JP2002214833A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー

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JP2002214833A
JP2002214833A JP2001008131A JP2001008131A JP2002214833A JP 2002214833 A JP2002214833 A JP 2002214833A JP 2001008131 A JP2001008131 A JP 2001008131A JP 2001008131 A JP2001008131 A JP 2001008131A JP 2002214833 A JP2002214833 A JP 2002214833A
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resin
toner
wax
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temperature
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JP2001008131A
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English (en)
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Keiko Shiraishi
桂子 白石
Masanori Suzuki
政則 鈴木
Yoichiro Watanabe
陽一郎 渡辺
Masahide Yamashita
昌秀 山下
Kazuto Watanabe
和人 渡辺
Mitsuteru Kato
光輝 加藤
Maiko Kondo
麻衣子 近藤
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電荷現像用トナーにおいて、低温定着性に
優れた樹脂にワックスを最適に分散して十分な定着温度
幅を確保し、耐熱保存性に優れると共にワックス含有に
よる副作用が少なく、しかも生産性の高いトナーを提供
すること。 【解決手段】 少なくとも2種類以上の樹脂及びワック
スを含有し、それらがお互いに非相溶で海島状の相分離
構造をとり、連続相である海状の樹脂Aに島状に他の樹
脂Bが分散し、島状樹脂Bの中にワックスが内包されて
いるトナーであって、樹脂Aは主としてポリエステル
及び/またはポリオールで、THF不溶分を含有し、
樹脂BはTHF不溶分がなく、示差走査熱量計により測
定されるDSC曲線において、吸熱側に出現する最大ピ
ークの温度が62〜90℃で、THF可溶分のGPCに
よる重量平均分子量Mwが下記(1)式の値より小さく
したこと。その他4項ある。 Mw=−300×T+32000 ・・・ (1) (式中、TはDSC曲線の吸熱側に出現する最大ピーク
の温度(単位℃))

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】相分離構造の複数の樹脂を用
い、定着温度幅が広く、保存性、生産性等に優れたトナ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境への配慮から省エネ気運が高
まっており、低エネルギーで定着可能な低温定着タイプ
のトナーの開発が盛んに行なわれている。これに対応し
て、従来多用されてきたスチレン−アクリル系樹脂にか
えて、低温定着性に優れ、耐熱保存性も比較的良いポリ
エステル樹脂の使用が試みられている。
【0003】しかし、さらなる低温定着化のためには、
樹脂そのものの熱特性をコントロールするすることが必
要となり、ガラス転移温度を下げると耐熱保存性を悪化
させたり、分子量を小さくして樹脂を軟らかくするとホ
ットオフセット発生温度を低下させるなどの問題があっ
た。
【0004】オフセット発生に対しては、従来では定着
ローラーに離型オイルを塗布する方法がとられていた。
しかし、省スペースの観点から、オイルタンクを搭載す
るオイル塗布方法に代わって、トナー中にワックスなど
の離型オイルの代わりになるものを含有する場合が多
い。トナー中のワックスは定着時にトナー中から染み出
すことによって離型性を発現する。そのためにはワック
スはトナー中にある程度の大きさを持ったドメインとし
て存在することが必要である。
【0005】しかし、トナー粉砕時には樹脂とワックス
の界面に応力が集中し、ワックスが粒子表面に存在しや
すくなることから、ワックス分散径が大きいほど粒子表
面のワックス存在量は多くなりやすく、離型性という点
からは有利な方向となるが、トナーの流動性を悪化させ
たり、キャリアやその他の帯電部材へ融着して良好な画
像を得るのを妨げるという問題がある。
【0006】従来の低温定着性を考慮したものでなけれ
ば、樹脂の混練時の剪断力によってワックスが微分散し
やすく、ワックス含有により起こる問題は小さい。また
ワックスが微分散しすぎて染み出しが不十分であって
も、樹脂自身の凝集力が大きいため離型性は確保しやす
い。しかし、低温定着性を考慮した樹脂においては、混
練時の剪断力は小さいためワックスが微分散されにく
く、ワックス含有による耐久性の悪化、転写性の悪化な
どの問題が顕著になる。一方、ポリエステル樹脂やポリ
オール樹脂は樹脂自身の強度が高いため、トナーの粉砕
工程において著しく生産性を落とすという欠点もある。
【0007】重合法によるワックスを内包したトナーの
例として、特開平7−84407号公報があるが、溶融
工程及び粉砕工程を経て作られたトナーではない。特開
平6−250432号公報や特開平9−127718号
公報では、ワックス分散剤となるものをトナー中に含有
しているが、ワックス分散径が小さくなりすぎ、トナー
の粒子表面近傍のワックスの存在割合が低くなり、離型
剤としての効果が十分に得られない。
【0008】また特開平11−052616号公報に
は、石油樹脂を70重量%以上含有し、耐熱保存性と低
温定着性を両立し、粉砕性に優れるとするトナーが提案
されているが、耐ホットオフセット性が不十分で、トナ
ーが過粉砕されやすく微粉が多く発生したり、現像機中
でもトナー粒径が小さくなりやすく、現像性の低下につ
ながるものであった。さらに特開平11−072956
号公報には、特定の石油樹脂を含有して結着樹脂やワッ
クスへの相溶性のバランスをよくし、低温定着性を維持
したまま耐オフセット性、粉砕性、フィルミング性を改
善できるとするトナーが記載されている。しかし、結着
樹脂と石油樹脂、ワックスが相溶しすぎると非相溶の界
面がなくなり、かえって粉砕性が低下する場合がある。
また、石油樹脂以外にも同様の効果を持つものがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記背景に
鑑みてなされたもので、低温定着性に優れた樹脂にワッ
クスを最適に分散して十分な定着温度幅を確保し、耐熱
保存性に優れると共にワックス含有による副作用が少な
く、さらにまた生産性の高いトナーを提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は下記
の手段により達成される。すなわち、本発明によれば、
請求項1では、少なくとも2種類以上の樹脂及びワック
スを含有し、それらがお互いに非相溶で海島状の相分離
構造をとり、連続相である海状の樹脂Aに島状に他の樹
脂Bが分散し、島状樹脂Bの中にワックスが内包されて
いるトナーであって、樹脂Aは主としてポリエステル及
び/またはポリオールで、THF不溶分を含有し、樹脂
BはTHF不溶分がなく、樹脂Bの示差走査熱量計によ
り測定されるDSC曲線において、吸熱側に出現する最
大ピークの温度が62〜90℃であり、THF可溶分の
GPCによる重量平均分子量Mwが下記(1)式の値よ
り小さい静電荷像現像用トナーを主要な特徴とする。
【0011】 Mw=−300×T+32000 ・・・ (1) (式中、TはDSC曲線の吸熱側に出現する最大ピーク
の温度(単位℃))
【0012】第二に、上記請求項1記載の静電荷像現像
用トナーにおいて、樹脂A、樹脂B及びワックスのSP
値(溶解性パラメーター)が、樹脂AのSP値>樹脂B
のSP値>ワックスのSP値であることを特徴とする
【0013】第三に、上記請求項1または2記載の静電
荷像現像用トナーにおいて、樹脂A、樹脂B及びワック
スの含有量が、樹脂A>樹脂B≧ワックスであり、トナ
ー中の樹脂及びワックスの合計量に対して樹脂Aが55
〜96重量%、樹脂Bが2〜44重量%、ワックスが2
〜15重量%であることを特徴とする。
【0014】第四に、上記請求項1〜3のいずれかに記
載の静電荷像現像用トナーにおいて、樹脂BのDSC曲
線の吸熱側に出現する最大ピークの温度(℃)が、樹脂
AのDSC曲線の吸熱側に出現する最大ピークの温度
(℃)より高いことを特徴とする。
【0015】第五に、上記請求項1〜4のいずれかに記
載の静電荷像現像用トナーにおいて、樹脂Aとして2種
類以上の互いに相溶する樹脂を用いることを特徴とす
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
一般に硬い樹脂は粉砕性が悪い。しかし、硬いことによ
りトナー母体への外添剤の埋め込まれやキャリアやその
他帯電部材へのトナー融着が抑制される。また過粉砕に
よる微粉の多量発生や現像機内での微粉化による現像特
性の悪化も少ない。そこで本発明では硬い樹脂に粉砕性
の良い樹脂を分散させることにより、硬い樹脂を使用し
ても粉砕性が劣ることなく、硬い樹脂の利点を併せ持つ
トナーとしたものである。
【0017】本発明のトナーは、少なくとも2種類以上
の樹脂及びワックスを含有し、それらがお互いに非相溶
で海島状の相分離構造を取り、硬い樹脂で構成される連
続相である海状の樹脂Aに、粉砕性の良い樹脂Bが島状
に分散し、島状樹脂Bの中にワックスが内包されたもの
である。
【0018】従来の樹脂にワックスが島状に分散した海
島構造のトナーでは、粉砕時に樹脂とワックスの界面に
粉砕応力が集中し易いため、樹脂とワックスの界面で粉
砕され易く、粉砕されたトナーの表面には添加したワッ
クスの割合以上にワックスが露出しており、この事が転
写性や耐久性を低下させる原因となっていた。本発明の
トナーでは、海状の樹脂Aに島状に他の樹脂Bが分散
し、島状樹脂Bの中にワックスが内包されている構造と
することにより、粉砕応力が樹脂Aと樹脂Bとの界面に
も集中させることができ、粉砕されたトナー表面へのワ
ックスの露出量を減少させ、転写性及び耐久性に優れた
トナーとすることができ、しかもワックスはトナー表面
近傍に存在するため耐オフセット性の低下もほとんどな
い。また、応力の集中する非相溶面の増加により粉砕性
が向上し、小粒径のトナーが生産効率よく製造すること
ができる。
【0019】特に樹脂BにTHF不溶分がなく粉砕性の
良い樹脂とすることにより、界面だけでなく樹脂B内で
の粉砕も起こりやすくなり粉砕性が向上する。同時にワ
ックスがトナー表面近傍に存在する確率を高めることが
でき、オフセット防止効果もさらに向上する。本発明に
おける粉砕性の良い樹脂とは、Mwが(1)式で計算さ
れる値よりも小さいものである。本発明における(1)
式は樹脂Bを構成するものとして検討した樹脂のTとM
wの関係をプロットし、本発明の目的を達成できるもの
と達成できないものとに分けた結果得られた経験式であ
る。しかしMwがあまりにも小さすぎると、粘性を生じ
たり、樹脂Bだけがオフセットする心配があるため、樹
脂BのMwは1500以上であることが好ましい。樹脂
BがTHF不溶分を含有する場合やMwが(1)式で計
算される値以上の場合は、樹脂B内部での粉砕確立が小
さく、非相溶界面の増加による粉砕性の向上にとどまり
やすい。
【0020】本発明のトナーでは、トナーのメインとな
る樹脂Aに関して、粉砕性や離型剤の分散性をも考慮す
ることなく、低温定着性や耐ホットオフセット性に優れ
た樹脂を選択することができる。
【0021】そこで本発明のトナーの樹脂Aに使用され
るバインダー樹脂としては、主としてポリエステル樹脂
及びポリオール樹脂であり、THF不溶分を含有するこ
とが好ましい。なお、THF不溶分が多すぎると混練状
態が悪くなったり、定着性を阻害する場合があるため、
THF不溶分は45%以下であることが好ましい。ま
た、樹脂Aは1種類の樹脂である必要はなく、2種類以
上とすることにより狙いの樹脂特性を持つものとしやす
い。樹脂Aを構成する樹脂同士が互いに相溶することが
必要である。この場合2種類以上の樹脂のそれぞれがT
HF不溶分を含有する必要はなく、ブレンドした場合に
THF不溶分を含有していればよい。
【0022】本発明のトナー構造を確実に形成し、さら
に目的の課題を達成するためには、樹脂A、樹脂B及び
ワックスのSP値が、樹脂AのSP値>樹脂BのSP値
>ワックスのSP値であり、樹脂Aと樹脂BのSP値差
が0.8以上であり、トナー中の樹脂及びワックスの合
計量に対して樹脂Aが55〜96重量%、樹脂Bが2〜
44重量%、ワックスが2〜15重量%であることが重
要である。
【0023】また本発明の海島構造を形成する場合に
は、トナー構成材料の溶融混練時の状態も重要となる。
樹脂Aと樹脂Bの溶融粘度差があまりにも大きすぎる
と、両者が混ざりにくく均一な海島構造を形成しにく
い。本発明では、低分子量である樹脂BのDSC曲線の
吸熱側に出現する最大ピークの温度を、樹脂AのDSC
曲線の吸熱側に出現する最大ピークの温度より高くする
ことにより、樹脂Aと樹脂Bの混練時の溶融粘度差を小
さくし、均一な海島構造を形成しやすくなる。また粒子
表面への存在確率が高い樹脂BをDSC曲線の吸熱側に
出現する最大ピークの温度の高いものとするときは、耐
熱保存性の点で有利となる。なお、結着樹脂A、BのD
SC曲線の吸熱側に出現する最大ピークの温度は、低温
定着性と保存性を考慮すると、結着樹脂Aは62〜75
℃、結着樹脂Bは62〜90℃であることが好ましい。
【0024】樹脂特性値の測定方法 本発明のカラートナーに用いられる樹脂のSP値(溶解
性パラメーター:δ)は、Hildebrand−Sc
atchardの溶液理論において次式で定義される。
【0025】δ=(ΔEv/V)1/2 (ここでΔEvは蒸発エネルギー、Vは分子容、ΔEv
/Vは凝集エネルギー密度を示す。) SP値(溶解性パラメーター)の求め方は各種あるが、
本発明では、主にモノマー組成からFedorらの方法
を用いて計算により求めた値を用いた。
【0026】 SP値 = (ΣΔei /ΣΔvi )1/2 (ここでΔei は原子または原子団の蒸発エネルギー、
Δvi は原子または原子団のモル体積。)
【0027】THF不溶分の測定は、樹脂1.0gを秤
量し、これにTHF50gを加えて20℃で24時間静
置する。これをJIS規格(P3801)5種Cの定量
ろ紙を用いて常温でろ過する。乾燥後ろ紙残渣を秤量
し、用いた樹脂とろ紙残渣の比(重量%)で現わす。
【0028】GPCによる分子量の測定は、40℃のヒ
ートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけ
るカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流
し、試料濃度として0.05〜0.6重量%に調製した
樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定
する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分
子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作
成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出
する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、
例えばPressureChemical Co.或い
は東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×
103、4×103、1.75×104、5.1×10
4、1.1×105、3.9×105、8.6×10
5、2×106、4.48×106のものを用い、少な
くとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが
適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用い
る。
【0029】DSC曲線の吸熱側に出現する最大ピーク
の温度は、理学電機社製のRigaku THERMO
FLEX TG8110により、昇温速度10℃/mi
nの条件で測定される。
【0030】トナー構成材料 本発明のトナーに使用されるバインダー樹脂としては、
樹脂Aに主として使用されるポリエステル樹脂及びポリ
オール樹脂のほかに、従来公知のものを広く使用するこ
とができる。例えば、スチレン、パラクロロスチレン、
ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)タクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)ア
クリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、
(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−
エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−クロ
ロエチル、(メタ)アクリロニトリル酸、(メタ)アク
リアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルメチルエーテ
ル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテ
ル。ビニルメチルケトン、N−ビニルピロリドン、N−
ビニルピリジン、ブタジエン等の単量体の重量体、又
は、これらの単量体の2種類以上からなる共重合体、或
いはそれらの混合物が挙げられる。その他ポリウレタン
樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ロジン、変性ロ
ジン、テルベン樹脂、フェノール樹脂、水添石油樹脂な
どが単独あるいは混合して使用できる。
【0031】本発明のトナーに用いられる離型剤として
のワックス類は、従来公知のものが使用できる。例え
ば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等
の低分子量ポリオレフィンワックスやフィッシャー・ト
ロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックスや密ロ
ウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライ
スワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パ
ラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の
石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリス
チン酸等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂
肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックスが挙げられ
る。
【0032】これらは1種または2種以上を併用して用
いることが出来るが、融点が70〜125℃の範囲のも
のを使用するのが好ましい。融点が70℃以上とするこ
とにより転写性及び耐久性が優れたトナーとすることが
でき、融点を125℃以下とすることにより定着時に速
やかに溶融し、確実な離型効果を発揮できる。これらの
離型剤の使用量は、トナーに対して2〜15重量%が好
適である。1重量%以下ではオフセット防止効果が不十
分であり、15重量%以上では転写性、耐久性が低下す
る。さらにワックスの選択において重要な点は樹脂Bに
対して非相溶であることである。
【0033】ワックスの分散径は、転写性や耐久性の点
から最大でもトナーの長軸径の1/2以下であることが
好ましい。しかし、ワックスの最大分散粒径が長軸径で
0.5μm以下となると定着時にワックスがしみ出し難
くなりオフセット防止効果が不十分となる。
【0034】本発明のトナーに用いられる着色剤として
は、従来より公知の顔料や染料が使用できる。例えば、
カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブ
ルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリー
ン、ハンザイエローG、カルコオイルブルー、クロムイ
エロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベ
ンガル、トリアリルメタン系染料などの染顔料など。こ
れらは、1種または2種以上を使用することができる。
【0035】本発明のトナーは必要に応じ荷電制御剤を
トナー中に含有させることが出来る。例えば、ニグロシ
ン、炭素数2〜16のアルキル基を含むアジン系染料
(特公昭42−1627号公報)、塩基性染料(例えば
C.I.Basic Yellow 2(C.I.41
000)、C.I.Basic Yellow 3、
C.I.Basic Red 1(C.I.4516
0)、C.I.BasicRed 9(C.I.425
00)、C.I.Basic Violet 1(C.
I.42535)、C.I.Basic Violet
3(C.I.42555)、C.I.Basic V
iolet 10(C.I.45170)、C.I.B
asic Violet 14(C.I.4251
0)、C.I.Basic Blue 1(C.I.4
2025)、C.I.Basic Blue 3(C.
I.51005)、C.I.Basic Blue 5
(C.I.42140)、C.I.Basic Blu
e 7(C.I.42595)、C.I.Basic
Blue 9(C.I.52015)、C.I.Bas
icBlue 24(C.I.52030)、C.I.
Basic Blue 25(C.I.52025)、
C.I.Basic Blue 26(C.I.440
45)、C.I.Basic Green 1(C.
I.42040)、C.I.Basic Green
4(C.I.42000)など、これらの塩基性染料の
レーキ顔料、C.I.Solvent Black 8
(C.I.26150)、ベンゾイルメチルヘキサデシ
ルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルクロライ
ド、等の4級アンモニウム塩あるいは、ジブチル又はジ
オクチルなどのジアルキル錫化合物、ジアルキル錫ボレ
ート化合物、グアニジン誘導体、アミノ基を含有するビ
ニル系ポリマー、アミノ基を含有する縮合系ポリマー等
のポリアミン樹脂、特公昭41−20153号公報、特
公昭43−27596号公報、特公昭44−6397号
公報、特公昭45−26478号公報に記載されている
モノアゾ染料の金属錯塩、特公昭55−42752号公
報、特公昭59−7385号公報に記載されているサル
チル酸、ジアルキルサルチル酸、ナフトエ酸、ジカルボ
ン酸のZn、Al、Co、Cr、Fe等の金属錯体、ス
ルホン化した銅フタロシアニン顔料、有機ホウ素塩類、
含フッ素四級アンモニウム塩、カリックスアレン系化合
物等が挙げられる。ブラック以外のカラートナーは、当
然目的の色を損なう荷電制御剤の使用は避けるべきであ
り、白色のサリチル酸誘導体の金属塩等が好適に使用さ
れる。
【0036】本発明においては、疎水化処理されたシリ
カや酸化チタン等の微粒子をトナー母体に外添すること
が好適に行われるが、この他疎水化処理されたアルミナ
や樹脂微粒子、また、脂肪属金属塩やポリフッ化ビニリ
デンの微粒子等の滑剤等も併用可能である。特に疎水化
処理されたシリカ及び疎水化処理された酸化チタンを併
用し、疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理
された酸化チタンの外添量を多くすることにより転写性
及び湿度に対する帯電の安定性に優れたトナーとするこ
とができる。
【0037】なお、ここで用いられる疎水化処理剤の代
表例としては以下のものが挙げられる。ジメチルジクロ
ルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロル
シラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニ
ルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブ
ロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルト
リクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、
クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリ
クロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、
3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロ
ピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシ
エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリ
メトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニ
ルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オク
チル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、
ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニ
ル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)
−トリクロルシラン、ジベンチル−ジクロルシラン、ジ
ヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラ
ン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシ
ラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−
ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチ
ル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジ
デセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラ
ン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−
3,3−ジメチルベンチル−ジクロルシラン、トリヘキ
シル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、ト
リデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロル
シラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t
−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オク
チルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘ
キサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザ
ン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザ
ン等。この他チタネート系カップリング剤、アルミニュ
ーム系カップリング剤も使用可能である。
【0038】本発明のトナーは、一成分現像用、二成分
現像用ともに用いることができる。トナーを二成分現像
剤用として用いる場合にはキャリア粉と混合して用いら
れる。この場合のキャリアとしては、公知のものがすべ
て使用可能であり、例えば鉄粉、フェライト粉、マグネ
タイト粉、ニッケル粉、ガラスビーズ等及びこれらの表
面を樹脂などで被覆処理した物などが挙げられる。
【0039】本発明のトナーの製造法は従来公知の方法
が適用できるが、トナーを混練する装置としては、バッ
チ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸
押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し
機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2
軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本
鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練
機、例えばブッス社製コ・ニーダ等が好適に用いられ
る。
【0040】以上により得られた溶融混練物は冷却した
後粉砕されるが、粉砕は、例えば、ハンマーミルやロー
トプレックス等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を
用いた微粉砕機や機械式の微粉砕機などを使用すること
ができる。粉砕は、平均粒径が3〜15μmになるよう
に行うのが望ましい。さらに、粉砕物は風力式分級機等
により、5〜20μmに粒度調整される。必要に応じ、
外添剤の母体トナーへ外添が行われるが、母体トナーと
外添剤をミキサー類を用い混合・攪拌することにより外
添剤が解砕されながらトナー表面に被覆される。
【0041】(実施例)次に、実施例によって本発明を
さらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例
によって限定されるものではない。なお、実施例中、部
はすべて重量部を表わす。
【0042】実施例においては、以下のような評価を行
なった。粉砕性 平均粒径1mm以下に粗粉砕されているトナーを、日本
ニューマチック社製のIDS型粉砕機で一定条件下で粉
砕した時の、単位時間当たりの処理量により求めた。 ◎:4kg以上、○:3〜4kg、△:1〜3kg、
×:1kg未満、 ▲:4kg以上だが微粉が多量発生(×、▲以外は許容
範囲)ワックス分散径 トナー粒子を100μmに超薄切片化し、四酸化ルテニ
ウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)に
より倍率1万倍で観察を行ない写真撮影した。 ◎:0.5μm〜1μm、○:1μm〜粒径の1/3、
△:粒径の1/3〜1/2、×:粒径の2/1より大、
▲:0.5μmより小(×、▲以外は許容範囲)
【0043】耐熱保存性 トナー約20gを20mlのガラス瓶に入れ、50回タ
ッピングを行ないトナーを密に固めた後、50℃の恒温
槽に24時間放置し、その後、針入度を測定した。◎:
貫通、○:25mmより大、△:15〜25mm、×:
15mm以下
【0044】定着性 定着ローラーとしてテフロン(登録商標)ローラーを使
用したリコー製複写機MF−200の定着部を改造し、
定着温度を可変とした定着装置を用いて、これにリコー
製タイプ6200紙をセットし複写テストを行なった。
この定着温度を5℃毎にかえてコールドオフセット発生
温度、及びホットオフセット発生温度を調べた。コール
ドオフセット ◎:125℃未満、○:125〜140℃、△:140
℃〜155℃、×:155℃以上 ホットオフセット ◎:200℃より大、○:185〜200℃、△:17
0〜185℃、×:170℃以下
【0045】耐久性 定着性を評価した装置及び記録紙を用いて、連続して複
写テストを行なった。この時の定着温度を、コールドオ
フセット発生温度が125℃未満のトナーにおいては1
40℃、それ以外のトナーはコールドオフセット発生温
度+20℃に設定した。3万枚複写後のQ/M及び画質
を初期の状態と比較した。 ◎:Q/Mの低下がほとんどない、○:Q/Mが低下す
るが画質の変化はない、△:Q/Mが低下し画質の変化
があるが問題ないレベル、×:Q/Mが低下し画質も悪
化する。
【0046】実施例1 結着樹脂A(ポリエステル樹脂(THF不溶分:5%、 DSC曲線のT値:71℃、SP値:10.6) 52部 結着樹脂B スチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂 (THF不溶分:なし、DSC曲線のT値:71℃、 Mw:10200、(1)式のMw計算値:10700、 SP値:9.3) 40部 離型剤(エステルワックス(融点:83℃、SP値:8.2) 8部 着色剤(カーボンブラック) 10部 帯電制御剤(含金属アゾ染料) 2部 上記材料をヘンシェルミキサーで十分攪拌混合した後、
ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間溶融
混練した。この混練物を室温まで冷却後、カッターミル
で粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、
風力分級装置を用いて母体トナーの体積平均粒径が7±
1μmになるようにした。この時の粉砕性は非常に良い
が、過粉砕となることはなかった。この母体トナーの薄
膜切片のTEM画像を観察したところ、海島構造を形成
した島の内部にワックスが分散しているのが確認でき
た。この母体トナー100重量部に対して、疎水性シリ
カ0.4重量部と酸化チタン0.6重量部をヘンシェル
ミキサーにて混合しトナーとした。このトナーの耐熱保
存性は良好であった。このトナー3重量部をキャリア9
7重量部と混合攪拌して適正帯電の現像剤とし、この現
像剤を使用して、画像評価、定着性評価を行ない、その
後3万枚の連続複写試験を行なった。低温定着性と耐オ
フセット性を両立でき、耐久性評価においても問題のな
いトナーが得られた。これらの結果は表1にまとめた。
【0047】実施例2 実施例1のトナー構成材料のうち結着樹脂Aのポリエス
テルを52部から42部に減らし、別にこの樹脂と相溶
する樹脂を10部加えた。加えた樹脂は以下のものであ
る。 ポリエステル樹脂(THF不溶分:なし、 DSC曲線のT値:65℃、SP値:11.0) 12部 また、ワックス量を8重量部から6重量部に減らした。
これら材料を実施例1と同様の工程を経て体積平均粒径
が7±1μmのトナーとした。この時の粉砕性は実施例
1と同程度であった。また、母体トナーの薄膜切片のT
EM画像の観察から、ワックスの分散状態を調べたとこ
ろ、実施例1の分散径よりも小さいものが多かった。こ
の母体トナーに実施例1と同様に疎水性シリカと酸化チ
タンを外添してトナーとし、このトナーを実施例1と同
様にキャリアと混合攪拌した現像剤を使用して、画像評
価、定着性評価、及び耐久性評価を行なった。2種類の
樹脂を使用したことから、実施例1よりも樹脂自身の定
着性が良好な構成とすることができ、実施例1よりワッ
クス含有量が少ないが、実施例1と同様の耐ホットオフ
セット性が得られた。また、コールドオフセットの発生
温度は実施例1よりも低くなった。耐久性、耐熱保存性
は実施例1と同様に良好な結果であった。
【0048】実施例3 結着樹脂A−1(ポリエステル樹脂(THF不溶分:26%、 DSC曲線のT値:66℃、SP値:10.8) 43部 結着樹脂A−2(ポリエステル樹脂(THF不溶分:なし、 DSC曲線のT値:71℃、SP値:11.3) 43部 結着樹脂B(スチレン−アクリル酸ブチル− メタクリル酸メチル共重合樹脂(THF不溶分:なし、 DSC曲線のT値:75℃、Mw:6200、 (1)式のMw計算値:9500、SP値:9.2) 8部 離型剤(ポリエチレンワックス、 融点:100℃、SP値:8.0) 6部 着色剤(カーボンブラック) 10部 帯電制御剤(サリチル酸金属塩化合物) 2部 上記材料を実施例1と同様の工程を経て体積平均粒径が
7±1μmのトナーとした。この時の粉砕性は良いが、
微粉の発生は少なかった。微粉の発生量が実施例1より
少なかったことから、樹脂Bの量が微粉の発生量に効い
ていると考えられる。したがって樹脂Bが実施例1の場
合よりさらに多くなると、本発明の効果が発現されない
可能性があることが考えられる。この母体トナーの薄膜
切片のTEM画像を観察したところ、海島構造を形成し
た島の内部にワックスが分散しているのが確認できた。
しかし、結着樹脂Bで形成される島部分の大部分をワッ
クスが占めていることから、ワックスの量が島を形成す
る結着樹脂Bの量よりも多いと、島部分に内包されない
ワックスも存在するようになると考えられ、本発明の効
果が十分発現されないと予想される。この母体トナー1
00重量部に対して、疎水性シリカ0.4重量部と酸化
チタン0.6重量部をヘンシェルミキサーにて混合しト
ナーとした。このトナーの耐熱保存性は良好であった。
このトナーを使用して、実施例1と同様に現像剤とし、
この現像剤を用いて画像評価、定着性評価を行ない、そ
の後3万枚の連続複写試験を行なった。低温定着性と耐
オフセット性を両立でき、耐久性評価においても問題の
ないトナーであった。
【0049】実施例4 結着樹脂A−1(ポリエステル樹脂、THF不溶分:39%、 DSC曲線のT値:67℃、SP値:10.6) 50部 結着樹脂A−2(ポリエステル樹脂、THF不溶分:なし、 DSC曲線のT値:72℃、SP値:11.0) 30部 結着樹脂B(水添石油樹脂、THF不溶分:なし、 DSC曲線のT値:87℃、Mw:1900、 (1)式のMw計算値:5900、SP値:9.0) 15部 離型剤(エステルワックス、 (融点:90℃、SP値:8.2) 5部 着色剤(カーボンブラック) 10部 帯電制御剤(サリチル酸金属塩化合物) 2部 上記材料を実施例1と同様の工程を経て体積平均粒径が
7±1μmの母体トナーとした。この時の粉砕性は良い
が、微粉の発生は少なかった。この母体トナーに実施例
1と同様に疎水性シリカと酸化チタンを外添しトナーと
した。結着樹脂Bの分子量が低いので溶融粘度は低いも
のであるが、結着樹脂Bよりも結着樹脂Aのほうが先に
溶融し始めるため、混練状態が悪くなることはなく、ワ
ックスの分散状態も良いものであった。また、結着樹脂
BのDSC曲線のA値が高いため、耐熱保存性を悪化さ
せることもなかった。このトナーを使用して、実施例1
と同様に現像剤とし、この現像剤を用いて画像評価、定
着性評価を行ない、その後3万枚の連続複写試験を行な
った。低温定着性と耐オフセット性を両立でき、耐久性
評価においても問題のないトナーであった。
【0050】比較例1 結着樹脂A(ポリエステル、THF不溶分:5%、 DSC曲線のT値:71℃、SP値:10.6) 50部 結着樹脂B(スチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂、 THF不溶分:なし、DSC曲線のT値:71℃、 Mw:20600、(1)式のMw計算値:10700、 SP値:9.3) 40部 離型剤(エステルワックス (融点:83℃、SP値:8.2) 10部 着色剤(カーボンブラック) 10部 帯電制御剤(含金属アゾ染料) 2部 結着樹脂BのMw以外は実施例1とほぼ同じである上記
材料を、実施例1と同様の工程を経て体積平均粒径が7
±1μmの母体トナーとした。この時の粉砕性は悪いも
のではないが、実施例1の場合より悪くなった。この母
体トナーの薄膜切片のTEM画像を観察したところ、海
島構造を形成した島の内部にワックスが分散しているの
が確認できた。実施例1のトナーに比べるとワックス量
が多いためか、ワックス分散径が実施例1の場合よりや
や大きいものが多かった。この母体トナーに実施例1と
同様に疎水性シリカと酸化チタンを外添しトナーとし
た。このトナーの耐熱保存性は問題ないものであった。
このトナーを使用して、実施例1と同様に現像剤とし、
この現像剤を用いて画像評価、定着性評価を行ない、低
温定着性と耐オフセット性を両立するものであることを
確認した。その後3万枚の連続複写試験を行なったとこ
ろ、帯電が低下し地肌汚れが目立つ画像となった。結着
樹脂Bが粉砕性の良いものでないため、粉砕面は結着樹
脂Aと結着樹脂Bの界面、及び結着樹脂Bとワックスの
界面とがほとんどとなり、粒子表面に存在するワックス
量が多くなったからと考えられる。
【0051】比較例2 結着樹脂A−1(ポリエステル樹脂、THF不溶分:33%、 DSC曲線のT値:64℃、SP値:10.8) 50部 結着樹脂A−2(ポリオール樹脂、THF不溶分:なし、 DSC曲線のT値:61℃、SP値:11.2) 27部 結着樹脂B(スチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、 THF不溶分:なし、DSC曲線のT値:74℃、 Mw:10000、(1)式のMw計算値:9800、 SP値:9.3) 15部 離型剤(ポリエチレンワックス (融点:100℃、SP値:8.0) 8部 着色剤(カーボンブラック) 10部 帯電制御剤(サリチル酸金属化合物) 2部 上記材料を実施例1と同様の工程を経て、体積平均粒径
が7±1μmの母体トナーとした。ここでの結着樹脂B
のMwは実施例1の結着樹脂BのMwより小さいが、粉
砕性はよくなかった。この母体トナーに実施例1と同様
に疎水性シリカと酸化チタンを外添しトナーとした。こ
のトナーを使用して、実施例1と同様に現像剤とし、定
着性評価続いて耐久性評価を行なった。低温定着性と耐
オフセット性に関しては問題なかったが、耐久性評価に
おいて地汚れある画像となった。粉砕性が良くなかった
だけでなく、結着樹脂Bの内部での粉砕が起こりにくか
ったことによる、粒子表面へのワックスの存在量の多さ
によると考えられる。また、耐熱保存性もそれほど良く
なかった。本比較例からMwが小さくても(1)式で計
算される値よりも大きいと、本発明の目的が達成できな
いことがわかる。
【0052】比較例3 結着樹脂A(ポリエステル樹脂、THF不溶分:10%、 DSC曲線のT値:68℃、SP値:10.6) 70部 結着樹脂B(スチレン−アクリル酸メチル −メタクリル酸メチル共重合樹脂 (THF不溶分:なし、DSC曲線のT値:72℃、 Mw:9700、(1)式のMw計算値:10400、 SP値:9.3) 25部 離型剤(エステルワックス (融点:92℃、SP値:9.1) 5部 着色剤(カーボンブラック) 10部 帯電制御剤(サリチル酸金属塩化合物) 2部 上記材料を実施例1と同様の工程を経て、体積平均粒径
が7±1μmの母体トナーとした。この時の粉砕性は悪
いものではないが、実施例1の場合より悪くなった。こ
の母体トナーの薄膜切片のTEM画像を観察したとこ
ろ、海島構造は確認できたが、ワックスの分散は確認し
にくかった。この母体トナーに実施例1と同様に疎水性
シリカと酸化チタンを外添しトナーとした。このトナー
を使用して、実施例1と同様に現像剤とし、この現像剤
を用いて画像評価、定着性評価を行なったところ、それ
ほど高くない温度でオフセットが発生した。続けて耐久
性評価を行なったところ、地肌汚れが目立つ画像となっ
た。
【0053】比較例4 結着樹脂A−1(ポリエステル樹脂、THF不溶分:24%、 DSC曲線のT値:68℃、SP値:10.6) 40部 結着樹脂A−2(ポリエステル樹脂、THF不溶分:なし、 DSC曲線のT値:68℃、SP値:11.0) 40部 結着樹脂B(スチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂、 THF不溶分:なし、DSC曲線のT値:59℃、 Mw:5000、(1)式のMw計算値:14300、 SP値:9.3) 15部 離型剤(ポリエチレンワックス) 5部 (融点:100℃、SP値:8.0) 着色剤(カーボンブラック) 10部 帯電制御剤(サリチル酸金属塩化合物) 2部 上記材料を実施例1と同様の工程を経て、体積平均粒径
が7±1μmの母体トナーとした。この時の粉砕性は良
く、微粉の発生も少なかった。この母体トナーの薄膜切
片のTEM画像を観察したところ、海島構造と島部分へ
のワックスの分散が確認できた。この母体トナーに実施
例1と同様に疎水性シリカと酸化チタンを外添しトナー
とした。このトナーを使用して、実施例1と同様に現像
剤とし、この現像剤を用いて画像評価、定着性評価、及
び耐久性評価を行なったところ、低温定着性と耐オフセ
ット性を両立し、耐久性も問題ないものであった。しか
し、耐熱保存性は悪いものであった。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明は、海状
の樹脂Aに島状に他の樹脂Bが分散し、その島状樹脂B
の中にワックスが内包されている構造のため、粉砕応力
が樹脂Aと樹脂Bとの界面にも集中し、トナー表面への
ワックスの露出量が減少し、転写性、耐久性に優れたト
ナーが得られ、しかもトナー表面近傍に存在するワック
スにより耐オフセット性の低下もない。また、応力の集
中する非相溶面の増加により粉砕性が向上し、小粒径ト
ナーが生産効率よく製造できる。
【0056】請求項2の発明は、樹脂A、樹脂B及びワ
ックスのSP値(溶解性パラメーター)が、樹脂AのS
P値>樹脂BのSP値>ワックスのSP値であることか
ら、本発明のトナー構造を確実に形成することができ
る。
【0057】請求項3の発明は、樹脂A、樹脂B及びワ
ックスの含有量が、樹脂A>樹脂B≧ワックスであり、
トナー中の樹脂及びワックスの合計量に対して樹脂Aが
55〜96重量%、樹脂Bが2〜44重量%、ワックス
が2〜15重量%であることから、本発明のトナー構造
を確実に形成することができる。
【0058】請求項4の発明は、樹脂BのDSC曲線の
吸熱側に出現する最大ピークの温度(℃)が、樹脂Aの
DSC曲線の吸熱側に出現する最大ピークの温度(℃)
より高いことから、樹脂Aと樹脂Bの混練時の溶融粘度
差が小さくなり、均一な海島構造が形成しやすくなる。
また、粒子表面への存在確率が高い樹脂Bを該最大ピー
ク温度を高いものとするため、耐熱保存性の点でも有利
となる。
【0059】請求項5の発明は、樹脂Aとして2種類以
上の互いに相溶する樹脂を用いることから、狙いの樹脂
特性を得やすく、低温定着性、耐ホットオフセット性な
どトナーの性能を更に向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 昌秀 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 渡辺 和人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 加藤 光輝 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 近藤 麻衣子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 AA15 CA08 CA13 CA14 CA15 CA17 EA03 EA06 EA07 EA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2種類以上の樹脂及びワック
    スを含有し、それらがお互いに非相溶で海島状の相分離
    構造をとり、連続相である海状の樹脂Aに島状に他の樹
    脂Bが分散し、島状樹脂Bの中にワックスが内包されて
    いるトナーであり、樹脂Aは主としてポリエステル及び
    /またはポリオールで、THF不溶分を含有し、樹脂B
    はTHF不溶分がなく、示差走査熱量計により測定され
    るDSC曲線において吸熱側に出現する最大ピークの温
    度が62〜90℃で、THF可溶分のGPCによる重量
    平均分子量Mwが下記(1)式の値より小さいことを特
    徴とする静電荷像現像用トナー。 Mw=−300×T+32000 ・・・ (1) (式中、TはDSC曲線の吸熱側に出現する最大ピーク
    の温度(単位℃))
  2. 【請求項2】 樹脂A、樹脂B及びワックスのSP値
    (溶解性パラメーター)が、樹脂AのSP値>樹脂Bの
    SP値>ワックスのSP値であることを特徴とする請求
    項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 樹脂A、樹脂B及びワックスの含有量
    が、樹脂A>樹脂B≧ワックスであり、トナー中の樹脂
    及びワックスの合計量に対して樹脂Aが55〜96重量
    %、樹脂Bが2〜44重量%、ワックスが2〜15重量
    %であることを特徴とする請求項1または2記載の静電
    荷像現像用トナー。
  4. 【請求項4】 樹脂BのDSC曲線の吸熱側に出現する
    最大ピークの温度(℃)が、樹脂AのDSC曲線の吸熱
    側に出現する最大ピークの温度(℃)より高いことを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像
    用トナー。
  5. 【請求項5】 樹脂Aとして2種類以上の互いに相溶す
    る樹脂を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    かに記載の静電荷像現像用トナー。
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