改善する観点から粉砕による平
均凝集粒径の微小化を行った場合、ゼオライトの結晶性
劣化等の種々の問題が発生する。かかる問題発生の度合
いは、粉砕前のゼオライトの平均一次粒子径に依存して
おり、平均一次粒子径が大きいものほど深刻となる。一
般に平均一次粒子径が0.1μmより大きなA型ゼオラ
イトでは、粉砕によりその一次結晶自体が崩壊し、前記
のように構成元素のイオンが大量に溶出するとともに結
晶性の劣化が激しくなる。本発明の微粒子ゼオライトは
平均一次粒子径が前記範囲内にあることから粉砕に伴う
かかる問題の発生は実質的に完全に抑制されることにな
る。当該平均一次粒子径は後述する実施例に記載の方法
により求めることができる。
【0015】前記範囲の平均一次粒子径を有するゼオラ
イトの粒径分布は変動係数により評価することができ
る。かかる変動係数は後述する実施例に記載の方法によ
り求めることができる。本発明の微粒子ゼオライトの粒
径分布の均一性は高く、前記平均一次粒子径の変動係数
は90%以下、好ましくは70%以下、より好ましくは
50%以下、更に好ましくは35%以下を満たす。すな
わち、本発明の微粒子ゼオライトは、0.1μm以下の
所望の平均一次粒子径を有する粒径分布の均一なゼオラ
イトからなり、このことは、優れたカチオン交換能の発
現に寄与する。1μm以上の大きな平均一次粒子径を持
つA型ゼオライトでは粉砕に伴う一次結晶の崩壊の状態
を走査型電子顕微鏡により捉えることができるが、かか
る粉砕により平均一次粒子径の変動係数は一般に大きく
なる。一方、本発明の微粒子ゼオライトは粉砕に伴う一
次結晶の崩壊が実質的に完全に抑制され、粉砕において
は単に一次粒子の凝集体が解凝集するだけである。従っ
て、粉砕による変動係数の変動は実質的に生じない。
【0016】本発明の微粒子ゼオライトはA型ゼオライ
トであり、公知のA型ゼオライト(Joint Committee on
Powder Diffraction Standards No.38-241 )と実質的
に同一の粉末X線回折パターンを示し得る。なお、実質
的に同一であればよく、その他結晶性物質のピークや非
晶質物質に帰属されるハローピークが含まれていてもか
まわない。また、1μm以上の平均一次粒子径を持つ市
販のA型ゼオライト(例えば、トヨビルダー、東ソー
製)の(410)面に帰属されるd=0.3nmの粉末
X線回折ピーク強度(I410 )に対する、本発明の微粒
子ゼオライトのI 410 の比(粉末X線回折強度比)は、
カチオン交換能の向上の観点から、好ましくは10%以
上、より好ましくは20%以上である。
【0017】また、本発明の微粒子ゼオライトの結晶性
は、粉末X線回折スペクトルの2θ=20〜40°の範
囲における全ピーク面積に対するバックグラウンドより
上のピーク面積の割合(Ar)により評価することがで
きる。Ar の算出は、具体的には後述の実施例において
示す方法により行うことができる。本発明の微粒子ゼオ
ライトは、Ar が30%以上、好ましくは33%以上で
ある。かかる範囲内であれば、一次結晶構造中に非晶質
部分の割合が少なく、優れたカチオン交換能を発揮し
得、また、Alイオンの溶出による洗浄性能の低下が抑
制され得る。
【0018】一方、Ar はゼオライトの結晶性を示すこ
とから、粉砕前後のAr を求め、それを用いて粉砕に伴
う結晶性劣化の度合いを結晶性劣化率として表し評価す
ることができる。かかる結晶性劣化率は、後述する実施
例に記載の方法により求めることができる。本発明の微
粒子ゼオライトにおいては、一次結晶性の維持、延いて
はカチオン交換能の低下およびAlイオンの溶出の抑制
の観点から、結晶性劣化率は、好ましくは50%以下、
より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以
下である。
【0019】本発明の微粒子ゼオライトの平均凝集粒径
は、好ましくは0.4μm以下、より好ましくは0.3
μm以下である。当該平均凝集粒径は後述の実施例に記
載の方法により求めることができる。本発明の微粒子ゼ
オライトによる濁りの程度は後述の実施例において記載
する方法により濁度として求め得るが、平均凝集粒径が
前記範囲内にあれば、かかる濁度は好ましくは30%以
下、より好ましくは20%以下となり得る。平均凝集粒
径および濁度が前記範囲内にあれば、該ゼオライトを、
たとえば、衣料用粉末洗剤や衣料用液体洗剤等の洗浄剤
組成物に配合して用いた場合、洗濯水や初期すすぎ水の
濁りが格段に改善され、実質的に透明となり、ゼオライ
トが繊維表面に残留して粉落ちするなどの問題も生じな
いので好ましい。
【0020】後述する本発明の微粒子ゼオライトの製造
方法により得られる一次産物としての微粒子ゼオライト
の平均凝集粒径が0.4μm以下とならない場合には、
所望により後述するようにしてさらに粉砕を行ってもよ
い。前記するように、本発明の微粒子ゼオライトは平均
一次粒子径が0.1μm以下であるので、平均凝集粒径
を0.4μm以下にするべく適宜粉砕を行ったとしても
一次結晶性の低下は少なく、従って、カチオン交換能の
低下や大量のAlの溶出の問題は実質的に発生しない。
本発明においては、本発明の微粒子ゼオライトを洗剤用
ビルダーとして用いた場合に洗濯水の透明性をより一層
向上させる観点から、一次産物として得られた微粒子ゼ
オライトを適宜粉砕するのが好ましい。
【0021】また、本発明の微粒子ゼオライトの水性液
において水に溶出されるAl量の割合は該微粒子ゼオラ
イトに含まれる全Al量の、好ましくは4重量%未満、
より好ましくは3.5重量%以下、さらに好ましくは
3.2重量%以下である。溶出されるAl量の割合が前
記範囲内であれば、該微粒子ゼオライトを、たとえば、
洗浄剤組成物に配合した場合、該洗浄剤組成物の品質
(洗浄性能、保存安定性等)の低下が抑制され好まし
い。また、平均凝集粒径を所望の範囲内とするべく適宜
粉砕を行ったとしても一次結晶性の低下は少なく、Al
溶出量も少ない。なお、溶出Al量の割合は後述の実施
例に記載の方法により求めることができる。
【0022】また、本発明の微粒子ゼオライトはカチオ
ン交換能に優れる。ここで、カチオン交換能とはカチオ
ン交換速度およびカチオン交換容量の両者をいい、より
具体的には、カチオン交換速度とは1分間でゼオライト
1g当たりがイオン交換したCa量をいい、一方、カチ
オン交換容量とは10分間でゼオライト1g当たりがイ
オン交換したCa量をいう。それらは後述する実施例に
おいて記載する方法により求められる。
【0023】前記カチオン交換速度(CER)として
は、好ましくは180mgCaCO3/g以上、より好
ましくは200mgCaCO3 /g以上、さらに好まし
くは220mgCaCO3 /g以上である。一方、前記
カチオン交換容量(CEC)としては、好ましくは20
0mgCaCO3 /g以上、より好ましくは210mg
CaCO3 /g以上、さらに好ましくは220mgCa
CO3 /g以上である。本発明の微粒子ゼオライトのカ
チオン交換能がかかる範囲内にあれば、該ゼオライトを
洗浄剤組成物に用いた場合、該組成物の洗浄性能が格段
に向上するので好ましい。なお、平均凝集粒径を所望の
範囲内とするべく適宜粉砕を行ったとしても、結晶性劣
化や粒径分布の悪化は少なく、従って、カチオン交換能
の実質的な変化は生じない。
【0024】本発明の微粒子ゼオライトの組成を、無水
物の組成として一般式xM2 O・ySiO2 ・Al2
3 ・zMeO(但し、Mはアルカリ金属原子、Meはア
ルカリ土類金属原子)で表した場合、x=0.2〜4、
y=0.5〜6、z=0〜0.2が好ましく、x=0.
8〜2、y=1〜3、z=0.001〜0.1がより好
ましい。なお、カチオン交換能を低下させない範囲であ
れば上記組成式に挙げられる元素以外の元素を含んでい
てもよい。前記アルカリ金属原子とは周期律表IA族に
属するものであり特に限定するものではないが、なかで
もナトリウムが好ましい。なお、本発明の微粒子ゼオラ
イトは、かかるアルカリ金属原子を二種以上含んでいて
もよい。また、前記アルカリ土類金属原子とは周期律表
IIA族に属するものであり特に限定するものではない
が、なかでもカルシウムまたはマグネシウムが好まし
い。かかるアルカリ土類金属原子も二種以上含んでいて
もよい。
【0025】続いて、本発明の微粒子ゼオライトの製造
方法について説明する。該製造方法は、シリカ源とアル
ミ源とを反応させてゼオライトを製造するに際し、酸素
原子を含む官能基を持つ分子量100以上の有機化合物
(以下、結晶成長抑制化合物という)の存在下に反応を
行うことを1つの大きな特徴とする。かかる結晶成長抑
制化合物の存在下に反応を行うことにより、シリカ源と
アルミ源とからなる反応混合物(スラリー)の流動性が
増し反応の効率が向上すると共に、ゼオライトの結晶成
長が抑制され平均一次粒子径が微小で粒径分布の均一な
ゼオライトが生成されることになる。
【0026】前記結晶成長抑制化合物の共存によるゼオ
ライト結晶成長抑制のメカニズムについては、ゼオライ
ト核表面のシラノール(Si−OH)基などが官能基の
酸素原子と水素結合的な相互作用をし、ゼオライト核表
面が安定化されることにより結晶成長(オストワルド成
長)が抑制されるとともに、ゼオライト核に吸着(相互
作用)している結晶成長抑制化合物の立体障害によりゼ
オライト核同士が立体的に反発し、ゼオライト核同士の
衝突による結晶成長が阻害されるため、平均一次粒子径
が微小な微粒子ゼオライトが生成するものと考えられ
る。
【0027】本発明の微粒子ゼオライトの製造方法に用
いるシリカ源とアルミ源は特に限定されるものではない
が、たとえば、シリカ源として市販の水ガラスを用いる
ことができ、また、ケイ石、ケイ砂、クリストバライト
石、カオリン、カレット等を用いても良く、それらを適
宜水や水酸化アルカリ金属水溶液で希釈して用いても良
い。また、アルミ源としては、水酸化アルミニウム、硫
酸アルミニウム、塩化アルミニウムなどのアルミニウム
含有化合物を用いても良いが、アルミン酸アルカリ金属
塩、特にアルミン酸ナトリウムの粉末または水性液が好
適に用いられる。これらは市販品を用いても良く、また
アルミン酸ナトリウム水性液としては水酸化アルミニウ
ムと水酸化アルカリ金属とを水中に加熱溶解して得られ
る水溶液を用いても良い。
【0028】結晶成長抑制化合物の分子量は100以上
であり、好ましくは200以上、より好ましくは400
以上である。結晶成長抑制化合物の分子量が100未満
ではゼオライト核表面に吸着(相互作用)した結晶成長
抑制化合物の立体障害が小さく、ゼオライト核同士の衝
突による結晶成長の進行を有効に抑制することができ
ず、所望の結晶成長抑制効果が得られない。また、結晶
成長抑制化合物の分子量は、好ましくは6万以下、より
好ましくは3万以下、さらに好ましくは1万以下であ
る。分子量がかかる範囲内であれば、シリカ源とアルミ
源とからなる反応液中において結晶成長抑制化合物が充
分に溶解し、ゼオライト核への吸着量(ゼオライト核と
相互作用している結晶成長抑制化合物量)が増加し、結
晶成長抑制効果が充分に発揮されるので好ましい。すな
わち、結晶成長抑制化合物の分子量としては、100〜
6万が好ましく、200〜3万がより好ましく、400
〜1万が更に好ましい。なお、当該分子量は、結晶成長
抑制化合物が水酸基やカルボン酸基等を当該化合物の片
末端または両末端に有するものである場合には、水酸基
価、酸価等の分析等の官能基定量分析により求めること
もできる。また、たとえば、分子量が1000以上の高
分子化合物である場合、当該分子量は重量平均分子量で
あり、公知の方法に従ってGPC(ゲル浸透クロマトグ
ラフィー)により測定することができる。
【0029】結晶成長抑制化合物の官能基としては酸素
原子を含むものであればよく特に限定されるものではな
いが、たとえば、好ましくはOR基、COOR基、SO
3 R基、PO4 R基、CO基、CONH基等が挙げられ
る。中でも、より好ましくはOR基および/またはCO
OR基である。Rは、炭素数1〜22の飽和または不飽
和の有機基、水素原子およびアルカリ金属原子から選ば
れた少なくとも1種である。炭素数1〜22の飽和また
は不飽和の有機基としては、たとえば、エチル基、ビニ
ル基、フェニル基、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げら
れ、アルカリ金属原子としては、たとえば、ナトリウ
ム、カリウム等が挙げられる。なお、これらの官能基は
主鎖を構成しているものでも良く、また側鎖を構成して
いるものでも良い。結晶成長抑制化合物の1分子当たり
の官能基数は特に限定されるものではないが、1分子当
たりの官能基数は2以上が好ましく、3以上がより好ま
しく、4以上がさらに好ましい。1分子当たりの官能基
数がかかる範囲内にあれば、ゼオライト核と結晶成長抑
制化合物との相互作用点数が充分であり、ゼオライトの
結晶成長抑制効果が高いので好ましい。また、結晶成長
抑制化合物の1分子当たりの官能基数は1000以下が
好ましく、500以下がより好ましく、200以下がさ
らに好ましい。結晶成長抑制化合物の1分子当たりの官
能基数がかかる範囲内にあれば、結晶成長抑制化合物の
分子量が適性で、反応液中に充分に溶解させることがで
き良好な結晶成長抑制効果が発揮されるので好ましい。
【0030】結晶成長抑制化合物として具体的には、た
とえば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニ
オン性界面活性剤やポリエチレングリコール、ポリビニ
ルアルコール、アクリル酸系ポリマー、カルボキシメチ
ルセルロース、ヘキサメタリン酸等の水溶性高分子を挙
げることができるが、これらに限定されるものではな
い。結晶成長抑制化合物は単独でもしくは二種以上の混
合物として用いても良い。
【0031】本発明の微粒子ゼオライトを製造するため
の仕込み組成としては、SiO2 /Al2 3 のモル比
で0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、1.
5以上がさらに好ましい。SiO2 /Al2 3 のモル
比がかかる範囲内にあればゼオライトの結晶構造が安定
化されて結晶性の低下が抑制され、また、結晶化の進行
が促進されるので好ましい。また、SiO2 /Al2
3 のモル比が4以下が好ましく、3以下がより好まし
く、2.5以下がさらに好ましい。SiO2 /Al2
3 のモル比がかかる範囲内にあれば反応が良好に進行
し、充分なカチオン交換能が得られるので好ましい。ま
た、アルカリ金属を含有する化合物の仕込み組成として
は、アルカリ金属(M)を酸化物で表し、M2 O/Al
2 3 のモル比で0.08以上が好ましく、0.8以上
がより好ましく、1.4以上がさらに好ましい。M2
/Al2 3 のモル比がかかる範囲内であれば結晶化の
進行が良好であり好ましい。また、M2 O/Al2 3
のモル比で20以下が好ましく、5以下がより好まし
く、3以下がさらに好ましい。M2 O/Al2 3 のモ
ル比がかかる範囲内であれば生産性が良好であり好まし
い。さらに、反応系内のアルカリ金属を含有する化合物
と水の仕込み組成としては、M2 O/H2 Oのモル比で
0.02以上が好ましく、0.05以上がより好まし
く、0.07以上がさらに好ましい。M2 O/H2 Oの
モル比がかかる範囲内であれば、結晶化速度が適性で生
成する微粒子ゼオライトの平均一次粒子径の微小化が良
好に進行するので好ましい。また、M2 O/H2 Oのモ
ル比で0.2以下が好ましく、0.15以下がより好ま
しく、0.1以下がさらに好ましい。M2 O/H2 Oの
モル比がかかる範囲内であれば、反応が適性に進行し、
充分なカチオン交換能が得られるので好ましい。また、
アルカリ土類金属を含有する化合物の仕込み組成として
は、アルカリ土類金属(Me)を酸化物で表し、MeO
/Al2 3 のモル比で好ましくは0〜0.1であり、
平均一次粒子径の微小化および熱安定性の向上効果の点
から0.005以上が好ましく、0.01以上がより好
ましい。また、カチオン交換能の向上の観点から、0.
1以下が好ましく、0.08以下がより好ましく、0.
05以下がさらに好ましい。また、反応系内のアルミニ
ウムの仕込み組成としては、Al2 3 /H2 Oのモル
比で0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ま
しく、0.03以上がさらに好ましい。Al2 3 /H
2 Oのモル比がかかる範囲内であれば、生産性が良好
で、平均一次粒子径の微小化が促進され好ましい。ま
た、Al2 3 /H2 Oのモル比が0.25以下が好ま
しく、0.2以下がより好ましく、0.1以下がさらに
好ましい。Al2 3 /H2Oのモル比がかかる範囲内
であれば、スラリーの流動性が良好に発現され反応が効
率的に進行するので好ましい。また、本発明の微粒子ゼ
オライトを構成する、用いた原料の各無機元素を全て酸
化物に換算した重量を固形分量とみなし、全含水スラリ
ー中の固形分の濃度を反応時の固形分濃度とした場合、
該固形分濃度としては、生産性の観点から10重量%以
上が好ましく、20重量%以上がより好ましく、30重
量%以上がさらに好ましい。また、スラリーの流動性の
観点からは、70重量%以下が好ましく、60重量%以
下がより好ましく、50重量%以下がさらに好ましい。
【0032】一方、前記結晶成長抑制化合物の仕込み量
としては、結晶成長抑制効果発現の観点から、シリカ源
とアルミ源とからなる反応液中において1重量%以上と
なる量が好ましく、5重量%以上となる量がより好まし
く、10重量%以上となる量がさらに好ましい。また、
生産性の観点から、80重量%以下となる量が好まし
く、60重量%以下となる量がより好ましく、50重量
%以下となる量がさらに好ましい。
【0033】本発明の微粒子ゼオライトの製造は、たと
えば、シリカ源、アルミ源、および結晶成長抑制化合物
をそれぞれ別の容器にとり、次いで公知の方法に従って
それらを適宜混合して反応させることにより行われる。
その際、所望により、本発明の微粒子ゼオライトの製造
を妨げない範囲でその他の成分を添加してもよい。かか
る成分としては、たとえば、塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウム等が挙げられる。なお、反応を均一に効率よく
行う観点から、シリカ源、アルミ源、および結晶成長抑
制化合物は各々、それらの水性液として反応に供するの
が好ましい。
【0034】シリカ源、アルミ源、および結晶成長抑制
化合物の混合順序については特に限定されるものではな
く、アルミ源と結晶成長抑制化合物との混合液にシリカ
源を混合させて良く、一方、シリカ源と結晶成長抑制化
合物との混合液にアルミ源を混合させても良い。また、
結晶成長抑制化合物に対しシリカ源とアルミ源とを同時
に供給して混合しても良く、予め結晶成長抑制化合物を
シリカ源および/またはアルミ源に混合しておき、次い
で当該シリカ源とアルミ源とを混合してもよい。
【0035】また、混合方法は特に限定されるものでは
なく、たとえば、シリカ源、アルミ源、および結晶成長
抑制化合物を共に特定の循環ライン中を循環させながら
該ライン内で混合させても良く、また、反応槽中で混合
(バッチ式混合)させても良い。反応時間は反応温度に
もより特に限定されるものではないが、反応の均一性の
観点より、全仕込み成分添加終了後から30秒以上が好
ましく、1分以上がより好ましく、5分以上がさらに好
ましい。また、生産性の観点から120分以下が好まし
く、60分以下がより好ましく、30分以下がさらに好
ましい。
【0036】反応温度は、好ましくは10℃以上、より
好ましくは20℃以上、さらに好ましくは40℃以上で
ある。かかる範囲内であれば、反応液の流動性が良好で
あり、均一な反応が行われ得るので好ましい。また、反
応温度は、好ましくは100℃以下、より好ましくは9
0℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。かかる
範囲内であれば、エネルギー負荷が適性で工業的経済性
に優れるので好ましい。
【0037】結晶化は、反応後、攪拌下で反応温度以上
の温度で反応混合物を熟成させることにより行なわれ得
る。熟成温度は特に限定されるものではないが、結晶化
速度の観点から50℃以上が好ましく、70℃以上がよ
り好ましく、80℃以上がさらに好ましい。また、エネ
ルギー負荷や反応容器の耐圧の観点から120℃以下が
好ましく、100℃以下がより好ましく、90℃以下が
さらに好ましい。熟成時間は、熟成温度によっても異な
るが、充分な結晶化を得る観点から1分以上が好まし
く、10分以上がより好ましく、30分以上がさらに好
ましい。また、ソーダライト副生によるカチオン交換能
の低下や生産性の観点から300分以下が好ましく、1
80分以下がより好ましく、120分以下がさらに好ま
しい。
【0038】熟成終了後、スラリーを冷却、希釈または
ろ過洗浄するか、酸剤を添加し中和することにより結晶
化を終了させる。ろ過洗浄する場合、洗浄液のpHが好
ましくは12以下になるまで行うのが好ましい。また中
和する場合、中和に用いる酸剤としては特に限定される
ものではなく、硫酸、塩酸、硝酸、炭酸ガス、シュウ
酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸等を用いる
ことができるが、装置腐食の防止やコストの観点から硫
酸や炭酸ガスが好ましい。スラリーpHは8〜12に調
整するのが好ましい。結晶化終了後、スラリー状の本発
明の微粒子ゼオライトを得る。さらに、このスラリーを
適宜ろ過または遠心分離に供してゼオライト沈殿物を分
離し、洗浄、乾燥を行ってケーク状または粉末状として
もよい。
【0039】次いで、所望の平均凝集粒径を示し得るよ
うに調整する観点から、さらに所望により、一次産物と
して得られた微粒子ゼオライトを粉砕してもよい。かか
る粉砕は、上記微粒子ゼオライトのスラリーを直接湿式
粉砕することにより行っても良く、また、得られた微粒
子ゼオライトを溶媒に再分散させ、次いで湿式粉砕する
ことにより行っても良く、または、粉末状の微粒子ゼオ
ライトを乾式粉砕することにより行っても良い。なお、
各粉砕の方法は公知の方法に従えばよい。
【0040】たとえば、本発明の微粒子ゼオライトを後
述する本発明の洗浄剤組成物等に配合する場合、該ゼオ
ライトをスラリー状で配合してよく、そのような場合に
は生産工程簡略化の観点から湿式粉砕を行うのが好まし
い。その際の粉砕方法としては特に限定されるものでは
なく、たとえば、化学工学会編化学工学便覧(丸善、1
988年)第五版826〜838頁に記載の粉砕機等を
用いてもよい。また、湿式粉砕に用いる分散媒として
は、水以外にエタノール等のアルコール溶媒、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル等の界面活性剤、ポリマー
分散剤等を挙げることができる。当該分散剤は単独でま
たは2種以上の混合液として用いることができる。湿式
粉砕する場合、生産性の観点からスラリー中のゼオライ
ト濃度は5重量%以上が好ましく、10重量%以上がよ
り好ましく、15重量%以上がさらに好ましい。また、
湿式粉砕時のゼオライトスラリーのハンドリング性の観
点や粉砕後の微粒子ゼオライトの再凝集防止の観点から
スラリー中のゼオライト濃度は60重量%以下が好まし
く、55重量%以下がより好ましく、50重量%以下が
さらに好ましい。
【0041】本発明の微粒子ゼオライトは、たとえば、
洗剤用ビルダー、水処理剤、製紙用充填剤、樹脂充填
剤、酸素窒素分離剤、吸着剤、触媒担体、園芸用土質改
良剤、研磨剤等に好適に用いられるが、特に洗剤用ビル
ダーとして好適に用いられる。
【0042】続いて、本発明の洗浄剤組成物について説
明する。かかる洗浄剤組成物は、界面活性剤および本発
明の微粒子ゼオライトを含有してなり、該ゼオライトの
高いカチオン交換能と低いAlイオン溶出性、さらに低
い濁り性から、優れた洗浄性能を示すとともに、すすぎ
水の濁りがほとんどなく、すすぎに要する水量および時
間を大幅に短縮することができる。
【0043】本発明の洗浄剤組成物における微粒子ゼオ
ライトの含有量は特に限定がないが、充分な洗浄性能を
発現させる観点から、1重量%以上が好ましく、3重量
%以上がより好ましく、5重量%以上がさらに好まし
い。また、洗浄剤組成物の安定生産の観点から、60重
量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、
40重量%以下がさらに好ましい。すなわち、洗浄剤組
成物における微粒子ゼオライトの含有量としては、1〜
60重量%が好ましく、3〜50重量%がより好まし
く、5〜40重量%がさらに好ましい。また、本発明の
洗浄剤組成物には本発明の微粒子ゼオライトと共に他の
公知のゼオライトを配合しても良い。他のゼオライトと
しては市販のゼオライトでも良く、かかるゼオライトの
結晶構造はA型以外にもP型、X型などでも良く、ま
た、それらの2種以上の混合物でも良い。他のゼオライ
トの平均一次粒子径および平均凝集粒径については、特
に限定はないが、カチオン交換速度の観点から平均一次
粒子径は10μm以下が好ましく、5μm以下がより好
ましく、2μm以下がさらに好ましい。また、水中での
分散性の観点から平均凝集粒径は15μm以下が好まし
く、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに
好ましい。本発明の洗浄剤組成物の所望の効果の発現を
担保する観点から、該組成物に使用する全ゼオライト中
に占める本発明の微粒子ゼオライトの含有割合として、
10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ま
しく、50重量%以上がさらに好ましい。
【0044】本発明の洗浄剤組成物に配合される界面活
性剤としては特に限定がないが、たとえば、ノニオン
性、アニオン性、カチオン性、両性イオンの界面活性剤
等が例示される。
【0045】具体的にはノニオン性界面活性剤として
は、日本国特許庁公報「周知・慣用技術集(衣料用粉末
洗剤)の3章の1」記載の公知のノニオン性界面活性剤
を用いることができる。その他のノニオン性界面活性剤
として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
類、ポリオキシエチレンアルキルアミン類、ショ糖脂肪
酸エステル類、グリセリン脂肪酸モノエステル類、高級
脂肪酸アルカノールアミド類、ポリオキシエチレン高級
脂肪酸アルカノールアミド類、アミンオキサイド類、ア
ルキルグリコシド類、アルキルグリセリルエーテル類、
及びN−アルキルグルコンアミド類なども使用すること
ができる。
【0046】アニオン性界面活性剤としては、たとえば
日本国特許庁公報「周知・慣用技術集(衣料用粉末洗
剤)の3章の1」記載の公知のアニオン性界面活性剤を
用いることができる。該アニオン性界面活性剤の対イオ
ンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウ
ムイオン、カルシウムイオン、エタノールアミン類等の
アミンがプロトン化された陽イオン、第4級アンモニウ
ム塩およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0047】カチオン性界面活性剤としては、たとえば
日本国特許庁公報「周知・慣用技術集(衣料用粉末洗
剤)の3章の1」記載の公知のカチオン性界面活性剤を
用いることができる。
【0048】両性イオン界面活性剤としては、たとえば
日本国特許庁公報「周知・慣用技術集(衣料用粉末洗
剤)の3章の1」記載の公知の両性イオン界面活性剤を
用いることができる。
【0049】上記界面活性剤は、単独あるいは2種以上
混合して用いることができる。また、界面活性剤は同一
種類から選択してもよいし、複数種類の中から選択して
もよい。
【0050】本発明の洗浄剤組成物における界面活性剤
の含有量は特に限定はないが、洗浄性の観点から1重量
%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましく、10
重量%以上がさらに好ましい。また洗浄剤組成物の生産
性の観点から、90重量%以下が好ましく、70重量%
以下がより好ましく、60重量%以下がさらに好まし
い。すなわち、洗浄剤組成物における界面活性剤の含有
量としては、1〜90重量%が好ましく、5〜70重量
%がより好ましく、10〜60重量%がさらに好まし
い。
【0051】本発明の洗浄剤組成物には、前記界面活性
剤および本発明の微粒子ゼオライト以外にも、衣料用洗
浄剤に通常配合される各種添加剤を適宜配合することが
できる。それらの含有量は、本発明の洗浄剤組成物の所
望の効果を阻害しない限りにおいて適宜調節することが
できる。
【0052】前記添加剤としては、たとえば、他の無機
ビルダー、有機ビルダー、酵素、再汚染防止剤、蛍光染
料、粘度調整剤、溶剤、漂白剤、分散剤、香料等を挙げ
ることができる。無機ビルダーとして、ゼオライト以外
にも珪酸塩、炭酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、縮合リン酸
塩、食塩などが挙げられ、塩としてはアルカリ金属塩が
好適である。有機ビルダーとして、トリエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等のア
ルカノールアミン類等の有機アルカリ剤が挙げられる。
また、エチレンジアミン四酢酸塩等のアミノポリ酢酸
塩、クエン酸等のオキシカルボン酸塩、ポリアクリル酸
やアクリル酸−マレイン酸共重合物などのポリカルボン
酸塩等の有機カチオン交換剤が挙げられ、塩としてはア
ルカリ金属塩やアンモニウム塩が好適である。酵素とし
て、セルラーゼ、アミラーゼ、カンナーゼ、リパーゼ、
プロテアーゼ等が挙げられる。再汚染防止剤として、ポ
リエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等が挙げ
られる。粘度調整剤、溶剤として、イソプロパノール等
の低級アルコール、エチレングリコール等のグリコール
類、グリセリン等が挙げられる。漂白剤としては、過炭
酸ソーダ、過ホウ酸ソーダ等の無機過酸素漂白剤、また
はこれらの無機過酸素漂白剤と漂白活性化剤との混合物
が挙げられる。なお、漂白活性化剤としては、有機過酸
を形成する反応性アシル基を有する有機化合物が例示さ
れ、具体的には、ラウロイルオキシベンゼンスルホン酸
ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナト
リウム、ラウロイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ
安息香酸等が挙げられる。その他マンガン、コバルト、
鉄錯体等の漂白活性化触媒も漂白活性化剤として配合で
きる。
【0053】かかる本発明の洗浄剤組成物は、公知の方
法に従い、前記各成分を混合・攪拌し、所望により造粒
等することにより得ることができる。かかる組成物は、
本発明の微粒子ゼオライトを含有してなることから、非
常に洗浄性およびすすぎ性に優れる。なお、洗浄性およ
びすすぎ性は後述の実施例において記載する方法に従っ
て評価することができる。
【0054】
【実施例】実施例及び比較例における各試料の物性測定
値は次に示す方法により測定した。なお、「%」は特段
の事情がない限り「重量%」を表わす。また、表中、カ
チオン交換能の単位を簡単に「mg/g」と表示する。
【0055】(1)平均一次粒子径 電解放射型高分解能走査型電子顕微鏡(FE-SEM、日立製
作所製S-4000)により撮影した試料(ゼオライト)の走
査型電子顕微鏡写真をもとに、デジタイザー(グラフテ
ック製、デジタイザーKW3300)によりゼオライト粒子の
一次粒子径(粒子数100個以上)を測定する。得られ
た測定値の全てを母集団として、その数平均値〔平均一
次粒子径(μm)〕および変動係数(%)を求める。な
お、変動係数(%)は次式により求められる。 変動係数(%)=標準偏差(μm)/平均一次粒子径
(μm)×100
【0056】(2)粉末X線回折 粉末X線回折装置(理学電機製RINT2500VPC ;光源Cu
Kα線、管電圧40kV、管電流120mA)を用い、
2θ=5〜40°の範囲で走査間隔0.01°、走査速
度10°/min、発散縦制限スリット10mm、発散
スリット1°、受光スリット0.3mm、散乱スリット
自動の条件で室温(20℃)にて試料を測定する。2θ
=20°、28.5°、37°、および40°にバック
グラウンド点をとり3次式近似によりバックグラウンド
曲線を引き、2θ=20〜40°の範囲における回折曲
線とバックグラウンド曲線との間の面積であるピーク面
積(Apeak)を求める。2θ=20〜40°の範囲にお
ける全ピーク面積(Aall)に対するバックグラウンド
より上のピーク面積(Apeak)の割合(Ar)は、ピー
ク面積と全ピーク面積から次式: Ar (%)=Apeak/Aall ×100 により求める。なお、全ピーク面積とは、2θ=20〜
40°の範囲における回折曲線と強度零の直線の間の面
積である。また、粉砕による結晶性劣化率は次式: 結晶性劣化率(%)=〔1−(粉砕後のゼオライトのA
r )/(粉砕前のゼオライトのAr )〕×100 により求める。
【0057】さらに、粉末X線回折強度比(%)は、測
定対象のゼオライトについて得られた、A型ゼオライト
の(410)面に帰属される面間隔d=0.3nmの粉
末X線回折ピーク強度(I 410 )の、1μm以上の平均
一次粒子径を持つ市販のA型ゼオライト(トヨビルダ
ー、東ソー製、I410 =32837cps)のI410
対する割合として求める。
【0058】(3)平均凝集粒径 レーザー散乱粒度分布計(堀場製作所製LA-920)を用
い、屈折率1.2、超音波強度7、超音波照射時間1
分、攪拌速度4の条件で水を分散媒としてスラリー状態
の試料の粒度分布を測定する。得られたメジアン径(体
積基準)を平均凝集粒径(μm)とする。
【0059】(4)カチオン交換能 CaCl2 水溶液(Ca濃度はCaCO3 換算で100
ppm)100mLに20%の試料水性液0.2gを添
加し、20℃で1分間または10分間攪拌した後、0.
2μmのディスポーザブルフィルターでろ過を行う。得
られたろ液10mLをとって、ろ液中のCa量を光度滴
定装置により測定しカチオン交換能を求める。なお、1
分間でゼオライト1g当たりがイオン交換したCa量
(CaCO 3 量換算)をカチオン交換速度(CER;m
gCaCO3 /g)と、10分間でゼオライト1g当た
りがイオン交換したCa量(CaCO3 量換算)をカチ
オン交換容量(CEC;mgCaCO3 /g)とする。
【0060】(5)濁度 室温(20℃)下、試料を水(硬度:4°)に添加し1
0分間攪拌して得た水性液(ゼオライト濃度:0.01
3%)の濁度(%)を濁度計(村上色材研究所製、反射
透過計HR-100)を用いて測定する。
【0061】(6)洗浄性 結晶性シリケート(KWS-2 、粒子径11μm、花王製)
40gを、ノニオン性界面活性剤(エマルゲン108 、花
王製)24.8g、ポリオキシエチレンフェニルエーテ
ル(日本乳化剤製)14.8gおよび高分子型分散剤
(アクアロックFC600S、日本触媒製)0.4gの混合溶
液中に添加し、均一に攪拌混合する。得られたシリケー
ト含有混合液をジルコニア製ビーズ(直径1mm)50
0gとともに容量1Lのバッチ式サンドミル(アイメッ
クス製)に入れ、ディスク回転数1500rpmで60
分間粉砕に供する。次いで、粉砕後のシリケート(粒子
径:2.3μm)含有混合液0.3333gと試料水性
液(ゼオライト濃度:20%)0.3333gとを混合
して洗浄剤組成物を調製し、それを用いて、水温20
℃、水(硬度:4°)1L中、ターゴトメータ(120
rpm;上島製作所製)により、10分間洗浄、1分間
すすぎ、乾燥を行って人工汚染布(5枚)を洗浄し、洗
浄率(%)を求める。なお、洗浄率は、汚染前の原布お
よび洗浄前後の人工汚染布の550nmにおける反射率
を自記色彩計(島津製作所製)にて測定し、次式: 洗浄率(%)=(洗浄後の反射率−洗浄前の反射率)/
(原布の反射率−洗浄前の反射率)×100 により求め、5枚の測定平均値として得る。
【0062】前記人工汚染布は、下記組成の人工汚染液
を布(木綿金巾2003布、谷頭商店製)に付着させて調製
する。人工汚染液の布への付着は、特開平7-270395号公
報に準じて製作したグラビアロールコーター(セル容量
58cm、塗布速度1m/min、乾燥温度100℃、
乾燥時間1分)を用いて行う。
【0063】(人工汚染液組成)人工汚染液の組成は、
ラウリン酸0.44%、ミリスチン酸3.09%、ペン
タデカン酸2.31%、パルミチン酸6.18%、ヘプ
タデカン酸0.44%、ステアリン酸1.57%、オレ
イン酸7.75%、トリオレイン酸13.06%、パル
ミチン酸n−ヘキサデシル2.18%、スクアレン6.
53%、卵黄レシチン液晶物(和光純薬製)1.94
%、園芸用の鹿沼赤土8.11%、カーボンブラック
(旭カーボン製)0.01%、および残部を水道水とす
る。
【0064】(7)すすぎ性 ゼオライト22%、結晶性シリケート(SKS-6 、粒子径
26μm、クラリアント製)11%、ノニオン性界面活
性剤(エマルゲン108 、花王製)67%を混合して得た
洗浄剤組成物を用い、2槽式洗濯機(東芝製「銀河3.
6」)により、衣料を浴比1/20、洗浄剤組成物濃度
20g/30L、水温20℃、水道水(硬度:4°)で
10分間洗浄し、15L/minのすすぎ流量にて4分
間すすぎを行う。洗濯機を停止後、洗濯槽中の衣料を洗
濯槽壁面に移動させた後、すすぎ水の透明性を目視によ
り確認し、以下の3段階の評価基準に従ってすすぎ性を
評価する。
【0065】〔評価基準〕 ○: すすぎ水が透明で洗濯槽底面のパルスエーターが
明瞭に見える △: パルスエーターは見えるがすすぎ水がわずかに濁
っている ×: すすぎ水が濁っておりパルスエーターの輪郭が明
瞭に見えない
【0066】実施例1 (1)ゼオライトの調製 2 L容ステンレス容器に入れたアルミン酸ソーダ水溶液
(Na2 O; 21.01%, Al2O 3 ; 28.18% )400gに、テ
フロン(登録商標)製攪拌羽根(長さ11cm)で攪拌
しながら(400 rpm) ノニオン性界面活性剤(化合物名:
ポリオキシエチレンラウリルエーテル;エマルゲン108
、花王製)200gを添加し、マントルヒーターを用
いて50℃にて20分間加熱した。得られた溶液に3号
水ガラス(Na2 O; 9.68%, SiO2 ; 29.83% 、大阪珪曹
製)445gをローラーポンプを用いて5分間かけて滴
下した。滴下終了後、更に10分間攪拌(400 rpm )
し、攪拌したまま30分間かけて8 0 ℃まで昇温後、更
に60分間熟成を行った。得られた微粒子ゼオライトの
水性液をろ過、水洗(ろ液が<pH12になるまで)
し、100℃で13時間乾燥し、クッキングカッターで
1分間解砕した。得られた粉末の粉末X線回折測定よ
り、A型ゼオライト(粉末X線回折強度比46%)が生
成していることが確認された。また、その平均一次粒子
径は0.03μmであった。
【0067】(2)ゼオライトの粉砕 得られた微粒子A型ゼオライト粉末10gをイオン交換
水40gに分散させたゼオライト水性液を5mm径ジル
コニア製ボール300gとともに密閉容器(容量250
mL、ポリスチレン製)に入れ、24時間ボールミル粉
砕(300 rpm )を行った。粉砕後のゼオライト水性液
(ゼオライト濃度:20%)を限外ろ過(ウルトラフィ
ルターユニットUSY-1 、分画分子量10000 、アドバンテ
ック製)して得たろ液中のAl溶出濃度をICP分析に
より定量した。20%ゼオライト水性液中のゼオライト
に含まれる全Alの該水性液中における濃度は3%、I
CP分析により得られたAl溶出濃度は900ppmで
あり、溶出されるAl量の割合は全Al量の3%であっ
た。また同様にして、粉砕しない場合に前記(1)にお
いて得られたゼオライトから溶出されるAl量の割合に
ついても求めた。
【0068】また、前記方法に従って、粉砕前または後
のゼオライトに対し種々の物性測定を行った。なお、粉
砕後における測定では、溶出されるAl量の測定の際に
得られたろ過沈殿物を100℃、13時間乾燥したもの
を用いた。また、カチオン交換能、濁度、洗浄率、すす
ぎ性については粉砕後のゼオライトを用いて評価した。
【0069】実施例2 (1)ゼオライトの調製 2L容ステンレス容器に入れたアルミン酸ソーダ水溶液
(Na2 O; 21.01%, Al2O 3 ; 28.18% )400gに、テ
フロン製攪拌羽根(長さ11cm)で攪拌しながら(400
rpm) ポリエチレングリコール(和光純薬製、商品名:
PEG600、平均分子量600)137gを添加し、マントル
ヒーターを用いて50℃にて20分間加熱した。得られ
た溶液に3号水ガラス(Na2 O; 9.68%, SiO2 ; 29.83%
、大阪珪曹製)445gをローラーポンプを用いて5
分間かけて滴下した。滴下終了後、更に10分間攪拌
(400 rpm )し、攪拌したまま30分間かけて80℃ま
で昇温後、更に60分間熟成を行った。得られた微粒子
ゼオライトの水性液をろ過、水洗(ろ液が<pH12に
なるまで)し、100℃で13時間乾燥し、クッキング
カッターで1分間解砕した。得られた粉末の粉末X線回
折測定より、A型ゼオライト(粉末X線回折強度比48
%)が生成していることが確認された。また、その平均
一次粒子径は0.03μmであった。
【0070】(2)ゼオライトの粉砕 得られた微粒子A型ゼオライト粉末16gをイオン交換
水64gに分散させたゼオライト水性液を0.5mm径
ジルコニア製ビーズ500gとともに粉砕容器(テフロ
ン製)に入れ、20分間サンドミル粉砕(1500 rpm)を
行った。粉砕後のゼオライト水性液(ゼオライト濃度:
20%)を限外ろ過(ウルトラフィルターユニットUSY-
1 、分画分子量10000 、アドバンテック製)して得たろ
液中のAl溶出濃度をICP分析により定量した。20
%ゼオライト水性液中のゼオライトに含まれる全Alの
該水性液中における濃度は3%、ICP分析により得ら
れたAl溶出濃度は700ppmであり、溶出されるA
l量の割合は全Al量の2.3%であった。また、実施
例1と同様にして種々の物性測定を行った。
【0071】実施例3 (1)ゼオライトの調製 2L容ステンレス容器に入れた40%アクリル酸ポリマ
ー水溶液(オリゴマーD 、重量平均分子量10000、花王
製)147gに、テフロン製攪拌羽根(長さ11cm)
で攪拌しながら(400 rpm) アルミン酸ソーダ粉末(Na2
O; 40.1%, Al 2O 3 ; 53.8%、NAP-120 、住友化学製)
200gを添加し、マントルヒーターを用いて50℃に
て20分間加熱した。得られた溶液に3号水ガラス(Na
2 O; 9.68%, SiO2 ; 29.83% 、大阪珪曹製)428gを
ローラーポンプを用いて5分間かけて滴下した。滴下終
了後、更に10分間攪拌(400 rpm )し、攪拌したまま
30分間かけて80℃まで昇温後、更に60分間熟成を
行った。得られた微粒子ゼオライトの水性液をろ過、水
洗(ろ液が<pH12になるまで)し、100℃で13
時間乾燥し、クッキングカッターで1分間解砕した。得
られた粉末の粉末X線回折測定より、A型ゼオライト
(粉末X線回折強度比49%)が生成していることが確
認された。また、その平均一次粒子径は0.03μmで
あった。
【0072】(2)ゼオライトの粉砕 得られた微粒子A型ゼオライト粉末10gをイオン交換
水40gに分散させたゼオライト水性液を5mm径ジル
コニア製ボール300gとともに密閉容器(容量250
mL、ポリスチレン製)に入れ、24時間ボールミル粉
砕(300 rpm )を行った。粉砕後のゼオライト水性液
(ゼオライト濃度:20%)を限外ろ過(ウルトラフィ
ルターユニットUSY-1 、分画分子量10000 、アドバンテ
ック製)して得たろ液中のAl溶出濃度をICP分析に
より定量した。20%ゼオライト水性液中のゼオライト
に含まれる全Alの該水性液中における濃度は3%、I
CP分析により得られたAl溶出濃度は700ppmで
あり、溶出されるAl量の割合は全Al量の2.3%で
あった。また、実施例1と同様にして種々の物性測定を
行った。
【0073】比較例1 (1)ゼオライトの調製 2L容ステンレス容器に入れたアルミン酸ソーダ水溶液
(Na2 O; 21.01%, Al2O 3 ; 28.18% )400gに、テ
フロン製攪拌羽根(長さ11cm)で攪拌しながら(400
rpm) 苛性ソーダ水溶液(48% NaOH水溶液)211gを
添加し、マントルヒーターを用いて50℃にて20分間
加熱した。得られた溶液に3号水ガラス(Na2 O; 9.68
%, SiO2 ; 29.83% 、大阪珪曹製)445gと塩化カル
シウム水溶液(1% CaCl2水溶液)236gとの混合溶液
をローラーポンプを用いて5分間かけて滴下した。滴下
終了後、更に10分間攪拌(400 rpm )し、攪拌したま
ま30分間かけて80℃まで昇温後、更に5分間熟成を
行った。得られたゼオライトの水性液をろ過、水洗(ろ
液が<pH12になるまで)し、100℃で13時間乾
燥し、クッキングカッターで1分間解砕した。得られた
粉末の粉末X線回折測定より、A型ゼオライト(粉末X
線回折強度比62%)が生成していることが確認され
た。また、その平均一次粒子径は0.2μmであった。
【0074】(2)ゼオライトの粉砕 実施例1と同様にしてゼオライトの粉砕を行い、Al溶
出濃度をICP分析により測定した。20%ゼオライト
水性液中のゼオライトに含まれる全Alの該水性液中に
おける濃度は3%、ICP分析により得られたAl溶出
濃度は1300ppmであり、溶出するAl量の割合は
全Al量の4.3%であった。また、実施例1と同様に
して種々の物性測定を行った。
【0075】比較例2 市販のA型ゼオライト(トヨビルダー、東ソー製)を用
い、実施例1と同様に、種々の物性測定を行った。ただ
し、本比較例においては、該ゼオライトの粉砕は行わな
かった。
【0076】比較例3 市販の4Aゼオライト(トヨビルダー、東ソー製)を用
い、実施例1と同様に、種々の物性測定を行った。な
お、20%ゼオライト水性液中のゼオライトに含まれる
全Alの該水性液中における濃度は3%、粉砕後におけ
るICP分析により得られたAl溶出濃度は1200p
pmであり、溶出されるAl量の割合は全Al量の4%
であった。
【0077】比較例4 2L容ステンレス容器に入れたアルミン酸ソーダ水溶液
(Na2 O; 21.01%, Al2 O 3 ; 28.18%)400gに、テフ
ロン製攪拌羽根(長さ11cm)で攪拌しながら(400 r
pm) 、プロピレングリコール (分子量76、和光純薬製)
155gを添加し、マントルヒーターを用いて50℃に
て20分間加熱した。得られた溶液に3号水ガラス(Na
2 O; 9.68%, SiO2 ; 29.83% 、大阪珪曹製)445gを
ローラーポンプを用いて5分間かけて滴下した。滴下終
了後、更に10分間攪拌(400rpm )し、攪拌したまま
30分間かけて80℃まで昇温後、更に60分間熟成を
行った。得られた微粒子ゼオライトの水性液をろ過、水
洗(ろ液が<pH12になるまで)し、100℃で13
時間乾燥し、クッキングカッターで1分間解砕した。得
られた粉末の粉末X線回折測定より、A型ゼオライト
(粉末X線回折強度比61%)が生成していることが確
認された。また、その平均一次粒子径は0.2μmであ
った。実施例1と同様にしてゼオライトの粉砕を行な
い、評価を行った。20%ゼオライト水性液中の全Al
濃度は3%、ICP分析により得られたAl溶出濃度は
1300ppmであり、溶出するAl量の割合は全Al
量の4.3%であった。また、実施例1と同様にして種
々の物性測定を行った。
【0078】ゼオライトの仕込み組成を表1に、以上の
結果を表2にまとめて示す。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】実施例1〜3より、本発明の微粒子ゼオラ
イトの製造方法に従い結晶成長抑制化合物の存在下にゼ
オライトの合成反応を行うことで、平均一次粒子径が
0.1μm以下の微粒子A型ゼオライトが得られること
が分かる。比較例4では、酸素原子を含む官能基を持つ
有機化合物であるプロピレングリコールの存在下にゼオ
ライトの合成反応を行っているが、該化合物の分子量は
76であり、平均一次粒子径が0.1μm以下の微粒子
ゼオライトは得られていない。
【0082】また、適宜粉砕を行うことで実施例および
比較例のゼオライトの平均凝集粒径は0.4μm以下と
なし得るが、粉砕前の平均一次粒子径が0.1μmを超
える比較例1、3および4のゼオライトでは、粉砕後に
結晶性劣化が進行しており、また、平均一次粒子径分布
の悪化も見られ、溶出Al量が増加し、かかるゼオライ
トを用いて得た洗浄剤組成物の洗浄率および/またはす
すぎ性は低下することが分かる。一方、実施例1〜3で
は、粉砕を行っても結晶性劣化の進行は抑えられており
(たとえば、結晶性劣化率)、平均一次粒子径分布等の
実質的な変化は生じておらず、所望の平均凝集粒径を有
する、カチオン交換能に優れた微粒子ゼオライトが得ら
れており、該ゼオライトを用いて得た洗浄剤組成物の洗
浄率およびすすぎ性は高いことが分かる。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、平均一次粒子径が0.
1μm以下である、カチオン交換能に優れ、水性液にお
いて水中に溶出されるAl量が少なく、しかも該水性液
の水の濁りが少ない微粒子ゼオライトが得られる。ま
た、該微粒子ゼオライトを含んでなる、洗浄性およびす
すぎ性に非常に優れた洗浄剤組成物が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G073 BD20 BD22 CZ02 FB01 FB02 FC01 GA03 GA11 UA07 4H003 AC08 EA15 EA28 ED29 FA04 FA23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均一次粒子径が0.1μm以下(変動
    係数90%以下)であり、かつ粉末X線回折スペクトル
    の2θ=20〜40°の範囲における全ピーク面積に対
    するバックグラウンドより上のピーク面積の割合が30
    %以上である微粒子A型ゼオライト。
  2. 【請求項2】 平均凝集粒径が0.4μm以下である請
    求項1記載の微粒子A型ゼオライト。
  3. 【請求項3】 水性液において水に溶出されるAl量の
    割合が、含まれる全Al量の4重量%未満である請求項
    1または2記載の微粒子A型ゼオライト。
  4. 【請求項4】 カチオン交換速度が180mgCaCO
    3 /g以上である請求項1〜3いずれか記載の微粒子A
    型ゼオライト。
  5. 【請求項5】 シリカ源とアルミ源とを反応させてゼオ
    ライトを製造するに際し、酸素原子を含む官能基を持つ
    分子量100以上の有機化合物の存在下に反応を行う請
    求項1〜4いずれか記載の微粒子A型ゼオライトの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 酸素原子を含む官能基がOR基および/
    またはCOOR基(Rは炭素数1〜22の飽和または不
    飽和の有機基、水素原子およびアルカリ金属原子から選
    ばれた少なくとも1種である)である請求項5記載の微
    粒子A型ゼオライトの製造方法。
  7. 【請求項7】 界面活性剤および請求項1〜4いずれか
    記載の微粒子A型ゼオライトを含有してなる洗浄剤組成
    物。
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