JP2002226595A - ジエン系グラフト重合体粉体の製造方法 - Google Patents

ジエン系グラフト重合体粉体の製造方法

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JP2002226595A
JP2002226595A JP2001029705A JP2001029705A JP2002226595A JP 2002226595 A JP2002226595 A JP 2002226595A JP 2001029705 A JP2001029705 A JP 2001029705A JP 2001029705 A JP2001029705 A JP 2001029705A JP 2002226595 A JP2002226595 A JP 2002226595A
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JP2001029705A
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Koji Matsumura
浩二 松村
Akihiro Toritani
明弘 鳥谷
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾燥機内におけるジエン系グラフト重合体の
自動酸化などによる発火のおそれを除外し、支障なく経
済的にジエン系グラフト重合体のラテックスから噴霧乾
燥によりジエン系グラフト重合体粉体を得る。 【解決手段】 重合体中のブタジエン単位が、10質量
%〜85質量%であるジエン系グラフト重合体ラテック
スを、乾燥機内に噴霧するとともに乾燥機の入口部から
乾燥用加熱ガスとして過熱水蒸気を送り込み、前記ラテ
ックスを乾燥させてジエン系グラフト重合体の粉末を
得、この粉末を乾燥機の出口部より回収するジエン系グ
ラフト重合体粉体の製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジエン系グラフト
重合体粉体の製造方法に関し、詳しくはジエン系重合体
を主成分とする熱可塑性樹脂を製造するにあたり、乳化
重合プロセスにより生成されたラテックスを噴霧乾燥し
て粉末を回収する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】MBS(メチルメタクリレート/ブタジ
エン/スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル/ブタ
ジエン/スチレン)樹脂に代表されるジエン系グラフト
重合体は、耐衝撃性、剛性、流動性に優れるため各種プ
ラスチックの耐衝撃強度改質剤などに幅広く使用されて
いる。これらのジエン系グラフト重合体は、通常乳化重
合により製造されるが、他の樹脂と溶融混練するため、
最終的に乳化重合で得られたラテックスから乾燥粉末と
して回収する必要がある。このような乳化重合で得られ
たラテックスから、重合体を乾燥粉末で回収する方法と
しては、上記ラテックスに凝析剤を加えラテックス中の
重合体粒子を凝集させる凝集方法やラテックスを直接熱
風中で噴霧乾燥する噴霧乾燥方法などが挙げられる。
【0003】しかしながら、上記凝析方法においては、
通常水中で重合体粒子を凝析させるため、重合体を乾燥
粉末として回収するまでには、凝集工程、凝析剤の洗浄
工程や脱水工程、乾燥工程といった工程を必要とし、設
備コストならびに運転管理の観点から問題が多い。これ
に対して、上記噴霧乾燥方法においては、乳化重合後の
ラテックスから一挙に重合体の乾燥粉末を得ることがで
き、製造工程を簡略にできるため、設備コストや運転管
理の観点から工業的に優位な方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな噴霧乾燥方法を、ジエン系グラフト重合体の粉末回
収に用いた場合においては、次のような問題点があっ
た。一般にジエン系重合体は、酸素と熱の存在下では自
動酸化などの反応を起こし発火する性質がある。上記噴
霧乾燥方法においては、ラテックスを乾燥するために用
いる乾燥用加熱ガスに酸素を含む空気を使用するのが一
般的であり、このような環境下でジエン系グラフト重合
体を噴霧乾燥する場合、ジエン系グラフト重合体が自動
酸化などの反応を起こし発火、爆発を引き起こすおそれ
がある。特に噴霧乾燥機を連続運転すると少なからず乾
燥機内にジエン系グラフト重合体の滞留物が蓄積するた
めに、そのおそれが高まる。このような事態を回避する
ためには、ジエン系グラフト重合体の滞留物の滞在時間
を短くする必要があり、そのために頻繁に乾燥機内を洗
浄して滞留物を除去する必要があるが、この作業は著し
く生産性を低下させることになる。このようにジエン系
グラフト重合体を噴霧乾燥する上での最大の課題は、幹
重合体部分のジエン系重合体の自動酸化等による発火防
止である。
【0005】そこで、ジエン系グラフト重合体ラテック
スを、工業的に噴霧乾燥する方法として、特開平2000-0
72882号公報には、ヒンダードフェノール系安定剤、チ
オエーテル系安定剤を、グラフト重合したラテックスに
添加して噴霧乾燥することにより、長時間自動酸化を防
止できる方法が提案されている。この方法により、ジエ
ン系グラフト重合体のラテックスを噴霧乾燥する際の安
全性が従来より格段に向上したが、安定剤のコストがか
かるため経済性にやや課題が残った。このように、ジエ
ン系グラフト重合体ラテックスを支障なく経済的に、噴
霧乾燥する方法は未だ報告されていない。
【0006】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、乾燥機内におけるジエン系グラフト重合体の自動
酸化などによる発火のおそれを除外し、支障なく長期連
続的に、かつ経済的にジエン系グラフト重合体のラテッ
クスから噴霧乾燥によりジエン系グラフト重合体粉体を
得る方法を得ることを目的とする。また、製品の品質面
(粉末特性)に影響を与えることなく、かつ噴霧乾燥方
法におけるジエン系グラフト重合体粉体の生産性を低下
させることなく適正に工業生産することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、噴霧乾燥
時におけるジエン系グラフト重合体の自動酸化を防止す
る方法を検討した結果、噴霧乾燥する際の乾燥用加熱ガ
スに過熱水蒸気を使用することにより、品質、生産性を
低下することなく自動酸化を防ぐことが可能になり、ジ
エン系グラフト重合体ラテックスを長期連続的に噴霧乾
燥できることを見いだした。即ち、本発明のジエン系グ
ラフト重合体粉体の製造方法は、重合体中のブタジエン
単位が10質量%〜85質量%であるジエン系グラフト
重合体ラテックスを乾燥機内に噴霧するとともに、乾燥
機の入口部から乾燥用加熱ガスとして過熱水蒸気を送り
込み、前記ラテックスを乾燥させてジエン系グラフト重
合体の粉末を得、この粉末を出口より回収するものであ
る。上記ジエン系グラフト重合体粉体の製造方法におい
ては、乾燥機出口部付近の水蒸気の分圧を、乾燥機出口
部付近の温度(以下、「出口温度」とする)における飽
和水蒸気圧以下とし、かつ前記出口温度をジエン系グラ
フト重合体ラテックスの最低成膜温度に100℃を加え
た温度以下とすることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のジエン系グラフト重合体の粉末の製造方
法は、ジエン系グラフト重合体のラテックスを、乾燥機
内に噴霧するとともに乾燥機の入口部から乾燥用加熱ガ
スを送り込み、前記ラテックスを乾燥させてジエン系グ
ラフト重合体の粉末とし、この粉末を乾燥機の出口部よ
り回収するものであり、上記乾燥用加熱ガスに過熱水蒸
気を使用するものである。
【0009】上記過熱水蒸気とは、ある圧力下におい
て、その圧力における水の沸点以上の温度に加熱された
水蒸気のことである。このような過熱水蒸気を乾燥用加
熱ガスとして用いれば、過熱水蒸気中に酸素が含まれて
いないのでジエン系グラフト重合体、さらに噴霧乾燥機
内でのその滞留物の酸化を防止することができ、噴霧乾
燥の連続運転が可能になる。また、ジエン系グラフト重
合体との反応性はなく、得られるジエン系グラフト重合
体粉体の品質面に影響を与えることない。また、加熱水
蒸気を使用することにより乾燥に利用した蒸気を再循環
することが可能となり、省エネルギーの面での効果もあ
る。
【0010】また、上記過熱水蒸気に、窒素など酸素を
含有しない他のガスを混合して使用することも可能であ
る。このように過熱水蒸気と他のガスを混合して使用す
る場合は、過熱水蒸気中の水蒸気の凝縮を防止するた
め、混合するガスをあらかじめ予備加熱して、過熱水蒸
気中の水蒸気が凝縮を起こさない程度の温度に調整する
ことが好ましい。また、過熱水蒸気と他のガスを混合す
る方法は、配管中、ノズル中、乾燥機内いずれの箇所で
混合することも可能であり、専用の混合槽、装置を乾燥
機までの配管途中に設けても良い。
【0011】上記ジエン系グラフト重合体の噴霧乾燥方
法においては、上記乾燥機の粉末回収部である出口部付
近における水蒸気の分圧を、そのときの出口温度におけ
る飽和蒸気圧より低くすることが好ましい。
【0012】上記乾燥機の出口部付近における上記水蒸
気の分圧が、そのときの出口温度における飽和蒸気圧を
超えると、出口部付近の過熱水蒸気が凝縮し、ジエン系
グラフト重合体の未乾燥物が発生したり、乾燥機内で結
露が起こる場合がある。また上記過熱水蒸気に他のガス
を混同した加熱ガスを用いる場合においては、乾燥機出
口付近の水蒸気の分圧が、出口温度における飽和水蒸気
圧以下となるように、加熱ガスの混合割合や系内の全圧
を調整する。このような乾燥機の出口付近の水蒸気の分
圧は、出口温度、上記入口部分からの過熱水蒸気の流入
時の風量、及び入口部付近の温度(以下、「入口温度」
とする)等により適宜調整することができる。このよう
にすれば、乾燥機内で過熱水蒸気が凝集することがない
ので、乾燥機内部に結露が生じたり、ジエン系グラフト
重合体の未乾燥物が発生したりすることがない。
【0013】また、上記乾燥機の出口付近の水蒸気の分
圧の条件に加えて、上記出口温度をジエン系グラフト重
合体ラテックスの最低成膜温度(以下「MFT」とす
る)に100℃を加えた温度以下とすることが好まし
い。より好ましくは80℃以下とする。上記出口温度が
MFTに100℃以上加えた温度を超えると、ジエン系
グラフト重合体粉体の表面部分の融着が進行し、溶融混
練時の再分散性が低下する問題が発生し好ましくない。
また上記出口温度はその圧力における水の沸点以上、好
ましくは100℃以上とするのが好ましい。出口温度が
その圧力における水の沸点よりも低いと、水蒸気が凝集
して結露が生じる。また、出口温度を100℃未満とす
ると、水蒸気が凝集しないように出口付近の過熱水蒸気
の圧力を常圧以下にする必要があり、そのための設備を
設ける必要がありコストがかかる。よって、例えばMF
Tが60℃のラテックスの場合、常圧下で乾燥機出口温
度を100〜140℃で運転するのが好ましい。
【0014】このような乾燥機の出口温度は、入口温度
を調整することに制御することができる。上記入口温度
は、乾燥機出口温度が上記範囲内に入るよう、乾燥機内
に流入する過熱水蒸気の風量、また被乾燥物量(ジエン
系グラフト重合体ラテックスの噴霧量)などにより適宜
設定できる。
【0015】ここで、上記ラテックスのMFTとは、ラ
テックスからフイルムを製膜する際に、透明な連続フイ
ルムを形成することが可能な状態になる最低温度のこと
である。即ち、ラテックス粒子表面のガラス転移温度
(以下「Tg」とする)を代表する値である。上記ラテ
ックスのMFTは、以下の測定方法により求めることが
できる。まず、水平に設置しているアルミニウム製板の
両端に加熱、冷却装置を設けることにより、アルミニウ
ム製板に温度勾配を持たせる。次に、温度勾配を持たせ
たアルミニウム製板の上にラテックスを均一に薄く広げ
る。そして、広げたラテックスが透明な連続フィルムを
形成する部分のアルミニウム製板の最低温度を測定し、
これをMFTとしている。
【0016】このように、ジエン系グラフト重合体粉体
の製造方法において、MFTを用いて乾燥機の出口温度
条件を設定することにより、表面が融着せず、良好な粉
末特性を有するジエン系グラフト重合体粉体を得ること
が可能となる。重合体ラテックスから噴霧乾燥により粉
末を得る場合、出口温度をその重合体のガラス転位温度
(Tg)を考慮して規定する方法が提案されているが、
ジエン系グラフト重合体のような多層構造のグラフト重
合体の場合は、単純にTgで粉末が融着する温度条件を
特定することはできない。よって、このようなジエン系
グラフト重合体の場合、MFTを用いて温度条件を設定
することが有効であり、このMFTを基準にして乾燥機
出口の空気温度を設定していることが本発明が特徴とし
ているところである。
【0017】上記ジエン系グラフト重合体粉体の製造方
法に用いるジエン系グラフト重合体は、ブタジエン系重
合体を幹ポリマーとして、これに重合可能な硬質樹脂成
分単量体単位をグラフト重合して枝ポリマーを形成した
ものであれば特に制限はない。ここでブタジエン系重合
体とは、ポリブタジエン、またはブタジエン−スチレン
共重合体、ブタジエン−ブチルアクリレート共重合体、
ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等が挙げられ
る。枝ポリマーを構成する硬質樹脂成分単量体は、乳化
重合に使用できる重合可能な単量体なら特に制限がな
く、いかなる単量体も使用できる。好ましくは、枝ポリ
マーを構成する単量体がメチルメタクリレート、スチレ
ン、アクリロニトリルなどを主成分とし、これらを1種
または2種以上を組み合わせて使用することが好まし
い。
【0018】また、上記ジエン系グラフト重合体として
は、その重合体中にブタジエン単位が10質量%〜85
質量%含まれるものであることが好ましい。上記過熱水
蒸気を用いた重合体粉末の製造方法は、自動酸化が起こ
りやすいジエン系グラフト重合体に用いても、安全に生
産性よく噴霧乾燥を行なえるものである。よって、上記
製造方法は、ブタジエン単位が10質量%以上のジエン
系グラフト重合体において効果が最も発揮し得るもので
ある。またブタジエン単位が85質量%以上のもので
は、噴霧乾燥時の乾燥室内壁への付着が顕著になり、連
続運転が困難になる場合がある。より好ましい上記ジエ
ン系グラフト重合体のブタジエン単位は、20質量%〜
80質量%である。
【0019】上記ジエン系グラフト重合体のラテックス
は乳化重合によって製造されるが、そのときの乳化重合
方法や乳化重合条件に特に制限はなく、従来公知の方法
や条件において製造することができる。好ましくは、噴
霧乾燥する際のラテックス安定性の面から、まずコアと
なるポリブタジエンまたはブタジエン−スチレン共重合
体、ブタジエン−ブチルアクリレート共重合体、ブタジ
エン−アクリロニトリル共重合体ラテックスなどを重合
し、そのコアにメチルメタクリレート、またはスチレ
ン、またはメチルメタクリレート及びスチレン、または
アクリロニトリル及びスチレンなどを1段階または2段
階以上かけてグラフト重合を行なうことが好ましい。
【0020】また、上記ジエン系グラフト重合体のラテ
ックスは、MFTが20℃〜120℃のものが好まし
い。上記MFTが20℃より低い場合は、出口温度を1
00℃以下にする必要があり、結露対策のため系内を常
圧以下にする等設備的に大がかりになる。その上、乾燥
速度も遅く不経済である。120℃より高い場合は、噴
霧乾燥により回収した粉末が粉砕され易く、粒度分布が
広く、耐ブロッキング性などの粉末性能が悪くなり易く
好ましくない。
【0021】さらに上記ジエン系グラフト重合体ラテッ
クスは単独でも良いが、複数のラテックスの混合物であ
っても良い。更には、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比
重等の粉末特性を向上させるためシリカ、タルク、炭酸
カルシウムなどの無機質充填剤や、ポリアクリレート、
ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等を添加し
て噴霧乾燥することもできる。また、噴霧するラテック
スに適当な酸化防止剤や添加剤等を加え噴霧乾燥するこ
ともできる。
【0022】なお、上記ジエン系グラフト重合体粉体の
製造方法においては、乾燥用加熱ガスに過熱水蒸気を使
用した以外は、噴霧乾燥の装置、ラテックスの噴霧方
法、噴霧乾燥条件などは特に制限されるものではない。
例えば、液滴を発生する方法としては、回転円盤型式、
圧力ノズル式、二流体ノズル式、加圧2流体ノズル式な
どいずれのものでも使用できる。また、乾燥機容量も特
に制限がなく、実験室で使用するような小規模なスケー
ルから、工業的に使用するような大規模なスケールまで
いずれにも使用することができる。乾燥機における乾燥
用加熱ガスの供給部である入口部、また乾燥用加熱ガス
および乾燥粉末の排出口である出口部の位置も通常用い
られている噴霧乾燥の装置と同様にされ、特に限定され
るものでない。
【0023】
【実施例】以下実施例にもとづき本発明を説明する。な
お、実施例、比較例中の「部」および「%」は特にこと
わりがない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」
を表すものである。実施例及び比較例における各種の評
価は以下に示す方法で行なった。 1)噴霧乾燥連続運転評価 噴霧乾燥は、小型スプレードライヤー(NIRO JA
PAN株式会社製、直胴部高さ0.8m、直胴部内径
1.5m、回転円盤式アトマイザー)を用い、常圧下で
下記ジエン系グラフト重合体ラテックスの噴霧乾燥を行
なった。 2)最低造膜温度の測定 高林理化(株)製の最低成膜温度測定装置を使用し測定
した。 測定温度は、低温側=20℃、高温側=180℃の条件で測
定した。
【0024】[実施例1〜4 比較例1] (1)ブタジエン系重合体のラテックス(A−1)の合
成 スチレン25部、パラメンタンハイドロパーオキサイド
0.3部、ピロリン酸Na(無水)0.15部、牛脂脂
肪酸カリウム1.5部、ピロリン酸Na(無水)0.1
5部、脱イオン水(以後、単に水と略記とする。)14
0部をオートクレーブ(実用耐圧0.6MpaG)に仕
込んで窒素置換を行なった後、これに1,3ブタジエン
75部を仕込んだ。次いで、得られた混合液を攪拌しな
がら昇温し、45℃になった時点で、硫酸第一鉄七水塩
0.003部、含水結晶葡萄糖0.2部、水10部の混
合物を反応器内に投入し、そのまま60℃まで昇温し
た。次いで、上記溶液における重合転化率が97%にな
った時点で重合を終了した。得られたブタジエンゴム重
合体ラテックス(A−1)の固形分は40%であった。
【0025】(2)グラフト重合体ラテックス(A−
2)の合成 上記ブタジエンゴム重合体ラテックス(A−1)583
部(固形分として233部)、水85部、牛脂脂肪酸カ
リウム5.0部を反応器に仕込み、窒素置換した後、ナ
トリウムホルムアルデヒドスルホキシレート二水和物
0.3部を添加し、内温を70℃に昇温した。次いで、
メチルメタクリレート28部、エチルアクリレート7
部、クメインハイドロパーオキサイド0.15部の混合
物を30分かけて連続添加し100分保持した。次い
で、スチレン55部、クメインハイドロパーオキサイド
0.20部の混合物を100分かけて連続添加し、12
0分保持した。次いで、メチルメタクリレート10部、
クメインハイドロパーオキサイド0.05部の混合物を
30分かけて連続添加し120分保持し重合を終了し
た。得られたグラフト重合体ラテックス(A−2)を噴
霧乾燥連続運転評価を行なった。連続運転後の噴霧乾燥
機内滞留物の観察結果を表1及び表2に示す。
【0026】[実施例5 比較例2] (1)ブタジエン系重合体のラテックス(B−1)の合
成 水150部、ロジン酸カリウム1部、オレイン酸カリウ
ム1部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
二水和物0.4部、硫酸ナトリウム0.1部、t−ドデ
シルメルカプタン0.3部、ジイソポロピルベンゼンハ
イドロパーオキサイド0.5部、1,3−ブタジエン2
6.2部、およびスチレン1.4部を、オートクレーブ
(実用耐圧0.6MpaG)に仕込み57℃に昇温し
た。昇温途中ピロリン酸ナトリウム(10水和物)0.
2部、硫酸第一鉄七水塩0.003部を添加し重合を開
始した。次いで、重合温度が57℃に達した時点で、
1,3−ブタジエン68.8部およびスチレン3.6部
からなる単量体を連続滴下した。次いで、重合転化率が
40%に達した時点でn−オクチルメルカプタン0.3
部添加し、さらに重合を継続した。8時間後残存1,3
−ブタジエンを除去し重合を終了した。得られたブタジ
エン系重合体ラテックスの固形分は40.2%、重合転
化率が97%であった。
【0027】(2)酸基含有重合体ラテックス(B−
2)の製造 水3000部、オレイン酸カリウム30部、ジオクチル
スルホコハク酸ナトリウム15部およびナトリウムホル
ムアルデヒドスルホキシレート4.5部を反応器に仕込
み、60℃に昇温し、その時点から、アクリル酸−ブチ
ル1275部、メタクリル酸225部およびクメンハイ
ドロパーオキサイド6.0部からなる混合物を120分
かけて連続的に滴下した後、さらに2時間熟成を行い、
重合転化率が98%で、質量平均粒子径が0.08μm
の酸基含有重合体ラテックス(B−1)を得た。
【0028】(3)ゴム状重合体ラテックス(B−3)
の製造 反応器に、ブタジエン系重合体ラテックス(B−1)2
489部(ゴム状重合体として1000部)を入れ、次
いで、攪拌下で上記の酸基含有重合体ラテックス(B−
2)61部(固形分として20部)を添加した後、引き
続き30分間攪拌し、質量平均粒子径が0.28μm、
固形分が40.7%の肥大化されたゴム状重合体ラテッ
クス(B−3)を得た。
【0029】(4)グラフト重合体ラテックス(B−
4)の合成 水1500部、上記のゴム状重合体ラテックス(B−
3)2500部(ゴム状重合体として1000部)、デ
キストローズ6.0部、ピロリン酸ナトリウム(無水)
1.0部および硫酸第一鉄七水塩0.1部を反応器に仕
込み、窒素置換した後60℃に昇温し、アクリロニトリ
ル300部、スチレン700部、t−ドデシルメルカプ
タン12.0部およびクメインハイドロパーオキサイド
3.0部からなる単量体混合物を200分かけて滴下
し、その間、内温が65℃になる様にコントロールし
た。滴下終了後クメインハイドロパーオキサイド1.2
部を添加し、さらに70℃で1時間保持し、老化防止剤
(川口化学工業(株)製、アンテージW−400)10
部を添加した後、冷却した。重合転化率は97%であっ
た。得られたグラフト重合体ラテックス(B−4)を噴
霧乾燥連続運転評価を行なった。連続運転後の噴霧乾燥
機内滞留物の観察結果を表1に示す。
【0030】[実施例6 比較例3] (1)ブタジエン系重合体ラテックスの製造(C−1)
の合成 水140部、牛脂脂肪酸カリウム1.0部、ラウロイル
ザルコシンナトリウム0.5部、ピロリン酸Na(無
水)0.15部をオートクレーブ(実用耐圧0.6Mp
aG)に仕込み、窒素置換した後、1,3ブタジエン5
0部、ブチルアクリレート50部、ジイソプロピルベン
ゼンヒドロパーオキサイド0.24部を仕込み、攪拌し
ながら昇温し50℃に昇温した。次いで、硫酸第一鉄七
水塩0.003部、含水結晶葡萄糖0.2部、水10部
の混合物を反応器内に投入し、そのまま60℃まで昇温
した。次いで、重合転化率が98%になった時点で重合
を終了した。得られたブタジエン系重合体ラテックスの
固形分は40.5%であった。
【0031】(2)酸基含有重合体ラテックス(C−
2)の製造 水200部、オレイン酸カリウム2部、ジオクチルスル
ホコハク酸ナトリウム1部およびナトリウムホルムアル
デヒドスルホキシレート0.3部を反応器に仕込み、6
0℃に昇温し、その時点から、アクリル酸−ブチル85
部、メタクリル酸15部およびクメンハイドロパーオキ
サイド0.4部からなる混合物を120分かけて連続的
に滴下した後、さらに2時間熟成を行い、重合転化率が
98%である酸基含有重合体ラテックス(C−2)を得
た。
【0032】(3)ゴム状重合体ラテックス(C−3)
の製造 反応器に、ブタジエン系重合体ラテックス(C−1)2
48.9部(ゴム状重合体として100部)を入れ、次
いで、攪拌下で上記の酸基含有重合体ラテックス(C−
2)6.1部(固形分として2.0部)を添加した後、
引き続き30分間攪拌し、固形分が40.7%の肥大化
されたゴム状重合体ラテックス(C−3)を得た。
【0033】(4)グラフト重合体(C−4)の製造 水1500部、上記のゴム状重合体ラテックス(C−
3)2500部(ゴム状重合体として1000部)、デ
キストローズ6.0部、ピロリン酸ナトリウム1.0部
および硫酸第一鉄七水塩0.1部を反応器に仕込み、窒
素置換した後60℃に昇温し、メチルメタクリレート3
80部、メチルアクリレート20部、t−ドデシルメル
カプタン0.25部およびクメインハイドロパーオキサ
イド0.075部からなる単量体混合物を200分かけ
て滴下し、その間、内温が65℃になる様にコントロー
ルした。滴下終了後、さらに70℃で1時間保持し、老
化防止剤(川口化学工業(株)製、アンテージW−40
0)1部を添加した後、冷却した。重合転化率は98%
であった。得られたグラフト重合体ラテックス(C−
4)を噴霧乾燥連続運転評価を行なった。連続運転後の
噴霧乾燥機内滞留物の観察結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】表1及び表2に示す結果より、本発明の実
施例においては、ジエン系グラフト重合体の滞留物の自
動酸化がみられないことがわかった。これに対して、比
較例においては、滞留物物に自動酸化がみられた。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のジエン系
グラフト重合体粉体の製造方法によれば、ラテックスに
安定剤等を添加することなく、乾燥機内におけるジエン
系グラフト重合体の自動酸化による発火を防ぐことがで
き、支障なく経済的にジエン系グラフト重合体のラテッ
クスから噴霧乾燥によりジエン系グラフト重合体粉体を
得ることができる。また、ジエン系グラフト重合体の滞
留物の自動酸化のおそれが少ないことから連続運転が可
能になりジエン系グラフト重合体粉体の生産性を向上さ
せることができる。
【0038】また本発明において、ジエン系グラフト重
合体粉体の回収部である乾燥機の出口付近の水蒸気圧を
調整することによって、乾燥用加熱ガスとして水蒸気を
用いても、乾燥機内で水蒸気が凝集して結露が生じるこ
となく、ジエン系グラフト重合体ラテックスを乾燥させ
てその粉末を得ることができる。また、同時に上記出口
部の温度をジエン系グラフト重合体のMFTを規準とし
て調整することによって、粉末表面が融着することな
く、粉末特性に優れたジエン系グラフト重合体粉体を得
ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合体中のブタジエン単位が、10質量
    %〜85質量%であるジエン系グラフト重合体ラテック
    スを、乾燥機内に噴霧するとともに乾燥機の入口部から
    加熱水蒸気を送り込み、前記ラテックスを乾燥させてジ
    エン系グラフト重合体の粉末を得、この粉末を乾燥機の
    出口部より回収することを特徴とするジエン系グラフト
    重合体粉体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記乾燥機出口部付近の水蒸気の分圧
    が、乾燥機出口部付近の温度における飽和水蒸気圧以下
    であり、かつ前記乾燥機出口部付近の温度がジエン系グ
    ラフト重合体ラテックスの最低成膜温度に100℃を加
    えた温度以下であることを特徴とする請求項1に記載の
    ジエン系グラフト重合体粉体の製造方法。
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