JPH07173217A - 樹脂粉末の製法 - Google Patents

樹脂粉末の製法

Info

Publication number
JPH07173217A
JPH07173217A JP31812193A JP31812193A JPH07173217A JP H07173217 A JPH07173217 A JP H07173217A JP 31812193 A JP31812193 A JP 31812193A JP 31812193 A JP31812193 A JP 31812193A JP H07173217 A JPH07173217 A JP H07173217A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slurry
weight
coagulated
basic substance
adjusted
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31812193A
Other languages
English (en)
Inventor
Joseph Leon Betz
ヨゼフ レオン ベッツ
Ryuichi Takagi
龍一 高木
Riichi Nishimura
理一 西村
Akira Takagi
彰 高木
Toshihiko Hasegawa
俊彦 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Belgium NV
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kaneka Belgium NV
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Belgium NV, Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kaneka Belgium NV
Priority to JP31812193A priority Critical patent/JPH07173217A/ja
Publication of JPH07173217A publication Critical patent/JPH07173217A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高分子ラテックスからえられる樹脂粉末中の
残存夾雑物の量をへらすとともに、熱安定性の良好な樹
脂粉末を、通常の製造工程の操作で製造する。 【構成】 高分子ラテックスより樹脂粉末を製造するに
際して、高分子ラテックスに凝固剤を加えてpH6未満
の凝固スラリーにしたのち50〜125 ℃の温度条件下にお
いて加熱処理して凝固粒子を固化させついで凝固スラリ
ーに塩基性物質を添加することにより、または凝固スラ
リーを脱水してえられた脱水ケーキを塩基性物質を含む
溶液でスラリーに戻すことにより、pHを6以上に調整
した凝固スラリーにしたのち、該凝固スラリーに酸性物
質を添加してまたは凝固スラリーを脱水してえられた脱
水ケーキを酸性物質を含む溶液でスラリーに戻すことに
よりpHを5.5 以下に調整することを特徴とする樹脂粉
末の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は樹脂粉末の製法に関す
る。さらに詳しくは、高分子ラテックスより樹脂粉末を
製造するに際して、無機塩類、酸類などにより高分子ラ
テックスを凝固させたのちの凝固スラリーを加熱処理し
て凝固粒子を固化させたのち、塩基性物質で処理してp
Hが6以上、好ましくは7以上、さらに好ましくは10以
上に調整した凝固スラリーとし、ついで酸性物質でpH
を5.5 以下に調整することを特徴とする、乳化剤などの
夾雑物が著しく少なく、成形品にしたばあいの熱安定
性、透明性、テインティング(味覚試験)などの物性が
きわめて良好な樹脂粉末の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子ラテックスから樹脂粉末を回収す
るばあい、無機塩類、酸類などの凝固剤により高分子ラ
テックスを凝固させて樹脂粉末をうる方法が一般的であ
る。
【0003】この方法では、まず高分子ラテックスを凝
固剤水溶液と接触させて凝固スラリーにしたのち、加熱
昇温して凝固粒子を固化させ、脱水、洗浄したのち乾燥
させて樹脂粉末をうるという一連の操作がとられる。
【0004】この方法についてこれまでに種々のプロセ
スが検討されており、たとえば凝固剤雰囲気中に高分子
ラテックスを液滴状に分散させて凝固させることによ
り、粒径の調整された微粉のきわめて少ない球形の粒子
をうる方法(特開昭53-30647号公報)や、緩凝析により
実質的に球形の凝固粒子を製造する方法(特開昭60-217
224 号公報)など、様々な技術が提案されている。
【0005】これらの方法により製造される樹脂粉末と
しては、MBS樹脂粉末に代表される塩化ビニル樹脂の
耐衝撃性改良用樹脂粉末やアクリル系の塩化ビニル樹脂
加工性改良用樹脂粉末が代表例としてあげられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記のごとき凝固法に
よるばあい、前記の製造プロセスの性格上、乳化剤や重
合開始剤などの重合助剤や、未重合の単量体、凝固剤な
どが最終製品中に残存しやすく、残存する夾雑物による
品質面への影響がたびたび問題となっている。
【0007】たとえば、樹脂粉末中に残存する乳化剤な
どの夾雑物は、たとえば塩化ビニル樹脂に該樹脂粉末を
配合したものからの成形品の熱安定性、透明性などの外
観がわるくなる原因となる。また、押出成形時のダイ出
口の析出物の原因となったり、成形時の発煙などによる
成形品品質の低下や、作業環境の悪化などの問題を惹き
起こしたりもする。さらに、これら改質用樹脂粉末を配
合した塩化ビニル樹脂組成物は食品包装用途にも広く使
用されており、たとえば飲料水用ボトルに使用する際の
重要な物性であるテインティングについても、樹脂粉末
中の残存夾雑物が問題の原因であることが知られてい
る。
【0008】以上のように、樹脂粉末中の残存夾雑物の
含有量を可能な限り減らしておくことが望ましく、この
目的にかなった樹脂粉末の製造技術は、産業上きわめて
意義深いものであり、これまで樹脂粉末中の残存夾雑物
を低減する種々の製法が提案されている。
【0009】たとえば、特公平3-24486 号公報には、ブ
タジエン、メタクリル酸メチルおよびスチレンからなる
熱可塑性樹脂ラテックスを凝固させて熱可塑性樹脂粉末
を製造するに際して、ある特定範囲の温度条件下におい
て凝固操作を行ない、えられた凝固スラリーにある特定
範囲の温度条件下で塩基性物質を添加して凝固スラリー
のpHを初期よりも0.1 以上高くし、かつ全体のpHを
6.0 以下になるように調整することを特徴とする製造方
法であって、洗浄工程を必要としない製造方法が提案さ
れている。
【0010】しかし、この方法によって製造された樹脂
粉末は、スラリーのpH調整が6.0以下と制限されてお
り、かつ酸性物質による処理を施さないため、なお効果
が不充分であり、中期、長期の熱安定性が充分ではな
い。
【0011】また、特公昭49-41334号公報には、塩化ビ
ニル樹脂改質用樹脂ラテックスを凝固させた凝固スラリ
ーのpHを7〜13に調整することにより、熱安定性にす
ぐれた塩化ビニル樹脂改質用樹脂粉末を製造する方法が
提案されている。
【0012】しかし、この方法では凝固スラリーが塩基
性条件下に置かれるために、一旦凝固した粒子の凝固状
態を維持するのが困難となり、凝固粒子の崩壊、再乳化
による微粒子の発生や濾布の目詰まりなどの製造工程上
の問題が生じる。また、MBS樹脂粉末のようにジエン
系モノマー、とくにブタジエンをその単量体成分として
含有する樹脂粉末のばあい、このように高いpH条件下
で処理したものからの樹脂粉末では樹脂粉末の酸化がお
こりやすくなり、乾燥工程などにおける酸化発熱による
火災事故などの危険性が増加し、製造時の安全性という
観点から好ましくない。つまり、乳化剤などの残存夾雑
物を充分に除去し、同時に製造時の安全性が高く、製造
工程上の問題がない樹脂粉末の製造技術は現在までのと
ころ確立されていない。
【0013】本発明は、高分子ラテックスより樹脂粉末
を製造するに際して、樹脂粉末中の乳化剤などの夾雑物
の残存量を充分に低減させ、同時に前記のごとき製造上
の諸問題を解決する樹脂粉末の製造技術を確立するため
になされたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、樹脂粉末
の製造時の安全性が高く、製造工程上の問題がなく、樹
脂粉末中に残存する乳化剤などの夾雑物の含有量を可能
な限り減らすための製造技術を確立すべく鋭意検討を行
なった結果、高分子ラテックスを通常の方法により凝固
させた凝固スラリーを特定の温度条件下において加熱処
理して凝固粒子を固化させたのち、この凝固粒子を特定
範囲のpH条件下におくように塩基性物質で処理し、つ
いで、特定範囲のpH条件下におくように酸性物質で処
理するという一連の操作によって樹脂粉末を製造するば
あいには前記の諸問題を解決する上で特異的に効果があ
ること、すなわち、かかる製造方法により製造された樹
脂粉末中の残存乳化剤などの夾雑物の含有量が著しく低
減し、えられた樹脂粉末をたとえば塩化ビニル樹脂に配
合した組成物からの成形品の熱安定性、透明性、テイン
ティングなどの物性がきわめてすぐれており、しかも製
造時の安全性が高く、製造工程上の作業性を全く損うこ
となく製造することが可能となることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0015】すなわち、本発明は、高分子ラテックスよ
り樹脂粉末を製造するに際して、高分子ラテックスに凝
固剤を加えてpH6未満の凝固スラリーにしたのち50〜
125℃の温度条件下において加熱処理して凝固粒子を固
化させ、ついで凝固スラリーに塩基性物質を添加するこ
とにより、または凝固スラリーを脱水してえられた脱水
ケーキを塩基性物質を含む溶液でスラリーに戻すことに
より、pHを6以上、好ましくは7以上、さらに好まし
くは10以上に調整した凝固スラリーにしたのち、該凝固
スラリーに酸性物質を添加してまたは凝固スラリーを脱
水してえられた脱水ケーキを酸性物質を含む溶液でスラ
リーに戻すことによりpHを5.5 以下に調整することを
特徴とする樹脂粉末の製法に関する。
【0016】
【実施例】本発明の対象となりうる高分子ラテックスと
しては、たとえば以下のものがあげられる。
【0017】ジエン系またはアクリル酸エステル系の
ゴム状重合体に、芳香族ビニル、ハロゲン化ビニル、メ
タクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン
化ビニルから選ばれた少なくとも1種からなるビニル基
含有化合物をグラフト重合させてえられたグラフト共重
合体のラテックス。たとえば、芳香族ビニル0〜50%
(重量%、以下同様)、ジエン系モノマー、とくにブタ
ジエン50〜100 %、好ましくは65〜100 %およびこれら
と共重合可能な単量体0〜10%からなる共重合体20〜85
部(重量部、以下同様)、好ましくは40〜75部に、アク
リル酸エステル0〜50%、メタクリル酸エステル0〜10
0 %、芳香族ビニル0〜90%およびこれらと共重合可能
な単量体0〜20%からなる単量体80〜15部、好ましくは
60〜25部(合計100 部)を、1段または2段以上、好ま
しくは2段以上にわけて追加してグラフト重合させてえ
られる共重合体(MBS樹脂)のラテックス。
【0018】メタクリル酸メチル50〜100 %、炭素数
2〜8個のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル0
〜50%、アクリル酸エステル0〜40%およびこれらと共
重合可能な単量体0〜20%よりなる共重合体のラテック
ス。
【0019】メタクリル酸メチル、アクリル酸エステ
ル、芳香族ビニルおよび置換芳香族ビニルの少なくとも
1つの単量体の80〜100 %とこれらと共重合可能な単量
体0〜20%とからなる共重合体成分0〜70部と、炭素数
2〜8個のアルキル基を有するアクリル酸アルキル20〜
100 %、芳香族ビニル0〜80%、置換芳香族ビニル0〜
40%およびこれらと共重合可能な単量体0〜20%からな
る共重合体成分100 〜30部(合計100 部)よりなる共重
合体のラテックス。
【0020】前記のラテックスにおけるジエン系また
はアクリル酸エステル系のゴム状重合体の具体例として
は、たとえばポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴ
ム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(N
BR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体ゴ
ム(EPDM)、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル
酸エチル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシルおよびこ
れらアクリル酸エステルの共重合体ゴムなど、ビニル基
含有化合物である芳香族ビニル、ハロゲン化ビニル、メ
タクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン
化ビニルの具体例としては、それぞれたとえばスチレ
ン、α−メチルスチレンなど、塩化ビニル、臭化ビニ
ル、フッ化ビニルなど、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t
−ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなど、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ベンジ
ル、アクリル酸シクロヘキシルなど、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどがあげられる。
【0021】また、前記のラテックスの具体例に記載
のジエン系モノマー、これらと共重合可能な単量体の具
体例としては、それぞれたとえばブタジエン、イソプレ
ン、ブロモプレン、クロロプレンなど、アクリル酸n−
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、スチレンなど
があげられる。
【0022】前記のラテックスの具体例としては、た
とえばMBS樹脂ラテックスの他、ABS樹脂ラテック
ス、アクリル系耐候性耐衝撃性改良用樹脂ラテックスな
どがあげられる。
【0023】また、前記のラテックスにおける炭素数
2〜8個のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル、
アクリル酸エステルおよびこれらと共重合可能な単量体
の具体例としては、それぞれたとえばメタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチ
ル、メタクリル酸シクロヘキシルなど、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリ
ル酸2−エチルヘキシルなど、スチレン、α−メチルス
チレン、アクリロニトリルなどがあげられる。
【0024】前記のラテックスの具体例としては、た
とえばアクリル系加工助剤ラテックスなどがあげられ
る。
【0025】さらに、前記のラテックスにおいて0〜
70部の共重合体成分を構成するアクリル酸エステル、芳
香族ビニル、置換芳香族ビニルおよびこれらと共重合可
能な単量体の具体例としては、それぞれたとえばアクリ
ル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチルなど、スチレンなど、α−メチルスチレ
ンなど、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリ
シジル、アクリロニトリルなどがあげられる。
【0026】前記のラテックスにおいて100 〜30部の
共重合体成分を構成する炭素数2〜8個のアルキル基を
有するアクリル酸アルキル、芳香族ビニル、置換芳香族
ビニルおよびこれらと共重合可能な単量体の具体例とし
ては、それぞれたとえばアクリル酸エチル、アクリル酸
n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど、
スチレンなど、α−メチルスチレンなど、メタクリル酸
n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸ラ
ウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジ
ル、アクリロニトリルなどがあげられる。
【0027】本発明においては、前記高分子ラテックス
から樹脂粉末を製造する際に、まず、高分子ラテックス
に凝固剤を加えることによって高分子ラテックスがpH
6未満の凝固スラリーにかえられる。
【0028】前記凝固剤としては通常使用されているも
のを用いることができ、たとえば塩化ナトリウム、塩化
カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マ
グネシウム、硫酸アルミニウムなどの無機塩類や、硫
酸、塩酸、リン酸、酢酸などの酸類などが用いられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよ
い。
【0029】凝固剤の使用量、使用方法などについても
特別な限定はなく、通常の使用量、通常の使用方法にし
たがって使用すればよい。
【0030】えられた凝固スラリーは、そののち50〜12
5 ℃で加熱処理して凝固粒子を固化させたのちに塩基性
物質を添加することによって、または50〜125 ℃で加熱
処理して凝固粒子を固化したのちに凝固スラリーを脱水
してえられた脱水ケーキを塩基性物質を含む溶液でスラ
リーに戻すことによって、pHを6以上に調整した凝固
スラリーにされる。
【0031】前記凝固スラリーを加熱処理する好ましい
温度は用いる高分子ラテックスの種類によって若干異な
っており、たとえば前記の高分子ラテックスのばあい
には、50〜95℃が好ましく、の高分子ラテックスのば
あいには、85〜125 ℃が好ましく、の高分子ラテック
スのばあいには、50〜95℃が好ましい。
【0032】加熱処理温度がそれぞれ前記温度範囲の下
限よりも低いばあいには、こののち塩基性物質を用いて
処理したばあいに一旦凝固した粒子の凝固状態を維持す
るのが困難になる傾向が生じ、凝固粒子の崩壊、再乳化
による微粒子の発生や濾布の目詰まりなどが生じやすく
なり、製造工程における操作が困難になるなどの問題が
生じやすくなる。また、加熱処理温度がそれぞれ前記温
度範囲の上限よりも高いばあいには、凝固粒子が完全に
融着固化してしまう傾向が生じ、そののち塩基性物質を
用いて処理しても乳化剤などの残存夾雑物を洗浄により
少なくする効果が期待できにくくなる。
【0033】加熱処理したのち前記凝固スラリーをpH
6以上に調整するために使用される塩基性物質の具体例
としては、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウ
ム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、アンモニアな
どがあげられる。
【0034】本発明における塩基性物質による凝固スラ
リーのpHの調整は、加熱処理後のスラリーを一旦脱水
してえられた脱水ケーキを塩基性物質を含む溶液、たと
えば0.001 〜10%程度の水酸化ナトリウム水溶液などに
よりスラリーに戻す方法が、乳化剤などの残存夾雑物を
洗浄により少なくする効果の点から好ましいが、塩基性
物質を加熱処理後のスラリーへ直接添加する方法でもよ
い。しかしながら、いずれのばあいも塩基性物質を添加
したのちのスラリーのpHが6以上であることが乳化剤
などの残存夾雑物を洗浄により少なくする効果の点から
重要であり、さらにすぐれた洗浄効果をうる点から好ま
しくはpH7以上、さらに一層すぐれた洗浄効果をうる
点から好ましくはpH10以上である。塩基性物質を添加
したのちのスラリーのpHが6を下回るばあいには、乳
化剤などの残存夾雑物の除去効果が不充分となり、かか
る方法により製造された樹脂粒子をたとえば塩化ビニル
樹脂に配合した組成物からの最終製品の熱安定性、透明
性、テインティングなどの物性の改良効果が充分期待で
きない。
【0035】本発明においては塩基性物質による処理に
引続き、酸性物質が添加され、pHが5.5 以下、さらに
は4以下になるように調整される。
【0036】前記酸性物質の具体例としては、たとえば
硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、酢酸、炭酸などがあげられ
る。
【0037】前記酸性物質の添加は塩基性物質を用いた
処理後のスラリーへの直接添加でもよく、また塩基性物
質を用いた処理後のスラリーを一旦脱水してえられた脱
水ケーキを酸性物質を含む溶液、たとえば0.001 〜10%
程度の塩酸水溶液などによりスラリーに戻してもよい
が、いずれのばあいも酸性物質を添加したのちのスラリ
ーのpHが5.5 以下であることが重要である。
【0038】このような酸処理を施すことにより単に塩
基性物質を用いた処理だけのばあいと比較して熱安定性
が著しく改良される。また、この酸処理を行なわないと
凝固粒子のpHが高い状態のまま乾燥などの工程に進む
ことになり、たとえばこのようにpHの高い条件下で処
理した凝固粒子が前述のの具体例としてあげたMBS
樹脂粉末のばあいのようにジエン系モノマー、とくにブ
タジエンをその単量体成分として含有するばあいには、
酸化発熱しやすくなるため、火災、爆発などの危険性が
増大し、製造時の安全性の観点からも酸処理を行なうこ
とが望ましい。
【0039】酸性物質を添加したのちのスラリーのpH
が4以下のばあいには、製造時の安全性および最終製品
の中期、長期の熱安定性の点からさらに好ましい。
【0040】本発明の製法によって高分子ラテックスか
ら製造された樹脂粉末は、樹脂粉末中の乳化剤などの夾
雑物の残存量が著しく低減されているため、これをたと
えば塩化ビニル樹脂に配合した組成物からの製品の熱安
定性、透明性、テインティングなどの物性が著しく向上
する。さらに、酸処理を施すことにより単に塩基処理だ
けのばあいと比較して樹脂粉末の熱安定性が著しく改良
される。
【0041】以下に、発明の製法を実施例に基づいて説
明する。
【0042】実施例1 耐圧重合機に水200 部、オレイン酸ソーダ1.5 部、硫酸
第1鉄(FeSO4 ・7H2 O)0.002 部、エチレンジ
アミンテトラアセティックアシッド・2Na塩0.005
部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ソーダ0.2 部、
リン酸三カリウム0.2 部、ブタジエン71部、スチレン29
部、ジビニルベンゼン1.0 部およびジイソプロピルベン
ゼンハイドロパーオキサイド0.1 部を仕込み、通常の方
法により重合させて共重合体のラテックスをえた。この
ラテックス210 部(固形分70部)に水200 部、硫酸第1
鉄0.002 部、エチレンジアミンテトラアセティックアシ
ッド・2Na塩0.004 部、ホルムアルデヒドスルフォキ
シル酸ソーダ0.1 部を添加し、これに70℃でスチレン15
部、メタクリル酸メチル15部、クメンハイドロパーオキ
サイド0.1 部の混合液を連続追加して重合した共重合体
のラテックスをえた。
【0043】えられたラテックスを10%塩酸を用いて凝
固させて凝固スラリーをえた。このとき、スラリーの温
度は40℃、pHは1.2 であった。
【0044】つぎに、該凝固スラリーを60℃に昇温して
5分間凝固粒子を固化させたのち、脱水して脱水ケーキ
をえた。えられた脱水ケーキを0.005 %水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いてスラリーに戻してpHが10.1のスラリ
ーにしたのち脱水し、えられた脱水ケーキを0.01%塩酸
を用いてスラリーに戻してpHが3.0 のスラリーにし
た。このとき、スラリー温度は40℃であった。そのの
ち、該スラリーを遠心脱水、水洗し、充分乾燥させて樹
脂粉末をえた。
【0045】えられた樹脂粉末を用いて残存夾雑物の定
量、製造時安全性および塩化ビニル樹脂に配合した組成
物からの成形品の物性の評価を下記の方法で行なった。
結果を表1に示す。
【0046】なお、以下にあげる表中の略号はつぎの通
りである。
【0047】St:スチレン Bd:ブタジエン MMA:メタクリル酸メチル EA:アクリル酸エチル BA:アクリル酸n−ブチル (残存夾雑物の定量)えられた樹脂粉末5gを純水50ml
と混合し、140 ℃で90分間煮沸して樹脂中の夾雑物を水
蒸気蒸留により分離し、冷却後夾雑物を含む留分をジク
ロルメタンと接触させて夾雑物を抽出した。以上の操作
はクロムパック(Chrompack) 社製の装置を用いて連続的
に行なった。えられた抽出液よりガスクロマトグラフィ
ーにより夾雑物を定量した。
【0048】なお、表1には残存夾雑物の量の代表値と
して残存乳化剤の量を示している。
【0049】(製造時安全性)樹脂の酸化発熱に伴う製
造時の安全性低下に関して、示差熱分析(DTA)によ
る樹脂の発熱反応開始温度と170 ℃下における酸素吸収
誘導期が酸化発熱のしやすさの指標となることがわかっ
ているので、これらを評価して製造時の安全性の指標と
して相対的にA〜Eで安全性の序列を判定した。
【0050】なお、Aは酸化しがたく、きわめて安全で
ある、Bは通常の操業条件で酸化発熱することはなく安
全である、Cは工程内の付着樹脂など、長時間にわたり
高温条件下に滞留したばあいは酸化発熱する危険性があ
る、Dは酸化しやすく通常の操業条件下で発熱、発火す
る危険性が高い、Eはきわめて酸化しやすく、通常の操
業条件下で常に発熱、発火の危険性を伴う、を示す。
【0051】具体的な測定法としては、発熱開始温度は
島津製作所(株)製のThermal AnalyzerDT−30を用い
て、毎分10℃の昇温速度で発熱開始温度を求めた。
【0052】また、酸素吸収誘導期は、170 ℃下におい
て樹脂の酸素吸収が開始するまでの時間を測定した。
【0053】(塩化ビニル樹脂組成物からの成形品の物
性)塩化ビニル樹脂(平均重合度660 )100 部、大豆油
のエポキシ化物(旭電化工業(株)製のアデカサイザー
O−130 P)1.5 部、ステアリン酸亜鉛0.14部、ステア
リン酸カルシウム0.16部、脂肪酸のポリオールエステル
(ヘンケル社製のLoxiolG−M)1.2 部、酸化ポリエチ
レンワックス(アライドケミカル社製のA−C316 A)
0.3 部および前記樹脂粉末10部を配合して調製した組成
物を用いて以下の試験を行なった。
【0054】A 透明性および散乱性 8インチロールを用いて170 ℃で5分間混練後、170 ℃
で15分間プレスを行なって作製した厚さ5mmの板を使
用して全光線透過率(%)および散乱光の割合(%)を
測定した。
【0055】B 熱安定性 8インチロールを用いて170 ℃で5分間混練したのち作
製した厚さ0.5 mmのシートを175 ℃のオーブン中に設
置し、熱によるシートの変色の程度を経時的に(初期、
中期、長期の3回)目視観察して熱安定性を判定した。
熱安定性の良好な順番にA、B、C、D、Eとした。
【0056】なお、初期はオーブンに入れる前、中期は
オーブン中に設置して1時間経過後、長期は2時間半経
過後のことである。
【0057】また、Aは変色がほとんどない状態、Bは
若干の黄変色が認められる状態、Cは黄変色が進んで茶
色に近く、明らかに実用上問題になると思われる状態、
Dは黒変し始め茶褐色になった状態、Eは完全に黒化し
た状態をそれぞれ示す。
【0058】実施例2 実施例1において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを7.2 、そののちの塩酸による処理のpH
を4.0 にした以外は実施例1と同様にして評価した。結
果を表1に示す。
【0059】実施例3 実施例1において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを6.2 にした以外は実施例1と同様にして
評価した。結果を表1に示す。
【0060】実施例4 実施例1において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを7.2 、そののちの塩酸による処理のpH
を5.5 にした以外は実施例1と同様にして評価した。結
果を表1に示す。
【0061】実施例5 実施例1において使用した水酸化ナトリウム水溶液のか
わりに0.005 %水酸化カリウム水溶液を使用し、水酸化
カリウム水溶液による処理のpHを10.2にした以外は実
施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0062】実施例6 実施例1において使用した水酸化ナトリウム水溶液のか
わりに0.05%リン酸カリウム水溶液を使用し、リン酸カ
リウム水溶液による処理のpHを9.6 にした以外は実施
例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0063】比較例1 実施例1において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理を行なわず、10%塩酸により凝固させたもの(p
H1.2 )を通常の方法で水洗したのち、乾燥させて樹脂
粉末をえ、実施例1と同様にして評価した。結果を表1
に示す。
【0064】比較例2 実施例1において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを5.6 にした以外は実施例1と同様にして
評価した。結果を表1に示す。
【0065】比較例3 実施例1において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを6.0 とし、そののちの塩酸による処理を
行なわずに乾燥させて樹脂粉末をえ、実施例1と同様に
して評価した。結果を表1に示す。
【0066】比較例4 実施例1において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを10.2とし、そののちの塩酸による処理を
行なわずに乾燥させて樹脂粉末をえ、実施例1と同様に
して評価した。結果を表1に示す。
【0067】比較例5 実施例1において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを10.0、そののちの塩酸による処理のpH
を6.0 にした以外は実施例1と同様にして評価した。結
果を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1中の比較例1はほぼ従来の製法に該当
するものである。
【0070】表1から、実施例はいずれも従来の製法と
比較して残存乳化剤量が著しく減少し、透明性、熱安定
性が各段に改善されていることがわかる。さらに、製造
安全性においても一様にすぐれたレベルであるといえ
る。
【0071】これに対して、比較例1、2はともに残存
乳化剤量が多く、夾雑物の除去が不充分で、透明性、熱
安定性が相対的に劣っていることがわかる。
【0072】また、比較例3〜5は水酸化ナトリウム水
溶液による洗浄効果が認められ、残存乳化剤量は充分に
低減しているが、そののちの酸処理を行なっていないま
たは不充分であるため、中期、長期の熱安定性が劣り、
同時に製造時の安全性も低下することがわかる。
【0073】つぎに使用する高分子ラテックスの種類を
変えて評価した。
【0074】実施例7 オレイン酸ソーダ1.5 部、過硫酸カリウム0.1 部を水20
0 部に溶解させたものに、メタクリル酸メチル80部とア
クリル酸エチル10部とからなる単量体混合物を5時間か
けて追加して重合させたのち、メタクリル酸メチル10部
を連続追加して重合させた。えられた共重合体ラテック
スを10%塩酸を用いて通常の方法で凝固させて凝固スラ
リーとした。このときのスラリー温度は40℃、pHは1.
2 であった。
【0075】つぎに、えられた凝固スラリーを95℃に昇
温して5分間凝固粒子を固化させたのち脱水して脱水ケ
ーキをえ、えられた脱水ケーキを0.005 %水酸化ナトリ
ウム水溶液によってスラリーに戻した。このときのpH
は10.6であった。
【0076】えられたスラリーを脱水して、えられた脱
水ケーキを0.01%塩酸によりスラリーに戻した。このと
きのpHは3.0 であり、スラリー温度は40℃であった。
そののち、該スラリーを遠心脱水、洗浄し、充分乾燥さ
せて樹脂粉末をえた。
【0077】えられた樹脂粉末を用いて実施例1と同様
にして評価した。結果を表2に示す。
【0078】比較例6 実施例7において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理を行なわず、10%塩酸により凝固させたもの(p
H1.2 )を通常の方法で水洗したのち、乾燥させて樹脂
粉末をえ、実施例1と同様にして評価した。結果を表2
に示す。
【0079】比較例7 実施例7において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを5.7 にした以外は実施例1と同様にして
評価した。結果を表2に示す。
【0080】比較例8 実施例7において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを10.0とし、そののちの0.01%塩酸による
処理を行なわずに乾燥させて樹脂粉末をえ、実施例1と
同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0081】
【表2】
【0082】表2中の比較例6はほぼ従来の製法に該当
するものである。
【0083】表2から、実施例7は従来の製法と比較し
て残存乳化剤量が著しく減少し、透明性、熱安定性が飛
躍的に改良されていることがわかる。
【0084】これに対して、比較例6、7は水酸化ナト
リウム水溶液による洗浄を行なわない、または洗浄が不
充分であるため、残存乳化剤量が多く、透明性、熱安定
性が相対的に劣っていることがわかる。また、比較例8
は残存乳化剤量は充分に減少しているものの、そののち
の酸処理をしていないため、中期、長期の熱安定性が劣
っていることがわかる。
【0085】実施例8 オレイン酸ソーダ1.5 部、過硫酸カリウム0.1 部を水20
0 部に溶解させ、これにスチレン40部、アクリル酸n−
ブチル35部、メタクリル酸メチル10部からなる単量体混
合物を5時間かけて追加して重合させたのち、メタクリ
ル酸メチル15部を連続追加して重合させた。えられた共
重合体ラテックスを10%塩酸を用いて通常の方法で凝固
させて凝固スラリーをえた。このときのスラリー温度は
40℃、pHは1.2 であった。
【0086】つぎに、該凝固スラリーを75℃に昇温して
5分間凝固粒子を固化させたのち、脱水して脱水ケーキ
をえ、えられた脱水ケーキを0.005 %水酸化ナトリウム
水溶液によりスラリーに戻した。このときのpHは10.0
であった。
【0087】えられたスラリーを脱水して、えられた脱
水ケーキを0.01%塩酸によりスラリーに戻した。このと
きのpHは3.0 であり、スラリー温度は40℃であった。
そののち、該スラリーを遠心脱水、洗浄し、充分乾燥さ
せて樹脂粉末をえた。
【0088】えられた樹脂粉末を用いて実施例1と同様
にして評価した。結果を表3に示す。
【0089】比較例9 実施例8において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理を行なわず、10%塩酸により凝固させたもの(p
H1.2 )を通常の方法で水洗したのち、乾燥させて樹脂
粉末をえ、実施例1と同様にして評価した。結果を表3
に示す。
【0090】比較例10 実施例8において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを5.8 、そののちの塩酸による処理のpH
を3.6 にした以外は実施例1と同様にして評価した。結
果を表3に示す。
【0091】比較例11 実施例8において行なった水酸化ナトリウム水溶液によ
る処理のpHを10.0とし、そののちの塩酸による処理を
行なわずに乾燥させて樹脂粉末をえ、実施例1と同様に
して評価した。結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
【0093】表3中の比較例9はほぼ従来の製法に該当
するものである。
【0094】表3から、実施例8は従来の製法と比較し
て残存乳化剤量が著しく減少し、透明性、熱安定性が飛
躍的に改良されていることがわかる。これに対して、比
較例9、10は水酸化ナトリウム水溶液による洗浄を行な
わない、または洗浄が不充分であるため、残存乳化剤量
が多く、透明性、熱安定性が相対的に劣っていることが
わかる。また、比較例11は残存乳化剤量は充分に減少し
ているが、そののちの酸処理をしていないため、中期、
長期の熱安定性が劣っていることがわかる。
【0095】つぎに、洗浄前の加熱処理温度を変えて評
価を行なった。
【0096】実施例9 実施例1において、塩酸凝固させたものを水酸化ナトリ
ウム水溶液で処理する前の加熱処理条件を80℃で5分間
にした以外は実施例1と同様にして評価した。
【0097】なお、実施例1における製造時安全性のか
わりに、工業生産時の操業性の指標として脱水時の凝固
粒子安定性を評価した。前記評価における優は安定性が
すぐれており粒子はほとんどこわれない、良はややこわ
れ気味であるが、通常の脱水操作は問題ない、不良は粒
子が崩壊、微細化し、濾布目詰まりを生じる、を示す。
結果を表4に示す。
【0098】比較例12 実施例9において、塩酸凝固させたものを水酸化ナトリ
ウム水溶液で処理する前の加熱処理温度を40℃とした以
外は実施例9と同様にして評価した。結果を表4に示
す。
【0099】なお、このばあい、加熱処理温度が40℃と
低すぎるため、凝固粒子が軟凝集状態のままのちの塩基
性条件下に曝されたため、水酸化ナトリウム水溶液によ
る洗浄時に凝固粒子が崩壊し、再乳化することによる微
粉の発生、これに伴う脱水工程の濾布の目詰まりや排水
の白濁といった工業生産上の問題が生じ、操業性が著し
く低下した。
【0100】比較例13 実施例9において、塩酸凝固させたものを水酸化ナトリ
ウム水溶液で処理する前の加熱処理温度を140 ℃とした
以外は実施例9と同様にして評価した。結果を表4に示
す。
【0101】
【表4】
【0102】表4から、実施例9のばあい、水酸化ナト
リウム水溶液による洗浄前に80℃の加熱処理を施すこと
により凝固粒子が固化するため、そののちの塩基性条件
下においても安定な凝固状態が保持され、工業生産時の
操作性がすぐれていることがわかる。
【0103】これに対して、比較例13のように加熱処理
温度が140 ℃と高すぎるばあいには、凝固粒子が完全に
融着固化してしまうため、そののちの水酸化ナトリウム
水溶液による洗浄の効果が充分にえられず、残存乳化剤
量が多く、透明性、熱安定性においても満足な改善効果
はえられないことがわかる。
【0104】また、比較例12のように加熱処理温度が40
℃と低すぎると、工業生産時に問題が生じることがわか
る。
【0105】
【発明の効果】本発明の製法によると、乳化剤などの夾
雑物の残存量が著しく低く、熱安定性の良好な樹脂粉末
が通常の製造工程の操作でうることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベッツ ヨゼフ レオン ベルギー王国、2260 ウェステルロー、メ ヘルセ ストラート 83 (72)発明者 高木 龍一 ベルギー王国、2930 ブラスカート、エミ エレイ 8 (72)発明者 西村 理一 兵庫県高砂市高砂町沖浜町2−63 光雲寮 (72)発明者 高木 彰 兵庫県神戸市灘区高徳町1−2−13−202 (72)発明者 長谷川 俊彦 兵庫県加古郡播磨町北本荘6−3−23

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子ラテックスより樹脂粉末を製造す
    るに際して、高分子ラテックスに凝固剤を加えてpH6
    未満の凝固スラリーにしたのち50〜125 ℃の温度条件下
    において加熱処理して凝固粒子を固化させ、ついで凝固
    スラリーに塩基性物質を添加することにより、または凝
    固スラリーを脱水してえられた脱水ケーキを塩基性物質
    を含む溶液でスラリーに戻すことにより、pHを6以上
    に調整した凝固スラリーにしたのち、該凝固スラリーに
    酸性物質を添加してまたは凝固スラリーを脱水してえら
    れた脱水ケーキを酸性物質を含む溶液でスラリーに戻す
    ことによりpHを5.5 以下に調整することを特徴とする
    樹脂粉末の製法。
  2. 【請求項2】 前記高分子ラテックスが、ジエン系また
    はアクリル酸エステル系のゴム状重合体に、芳香族ビニ
    ル、ハロゲン化ビニル、メタクリル酸エステル、アクリ
    ル酸エステルおよびシアン化ビニルから選ばれた少なく
    とも1種からなるビニル基含有化合物をグラフト重合さ
    せてえられたグラフト共重合体ラテックスであり、凝固
    スラリーを加熱処理する温度が50〜95℃であり、塩基性
    物質により調整した凝固スラリーのpHが6以上である
    請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 塩基性物質により調整した凝固スラリー
    のpHが7以上である請求項2記載の製法。
  4. 【請求項4】 塩基性物質により調整した凝固スラリー
    のpHが10以上である請求項2記載の製法。
  5. 【請求項5】 前記高分子ラテックスが、メタクリル酸
    メチル50〜100 重量%、炭素数2〜8個のアルキル基を
    有するメタクリル酸アルキル0〜50重量%、アクリル酸
    エステル0〜40重量%およびこれらと共重合可能な単量
    体0〜20重量%よりなる共重合体のラテックスであり、
    凝固スラリーを加熱処理する温度が85〜125 ℃であり、
    塩基性物質により調整した凝固スラリーのpHが6以上
    である請求項1記載の製法。
  6. 【請求項6】 塩基性物質により調整した凝固スラリー
    のpHが7以上である請求項5記載の製法。
  7. 【請求項7】 塩基性物質により調整した凝固スラリー
    のpHが10以上である請求項5記載の製法。
  8. 【請求項8】 前記高分子ラテックスが、メタクリル酸
    メチル、アクリル酸エステル、芳香族ビニルおよび置換
    芳香族ビニルの少なくとも1種の単量体の80〜100 重量
    %とこれらと共重合可能な単量体0〜20重量%とからな
    る共重合体成分0〜70重量部と、炭素数2〜8個のアル
    キル基を有するアクリル酸アルキル20〜100 重量%、芳
    香族ビニル0〜80重量%、置換芳香族ビニル0〜40重量
    %およびこれらと共重合可能な単量体0〜20重量%から
    なる共重合体成分100 〜30重量部とからなる共重合体ラ
    テックスであり、凝固スラリーを加熱処理する温度が50
    〜95℃であり、塩基性物質により調整した凝固スラリー
    のpHが6以上である請求項1記載の製法。
  9. 【請求項9】 塩基性物質により調整された凝固スラリ
    ーのpHが7以上である請求項8記載の製法。
  10. 【請求項10】 塩基性物質により調整された凝固スラ
    リーのpHが10以上である請求項8記載の製法。
  11. 【請求項11】 前記高分子ラテックスが、芳香族ビニ
    ル0〜50重量%、ジエン系モノマー50〜100 重量%およ
    びこれらと共重合可能な単量体0〜10重量%からなる共
    重合体20〜85重量部に、アクリル酸エステル0〜50重量
    %、メタクリル酸エステル0〜100 重量%、芳香族ビニ
    ル0〜90重量%およびこれらと共重合可能な単量体0〜
    20重量%からなる単量体15〜80重量部を、1段または2
    段以上にわけて追加してグラフト重合させてえられる共
    重合体ラテックスであり、凝固スラリーを加熱処理する
    温度が50〜95℃であり、該加熱処理によりえられた凝固
    粒子を固化した凝固スラリーを脱水してえられた脱水ケ
    ーキを塩基性物質を含む水溶液でスラリーに戻すことに
    より調整した請求項1記載の製法。
  12. 【請求項12】 塩基性物質を含む水溶液でスラリーに
    戻すことにより調整した凝固スラリーのpHが7以上で
    ある請求項11記載の製法。
  13. 【請求項13】 塩基性物質を含む水溶液でスラリーに
    戻すことにより調整した凝固スラリーのpHが10以上で
    ある請求項11記載の製法。
  14. 【請求項14】 前記ジエン系モノマーがブタジエンで
    ある請求項11記載の製法。
  15. 【請求項15】 塩基性物質を含む水溶液でスラリーに
    戻すことにより調整した凝固スラリーのpHが7以上で
    ある請求項14記載の製法。
  16. 【請求項16】 塩基性物質を含む水溶液でスラリーに
    戻すことにより調整した凝固スラリーのpHが10以上で
    ある請求項14記載の製法。
JP31812193A 1993-12-17 1993-12-17 樹脂粉末の製法 Pending JPH07173217A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31812193A JPH07173217A (ja) 1993-12-17 1993-12-17 樹脂粉末の製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31812193A JPH07173217A (ja) 1993-12-17 1993-12-17 樹脂粉末の製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07173217A true JPH07173217A (ja) 1995-07-11

Family

ID=18095737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31812193A Pending JPH07173217A (ja) 1993-12-17 1993-12-17 樹脂粉末の製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07173217A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4747090B2 (ja) * 2004-03-08 2011-08-10 株式会社カネカ 乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法
KR20180051839A (ko) * 2016-11-09 2018-05-17 주식회사 엘지화학 Abs계 수지 분체의 제조방법 및 표면특성이 향상된 abs계 수지 조성물의 제조방법
KR20180067800A (ko) * 2016-12-13 2018-06-21 주식회사 엘지화학 열가소성 수지의 제조방법
JP2019052306A (ja) * 2013-09-30 2019-04-04 積水化成品工業株式会社 重合体粒子及びその用途

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4747090B2 (ja) * 2004-03-08 2011-08-10 株式会社カネカ 乳化重合ラテックス凝集粒子の製造方法
JP2019052306A (ja) * 2013-09-30 2019-04-04 積水化成品工業株式会社 重合体粒子及びその用途
KR20180051839A (ko) * 2016-11-09 2018-05-17 주식회사 엘지화학 Abs계 수지 분체의 제조방법 및 표면특성이 향상된 abs계 수지 조성물의 제조방법
KR20180067800A (ko) * 2016-12-13 2018-06-21 주식회사 엘지화학 열가소성 수지의 제조방법
US11326047B2 (en) 2016-12-13 2022-05-10 Lg Chem, Ltd. Method of preparing thermoplastic resin

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH08225623A (ja) ブタジエンベースの耐衝撃性改良剤
JP3949975B2 (ja) ラテックス、重合体、および、重合体の凝固、回収方法
KR100301977B1 (ko) 개선된내블록킹성을갖는합성수지분말의제조방법
JP4080076B2 (ja) アクリル系重合体凝固物およびその製造方法
JPH11166090A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JP2003119396A (ja) 耐衝撃性の優れた熱可塑性樹脂組成物
JPH07173217A (ja) 樹脂粉末の製法
JPS6243450B2 (ja)
JPH02269755A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
KR100610719B1 (ko) 분체특성이 개량된 염화비닐 수지용 내충격성 개량수지
KR101515674B1 (ko) 열안정성이 우수한 abs그라프트 수지 및 이의 제조방법
EP0621291B1 (en) Processes for preparing polymeric gloss modifiers and thermoplastic resin compounds containing same
EP1698663B1 (en) (meth)acrylic resin composition
JPH0686502B2 (ja) 透明な成形組成物
JPS5817528B2 (ja) グラフト共重合体の製造法
JP3172616B2 (ja) 粉粒状重合体の製造方法
JP4383086B2 (ja) 色調に優れた樹脂組成物の製造方法
JPH01297402A (ja) 耐衝撃性樹脂の製造方法
JP3464097B2 (ja) 多層構造グラフト共重合体及びこれを含有してなる樹脂組成物
JPH01217005A (ja) 耐衝撃性樹脂の製造方法
JP2515013B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JP3641082B2 (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物
JPH06240086A (ja) 塩化ビニル系樹脂組成物の製造方法
KR100553498B1 (ko) 염화비닐수지용 충격보강제 및 이의 제조방법
JP2007023242A (ja) アクリル系多層構造重合体粉体とその製造方法およびメタクリル系樹脂組成物